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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/08 20060101AFI20230804BHJP
   B01D 27/10 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B01D27/08
B01D27/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504672
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2021064343
(87)【国際公開番号】W WO2022017669
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020004489.1
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511004689
【氏名又は名称】ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ザクラシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク レーダー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブラウネ
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA07
4D116BA01
4D116BC23
4D116BC25
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC47
4D116BC76
4D116DD05
4D116KK04
4D116QA14B
4D116QA14E
4D116QA14F
4D116QA16B
4D116QA16E
4D116QA16F
4D116QB03
4D116QB17
4D116QB25
4D116QB37
4D116QB39
4D116QB41
4D116QB49
4D116VV04
(57)【要約】
未濾液用の流入口と濾液用の流出口など、少なくとも2つの接続部12、14を有し、交換可能なフィルタエレメント16を収容するフィルタハウジング10を備えたフィルタ装置が開示されており、このフィルタ装置は、遮断装置18によって、開放位置では存在する流入口12と流出口14の間の流体連通が、遮断位置では遮断されていること、及び遮断装置18は作動装置20によってこれらの個々の位置にもたらすことができることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未濾液用の流入口と濾液用の流出口などの、少なくとも2つの接続部(12、14)を有し、交換可能なフィルタエレメント(16)を収容するフィルタハウジング(10)を備えたフィルタ装置において、
開放位置では存在する前記流入口(12)と前記流出口(14)の間の流体連通が遮断位置では遮断装置(18)によって遮断されており、前記遮断装置(18)は作動装置(20)によってこれらの個々の位置にもたらすことができることを特徴とする、フィルタ装置。
【請求項2】
前記遮断装置(18)は、前記フィルタハウジング(10)の長手方向に見て傾斜した隔壁(34)を有しており、この隔壁(34)は前記開放位置ではその上側で一方の前記接続部(14)に開口し、その下側でそれぞれ他方の前記接続部(12)に開口していること、及び隔壁(34)は前記作動装置(20)によって、好ましくは揺動により前記遮断位置にもたらされて、少なくとも1つの遮断要素(66、68)により少なくとも前記流入口を遮断することを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
楕円形に形成された隔壁(34)は、その外周(60)に沿って密封装置(88)を有すること、及び隔壁(34)は、中空円筒状の前記フィルタエレメント(16)の内部(42)と流体連通している開口(44)によって貫通されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
隔壁(34)内の開口(44)は少なくとも部分的に連結具(50)の一部としてねじ部(52)によって限定されており、このねじ部(52)は連結具(50)の別の一部として対応させたねじ部(54)を介して前記フィルタエレメント(16)を前記フィルタハウジング(10)内に固定する役割を果たすことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
隔壁(34)は、少なくとも1つの限定要素(84)を有しており、この限定要素(84)は、隔壁(34)が前記作動装置(20)によって案内装置(74)を用いて前記フィルタハウジング(10)内で前記開放位置と前記遮断位置との間で、好ましくは90°揺動可能に案内されるように、隣接するハウジング部分(94、96)と協働することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
案内装置(74)は、少なくとも1つのラッチ(72)を、好ましくは前記遮断装置(18)に有しており、このラッチ(72)は、好ましく前記フィルタハウジング(10)内で案内溝(76)に収容されていて、前記遮断装置(18)が半径方向では回転可能に、且つ、前記フィルタハウジング(10)の長手方向に沿って見た軸方向では静止しているように前記フィルタハウジング(10)内に収容されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記流入口と前記流出口を有する前記接続部(12、14)は、少なくとも1つの同じ平面内で、前記フィルタハウジング(10)の長手方向に見て互いに直径方向に対向して延びるように前記フィルタハウジング(10)内に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記作動装置(20)は、ハウジングカバー(28)を有しており、このハウジングカバー(28)は、前記フィルタハウジング(10)に、好ましくは底部側で着脱可能に配置され、カム(190)を備えて操作時に前記フィルタエレメント(16)のエンドキャップ(58)を連行し、その結果として前記フィルタエレメント(16)と連結具(50)を介して前記遮断装置(18)が前記開放位置と前記遮断位置の間で、及びその逆に揺動可能であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記フィルタエレメント(16)の一方のエンドキャップ(58)は、互いにばね弾性的に撓むように連結された2つのキャップ部分(132、134)を有すること、及び一方のキャップ部分(132)は、底部側で前記フィルタエレメント(16)のエレメント材料(128)を収容すること、及び他方のキャップ部分(134)は、案内斜面(188)と押圧支持面(186)とを備えた突出部(184)を有し、これらの突出部(184)はハウジングカバー(28)に設けたカム(190)と協働することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
ハウジングカバー(28)は、その他のボウル状の前記フィルタハウジング(10)の底部側に前記フィルタハウジング(10)の一部としてねじ込み又はねじ締めすることができること、及びそのための連結領域(112)のねじピッチは、前記遮断装置(18)と隣接して配置された前記フィルタエレメント(16)のエレメントキャップ(56)との間の連結具(50)の、互いに係合している連結ねじ部(52、54)よりも急ではないことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未濾液の流入口と濾液の流出口など、少なくとも2つの接続部を有し、交換可能なフィルタエレメントを収容するフィルタハウジングを備えたフィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載した種類のフィルタ装置は、後から公開された特許文献1(独国特許出願公開第102019008741号明細書)により公知であり、同様に未濾液流の供給のための接続部、及び濾液流の排出のための別の接続部を有するフィルタハウジングと、未濾液流の濾過のためにそれぞれの接続部の間に接続された、濾材を有する中空円筒状のフィルタエレメントと、フィルタハウジング内で未濾液流を案内するための流れ導入装置とを備え、この流れ導入装置はフィルタハウジング内で濾液流を案内する役割も同様に果たし、且つ、隔壁を有しており、この隔壁はその互いに対向する壁面でこれらに当たる未濾液流と濾液流を互いに別々に案内し、一方の端部はフィルタエレメントの内部に開口し、他方の端部は両接続部のうちの1つに向かって開口する流路によって貫通されている。
【0003】
このようにして、フィルタハウジングのフィルタヘッド内で複雑に実現されて弧状に延びる流路を省き、直線的に延びる構造の流路に置き換えることができる。これは、未濾液流若しくは濾液流を供給及び排出する際の乱流による圧力損失、並びにそれに伴う材料を損傷するキャビテーションを回避するのを助けて、フィルタエレメントを用いた粒子洗浄の枠内でエネルギー的に好都合な濾過運転を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019008741号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、この出願後に公開された先行技術に基づき、この公知の解決策を、その利点を保持しつつ、取り扱いやすいフィルタエレメント交換が特別な方法で達成されるように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1の特徴をその全体において有する装置によって解決される。
【0007】
請求項1の特徴部によれば、開放位置では存在する流入口と流出口の間の流体連通が遮断位置では遮断装置によって遮断されていること、及び遮断装置は作動装置によってこれらの個々の位置にもたらすことができることにより、特にフィルタハウジングへの流入を遮断することができる。これにより、未濾液の形で後から流入する流体を絶えず考慮する必要はなく、場合によりフィルタ装置から外に流出する流体量が最小限に抑えられるので、フィルタハウジングを開けて使用済みのフィルタエレメントを新しいエレメントと交換することが非常に容易になる。公知の装置解決策でも、エレメント交換のために流入口へ続く接続管路内の弁は遮断されるが、弁と流入口との間で接続管路内に残っている流体量は相当なものであり、エレメント交換時に意図せず流出する流体の量の増加を招く。このことは、本発明による装置解決策ではいかなる場合も回避される。なぜなら、フィルタエレメントが収容されている流入口と流出口との間の流体連通は、作動装置によって操作可能な遮断装置によって中断されているからであり、これは好ましくは手動操作によって行われる。この場合、フィルタ装置の好適な取り付け位置は、フィルタハウジングの長手方向を垂直に向けた場合は、垂直である。
【0008】
この場合、フィルタハウジングに、好ましくは底部側に追加の流出口が設けられ、これが流入口と流出口との間の流体連通の遮断後に操作されて、残っている残留流体をフィルタハウジングから外部の安全が確保された環境へ、例えば捕集容器内に排出することを可能にし、その結果として作動油などの流体の流出による環境汚染が防止されれば、特に有利である。
【0009】
本発明によるフィルタ装置の特に好適な実施形態では、遮断装置は、フィルタハウジングの長手方向に見て傾斜した隔壁を有しており、この隔壁は開放位置ではその上側で一方の接続部に開口し、その下側でそれぞれ他方の接続部に開口しており、隔壁は作動装置によって、好ましくは揺動により遮断位置にもたらされて、少なくとも1つの遮断要素により少なくとも流入口を遮断するようにされている。流入口が遮断されていることにより、フィルタハウジングの内部に非濾液側で流体が後から流入することがなくなり、フィルタハウジング内にまだ存在する液体若しくは液体はフィルタハウジングの底部側の流出口を通って流出することが可能である。しかしながら特に好適には、遮断装置は操作された状態で、流入口と流出口への接続管路内に追加の弁装置を必要とすることなく、流入口も流出口も遮断する。
【0010】
本発明によるフィルタ装置の別の好適な実施形態では、楕円形に形成された隔壁は、その外周に沿って密封装置を有しており、隔壁は、中空円筒状のフィルタエレメントの内部と流体連通している開口によって貫通されている。この場合、傾斜した板状の隔壁はその外周にシールを載せており、このシールは垂直な運転位置又は開放位置で見て、一方の接続部の上方と、他方の接続部の下方に延びている。隔壁の外周側と、それに対応可能なフィルタヘッドのハウジング内側との間でシールを全周にわたって配置することにより、フィルタ運転中に未濾液流と濾液流との間の特に良好なシーリング効果を達成することができる。通常の濾過運転では、傾斜した板状の隔壁に流体圧力がかかり、それがシールに伝わり、するとシールは設定可能なシール力でフィルタハウジングの内側に当接して所望のシーリングを保証する。フィルタエレメントの運転停止状態若しくは交換時には流体圧力がなくなり、隔壁とシールとの複合体はほとんど力を加えることなく揺動できる。シールは多層成形シールで、良好なシーリング効果を発揮するが隔板の揺動運動に対する抵抗は小さく、耐摩耗性に優れている。
【0011】
本発明によるフィルタ装置のさらに別の好適な実施形態では、隔壁内の開口は少なくとも部分的に連結具の一部としてねじ部によって限定されており、このねじ部は連結具の別の一部として対応させたねじ部を介してフィルタエレメントをフィルタハウジング内に固定する役割を果たす。このようにして、フィルタエレメントは遮断装置から空間的及び機能的に分離され、同じタイプの新しいエレメントと交換することができ、遮断装置はフィルタハウジング内で流入口と流出口との間の領域に留まっている。
【0012】
そのようにフィルタハウジング内に確実に留まることを保証するために、隔壁は限定要素を有しており、この限定要素は、隔板が作動装置によって案内装置を用いてフィルタハウジング内で開放位置と遮断位置との間で、好ましくは90°揺動可能に案内されるように、隣接するハウジング部分と協働することが好適である。このようにして、隔壁は作動装置によって、遮断装置の構成要素であるそれぞれの遮断要素で、約90°の小さな揺動範囲にわたって揺動でき、それにより機能的に確実に開放位置と遮断位置との間で、及び逆の順序で切り替えることができる。
【0013】
案内装置は、少なくとも1つのラッチを、好ましくは遮断装置に有しており、このラッチは、好ましくフィルタハウジング内で案内溝に収容されていて、遮断装置が半径方向では回転可能に、且つ、フィルタハウジングの長手方向に沿って見た軸方向では静止しているようにフィルタハウジング内に収容されていることが好ましい。このようにして、遮断装置をフィルタハウジング内に確実で回転可能に固定することが達成される。
【0014】
本発明によるフィルタ装置のさらに別の好適な実施形態では、流入口と流出口を有する接続部は、少なくとも1つの同じ平面内で、フィルタハウジングの長手方向に見て互いに直径方向に対向して延びるようにフィルタハウジング内に配置されている。このようにして、フィルタハウジング内の流体案内が特に省スペースに達成され、直線的に延びる流入路と流出路は、フィルタ装置解決策全体の製造労力と製造コストを削減する。
【0015】
本発明によるフィルタ装置のさらに別の好適な実施形態では、作動装置は、ハウジングカバーを有しており、このハウジングカバーは、フィルタハウジングに、好ましくは底部側で着脱可能に配置され、カムを備えて操作時にフィルタエレメントのエンドキャップを連行し、その結果としてフィルタエレメントと連結具を介して遮断装置が開放位置と遮断位置の間で、及びその逆に揺動可能であるようにされている。ハウジングカバーを開き、若しくはフィルタハウジングのその他の部分から取り外すと、既に説明したように、特に遮断装置の操作後にフィルタハウジングの内部がドレンプラグを介して空にされると、それ以上流入口と流出口から流体が流れて外に流出することはない。ハウジングカバーを完全に開いて取り外すことによって、フィルタエレメントはハウジングカバーを介してその他のフィルタ装置から完全に取り外されるが、これは下部エンドキャップと隣接するハウジングカバーとの間のラッチ止めによって可能にされている。
【0016】
本発明によるフィルタ装置のさらに別の好適な実施形態では、フィルタエレメントの一方のエンドキャップは、互いにばね弾性的に撓むように連結された2つのキャップ部分を有しており、一方のキャップ部分は、底部側でフィルタエレメントのエレメント材料を収容し、他方のキャップ部分は、案内斜面と押圧支持面とを備えた突出部を有し、これらの突出部はハウジングカバーに設けたカムと協働するようにされている。新しいエレメントをハウジングカバーに挿入すると、これはその他のフィルタハウジングの底部側で下部自由端にねじ被され若しくはねじ込まれて、エレメントはハウジングカバー内のカムとフィルタエレメントの下部キャップ部分に設けた突出部により一緒に回転する。この場合、ハウジングカバーをねじ締めし若しくはねじ込む際には、下部キャップ部分に設けた突出部の案内斜面が使用され、ねじを緩め又は外す際には、エンドキャップ部分の上記突出部の構成要素として.それぞれ案内斜面に隣接する反対側の押圧支持面が使用される。
【0017】
本発明によるフィルタ装置のさらに別の好適な実施形態では、ハウジングカバーは、その他のボウル状のフィルタハウジングの底部側にフィルタハウジングの一部としてねじ込み又はねじ締めすることができ、そのための連結領域のねじピッチは、遮断装置と隣接して配置されたフィルタエレメントのエレメントキャップとの間の連結具の、互いに係合している連結ねじ部よりも急ではないようにされている。ハウジングエレメントをその他のフィルタハウジングにねじ示し若しくはねじ込む際に、上部エンドキャップに設けた上部ねじ部は、遮断装置の隔壁内のねじ部と目に見える形で係合する。そのようなねじ部の間で停止位置に達すると、ハウジングカバーを介して遮断装置の一部であるそのカムでフィルタエレメントを相応に連行することによって、遮断装置も開放位置と遮断位置との間で揺動させることができる。
【0018】
連結領域のねじピッチは、好ましくは互いに係合する連結具の連結ねじ部ほど急ではないので、ハウジングカバーの少ない回転数で上部エンドキャップのねじ部の比較的大きい送り量を達成でき、それにより取り扱い性が向上し、フィルタエレメントの交換過程を迅速に行うことが可能となる。さらに、上述のようにハウジングカバーとエレメントキャップのねじ部のピッチが異なることにより、フィルタエレメントも軸方向に移動するが、この運動は下部エンドキャップの2つのキャップ部分を互いにばね弾性的に可撓に接続しているばねセグメントによって補償することができる。このようにして、フィルタ装置の構成要素の可能な軸方向の遊びを確実に補償することができるため、製造時に厳しい公差を守る必要がなく、これも製造コストを削減する要因となる。
【0019】
本発明による解決策のその他の点は、従属請求項に記載されている。
【0020】
以下に、本発明によるフィルタ装置について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図面は原理図であり、縮尺通りに表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明によるフィルタ装置の垂直運転位置又は使用位置での模式的に簡略化した縦断面図である。
図2図2は、図1のフィルタ装置の単体で示した遮断装置を上から見た斜視図である。
図3図3は、図2の遮断装置を下から見た斜視図である。
図4図4は、図1のフィルタ装置のフィルタハウジングヘッド領域における部分縦断面の斜視図であり、少なくとも部分的にフィルタハウジングヘッドに収容された、図2及び図3の遮断装置がその開放位置で示されている。
図5図5は、図1のフィルタ装置のフィルタハウジングヘッド領域における部分縦断面を上から見た斜視図であり、遮断装置がその遮断位置で示されている。
図6図6は、図4のフィルタ装置のフィルタハウジングヘッドの模式的に簡略化した断面を下から見た斜視図である。
図7図7は、図5のフィルタ装置のフィルタハウジングヘッドの模式的に簡略化した断面を下から見た斜視図である。
図8図8は、図1のフィルタ装置の交換用エレメントとして用いられる単体で示したフィルタエレメントを上から見た斜視図である。
図9図9は、図8のフィルタエレメントの下部エンドキャップを上から見た斜視図である。
図10図10は、図1のフィルタ装置のハウジングカバーの縦断面を上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、未濾液用の流入口である接続部12と、濾液用の流出口である別の接続部14を有するフィルタハウジング10を備えた本発明によるフィルタデバイスを示す。流入口12と流出口14は、油圧システムの詳細に図示しない油圧作動回路の通常は固定した構成要素である。
【0023】
フィルタハウジング10内にはフィルタエレメント16が交換可能に収容され、流入口12と流出口14との間には遮断装置18が設けられている。遮断装置18は、作動装置20によって、遮断装置18が流入口12と流出口14との間の流体連通を解放する開放位置と、遮断装置18がこの流体連通を遮断する遮断位置との間で移動できるようになっている。
【0024】
遮断装置18は、開放位置に配置されると、フィルタハウジング10内の未濾液流と濾液流を案内するための流入口12と流出口14との間の流体連通を解放するように機能することと並んで、遮断位置に配置されると、そのような流体連通を遮断するように機能する。
【0025】
フィルタハウジング10は、フィルタハウジングヘッド22を有しており、これに円筒ハウジング部24が一体的に続いている。円筒ハウジング部24は、そのフィルタハウジングヘッド22とは反対側に開口26を有しており、この開口26はフィルタハウジングカバー28によって閉じることができる。フィルタハウジングカバー28は、円筒ハウジング部24から取り外し、且つ円筒ハウジング部24と取り外し可能に連結することができる。両接続部12、14はフィルタハウジングヘッド22内に設けられており、図示しない油圧システムの剛性流体管路と流体連通可能である。円筒状のフィルタエレメント16は、フィルタハウジング10内に交換可能に配置されている。フィルタハウジングヘッド22には、フィルタ装置の長手軸30の方向に見てフィルタハウジングヘッド22の底部32とフィルタエレメント16との間に、及び半径方向に見て両接続部12、14の間に、遮断装置18が独立した部材として挿入されている。
【0026】
遮断装置18は、フィルタ装置の長手軸30に対して傾斜して位置合わせされた隔壁34を有する。したがって、隔壁34は互いに平行に位置合わせされた2つの楕円状の壁面36、38を有しており、それぞれフィルタ装置の長手軸30との間に約60度の角度を囲んでいる。それぞれの壁面36、38をフィルタ装置の長手軸30の方向で、フィルタ装置の長手軸30を法線とする第1仮想平面に投影すると、直径がフィルタハウジングヘッド22の内径に等しい円になる。
【0027】
隔壁34を通ってフィルタ装置の長手軸30の方向に中央流路40が延びている。流路40のフィルタエレメント16に面した一方の端部は、フィルタエレメント16の円筒形キャビティ42に開口し、他方の端部はフィルタ装置のフィルタハウジングヘッド22の底部32に面した隔壁34の中央開口44によって形成されている。流路40の内径は、フィルタハウジングヘッド22の底部32に面した端部領域において段状に拡大している。隔壁34の中央流路40は、中空円筒状の接続スリーブ46を貫通している。この接続スリーブ46は隔壁34の一体的な構成要素として、フィルタ装置の長手軸の方向で壁面36から離れるように延びているが、機能位置に置かれた隔壁34の最下点を越えることはない。接続スリーブ46の外径は、その隔壁34とは反対側の端部領域において段状に拡大して、この端部領域で接続スリーブ46の外周から半径方向に離れるように延びる全周突出部48が形成されている。接続スリーブ46の内周の隔壁34とは反対側の端部領域には、フィルタエレメント16の第1エンドキャップ56の雄ねじ部54と連結するために、同様に第1連結具50の一部である雌ねじ部52が設けられている。
【0028】
遮断装置18は、隔壁34の半径方向外周60と面一で、フィルタ装置の長手軸30に対して直径方向に対向し、両側で隔壁34から離れる方向に延び、隔壁34の外周の輪郭に対応して円筒形に形成された、互いに対応する2つの円筒壁セグメント62、64を有している。それぞれの円筒壁セグメント62、64の、隔壁34の一方の壁面36から離れる方向に延びる部分は、その機能位置に置かれた隔壁34の最下点を越えて軸方向に突出しているのに対し、それぞれの円筒壁セグメント62、64の隔壁34の他方の壁面38から離れる方向に延びる部分は、そのような位置に置かれた隔壁34の最上点を越えて軸方向に突出していない。両円筒壁セグメント62、64は、互いに平行で、フィルタ装置の長手軸30に対して垂直で同軸に延びる端面70を有する。一方の円筒壁セグメント62と他方の円筒壁セグメント64は、それぞれ流入口12に対する隔壁34の第1遮断要素66と、流出口14に対する隔壁34の第2遮断要素68を形成している。
【0029】
円筒壁セグメント62、64の、隔壁34の一方の壁面36から離れる方向に延びるそれぞれの部分の隔壁34とは反対側の端部には、それぞれラッチ72を形成する突出部がこの円筒壁セグメント62、64から半径方向外側に向かって突出している。両ラッチ72は案内装置74の一部として、フィルタハウジングヘッド22の内周90内に設けられた、長手軸30に対して垂直で同軸に延びる、案内装置74の案内溝76内に係合し、その結果として遮断装置18はラッチ72で案内溝76に案内されて、フィルタハウジングヘッド22内でフィルタ装置の長手軸30を中心に回転可能になる。
【0030】
各円筒壁セグメント62、64の周方向に見て横方向の端部領域から、機能位置に置かれた遮断装置18の隔壁34の最上点と最下点を有する第2仮想平面に向かって、それぞれ1つのリブ78が延びている。この第2平面は、図1に示す切断面に相当する。円筒壁セグメント62、64の、隔壁34の一方の壁面36から離れる方向に延びるそれぞれの部分とは反対側のリブ78の端部80は、それぞれ第2平面に平行に延びている。円筒壁セグメント62、64の、隔壁34の他方の壁面38から離れる方向に延びるそれぞれの部分の両リブ78の間には、それぞれこの円筒壁セグメント62、64から第2平面に向かって延びる2つの別のリブ78が、それぞれ残りのリブ78から間隔を置いて設けられている。円筒壁セグメント62、64の、隔壁34の壁面38から離れる方向に延びるそれぞれの部分とは反対側のリブ78の各端部82は、隔壁34を起点として軸方向に斜めに、隔壁34と第2平面から離れる方向に延びている。リブ78は、それぞれの円筒壁セグメント62、64を安定させる役割を果たす。
【0031】
他方の壁面38の、機能位置に置かれた遮断装置18の隔壁34の最上点と隔壁34の中央開口44との間の領域では、この領域で開口44に隣接する箇所を起点として、好ましくはばね弾性的に可撓な帯状の限定要素84が、他方の壁面38から間隔を置いて外方向に弧状に、限定要素84の自由端領域が長手軸30に対して垂直に向けられるように延びている。この場合、限定要素84の自由端領域は、軸方向では隔壁34を越えて突出しているが、半径方向ではそれを越えて突出していない。限定要素84は、実質的に弓形に形成されており、第2平面に対して対称に位置合わせされている。
【0032】
隔壁34内にはその外周60に沿って、中心に環状溝86が設けられており、その中にリングシールの形態の密封装置88が配置されている。密封装置88は、遮断装置18の各回転位置でフィルタハウジングヘッド22の内壁90に密封的に当接する。
【0033】
フィルタハウジングヘッド22の円形底部32の平坦若しくは扁平な内側には凹部92が形成されており、この凹部92も底部32において第1段部94と第2段部96によって限定されている。両段部94、96は、フィルタハウジングヘッド22の底部32の中央領域における共通の移行箇所を起点として、互いに垂直に位置合わせして半径方向外側に、この領域で円筒状の円筒ハウジングヘッド22の外壁まで延びている。フィルタハウジングヘッド22の底部32の第1段部94と第2段部96は、限定要素84の自由端領域の一方の端面若しくは他方の側面に対するストッパとして機能する。そうすることによって、案内装置74によって案内されるフィルタハウジングヘッド22内の遮断装置18の回転は、限定要素84の自由端領域の一方の側面がフィルタハウジングヘッド22の底部32の第1段部94に当接している開放位置と、限定要素84の自由端領域の他方の側面がフィルタハウジングヘッド22の底部32の第2段部96に当接している遮断位置との間で90度の回転角度に制限されている。遮断要素66、68は、限定要素84がハウジングヘッド22の底部32のそれぞれの段部94、96に当接しているときに、流入口12若しくは流出口14のフィルタハウジングヘッド22の内部につながる口部102を完全に覆い及び解放するだけでなく、限定要素84が各段部94、96から距離を置いていて、それぞれ一方の段部94、96に他方の段部94、96よりも近くに配置されているときも、既に完全に覆い若しくは解放するようにされている。遮断要素66、68が流入口12及び流出口14の口部102を完全に覆い若しくは解放する遮断装置18の回転位置の間にも、口部102が遮断要素66、68により部分的に覆われ若しくは解放された遮断装置18の回転位置が存在する。
【0034】
遮断装置18がその開放位置に置かれると、隔壁34はその互いに対向する壁面36、38でこれらに当たる未濾液流と濾液流を互いに別々に案内し、その際に隔壁34の中央開口44は別の接続部14と流体連通している。
【0035】
未濾液流の供給のための接続部12を起点とし、また、濾液流の排出のための別の接続部14を起点として、それぞれ1つの円筒状流路98、100がフィルタハウジングヘッド22を通って半径方向に延びている。それにより、それぞれの接続部12、14を通る流体の流れ方向は、フィルタハウジング10の長手軸30に対して実質的に垂直に向けられている。フィルタハウジング10の長手軸30は、フィルタハウジングヘッド22、円筒ハウジング部24、フィルタハウジングカバー28、遮断装置、並びにフィルタエレメント16の長手軸に対応する。フィルタハウジング10の長手軸30は、フィルタハウジングヘッド22、円筒ハウジング部24、フィルタハウジングカバー28、遮断装置及びフィルタエレメント16の長手軸に対応する。接続部12、14の流路98、100は、それらの中心を通って延びる共通の中心軸196を有するように、フィルタハウジングヘッド22内で互いに反対側に形成されている。フィルタ装置の長手軸30と接続部12、14の中心軸196は、第2平面内にあり、互いに垂直に交差する。
【0036】
さらに、遮断装置18がその開位置にあるとき、遮断装置18の2つの遮断要素66、68は、それぞれの接続部12、14からフィルタハウジングヘッド22のキャビティ内に延びる各流体室98、100の口部102を閉鎖せずにフィルタハウジングヘッド22の円筒形内壁90の外側に載る。
【0037】
少なくとも遮断装置18の開位置において、遮断装置18の隔壁34は、接続部12、14のそれぞれの流路98、100を通る流体の流れ方向に対して傾斜して配置されている。さらに、遮断装置18はその開放位置において、フィルタ装置の長手軸30の方向に見て、隔壁34の周方向側面60が、フィルタハウジングヘッド22の底部32と接続部12との間の接続部12の領域に、並びにフィルタハウジングヘッド22の円筒ハウジング部24への移行領域に設けられた内周側段部114と別の接続部14との間の別の接続部14の領域に配置されるように、フィルタハウジングヘッド22内に設けられている。
【0038】
開放位置でそのように配置されることにより、遮断装置18は、隔壁34の一方の壁面36によっても限定されているフィルタハウジングヘッド22に配置された流動空間104を、隔壁34の他方の壁面38によっても限定されているフィルタハウジングヘッド22内に配置された別の流動空間106から分離する。接続部12の流路98は転向することなく流動空間104に開口し、別の接続部14の別の流路100は転向することなく別の流動空間106に開口している。隔壁34は、流動空間104ではその一方の壁面36に、接続部12の流路98を貫流する流体が当たり、別の流動空間106では他方の壁面36に、別の接続部14の別の流路100を貫流する流体が当たる。このとき隔壁34は、非濾液流を濾液流に対して密封する。
【0039】
遮断装置18がその遮断位置に置かれていると、遮断装置18の一方の遮断要素66がフィルタハウジングヘッド22の内部につながる流入口12の口部102を閉じ、他方の遮断要素68が流出口14の口部102をほぼ流体密に閉じる。
【0040】
フィルタハウジングカバー28は、その内径がフィルタハウジングヘッド22の方向に拡大されて段部108を有し、円筒ハウジング部24は、フィルタハウジングカバー28に面する端部領域に外径の拡大部110を有する。円筒ハウジング部24をフィルタハウジングカバー28と接続するために、円筒ハウジング部24はその外径の拡大部110の領域に、対応する雌ねじ部112と係合するための雄ねじ部112を有している。雌ねじ部112は、フィルタハウジングカバー28の内周のフィルタハウジングヘッド22に面した端部領域に、その段部108と開口116との間に設けられている。そのような連結領域112のねじピッチは、遮断装置18とフィルタエレメント16の第1エレメントキャップ56との間の第1連結具50の互いに係合している連結ねじ部52、54よりも急ではない。円筒ハウジング部24とフィルタハウジングカバー28が互いに接続されると、円筒ハウジング部24の自由端面118がフィルタハウジングカバー28の段部108に当接する。円筒ハウジング部24では、その外周にねじ部112と開口端部26との間の領域に環状溝120が設けられており、フィルタハウジングカバー28と密に当接するためのシールリング120が収容されている。
【0041】
フィルタハウジング10から濾液を排出するための中央流路122が、軸方向にフィルタハウジングカバー28を貫通して延びることができ、そのフィルタエレメント16とは反対側の端部は流体管路124に接続されており、流体管路124にはそのような流体経路を解放及び遮断するための弁装置126が設けられている。しかしながら、好適には弁装置126は、下部ハウジングカバー28内に組み込まれている(図示せず)。
【0042】
フィルタエレメント16は、端部側に2つのエンドキャップ56、58を備え、それらの間に濾過する濾材128が延びている。
【0043】
フィルタエレメント16は、フィルタハウジングヘッド22に面する端部で中空円筒状の濾材128を囲む上部の第1エンドキャップ56と、フィルタハウジングヘッド22とは反対側の、ハウジングカバー24に面した端部で中空円筒状の濾材128を囲む下部の第2エンドキャップ58とを有する。
【0044】
第1エンドキャップ56は、フィルタエレメント16の長手軸30と同軸で垂直に延び、且つ濾材128の端面に接触するディスクリング状の基部130を有しており、第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132は、ディスク状の基部136を有している。第1エンドキャップ56の基部130と第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132のそれぞれ半径方向外側の端部領域から出て濾材128の方向に、円筒状の円周部材138が延びており、その内側は濾材128の外周に当接している。第1エンドキャップ56の基部130の半径方向内側の端部領域と第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132の基部136から、それぞれ濾材128の方向で接触ニップル140が濾材128のキャビティ42内に延び、これと濾材128との間に濾材128の軸方向全長にわたって延びる支持管142が部分的に配置されている。
【0045】
さらに、第1エンドキャップ56の基部130の半径方向内側の端部領域から出て、フィルタハウジングヘッド22の方向に接続スリーブ144が延びており、その外周側には第1連結具50の一部として雄ねじ部54が設けられていて、同様に第1連結具50の一部である、遮断装置18の接続スリーブ46の雌ねじ部52と係合する。
【0046】
第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132の基部136は、ハウジングカバー28の方向にわずかに突出する円筒部150によって限定された中央開口148を有している。円筒部150は、キャップ部分132の接触ニップル140から半径方向に間隔を置いて配置され、バイパス弁152を有している。円筒部150内には弁閉鎖体154が案内されていて、圧縮ばね156の力の作用を受けてハウジングカバー28の方向に付勢され、遮断位置では円筒部150に形成された弁座158に当接している。フィルタエレメント16が閉塞してフィルタエレメント16の外部の未濾液側160とフィルタエレメント16の内部の濾液側162との間の圧力差の閾値に達すると、弁閉鎖体154はフィルタエレメント16の外部で優勢な流体圧力による圧縮ばね156の力に抗してその開放位置の1つに押し付けられ、その位置でバイパス弁152は未濾液側160と濾液側162を互いに流体連通させる。
【0047】
第2エンドキャップ58は、一方のキャップ部分132と並んで、ディスクリング状の基部164を有する他方のキャップ部分134を含んでいる。基部164の内径は一方のキャップ部分132の基部136の外径とほぼ等しく、外径はそれより大きい。
【0048】
第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132と他方のキャップ部分134は、ばね弾性的に可撓な第2連結具166によって、他方のキャップ部分134が濾材128の方向で一方のキャップ部分132から間隔を置いて配置されるように互いに連結されている。第2連結具166は、それぞれ実質的にS字形に形成された扁平なバンド170によって形成された4つの連結要素168を有している。バンド170は一方の端部領域では第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132に連結され、他方の端部領域で第2エンドキャップ58の他方のキャップ部分134と連結されている。一方のキャップ部分132とそれぞれのバンド170の一方の端部領域との連結箇所172、及び他方のキャップ部分134とそれぞれのバンド170の他方の端部領域との連結箇所172は、周方向に見て、等しい角度間隔、即ち隣接する2つの連結箇所172の間隔が90度で配置されている。
【0049】
特に、第2エンドキャップ58の一方のキャップ部分132と他方のキャップ部分134の基部136、164の直径が異なるため、それぞれのバンド170は、その一方の端部領域で円周部材138の外周部174、及び一方のキャップ部分132の基部136の他方のキャップ部分134に面した側と係合し、他方の端部領域で内周部176、及び他方のキャップ部分134の基部164の他方のキャップ部分134に面した側と係合する。
【0050】
バンド170の幅は、その材料厚さの約5倍~8倍であってもよく、バンド170の長さは、負荷されていない状態で一方のキャップ部分132と他方のキャップ部分134との間の軸方向間隔が、一方のキャップ部分132の直径の約1/4~1/2となるように選択できる。この実施形態では、バンド170は、第2エンドキャップ58全体が適切なプラスチック材料から射出成形によって一体部材として製造された場合に、十分な弾性を提供する。
【0051】
第2エンドキャップ58の他方のキャップ部分134の基部164の半径方向内側に位置する端部領域から出て、フィルタエレメント材料128の方向で、ハウジングカバー28に向かってニップル178が延びている。他方のキャップ部分134のニップル178の自由端から出て半径方向外側に、ハウジングカバー28に設けたラッチ鼻部182とラッチ係合するためのラッチ180を形成する全周突出部が延びている。第2エンドキャップ58の他方のキャップ部分134の基部164の、一方のキャップ部分132とは反対の側には、周方向に見て4つの鼻状突出部184が等間隔で設けられている。周方向に見て、各突出部184は一方の側には基部164から離れるように軸方向に延びる押圧支持面186を有し、この一方の側と対向する他方の側には、押圧支持面186及び長手軸30に対して斜めに延びる案内斜面188を有している。
【0052】
ハウジングカバー28の底部198の内側には、周方向に見て等しい角度間隔で、ハウジングカバー28の底部198から離れるように軸方向に突出する4つのカム190が設けられている。周方向に見て、各ラッチカム190は、底部198から離れるように軸方向に延びる一方の側には押圧支持面192を有し、この一方の側と対向する他方の側には当接斜面194を有している。各ラッチカム190はさらに、ハウジングカバー28の中心に面する側でその自由端に、第2エンドキャップ58の他方のキャップ部分134に設けたラッチ180とラッチ係合するための半径方向内側に突出するラッチ鼻部182を有する。
【0053】
フィルタハウジングカバー28の外側中央には、外形が六角形の作動装置20が設けられている。
【0054】
図1では、フィルタハウジングカバー28は円筒ハウジング部24と螺合され、遮断装置18はその開放位置に置かれており、遮断装置18により流入口12と流出口14との間の流体連通が解放されている。遮断装置18と第1エンドキャップ56との間の第1連結具50のねじ部52、54は、互いに完全に係合している。同時に、第2連結具166は、第2エンドキャップ58の他方のキャップ部分134をハウジングカバー28に向かってばね弾性的に付勢して、第2エンドキャップ58はその他方のキャップ部分134の基部164で、ハウジングカバー28のカム190の自由端面上に載っており、これらのカム190の間には他方のキャップ部分134の鼻状突出部184が配置されている。さらに、第2エンドキャップ58はそのラッチ180で、ハウジングカバー28のカム190に形成されたラッチ鼻部182とラッチ係合している。
【0055】
以下に、本発明によるフィルタ装置の機能をより詳細に説明する。
【0056】
図1に示すフィルタ装置の状態から出発して、フィルタエレメント16をフィルタハウジングから取り外す場合、まず流入口12を、例えば図示しない圧力供給装置のスイッチを切ることによって無圧にする。この場合、流出口14は常に無圧状態にある。続いて、フィルタハウジングカバー28を作動装置20により、フィルタ装置の長手軸30を中心としてねじ緩め方向に回転させる。この回転運動の際にハウジングカバー28のカム190の押圧支持面192が第2エンドキャップ58の突出部184の押圧支持面186に当接して、ハウジングカバー28はフィルタエレメント16全体をその第2エンドキャップ58を介してねじ緩め方向に回転させる。特に流入口12と流出口14が無圧状態にあるため遮断装置18の密封装置88に流体圧力が作用しないので、遮断装置18は第1ステップで、その限定要素84が部分的にハウジングヘッド22の底部32に設けた凹部92の第1段部94に当接している開放位置から、容易に90度連行若しくは回転して、限定要素84がその他方の側でハウジングヘッド22の底部32に設けた凹部92の第2段部96に当接している遮断位置にもたらすことができる。
【0057】
遮断位置に入ると、遮断装置18はその第1遮断要素66でフィルタ装置の流入口12を閉じ、第2遮断要素68で流出口14を閉じる。これにより、フィルタハウジング10への流体供給と、フィルタハウジング10からの流体排出を遮断することができる。これにより、未濾液若しくは空気及び/又は濾液の形態の無圧が絶えず後から流れてくることを考慮する必要がないので、フィルタハウジング10を開けて使用済みのフィルタエレメント16を新しいエレメント16と交換することが著しく容易になる。
【0058】
遮断装置18がその限定要素84で第2段部96の形態のストッパに到達して留置された後、第2ステップで、フィルタエレメント16がねじ緩め方向に回転し続けると、第1連結具50のねじ部52、54、及び円筒ハウジング部24とハウジングカバー28との間のねじ部112は完全に係合が外れる。
【0059】
ハウジングカバー28を円筒ハウジング部24から取り外す際に、ハウジングカバー28のカム190と第2エンドキャップ58のラッチ180がラッチ連結しているため、ハウジングカバー28は、フィルタハウジング10からユニットとして取り外されたフィルタエレメント16を連行する。
【0060】
このフィルタエレメント16又は別のフィルタエレメント16をフィルタ装置に挿入する場合は、円筒ハウジング部24に載置されて、フィルタハウジングヘッド22に導入されたフィルタエレメント16とラッチ連結されたフィルタハウジングカバー28を、作動装置20によりフィルタ装置の長手軸30を中心としてねじ締め方向に回転させる。そうするとハウジングカバー28のカム190の当接斜面194が、第2エレメントキャップ58の突出部184の案内斜面188に当接する。
【0061】
ハウジングカバー28の雌ねじ部112と円筒ハウジング部24の雄ねじ部112を最初に係合させるとき、ハウジングカバー28のカム190は、フィルタエレメント16を連行することなく、第2エレメントキャップ58の突出部184を通過できる。なぜなら、フィルタエレメント16はフィルタハウジング10内で軸方向に遊びを有するため、第2連結具166はまだ付勢されていないからである。ハウジングカバー28の雌ねじ部112と円筒ハウジング部24の雄ねじ部112との係合が増すに連れて、第1エンドキャップ56の雄ねじ部54と遮断装置18の雌ねじ部52が当接した後で、ばね弾性的な第2連結具166が付勢される。第2連結具166が相応に付勢されると、ハウジングカバー28のカム190が第2エレメントキャップ58の突出部184を通過することが阻止されて、ハウジングカバー28はカム190の当接斜面194で第2エレメントキャップ58の突出部184の案内斜面188に当接して、フィルタエレメント16全体をその第2エンドキャップ58を介してねじ締め方向へ回転させる。
【0062】
第1連結具50のねじ部52、54のピッチは、円筒ハウジング部24とハウジングカバー28との間のねじ部112のピッチと異なって形成されているため、ハウジングカバー28をねじ締めする際に、一方では第1連結具50のねじ部52、54が互いに係合すると同時に、第2連結具166が固定される。そうすることによって、フィルタハウジング10内の遊び補償の枠内で軸方向長さが異なるフィルタエレメント16を使用することができ、ねじ込み工程及びねじ外し工程において円筒ハウジングヘッド22及び円筒ハウジング部24に対するフィルタエレメント16の軸方向移動が補償される。
【0063】
ハウジングカバー28の雌ねじ部112が円筒ハウジング部24の雄ねじ部112と完全に係合して初めて、遮断装置18はフィルタエレメント16と共に、その遮断位置から出発して開放位置へ回転し、それによってフィルタの機能が生み出される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】