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特表2023-534931騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維ベース組成物
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  • 特表-騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維ベース組成物 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維ベース組成物
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/162 20060101AFI20230807BHJP
   B60N 3/04 20060101ALI20230807BHJP
   A47G 27/02 20060101ALI20230807BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G10K11/162
B60N3/04 C
B60N3/04 A
A47G27/02 101A
G10K11/16 120
B60N3/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501295
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021036913
(87)【国際公開番号】W WO2022010615
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,427
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519336643
【氏名又は名称】アウリア・ソリューションズ・ユーケー・アイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・アリソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・フライ
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・スタウト
【テーマコード(参考)】
3B088
3B120
5D061
【Fターム(参考)】
3B088FB02
3B088FB06
3B088FC01
3B088HA01
3B120AA08
3B120AA14
3B120BA21
3B120DB03
3B120EA10
5D061AA06
5D061AA22
5D061BB21
(57)【要約】
本発明は、車両用途のための騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維組成物に向けられている。より詳細には、繊維組成物は、車両カーペット用途で利用されている発泡ポリプロピレンフォームパッドに取って代わるのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維;
25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド;
を含む繊維組成物であって、
前記繊維組成物は、3.0mmから100.0mmの範囲の厚み及び20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、繊維組成物。
【請求項2】
前記車両カーペット廃棄物リグラインドは、ポリアミド、ポリエステル、又はポリプロピレンの一つ又は複数を含む、請求項1に記載の繊維組成物。
【請求項3】
前記車両カーペット廃棄物リグラインドは、80℃から180℃の範囲の融点を有するポリマーを5%(質量)から40%(質量)含む、請求項1に記載の繊維組成物。
【請求項4】
前記バインダー繊維は、100℃から200℃の範囲の融点を有する、請求項2に記載の繊維組成物。
【請求項5】
前記バインダー繊維は、2~6のデニール値及び20.0mmから80.0mmの範囲の長さを有する、請求項4に記載の繊維組成物。
【請求項6】
車両カーペットと組み合される請求項1に記載の繊維組成物であって、前記繊維組成物は前記車両カーペットの裏打ち層を形成する、繊維組成物。
【請求項7】
第一の不織表面層、第二の不織層、膜層、ショディ繊維層並びに車両カーペット廃棄物リグラインド及びバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記カーペット構造物は、以下:
(a)200~2000Hz(1/3オクターブ)の周波数範囲にわたって20~68dBの音響透過損失;又は
(b)400Hz(1/3オクターブ)での5.0dBから5000Hz(1/3オクターブ)での25.0dBの範囲の挿入損失;又は
(c)400Hzから1000Hz(1/3オクターブ)の周波数範囲にわたって0.70超の吸音係数;
の一つ又は複数を示す、車両カーペット構造物。
【請求項8】
前記裏打ち層の前記繊維組成物は、30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維、25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインドを含み、前記裏打ち層は、3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、請求項7に記載の車両カーペット構造物。
【請求項9】
前記不織表面層は、1.0mmから3.0mmの厚みで存在し、300g/mから1200g/mの坪量を有し;
前記第二の不織層は、3.0mmから5.0mmの厚みで存在し、450g/mから1200g/mの坪量を有し;
前記ポリマー膜層は、0.01mmから0.25mmの厚みで存在し;
前記ショディ繊維層は、500g/mから2000g/mの坪量で3.0mmから50.0mmの厚みで存在する、
請求項7に記載の車両カーペット構造物。
【請求項10】
前記車両カーペット廃棄物リグラインドは、ポリアミド、ポリエステル、又はポリプロピレンの一つ又は複数を含む、請求項7に記載の車両カーペット構造物。
【請求項11】
前記車両カーペット廃棄物リグラインドは、80℃から180℃の範囲の融点を有するポリマーを5%(質量)から40%(質量)含む、請求項7に記載の車両カーペット構造物。
【請求項12】
第一の不織表面層、前記第一の不織表面層よりも高い密度を有する第二の不織層、膜層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【請求項13】
第一の不織表面層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【請求項14】
第一の不織表面層、ポリウレタンフォーム層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【請求項15】
第一の不織表面層、第二の不織層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【請求項16】
第一の不織表面層、第二の不織層、質量層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【請求項17】
第一の不織表面層、質量層、ポリウレタンフォーム層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、その全体の開示が参照により本明細書に包含されている、2020年7月8日に出願された米国仮出願第63/049,427号の利益を主張するものである。
【0002】
分野
本発明は、車両用途のための騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維組成物に向けられている。より詳細には、繊維組成物は、車両カーペット用途で利用されている発泡ポリプロピレンフォームパッドに取って代わるのに適している。
【背景技術】
【0003】
背景
車両の乗員室内の騒音のレベルを低下させることが望ましいと一般的に考えられている。外部の騒音、例えばロードノイズ、エンジンノイズ、振動等、及び乗員室内から発生する騒音は、様々な音響材料を使用することで減衰することができる。したがって、車両、例えば自動車用の吸音材料は、ダッシュボードにて、フロアパネル用のカーペットと併用して、車輪格納部にて、トランク室にて、ボンネットの下で、及び天井材の一部として、従来使用されている。
【0004】
特に車両カーペット構造物に関する別の考慮事項は、そのような構造物がOEM圧縮試験の要件に対して必要な耐性も提供することを保証することである。すなわち、騒音軽減の考慮に加えて、車両カーペット構造物は、一般的に、既定された様々な荷重プロトコルに対する圧縮及び回復に関する特定の制限を満たす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定のカーペット構造物に関して、自転車産業はこれまで、様々なカーペットレイアップ(lay-ups)に発泡ポリプロピレン(EPP)フォーム補強パッドを大量に使用しており、その結果、対応する音響及び圧縮性能特性を提供してきた。代替材料の使用によるこのような音響及び圧縮特性の改善は、潜在的なコスト削減とともに、引き続き継続的な目標である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要約
30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維、25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインドを含む繊維組成物であって、前記繊維組成物は、3.0mmから100.0mmの範囲の厚み及び20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、繊維組成物。繊維組成物は、車両カーペット用途で利用されるEPPパッドの代替品に特に適している。
【0007】
第一の不織表面層、前記第一の不織表面層よりも高い密度を有する第二の不織層、膜層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【0008】
第一の不織表面層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【0009】
第一の不織表面層、ポリウレタンフォーム層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【0010】
第一の不織表面層、前記第一の不織表面層よりも高い密度を有する第二の不織層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【0011】
第一の不織表面層、前記第一の不織表面層よりも高い密度を有する第二の不織層、質量層、ショディ繊維層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【0012】
第一の不織表面層、質量層、ポリウレタンフォーム層並びに25%(質量)から70%(質量)の車両カーペット廃棄物リグラインド及び30%(質量)から75%(質量)のバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記繊維組成物は3.0mmから100.0mmの範囲の厚みを有し、20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度を有する、車両カーペット構造物。
【0013】
第一の不織表面層、第二の不織層、膜層、ショディ繊維層並びに車両カーペット廃棄物リグラインド及びバインダー繊維を含む繊維組成物の裏打ち層を含む車両カーペット構造物であって、前記カーペット構造物は、以下:
(a)200~2000Hz(1/3オクターブ)の周波数範囲にわたって20~68dBの音響透過損失;又は
(b)400Hz(1/3オクターブ)での5.0dBから5000Hz(1/3オクターブ)での25.0dBの範囲の挿入損失;又は
(c)400Hzから1000Hz(1/3オクターブ)の周波数範囲にわたって0.7超の吸音係数;
の一つ又は複数を示す、車両カーペット構造物。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、代表的な5つの(5)層タイプのカーペット構造物における低層又は裏打ち層としての本明細書における繊維組成物の使用を説明する。
図1B図1Bは、代表的な3つの(3)層タイプの構造物における低層又は裏打ち層としての本明細書における繊維組成物の使用を説明する。
図1C図1Cは、別の代表的な3つの(3)層タイプの構造物における低層又は裏打ち層としての本明細書における繊維組成物の使用を説明する。
図1D図1Dは、代表的な4つの(4)層タイプの構造物における低層又は裏打ち層としての本明細書における繊維組成物の使用を説明する。
図1E図1Eは、別の代表的な5つの(5)層タイプの構造物における低層又は裏打ち層としての本明細書における繊維組成物の使用を説明する。
図1F図1Fは、別の代表的な4つの(4)層タイプの構造物における低層又は裏打ち層としての本明細書における繊維組成物の使用を説明する。
図2図2は、図1のカーペット構造物における低層又は裏打ち層として用いられる本明細書における繊維組成物についての、音響透過損失(dB)対周波数(Hz)(1/3オクターブ)のプロットを提供するSAE J1400試験(2017年7月1日)である。
図3図3は、APAMAT挿入損失試験の結果、すなわち、特定のサンプルについての挿入損失(dB)対周波数(Hz)(1/3オクターブ)のプロットを提供する。
図4図4は、特定のサンプルについての吸音係数(α)対周波数(Hz)(1/3オクターブ)のプロットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、車両用途のための騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維組成物に向けられている。繊維組成物は、バインダー繊維及び車両カーペット廃棄物リグラインドを含む。バインダー繊維のレベルは好ましくは30%(質量)から75%(質量)であり、車両カーペット廃棄物リグラインドのレベルは25%(質量)から70%(質量)のレベルである。
【0016】
バインダー繊維とは、車両カーペット廃棄物リグラインド内に存在するナイロン又はポリアミド繊維、ポリエステル繊維、又はポリプロピレン繊維よりも比較的低い融点を有する繊維を指し、加熱すると、存在する車両カーペット廃棄物リグラインドを結合するのに役立つ。バインダー繊維は、好ましくは、異なる化学的及び物理的特性(例えば、融点)を有する2つのポリマーから構成されるポリエチレンテレフタレート(PET)複合繊維を含んでもよい。したがって、好ましくは、シースがPETのコポリマーから作られた比較的低い融点のポリエステルであり、コアがPETベースである、シース-コア構造物を含むバインダー繊維を利用することができる。比較的低い融点のポリエステルは、好ましくは100℃から200℃の範囲の融点を有してもよい。より好ましくは、比較的低い融点のポリエステルは、150℃から200℃、又は175℃から185℃の範囲の融点を有する。したがって、本発明の広い文脈において、バインダー繊維は複合繊維に限定されず、100℃から200℃の範囲の融点を提供する任意の繊維を含んでもよいと理解されるべきである。バインダー繊維はまた、好ましくは、2~6のデニール(D)値及び20.0mmから80.0mm、より好ましくは40.0mmから60.0mmの範囲の長さを有する。
【0017】
本明細書における車両カーペット廃棄物リグラインドは、第一の繊維成分として、ポリマーラテックスコーティング等のポリマータイプのコーティング樹脂を含み得る、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル、又はポリプロピレン繊維の一つ又は複数を含む。このようなコーティングは、好ましくは、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)から供給される。本明細書における車両カーペット廃棄物リグラインドそれ自体は、80℃から180℃の範囲、又はさらにより好ましくは、100℃から120℃の範囲の融点を有するポリマーのある程度を好ましくは含む。前記の融解挙動を有するこのようなポリマーの好ましいレベルは、5%(質量)から40%(質量)、より好ましくは10%(質量)から30%(質量)の範囲である。次に、車両カーペット廃棄物は、本明細書における車両カーペット廃棄物リグラインド材料の供給源を提供するために、好ましくは粉砕されるか又は引き裂かれる。このような車両カーペットリグラインド廃棄物は、車両製造施設から供給され得、そこでは車両カーペット廃棄物リグラインドがEPPよりも比較的低いコストで便利に入手できる。
【0018】
繊維組成物(バインダー及び車両カーペット廃棄物リグラインド)は、図1Aに示されるような代表的なカーペット構造物のレイアップ10で利用され得る。しかしながら、本発明の広い文脈において、このような繊維組成物はEPPパッド材料の使用に置き換わるための任意のカーペット構造物のレイアップに利用され得ることがここでは理解されるべきである。
【0019】
図1Aにおける代表的なカーペット構造物は、好ましくは、PETから供給される、1.0mmから3.0mmの範囲の厚みを有する不織層である表面層12を含む。このような不織は、好ましくは300g/mから1200g/mの範囲の坪量を有してもよい。これに、厚みが3.0mmから5.0mmであり、坪量が450g/m超から1200g/mである、同様にPETから供給されることが好ましい不織層14が続く。好ましくは、不織層14は不織表面層12よりも高い相対密度を有する。ポリマーフィルム層16は、好ましくは0.01mmから0.25mmの厚みで存在し、このようなフィルムは、好ましくはポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンポリマーから選択される。続いて、ショディ繊維絶縁層は18に存在し、ショディへの言及は一般にリサイクルされた紡織繊維として理解される。ショディ絶縁層は、好ましくは、500g/mから2000g/mの坪量で3.0mmから50.0mmの厚みを有する。
【0020】
本明細書の20における繊維組成物は、好ましくは、所定のカーペットレイアップの低層又は裏打ち層として役立つ。このような繊維組成物は、好ましくは、所定の車両カーペット構造物のこのような低層又は裏打ち層としてのEPPパッドの使用に置き換わるためにここでは利用される。20における繊維組成物は、好ましくは、3.0mmから100.0mmの層の厚み及び20.0Kg/mから200.0Kg/mの範囲の密度で存在する。他の好ましい厚みの値には、10.0mmから100.0mm、又は10.0mmから50.0mm、又は25.0mmから50.0mmが含まれる。繊維組成物20についての他の好ましい密度には、50.0から150.0Kg/m又は100Kg/mから150.0Kg/mが含まれる。したがって、見られ得るように、図1Aに示されたこのような車両カーペット構造物は、発泡ポリプロピレンパッドの使用を避けることができる。
【0021】
上記で示唆したように、本明細書における繊維組成物20は、同様に発泡ポリプロピレンを利用する必要性を避けることができる他の代表的なカーペットのレイアップでの裏打ち層として使用されてもよい。図1Bは、表面層12、ショディ層18及び裏打ち層としての繊維組成物20を再び含む代表的なカーペット構造物22を示す。表面層12は、再び好ましくは、PETから供給される、1.0mmから3.0mmの範囲の厚みを有する不織層である。このような不織は、好ましくは300g/mから450g/mの範囲の坪量を有してもよい。この場合もやはり、ショディ層18は、好ましくは500g/mから2000g/mの坪量で3.0mmから50.0mmの厚みを有する、リサイクルされた紡織繊維である。
【0022】
図1Cは、代表的なカーペット構造物24を示す。この場合もやはり、表面層12は存在し、これは、好ましくは、PETから供給され、300g/mから450g/mの範囲の坪量で、1.0mmから3.0mmの範囲の厚みを有する不織層である。次に、これに、3.0mmから50.0mmの範囲の厚み及び30.0kg/mから100.0kg/mの範囲の密度を有するポリウレタンフォーム層26が続く。繊維組成物裏打ち層は、やはり、20で示される。発泡ポリプロピレンを利用する必要性は、やはり、避けられる。
【0023】
図1Dは、代表的なカーペット構造物28を示す。これは、図1Aにおける代表的なカーペット構造物10と同様であるが、フィルム層16を含まない。繊維組成物裏打ち層は、やはり、20で示される。発泡ポリプロピレンを利用する必要性は、やはり、避けられる。
【0024】
図1Eは、代表的なカーペット構造物30を示す。構造物は図1Aにおける代表的なカーペット構造物10と同様であり、フィルム層16が、音響透過に対するバリアとして作用するように設計された質量層32に置き換えられている。質量層32は、好ましくは、充填された(すなわち、炭酸カルシウム)ポリエチレン-コ-ビニルアセテートシートを含んでもよく、好ましくは、0.5mmから3.0mmの範囲の厚み及び800g/mから4000g/mの範囲の坪量を有する。発泡ポリプロピレンを利用する必要性は、やはり、避けられる。
【0025】
図1Fは、代表的な構造物32を示す。この構造物は、本明細書で記載されるような表面層12、本明細書で記載されるような質量層32、本明細書で記載されるようなポリウレタンフォーム層26及び裏打ち層としての繊維組成物20を含む。発泡ポリプロピレンを利用する必要性は、やはり、避けられる。
【0026】
上述の通り、本明細書における繊維組成物20は、改善された騒音軽減及び必須の圧縮性能を提供しながら、車両カーペット構造物におけるEPPパッドの使用に完全に取って代わることができる。まず騒音軽減の検討に目を向けると、本明細書における繊維組成物は、下記で詳述するように、重要な周波数範囲で、改善された音響透過損失、挿入損失及び吸音係数を実証する。
【0027】
図2は、表面層、不織層、フィルム層、及び絶縁層が10.0mmの厚みを有する、図1Aのカーペット構造物で低層又は裏打ち層20として用いられるような本明細書における繊維組成物についての、SAE J1400試験(2017年7月1日)における基本手順に従った、音響透過損失(dB)対周波数(Hz)(1/3オクターブ)のプロットを提供する。図2において商標ECOBLEND(商標)により特定される本明細書における繊維組成物(バインダー繊維及び車両カーペット廃棄物リグラインド)は、約40.0mmの厚み、98Kg/mの密度で存在し、したがって、約50.0mmのカーペットの総厚みを提供した。これは、同じ10.0mmのカーペット構造物(表面層、ハード層、薄膜及び絶縁層)の裏側に40.0mmの厚み、約59Kg/mの密度を有する発泡ポリプロピレンパッドを使用した場合と比較された。見られ得るように、繊維組成物ベースのカーペット構造物は、周波数200~2000(Hz)(1/3オクターブ)にわたって、EPPを利用したカーペット構造物よりも一貫して優れた20~68の範囲の音響透過損失(dB)を提供した。平均して、本明細書における繊維組成物を利用したカーペット構造物の音響透過損失の改善は、周波数200~2000(Hz)1/3オクターブにわたって約10dB良好であった。
【0028】
図3は、APAMAT-II(Autoneum)挿入損失試験の結果、すなわち、カーペット構造物の10.0mm厚みのレイアップ(図1A参照)に適用されるような、低層20としての本明細書における繊維組成物又はEPPのいずれかの特定されたサンプルについての、挿入損失(dB)対周波数(Hz)(1/3オクターブ)のプロットを提供する。したがって、そのようなカーペット構造物の低層として以下のものが適用された:(1)45Kg/mの密度で約30.0mmの厚みのEPPによって、約40.0mmの総厚みを提供する;(2)132Kg/mの密度で約30.0mmの厚みの本明細書における繊維組成物によって、約40.0mmの総厚みを提供する;(3)98Kg/mの密度で約40.0mmの厚みの本明細書における繊維組成物によって、約50.0mmの総厚みを提供する;(4)約59Kg/mの密度で約40.0mmの厚みのEPPによって、約50.0mmの総厚みを提供する。観察され得るように、本明細書における繊維組成物は、カーペット構造物の裏側に適用されると、400Hz(1/3オクターブ)で約5.0dBから5000Hz(1/3オクターブ)で25.0dBの範囲の挿入損失を提供する。また、本明細書における繊維組成物が、所定のカーペット構造物の裏側に適用されると、EPPの使用より性能が優れていることがこの場合もやはり観察され得る。
【0029】
次に、カーペット構造物の10.0mm厚みのレイアップ(図1A参照)に適用されるような、低層20としての本明細書における繊維組成物又はEPPのいずれかの特定されたサンプルについての、吸音係数(α)対周波数(Hz)(1/3オクターブ)のプロットを提供する図4に注目する。吸音係数は、ASTM C423-17「残響室法による吸音係数の標準試験方法」の基本手順に従って決定される。したがって、この場合もやはり、そのようなカーペット構造物の低層20として以下のものが適用された:(1)45Kg/mの密度で約30.0mmの厚みのEPPによって、約40.0mmの総厚みを提供する;(2)132Kg/mの密度で約30.0mmの厚みの本明細書における繊維組成物によって、約40.0mmの総厚みを提供する;(3)98Kg/mの密度で約40.0mmの厚みの本明細書における繊維組成物によって、約50.0mmの総厚みを提供する;(4)約59Kg/mの密度で約40.0mmの厚みのEPPによって、約50.0mmの総厚みを提供する。したがって、図4において観察され得るように、400Hzから1000Hz(1/3オクターブ)の周波数範囲にわたって、図1に示されるようなカーペット構造物の低層として適用される本明細書における繊維組成物は、0.70超の、又はより好ましくは、0.70超から1.2の範囲の値を有する吸音係数(α)を示し、1000Hz以下での周波数範囲の重要な領域(Key Area)と考えられ得る領域において、EPPよりも性能が著しく優れている。
【0030】
なお、上記の音響試験は図1Aのカーペット構造物を利用したが、同様の結果が図1B~1Fのカーペット構造物についても適用されると考えられることに留意すべきである。また、ここで理解され得るように、そのようなカーペット構造物は、発泡ポリプロピレンフォームパッドの使用を回避する。したがって、本発明は、以下の1つ又は複数を示すカーペット構造物を提供する:(a)周波数範囲200~2000Hz(1/3オクターブ)にわたって20~68dBの音響透過損失;又は(b)400Hz(1/3オクターブ)での5.0dBから5000Hz(1/3オクターブ)での25.0dBの範囲の挿入損失;又は(c)400Hzから1000Hz(1/3オクターブ)の周波数範囲にわたって0.70超の吸音係数。
【実施例
【0031】
本明細書における繊維組成物はまた、所定のカーペット構造物に利用された場合に、EPPによって示される圧縮性能と同等又はそれを上回るようなものである。比較評価のために、本明細書における繊維組成物を、以下の表1に示されるようなOEM圧縮試験プロトコル(ホンダフロアカーペット仕様書、PCスペック6~20、18~20頁)に従って評価し、様々な圧縮力(ニュートン(N))が評価を受けるサンプルに適用され、同時に特定された力に達するためにサンプルに利用される重量を特定する。
【0032】
【表1】
【0033】
次に以下の表2は、クラスA又はクラスBの指定を受けるか否かについて試験されたサンプルの性能要件を提供する。見られ得るように、クラスBの指定は、特定された荷重増分に対して比較的低いたわみ要件を特定し、それによって、クラスAの指定と比較して比較的硬いサンプルを特定する。
【0034】
【表2】
【0035】
以下の表3は、本明細書における繊維組成物対EPPパッドの比較試験の結果を、それ自体で、及び図1に示される代表的なカーペットレイアップ構造物において提供する。表3では、記録された測定結果に対する参照のフレームのため、初期の高さDと比較して、D、D、D及びDに対する値における特定された増加は、実際には1.0分後に示された適用された力(又はサンプルに適用された重量)からサンプルが実現した圧縮量をmmで表していることに注意すべきである。例えば、最初のEPPパッドの項目について、200Nの力で、EPPパッドは98.5-98=0.5mmの圧縮を受けた。
【0036】
【表3】
【0037】
表4は、表3中のデータの分析を提供し、圧縮性能と、表2に示されるクラスA又はクラスBいずれかの指定の決定を特定する。
【0038】
【表4】
【0039】
表4から見られ得るように、ここでの繊維組成物は、それ自体で、又は代表的なカーペットのレイアップに適用された際に、EPPパッドと比較して同等の圧縮性能及び復元力を提供し、クラスBに指定される(表2参照)。また、表4における「完全回復」は、試験されたサンプルがどれだけその元の大きさに戻らなかったかをmm単位で示したものである。
【0040】
したがって、本発明は、車両用途のための騒音軽減及び圧縮抵抗のための繊維組成物を提供することがここでは理解され得る。繊維組成物は、車両カーペット用途で現在利用されている発泡ポリプロピレンフォームパッドの使用に取って代わり、その使用を回避するのに適している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
【国際調査報告】