(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電流変換器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
H01L23/50 K
H01L23/50 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504583
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2021069363
(87)【国際公開番号】W WO2022017857
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011360
【氏名又は名称】レム・インターナショナル・エスエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ジグリオーリ・フェデリコ・ジョバンニ
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067AA01
5F067AB04
5F067BB01
5F067BE09
5F067BE10
5F067CA04
5F067DA11
5F067DA18
(57)【要約】
外部回路基板上に表面実装するための開ループ電流変換器(1)であって、集積回路(IC)チップ(2)であって、ICチップ(2)の第1の能動面(9a)上における磁場感知部分(10)および接続端子(11)を含む、集積回路(IC)チップ(2)と、一次導体(4)とIC接続部分(15)を含む複数の二次導体(5)とを含むリードフレーム構造(3)と、IC接続部分(15)をICチップ(2)の接続端子(11)に相互接続する複数のボンドワイヤ(6)と、ICチップ(2)、ボンドワイヤ(6)、およびリードフレーム構造(3)の一部分の上にオーバーモールドされた絶縁オーバーモールドハウジング(7)と、を含む、開ループ電流変換器。リードフレーム構造(3)は、厚さBのベースシートを有するシートメタルから形成され、リードフレーム構造(3)の少なくとも一部分は、前記ベースシート厚さBに等しい厚さを有する。ICチップ(2)の第1の能動面(9a)は、リードフレーム構造(3)に面し、リードフレーム構造(3)の少なくとも一部分は、ベースシート厚さBの20%~80%の厚さTの薄肉部分を含み、厚さTの前記薄肉部分は、二次導体(5)の前記IC接続部分(15)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部回路基板上に表面実装するための開ループ電流変換器(1)であって、
集積回路(IC)チップ(2)であって、前記ICチップの第1の能動面(9a)上における磁場感知部分(10)および接続端子(11)を含む、集積回路(IC)チップ(2)と、
一次導体(4)とIC接続部分(15)を含む複数の二次導体(5)とを含むリードフレーム構造(3)と、
前記IC接続部分(15)を前記ICチップの前記接続端子(11)に相互接続する複数のボンドワイヤ(6)と、
前記ICチップ、前記ボンドワイヤ、および前記リードフレーム構造の一部分の上にオーバーモールドされた絶縁オーバーモールドハウジング(7)と、
を含み、
前記リードフレーム構造は、厚さBのベースシートを有するシートメタルから形成され、
前記リードフレーム構造の少なくとも一部分は、前記ベースシート厚さBに等しい厚さを有し、
前記ICチップの前記第1の能動面は、前記リードフレーム構造に面し、前記リードフレーム構造の少なくとも一部分は、前記ベースシート厚さBの20%~80%の厚さTの薄肉部分を含み、厚さTの前記薄肉部分は、前記二次導体(5)の前記IC接続部分(15)を含むことを特徴とする、開ループ電流変換器。
【請求項2】
前記ICチップは、前記一次導体の感知部分(12)に部分的に重なって実装され、
前記ICチップと前記一次導体との間に実装された絶縁シート(8)は、前記絶縁オーバーモールドハウジングを形成する材料と異なる材料で作られ、前記ICチップの前記接続端子(11)は、前記一次導体に重なっていない前記ICチップの部分上に設けられている、請求項1に記載の電流変換器。
【請求項3】
前記絶縁シートは、前記一次導体に重なる前記ICチップの部分を越えて、非ゼロ幅Wの境界線で延び、前記一次導体と前記ICチップとの間の電気的沿面距離を増大させる、請求項2に記載の電流変換器。
【請求項4】
前記絶縁箔は、前記ICチップも上を延びている前記一次導体の縁部(25)を越えて延び、前記ICチップと前記一次導体との間の前記沿面距離を増大させる、請求項3に記載の電流変換器。
【請求項5】
前記感知部分(12)は、前記一次導体の表面実装接続端子(13)と比較して、減少した通電断面積を有する、請求項2に記載の電流変換器。
【請求項6】
前記一次導体の前記表面実装接続端子(13)は、複数の隆起部分(21)を含む、請求項5に記載の電流変換器。
【請求項7】
前記二次導体(5)の表面実装接続端子(16)は、前記オーバーモールドハウジング(7)の第1の縁部に沿って一列に配列され、前記一次導体の前記表面実装接続端子(13)は、前記オーバーモールドハウジングの反対側の縁部に隣接して配列されている、請求項5に記載の電流変換器。
【請求項8】
前記薄肉部分厚さTは、前記ベースシート厚さBの30%~70%の範囲である、請求項1に記載の電流変換器。
【請求項9】
前記薄肉部分厚さTは、前記ベースシート厚さBの40%~60%の範囲である、請求項8に記載の電流変換器。
【請求項10】
前記一次導体(4)は、その前記表面実装接続端子(13)から延びるヒートシンクとして機能する1つ以上のヒートシンク延長部(23)を含む、請求項5に記載の電流変換器。
【請求項11】
前記1つ以上のヒートシンク延長部は、前記一次導体表面実装接続端子(13)から前記二次導体(5)の前記表面実装接続端子(16)に向かって延びる、請求項10に記載の電流変換器。
【請求項12】
一対の前記ヒートシンク延長部があり、1つは前記一次導体の各表面実装接続端子(13)から延びるためのものである、請求項10に記載の電流変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に表面実装される開ループ電流変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板上に実装するための表面実装電気接続部を有する開ループ電流変換器を提供することが知られている。多くの用途では、オーバーモールドされた絶縁ハウジング内に一体化された一次導体を有する非常にコンパクトで高さが低い電流変換器を有することに利点がある。このようなコアレス電流変換器は、電流変換器内に一体化された一次導体に流れる測定すべき電流によって誘導される磁場を検出する能動感知層を上に有する集積回路(IC)チップを含み得、集積回路チップは、電力を供給し外部回路基板への測定信号の伝送を可能にする二次接点に電気的に接続される。
【0003】
一次導体および二次導体をリードフレームから形成することはよく知られている。リードフレームは、シートメタルのストリップであり、これは、シートメタルから一次接点および二次接点を切り出すように打ち抜かれて形成され、接点および集積回路は絶縁ポリマーによってオーバーモールドされ、接点の接続端部は、露出され、回路基板上の回路トレースにはんだまたは溶接接続されるように構成されている。
【0004】
集積回路と二次接点との間の電気的相互接続は、いわゆる「フリップチップ」接続によって、またはワイヤボンディングによって接続され得る。半導体基板、例えばCMOS ICの上の能動部分および接続インターフェースは、通常、ICの同じ片面に設けられる。例えば米国特許出願公開第2006/219436 A1号に記載されているような、フリップチップ構造は、能動面がリードフレーム導体構造に面し、これに隣接することを可能にし、リードフレームと集積回路能動表面上の接続部分との間の電気的相互接続を可能にすると同時に、集積回路の能動感知部分を一次導体に非常に接近させることができる。これにより、感知層と一次導体との間の距離が非常に小さくなるため、一次電流の測定に関する感度が高くなる。しかし、フリップチップ接続は、リードフレーム構造の二次導体に直接接続する必要がある接続点間のICチップ上の距離が小さいため、製造するのが高額で複雑になる可能性がある。また、電気的沿面距離に関しても、ワイヤボンディング相互接続よりも管理が難しいというデメリットがある。
【0005】
ワイヤボンディングは、ICチップのための接続端子を形成する導体に集積回路を相互接続するための非常に一般的で広く使用されている技術である。しかしながら、従来の電流変換器では、ICチップとリードフレーム構造との間のワイヤボンディング相互接続の欠点は、IC基板とリードフレーム導体との間の相互接続ワイヤループの高さに起因して、フリップチップ構造と比較して高さが増加することである。また、例えば米国特許出願公開第2016/282388 A1号に記載されているような、リードフレームとICチップとの間のワイヤボンディングを有する従来の電流変換器では、リードフレーム端子とIC回路上の接続点との間のワイヤボンディングのために能動表面をアクセス可能にするように、能動センサ面がリードフレーム導体構造から離れる方向を向いている。したがって、フリップチップ構造と比較して、より低い感度が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したことを考慮して、本発明の目的は、回路基板上に表面実装するための開ループ電流変換器において、従来のフリップチップ構造と従来のワイヤボンディングされた構造の両方の欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、高さが低く、測定感度が高く、しかも製造するのに経済的である、回路基板上に表面実装される開ループ電流変換器を提供することである。
【0007】
信頼性の高い、特に、ICチップと統合された一次導体との間の良好な絶縁特性を確保する、開ループ表面実装電流変換器を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1に記載の開ループ電流変換器を提供することによって達成された。
【0009】
本明細書では、外部回路基板上に表面実装するための開ループ電流変換器が開示され、これは、集積回路(IC)チップを含み、これは、
ICチップの第1の能動面上における磁場感知部分および接続端子と、
一次導体とIC接続部分を含む複数の二次導体とを含むリードフレーム構造と、
IC接続部分をICチップの接続端子に相互接続する複数のボンドワイヤと、
ICチップ、ボンドワイヤ、およびリードフレーム構造の一部分の上にオーバーモールドされた絶縁オーバーモールドハウジングと、
を含む。
【0010】
リードフレーム構造は、厚さBのベースシートを有するシートメタルから形成され、リードフレーム構造の少なくとも一部分は、前記ベースシート厚さBに等しい厚さを有する。ICチップの第1の能動面は、リードフレーム構造に面し、リードフレーム構造の少なくとも一部分は、ベースシート厚さBの20%~80%の厚さTの薄肉部分を含み、厚さTの前記薄肉部分は、二次導体の前記IC接続部分を含む。
【0011】
有利な実施形態では、ICチップは、一次導体の感知部分を含む一次導体の一部分に部分的に重なって実装され、ICチップと一次導体との間に実装された絶縁シートは、絶縁オーバーモールドハウジングを形成する材料とは異なる材料で作られ、ICチップの接続端子は、一次導体に重なっていないICチップの前記部分上に設けられている。
【0012】
有利な実施形態では、前記絶縁箔は、一次導体に重なるICチップの部分を越えて、非ゼロ幅Wの境界線で延び、一次導体とICチップとの間の電気的沿面距離を増大させる。
【0013】
有利な実施形態では、前記絶縁箔は、ICチップも上を延びている一次導体の縁部を越えて延び、ICチップと一次導体との間の沿面距離を増大させる。
【0014】
有利な実施形態では、感知部分は、感知部分が間に配置され相互接続される一次導体の表面実装接続端子と比較して、減少した通電断面積を有する。
【0015】
有利な実施形態では、一次導体の表面実装接続端子は、複数の隆起部分を含む。
【0016】
有利な実施形態では、二次導体の表面実装接続端子は、オーバーモールドハウジングの第1の縁部に沿って一列に配列され、一次導体の表面実装接続端子は、オーバーモールドハウジングの反対側の縁部に隣接して配列されている。
【0017】
有利な実施形態では、薄肉部分厚さTは、ベースシート厚さBの30%~70%の範囲である。好ましくは、薄肉部分厚さTは、ベースシート厚さBの40%~60%の範囲である。
【0018】
有利な実施形態では、一次導体は、その表面実装接続端子から延びるヒートシンクとして機能する1つ以上のヒートシンク延長部を含む。
【0019】
有利な実施形態では、1つ以上のヒートシンク延長部は、一次導体表面実装接続端子から二次導体の表面実装接続端子に向かって延びる。
【0020】
有利な実施形態では、一対のヒートシンク延長部があり、1つは一次導体の各表面実装接続端子から延びるためのものである。
【0021】
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の実施形態による表面実装開ループ電流変換器の斜視図である。
【
図1b】本発明の実施形態による表面実装開ループ電流変換器の斜視図である。
【
図1c】本発明の実施形態による表面実装開ループ電流変換器の斜視図であり、部分的に切り取られたオーバーモールドハウジング部分を示している。
【
図2】本発明の実施形態による電流変換器の概略断面図である。
【
図3a】オーバーモールドハウジングが取り外された
図1a~
図1cの電流変換器の斜視図である。
【
図3b】オーバーモールドハウジングが取り外された
図1a~
図1cの電流変換器の斜視図である。
【
図3c】オーバーモールドハウジングが取り外された
図1a~
図1cの電流変換器の平面図である。
【
図4a】オーバーモールドハウジングが取り外された、本発明による電流変換器の別の実施形態の平面図である。
【
図4b】オーバーモールドハウジングが取り外された、本発明による電流変換器の別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図を参照すると、外部回路基板上に表面実装接続するための電流変換器1は、絶縁オーバーモールドハウジング7内に収容されたリードフレーム構造3に接続された磁場センサ2を含む。
【0024】
磁場センサ2は、第1の能動面9aと第2の面9bとを有する集積回路(IC)チップの形態であり、少なくとも第1の能動面9aは、電力および信号伝送導体に接続するための電気接続端子11を含む能動部分と、第1の面の表面に、またはこれに近接して配置された磁場センサ部分10と、を有する。チップは、面9aと絶縁層8との間の接着剤層により、リードフレームに取り付けられ得る。絶縁層8は、接着剤層によりリードフレームに取り付けられ得る。
【0025】
磁場感知部分10は、ホール効果センサ、または巨大磁気抵抗センサ、または当技術分野でそれ自体周知である他の形態の磁場センサを含み得る。ICチップ2は、例えばCMOSチップの形態であってよいが、当技術分野でそれ自体既知の磁場感知部分を有する他の種類の半導体集積回路チップを用いてもよい。半導体チップは、さらに説明する必要はなく、磁場感知部分および接続端子を有するそのような半導体チップは、当技術分野においてそれ自体周知である。
【0026】
リードフレーム構造3は、一次導体4と、複数の二次導体5と、を含む。リードフレーム構造は、導電性金属のシートから形成され、より具体的には、一次および二次導体を形成するためにシートメタルを切り抜き、曲げ、かつ/またはエンボス加工する打ち抜きおよび形成プロセスにおいて打ち抜かれて形成される、バンドまたはストリップの形態である。シートメタルからのリードフレーム構造の打ち抜きおよび形成は、それ自体周知の技術である。このような構造で使用されるシートメタルは、最初は一定の厚さを有し、本明細書では、これを、厚さBを有する「ベースシート厚さ」と呼ぶものとする。シートメタルから打ち抜かれて形成された従来のリードフレーム構造では、一次および二次導体は、導体の一部分が、例えば接触端子を形成するために、シートメタルの元の平面から曲げられる場合の曲げ操作によるわずかな変動を除いて、概して全体にわたり本質的にベースシート厚さBを含む。ベースシート厚さBは、特に接触端子がオーバーモールドハウジングから突出している場合、接触端子の機械的剛性の重要な特性である。接触端子がオーバーモールドハウジングと同一平面上にあるか、またはオーバーモールドハウジングに埋め込まれて接触パッド表面のみが露出するような構造であっても、ベース厚さは、ハウジングへの確実な固定と、それが溶接またははんだ付けされる外部回路基板導電パッドへの結合のために、少なくとも接続端部の周りに必要とされ得る。シートメタルの厚さは、導体、特に一次導体の断面、よって、リードフレーム構造の導体の通電能力にも影響を及ぼす。
【0027】
ICチップ2もある特定の厚さを有し、リードフレーム導体構造3およびICチップ2の周囲に成形されるオーバーモールドハウジング7も、これらの部品を外部環境から絶縁するためにある特定の厚さを必要とする。
【0028】
しかし、多くのアプリケーションでは、回路基板を含む電子部品の全高をできるだけ小さくする必要があるため、回路基板上に組み込むための非常に低い高さHの変換器を有することが望まれている。
【0029】
本発明によれば、二次導体5の少なくとも一部分は、以下でさらに詳細に説明する理由により、ベース厚さBの20%~80%の範囲、好ましくは30%~70%の範囲、より好ましくは40%~60%の範囲にある厚さTの薄肉部分を有する。
【0030】
一次導体は、外部回路基板上の導電性トレースに表面実装接続されるように構成された一対の表面実装接続端子13と、一対の表面実装接続端子13を相互接続する感知部分12と、を含む。感知部分12は、測定すべき電流(一次電流)を集中させ、感知部分12の周囲の磁場の強度を高めるために、減少した導電断面積を有する。感知部分12の減少した断面積は、例えば、一次導体の接続端子13間にスロット24を設けることによって形成され得る。
【0031】
ICチップ2は、感知部分12の上に部分的に重なり合う関係で位置付けられる。特に、ICチップの磁場感知部分10は、磁場感知部分10が一次導体の感知部分12の非常に近くに位置付けられるように、好ましくは一次導体の感知部分12と重なり合う関係で位置付けられる。
【0032】
絶縁シート22が、感知部分12を包囲する一次導体4の部分とICチップ9との間に位置付けられる。絶縁シート8は、単一もしくは複数の層になった、例えばポリイミドなどのポリマー材料のシートの形態であってもよく、または、ICチップ能動感知面9aと一次導体との間のギャップを画定し、一次導体とICチップとの間に絶縁をもたらすガラスの小さなシートであってもよい。絶縁シート8は、ICチップ2よりも大きい程度まで、一次導体4上に延びて、その周囲に最小幅Wの境界線を形成し、ICチップと一次導体との間の沿面距離を増大させる。半導体ICチップは、一次導体に部分的にのみ重なり、接続端子11を含むICチップの一部分は、一次導体4の内側縁部25を越えて延び、接続部分は、一次導体に重ならず、ボンドワイヤ6への接続のためにアクセス可能である。絶縁シート8も、有利には一次導体の内側縁部25を越えて延び、箔は、一次導体に部分的にのみ重なり、ここでもICチップ2と一次導体4との間の電気的沿面距離を増大させる。ICチップは、能動感知部分が信号測定を最大化するために一次導体にできるだけ近くなるよう一次導体に面するように、配向されている。
【0033】
電流変換器の接続が意図される外部回路の電力および信号接続部にICチップ2を相互接続する役割を果たす二次導体5は、先に論じたようなリードフレーム構造から形成された複数の導体を含み、各二次導体は、一端部にIC接続部分15を、他端部に表面実装接続端子16を含む。表面実装接続端子16は例えば、一列に配置され得、外部回路基板の回路トレースに対する、それ自体が当技術分野で知られているような、表面実装はんだまたは溶接接続を意図した接触パッドを提示する。したがって、表面実装接続端子16は、変換器オーバーモールドハウジング7の外側縁部に近接して位置付けられ、IC接続部分15はICチップ2に近接して位置付けられ、ICチップ2と二次導体のIC接続部分15との間のボンドワイヤ接続を可能にする。二次導体のIC接続部分15は、IC接続部分から外側に扇状に広がる表面実装接続端子13よりも、互いに近い間隔である。
【0034】
ボンドワイヤ6は、各二次導体5のIC接続部分15とICチップ2上の接続端子11との間に接続されている。ある特定の二次導体は、ICチップへの接続部を持たず、接続部の多い半導体チップに使用するための冗長な二次導体を形成し得ることに留意されたい。言い換えれば、接続部の数は、ICチップに組み込まれる機能に左右される。リードフレーム導体構造3は一定の構成を有し得るが、二次導体とICチップとの間のワイヤボンド相互接続部の数は、ICチップの構成および変換器に組み込まれる所望の機能性に左右され得る。
【0035】
本発明によれば、IC接続部分15を包囲する二次導体の少なくとも一部分は、前述のように、ベース厚さBの20%~80%の範囲、好ましくは30%~70%の範囲、より好ましくは40%~60%の範囲である、減少した厚さTの薄肉部分を有する。IC接続部分15の厚さが減少することにより、ボンドワイヤ6は、ICチップ2から離れる方向に向くリードフレーム構造3の最外表面26に対するループ高さが減少するため、オーバーモールドハウジング7の全高Hをより低くすることができる。
図2の概略的に示された実施形態では、ボンドワイヤのループ高さは、薄肉部分Tによって形成された凹部内に完全に収まっているが、ボンドワイヤ6は、凹部の上方に延びる部分を有し得る。それにもかかわらず、凹部の上方に延びる部分は、ボンドワイヤのループがリードフレームの外側表面からさらに遠ざかる従来の構造に比べて少なくなるであろう。また、有利には、ボンドワイヤ6は、変換器の、一次導体4の表面実装接続端子13および二次導体5の表面実装接続端子16と同じ側で、ICチップ2および二次導体5に実装され接続されている。
【0036】
表面実装接続端子13、16は、二次導体のIC接続部分15を含むリードフレーム構造の平面からオフセットした平面でエンボス加工されるかまたは打ち抜かれて、オーバーモールドハウジング7の実装側面27と同一平面にあるか、またはそれを越えて延在する端子を呈することができる。リードフレームは、使用されるボンドワイヤに従って任意の適切なワイヤボンディング可能層でメッキされてもよい。
【0037】
二次導体の少なくともIC接続部分15を囲むリードフレーム構造の薄肉部分厚さTは、エッチングプロセス、例えば化学エッチングプロセスまたはレーザーエッチングプロセスによって形成され得、このようなプロセスは、金属導電材料のエッチングの分野でそれ自体知られている。他のプロセス例は、圧印加工またはエンボス加工を含み得る。
【0038】
薄肉部分厚さTは、一次および二次導体の表面実装接続端子13、16を除くリードフレーム構造の全てまでを含む、リードフレーム構造の大部分に及ぶことができることに留意されたい。
【0039】
実施形態では、一次導体の表面実装接続端子13は、有利には複数の隆起部分21を含み得、これは、例えばシートメタルの打ち抜きによってエンボス加工されてもよいし、シートメタルのベース厚さからエッチングプロセスで形成されてもよい。隆起部分21は、有利には、外部回路基板上の相補的な回路トレースへのはんだ接続を改善し、一次導体と外部回路基板上の回路トレースとの間の機械的および電気的接続を改善する。改善された接続は、電流変換器が(変換器のサイズに比して)高強度の電流の測定に使用される場合、熱伝達を改善することもできる。それにもかかわらず、変形例では、接続部分13は、接続面当たりわずか数個またはただ1つの接続パッドのみを含み得る。
【0040】
一次導体4は、表面実装接続端子13から延びる延長部23をさらに含み得、これは、ヒートシンクとして機能し、オプションとして外部ヒートシンクに熱結合するように構成されてもよい。また、ヒートシンクは、電流変換器に単に統合されて、(変換器のサイズに比して)大きな電流が変換器を通って流れているときに一次導体からの熱伝達を改善するために大きな表面を形成することができる。
【0041】
〔使用した参照符号のリスト〕
電流変換器1
磁場センサ2(集積回路(IC)チップ)
第1の面(能動感知面)9a
磁場感知部分10
接続端子11
第2の面9b
リードフレーム構造3
一次導体4
感知部分12
スロット24
内側縁部25
表面実装接続端子13
隆起部分21
二次導体5
IC接続部分15
表面実装接続端子16
第1の(ボンディングワイヤ)面17a
第2の(ダイ実装)面17b
ベースシート部分18
薄肉部分19
ボンドワイヤ接続凹部20
エッチング凹部
絶縁シート8
ボンドワイヤ6
オーバーモールドハウジング7
実装側面27
ベースシート厚さB
薄肉部分厚さT
凹部厚さR
【0042】
〔実施の態様〕
(1) 外部回路基板上に表面実装するための開ループ電流変換器(1)であって、
集積回路(IC)チップ(2)であって、前記ICチップの第1の能動面(9a)上における磁場感知部分(10)および接続端子(11)を含む、集積回路(IC)チップ(2)と、
一次導体(4)とIC接続部分(15)を含む複数の二次導体(5)とを含むリードフレーム構造(3)と、
前記IC接続部分(15)を前記ICチップの前記接続端子(11)に相互接続する複数のボンドワイヤ(6)と、
前記ICチップ、前記ボンドワイヤ、および前記リードフレーム構造の一部分の上にオーバーモールドされた絶縁オーバーモールドハウジング(7)と、
を含み、
前記リードフレーム構造は、厚さBのベースシートを有するシートメタルから形成され、
前記リードフレーム構造の少なくとも一部分は、前記ベースシート厚さBに等しい厚さを有し、
前記ICチップの前記第1の能動面は、前記リードフレーム構造に面し、前記リードフレーム構造の少なくとも一部分は、前記ベースシート厚さBの20%~80%の厚さTの薄肉部分を含み、厚さTの前記薄肉部分は、前記二次導体(5)の前記IC接続部分(15)を含むことを特徴とする、開ループ電流変換器。
(2) 前記ICチップは、前記一次導体の感知部分(12)に部分的に重なって実装され、
前記ICチップと前記一次導体との間に実装された絶縁シート(8)は、前記絶縁オーバーモールドハウジングを形成する材料と異なる材料で作られ、前記ICチップの前記接続端子(11)は、前記一次導体に重なっていない前記ICチップの部分上に設けられている、実施態様1に記載の電流変換器。
(3) 前記絶縁シートは、前記一次導体に重なる前記ICチップの部分を越えて、非ゼロ幅Wの境界線で延び、前記一次導体と前記ICチップとの間の電気的沿面距離を増大させる、実施態様2に記載の電流変換器。
(4) 前記絶縁箔は、前記ICチップも上を延びている前記一次導体の縁部(25)を越えて延び、前記ICチップと前記一次導体との間の前記沿面距離を増大させる、実施態様3に記載の電流変換器。
(5) 前記感知部分(12)は、前記一次導体の表面実装接続端子(13)と比較して、減少した通電断面積を有する、実施態様2に記載の電流変換器。
【0043】
(6) 前記一次導体の前記表面実装接続端子(13)は、複数の隆起部分(21)を含む、実施態様5に記載の電流変換器。
(7) 前記二次導体(5)の表面実装接続端子(16)は、前記オーバーモールドハウジング(7)の第1の縁部に沿って一列に配列され、前記一次導体の前記表面実装接続端子(13)は、前記オーバーモールドハウジングの反対側の縁部に隣接して配列されている、実施態様5に記載の電流変換器。
(8) 前記薄肉部分厚さTは、前記ベースシート厚さBの30%~70%の範囲である、実施態様1に記載の電流変換器。
(9) 前記薄肉部分厚さTは、前記ベースシート厚さBの40%~60%の範囲である、実施態様8に記載の電流変換器。
(10) 前記一次導体(4)は、その前記表面実装接続端子(13)から延びるヒートシンクとして機能する1つ以上のヒートシンク延長部(23)を含む、実施態様5に記載の電流変換器。
【0044】
(11) 前記1つ以上のヒートシンク延長部は、前記一次導体表面実装接続端子(13)から前記二次導体(5)の前記表面実装接続端子(16)に向かって延びる、実施態様10に記載の電流変換器。
(12) 一対の前記ヒートシンク延長部があり、1つは前記一次導体の各表面実装接続端子(13)から延びるためのものである、実施態様10に記載の電流変換器。
【国際調査報告】