(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】肥満治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20230807BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20230807BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20230807BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20230807BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/81 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/736 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20230807BHJP
A61K 36/45 20060101ALI20230807BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K31/19
A61K38/12
A61K31/445
A61P25/00
A61K36/87
A61K36/15
A61K36/185
A61K36/48
A61K36/81
A61K36/736
A61K36/73
A61K36/45
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503093
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2020070698
(87)【国際公開番号】W WO2022015361
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523015998
【氏名又は名称】トゥルーティヴァ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TRUETIVA, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】523016009
【氏名又は名称】ジェイ フィリップ ケネディ
【氏名又は名称原語表記】KENNEDY, J., Philip
【住所又は居所原語表記】3450 Michigan St.NE,Grand Rapids,MI 49525(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ フィリップ ケネディ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA24
4C084MA01
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA03
4C084ZA70
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA03
4C086ZA70
4C088AB03
4C088AB12
4C088AB44
4C088AB48
4C088AB51
4C088AB52
4C088AB56
4C088AB59
4C088AC01
4C088BA08
4C088MA02
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA03
4C088ZA70
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA20
4C206DA19
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA11
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA03
4C206ZA70
(57)【要約】
本発明の実施形態は、肥満、摂食障害、代謝障害、および他の体重関連疾患および障害を治療するためのカンナビノイドおよびバイオエンハンサーを含有する組成物、ならびにカンナビノイドおよびバイオエンハンサーを含有する組成物を投与することによって肥満、摂食障害、代謝障害、および他の体重関連疾患および障害を治療するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド、バイオエンハンサー、および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、試薬、またはそれらの組み合わせを含む組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、前記カンナビノイドは、前記組成物の総量に対して約20%(w/w)~約1%(w/w)のカンナビノイドの濃度を有する、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、前記カンナビノイドは、カンナビジオール、カンナビジオール異性体、カンナビジオール類似体、またはそれらの組み合わせよりなる群から選択される、組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物において、前記バイオエンハンサーは、前記組成物の総重量に対して約0.05%(w/w)~約20%(w/w)の濃度を有する、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物において、前記バイオエンハンサーは環状ペプチドである、組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物において、前記バイオエンハンサーはピペリジンまたはピペリジン誘導体である、組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物において、食欲抑制剤をさらに含む、組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物において、前記食欲抑制剤は、前記組成物の総量に対して約0.05%(w/w)~約20%(w/w)の濃度を有する、組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の組成物において、前記食欲抑制剤は、ブドウ、マツ、カカオ、タマリンド、トマト、ピーナッツ、アーモンド、リンゴ、クランベリーおよびブルーベリーからなる群から選択される抽出物である、組成物。
【請求項10】
カンナビノイド、バイオエンハンサー、および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、試薬、またはそれらの組み合わせを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の体重を減量させるための方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記カンナビノイドは、前記組成物の総重量に対して約20%(w/w)~約1%(w/w)のカンナビノイドの濃度を有する、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記カンナビノイドは、カンナビジオール、カンナビジオール異性体、カンナビジオール類似体、またはそれらの組み合わせよりなる群から選択される、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記バイオエンハンサーは、前記組成物の総重量に対して約0.05%(w/w)~約20%(w/w)の濃度を有する、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法において、前記バイオエンハンサーは、環状ペプチドである、方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、前記バイオエンハンサーは、ピペリジンまたはピペリジン誘導体である、方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法において、前記組成物は、さらに食欲抑制剤を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記食欲抑制剤は、前記組成物の総重量に対して約0.05%(w/w)~約20%(w/w)の濃度を有する、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記食欲抑制剤は、ブドウ、マツ、カカオ、タマリンド、トマト、ピーナッツ、アーモンド、リンゴ、クランベリーおよびブルーベリーからなる群から選択される抽出物である、方法。
【請求項19】
請求項10に記載の方法において、前記哺乳動物は、過体重、肥満である、摂食障害を有する、代謝障害を有する、またはそれらの組み合わせの症状を有する、方法。
【請求項20】
請求項10に記載の方法において、前記哺乳動物はヒトである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2019年7月16日に出願された“Compositions For Treating Obesity”と題する米国仮出願第62/874,798号に対する優先権を主張し、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
政府利益:非適用
共同研究契約の当事者:非適用
コンパクトディスク上での資料組込み:非適用
本発明は肥満を治療するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は大きな公衆衛生上の関心事であり、また現在、それに関連した健康リスクを軽減するための治療を必要とする慢性疾患として認識されている。体重減量は重要な治療成果であるが、肥満管理の主要な目的の1つは肥満に関連した疾病率および死亡率を減ずるために心血管値および代謝値を改善することである。体重の5~10%の減量が、例えば、血糖値、血圧、および脂質濃度のような代謝値を実質的に改善することができることが判明している。このため、体重の5~10%の意図的減量が、疾病率および死亡率を低下させうることが考えられる。
【0003】
肥満を管理するための現在利用可能な処方薬は一般に、満腹感を誘発するかまたは食物の脂肪吸収を減少させることによって体重を減少させる。しかしながら、市販されている抗肥満薬は、わずかな減量しかもたらさない。ヒトにおける最も成功した薬物レジメンは、フェンテルミンおよびフェンフルラミンの組み合わせ、またはエフェドリン、カフェインおよび/またはアスピリンの組み合わせであった。これらの組み合わせは各々、安全性の懸念のために中止されている。調査が進行中であるが、体重増加を低減または予防するためのより有効かつ安全な治療処置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態は、カンナビノイド、バイオエンハンサー、および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、試薬、またはそれらの組み合わせを含有する組成物、ならびにそのような組成物を治療が必要な被験体に投与することによって、肥満、摂食障害、代謝異常、ならびに他の体重関連疾患および障害を治療するための方法を企図する。いくつかの実施形態では、カンナビノイドは組成物の総量に対して約20%(w/w)~約1%(w/w)のカンナビジオールの濃度を有することができ、また特定の実施形態では、カンナビノイドはカンナビジオール、カンナビジオール異性体、カンナビジオール類似体、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、バイオエンハンサーは組成物の総重量に対して約0.05重量%~約20重量%の濃度を有し得る。特定の実施形態ではバイオエンハンサーは環状ペプチドであってもよく、いくつかの実施形態ではバイオエンハンサーはピペリジンまたはピペリジン誘導体であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は例えば、ブドウ、マツ、カカオ、タマリンド、トマト、ピーナッツ、アーモンド、リンゴ、クランベリーおよびブルーベリーよりなる群から選択される抽出物などの食欲抑制剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物中の食欲抑制剤の量は組成物の総量に対して約0.05%~約20%(wt/wt)であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
この特許又は出願書類は、少なくとも1つのカラー図面を含んでいる。カラー図面を伴っているこの特許又は特許出願公開の写しは、請求及び必要な手数料の納付によって、米国特許商標庁が提供する。
特定の実施形態の例は、添付の図面に示されている。本発明はこれらの特定の実施形態と併せて説明されるが、本発明をそのような特定の実施形態に限定することは意図されないことが理解されるであろう。それどころか、本発明の精神および範囲内に含まれ得る代替物、変更物、および等価物を包含することが意図される。これから述べる説明において、本発明を完全に理解するために、数多くの具体的な詳細が説明される。本発明は、これらの特定の詳細の一部または全部を伴わずに実施することができる。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にしないように、周知の治療動作は内容には説明されていない。
【
図1】BMS-202によって結合されたPD-L1二量体(左パネル)およびカンナビジオール(右パネル)の構造の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで、様々な側面について以下に詳細に説明する。しかしながら、そのような態様は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は本開示が徹底的かつ完全であろうとし、また当業者にその範囲を十分に伝えるように提示されるものである。
【0007】
数値の範囲が記載されている場合、その範囲の上限および下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値との間の各介在値が、本開示内に包含されることが意図される。例えば、1μm~8μmの範囲が記載される場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μmも、1μm以上の範囲および8μm以下の範囲と同様に、明示的に開示されることが意図される。
【0008】
全てのパーセンテージ、部分、及び比は、別段の指定がない限り、組成物の総重量に基づいており、全ての測定は約25℃で行われる。
【0009】
単数形の「a」、「an」、「the」は文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリマー」という表現は、単一のポリマーだけでなく、2つ以上の同じまたは異なるポリマーを含み、「賦形剤(excipient)」という表現は、単一の賦形剤だけでなく、2つ以上の同じまたは異なる賦形剤などを含む。
【0010】
数値の直前にある「約(about)」という言葉は、本発明の文脈がそうでないことを示し、そのような解釈と矛盾しない限り、その値のプラスマイナス10%の範囲を意味する。例えば、「約50」は45~55、「約25,000」は22,500~27,500などである。例えば、「約49、約50、約55」のような数値のリストでは、「約50」は前後の値の間隔の半分以下の範囲を意味し、例えば、49.5以上~52.5未満に及ぶ範囲を意味する。さらに、値が「約~未満(less than about)」または値「約~以上(greater than about)」という表現は、本明細書に記載される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0011】
本明細書で使用される「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」および「投与(administration)」という用語は、化合物(関心対象薬剤(agent of interest)とも呼ばれる)または化合物(関心対象薬剤)の薬学的に許容される塩または組成物を被験体に直接投与することを意味する。
【0012】
本明細書で使用される「担体(carrier)」という用語は担体、賦形剤、および希釈剤を包含し、これは、材料、組成物またはビヒクル、例えば、角質層もしくは有棘層などの組織層にわたって医薬、化粧剤もしくは他の薬剤を搬送若しくは輸送することに関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、溶媒、又はカプセル化材料を意味する。
【0013】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義の「備える(comprising)」という移行句的な用語は包括的またはオープンエンドであり、追加の、引用されていない要素や方法の工程を除外するものではない。対照的に、「~からなる(consisting of)」という移行句は、特許請求の範囲に特定されていない任意の要素、工程、または成分を除外する。「実質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句は、請求の範囲を、特許請求された発明の「基本的かつ新規な特性に実質的な影響を与えない」特定された材料又はステップに限定する。移行句として備える(comprising)という用語が使用されているいくつかの実施形態または請求項では、「備える(comprising)」という用語を「~からなる(consisting of)」または「実質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語に置き換えることで、そのような実施形態を想定することも可能である。
【0014】
「障害(disorder)」という用語は本開示において、別段の指示がない限り、疾患、状態、症候群、または病気を意味するために使用され、これらの用語と互換的に使用される。
【0015】
用語「有効量(effective amount)」および「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、本開示において互換的に使用され、被験体に投与されると、被験体における障害の症状を軽減するか、または意図される組織治療領域の質感、外観、色、感覚、もしくは水和を増強することができる化合物の量を指す。「有効量」または「治療有効量」を含む実際の量は、障害の重症度、患者の体格および健康状態、ならびに投与経路を含むがこれらに限定されない複数の状態に応じて変化するであろう。当業者は、医学分野で公知の方法を用いて適切な量を容易に決定することができる。
【0016】
「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」または「美容的に許容される(cosmetically acceptable)」という表現は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や合併症を起こすことなく、合理的な利益/リスク比に見合って、ヒトおよび/または他の哺乳動物の組織と接触して使用するのに適した、関心対象薬剤/化合物、塩、組成物、剤形などを指すために本明細書で使用される。いくつかの側面では、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されるか、または哺乳類(例えば、動物)、より詳細には、ヒトに使用するために米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
【0017】
本明細書で使用される「塩(salts)」という用語は遊離酸のアルカリ金属塩を形成し、遊離塩基の付加塩を形成するために一般に使用される薬学的に許容される塩を包含する。塩の性質は、薬学的に許容されるならば、重要ではない。「塩」という用語は、水和物などの付加塩の溶媒和物、ならびに付加塩の多形体も含む。好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。このような無機酸の非限定的な例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族ならびにカルボン酸およびスルホン酸を含有するヘテロシクリル、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸、3-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸から選択され得る。
【0018】
用語「患者(patient)」および「被験体(subject)」は互換性があり、本発明の化合物で治療され得る任意の生体を意味すると解釈することができる。したがって、「患者」および「被験体」という用語は、任意の非ヒト哺乳動物、霊長類またはヒトを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「患者」または「被験体」はマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒトなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者または被験体は成人、小児または乳児である。いくつかの実施形態では、患者または被験体はヒトである。
【0019】
「治療すること(treating)」という用語は、例えば、皮膚障害または全身状態を治療する方法に関して本明細書で使用され、一般に、医学的状態の症状の頻度を低減させるか、または発症を遅延させるか、または化合物もしくは組成物を受けていない被験体と比較して、被験体における組織表面の意図される組織治療領域の質感、外観、色、感覚、もしくは水和を増強させる化合物もしくは組成物の投与を含む。これは、被験体の状態を改善または安定させる方法で、症状、臨床的兆候、および状態の内在病理を克服させる、軽減させる、または抑止させることが含まれ得る。
【0020】
ある範囲に従ってまたは任意の同様の方法において特許請求することができる、グループ内の任意のサブ範囲またはサブ範囲の組み合わせを含む任意のそのようなグループの任意の個々のメンバーを提供または除外する権利をここに留保することにより、本開示の最大量目未満を任意の理由で特許請求することができる。さらに、任意の個々の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造、もしくはそれらの基、または特許請求される基の任意のメンバーを提供または除外する権利をここに留保することにより、本開示の最大量目未満を任意の理由で特許請求することができる。本開示全体を通して、様々な特許、特許出願および刊行物が参照される。それらの特許、特許出願及び刊行物の開示は、本開示の日付における当業者に既知の当該技術分野の状況をより完全に説明するために、それらの全体が参照により本開示に組み込まれる。本開示は、引用される特許、特許出願および刊行物と本開示との間に矛盾がある場合に適用される。
【0021】
便宜上、本明細書、実施例、および特許請求の範囲で使用される特定の用語は、ここに収集される。別途定義されない限り、本開示で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0022】
肥満は大きな公衆衛生上の関心事であり、また現在、それに関連した健康リスクを低減するための治療を必要とする慢性疾患として認識されている。体重減量は重要な治療成果であるが、肥満管理の主要な目標の1つは肥満に関連した疾病率および死亡率を減ずるために心血管値および代謝値を改善することである。体重の5~10%の減量が、例えば、血糖値、血圧、および脂質濃度のような代謝値を実質的に改善することができることが判明している。このため、体重の5~10%の意図的減量が、疾病率および死亡率を低下させうることが考えられる。
【0023】
肥満を管理するための現在利用可能な処方薬は一般に、満腹感を誘発するかまたは食物の脂肪吸収を減少させることによって体重を減少させる。しかしながら、市販されている抗肥満薬は、わずかな減量しかもたらさない。ヒトにおける最も成功した薬物レジメンは、フェンテルミンおよびフェンフルラミンの組み合わせ、またはエフェドリン、カフェインおよび/またはアスピリンの組み合わせであった。これらの組み合わせは各々、安全性の懸念のために中止されている。調査が進行中であるが、体重増加を低減または予防するためのより有効かつ安全な治療処置が依然として必要とされている。
【0024】
様々な実施形態は、肥満、摂食障害、代謝障害、ならびに他の体重関連疾患および障害を治療するための組成物および方法を企図する。そのような実施形態の組成物は、カンナビノイドおよびバイオエンハンサーを含み得る。様々な実施形態の方法は一般に、ダンナビノイド(dannabinoid)およびバイオエンハンサーを含有する組成物を、治療を必要とする被験体に有効量で投与することを含み得る。特定の実施形態では、被験体は肥満、摂食障害、または他の体重関連疾患および障害に罹患し得る。特定の実施形態では、バイオハンサーはピペリジンなどの環状ペプチドであってもよい。
【0025】
そのような実施形態のカンナビノイドはカンナビノイド受容体と相互作用することが知られている広範なクラスの化合物のいずれかを含み、内因性カンナビノイド(動物の体内で天然に産生される)、植物性カンナビノイド(大麻およびいくつかの他の植物に見出される)、および合成カンナビノイド(人工的に製造される)を包含する。例示的なカンナビノイドとしては、以下に限定されるものではないが、テトラヒドロピラン類似体、例えば、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、デルタ8-テトラヒドロカンナビノール、6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-1-オール、3-(1,1-ジメチルヘプチル)-6,6a7,8,10,10a-ヘキサヒドロ-1-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-9H-ジベンゾ[b,d]ピラン-9-オール、(-)-(3S,4S)-7-ヒドロキシ-デルタ-6-テトラヒドロカンナビノール-1,1-ジメチルヘプチル、(+)-(3S,4S)-7-ヒドロキシ-デルタ-6-テトラヒドロカンナビノール、およびデルタ8-テトラヒドロカンナビノール-11-酸、ピペリジン類似体、例えば、(-)-(6S,6aR,9R,10aR)-5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロ-6-メチル-1-3-[(R)-1-メチル-4-フェニルブトキシ]-1,9-フェナントリジンジオール1-アセテート)、アミノアルキルインドール類似体、例えば、(R)-(+)-[2,3-ジヒドロ-5-メチル-3-(4-モルホリニルメチル)-ピロロ[1,2,3-デ]-1,4-ベンゾキサジン-6-イル]-1-ナフタレニル-メタノン、開環ピラン類似体、例えば、2-[3-メチル-6-(1-メチルエテニル-2-シクロヘキセン-1-イル]-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール、および4-(1,1-ジメチルヘプチル)-2,3’-ジヒドロキシ-6’-α-(3-ヒドロキシプロピル)-1’,2’,3’,4’,5’,6’-ヘキサヒドロビフェニル、親油性アルキルアミド、例えば、ドデカ2E,4E,8Z,10E,Z‐テトラエン酸イソブチルアミド、カンナビノイド模倣体、塩、溶媒和物、代謝物、およびそれらの化合物の代謝物前駆体、ならびにその組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態ではカンナビノイドは、大麻、エキナセア・プルプレア、エキナセア・アングスチフォリア、オランダセンニチ、ヘリクリサム属ムギワラギク(Helichrysum umbraculigerum)、ラドゥラ属クマザサ(Radula marginata)、およびそれらの組み合わせ、ならびにこれらの植物から作製される油を含む、植物由来であってもよく、他の実施形態ではカンナビノイドは製造または化学的に合成されてもよい。
【0026】
様々な実施形態の組成物は様々な濃度の任意の数のカンナビノイドを含むことができるが、特定の実施形態ではカンナビノイドは、カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-5-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル基-1,3-ベンゼンジオール)であってもよい。カンナビジオールは、7個の二重結合および30個の立体異性体を有する。実施形態は、各立体異性体を個々に含有する組成物、およびこれらの立体異性体の組み合わせを含有する組成物を含む。特定の実施形態において、実施形態の方法および実施形態の組成物において使用される組成物は、高濃度のカンナビジオールを含み得る。例えば、いくつかの実施形態ではカンナビジオールは組成物中のカンナビノイドの約30w/v%~約100w/v%であり得る、また他の実施形態ではカンナビジオールは組成物中のカンナビノイドの約50w/v%~約100w/v%、約75w/v%~約100w/v%、約80w/v%~約100w/v%、約90w/v%~約100w/v%であり得る。
【0027】
カンナビジオールは、微量のTHCの使用により工業用麻をコールドプレスすることによって得ることができる。本発明におけるカンナビジオールは、大麻油の天然成分として提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、合成物中のカナビノイドはカンナビジオール類似体であってもよい。「カンナビジオール類似体」という用語はカンナビジオールと構造的に類似しているが、構造的に同一ではない合成的に生成された化合物を指す。様々なカンナビジオール類似体が当技術分野で公知であり、実施形態はそのようなカンナビジオール類似体を包含する。例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする国際公開第2017/132526号および米国特許第6,630,507号は、カンナビジオールの様々な類似体を記載している。いくつかの実施形態において、カンナビジオールの類似体は一般式I:
【化1】
[式中、R1は水素、メチル、直鎖または分岐C2-C10アルキル、直鎖または分岐C2-C10アルケニル、直鎖または分岐C2-C10置換アルキル、直鎖または分岐C2-C10置換アルケニル、R2およびR3であり、それぞれ、水素、メチル、直鎖または分岐C2-C10アルキル、直鎖または分岐C2-C10置換アルキル、直鎖または分岐C2-C10アルケニル、直鎖または分岐C2-C10置換アルケニル、直鎖または分岐C2-C10アシル、直鎖または分岐C2-C10置換アシル、アミンまたはアミノ酸、アミノ酸エステル、R4は水素、置換または非置換アルキル、カルボキシル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ハロまたはアミノであり、nは2~10の整数]、塩および溶媒和化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、R2およびR3が独立して、カルボン酸末端を有し、それによってジカルボン酸およびその塩を生成する、直鎖または分岐、置換または非置換C2-C10アシルであり得る。カンナビジオールと同様に、カンナビジオール類似体は様々な異性体を有することができる。実施形態は、そのようなカンナビジオール類似体のすべての異性体を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、上述のものなどのカンナビジオール類似体をカンナビジオールと組み合わせて、カンナビジオールおよびカンナビジオール類似体の混合物を生成することができる。したがって、本明細書で使用される場合、用語「カンナビジオール」は、カンナビジオール、カンナビジオール類似体、ならびにカンナビジオールおよびカンナビジオール類似体の様々な異性体を包含する。
【0030】
様々な実施形態の組成物は組成物の総量に対して、約50%(w/w)までのカンナビジオール、カンナビジオール類似体、カンナビジオールの異性体、およびそれらの組み合わせ(まとめて、「カンナビジオール」)を含むことができ、いくつかの実施形態では、組成物は組成物の総量に対して、約100%~約0.5%(w/w)のカンナビジオール、組成物の総量に対して、50%(w/w)~約0.5%(w/w)のカンナビジオール、組成物の総量に対して、約30%(w/w)~約1%(w/w)のカンナビジオール、組成物の総量に対して、約20%(w/w)~約1%(w/w)のカンナビジオール、組成物の総量に対して、約20%(w/w)~約5%(w/w)のカンナビジオール、または任意の範囲もしくは、これらの例示的な範囲に包含される。特定の実施形態では、組成物は組成物の総量に対して約15%(w/w)~約10%(w/w)のカンナビジオール、またはこの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度を含み得る。
【0031】
特定の実施形態において、上記の実施形態のカンナビジオールは、カンナビジオール酸(「CBDA」)であり得る。理論に拘束されることを望むものではないが、CBDAはカンナビジオールの他の異性体よりも改善された親水性を示し得るもので、これは改善された溶解性および皮膚へのCBDAの送達を可能にし得る。CBDAは修飾され、部分的に消化され、またはそうでなければ表皮中の酵素によって作用されて、例えば、組成物中の活性形態カンナビジオールであり得るカンナビジオール(CBD)を生成し得る。したがって、CBDAは、本発明のいくつかの実施形態においてプロドラッグとして作用し得る。他のカンナビジオール類似体または異性体も同様の効果を生じさせることができ、本発明のプロドラッグの実施形態に包含される。
【0032】
本発明の実施形態の組成物中のカンナビジオールは、100%のカンナビジオール、またはカンナビジオールを含有する油、溶媒、およびエマルジョンであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は麻実油に由来するカンナビジオールを含んでもよい。麻実油は一般に、アサ属植物の精神活性元素であるテトラヒドロカンナビノール(THC)を有意な量で含有しない大麻(Cannabis sativa)の品種から製造される。この製造プロセスは、典型的には油をプレスする前に種を99.99%まで洗浄することを含む。麻実油は一般に、オメガ-6およびオメガ-3脂肪酸も含有する。例えば、麻実油の重量の約30~35%は、必須脂肪酸(EFA)、すなわちリノール酸、オメガ-6(LA、55%)、α-リノレン酸、オメガ-3(ALA、22%)、γ-リノレン酸、オメガ-6(GLA、1~4%)、およびステアリドン酸、オメガ-3(SDA、0~2%)である。したがって、いくつかの実施形態の組成物は、オメガ-6およびオメガ-3脂肪酸などの脂肪酸を含有し得る。
【0033】
オイルとしては、カンナビジオールオイル、およびカンナビジオールを含有する種々の植物由来オイル、例えば、麻実油、エキナセア・プルプレア、エキナセア・アングスチフォリア、オランダセンニチ、ヘリクリサム属ムギワラギク(Helichrysum umbraculigerum)、ラドゥラ属クマザサ(Radula marginata)などが挙げられる。いくつかの実施形態において、そのような植物から単離されるか、または合成的に作製されるカンナビジオールは例えば、オリーブ油、ブドウ種子油、茶木油、アーモンド油、アボカド油、ゴマ油、月見草油、ヒマワリ油、ククイナッツ油、ホホバ油、クルミ油、ピーナッツ油、ピーカンナッツ油、マカダミアナッツ油、ココナッツ油など、およびそれらの組合せなどの油と共に製剤化され得る。
【0034】
特に明示のない限り、「治療有効量(therapeutically effective amount)」という用語はカンナビノイドが皮膚疾患の治療に有効な量で存在する限り、特に限定されない。カンナビノイドの治療有効量は約2ミリグラム/キログラム(mg/kg)~約100mg/kg、約2mg/kg~約50mg/kg、約2mg/kg~約25mg/kg、またはこれらの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度であり得、ここでmgはカンナビノイドの質量または重量を指し、kgは治療を必要とする患者の質量または重量を指す。特定の実施形態では、組成物中のTHCおよび/またはCBDの治療有効量は約2mg/kg~約10mg/kg、またはこれらの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度であり得るもので、ここでmgはカンナビノイドの質量または重量を指し、kgは治療を必要とする患者の質量または重量を指す。
【0035】
理論に拘束されることを望むものではないが、様々な実施形態の組成物は阻害チェックポイントを遮断し、適用時に患部における炎症を低減し得る。様々なタンパク質は、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3またはCD276、MGA271、B7-H4またはVTCN1、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLAまたはCD272)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4またはCD152)、インドレアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)を含む免疫チェックポイント遮断に関連している。実施形態のカンナビジオールはこれらまたは他の免疫チェックポイント遮断タンパク質の活性を遮断し、免疫反応を低下させ、皮膚炎の症状を改善し得る。例えば、本発明の組成物のカンナビジオールは、PD-L1またはPD-L2のPD-1との結合を遮断することによって、膜貫通タンパク質PD-1とそのリガンド、PD-1リガンド1(PD-L1)およびPD-1リガンド2(PD-L2)との間の相互作用に影響を与え得る。PD-1の活性を阻害することは、T細胞シグナル伝達を低減し、免疫反応を防止し、患部における炎症を低減し、皮膚炎の症状を低減し得る。
【0036】
カンナビノイドは、公知のPD-1阻害剤BMS-202の結合と同様の二量体化によって作製された疎水性キャビティでPD-L1に結合し得る。
図1は、BMS-202、左パネル、およびカンナビジオール、右パネルのPD-L1結合のモデルを比較する。三次元構造類似性および荷電部分の位置は、同様の結合方向を示唆する。
【0037】
PD-1およびPD-L1のような阻害チェックポイントは、がんと関連づけられている。例えば、細胞表面上のPD-L1のがん媒介性アップレギュレーションは、さもなければ腫瘍または他の腫瘍形成性組織を攻撃し得るT細胞を阻害し得る。したがって、様々な実施形態の組成物を抗がん剤として使用して、相互作用PD-1またはPD-L1を遮断し、T細胞が腫瘍または腫瘍形成性組織を攻撃することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、がんは、例えば、メラノーマ、肺がん、膵臓がん、腎臓がんおよびホジキンリンパ腫のうちの1つ以上であり得る。
【0038】
様々な実施形態において、上記のカンナビジオール含有組成物は1つ以上の追加の免疫チェックポイント遮断阻害剤を含んでもよく、または本発明のカンナビジオール含有化合物は1つ以上の追加の免疫チェックポイント遮断阻害剤と組み合わせて投与されてもよい。さらなるチェックポイント遮断阻害剤としては、例えば、IgG4 PD1抗体、例えば、抗体BGB-A317、ニボルマブ、またはペンブロリズマブ、PD-L1阻害剤、例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブ、免疫チェックポイント分子CTLA-4を遮断する抗体、例えば、イピリムマブ、固有チェックポイント遮断を標的とする治療薬剤、例えば、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)をコードする遺伝子が挙げられる。組成物中の免疫チェックポイント遮断阻害剤の量は、組成物の総量に対して約0.01%~約5%(w/w)、組成物の総量に対して約0.1%~約1%(w/w)、またはこれらの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度であり得る。
【0039】
例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、1つ以上のバイオエンハンサーを含み得る。バイオエンハンサーは、上皮膜を横切る別の化合物の輸送を補助する任意の化合物または組成物を含む。バイオエンハンサーとしては、P-糖タンパク質阻害剤、P-糖タンパク質媒介流出を逆転させる化合物、活性薬剤の代謝を制限し、胃内容排出時間および腸運動性を増加させ、塩酸による活性薬剤の劣化を減少させ、細胞膜透過性を改変し、コレゴーグ効果を生じさせ、活性薬剤の生体エネルギーおよび熱発生特性を改変し、初回通過代謝を抑制し、代謝酵素を阻害し、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼを刺激し、アミノ酸の取り込みを増強する化合物など、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、バイオエンハンサーは、ハーブまたは中性生物エンハンサーであってもよい。本発明に包含されるバイオエンハンサーの実施例としては、ピペリン、ケルセチン、ゲニステイン、ナリンジン、シノメニン、グリチルリチン、ニトリルグリコシドクミン、ショウガ、リセルゴール、ニンニク、アロエベラなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、バイオエンハンサーは、リポソーム、マイクロスフェア、ナノ粒子、トランスフェロソーム、エトソーム、ナノエマルジョン、マイクロエマルジョン、脂質ベースシステム、ポリマー型ミセル、ケトプロフェン充填固形脂質ナノ粒子などであってよく、蜜ロウ、カルナウバロウ、または他の天然ワックスおよび固形脂質、ならびにそれらの組み合わせから作製することができる。いくつかの実施形態では、バイオエンハンサーは、例えば、イチョウ脂質ベースシステム、シリビン脂質ベースシステム、チョウセンニンジン脂質ベースシステム、サンザシ脂質ベースシステム、ケルセチン脂質ベースシステム、クルクミン脂質ベースシステムなど、およびそれらの組合せなどのリポソームエンハンサーであり得る。さらなる実施形態ではバイオエンハンサーは、カプサイシントランスフェロソーム、コルヒチントランスフェロソーム、ビンクリスチントランフェロソームなど、およびそれらの組み合わせであってもよく、これらは天然の皮膚浸透剤として特定の用途を見出し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、バイオエンハンサーは環状アミン、例えば、ベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジンなど、およびそれらの誘導体であり得る。特定の実施形態では、環状アミンはピペリジンまたはピペリジン誘導体、例えばN-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-フェニルピペリジン、ペレチエリン、セダミン、セドリジン、アロセドリジン、ダメトリン、ソレノプシン、イソソレノプシン、アンドラクシニジン、カスシン、プロソピニン、プロソフィリン、モルシム酸など、およびそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、環状アミンは、コショウ、サンギナリン、コプチジン、ゴールデンシールなど、およびそれらの組み合わせなどの天然源からの抽出物から単離され得るか、または抽出物中に含有され得る。
【0041】
例えば、ピペリンは、DNA受容体結合および細胞シグナル伝達を調節することによってバイオアベイラビリティを増強する一方で、細胞から活性剤を除去する排出ポンプを阻害する。これは、薬物代謝酵素を阻害し、腸アミノ酸輸送体を刺激し、細胞からの薬物排除およびグルクロン酸の腸内産生に関与する細胞ポンプを阻害することによって吸収を刺激する。ピペリンはまた、胃腸管における活性剤の吸収を増加させ、肝臓アリール炭化水素ヒドロラーゼおよびUDP-グルクロニルトランスフェラーゼ活性などの初回通過代謝中の特に肝臓における薬物代謝を担う酵素を阻害する。ピペリンは、内因性UDP-グルクロン酸含量を低下させることによって、また、トランスフェラーゼ活性を阻害することによって、グルクロン酸抱合速度を変更する。ピペリンはP-糖タンパク質およびシトクロムP450 3A4、また、とりわけ、CYP1A1、CYP1B1、CYP1B2、CYP2E1、CYP3A4を阻害し、標的受容体を薬物に対してより応答性にし、薬物分子の受容体として作用し、薬物の吸収を増加させるために血管拡張によってGIT血管系を増加させ、細胞膜ダイナミクスを調節し、細胞膜を横切る薬物の輸送を増加させる。
【0042】
組成物中のバイオエンハンサーの量は組成物の総量に対して約0.05%~約20%(wt/wt)、またはいくつかの実施形態では組成物の総量に対して約0.1%~約10%(wt/wt)、組成物の総量に対して約0.1%~約5%(w/w)、組成物の総量に対して約0.1%~約2%(w/w)、またはこれらの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、5HT(セロトニン)トランスポーター阻害剤、NE(ノルエピネフリン)トランスポーター阻害剤、グレニンアンタゴニスト、H3(ヒスタミンH3)アンタゴニスト/反作用薬、MCH1R(メラニン凝集ホルモン1R)アンタゴニスト、MCH2R(メラニン凝集ホルモン2R)アゴニスト/アンタゴニスト、NPY1(ニューロペプチドY Y1)アンタゴニスト、NPY5(ニューロペプチドY Y5)アンタゴニスト、NPY2(ニューロペプチドY Y2)アゴニスト、NPY4(ニューロペプチドY Y4)アゴニスト、mGluR5(代謝型グルタミン酸サブタイプ5受容体)アンタゴニスト、レプチン、レプチン誘導体、オピオイドアンタゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)アゴニスト、CCK-A(コレシストキニン-A)アゴニスト、CNTF(繊毛様神経性因子)、CNTF誘導体、5HT2c(セロトニン受容体2c)アゴニスト、Mc4r(メラノコルチン-4受容体)アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤、セロトニン再取り込み阻害剤、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)アゴニスト、トピラメート、フィトファーマ化合物57などおよび薬学的に許容される塩、エステルおよびそれらの組み合わせなどの食欲抑制剤をさらに含むことができる。そのような食欲抑制剤は特定の実施形態において、例えば、ブドウ、マツ、カカオ、タマリンド、トマト、ピーナッツ、アーモンド、リンゴ、クランベリーおよびブルーベリーからの抽出物であり得る。そのような抽出物は、食欲抑制剤として作用し得る約50mg~約3グラムのプロシアニジンを含み得る。
【0044】
上述の組成物中の食欲抑制剤の量は組成物の総量に対して約0.05%~約20%(wt/wt)、またはいくつかの実施形態においては組成物の総量に対して約0.1%~約10%(wt/wt)、組成物の総量に対して約0.1%~約5%(w/w)、組成物の総量に対して約0.1%~約2%(wt/w)、またはこれらの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、組成物はメトトレキサート、トファシチニブ、6-メルカプトプリン、アザチオプリンスルファサラジン、メサラジン、オルサラジン、クロロキニン/ヒドロキシクロロキン、ペンシラミン、金チオマラート(筋肉内および経口)、アザチオプリン、コヒシン、コルチコステロイド(経口、吸入および局所注射)、ベータ-2アドレナリン受容体アゴニスト(サルブタモール、テルブタリン、サルメテラール)、キサンチン(テオフィリン、アミノフィリン)、クロモグリカート、ネドクロミル、ケトチフェン、イプラトロピムおよびオキシトロピウム、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、NSAID(例えば、イブプロフェン)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤をさらに含む。アデノシンアゴニスト、抗血栓剤、補体阻害剤、アドレナリン作動剤、TNFまたはIL-1のような炎症性サイトカインによるシグナリングを妨げる物質(例えば、NIK、IKK、p38またはMAPキナーゼ阻害剤)、IL-1変換酵素阻害剤、T細胞シグナリング阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、6-メルカプトプリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体(例えば、可溶性p55またはp75TNF受容体および誘導体p75TNFRigG(エタネルセプト)およびp55TNFRigG(レネルセプト)、siL-1RI、siL-1RII、siL-6R)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-4、IL-10、IL-11、IL-13およびTGF)、セレコキシブ、葉酸、硫酸ヒドロキシクロロキン、ロフェコキシブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、トシリズマブ、アバタセプト、ナプロキセン、バルデコキシブ、スルファサラジン、メチルプレドニゾロン、メロキシカム、酢酸メチルプレドニゾロン、金チオリンゴ酸ナトリウム、アスピリン、トリアムシノロンアセトニド、プロポキシフェンナプシラート/apap、ホラート、ナブメトン、ジクロフェナク、ピロキシカム、エトドラク、ジクロフェナクナトリウム、オキサプロジン、オキシコドンHCl、重酒石酸ヒドロコドン/apap、ジクロフェナクナトリウム/ミソプロストール、フェンタ二ル、アナンキラ、トラマドールHCl、サルサレート、スリンダク、シアノコバラミン/fa/ピリドキシン、アセトアミノフェン、アレンドロン酸ナトリウム、プレドニゾロン、コルチゾン、ベタメタゾン、硫酸モルヒネ、塩酸リドカイン、インドメタシン、グルコサミンスルホ/コンドロイチン、アミトリプチリンHCl、スルファジアジン、オキシコドンHCV/アセトアミノフェン、オロパタジンHClミソプロストール、ナプロキセンナトリウム、オメプラゾール、シクロホスファミド、リツキシマブ、IL-1TRAP、MRA、CTLA4-IG、IL-18BP、抗IL-12、抗IL-1S、BIRB-796、SCI0-469、VX-702、AMG-548、VX-740、ロフルミラスト、IC-485、CDC-801、S1P1アゴニスト(例えば、FTY720)、PKCファミリー阻害剤(例えば、ルボキシスタウリンまたはAEB-071)すなわち、メソプラム、ブデノシド、上皮増殖因子、コルチコステロイド、シクロスポリン、スルファサラジン、アミノサリシラート、6-メルカプトプリン、アサチオプリン、メトロニダゾール、リポキシゲナーゼ阻害剤、メサラミン、オルサラジン、バルサラジド、抗酸化剤、トロンボキサン阻害剤、IL-1受容体アンタゴニスト、抗IL-1モノクローナル抗体、抗IL-6モノクローナル抗体、増殖因子、エラスターゼ阻害剤、ピリジニル-イミダゾール化合物、他のヒトサイトカインまたは増殖因子(例えば、TNF、LT、IL-1、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-12、IL-15、IL-16、IL-23、EMAP-II、GM-CSF、FGFおよびPDGFに対する抗体またはアンタゴニスト、細胞表面分子(例えば、CD2、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD90、またはそれらのリガンド)、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノーレートモフェチル、レフルノミド、NSAID(例えば、イブプロフェン)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、抗血栓症物質、補体阻害剤、アドレナリン作動性物質、炎症性サイトカイン、例えばTNF 5またはIL-1によるシグナリングを妨げる薬剤(例えば、NIK、IKK、またはMAPキナーゼ阻害剤)、IL-1変換酵素阻害剤、TNF変換酵素阻害剤、T細胞シグナリング阻害剤、例えばキナーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体(例えば、可溶性p55またはp75 TNF受容体、siL-1RI、siL-1RII、siL-6R)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-4、IL-10、IL-11、IL-13またはTGF)、固有チェックポイント遮断を標的とする治療薬剤、例えば、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)、抗体BGB-A317、ニボリズマブ、またはペムボリズマブ、アテゾリズマブ、アベラマブ、デューバルマブ、イプリマブなどをコードする遺伝子、およびこれらの組合せが挙げられる。組成物中の抗炎症性の量は組成物の総量に対して約0.01%~約5%(w/w)、またはいくつかの実施形態では組成物の総量に対して約0.1%~約1%(w/w)、またはこれらの実施例の範囲によって包含される任意の範囲もしくは個々の濃度であり得る。
【0046】
上記で考察したオイルおよび他の活性剤は下記で考察した添加剤のいずれかを補充することができ、下記で考察したチンキ剤、経口剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、リップバーム剤などに組み込むことができる。したがって、本発明の組成物の形態は限定されない。
【0047】
本発明の別の実施形態は、チンキ剤の形態の組成物を作製する方法である。チンキ剤は、治療を必要とする被験体に成分の薬草成分を経口投与するための方法を提供する薬草抽出物である。チンキ剤はハーブもしくは成分またはそれらの組み合わせを適当な溶媒と混合することによって調製され、ここで、ハーブもしくはそれらの組み合わせの成分または成分はハーブの成分が合理的に可溶性である溶媒中に抽出される。本発明における適切なチンキ溶媒としては、薬理学的に許容される溶媒、例えば、有機溶媒、水系溶媒、アルコール、および他の経口投与可能な溶媒、例えば、限定されないが、水、精製水、保存水、植物性グリセリン、プロピレンカーボネート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(MMB)、ポリエチレングリセロール、米油、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は強壮剤の形態であり得る。強壮剤は、治療を必要とする被験体に薬草成分を経口投与するための方法を提供する抽出物である。強壮剤はハーブもしくは成分またはそれらの組み合わせを適当な溶媒と混合することによって調製され、ここで、ハーブもしくはそれらの組み合わせの成分は加熱によって溶媒中に抽出され、多くの場合、溶媒がその沸点に達するように必要な熱であり、ここで、ハーブの成分は適度に可溶性である。本発明における適切な強壮剤としては、薬理学的に許容される溶媒、例えば、有機溶媒、水系溶媒、アルコール、および他の経口投与可能な溶媒、例えば、限定されないが、水、精製水、保存水、植物性グリセリン、炭酸プロピレン、3-メトキシ-3メチル-1-ブタノール(MMB)、ポリエチレングリコール、米油、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、組成物は、錠剤の形態であり得る。錠剤は、成形または圧縮によって形成される薬剤の医薬経口用量である。そのような実施形態は薬剤から構成され、さらに、希釈剤、結合剤、造粒剤、滑剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味料、および顔料などの適切な賦形剤から構成され得るが、これらに限定されない。本発明における錠剤はまた、錠剤の視覚的外観を増加させ、錠剤の識別性を増加させ、錠剤が経口投与される容易さを増加させ、錠剤をより容易に嚥下させ、薬剤の放出を制御する、または錠剤を環境劣化因子に対してより耐性にするために、またはそれらの組み合わせもしくは組み合わせを行うために、顔料でコーティングされてもよい。
【0050】
別の実施形態において、組成物は、カプセルの形態であり得る。カプセルは一般に、ハードシェルカプセルまたはソフトシェルカプセルのいずれかの分類に含まれるが、いずれかの分類に限定される必要はない。ハードシェルカプセルは一般に、必ずしも必要ではないが、乾燥、粉末、または顆粒成分を含有し、一方、ソフトシェルカプセルは必ずしも必要ではないが、主に、オイルまたは薬剤またはそれらの組み合わせを含有する。
【0051】
本発明の別の実施形態は、肥満、摂食障害、代謝障害、ならびに他の体重関連疾患および障害を治療するための方法であって、治療有効量の上記組成物を投与することを含む方法に関する。投与は、経口および局所投与を含む様々な手段によって行うことができる。投与は、1週間~2年以上の様々な期間、または所望の効果が達成されるまで実施することができる。投与は1日に1回、2回、3回、または4回行うことができ、いくつかの実施形態では、投与は食事で行うことができる。
【0052】
投薬は、体重、身長、年齢などの個々の被験体の様々な生理学的特性、または当業者に公知の他の特性に応じて変動し得る。例えば、実施形態の組成物は約0.0001mg/kg~約100mg/kgの体重、約0.001mg/kg~約50mg/kgの体重の1日用量で投与することができ、任意の範囲または個々の濃度は、これらの範囲を包含する。組成物は、単回用量で、または1日2~6回の分割用量で、または持続放出形態で与えられ得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本方法はカンナビジオールの漸減用量を含み得る。したがって、実施形態は、異なる濃度のカンナビジオールを含有する組成物が処置の過程にわたって投与される治療計画を含み得る。例えば、いくつかの実施形態は10%(w/w)を超えるカンナビジオールを含有する第1の組成物の1回以上の用量を治療が必要な被験体に適用し、次いで、第1の局所組成物より少ないカンナビジオールを含有する第2の組成物の1回以上の用量を治療が必要な被験体に投与することを含む。例えば、第1の組成物が約20%(w/w)のカンナビジオールを含有する場合、第2の組成物は、19%(w/w)以下のカンナビジオールを含み得る。さらなる実施形態では、本方法は、第2の組成物よりも少ないカンナビジオールを含有する第3の組成物、第3の組成物よりも少ないカンナビジオールを含有する第4の組成物などの1回以上の用量を投与することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、用量を減少させる2つ以上の組成物を含有する投薬計画の最終投薬量以下の維持用量のカンナビジオールを含有する組成物を投与することを含み得る。維持用量は、皮膚疾患の潜在的再発を低減または排除するのに十分なカンナビジオールを提供し得る。
【国際調査報告】