(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】液体リングポンプ制御
(51)【国際特許分類】
F04C 19/00 20060101AFI20230807BHJP
F04C 28/06 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F04C19/00 A
F04C28/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579889
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2021055357
(87)【国際公開番号】W WO2021260504
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/098308
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521176824
【氏名又は名称】エドワーズ テクノロジーズ バキューム エンジニアリング (チンタオ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】デ ボック アンドリース ダニエル ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ダイ シン
(72)【発明者】
【氏名】リウ シーボ
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA07
3H129AB02
3H129AB06
3H129BB21
3H129CC12
3H129CC22
3H129CC53
3H129CC56
3H129CC64
(57)【要約】
システムは、チャンバ(102)、吸入口、排出口、及び作動液入口を備える液体リングポンプ(10)と、液体リングポンプ(10)に接続されたガスライン(36)と、ガスライン(36)上に配置された弁(8)と、入口流体の第1のパラメータを測定するように構成された第1のセンサ(81)と、作動液、排出流体、又はチャンバの中の流体のいずれかの第2のパラメータを測定するように構成された第2のセンサ(82)と、制御装置(20)とを備え、制御装置(20)は、第2パラメータを使用して作動液の蒸気圧を決定し、第1のパラメータと蒸気圧とに基づいて弁(8)の動作を制御するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ、吸入口、排出口、及び作動液入口を備える液体リングポンプであって、前記液体リングポンプは、
前記吸入口を介して吸入流体を前記チャンバに送り出し、
前記排出口を介して排出流体を前記チャンバから排出し、
前記作動液入口を介して作動液を前記チャンバで受け取る、
ように構成されている、液体リングポンプと、
前記液体リングポンプに接続されたガスラインであって、ガスが前記ガスラインを介して前記液体リングポンプの前記チャンバに流入するようになっている、ガスラインと、
前記ガスライン上に配置された弁と、
前記吸入流体の第1のパラメータを測定するように構成された第1のセンサと、
前記作動液、前記排出流体、及び前記チャンバの中の流体からなる流体群から選択される流体の第2のパラメータを測定するように構成された第2のセンサと、
制御装置と、
を備えるシステムであって、
前記制御装置は、
前記第2のパラメータの測定値を用いて前記作動液の蒸気圧を決定する、及び
前記第1のパラメータの測定値及び前記決定された蒸気圧に基づいて弁の動作を制御する、
ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記第1のパラメータは圧力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のパラメータは温度である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、アントワン式を用いて前記作動液の蒸気圧を決定するように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1のパラメータの前記測定値と前記決定された蒸気圧とを比較し、その比較に基づいて前記弁の動作を制御するように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1のパラメータの前記測定値と前記決定された蒸気圧との差を決定し、前記決定された差に基づいて前記弁の動作を制御するように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記決定された差を閾値と比較し、その比較に基づいて前記弁の動作を制御するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記決定された差が閾値より大きい場合、弁を閉じるか又は閉じたままにするように制御する、及び
前記決定された差が閾値以下である場合、弁を開くか又は開いたままにするよう制御する、
ように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記弁が開かれる程度が前記第1のパラメータの前記測定値と前記決定された蒸気圧との間の前記決定された差に依存するように、前記弁の動作を制御するように構成されている、請求項6から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記吸入口に接続された吸引ラインと、
前記吸引ライン上に配置された逆止弁と、
をさらに備え、
前記逆止弁は、流体が前記吸引ラインを介して前記チャンバに流入することを許容し且つ流体が前記チャンバから前記吸引ラインへ流出するのを阻止又は妨害するように配置され、
前記ガスラインは、前記逆止弁と前記液体リングポンプの前記吸入口との間で前記吸引ラインに接続される、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のセンサは、前記逆止弁と前記液体リングポンプの吸入口との間で前記吸引ラインに接続される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記液体リングポンプは、入口マニホールドを備え、
前記弁は、前記入口マニホールドに統合されている、
請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記ガスは、空気又は不活性ガスである、請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記排出口に接続された排出ライン、及び/又は
前記排出作動液入口に接続された作動液ライン、
をさらに備え、
前記第2のセンサは、前記排出ライン又は前記作動液ラインのいずれかに接続される、請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
システムを制御するための制御方法であって、前記システムは、液体リングポンプ、ガスライン、及びガスライン上に配置された弁を備え、前記液体リングポンプは、チャンバ、吸入口、排出口、及び作動液入口を備え、前記液体リングポンプは、前記吸入口を介して前記チャンバに入口流体を送り出し、前記排出口を介して前記チャンバから排出流体を排出し、作動液入口を介してチャンバに作動液を受け入れるように構成され、前記ガスラインは、ガスが前記ガスラインを介して前記液体リングポンプの前記チャンバに流入するように液体リングポンプに接続され、前記方法は、
前記入口流体の第1のパラメータを測定するステップと、
前記作動液、前記排出流体、及び前記チャンバの中の流体からなる流体群から選択される流体の第2のパラメータを測定するステップと、
前記第2のパラメータの測定値を用いて前記作動液の蒸気圧を決定するステップと、
前記第1パラメータと前記決定された蒸気圧の測定値とに基づいて前記弁の動作を制御するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体リングポンプの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
液体リングポンプは、公知のタイプのポンプであり、典型的には真空ポンプ及びガス圧縮機として商業的に使用される。液体リングポンプは、典型的には、内部のチャンバを有するハウジングと、チャンバ内に延びる軸と、軸に取り付けられたインペラと、軸を駆動するために軸に動作可能に接続されたモータなどの駆動システムとを含む。インペラ及び軸は、液体リングポンプのチャンバの中に偏心的に位置決めされる。
【0003】
動作時、チャンバは、作動液(サービス液としても知られている)で部分的に満たされる。駆動システムが軸及びインペラを駆動すると、液体リングは、チャンバの内壁上に形成され、それによって隣接するインペラのベーン間の個々のボリュームを分離するシールを提供する。インペラ及び軸は、液体リングに対して偏心的に位置決めされ、その結果、インペラの隣接するベーンと液体リングとの間で囲まれたボリュームが周期的に変動する。
【0004】
液体リングが軸からさらに離れているチャンバの一部分では、内部により小さな圧力をもたらす、隣接するインペラのベーンの間により大きなボリュームがある。これは、液体リングが軸からさらに離れている部分が、ガス吸入ゾーンとして機能することを可能にする。液体リングが軸に近いチャンバの一部分では、内部により大きな圧力をもたらす、隣接するインペラのベーンの間により小さなボリュームがある。これは、液体リングが軸に近い部分がガス排出ゾーンとして機能することを可能にする。
【0005】
液体リングポンプの例としては、単段式液体リングポンプ及び多段式液体リングポンプを挙げることができる。単段式液体リングポンプは、単一のチャンバ及びインペラを使用する。多段式液体リングポンプ(例えば2段式)は、直列に接続された複数のチャンバ及びインペラを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャビテーションは、特定の液体リングポンプ、詳細には低圧/高真空条件で動作するポンプにおいて、摩耗及び故障の重大な原因となる傾向がある。また、キャビテーションは耳障りな騒音につながる場合がある。従って、液体リング真空ポンプの始動時のキャビテーションを阻止又は防止することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、液体リングポンプの入口マニホールドに空気の流れを導入することによって、キャビテーションを低減又は除去することができることを認識している。
【0008】
一態様では、システムが提供され、システムは、チャンバ、吸入口、排出口、及び作動液入口を備える液体リングポンプであって、液体リングポンプは、吸入口を介して吸入流体をチャンバに送り出し、排出口を介して排出流体をチャンバから排出し、作動液入口を介して作動液を前記チャンバで受け取るように構成されている、液体リングポンプと;液体リングポンプに接続されたガスラインであって、ガスがガスラインを介して液体リングポンプのチャンバに流入するようになっている、ガスラインと;ガスライン上に配置された弁と;吸入流体の第1のパラメータを測定するように構成された第1のセンサと;作動液、排出流体、及びチャンバの中の流体からなる流体群から選択される流体の第2のパラメータを測定するように構成された第2のセンサと;制御装置と;を備えるシステムであって、制御装置は、第2のパラメータの測定値を用いて作動液の蒸気圧を決定する、及び、第1のパラメータの測定値及び決定された蒸気圧に基づいて弁の動作を制御する、ように構成されている。
【0009】
第1のパラメータは、圧力とすることができる。第2のパラメータは、温度とすることができる。
【0010】
制御装置は、アントワン式を用いて作動液の蒸気圧を決定するように構成することができる。制御装置は、第1のパラメータの測定値と決定された蒸気圧とを比較し、その比較に基づいて弁の動作を制御するように構成することができる。制御装置は、第1のパラメータの測定値と決定された蒸気圧との差を決定し、その決定された差に基づいて弁の動作を制御するように構成することができる。制御装置は、決定された差を閾値と比較し、その比較に基づいて弁の動作を制御するように構成することができる。制御装置は、決定された差が閾値より大きい場合、弁を閉じるか閉じたままに制御し、決定された差が閾値以下である場合、弁を開くか開いたままに制御するように構成することができる。制御装置は、弁が開かれる程度が、第1のパラメータの測定値と決定された蒸気圧との間の決定された差に依存するように、弁の動作を制御するように構成することができる。
【0011】
システムは、吸入口に接続された吸引ラインと、吸引ライン上に配置された逆止弁とをさらに備えることができる。逆止弁は、流体が吸引ラインを介してチャンバに流入することを許容し且つ流体がチャンバから吸引ラインへ流出するのを阻止又は妨害するように配置することができる。ガスラインは、逆止弁と液体リングポンプの吸入口との間で吸引ラインに接続することができる。第1のセンサは、逆止弁と液体リングポンプの吸入口との間の吸引ラインに接続することができる。
【0012】
液体リングポンプは、入口マニホールドを備えることができる。弁は、入口マニホールドに統合することができる。
【0013】
ガスは、空気又は不活性ガスとすることができる。
【0014】
システムは、排出口に接続された排出ライン、及び/又は、排出作動液入口に接続された作動液ラインをさらに備えることができる。第2のセンサは、排出ライン又は作動液ラインのいずれかに接続することができる。
【0015】
さらなる態様において、システムを制御するための制御方法が提供され、システムは、液体リングポンプ、ガスライン、及びガスライン上に配置された弁を備え、液体リングポンプは、チャンバ、吸入口、排出口、及び作動液入口を備え、液体リングポンプは、吸入口を介してチャンバに入口流体を送り出し、排出口を介してチャンバから排出流体を排出し、作動液入口を介してチャンバに作動液を受け入れるように構成され、ガスラインは、ガスがガスラインを介して液体リングポンプのチャンバに流入するように液体リングポンプに接続され、本方法は、入口流体の第1のパラメータを測定するステップと、作動液、排出流体、及びチャンバの中の流体からなる流体群から選択される流体の第2のパラメータを測定するステップと、第2のパラメータの測定値を用いて作動液の蒸気圧を決定するステップと、第1パラメータと決定された蒸気圧の測定値とに基づいて弁の動作を制御するステップと、を含む
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】真空システムを示す概略図である(正確な縮尺ではない)。
【
図2】液体リングポンプを示す概略図である(正確な縮尺ではない)。
【
図3】真空システムによって実行可能な処理の特定のステップを示す処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、真空システム2を示す概略図である(正確な縮尺ではない)。真空システム2は、設備4に接続されており、動作時に、設備4からガス(例えば、空気)を引き込むことによって設備4の真空又は低圧環境を確立するようになっている。
【0018】
本実施形態では、真空システム2は、逆止弁6、第1の弁8、サイレンサ9、液体リングポンプ10、モータ12、分離器14、ポンプシステム16、熱交換器18、制御装置20、第1のセンサ81、及び第2のセンサ82を備える。
【0019】
設備4は、吸引ライン又は真空ライン又はパイプ34を介して液体リングポンプ10のガス入口に接続される。
【0020】
本実施形態では、逆止弁6は、吸引ライン34に配置される。また、第1のセンサ81は、吸引ライン34上に配置される。逆止弁6は、設備4と第1のセンサ81との間に配置される。第1のセンサ81は、逆止弁6と液体リングポンプ10との間に配置される。
【0021】
逆止弁6は、設備4から液体リングポンプ10まで流体(例えば、空気などのガス)の流れを許容し、逆方向の、すなわち液体リングポンプ10から設備4まで流体の流れを阻止又は妨害するように構成されている。
【0022】
本実施形態では、第1のセンサ81は、圧力センサである。第1のセンサ81は、吸引ライン34を流れるガスの圧力、すなわち、液体リングポンプ10の作用により設備4から送り出されるガスの圧力を測定するように構成されている。第1のセンサ81は、何らかの適切なタイプの圧力センサとすることができる。第1のセンサ81は、第1のセンサ接続部83を介して制御装置20に接続され、第1のセンサ81によって取得された測定値は、第1のセンサ81から制御装置20に送られるようになっている。第1のセンサ接続部83は、電線又は光ファイバー、又は無線接続を含むが、これらに限定されない何らかの適切なタイプの接続部とすることができる。
【0023】
液体リングポンプ10のガス入口は、さらに、空気(又はガス)パイプ36(空気(又はガス)ラインとも呼ばれる場合がある)が接続されており、この空気パイプ36を介して液体リングポンプ10のガス入口へ空気を供給することができる。本実施形態では、空気パイプ36は、第1のセンサ81と液体リングポンプ10のガス入口との間で吸引ライン34に接続される。
【0024】
本実施形態では、逆止弁6は、空気パイプ36を介した液体リングポンプ10への空気の流れを阻止又は妨害しない。空気パイプ36は、逆止弁6をバイパスすると見なすことができる。
【0025】
第1の弁8は、空気パイプ36上に配置される。サイレンサ9は、空気パイプ36上に配置される。第1の弁8は、吸引ライン34とサイレンサ9との間に配置される。サイレンサ9は、第1の弁8と吸引ライン34の入口との間に配置される。
【0026】
第1の弁8は、電磁弁とすることができる。
【0027】
また、サイレンサ9は、マフラーとも呼ばれる場合もある。サイレンサ9は、液体リングポンプ10が空気パイプ36を介して空気を引き込むことによって生じる空気パイプ36内の音圧の大きさを低減させるように構成された音響装置である。
【0028】
本実施形態では、液体リングポンプ10は、単段式液体リングポンプである。
【0029】
液体リングポンプ10のガス入口は、吸引ライン34に接続される。液体リングポンプ10のガス出口は、排出ライン又はパイプ38に接続される。液体リングポンプ10は、第1の作動液パイプ40を介して熱交換器18に接続される。液体リングポンプ10は、第1の作動液パイプ40を介して熱交換器18から作動液を受け取るように構成されている。液体リングポンプ10は、モータ12によって駆動される。従って、モータ12は、液体リングポンプ10の駆動手段である。
【0030】
図2は、液体リングポンプ10の一例の断面を示す概略図である(正確な縮尺ではない)。真空システム2の残りの部分は、
図2に示す液体リングポンプ10の説明後、以下に詳細に説明されることになる。
【0031】
本実施形態では、液体リングポンプ10は、実質的に円筒形のチャンバ102を定めるハウジング100と、チャンバ102内に延びる軸104と、軸104に固定的に取り付けられたインペラ106とを備える。液体リングポンプ10のガス入口108(これは、吸引ライン34に接続される)は、チャンバ102のガス吸入口に流体的に接続される。液体リングポンプ10のガス出口(
図2には示されていない)は、チャンバ102のガス出力に流体的に接続される。
【0032】
液体リングポンプ10の動作時、作動液は、第1の作動液パイプ40を介してチャンバ102で受け取られる。いくつかの実施形態では、作動液は、吸引ライン34を介して、スプレーノズルを介して追加的に受け取られる場合がある。また、軸104は、モータ12によって回転され、それによってチャンバ102内でインペラ106が回転する。インペラ106が回転すると、チャンバ102内の作動液(図示せず)は、チャンバ102の壁に対して押し進められ、それによって、隣接するインペラのベーンの間で個々のボリュームを密封して分離する液体リングを形成する。また、ガス(空気など)は、ガス入口108及びチャンバ102のガス吸入口を介して吸引ライン34からチャンバ102の中に引き込まれる。このガスは、インペラ106の隣接するベーンの間に形成されたボリュームの中に流入する。インペラ106の回転は、ボリューム内に含まれるガスをこれがチャンバ102のガス吸入口からチャンバ102のガス出力に移動する際に圧縮し、圧縮ガスはガス出力でチャンバ102から出る。その後、チャンバ102を出た圧縮ガスは、ガス出口及び排出ライン38を介して液体リングポンプを出る。
【0033】
ここで
図1の説明に戻ると、排出ライン38は、液体リングポンプ10のガス出口と分離器14の入口との間に接続される。分離器14は、排出流体(すなわち、水滴及び/又は蒸気を含むことができる圧縮ガス)が、分離器14によって受け入れられるように、排出ライン38を介して液体リングポンプ10に接続される。
【0034】
分離器14は、液体リングポンプ10から受け取った排出流体をガス(例えば空気)と作動液とに分離するように構成されている。従って、分離器14は、作動液のリサイクルを行う。
【0035】
受け取った排出流体から分離されたガスは、システム出口パイプ42を介して、分離器14及び真空システム2から排出される。
【0036】
本実施形態では、分離器14は、さらなる入口44を備え、この入口44を介して、分離器14は、作動液供給源(図示せず)から追加の、すなわち「補充(top-up)」の作動液の供給を受けることができる。第2の弁46は、さらなる入口44に沿って配置される。第2の弁46は、さらなる入口44を介して分離器14への追加の作動液の流れを制御するように構成されている。第2の弁46は、電磁弁とすることができる。
【0037】
分離器14は、3つの作動液出口を備える。分離器14の第1の作動液出口は、作動液が分離器14からポンプシステム16に流れることができるように、第2の作動液パイプ48を介してポンプシステム16に接続される。分離器14の第2の作動液出口は、過剰な作動液のための出口を提供するオーバーフローパイプ50に接続される。分離器14の第3の作動液出口は、ドレーン又は排出パイプ52に接続されており、このパイプは、分離器が作動液を排出することができるラインを提供する。第3の弁54は、排出パイプ52に沿って配置される。第3の弁54は、それによって開状態又は閉状態のいずれかになるように構成され、排出パイプ52を介した分離器14からの作動液の流出をそれぞれ許容又は阻止する。第3の弁54は、電磁弁とすることができる。
【0038】
分離器14は、レベル指示器56をさらに備え、これは、例えば真空システム2の人間のユーザに対して、分離器14内の作動液の量の表示を提供するように構成されている。レベル指示器56は、例えば、ユーザが分離器14の液体貯蔵タンクの中の液体レベルを見ることができる透明窓を含むことができる。
【0039】
本実施形態では、ポンプシステム16は、第2の作動液パイプ48を介して分離器14に接続されることに加えて、第3の作動液パイプ58を介して熱交換器18に接続される。ポンプシステム16は、ポンプ(例えば遠心ポンプ)と、そのポンプを駆動するように構成されたモータとを備える。ポンプシステム16は、第2の作動液パイプ48を介して分離器14から作動液を排出し、第3の作動液パイプ58を介してその作動液を熱交換器18に送り出すように構成されている。
【0040】
熱交換器18は、ポンプシステム16から比較的高温の作動液を受け取り、その比較的高温の作動液を冷却して比較的低温の作動液を提供し、その比較的低温の作動液を出すように構成されている。
【0041】
本実施形態では、熱交換器18は、比較的高温の作動液から、同様に熱交換器18を流れる流体冷却剤に熱を伝達することによって、熱交換器18を流れる比較的高温の作動液を冷却するように構成されている。作動液と冷却剤は、熱交換器18内で熱が伝達される固体壁によって分離されており、それによって作動液と冷却剤との混合が防止される。熱交換器18は、冷却剤供給源(図示せず)から冷却剤入口60を介して冷却剤を受け取る。熱交換器18は、冷却剤出口62を介して(熱が伝達された)冷却剤を排出する。
【0042】
熱交換器18は、冷却された作動液が流れる(すなわち、ポンプシステム16によって送り出される)作動液出口を備える。作動液出口は、第1の作動液パイプ40に接続される。従って、熱交換器18は、第1の作動液パイプ40を介して液体リングポンプ10に接続され、動作時に、冷却された作動液がポンプシステム16によって熱交換器18から液体リングポンプ10に送り出されるようになっている。
【0043】
第2のセンサ82は、熱交換器18と液体リングポンプ10との間の第1の作動液パイプ40に接続される。第2のセンサ82は、温度センサである。第2のセンサ82は、第1の作動液パイプ40を介して液体リングポンプ10に流入する(すなわち、ポンプシステム16によって送り出される)作動液の温度を測定するように構成されている。第2のセンサ82は、何らかの適切なタイプの温度センサとすることができる。第2のセンサ82は、第2のセンサ接続部84を介して制御装置20に接続され、第2のセンサ82によって取得された測定値が第2のセンサ82から制御装置20に送られるようになっている。第2のセンサ接続部84は、電線又は光ファイバー、又は無線接続を含むが、これらに限定されない何らかの適切なタイプの接続部とすることができる。
【0044】
制御装置20は、1又は2以上のプロセッサを含むことができる。本実施形態では、制御装置20は、2つの可変周波数駆動(VFD)、すなわち第1のVFD201及び第2のVFD202を備える。第1のVFD201は、モータ12の回転数を制御するように構成されている。第1のVFD201は、モータ12を制御するためのインバータを備えることができる。第2のVFD202は、ポンプシステム16のモータの回転数を制御するように構成されている。第2のVFD202は、ポンプシステム16のモータを制御するためのインバータを備えることができる。
【0045】
制御装置20は、第1のVFD201及び第1の接続部66を介してモータ12に接続され、モータ12を制御するための制御信号を制御装置20からモータ12に送ることができるようになっている。第1の接続部66は、電線又は光ファイバー、又は無線接続を含むが、これらに限定されない何らかの適切なタイプの接続部とすることができる。モータ12は、制御装置20から受け取った制御信号に応じて動作するように構成されている。
【0046】
制御装置20は、第2のVFD202及び第2の接続部68を介してポンプシステム16に接続され、ポンプシステム16を制御するための制御信号を制御装置20からポンプシステム16のモータに送ることができるようになっている。第2の接続部68は、電線又は光ファイバー、又は無線接続を含むが、これらに限定されない何らかの適切なタイプの接続部とすることができる。ポンプシステム16は、制御装置20から受け取った制御信号に応じて動作するように構成されている。
【0047】
制御装置20は、第3の接続部70を介して第1の弁8にさらに接続され、第1の弁8を制御するための制御信号を制御装置20から第1の弁8に送ることができるようになっている。第3の接続部70は、電線又は光ファイバー、又は無線接続を含むがこれらに限定されない何らかの適切なタイプの接続部とすることができる。第1の弁8は、制御装置20から受け取った制御信号に応じて動作するように構成されている。制御装置20による第1の弁8の制御については、
図3を参照して以下に詳細に説明する。本実施形態では、制御装置20による第1の弁8の制御は、第1のセンサ81及び第2センサ82から受け取ったセンサ測定値に基づく。
【0048】
また、制御装置20は、それぞれの接続部(図示せず)を介して第2の弁46及び第3の弁54に接続することができ、第2及び第3の弁46、54を制御するための制御信号を制御装置20から第2及び第3の弁46、54に送ることができるようになっている。
【0049】
このように、真空システム2の一実施形態が提供される。
【0050】
上記の装置を実装して以下の方法ステップを実行するための制御装置20を含む装置は、何らかの適切な装置、例えば1又は2以上のコンピュータ又は他の処理装置又はプロセッサを構成する又は適合させることによって、及び/又は追加のモジュールを提供することによって提供することができる。装置は、コンピュータメモリ、コンピュータディスク、ROM、PROMなど、又はこれらの何らかの組み合わせ又は他の記憶媒体などの機械可読記憶媒体の中に又はその上に記憶された1又は複数のコンピュータプログラムの形態の命令及びデータを含む、命令を実行しデータを使用するための、コンピュータ、コンピュータのネットワーク、又は1又は2以上のプロセッサを備えることができる。
【0051】
真空システム2によって実行可能な制御プロセスの一実施形態は、
図3を参照して説明されることになる。
図3のフローチャートに示され以下に説明される処理ステップのいくつかは省略することができ、又はそのような処理ステップは、以下に提示され
図3に示されるものとは異なる順序で実行することができることに留意されたい。さらに、全ての処理ステップは、便宜上、理解を容易にするために、離散的な時間的に連続したステップとして示されるが、処理ステップのいくつかは、実際には同時に又は少なくとも時間的にある程度重複して実行することができる。
【0052】
図3は、真空システム2によって実施される制御プロセスの一実施形態の特定のステップを示す処理フローチャートである。
【0053】
本実施形態では、
図3の処理の間、液体リングポンプ10は「オン」である、すなわち液体リングポンプ10は、設備4からガスを引き込むように作動する。
【0054】
ステップs2において、第1のセンサ81は、第1の圧力P1を測定し、第1の圧力P1は、吸引ライン34を流れるガスの圧力、すなわち、液体リングポンプ10の作用によって設備4から送り出されるガスの圧力P1である。
【0055】
ステップs4において、第1のセンサ81は、第1のセンサ接続部83を介して、第1の圧力測定値P1を制御装置20に送る。
【0056】
ステップs6において、第2のセンサ82は、第1の温度T1を測定する。第1の温度T1は、第1の作動液パイプ40を介して液体リングポンプ10が受け取る作動液の温度である。
【0057】
ステップs8において、第2のセンサ82は、第2のセンサ接続部84を介して、第1の温度測定値T1を制御装置20に送る。
【0058】
ステップs10において、制御装置20は、測定された第1の温度T
1を用いて、液体リングポンプ10内の作動液の蒸気圧(飽和圧とも呼ばれる)を計算、決定、又は推定する。本実施形態では、作動液は水であり、制御装置20は、第1の温度T
1に対する水の蒸気圧を決定する(以下「水蒸気圧P
wv」と呼ぶ)。本実施形態では、水蒸気圧P
wvは、近似式、詳細にはアントワン式(Antoine formula)を用いて決定される。水蒸気圧P
wvは、
【数1】
で決定される。
【0059】
ここで、Aは、制御装置20に知られている一定値である。例えば、Aは、7.07406とすることができる。
Bは、制御装置20に知られている一定値である。例えば、Bは、1657.46とすることができる。
Cは、制御装置20に知られている一定値である。例えば、Cは、227.02とすることができる。
T1は、測定された第1の温度である。
【0060】
いくつかの実施形態では、パラメータA、B、及びCのうちの1又は2以上は、上記で与えられた値とは異なる値を有することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、随意的に、制御装置20は、決定された水蒸気圧Pwvにいわゆるオフセット値を追加することができ、この値は、後続のステップで使用することができる。換言すると、制御装置20は、更新された圧力値P=Pwv+Poffsetを計算して使用することができ、ここでPoffsetはオフセット値である。オフセット値Poffsetは、安全マージンと考えることができる。オフセット値Poffsetは、1mbarと10mbarとの間の値、例えば、1mbar、2mbar、3mbar、4mbar、5mbar、6mbar、7mbar、8mbar、9mbar、又は10mbarを含むがこれらに限定されない何らかの適切な値とすることができる。いくつかの実施形態では、オフセット値Poffsetの使用は省略される。
【0062】
ステップs12において、制御装置20は、計算された水蒸気圧Pwvを第1の圧力測定値P1と比較する。例えば、制御装置20は、計算された水蒸気圧Pwvと第1の圧力測定値P1との間の差ΔPを決定することができる、すなわち、ΔP=Pwv-P1である。
【0063】
本実施形態では、ΔPの大きさが所定の圧力閾値Pthres以下であれば(すなわち、|ΔP|≦Pthresであれば)、方法はステップs14へ進む。換言すると、制御装置20が、液体リングポンプ10の入口圧力P1が水蒸気圧力Pwvに近い(すなわち、閾値距離、Pthres以内)と決定した場合、方法はステップs14に進む。
【0064】
一方、ΔPの大きさが所定の圧力閾値、Pthresより大きい場合(すなわち、|ΔP|>Pthresである場合)、方法はステップs18に進む。換言すると、制御装置20が、液体リングポンプ10の入口圧力P1が水蒸気圧力Pwvに近くないと決定した場合、方法はステップs18に進む。ステップs18は、ステップs14-16の説明の後に、以下に詳細に説明される。
【0065】
所定の圧力閾値Pthresは、何らかの適切な値、例えば、20mbarとすることができる。所定の圧力閾値Pthresは、調整可能又は可変とすることができる。
【0066】
ステップs14において、ΔPの大きさが所定の圧力閾値Pthres以下であるという決定に応答して、制御装置20は、第3の接続部70を介して、第1の弁8を開くように(既に開いている場合は開いたままとなるように)制御する。
【0067】
ステップs16において、液体リングポンプ10は、そのガス入口108を介して、チャンバ102内に空気を引き込む。空気は、空気パイプ36を通り、開いている第1の弁8及びサイレンサ9を介して液体リングポンプ10に引き込まれる。空気は、液体リングポンプ10の動作に起因してチャンバ102内のガス圧が低下する結果として、空気パイプ36を通って液体リングポンプ10に引き込まれる傾向がある。サイレンサ9は、液体リングポンプ10が空気パイプ36を介して空気を引き込むことに関連する騒音を低減するのに役立つ。
【0068】
ステップs16における液体リングポンプ10への空気の導入は、有利には、液体リングポンプ10内の流体の圧力の上昇を引き起こすのに役立つ。従って、第1のセンサ81によって測定される第1の圧力P1は、大きくなる傾向がある。従って、誤差値ΔPは大きくなる傾向がある。
【0069】
誤差値ΔPが大きくなることは、第1の圧力P1と水蒸気圧Pwvとの差が大きくなることを意味する。換言すると、液体リングポンプが受け入れるガスの圧力は、水蒸気圧Pwvから離れる。これは、有利には、入口ガスが液体リングポンプ10内でキャビテーションを引き起こす可能性を低くするのに役立つ。
【0070】
ステップs16の後、
図3のプロセスは、例えば、真空システム2が停止するまで繰り返される。
図3のプロセスは、断続的に実行すること、又はより好ましくは、真空システム2の動作中に継続的に実行することができる。
【0071】
ここでステップs12に戻ると、制御装置20が、ΔPの大きさが所定の圧力閾値Pthresより大きいと決定した場合、ステップs18において、制御装置20は、第3の接続部70を介して、第1の弁8を閉じるように(既に閉じている場合は閉じたままとなるように)制御する。
【0072】
従って、空気は、空気パイプ36を介して液体リングポンプ10のチャンバ102に引き込まれない。従って、液体リングポンプ内の流体の圧力は、チャンバ102への空気の導入によって上昇することはない。
このように、真空システム2が実施するアンチキャビテーションプロセスの一実施形態が提供される。
【0073】
上述の方法は、制御装置の制御の下で自動的に実行することができる。
【0074】
有利には、上述のシステム及び第2の制御プロセスは、液体リングポンプ内の流体温度及び圧力の制御を可能にするのに役立つ。
【0075】
上述のシステム及び第2の制御プロセスは、有利には、液体リングポンプの信頼性の向上に役立つ。
【0076】
上述のシステム及び第2の制御プロセスは、有利には、液体リングポンプ内で発生するキャビテーションの可能性及び/又は深刻さを低減するのに役立つ。例えば、キャビテーションは、入口圧力(すなわち、吸引ラインからのガスの圧力)が液体リングポンプ内の作動液の蒸気圧以下であることによって、液体リングポンプ内で引き起こされる場合がある。上述の第2の制御プロセスは、有利には、入口圧力を作動液の蒸気圧から遠ざけるように調整するのに役立ち、それによって、キャビテーションが発生する可能性が低くなる。従って、キャビテーションに起因する液体リングポンプの損傷は、低減又は排除される。
【0077】
逆止弁は、有利には、ガス及び作動液の望ましくない逆流を阻止又は妨害し、VFDを用いて動作する液体リングポンプに特に有利である。
【0078】
上記の実施形態では、真空システムは、
図1を参照して上述した要素を備える。しかしながら、他の実施形態では、真空システムは、上述した要素の代わりに、又はそれに加えて、他の要素を備える。また、他の実施形態では、真空システムの要素の一部又は全部を、上述した方法とは異なる適切な方法で共に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、複数の液体リングポンプを実装することができる。
【0079】
上記の実施形態では、逆止弁6、第1の弁8、及び液体リングポンプ10は、別個の個別の装置である。しかしながら、いくつかの実施形態では、液体リングポンプは、例えば液体リングポンプの入口マニホールドに統合された逆止弁を有することができる。いくつかの実施形態では、液体リングポンプは、例えば液体リングポンプの入口マニホールドに、統合された第1の弁を有することができる。いくつかの実施形態では、液体リングポンプは、例えば液体リングポンプの入口マニホールドに、統合された逆止弁及び統合された第1の弁の両方を有することができる。
【0080】
一体化された又は統合された逆止弁及び/又は第1の弁を有する液体リングポンプの入口マニホールドは、有利には、逆止弁及び/又は第1の弁を収容する別のパイプ部分の使用を低減又は排除するのに役立つ。この別個の逆止弁パイプ部分及び/又は第1の弁のパイプ部分を避けることは、例えば液体リングポンプと液体リングポンプによって送り出されるガスの供給源との間に形成される接続部(例えばジョイント)がより少なくなることを意味する。このことは、結果として高さなどの全体的な設置サイズを小さくするのに役立つ。また、漏れのリスクは、上記の接続数の減少により低減する。従って、液体リングポンプの効率が向上する。また、弁を収容する別のパイプ部分の使用が低減又は排除されるため、例えば、液体リングポンプに関連する材料コストは低減される。さらに、逆止弁及び/又は第1の弁の統合は、液体リングポンプの所定場所への設置の際の人為的なミスを防ぐのに役立つ。
【0081】
加えて、入口マニホールドに統合された逆止弁及び/又は第1の弁は、有利には、別のパイプ部分に収容される逆止弁よりも、ガスの流れをより少なく制限する。
【0082】
上記の実施形態では、システムは、サイレンサを備える。しかしながら、他の実施形態では、サイレンサは省略される。
【0083】
上記の実施形態では、空気は、空気パイプ及び第1の弁を介して液体リングポンプに真空引き(bleed)される。しかしながら、他の実施形態では、異なるガスが液体リングポンプに導入される。例えば、窒素などの不活性ガスを使用することができる。いくつかの実施形態では、流体(例えば、空気)は、上記とは異なる位置で液体リングポンプに導入することができる。
【0084】
上記の実施形態において、逆止弁は、空気パイプを介した液体リングポンプへの空気の流れを阻止又は妨害しない。いくつかの実施形態では、逆止弁は、空気パイプを介した液体リングポンプへの空気の流れに大きな影響を与えず、この空気の流れは、もっぱら第1の弁を介して制御される。しかしながら、他の実施形態では、逆止弁は、逆止弁がその閉位置にある場合に、空気パイプが、空気が空気パイプを介して液体リングポンプに流入できるように開くように、及び、逆止弁がその開位置にある場合に、空気パイプが、空気が空気パイプを介して液体リングポンプに流入しないように逆止弁で閉じられるように、構成することができる。
【0085】
上記の実施形態では、熱交換器は、そこを流れる作動液を冷却する。しかしながら、他の実施形態では、熱交換器の代わりに又はそれに加えて、液体リングポンプが受け取る前に作動液を冷却する他の冷却手段が実装される。
【0086】
上記の実施形態では、作動液を液体リングポンプに再循環させるために分離器が実装される。しかしながら、他の実施形態では、異なるタイプの再循環技術が実施される。作動液の再循環は、有利には、運転コスト及び水の使用量を低減するのに役立つ。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、作動液の再循環は行わない。例えば、真空システムは、新鮮な作動液が液体リングポンプに供給され、排出された作動液が廃棄される開ループ作動液循環システムを含むことができる。従って、分離器は省略することができる。
【0087】
上記の実施形態では、液体リングポンプは、単段式液体リングポンプである。しかしながら、他の実施形態では、液体リングポンプは、異なるタイプの液体リングポンプ、例えば多段式液体リングポンプである。
【0088】
上記の実施形態では、作動液は水である。しかしながら、他の実施形態では、作動液は、異なるタイプの作動液、例えばオイルである。
【0089】
制御装置は、比例-積分(PI)制御装置、比例(P)制御装置、積分(I)制御装置、微分(D)制御装置、比例-微分(PD)制御装置、比例-積分-微分(PID)制御装置、ファジー論理制御装置、又は何らかの他のタイプの制御装置とすることができる。
【0090】
上記の実施形態では、単一の制御装置が、複数のシステム要素(例えば、モータ)の動作を制御する。しかしながら、他の実施形態では、複数の制御装置を使用することができ、各々は、要素群のそれぞれのサブセットを制御する。
【0091】
上記実施形態では、ポンプは、液体リングポンプへの作動液の流れを調整又は調節するように制御される。しかしながら、他の実施形態では、ポンプの代わりに又はそれに加えて、1又は2以上の異なるタイプの調整装置、例えば作動液の流れを制御するための1又は2以上の弁が実装される。制御装置は、1又は2以上の調整装置の動作を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、作動液の流れは、調整又は調節されず、ポンプの真空入口圧力によって引き込まれる。
【0092】
上記の実施形態では、水蒸気圧Pwvを推定するためにアントワン方程式が使用される。しかしながら、他の実施形態では、水蒸気圧は、例えば、August-Roche-Magnus(又はMagnus-Tetens又はMagnus)方程式、Tetens方程式、Buck方程式、又はGoff-Gratch方程式などの異なる近似式を用いて、異なる適切な方法で計算、決定、推定、又は確定される。
【0093】
上記の実施形態では、水蒸気圧Pwvは、第2のセンサによって測定される第1の温度T1に基づいて決定される。第2のセンサは、熱交換器と液体リングポンプとの間の第1の作動液パイプに接続される。他の実施形態では、第2のセンサは、異なる位置を有する。例えば、第2のセンサは、液体リングポンプの内部にあるか又は一体になることができ、液体リングポンプ内の作動液の温度を測定するように配置することができる。いくつかの実施形態では、水蒸気圧Pwvは、異なる温度に基づいて、すなわち液体リングポンプが受け取る作動液の温度T1とは異なる温度に基づいて決定される。例えば、いくつかの実施形態では、制御装置20は、排出ライン38を流れる液体リングポンプ10の排出流体の測定温度、すなわち液体リングポンプ10によって分離器14に送り出される空気と水の混合物の温度を用いて、液体リングポンプ10内の作動液の蒸気圧を決定又は推定する。この排出ライン38を流れる液体リングポンプ10の排出流体の温度は、液体リングポンプ10と分離器14との間の排出ライン38に接続された温度センサによって測定することができる。この温度センサは、何らかの適切なタイプの温度センサとすることができ、電線又は光ファイバー、又は無線接続を含むがこれらに限定されない何らかの適切なタイプの接続部によって制御装置20に接続することができる。
【0094】
上記の実施形態では、誤差値ΔPは、ΔP=Pwv-P1として決定される。しかしながら、他の実施形態では、誤差値は、例えば、異なる適切な式を使用して、異なる方法で決定される。例えば、誤差値は、第1の圧力P1及び/又は水蒸気圧Pwv及び/又は第1の温度T1の異なる関数とすることができる。いくつかの実施形態では、測定された圧力P1及び/又は水蒸気圧Pwvに重みを適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
2 真空システム
4 設備
6 逆止弁
8 第1のバルブ
9 サイレンサ
10 液体リングポンプ
12 モータ
14 分離器
16 ポンプシステム
18 熱交換器
20 制御装置
34 吸引ライン
36 空気パイプ
38 排出ライン
40 第1の作動液パイプ
42 システム出口パイプ
44 さらなる入口
46 第2の弁
48 第2の作動液パイプ
50 オーバーフローパイプ
52 排出パイプ
54 第3の弁
56 レベル指示器
58 第3の作動液パイプ
60 冷却剤入口
62 冷却剤出口
66 第1の接続部
68 第2の接続部
70 第3の接続部
81 第1のセンサ
82 第2のセンサ
83 第1のセンサ接続部
84 第2のセンサ接続部
100 ハウジング
102 チャンバ
104 軸
106 インペラ
108 ガス入口
201 第1の可変周波数駆動
202 第2の可変周波数駆動
【国際調査報告】