(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】選択的c-kitキナーゼ阻害剤の結晶質形態
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20230807BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230807BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230807BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230807BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230807BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230807BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230807BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230807BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230807BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C07D471/04 108A
C07D471/04 CSP
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P11/00
A61P29/00
A61P37/06
A61P3/00
A61P17/00
A61P11/06
A61P37/08
A61P11/02
A61P9/12
A61P1/16
A61P1/00
A61P19/02
A61P25/00
A61P35/00
A61P3/10
A61P29/00 101
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502935
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 US2021041903
(87)【国際公開番号】W WO2022016021
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/102095
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523014957
【氏名又は名称】サード ハーモニック バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キーニー, グレッグ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ロザムス, レナード ウォルター ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ローリー, ジョナサン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】レイバーン, ジャクリーン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ユーシャン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK08
4C065LL01
4C065PP16
4C065QQ10
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA14
4C086NA20
4C086ZA02
4C086ZA34
4C086ZA42
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、一般に、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として有用なN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの様々な形態および組成物、ならびにc-kitキナーゼ関連疾患の処置におけるその使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、化合物1および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形態C、形態D、形態E、形態G、および形態Hから選択される、化合物1:
【化10】
の結晶質固体形態。
【請求項2】
前記化合物が、非晶質化合物1を実質的に含まない結晶質固体である、請求項1に記載の結晶質固体形態。
【請求項3】
前記化合物が、不純物を実質的に含まない、請求項1に記載の結晶質固体形態。
【請求項4】
前記結晶質固体形態が、化合物1の形態Cである、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶質固体形態。
【請求項5】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項6】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項7】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項8】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項9】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項10】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項11】
約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される7つのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項12】
約96℃および約171℃での吸熱ピークならびに約111℃での発熱ピークを特徴とするDSCサーモグラムを有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項13】
実質的に
図1Aに示されるような粉末X線回折パターンを有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項14】
実質的に
図1Bに示されるようなDSCサーモグラムを有する、請求項4に記載の結晶質固体形態。
【請求項15】
前記結晶質固体形態が形態Dである、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶質固体形態。
【請求項16】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項17】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項18】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項19】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項20】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項21】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項22】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される7つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項23】
約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される8つのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項24】
約175℃での吸熱ピークを特徴とするDSCサーモグラムを有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項25】
実質的に
図2Aに示されるような粉末X線回折パターンを有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項26】
実質的に
図2Bに示されるようなDSCサーモグラムを有する、請求項15に記載の結晶質固体形態。
【請求項27】
前記結晶質固体形態が形態Eである、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶質固体形態。
【請求項28】
約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項29】
約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項30】
約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項31】
約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項32】
約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項33】
約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される6つのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項34】
約63℃および約172℃での吸熱ピークを特徴とするDSCサーモグラムを有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項35】
実質的に
図3Aに示されるような粉末X線回折パターンを有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項36】
実質的に
図3Bに示されるようなDSCサーモグラムを有する、請求項27に記載の結晶質固体形態。
【請求項37】
前記結晶質固体形態が形態Gである、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶質固体形態。
【請求項38】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項39】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項40】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項41】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項42】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項43】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項44】
約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される7つのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項45】
約109℃および約172℃での吸熱ピークならびに約118℃での発熱ピークを特徴とするDSCサーモグラムを有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項46】
実質的に
図4Aに示されるような粉末X線回折パターンを有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項47】
実質的に
図4Bに示されるようなDSCサーモグラムを有する、請求項37に記載の結晶質固体形態。
【請求項48】
前記結晶質固体形態が形態Gである、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶質固体形態。
【請求項49】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項50】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項51】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項52】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項53】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項54】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項55】
約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される7つのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項56】
約63℃および約173℃での吸熱ピークならびに約118℃での発熱ピークを特徴とするDSCサーモグラムを有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項57】
実質的に
図5Aに示されるような粉末X線回折パターンを有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項58】
実質的に
図5Bに示されるようなDSCサーモグラムを有する、請求項48に記載の結晶質固体形態。
【請求項59】
化合物2:
【化11】
である、化合物1:
【化12】
の塩形態。
【請求項60】
前記塩形態が結晶質である、請求項59に記載の塩形態。
【請求項61】
前記塩形態が、非晶質化合物2を実質的に含まない結晶質固体である、請求項59に記載の塩形態。
【請求項62】
前記塩形態が不純物を実質的に含まない、請求項59から61のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項63】
前記塩形態が、化合物2の形態Fである、請求項59から62のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項64】
約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項65】
約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項66】
約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項67】
約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項68】
約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項69】
その粉末X線回折パターンに、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータでの6つのピークを有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項70】
実質的に
図6Aに示されるようなXRPDを有する、請求項63に記載の塩形態。
【請求項71】
請求項1から70のいずれか一項に記載の結晶質固体形態または塩形態および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、組成物。
【請求項72】
患者におけるc-kitキナーゼの活性を阻害する方法であって、請求項1から70のいずれか一項に記載の結晶質固体形態もしくは塩形態またはその組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項73】
患者におけるc-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置する方法であって、請求項1から70のいずれか一項に記載の結晶質固体形態もしくは塩形態またはその組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項74】
前記c-kitキナーゼ媒介型疾患または障害が、マスト細胞関連疾患、呼吸器疾患、炎症性障害、自己免疫障害、代謝疾患、線維症疾患、または皮膚科疾患である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記c-kitキナーゼ媒介型疾患または障害が、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧(PAH)、原発性肺高血圧(PPH)、肺線維症、肝線維症、心線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、マスト細胞腫瘍、マスト細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病、またはII型糖尿病である、請求項73に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2020年7月15日出願のPCT出願PCT/CN2020/102095の、利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として有用なN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの様々な形態および組成物、ならびにc-kitキナーゼ関連疾患の処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
WO2013/033070A1に最初に開示されたN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドは、マスト細胞の枯渇に有用な、したがって喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧(PAH)、肺線維症、肝線維症、心線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、マスト細胞腫瘍、マスト細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病、およびII型糖尿病を含むマスト細胞関連疾患の処置に有用な、c-kitキナーゼの選択的阻害剤である。
マスト細胞関連疾患を処置するための新規な化合物、化学形態、組成物、および方法が、当技術分野で依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/033070A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本開示の新規な形態およびその組成物が、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として有用でありかつその望ましい特徴を示すことが、今般見出された。一般に、塩形態または遊離塩基形態およびその薬学的に許容される組成物は、本明細書に詳述されるように様々な疾患または障害を処置しまたはその重症度を低下させるのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、化合物1の形態CのXRPDパターンを示す。
【0007】
【
図1B】
図1Bは、化合物1の形態CのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。
【0008】
【
図1C】
図1Cは、化合物1の形態Cの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0009】
【
図1D】
図1Dおよび1Eは、化合物1の形態CのDVSプロットを示す。
【
図1E】
図1Dおよび1Eは、化合物1の形態CのDVSプロットを示す。
【0010】
【
図1F】
図1Fは、化合物1の形態Cの、当初の形態、DVS実験後、および真空乾燥後の、一組のXRPDパターンを示す。
【0011】
【
図2A】
図2Aは、化合物1の形態DのXRPDパターンを示す。
【0012】
【
図2B】
図2Bは、化合物1の形態DのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。
【0013】
【
図2C】
図2Cは、化合物1の形態Dの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0014】
【
図2D】
図2Dは、化合物1の形態Dの可変温度XRPDを示す。
【0015】
【
図3A】
図3Aは、化合物1の形態EのXRPDパターンを示す。
【0016】
【
図3B】
図3Bは、化合物1の形態EのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。
【0017】
【
図3C】
図3Cは、化合物1の形態Eの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0018】
【
図3D】
図3Dは、乾燥後の化合物1の形態EのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。
【0019】
【
図4A】
図4Aは、化合物1の形態GのXRPDパターンを示す。
【0020】
【
図4B】
図4Bは、化合物1の形態GのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。
【0021】
【
図5A】
図5Aは、化合物1の形態HのXRPDパターンを示す。
【0022】
【
図5B】
図5Bは、化合物1の形態HのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。
【0023】
【
図6A】
図6Aは、化合物2の形態FのXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明のある特定の態様の一般的記述:
本開示は、少なくとも部分的には、c-kitキナーゼをモジュレートする化合物の同定、およびそれを使用してc-kitキナーゼ関連疾患を処置する方法に基づく。本明細書には、化合物1ならびにその塩および固体形態が開示される:
【化1】
【0025】
化合物1、すなわちN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドは、様々なアッセイおよび治療モデルで活性であり、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として作用する。
【0026】
改善された水溶性、安定性、および製剤化の容易さなどの特徴を与える化合物1の固体形態(例えば、その遊離塩基またはその塩として)を提供することが望ましいと考えられる。したがって本開示は、化合物1の遊離塩基形態および塩形態の両方を提供する。
化合物1の遊離塩基形態
【0027】
化合物1は、様々な物理的形態で存在できることが企図される。例えば、化合物1は、溶液、懸濁液、または固体形態をとることができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、固体形態をとる。化合物1が固体形態をとるとき、前記化合物は、非晶質、結晶質、またはこれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態を、以下により詳細に記述する。
【0028】
一部の実施形態では、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物1の形態を提供する。本明細書で使用される場合、「不純物を実質的に含まない」という用語は、化合物が著しい量の異物を含有しないことを意味する。そのような異物は、異なる形態の化合物1、残留溶媒、または任意のその他の不純物であって、化合物1の調製および/または単離からもたらされ得るものを含み得る。ある特定の実施形態では、少なくとも約95重量%の化合物1の形態が存在する。本開示のさらに他の実施形態では、少なくとも約99重量%の化合物1の形態が存在する。
【0029】
一実施形態によれば、化合物1の形態は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、これらのパーセンテージは組成物の全重量に対するものである。別の実施形態によれば、化合物1の形態は、約3.0面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有し、ある特定の実施形態では、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約1.5面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物1の形態は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して、いずれかの単一の不純物を約1.0%面積パーセントHPLC以下含有し;いずれかの単一の不純物を約0.6面積パーセントHPLC以下、ある特定の実施形態では、いずれかの単一の不純物を約0.5面積パーセントHPLC以下含有する。
【0030】
化合物1の形態に関して示される構造は、化合物1の全ての互変異性形態を含むことも意味する。さらに、本明細書に示される構造は、1個または複数の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素の置き換え以外には、本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。
【0031】
化合物1は、様々な固体形態で存在できることが見出された。例示的なそのような形態は、本明細書に記述されるものなどの多形を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、「多形」という用語は、化合物またはその塩もしくは溶媒和物が結晶化することができる、異なる結晶構造を指す。
【0033】
ある特定の実施形態では、化合物1は、結晶質固体である。他の実施形態では、化合物1は、非晶質化合物1を実質的に含まない結晶質固体である。本明細書で使用される場合、「非晶質化合物1を実質的に含まない」という用語は、化合物が、有意な量の非晶質化合物1を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、少なくとも約95重量%の結晶質化合物1が存在する。本開示のさらに他の実施形態では、少なくとも約99重量%の結晶質化合物1が存在する。
【0034】
遊離塩基化合物1は、少なくとも2つの全く異なる多形形態で存在できることが見出されている。ある特定の実施形態では、本開示は、形態Cと本明細書では呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、形態Dと本明細書で呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、形態Eと本明細書で呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、形態Gと本明細書で呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、形態Hと本明細書で呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。
【0035】
一部の実施形態では、化合物1は非晶質である。一部の実施形態では、化合物1は非晶質であり、結晶質化合物1を実質的に含まない。
化合物1の形態C
【0036】
一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、以下の表1に列挙されるピークから選択される、少なくとも1、2、3、4または5つのスペクトルピークを有する形態である。
【表1】
【0037】
一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される7つのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、度2シータ値に関して使用されるとき、記述される値±0.2度2シータを指す。
【0038】
一部の実施形態では、化合物1の形態Cは、10%、20%、30%または40%よりも高い相対強度を有する、表1に列挙されるスペクトルピークのそれぞれを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、
図1Aに提供されるXRPDと実質的に類似している。
【0039】
化合物1の形態Cを調製するための方法を、以下に記述する。
【0040】
一部の実施形態では、形態Cは、化合物1の水和物形態である。一部の実施形態では、形態Cは化合物1の二水和物形態である。
化合物1の形態D
【0041】
一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、以下の表2に列挙されるピークから選択される、少なくとも1、2、3、4または5つのスペクトルピークを有する形態である。
【表2-1】
【表2-2】
【0042】
一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される7つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでの8つのピークをその粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、10%、20%、30%または40%よりも高い相対強度を有する、表2に列挙されるスペクトルピークのそれぞれを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。
【0043】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、
図2Aに提示されるXRPDと実質的に類似している。
【0044】
化合物1の形態Dを調製するための方法を、以下に記述する。
【0045】
一部の実施形態では、形態Dは、化合物1の無水物形態である。
化合物1の形態E
【0046】
一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、以下の表3に列挙されるピークから選択される、少なくとも1、2、3、4または5つのスペクトルピークを有するエタノール溶媒和物形態である。
【表3】
【0047】
一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータでの6つのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Eは、10%、20%、30%または40%よりも高い相対強度を有する、表3に列挙されるスペクトルピークのそれぞれを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。
【0048】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、
図3Aに提示されるXRPDと実質的に類似している。
【0049】
化合物1の形態Eを調製するための方法を、以下に記述する。
【0050】
一部の実施形態では、形態Eは、化合物1のエタノール溶媒和物形態である。
化合物1の形態G
【0051】
一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、以下の表4に列挙されるピークから選択される、少なくとも1、2、3、4または5つのスペクトルピークを有する形態である。
【表4-1】
【表4-2】
【0052】
一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータでの6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、約5.8、約12.3、約16.8、約17.0、約17.5、約22.6、および約24.6度2シータでの7つを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Gは、10%、20%、30%または40%よりも高い相対強度を有する、表4に列挙されるスペクトルピークのそれぞれを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。
【0053】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、
図4Aに提示されるXRPDと実質的に類似している。
【0054】
化合物1の形態Gを調製するための方法を、以下に記述する。
【0055】
一部の実施形態では、形態Gは無水物形態である。一部の実施形態では、形態Gは、周囲条件下で化合物1の形態Cに容易に水和する準安定性無水物である。
化合物1の形態H
【0056】
一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、以下の表5に列挙されるピークから選択される、少なくとも1、2、3、4または5つのスペクトルピークを有する形態である。
【表5】
【0057】
一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータでの6つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータでの7つを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、10%、20%、30%または40%よりも高い相対強度を有する、表5に列挙されるスペクトルピークのそれぞれを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。
【0058】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、
図5Aに提示されるXRPDと実質的に類似している。
【0059】
化合物1の形態Hを調製するための方法を、以下に記述する。
【0060】
一部の実施形態では、形態Hは水和物、半水和物、メタノール溶媒和物またはメタノール溶媒和物/水和物形態である。
【0061】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1:
【化2】
を提供し、前記化合物は結晶質である。一部の実施形態では、本開示は、非晶質化合物1を実質的に含まない化合物1を提供する。
【0062】
一部の実施形態では、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物1を提供する。
【0063】
一部の実施形態では、本開示は、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、約10.1、約12.5、約15.2、約19.7、約20.9、約23.0、および約25.3度2シータのものから選択される、少なくとも2つのピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部の実施形態では、本開示は、形態Cのものである化合物1を提供する。一部の実施形態では、本開示は、
図1Aに示されるものと実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、本開示は、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される、少なくとも2つのピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、形態Dである化合物1を提供する。一部の実施形態では、本開示は、
図2Aに示されるものと実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0065】
一部の実施形態では、本開示は、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、約13.1、約14.3、約16.4、約17.2、約19.2、および約24.5度2シータのものから選択される、少なくとも2つのピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、形態Eのものである化合物1を提供する。一部の実施形態では、本開示は、
図3Aに示されるものと実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0066】
一部の実施形態では、本開示は、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、約12.9、約13.2、約14.1、約17.9、約24.6、約25.4、および約25.7度2シータのものから選択される、少なくとも2つのピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、形態Gのものである、化合物1を提供する。一部の実施形態では、本開示は、
図4Aに示されるものと実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0067】
一部の実施形態では、本開示は、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータのものから選択される、少なくとも2つのピークをそのXRPDに有する化合物1を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、形態Hのものである化合物1を提供する。一部の実施形態では、本開示は、
図5Aに示されるものと実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0068】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0069】
一部の実施形態では、本開示は、患者におけるc-kitキナーゼを選択的に阻害する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、方法はマスト細胞を枯渇させ、それによってマスト細胞関連疾患を処置する。
【0070】
一部の実施形態では、本開示は、患者のc-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、患者のマスト細胞関連疾患または障害を処置する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0071】
上記方法の一部の実施形態では、化合物1は形態C、形態D、形態E、形態Gまたは形態Hをとる。一部の実施形態では、化合物1は形態Cをとる。一部の実施形態では、化合物1は形態Dをとる。一部の実施形態では、化合物1は形態Eをとる。一部の実施形態では、化合物1は形態Gをとる。一部の実施形態では、化合物1は形態Hをとる。
化合物1の塩形態
【0072】
一部の実施形態では、酸および化合物1はイオン結合して、以下に記述される化合物2を形成する。化合物2は、様々な物理形態で存在できることが企図される。例えば、化合物2は、溶液、懸濁液、または固体形態をとることができる。ある特定の実施形態では、化合物2は固体形態をとる。化合物2が固体形態をとるとき、前記化合物は、非晶質、結晶質、またはこれらの混合物であってもよい。化合物2の、例示的なそのような固体形態を、以下にさらに詳細に記述する。
化合物2(化合物1の酢酸塩)
【0073】
一実施形態によれば、本開示は、化合物2:
【化3】
によって表される、化合物1の酢酸塩を提供する。
【0074】
酢酸および化合物1はイオン結合して化合物2を形成することが、当業者に理解されよう。化合物2は、様々な物理形態で存在できることが企図される。例えば化合物2は、溶液、懸濁液、または固体形態をとることができる。ある特定の実施形態では、化合物2は固体形態をとる。化合物2が固体形態をとるとき、前記化合物は、非晶質、結晶質、またはこれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態を、以下にさらに詳細に記述する。
【0075】
一部の実施形態では、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物2の形態を提供する。本明細書で使用される場合、「不純物を実質的に含まない」は、化合物が有意な量の異物を含有しないことを意味する。そのような異物は、種々の形態の化合物2、残留溶媒、または任意のその他の不純物であって化合物2の調製および/または単離から得られる可能性のあるものを、含み得る。ある特定の実施形態では、少なくとも約95重量%の化合物2の形態が存在する。本開示のさらに他の実施形態では、少なくとも約99重量%の化合物2の形態が存在する。
【0076】
一実施形態によれば、化合物2の形態は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、これらのパーセンテージは組成物の全重量に対するものである。別の実施形態によれば、化合物2の形態は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して、約3.0面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物2の形態は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して、約1.0%面積パーセントHPLC以下の任意の単一の不純物;約0.6面積パーセントHPLC以下の任意の単一の不純物、ある特定の実施形態では、約0.5面積パーセントHPLC以下の任意の単一の不純物を含有する。
【0077】
化合物2の形態に関して示される構造は、化合物2の全ての互変異性形態を含むことも意味する。さらに本明細書に示される構造は、1個または複数の同位体濃縮原子の存在のみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素の置き換え以外には、本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。
【0078】
化合物2は様々な固体形態で存在できることが見出されている。例示的なそのような形態には、本明細書に記述されるものなどの多形が含まれる。
【0079】
ある特定の実施形態では、化合物2は結晶質固体である。他の実施形態では、化合物2は、非晶質化合物2を実質的に含まない結晶質固体である。本明細書で使用される場合、「非晶質化合物2を実質的に含まない」という用語は、化合物が、有意な量の非晶質化合物2を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、少なくとも約95重量%の結晶質化合物2が存在する。本開示のさらに他の実施形態では、少なくとも約99重量%の結晶質化合物2が存在する。
【0080】
化合物2は、少なくとも1つの明確な多形形態で存在できることが見出されている。ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書で形態Fと呼ばれる化合物2の多形形態を提供する。
【0081】
一部の実施形態では、化合物2は非晶質である。一部の実施形態では、化合物2は非晶質であり、結晶質化合物2を実質的に含まない。
化合物2の形態F
【0082】
一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、以下の表6に列挙されるピークから選択される、少なくとも1、2、3、4または5つのスペクトルピークを有する。
【表6】
【0083】
一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される2つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される3つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される4つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される5つまたはそれよりも多くのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される6つのピークを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。
【0084】
一部の実施形態では、化合物2の形態Fは、10%、20%、30%または40%よりも高い相対強度を有する、表6に列挙されるスペクトルピークのそれぞれを、その粉末X線回折パターンに有することを特徴とする。ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、
図6Aに提示されるXRPDと実質的に類似している。
【0085】
化合物2の形態Fを調製するための方法を、以下に記述する。
【0086】
一部の実施形態では、本開示は、化合物2:
【化4】
を提供し、前記化合物は結晶質である。一部の実施形態では、本開示は、非晶質化合物2を実質的に含まない化合物2を提供する。
【0087】
一部の実施形態では、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物2を提供する。
【0088】
一部の実施形態では、本開示は、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される1つまたは複数のピークをそのXRPDに有する化合物2を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、約7.8、約19.1、約20.3、約23.8、約25.3、および約27.0度2シータのものから選択される、少なくとも2つのピークをそのXRPDに有する化合物2を提供する。一部のそのような実施形態では、本開示は、形態Fのものである化合物2を提供する。
【0089】
一部の実施形態では、本開示は、
図6Aに示されるものと実質的に類似しているXRPDを有する化合物2を提供する。
【0090】
一部の実施形態では、本開示は、化合物2および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0091】
一部の実施形態では、本開示は、患者におけるc-kitキナーゼを選択的に阻害する方法であって、前記患者に化合物2またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、方法はマスト細胞を枯渇させ、それによってマスト細胞関連疾患を処置する。
【0092】
一部の実施形態では、本開示は、患者におけるc-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置する方法であって、前記患者に化合物2またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は患者におけるマスト細胞関連疾患または障害を処置する方法であって、前記患者に化合物2またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
化合物1およびその塩を提供する一般方法
【0093】
化合物1は、以下に提示される一般スキームに要約されるように、参照により本明細書に組み込まれるWO2013/033070A1の実施例F110に従い調製することができる:
【化5】
【0094】
その式がとりわけ塩化合物2および/またはその特定の形態を包含する、一般式Aの塩化合物を、以下の一般スキームに開示される方法に従い、化合物1から調製する。
【化6】
【0095】
例えば化合物2およびその形態は、化合物1と適切な酸とを合わせてその酸の塩を形成することにより、化合物1から調製される。したがって本開示の別の態様は、化合物2およびその形態を調製するための方法を提供する。
【0096】
上記にて一般的に記述したように、一部の実施形態では、本開示は、一般式A:
【化7】
の塩化合物を調製するための方法であって:
化合物1:
【化8】
と好適な酸および必要に応じて好適な溶媒とを、式Aの塩を形成するのに好適な条件下で合わせるステップを含む方法を提供する。
【0097】
一部の実施形態では、好適な酸は酢酸である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1の酢酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物1の酢酸塩は化合物2である。ある特定の実施形態では、化合物1の酢酸塩は化合物2の形態Fである。
化合物および薬学的に許容される組成物の使用
【0098】
上記にて一般的に記述されたように、本明細書に記述される化合物1ならびにその薬学的に許容される固体形態および塩は、c-kitキナーゼの阻害剤である。本開示のc-kitキナーゼ阻害化合物は、一部の実施形態では、in vitroまたはin vivoでの標的c-kitキナーゼの活性を阻害するうえで用途を見出し得る。対象の方法の態様は、有効量のc-kitキナーゼ阻害化合物(例えば、本明細書に記述される)を含む試料を接触させて、所望の活性が存在するか否かを決定することを含む。
【0099】
一態様では、本開示は、c-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置することを必要とする対象の、c-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、治療有効量の本明細書に開示される化合物、即ち化合物1および2、ならびにその任意の多形形態から選択される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、疾患または障害は、マスト細胞関連疾患、呼吸器疾患、炎症性障害、自己免疫障害、代謝疾患、線維症疾患、または皮膚科疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧(PAH)、原発性肺高血圧(PPH)、肺線維症、肝線維症、心線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、マスト細胞腫瘍、マスト細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病、またはII型糖尿病である。
【0100】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される化合物、即ち化合物1および2ならびにそれらの任意の多形形態から選択される化合物であって、c-kitキナーゼ媒介型疾患または障害の処置を必要とする対象におけるc-kitキナーゼ媒介型疾患または障害の処置に使用するための化合物を提供する。さらに別の態様では、本開示は、本明細書に開示される化合物、即ち化合物1および2ならびにそれらの任意の多形形態から選択される化合物であって、c-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置することを必要とする対象のc-kitキナーゼ媒介型疾患または障害を処置するための医薬を製造するための化合物を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害は、マスト細胞関連疾患、呼吸器疾患、炎症性障害、自己免疫障害、代謝疾患、線維症疾患、または皮膚科疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧(PAH)、原発性肺高血圧(PPH)、肺線維症、肝線維症、心線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、マスト細胞腫瘍、マスト細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病、またはII型糖尿病である。
【0101】
本明細書で使用される場合、「組合せ」、「組み合わせた」という用語、および関連する用語は、本開示に従う治療剤の同時または逐次投与を指す。例えば、記述される化合物は、別の治療剤と共に同時にまたは逐次、個別の単位剤形でまたは単一単位剤形で一緒に投与され得る。したがって本開示は、記述される化合物、追加の治療剤、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む単一単位剤形を提供する。2種またはそれよりも多くの薬剤は、患者または個体が同時に両方の薬剤に曝露されるとき、典型的には「組合せで」投与されると見なされる。多くの実施形態において、2種またはそれよりも多くの薬剤は、患者または個体が、特定の標的組織または試料中(例えば、脳内、血清内など)で薬剤の治療上関連あるレベルを同時に示すとき、「組合せで」投与されると見なされる。
【0102】
本開示の化合物が、他の薬剤と共に併用治療で投与されるとき、それらは患者に逐次投与されても同時に投与されてもよい。あるいは、本開示による医薬または予防的組成物は、化合物1、または本明細書に記述される任意のその他の化合物、および別の治療または予防的薬剤の組合せを含む。特定の疾患または状態を処置するために通常投与される追加の治療剤を、「処置がなされる疾患または状態に適切な薬剤」と呼んでもよい。
【0103】
一部の実施形態では、対象の方法は、治療有効量の1種または複数種の追加の活性剤を投与することを含む。併用治療とは、単一の疾患または状態を処置するのにc-kit阻害化合物を別の治療剤との組合せで使用できることを意味する。特定の実施形態では、本開示の化合物は、本開示の化合物を含む組成物の成分としてまたは異なる組成物の成分として投与することができる別の治療剤の投与と同時に投与される。
【0104】
本願化合物は、様々な治療適用例においてその他の治療剤と組み合わせて投与することができる。併用治療のための、目的の治療適用例には、標的c-kitキナーゼの活性が疾患進行の原因または悪化因子であるような適用例が含まれる。したがって本願化合物は、対象における標的c-kitキナーゼの阻害が望まれる併用治療に用途を見出している。本開示の組成物および方法で利用される化合物はまた、選択的生物学的性質を高めるように適切な官能基を付加することによって修飾され得る。そのような修正は、当技術分野で公知であり、所与の生体系(例えば、血液、リンパ系、または中枢神経系)への生物学的浸透を増大させ、経口利用可能性を増大させ、注射による投与を可能にするように溶解度を増大させ、代謝を変化させ、および/または排泄速度を変化させるものを含む。
【0105】
「処置」という用語は、本明細書では、「治療法」という用語と同義で使用され、1)診断された病態、疾患、または障害を治癒させる、遅らせる、その症状を低減させる、および/またはそれらの進行を停止させる、治療的処置または手段と、2)予防的/防止的手段との両方を指す。処置を必要とするものには、特定の医学的疾患または障害を既に有している個体ならびに最終的には障害を得る可能性があるもの(即ち、リスクがあるまたは予防的手段を必要とするもの)が含まれてもよい。
【0106】
本明細書で使用される「対象」という用語は、対象の方法が行われる任意の個体または患者を指す。一般に、対象はヒトであるが、当業者に理解されるように、対象は動物であってもよい。
【0107】
「治療有効量」、「有効用量」、「治療有効用量」、「有効量」、または同様の用語は、本願化合物を投与することによって求められる、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す本願化合物の量を指す。一般に応答は、患者の症状の改善または所望の生物学的結果のいずれかである。一部の実施形態では、そのような量は、c-kitキナーゼを阻害するのに十分であるべきである。
【0108】
一部の実施形態では、c-kit阻害化合物の有効量は、約50ng/mlから50pg/ml(例えば、約50ng/mlから40pg/ml、約30ng/mlから20pg/ml、約50ng/mlから10μg/ml、約50ng/mlから1μg/ml、約50ng/mlから800ng/ml、約50ng/mlから700ng/ml、約50ng/mlから600ng/ml、約50ng/mlから500ng/ml、約50ng/mlから400ng/ml、約60ng/mlから400ng/ml、約70ng/mlから300ng/ml、約60ng/mlから100ng/ml、約65ng/mlから85ng/ml、約70ng/mlから90ng/ml、約200ng/mlから900ng/ml、約200ng/mlから800ng/ml、約200ng/mlから700ng/ml、約200ng/mlから600ng/ml、約200ng/mlから500ng/ml、約200ng/mlから400ng/ml、または約200ng/mlから約ng/ml)の範囲に及ぶ量である。
【0109】
一部の実施形態では、c-kit阻害化合物の有効量は、約10pgから100mg、例えば約10pgから50pg、約50pgから150pg、約150pgから250pg、約250pgから500pg、約500pgから750pg、約750pgから1ng、約1ngから10ng、約10ngから50ng、約50ngから150ng、約150ngから250ng、約250ngから500ng、約500ngから750ng、約750ngから1mg、約1pgから10pg、約10pgから50pg、約50pgから150pg、約150pgから250pg、約250pgから500pg、約500pgから750pg、約750pgから1mg、約1mgから50mg、約1mgから100mg、または約50mgから100mgの範囲に及ぶ量である。量は、単一用量の量とすることができ、または全1日量とすることができる。全1日量は、約10pgから100mgの範囲に及ぶことができ、または約100mgから500mgの範囲に及ぶことができ、または約500mgから1000mgの範囲に及ぶことができる。
【0110】
本明細書には、本明細書に開示される化合物、例えば化合物1および2ならびにその多形形態のうちのいずれか1種を含む医薬組成物も開示される。
【0111】
「薬学的に許容される担体」という用語は、本開示の化合物と一緒に患者に投与されてもよく、かつその薬理学的活性を破壊しない、無毒性担体を指す。これらの組成物中に使用され得る薬学的に許容される担体は、限定するものではないが、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂肪を含む。
【0112】
活性成分として本明細書に記述される化合物のみ含む医薬組成物において、これらの組成物を投与するための方法は、追加の薬剤または治療を対象に投与するステップをさらに含んでいてもよい。そのような治療には、限定するものではないが貧血治療、糖尿病治療、高血圧治療、コレステロール治療、神経薬理学的薬物、心血管機能を調節する薬物、炎症、免疫機能、血液細胞、ホルモン、およびアンタゴニストの生成を調節する薬物、胃腸機能に影響を及ぼす薬物、微生物疾患の化学療法、ならびに/または新生物疾患の化学療法が含まれる。その他の薬理学的治療には、任意のその他の薬物または任意の薬物クラスに見出される生物学的物質を含めることができる。例えば、その他の薬物のクラスは、アレルギー/風邪/ENT治療、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、喘息/肺治療、心血管治療、皮膚科治療、内分泌/代謝治療、胃腸治療、がん治療、免疫学的治療、神経学的治療、眼科治療、精神治療、またはリウマチ学的治療を含むことができる。本明細書に記述される化合物と共に投与することができる薬剤または治療のその他の例は、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制剤、サイトカイン、成長因子、免疫調節剤、プロスタグランジンまたは抗血管過剰増殖化合物を含む。
【0113】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、またはその他の臨床医により求められている、組織、系、動物、個体、またはヒトにおける生物学的または医学的応答を引き出す活性化合物または医薬品の量であって、下記:(1)疾患を予防すること;例えば疾患、状態または障害に罹り易い可能性があるがまだ疾患の病状または症候を経験または示していない個体の、疾患、状態または障害を予防すること、(2)疾患を阻害すること;例えば疾患、状態または障害の病状または症候を経験しまたは示している個体の、疾患、状態または障害を阻害すること(即ち、病状および/または症候のさらなる発症を抑止すること)、および(3)疾患を寛解させること;例えば疾患、状態または障害の病状または症候を経験しているかまたは示している個体の疾患、状態または障害を寛解させること(即ち、病状および/または症候を反転させること)の、1つまたは複数を含むものを指す。
薬学的に許容される組成物
【0114】
化合物および組成物は、本開示の方法により、上記提示される障害を処置しまたはその重症度を軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与される。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与形態、ならびに同様のものに応じて対象ごとに変わることになる。本開示の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、投薬単位形態で製剤化される。本明細書で使用される「投薬単位形態」という表現は、処置がなされる患者に適切な薬剤の、物理的に個別の単位を指す。しかしながら、本開示の化合物および組成物の合計1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決められることが理解されよう。任意の特定の患者または生物に特異的な有効用量レベルは、処置されている障害および障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別、および食事;用いられる特定の化合物の投与時間、投与経路、および排泄速度;処置の持続時間;用いられる特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医療分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存することになる。
【0115】
本開示の薬学的に許容される組成物は、ヒトおよびその他の動物に、処置がなされる感染の重症度に応じて、経口、直腸、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、または滴下によるなど)、頬側、口腔または鼻腔スプレーなどとして投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示の化合物は、1日当たり、約0.01mg/kg対象体重から約50mg/kg対象体重、好ましくは約1mg/kg対象体重から約25mg/kg対象体重の投薬レベルで、1日1回または複数回、経口または非経口的に投与されて、所望の治療効果を得る。
【0116】
経口投与用の液体剤形には、限定するものではないが薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。活性化合物に加え、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物などを含有していてもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、着香剤、および芳香剤などの補助剤を含むこともできる。
【0117】
注射可能な調製物、例えば滅菌注射可能水性または油性懸濁液は、好適な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用する公知の技術に従い製剤化され得る。滅菌注射可能調製物は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒に加えられた滅菌注射可能溶液、懸濁液、またはエマルジョンであってもよく、例えば1,3-ブタンジオールに溶解した溶液であってもよい。用いられてもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、米局方Ringer液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油が、溶媒または懸濁媒として都合良く用いられる。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含む任意のブランドの固定油を、用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
【0118】
注射可能製剤は、使用前に、例えば細菌保持フィルターを通した濾過によって、または滅菌水またはその他の滅菌注射可能媒体に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0119】
本開示の化合物の効果を延ばすために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは不十分な水溶性を持つ結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は、結晶サイズおよび結晶質形態に依存し得る。あるいは、非経口投与化合物形態の遅い吸収は、油ビヒクルに化合物を溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーで化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。化合物のポリマーに対する比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。その他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能製剤も、化合物を、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに取り込むことによって調製される。
【0120】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、本開示の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣の腔内で溶融して活性化合物を放出する、好適な非刺激賦形剤または担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、または坐薬蝋と、混合することによって調製することができる坐薬である。
【0121】
経口投与用の固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、散剤、および顆粒が含まれる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/あるいはa)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなど、c)グリセロールなどの保湿剤、d)崩壊剤、例えば寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、および炭酸カルシウム、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤、およびi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含んでいてもよい。
【0122】
類似のタイプの固体組成物がまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用いられてもよい。錠剤、糖衣、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、医薬製剤の分野で周知の腸溶性コーティングおよびその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルと共に調製することができる。それらは、乳白剤を必要に応じて含有していてもよく、また、活性剤(複数可)を腸管の特定の部分でのみ、または優先的に、放出する、必要に応じて遅延状態で放出する組成物のものとすることもできる。使用することができる組成物を組み込む例には、ポリマー物質および蝋が含まれる。類似のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用いられてもよい。
【0123】
活性化合物は、上述の1種または複数種の賦形剤と共にマイクロカプセル形態にあるとすることもできる。錠剤、糖衣、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および医薬製剤分野で周知のその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルと共に調製することができる。そのような固体剤形では、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合されてもよい。そのような剤形はまた、通常の慣行通り、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば打錠滑沢剤およびその他の打錠助剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶質セルロースを含んでいてもよい。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は緩衝剤を含んでいてもよい。それらは必要に応じて乳白剤を含有していてもよく、また、活性成分(複数可)を腸管の特定の部分でのみ、または優先的に、放出する、組成物のものとすることもできる。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質および蝋が含まれる。
【0124】
本開示の化合物の局所または経皮投与用の剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、またはパッチが含まれる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体および任意の必要な保存剤または必要とされ得る緩衝剤と混合される。眼科製剤、点耳薬、および点眼薬も、本開示の範囲内であることが企図される。さらに本開示は、経皮パッチの使用を企図し、身体への化合物の制御送達をもたらす追加の利点を有する。そのような剤形は、適正な媒体に化合物を溶解または分散させることによって作製することができる。吸収増強剤も、皮膚を通過する化合物の流れを増加させるのに使用することができる。速度は、速度制御膜を設けるかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることのいずれかによって、制御することができる。
【0125】
本開示の態様のそれぞれの全ての特徴は、必要な変更を加えて全てのその他の態様に適用される。特許、特許出願および学術論文を含むがこれらに限定されない本明細書で言及される参考文献のそれぞれは、その全体があたかも完全に記述されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
本明細書に記述される本開示をより完全に理解し得るようにするため、以下の実施例を述べる。これらの実施例は、単に例示を目的とするものであり、本開示を如何様にも限定すると解釈するものではないことを、理解すべきである。
【実施例】
【0127】
以下の実施例に示されるように、ある特定の例示的な実施形態では、化合物が以下の一般手順に従い調製される。一般方法は本開示のある特定の化合物の合成を示すが、以下の一般方法および当業者に公知のその他の方法は、本明細書に記述される全ての化合物およびサブクラスならびにこれらの化合物のそれぞれの種に適用できることが理解されよう。
【表A】
分析方法
粉末X線回折(XRPD)方法A
【0128】
XRPDパターンを、X線回折計(PANalytical X’ Pert3)で特定した。使用されるXRPDパラメーターを表A1に列挙する:
【表A1】
粉末X線回折(XRPD)方法B
【0129】
XRPD分析を、3から35°2θの間で試料をスキャンする、PIXcel検出器(128チャネル)を備えたPANalytical X’pert proで実施した。材料を穏やかに粉砕していかなる凝集体もほぐし、Mylarポリマーフィルムを備えたマルチウェルプレート上に投入して、試料を支持した。次いでマルチウェルプレートを回折計内に配置し、40kV/40mA発生器設定を使用して、透過モード(ステップサイズ0.0130°2θ、ステップ時間18.87秒)で走行するCu K放射線(α1λ=1.54060Å;α2=1.54443Å;β=1.39225Å;α1:α2比=0.5)を使用して分析した。HighScore Plus 4.7デスクトップアプリケーション(PANalytical、2017)を使用して、データを視覚化し画像を作成した。
熱重量分析(TGA)および示差走査熱量計(DSC)
【0130】
およそ5~10mgの材料を、事前に風袋測定した開放アルミニウムパンに加え、TA Instruments Discovery SDT 650 Auto-Simultaneous DSCに投入し、室温で保持した。次いで試料を10℃/分の速度で30℃から350℃に加熱し、その時間中に試料重量の変化を、熱流応答と共に記録した(DSC)。窒素を、200cm3/分の流量で試料パージガスとして使用した。
動的蒸気収着(DVS)
【0131】
およそ10mgの試料を、メッシュ蒸気収着バランスパンに入れ、Surface Measurement SystemsによるDVS-1/DVS Intrinsic/DVS Advantage動的蒸気収着バランスに投入した。試料を、10%増分で40から90%までの相対湿度(RH)の上昇プロファイルに供し、試料を各ステップで、安定な重量が実現されるまで25℃で維持した(dm/dt 0.004%、最小ステップ長30分、最大ステップ長500分)。収着サイクルの終了後、試料を、同じ手順を使用して0%RHまで乾燥し、次いで第2の収着サイクルで元の40%RHに戻した。2サイクルを行った。収着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、試料の吸湿性を決定するのを可能にした。次いでXRPD分析を、保持された任意の固体に関して実施した。
プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)
【0132】
1H溶液NMRを、500.12MHzで動作するDCHクライオプローブを備えたBruker 400M NMR分光計またはBruker AVIIIHD分光計で収集した。試料を、約10mMの濃度でDMSO-d6で調製した。
水分活性メーター
【0133】
水分活性測定を、検証済みのAQUALab TDL Water Activity Monitor Series 4で行った。2つの測定値を試料ごとに得て、2つの値の平均を得た。
生体関連媒体の調製
擬似胃液(SGF)
【0134】
約200mgの塩化ナトリウムおよび約100mgのTriton(登録商標) X-100を、100mLメスフラスコに計量した。約100mLの精製水をフラスコに加え、溶液を、全ての固形分が完全に溶解するまで超音波処理した。1M HClを添加してpHを1.8に調整し、溶液を十分混合し、pHをpH計でチェックした。
絶食状態擬似腸液(FaSSIF)
【0135】
約170mgのリン酸ナトリウム一塩基性、約21mgの水酸化ナトリウム、および約310mgの塩化ナトリウムを、50mLメスフラスコに計量した。約50mLの精製水をフラスコに加え、溶液を、全ての固形分が完全に溶解するまで超音波処理した。pHをpH6.5に調整した。約22mgの擬似腸液(SIF)粉末を、個別の10mLメスフラスコに加えた。pH6.5の緩衝溶液を10mLメスフラスコに加えて、10mLの合計体積に到達させ、溶液を十分混合した。
摂食状態擬似腸液(FeSSIF)
【0136】
約0.41mgの氷酢酸、約202mgの水酸化ナトリウム、および約594mgの塩化ナトリウムを、50mLメスフラスコに計量した。約50mLの精製水をフラスコに加え、溶液を、全ての固形分が完全に溶解するまで超音波処理した。pHを、pH5.0に調整した。約112mgの擬似腸液(SIF)粉末を、個別の10mLメスフラスコに加えた。pH5.0の緩衝溶液を10mLメスフラスコに加えて、10mLの合計体積に到達させ、溶液を十分混合した。
(実施例1)
化合物1の遊離塩基形態A、H
A、H
B、C、D、E、G、およびHの調製
【化9】
化合物1の形態A
【0137】
化合物1の形態Aを、参照により本明細書に組み込まれるPCT/CN2019/086582に開示されるように調製した:
【0138】
手順A: 約2.0gの非晶質化合物1(WO2013/033070A1の実施例F110で調製される)を、40mLのIPAに70℃で溶解し、機械的に3時間撹拌し、透明な溶液を得た。次いで溶液を室温に冷却し、一晩、連続的に撹拌した。沈殿物が一晩かけて形成され、沈殿物を濾過し、IPAで洗浄し、60℃で真空下で一晩乾燥した。
【0139】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態Aを実証した。小さいTGA重量損失および対応するDSCシグナルに基づき、形態Aは無水物であると仮定した。
【0140】
表7は、化合物1の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表7】
化合物1の形態H
A
【0141】
化合物1の形態HAを、参照により本明細書に組み込まれるPCT/CN2019/086582に開示されるように調製した:
【0142】
手順A: 約200mgの化合物1の形態Aを、3.0mLのMeOH/H2O(1:1、v/v)に溶解し、1000rpmで5日間、室温で撹拌した。懸濁液を遠心分離し、固形分を真空下で乾燥した。
【0143】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態HAを実証した。0.8モルの水に対応する、150℃までで3.8%のTGA重量損失に基づき、形態HAは水和物または半水和物であると仮定した。
【0144】
表8は、化合物1の形態H
Aについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表8】
化合物1の形態H
B
【0145】
化合物1の形態HBを、参照により本明細書に組み込まれるPCT/CN2019/086582に開示されるように調製した:
【0146】
手順A: 約10mgの化合物1の形態Aを、水が入っているバイアルに2週間、入れた。固体を懸濁液から単離し、形態Aが形態HBに変換されたことを観察した。
【0147】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態HBを実証した。1.1モルの水に対応する、150℃までで5.4%のTGA重量損失に基づき、形態HBは水和物であると仮定した。
【0148】
表9は、化合物1の形態H
Bについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表9】
化合物1の形態C
【0149】
化合物1の形態Cを、下記の通り調製した:
【0150】
手順A: 低速蒸発スクリーン- 約20mgの化合物1の形態Aを、3mLのガラスバイアル中で1.0mLのMeOHに溶解した。試料を振盪させ、懸濁液を、PTFE膜(孔径0.45μm)を使用して濾過した。バイアルをいくつかのピンホールで穴を開けたParafilm(登録商標)で密封した状態で、濾液をゆっくり室温で蒸発させた。得られた固形分を、XRPD分析用に単離した。
【0151】
手順B: 室温スラリースクリーン- 約20mgの化合物1の形態Aを、HPLCバイアル中で0.5mLの水に懸濁した。懸濁液を約7日間、室温で磁気的に(約1000rpm)撹拌した後、残った固形分をXRPD分析用に単離した。
【0152】
手順C: 化合物1の形態A(201.2mg)を3.0mL H2Oに懸濁し、1000rpmで5日間、室温で撹拌した。懸濁液を濾過し、固形分を真空下で乾燥した。
【0153】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態Cを実証した。
【0154】
上記表1を、以下に再現し、化合物1の形態Cについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表1A】
【0155】
図1Aは、化合物1の形態CのXRPDパターンを示す。
【0156】
図1Bは、化合物1の形態Cの、DSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。化合物1の形態CのDSCサーモグラムは、約96℃および約171℃での吸熱ピークならびに約111℃での発熱ピークを特徴とした。いかなる特定の理論にも限定するものではないが、約96℃および約111℃での弱い事象は、形態Cの溶融および形態Aへの再結晶化に起因し得、約171℃での鋭い吸熱事象は、形態Aの溶融に起因することが提示される。100℃までで7.5%の重量損失が、TGA曲線で観察され、これは1.7モルの水の損失に相当し、形態Cが二水和物であることを示唆している。
【0157】
図1Cは、化合物1の形態Cの1H-NMRスペクトルを示す。
【0158】
図1Dおよび1Eは、化合物1の形態CのDVSプロットを示す。形態Cは、約80%RHまで再水和され、20%から90%RHの間で0.6%の全質量摂取を起こし、20%RH未満で質量損失を示した。20%RH未満では、形態Cは8.6%の質量損失を起こし、2当量の水にほぼ等しい。
【0159】
図1Fは、化合物1の形態Cの、当初の単離された形態、DVS実験後の材料、および真空下で乾燥した後の材料を比較している、一組のXRPDパターンを示す。DVS後、形態Cは化合物1の形態Gに変換した。形態Gは、形態Cの真空乾燥後にも観察された。
化合物1の形態D
【0160】
化合物1の形態Dを、下記の通り調製した:
【0161】
手順A: 50℃スラリースクリーン- 約20mgの化合物1の形態Aを、HPLCバイアル中で0.5mLのIPA中に懸濁した。試料を50℃で約7日間、磁気的に(約1000rpm)撹拌し、残りの固形分をXRPD分析用に単離した。
【0162】
手順B: 50℃スラリースクリーン- 約20mgの化合物1の形態Aを、HPLCバイアル中で0.5mLのCPMEに懸濁した。試料を50℃で約7日間、磁気的に(約1000rpm)撹拌し、残りの固形分をXRPD分析用に単離した。
【0163】
手順C: 貧溶媒添加スクリーン- 約20mgの化合物1の形態AをDCMに溶解して透明な溶液を得、その溶液を磁気的に撹拌し(約1000rpm)、その後、沈殿物が現れるまでMTBEを添加した。得られた沈殿物を、XRPD分析用に単離した。
【0164】
手順D: 貧溶媒添加スクリーン- 約20mgの化合物1の形態Aをピリジンに溶解して透明な溶液を得、その溶液を磁気的に撹拌し(約1000rpm)、その後、沈殿物が現れるまでEtOAcを添加した。得られた沈殿物をXRPD分析用に単離した。
【0165】
手順E: 204.5mgの化合物1の形態Aを、3.0mL IPAに懸濁し、1000rpmで5日間、室温で撹拌した。懸濁液を遠心分離し、固形分を真空下で乾燥した。
【0166】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態Dを実証した。
【0167】
上記表2を以下に再現し、化合物1の形態Dについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表2A】
【0168】
図2Aは、化合物1の形態DのXRPDパターンを示す。
【0169】
図2Bは、化合物1の形態DのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。化合物1の形態DのDSCサーモグラムは、約175℃での吸熱ピークを特徴とした。最小重量損失が、TGA曲線上で約250℃まで観察され、形態Dが無水物であることを示唆している。
【0170】
図2Cは、化合物1の形態Dの
1H-NMRスペクトルを示す。
1H-NMRスペクトルは、残留IPAを示さなかった。
【0171】
図2Dは、化合物1の形態Dの可変温度XRPDを示す。可変温度実験は、TGA曲線で観察された重量損失をさらに調査するために実施した。VT-XRPDは、N
2パージ下での150℃への加熱または30℃への冷却で形態変化を示さず、したがって化合物1の形態Dは、無水物と仮定した。
化合物1の形態E
【0172】
化合物1の形態Eを、以下の通り調製した:
【0173】
手順A: 20mgの化合物1の形態Aまたは非晶質化合物1を、1mLのEtOH/ヘプタン(50:50%v/v)が入っているバイアルに加えて、スラリーを形成した。バイアルを25℃で24時間撹拌した。24時間後、固形分を、遠心濾過により単離した。
【0174】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態Eを実証した。
【0175】
上記表3を以下に再現し、化合物1の形態Eについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表3A】
【0176】
図3Aは、化合物1の形態EのXRPDパターンを示す。
【0177】
図3Bは、化合物1の形態EのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。化合物1の形態EのDSCサーモグラムは、約63℃および約172℃での吸熱ピークを特徴とした。100℃までで9.9%の重量損失がTGA曲線上で観察され、これは約0.9当量のEtOHに等しい。いかなる特定の理論にも限定するものではないが、重量損失および63℃での吸熱事象はEtOHの脱溶媒和に起因するとすることができる。
【0178】
図3Cは、化合物1の形態Eの
1H-NMRスペクトルを示す。
化合物1の形態G
【0179】
化合物1の形態Gを、下記の通り調製した:
【0180】
手順A: 化合物1の形態Cを、約2時間、40℃で真空下で乾燥した。乾燥後、形態Gを回収した。
【0181】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態Gを実証した。
【0182】
上記表4を以下に再現し、化合物1の形態Gについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表4A】
【0183】
図4Aは、化合物1の形態GのXRPDパターンを示す。
【0184】
図4Bは、化合物1の形態Gの試料から収集された、DSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。収集されたDSCサーモグラムは、約109℃および約172℃での吸熱ピークならびに約118℃での発熱ピークを特徴とした。100℃までで7.7%の重量損失が、TGA曲線上で観察された。いかなる特定の理論にも限定するものではないが、化合物1の形態Gの試料から収集されたDSCサーモグラムおよびTGAトレースが形態Cに関して収集されたDSCサーモグラムおよびTGAトレースに非常に似ているという事実に基づくと、形態Gが、周囲条件下で形態Cへと容易に再水和される、準安定な無水物形態であるとの提案がなされる。
化合物1の形態H
【0185】
化合物1の形態Hを以下のように調製した:
【0186】
手順A: 20mgの形態Aを、水分活性(aW)が0.5145または0.6965であるMeOH/H2O溶液が入っているバイアルに加えた。スラリーを25℃で24時間撹拌した。24時間後、固形分の一定分量を遠心濾過により単離し、XRPDにより分析した。残りのスラリー試料をさらに5日間(合計6日)撹拌した。固形分を6日後に単離し、XRPDにより分析した。形態Hは、0.5145および0.6965MeOH/H2O溶液の両方の24時間一定分量で、ならびに0.6965MeOH/H2O溶液からの6日試料で観察された。
【0187】
手順B: 20mgの非晶質化合物1を、水分活性(aW)が0.3242であるMeOH/H2O溶液が入っているバイアルに加えた。スラリーを25℃で72時間撹拌した。72時間後、固形分を遠心濾過により単離し、XRPDにより分析した。形態Hは、0.5145および0.6965MeOH/H2O溶液の両方の24時間一定分量で、ならびに0.6965MeOH/H2O溶液からの6日試料で観察された。
【0188】
得られた材料の特徴付けは、化合物1の遊離塩基の結晶質形態Hを実証した。
【0189】
上記表5を以下に再現し、化合物1の形態Hについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表5A-1】
【表5A-2】
【0190】
図5Aは、化合物1の形態HのXRPDパターンを示す。
【0191】
図5Bは、化合物1の形態HのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを示す。化合物1の形態HのDSCサーモグラムは、約63℃および約173℃での吸熱ピークならびに約118℃での発熱ピークを特徴とした。100℃までの2.3%の重量損失が、TGA曲線上で観察された。いかなる特定の理論にも限定するものではないが、2.3%の重量損失は、およそ0.3当量のメタノールまたは0.5当量の水の損失に起因するとすることができる。
【0192】
図5Cは、化合物1の形態Hの
1H-NMRスペクトルを示す。NMRデータは、およそ0.1当量のMeOHが、単離された材料中に存在したことを示唆する。
(実施例2)
化合物2の酢酸塩形態Fの調製
化合物2の形態F
【0193】
化合物2の形態Fを、下記の通り調製した:
【0194】
手順A: 20mgの化合物1の形態Aまたは20mgの非晶質化合物1を、pH4.5の1mLの酢酸緩衝溶液に添加して、スラリーを形成した。スラリーを25℃で24時間撹拌した。24時間後、化合物2の酢酸塩形態Fを、遠心濾過によりスラリーから単離し、XRPDにより分析した。
【0195】
得られた材料の特徴付けは、化合物2の結晶質形態Fを実証した。
【0196】
上記表6を以下に再現し、化合物2の形態Fについて観察されたX線回折ピークを示す。
【表6A-1】
【表6A-2】
【0197】
図6Aは、化合物2の形態FのXRPDパターンを示す。
(実施例3)
結晶形態の相互変換研究
無水物間の競合スラリー実験
【0198】
競合スラリー実験を、IPA/IPAc中、室温/50℃で、化合物1の無水物形態Aと化合物1の形態Dとの間で行った。化合物1の形態Aを各溶媒に添加して、室温または50℃でスラリーを形成し、2時間撹拌した。次いでスラリーを濾過して飽和溶液を得た。約10mgの化合物1の形態Aおよび化合物1の形態Dのそれぞれを各溶液に添加して、室温または50℃で混合スラリーを形成した。表9にまとめるように、化合物1の形態H
Aまたは化合物1の形態Dがスラリーから得られ、形態H
Aおよび形態Dが室温および50℃で形態Aよりも熱力学的により安定であったことを示す。化合物1の形態H
Aの形成は、溶媒中の残留水または周囲湿度(スラリー実験中、約35%の湿度)により引き起こされると仮定される。
【表10】
無水物間での代替の競合スラリー実験
【0199】
競合スラリー実験を、エタノール/ヘプタン(50:50 v/v)または2-MeTHF中、25℃で行った。化合物1の形態A(20mg)を各溶媒に添加してスラリーを形成し、25℃で6時間撹拌した。次いでスラリーを、飽和溶液を得るために遠心濾過により濾過して固形分を除去した。飽和溶液に、それぞれ5mgの化合物1の形態A、形態Dおよび形態Eを添加した。得られたスラリーを25℃で6時間撹拌した。24時間後、両方のスラリーは形態HAをもたらした。
無水物および水和物の間での競合スラリー実験
【0200】
競合スラリー実験を、無水物形態D、ならびに水和物形態H
A、H
B、およびCの間で、様々な含水量を持つIPA中、室温で行った。化合物1の形態Aを各溶液に添加して、室温でスラリーを形成し、2時間撹拌した。次いでスラリーを濾過して飽和溶液を得た。形態H
A、H
B、CおよびDのそれぞれ約5mgを各溶液に添加して、室温でスラリーを形成した。表10にまとめるように、形態H
Aが、4日後にa
Wが0.2~0.8であるスラリーから得られた。形態Dおよび形態H
Aの混合物が、20日後に100%IPAスラリーから得られ、形態Cおよび形態H
Aの混合物が、20日後に100%H
2Oスラリーから得られた。
【表11】
SGF中でのスラリー実験
【0201】
競合スラリー実験を、SGF中、形態A、H
A、H
B、CおよびDに関して行った。約10mgの各形態を別々のHPLCバイアルに加え、その後、1.0mL SGFを添加してスラリーを形成した。スラリーを37℃に加熱し、500rpmで撹拌した。2時間または24時間後、試料を遠心分離し、XRPD試験用に固形分を収集した。結果を表11にまとめる。形態H
A、形態H
Bおよび形態Cに関し、SGF中で2時間および24時間後に形態変化は観察されなかった。形態Aは、2時間および24時間後にSGF中で形態Cに変換された。形態Dは2時間後にSGF中で形態Cに変換され、形態CおよびHCl塩形態の混合物が、24時間後に観察された。
【表12】
(実施例4)
水和マッピングおよび緩衝媒体実験
【0202】
化合物1の水和マップを確立するため、様々な水分活性(a
W)を持つ溶液を調製し、a
Wを、水分活性計を使用して測定した。以下の表13は、調査された溶媒系およびそれらの対応する測定した水分活性を詳述する。
【表13-1】
【表13-2】
形態Aで開始する水和マッピング
【0203】
23×20mgの化合物1の形態Aを、バイアルに計量した。1mLの溶媒(上記表を参照)を各バイアルに添加して、スラリーを形成した。数秒間手動で振盪した後、溶液が観察されたところで、さらに約10から20mgの固体を添加してスラリーを生成した。追加の固体を2-MeTHF、水/2-MeTHF(1:99%v/v)、アセトン/水(a
wは0.92)、およびメタノール/水(a
wは0.11)の試料に添加した。次いで全てのスラリーを25℃で24時間撹拌した。24時間後、固体の一定分量を遠心濾過により単離し、XRPDにより分析した。残りのスラリーをさらに5日間(合計で6日間)撹拌した。固形分を単離し、XRPDにより分析した。全ての同定された形態を、XRPD、TG/DSC、および
1H NMR(十分な材料が利用可能な場合)によって分析した。これらの水和マッピング実験の結果を以下の表14に示す。
【表14-1】
【表14-2】
非晶質化合物1で開始する水和マッピング
【0204】
非晶質材料を調製するため、480mgの化合物1の形態Aをバイアルに計量し、その後、24mL 1,4-ジオキサンに溶解した。次いで得られた溶液を、24本のバイアルに均等に分割し、その後、-50℃の凍結乾燥器のチャンバーに入れて、試料を完全に凍結した。次いで試料を一晩(およそ18時間)凍結乾燥し、綿毛状のオフホワイトの固形分を回収した。1本のバイアルからの固体の小さいサブ試料をXRPDにより分析して、非晶質化が生じたことを確認した。非晶質材料のその他の23本のバイアルを使用して、上記の調製された溶液1mLを各バイアルに添加することにより、スラリーを調製した。前回同様、短時間の手動撹拌で溶液が観察されたところに、さらに約10から20mgの非晶質材料を添加してスラリーを調製した。追加の固体を2-MeTHF、アセトン/水(a
wが0.14および0.28)、メタノール/水(a
wが0.11)、およびアセトニトリル/水(a
wが0.11)試料に添加した。次いで全てのスラリーを25℃で72時間撹拌した。72時間後、固体の一定分量を、遠心濾過により単離し、XRPDにより分析した。これらの水和マッピング実験の結果を、以下の表15に示す。
【表15】
エタノール/炭化水素混合物
【0205】
形態A投入および非晶質投入実験に関して上記で記述された方法を使用して、5×20mgの形態Aスラリーおよび5×20mgの非晶質投入スラリーを、1mLの溶媒(以下の表16参照)を各バイアルに添加することにより調製し、得られたスラリーを25℃で24時間撹拌した。24時間後、固体の一定分量を、遠心濾過により単離し、XRPDにより分析した。これらの水和マッピング実験の結果を以下の表16に示す。
【表16】
(実施例5)
緩衝媒体中の形態調査
【0206】
緩衝系における化合物1の多形の状況を調査するため、5×20mgの形態Aスラリーおよび5×20mgの非晶質スラリー(上記水和マッピング実験で記述された方法を使用して調製された非晶質材料)を、1mLの緩衝液を各バイアルに添加することにより調製し、得られたスラリーを25℃で24時間撹拌した。pHを、緩衝剤添加後および24時間の撹拌後に測定した。24時間後、固体の一定分量を、遠心濾過により単離し、XRPDにより分析した。
【表17】
【表18】
【国際調査報告】