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特表2023-534949グルカゴン誘導体又はその結合体の肝臓疾患に対する治療的用途
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  • 特表-グルカゴン誘導体又はその結合体の肝臓疾患に対する治療的用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】グルカゴン誘導体又はその結合体の肝臓疾患に対する治療的用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20230807BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230807BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230807BHJP
   C07K 14/605 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61K38/26
A61P1/16
A61K47/68
A61K39/395 V
C07K14/605 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502759
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 KR2021009124
(87)【国際公開番号】W WO2022015082
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0087684
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン クク
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヒョ サン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン ヒョン ジュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC16
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA37
4C084NA12
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA75
4C085AA34
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA41
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、グルカゴン誘導体又はその結合体の肝臓疾患に対する治療的用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的組成物であって、
薬学的に許容される賦形剤;と
下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量として含む薬学的組成物:
Y-X2-QGTF-X7-SDYSKY-X14-D-X16-X17-R-X19-X20-X21-FVQWLMNT-X30(一般式1、配列番号:46)
X2はAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)又はシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)又はシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、又はセリン(S)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、又はシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、又はシステイン(C)であり;
X20はリシン(K)、又はグルタミン(Q)であり;
X21は アスパラギン酸(D)、又はグルタミン酸(E)であり;
X30はシステイン(C)であるか、又は存在しない
(ただし、前記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1又は配列番号:12と同一の場合を除く)。
【請求項2】
前記ペプチドは持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は下記化学式(1)で表される、請求項1に記載の薬学的組成物:
【化1】
ただし、このとき、Xは前記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、
Fは免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【請求項3】
前記肝臓疾患は、単純脂肪症(steatosis)、肝線維症(liver fibrosis)、肝炎(liver inflamation)、肝硬変(liver cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、肝臓癌(hepatocellular carcinoma)、及び胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis, NASH)によるものであるか、又は伴うものである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記ペプチドは、配列番号20、22、23、27、33、35、37、38、40、41、42、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ペプチドは、配列番号20、22、23、27、33、37、38、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記薬学的組成物は、投与時に投与された個体において肝炎スコア(liver in flammation score)を減少させる、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記薬学的組成物は、投与時に投与された個体においてヒドロキシプロリン含量を減少させる、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記薬学的組成物は、投与時に投与された個体において肝臓組織内の中性脂肪含量を減少させる、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記ペプチドのC末端がアミド化された、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記L内のエチレングリコール繰り返し単位部分の化学式量は1~100kDaの範囲にある、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的組成物であって、
薬学的に許容される賦形剤;と
配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量として含む薬学的組成物。
【請求項14】
前記ペプチドは持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は下記化学式(1)で表される、請求項13に記載の薬学的組成物:
【化2】
ただし、このとき、Xは配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり、
Lはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、
Fは免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【請求項15】
前記肝臓疾患は、単純脂肪症(steatosis)、肝線維症(liver fibrosis)、肝炎(liver inflamation)、肝硬変(liver cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、肝臓癌(hepatocellular carcinoma)、及び胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項13又は14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つである、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)によるものであるか、又は伴うものである、請求項15に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン誘導体又はその結合体の肝臓疾患に対する治療的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は動物の主要生体器官の一つであり、脂質などの代謝作用、解毒、胆汁の排泄、各種栄養素の貯蔵、造血や血液凝固、及び循環血液量の調節など多様な役割を担う器官である。肝臓は非常に多様な大量の生化学的作用を調節するため、生命の維持のために必須である。このような肝臓と関連した疾患としては、代表的に、単純脂肪症、肝線維症、肝炎、肝硬変、肝不全、肝臓癌、胆汁うっ滞性肝臓疾患などが挙げられる。
【0003】
脂肪の過剰摂取や内因的に肝臓内脂肪合成が増加したり、排出が減少して肝臓細胞内に脂肪が蓄積される脂肪肝の一種である、単純脂肪症は炎症を誘発して非アルコール性脂肪肝炎のような他の肝臓疾患に進行する様相を示すことがある。
【0004】
一般に、肝臓に炎症が生じる肝炎が肝臓疾患の大部分を占め、肝炎が進行するにつれ多様な肝臓疾患(肝線維症、硬変など)が現れることが知られている。肝炎の様相によって急性肝炎と慢性肝炎、原因によってウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎などに分けられる。胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)も炎症性疾患が原因となって発生するものと推定されている。
【0005】
他の肝臓疾患としては、肝線維症、肝硬変、肝不全、肝臓癌などがあり、このような肝臓疾患は初期に自覚症状がなく、かなり進行してこそ発見されるため、国内だけでなく世界的に死亡原因の数位を占めており、薬物開発の必要性が高い。
【0006】
肝臓疾患の主要原因として知られている肝炎は、多様な遺伝的及び環境的要因により肝固有マクロファージ(liver resident macrophage)であるクッパー細胞(kupffer cell)が活性化されて発生する。活性化されたクッパー細胞は、多様な炎症性サイトカインを分泌して肝炎を誘発するだけでなく、ケモカインを血中に分泌して血中単核球細胞及び好中球を含む多様な免疫細胞を肝臓に誘導(recruit)することにより肝炎を持続させる。このような持続的な肝炎は肝臓組織の損傷を引き起こすが、これは、肝炎をさらに深化させることが知られている。このような悪循環は、究極的に肝星細胞(hepatic stellate cell)の活性化を誘発することにより肝線維化まで誘発することが知られている。このような肝線維化を含む様々な肝臓疾患の原因となる肝炎を治療するために、現在はその原因を除去する療法や対症療法を主に行うが、肝炎はかなり進行してこそその症状が発見されるため、予防又は対症療法だけでは疾患の進行を調節することがかなり困難である。そのため、肝炎に直接的に作用できる治療薬物の開発の必要性が依然として高いのが現状である。
【0007】
一方、グルカゴンは薬物治療又は疾病、ホルモンや酵素欠乏などの原因で血糖値が下がり始めると膵臓で生産される。グルカゴンは肝臓でグリコーゲンを分解してグルコースを放出するように信号し、血糖水準を正常水準まで高める役割をする。それだけでなく、グルカゴンは血糖上昇の効果以外に食欲抑制、脂肪組織におけるエネルギー代謝(energy expenditure)の増加、そして肝組織における脂質代謝の改善を促進し、肥満を含むメタボリックシンドロームの治療剤になり得ることが最近まで提案された。しかし、グルカゴンは低い溶解度と中性pHにおける沈殿により治療剤としてその使用が制限されてきた。
【0008】
したがって、物性が改善されたグルカゴン誘導体が開発され、メタボリックシンドロームなどの治療に利用されてきた(US2017-0360892)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US2017-0360892
【特許文献2】国際公開特許WO2016/108586
【特許文献3】国際公開特許WO2017/003191
【特許文献4】国際公開特許WO97/34631
【特許文献5】国際公開特許WO96/32478
【特許文献6】WO2007/021129
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://expasy.org/tools/pi_tool.html;Gasteiger et al.、2003
【非特許文献2】H. Neurath、R. L. Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979
【非特許文献3】G.J. Webbら、J. Autoimmunity、2015 Nov;64:42-52
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
効果的な肝臓疾患の予防及び治療のための薬物の開発が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの目的は、一般式1のペプチド又はこれを含む結合体を含む組成物、具体的には、肝臓疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、前記一般式1のペプチド又はこれを含む結合体、又はこれを含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、肝臓疾患の予防又は治療方法を提供することにある。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、肝臓疾患の予防又は治療のための薬剤の製造において、前記一般式1のペプチド又はこれを含む結合体、又はこれを含む組成物の用途を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、前記一般式1のペプチド又はこれを含む結合体、又はこれを含む組成物の肝臓疾患の予防又は治療用途を提供することにある。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド又はこれを含む結合体を含む肝臓疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド又はこれを含む結合体又はこれを含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、肝臓疾患の予防又は治療方法を提供することにある。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、肝臓疾患の予防又は治療のための薬剤の製造において、配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド又はこれを含む結合体又はこれを含む組成物の用途を提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、前記配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド又はこれを含む結合体、又はこれを含む組成物の肝臓疾患の予防又は治療用途を提供することにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド又はその結合体は、肝臓疾患の予防又は治療に有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による配列番号37のグルカゴン誘導体の持続型結合体の肝炎に対する効果を確認した図である。
図2】本発明による配列番号37のグルカゴン誘導体の持続型結合体の肝線維症に対する効果を確認した図である。
図3】本発明による配列番号37のグルカゴン誘導体の持続型結合体の肝臓内中性脂肪減少効果を確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を具現する一つの態様は、ペプチド又はこれを含む結合体を含む組成物、具体的には、肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物である。
【0023】
一つの具体例において、本発明は、肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される賦形剤と下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量として含む薬学的組成物に関する:
【0024】
Y-X2-QGTF-X7-SDYSKY-X14-D-X16-X17-R-X19-X20-X21-FVQWLMNT-X30(一般式1、配列番号:46)
【0025】
X2はAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)又はシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)又はシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、又はセリン(S)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、又はシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、又はシステイン(C)であり;
X20はリシン(K)、又はグルタミン(Q)であり;
X21は アスパラギン酸(D)、又はグルタミン酸(E)であり;
X30はシステイン(C)であるか、又は存在しない。
(ただし、前記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1又は配列番号:12と同一の場合を除く)。
【0026】
他の具体例として、前記ペプチドは持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は下記化学式(1)で表される薬学的組成物であることを特徴とする:
【0027】
X-L-F・・・(1)
ただし、このとき、Xは前記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、
Fは免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【0028】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記肝臓疾患は、単純脂肪症(steatosis)、肝線維症(liver fibrosis)、肝炎(liver inflamation)、肝硬変(liver cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、肝臓癌(hepatocellular carcinoma)、及び胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0029】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0030】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis, NASH)によるものであるか、又は伴うことを特徴とするが、これに限定されるものではない。
【0031】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記ペプチドは、配列番号20、22、23、27、33、35、37、38、40、41、42及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0032】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記ペプチドは、配列番号20、22、23、27、33、37、38及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0033】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記薬学的組成物は、投与時に投与された個体において肝炎スコア(liver inflammation score)を減少させることを特徴とする。
【0034】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記薬学的組成物は、投与時に投与された個体においてヒドロキシプロリン含量を減少させることを特徴とする。
【0035】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記薬学的組成物は、投与時に投与された個体において肝臓組織内の中性脂肪含量を減少させることを特徴とする。
【0036】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記ペプチドのC末端がアミド化されたことを特徴とする。
【0037】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記L内のエチレングリコール繰り返し単位部分の化学式量は1~100kDaの範囲にあることを特徴とする。
【0038】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記化学式(1)の構造は下記化学式(3)の構造であることを特徴とする:
【0039】
・・・(3)
【0040】
ここで、X及びFは化学式(1)で定義した通りである。
【0041】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、エチレングリコール繰り返し単位は[OCH2CH2]nであり、nは自然数で、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が1~100kDaになるように定められることを特徴とする。
【0042】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記nの値は、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が10kDaになるように定められることを特徴とする。
【0043】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記Xはペプチド内のシステインの硫黄原子を通じて連結されたことを特徴とする。
【0044】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記免疫グロブリンFc領域はIgG4由来であることを特徴とする。
【0045】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記Fは二つのポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記二鎖中の一鎖の窒素原子を通じてのみ連結されたことを特徴とする。
【0046】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記Fは配列番号69のアミノ酸配列であるモノマーを含むことを特徴とする。
【0047】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記Fは配列番号69のアミノ酸配列のモノマーのホモ二量体であることを特徴とする。
【0048】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記FはそのN末端プロリンの窒素原子を通じて連結されたことを特徴とする。
【0049】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記免疫グロブリンFc領域であるFとXがグリコシル化されていないことを特徴とする。
【0050】
本発明を具現する他の態様は、肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される賦形剤と配列番号20、22、33、37及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量として含む薬学的組成物である。
【0051】
一つの具体例において、前記ペプチドは持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は下記化学式(1)で表されることを特徴とする。
【0052】
X-L-F・・・(1)
ただし、このとき、Xは配列番号20、22、33、37及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、
Fは免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【0053】
他の具体例として、前記肝臓疾患は、単純脂肪症(steatosis)、肝線維症(liver fibrosis)、肝炎(liver inflammation)、肝硬変(liver cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、肝臓癌(hepatocellular carcinoma)、及び胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)からなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0054】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0055】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記の肝臓疾患は非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)によるものであるか、又は伴うことを特徴とするが、これに限定されるものではない。
【0056】
本発明を具現する他の態様は、前記ペプチド又はこれを含む結合体、又はこれを含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、肝臓疾患の予防又は治療方法である。
【0057】
本発明を具現する他の態様は、肝臓疾患の予防又は治療のための薬剤の製造において、前記ペプチド又はこれを含む結合体、又はこれを含む組成物の用途である。
【0058】
本発明を実施するための具体的な内容を説明すると次の通りである。一方、本願で開示されるそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが本発明の範疇に属する。また、下記記述される具体的な記述により本発明の範疇が制限されるとは言えない。
【0059】
また、当該技術分野における通常の知識を有する者は、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本発明の特定様態に対する多数の等価物を認知又は確認することができる。また、このような等価物は本発明に含まれることが意図される。
【0060】
本明細書全般を通じて、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなくAib(α-アミノイソ酪酸)、Sar(N-methylglycine)などのような他のアミノ酸に対して一般的に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書で略語に言及されたアミノ酸はIUPAC-IUB命名法により記載された。
【0061】
アラニン A アルギニン R
アスパラギン N アスパラギン酸 D
システイン C グルタミン酸 E
グルタミン Q グリシン G
ヒスチジン H イソロイシン I
ロイシン L リシン K
メチオニン M フェニルアラニン F
プロリン P セリン S
トレオニン T トリプトファン W
チロシン Y バリン V
【0062】
本明細書において、「Aib」は「2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)」又は「アミノイソ酪酸(aminoisobutyric acid)」と混用されてもよく、2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)とアミノイソ酪酸(aminoisobutyric acid)は混用されてもよい。
【0063】
本発明を具現する一つの態様は、ペプチド又はこれを含む結合体を含む肝臓疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。前記ペプチドはグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドであり、具体的にはグルカゴン誘導体であってもよいが、これに制限されない。
【0064】
本発明によるグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンと比較してアミノ酸配列に一つ以上の差があるペプチド、天然型グルカゴン配列を、改質(modification)を通じて変形させたペプチド、天然型グルカゴンのようにグルカゴン受容体を活性化させる天然型グルカゴンの模倣体を含む。
【0065】
前記グルカゴン誘導体の種類として、国際公開特許WO2016/108586及び国際公開特許WO2017/003191に記載された種類が挙げられ、前記国際公開特許の明細書全体は本願に参考資料として全て含まれる。また、前記グルカゴン誘導体ペプチドの持続型結合体の製造方法はWO2017/003191に記載されており、前記国際公開特許の明細書全体も本願に参考資料として含まれることは明らかである。
【0066】
このようなグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンに対して変化したpIを有して改善された物性を示すものであってもよい。
【0067】
また、前記グルカゴン誘導体は、非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0068】
一方、天然型グルカゴンは、次のアミノ酸配列を有することができる:
【0069】
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr(配列番号:1)
【0070】
本発明において用語「等電点(isoelectric point)」又は「pI」とは、あるポリペプチドあるいはペプチドのような分子においてその全体純荷電(net charge)がなくなる(0)pH値を意味する。多様な荷電された作用基が存在するポリペプチドの場合、pIにおいてこれら荷電の和はゼロである。pIより高いpHにおいてポリペプチドの全体純荷電は陰性になるはずであり、pIより低いpH値においてポリペプチドの全体純荷電は陽性になるはずである。
【0071】
pIは、ポリアクリルアミド、澱粉又はアガロースで構成される固定されたpH勾配ゲル状で等電点電気泳動により、又は、例えば、ExPASyサーバでpI/MWツール(http://expasy.org/tools/pi_tool.html;Gasteiger et al.、2003)を用いてアミノ酸配列からpIを推算することにより決定され得る。
【0072】
本発明において用語「変化したpI」とは、天然グルカゴンのアミノ酸配列で一部配列が負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基で置換されて天然グルカゴンのpIとは異なる、即ち、これより減少又は増加したpIを有することを意味する。
【0073】
より具体的には、前記グルカゴン誘導体は天然型グルカゴンのpI値(6.8)ではなく変化したpI値を有するものであってもよく、より具体的には、6.8未満、具体的には6.7以下、さらに具体的には6.5以下であるpI値、また、具体的には6.8超、7以上、さらに具体的には7.5以上であってもよいが、これに制限されず、天然型グルカゴンと相違するpI値を有すると、本発明の範疇に含まれる。
【0074】
さらに具体的には、4~6.5及び/又は7~9.5、さらに具体的には7.5~9.5、より一層具体的には8.0~9.3のpI値を有するものであってもよいが、これに制限されない。
【0075】
具体的には、天然型グルカゴンの誘導体は天然型グルカゴンで一部アミノ酸が置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)及び修飾(modification)中のいずれか一つの方法又はこのような方法の組み合わせを通じて変形させることができる。
【0076】
このような方法の組み合わせにより製造されるグルカゴンの誘導体の例として、天然型グルカゴンとアミノ酸配列が一つ以上異なり、N末端アミノ酸残基に脱アミノ化(deamination)した、グルカゴン受容体に対する活性化機能を保有しているペプチドなどがあるが、これに制限されず、誘導体の製造のための複数の方法の組み合わせにより本発明に適用される天然型グルカゴンの誘導体を製造することができる。
【0077】
また、天然型グルカゴンの誘導体の製造のためのこのような変形は、L-型あるいはD-型アミノ酸、及び/又は非天然型アミノ酸を用いた変形;及び/又は天然型配列を改質、例えば、側鎖作用基の変形、分子内共有結合、例えば、側鎖間環形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化等のように改質することにより変形することを全て含む。また、前記変形は非天然型化合物での置換を全て含む。
【0078】
また、天然型グルカゴンのアミノ及び/又はカルボキシ末端に一つ又はそれ以上のアミノ酸が追加されたものを全て含む。
【0079】
前記置換又は追加されるアミノ酸は、ヒトタンパク質から通常観察される20個のアミノ酸だけでなく非定形又は非自然的発生アミノ酸を用いることができる。非定形アミノ酸の商業的出所にはSigma-Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。このようなアミノ酸が含まれたペプチドと定形的なペプチド配列は商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachem、又は韓国のAnygenを通じて合成及び購買可能である。
【0080】
アミノ酸誘導体も同様の方式で入手することができるが、その例を一部だけ挙げると、4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などを用いることができる。
【0081】
グルカゴンは、約7のpIを有しており、生理学的pH(pH4-8)の溶液中で不溶性であり、中性pHでは沈殿する傾向がある。pH3以下の水溶液中で、グルカゴンは初期には溶解するが、1時間以内にゲル形成により沈殿する。ゲル化したグルカゴンは、主にβ-シートフィブリルからなり、このように沈殿したグルカゴンはゲルが注射針や、静脈に投与される場合、血管を詰まらせるため、注射剤として用いるのに適しない。沈殿過程を遅延させるために、酸性(pH2-4)の剤形を用いることが通常であるが、これを通じて短時間で、相対的に無凝集状態でグルカゴンを維持することができる。しかし、グルカゴンのフィブリル形成が低いpHで非常に速やかになされるため、このような酸性剤形は、調剤後に直ちに注射されなければならない。
【0082】
本発明によるグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンのpIを負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基の置換により変化させて延長された作用プロファイルを有するものである。
【0083】
本発明において、前記グルカゴン誘導体は、下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドであってもよいが、これに制限されない:
【0084】
Y-X2-QGTF-X7-SDYSKY-X14-D-X16-X17-R-X19-X20-X21-FVQWLMNT-X30(一般式1、配列番号:46)
【0085】
X2はAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)又はシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)又はシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、又はセリン(S)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、又はシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、又はシステイン(C)であり;
X20はリシン(K)、又はグルタミン(Q)であり;
X21は アスパラギン酸(D)、又はグルタミン酸(E)であり;
X30はシステイン(C)であるか、又は存在しない
(ただし、前記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1又は配列番号:12と同一の場合を除く)。
【0086】
その例として、前記ペプチドは、配列番号20、22、23、27、33、35、37、38、40、41、42、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むもの、具体的には、配列番号20、22、23、27、33、35、37、38、40、41、42、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0087】
具体的には、前記ペプチドは、配列番号20、22、23、27、33、37、38、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むもの、具体的には、配列番号20、22、23、27、33、37、38、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列で(必須で)構成されているものであってもよいが、これらに限定されない。
【0088】
他の具体例として、本発明のペプチドは配列番号2~45からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、又は配列番号2~45からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。又は配列番号2~11、13~45からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、又は配列番号2~11、13~45からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0089】
本願において「特定の配列番号で構成されるペプチド」と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一もしくは相当する活性を有する場合であれば、当該配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加又は自然に発生し得る突然変異、又はそのサイレント突然変異(silent mutation)を除外するものではなく、このような配列の追加もしくは突然変異を有する場合であっても、本明細書の範囲内に属することが自明である。
【0090】
以上の内容は、本発明の他の具体例又は他の態様にも適用し得るが、これらに限定されるものではない。
【0091】
本発明において、前記ペプチドは、天然型グルカゴンと配列同一性を比較したとき、少なくとも60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、又は95%以上の配列同一性を有するものであってもよいが、特にこれに限定されるものではなく、前記ペプチドと天然型グルカゴンの配列比較を通じて当業者が容易に把握することができる。
【0092】
本発明の用語、「相同性(homology)」は、野生型(wild type)タンパク質のアミノ酸配列又はそれをコードする塩基配列との類似度を示すためのものであり、本発明のアミノ酸配列又は塩基配列と前記のようなパーセント以上の同一な配列を有する配列を含む。このような相同性は、両配列を肉眼で比較して決定することもできるが、比較対象となる配列を並べて配列して相同性程度を分析する生物情報アルゴリズム(bioinformatic algorithm)を用いて決定することができる。前記二つのアミノ酸配列間の相同性は百分率で表すことができる。有用な自動化したアルゴリズムは、Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group、Madison、W、USA)のGAP、BESTFIT、FASTAとTFASTAコンピュータソフトウェアモジュールで利用可能である。前記モジュールで自動化された配列アルゴリズムには、Needleman&WunschとPearson&LipmanとSmith&Watermanの配列アルゴリズムを含む。他の有用な配列に対するアルゴリズムと相同性の決定は、FASTP、BLAST、BLAST2、PSIBLASTとCLUSTAL Wを含むソフトウェアで自動化されている。
【0093】
また、本発明において、前記ペプチドは、グルカゴン受容体に対する活性を示すペプチド又はグルカゴン誘導体であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0094】
特に、これに限定されるものではないが、前記グルカゴン受容体に対して有意な水準の活性を有するペプチドは、グルカゴン受容体に対してin vitro活性が天然型リガンド(天然型グルカゴン)に対して約0.001%以上、約0.01%以上、約0.1%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上を表すことがあるが、有意に活性を示す範囲は制限なく含まれる。そのようなペプチドのin vitro活性を測定する方法は、本願明細書の実施例4を参照することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0095】
本発明において用語「約」は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などを全て含む範囲であり、約という用語に続く数値と同等又は類似の範囲の数値を全て含むが、これに限定されない。
【0096】
特に、これに限定されるものではないが、そのようなペプチドは、非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0097】
上述したグルカゴン誘導体は、分子内架橋(intramolecular bridge)を含んでもよく(例えば、共有結合的架橋又は非共有結合的架橋)、具体的には環を含む形態であってもよい。例えば、グルカゴン誘導体の16番及び20番アミノ酸間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0098】
前記環の非制限的な例としてラクタム架橋(又はラクタム環)を含んでもよい。
【0099】
また、前記グルカゴン誘導体は環を含むように、目的とする位置に環を形成することができるアミノ酸を含むように変形されたことを全て含む。
【0100】
このような環は、前記グルカゴン誘導体内のアミノ酸側鎖間に形成され得、その例としてリシンの側鎖とグルタミン酸の側鎖との間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0101】
例えば、前記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドは、一般式1のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対において、各アミノ酸対のアミノ酸がそれぞれグルタミン酸又はリシンで置換されたものであってもよいが、これに制限されない。前記、Xn(nは自然数)でnは提示されたアミノ酸配列のN末端からのアミノ酸位置を示す。
【0102】
また、前記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドは、X12とX16のアミノ酸対、X16とX20のアミノ酸対、又はX17とX21のアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸又はリシンで置換されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0103】
また、前記一般式1において、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対で各アミノ酸対のそれぞれのアミノ酸間に環(例えば、ラクタム環)を形成したものであってもよいが、これに制限されない。
【0104】
また、前記一般式1において、X16がグルタミン酸であり、X20はリシンであり、X16とX20の側鎖がラクタム環を形成しているものであってもよいが、これに制限されない。
【0105】
また、本発明によるペプチドはN末端及び/又はC末端が変形されていないものであってもよいが、生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加させるために、このN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾されたり有機基で保護されたり、又はペプチド末端などにアミノ酸が追加されて変形された形態も本発明によるペプチドの範疇に含まれる。C末端が変形されていない場合、本発明によるペプチドの末端はカルボキシル基を有するが、特にこれに制限されるものではない。
【0106】
又は化学的に合成したペプチドの場合、N及びC末端が電荷を帯びているため、このような電荷を除去するためにN末端をアセチル化(acetylation)及び/又はC末端をアミド化(amidation)することができるが、特にこれに制限されない。
【0107】
本明細書において別途に指すことがなければ、本発明による「ペプチド」又はこのようなペプチドが生体適合性物質に共有結合で連結された「結合体」に関する明細書の詳細な説明や請求の範囲の技術は、当該ペプチド又は結合体はもちろん、当該ペプチド又は結合体の塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、又はその溶媒和物の形態を全て含む範疇にも適用される。従って明細書に「ペプチド」又は「結合体」とだけ記載されていても当該記載内容はその特定塩、その特定溶媒和物、その特定塩の特定溶媒和物にも同様に適用される。このような塩形態は、例えば、薬学的に許容される任意の塩を用いた形態であってもよい。前記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全で効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0108】
前記用語、「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、又はアレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0109】
本発明において用語、「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、又は塩基から誘導された塩を含む。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適した塩基から誘導された塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含み得る。
【0110】
また、本発明で用いられた用語「溶媒和物」とは、本発明によるペプチド、結合体、又はこの塩が溶媒分子と複合体を形成したことをいう。
【0111】
本発明によるペプチドのC末端はアミド化されるか、又は遊離カルボン基(-COOH)を有するペプチドであるか、又はC末端が変形していないペプチドを含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0112】
一つの具体例として、前記ペプチドは、C末端がアミド化されているものであってもよいが、これに制限されない。
【0113】
一つの具体例として、前記ペプチドは非グリコシル化されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0114】
本発明のペプチドは、Solid phase合成法を通じて合成でき、組換え方法でも生産可能であり、商業的に依頼して製造することができるが、これに制限されない。
【0115】
本発明のペプチドは、その長さによってこの分野においてよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成器により合成でき、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0116】
具体的には、本発明のペプチドは、標準合成方法、組換え発現システム、又は任意の他の当該分野の方法により製造することができる。従って、本発明によるグルカゴン誘導体は、例えば、下記を含む方法を含む多数の方法で合成することができる:
【0117】
(a)ペプチドを固相又は液相法の手段で段階的に又は断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;又は
(b)ペプチドをエンコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;又は
(c)ペプチドをエンコードする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;又は
(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせによりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0118】
より具体的な例として、遺伝子操作を通じて、融合パートナー及びグルカゴン誘導体を含む融合タンパク質をコードする融合遺伝子を製造し、これを宿主細胞に形質転換させた後、融合タンパク質形態で発現し、タンパク質分解酵素又は化合物を用いて融合タンパク質からグルカゴン誘導体を切断、分離して所望のグルカゴン誘導体を生産することができる。このため、例えば、Factor Xaやエンテロキナーゼのようなタンパク質分解酵素、CNBr又はヒドロキシルアミンのような化合物により切断され得るアミノ酸残基をコードするDNA配列を融合パートナーとグルカゴン誘導体をコードするポリヌクレオチドとの間に挿入することができる。
【0119】
より具体的な様態として、本発明によるペプチド、あるいはグルカゴン誘導体は、この生体内半減期を増加させる生体適合性物質部に結合した、持続型結合体の形態であってもよいが、これに制限されない。前記生体適合性物質部はキャリアと混用され得る。
【0120】
本発明において用語、「持続型結合体」は、生理活性物質(例えば、グルカゴン誘導体)に生体適合性物質部又はキャリアが結合した形態であり、具体的には、前記結合体は、ペプチド部位及び前記ペプチド部位に共有結合により連結された生体適合性物質部を含み、前記ペプチド部位は、前記一般式1のアミノ酸配列又は配列番号2~11、及び13~45と同一の配列であるか、又はこれを含む配列であってもよい。前記持続型結合体において生体適合性物質部又はキャリアは生理活性物質に共有結合で連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0121】
本発明において、前記ペプチドの結合体は、キャリアが結合していないペプチドに比べて増加した効力の持続性を示すことができ、本発明では、このような結合体を「持続型結合体」と称する。
【0122】
一方、そのような結合体は非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0123】
本発明の具体的な実施形態において、前記持続型結合体はグルカゴン誘導体に免疫グロブリンFc領域が互いに連結された形態を指す。具体的には、前記結合体はグルカゴン誘導体に免疫グロブリンFc領域がリンカーを通じて共有結合で連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0124】
一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域とXはグリコシル化されていなくてもよいが、これに制限されない。
【0125】
本発明の一具体例において、前記持続型結合体は、下記化学式(1)で表される結合体であってもよいが、これに限定されない。
【0126】
X-L-F・・・(1)
ただし、このとき、Xは前記ペプチドであり;
Lはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、
Fは免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を表す。
【0127】
前記化学式(1)の持続型結合体のXは、上述したグルカゴン誘導体であってもよいが、これに限定されない。
【0128】
具体的には、前記Xは、一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドであってもよく、又は、前記Xは、配列番号2~45のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド、又は配列番号2~11及び13~45のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであってもよく、又は、Xは、配列番号20、22、23、27、33、35、37、38、40、41、42、及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドであってもよいが、これらに限定されない。
【0129】
本発明において用語「化学式(1)の持続型結合体」は、グルカゴン誘導体及び免疫グロブリンFc領域が互いにリンカーで連結された形態であり、前記結合体は免疫グロブリンFc領域が結合されていないグルカゴン誘導体に比べて増加した効力の持続性を示すことができる。
【0130】
前記持続型結合体において、Fは、X、即ち、グルカゴン誘導体の半減期を増加させる物質であり、本発明の前記結合体を構成する部位の一構成に相当する。
【0131】
化学式(1)の持続型結合体において、グルカゴン誘導体であるペプチドであるXと免疫グロブリンFc領域の連結は物理又は化学結合であるか、非共有又は共有結合であってもよく、具体的には共有結合であってもよいが、これに制限されない。
【0132】
また、化学式(1)の持続型結合体のグルカゴン誘導体であるXと免疫グロブリンFc領域の連結方法は特に制限されないが、リンカーを通じてグルカゴン誘導体と免疫グロブリンFc領域が互いに連結されたものであってもよい。
【0133】
前記化学式(1)において共有結合でLを通じてXとFが互いに結合されてもよい。
【0134】
より具体的には、XとL、及びLとFは共有結合で互いに連結されてもよく、この時、前記結合体は化学式(1)の順に、X、L、及びFが共有結合を通じてそれぞれ連結された結合体であってもよい。
【0135】
また、前記XはFが直接的に連結されるか(即ち、前記化学式(1)においてaが0であるか)、又はリンカー(L)を通じて連結されたものであってもよい。
【0136】
具体的な例として、前記Fは免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的には前記免疫グロブリンFc領域はIgG由来であってもよいが、特にこれに限定されない。
【0137】
本発明において、「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いた、重鎖定常領域2(CH2)及び/又は重鎖定常領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の持続型結合体の部位をなす一構成であってもよい。前記免疫グロブリンFc領域は「免疫グロブリンFc断片」と混用され得る。
【0138】
本明細書においてFc領域とは、免疫グロブリンのパパイン消化から得られる天然型配列だけでなく、その誘導体、例えば、天然配列中の1以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換又はそれらの組合せにより変換され、天然型と相異なった配列など変形体まで網羅して含まれる。前記誘導体、置換体、変形体はFcRnに結合する能力を有することを前提とする。本発明において、Fはヒト免疫グロブリン領域であってもよいが、これに限定されない。前記Fは、二つのポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記二鎖のうちの一鎖の窒素原子を介してのみ連結されている構造であってもよいが、これに限定されない。前記窒素原子を介した連結は、リシンのイプシロンアミノ原子やN末端アミノ基に還元的アミノ化を通じて連結することができる。
【0139】
還元的アミノ化反応とは、反応物のアミン基又はアミノ基が他の反応物のアルデヒド(即ち、還元的アミノ化が可能な官能基)と反応してアミンを生成した後、還元反応によりアミン結合を形成させる反応を意味し、当技術分野において広く知られている有機合成反応である。
【0140】
一具体例として、前記Fは、そのN末端プロリンの窒素原子を介して連結されていてもよいが、これらに限定されない。
【0141】
そのような免疫グロブリンFc領域は、重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含むことができるが、これらに限定されない。
【0142】
本発明において、免疫グロブリンFc領域は、N末端に特定のヒンジ配列を含んでもよい。
【0143】
本発明の用語「ヒンジ配列」は、重鎖に位置し、ジスルフィド結合(inter disulfide bond)を通じて免疫グロブリンFc領域の二量体を形成する部位を意味する。
【0144】
本発明において、ヒンジ配列は、下記のアミノ酸配列を有するヒンジ配列の一部が欠失して一つのシステイン残基のみを有するように変異したものであってもよいが、これに限定されない。
【0145】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号49)。
【0146】
ヒンジ配列は、配列番号49のヒンジ配列のうちの8番目又は11番目のシステイン残基が欠失して一つのシステイン残基のみを含むものであってもよい。本発明のヒンジ配列は、一つのシステイン残基のみを含む3~12個のアミノ酸で構成されてもよいが、これらに限定されない。より具体的には、本発明のヒンジ配列は、以下のような配列を有することができる:
【0147】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号50)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Pro(配列番号51)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号52)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Pro(配列番号53)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号54)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号55)、Glu-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号56)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号57)、Glu-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号58)、Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号59)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号60)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号61)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号62)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号63)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro(配列番号64)、Glu-Ser-Lys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号65)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号66)、Glu-Pro-Ser-Cys(配列番号67)、Ser-Cys-Pro(配列番号68)。
【0148】
より具体的には、前記ヒンジ配列は、配列番号59(Pro-Ser-Cys-Pro)又は配列番号68(Ser-Cys-Pro)のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これらに限定されない。
【0149】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列の存在で免疫グロブリンFc鎖2分子が二量体を形成した形態であってもよく、また、本発明の化学式(1)の結合体は、リンカーの一末端が二量体の免疫グロブリンFc領域の一本鎖に連結した形態であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0150】
本発明の用語、「N末端」とは、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端を意味するものであり、アミノ末端の最末端、又は最末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個以上のアミノ酸まで含むものであってもよい。本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列をN末端に含むことができるが、これらに限定されない。
【0151】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等又は向上した効果を奏する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域のみを除いて、一部又は全体重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、CH2及び/又はCH3に該当する相当長い一部アミノ酸配列が除去された領域であってもよい。
【0152】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個又は2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、6)重鎖定常領域各ドメインと軽鎖定常領域の二量体であってもよい。しかし、これに制限されるものではない。
【0153】
本発明において、前記免疫グロブリンFc領域は、同じ起源のドメインからなる単鎖免疫グロブリンで構成された二量体又は多量体の形態であってもよいが、これに制限されない。
【0154】
また、一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は二量体形態(dimeric form)であり、二量体形態の一つのFc領域にXの一分子が共有結合で連結されてもよく、この時、前記免疫グロブリンFcとXは、非ペプチド性ポリマーにより互いに連結されてもよい。一方、二量体形態の一つのFc領域にXの二つの分子が対称的に結合することも可能である。この時、前記免疫グロブリンFcとXは非ペプチド性リンカーにより互いに連結されてもよい。しかし、前記例に限定されるものではない。
【0155】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列だけでなくこの配列誘導体を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的又は保存的置換又はこれらの組み合わせにより相違する配列を有することを意味する。
【0156】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であると知られている214~238、297~299、318~322又は327~331番アミノ酸残基が変形のために適当な部位として用いられ得る。
【0157】
また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcでN末端のいくつかのアミノ酸が除去されたり、又は天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加される等、多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクタ機能をなくすために補体結合部位、例としてC1q結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、国際特許公開第WO97/34631号、国際特許公開第96/32478号等に開示されている。
【0158】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は当該分野において公知となっている(H. Neurath、R. L. Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も通常生じる交換は、アミノ酸残基 Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミド化(amidation)などで修飾(modification)されてもよい。
【0159】
上述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を増大させたものであってもよい。
【0160】
また、このようなFc領域は、ヒト、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット又はモルモットなどの動物の生体内から分離した天然型から得られてもよく、形質転換された動物細胞又は微生物から得られた組換え型又はその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は、全体免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、Fab及びFcに切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c及びF(ab)2に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離することができる。さらに具体的な実施形態ではヒト由来のFc領域を微生物から得た組換え型免疫グロブリンFc領域である。
【0161】
また、免疫グロブリンFc領域は天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖又は糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減又は除去には、化学的方法、酵素学的方法及び微生物を用いた遺伝工学的方法のような通常の方法が用いられる。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は補体(c1a)との結合力が顕著に低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が減少又は除去されるため、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このような点で薬物のキャリアとしての本来の目的に、より符合する形態は糖鎖が除去されたり、非グリコシル化された免疫グロブリンFc領域と言える。
【0162】
本発明において「糖鎖の除去(Deglycosylation)」とは、酵素で糖を除去したFc領域を言い、非グリコシル化(Aglycosylation)は原核動物、さらに具体的な実施形態では大腸菌で生産して糖グリコシルされないFc領域を意味する。
【0163】
一方、免疫グロブリンFC領域は、ヒト又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、さらに具体的な実施形態ではヒト起源である。
【0164】
また、免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来又はこれらの組み合わせ(combination)又はこれらの混成(hybrid)によるものであってもよい。さらに具体的な実施形態では、ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgM由来であり、より具体的な実施形態ではリガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となったIgG由来である。より一層具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であるが、これに制限されるものではない。
【0165】
また、一つの具体的な実施形態において、免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4 Fcの領域であり、各モノマー(monomer)の3番アミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合(inter-chain形態)を通じて二個のモノマーが連結されたホモ二量体(homodimer)の形態であってもよく、このとき、ホモ二量体の各モノマーは、独立して35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合、即ち、二個の内部のジスルフィド結合(intra-chainの形態)を有したり/有することができる。各モノマーのアミノ酸の数は221個のアミノ酸で構成されることができ、ホモ二量体を形成するアミノ酸は、全部で442個のアミノ酸からなってもよいが、これに限定されない。具体的には、免疫グロブリンFc断片は、配列番号69のアミノ酸配列(221個のアミノ酸からなる)を有するモノマー2個が各モノマーの3番アミノ酸であるシステイン間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体のモノマーは、それぞれ独立して35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものであってもよいが、これらに限定されない。
【0166】
前記化学式(1)のFは配列番号69のアミノ酸配列であるモノマーを含むものであってもよく、前記Fは配列番号69のアミノ酸配列のモノマーのホモ二量体であってもよいが、これに制限されない。
【0167】
一例として、免疫グロブリンFc領域は配列番号70のアミノ酸配列(442個のアミノ酸で構成される)を含むホモ二量体であってもよいが、これに制限されない。
【0168】
一方、本発明において「組み合わせ(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する時、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが相違する起源の単鎖ポリペプチドとの結合を形成することを意味する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc領域からなるグループから選択された2個以上の領域から二量体又は多量体の製造が可能である。
【0169】
一方、前記Lは、非ペプチド性リンカー、例えば、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであってもよい。
【0170】
本発明において「非ペプチド性リンカー」は、繰り返し単位が二個以上結合した生体適合性ポリマーを含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記非ペプチド性リンカーは、本発明の結合体の部位をなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLに対応する。本発明で使用し得る非ペプチド性リンカーは、インビボタンパク質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば、制限なく使用することができる。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性ポリマーと混用して使用することができる。
【0171】
特にこれに限定されないが、前記非ペプチド性リンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよく、また、当該分野において既知のそれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造することができる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0172】
前記非ペプチド性リンカーの繰り返し単位は、エチレングリコール繰り返し単位であってもよく、具体的には、非ペプチド性リンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含みながら、結合体で構成される前には結合体の製造に用いられる作用基を末端に含むものであってもよい。本発明による持続型結合体は、前記作用基を介してXとFが連結された形態であってもよいが、これらに限定されない。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、2個、又は3個以上の作用基を含んでいてもよく、各作用基は同一又は互いに異なっていてもよいが、これらに限定されない。
【0173】
具体的には、前記リンカーは、下記化学式(2)で表されるポリエチレングリコール(PEG)であってもよいが、これに限定されるものではない:
【0174】
・・・(2)
【0175】
ここで、n=10~2400、n=10~480、又はn=50~250であるが、これに限定されない。
【0176】
前記持続型結合体においてPEG部位は、-(CH2CH2O)n-構造だけでなく、連結要素とこの-(CH2CH2O)n-との間に介在する酸素原子も含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0177】
一つの具体例として、前記エチレングリコール繰り返し単位は、その例として、[OCH2CH2]nで表すことができ、n値は自然数で、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が0超過~約100kDaになるように定められるが、これに制限されない。もう一つの例として、前記n値は自然数で、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が約1~約100kDa、約1~約80kDa、約1~約50kDa、約1~約30kDa、約1~約25kDa、約1~約20kDa、約1~約15kDa、約1~約13kDa、約1~約11kDa、約1~約10kDa、約1~約8kDa、約1~約5kDa、約1~約3.4kDa、約3~約30kDa、約3~約27kDa、約3~約25kDa、約3~約22kDa、約3~約20kDa、約3~約18kDa、約3~約16kDa、約3~約15kDa、約3~約13kDa、約3~約11kDa、約3~約10kDa、約3~約8kDa、約3~約5kDa、約3~約3.4kDa、約8~約30kDa、約8~約27kDa、約8~約25kDa、約8~約22kDa、約8~約20kDa、約8~約18kDa、約8~約16kDa、約8~約15kDa、約8~約13kDa、約8~約11kDa、約8~約10kDa、約9~約15kDa、約9~約14kDa、約9~約13kDa、約9~約12kDa、約9~約11kDa、約9.5~約10.5kDa、又は約10kDaであってもよいが、これに限定されない。
【0178】
また、一つの具体的な実施形態において、前記結合体は、一般式1のアミノ酸配列を含むペプチド(X)と免疫グロブリン断片(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーを介して共有結合で連結された構造であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0179】
前記ポリエチレングリコールは、エチレングリコールホモポリマー、PEGコポリマー、又はモノメチル置換PEGポリマー(mPEG)の形態を全て包括する用語であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0180】
前記非ペプチド性ポリマーの分子量は、1~100kDaの範囲、具体的には1~20kDaの範囲、又は1~10kDaの範囲であるが、これらに限定されない。また、Fに該当するポリペプチドと結合する本発明の非ペプチド性リンカーは、1種類のポリマーだけでなく、異なる種類のポリマーの組み合わせが使用されてもよい。
【0181】
一つの具体例として、前記リンカーの両末端は免疫グロブリンFc領域のチオール基、アミノ基、ヒドロキシ基及びペプチド(X)のチオール基、アミノ基、アジド基、ヒドロキシ基に結合できるが、これに制限されない。
【0182】
具体的には、リンカーは、両末端にそれぞれ免疫グロブリンFc領域及びペプチド(X)と結合できる反応基、具体的には免疫グロブリンFc領域のシステインのチオール基;N末端、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンに位置するアミノ基;及び/又はC末端に位置するヒドロキシル基と結合され、ペプチド(X)のシステインのチオール基;リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンのアミノ基;アジドリシンのアジド基;及び/又はヒドロキシ基と結合できる反応基を含むことができるが、これに限定されない。
【0183】
より具体的には、前記リンカーの反応基は、アルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0184】
前記において、アルデヒド基としてプロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を例として挙げることができるが、これに限定されない。
【0185】
前記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジル吉草酸、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオン酸、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネートが利用されてもよいが、これらに限定されない。
【0186】
前記リンカーは、前記のような反応基を通じて免疫グロブリンFc領域であるF及びペプチド(グルカゴン誘導体)であるXに連結され、リンカー連結部に転換できる。
【0187】
また、アルデヒド結合による還元性アルキル化により生成された最終生成物は、アミド結合により連結されたものより遥かに安定している。アルデヒド反応基は、低pHでN末端に選択的に反応し、高pH、例えば、pH9.0の条件下ではリシン残基と共有結合を形成することができるが、これに限定されない。
【0188】
本発明のリンカーの末端反応基は、互いに同一又は異なってもよい。前記リンカーは末端にアルデヒドグループ反応基を有するものであってもよく、また前記リンカーは末端にそれぞれアルデヒドグループ及びマレイミド反応基を有するか、末端にそれぞれアルデヒドグループ及びスクシンイミド反応基を有してもよいが、これに制限されない。
【0189】
例えば、一方の末端にはマレイミドグループを、他方の末端にはアルデヒドグループ、プロピオンアルデヒドグループ又はブチルアルデヒドグループを有してもよい。もう一つの例として、一方の末端にはスクシンイミジルグループを、他方の末端にはプロピオンアルデヒドグループ又はブチルアルデヒドグループを有してもよい。
【0190】
プロピオン側の末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールをリンカーとして利用する場合には、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前記多様な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを利用して本発明の結合体を製造することができる。
【0191】
一つの具体的な実施形態において、前記リンカーの反応基がペプチドのシステイン残基、より具体的には、システインの-SH基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0192】
もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを使用する場合、マレイミド基はペプチドの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基は免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アルキル化反応を通じて連結できるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0193】
このような還元的アルキル化を通じてPEGの一方の末端に位置する酸素原子に免疫グロブリンFc領域のN末端アミノ基が-CH2CH2CH2-の構造を有するリンカー作用基を通じて互いに連結され、-PEG-O-CH2CH2CH2NH-免疫グロブリンFcのような構造を形成することができ、チオエーテル結合を通じてPEGの一方の末端がペプチドのシステインに位置する硫黄原子に連結された構造を形成することができる。上述のチオエーテル結合は、
の構造を含むことができる。
【0194】
しかし、上述の例に特に制限されるものではなく、これは一例に該当する。
【0195】
また、前記結合体において、リンカーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0196】
また、前記結合体において、本発明によるペプチドは反応基を有するリンカーとC末端を通じて連結されてもよいが、これは一例に該当する。
【0197】
本発明において「C末端」は、ペプチドのカルボキシ末端を意味し、本発明の目的上、リンカーと結合できる位置をいう。その例として、これに制限されないが、C末端の最末端アミノ酸残基だけでなく、C末端周囲のアミノ酸残基を全て含むことができ、具体的には、最末端から1番目~20番目のアミノ酸残基を含むことができるが、これに制限されない。
【0198】
一つの具体例として、前記化学式(1)の結合体は下記化学式(3)の構造を有することができる。
【0199】
・・・(3)
【0200】
前記化学式(3)において、Xは前記のペプチド(グルカゴン誘導体)であり、
Fはヒト免疫グロブリンFc領域であり;
nは自然数であってもよい。この時、nに対する説明は前記の通りである。
【0201】
一つの具体例として、前記化学式(3)の持続型結合体はペプチドXとヒト免疫グロブリンFc領域Fがエチレングリコール繰り返し部を介して共有結合で連結された構造であり、それぞれXは化学式(3)のスクシンイミド環に、Fは化学式(3)のオキシプロピレン基に連結される形態であってもよい。
【0202】
前記化学式3において、前記nの値は前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が1~100kDa、又は1~20kDa又は10kDaになるように定められてもよいが、これに制限されない。
【0203】
一実施形態において、化学式(3)のスクシンイミド環にXが連結される部位は、XのC末端システインの硫黄原子であってもよい。
【0204】
F内において前記オキシプロピレン基に連結される部位は特に限定されない。本発明の一実施形態において、前記オキシプロピレン基に連結されるFの部位は、N末端の窒素又はF内部残基の窒素原子(例えば、リシンのイプシロン窒素)であってもよい。本発明の一つの具体的な実施形態において、Fが前記オキシプロピレン基に連結される部位はFのN末端プロリンであってもよいが、これに制限されない。
【0205】
また、上述した結合体は、効果の持続性が天然型グルカゴンに比べて、又はFが修飾されていないXに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などを全て含む。
【0206】
本発明によるペプチド又はその結合体は、肝臓疾患に対する予防又は治療用途を有する。具体的には、本発明によるペプチド又はその結合体又はこれを含む組成物は、肝臓組織における炎症及び/又は線維化を抑制し、改善する効果を示し、肝臓疾患に対する予防又は治療用途を有するものであってもよいが、これに制限されない。また、本発明によるペプチド又はその結合体又はこれを含む組成物は、肝臓組織における脂肪含量を減少させ、単純脂肪症だけでなく、様々な肝臓疾患の原因となる過度な脂肪沈着を改善することができるが、これに制限されない。
【0207】
本発明において、「肝臓疾患」は肝臓で発生する疾患を意味し、単純脂肪症(steatosis)、肝線維症(liver fibrosis)、肝炎(liver inflamation)、肝硬変(liver cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、肝臓癌(hepatocellular carcinoma)、及び胆汁うっ滞性肝臓疾患(chrestasis liver disease)からなる群から選択されるいずれか一つであってもよく、具体的には、前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)またはこれらの組み合わせであってもよいが、肝臓の組織及び機能に異常が生じる限り、肝臓疾患が前記疾患に制限されるものではない。
【0208】
本発明の実施例では、AMLN(アミリン)食餌で誘導された非アルコール性脂肪肝マウスモデルにおいて肝組織内の中性脂肪減少の効果を確認したため(図3)、本発明によるグルカゴン誘導体、その結合体、又はこれを含む組成物は、肝組織内の脂肪を減少させて単純脂肪症をはじめとする代謝性肝臓疾患に対する予防及び治療効果を有する。さらに、肝臓組織内の脂肪沈着は炎症を誘発し、他の肝臓疾患への進行を招くことになる。
【0209】
本発明のペプチド又はその結合体が治療効果を有する肝臓疾患は、代謝性肝臓疾患であってもよいが、これらに限定されない。代謝性肝臓疾患は、身体の非正常な化学反応が身体の新陳代謝を妨げることにより生じる疾患であり、単純脂肪症、脂肪肝、脂肪肝炎、などが含まれる。
【0210】
本発明による組成物は、投与時に肝臓組織内の中性脂肪を減少させ、炎症を緩和することにより代謝性肝臓疾患に予防又は治療効果を示すものであってもよいが、これに制限されるものではない。前記代謝性肝臓疾患は、炎症を伴うか、又は炎症を伴わないことがあり、本発明による組成物で治療できる肝臓疾患の例としては単純脂肪症、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0211】
代謝性肝臓疾患の代表的な例である「非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease、NAFLD)」とは、アルコール摂取の過去歴がなく、アルコール摂取に関係がないのに脂肪肝を伴う場合をいう。脂肪肝とは、中性脂肪が正常な場合とは異なり、肝細胞内に非正常に沈着する現象が現れたことをいう。正常の肝臓は、約5%が脂肪組織で構成されており、中性脂肪、脂肪酸、リン脂質、コレステロール及びコレステロールエステルが脂肪の主成分であるが、一度脂肪肝が発生すると、大部分の成分が中性脂肪に代替され、中性脂肪の量が肝臓重量の5%以上であれば脂肪肝と診断される。脂肪肝は、肝細胞内の脂肪代謝障害や過剰脂肪を運搬する過程における欠陥などによりもたらされるものであり、主に肝臓における脂肪代謝の障害により発生する。前記脂肪肝に蓄積された脂肪の大部分は中性脂肪(triglyceride)であってもよい。
【0212】
非アルコール性脂肪肝疾患は、肝細胞に脂肪の過剰な蓄積のみがある単純脂肪症(simple steatosis)、非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver)、肝細胞壊死と炎症と線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis,NASH)などを含む一連の疾患群を意味するが、本発明の組成物で治療される限り、これに限定されるものではない。本発明による非アルコール性脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝炎を伴うものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0213】
多くの場合において、脂肪沈着、ウイルス、アルコール、薬物、免疫異常、代謝疾患などの原因により肝臓に炎症が発生することがあり、肝炎の進行及び慢性化により肝線維症、肝硬変、肝不全、肝臓癌などの疾患として発病することが知られている。
【0214】
本発明の実施例では、AMLN(アミリン)/TAA(Thioacetamide)マウスモデルにおいて肝炎及び肝線維症改善の効果を確認し(図1及び2)、これは、肝炎及び肝線維症だけでなく、肝炎に変異した肝細胞に起因し得る原発性肝癌及び肝線維症の最後の段階である肝硬変及びこれによる肝不全のような肝臓疾患の発病において主要なメカニズムに本発明のグルカゴン誘導体が効果を示すことを示唆することである。高脂肪、高果糖、高コレステロール含量を有しており、肥満及び脂肪肝炎を誘発することが知られているAMLN食餌及び肝炎の誘導を通じて線維化を誘発することが知られているTAA(Thioacetamide)の投与により誘導されたAMLN/TAAマウスモデルは、一般に、炎症又は線維化モデルとして利用され、さらに非アルコール性脂肪肝炎モデルとしても利用される。したがって、本発明によるグルカゴン誘導体、その結合体、又はこれを含む組成物は、肝炎及び肝線維症をはじめとする肝臓疾患に対する予防又は治療効果を示すことができ、具体的には、前記肝臓疾患は非アルコール性脂肪肝炎に起因したり、これを伴うものであるが、これに制限されない。
【0215】
本発明において、「肝炎(liver inflamation)」とは、肝臓疾患の最大の原因であり、肝臓に炎症を引き起こす疾患を意味し、原因と症状に応じて急性肝炎と慢性肝炎に区別される。ウイルス、アルコール、薬物、免疫異常、代謝疾患などを主原因とする。本発明の組成物は、投与時に投与された個体において肝炎スコア(liver inflammation score)を減少させることにより肝炎に対する予防又は治療効果を示すことができるが、これに制限されない。
【0216】
本発明によるペプチド及びその結合体は、肝臓の炎症自体を軽減する効果を有するだけでなく、肝臓の炎症を伴うか、又は肝臓の炎症に起因して発病した疾患にも効果を奏することができる。
【0217】
本発明において、「線維症(fibrosis)」は、器官又は組織において過度な線維質結合組織を形成する疾患である。線維症は、人体内で組織が様々なストレス(炎症、化学的刺激、放射線など)により損傷を受けた後、創傷治癒(wound healing)過程で正常な統制が不可能な状態であり、特に慢性疾患に共通する経路であり、そのメカニズムが非常に複雑で、現在でも完全に究明されていない。線維症は、肺、心臓、肝臓など様々な臓器に発生し、まだ根本的な治療剤が開発されず、未充足の需要が高い分野の一つである。
【0218】
本発明において、「肝線維症(liver fibrosis)」とは、反復的な肝損傷に対する損傷回復過程の結果であり、肝硬変症とは異なって可逆的であり、薄い原線維(thin fibril)で構成され、結節(nodule)の形成がないことが知られており、肝損傷の原因が消失すれば、正常回復が可能であってもよいが、このような肝線維症の過程が繰り返されると、ECM(extra cellular matrix)間の交差結合(crosslinking)が増加し、結節(nodule)のある不可逆的な肝硬変症に進行する。
【0219】
本発明の組成物は、前記薬学的組成物は投与時に投与された個体においてヒドロキシプロリン含量を減少させることにより肝線維症に対する予防又は治療効果を示すことができるが、これに制限されるものではない。本発明によるペプチド及びその結合体は、肝臓の線維化自体を緩和する効果を有するだけでなく、肝臓の線維化を伴ったり、これに起因して発病した疾患にも効果を示すことができる。
【0220】
本発明の「肝硬変(liver cirrhosis)」は、肝細胞の再生及び線維組織の増加を繰り返しながら発病し、病理学的に壊死(necrosis)、炎症(inflammation)及び線維化(fibrosis)を伴う慢性疾患であり、究極的には肝不全のような肝硬変合併症及び肝癌などの疾患に進行して死亡に至る。特に、初期に自覚症状がなく、かなり進行してこそ発見されるため、肝硬変などに進化する前の状態である肝線維症を迅速に治療することが求められる。
【0221】
本発明の「肝不全(liver decompensation)」とは、ウイルス性肝炎、肝硬変症、薬物又はアルコールのような肝損傷又は肝臓疾患により、肝機能が低下し、肝臓が正常な生理作用としてのタンパク質合成と代謝機能を遂行できない状態を意味する。進行速度により急性肝不全又は慢性肝不全に分けられ、多様な合併症を起こすことが知られている。
本発明の「肝癌(hepatocellular carcinoma)」とは、肝細胞由来の悪性腫瘍を意味し、肝細胞自体から発生した原発性肝癌(肝細胞癌;hepatocellular carcinoma)と他の組織の癌が肝臓に転移してきた転移性肝癌に区分できるが、肝癌の約90%以上は原発性肝癌である。主な原因としては、肝炎、慢性肝臓疾患のほかに、アルコール、喫煙、肥満などが知られている。
【0222】
本発明において、「胆汁うっ滞症(cholestasis)」は、肝臓から十二指腸への胆汁の流動が遅くなったり遮断された病態であり、「胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)」は肝臓内において、胆汁形成が各種疾患、拡張された経静脈栄養、又は特定の薬物(例えば、一部の抗生剤)の副作用のような病態により妨害されたことを意味する。胆汁うっ滞症の通常の徴候には、疲労、そう痒感(かゆみ)、黄疸、及び黄色腫(皮下への高コレステロール(cholesterol-rich)物質の堆積)が含まれる。胆汁うっ滞症の影響は極度で広範囲であり、これは、肝臓疾患の全身性疾患への悪化、肝不全、及び肝移植の必要性をもたらす。胆汁うっ滞性肝臓疾患の原因としては、急性肝炎、胆管の炎症などが挙げられる。
【0223】
前記胆汁うっ滞性肝臓疾患には、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)、及びアラジール症候群(Alagille syndrome)(AS)などが含まれるが、これに限定されない。
【0224】
原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis:PBC)としても知られている原発性胆汁性硬変症は、原因不明の慢性胆汁うっ滞性肝臓疾患である。門脈(portal)及び門脈周囲(periportal)の炎症による進行性胆管損傷は、進行性線維症及び最終的な肝硬変を引き起こすことがある。これまでは、免疫学的、遺伝的及び環境的要因が疾患の潜在的な原因として知られている。原発性胆汁性硬変症は、主に中年の女性に多く見られ、症状は初期発現において疲労、かゆみ、又は不糾明の高脂血症も原発性胆汁性硬変症の症状として現れることがある。
【0225】
現在までは、原発性胆汁性硬化症が免疫媒介された疾患であることが知られており、具体的には、門脈及び門脈周辺の部位においてTリンパ球の免疫組織化学的染色は、CD4陽性及びCD8陰性T細胞を示す。また、罹患した個体の無症候性第一等級の同類(relatives)において、非正常抑制性T細胞活性が報告された。インターロイキンが変更された免疫機能及び線維症に寄与することによりPBCの発病機序に役割を果たすことが報告された(G.J. Webbら、J. Autoimmunity、2015 Nov;64:42-52)。
【0226】
PBCの治療方法は、ウルソデオキシコール酸(UDSA)及びオベチコール酸(OCA)を用いた胆汁酸治療法である。PBCにおいて両薬物の作用メカニズムは、FXR及びTGFR-5を活性化させて抗炎症性効果を発揮させるそれらの能力と関連している。しかしながら、UDCAで治療された患者の約40%で十分な生化学反応が達成されなかった。
【0227】
原発性硬化性胆管炎(Primary sclerosing cholangitis:PSC)は、原因のわからない肝内/肝外胆道の炎症と線維化により引き起こされる慢性進行性胆汁うっ滞性肝臓疾患である。具体的には、胆管及び胆道の炎症性疾患として疾患が進行すると、線維化が起こり、胆管壁が厚くなりながら、狭くなったり狭窄する疾患である。まだ原因は不明であるが、遺伝的要因、環境的要因、これに関連する免疫反応など多様な因子が複合的な原因として推定されている。
【0228】
血液による肝機能検査において、alkaline phosphatase値の上昇、aminotransferase値の上昇、ガンマグロブリン血症などが見られれば、原発性硬化性胆管炎と診断している。
【0229】
PSCの治療方法は、まだ明確に報告されておらず、肝移植手術が根本的に治療できる唯一の治療方法である。
【0230】
そこで、患者の利便性の確保及び副作用なしにPBS及びPSCを治療することができる薬物の開発が依然として求められている。
【0231】
本発明の組成物は、(a)肝炎スコア(inflammation score)の減少;(b)ヒドロキシプロリン含量減少の効果;及び/又は(c)肝臓組織内の中性脂肪含量の減少を示し、肝臓疾患を予防又は治療することができるが、これに制限されるものではない。
【0232】
本発明の組成物は、単純脂肪症、肝炎及び肝線維症に対して予防、改善、又は治療効果を有するグルカゴン誘導体又はその結合体を含むことにより、肝臓疾患の予防又は治療に使用することができる。本発明の組成物は、本発明によるペプチドの投与により改善又は治療できる、上述の肝臓疾患を有する個体に投与され、肝臓疾患の予防又は治療効果を示すことができる。また、本発明の組成物が投与される個体は非アルコール性脂肪肝炎を有するか、これによる肝臓疾患を有する個体であってもよいが、これに制限されない。本発明において用語「予防」とは、前記グルカゴン誘導体、これを含む結合体、又は組成物の投与により目的とする疾患、例えば、肝臓疾患の発病を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、前記グルカゴン誘導体、これを含む結合体、又は組成物の投与により目的とする疾患、例えば、肝臓疾患の症状が好転又は有益になる全ての行為を意味する。
【0233】
本発明において用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は特にこれに制限されないが、前記組成物が生体内の標的に到達できる任意の一般的な経路を通じて投与でき、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などが挙げられる。
【0234】
本発明によるグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンに比べて変化したpIを有し、持続型結合体の形態において中性pHで改善された溶解度及び高安定性を示すことができ、またグルカゴン受容体に対して活性を示すことができるため、肝臓疾患をはじめとする目的とする疾患の予防又は治療に有用に使用できる。
【0235】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含み得る。本発明における用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができる程度の十分な量と副作用を引き起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合又は同時用いられる薬物など、医学分野によく知られている要素に応じて当業者により容易に決定され得る。
【0236】
本発明のペプチド又はその結合体を含む薬学的組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。前記賦形剤は、特にこれに制限されないが、経口投与時には、結合剤、滑沢剤、崩解剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には、基剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。
【0237】
本発明の組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容可能な賦形剤と混合して多様に製造され得る。例えば、経口投与時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリクサー、サスペンション、シロップ、ウエハなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプル又は多数回投薬形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などに剤形化することができる。
【0238】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシア、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート又は鉱物油などが用いられる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含み得る。
【0239】
また、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌水溶液、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有することができる。
【0240】
また、前記組成物は、薬学的分野において通常の方法により患者の身体内投与に適した単位投与型の製剤、具体的には、ペプチド医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化させて当業界において通常に用いる投与方法を用いて経口、又は皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内又は直腸経路を含む非経口投与経路により投与されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0241】
また、前記ペプチド又は結合体は、生理食塩水又は有機溶媒のように薬剤として許容された種々の担体(carrier)と混合して用いられ、安定性や吸収性を増加させるために、グルコース、スクロース又はデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)又はグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質又は他の安定化剤(stabilizers)などが薬剤として用いられる。
【0242】
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重及び疾患の重症度等の種々の関連因子と共に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。具体的には、本発明の組成物は、前記ペプチド又はこれを含む持続型結合体を薬学的有効量として含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0243】
前記ペプチド又は持続型結合体を薬学的有効量として含むことは、ペプチド又は持続型結合体による目的とする薬理活性(例えば、肝臓疾患の予防、改善又は治療)を得ることができる程度を意味し、また、投与される個体において毒性又は副作用が起きなかったり、微々たる水準で薬学的に許容される水準を意味することができるが、これに限定されない。このような薬学的有効量は、投与回数、患者、剤形などを総合的に考慮して決定することができる。
【0244】
特にこれに制限されないが、本発明の前記薬学的組成物は、前記成分(有効成分)を0.01~99%重量対体積で含有することができる。
【0245】
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与されてもよく、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含量を異にすることができる。具体的には、本発明のペプチド又は結合体の好ましい全体用量は、1日に患者体重1kg当たり約0.0001μg~500mgであってもよい。しかし、前記ペプチド又は結合体の用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食物及び排泄率等、多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるため、このような点を考慮すると、当分野の通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定し得る。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を奏する限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されない。
【0246】
本発明の薬学的組成物は、生体内持続性及び力価に優れ、他の薬剤に比べて低い投与回数及び頻度を示すことができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0247】
本発明を具現するもう一つの態様は、配列番号20、22、33、37、及び38のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド又はその結合体を含む肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0248】
前記肝臓疾患は、単純脂肪症(statosis)、肝線維症(liver fibrosis)、肝炎(liver inflamation)、肝硬変(liver cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、肝癌(hepatocellular carcinoma)、又は胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)であってもよく、前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、又は原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)であってもよいが、これに限定されない。また、前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis, NASH)によるものであるか、又は伴うものであってもよいが、これに限定されない。
【0249】
ペプチド、結合体、肝臓疾患、予防、治療、薬学的組成物は、前記の通りである。
【0250】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記ペプチド、これを含む結合体、又はこれを含む組成物を個体に投与する段階を含む肝臓疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【0251】
前記ペプチド、これを含む結合体、これを含む組成物、肝臓疾患、予防、及び治療については、前述の通りである。
【0252】
本発明において前記個体は肝臓疾患が疑われる個体であり、前記肝臓疾患の疑いのある個体は、当該疾患が発病したり発病し得るヒトを含むマウス、家畜などを含む哺乳動物を意味するが、本発明のグルカゴン誘導体あるいはこれを含む前記組成物で治療可能な個体は制限なく含まれる。また、本発明のグルカゴン誘導体を含む薬学的組成物を肝臓疾患の疑いのある個体に投与することにより、個体を効率的に治療することができる。肝臓疾患については、前記の通りである。
【0253】
具体的には、前記の肝臓疾患が疑われる個体は、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)を有する個体であってもよく、又は前記非アルコール性脂肪肝炎により単純脂肪症、肝線維症、肝炎、肝不全、肝臓癌、胆汁うっ滞性肝臓疾患、原発性胆汁性硬変症、又は原発性硬化性胆管炎を発症する個体であってもよいが、これに制限されない。本発明の方法は、ペプチドを含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含むことができる。適した総1日使用量は、正しい医学的判断範囲内で処置医により決定され、1回又は数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が用いられるかどうかをはじめとした具体的組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食物、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共に用いられたり、同時用いられる薬物をはじめとした多様な因子と医薬分野によく知られている類似因子に応じて異なって適用することが好ましい。
【0254】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記ペプチド又はこれを含む結合体、あるいは前記組成物を肝臓疾患に対する予防又は治療用薬剤(あるいは薬学的組成物)の製造に使用する用途を提供する。
【0255】
前記ペプチド、結合体、前記組成物、肝臓疾患については、前述の通りである。
【0256】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記ペプチド又はこれを含む結合体又はこれを含む組成物の肝臓疾患の予防又は治療用途を提供する。
【0257】
前記ペプチド、結合体、前記組成物、肝臓疾患については、前述の通りである。
【0258】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0259】
実施例1:グルカゴンに対してcAMP反応を示す細胞株の生産
ヒトグルカゴン受容体遺伝子のcDNA(OriGene Technologies、Inc. USA)においてORFに該当する部分を鋳型とし、EcoRI切断部位とXhoI切断部位をそれぞれ含む下記配列番号47及び48の正方向及び逆方向プライマーを用いたPCRを行った。
【0260】
この時、PCR反応は95℃で60秒の変性、55℃で60秒のアニーリング及び68℃で30秒の伸長過程を30回繰り返して行った。これから増幅されたPCR産物を1.0%アガロースゲルで電気泳動した後、450bpサイズのバンドを溶離して得た。
【0261】
正方向プライマー(配列番号:47):
5’-CAGCGACACCGACCGTCCCCCCGTACTTAAGGCC-3’
逆方向プライマー(配列番号:48):
5’-CTAACCGACTCTCGGGGAAGACTGAGCTCGCC-3’
【0262】
前記PCR産物を公知となった動物細胞発現ベクターであるxoGc/dhfrにクローニングして組換えベクターx0GC/GCGRを製造した。
【0263】
前記製造した組換えベクターxOGC/GCGRを10%FBS含有DMEM/F12培地で培養したCHO DG44細胞にリポフェクタミンを用いて形質転換し、1mg/mL G418及び10nMメトトレキサートを含む選別培地で選別培養した。これから制限希釈法で単一クローン細胞株を選別し、このうちからグルカゴンに対して優れた濃度依存的cAMP反応を示す細胞株を最終的に選別した。
【0264】
実施例2:グルカゴン誘導体の合成
改善された物性を有するグルカゴン誘導体を開発するために、配列番号:1の天然グルカゴンのアミノ酸配列を負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基で置換して下記表1のようなグルカゴン誘導体を合成した。これに記載された相対的in vitro活性は、下記実施例4に記述された方法で測定した。
【0265】
【表1】

【0266】
前記表1に記載された配列においてXと表記されたアミノ酸は非天然型アミノ酸であるアミノイソ酪酸(Aib)を、アミノ酸記号の下線は、下線を引いた当該アミノ酸対の側鎖の間でラクタム環の形成を、そして「-」は当該位置にはアミノ酸残基がないことを示す。また、環形成如何に対する列において「-」は当該配列には環が形成されていないことを示す。
【0267】
実施例3:グルカゴン誘導体のpI測定
前記実施例2で合成されたグルカゴン誘導体の改善された物性を確認するためにExPASyサーバでpI/Mwツール(http://expasy.org/tools/pi_tool.html;Gasteiger et al.、2003)を用いてアミノ酸配列からpIを推算した。
【0268】
前記表1に示された通り、配列番号:1の天然グルカゴンが6.8のpIを有する一方、本発明による一部のグルカゴン誘導体は約4~6の範囲のpIを有した。このようなグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンに比べて低いか、又は高いpIを有するため、中性pHなどで天然型グルカゴンに比べて改善された溶解度及び高い安定性を示すことができる。
【0269】
実施例4:グルカゴン誘導体のCAMP活性の測定
実施例1で生産されたヒトグルカゴン受容体を有する細胞株において実施例2で合成されたグルカゴン誘導体の活性を測定した。具体的には、前記形質転換細胞株を1週間に3回又は4回継代培養した後、384ウェルプレートに各ウェル当たり6×103個の継代培養された細胞株を分注して24時間培養した。前記培養された細胞に0.5mM IBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine)、0.1%BSA(Bovine serum albumin)、5mm HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)を含むHBSS(Hank’s Balanced Salt Solution)緩衝液に天然型グルカゴンは200nMで、グルカゴン誘導体は1600nMでそれぞれ懸濁させた後、4倍ずつ10回連続的に希釈し、これをCAMPアッセイキット(LANCE cAMP 384 kit、PerkinElmer)に適用して前記細胞に添加した後、蛍光値を測定した。測定後に最高の蛍光値を100%に選定した後、これからグルカゴン誘導体のEC50値を算出した後、天然型グルカゴンと相互比較した。その結果を前記表1に示した。
【0270】
実施例5:グルカゴン誘導体の持続型結合体の製造
前記グルカゴン誘導体ペプチドの持続型結合体は、次のような方法で製造された。
【0271】
両末端の水素がそれぞれ3-(3-マレイミドプロピオンアミド)プロピル基及び3-オキソプロピル基(プロピオンアルデヒド基)で置換された分子量10kDaの線形改質ポリエチレングリコールであるマレイミド-PEG-アルデヒド(日本NOF社)を前述のグルカゴン誘導体ペプチド中のシステインを有する誘導体に反応させ、このグルカゴン誘導体ペプチドのシステイン残基をマレイミド-PEG-アルデヒドの末端にペギル化させた。具体的には、配列番号37のグルカゴン誘導体ペプチドとマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1~5、タンパク質の濃度を3~10mg/mlにして低温で1~3時間反応させた。この時、反応は、50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20~60%イソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をSP sepharose HP(GE healthcare、米国)に適用してシステインにモノペギル化されたグルカゴン誘導体を精製した。
【0272】
免疫グロブリンFc領域は、N-末端にPro-Ser-Cys-Pro配列(配列番号59)のヒンジ領域を有する免疫グロブリンFc領域(49.8kDa、配列番号69の二鎖がジスルフィド結合で連結されたホモ二量体)を使用して国際公開特許WO2007/021129に記載された方法で製造した。
【0273】
次に、前記精製されたモノフェペギル化されたグルカゴン誘導体ペプチドと免疫グロブリンFc切片をモル比が1:2~10、タンパク質の濃度を10~50mg/mLとして4~8℃で12~18時間反応させた。反応液は、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に還元剤である10~50mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10~20%のイソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応終了後、前記反応液をButyl sepharose FF精製カラム(GE healthcare、米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare、米国)に適用し、前記モノペギル化グルカゴン誘導体ペプチドのアルデヒド側のポリエチレングリコール末端が免疫グロブリンFcホモ二量体の二鎖中、一鎖のN末端プロリン窒素に連結されたグルカゴン誘導体ペプチドの持続型結合体を精製した。
【0274】
製造後に逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーで分析した純度は95%以上であった。
【0275】
ここで、グルカゴン誘導体ペプチド及び免疫グロブリンFc切片がPEGを通じて連結された結合体を、「グルカゴン誘導体の持続型結合体」と命名した。
【0276】
実施例6:グルカゴン誘導体の持続型結合体の肝炎改善効果
前記実施例5で製造された持続型結合体の肝炎改善効能を確認するために、AMLN(アミリン)/TAA(Thioacetamide)マウスモデルを使用した。C57BL/6マウスに10週間AMLN食餌摂取及びTAA投与(50~400mg/kg、TIW-週3回)を行い、モデルを誘導した。
【0277】
誘導されたAMLN/TAAマウスモデルは、賦形剤対照群、持続型結合体(1.3nmol/kg、Q2D)投与群に分け、4週間皮下に繰り返し投与を行った。陰性対照群としては、AMLN食餌のみを摂取したマウスを使用した。4週間繰り返し投与した後、解剖を通じて取得した各マウスの肝組織にH&E染色を行った後、肝炎スコア(liver inflammation score)を測定した。
【0278】
その結果、図1のように持続型結合体を4週間繰り返し投与した結果、AMLN/TAA賦形剤対照群に比べて持続型結合体投与群で肝炎スコアが有意に減少したことを確認した(***p<0.001 vs. AMLN/TAA賦形剤対照群 by one-way ANOVA)。このような肝炎スコアの減少を通じて、グルカゴン誘導体の持続型結合体が肝炎改善効果を有することを確認した。
【0279】
実施例7:グルカゴン誘導体の持続型結合体の肝線維化改善効果
前記実施例5で製造された持続型結合体の線維症改善効能を確認するために、実施例6と同一のAMLN(アミリン)/TAA(Thioacetamide)マウスモデルを使用した。誘導されたAMLN/TAAマウスモデルを賦形剤対照群、持続型結合体(1.3nmol/kg、Q2D)投与群に分け、4週間皮下に繰り返し投与を行った。陰性対照群としてはAMLN食餌のみを摂取したマウスを使用した。4週間繰り返し投与した後、解剖を通じて取得した各マウスの肝組織で浸潤性線維症マーカーであるヒドロキシプロリン(hydroxyproline)含量を測定した。
【0280】
その結果、図2に示すように、AMLN/TAA賦形剤対照群において、肝組織内のヒドロキシプロリン含有量が増加した一方、持続型結合体投与群においては、持続型結合体投与により有意に肝組織内のヒドロキシプロリン含有量が減少したことを確認した(***p<0.001 vs. AMLN/TAA賦形剤対照群 by one-way ANOVA)。このような浸潤性線維症指標の改善を通じて、グルカゴン誘導体の持続型結合体が肝線維化に対する改善効果を有することを確認した。
【0281】
実施例8:グルカゴンの持続型結合体の単純脂肪症改善効果
前記実施例5で製造されたグルカゴン誘導体の持続型結合体の単純脂肪症(steatosis)改善効力を確認するために、高脂肪食餌誘導を通じて非アルコール性脂肪肝を誘発した動物モデルであるAMLNマウスを使用した。C57BL/6マウスにおいて29週間AMLN(40kcal-% fat、22% fructose、10% sucrose、2% cholesterol)食餌摂取を行い、非アルコール性脂肪肝を誘導し、試験は、正常食餌を摂取した正常マウス、AMLN食餌に誘導された非アルコール性脂肪肝疾患マウス(賦形剤対照群)、グルカゴン誘導体の持続型結合体投与群(2.0nmol/kg、Q2D)に分け、当該物質を12週間皮下に繰り返し投与した。繰り返し投与した後、解剖を通じて各マウスの肝臓組織を取得した後、肝臓内の中性脂肪数値を通じてグルカゴン誘導体の持続型結合体の単純脂肪症改善の程度を評価した。
【0282】
図3は、各群において肝臓1g当たりの中性脂肪の数値を評価した結果を示している。グルカゴン誘導体の持続型結合体を12週間繰り返し投与した結果、肝臓組織内の中性脂肪の数値が賦形剤対照群と比較した時、有意に減少したことが確認できた(正常食餌摂取群=肝臓1g当たり15.0mgの中性脂肪、AMLN食餌対照群=肝臓1g当たり139.0mg、AMLN食餌グルカゴン誘導体の持続型結合体2.0nmol/kg=肝臓1g当たり25.0mgの中性脂肪)。
【0283】
統計処理は、一元ANOVAを使用し、賦形剤対照群と比較してグルカゴン誘導体の持続型結合体の効能を評価した。(*p<0.05, **p<0.01, and ***p<0.001)
【0284】
このような結果は、本発明のグルカゴン誘導体の持続型結合体の投薬時、単純脂肪症、肝炎及び肝線維化の効果的な改善が期待できるだけでなく、このような単純脂肪症、肝炎及び肝線維化により誘発されるその他の肝臓疾患に対する追加的な改善を示すことができることを示唆する。
【0285】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
【配列表】
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【国際調査報告】