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特表2023-534879N-アセチルグルコサミン産生菌株並びにその構築方法及び使用
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  • 特表-N-アセチルグルコサミン産生菌株並びにその構築方法及び使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-14
(54)【発明の名称】N-アセチルグルコサミン産生菌株並びにその構築方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20230804BHJP
   C12P 19/02 20060101ALI20230804BHJP
   C12N 15/74 20060101ALN20230804BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12P19/02
C12N15/74 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505387
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2020109480
(87)【国際公開番号】W WO2022016641
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010725842.9
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JIAO TONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】800 Dongchuan Rd.,Minhang District,Shanghai,200240,P.R.CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】523026916
【氏名又は名称】安徽銀創生物科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ユイトン
(72)【発明者】
【氏名】タオ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ハイタオ
(72)【発明者】
【氏名】ムー、シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イー
(72)【発明者】
【氏名】トアン、チョンユエ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF02
4B064CA19
4B064CC06
4B064CC24
4B064CD02
4B064CD09
4B064CD20
4B064CD30
4B064DA01
4B064DA10
4B065AA15X
4B065AA15Y
4B065AA49X
4B065AA80Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB02
4B065BB03
4B065BB15
4B065BB19
4B065BB29
4B065BC09
4B065BC12
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
(57)【要約】
N-アセチルグルコサミンを産生する遺伝子改変菌株並びにその構築方法及び使用に関する。前記遺伝子改変菌株は、40℃~50℃の条件下でN-アセチルグルコサミンを発酵させることができる。親細菌由来のグルコサミン-6-リン酸デアミナーゼの遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼの遺伝子、及びN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質の遺伝子をノックアウトすることによって、N-アセチルグルコサミン異化経路が遮断される。さらに、グルコサミン-6-リン酸シンターゼの過剰発現遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの過剰発現遺伝子を導入して、N-アセチルグルコサミンの細胞外蓄積及び40℃以上でのN-アセチルグルコサミンの高温発酵を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-アセチルグルコサミンを産生する遺伝子改変株であって、40℃~50℃の条件下でN-アセチルグルコサミンを発酵させることを特徴とする、前記遺伝子改変株。
【請求項2】
前記遺伝子改変株の原株がサーモフィルス菌であることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子改変株。
【請求項3】
前記遺伝子改変株の原株がバチルス属菌であることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子改変株。
【請求項4】
前記遺伝子改変株の原株が、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・メチロトロフィカス(Bacillus methylotrophicus)、好熱性バチルス・イヌリヌス(Bacillus inulinus)、又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)であることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子改変株。
【請求項5】
前記遺伝子改変株の原株がバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC 14580であることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子改変株。
【請求項6】
前記遺伝子改変株が、2020年3月14日に中国培養系統保存機関(China Center for Type Culture Collection)にCCTCC番号M2020054として寄託された、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)BNGS1であることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子改変株。
【請求項7】
前記遺伝子改変株の原株におけるN-アセチルグルコサミン及びN-アセチルグルコサミン中間体の異化経路及び細胞内輸送経路が遮断されていることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子改変株。
【請求項8】
前記N-アセチルグルコサミン及びN-アセチルグルコサミン中間体の異化経路が、グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼのnagB遺伝子及びgamA遺伝子並びにN-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼのnagA遺伝子のうちの1又は複数の不活性化若しくは欠失によって遮断され、前記N-アセチルグルコサミンの細胞内輸送経路が、N-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質のgamP遺伝子及びnagP遺伝子の一方又は両方の不活性化若しくは欠失によって遮断されていることを特徴とする、請求項7に記載の遺伝子改変株。
【請求項9】
グルコサミン-6-リン酸シンターゼの過剰発現遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの過剰発現遺伝子が、前記遺伝子改変株に導入されていることを特徴とする、請求項7に記載の遺伝子改変株。
【請求項10】
前記グルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの遺伝子配列は配列番号1に示す通りであることを特徴とする、請求項8に記載の遺伝子改変株。
【請求項11】
前記グルコサミン-6-リン酸シンターゼの遺伝子配列は配列番号2に示す通りであることを特徴とする、請求項9に記載の遺伝子改変株。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の遺伝子改変株の構築方法であって、原株のN-アセチルグルコサミン異化経路におけるグルコサミン-6-リン酸デアミナーゼの遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼの遺伝子、及びN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質の遺伝子のうちの1又は複数を不活性化又は欠失させること、並びにグルコサミン-6-リン酸シンターゼの過剰発現遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの過剰発現遺伝子を導入すること、を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
ステップA.前記原株のグルコサミン-6-リン酸デアミナーゼのnagB遺伝子及びgamA遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼのnagA遺伝子、並びにN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質のgamP遺伝子及びnagP遺伝子をノックアウトすることによって、ノックアウト株を得るステップ、
ステップB.グルコサミン-6-リン酸シンターゼのglmS遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼのGNA1遺伝子の両方を含む二重発現ベクターを構築するステップ、並びに
ステップC.ステップAで得られた前記ノックアウト株に前記二重発現ベクターを導入することにより、N-アセチルグルコサミンを産生する前記遺伝子改変株を得るステップ
を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プロモーターを導入し、前記プロモーターと前記glmS遺伝子及び前記GNA1遺伝子とが直列である発現ベクターを発現させることによって、前記二重発現ベクターを構築することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記発現ベクターがpHY300PLKであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プロモーターが、Pals、P43、Pst、及びPapreであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記Palsプロモーターの配列は配列番号3に示す通りであり、前記P43プロモーターの配列は配列番号4に示す通りであり、前記Pstプロモーターの配列は配列番号5に示す通りであり、及び前記Papreプロモーターの配列は配列番号6に示す通りである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記グルコサミン-6-リン酸シンターゼのglmS遺伝子が、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・メチロトロフィカス(Bacillus methylotrophicus)、好熱性バチルス・イヌリヌス(thermophilic Bacillus inulinus)、又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)に由来することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記グルコサミン-6-リン酸アセチラーゼのGNA1遺伝子が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイヴェロミセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、又はナドソニア・フルベセンス(Nadsonia fulvescens)に由来することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記原株がバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC 14580であることを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項21】
N-アセチルグルコサミンの生産に使用されることを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の遺伝子改変株の使用。
【請求項22】
前記生産の発酵温度が40℃~50℃であることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記生産において利用される炭素源が、グルコース、グリセロール、キシロース、又はアラビノースであることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項24】
前記生産が、
1)種培養:前記遺伝子改変株を種培地に接種し、テトラサイクリン耐性を付与し、50℃、200rpmで12~16時間培養して種を活性化するステップ、
2)振盪フラスコ培養:ステップ1)で活性化した種を5%の接種率で発酵培地を含む振盪フラスコに移し、テトラサイクリン耐性を付与し、50℃、200rpmで12~16時間培養して二次活性化するステップ、並びに
3)発酵培養:ステップ3)で二次活性化した種を接種率4%で発酵槽に移し、テトラサイクリン耐性を付与し、炭素源を添加して40℃~50℃で流加発酵を行い、発酵が終了するまで培養するステップ
を含むことを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
ステップ1)における前記種培地が、以下の成分:ペプトン、酵母粉末、及び塩化ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
ステップ2)における前記発酵培地が、以下の成分:酵母粉末、ペプトン、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム三水和物、リン酸二水素カリウム、及びグルコースを含むことを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
ステップ3)における前記発酵培地が、以下の成分:酵母粉末、コーンスティープリカー粉末、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム三水和物、リン酸二水素カリウム、及びグルコースを含むことを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項28】
ステップ3)における発酵条件が、3mol/Lの塩酸溶液及び25容量%のアンモニア溶液を使用して7.0に維持されたpH値、1.5vvmの通気量、600rpmの初期撹拌速度、グルコースが3~4g/L消費された時点でグルコースを補充することにより30g/Lに継続的に調節されるグルコース濃度である、請求項24に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物工学の分野に関し、N-アセチルグルコサミンを産生する遺伝子改変株並びにその構築方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生物における様々な多糖類の構成単位であるN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)は、グルコースのヒドロキシル基をアミノ基で置換することによって形成され、特に甲殻類の外骨格に豊富に含まれており、食品業界、医薬品業界、及び化粧品業界において広く使用されている。食品業界では、食品の酸化防止剤、乳幼児向け食品の添加物、及び糖尿病患者向けの甘味料として使用され得る。医薬品業界では、新規生化学薬品として、リウマチ及び関節リウマチの治療に臨床的に使用されている。他の重要な用途は、ヒトの免疫系の機能を強化し、癌細胞又は線維芽細胞の過剰な増殖を抑制し、がん及び悪性腫瘍を抑制又は治療することである。また、N-アセチルグルコサミンは、変形性関節症及び関節痛にも治療効果を有する。化粧品業界では、ヒアルロン酸を生成するためにD-グルクロン酸高分子ムコ多糖類で形成することができる。この用途は、幅広い市場の可能性を有することが期待されている。
【0003】
N-アセチルグルコサミンは、主に化学的、酵素的、及び微生物的な発酵アプローチによって生成される。化学的アプローチは、キチンの酸加水分解からN-アセチルグルコサミンを得ることである。カニ及びエビの甲羅からキチンを抽出し、酸加水分解によりグルコサミンを生成することが含まれる。続いて、N-アセチルグルコサミンは、濃塩酸によって直接的に加水分解及び脱アセチル化され、グルコサミンになる。無水酢酸は、グルコサミンをN-アセチルグルコサミンにアセチル化するために使用され得る。しかしながら、このアプローチは環境に配慮したものではなく、汚染度が高く、魚介類アレルギーの患者を除外するものである。化学的アプローチと比較して、酵素的及び微生物的な発酵アプローチはどちらも環境に配慮したものである。しかしながら、酵素的アプローチは、キチンの分解及びN-アセチルグルコサミンの合成を触媒するための酵素の使用を含み、基質としてのエビ及びカニの甲羅の高度な前処理の複雑さ、主な酵素の活性の低さ、及び生成物の分離及び精製の困難さによって制限され、大量生産することが非常に困難である。微生物発酵は、現在、N-アセチルグルコサミンを生産するための最も有望な方法であり、本発明が関係する分野における研究の焦点でもある。
【0004】
40℃以下の低温発酵と比較して、高温発酵は、混入のリスクを最小限に抑え、原料の変換を高速化し、熱交換のコストを削減するなどの利点がある。代謝的に改変された微生物によるN-アセチルグルコサミンの生産に関するこれまでの全ての報告は、38℃以下の発酵温度を利用しており、N-アセチルグルコサミンの高温生産に関する特許又は報告は依然として存在しない。したがって、N-アセチルグルコサミンを高温で高収率で生産可能な低コストで堅牢な微生物プラットフォ-ムを開発する必要がある。バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、及びバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)などの好熱菌は、高温条件下(40℃以上)で増殖し、有機炭素源(グルコース、キシロース、アラビノースなど)を発酵に利用することができる。例えば、バチルス・リケニフォルミス(B.リケニフォルミス)ATCC 14580は、通性嫌気性のグラム陽性内生胞子形成細菌であり、様々な五炭糖及び六炭糖を利用することができ、細胞増殖速度が速いため、発酵サイクルを短くする必要がある。この細菌は安定した遺伝子操作を可能とし、米国食品医薬品局(FDA)によって「一般に安全とみなされている」(GRAS)株として認められている。さらに、この菌株は50℃もの高温で発酵し得る。これらの利点は、ATCC 14580が理想的なプラットフォ-ム株として使用できることを示唆している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、高温条件下でN-アセチルグルコサミンを産生可能な遺伝子改変株並びにその構築方法及び使用を提供する。好熱性B.リケニフォルミス株を例に取ると、本発明によれば、B.リケニフォルミス株からN-アセチルグルコサミン異化経路が除去されてN-アセチルグルコサミン産生代謝経路が導入され、N-アセチルグルコサミンの細胞外蓄積及び高温条件下でのN-アセチルグルコサミンの効率的な生産が可能になる。本発明で提案される菌株構築概念は、様々な産物の高温生産のための菌株を開発するために利用することができる。提案される菌株及び発酵プロセスは、産業用高温N-アセチルグルコサミン発酵における良好な応用の可能性を有する。
【0006】
本発明のある態様では、40℃~50℃の条件下でN-アセチルグルコサミンを発酵させ得る、N-アセチルグルコサミンを産生する遺伝子改変株が提供される。
【0007】
さらに、遺伝子改変株の原株は、サーモフィルス菌である。
【0008】
さらに、遺伝子改変株の原株は、バチルス属菌である。
【0009】
好ましくは、遺伝子改変株の原株は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・メチロトロフィカス(Bacillus methylotrophicus)、好熱性バチルス・イヌリヌス(Bacillus inulinus)、又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)などである。
【0010】
好ましくは、遺伝子改変株の原株は、ATCCのウェブサイトから直接入手可能な、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC 14580である。
【0011】
さらに、遺伝子改変株は、2020年3月14日に中国培養系統保存機関(China Center for Type Culture Collection)にCCTCC番号M2020054として寄託された、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)BNGS1である。
【0012】
さらに、遺伝子改変株の原株におけるN-アセチルグルコサミン及びN-アセチルグルコサミン中間体の異化経路及び細胞内輸送経路が遮断されている。
【0013】
好ましくは、N-アセチルグルコサミン及びN-アセチルグルコサミン中間体の異化経路が、グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼのnagB遺伝子及びgamA遺伝子並びにN-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼのnagA遺伝子のうちの1又は複数の不活性化若しくは欠失によって遮断され、N-アセチルグルコサミンの細胞内輸送経路が、N-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質のgamP遺伝子及びnagP遺伝子の一方又は両方の不活性化若しくは欠失によって遮断されている。
【0014】
さらに、グルコサミン-6-リン酸シンターゼの過剰発現遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの過剰発現遺伝子が、遺伝子改変株に導入されている。
【0015】
さらに、グルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの遺伝子配列は、配列番号1に示す通りであり、及びグルコサミン-6-リン酸シンターゼの遺伝子配列は、配列番号2に示す通りである。
【0016】
好ましくは、グルコサミン-6-リン酸シンターゼの遺伝子は、B.リケニフォルミスの全ゲノムのDNA配列(GenBank番号NC_006270.3)を鋳型として用いたPCR増幅から得られ得る。
【0017】
好ましくは、グルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の全ゲノム(GenBank番号NM_001179949)によるコドン最適化を用いた全ゲノム合成によって得られ得る。
【0018】
本発明の別の態様では、上記で定義した遺伝子改変株を構築する方法が提供される。特定の一実施形態では、前記方法は、原株のN-アセチルグルコサミン異化経路におけるグルコサミン-6-リン酸デアミナーゼの遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼの遺伝子、及びN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質の遺伝子のうちの1又は複数を不活性化又は欠失させること、並びにグルコサミン-6-リン酸シンターゼの過剰発現遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼの過剰発現遺伝子を導入することを含む。
【0019】
さらに、前記方法は、
A.前記原株のグルコサミン-6-リン酸デアミナーゼのnagB遺伝子及びgamA遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼのnagA遺伝子、並びにN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質のgamP遺伝子及びnagP遺伝子をノックアウトすることによって、ノックアウト株を得るステップ、
B.グルコサミン-6-リン酸シンターゼのglmS遺伝子及びグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼのGNA1遺伝子の両方を含む二重発現ベクターを構築するステップ、並びに
C.ステップAで得られた前記ノックアウト株に前記二重発現ベクターを導入することにより、N-アセチルグルコサミンを産生する遺伝子改変株を得るステップ
を含む。
【0020】
さらに、プロモーターを導入し、前記プロモーターとglmS遺伝子及びGNA1遺伝子とが直列である発現ベクターを発現させることによって、二重発現ベクターを構築する。
【0021】
好ましくは、発現ベクターは、pHY300PLKである。
【0022】
好ましくは、プロモーターは、Pals、P43、Pst、及びPapreである。
【0023】
好ましくは、Palsプロモーターの配列は配列番号3に示す通りであり、P43プロモーターの配列は配列番号4に示す通りであり、Pstプロモーターの配列は配列番号5に示す通りであり、及びPapreプロモーターの配列は配列番号6に示す通りである。
【0024】
好ましくは、グルコサミン-6-リン酸シンターゼのglmS遺伝子は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・メチロトロフィカス(Bacillus methylotrophicus)、好熱性バチルス・イヌリヌス(thermophilic Bacillus inulinus)、又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)などに由来する。
【0025】
好ましくは、グルコサミン-6-リン酸アセチラーゼのGNA1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はクルイヴェロミセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)若しくはナドソニア・フルベセンス(Nadsonia fulvescens)などの同じ機能を有する好熱性酵素を産生する別の微生物由来である。
【0026】
好ましくは、原株は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC 14580である。
【0027】
本発明のさらなる態様では、特にN-アセチルグルコサミン生産のための、上記で定義した遺伝子改変株の使用が提供される。
【0028】
さらに、生産の発酵温度は、25℃~50℃である。
【0029】
好ましくは、生産の発酵温度は、40℃~50℃である。
【0030】
さらに、生産において利用される炭素源は、グルコース、グリセロール、キシロース、又はアラビノースなどである。
【0031】
さらに、遺伝子改変株の種培養から種培養物が得られ、続いて炭素源としてグルコースを使用する発酵培地中で二次活性化が行われる。最後に、N-アセチルグルコサミンの発酵のために発酵槽に移される。具体的には、以下のステップが含まれる。
1)種培養:遺伝子改変株を種培地に接種し、テトラサイクリン耐性を付与し、50℃、200rpmで12~16時間培養して種を活性化するステップ、
2)振盪フラスコ培養:ステップ1)で活性化した種を5%の接種率で発酵培地を含む振盪フラスコに移し、テトラサイクリン耐性を付与し、50℃、200rpmで12~16時間培養して二次活性化するステップ、並びに
3)発酵培養:上記を接種率4%で発酵槽に移し、テトラサイクリン耐性を付与し、炭素源を添加して40℃~50℃で流加発酵を行い、発酵が終了するまで培養するステップが含まれる。
【0032】
好ましくは、ステップ1)の種培地は、以下の成分:ペプトン、酵母粉末、及び塩化ナトリウムを含む。好ましくは、種培地は、10g/Lのペプトン、5g/Lの酵母粉末、及び10g/Lの塩化ナトリウムを含む。
【0033】
好ましくは、ステップ2)における発酵培地は、以下の成分:酵母粉末、ペプトン、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム三水和物、リン酸二水素カリウム、及びグルコースを含む。好ましくは、12g/Lの酵母粉末、6g/Lのペプトン、6g/Lの硫酸アンモニウム、18.75g/Lのリン酸水素二カリウム三水和物、2.5g/Lのリン酸二水素カリウム、及び30g/Lのグルコースを含む。
【0034】
好ましくは、ステップ2)において、振盪フラスコは、500mL三角フラスコであり、発酵培地は75mL含まれている。
【0035】
好ましくは、ステップ3)における発酵培地は、以下の成分:酵母粉末、コーンスティープリカー粉末、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム三水和物、リン酸二水素カリウム、及びグルコースを含む。好ましくは、発酵培地は、12g/Lの酵母粉末、6g/Lのコーンスティープリカー粉末、6g/Lの硫酸アンモニウム、18.75g/Lのリン酸水素二カリウム三水和物、2.5g/Lのリン酸二水素カリウム、及び30g/Lのグルコースを含む。
【0036】
好ましくは、ステップ3)における発酵条件は、3mol/Lの塩酸溶液及び25%(v/v)のアンモニア溶液を使用して7.0に維持されたpH値、1.5vvmの通気量、600rpmの初期撹拌速度、グルコースが3~4g/L消費された時点でグルコースを補充することにより30g/Lに継続的に調節されるグルコース濃度である。
【0037】
本出願で提供される遺伝子改変株は、N-アセチルグルコサミンの高温生産を可能にする。さらに、遺伝子改変株の発酵時、構成的発現のため、誘導物質の添加は省略される。さらに、発酵プロセスはほとんど温度低下を必要とせず、発酵は高温で大幅に増加した速度で進行することができる。また、高温により他の微生物の増殖が抑制されるため、開放発酵が可能となり、生産コストを効果的に抑えることができる。本発明は、40℃~50℃の比較的高温でのN-アセチルグルコサミンの発酵を可能にし、産業上の利用価値が高い。本発明で提案される菌株構築概念は、様々な産物の高温生産のための菌株を開発するために利用することができる。提案される菌株及び発酵プロセスは、産業用高温N-アセチルグルコサミン発酵における良好な応用の可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】改変B.リケニフォルミス株におけるN-アセチルグルコサミン合成及び代謝経路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書に記載の改変株のN-アセチルグルコサミン合成及び代謝経路は、図1に示される通りであり、グルタミン(Gln)はアミノ酸供与体として機能し、glmS遺伝子によってコードされるグルコサミン合成酵素はフルクトース-6-リン酸(F-6-P)をグルコサミン-6-リン酸(GlcN-6-P)に変換し、次にグルコサミン-6-リン酸アセチラーゼ(GNA1)の作用下でN-アセチル-グルコサミン-6-リン酸(GlcNAc-6-P)に変換される。GlcNAc-6-Pは、ホスホリラーゼの触媒作用により脱リン酸化されてN-アセチルグルコサミンになり、細胞外に分泌される。グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼをコードするnagB遺伝子及びgamA遺伝子並びにN-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼをコードするnagA遺伝子が不活性化されるようにノックアウトされるか、又はN-アセチルグルコサミンの前駆体が細胞内であまり消費されないようノックアウトされる。さらに、N-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質をコードするgamP遺伝子及びnagP遺伝子がノックアウトされるので、改変株で産生されたN-アセチルグルコサミンは、輸送されず、細胞外に高濃度で蓄積することになる。
【0040】
本明細書によれば、好熱性B.リケニフォルミス株においてN-アセチルグルコサミンの高温発酵のための代謝経路が確立され、ここで、N-アセチルグルコサミンの合成に関与する律速酵素をコードする遺伝子の発現が増強され、N-アセチルグルコサミンの消費及び逆拡散を引き起こし得る遺伝子が不活性化又はノックアウトされている。N-アセチルグルコサミンの消費及び逆拡散を阻害することにより、改変株によって産生されたN-アセチルグルコサミンが高濃度に蓄積することが可能になる。
【0041】
本発明のある態様では、N-アセチルグルコサミンを産生する遺伝子改変株が提供される。この遺伝子改変株は、40℃~50℃でN-アセチルグルコサミンを発酵させ得る。
【0042】
特定の一実施形態では、遺伝子改変株の原株におけるN-アセチルグルコサミン異化経路が遮断される。
【0043】
別の一実施形態では、N-アセチルグルコサミン異化経路は、グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼをコードするnagB遺伝子及びgamA遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼをコードするnagA遺伝子、並びにN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質をコードするgamP遺伝子及びnagP遺伝子のうちの1又は複数の不活性化又は欠失の結果として、遮断される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「遮断」という用語は、経路に必要な1又は複数の触媒酵素をコードする遺伝子を不活性化又は欠失させることによって経路を実行できなくすることを含む、様々な遺伝子工学的アプローチによって経路を遮断することを指す。
【0045】
原株が、グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼの遺伝子、N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼの遺伝子、及びN-アセチルグルコサミン輸送体タンパク質の遺伝子などが欠失又は不活性化された遺伝子、又はさらには遮断された経路を含まないことも不可能であることを当業者は理解するであろう。この場合、遺伝子又は経路が存在しないため、遺伝子改変株の構築には、遺伝子操作によって達成される不活性化、欠失、又は遮断は含まれない。
【実施例
【0046】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
【0047】
以下の実施例は例示であり、いかなる意味においても本発明の保護範囲を限定するものではない。以下の実施例の説明において参照される実験方法は、特に断りのない限り、すべて従来の方法である。以下の実施例の説明で参照される材料及び試薬などは、特に断りのない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0048】
実施例1:B.リケニフォルミスnagP遺伝子のノックアウト
1.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化1】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、nagP遺伝子の上流の800bp断片を得た。
【0049】
2.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化2】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、nagP遺伝子の下流の800bp断片を得た。
【0050】
3.2種類のPCR産物を精製した後、それぞれ1μLを鋳型として採取し、シームレスクローニング技術を使用してpKVMベクターに挿入した。その結果、△nagPノックアウトpKVMベクターを得た。
【0051】
4.前記△nagPノックアウトpKVMベクターを、大腸菌S17-1に形質転換し、B.リケニフォルミスとの接合伝達及び相同組換えによるnagP遺伝子のノックアウトを行った。使用したプライマーは、以下のようであった。
【化3】

1600bp断片の増幅が成功したことは、ダブルクロスオーバー陽性クローンのスクリーニングの成功、及び前記遺伝子のノックアウトの成功の兆候と考えられた。最終的に、ノックアウト株MW3△nagPを得た。
【0052】
実施例2:B.リケニフォルミスgamP遺伝子の追加的ノックアウト
1.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化4】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、gamP遺伝子の上流の800bp断片を得た。
【0053】
2.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化5】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、gamP遺伝子の下流の800bp断片を得た。
【0054】
3.2種類のPCR産物を精製した後、それぞれ1μLを鋳型として採取し、シームレスクローニング技術を使用してpKVMベクターに挿入した。その結果、△gamPノックアウトpKVMベクターを得た。
【0055】
4.前記△gamPノックアウトpKVMベクターを、大腸菌S17-1に形質転換し、ノックアウトB.リケニフォルミス株MW3△nagPとの接合伝達及び相同組換えによるgamP遺伝子のノックアウトを行った。使用したプライマーは、以下のようであった。
【化6】

1600bp断片の増幅が成功したことは、ダブルクロスオーバー陽性クローンのスクリーニングの成功、及び前記遺伝子のノックアウトの成功の兆候と考えられた。最終的に、ノックアウト株MW3△nagP△gamPを得た。
【0056】
実施例3:B.リケニフォルミスgamA遺伝子の追加的ノックアウト
1.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化7】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、gamA遺伝子の上流の800bp断片を得た。
【0057】
2.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化8】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、gamA遺伝子の下流の800bp断片を得た。
【0058】
3.2種類のPCR産物を精製した後、それぞれ1μLを鋳型として採取し、シームレスクローニング技術を使用してpKVMベクターに挿入した。その結果、△gamAノックアウトpKVMベクターを得た。
【0059】
4.前記△gamAノックアウトpKVMベクターを、大腸菌S17-1に形質転換し、ノックアウトB.リケニフォルミス株MW3△nagP△gamPとの接合伝達及び相同組換えによるgamA遺伝子のノックアウトを行った。使用したプライマーは、以下のようであった。
【化9】

1600bp断片の増幅が成功したことは、ダブルクロスオーバー陽性クローンのスクリーニングの成功、及び前記遺伝子のノックアウトの成功の兆候と考えられた。最終的に、ノックアウト株MW3△nagP△gamP△gamAを得た。
【0060】
実施例4:B.リケニフォルミスnagAB遺伝子クラスターの追加的ノックアウト
1.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化10】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、nagAB遺伝子クラスターの上流の800bp断片を得た。
【0061】
2.以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化11】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、nagAB遺伝子クラスターの下流の800bp断片を得た。
【0062】
3.2種類のPCR産物を精製した後、それぞれ1μLを鋳型として採取し、シームレスクローニング技術を使用してpKVMベクターに挿入した。その結果、△nagABノックアウトpKVMベクターを得た。
【0063】
4.前記△nagABノックアウトpKVMベクターを、大腸菌S17-1に形質転換し、ノックアウトB.リケニフォルミス株MW3△nagP△gamP△gamAとの接合伝達及び相同組換えによるnagAB遺伝子クラスターのノックアウトを行った。使用したプライマーは、以下のようであった。
【化12】

1600bp断片の増幅が成功したことは、ダブルクロスオーバー陽性クローンのスクリーニングの成功、及び前記遺伝子のノックアウトの成功の兆候と考えられた。最終的に、ノックアウト株MW3△nagP△gamP△gamA△nagABを得た。
【0064】
実施例5:GNA1-glmS二重発現ベクターの構築
以下のプライマーを、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化13】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、Palsプロモーター配列を得た。
【0065】
43プロモーターを用いて全遺伝子合成を行った。使用したプライマーは、以下のように設計した。
【化14】

さらに、PCR増幅により、P43プロモーター配列を得た。
【0066】
stプロモーターを用いて全遺伝子合成を行った。使用したプライマーは、以下のように設計した。
【化15】

さらに、PCR増幅により、Pstプロモーター配列を得た。
【0067】
aprEプロモーターを用いて全遺伝子合成を行った。使用したプライマーは、以下のように設計した。
【化16】

さらに、PCR増幅により、PaprEプロモーター配列を得た。
【0068】
グルコサミン-6-リン酸アセチラーゼをコードするGNA1遺伝子を、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号NM_001179949)の全ゲノムから得た。コドン最適化による全遺伝子合成を行い、最適化したGNA1配列をPCR増幅により得た。使用したプライマーは、以下のように設計した。
【化17】
【0069】
プライマーは、B.リケニフォルミスMW3ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。
【化18】

B.リケニフォルミスMW3ゲノムのDNAを鋳型として用いたPCR増幅により、glmS遺伝子配列を得た。
【0070】
PCR増幅から収集したPalsプロモーター配列、GNA1、及びglmSの3種類の遺伝子の断片を、各遺伝子について1μLを採取し、シームレスクローニングによってpHY300PLKベクターに挿入して、pHY300PLK-Pals-GNA1-glmSベクターを構築した。
【0071】
PCR増幅から収集したP43プロモーター配列、GNA1、及びglmSの3種類の遺伝子の断片を、各遺伝子について1μLを採取し、シームレスクローニングによってpHY300PLKベクターに挿入して、pHY300PLK-P43-GNA1-glmSベクターを構築した。
【0072】
PCR増幅から収集したPstプロモーター配列、GNA1、及びglmSの3種類の遺伝子の断片を、各遺伝子について1μLを採取し、シームレスクローニングによってpHY300PLKベクターに挿入して、pHY300PLK-Pst-GNA1-glmSベクターを構築した。
【0073】
PCR増幅から収集したPaprEプロモーター配列、GNA1、及びglmSの3種類の遺伝子の断片を、各遺伝子について1μLを採取し、シームレスクローニングによってpHY300PLKベクターに挿入して、pHY300PLK-PaprE-GNA1-glmSベクターを構築した。
【0074】
実施例6:改変株BNGS1、BNGS2、BNGS3、及びBNGS4の構築
前記pHY300PLK-Pals-GNA1-glmSベクターを、エレクトロポレーションによってノックアウト株MW3△nagP△gamP△gamA△nagABに導入した結果、N-アセチルグルコサミンを合成可能な新たなB.リケニフォルミス株が得られ、BNGS1と命名した。
【0075】
前記pHY300PLK-P43-GNA1-glmSベクターを、エレクトロポレーションによってノックアウト株MW3△nagP△gamP△gamA△nagABに導入した結果、N-アセチルグルコサミンを合成可能な新たなB.リケニフォルミス株が得られ、BNGS2と命名した。
【0076】
前記pHY300PLK-Pst-GNA1-glmSベクターを、エレクトロポレーションによってノックアウト株MW3△nagP△gamP△gamA△nagABに導入した結果、N-アセチルグルコサミンを合成可能な新たなB.リケニフォルミス株が得られ、BNGS3と命名した。
【0077】
前記pHY300PLK-PaprE-GNA1-glmSベクターを、エレクトロポレーションによってノックアウト株MW3△nagP△gamP△gamA△nagABに導入した結果、N-アセチルグルコサミンを合成可能な新たなB.リケニフォルミス株が得られ、BNGS4と命名した。
【0078】
実施例7:組換えB.リケニフォルミスBNGS1の振盪フラスコ発酵
1.種培地及び発酵培地
種培地としてLB培地(10g/Lの塩化ナトリウム、5g/Lの酵母粉末、及び10g/Lのペプトンを含む)を用いた。液体培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。
【0079】
発酵培地は以下の成分を含む:12g/Lの酵母粉末、6g/Lのペプトン、6g/Lの硫酸アンモニウム、18.75g/Lのリン酸水素二カリウム三水和物、2.5g/Lのリン酸二水素カリウム、及び30g/Lのグルコース。
【0080】
2.振盪フラスコ発酵のプロセス
BNGS1株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。振盪フラスコ発酵用の75mLの発酵培地を含む500mL三角フラスコに5%の接種率で移した。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。発酵は40℃で50時間行い、1mLの試料を採取して12000rpmで5分間遠心分離した。前記試料を0.22μmの水性膜でろ過し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0081】
3.検出方法
カラム:Aminex HPX-87H
移動相:0.005mol/Lの硫酸溶液
流速:0.5mL/分
カラム温度:60.0℃
注入量:20.00μL
検出器:示差屈折率検出器
検出器温度:35℃
【0082】
検出結果は、振盪フラスコ発酵の50時間後、N-アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に2.3g/L存在することを示した。
【0083】
実施例8:組換えB.リケニフォルミスBNGS2の振盪フラスコ発酵
BNGS2株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。振盪フラスコ発酵用の75mLの発酵培地を含む500mL三角フラスコに5%の接種率で移した。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。発酵は40℃で50時間行い、1mLの試料を採取して12000rpmで5分間遠心分離した。前記試料を0.22μmの水性膜でろ過し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0084】
検出結果は、振盪フラスコ発酵の50時間後、N-アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に1.5g/L存在することを示した。
【0085】
実施例9:組換えB.リケニフォルミスBNGS3の振盪フラスコ発酵
BNGS3株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。振盪フラスコ発酵用の75mLの発酵培地を含む500mL三角フラスコに5%の接種率で移した。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。発酵は40℃で50時間行い、1mLの試料を採取して12000rpmで5分間遠心分離した。前記試料を0.22μmの水性膜でろ過し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0086】
検出結果は、振盪フラスコ発酵の50時間後、N-アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に0.57g/L存在することを示した。
【0087】
実施例10:組換えB.リケニフォルミスBNGS4の振盪フラスコ発酵
BNGS4株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。振盪フラスコ発酵用の75mLの発酵培地を含む500mLの三角フラスコに5%の接種率で移した。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。発酵は40℃で50時間行い、1mLの試料を採取して12000rpmで5分間遠心分離した。前記試料を0.22μmの水性膜でろ過し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0088】
検出結果は、振盪フラスコ発酵の50時間後、N-アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に0.32g/L存在することを示した。
【0089】
実施例11:1L発酵槽における37℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:BNGS1株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。
【0090】
2.振盪フラスコ培養:5%の接種率で(500mL振盪フラスコに含まれる)75mLの発酵培地に移した。振盪フラスコ培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。培養は、50℃及び200rpmで一晩行った。
【0091】
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で1Lの全自動発酵槽に移し、37℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を付与し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0092】
検出結果は、発酵の70時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に12g/L存在することを示した。
【0093】
実施例12:1L発酵槽における50℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で1Lの全自動発酵槽に移し、50℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を付与し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0094】
検出結果は、発酵の70時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に2.8g/L存在することを示した。
【0095】
実施例13:50L発酵槽における37℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、37℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を付与し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0096】
検出結果は、発酵の69.5時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に50.9g/L存在することを示した。
【0097】
実施例14:50L発酵槽における37℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、37℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を付与し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0098】
検出結果は、発酵の73時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に52.5g/L存在することを示した。
【0099】
実施例15:50L発酵槽における40℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、40℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0100】
検出結果は、発酵の54時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に28.1g/L存在することを示した。
【0101】
実施例16:50L発酵槽における40℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、40℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0102】
検出結果は、発酵の56時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に34.6g/L存在することを示した。
【0103】
実施例17:50L発酵槽における45℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、45℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0104】
検出結果は、発酵の50時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に24g/L存在することを示した。
【0105】
実施例18:50L発酵槽における50℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS1の流加発酵
1.種培養:実施例11と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例11と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、50℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0106】
検出結果は、発酵の24時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に4.1g/L存在することを示した。
【0107】
実施例19:50L発酵槽における37℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS2の流加発酵
1.種培養:BNGS2株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。
【0108】
2.振盪フラスコ培養:5%の接種率で(500mL振盪フラスコに含まれる)75mLの発酵培地に移した。振盪フラスコ培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。培養は、50℃及び200rpmで一晩行った。
【0109】
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、37℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を付与し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0110】
検出結果は、発酵の64時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に23.6g/L存在することを示した。
【0111】
実施例20:50L発酵槽における45℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS2の流加発酵
1.種培養:実施例19と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例19と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、45℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0112】
検出結果は、発酵の49時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に11.6g/L存在することを示した。
【0113】
実施例21:50L発酵槽における37℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS3の流加発酵
1.種培養:BNGS3株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。
【0114】
2.振盪フラスコ培養:5%の接種率で(500mL振盪フラスコに含まれる)75mLの発酵培地に移した。振盪フラスコ培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。培養は、50℃及び200rpmで一晩行った。
【0115】
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、37℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0116】
検出結果は、発酵の64時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に10.8g/L存在することを示した。
【0117】
実施例22:50L発酵槽における45℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS3の流加発酵
1.種培養:実施例21と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例21と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、45℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0118】
検出結果は、発酵の58時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に7.2g/L存在することを示した。
【0119】
実施例23:50L発酵槽における37℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS4の流加発酵
1.種培養:BNGS4株を含む種溶液を5mLのLB培地に接種し、50℃及び200rpmで12~16時間インキュベートした。培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。
【0120】
2.振盪フラスコ培養:5%の接種率で(500mL振盪フラスコに含まれる)75mLの発酵培地に移した。振盪フラスコ培養中、25mg/Lのテトラサイクリン耐性を付与した。培養は、50℃及び200rpmで一晩行った。
【0121】
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、37℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0122】
検出結果は、発酵の64時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に6.1g/L存在することを示した。
【0123】
実施例24:50L発酵槽における45℃での組換えB.リケニフォルミスBNGS4の流加発酵
1.種培養:実施例23と同様。
2.振盪フラスコ培養:実施例23と同様。
3.発酵培養:活性化した種溶液を4%(v/v)の接種率で50Lの全自動発酵槽に移し、45℃の温度でインキュベートした。作用濃度が25mg/Lに到達するまでテトラサイクリン耐性を添加し、3mol・L-1塩酸溶液及び25%(v/v)アンモニア溶液を添加してpHを7.0に調整及び維持した。通気量を1.5vvmに保ち、最初に600r・min-1の速度で撹拌した。グルコースは30g/Lの濃度に継続的に調節される必要がある。この目的のために、グルコースが3~4g/Lまで消費されると、一定の流速で持続的にグルコースを補充した。発酵が終了するまで培養を続けた。試料を採取し、高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0124】
検出結果は、発酵の58時間後、アセチルグルコサミンが発酵ブロス中に2.9g/L存在することを示した。
【0125】
実施例25:BNGS1株の安定性アッセイ
BNGS1株を含む発酵ブロスで25mg/mL固体LB培地プレートに線を引いた。50℃で18時間培養した後、10個の単一コロニーを採取し、それぞれ75mLの発酵培地を含む500mL振盪フラスコ中に接種した。振盪機温度40℃及び200rpmでフラスコを振盪し、グルコースは30g/Lの濃度で存在した。N-アセチルグルコサミンの産生安定性は、接種後70時間でHPLCを使用して評価し、産物は2.24g/L~2.41g/Lの範囲の濃度で存在することが決定された。
【0126】
以上、本発明の好ましい特定の実施形態について詳細に説明した。当業者は、創造的な努力をすることなく、本発明の概念に基づいて様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。よって、先行技術に基づく本発明の概念に従って、当業者が論理的分析、推論、又は限られた実験によって得ることができる全ての技術的解決方法は、特許請求の範囲で定義されている保護範囲内に含まれるように意図されている。
図1
【配列表】
2023534879000001.app
【国際調査報告】