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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】筆記用ゲルインク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/18 20060101AFI20230807BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C09D11/18
B43K7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580441
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2021070213
(87)【国際公開番号】W WO2022018058
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】20315361.4
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カフィア,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウイング ヤム
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
4J039AB02
4J039AB08
4J039AD03
4J039AD06
4J039AD09
4J039AD14
4J039AD23
4J039AE01
4J039AE02
4J039AE04
4J039AE06
4J039AE07
4J039AE08
4J039BA21
4J039BC07
4J039BC12
4J039BC13
4J039BE02
4J039BE12
4J039BE22
4J039BE23
4J039EA44
4J039EA48
4J039GA27
(57)【要約】
本開示は、溶媒、着色剤、樹脂、ゲル化剤、及びビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含む非水性筆記用インクを含む、ペンに関し、ゲル化剤は、シリカ粒子と脂肪酸アミドワックスとの混合物であり、ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーが、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具であって、特に、溶媒、ゲル化剤、着色剤、並びにビニルピロリドンのホモ又はコポリマー及びこれらの混合物を含むポリマーレオロジー剤を含む、非水性筆記用インクを収容するボールペンなどのペンであり、
前記ゲル化剤が、水不溶性セルロースナノファイバを含み、
前記ポリマーレオロジー剤が、前記インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在する、筆記具。
【請求項2】
前記ポリマーレオロジー剤が、ポリビニルピロリドンである、請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記ポリマーレオロジー剤が、約200kDaを上回る、具体的には、約400~約2300kDa、より具体的には、約450~約2000kDa、特に、約600~約1900kDaの重量平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記ポリマーレオロジー剤が、前記インクの総重量に対して、約0.05~約0.3重量%、より具体的には、約0.06~約0.25重量%、特に、約0.08重量%~約0.22重量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項5】
前記水不溶性セルロースナノファイバが、前記インクの総重量に対して、約0.02~約0.5重量%、より具体的には、約0.05~約0.25重量%、特に、約0.08~約0.2重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項6】
前記水不溶性セルロースナノファイバが、約1000nm未満、より具体的には、約800nm未満、特に、約500nm未満の直径を有し、及び/若しくは、少なくとも約5、より具体的には、少なくとも約8、特に、少なくとも約10のアスペクト比を有するファイバを含み、並びに又は、前記水不溶性セルロースナノファイバが、少なくとも約3μm、より具体的には、少なくとも約5μm、特に、少なくとも約8μmの長さを有する繊維を含み、並びに/又は前記水不溶性セルロースナノファイバが、約10nm超、より具体的には、約20nm超、特に、約30nm超の直径を有するファイバを含み、並びに/又は前記水不溶性セルロースナノファイバが、ネットワーク、特に、絡み合ったファイバの三次元ネットワークを形成するファイバを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項7】
前記水不溶性セルロースナノファイバが、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル-(TEMPO)によって媒介されたか、さもなければそれによって酸化されたセルロースを含まず、エーテル部分で官能化されたセルロース誘導体、特に、メチル及びエチルセルロース並びにカルボキシメチルセルロースを含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項8】
前記ポリマーレオロジー剤対前記水不溶性セルロースナノファイバの相対重量比が、約6:1~約1:6、より具体的には、約4:1~約1:4である、請求項1~7のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項9】
前記非水性筆記用インクが、粘性付与剤、より具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、エーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー樹脂、ロジン-マレイン酸コポリマー樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、アミド樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、フェノキシ樹脂、又はこれらの混合物から選択される樹脂を更に含み、これらは、任意選択的に、前記インクの総重量に対して、約3~約30%、具体的には、約3~約25%、特に、約5~約20%の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項10】
前記非水性筆記用インクが、シリカ粒子、特に、親水性シリカ粒子を、前記インクの総重量に対して、約0.05~約0.8重量%、より具体的には、約0.08~約0.6重量%、特に、約0.1~約0.4重量%の量で更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項11】
前記溶媒が、グリコールエーテル、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より具体的には、前記溶媒が、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、又はこれらの混合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項12】
前記着色剤が、染料、特に、アゾ系染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン誘導体染料、キサンテン染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料である、請求項1~11のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項13】
前記非水性筆記用インクが、1つ以上の添加剤、特に、増粘剤、クリアドレン剤、潤滑剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項14】
溶媒、ゲル化剤、着色剤、並びにビニルピロリドンのホモ又はコポリマー及びこれらの混合物を含むポリマーレオロジー剤を含む、非水性筆記用インクであって、
前記ゲル化剤が、水不溶性非酸化セルロースナノファイバを含み、
前記ポリマーレオロジー剤が、前記インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在する、非水性筆記用インク。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の筆記具又は請求項14に記載の非水性筆記用インクを調製するプロセスであって、非水性筆記用インクが、溶媒、ゲル化剤、着色剤、並びにビニルピロリドンのホモ又はコポリマー及びこれらの混合物を含むポリマーレオロジー剤を含み、
前記ゲル化剤が、水不溶性非酸化セルロースナノファイバを含み、
前記ポリマーレオロジー剤が、前記インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在し、
a)前記水不溶性セルロースナノファイバ及び前記溶媒の少なくとも一部を含む、第1の均質な予備混合物を提供することと、
b)前記第1の予備混合物を前記非水性筆記用インクの残りの成分と合わせることと、によって調製される、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月24日に出願された、欧州特許出願第20315361.4号、名称「WRITING GEL INK」の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、筆記具、具体的には、ボールペンなどのペン、及びかかる筆記具内で使用するための筆記用インクの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、ボールペンインクは、ニュートン高粘度溶媒系インクである。揮発性の低いグリコール溶媒の使用に起因して、ボールペンインクは、インクが乾燥しないため、保管中も非常に安定している。したがって、かかるインクは、先端保護のないペンにおいて使用され得る。かかるグリコール溶媒系システムが望ましいが、それらはまた、典型的に、高いせん断粘度を備える。繰り返しとなるが、高いせん断粘度は、静止漏れを回避するのに役立つため、それ自体は望ましくない特性ではない。静止漏れは、特に、高温多湿の状態で、ペンを下向きに保管したときに、先端におけるインク滴の形成に対応する。ニュートンシステムでは、高せん断粘度はまた、静止時粘度とも相関関係があり、それゆえ、ペンの先端を詰まらせ得る顔料及び他の固形物の沈降の問題を低減することに役立つ。しかしながら、高いせん断粘度の状態では、筆記体験は、消費者が望むほど平滑ではない。これらの特性とバランスを取ることは、非常に困難であることが判明した。
【0004】
これらの問題のいくつかを解決するために、配合者はゲルインクに目を向けた。ゲルインクは、擬塑性流動学的プロファイルを有する。一般にゲルインクは水系である。それらは、低い静止漏れ、平滑さ、及び粒子の安定化の間の良好な妥協点である。しかしながら、それでもいくつかの欠点に悩まされる。
【0005】
水は、低分子量かつ揮発性溶媒である。先端保護(キャップ又はホットメルト)なしで保管すると、先端内のインクが、乾燥し、先端を詰まらせる可能性がある。更に、ゲルインク系ペンのキャップオフ時間は、グリコール系ボールペンのキャップオフ時間よりもはるかに少ないことが見出された。
【0006】
腐食防止剤を使用しているにもかかわらず、水系インクは、腐食性流体のままである。したがって、真ちゅう製の先端を使用することは不可能であり、非常に高価な材料であり、材料の硬度に起因して製造が困難なステンレス鋼製の先端を使用することが必須である。
【0007】
更に、水は潤滑性が悪いため、強い流量で先端を使用することも必須である。典型的なペンの場合、水系インクを有するボールペンの流量は、約300mg/200m未満まで少なくすることができないことが見出された。これは、約35mg/200mのグリコール系インクと比較して不利である。その結果、水系インクペンの耐用距離(すなわち、ペンの筆記の全長)は、グリコール系インクペンの耐用距離よりもはるかに少ない。
【0008】
理想的には、インク組成物は、水系インク及びグリコール系インクの両方、又はより一般的には、溶媒系インクの利点を組み合わせながら、それらの欠点を回避する。実際には、特性のバランスを可能な限り最適にする必要がある。現在、特に、インクのレオロジー特性のバランスを取って、優れた筆記性能、並びに動的な状況の後(例えば、グーピング、すなわち、筆記直後のペンの先端部からの望ましくない漏れ、又はペンの落下などの衝撃事象の後)、及び静的な状況(例えば、ペンを棚に保管するか、又は、ポケット内でペンを人体に近接した状態に維持するときに遭遇するような熱及び湿気の下でペンを保管すること)の両方で、ペンからのインクの漏れを回避することの両方を達成しようとすると、依然としてインクペン用溶媒系インクには更なる改善の余地がある。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本開示は、筆記具に関する。筆記具は、ペン、特に、ボールペンであり得る。筆記具は、非水性筆記用インクを収容し得る。非水性筆記用インクは、溶媒、ゲル化剤、着色剤、及びポリマーレオロジー剤を含み得る。ポリマーレオロジー剤は、ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含み得る。ポリマーレオロジー剤は、混合物、特に、前述のホモ又はコポリマーの混合物であり得る。ポリマーレオロジー剤は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在し得る。ゲル化剤は、セルロースナノファイバを含み得る。セルロースナノファイバは、水不溶性であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤がポリビニルピロリドンであるとき、特に有利であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤は、約200kDaを上回る、具体的には、約400~約2300kDa、より具体的には、約450~約2000kDa、特に、約600~約1900kDaの重量平均分子量を有し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.3重量%、より具体的には、約0.06~約0.25重量%、特に、約0.08~約0.22重量%の量で存在し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、インクの総重量に対して、約0.1~約1.2重量%、より具体的には、約0.15~約0.60重量%の量で存在し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、インクの総重量に対して、約0.02~約0.5重量%、より具体的には、約0.05~約0.25重量%、特に、約0.08~約0.2重量%の量で存在し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、約1000nm未満、より具体的には、約800nm未満、特に、約500nm未満の直径を有するファイバを含み得る。セルロースナノファイバの直径を決定する方法は、特に限定されず、走査型電子顕微鏡(SEM)画像内のファイバの直径の二次元表現を測定することを含む。代替的に又は加えて、いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、約10nm超、より具体的には、約20nm超、特に、約30nm超の直径を有するファイバを含み得る。代替的に又は加えて、いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、少なくとも約5、より具体的には、少なくとも約8、特に、少なくとも約10のアスペクト比を有するファイバを含み得る。アスペクト比の決定もまた、特に限定されず、走査型電子顕微鏡(SEM)画像内のファイバの直径及び長さの二次元表現を測定することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、少なくとも約3μm、より具体的には、少なくとも約5μm、特に、少なくとも約8μmの長さを有するファイバを含み得る。長さの決定は、特に限定されず、走査型電子顕微鏡(SEM)画像内のファイバの二次元表現上で長さを測定することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、ネットワーク、特に、絡み合ったファイバの三次元ネットワークを形成するファイバを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル-(TEMPO)によって媒介されたか、さもなければそれによって酸化されたセルロースを含まない。いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、エーテル部分で官能化されたセルロース誘導体、特に、メチルセルロース及びエチルセルロース並びにカルボキシメチルセルロースを含まない。
【0019】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤対水不溶性セルロースナノファイバの相対重量比は、約6:1~約1:6、より具体的には、約4:1~約1:4であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、筆記具は、約0.7mm以上、特に、0.8mm以上、特に、1.0mm以上のサイズを有する筆先端部においてボール先端を備え得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、粘性付与剤を更に含み得る。いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、エーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー樹脂、ロジン-マレイン酸コポリマー樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、アミド樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、フェノキシ樹脂、又はこれらの混合物から選択される粘性付与剤を含むことが特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、前述の粘性付与剤は、インクの総重量に対して、約3~約30%、具体的には、約3~約25%、特に、約5~約20%の量で存在し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、シリカ粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、シリカ粒子が親水性シリカ粒子であることが特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、前述の粒子は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.8重量%、より具体的には、約0.08~約0.6重量%、特に、約0.1~約0.4重量%の量で存在し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、溶媒は、グリコールエーテル、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒が、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、又はこれらの混合物から選択されることが有利であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、溶媒は、インクの総重量に対して、約35~約80重量%の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、溶媒が、インクの総重量に対して、約45~約75重量%の量で存在することが有利であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、着色剤は、染料、特に、アゾ系染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン誘導体染料、キサンテン染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、着色剤は、インクの総重量に対して、約5~約30重量%、特に約7~約28重量%の量で存在し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、1つ以上の添加剤を更に含み得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、更なるゲル化剤であり得る。いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、増粘剤、クリアドレン剤(clear drain agent)、粘性付与剤、潤滑剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含むことが有利であり得る。
【0028】
第2の態様では、本開示は、非水性筆記用インクそのものに関する。非水性筆記用インクは、溶媒、ゲル化剤、着色剤、及びポリマーレオロジー剤を含み得る。ポリマーレオロジー剤は、ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含み得る。ポリマーレオロジー剤は、混合物、特に、前述のホモ及びコポリマーの混合物であり得る。ポリマーレオロジー剤は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在し得る。ゲル化剤は、セルロースナノファイバを含み得る。セルロースナノファイバは、水不溶性であり得る。
【0029】
本開示の上記の第1の態様について記載された実施形態は、本開示の前述の第2の態様と同等に組み合わせ可能である。
【0030】
第3の態様では、本開示は、本開示の第1の態様による筆記具又は本開示の第2の態様による非水性筆記用インクを調製するプロセスに関する。非水性筆記用インクは、以下の工程:a)水不溶性セルロースナノファイバ及び少なくとも溶媒の一部を含む、第1の均質な予備混合物を提供する工程と、b)第1の予備混合物を非水性筆記用インクの成分の残りと組み合わせる工程と、を含む、プロセスによって調製され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、以下の工程によって調製され得る:a)溶媒中にシリカ粒子を含む第1の予備混合物を形成する。この工程における温度は、約30~約70℃であり得る。第1の予備混合物は、約20~約25m/秒のせん断速度で混合され得る。b)溶媒中に脂肪酸アミドワックスを含む第2の予備混合物を形成する。この工程における温度は、約30~約70℃であり得る。第2の予備混合物は、約20~約25m/秒のせん断速度で混合され得る。c)第1及び第2の予備混合物を、非水性筆記用インクの残りの成分と合わせる。
【0032】
本開示の上記の第1の態様について列挙された実施形態は、本開示の前述の第3の態様と同等に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示に従って用いることが可能な例示的な水不溶性セルロースナノファイバのSEM画像を示す。
図2】TEMPO酸化セルロースナノファイバのSEM画像を示す。
図3】実施例1及び実施例2並びに比較例1~4の性能チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示について詳細に説明する。本開示の明細書及び特許請求の範囲で使用される用語又は単語は、共通言語又は辞書の意味のみを有するものとして限定的に解釈されるべきではなく、以下の説明で特に定義されない限り、関連する技術分野で確立されたようなそれらの通常の技術的意味を有すると解釈されるべきである。詳細な説明は、本開示をよりよく示すために特定の実施形態を参照するが、提示された開示は、これらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0035】
第1の態様では、本開示は、筆記具に関する。筆記具は、ペン、特に、ボールペンであり得る。筆記具は、非水性筆記用インクを収容し得る。この文脈において、非水性とは、インクが染料/顔料のための溶媒として水を含まないこと、かつ/又は実質的に遊離し得るか(例えば、インクの総重量に対して約2重量%未満を含有する)、若しくは水を含まないことを意味する。
【0036】
本開示の目的のために、「筆記用インク」という用語は、筆記具、特に、ボールペンなどのペンにおいて使用されることを意図した、任意のインクを意味することを意図している。筆記用インクは、印刷機で使用され、同じ技術的制約、したがって同じ仕様を有しない印刷用インクと混同してはならない。
【0037】
非水性筆記用インクは、溶媒、ゲル化剤、着色剤、及びポリマーレオロジー剤を含み得る。個々の成分については、以下で考察される。
まず、ゲル化剤について説明する。
【0038】
ゲル化剤は、セルロースナノファイバを含み得る。セルロースナノファイバは、水不溶性であり得る。水不溶性セルロースナノファイバに言及するとき、セルロースナノファイバは、個々のセルロース高分子が広範な分子内及び分子間水素結合を有する高度に結晶性の構造の形成下で互いに結合している、個々のセルロースフィブリルの束を依然として含み得ることを理解すべきである。セルロースナノファイバの実際の溶解には、可溶化セルロースナノファイバを与える、これらの分子内及び分子間水素結合の破壊を必要とする。本開示の水不溶性セルロースナノファイバにおいて、セルロースナノファイバ内の結晶化度は、非常に広範囲であるため、室温で(例えば、約20℃で)セルロースナノファイバを蒸留水に添加するとき(すなわち、外部の酸又は塩基を添加せずに)、個々のセルロースフィブリル又は高分子への溶解は起こらない(又は少なくとも実質的な程度ではない)。換言すれば、水不溶性であるセルロースナノファイバの特性は、セルロースナノファイバのサイズ及び/又はセルロースナノファイバ内の結晶化度の尺度として見ることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、約1000nm未満、より具体的には、約800nm未満、特に、約500nm未満の直径を有するファイバを含み得る。セルロースナノファイバの直径を決定する方法は、特に限定されず、走査型電子顕微鏡(SEM)画像内のファイバの直径の二次元表現を測定することを含む。代替的に又は加えて、いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、約10nm超、より具体的には、約20nm超、特に、約30nm超の直径を有するファイバを含み得る。代替的に又は加えて、いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、少なくとも約5、より具体的には、少なくとも約8、特に、少なくとも約10のアスペクト比を有するファイバを含み得る。アスペクト比の決定もまた、特に限定されず、走査型電子顕微鏡(SEM)画像内のファイバの直径及び長さの二次元表現を測定することを含む。いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、少なくとも約3μm、より具体的には、少なくとも約5μm、特に、少なくとも約8μmの長さを有するファイバを含み得る。長さの決定は、特に限定されず、走査型電子顕微鏡(SEM)画像内のファイバの二次元表現上で長さを測定することを含む。いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、ネットワーク、特に、絡み合ったファイバの三次元ネットワークを形成するファイバを含み得る。
【0040】
本開示で使用することができる例示的な水不溶性セルロースナノファイバが、図1に示される。図1は、Fuji Pigment Co. LtdからASL CNF 901の商品名で販売されている、絡み合ったセルロースナノファイバの三次元ネットワークを示す。図1に示される水不溶性セルロースナノファイバは、比較的大きく、個々が一桁のナノメートルのフィブリルに分解されない。
【0041】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル-(TEMPO)によって媒介されたか、さもなければそれによって酸化されたセルロースを含まない。
【0042】
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル-(TEMPO)によって媒介されたか、さもなければそれによって酸化されたセルロースを含まない水不溶性セルロースナノファイバに言及するとき、セルロースを構成するβ-グルコースの水酸基(-OH基)の一部をアルデヒド基(-CHO基)及び/又はカルボキシル基(-COOH基)に酸化する処理などの酸化処理に供されなかった、任意の水不溶性セルロースナノファイバを意味することを意図する。
【0043】
図2は、TEMPO酸化セルロースナノファイバのSEM画像を示す。酸化処理に起因して、セルロースファイバは、水に可溶化された、個々が1桁のナノメートルのフィブリルに分解される。
【0044】
上記から、個々の(線状)セルロース高分子は、本開示によるセルロースナノファイバを表さないことが明らかなはずである。
【0045】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、エーテル部分で官能化されたセルロース誘導体、特に、メチル及びエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースを含まない。前述のセルロース誘導体は、例えば、エーテル部分が、セルロース高分子の適切な結晶化を防止するため、典型的には、水溶性である。加えて又は代替的に、ゲル化剤は、セルロースエステル樹脂を含まなくてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、インクの総重量に対して、約0.02~約0.5重量%、より具体的には、約0.05~約0.25重量%、特に、約0.08~約0.2重量%の量で存在し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、植物バイオマスから調製され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、特に、MALVERN Zetasizer nano ZS装置を使用して、動的光散乱によって測定される際、約3μm未満、特に、約2μm未満の平均粒径によって分散液中で特徴付けられ得る。理論に拘束されることを望まないが、かかる水不溶性ナノセルロースナノファイバを含むインクは、ペン、特に、ボールペンにおいて、ペンがボールと先端部との間に約2μmの間隙などの小さい間隙を呈するときでも、かかるサイズが、ペン先の入口においてインクの流れを遮断する塊の形成を防止することを可能にし、したがって、線の破損及び/又は先端部の目詰まりを回避することができるため有利に使用することができる。かかる特性は、インク漏れがないことと組み合わせて取得可能であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、水不溶性セルロースナノファイバは、分散液の総重量に基づいて、有機溶媒中に約0.05~約10重量%、特に、約0.5~約2重量%の水不溶性セルロースナノファイバを含む分散液としてインクに組み込まれてもよい。
【0050】
次に、ポリマーレオロジー剤について説明する。
【0051】
ポリマーレオロジー剤は、ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含み得る。上述のレオロジー剤の混合物を使用することが可能である。更なるレオロジー剤の存在が排除されず、1つ以上の更なる他のレオロジー剤が、任意選択的に、インクに添加することができることも理解されたい。いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤が、ビニルピロリドン、特に、ポリビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含むことが有利であり得る。
【0052】
ポリマーレオロジー剤は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.3重量%、より具体的には、約0.06~約0.25重量%、特に、約0.08~約0.22重量%の量で存在し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤は、約200kDaを上回る、具体的には、約400~約2300kDa、より具体的には、約450~約2000kDa、特に、約600~約1900kDaの重量平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤は、約200kDaを上回る、具体的には、約400~約2300kDa、より具体的には、約450~約2000kDa、特に、約600~約1900kDaの重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドンであることが有利であり得る。
【0054】
理論に拘束されることを望まないが、ポリマーレオロジー剤は、驚くべきことに、かつ有利に、水不溶性セルロースナノファイバのネットワークのゲル化特性を調節すると考えられる。セルロースナノファイバは、滑らかな書き味を保ちながら、筆記中の低粘度を提供することにおいて優れている。しかしながら、限定された用途において、特に、大口径のボールペンでは、筆記のきれいさが理想的ではないことがある。再び、理論に拘束されることを望まないが、せん断下での弾性の欠如が存在し得ると考えられ、そのため、ユーザが筆記速度を低下させるか、又は一時的に筆記を停止するとき、先端からすでに流れたインクが、より大きい先端において適切に格納されない。これは、性能、特に、筆記のきれいさにおいて悪影響を有し得る。この効果は、より大きい先端のペンで特に、顕著になり得る。再び、理論に拘束されることを望まないが、ポリマーレオロジー剤が分散した水不溶性セルロースナノファイバから水素結合を受け入れる一方で、セルロースナノファイバ自体に水素結合を与えない能力は、インクに「弾性」を導入すると考えられ、ユーザが筆記速度を低下させるか、又は一時的に筆記を停止するときに、インクの格納を容易にする。注目すべきは、約0.6重量%を上回る過剰量のポリマーレオロジー剤を使用すると、全体的な筆記性能に有害であると考えられることである。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤対水不溶性セルロースナノファイバの相対重量比は、約6:1~約1:6、より具体的には、約4:1~約1:4であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、ポリマーレオロジー剤が、インクの総重量に対して、約0.05~約0.25重量%の量で存在し得、セルロースナノファイバが、インクの総重量に対して、約0.05~約0.25重量%の量で存在することが特に有利であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、筆記用インクは、1つ以上の更なるレオロジー剤を含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、更なるレオロジー剤が、1~約6個の炭素原子を含むアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアルコールでなく、特に、ポリビニルブチラールではないことが有利であり得る。代替的に、これらのレオロジー剤の総含有量は、筆記用インクの総重量に対して、約0.5重量%未満、約0.2重量%未満、特に、約0.1重量%未満であってもよい。
【0058】
次に、溶媒について説明する。
【0059】
非水性筆記用インクは、溶媒を含み得る。「溶媒」という用語は、特に限定することを意図するものではなく、とりわけ、顔料などの固体成分を分散又は懸濁する媒体を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、グリコールエーテル、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒が、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、又はこれらの混合物から選択されることが有利であり得る。いくつかの実施形態では、アルコールは、約130℃を上回る、約150℃を上回る、又は約200℃を上回る沸点などの高沸点を有するアルコールである。いくつかの実施形態では、アルコールは、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。アルコールがベンジルアルコールであることが特に有利であり得る。別の実施形態では、溶媒は、約130℃を上回る、約150℃を上回る、又は約200℃を上回る沸点などの高沸点を有するグリコールエーテルであり得る。グリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが有利であり得る。グリコールエーテルが、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール及びこれらの混合物からなる群から選択されることが特に有利であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、溶媒は、グリコールエーテル、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒が、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、又はこれらの混合物から選択されることが有利であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、溶媒は、インクの総重量に対して、約35~約80重量%の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、溶媒が、インクの総重量に対して、約45~約75重量%の量で存在することが有利であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、インクが、約45~約75重量%のフェノキシエタノール又は1-フェノキシ-2-プロパノールを含むことが有利であり得る。
【0063】
次に、着色剤について説明する。
【0064】
いくつかの実施形態では、着色剤は、染料、顔料、又はこれらの混合物、特に、アゾ系染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン誘導体染料、キサンテン染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料又は顔料であり得る。いくつかの実施形態では、着色剤は、顔料であり得る。
【0065】
本開示によるインク中で使用可能な染料の例は、以下を含む。
VARIFAST Black3806(C.I. Solvent Black29)、3807(C.I. Solvent Black29のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、Spirit Black SB(C.I. Solvent Black 5)、SPIRON Black GMH(C.I. Solvent Black43)、Solvent Black46(C.I. Basic Violet 3及びAcid Yellow36の塩形成形態)、VARIFAST Red 1308(C.I. Basic Red 1染料及びC.I. Acid Yellow 23染料の塩形成形態)、Solvent Red 49、VARIFAST Yellow AUM(C.I. Basic Yellow 2染料及びC.I. Acid Yellow 42染料の塩形成形態)、SPIRON Yellow C2 GH(C.I. Basic Yellow 2の有機酸塩)、SPIRON Violet CRH(C.I. Solvent Violet 8-1)、VARIFAST Violet 1701(C.I. Basic Violet 1及びC.I. Acid Yellow 42染料の塩形成形態)、SPIRON Red CGH(C.I. Basic Red 1の有機酸塩)、SPIRON Pink BH(C.I. Solvent Red 82)、Nigrosine Base EX(C.I. Solvent Black 7)、Oil Blue 613(C.I. Solvent Blue 5)、並びにNeozapon Blue 808(C.I. Solvent Blue 70)。
【0066】
いくつかの実施形態では、着色剤は、染料であり得、Solvent Black46(C.I. Basic Violet 3及びAcid Yellow 36の塩形成形態)、VARIFAST Red 1308(C.I. Basic Red 1染料及びC.I. Acid Yellow 23染料の塩形成形態)、VARIFAST Yellow AUM(C.I. Basic Yellow 2染料及びC.I. Acid Yellow 42染料の塩形成形態)、VARIFAST Violet 1701(C.I. Basic Violet 1及びC.I. Acid Yellow 42染料の塩形成形態)などの塩形成染料及びこれらの混合物から選択され得る。
【0067】
本開示によるインク内で使用可能な顔料の例は、有機、無機、及び加工顔料を含む。それゆえ、顔料は、例えば、カーボンブラック、ウルトラマリン及び二酸化チタン顔料などの無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、トロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料及びイソインドリノン系顔料などの有機顔料、アルミニウム粉末又はその表面を着色樹脂で処理されるアルミニウム粉末などの金属顔料、透明又は着色透明フィルム上にアルミニウムなどの金属蒸着フィルムを形成することによって取得された金属光沢顔料、フィルムなどの基板上に形成されたアルミニウムなどの金属蒸着フィルムを剥離することによって取得された厚さ約0.01~約0.1μmを有する金属顔料、金、銀、白金及び銅から選択される約5~約30nmの平均粒径を有するコロイド状粒子、蛍光顔料、蓄光顔料、天然に存在する雲母、合成雲母、ガラスフレーク、アルミナ、及び透明フィルムであるコアの表面を酸化チタンなどの金属酸化物でコーティングすることによって取得されるパール顔料などであり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、着色剤は、インクの総重量に対して、約5~約30重量%、特に約7~約28重量%の量で存在し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、シリカ粒子を含み得る。シリカ粒子が親水性シリカ粒子であることが有利であり得る。シリカ粒子が、ヒュームドシリカ粒子、特に、Evonikによって商品名AEROSIL(登録商標)200で販売される製品などの親水性ヒュームドシリカ粒子であることが有利であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、分散シリカ粒子又はシリカ系ゲル様粒子を含み得、平均粒径は、Malvern Zetasizer ZSなどの動的光散乱(DLS)を使用して、約1μm未満、より具体的には、約0.9μm未満、特に、約0.8μm未満である。
【0071】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、シリカ粒子、特に、親水性シリカ粒子を、インクの総重量に対して、約0.05~約0.8重量%、より具体的には、約0.08~約0.6重量%、特に、約0.1~約0.4重量%の量で含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、粘性付与剤を更に含み得る。いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、エーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー樹脂、ロジン-マレイン酸コポリマー樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、アミド樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、フェノキシ樹脂、又はこれらの混合物から選択される粘性付与剤を含むことが特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エーテル樹脂、及びこれらの混合物から選択される樹脂が有利であり得る。樹脂が、ケトン樹脂であることが特に有利であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、前述の粘性付与剤は、インクの総重量に対して、約3~約30%、具体的には、約3~約25%、特に、約5~約20%の量で存在し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、1つ以上の添加剤を更に含み得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、更なるゲル化剤であり得る。いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクが、1つ以上の添加剤を更に含むことが有利であり得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、増粘剤、クリアドレン剤、粘性付与剤、潤滑剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、Evonik製Tego Airex 900などの消泡剤を更に含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、約20℃で、約15000cps~約150000cps、より具体的には、約20000cps~約120000cps、特に、約25000cps~約100000cpsの静止時粘度を有し得る。静止時粘度は、0.01秒-1のせん断速度で、約40mmの円錐及び約4°の角度を有する、Malvern Kinexusによるレオメータなどの円錐平板レオメータを用いて、約20℃で測定され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、約20℃、約100秒-1のせん断下で、約1200cps~約10000cps、より具体的には、約1300cps~約5000cps、特に、約1500cps~約4000cpsの粘度を有し得る。せん断下の粘度は、100秒-1のせん断速度で、約40mmの円錐及び約4°の角度を有するMalvern Kinexusによるレオメータなどの円錐平板レオメータを用いて約20℃で測定され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、約3~約15、より具体的には、約4~約12、特に、約5~約10の静止時損失係数tanδを有し得る。静止時損失係数tanδは、振動測定(周波数=約1Hz、せん断約20Pa)で、約40mmの円錐及び約4°の角度を有する、Malvern Kinexusによるレオメータなどの円錐平板レオメータを用いて、約20℃で測定され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、約8~約60、より具体的には、約11~約50、特に、約12~約40のせん断後損失係数tanを有し得る。せん断後損失係数tanδは、約1000秒-1で約30秒間、振動測定(周波数=約1Hz、せん断約20Pa)で、事前にせん断した後、約40mmの円錐及び約4°の角度を有する、Malvern Kinexusによるレオメータなどの円錐平板レオメータを用いて、約20℃で測定され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、筆記具は、約0.7mm以上、特に、0.8mm以上、特に、1.0mm以上のサイズを有する筆先端部においてボール先端を備え得る。
【0081】
第2の態様では、本開示は、非水性筆記用インクそのものに関する。非水性筆記用インクは、溶媒、ゲル化剤、着色剤、及びポリマーレオロジー剤を含み得る。ポリマーレオロジー剤は、ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含み得る。ポリマーレオロジー剤は、混合物、特に、前述のホモ及びコポリマーの混合物であり得る。ポリマーレオロジー剤は、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在し得る。ゲル化剤は、セルロースナノファイバを含み得る。セルロースナノファイバは、水不溶性であり得る。
【0082】
本開示の上記の第1の態様について記載された実施形態は、本開示の前述の第2の態様と同等に組み合わせ可能である。
【0083】
特に、非水性筆記用インクが、インクの総重量に対する量において以下の成分を含むか、又は以下の成分からなり得ることが有利であり得る:約55~約75重量%のポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、又はこれらの混合物から選択される溶媒、約10~約30重量%の着色剤、約600~約1900kDaの重量平均分子量を有する約0.10~約0.30重量%のポリビニルピロリドン、約0.02~約0.5重量%の水不溶性セルロースナノファイバ、任意選択的に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、ケトン-ホルムアルデヒド樹脂、エーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー樹脂、ロジン-マレイン酸コポリマー樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、アミド樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、フェノキシ樹脂、又はこれらの混合物から選択される約3~約30%の樹脂、任意選択的に、シリカ粒子、特に、親水性シリカ粒子を、約0.05~約0.8重量%の量で含み、残りの成分は、任意選択的に、添加剤である。
【0084】
第3の態様では、本開示は、本開示の第1の態様による筆記具又は本開示の第2の態様による非水性筆記用インクを調製するプロセスに関する。プロセスは、特に限定されない。
【0085】
したがって、いくつかの実施形態では、非水性筆記用インクは、以下の工程によって調製され得る:非水性筆記用インクは、以下の工程:a)水不溶性セルロースナノファイバ及び少なくとも溶媒の一部を含む、第1の均質な予備混合物を提供する工程と、b)第1の予備混合物を非水性筆記用インクの成分の残りと組み合わせる工程と、を含む、プロセスによって調製され得る。
【0086】
本開示の上記の第1の態様について記載された実施形態は、本開示の前述の第3の態様と同等に組み合わせ可能である。
【0087】
以下において、本開示を例として更に詳しく説明する。
【実施例
【0088】
測定方法
インク及びペンの測定は、次のように実行され得る。
1.残部粘度の測定
インクの粘度は、0.01秒-1のせん断速度で、40mmの円錐及び4°の角度を有する円錐平板レオメータMalvern Kinexusを用いて20℃で測定され得る。
2.せん断粘度の測定
インクの粘度は、100秒-1のせん断速度で、40mmの円錐及び4°の角度を有する円錐平板レオメータMalvern Kinexusを用いて20℃で測定され得る。
3.せん断減粘性指数の決定
数式:せん断減粘性指数=(20℃P4°/40mmにおける残部粘度0.01秒-1の測定)/(20℃P4°/40mmにおける残部粘度100秒-1の測定)
4.静止時タンデルタの測定
測定は、40mmの円錐及び4°の角度を有する円錐平板レオメータMalvern Kinexusを用い、振動測定(周波数=1Hz、せん断20Pa)で実施され得る。
5.1000秒-1におけるせん断後のタンデルタの測定
測定は、試料を(筆記プロセスをシミュレートするために)約1000秒-1で、約30秒間、事前にせん断した後、40mmの円錐及び4°の角度を有する円錐平板レオメータMalvern Kinexusを用いて実施され得る。
6.浸透23℃-24時間保管
この試験は、ボールペンを23℃で1日下向きに保管したときに、ボールペンの先端から漏れるインクの量を測定する。プロセスは、次のように実行される(10のペンにおいて試験):
1.ボールペン開始=粘度を減少させるためにペンで筆記させる。
2.綿状ではない紙で先端からインクを拭きとる
3.ボールペンを23℃/50%RHで、24時間先端を下にして保管する
4.インク滴をペン先端から紙に移送させる。試験シート上の各ペンの先端を、360°回転させ、任意のインクの浸透を試験シートに移送させる。
5.浸透表示部を透明な一片のテープで覆う
6.セラミックルーレットを使用して、インクの染みを円形の染みに広げる。
7.各染みの直径の測定(そのスポット全体を組み込む最小直径を記録する)
8.10の試料全てから平均スポットサイズ(mm)を計算する。
7.浸透1週間、40℃/80%RHで保管
この試験では、ボールペンを40℃/80%RHで、1週間先端を下向きに保管したときに、ボールペンの先端から漏れるインクの量を測定する。この試験は、ペンを人体に近接するシャツのポケット内に維持することをシミュレートする。プロセスは、次のように実行される(10のペンにおいて試験):
1.ボールペン開始=粘度を減少させるためにペンで筆記させる。
2.綿状ではない紙で先端からインクを拭きとる
3.ボールペンを40℃/80%RHで、7日間先端を下にして保管する
4.インク滴をペン先端から紙に移送させる。試験シート上の各ペンの先端を、360°回転させ、任意のインクの浸透を試験シートに移送させる。
5.浸透表示部を透明な一片のテープで覆う
6.セラミックルーレットを使用して、インクの染みを円形の染みに広げる。
7.各染みの直径の測定(そのスポット全体を組み込む最小直径を記録する)
8.10の試料全てから平均スポットサイズ(mm)を計算する。
8.機械筆記のきれいさ
この試験は、最初の20メートルの機械筆記中、所与の試験条件下で、ペンの機械筆記品質を評価する。
機器:
1.空調及び湿度制御された部屋:23℃(±2°)50%RH(±5%)
2.以下のガイドラインに従って動作する筆記機械:
a)一般条件:
70°の筆記角度(0、+10)
円周100mm
総重量ペン/ホルダ/追加重量:140~160グラム
ISO12757試験紙
下にフェルトが付いた磨かれたステンレス鋼の筆記表面
b)機械パラメータ:
4.5m/分の筆記速度(±0.5)
Minitek APCの円間0.6mm間隔(±0.2)又はMikron上の位置5
100の円当たり1つの軸方向のペン回転
筆記長:20メートル
c)プロセス:
1.カートリッジをバレル内に設置する
2.ループを描画して、ペンを開始する
3.間隔0.6mmで位置を選択し、カウンタ上で20メートルを記録する
4.「ペンの回転」を押圧することによって試験を実行する
5.開始していないペンを除いて、試験したペンの平均スコアを計算する
6.きれいさ、すなわち、ライン上の厚さがほぼ均一であること(染みの存在)を評価する。
9.機械筆記の規則性
この試験は、最初の20メートルの機械筆記中、所与の試験条件下で、ペンの機械筆記品質を評価する。
機器:
1.空調及び湿度制御された部屋:23℃(±2°)50%RH(±5%)
2.以下のガイドラインに従って動作する筆記機械:
a)一般条件:
70°の筆記角度(0、+10)
円周100mm
総重量ペン/ホルダ/追加重量:140~160グラム
ISO12757試験紙
下にフェルトが付いた磨かれたステンレス鋼の筆記表面
b)機械パラメータ:
4.5m/分の筆記速度(±0.5)
Minitek APCの円間0.6mm間隔(±0.2)又はMikron上の位置5
100の円当たり1つの軸方向のペン回転
筆記長:20メートル
c)プロセス:
1.カートリッジをバレル内に設置する
2.ループを描画して、ペンを開始する
3.間隔0.6mmで位置を選択し、カウンタ上で20メートルを記録する
4.「ペンの回転」を押圧することによって試験を実行する
5.開始していないペンを除いて、試験したペンの平均スコアを計算する
6.規則性、すなわち、筆記時にほぼ均一な色であること(線内の白の存在)を評価する
10.完全なインクの回復
この試験は、ペンの「耐用距離」、すなわち、筆記を停止するまで筆記するためのペンの能力を反映する。
ペンが、カートリッジが完全に空になるまで筆記するとき、試料は「はい」を付けられる。それ以外の場合、試料は、「いいえ」を付けられる。
11.手書きのきれいさ
この試験は、書かれた線の濃さにおける均一性を測定する。書かれた線の濃さの規則性は、視覚的に評価され、1の間隔で評定された。評定尺度は、以下の通りである。
10:非常に清浄で、過剰な部分がなく、染みがない、
0:清浄ではなく、書かれた線上に過剰な部分及びインクの染みがある
12.手書きの規則性
この試験は、筆記時の色の均一性を測定する。試料は、より明るいエリア又はより暗いエリア及び線の中央の「チャネル」について視覚的に検査された。評定尺度は、以下の通りであり、間隔は1である。
10:非常に規則的で、線内に白がない、
0:規則的ではない
13.グーピング
この試験では、手動で筆記後、先端からインクが落ちるかどうかを評価する。一文を筆記後の先端の視覚的評価である。
【0089】
実施例1
本開示の第3の態様について概説した手順に従って、以下の非水性筆記用インクが、調製された。
【表1】
【0090】
実施例1によるインクのレオロジー特性は以下の通りであった。
・静止粘度=33040cP
・せん断下粘度=2536cP
・静止時タンデルタ=7
・剪断後タンデルタ=15
【0091】
実施例2及び比較例1~4
更なる非水性筆記用インクを、下記に示されるようなインクの組成を唯一の変数として、実施例1に関して説明されたように調製した(溶媒ad100%は、1-フェノキシ-2-プロパノール)。染料、消泡剤、及びクリアドレン添加剤は、変更されないままであった。調製されたインクを、カートリッジに注入した。全ての実験的試験は、安定化されたカートリッジ上、すなわち、注入後、23℃及び50%RHで少なくとも1週間保管した後、調整後に行われた。この時点は、T=0と呼ばれる。筆記システムは、針先端部が1mmの格納式カートリッジである。
【0092】
下の表1は、参照用の上記実施例1を含む、使用された組成を示す。
【表2】
【0093】
実施例及び比較例の性能は、図3に示される。
【0094】
比較例1と実施例1の比較から明らかなように、0.15重量%のKTR123樹脂結合剤を、0.15重量%のビニルピロリドンのホモ又はコポリマーと置き換えることは、インクのグーピングの問題を回避し、一方で他の筆記性能基準を非常に満たしたバランスを提供する。理論に拘束されることを望まないが、ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーの存在は、動的粘度が、筆記事象の直後に静止時粘度に急速に戻るようにゲル化ネットワークを改質し、それゆえ、グーピングを回避すると考えられる。比較例3及び4から明らかなように、SK樹脂結合剤を0.6重量%超のビニルピロリドンのホモ又はコポリマーで置き換えることは、この効果を破壊し、グーピングが戻る。ビニルピロリドンのホモ又はコポリマーのレベルを更に増加させることは(比較例3)、ゲル化ネットワークを再び変化させ、その結果グーピングが回避されるが、手書き及び機械筆記の規則性は、基準を満たさないほど低くなる。図1の表は、シリカ及び樹脂がビニルピロリドンのホモ又はコポリマーと組み合わせて使用されたときに、全体的な性能が最適であることを更に示す。
【0095】
本発明は、以下の条項によって更に詳述される。
1.筆記具であって、特に、溶媒、ゲル化剤、着色剤、並びにビニルピロリドンのホモ又はコポリマー及びこれらの混合物を含むポリマーレオロジー剤を含む非水性筆記用インクを収容するボールペンなどのペンであり、
ゲル化剤が、水不溶性セルロースナノファイバを含み、
ポリマーレオロジー剤が、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在する、筆記具。
2.ポリマーレオロジー剤が、ポリビニルピロリドンである、条項1に記載の筆記具。
3.ポリマーレオロジー剤が、約200kDaを上回る、具体的には、約400~約2300kDa、より具体的には、約450~約2000kDa、特に、約600~約1900kDaの重量平均分子量を有する、条項1又は2に記載の筆記具。
4.ポリマーレオロジー剤が、インクの総重量に対して、約0.05~約0.3重量%、より具体的には、約0.06~約0.25重量%、特に、約0.08重量%~約0.22重量%の量で存在する、条項1~3のいずれか一項に記載の筆記具。
5.水不溶性セルロースナノファイバが、インクの総重量に対して、約0.02~約0.5重量%、より具体的には、約0.05~約0.25重量%、特に、約0.08~約0.2重量%の量で存在する、条項1~4のいずれか一項に記載の筆記具。
6.水不溶性セルロースナノファイバが、約1000nm未満、より具体的には、約800nm未満、特に、約500nm未満の直径を有し、並びに/又は少なくとも約5、より具体的には、少なくとも約8、特に、少なくとも約10のアスペクト比を有するファイバを含む、条項1~5のいずれか一項に記載の筆記具。
7.水不溶性セルロースナノファイバが、少なくとも約3μm、より具体的には、少なくとも約5μm、特に、少なくとも約8μmの長さを有するファイバを含む、条項1~6のいずれか一項に記載の筆記具。
8.水不溶性セルロースナノファイバが、約10nm超、より具体的には、約20nm超、特に、約30nm超の直径を有するファイバを含む、条項1~7のいずれか一項に記載の筆記具。
9.水不溶性セルロースナノファイバが、ネットワーク、特に、絡み合ったファイバの三次元ネットワークを形成するファイバを含む、条項1~8のいずれか一項に記載の筆記具。
10.水不溶性セルロースナノファイバが、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル-(TEMPO)によって媒介されたか、さもなければそれによって酸化されたセルロースを含まず、エーテル部分で官能化されたセルロース誘導体、特に、メチル及びエチルセルロース並びにカルボキシメチルセルロースを含まない、条項1~9のいずれか一項に記載の筆記具。
11.ポリマーレオロジー剤対水不溶性セルロースナノファイバの相対重量比が、約6:1~約1:6、より具体的には、約4:1~約1:4である、条項1~10のいずれか一項に記載の筆記具。
12.筆記具が、約0.7mm以上、特に、0.8mm以上、特に、1.0mm以上のサイズを有する筆先端部においてボール先端を備える、条項1~11のいずれか一項に記載の筆記具。
13.非水性筆記用インクが、粘性付与剤、より具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、エーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー樹脂、ロジン-マレイン酸コポリマー樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、アミド樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、フェノキシ樹脂、又はこれらの混合物から選択される樹脂を更に含み、これらは、任意選択的に、インクの総重量に対して、約3~約30%、具体的には、約3~約25%、特に、約5~約20%の量で存在する、条項1~12のいずれか一項に記載の筆記具。
14.非水性筆記用インクが、シリカ粒子、特に、親水性シリカ粒子を、インクの総重量に対して、約0.05~約0.8重量%、より具体的には、約0.08~約0.6重量%、特に、約0.1~約0.4重量%の量で更に含む、条項1~13のいずれか一項に記載の筆記具。
15.溶媒が、グリコールエーテル、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より具体的には、溶媒が、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、又はこれらの混合物である、条項1~14のいずれか一項に記載の筆記具。
16.溶媒が、インクの総重量に対して、約35~約80重量%、より具体的には、約45~約75重量%の量で存在する、条項1~15のいずれか一項に記載の筆記具。
17.着色剤が、染料、特に、アゾ系染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン誘導体染料、キサンテン染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料である、条項1~16のいずれか一項に記載の筆記具。
18.着色剤が、インクの総重量に対して、約5~約30重量%、特に、約7~約28重量%の量で存在する、条項1~17のいずれか一項に記載の筆記具。
19.非水性筆記用インクが、1つ以上の添加剤、特に、増粘剤、クリアドレン剤、潤滑剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含む、条項1~18のいずれか一項に記載の筆記具。
20.溶媒、ゲル化剤、着色剤、並びにビニルピロリドンのホモ又はコポリマー及びこれらの混合物を含むポリマーレオロジー剤を含む、非水性筆記用インクであって、
ゲル化剤が、水不溶性非酸化セルロースナノファイバを含み、
ポリマーレオロジー剤が、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在する、非水性筆記用インク。
21.条項1~19のいずれか一項に記載の筆記具又は条項20による非水性筆記用インクを調製するプロセスであって、非水性筆記用インクが、溶媒、ゲル化剤、着色剤、並びにビニルピロリドンのホモ又はコポリマー及びこれらの混合物を含むポリマーレオロジー剤を含み、
ゲル化剤が、水不溶性非酸化セルロースナノファイバを含み、
ポリマーレオロジー剤が、インクの総重量に対して、約0.05~約0.6重量%の量で存在し、
a)水不溶性セルロースナノファイバ及び溶媒の少なくとも一部を含む、第1の均質な予備混合物を提供することと、
b)第1の予備混合物を非水性筆記用インクの残りの成分と組み合わせることと、によって調製される、プロセス。
【0096】
本開示の特定の実施形態は、例示目的で開示されているが、当業者は、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。また、そのような修正及び変更は、本開示の範囲及び添付の特許請求の範囲に組み込まれることを理解されたい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】