(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】バイオエクストルーダアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20230807BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230807BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230807BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230807BHJP
C12M 1/16 20060101ALI20230807BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
B33Y10/00
B33Y30/00
C12M1/00 Z
C12M1/16
C12M1/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502983
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 US2021042147
(87)【国際公開番号】W WO2022016139
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507123121
【氏名又は名称】スリーディー システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソロザノ,リカード
(72)【発明者】
【氏名】マックナイト,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA03
4B029AA09
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC05
4B029EA16
4B029HA01
4B029HA02
4B029HA09
4B029HA10
(57)【要約】
生体材料を印刷することが可能になるように、既存の3次元(3D)プリンタに「後付け」することが可能なバイオエクストルーダアセンブリが開示される。バイオエクストルーダアセンブリは、モジュール式で独立型とすることができ、「プラグアンドプレイ」ユニットとして構成することができる。いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、宇宙空間などの無重力環境で使用するために構成することができ、宇宙空間で既存の3Dプリンタに係合するように構成することができる。いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、エクストルーダに結合されたシリンジ内に貯蔵されている生体材料を押し出すように構成されたエクストルーダと、変換器とを含む。変換器は、変換器を3次元プリンタシステムに結合する電気機械結合構成要素と、電気機械結合構成要素を介して3次元印刷システムから受け取った信号に基づいて、シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータとを含むことができる。いくつかの実施形態では、変換器は、取付け要素を介してエクストルーダに可逆的に取り付けられるように構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ内に貯蔵されている生体材料を押し出すように構成され、前記シリンジが結合されたエクストルーダと、
変換器とを備え、前記変換器が、
前記変換器を3次元プリンタシステムに結合する電気機械結合構成要素と、
前記電気機械結合構成要素を介して前記3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号に基づいて、前記シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータとを備え、
前記変換器が、取付け要素を介して前記エクストルーダに可逆的に取り付けられるように構成されている、
バイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項2】
前記取付け要素が、1つまたは複数の磁気ピンを備える、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項3】
前記取付け要素が、第2の端部から隔置された第1の端部を備え、前記第1の端部が、前記モータのねじに係合するように構成され、前記第2の端部が、前記シリンジの頂端に係合するように構成された切取りを有する、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項4】
前記取付け要素が、前記変換器の受け座に沿ってばねを圧縮するように構成されたプランジャを備える、請求項3に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項5】
前記電気機械結合構成要素が、前記3次元印刷システムから受け取った前記1つまたは複数の信号、パワー、およびエクストルーダの状態のうちの少なくとも1つを、前記3次元印刷システムと前記エクストルーダとの間で伝送する、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項6】
前記変換器が、前記エクストルーダに係合するように構成された金属ロッドを備える、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項7】
前記エクストルーダが、ピストン、圧縮ガス、水圧、空気圧縮器、圧電機器、およびインクジェット分注押出しのうちの少なくとも1つを使用して、圧力を生成するように構成されている、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項8】
前記エクストルーダが、405ナノメートル以上の波長を有する電磁放射を放出するように構成された発光ダイオードをさらに備える、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項9】
前記変換器が、複数の3次元プリンタと電気機械的に連係するように構成されている、請求項1に記載のバイオエクストルーダアセンブリ。
【請求項10】
生体印刷の方法であって、
生体材料をシリンジ内へ装填することと、
前記シリンジをエクストルーダ内へ挿入することと、
3次元プリンタに電気機械的に結合された変換器にエクストルーダを係合させることと、
前記エクストルーダのモータにおいて前記3次元印刷システムから前記エクストルーダのための印刷プランを受け取ることと、
前記受け取った印刷プランに従って、前記シリンジの内容物を押し出すこととを含む方法。
【請求項11】
前記変換器に前記エクストルーダを係合させることが、前記変換器の取付け要素を前記シリンジに接続することによって、ばねラッチ機構を係合させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷プランが、前記3次元印刷システムから受け取ったコマンドおよびエクストルーダ-変換器アセンブリに対応するデータに基づいて生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記変換器に前記エクストルーダを係合させることが、前記エクストルーダと前記変換器との間の磁気接続を係合させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
変換器であって、
前記変換器を3次元プリンタシステムに結合する電気機械結合構成要素と、
前記電気機械結合構成要素を介して前記3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号に基づいて、シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータと、
前記シリンジを有するエクストルーダに前記変換器を可逆的に取り付けるように構成された取付け要素とを含む変換器。
【請求項15】
前記取付け要素が、1つまたは複数の磁気ピンを備える、請求項14に記載の変換器。
【請求項16】
前記取付け要素が、第2の端部から隔置された第1の端部を備え、前記第1の端部が、エクストルーダのモータのねじに係合するように構成され、前記第2の端部が、前記エクストルーダ上のシリンジの頂端に係合するように構成された切取りを有する、請求項14に記載の変換器。
【請求項17】
前記取付け要素が、前記変換器の受け座に沿ってばねを圧縮するように構成されたプランジャを備える、請求項14に記載の変換器。
【請求項18】
前記電気機械結合構成要素が、前記3次元印刷システムから受け取った前記1つまたは複数の信号、パワー、およびエクストルーダの状態のうちの少なくとも1つを、前記3次元印刷システムと前記変換器に係合されたエクストルーダとの間で伝送する、請求項14に記載の変換器。
【請求項19】
前記エクストルーダに係合するように構成された金属ロッドおよび金属の受け座のうちの少なくとも1つを備える、請求項14に記載の変換器。
【請求項20】
前記変換器が、複数の3次元プリンタと電気機械的に連係するように構成されている、請求項14に記載の変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「Bioextruder Assembly」という名称の米国仮特許出願第63/053,000号に関係し、同出願の利益を主張する。
【0002】
加えて、「Methods, devices, and systems for the fabrication of materials and tissues utilizing electromagnetic radiation」という名称の米国特許出願第15/128,632号、および「Multi-headed auto-calibrating bioprinter with heads that heat, cool, and crosslink」という名称の米国特許出願第15/945,435号の両方の内容が、全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
本開示は、3次元(3D)の生物学的構造を印刷することが可能なデバイスを対象とする。
【背景技術】
【0004】
生物学的組織、臓器などを印刷するために、3次元(3D)プリンタが使用されてきた。しかし多くの環境では、生物学的構造を印刷することが可能な新しい3Dプリンタを設置することは難しいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、宇宙空間で生物学的構造を印刷することが可能になることは無重力によって有利となりうるが、現時点で、国際宇宙ステーションは、生物学的構造を印刷することが可能な3Dプリンタを備えていない。さらに、生物学的構造を印刷することが可能な新しい3Dプリンタを宇宙空間に設置することは難しいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、生体材料を印刷することが可能になるように、既存の3次元(3D)プリンタに後付けするために使用することができるバイオエクストルーダアセンブリについて記載する。バイオエクストルーダアセンブリは、モジュール式で独立型とすることができ、「プラグアンドプレイ」ユニットとして構成することができる。バイオエクストルーダアセンブリは、既存の3Dプリンタに係合するように構成することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、宇宙空間などの無重力環境で使用するために構成することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、エクストルーダおよび変換器を含む。エクストルーダは、エクストルーダに結合されたシリンジ内に貯蔵されている生体材料を押し出すように構成することができる。変換器は、3次元プリンタシステムへの電気機械結合と、電気機械結合を介して3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号に基づいて、シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータとを含むことができる。さらに、変換器は、取付けインターフェースを介してエクストルーダに可逆的に取り付けられるように構成することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、開示する変換器を使用して、様々な製造者のエクストルーダが他の製造者によって製造された3次元印刷システムと連係することを可能にすることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、シリンジ内に貯蔵されている生体材料を押し出すように構成され、シリンジが結合されたエクストルーダと、変換器とを含むことができ、変換器は、変換器を3次元プリンタシステムに結合する電気機械結合構成要素と、電気機械結合構成要素を介して3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号に基づいて、シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータとを有する。いくつかの実施形態では、変換器は、取付け要素を介してエクストルーダに可逆的に取り付けられるように構成することができる。取付け要素は、1つまたは複数の磁気ピンを含むことができる。別法として、取付け要素は、第2の端部から隔置された第1の端部を含むことができ、第1の端部は、モータのねじに係合するように構成され、第2の端部は、シリンジの頂端に係合するように構成された切取りを有する。いくつかの実施形態では、取付け要素は、変換器の受け座に沿ってばねを圧縮するように構成されたプランジャを含む。いくつかの実施形態では、電気機械結合構成要素は、3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号、パワー、およびエクストルーダの状態のうちの少なくとも1つを、3次元印刷システムとエクストルーダとの間で伝送する。変換器は、エクストルーダに係合するように構成された金属ロッドを含むことができる。エクストルーダは、ピストン、圧縮ガス、水圧、空気圧縮器、圧電機器、およびインクジェット分注押出しのうちの少なくとも1つを使用して、圧力を生成するように構成することができる。エクストルーダはまた、405ナノメートル以上の波長を有する電磁放射を放出するように構成された発光ダイオードを含むことができる。変換器は、複数の3次元プリンタと電気機械的に連係するように構成することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、生体印刷の方法は、生体材料をシリンジ内へ装填するステップと、シリンジをエクストルーダ内へ挿入するステップと、3次元プリンタに電気機械的に結合された変換器にエクストルーダを係合させるステップと、エクストルーダのモータにおいて3次元印刷システムからエクストルーダのための印刷プランを受け取るステップと、受け取った印刷プランに従って、シリンジの内容物を押し出すステップとを含むことができる。変換器にエクストルーダを係合させるステップは、変換器の取付け要素をシリンジに接続することによって、ばねラッチ機構を係合させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、印刷プランは、3次元印刷システムから受け取ったコマンドおよびエクストルーダ-変換器アセンブリに対応するデータに基づいて生成することができる。いくつかの実施形態では、変換器にエクストルーダを係合させるステップは、エクストルーダと変換器との間の磁気接続を係合させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、変換器は、変換器を3次元プリンタシステムに結合する電気機械結合構成要素と、電気機械結合構成要素を介して3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号に基づいて、シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータと、シリンジを有するエクストルーダに変換器を可逆的に取り付けるように構成された取付け要素とを含む。いくつかの実施形態では、取付け要素は、1つまたは複数の磁気ピンを含む。取付け要素は、第2の端部から隔置された第1の端部を含むことができ、第1の端部は、エクストルーダのモータのねじに係合するように構成され、第2の端部は、エクストルーダ上のシリンジの頂端に係合するように構成された切取りを有する。取付け要素はまた、変換器の受け座に沿ってばねを圧縮するように構成されたプランジャを含むことができる。電気機械結合構成要素は、3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号、パワー、およびエクストルーダの状態のうちの少なくとも1つを、3次元印刷システムと変換器に係合されたエクストルーダとの間で伝送するように構成することができる。いくつかの実施形態では、変換器は、エクストルーダに係合するように構成された金属ロッドおよび金属の受け座のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、変換器は、複数の3次元プリンタと電気機械的に連係するように構成される。
【0013】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの実施形態を示し、本説明とともに、開示する原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダを示す図である。
【0015】
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよびシリンジを示す図である。
【0016】
【
図1C】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよびシリンジを示す図である。
【0017】
【
図1D】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよび変換器を示す図である。
【0018】
【
図1E】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよび変換器アセンブリを示す図である。
【0019】
【
図1F】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよび変換器アセンブリを示す図である。
【0020】
【
図2】本開示の実施形態による取付け要素を示す図である。
【0021】
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による第1の状態にあるエクストルーダおよび変換器アセンブリを示す図である。
【0022】
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による第2の状態にあるエクストルーダおよび変換器アセンブリを示す図である。
【0023】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよび変換器アセンブリの構成要素を示す図である。
【0024】
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態によるエクストルーダおよび変換器アセンブリの構成要素を示す図である。
【0025】
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による変換器要素を示す図である。
【0026】
【
図6A】本開示の実施形態によるエクストルーダのための取付け要素を示す図である。
【0027】
【
図6B】本開示の実施形態による変換器のための取付け要素を示す図である。
【0028】
【
図7】本開示の一実施形態による第1の印刷された材料の一例を示す図である。
【0029】
【
図8】本開示の一実施形態による第2の印刷された材料の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、3次元生体印刷に関連するシステムおよび方法を対象とする。本明細書において、「生体印刷」または「印刷」とは、自動化されたコンピュータ支援の3次元プロトタイプデバイス(たとえば、バイオプリンタ)を使用した細胞ならびに/または他の物質および材料の3次元の精密な堆積を指すことができる。本開示は、既存の3Dプリンタをバイオプリンタに変換することが可能なエクストルーダアセンブリを対象とする。
【0031】
バイオプリンタ、およびプリンタ台、受取り手段、カートリッジ、分注手段、押出手段、電磁放射(EMR)源、光デバイス、ソフトウェアなどの関連する構成要素は、どちらも内容が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「Methods, devices, and systems for the fabrication of materials and tissues utilizing electromagnetic radiation」という名称の米国特許出願第15/128,632号、および「Multi-headed auto-calibrating bioprinter with heads that heat, cool, and crosslink」という名称の米国特許出願第15/945,435号にさらに記載されている。
【0032】
本開示は、生体材料を印刷することが可能になるように、既存の3次元(3D)プリンタに「後付け」するために使用することができるバイオエクストルーダアセンブリについて記載する。たとえば、バイオエクストルーダアセンブリは、プラスチック材料のみを印刷することが可能な3Dプリンタに後付けするために使用することができる。バイオエクストルーダアセンブリは、モジュール式で独立型とすることができ、「プラグアンドプレイ」ユニットとして構成することができる。いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、宇宙空間などの無重力環境で使用するために構成することができ、宇宙空間で既存の3Dプリンタに係合するように構成することができる。
【0033】
生物学的構造に対する重力の影響を研究し、科学的実験を実行するために、宇宙空間で生体材料を印刷することが望ましいことがある。たとえば、宇宙空間で生体材料を印刷することが可能になれば、重力がない場合に骨がどのように成長し、組織がどのように組織されるかを、科学者および技術者がよりよく理解することを可能にすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、バイオエクストルーダアセンブリは、エクストルーダおよび変換器を含む。エクストルーダは、エクストルーダに結合されたシリンジ内に貯蔵されている生体材料を押し出すように構成することができる。変換器は、3次元プリンタシステムへの電気機械結合と、電気機械結合を介して3次元印刷システムから受け取った1つまたは複数の信号に基づいて、シリンジ内に貯蔵されている生体材料の押出しを作動させるように構成されたモータとを含むことができる。さらに、変換器は、取付けインターフェースを介してエクストルーダに可逆的に取り付けられるように構成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、開示するシステムおよび方法は、既存のバイオプリンタまたは3Dプリンタが新しい生体材料エクストルーダを使用した生体印刷に適合することを可能にするように構成することができる。たとえば、固有のエクストルーダが、異なる電子構成またはソフトウェア構成を有するバイオプリンタに適合することができる。例示的なエクストルーダは、細胞もしくは生体材料、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0036】
例示的なプリンタは、従来の3次元プリンタ、異なる製造者からのバイオプリンタ、3次元バイオプリンタなどを含むことができる。
【0037】
図1A~
図1Fは、本開示の一実施形態によるエクストルーダ101、シリンジ105、および/または変換器109を示す。エクストルーダ101は、生体印刷のための技法に従って、生体材料を押し出して硬化させるように構成することができる。エクストルーダは、1つまたは複数のエクストルーダヘッドと、加熱および/または冷却要素と、印刷された物体を硬化させるように構成されたLED灯と、シリンジおよび/または生体印刷のための材料を受け取るように構成された開口とを含むことができる。いくつかの実施形態では、シリンジおよび/または生体印刷のための材料は、エクストルーダアセンブリから取外し可能とすることができる。
【0038】
図1Aに示すように、エクストルーダ101は、シリンジを受け取るように構成された開口103を含むことができる。いくつかの実施形態では、エクストルーダ101には、生体材料を有するシリンジを事前に装填することができ、バイオエクストルーダアセンブリの使用者がシリンジに生体材料を装填する必要はない。このようにして、バイオエクストルーダアセンブリを「プラグアンドプレイ」システムとすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、エクストルーダ101は、複数のエクストルーダヘッドを含むことができ、各エクストルーダヘッドは、生体材料を加熱または冷却するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、エクストルーダ101は、材料を摂氏160度に加熱し、次いで硬化時に材料を摂氏4度に冷却するように構成することができる。
【0040】
加えて、エクストルーダ101は、好適な波長を印加することによってエクストルーダ101から押し出された材料107を硬化させるように構成された発光ダイオード(LED)が、エクストルーダ101の底部に位置決めされるように構成することができる。いくつかの実施形態では、好適な波長は、365nmまたは405nmとすることができる。いくつかの実施形態では、細胞を損傷することなく生体材料を急速に硬化させるために、可視青色光を使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、エクストルーダ101は、室温から摂氏400度の間に加熱することができ、室温から摂氏-10度の間に冷却することができ、またはUVもしくは可視スペクトル内の光波を使用して、材料107を分注して架橋することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、エクストルーダ101は、宇宙ステーションで使用するために構成することができる。いくつかの実施形態では、エクストルーダ101は、変換器109に取り付けられて、任意のタイプの3Dプリンタと連係することができるエクストルーダ-変換器アセンブリ117を形成するように構成することができる。たとえば、3Dプリンタは、国際宇宙ステーションまたは他の宇宙ステーションに配置することができる。たとえば、エクストルーダは、別の製造者によって作られた3次元プリンタと連係するように構成することができる。
【0043】
図1Bに示すように、シリンジ105は、生体印刷されるように構成された1つまたは複数の材料107を含むことができる。例示的な材料107は、生体細胞と混合されているか否かにかかわらず、ヒドロゲルまたは生体適合性ペーストを含むことができる。別法として、材料107は、細胞、成長因子、および/またはサイトカインとすることができる。材料107は、ヒドロゲル、ゼラチンメタクリレート(GelMA)、Pluronic(登録商標)F-127、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、コラーゲン、コラーゲンメタクリレート(CMA)、フィブリン、ヒアルロン酸、成長因子(たとえば、血管内皮成長因子(VEGF))、飛行中に細胞を保存するための凍結保存添加剤(たとえば、糖類)、生細胞(すなわち、ヒト、植物、または動物の細胞)などのうちの1つまたは複数とすることができる。いくつかの実施形態では、材料107(またはエクストルーダ101、シリンジ105、および/もしくは変換器109)は、材料107を保存し、宇宙ステーションへの材料107の輸送中に受けるストレスから保護するために、凍結保存された容器に入れて輸送することができる。
【0044】
図1Cに示すように、シリンジ105をエクストルーダ101内へ装填することができる。いくつかの実施形態では、シリンジ105がエクストルーダ101内に事前に装填された状態で、エクストルーダ101をバイオエクストルーダアセンブリの使用者に提供することができる。
【0045】
図1Dは、本開示の一実施形態によるエクストルーダ101および変換器109を示す。変換器109は、ピストン115を駆動するモータを含むハウジング109を含むことができる。ピストン115は、エクストルーダ101内に含まれるシリンジ105の運動を駆動するように構成することができる。特に、ピストン115は、シリンジ105のプランジャを作動させることができる。いくつかの実施形態では、システムは、エクストルーダからの材料107の分注を駆動するために、圧縮空気、インクジェット、または圧電のうちの少なくとも1つを利用することができる。このようにして、ピストン115は、材料107の押出しを制御することができる。
【0046】
変換器109はまた、ピストン115によって駆動される取付け要素113を含むことができ、取付け要素113は、シリンジ105に取り付けられるように構成される。いくつかの実施形態では、取付け要素113は、金属のアダプタを含むことができる。いくつかの実施形態では、取付け要素113は、360度回転することが可能になるように構成することができる。
【0047】
さらに、変換器109は、変換器109をエクストルーダ101に係合させるように構成された取付けインターフェース111を含むことができる。いくつかの実施形態では、取付けインターフェース111は、1つまたは複数のクリップ、トラック、ロックなどを含むことができ、したがって変換器およびエクストルーダをともに摺動可能に係合およびロックして、
図1Eに示すようなエクストルーダ-変換器アセンブリ117を形成することができる。摺動可能な取付けインターフェース111が本明細書に記載されているが、任意の好適な取付けインターフェースが可能である。いくつかの実施形態では、取付けインターフェース111は、クリックオンレールコネクタを含むことができる。
【0048】
変換器109は、変換器109を3Dプリンタシステムに結合する電気機械結合構成要素(たとえば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス)を含むことができる。電気機械結合構成要素は、変換器109と3Dプリンタシステムとの間のパワーおよびデータの交換を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、電気機械結合構成要素は、変換器109のモータの動作を制御し、シリンジ105内に貯蔵されている材料107の押出しを作動させるように構成された1つまたは複数の信号を、3Dプリンタシステムから受け取ることができる。
【0049】
取付けインターフェース111によって変換器109がエクストルーダ101に取り付けられた後、取付け要素113がシリンジ105に係合するように構成することができる。
【0050】
次いで、エクストルーダ-変換器アセンブリ117を3次元(3D)プリンタ(たとえば、MadeInSpaceの付加製造設備(AMF))内に配置することができる。
【0051】
エクストルーダ-変換器アセンブリ117は、外部プリンタ、つまり、元々はエクストルーダとともに使用されるように構成されていない3Dプリンタに取り付けることができる。たとえば、変換器は外部プリンタと連係することができ、それによりパワー、データの交換および電気出力を介した押出しステップが可能になる。いくつかの実施形態では、変換器は、位置決めピンを有する磁石、ばねラッチ機構などの機械的手段によって、外部プリンタと連係することができる。
【0052】
図2は、
図1の取付け要素113および取付けインターフェース111などの例示的な取付け要素および取付けインターフェースの図を提供する。たとえば、いくつかの実施形態では、取付け要素201は、6061アルミニウムから構成することができる。別の実施形態では、取付け要素201は、耐久性のあるプラスチックから構成することができる。取付け要素201の一方の側203は、押出しモータ上の親ねじ207のナットに取り付けられるように構成することができる。取付け要素201の他方の側205では、取付け要素201は、シリンジプランジャフランジ211に係合するように構成された切取りスロット209を有するように構成することができる。切取りスロット209は、プランジャ211を垂直軸に対して定位置に固定し、シリンジの回転を抑制するようにさらに構成することができる。それに応じて、モータを起動して、取付け要素201およびプランジャ211を下方へ動かす。
【0053】
図3Aおよび
図3Bは、アセンブリの断面図を提供する。たとえば、
図3Aは、変換器およびエクストルーダが切り離されているときを示す。
図3Bは、変換器およびエクストルーダが係合されているときを示す。特に、
図3Aに示すように、プランジャ301が押し下げられたとき、プランジャ301は、ラッチ303をばね305に押し付けてばねを圧縮し、したがってラッチが真鍮の受け座を越えて垂直方向下方へ動くことを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、プランジャが金属のタブを含むことができる。いくつかの実施形態では、ラッチ303を真鍮で構成することができる。いくつかの実施形態では、受け座を変換器の後面片に取り付けることができる。プランジャ301が解放されたとき、ばね305を付勢して延ばし、したがってラッチ303を受け座の後ろまで押し込むことができ、その結果、
図3Bに示すように、ラッチ303が係合され、エクストルーダアセンブリが変換器に固定される。
【0054】
図4は、本明細書に論じるアセンブリの第2の図を提供する。示されているように、エクストルーダ401は、変換器405から分離された状態にある。
図3のプランジャ301に類似したプランジャ403が示されている。エクストルーダ401は、生体材料を保持するように構成されたシリンジ413を含む。シリンジ413の頂端は、
図3に示したものと同様に、取付け要素407の切取り409に係合するように構成される。示されているように、取付け要素407の第2の端部は、押出しモータ411のねじに近接している。
【0055】
エクストルーダ401を変換器405に係合させるために、プランジャ403を押し下げてラッチを切り離すことができる。エクストルーダ401の後面底部の溝を、変換器405上に位置決めされた水平の金属ロッドと位置合わせすることができる。
【0056】
図5Aおよび
図5Bは、エクストルーダおよび変換器アセンブリの追加の図を提供する。特に、
図5Aは、エクストルーダ501が変換器503から離れてデバイスの使用者の方へ回転することを示す。エクストルーダ501を変換器503に固定するために、プランジャ505を実質的に下方方向へ押して、ラッチを切り離すことができる。エクストルーダの後面が変換器503の内面と平行になるように、エクストルーダ501の後面底部上の溝を変換器503上の水平の金属ロッド507と位置合わせして、エクストルーダ501を押すことができる。位置合わせしたとき、プランジャを解放することができ、それによりばね(
図3Aおよび
図3Bに示す)がプランジャを押し上げ、ラッチを変換器503の後面片の内部の受け座に係合させることが可能になる。記載したプロセスの結果、エクストルーダ501および変換器503がともに固定される。エクストルーダ501を変換器503から解放するには、プランジャを押し下げてラッチを切り離すことができる。
図5Aに示すように、エクストルーダ501を回転させることができ、かつ/または実質的に使用者に向かう方向に引っ張ることができ、したがってエクストルーダが水平ロッド507上で旋回することが可能になり、エクストルーダがエクストルーダ-変換器アセンブリから解放される。
【0057】
図5Bは、ロッド507および真鍮の受け座509を有する変換器503の後面片の内部の図を提供する。
【0058】
エクストルーダを変換器に取り付けるための代替の機構が、
図6Aおよび
図6Bに示されている。たとえば、エクストルーダ601と変換器603との間の取付け機構は、磁気インターフェースを含むことができる。いくつかの実施形態では、磁気インターフェースは、たとえば、位置合わせのために構成された2つの位置合わせピン(たとえば、1つの丸い形状のピン、1つのダイヤモンド形状のピン)を含むことができる。いくつかの実施形態では、位置合わせピンは、金属から構成することができる。いくつかの実施形態では、位置合わせピンは、変換器603の後面片上に配置することができ、エクストルーダ601は、嵌合する場所に、対応する半球の切取りを有することができる。
図6Aは、変換器インターフェースの一例を示し、
図6Bは、エクストルーダ上のインターフェースの一例を示す。
【0059】
本明細書に記載するように、エクストルーダをコネクタに接続することができ、コネクタは、エクストルーダ-コネクタアセンブリを外部プリンタに取り付けるように構成される。外部プリンタから取り付けられたエクストルーダへ交換することができるデータには、温度設定点および架橋強度の設定、温度フィードバックの交換などを行うCANプロトコルメッセージが含まれる。エクストルーダ-コネクタアセンブリは、電気インターフェースを使用して外部プリンタと連係することができる。いくつかの実施形態では、電気インターフェースは、パワーおよびデータを伝送するばね荷重式のポゴピンを含むことができる。外部プリンタの使用者は、押出しを使用した生体材料の押出しを制御することができる。たとえば、使用者は、特定の体積の材料を動かすために押出しモータが進むことができる印刷経路または距離を指定することなどによって、外部プリンタの元のインターフェースを使用して、生体材料の押出しを制御することができる。外部プリンタの元のインターフェースは、外部プリンタの使用者からの命令を受け取り、外部プリンタの動作を制御するためのカスタムGコードコマンドおよび印刷ファイルを作成して外部プリンタへ送信するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを含むことができる。外部プリンタによって提供される印刷ファイルおよび関連コマンドは、エクストルーダ-コネクタアセンブリに適合するように修正することができる。たとえば、修正された押出し速度および温度範囲を可能にするために、コマンドを修正することができる。たとえば、Gコードファイルがデバイスに読み取られたとき、追加の印刷デバイスとともに機能して、架橋機能を取り扱い、押出しモータのモータステップごとの体積を変換するように、受け取った印刷ファイルを後処理することが必要になることがある。
【0060】
本明細書に記載するシステムおよび方法は、適合していないエクストルーダをプリンタに取り付けるために使用することができる。いくつかの実施形態では、生体材料などの印刷のための材料をシリンジに装填し、次いでエクストルーダ内へ挿入することができる。プランジャおよびストッパを利用して、ばねラッチ機構によってエクストルーダをコネクタに取り付けることができる。次のステップで、取付け要素をシリンジプランジャフランジに接続することができる。次のステップで、シリンジの底部に針を取り付けることができる。次いで、温度および架橋要素に対する適当なパラメータが設定され、印刷面が較正された状態で、プリンタを起動することができる。次いで、後処理されたGコードファイルをプリンタにロードすることができ、印刷を実行することができる。
【0061】
本明細書に記載するエクストルーダ-変換器アセンブリを使用して、細胞であるか否にかかわらず、様々な構造およびパターンを印刷することができる。たとえば、生体材料または細胞に装填されたヒドロゲルを3D印刷パターンで印刷することが可能になるように、生体印刷材料を無重力で押し出すことができる。
【0062】
たとえば、
図7は、本開示の一実施形態による第1の印刷された材料の一例を示す。特に、
図7は、プルロニックから生体印刷された格子を示す。
【0063】
図8は、本開示の一実施形態による第2の印刷された材料の一例を示す。特に、
図8は、カプセル化された線維芽細胞を使用してゼラチンメタクリレートで印刷された線を示す。
【0064】
上述したシステムおよび方法によって印刷することができる例示的な材料には、骨、線状線維、肝臓組織、層状組織、円形パッチ、血管新生化組織、心臓組織、軟骨などが含まれる。いくつかの実施形態では、印刷された材料は、科学的応用に有用な無重力条件下で形状を形成することができる。
【0065】
本開示は一連のステップを提供することができるが、いくつかの実施形態では、追加のステップの追加、記載されているステップの省略などを加えることができることが理解される。加えて、記載されている一連のステップは、任意の好適な順序で実行することができる。
【0066】
例示的な実施形態について本明細書に記載したが、本明細書の範囲は、本開示に基づいて当業者であれば理解されるはずの同等の要素、修正、省略、組合せ(たとえば、様々な実施形態にまたがる態様)、適合、および/または変更を有するあらゆる実施形態を包含する。たとえば、例示的なシステム内に示されている構成要素の数および向きを修正することができる。
【0067】
したがって、上記の説明は、例示を目的として提示されている。上記の説明は網羅的ではなく、開示する厳密な形状または実施形態に限定するものではない。修正例および適合例は、本明細書の考慮および開示する実施形態の実施により、当業者には明らかになる。
【国際調査報告】