(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】組織又はアーティファクトを検出又は区別するために使用されるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20230807BHJP
A61B 17/29 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B17/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501270
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021040763
(87)【国際公開番号】W WO2022011063
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514226350
【氏名又は名称】ブライトシード・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BRITESEED,LLC
【住所又は居所原語表記】4660 N Ravenswood Ave.,Chicago,IL 60640 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタ・アクシャイ・バルガフ・クリシュナ・バダリ
(72)【発明者】
【氏名】ハリハラン・サブラマニアン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC23
4C160GG24
4C160KK62
4C160MM32
(57)【要約】
本発明の外科用システムは、少なくとも1つの発光素子と、外科機器を含み、外科用システムは外科機器の作業端に配置された少なくとも1つの発光素子と光センサアレイを含み、光センサアレイ内の個々の光センサは、非パルス状成分を含むシグナルを生成するように構成される。前記システムは、光センサアレイに結合したコントローラも含み、当該コントローラは分析器を備え、当該分析器は、光センサアレイ内の個々の光センサのそれぞれのシグナルの非パルス状成分の曲線を決定し、曲線に沿って複数の関心領域を識別し、複数の関心領域のうちの1つ以上の関心領域を決定して、複数の関心領域の間の近さの1以上の計測にさらに基づいて考慮し、および1つ以上の関心領域のうちの1つ以上が脈管または組織に関連付けられる可能性が高いかどうかを1つ以上のパラメータに基づいて決定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科機器を含む外科用システムであって、前記外科用システムは:
前記外科機器の作業端に配置された少なくとも1つの発光素子と;
前記外科機器の前記作業端に配置された光センサアレイであって、前記光センサアレイ内の個々の光センサは、非パルス状成分を含むシグナルを生成するように構成される、光センサアレイと;
前記光センサアレイに結合したコントローラであって、前記コントローラは、分析器を備え、前記分析器は:
前記光センサアレイ内の個々の前記光センサのそれぞれの前記シグナルの非パルス状成分の曲線を決定し、
前記曲線に沿って複数の関心領域を識別し、
複数の前記関心領域のうちの1つ以上の関心領域を決定して、複数の前記関心領域の間の近さの1以上の計測にさらに基づいて考慮し、
1つ以上の前記関心領域のうちの1つ以上が脈管又は組織に関連付けられる可能性が高いかどうかを1つ以上のパラメータに基づいて決定するように構成されたコントローラと;
を備える、外科用システム。
【請求項2】
近さの1以上の前記計測は、連続する開始位置間の距離と、連続する終了位置間の距離と、連続する開始位置及び終了位置の間の距離とを含む、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項3】
近さの1つ以上の前記計測は、複数の前記関心領域の連続する領域の平均位置間の距離を含む、請求項1又は2に記載の外科用システム。
【請求項4】
前記分析器は、1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上が、1つ以上のパラメータに基づいて脈管又は組織に関連付けられる可能性が高いかどうかを決定する前に、1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上の開始位置及び終了位置のうちの少なくとも1つを調整するように構成され、
前記分析器は、1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上について一次微分を計算し、1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上についての最大値で割ることによって一次微分を正規化し、前記開始位置及び前記終了位置の少なくとも1つを調整するために1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上内で1つ以上の位置での勾配を分析するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項5】
1つ以上の前記パラメータが、以下のうちの1つ以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用システム:
領域の幅;
前記領域の標準偏差;
前記領域の平均によって正規化された前記領域の標準偏差の比;
前記領域内の最小強度値;前記センサの端部に対する前記領域の位置;
前記領域の開始位置又は終了位置におけるコントラストであって、前記領域の前記開始位置又は前記終了位置における強度値に対する前記領域内の最小強度値の比を含む、コントラスト;
前記領域の半値幅;
前記領域の前記開始位置での傾斜であって、前記領域の前記開始位置での前記傾斜は、前記開始位置と前記最小強度値の位置との間の距離に対する、前記開始位置での強度値と前記最小強度値との間の差の比を含む、傾斜;及び
前記領域の前記終了位置での傾斜であって、前記領域の前記終了位置での前記傾斜は、前記終了位置と前記最小強度値の位置との間の距離に対する、前記終了位置での強度値と前記最小強度値との間の差の比を含む、傾斜。
【請求項6】
1つ以上の前記パラメータが:
領域の幅;
前記領域の標準偏差;
前記領域の平均によって正規化された前記領域の標準偏差の比;及び
前記領域内の最小強度値、
からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項7】
前記分析器は、複数の前記関心領域を識別するために以下の操作を実行するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の外科用システム:
前記曲線を滑らかにして平滑化曲線を生成する;
前記平滑化曲線の導関数を計算する;
前記平滑化曲線を反転して、反転平滑化曲線を生成する;
前記反転平滑化曲線の導関数を計算する;
前記反転平滑化曲線の前記導関数と前記平滑化曲線の前記導関数との差をとって、結果曲線を生成する;
前記結果曲線を平滑化して、平滑化結果曲線を生成する;
前記平滑化結果曲線のゼロ交差を推定する;
もしあれば各ゼロ交差に隣接する点にシグナム関数を適用して結果を生成する;及び
各ゼロ交差に隣接する点の結果に基づいて、複数の前記関心領域を識別する。
【請求項8】
前記分析器は、前記平滑化曲線の3点微分を計算して前記平滑化曲線の前記導関数を計算するように構成される、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項9】
前記分析器は、前記反転平滑化曲線の3点微分を計算して前記反転平滑化曲線の導関数を計算するように構成される、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項10】
前記分析器は、前記平滑化結果曲線のゼロ交差を推定する前に、前記平滑化結果曲線を補間するように構成される、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項11】
前記分析器は、各ゼロ交差に隣接する点の結果に基づいて複数の関心領域を識別し、複数の前記関心領域から一つの領域を識別し、前記領域に関連するアーティファクトを特徴づけるように構成される、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項12】
前記コントローラがプロセッサ及びメモリを備え、前記分析器が、次のようにプログラムされた前記プロセッサを備え、前記光センサアレイ内の個々の前記光センサのそれぞれのシグナルの非パルス状成分の曲線を決定し、前記曲線を平滑化して平滑化曲線を生成し、前記平滑化曲線の導関数を計算し、前記平滑化曲線を反転して反転平滑化曲線を生成し、前記反転平滑化曲線の導関数を計算し、前記反転平滑化曲線の前記導関数と前記平滑化曲線の前記導関数との間の差をとり結果曲線を生成し、前記結果曲線を平滑化して平滑化結果曲線を生成し、前記平滑化結果曲線のゼロ交差を推定し、もしあれば各ゼロ交差に隣接する点にシグナム関数を適用して結果を生成し、及び各ゼロ交差に隣接する点の結果に基づいて、複数の前記関心領域を識別する、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項13】
前記分析器は、脈管又は組織に関連する可能性が高いと決定された1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上に基づいてアーティファクトを特徴付けるように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項14】
請求項13に記載の外科用システムであって、前記分析器は、脈管に関連する可能性がより高いと決定された1つ以上の前記関心領域のうちの前記1つ以上に従って、脈管の直径又は有効直径を決定するように構成されている、外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許は、脈管などの組織又はアーティファクトを検出又は区別するために使用されるシステム及び方法、特に、組織又はアーティファクトを検出又は区別するために使用されるシステム及び方法であって、シャフトの遠位端に配置された少なくとも1つの発光素子及び少なくとも1つの光センサを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科処置中の手術領域において、アーティファクト、そして特に脈管を特定するシステム及び方法により、外科医又は外科チームにとって有益な情報がもたらされる。米国病院は、立替え不可能なコストとして年間数十億ドルもの損失を被っている。この原因は、外科処置中の意図しない脈管のダメージによる。更には、関与する患者が最大32%という死亡率に直面することとなり、そして、是正処置を要する蓋然性が高く、更には、追加で9日間入院することになるであろう。結果として、数十万とはいかないまでも、ケアのために数万ドルの追加コストがかかることとなる。従って、手術領域において脈管(例えば血管)の存在を正確に決定することを可能にする方法及びシステムから得ることには、重要な価値がある。結果としてこうしたコストを削減又は回避することができる。
【0003】
手術領域における血管の存在に関する情報を提供するシステム及び方法は、最小限の侵襲的な外科処置の最中において、特に重要となる。伝統的には、外科医は、外科処置中、触覚を頼りに、血管の同定を行い、且つ、これらの脈管に対して、意図しないダメージを回避していた。最小限の侵襲的処置へと移行してきたため(腹腔鏡手術及びロボット手術を含む)、外科医は、手術領域における血管の存在に関して決定するための直接的な視覚化や触覚を用いた能力が失われてきた。従って、外科医は、主に慣習及び経験に基づいて、手術領域において、血管の存在の有無を決定しなければならない。残念ながら、解剖学的にイレギュラーなことは、しばしば起こるものであり、その原因としては、先天性の異常、前回の手術の傷跡、及び体質(例えば、肥満)が挙げられる。そのような条件下で、外科医が手術中に(潜在的にリアルタイム又はほぼリアルタイムで)手術領域における脈管の存在及び/又は特性を決定できるようにするシステム及び方法は、大きな利点となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、外科領域における血管の存在に関する情報を提供するシステム及び方法を含めることは有利であるが、このようなシステム及び方法が外科処置をより複雑にする場合、その導入は妨げられるであろう。したがって、システム及び方法が、脈管などの組織又はアーティファクトを検出又は区別するためにシステム又は方法を使用する際、外科医又は外科チームの側で重要な考慮を必要としないこと、或いはシステム又は方法の使用のために外科領域又は患者の重要な準備を必要としないこと、が有利である。
【0005】
以下でより詳細に説明するように、本開示は、既存のシステム及び方法に対する有利な代替手段を具現化するユーザーインターフェースを説明し、外科機器又は外科処置の過度の複雑さを伴うことなく、脈管などの組織又はアーティファクトの回避又は分離のための改善された識別を提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、外科用システムは、外科機器と、前記外科機器の作業端に配置された少なくとも1つの発光素子と、前記外科機器の前記作業端に配置された光センサアレイであって、前記光センサアレイ内の個々の光センサは、非パルス状成分を含むシグナルを生成するように構成される、光センサアレイと、前記光センサアレイに結合したコントローラと、を含む。前記コントローラは、分析器を含み、前記分析器は、前記光センサアレイ内の個々の前記光センサのそれぞれの前記シグナルの非パルス状成分の曲線を決定し、前記曲線に沿って複数の関心領域を識別し、複数の前記関心領域のうちの1つ以上の関心領域を決定して、複数の前記関心領域の間の近さの1以上の計測にさらに基づいて考慮し、1つ以上の前記関心領域のうちの1つ以上が脈管又は組織に関連付けられる可能性が高いかどうかを1つ以上のパラメータに基づいて決定するように構成される。
【0007】
本開示内容については、以降の説明及び添付した図面から、更に完全な形で理解できるであろう。他の要素を明示する目的から、幾つかの図面においては、選択された要素を省略して簡略化している場合がある。幾つかの図面におけるこうした要素の省略は、例示的な実施形態において、必ずしも特定の要素の存在の有無を示すわけではない(例外として、対応する記載された説明において明記しない限り)。どの図も、必ずしも実スケールとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に従った外科用システムの概念図である。
【
図2】
図2は、発光素子及び光センサを有する
図1の外科機器の、透過率に基づく実施形態と、発光素子と光センサとの間に配置されたものとして図示された脈管の一部との拡大部分図である。
【
図3】
図3は、一定の間隔で発光素子及び光センサを備えた反射率ベースのシステムも取り付けられた
図1の外科機器の一実施形態と、発光素子と光センサに近接するように図示した脈管の一部との拡大部分図である。
【
図4】
図4は、互いに対して調整可能な間隔を有する発光素子及び光センサを有する反射率ベースのシステムも取り付けられた外科機器の別の実施形態と、発光素子と光センサに近接するように図示した脈管の一部との拡大部分図である。
【
図5】
図5は、ビデオシステムの実施形態と組み合わせた、本開示の実施形態による外科用システムの概略図であり、ビデオシステムと共に使用中の外科用システムを示している。
【
図6】
図6は、ビデオシステムの別の実施形態と組み合わせた、本開示の一実施形態による外科用システムの概略図であり、ビデオシステムと共に使用中の外科用システムを示している。
【
図7】
図7は、光センサアレイから受信したシグナル内の1つ以上の関心領域を検出又は区別するために前述のシステムのいずれかによって使用される方法のフローチャートであり、1つ以上の関心領域の検出又は区別が、組織又は1つ以上のアーティファクトの検出又は区別につながる。
【
図8】
図8は、例えば脈管などのアーティファクトに関連する可能性が高い又は低い複数の関心領域の中からそれらの関心領域を選択するために前述のシステムのいずれかによって使用される方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、識別された複数の関心領域を示すためにマークされた、個々のセンサ位置に対する強度値のグラフである。
【
図10】
図10は、
図9のグラフであり、複数の関心領域をより少ない数の関心領域に削除又は統合することを示すために印を付けたものである。
【
図11】
図11は、
図9のグラフであり、識別された複数の関心領域から識別された単一の関心領域を示すように印を付けたものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、曲線内の関心領域を検出又は区別するためのシステム及び方法を提供し、このシステム及び方法は、脈管などの組織又はアーティファクトを検出又は区別することも含み、外科用システム又は外科機器とともに、又は外科用システム又は外科機器内で使用されることができる。このようなシステムは、外科機器の作業端に配置された少なくとも1つの発光素子と、外科機器の作業端に配置された光センサアレイとを含むことができ、光センサアレイ内の個々の光センサは、非パルス状成分を含むシグナルを生成するように構成される。システムはまた、光センサアレイに結合されたコントローラを含むことができ、コントローラは分析器を含む。分析器は、光センサアレイ内の個々の光センサのそれぞれのシグナルの非パルス成分の曲線を決定し、曲線を平滑化して平滑化曲線を生成し、平滑化曲線の導関数を計算し、平滑化曲線を反転して反転平滑化曲線を生成し、平滑化反転曲線の導関数を計算し、反転平滑化曲線の導関数と平滑化曲線の導関数との差をとって結果曲線を生成し、結果曲線を平滑化して平滑化結果曲線を生成し、平滑化結果曲線のゼロ交差を推定し、もしあれば各ゼロ交差に隣接する点にシグナム関数(符号関数)を適用して結果を生成し、及び、もしあれば各ゼロ交差に隣接する点の結果に基づいて関心領域を識別する。
【0010】
まず、
図1~
図6を参照する。
図1~6を参照すると、そのような外科用システム100の実施形態が示され、このシステム100は、例えば組織Tの領域102内の脈管Vの特性(例えば、存在、直径など)を決定するために使用され得る。脈管Vは、組織Tの領域102内に存在し、外科機器106の作業端104の近くに存在する。以下の点を理解されたい:即ち、脈管Vは、組織Tの領域102において他の脈管と接続されてもよく、そして、更には、脈管Vは当該領域102を超えて延在してよく、患者の体内でみられる他の器官(例えば、心臓)を流体連通することができる。更に、組織Tは、
図1~4において、脈管Vを完全に特定の深さまで覆っている(周方向及び長さ方向の両方の観点から)ものの、このことは、システム100を利用するすべての例において、必ずしも当てはまるものではない。例えば、組織Tは、脈管Vの周方向を部分的に覆うだけであってもよく、及び/又は、脈管Vの長さ方向の一部を覆うだけであってもよい。又は組織Tは、脈管V上に、ごく薄い層として存在してもよい。更に非限定的な例として、脈管Vは血管であってもよく、及び組織Tは、結合組織、脂肪組織及び/又は肝臓組織であってもよい。
【0011】
図示の実施形態によれば、外科機器106の作業端104は、シャフト108の遠位端でもある。したがって、作業端及び遠位端は、作業端104又は遠位端104として参照する。シャフト108は近位端110も有し、グリップ又はハンドル112(本明細書では交換可能にグリップ112と呼ばれる)がシャフト108の近位端110に配置される。グリップ112は、機器106の性質に従って設計される。
図1に示される熱結紮装置に関して、グリップ112は、引き金114を含むピストルタイプのグリップであってもよい。一代替として、一般にハサミタイプのグリップに配置された指輪が使用されてもよい。
【0012】
作業端又は遠位端104及びグリップ112の近位端110は、シャフト108の最も反対側の端に配置されていると示されているが、特定の外科機器にはシャフトの最も反対側の端に配置された作業端(例えば、ツールチップが取り付けられている場合)と、反対側の作業端の中間に配置されたグリップ領域とを有することが認識されるであろう。本明細書で使用される「遠位」及び「近位」という用語に従って、このような機器の作業端を遠位端と、グリップ領域を近位端と、本明細書で称する。ただし、図解された実施形態と比較して、遠位端と近位端は、シャフト108の最も反対側(又は単に反対の)端に位置する。
【0013】
上記のように、図解された好ましい実施形態によると、外科用システム100には、少なくとも1つの発光素子120(又は単に発光素子120)と1つ以上の光センサ又は検出器122(又は単に光センサ122)を有するセンサが含まれる。
図2~4を参照。図解された実施形態によれば、コントローラ124は、以下で説明するように、発光素子120及び光センサ122に結合され、コントローラ124がスプリッター126と分析器128を含むことができる。
図1を参照。
【0014】
発光素子120は、外科機器106の作業端104に配置される。光センサ122は、外科機器106の作業端104にも配置される。いずれの場合も、「配置される」という語句は、作業端104での素子120又はセンサ122の物理的な配置、又は作業端104でのファイバ又は他の光ガイドの配置を指すことができ、光ガイドは他の場所に置かれ得る素子120又はセンサ122に結合される。システム100は、透過率ベースのアプローチに従って動作し得る。これにより、
図2に示すように、光センサ122が反対側に配置され、発光素子120に面する。発光素子120は例えば外科機器106の反対側の顎に配置される。さらに、システム100には反射率ベースのシステム(前向きの脈管及び/又は組織検出用)が含まれ得る。これにより、発光素子120及び光センサ122が共通の方向に、その間に一定の間隔をおいて例えば2つの顎装置(ジョーデバイス)のうちの単一の顎に面する(
図3を参照)。あるいは、反射率ベースのシステムの発光素子120と光センサ122は、例えば、発光素子120を2つの顎装置のうち一方の顎の先端又は末端に、光センサ122を2つの顎装置のうち他方の顎の先端又は末端に位置させることにより、発光素子120と光センサ122の間隔を調整できるように構成してもよい(
図4参照)。そのような反射率ベースのシステムの動作に関して、米国特許出願公報第2019/0046220号が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
発光素子120は、少なくとも1つの波長の光を発するように構成され得る。例えば、発光素子120は、660nmの波長を有する光を発することができる。これについては、単一の素子又は複数の素子を用いて達成することができる(例えば、素子は、アレイ状に配置又は構成されてもよく、これについては後で詳述する。)。同様の態様で、光センサ122は、少なくとも1つの波長(例えば、660nm)で光を検出するように構成される。本明細書に記載の実施形態によれば、光センサ122は、複数の素子を含み、これらの素子は、アレイ状に配置又は構成される。
【0016】
ある特定の実施形態によれば、発光素子120は、少なくとも2つの異なる波長の光を発するように構成されてもよく、及び光センサ122は、少なくとも2つの異なる波長の光を検出するように構成されてもよい。光センサ122は、(例えば、個々のセンサ122によって受信された光をフィルタリングすることによって)少なくとも2つの異なる波長の光を検出するように構成され得ることが可能であり、波長は、発光素子120によって放射される波長のサブセットである。すなわち、発光素子120が発光し、光センサ122が同じ2つ以上の波長のみを検出することは必要条件ではないが、特定の実施形態に従ってそうすることができる。一例として、発光素子120は以下を発することができ、及び、光センサ122は以下を検出することができる:可視光範囲の光、及び、近赤外線又は赤外線範囲の光。具体的には、発光素子120は以下を発することができ、及び、光センサ122は以下を検出することができる:660nm及び910nmの光。こうした実施形態は、例えば、インビボ条件下で、血管V及び周辺組織Tが最適に貫通することを確保するために使用することができる。
【0017】
血流の変化の影響に応じて、第三波長の光も放射され、感知され得る。すなわち、検出方法が関心の脈管内の血流速度の変化に敏感であることが判明した場合、810nm(すなわち、等吸収点)の光を放射して感知し、結果の正規化を可能にして血流量の変化の影響を制限又は排除することができる。追加の波長の光を使用することもできる。
【0018】
特定の実施形態によれば、それぞれの個別の光センサ122は、第一パルス状成分と第二非パルス状成分とを含むシグナルを生成するように構成される。以下の点を認識されたい:即ち、第一パルス状成分は、シグナルの交流電流(AC)成分であってもよく、一方で、第二非パルス状成分は、直流電流(DC)成分であってもよい。光センサ122がアレイの形態である場合、パルス状及び非パルス状の情報は、アレイの各素子に関して、又は、少なくとも、アレイの少なくとも1つの列を形成するアレイの各素子に関して生成されてもよい。
【0019】
パルス状成分に関して、以下の点を認識されたい:即ち、血管については、1分あたり約60パルス(又はビート)の特徴を有する脈動を有するものとして説明することができる。この点は、患者の年齢及び条件によって変動しうるものの、脈動の範囲は、典型的には60~100パルス(又はビート)/分である。光センサ122は、シグナル(コントローラ124を通過する)を生成し、該シグナルは特定のAC波形を有し、該波形は、脈管を通過しての血液の移動に対応する。特に、AC波形は、脈管内のパルス状の血流によって吸収又は反射される光に対応する。一方、DC成分は主に、組織によって吸収、反射及び/又は散乱された光に対応し、したがって、脈管は、センサアレイ内のそれぞれのセンサからのDCシグナルで形成された曲線の「影」又は「ディップ(くぼみ)」として現れ得る。
【0020】
そのような実施形態によれば、コントローラ124は、光センサ122に結合され、また光センサアレイ122の各要素について、第1パルス状成分を第2非パルス状成分から分離するスプリッター126を含み得る。コントローラ124はまた、パルス状成分に(少なくとも部分的に)基づいて、外科機器106の作業端104に近接する領域102内の脈管Vの存在及び/又は特徴を決定するための分析器128を含み得る。本明細書で説明する実施形態によれば、分析器は、システム100の光センサ120からのDCシグナル内の関心領域を最初に検出又は区別することによって、その決定を行うことができる。
【0021】
関心領域の決定の詳細を論じる前に、システムのさらなる詳細を、例えば、
図1及び
図2の透過率ベースの実施形態を参照して論じることができる。
図1及び2を参照すると、発光素子120は、上で参照したように、1以上の素子を含むことができる。一実施形態によれば、
図2に概念的に示すが、光センサ122は、以下を含むことができる:第一発光素子120-1、第二発光素子120-2、及び第三発光素子120-3。全ての発光素子は、特定の波長(例えば、660nm)で発光するように構成されてもよく、又は、ある特定の発光部は、他の発光部とは異なる波長で発光してもよい。各発光素子は、例えば、発光ダイオードであってもよい。
【0022】
これらの実施形態に関して(ここでは、発光素子120がアレイ形態となっており、該アレイは1以上の発光ダイオードを含む)、
図2に示すが、ダイオードを、一次元の、二次元の又は三次元のアレイ形態で配置してもよい。一次元アレイの例は、以下を含むことができる:単一平面上に1つのラインに沿ってダイオードを配置すること。一方で、二次元のアレイの例は、以下を含むことができる:単一平面上の複数の行及び列にダイオードを配置すること。二次元のアレイの更なる例は、以下を含むことができる:湾曲面の上又はその中に、ラインに沿ってダイオードを配置すること。3次元アレイは、以下を含むことができる:複数面においてダイオードを配置すること、(例えば湾曲面の上又はその中に複数の行及び列にわたって)。
【0023】
また、光センサ122は、1以上の素子を含む。一実施形態によれば、
図2に示すように、光センサ122は、以下を含むことができる:第1光センサ122-1、第2光センサ122-2、n番目の光センサ122-nなど。発光素子120-1、120-2、120-3についてもそうであったように、光センサ122-1、122-2、122-3、122-nはアレイ状に配置してもよく、そして、アレイについての上記説明は、ここでも同様に当てはまる。
【0024】
実際、光センサアレイ122は、更に少なくとも1つの光センサの列を含む場合(
図2を参照)、アレイ122は、代わりに直線状アレイと称してもよい。アレイ122の個別の光センサは、互いに接して配置されてもよく、又は、光センサは、互いに離れて配置されてもよい。光センサの列を形成する個別の光センサについては、アレイの異なる行又は列を形成する光センサによって、互いに分離することさえも可能である。しかし、特定の実施形態によれば、アレイは、電荷結合素子(CCD)、特に複数のピクセルを含む直線状CCD撮像装置を含むことができる。更なる別の形態として、CMOSセンサアレイを用いてもよい。
【0025】
システム100は、発光素子120、センサ122、及びコントローラ124のほか、ハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。例えば、複数の発光素子120を用いる場合、ドライブコントローラを設けて、個別の発光素子のスイッチングを制御してもよい。同様の態様で、マルチプレクサを設けてもよく、ここで、複数のセンサ122が含まれ、マルチプレクサは、センサ122及び増幅器と結合してもよい。更に、コントローラ124は、必要に応じて、フィルタ、及び、アナログ-デジタル変換機を含むことができる。
【0026】
ある特定の実施形態によれば、スプリッター126及び分析器128は、1以上の電気的な回路構成要素によって規定される。他の実施形態によれば、1以上のプロセッサ(又は単純に、プロセッサ)は、スプリッター126及び分析器128がある動作を行うよう、プログラミングされてもよい。更なる実施形態によれば、スプリッター126及び分析器128は、一部は、電気的な回路構成要素によって規定されてもよく、及び、一部は、プロセッサによって規定されてもよく、該プロセッサは、スプリッター126及び分析器128がある動作を行うようプログラミングされてもよい。
【0027】
例えば、スプリッター126は、プロセッサを含むことができ、又はプロセッサによって規定されてもよく、該プロセッサは、第一パルス状成分を、第二非パルス状成分から分離するようプログラミングされてもよい。更に、分析器128は、プロセッサを含むことができ、又はプロセッサによって規定されてもよく、該プロセッサは、第一パルス状成分に基づいて、外科機器106の作業端104に近接する領域102内の脈管Vの存在を決定するように(又は例えばサイズを定量化するように)、プログラミングされてもよい。プロセッサがプログラミングされる指示内容は、プロセッサに関連するメモリ上に保存されてもよく、ここで、メモリは、以下を含むことができる:1以上の有形の非一時的なコンピュータ可読メモリであって、コンピュータ実行可能指示を当該メモリ上に有するもの。当該指示は、プロセッサによって実行されるとき、1以上のプロセッサに対して1以上の動作を引き起こすことができる。
【0028】
組織及び/又はアーティファクト(例えば、血管又は尿管などの脈管)の特性を決定するためのそのような透過率ベースのシステムの動作に関して、その特性は、位置及び寸法(例えば、長さ、幅、直径など)を含み得る。限定ではなく一例として、米国特許出願公開第2015/0066000号、第2017/0181701号、第2018/0042522号、及び第2018/0098705号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。このようなシステムの操作に関連する問題に対処する関連する構造と操作については、米国特許出願公開第2018/0289315号及び第2019/0175158号はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
図5及び6は、例えば、低侵襲手術又は腹腔鏡手術中に従来通り使用され得るような、ビデオシステム200の実施形態と組み合わせた外科用システム100の実施形態を示す。ビデオシステム200は、ビデオカメラ又は他の画像キャプチャデバイス202、ビデオ又は他の関連するプロセッサ204、及び視野スクリーン208を有するディスプレイ206を含む。
【0030】
図示のように、ビデオカメラ202は、2つの外科機器106の作業端104に近接する領域102に向けられる。図示のように、外科機器106の両方が、
図2に示し上記で説明したような外科用システム100の実施形態の一部である。この場合、機器106はそれぞれ、視覚的インジケータ130を含む。しかしながら、他の実施形態によれば、機器106のうちの1つだけが視覚的インジケータ130を含み得ることが認識されるであろう。外科用システム100の他の要素は、図示を容易にするために省略されているが、スプリッター126及び分析器128などのシステム100の要素は、ビデオプロセッサ204と同じ物理的ハウジングに収容され得ることに留意されたい。
【0031】
ビデオカメラ202からのシグナルは、ビデオプロセッサ204を介してディスプレイ206に送られ、外科医又は外科チームの他のメンバーは、通常は患者の体内にある、領域102ならびに外科機器106の作業端104を見ることができる。視覚的インジケータ130が作業端104、したがって領域102に近接しているため、視覚的インジケータ130もディスプレイスクリーン108上で見ることができる。前述のように、これにより、外科医は、領域102及び作業端104と同じディスプレイ206及び同じディスプレイスクリーン208を介して、視覚的インジケータ130を介して、視覚的合図又は警告を受け取ることが有利に可能になる。これにより、外科医が視覚的インジケータ130を介して伝達される情報を他の場所で探す必要性が制限される。
【0032】
図6は、外科用システム100の実施形態と共に使用することができるビデオシステム200の別の実施形態を示す。この実施形態によれば、ビデオプロセッサ204は、ビデオカメラ202’とは別個のハウジング内に配置されないが、ビデオカメラ202’と同じハウジング内に配置される。さらなる実施形態によれば、ビデオプロセッサ204は、代わりに、ディスプレイスクリーン208’としてのディスプレイ206’の残りの部分と同じハウジング内に配置され得る。そうでなければ、
図5に示されるビデオシステム200の実施形態に関する上記の議論は、
図6に示されるビデオシステム200の実施形態にも等しく当てはまる。
【0033】
ユーザーインターフェース130は、外科医又は外科チームがコントローラ124からの出力を見ることを有利に可能にするが、
図1及び
図2に示されるように、ユーザーインターフェース130に他の出力デバイスを含めることが可能である。例えば、警告を、外科処置に使用されるビデオ・モニタ300上に表示してもよく(例えば、
図5、6のディスプレイ206、206’)、又は、該警告により、モニタ上の画像について、色の変化、又は点滅、サイズの変更、又は外観の変更などの変化をひき起こしてもよい。補助出力はまた、スピーカー302の形態であってもよく、又は該スピーカーを含んでもよく、該スピーカーは、聴覚的な警告を提供する。また、補助出力は、外科機器106に関連するセーフティ・ロックアウトの形態であってもよく、又は該ロックアウトを組み込んでもよく、機器106の使用を中断させる。例えば、ロックアウトは、結紮又は焼灼を防止することができる(外科機器106がサーマル結紮装置の場合)。更なる例として、また、補助出力は触覚的(haptic)フィードバックシステム(例えばバイブレータ304)の形態であってもよく、これについては、外科機器106のハンドル又はハンドピースに取り付けてもよく、これらと一体形成されてもよく、触覚的な示唆又は警告を提供することができる。外科機器108の作業端104に配置された発光要素に加えて、グリップ又はハンドル112上に配置又は取り付けられるなど、シャフト108の近位端110に1つ以上の発光要素を配置することができ、視覚的な表示又は警告を提供することができる。補助出力のこれら特定の形態の様々な組み合わせを用いることができる。
【0034】
上述したように、外科用システム100は、作業端104を有する外科機器106を含むこともできる。これらの作業端に、ユーザーインターフェース130及びセンサ(並びに好ましい実施形態では発光素子120及び光センサ122)が取付けられる(代替する形で、取り外し可能に/可逆的に、又は恒久的に/不可逆的に)。ユーザーインターフェース130及びセンサは、代わりに、外科機器106と一体形成される(即ち、1つのピースとして)。更に可能な点として、ユーザーインターフェース130及びセンサは、別の機器又はツールに取り付けられてもよく、これらは、外科機器又はツール106と併せて使用することができる。
【0035】
上述したように、一実施形態において、外科機器106はサーマル結紮装置であってもよい。別の実施形態では、外科機器106は、単純に、対向する顎(ジョー)を有する把持具又は把持鉗子であってもよい。更なる実施形態によれば、外科機器は、他の外科機器であってもよい(例えばイルリガトール、外科用ステープラ、クリップアプライヤー、及びロボット外科用システムなど)。更なる他の実施形態によれば、外科機器は、ユーザーインターフェースとセンサを搭載し、及び、これらを手術領域内に配置する、他の機能を有さなくてもよい。単一の実施形態に関する説明は、他の外科機器又はツール106とともにシステム100を使用することを除外することを意図するものではない。
【0036】
上述のシステムのうちの1つ以上の文脈において、光センサアレイから受け取ったデータからアーティファクトを特徴付ける(例えば、脈管の直径を決定する)前に、関心領域の識別が重要であることを認識されるであろう。さらに、関心領域の識別が、関心領域の識別に影響を与え得る環境要因に対して比較的ロバストであることが有利である。さらに、関心領域の識別が、識別を行う計算負担を最小限に抑えることが有利である。前者に関連して、計算負荷を最小限に抑える識別システム及び方法は、リアルタイム又はほぼリアルタイムの実装におけるシステム及び方法の使用も促進し得る。
【0037】
上述したように、説明したシステム100は、発光素子120及び光センサ122を含み、光センサからのシグナルは、パルス状(又はAC)成分及び非パルス状(又はDC)成分を含み得る。本明細書に記載の関心領域を識別するためのシステム及び方法は、非パルス状又はDC成分を利用する。このDCデータは、本明細書に記載の少なくとも1つの実施形態によれば、アレイ、例えば線形アレイに配置された複数の光センサからのDCデータを含むDC曲線に関して説明され得る。
【0038】
大まかに言うと、
図7に示す方法を使用して、DC曲線で「ディップ」が発生する関心領域(すなわち、プロファイルが減少してから増加するDC曲線に沿った領域)を決定することができる。特定の実施形態によれば、すべてのディップを関心領域として識別することができる。他の実施形態によれば、次に関心領域をさらに処理して、どの関心領域が脈管、特に血管などの特定のアーティファクトに関連する確率が高い(又はより高い)かを決定することができる。例えば、血管に関連する確率が高い(又はより高い)関心領域は、異質組織又は吸収性の高い組織に関連する関心領域から分離され得る。このようにして、本方法は、センサアレイに沿って血管をリアルタイムで位置決めし、追跡するために使用されてもよい。
【0039】
図7を参照して説明したように、関心領域を識別するための方法300が説明されており、これは、上述のシステム100の実施形態で使用することができる。
図7に示される方法300の実施形態は、ブロック302を開始し、以上で説明したように、システム100は発光素子120を制御して1つ以上の波長の光を放射し、光センサ122は1つ以上の波長の光を検出するように構成することができる。方法300は、ブロック304に続き、ここで、光センサ122が光を受け取り、検出された光に従ってシグナルを生成する。おそらく、光センサ122によって受け取られる光の大部分は発光素子120からのものであるが、周囲光(すなわち、他の光源からの光)も光センサ122によって受け取られる光に寄与し得ることが認識されるであろう。さらに、上記の議論に沿って、光センサ122によって受け取られた光は、特に光が血管などの脈管を含む組織を通過した後に受け取られるときに、パルス状成分及び非パルス状成分を含み得る。
【0040】
ブロック306では、システム100は、光センサ122から受け取ったシグナルをパルス状成分と非パルス状成分に分離する。例えば、スプリッター126を使用して、シグナルの異なる成分を分離することができる。さらに、方法300は非パルス状(又はDC)成分を利用するが、パルス状(又はAC)成分もシステム100によって別個の方法で、又は方法300の出力と併せて利用され得ることが認識されるであろう。
【0041】
方法300の一実施形態によれば、システム100は、アレイに沿った光センサ122のそれぞれに対応するDCシグナルを含み得るDC曲線を平滑化する。この点に関して、平滑化はフィルタリングを含むことができ、そのフィルタリングは平均化も含むことができる。DC曲線の平滑化は、他のセンサと比較して最も顕著なDCシグナルを有するシグナルを生成するセンサに焦点を当てるのを助けることができる。
【0042】
ブロック310では、システム100は、ブロック308で生成された平滑化されたDC曲線の導関数を決定する。特に、システム100は、導関数を決定するために3点数値微分を使用するが、代わりに他のn点数値微分を使用してもよい。システム100は、数値微分を使用して導関数を決定し、方法300によって提示される計算負担を軽減する。
【0043】
ブロック312では、システム100は、ブロック308で決定された平滑化シグナルを反転する。ブロック314では、システム100は、反転平滑化DC曲線の導関数を決定する。ブロック310の場合と同様に、システムは、例えば、3点数値微分を使用して導関数を決定することができる。ここでも、数値微分を使用することで、方法300の計算負荷を軽減することができる。
【0044】
ブロック316では、システム100は、ブロック310で決定された導関数から、ブロック314で決定された導関数を減算する。次に、システム100は、ブロック316で、この減算の結果(結果曲線と呼ばれる)を平滑化し、ブロック318で平滑化結果曲線を生成する。次に、システム100は、任意に、方法300の残りの部分で使用するために、ブロック320での平滑化結果曲線を補間する。あるいは、平滑化結果曲線は、方法300の残りの部分で使用できる。
【0045】
ブロック322では、システム100は、平滑化された(及び任意で補間された)結果曲線のゼロ交差を推定する。次いで、システム100は、ブロック324での結果曲線の推定ゼロ交差に隣接する点にシグナム関数を適用し、ブロック326で、隣接する点にシグナム関数を適用した結果が特定のパターンを提示するかどうかを決定する。特に、システム100は、ゼロ交差に隣接する点の[1,-1,1]、[1,-1]、[-1,1]のパターンの結果を分析し、元のシグナル曲線にディップが発生したことを示唆する。次いで、システム100は、ブロック328で、この領域を関心領域として識別する。
【0046】
図7に反映されるように、システムは、ブロック328で、2つ以上の(潜在的な)関心領域を識別し得る。すなわち、ゼロ交差の数、及びそれらのゼロ交差に隣接する点に対して確立されたパターンに基づいて、システムは、関心領域がないこと、1つの関心領域、又は複数の関心領域を識別することができる。複数の関心領域を識別する際に、ブロック328での決定は、繰り返されてもよいし、複数回行われてもよい。
【0047】
図7の方法300にさらに反映されるように、ブロック328で複数の(潜在的な)関心領域が識別される状況では、システム100は、ブロック330で追加のアクションを実行して、ブロック328で決定された複数の領域から1つ以上の関心領域を選択することができる。
図9、10及び11は、複数の関心領域(
図9)から単一の関心領域(
図11)への処理を示しており、特定の領域が除去又は統合された中間段階又は中間フェーズを伴う(
図10)。いくつかの実施形態では、特定の関心領域は、脈管がその領域に関連している可能性に基づいて、他の領域に対して選択され得る;他の実施形態では、例えば、異なる組織を識別しようとする場合、関心領域のすべてが考慮されてもよい。次いで、システム100は、ブロック332で、例えば参考文献に記載の方法に従って、これらの関心領域に関連する脈管のサイズ(例えば、直径又は有効直径)を決定するなど、1つ以上の関心領域に対してさらなる分析を実行する。上記文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
複数の識別された関心領域から1つ以上の関心領域を選択するために実行され得る(すなわち、
図7のブロック330で発生し得る)アクションの一例として、方法350が
図8に示されている。この方法は、複数の(潜在的な)関心領域のうちどの関心領域が、それに関連する脈管(例えば、動脈又は静脈などの血管)を有する可能性が高い又は低いかを決定するために使用されてもよい。大まかに言えば、方法350はまず、どの関心領域が単一の関心領域として扱われるべき程度の近さを示すか、また、どの関心領域が十分に分離されているため、個別の関心領域として扱われるべきか、を決定する。近さの問題を解決すると、方法350は、残りの関心領域のそれぞれが脈管に関連する可能性が高いか低いかを判断しようとする。上述のように、方法350を実行した後、単一の領域がさらなる処理のための関心領域として識別されるか、又は可能性のあるさらなる処理のための関心領域として、複数の領域が識別されることが可能である。
【0049】
方法350はブロック352で始まり、ここで複数の関心領域が識別される(例えば、
図9)。上述したように、
図8の方法350は、
図7の方法300と併せて使用することができ、特に方法300のブロック330に関して、方法350のブロック352は、ブロック302からブロック328まで、特にブロック328までの方法300のすべてを再現することができる。
【0050】
ブロック352で関心領域が識別されると、複数の関心領域の近さの1つ以上の計測の分析が、ブロック354から開始して実行される。一般的に言えば、関心領域が十分に接近しており、実際にはどの2つの脈管も実際に接近する可能性が低い場合、システム100は関心領域を単一の関心領域として扱うことができる。それ以外の場合、領域は別個の領域として扱われる場合がある。以前に識別された関心領域の近さの分析には、複数の段階又はフェーズが含まれ得る。つまり、特定の領域が近いと、特定の領域が別の領域として除外される可能性があり、検討の初期段階又はフェーズによって識別された領域がさらに分析され、初期段階又はフェーズで識別された領域が除外(又は統合)される可能性がある。図示の実施形態によれば、近さの分析は2段階のフェーズを含む。
【0051】
図示の実施形態の第1段階によれば、近さ分析は、ブロック354では、1)隣接する領域の開始点間の近さ(例えば、連続する開始位置間の距離);2)隣接する領域の終点間の近さ(例えば、連続する終点間の距離);及び3)一の領域の開始点とその前の領域の終了点との間の近さ(例えば、そのような連続する終了位置と開始位置との間の距離)、の決定を含むことができる。つまり、Dは下記の通りであり、
【数1】
各列の最初の要素が開始点であり、各列の2番目の要素が終了点であり、上記の近さの決定(又は要因)は次のように表すことができる。
【数2】
ブロック354での分析の結果に基づいて、方法350は、356で各領域を単一の領域として識別するかどうかを決定してもよく、及び、ブロック358で複数の領域(例えば2つの領域)を単一の領域として識別するか、又はブロック360で領域を別々の領域として識別するかを決定してもよい。例えば、上に列挙した近さの要因の1つ以上を満たす関心領域は、別々の領域として扱われる(ブロック360)のではなく、隣接する領域と結合又は統合されて単一の領域として扱われる(ブロック358)という点で排除される。他の実施形態によれば、関心領域は、領域が結合又は統合される前に、2つ以上の近さ要因を満たす必要があり得る。
【0052】
特定の実施形態によれば、ブロック354~360で扱われる3つの近さ要因と併せて、さらなる近さ基準を使用することができる。ブロック362では、ブロック360の後に残っている別々の領域のそれぞれの平均位置が決定又は計算される。次いで、連続する領域の平均位置間の距離が決定される。次に、これらの距離を分析して、残りの領域のさらなる近さの計測を決定する。例えば、連続する平均位置間の距離を閾値と比較して、領域が近すぎて別個の領域と見なされないかどうか、又は領域が十分に離れているため、別個の領域として評価され続けるべきかどうかを決定し得る。領域が近すぎる場合は、領域が重なり合っていることを示唆している可能性があるか、或いは、典型的な脈管のような構造では、閾値比較に失敗するほど互いに近い領域を作成する(つまり、近すぎて別個の領域と見なされない)可能性が低いため、領域が、強い不均一な吸収アーティファクトの結果であり得ることを示唆している可能性がある。ブロック362での分析の結果に基づいて、ブロック364で、領域を分離したままにするか結合するかの決定が行われ、その結果がブロック366、368で表される。
【0053】
複数の波長の光を使用して、方法350中に行われるこの決定及び他の決定を支援することも可能である。すなわち、近さの基準は、光の異なる波長でのセンサアレイ(センサの列など)に沿った異なるセンサの強度値のグラフ又はチャートから決定され、次に基準が比較され得る。例えば、近さの基準が第1波長で決定され、近さの基準が第二波長で決定され、その後結果が比較されて(例えば比率に関して)、領域が別々に分析されるか又は更なる処理のために領域を削除又は結合することを近さの基準が示唆するかどうかを決定する。
【0054】
残りの領域のさらなる検討を続ける前に、特定の実施形態に従って、領域を処理することができ、これにより、方法350の残りの部分で残りの領域を識別するために使用される開始点及び終了点又は位置を調整するために、このアクションはブロック370で表される。これらの実施形態によれば、残りの関心領域のすべてについて一次微分が計算され、これらの微分は、それぞれの微分領域の最大値で除算することによって正規化され得る。開始点若しくは終了点又は位置として識別された位置の勾配が所定の閾値を満たさない場合、勾配が開始点若しくは終了点又は位置を満たす位置について領域が調べられる。次に、その前に識別された開始点又は終了点が条件を満たさない場合(すなわち、勾配が所定の閾値を満たさない場合)、これらの位置が開始点又は終了点として識別される。
【0055】
近さの問題を解決し、領域の開始位置及び/又は終了位置を(必要に応じて)調整した後、方法350は、残りの領域のどれがアーティファクト(例えば脈管(例えば、
図10を
図11と比較))に関連付けられる可能性が高いか又は低いかを決定することを続ける。特定の実施形態によれば、この決定は、複数の波長の光を使用して行うことができ、異なる波長での結果を比較して最終決定を行うことができる。決定は、どちらか又は両方の質問に答えることができる(つまり、可能性が高いか低いか)が、目的は、さらなる処理のために、より可能性の高い関心領域を識別することである。
図8の方法350は、この決定を行うための一実施形態を含むが、この決定を行うための他の実施形態も可能である。
【0056】
方法350によれば、複数のパラメータがブロック372で決定又は計算され、これらのパラメータを使用して、関心領域のそれぞれが脈管に関連付けられる可能性が高い(又は可能性が低い)かどうかを決定することができる。ブロック374でパラメータのそれぞれを分析して、例えば、パラメータを、パラメータに関連付けられた閾値に対して比較することによって、パラメータが満たされているか又はされていないかを判断することができる。各パラメータがそれぞれの閾値に対して比較された後、すべての比較の結果がブロック376で分析され、脈管が存在する可能性が高いかどうかが決定される。当該決定は、例えば、ブロック376で実行された分析をさらなる基準と比較することにより行われる。ブロック376で行われた決定は、ブロック378で出力として、例えば、
図7の方法300の一部としてさらに処理するために関心領域を識別する目的で提供される。ブロック372、374、376、378のアクションは、識別された関心領域のすべてに対処するために必要に応じて繰り返され得る。
【0057】
図8の実施形態では、ブロック372で、以下のパラメータ(又は要因)のいずれか又はすべてを計算又は決定することができる。
(1)領域の幅(つまり、開始位置と終了位置の間の距離);
(2)領域の標準偏差(すべての領域の標準参照に対して取得される領域の最小強度値とは対照的に、そのおおよそのベースから領域の最小値までのディップの深さの尺度として);
(3)領域の平均によって正規化された領域の標準偏差の比率;
(4)領域内の最小強度値;
(5)センサの端部に対する領域の位置(たとえば、センサの端部に近すぎる領域を削除するか、又は、領域がセンサの端部を超えて拡張する場合、領域の勾配が熟考されて欠落部分を再構築し得る);
(6)領域の開始位置及び/又は終了位置におけるコントラスト。ここで、コントラストは、領域の開始位置及び/又は終了位置における強度値に対する範囲内の最小強度値の比として得られ得る;
(7)領域の半値幅(すなわち、強度値が最大強度値の半分である領域内の位置間の距離);
(8)領域の開始位置での勾配。ここで、領域の開始位置での勾配は、開始位置での強度値と最小強度値との差の、開始位置と最小強度値の位置との間の距離に対する比率として計算することができる(ピクセル単位の距離など);及び
(9)領域の終了位置での勾配。ここで、領域の終了位置での勾配は、終了位置での強度値と最小強度値との差の、終了位置と最小強度値の位置との間の距離に対する比率として計算することができる(ピクセル単位の距離など)。
【0058】
一実施形態によれば、最初の4つのパラメータ((1)から(4))を考慮することができる。他の実施形態によれば、他のパラメータ(列挙されたもの、又は列挙されていないものを含む)が考慮されてもよく、考慮されるパラメータの総数は、4つより多くても少なくてもよい。これらのパラメータは、ブロック372で特定の順序で決定されてもよいし、同時に又はほぼ同時に決定されてもよい。方法350は、各パラメータを別々に決定し、ブロック374でパラメータの分析にすぐに進んでもよいし、ブロック372ですべてのパラメータを(順次又は同時に/ほぼ同時に)決定してから、ブロック374に進んでもよい。
【0059】
ブロック374では、ブロック372で計算又は決定されたパラメータを分析して、脈管が関心領域に関連する可能性が高いか低いかをパラメータが示すかどうかを決定する。例えば、幅パラメータを最小幅と比較することができ、最小幅は、予想される脈管又は関心のある脈管のサイズの実際の制限を表すことができる。特定の実施形態によれば、パラメータ(5)を除くパラメータ(1)から(9)のそれぞれを閾値と比較することができ、パラメータが閾値より上又は下である場合にパラメータが満たされる。例えば、パラメータ(1)、(3)、(4)、及び(6)から(9)は、パラメータが所定の閾値を上回っているか又は閾値より大きい場合、満たされる又は肯定的な指標であると見なすことができ、一方、パラメータ(2)は、パラメータが所定の閾値を下回っているか又は閾値より小さい場合、満たされる又は肯定的な指標であると見なすことができる。上述のように、閾値比較の使用は、脈管が関心領域に存在することを多かれ少なかれパラメータが示唆しているかどうかを決定するために使用できる唯一の分析方法ではない。
【0060】
ブロック376では、ブロック372で決定された各パラメータのブロック374での分析に基づいて、脈管が関心領域に関連する可能性が高いか低いかが決定される。例えば、一実施形態によれば、脈管が存在する可能性が高いかどうかの決定には、パラメータ(1)から(4)のすべて(すなわち、それぞれ)に対する肯定的な指標が必要である。すなわち、4つのパラメータのすべてが閾値を参照して確立された条件を満たす場合、領域は脈管である可能性がより高いと決定され得る。例えば、幅が閾値を上回り、標準偏差が閾値を下回り、比率が閾値を上回り、最小強度が閾値を上回る場合、領域が脈管である可能性が高くなる。他の実施形態によれば、例えば、パラメータの単純過半数が関連する閾値を超えていれば十分であり得る。さらに他の実施形態は、パラメータ比較からの結果の加重平均を使用することができる。いずれにしても、ブロック376で決定が行われた後、ブロック378で結果が提供される。
【0061】
システム100が、
図8に示されるような方法を使用するなどして、どの関心領域を評価するかを決定した後(例えば、
図11)、システム100は、
図7のブロック332でアーティファクトを特徴付けることができる。例えば、ブロック332で生じる特徴付けは、アーティファクトが脈管であるかどうか、そうである場合、脈管が特定のタイプの脈管(例えば、動脈)であるかどうかを決定することを含むことができる。代替として、ブロック332で生じる特徴付けは、異なるタイプの組織の間で行うことができる。さらなる代替として、特徴付けは、アーティファクトの寸法を決定することを含むことができる。例えば、アーティファクトが脈管である場合、寸法は、直径(ここでは脈管が断面において円形であるとみなされるか又は想定される)又は有効直径(ここでは、脈管は断面において円形以外であると見なされるか又は想定されるが、脈管を横切る最大の寸法を実際の直径の代わりに使用することができる)であり得る。
【0062】
この点に関して、システム100によってブロック332で実行される1つ以上のアクションは、組織及び/又はアーティファクト(例えば、血管又は尿管などの脈管)の特性を決定する。この特性は、位置及び寸法(例えば、長さ、幅、直径など)を含み得、限定ではなく例として、透過率ベースのシステムについては、米国特許出願公開第2015/0066000号、第2017/0181701号、第2018/0042522号、及び第2018/0098705号に記載されており、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
結論として、上記では本発明の異なる実施形態の詳細な説明を行ってきたが、以下の点を理解されたい:即ち、本発明の法的な範囲は、本件特許の最後に記載した特許請求の範囲に記載した言葉によって規定される。詳細な説明は、例示的なものとしてのみ解釈すべきであり、そして、全ての可能な本発明の実施形態を説明しているわけではない。なぜならば、全ての可能な実施形態を記載することは、不可能ではないにしても、実際的ではないからである。数多くの別の実施形態を実施することが可能であり、現時点での技術、又は、本特許の出願日より後に開発された技術を用いてもよく、これらも、なお、本発明を規定した特許請求の範囲内に入るであろう。
【0064】
また、以下の点を理解されたい:即ち、本件特許において「ここで使用される用語「____」は、~を意味するものとして定義する」という文章、又は同様の文章を用いて明示的に用語を規定しない限りは、明瞭な意味又は通常の意味を超えて、明示的又は暗黙的にその用語の意味を限定することを意図するものではない。そして、こうした用語は、本件特許において任意のセクションで行われた任意の記載内容(特許請求の範囲の言葉以外)に基づいて限定解釈されるべきものではない。本件特許において本件特許の最後にある特許請求の範囲に記載された任意の用語が単独の意味と一致する態様で言及される程度に、読者を混乱させず、簡潔にするためだけに、こうした解釈を行う。そして、また、こうした特許請求の範囲の用語が暗黙的に制限されたり、又は単独の意味に限定されることを意図しない。最後に、特許請求の範囲の構成要件を、単語「手段」及び任意の構造の記載のない機能を記載することで規定しない限りは、特許請求の範囲の任意の構成要件の範囲は米国特許法112条(f)35の適用に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【国際調査報告】