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▶ ルックスオティカ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電子眼鏡の丁番
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/22 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
G02C5/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504438
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 IB2021056188
(87)【国際公開番号】W WO2022018558
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020000017815
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196523
【氏名又は名称】ルックスオティカ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】LUXOTTICA S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Valcozzena, 10, I-32021 AGORDO (Italy)
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペッレグリーニ,ダニエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ミケロン,ディーノ
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AC01
(57)【要約】
電子眼鏡の丁番であって、眼鏡のテンプルに接続されるように適合された第1の丁番本体と、眼鏡のフロントに接続されるように適合された第2の丁番本体とを含み、この丁番の特殊性は、テンプルの中に挿入されることにより第1の丁番本体および第2の丁番本体を通りフロントに向かって方向転換されるように適合された電源/データケーブルを含み、第1の丁番本体(2)は、第2の丁番本体(6)の複数のリング(8)と交差することにより複数の同心リングを形成するように適合された、互いに離間した複数のリング(4)で構成され、同心リングのうちの少なくともいくつかは保持ピン(5)によって互いに接続されるように適合されていることにある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子眼鏡の丁番(1;50,100;200;300;400)であって、眼鏡のテンプル(3)に接続されるように適合された第1の丁番本体(2)と、前記眼鏡のフロント(7)に接続されるように適合された第2の丁番本体(6)とを備え、前記丁番は、前記テンプル(3)の中に挿入されることにより前記第1の丁番本体(2)および前記第2の丁番本体(6)を通り前記フロント(7)に向かって方向転換されるように適合された電源/データケーブル(20)を備えることを特徴とし、前記第1の丁番本体(2)は、前記第2の丁番本体(6)の複数のリング(8)と交差することにより複数の同心リング(4,8)を形成するように適合された、互いに離間した複数のリング(4)で構成され、前記同心リングのうちの少なくともいくつかは保持ピン(5)によって互いに接続されるように適合されていることを特徴とする、丁番。
【請求項2】
前記同心リングのうちの少なくとも3つが保持ピン(5)によって互いに接続されるように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載の丁番。
【請求項3】
前記電源/データケーブル(20)は、前記眼鏡の前記テンプルの内部に形成された空洞(18)に挿入されることにより、前記丁番リング(4,8)を通り、前記テンプル(3)に隣接して前記保持ピン(5)の後ろを通り、前記フロント(7)に形成された空洞(25)に誘導されるように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載の丁番。
【請求項4】
前記電源/データケーブル(20)は、前記眼鏡の前記テンプルの内部に形成された空洞(18)に挿入されることにより、前記丁番リング(4,8)を通り、前記保持ピン(5)の周りを通り、前記フロント(7)に形成された空洞(25)に誘導されるように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載の丁番。
【請求項5】
前記電源/データケーブル(20)は、段差(23)によって第2の部分(22)と一体化する外形を有する第1の部分(21)を有して成形され、前記第2の部分(22)は前記第1の部分(21)に対して高い位置にあることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項6】
前記電源/データケーブル(20)は、段差(23)によって第2の部分(22)と一体化する外形を有する第1の部分(21)を有して成形され、前記第2の部分(22)は前記第1の部分(21)に対して高い位置にあり、前記ケーブル(20)の前記第1の部分(21)の最初の部分は、下降部分と一体化する水平部分を有する外形で輪郭付けられていることを特徴とする、請求項1~3の1項以上に記載の丁番。
【請求項7】
前記電源/データケーブル(20)の前記第1の部分(21)の前記最初の部分は、前記テンプル(3)の上方領域に配置されることにより、前記下降部分によって下向きに方向付けられて前記第1の丁番本体(2)の前記複数のリング(4)のうちの下側リング(4)を通り、前記テンプル(3)に隣接して前記保持ピン(5)の後ろを通るように適合されていることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項8】
前記丁番リング(4,8)は、前記テンプルの内部に形成された前記空洞(18)と連通して配置されることにより、前記電源/データケーブル(20)が前記テンプル(3)から前記丁番の前記リング(4,8)を通り、前記保持ピン(5)の周りを通ることを可能にすることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項9】
前記丁番リング(4,8)は、前記テンプルの内部に形成された前記空洞(18)と連通して配置されることにより、前記電源/データケーブル(20)が前記テンプル(3)から前記丁番の前記リング(4,8)を通り、前記テンプル(3)に隣接して前記保持ピン(5)の後ろを通ることを可能にすることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項10】
前記電源/データケーブル(20)の前記第1の部分(21)は前記テンプル(3)の上方領域に配置されるように適合されており、前記第2の部分(22)は、前記第1の丁番本体(2)の前記リング(4)のうちの中間リング(10)に挿入されることにより前記保持ピン(5)の周りを通るように適合されていることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項11】
前記丁番は、前記テンプル(3)において前記第1の丁番本体の前記リング(4)に配置され、ユーザに対して通知を発するためにセンサおよび/またはエミッタを収容するように適合された空洞を備えることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項12】
ユーザに対する前記通知はLEDエミッタ(30)によって提供される、請求項11に記載の丁番。
【請求項13】
前記リング(4,8)は互いに同一の厚さを有することを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項14】
前記リング(4,8)は互いに異なる厚さを有することを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【請求項15】
前記丁番は、前記同心リングの間に挿入されるように適合された円筒(80)を備え、前記ケーブル(20)は、前記丁番が開いた状態であるか閉じた状態であるかに応じて、曲線状の外形を有する別個の対向領域に当接して、前記円筒を通るように適合されていることを特徴とする、先行する請求項の1項以上に記載の丁番。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子眼鏡の丁番に関する。より具体的には、本発明は、丁番の内部に信号/データケーブル(リボンケーブル)を最適に配置することを可能にする電子眼鏡の丁番に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る丁番は、有利なことに、エレクトロクロミック眼鏡にも使用することができる。
【0003】
知られているように、電子眼鏡は市場で広く普及しつつあり、この用語は、スチルカメラ、ビデオカメラ、温度センサ、圧力センサなどを有する眼鏡を指す。本質的に、電子眼鏡とは、ユーザが画像、映像、温度、圧力値などの周囲データを取得することを可能にする眼鏡である。この眼鏡の特殊性は、通常は眼鏡のフロントに配置される(たとえばスチルカメラ/ビデオカメラの場合など)かまたはテンプルの内部に配置される電子機器が、通常は眼鏡のテンプルの内部に隠されているバッテリによって都合よく電力を供給され、同じくテンプルの内部に隠さなければならない電源/データケーブルによって提供されるバッテリと電子機器との間の接続を有することにある。
【0004】
問題が起きるのは、電子機器が眼鏡のフロントにあり、当該電子機器に電力を供給できるようにおよび/またはデータを送信できるようにするために電源/データケーブルを眼鏡のテンプルからフロントに通さなければならないときである。
【0005】
この場合、ケーブルは通常、曲げ、ねじり、丁番の尖った部分での詰まりを受け、その結果、ケーブルが裂ける危険性があり、いずれの場合も電子眼鏡の長期使用によって当該ケーブルが破損する危険性がある。
【0006】
現在、眼鏡のフロントに配置された電子機器をテンプル本体の内部に収容されたバッテリに接続する上で最大の障害となる丁番部分を避けて、ケーブルをテンプルからフロントに最適な方法で通すための解決策は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目標は、電源/データケーブルの破損を可能な限り回避する、眼鏡のテンプルからフロントへの当該ケーブルの最適な通路を有する電子眼鏡の丁番を提供することである。
【0008】
この目標の中で、本発明の目的は、電源/データケーブルを眼鏡のテンプルからフロントに通すことが、ケーブルが過度の曲げおよび/または長期的に見てその完全性を損なう選択肢を有さないように行われる、電子眼鏡の丁番を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、電源/データケーブルが丁番の本体の内部に実質的に隠されることにより、眼鏡をテンプルとフロントとの結合部の内側から見たときでも当該ケーブルが事実上目に見えなくなる、電子眼鏡の丁番を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、電源/データケーブルの破損を伴わずに容易に分解可能な電子眼鏡の丁番を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、信頼性が高く、比較的簡単に競争力のあるコストで提供できる電子眼鏡の丁番を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目標、ならびに以下でより明らかになるこれらおよびその他の目的は、電子眼鏡の丁番であって、上記丁番は、眼鏡のテンプルに接続されるように適合された第1の丁番本体と、上記眼鏡のフロントに接続されるように適合された第2の丁番本体とを含み、上記丁番は、上記テンプルの中に挿入されることにより上記第1の丁番本体および上記第2の丁番本体を通り上記フロントに向かって方向転換されるように適合された電源/データケーブルを含むことを特徴とし、上記第1の丁番本体は、上記第2の丁番本体の複数のリングと交差することにより複数の同心リングを形成するように適合された、互いに離間した複数のリングで構成され、上記同心リングのうちの少なくともいくつかは保持ピンによって互いに接続されるように適合されていることを特徴とする丁番によって達成される。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に非限定的な例として示されている本発明に係る丁番の好ましいが排他的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、眼鏡のテンプル部分およびフロント部分に結合される本発明に係る丁番の分解斜視図である。
図2】電源/データケーブルが挿入された状態の、本発明に係る丁番の分解斜視図である。
図3】使用時の構成における、本発明に係る丁番を眼鏡のテンプルおよびフロントに結合した斜視図である。
図4図3の組付けられた丁番の反対側からの斜視図である。
図5図3および図4の結合された丁番の横断面図である。
図6図3図4および図5の組付けられた丁番の上面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る、眼鏡のテンプル部分およびフロント部分に結合される本発明に係る丁番の分解斜視図である。
図8】電源/データケーブルが挿入された状態の、図7の丁番の分解斜視図である。
図9】使用時の構成における、図7および図8の丁番を眼鏡のテンプルおよびフロントに結合した斜視図である。
図10図9の組付けられた丁番の反対側からの斜視図である。
図11図9および図10の組付けられた丁番の上面図である。
図12図9図10および図11の結合された丁番の横断面図である。
図13】眼鏡に適用された本発明に係る丁番の第3の実施形態の分解斜視図である。
図14】本発明に係る丁番の縦断面図である。
図15】第1の構成における本発明に係る丁番の拡大斜視図である。
図16】第2の構成における本発明に係る丁番の拡大斜視図である。
図17】眼鏡のテンプルから取り外された、本発明の第4の実施形態に係る丁番の拡大斜視図である。
図18図16の丁番のさらなる斜視図である。
図19】本発明に係る丁番の第5の実施形態の前方斜視図である。
図20】本発明に係る丁番の第5の実施形態の後方斜視図である。
図21】開いた状態における図19および図20の丁番の縦断面図である。
図22】閉じた状態における図19および図20の丁番の縦断面図である。
図23】本発明に係る丁番の第6の実施形態の斜視図である。
図24】開いた状態における図23の丁番の縦断面図である。
図25】閉じた状態における図23の丁番の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
同一の参照番号は同一の要素に対応する図面を参照して、全体的に参照番号1で示されている本発明の第1の実施形態(図1図6)に係る丁番は、眼鏡のテンプル3に関連する第1の丁番本体2を含み、第1の丁番本体は、ロックピン5を通すことを可能にする、互いに離間した複数のリング4を形成するように提供される。第2の丁番本体6が設けられて眼鏡のフロント7に接続される。第2の丁番本体も、第1の丁番本体2の離間したリング4の間に挿入されるように適合された、互いに離間した複数のリング8によって形成される。
【0016】
第1の丁番本体のリング4は、図に示すようにたとえば3つであり、上から下に向かって、すなわち上方のテンプル部分3から始めて、眼鏡のフロント7の上部に接触するように適合されており、リング4は、中心穴9aを有する第1の丁番リング9と、第1の丁番リング9から離間しており同じく中心穴11が設けられている第2の丁番リング10と、下方の領域で閉じられており隆起縁12aを有して成形されている第3の丁番リング12とを含む。
【0017】
第2の丁番本体6は、例として図に示すように、全体的に参照番号8で示されている2つのリングをさらに含み、そのうちの第1の上側リング13には中心穴14が設けられており、第2の下側リング15には中心穴17および隆起縁16が設けられている。
【0018】
上述のように、リング8および4は、互いに交差することにより、保持(ロック)ピン5を通すことを可能にするように互いに重なり合う同心の複数の5個のリングを形成するように適合されている。
【0019】
当然ながら、リングの数は要求に応じて変えることができ、合計5個という数は例示的な数である。
【0020】
好都合なことに、テンプル3の内部には、電源/データケーブル20を通すことを可能にする長手方向の貫通空洞18が設けられており、電源/データケーブル20は、段差23によって第2のケーブル部分22と一体化する第1の部分21を有するように好都合に成形され、第2のケーブル部分22は第1の部分21に対して上方位置に配置される。
【0021】
テンプル3の長手方向の空洞18は、第1の丁番本体2のリング4と一体化する。たとえば図1に示すように、実際には、リング4と、特に第1の丁番本体2の第3の下側リング4と長手方向の空洞18との間に通路が形成されているので、電源/データケーブル20を長手方向の空洞18の中に通し、次に第1の丁番本体のリング4を通じて、したがってさらに第2の丁番本体のリング8を通じて挿入し、次に眼鏡のフロント7の空洞25を通って誘導することができる。
【0022】
このように、電源/データケーブル20は、テンプル3の上方領域を通り、次にケーブル20の第1の部分21に形成されている下向きの曲線によって下向きに曲がり(第1の部分21の水平部分とそれに続く下降部分)、次に第1の丁番本体2の底部または下側リング4を通り、次に丁番リング4および8の貫通穴に挿入されているピン5の後ろを(実質的にテンプル3に隣接したまま)通り、最後に眼鏡のフロント7の空洞25を通って方向転換される。
【0023】
丁番リング、テンプル3の空洞、およびフロント7のこの特定の構成は、電源ケーブル20を、保持ピン5によって互いに組付けられる丁番リング4および8に通して、外から見えないように眼鏡のテンプルおよびフロント部分7の内部に完全に収容することを可能にする。
【0024】
全体的に参照番号50で示されている、図7図12に示す本発明に係る丁番の第2の実施形態は、眼鏡のテンプル3に関連する第1の丁番本体2を含み、第1の丁番本体は、ロックピン5を通すことを可能にする、互いに離間した複数のリング4を形成するように提供される。第2の丁番本体6が設けられて眼鏡のフロント7に接続される。第2の丁番本体も、第1の丁番本体2の離間したリング4の間に挿入されるように適合された、互いに離間した複数のリング8によって形成される。
【0025】
第1の丁番本体のリング4は、図に示すようにたとえば3つであり、上から下に向かって、すなわち上方のテンプル部分3から始めて、眼鏡のフロント7の上部に接触するように適合されており、中心穴9aを有する第1の丁番リング9と、第1の丁番リング9から離間しており同じく中心穴11が設けられているとともに隆起縁12が設けられている第2の丁番リング10と、中心穴19aを有する第3の丁番リング19とを含む。
【0026】
第2の丁番本体6は、例として図に示すように、2つのリングをさらに含み、そのうちの第1の上側リング13には中心穴14が設けられており、第2の下側リング15には中心穴および隆起縁16が設けられている。
【0027】
上述のように、リング8および4は、互いに交差することにより、保持(ロック)ピン5を通すことを可能にするように互いに重なり合う同心の複数の5個のリングを形成するように適合されている。
【0028】
当然ながら、リングの数は要求に応じて変えることができ、合計5個という数は例示的な数である。
【0029】
好都合なことに、テンプル3の内部には、電源/データケーブル20を通すことを可能にする長手方向の貫通空洞18が設けられており、電源/データケーブル20は、段差23によって第2のケーブル部分22と一体化する第1の部分21を有するように好都合に成形され、第2のケーブル部分22は第1の部分21に対して上方位置に配置される。
【0030】
テンプル3の長手方向の空洞18は、第1の丁番本体2のリング4と一体化する。たとえば図1に示すように、実際には、リング4と、特に第1の丁番本体2の第2のリング10と長手方向の空洞18との間に通路が形成されているので、電源/データケーブル20を長手方向の空洞18の中に通し、次に第1の丁番本体のリング4を通じて、したがってさらに第2の丁番本体のリング8を通じて挿入し、保持ピン5の周りに通し、次に眼鏡のフロント7の空洞25を通って誘導することができる。
【0031】
このように、電源/データケーブル20は、テンプル3の上方領域を通り、次に第2のリング10とテンプル3の空洞18との間に存在する空間を通り、ピン5の周りを通り、ケーブル20はその段差23とともにリング10の隆起壁12およびリング13の隆起壁16の内部に含まれており、最後に眼鏡のフロント7の空洞25を通って方向転換される。
【0032】
丁番リング、テンプル3の空洞、およびフロント7のこの特定の構成は、電源ケーブル20を、保持ピン5によって互いに組付けられる丁番リング4および8に通して、外から見えないように眼鏡のテンプルおよびフロント部分7の内部に完全に収容することを可能にする。
【0033】
図13図16は、全体的に参照番号100で示されている本発明に係る丁番の第3の実施形態を示し、第1の丁番本体2は複数の、この場合は3つのリング4を含み、第2の丁番本体6は複数の、この場合は2つのリング8を含む。
【0034】
2つの丁番本体2および6が眼鏡のテンプル3およびフロント7にそれぞれ接続され、テンプルがフロントに結合されると、リング4および8は互いに交差し、整列し、ピン5によってロックされる。
【0035】
丁番の組付け、摩擦および整列は、第1のリング、すなわち丁番の部品2の2つのリング4と丁番の部品6の1つのリング8とによって確実に行われる。
【0036】
ねじ付きピン5は、最初の2つのリング4を通り、第3のリング8に係合する。これらのリング4および8の寸法は、丁番のコンパクト性を確保するために、第4および第5のリングの寸法よりも小さい。
【0037】
フレキシブルケーブル20は、第4の(下から2番目の)リングの貫通穴と、第5のリング、すなわち合計5個のリングのうちの一番下のリングにカップ状の領域が形成されていることとによって、丁番の第4および第5のリングを通る。
【0038】
動作時、ケーブル20は、丁番のリング(ジョイント)に対して常に垂直な位置を保ち、開閉サイクル中に丁番の内部に生じる空間を自由に動くことができる。
【0039】
ケーブル20の挿入は、丁番の第1の本体2および丁番の第2の本体6にそれぞれ存在する2つの開口部36および37を用いて行われる。
【0040】
丁番内のケーブルの組付けは、以下の3つのステップで行われる。
- ねじ付きピン5を挿入することによって、丁番の第1および第2の本体を組付ける。
【0041】
- ケーブル20を挿入するためにケーブルの通路が見えるように、丁番をその可動範囲の約半分だけ閉じる/開く。
【0042】
- ケーブル20が開口部を通りやすいようにケーブル20を最終構成に対して部分的に傾けながら、輪郭付けられたケーブル20と部分的に組付けられた電子要素40とを挿入する。
【0043】
このように、ケーブル20をすでに存在している要素に接続することによって、丁番は、機械的な観点および電気的な観点の両方から、フレームのそれぞれのプラスチック部品に組み付けられる準備が整う。
【0044】
したがって、全体として、丁番の機械的組付品は、厚さの異なる5個のリングからなる。すなわち、最初の3つのリングはたとえば1.2~1.5mmの間の厚さを有することができ、第4のリングはたとえば2mmの厚さを有することができ、第5のリングは2.25ミリメートルの厚さを有することができる。
【0045】
これらの寸法がリング間で異なるのは、それぞれのリングが果たす機能が異なるからである。第1のリングは、回転軸の周りの整列、開閉動作時の丁番の摩擦、およびねじ付きピン5による締め付けを行う。
【0046】
第4のリングはより大きい寸法を有し、その内部にケーブル20を通すことを可能にするように完全に中空になっている。最後に、第5のリングは、ケーブル20をユーザに見えないようにするカップ状の領域が設けられていることによって、ケーブル20を確実に通す。
【0047】
図17および図18は、全体的に参照番号200で示されている本発明に係る丁番の第4の実施形態を示し、リング4、8はそれぞれ以下の厚さを有する。すなわち、上から下に向かって最初の3つのリングは同じ厚さを有し、特に、当該リングはそれぞれ、第1の丁番本体2の上から最初の2つのリングと第2の丁番本体6の一番上のリングである。また、第1の丁番本体2の上から3番目のリングと第2の丁番本体6の上から2番目のリングも同じ厚さを有する。
【0048】
図19は、全体的に参照番号300で示されている本発明に係る丁番の第5の実施形態の斜視図であり、丁番の同心リングを部分的に覆うために、円弧状部分で輪郭付けられた被覆要素60が存在する。この円弧状部分の終端は、断面視においてオジーブ形状61であり、第1の丁番本体2の中で回転する。
【0049】
図23図25は、全体的に参照番号400で示されている本発明に係る丁番の第6の実施形態を示し、この場合は70で示されている被覆要素は、第5の実施形態のように丁番本体2の内部に延在しておらず、ケーブル20を通すことを可能にするように輪郭付けられた円筒80が存在する。円筒80は同心リングの間に挿入され、ケーブル20は、円筒80の内部に形成された曲面に当接して円筒80を通る。ケーブル20は、円筒の内部で、開いた状態(角度0°の動作位置)および閉じた状態(開いた位置に対して90°の非動作位置)において、互いに対向する2つの異なる曲面に当接する。テンプル3には、0°の動作位置に対して最大90°まで変化し得る角度の追加の曲げがさらに与えられる。好ましくは、当該追加の曲げは、0°の動作位置に対して1~22°の間の角度である。
【0050】
好都合なことに、上述したすべての実施形態について、ユーザに機器の状態通知を提供するためにセンサおよび/またはエミッタ30を収容するように適合された空洞を設けることが可能である。これらの通知は、例として、バッテリ充電指示、Bluetooth(登録商標)接続指示、ユーザによる使用の指示、および/またはユーザと機器との対話の指示、とすることができる。
【0051】
このようなセンサおよび/またはエミッタは、非限定的な例として、温度センサ、圧力センサ、またはより一般的な環境センサであってもよい。
【0052】
バッテリ充電指示の特定の場合では、LEDエミッタ30がテンプル3において第1の丁番本体のリング4に配置され、ユーザへの通知のために発光表示を提供するように適合されている。
【0053】
第1および第2の丁番本体のリング4および8は、互いに異なる厚さをさらに有してもよい。
【0054】
最後に、フレキシブルケーブル20を大気中の物質から保護するように適合されたゴムガスケット35を設けることが可能である。当該ガスケット35は、フレキシブルケーブル20が通る開口部のプラグ(ケーブルの通過穴を有する)として作用する。
【0055】
実際には、本発明に係る電子眼鏡の丁番は、電源/データケーブル用の容器を部分的にテンプル3の内部で丁番1を通って画定できることにより、ケーブルがテンプル3の内部で詰まらずに丁番1を通ることができるのでケーブルを好都合に隠してケーブルの破損を防止することができるため、さらに、フロント7上でのテンプル3の開閉の繰返しに起因してケーブルが摩耗するのを回避することができるため、意図された目標および目的を完全に達成することが分かっている。
【0056】
このように考案された丁番には、多くの修正および変更の余地があり、それらはすべて添付の請求項の範囲内にある。
【0057】
さらに、すべての詳細事項を、その他の技術的に均等な要素に置き換えてもよい。
実際には、使用する材料、ならびにあり得る形状および寸法は、要求および現行技術に応じて如何なるものであってもよい。
【0058】
本願が優先権を主張するイタリア特許出願第102020000017815号の開示内容を、参照により本明細書に援用する。
【0059】
任意の請求項に記載されている技術的特徴に参照符号が付されている場合、それらの参照符号は請求項を理解しやすくするために含まれているに過ぎず、したがってこのような参照符号は、このような参照符号によって例として特定される各要素の解釈を限定する効果を有するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】