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特表2023-534906第1切削インサート又はアダプタをホルダにクランプする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】第1切削インサート又はアダプタをホルダにクランプする方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/04 20060101AFI20230807BHJP
   B23B 27/16 20060101ALI20230807BHJP
   B23B 27/04 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B23B29/04 A
B23B27/16 B
B23B27/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579907
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 IL2021050870
(87)【国際公開番号】W WO2022018717
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/054,081
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
(72)【発明者】
【氏名】エルリッヒ,イーライ
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046AA00
3C046EE14
3C046MM01
(57)【要約】
ホルダに第1切削インサート又はアダプタをクランプする方法。ホルダは、2つの異なる直交方向において機械加工するように構成された2つのインサートポケットを含む、又は、ホルダは、2つの異なる直交方向にアダプタを保持するように構成された単一のインサートポケットを含む。方法は、機械加工するための2つの直交方向のうちの一方を選択するステップと、2つのポケットのうちの適切な一方に第1切削インサートを固定するステップ、又は、選択された直交方向で機械加工するためのアダプタポケットにアダプタを固定するステップと、含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダに第1切削インサート又はアダプタをクランプする方法であって、前記ホルダは、2つの異なる直交方向のうちの一方においてワークピースを機械加工するように各々構成された第1インサートポケット及び第2インサートポケットを備える、又は、前記ホルダは、2つの異なる直交方向のうちの一方においてワークピースを機械加工するように各々構成された第1向き及び第2向きに前記アダプタを保持するように構成された単一のアダプタポケットを備え、前記方法は、
(a)第1直交方向を選択するステップと、
(b)選択された前記第1直交方向において機械加工するために前記第1インサートポケットに前記第1切削インサートを固定するステップ、又は、
選択された前記第1直交方向において機械加工するために前記アダプタポケットに前記第1向きに前記アダプタを固定するステップ、のいずれかと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1切削インサートが前記第1インサートポケットにまだ取り付けられている間に前記第2インサートポケットに前記第2切削インサートを固定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1切削インサートで前記ワークピースを機械加工するために前記第1直交方向に前記ホルダを移動させるステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1切削インサートで前記ワークピースを機械加工するために前記第1直交方向に前記ホルダを移動させるステップに続いて、前記第2切削インサートで前記ワークピースを機械加工するために前記第2直交方向に前記ホルダを移動させるステップをさらに含む、請求項2に従属する場合の請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1切削インサートで機械加工する場合に第1方向に前記ワークピースを回転させるステップと、前記第2切削インサートで機械加工する場合に反対の第2方向に前記ワークピースを回転させるステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アダプタは、インサートポケットと、前記インサートポケットに取り付けられた切削インサートと、を備え、方法は、前記切削インサートを介して前記アダプタで前記ワークピースを機械加工するために前記第1直交方向に前記ホルダを移動させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アダプタポケットから前記アダプタを取り外すステップと、及び続いて、前記アダプタポケットに前記第2向きに前記アダプタを固定するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アダプタは、インサートポケットと、前記インサートポケットに取り付けられた切削インサートと、を備え、方法は、前記切削インサートを介して前記アダプタで前記ワークピースを機械加工するために前記第2直交方向に前記ホルダを移動させるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1直交方向及び前記第2直交方向における前記機械加工は、同じ前記切削インサートの使用によって実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アダプタポケットから前記アダプタを取り外すステップの後であるが、前記アダプタポケットに前記第2向きに前記アダプタを固定する前に、2ステップシーケンスは、前記アダプタの1回の回転及び1回の反転を備える、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アダプタは、インサートポケットと、前記インサートポケットに取り付けられた切削インサートと、を備え、前記アダプタポケットから前記アダプタを取り外すステップの後であるが、前記アダプタポケットに前記第2向きに前記アダプタを固定する前に、前記切削インサートの最前方切れ刃が単一の位置に保持され、かつ、前記インサート及び前記インサートが取り付けられる前記アダプタは、180°だけ前部の前記切れ刃を中心に旋回させられる、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1向きにおいて前記アダプタで機械加工する場合に第1回転方向に前記ワークピースを回転させるステップと、前記第2向きにおいて前記アダプタで機械加工する場合に反対の第2方向に前記ワークピースを回転させるステップと、を含む、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アダプタは、前記アダプタポケットに固定され、前記アダプタポケットは複数の孔を備え、前記方法は、すべての前記複数の孔よりも少ない孔を使用して前記アダプタポケットに前記第1向きに前記アダプタを固定するステップを含む、請求項1、6~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1向きにおいて前記アダプタポケットに前記アダプタを固定するステップに続いて、前記アダプタは、取り外され、かつ、すべての前記複数の孔よりも少ない孔を使用して、前記第1向きに前記アダプタを固定するために使用される前記複数の孔のうちの少なくとも1つを使用しないで、前記アダプタポケットに前記第2向きに固定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アダプタは前記アダプタポケットに固定され、前記アダプタはアダプタ凹部を備え、前記アダプタポケットは、前記アダプタポケットに前記第2向きに前記アダプタを取り付けることを阻止するためのポケット突起を備え、前記方法は、前記ポケット突起が前記アダプタ凹部内に突出した状態で前記アダプタポケットに前記アダプタを固定するステップを含む、請求項1、6~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アダプタ凹部は前記アダプタのインサートポケットである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アダプタは複数のインサーポケットを備え、方法は、前記複数のインサートポケットのうちの2以上を使用することによって前記第1直交方向及び前記第2直交方向のうちの少なくとも一方において機械加工が実行されるステップを含む、請求項1、6~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アダプタポケットに前記第1向きに前記アダプタを固定するステップと、前記ホルダに作動可能に接続されたCNCマシンに2以上のオフセットを最初に提供することなく、第1機械加工ステップにおいて前記ワークピースに機械加工するステップと、を含む、請求項1、6~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記機械加工するステップは、前記ホルダに作動可能に接続されたCNCマシンに最初にいかなるオフセットも提供することなく実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アダプタを取り外すステップと、及びその後、再び前記CNCマシンに2以上のオフセットを提供することなく、第2機械加工ステップにおいて前記ワークピースをさらに機械加工するために前記2つの向きの第2向きに前記アダプタを固定するステップと、をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記機械加工するステップは、前記ホルダに作動可能に接続されたCNCマシンに対していかなるオフセットも最初に提供することなく実行される、請求項20に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明の主題は、概して、Y軸送り方向に沿った機械加工工程のために構成されたホルダに関する。ホルダは、切削インサート(以下、「インサート」ともいう。)又はインサートを保持するように構成されたアダプタのいずれかを保持するように構成されたポケットを有している。本発明はまた、前記ホルダ及び切削インサート、又は、前記ホルダ、アダプタ及びホルダによって保持された切削インサートを備える工具アセンブリ、並びに、ホルダに切削インサート又はアダプタを取り付ける方法、及び/又は、工具アセンブリを用いて機械加工する方法に関する。
【0002】
[002] より具体的には、本発明は、突切りブレード(以下、「ブレード」又は「突切りアダプタ」ともいう。)である好ましいタイプのアダプタに関し、かつ、そのような場合の突切りアダプタ、ホルダ、並びに、突切りアダプタ及びホルダを備える工具アセンブリは、Y軸送り方向に沿った突切り及び溝入れ加工のために構成される。
【背景技術】
【0003】
[003] 本願は、工具アセンブリ、及び、いわゆるY軸送り方向における機械加工工程に関する。
【0004】
[004] このような工程は、例えば、Y軸ブレード部分を対象とする米国特許出願公開第2020/0009757号、及び、同じ構造に関する機械加工方法を対象とする米国特許出願公開第2019/0358710号(以下、「前記特許公報」という。)に開示されている。
【0005】
[005] 前記特許公報に戻ると、従来の突切り又は深溝入れ工程において振動を低減したいという要望があったことが記載されている。したがって、要約すると、ブレード部分が、ブレード部分に取り付けられた切削インサートの主クリアランス面と基本的に同じ方向に延長される代替のブレード部分が提案されている。
【0006】
[006] 本出願人はまた、本出願人に譲渡された米国特許出願公開第2019/0240741号において、そのような工具についてさらに論じている。
【0007】
[007] 本発明は、改良されたY軸ホルダ及び当該Y軸ホルダを備える工具アセンブリ、並びに、前記アダプタを使用する機械加工方法に関する。特に有利な実施形態では、改良されたY軸アダプタは突切りブレードである。
【発明の概要】
【0008】
[008] Y軸送り方向の機械加工工程が可能なCNCマシンは比較的少ないことがわかっている。
【0009】
[009] したがって、Y軸送り工具は、需要が低く、かつそれ故、その生産数の少なさから比較的高価である。
【0010】
[0010] 指摘されている二次的な問題は、Y軸工具アセンブリの設定が、標準的なX軸工具アセンブリに比べて複雑であり、機械加工工程を開始する前に多数のオフセットが必要とされることである。
【0011】
[0011] 本発明は、Y軸送り方向及びX軸送り方向の両方(以下、簡潔にするために、この概念を「2つの直交方向」という。)の機械加工工程のため構成された、単一のホルダ及び当該ホルダを備える工具アセンブリの開発である。
【0012】
[0012] 本発明は、そのようなホルダに切削インサート又はアダプタを取り付ける方法にも関する。
【0013】
[0013] 1つの有利な実施形態によれば、ホルダは、2つの直交方向においてホルダにインサートを固定するように構成される。前記ホルダは、例えば、第1態様に従って、X軸インサートポケットと、異なるY軸インサートポケットと、を同じホルダに設けることによって構成可能である。別の言い方をすれば、ホルダは、2つのポケットを有するように構成可能であり、各ポケットは、異なる直交方向で機械加工するように構成される。
【0014】
[0014] ホルダは、(以下に詳述する方法で)前記X軸インサートポケット及びY軸インサートポケットが各々に対して直交するように向けられることによって規定され得る。
【0015】
[0015] より正確には、ホルダに第1切削インサート又はアダプタをクランプする方法が提供され、ホルダは、2つの異なる直交方向のうちの一方においてワークピースを機械加工するように各々構成された第1インサートポケット及び第2インサートポケットを備える、又は、ホルダは、2つの異なる直交方向のうちの一方においてワークピースを機械加工するように各々構成された、第1向き及び第2向きにアダプタを保持するように構成された単一のアダプタポケットを備え、方法は:第1直交方向を選択するステップと;選択された第1直交方向において機械加工するために、第1インサートポケットに第1切削インサートを固定するステップ;又は、選択された第1直交方向において機械加工するために、アダプタポケットに第1向きにアダプタを固定するステップのいずれかと、を含む。
【0016】
[0016] 本発明の第2態様によれば、ホルダが提供され、ホルダは:シャンク中心軸線を備えるシャンク部分と;ヘッド部分と、を備え;ヘッド部分は、第1インサートポケット及び第2インサートポケットを備え;第1インサートポケットは、シャンク中心軸線に対して基本的に垂直に延在するベース面と、シャンク中心軸線に対して基本的に平行な長手方向に延在する少なくとも1つのフランク壁と、を備え;第2インサートポケットは、シャンク中心軸線に基本的に平行な長手方向に延在するベース面と、シャンク中心軸線に対して基本的に垂直な方向に延在する少なくとも1つのフランク壁と、を備える。
【0017】
[0017] 代替的に規定すると、本発明の第3態様によれば、ホルダが提供され、ホルダは;シャンク中心軸線を備えるシャンク部分と;ヘッド部分と、を備え;ヘッド部分は、第1インサートポケット及び第2インサートポケットを備え;第1インサートポケットは、シャンク中心軸線に対して基本的に垂直に延在するねじ孔を備え;第2インサートポケットは、シャンク中心軸線に対して基本的に平行に延在するねじ孔を備える。
【0018】
[0018] さらに代替的に規定すると、本発明の第4態様によれば、ホルダが提供され、ホルダは:第1インサートポケットと;第2インサートポケットと、を備え;第1インサートポケットは、第1直交方向に切削インサートを保持するように向けられ;第2インサートポケットは、第1直交方向とは異なる第2直交方向に切削インサートを保持するように向けられる。別の言い方をすれば、第1インサートポケットは、第1方向に切削インサートを保持するように向けられ、第2インサートポケットは、第1方向に直交する第2方向に切削インサートを保持するように向けられる。
【0019】
[0019] 上記の態様のいずれかによれば、特徴は好ましくは以下を含み得る。ホルダは、外部リブが形成されたヘッド部分を備え得る。外部リブは、シャンク部分に隣接して配置され得る。2つの切削インサートがホルダに取り付けられる場合、第1切削インサートのすくい面は、ヘッド部分の端面と実質的に平行であり得、かつ、第2インサートのすくい面は、ヘッド部分の側面に実質的に平行であり得る。
【0020】
[0020] 代替的に、さらなる態様によれば、ホルダは、工具アセンブリ(すなわち、ホルダを備え、かつ、少なくとも1つの切削インサートをさらに含むアセンブリ)として規定され得る。切削インサートは、2つのインサートポケットの2つの直交方向の向きを規定するのに役立つ最前方切れ刃(インサートポケットに取り付けられる場合)を備える。
【0021】
[0021] 特定のCNCマシンでは、ホルダは、1つの向き(例えば、図6Bに例示されるようなX軸送り向き)で保持可能であり、かつ、X軸インサートポケットの第1インサートを用いて、タレット又は工具ポストからホルダを取り外すことなく、機械加工工程を実行することができ、ホルダは、CNCマシンによって再び向けられて、(図6Cに例示されるような)Y軸インサートポケットの第2インサートを用いて機械加工工程を実行することができることが理解される。前記工程は逆の順序で実行可能であることが理解される。
【0022】
[0022] 代替的に、ホルダ(又は工具アセンブリ)は、単純に、X軸送り方向又はY軸送り方向のいずれかでの機械加工にも使用可能である。これにより、メーカは二重用途の工具を大量に生産することができる。さらに、ユーザが維持する必要のある在庫を減らすことができる。
【0023】
[0023] ある好ましい実施形態に係るインサートポケットは同一であり得る(及びしたがって、図6に例示されたものと同じインサートを保持するように構成される)。代替的に、他の好ましい実施形態によれば、インサートポケットは異なり得る(及びしたがって、異なる形状のインサートを保持するように構成される)。
【0024】
[0024] 上述した工具は、多くのユーザが第2インサートポケットの余計な費用を伴うホルダを好まないという点で不利であると考えられ、及びしたがって、標準的なホルダを好む可能性があることが理解される。それにもかかわらず、少なくとも一部のユーザは、Y軸及びX軸の2つの機能が有益であると見出す可能性があると考えられる。
【0025】
[0025] さらに別の利点は、インサートポケットがその上に形成された一体的なホルダが、アダプタにインサートポケットが形成されたアダプタを保持するホルダよりも構造的に剛性が高いことである。別の言い方をすれば、一体的でない部品を有することによって安定性が失われる。
【0026】
[0026] 2つのインサートポケットは、好ましくは、互いに離間され得る(例えば、2つのインサートポケットは、ヘッド部分の正反対の隅部に配置され得る)。しかしながら、2つのインサートポケットが、ホルダの共通の側面にあること、又は、互いに対して直交するように配置されているにもかかわらず、インサートポケットが互いに開いていることさえ実現可能である。
【0027】
[0027] 本発明のさらに別の態様によれば、2つの直交方向においてホルダにアダプタを固定するように構成されたホルダが提供される。
【0028】
[0028] これは、(少なくともコンパクトに設計された工具を用いずに、2つの異なる予測される機械加工方向において最適なサポートを達成することができない)上記の例よりも剛性が低いにも関わらず、有利な実施形態である。しかしながら、アダプタは通常、切削インサートよりもかなり大きいので、最適なサポートのこのような欠点は、2つの異なる直交方向における機械加工を可能にする単一のホルダの利点によって補われると考えられる。
【0029】
[0029] アダプタはインサートポケットを備える。好ましくは、アダプタは、割り出し可能であり、かつ、複数のインサートポケットを備える。
【0030】
[0030] 好ましくは、ホルダは、2つの直交方向の両方でアダプタを固定するように構成された単一のアダプタポケットを備える。
【0031】
[0031] 2つの直交方向の両方に単一のアダプタポケットが使用可能であるので、そのような実施形態は、2つの別個のインサートポケットよりも経済的であり得る。
【0032】
[0032] 単一のアダプタポケットの前記構成は、例えば、アダプタポケットに(2つの直交方向の各々について)追加の孔を設けることによるものであり得る。
【0033】
[0033] 別の言い方をすれば、アダプタポケットは、一方の向きに対して少なくとも1つのクランプ孔を有し、かつ、他方の向きに対して少なくとも1つのクランプ孔を有するように構成され得る。ある好ましい実施形態では、少なくとも1つのクランプ孔は、1つの向きでクランプされる場合には使用されない。
【0034】
[0034] 代替的に、前記単一のアダプタポケットは、アダプタポケットにアダプタを保持する(米国特許出願公開第2019/0240741号の図12Aに示すタイプの)外部クランプ又はウェッジを備え得る。両方の向きでアダプタを保持するようにホルダを構成するため、クランプは、好ましくは、インサートポケットの隅部にアダプタを付勢するように構成される。代替的に、クランプは、特定の向きに適したアダプタポケットの側面で使用され得る。
【0035】
[0035] 上述の実施形態は、切削工程中に2つの直交方向に工具アセンブリを移動させることを可能にするが、設定中に必要とされるオフセットが少なくなるようにアダプタを位置決めすることが考えられた。
【0036】
[0036] 詳述すると、アダプタがホルダに取り付けられる場合、少なくとも1つの軸線に沿って、2つの向きのうちの少なくとも一方においてオフセットを必要としないように、ホルダ及びアダプタが構成され得る。例えば、ホルダが主に図1Aに示すようにX軸送り機械加工のために構成されている場合、かつ、アダプタが図1Aに示すように固定される場合、CNCマシンにオフセットを入力する必要はない。また、同じアダプタが、図2に示すようにY軸送り機械加工方向に変更される場合、Y軸送り方向ではなくX軸方向にオフセットを設ける必要がある。対照的に、米国特許出願公開第2019/0240741号に示されているものと基本的に同様の修正されたポケットである図5に示すポケットでは、各向きに2つのオフセットが必要とされる。
【0037】
[0037] より好ましくは、特に有利な一実施形態によれば、アダプタがホルダに取り付けられる場合、少なくとも1つの軸線に沿って、2つの向きの両方でオフセットが必要とされないように、ホルダ及びアダプタが構成される。したがって、例えば、ホルダが主に図1Aに示すようにX軸送り機械加工用に構成され、かつ、アダプタが図1Aに示すように固定される場合、CNCマシンにオフセットを入力する必要はまったくない。また、図2に示すようなY軸送り機械加工方向では、X軸方向に1つのみのオフセットを設ける必要がある。これにより、そのようなホルダ及び/又は工具アセンブリの操作の使いやすさが大幅に改善されることが理解される。
【0038】
[0038] 上記開発に加えて、そのようなアダプタが誤ってホルダに不正確に固定され得ることが判明した(例えば、アダプタは、X軸送り操作のためにホルダに固定され、その後、Y軸方向に操作され得る)。そのような事態を防ぐため、不正確な組み立てを防止する機構を設けることが考えられた。
【0039】
[0039] 1つの好ましい態様は、ホルダのポケットにいわゆる「ポケット突起」を設け、ポケット突起は、ポケット内に突出し、かつ、アダプタがその中に不正確に(間違った向きで)挿入されるのを防止する。別の言い方をすれば、ポケット突起は、アダプタの一方の直交向きではアダプタの凹部に収容されるが、他方では収容されない。
【0040】
[0040] 好ましくは、ポケット突起は、必要に応じてユーザが別の向きを使用することができるように、取り外し可能及び再び取り付け可能である。図示の例では、ポケット突起は、基本的に円筒形又は円筒形の形状を有する取り外し可能なピンである。しかしながら、ポケット突起は円筒形である必要はなく、他のピン形状が考えられることが理解される。
【0041】
[0041] 好ましくは、アダプタの凹部は、アダプタがアダプタポケットに容易に配置可能であるように非円筒形状を有する。
【0042】
[0042] 好ましくは、アダプタの凹部は未使用のインサートポケットであり、したがって、アダプタ自体には、その構造を弱めたり複雑にしたりし得る追加の凹部を設ける必要がない。
【0043】
[0043] 突切り工程のための特定の有利な実施形態が示されているが、必要な変更を加えて、アダプタが、2つの異なる向きで旋削インサートを保持することも可能である。
【0044】
[0044] 上記オフセットを詳述すると、標準的なX軸送り突切りブレード(又は「突切りアダプタ」)は、ホルダ(機械インタフェースに固定されている)に固定され得、突切り工程は、工具アセンブリの位置をオフセットすること(すなわち、切れ刃の非ゼロ位置の設定を調整するため、以後、「オフセット」という。)を必要とせずに開始可能であり、既知のY軸工具アセンブリでは、X軸及びY軸の両方に沿ってオフセットが必要とされる。
【0045】
[0045] したがって、本発明は、好ましくは細長くない、好ましくは割り出し可能なアダプタが、現在知られているよりもオフセットが少ないことを可能にする。
【0046】
[0046] Y軸送り機械加工が可能なマシンは、両方の前記オフセットを提供することができるが、ユーザの複雑さを低減するために単一オフセット工具アセンブリを提供することにより、設定の複雑さを低減することが考えられた。設定は、いかなるオフセットも必要としないX軸送り工具アセンブリよりも複雑であるが、それでもY軸安定性(振動の低減)の利点を提供することができる。
【0047】
[0047] ある好ましい実施形態によれば、工具アセンブリが提供され、工具アセンブリは:突切りアダプタと;突切りアダプタのインサートポケットに固定され、かつ、最前方切れ刃を備える切削インサートと;最上方ホルダシャンク面及びホルダシャンク断面形状を備えるホルダシャンク部分を備えるホルダと、を備え;ホルダシャンク断面形状が正方形又は長方形であり、かつ、最前方切れ刃が、最上方ホルダシャンク表面に位置合わせされる;又は、ホルダシャンク断面形状が円形であり、かつ、ホルダシャンク軸線が最前方切れ刃まで延在する。
【0048】
[0048] 本発明の別の態様によれば、ホルダが提供され、ホルダは:シャンク中心軸線を備えるシャンク部分と;ヘッド部分と、を備え;ヘッド部分はアダプタポケットを備え;アダプタポケットは:第1向きのための複数の第1孔と;第2向きのための複数の第2孔と、を備え、複数の第1孔及び複数の第2孔は鏡面対称に位置決めされる。
【0049】
[0049] 本発明の別の態様によれば、ホルダが提供され、ホルダは:シャンク中心軸線を備えるシャンク部分と;ヘッド部分と、を備え;ヘッド部分はアダプタポケットを備え;アダプタポケットは:第1向きのための複数の第1孔と;第2向きのための複数の第2孔と、を備え;複数の第1孔の間隔は複数の第2孔の間隔と同じであり;複数の第1孔及び複数の第2孔は互いに対してシフトされる。
【0050】
[0050] 本発明の別の態様によれば、工具アセンブリが提供され、工具アセンブリは:アダプタポケットを備えるホルダと;アダプタと、を備え;ホルダ及びアダプタは、アダプタがアダプタポケットに2つの異なる直交方向に取り付け可能であるように構成される。
【0051】
[0051 ホルダは、記載された態様のいずれかによるものであり得る。
【0052】
[0052] アダプタは、複数の第1孔のうちの少なくとも1つの孔を介して第1直交位置でアダプタポケットに取り付けられるように構成可能であり、かつ、複数の第2孔のうちの少なくとも1つを介して異なる直交位置でアダプタポケットに取り付けられるように構成可能である。
【0053】
[0053] アダプタは、複数の第1孔のみを介して第1直交位置でアダプタポケットに取り付けられるように構成可能であり、かつ、複数の第2孔のみを介して異なる直交位置でアダプタポケットに取り付けられるように構成可能である。
【0054】
[0054] アダプタの取り付け方法としては以下のようなものがあり得る。アダプタは、前記複数の孔のすべてよりも少ない数を使用して、第1向きにアダプタポケットに固定可能である。その後、アダプタは、取り外され、かつ、第1向きにアダプタを固定するために使用される複数の孔のうちの少なくとも1つを使用せずに、前記複数の孔のすべてよりも少ない数の孔を使用して第2向きにアダプタポケットに固定可能である。
【0055】
[0055] アダプタは、第1直交向きにアダプタポケットに取り付けられるように構成可能であり、かつ、異なる直交方向にアダプタポケットに取り付けられることをポケット突起によって妨げられるように構成される。ポケット突起が取り外されれば、アダプタは、異なる直交向きにアダプタポケットに取り付けられ得る。
【0056】
[0056] 好ましくは、ポケット突起は、第1直交向きにおいて、アダプタポケットに対して第1直交向きに取り付けられたアダプタのインサートポケット内にポケット突起が突出するように位置決めされる。
【0057】
[0057] 特に、正方形又は長方形のホルダシャンク(業界で標準的なシャンクタイプである)の場合、明確にするため、当技術分野で知られているように、最上方ホルダシャンク面は、通常、標準的なX軸ホルダの最前方切れ刃に位置合わせされる。ただし、Y軸直交向きの切れ刃にも位置合わせされるために、同じホルダシャンク面(Y軸送り方向のみを考慮した場合、「最前方ホルダシャンク面」といわれる;本明細書では、X軸が基準とされるので、名称、最前方ホルダシャンク面が使用される)用に構成されているY軸工具アセンブリは知られていない。さらに、アダプタを2つの異なる直交方向に保持するための工具アセンブリは知られていない。
【0058】
[0058] 上記の前記構成により、最前方切れ刃が最上方ホルダシャンク面に位置合わせされることを可能にし、それにより、工具アセンブリは、必要に応じてX軸方向(すなわち、ホルダシャンク部分の延長方向に平行な方向)にオフセットされるだけで済む。
【0059】
[0059] 「円形」として言及されている代替の断面形状は、ISO規格26623-1又はISO12164-3で説明されているタイプに従って、基本的に円筒形又は基本的に円錐形のシャンク断面を規定する簡単な方法である。これも業界で標準のシャンクタイプであることが理解される。このようなシャンクタイプの場合、最前方切れ刃が中心ホルダシャンク軸線に位置合わせされ、それによって、必要に応じて、工具アセンブリが1方向、すなわち、X軸方向にオフセットされるだけで済む。
【0060】
[0060] 代替のオプションは同じ概念であり、使用される2つの主要なシャンクタイプ(すなわち、アライメント位置が円形タイプシャンクの中心にある、又は、正方形/長方形タイプシャンクの前にある)を説明するだけである。「円形」という用語はさまざまなシャンクタイプに及ぶが、本質的には、アライメント位置がシャンクの中心に沿っていることを意味することが理解される。
【0061】
[0061] 別の好ましい実施形態によれば、工具アセンブリが提供され、工具アセンブリは:突切りアダプタと;切削インサートと;ホルダと、を備え;突切りアダプタは、反対の第1側面及び第2側面と;第1側面及び第2側面を接続する周縁と、を備え;周縁は、反対の前部副縁部及び後部副縁部と;前部副縁部及び後部副縁部を接続する上部副縁部と、を備え;第1側面及び第2側面は、第1側面から第2側面に向けられる第1横方向と、第1横方向と反対の第2横方向と、を規定し;前方向は、第1横方向及び第2横方向に対して垂直に規定され、かつ、後部副縁部から前部副縁部に向けられ、後方向は前方向とは反対であり;上方向は、第1横方向及び第2横方向の両方に対して、かつ、前方向及び後方向に対して垂直に規定され;下方向は上方向とは反対に規定され;前部副縁部及び上部副縁部の交線にインサートポケットが形成され;インサートポケットは:最前方ベースジョー面を備えるベースジョーと;ベースシートジョーの上方に少なくとも部分的に配置される第2ジョーと;ベースジョー及び第2ジョーを接続するスロット端と、を備え;アダプタシャンク部分はアダプタクランプ装置を備え;切削インサートはインサートポケットに固定され、かつ、切削インサートは:ベースジョーに当接するインサートベース面と;インサートベース面の上方に配置された上向きのすくい面と;第2ジョーに隣接するインサート第2面と;すくい面から下方に延在する最前方クリアランス面と;すくい面及び最前方クリアランス面の交線に形成された最前方切れ刃と、を備え;ホルダは:ホルダヘッド部分と;ホルダヘッド部分に接続されたホルダシャンク部分と、を備え;ホルダヘッド部分は:アダプタシャンク部分が固定されるアダプタポケットを備え;ホルダシャンク部分は:ホルダシャンクの中心を通って延在し、かつ、上方向及び下方向に平行に延在するホルダシャンク軸線と;ホルダシャンク軸線に垂直に延在し、かつ、(a)正方形又は長方形若しくは(b)円形のいずれかであるホルダシャンク断面形状と;最上方ホルダシャンク面と、を備え;仮想線は、最上方ホルダシャンク面から延在し;ホルダシャンク断面形状が正方形又は長方形であり、かつ、最前方切れ刃が最上方ホルダシャンク面に位置合わせされる;又は、ホルダシャンク断面形状が円形であり、かつ、ホルダシャンク軸線が最前方切れ刃まで延在する。
【0062】
[0062] 本発明のさらに別の態様によれば、それを中心にワークピースが回転するように構成された中心回転軸線(AW)を有するワークピースを、作動切削インサートを有する切削工具を用いて機械加工する方法が提供され、切削工具は、ワークピースに対して第1切削方向又は第2切削方向のいずれかで中心回転軸線(AW)に向かって選択的に移動させられるように構成され、第1切削方向及び第2切削方向は、中心回転軸線(AW)に対して垂直であり、かつ、互いに垂直であり、方法は:シャンク部分及びヘッド部分を有する工具ホルダを備える切削工具を提供するステップであって、シャンク部分が機械インタフェース内に保持され、ヘッド部分がその中に取り付けられた作動切削インサートを有する、切削工具を提供するステップと;作動切削インサートが受ける切削力がヘッド部分から機械インタフェースへの方向に横方向に向けられるように、第1回転方向にワークピースが回転している間に第1切削方向において、又は、作動切削インサートが受ける切削力がヘッド部分から機械インタフェースへの方向に平行に向けられるように、第1回転方向とは反対の第2回転方向にワークピースが回転している間に第2切削方向において、のいずれかでワークピースを機械加工するために、ワークピースに対して切削工具を選択的に移動させるステップと、を含む。
【0063】
[0063] ヘッド部分は、端面と、両方とも端面に向かって開いている第1インサートポケット及び第2インサートポケットと、を備え得、第1インサートポケット及び第2インサートポケットは同一であり、それぞれ、第1切削インサート及び第2切削インサートがその中に着座し;切削工具が第1切削方向に移動させられる場合、第1切削インサートが作動切削インサートであり;切削工具が第2切削方向に移動させられる場合、第2切削インサートが作動切削インサートである。
【0064】
[0064] アダプタは、第1主アダプタ面及び第2主アダプタ面を備え得、各面は、アダプタがアダプタポケットに取り付けられた場合にポケット面に面するように構成され、アダプタは複数のインサートポケットをさらに備え、前記複数のインサートポケットのうちの少なくとも1つが、その中に切削インサートを保持する。
【0065】
[0065] 方法は:ワークピースに対して第1切削方向に切削工具を移動させる前に、ポケット面に面する第1主アダプタ面でアダプタポケットに第1向きにアダプタを固定するステップ、又は、ワークピースに対して第2切削方向に切削工具を移動させる前に、ポケット面に面する第2主アダプタ面でアダプタポケットに第2向きにアダプタを固定するステップ、のいずれかを選択的に含み得る。
【0066】
[0066] 本発明のさらに別の態様によれば、それを中心にワークピースが回転するように構成された中心回転軸線(AW)を有するワークピースを、ワークピースを機械加工するためにワークピースに対して第1切削方向又は第2切削方向のいずれかにおいて中心回転軸線(AW)に向かって選択的に移動させられるように構成された切削工具を用いて、機械加工する方法が提供され、第1切削方向及び第2切削方向は、中心回転軸線(AW)に対して垂直であり、かつ、互いにも垂直であり、方法は:シャンク部分及びヘッド部分を有する工具ホルダを備える切削工具を提供するステップであって、シャンク部分は機械インタフェースに保持され、ヘッド部分は、ポケット面を有するアダプタポケットを備える、切削工具を提供するステップと;第1主アダプタ面及び第2主アダプタ面を備えるアダプタを提供するステップであって、各面は、アダプタがアダプタポケットに取り付けられた場合にポケット面に面するように構成され、アダプタは複数のインサートポケットをさらに備え、前記複数のインサートポケットのうちの少なくとも1つが、その中に切削インサートを保持する、切削工具を提供するステップと;選択的に、第1主アダプタ面をポケット面に向けてアダプタポケット内にアダプタを取り付け、及びその後、作動切削インサートが受ける切削力が、ヘッド部分から機械インタフェースへの方向に対して横方向に向けられるように、ワークピースが第1回転方向に回転している間にワークピースに対して第1切削方向に切削工具を移動させてワークピースを機械加工するステップ;又は、第2主アダプタ面をポケット面に向けてアダプタポケット内にアダプタを取り付け、及びその後、作動切削インサートが受ける切削力が、ヘッド部分から機械インタフェースへの前記方向と平行に向けられるように、ワークピースが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転している間にワークピースに対して第2切削方向に切削工具を移動させてワークピースを機械加工するステップのいずれかと、を含む。
【0067】
[0067] 本発明のさらに別の態様によれば、それを中心にワークピースが回転するように構成された中心回転軸線(AW)を有するワークピースを、ワークピースに対して第1切削方向又は第2切削方向のいずれかにおいて中心回転軸線(AW)に向かって選択的に移動させられるように構成された切削工具を用いて、機械加工する方法が提供され、第1切削方向及び第2切削方向は、中心回転軸線(AW)に対して垂直であり、かつ、互いにも垂直であり、方法は:シャンク部分及びヘッド部分を有する工具ホルダを備える切削工具を提供するステップであって、シャンク部分は機械インタフェース内に保持され、ヘッド部分は、端面と、両方とも端面に向かって開いている第1インサートポケット及び第2インサートポケットと、を備え、第1インサートポケット及び第2インサートポケットは、それぞれ同一の第1切削インサート及び第2切削インサートをその中に着座させる、切削工具を提供するステップと;選択的に、第1切削インサートのみが作動し、かつ、第1切削インサートが受ける切削力が、ヘッド部分から機械インタフェースへの方向に対して横方向に向けられるように、ワークピースが第1回転方向に回転している間に第1切削方向に;又は、第2切削インサートのみが作動し、かつ、第2切削インサートが受ける切削力が、ヘッド部分から機械インタフェースへの前記方向と平行に向けられるように、ワークピースが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転している間に第2切削方向のいずれかに、ワークピースに対して切削工具を移動させてワークピースを機械加工するステップと、を含む。
【0068】
[0068] 本発明のさらに別の態様によれば、ホルダにインサート又はアダプタをクランプする方法が提供され、方法は:2つの直交方向のうちの一方を選択するステップと;2つのポケットのうちの適切な一方にインサート又はアダプタを固定するステップ、又は、アダプタポケットに対して2つの可能な直交向きのうちの一方にアダプタを固定するステップと、を含む。
【0069】
[0069] 好ましいさらなるステップは、2つの直交方向のうちの選択された一方にワークピースに向かってホルダを相対的に移動させるステップである。
【0070】
[0070] 好ましいステップは、ホルダの細長いシャンクに平行な方向として規定されるX軸方向にのみオフセットを設定するステップと;ステップ(b)に続いて、回転するワークピースに対して、X軸方向に垂直な方向として規定されるY軸方向に突切りアダプタを移動させて、ワークピースを機械加工又は突切りするステップと、である。
【0071】
[0071] 好ましいステップは、ホルダの細長いシャンクに平行な方向として規定されるY軸方向にのみオフセットを設定するステップと;ステップ(b)に続いて、回転するワークピースに対して、Y軸方向に垂直な方向として規定されるX軸方向に突切りアダプタを移動させて、ワークピースを機械加工又は突切りするステップと、である。
【0072】
[0072] 最も好ましい実施形態では、アダプタは、2つの向きのうちの一方に対して単一のオフセットのみを提供することができる。
【0073】
[0073] 好ましい追加のステップは、アダプタを取り外すステップ(それがステップbのアダプタである場合)と、第2(異なる)直交向きにアダプタを固定するステップと、を含む。さらに別のステップは、選択された第2直交方向においてワークピースに向かってホルダを相対的に移動させるステップを含む。
【0074】
[0074] 上記例/実施形態及び方法は、アダプタを対象とする場合、突切り工程のために構成されたアダプタ(以下、「突切りアダプタ」という。)を使用して実行されることが好ましい。
【0075】
[0075] 単一のオフセットが2つのオフセットよりもオペレータにとってより簡単であることは有益ではないように思われる(オフセットはいずれの場合も入力される必要があるが、本発明者は、そのような利点はそれでもわずかな追加の安定性(所望の位置合わせの利点を達成するために、アダプタ又はインサートをわずかに最適ではない位置に位置合わせすることによって失われ得る)よりも好ましい可能性があると考えている。
【0076】
[0076] 好ましい追加のステップ(ステップbの切削インサートである場合)は、第2切削インサートを2つのポケットのうちの第2ポケットに固定するステップと、第1軸線に沿って工具アセンブリを移動させて第1切削インサートでワークピースを機械加工するステップと、であり、その後、工具アセンブリは、第1軸線に直交する第2軸線に沿って移動させられ、第2切削インサートでワークピースを機械加工する。好ましくは、これは、第1切削インサートによる前記機械加工中にワークピースを第1方向に回転させるステップと、第2切削インサートによる前記機械加工中にワークピースを反対方向に回転させるステップと、をさらに含む。
【0077】
[0077] 好ましくは、インサートポケットの第2ジョーはその全体がベースジョーの後方に配置される。代替的又は追加的に、インサートポケットの第2ジョー及びベースジョーは、上方向及び下方向に平行な方向に互いに隣接して延在する。
【0078】
[0078] 本発明に係るアダプタは複数のインサートポケットを備えることが好ましい。
【0079】
[0079] 本発明のインサートポケットは、例示された弾性タイプ(すなわち、ねじなし)であることが好ましい。
【0080】
[0080] 上記さまざまな特徴は「最前方」などの単語を用いて説明される。そのような単語は、構成部品の残りの部分(例えば、アダプタ又は切れ刃)に対して、前記特徴がより最前方向にあること(すなわち、ワークピースにより近接していること)を意味することが理解される。また、与えられたすべての方向は、地面に対する絶対的な意味ではなく、互いに対する特徴の基準のためのものであることも理解される。同様に、突切りアダプタなどの特定の構成部品に対して規定されるように方向が任意選択的に選択され得るが、それらはホルダ又は工具アセンブリに対しても同様に規定可能であることが理解される。
【0081】
[0081] 当技術分野でよく知られているように、すくい面は、機械加工された切り屑がその上を流れるように意図された表面であり、かつ、クリアランス面は通常、切れ刃から後退するように設計される。
【0082】
[0082] 好ましくは、アダプタの軸受面は、2つの直交位置を通って延在する二等分旋回線に関して鏡面対称である。
【0083】
[0083] 二等分線は、インサートの最前方切れ刃を通って延在し得る。
【0084】
[0084] 好ましくは、アダプタの軸受面は、側面視において真っ直ぐである。
【0085】
[0085] 好ましくは、アダプタは、側面視において、四角形、好ましくは正四角形、最も好ましくは正方形の形状を有する。
【0086】
[0086] 本発明は、異なる直交向きのみのために構成された工具アセンブリ及びホルダに言及することが理解される。詳述すると、本発明は、例えば、インサート又はアダプタの90°(又はそれ以上)の再位置決めに及ぶ可能性のある位置の微調整を可能にするように構成された工具設計には関連しない。
【0087】
[0087] 任意の態様によれば、ワークピースを機械加工するため、ホルダは第1直交方向又は第2直交方向に移動させられ得る(又はある方向から他の方向に再位置決めされる)。
【0088】
[0088] アダプタが、異なる向きでアダプタポケットに再び取り付けられた場合、同じインサートポケットが機械加工に使用可能であり、又は、異なるインサートポケットが使用可能である。
【0089】
[0089] 本願の主題をよりよく理解するため、かつ、本願の主題が実際にどのように実施されるかを示すため、ここで添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1A】本発明に係るX軸送り向きの工具アセンブリの側面図であり、概略的なワークピース及び概略的な機械インタフェースをさらに示している。
図1B図1Aの工具アセンブリの背面図である。
図2図1Aの工具アセンブリの側面図であり、工具アセンブリのアダプタはY軸送り向きに向けられ、概略的なワークピースをさらに示している(図1Aに示されて、図4Aによりよく示されるポケット突起53を有しないポケットを除く)。
図3図1AのX軸送り向きから図2のY軸送り向きにされた図1Aのアダプタの概略図である。
図4A図2に示すY軸送り向きにあるが、ポケット突起によって取り付けを阻止されたホルダ及びアダプタの斜視図である。
図4B図4Aに対応する、ホルダ及びアダプタの側面図である。
図4C図4Aで「IV」で指定された円で囲まれた部分の拡大及びわずかに回転した図である。
図5】本発明に係る別のホルダの1つの可能なポケットである。
図6A】本発明に係るさらに別の工具アセンブリの側面斜視図である。
図6B図6Aの工具アセンブリの端面図であり、X軸送り向きにある工具アセンブリ及び概略的なワークピースを示している。
図6C図6Aの工具アセンブリの側面図であり、Y軸送り向きにある工具アセンブリ及び概略的なワークピースを示している。
図6D】Y軸インサートが取り外された状態の、図6Aの工具アセンブリの側面斜視図である。
図6E】X軸インサートが取り外された状態の、図6Aの工具アセンブリの側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
[0090] 図1A及び図1Bを参照すると、工具アセンブリ10が示され、工具アセンブリ10は、ホルダ12と、突切りアダプタ14(米国特許出願公開第2019/0240741号の図18A図18Cに示される突切りブレードとほぼ同様、少なくとも突切りブレードの形状に関して、真っ直ぐな軸受け面)と、少なくとも1つのインサートポケット(本例では、第1インサートポケット15A、第2インサートポケット15B、第3インサートポケット15C及び第4インサートポケット15D)と、突切りアダプタ14に固定された作動切削インサート16と、を備える。
【0092】
[0091] 米国特許出願公開第2019/0240741号の内容、特に図18図19及び図20が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
[0092] 特に図1Aを参照すると、ホルダ12は、概略的な円筒状の回転するワークピース20に近接して位置決めされる。ワークピース20は、中心ワークピース軸線AWを有し、かつ、機械加工中、図示するように、この図では反時計回り方向DCCに回転させられる。
【0094】
[0093] 説明及び基準系のため、図は、前方向DF、後方向DR、上方向DU、下方向DD、第1横方向DS1及び第2横方向DS2を示している。
【0095】
[0094] 前方向DFは、ワークピース20を機械加工するために工具アセンブリ10が移動させられる方向であるX軸送り方向を構成する。
【0096】
[0095] 切削インサート16は、すくい面22と、反対側のインサートベース面24と、すくい面22から下向きに(及び、わずかに内向きに、すなわち、下方向DD及びわずかに後方向DRに)延在する最前方クリアランス(逃げ)面26Aと、反対側のインサート後部面28と、すくい面22及び最前方クリアランス面26Aとの交線に形成された最前方切れ刃30Aと、を備えている。
【0097】
[0096] 好ましくは、すくい面22は切り屑形成装置(図示せず)を備える。
【0098】
[0097] アダプタの第1インサートポケット15A、第2インサートポケット15B、第3インサートポケット15C及び第4インサートポケット15Dの各々は、同一であり、かつ、アダプタ14が4方向の回転対称を有する割り出し軸中心AI(図3に示す)を中心に周方向に等間隔に配置されている。図1Aから分かるように、第2インサートポケット15Bは、ベースジョー17A、第2ジョー17B及びスロット端17Cを備えていることが分かる。残りのポケット15A、15C及び15Dは同様の構造を有することが理解される。
【0099】
[0098] 第1インサートポケット15Aに戻ると、インサートポケット15の各々に隣接して、突切りアダプタ14の外側で、ベースジョー17Aに隣接して、外部ポケット逃げ面17Dがあり、第2ジョー17Bに隣接して、外部ポケットすくい面17Eがある。
【0100】
[0099] 図3を簡単に参照すると、突切りアダプタ14は、第1主アダプタ面19A及び第2主アダプタ面19Bをさらに備える。第1周辺アダプタ軸受面54A、第2周辺アダプタ軸受面54B、第3周辺アダプタ軸受面54C及び第4周辺アダプタ軸受面54Dは第1主アダプタ面19A及び第2主アダプタ面19Bを接続する。
【0101】
[00100] ホルダ12はホルダヘッド部分32及びホルダシャンク部分34を備える。
【0102】
[00101] ホルダシャンク部分34は、工具ポスト又はタレットなどであり得る機械インタフェース18に固定される。
【0103】
[00102] ホルダヘッド部分32はアダプタポケット36を備える。
【0104】
[00103] ホルダヘッド部分32は、ホルダ12が標準的な突切りアダプタとともに使用される場合、構造的強度のために有用なホルダ凹面前面44を備える。
【0105】
[00104] アダプタポケット36は、アダプタポケット側面46と、アダプタポケット側面46に沿って延在するポケット突出縁48と、を備える。
【0106】
[00105] ポケット突出縁48は、この好ましいが非限定的な例では、前方向DFに面するポケット下部隣接面48Aと、上方向DUに面するポケット後部当接面48Bと、好ましくは、ポケット下部当接面48A及びポケット後部当接面48Bを接続するポケット逃げ凹部48Cと、を備え得る。
【0107】
[00106] ホルダシャンク部分34はさらにホルダシャンク軸線Asを有し、ホルダシャンク軸線Asは、ホルダシャンク断面形状が円形であった場合の位置を理解するために示されている。
【0108】
[00107] 最前方仮想線L1は、最上方ホルダシャンク面52Aから最前方切れ刃30AまでX軸方向(図示の基準方向では前方向DFである)に延在する。
【0109】
[00108] この例では、「最上方ホルダシャンク面」という名称は、Y軸方向(図示の基準方向では上方向DUである)のシャンクの最前方面であり、かつ、その名称は、本明細書ではX軸方向に対して任意に参照され、すなわち、図1Aにおいて最も上方向DUにあるホルダシャンク面である;「最上方」という名称は単なる名称であり、かつ、正方形又は長方形シャンクの場合、52Aとして示される表面は、当技術分野で知られている関連の基準面であることが理解される。円筒形又はその他の円形タイプのシャンクの場合、最前方面は、ホルダシャンク軸線ASに平行なシャンクの細い線状部分であり、かつ、Y軸方向のシャンクの最前方部分である。
【0110】
[00109] ホルダシャンク部分34の位置は機械インタフェース18との接続部から設定されるので、最前方切れ刃30Aの位置は、CNCマシンでゼロとして較正され、かつ、いかなるオフセットの入力も必要としない。
【0111】
[00110] 図1Aの側面図に示すように、有用な説明補助である最前方仮想線L1がなくても、最前方切れ刃30Aが、最上方ホルダシャンク面52Aから真っ直ぐ前方向DFにあることが理解される。
【0112】
[00111] 以下でさらに詳述するように、アダプタポケット36には、ピン孔53Bに固定されたピン53Aの形態のポケット突起53が形成される(図4Cによりよく示されている)。
【0113】
[00112] ここで図2を参照すると、図1Aに図示された位置に到達するため、突切りアダプタ14がホルダ12から取り外され、例えば、1回の回転と1回の反転を含む2段階シーケンスが実行されてもよい。例えば、取り外し後、突切りアダプタ14は、最初に突切りブレードの割り出し軸線AIを中心に時計回りに(90°)回転させられ、及びその後、右から左に反転させられてから再び挿入されてもよい。別のシーケンスでは、図1Aから図2への移行は、突切りアダプタ14を最初に左から右に反転させ、及びその後、反時計回りに90°回転させてから再び挿入することによって達成され得る。図3に関して、さらなるシーケンスを以下に説明する。これらのシーケンスのいずれも、ワークピース20を機械加工するため、突切りアダプタ14が第2直交方向に向けられる。これらのシーケンスのいずれでも、突切りアダプタ14は、ワークピース20を機械加工するために前記第2直交方向に向けられるように、最前方切れ刃30Aを中心に効果的に旋回させられた。
【0114】
[00113] さらに、突切りアダプタ14を取り外した後であって突切りアダプタ14をホルダ12に再び取り付ける前に、図1Aに示すピン53Aが最初にピン孔53Bから取り外され、及びその後、突切りアダプタ14がアダプタポケット36に取り付けられた。
【0115】
[00114] より具体的には、再構成された工具では、上方向DUは、ここではY軸送り方向でもあり、ワークピース20を機械加工するために工具アセンブリ10がワークピース20に対して移動させられる方向である(ここでは時計回り方向DCに回転させられる)。
【0116】
[00115] 両方の位置(すなわち、図1A及び図2の両方)における最前方切れ刃30Aは、いわゆる最上方ホルダシャンク面52Aに位置合わせされ、図2の向きにのみ必要な較正は、中心点WCから最前方切れ刃30Aまで前方向DF及び後方向DRに垂直に延在する第2仮想線L2によって概略的に示されるように、最前方切れ刃30Aが中心ワークピース軸線AWに位置合わせされることを確実にするために、前方向DF及び後方向DRである。
【0117】
[00116] 対角面P(図2)が、最前方切れ刃30Aを通って、かつ、インサートポケットの対向するジョーを通って延在することができる。
【0118】
[00117] 「割り出し」及び「裏返し」という用語は当技術分野で知られているが、特定の工具又は切削インサートの向きをX軸向きからY軸向きに変化させる(すなわち、前記「2つの異なる直交方向」の間で変化させる)ための用語は本出願人には既知ではない。
【0119】
[00118] 1つの方法は、インサートポケットのすくい面及び逃げ面が互いに対して旋回させられるように規定することである(現在の形状のアダプタは180°の角度で旋回させられる)。
【0120】
[00119] 代替的に規定すると、作動切削インサート16及び作動切削インサート16が取り付けられる突切りアダプタ14は、対角面P(図2)を中心に反転させられ得る(すなわち、180°回転させられ得る)。少なくともインサートポケットは、突切りアダプタ14が対角面Pを中心に反転させられた後に達成される第2向きに対して第1向きに鏡面対称である。
【0121】
[00120] さらに、代替的に規定すると、インサートポケットは、2つの直交位置の中心を通って延在する二等分線LBを中心に180°旋回させられ得る。二等分線LBは、当技術分野で知られているように、インサートポケットによって規定される既定の切れ刃位置(切れ刃30Aによって占有される位置)を通って延在するものとして規定され得る。より正確には、二等分線LBは、突切りアダプタ14の中心を通って延在する(突切りアダプタ14の形状に応じて、必ずしも割り出し軸中心AIを通るという意味ではなく、むしろこれは、第1主アダプタ面19A及び第2主アダプタ面19Bから等間隔に配置されることを意味する)。
【0122】
[00121] さらに代替的に規定するように、作動切削インサート16に対して、最前方切れ刃30Aは単一の位置に保持され得、かつ、インサート(及び、インサートが取り付けられるアダプタなどの任意の構成部品)は、180°だけ前部の切れ刃を中心に旋回させられる。言い換えると、切れ刃30Aの反対側の端部(シート内に延在するように図1A及び図2から見える)は裏返される。
【0123】
[00122] 理解を確実にするために、ここで図3を参照すると、そのような位置の変化がどのように達成されるかが概略的に示されている(2D図面を使用した対称オブジェクトでは理解が難しい、図1A図2に示すものである旋回させられたアダプタを単に示すことに代えて、示され得るより詳細な説明が理解のためにここで例示されており、そのような正確な動きのシーケンスが実際に必要とされるわけではない)。
【0124】
[00123] 上述したような同じアダプタ14が、前方向DFに対して第1(初期)位置14A、第2(中間)位置14B及び第3(最終)位置14Cで示されている。
【0125】
[00124] 一番上の図では、アダプタの第1位置14Aは、例えば、図1Aに示される向きに対応し得る(この例では、説明のためだけに図1Aに示す方向を使用している;代替的に、図2の向きであってもよく、その場合、第1位置14に示される前方向DFは、必要な変更を加えて、上方向DUに置換され、以下同様である)。
【0126】
[00125] その初期位置から、初期位置14Aのアダプタ14(又はインサート)が反時計回り方向DCCに90°回転させられる一方で、最前方切れ刃30Aは同じ位置に維持される(すなわち、並進運動を受けないが、回転運動のみを受け(理解を容易にするため、並進移動した位置14Bのアダプタ14は、並進移動した異なる位置に描かれているが、最前方切れ刃30Aが同じ並進移動していない位置にある状態で第1位置14Aに隣接していると想像可能である;その結果、中間位置14Bのアダプタ14のすくい面22は、ここでは、第1位置14Aに対して直角である)。
【0127】
[00126] すくい面22(及び最前方切れ刃30A)を同じ位置に維持しながら(すなわち、並進運動を受けないで)、アダプタ14Bは、矢印56によって示されるように、右から左に反転させられる。
【0128】
[00127] その結果、最終位置14Cのアダプタ14は、この場合、Y軸送り方向又は上方向DU(この例では非限定的な相対方向を使用している)である第2直交方向にある。
【0129】
[00128] ここで図4A図4Cを参照すると、ピン53Aがピン孔53Bから取り外されていない場合、アダプタ14は、図2に示す向きでアダプタポケット36に取り付けられることができなかったであろう。図示の例では、図2と同じ向きでホルダ12にアダプタ14を取り付けしようとすると、外部ポケット逃げ面17Dがピン53Aに当接する。したがって、特定の向きのうちの1つが機械加工のために繰り返し使用されることになる場合、ポケット突起はアダプタ14の不正確な取り付けを防止する。
【0130】
[00129] ポケット突起の位置は、非限定的ではあるが、インサートポケットが非対称である場合のインサートポケット位置(すなわち、インサートポケットがアダプタポケット36上に配置される場所)において特に有用である。これは、アダプタ14が正しく取り付けられている場合、ユーザは、取り付けのために特別な動作を行う必要がなく、かつ、ポケット突起に気付く又は注意を払う必要さえないからである。
【0131】
[00130] 上記例は、突切りアダプタ14がホルダ12に取り付けられる(すなわち、固定される)特定の方法に関連していなかったが、図5は、1つの例示的な方法を詳述している。
【0132】
[00131] 本願の図5を参照すると、米国特許出願公開第2019/0240741号の図19Aが、工具ホルダ404と、図5のアダプタポケット400と類似しているが決して同一ではないアダプタポケットと、を有していることに留意されたい。
【0133】
[00132] 米国特許出願公開第2019/0240741号の図19Aと現在の図5とにおいて対応する特徴に同じ参照符号が付されている。具体的には、両方のアダプタポケットは:第1ねじ付き工具孔432と、突切りアダプタ14にクーラントを伝達するための工具ホルダ出口開口部434と;付勢要素438を提供するための付勢孔436と(米国特許出願公開第2019/0240741号の図20A);複数の周辺ねじ付き工具孔450A、450Cを備えるポケット面444(この好ましい実施形態では、米国特許出願公開第2019/0240741号に示されているように3つではなく、2つの周辺ねじ付き工具孔が必要であることが分かったことに留意されたい)と、を備える。
【0134】
[00133] ここで本願の図5のみを参照すると、アダプタポケット400を2つの異なる直交方向において構成するため、追加の要素が追加され、対応の要素の末尾にアポストロフィ(’)が付された。
【0135】
[00134] したがって、追加の第1ねじ付き工具孔432’、追加の工具ホルダ出口開口部434’、及び、2つの追加の周辺ねじ付き工具孔450A’、450C’が追加された。図5の平面図から分かるように、アダプタポケット400はポケット二等分面P1を有し、それを中心に、第1ねじ付き工具孔432、432’、出口開口部434、434’、及び、周辺ねじ付き工具孔450A、450A、450C、450C’が鏡面対称を有している。
【0136】
[00135] この例では、付勢孔436及び付勢要素438は単一の向きに対してのみ提供される。しかしながら、必要に応じて、追加の付勢孔(図示せず)を設けることができ、かつ、付勢要素438を追加の付勢孔に取り付けることができることが理解される。そのような場合、ポケット面444全体が、ポケット二等分面P1に関して鏡面対称を有している。
【0137】
[00136] 図5は、前記2つの異なる直交向きを有効にすることができる多くの修正のうちの1つの可能な修正のみを示していることが理解される。
【0138】
[00137] アダプタが、2以上の直交向きを可能にするために当接面(又は外面)を有すべきであることが理解される。これらの当接面は、同様の切れ刃位置を維持するために、同じポケット面に取り付けられ得る。
【0139】
[00138] 最後に、図6A図6Cを参照すると、2つの異なる直交向きのために構成された工具アセンブリ100の一例が示されている。
【0140】
[00139] 工具アセンブリ100は、説明のために、ホルダ102と、同一であるが本明細書ではX軸切削インサート104及びY軸切削インサート106と呼ばれる少なくとも1つ(及び図示の例では2つ)の切削インサート104、106と、を備える。
【0141】
[00140] X軸切削インサート104はX軸インサートポケット105に固定され(図6C)、Y軸切削インサート106はY軸インサートポケット107(図6C)に固定される。
【0142】
[00141] 好ましくは、ホルダは、シャンク部分108及びヘッド部分110を備える。X軸ポケット105及びY軸ポケット107は両方ともヘッド部分110上に形成され、かつ、両方ともヘッド部分110の端面120に開いている。しかしながら、X軸ポケット着座面105A及びY軸ポケット着座面107Aは、異なる直交方向に面している。
【0143】
[00142] 外部リブ112は、好ましくは、シャンク部分108の長手方向軸線ALに垂直に延在し、ヘッド部分110及びシャンク部分108の間にストッパ機能を提供する。
【0144】
[00143] 図6Bでは、X軸切削インサート104は、ワークピース114を、指定された「X」方向において機械加工するように向けられる。この切削構成では、作動X軸切削インサート104が経験する、結果として得られる第1切削力FX(すなわち、ワークピース114に対して接線方向の切削力部分の大部分、切削力全体がシャンク部分108に向かってもう少し向けられていることに留意されたい)がインタフェース方向D1に対して横方向に向けられる(方向D1は、基本的に、ヘッド部分110から、シャンク部分108が保持される機械インタフェースに向かう方向である)。図6Aから分かるように、インタフェース方向D1は、シャンク部分108の長さに沿って実質的に延在する。
【0145】
[00144] 図6Cでは、Y軸切削インサート106は、ワークピース116を、指定された「Y」方向において機械加工するように向けられる。この切削構成では、作動Y軸切削インサート106が経験する、結果として得られる第2切削力FY(すなわち、ワークピース114に対して接線方向の切削力部分の大部分)が、ヘッド部分から、シャンク部分108が保持される機械インタフェースに向かう方向D1に平行に向けられる。そして再び、図6Cから分かるように、方向D1は、シャンク部分108の長さに沿って実質的に延在する。ある実施形態では、D1は後方向DRに延在することができる。
【0146】
[00145] X軸インサートポケット105及びY軸インサートポケット107は、互いに離れて位置決めされ、この好ましい例では、ヘッド部分110の正反対の隅部にあるので、これらはホルダ102に同時に取り付け可能であり、かつ、2つのインサートのうちの一方のみが作動するとしても、ワークピース114、116をいつでも機械加工可能である。
【0147】
[00146] 1回の取り付けで両方の向きにおいて機械加工する必要がない場合、ホルダ102には、任意選択的に、図6D及び図6Eに示すように、1つの切削インサートのみが取り付け可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
【国際調査報告】