(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】リチウムベースのバッテリパックの充電速度を上げるためのシステム、方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20230807BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230807BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H02J7/10 B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503464
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 US2021042224
(87)【国際公開番号】W WO2022020255
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シークス、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリアン、ウィリアム、ダリウス
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA02
5G503CA14
5G503CB02
5H030AA01
5H030AS20
5H030BB03
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
本明細書で説明される、バッテリパックを充電するためのバッテリパック充電器は、バッテリパック受け入れ部分と、電力制御モジュールと、コントローラとを含む。バッテリパック受け入れ部分は、バッテリパックを受け入れ、且つそれとインターフェースする。バッテリパックは、1つ又は複数のバッテリセルを含む。電力制御モジュールは、バッテリパック受け入れ部分に電力を提供するように構成される。コントローラは、電力制御モジュールに接続される。コントローラは、ステップ状充電プロファイルを用いて、バッテリパックの1つ又は複数のバッテリセルに充電電流を提供するように構成される。ステップ状充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含む。第1の充電電流レベルは、バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい。コントローラは、1つ又は複数のバッテリセルの電圧が所定の電圧値に上昇する場合、充電電流を第2の充電電流レベルにステップ状に減少させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックを充電するための方法であって、
前記バッテリパックをバッテリパック充電器に接続すること、
ステップ状充電プロファイルを用いて、前記バッテリパックの1つ又は複数のバッテリセルに充電電流を提供することであって、前記ステップ状充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含み、前記第1の充電電流レベルは、前記バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい、提供すること、
前記1つ又は複数のバッテリセルの電圧が所定の電圧値に上昇する場合、前記充電電流を第2の充電電流レベルにステップ状に減少させること
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に減少させることを更に含み、
前記第3の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも小さい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、1500秒未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の最大充電電流は、少なくとも6アンペアである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に増加させることを更に含み、
前記第3の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記充電電流を前記第3の充電電流レベルに前記ステップ状に増加させることは、前記バッテリパックのパラメータに基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記パラメータは、充電状態、温度、セルの使用年数、セルの正常性及び電荷受け入れ性能ベースの差動電圧の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、1700未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
バッテリパックを充電するための方法であって、
前記バッテリパックをバッテリパック充電器に接続することと、
過電圧充電プロファイルを用いて、前記バッテリパックの1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルに充電電流を提供することであって、前記過電圧充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含み、前記第1の充電電流レベルは、前記バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい、提供することと、
前記1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルの所定の最大充電電圧限度を超える電圧に前記1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルを充電することと、
前記電圧が前記所定の最大充電電圧限度を超えた後に前記充電電流を止めることと
を含む方法。
【請求項12】
前記所定の最大充電電圧限度は、4.2ボルトであり、及び
前記所定の最大充電電圧限度を超える前記電圧は、少なくとも4.4ボルトである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の最大充電電流は、少なくとも6アンペアである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、600秒未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
バッテリパックを充電するためのバッテリパック充電器であって、
前記バッテリパックを受け入れ、且つそれとインターフェースするための1つ又は複数のバッテリパック受け入れ部分であって、前記バッテリパックは、1つ又は複数のバッテリセルを含む、1つ又は複数のバッテリパック受け入れ部分と、
前記1つ又は複数のバッテリパック受け入れ部分に電力を提供するように構成された電力制御モジュールと、
前記電力制御モジュールに接続されたコントローラであって、
ステップ状充電プロファイルを用いて、前記バッテリパックの1つ又は複数のバッテリセルに充電電流を提供することであって、前記ステップ状充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含み、前記第1の充電電流レベルは、前記バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい、提供することと、
前記1つ又は複数のバッテリセルの電圧が所定の電圧値に上昇する場合、前記充電電流を第2の充電電流レベルにステップ状に減少させることと
を行うように構成されるコントローラと
を含むバッテリパック充電器。
【請求項16】
前記第2の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも大きい、請求項15に記載のバッテリパック充電器。
【請求項17】
前記コントローラは、前記充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に減少させるように更に構成され、
前記第3の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも小さい、請求項16に記載のバッテリパック充電器。
【請求項18】
前記第2の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも小さい、請求項15に記載のバッテリパック充電器。
【請求項19】
前記コントローラは、前記充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に増加させるように更に構成され、
前記第3の充電電流レベルは、前記所定の最大充電電流よりも大きい、請求項15に記載のバッテリパック充電器。
【請求項20】
前記充電電流を前記第3の充電電流レベルに前記ステップ状に増加させることは、前記バッテリパックのパラメータに基づき、及び
前記パラメータは、充電状態、温度、セルの使用年数、セルの正常性及び電荷受け入れ性能ベースの差動電圧の少なくとも1つを含む、請求項7に記載のバッテリパック充電器。
【請求項21】
バッテリパックを充電するための方法であって、
前記バッテリパックをバッテリパック充電器に接続することと、
定電圧充電プロファイルを用いて、前記バッテリパックの1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルに充電電流を提供することであって、前記定電圧充電プロファイルは、定充電電圧レベルを含み、前記定充電電圧レベルは、前記1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルの所定の最大充電電圧限度に対応する、提供することと、
前記充電電流がほぼゼロに等しくなった後に前記充電電流を止めることと
を含む方法。
【請求項22】
前記所定の最大充電電圧限度は、4.2ボルトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、1200秒未満である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年7月20日に出願された米国仮特許出願第63/053,818号明細書の、両方の出願に共通するすべての主題についての利益を主張するものである。前記仮特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で説明される実施形態は、バッテリパック充電器を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で説明されるバッテリパック充電器は、既存の充電技法(例えば、定電流定電圧[「CC/CV」]充電)と比較して、リチウムベースのバッテリセルを含むバッテリパックが充電され得る速度を上げる(すなわち充電時間を減らす)。
【0004】
本明細書で説明される、バッテリパックを充電するための方法は、バッテリパックをバッテリパック充電器に接続することと、ステップ状充電プロファイルを用いて、バッテリパックの1つ又は複数のバッテリセルに充電電流を提供することであって、ステップ状充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含み、第1の充電電流レベルは、バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい、提供することと、1つ又は複数のバッテリセルの電圧が所定の電圧値に上昇する場合、充電電流を第2の充電電流レベルにステップ状に減少させることとを含む。
【0005】
いくつかの態様では、第2の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも大きい。
【0006】
いくつかの態様では、本方法は、充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に減少させることを更に含み、第3の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも小さい。
【0007】
いくつかの態様では、1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、1500秒未満である。
【0008】
いくつかの態様では、所定の最大充電電流は、少なくとも6アンペアである。
【0009】
いくつかの態様では、第2の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも小さい。
【0010】
いくつかの態様では、本方法は、充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に増加させることを更に含み、第3の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも大きい。
【0011】
いくつかの態様では、充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に増加させることは、バッテリパックのパラメータに基づく。
【0012】
いくつかの態様では、パラメータは、充電状態、温度、セルの使用年数、セルの正常性及び電荷受け入れ性能ベースの差動電圧の少なくとも1つを含む。
【0013】
いくつかの態様では、1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、1700未満である。
【0014】
本明細書で説明される、バッテリパックを充電するための方法は、バッテリパックをバッテリパック充電器に接続することと、過電圧充電プロファイルを用いて、バッテリパックの1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルに充電電流を提供することであって、過電圧充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含み、第1の充電電流レベルは、バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい、提供することと、1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルの所定の最大充電電圧限度を超える電圧に1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルを充電することと、電圧が所定の最大充電電圧限度を超えた後に充電電流を止めることとを含む。
【0015】
いくつかの態様では、所定の最大充電電圧限度は、4.2ボルトであり、及び所定の最大充電電圧限度を超える電圧は、少なくとも4.4ボルトである。
【0016】
いくつかの態様では、所定の最大充電電流は、少なくとも6アンペアである。
【0017】
いくつかの態様では、1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、600秒未満である。
【0018】
本明細書で説明される、バッテリパックを充電するためのバッテリパック充電器は、1つ又は複数のバッテリパック受け入れ部分と、電力制御モジュールと、コントローラとを含む。1つ又は複数のバッテリパック受け入れ部分は、バッテリパックを受け入れ、且つそれとインターフェースする。バッテリパックは、1つ又は複数のバッテリセルを含む。電力制御モジュールは、1つ又は複数のバッテリパック受け入れ部分に電力を提供するように構成される。コントローラは、電力制御モジュールに接続される。コントローラは、ステップ状充電プロファイルを用いて、バッテリパックの1つ又は複数のバッテリセルに充電電流を提供するように構成される。ステップ状充電プロファイルは、第1の充電電流レベルを含む。第1の充電電流レベルは、バッテリパックの所定の最大充電電流よりも大きい。コントローラは、1つ又は複数のバッテリセルの電圧が所定の電圧値に上昇する場合、充電電流を第2の充電電流レベルにステップ状に減少させるようにも構成される。
【0019】
いくつかの態様では、第2の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも大きい。
【0020】
いくつかの態様では、コントローラは、充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に減少させるように更に構成され、第3の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも小さい。
【0021】
いくつかの態様では、第2の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも小さい。
【0022】
いくつかの態様では、コントローラは、充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に増加させるように更に構成され、第3の充電電流レベルは、所定の最大充電電流よりも大きい。
【0023】
いくつかの態様では、充電電流を第3の充電電流レベルにステップ状に増加させることは、バッテリパックのパラメータに基づき、及びパラメータは、充電状態、温度、セルの使用年数、セルの正常性及び電荷受け入れ性能ベースの差動電圧の少なくとも1つを含む。
【0024】
本明細書で説明される、バッテリパックを充電するための方法は、バッテリパックをバッテリパック充電器に接続することと、定電圧充電プロファイルを用いて、バッテリパックの1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルに充電電流を提供することであって、定電圧充電プロファイルは、定充電電圧レベルを含み、定充電電圧レベルは、1つ又は複数のリチウムイオンバッテリセルの所定の最大充電電圧限度に対応する、提供することと、充電電流がほぼゼロに等しくなった後に充電電流を止めることとを含む。
【0025】
いくつかの態様では、所定の最大充電電圧限度は、4.2ボルトである。
【0026】
いくつかの態様では、1つ又は複数のバッテリセルの充電時間は、1200秒未満である。
【0027】
いずれかの実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は添付の図面に示される構成要素の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。実施形態は、様々な方法で実践又は実行され得る。また、本明細書において用いられる語法及び専門用語は、説明を目的としたものであり、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。「包含する」、「含む」又は「有する」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙されている項目及びそれらの均等物並びに追加の項目を包含することを意図する。別段の明示又は限定がない限り、「取り付けられる」、「接続される」、「支持される」及び「結合される」という用語並びにその変化形は、広い意味で使用され、直接的及び間接的の両方の取り付け、接続、支持及び結合を包含する。
【0028】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア及び電子構成部品又はモジュールを含み得、これらは、論述する目的のために、構成部品の大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明される可能性があることを理解されたい。しかしながら、当業者であれば、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサ及び/又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの1つ又は複数の処理ユニットによって実行可能なソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェア)で実装され得ることを認識するであろう。このため、複数のハードウェア及びソフトウェアベースのデバイス並びに複数の異なる構造上の構成要素を利用して実施形態を実施し得ることに留意されたい。例えば、本明細書中に記載の「サーバ」及び「コンピューティングデバイス」は、1つ又は複数の処理ユニット、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体モジュール、1つ又は複数の入力/出力インターフェース及びコンポーネントを接続する各種の接続手段(例えば、システムバス)を含むことができる。
【0029】
実施形態の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本明細書で説明される実施形態によるバッテリパック充電器の斜視図である。
【
図1B】本明細書で説明される実施形態によるバッテリパック充電器の斜視図である。
【
図2】本明細書で説明される実施形態による、
図1のバッテリパック充電器のためのコントローラの電気機械図である。
【
図4】本明細書で説明される実施形態によるステップ状充電プロファイルを示す。
【
図5】本明細書で説明される実施形態による定電圧充電プロファイルを示す。
【
図6】本明細書で説明される実施形態による過電圧充電プロファイルを示す。
【
図7】本明細書で説明される実施形態による動的充電プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1Aは、バッテリパック充電器又は充電器100を示す。バッテリパック充電器100は、ハウジング部分105と、AC入力電力プラグ110とを含む。バッテリパック充電器100は、1つ又は複数の公称電圧値を有する1つ又は複数のバッテリパックを充電するように構成され得る。例えば、
図1Aに示すバッテリパック充電器100は、第1のバッテリパック受け入れ部分又はインターフェースを用いて第1のタイプのバッテリパックを充電し、第2のバッテリパック受け入れ部分又はインターフェース120を用いて第2のタイプのバッテリパックを充電するように構成される。第1のタイプのバッテリパックは、例えば、第1のバッテリパック受け入れ部分又はインターフェース115に挿入されるステムを有する12Vのバッテリパックである。第2のタイプのバッテリパックは、例えば、第2のバッテリパック受け入れ部分又はインターフェース120にバッテリパックを摺動可能に取り付けるための複数のレールを有する18Vのバッテリパックである。いくつかの実施形態では、バッテリパック充電器100は、取り付けられたバッテリパックの充電状態に関してユーザに視覚的フィードバックを提供する1つ又は複数のインジケータ125、130を含み得る。
【0032】
図1Bは、バッテリパック充電器100Bを示す。1 バッテリパック充電器100Bはハウジング部分105を含む。バッテリパック充電器100Bは、1つ又は複数の公称電圧値を有するバッテリパックを充電するように構成され得る。例えば、
図1Bに示すバッテリパック充電器100Bは、バッテリパック受け入れ部分又はインターフェース115Bを用いてバッテリパックを充電するように構成される。バッテリパックは、例えば、バッテリパック受け入れ部分又はインターフェース115Bにバッテリパックを摺動可能に取り付けるための複数のレールを有する80Vのバッテリパックである。
【0033】
バッテリパックは、例えば、リチウム-コバルト(「Li-Co」)、リチウム-マンガン(「Li-Mn」)又はLi-Mnスピネルの化学物質を有する複数のリチウムベースのバッテリセルをそれぞれ含み得る。いくつかの実施形態では、バッテリセルは、マンガンなどを含むリチウムベースの化学物質など、他の適切なリチウム又はリチウムベースの化学物質を有する。各バッテリパック内のバッテリセルは、1つ又は複数の電動工具に電力(例えば、電圧及び電流)を提供するように動作可能である。本開示はリチウムバッテリに関して論じるが、任意のバッテリを使用することができる。
【0034】
バッテリパック充電器100、100Bのためのコントローラ200を
図2に示す。コントローラ200は、バッテリパック充電器100、100Bの様々なモジュール又はコンポーネントに電気的に且つ/又は通信可能に接続される。例えば、図示のコントローラ200は、電力制御モジュール205を介して第1及び第2のバッテリパック部分又はインターフェース115、120に接続される。コントローラ200は、インジケータ125、130、ファン制御モジュール210、電力入力回路215及びサーミスタ250を含み得るか又はさもなければそれらと通信し得る。コントローラ200は、とりわけ、バッテリパック充電器100、100Bの動作を制御すること、インジケータ125、130(例えば、1つ又は複数のLED)を作動させること、第1のヒートシンクの温度を推定すること、第2のヒートシンクの温度を測定することなどを行うように動作可能なハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを含む。
【0035】
コントローラ200は、コントローラ200及び/又はバッテリパック充電器100、100B内のコンポーネント及びモジュールに電力、動作制御及び保護を提供する複数の電気及び電子コンポーネントを含む。例えば、コントローラ200は、とりわけ、処理ユニット300(例えば、電子プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又は別の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ305、入力ユニット310及び出力ユニット315を含む。処理ユニット300は、とりわけ、制御ユニット320、ALU325及び複数のレジスタ330(
図2ではレジスタのグループとして示されている)を含み、既知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正されたハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)を用いて実装される。処理ユニット300、メモリ305、入力ユニット310及び出力ユニット315並びにコントローラ200に接続された様々なモジュールは、1つ又は複数の制御バス及び/又はデータバス(例えば、共通バス335)によって接続される。制御バス及び/又はデータバスを説明のために
図3において大まかに示す。様々なモジュール及びコンポーネント間の相互接続及び通信のための1つ又は複数の制御バス及び/又はデータバスの使用法は、本明細書で説明される本発明を検討することで当業者に分かるであろう。
【0036】
メモリ305は、非一時的コンピュータ可読媒体であり、例えば、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域及びデータ記憶領域は、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード又は他の適切な磁気、光学、物理若しくは電子メモリデバイスなど、異なるタイプのメモリの組み合わせを含み得る。処理ユニット300は、メモリ305に接続され、メモリ305のRAM(例えば、実行中)、メモリ305のROM(例えば、一般に永続的に)又は別のメモリ若しくはディスクなどの別の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され得るソフトウェア命令を実行する。バッテリパック充電器100、100Bの実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ200のメモリ305に記憶され得る。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ又は複数のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、規則、1つ又は複数のプログラムモジュール及び他の実行可能命令を含む。コントローラ200は、メモリ305から、とりわけ、本明細書で説明される制御プロセス及び方法に関する命令を取得し、実行するように構成される。他の構成では、コントローラ200は、追加的な、より少ない又は異なるコンポーネントを含む。
【0037】
バッテリパックインターフェース115、120は、バッテリパック充電器100、100Bをバッテリパックとインターフェースさせる(例えば、機械的、電気的、且つ通信可能に接続する)ように構成され、且つそのように動作可能な機械コンポーネント及び電気コンポーネントの組み合わせを含む。例えば、バッテリパックインターフェース115、120は、電力制御モジュール205とバッテリパックインターフェース115、120との間にある電力ライン340を介して電力制御モジュール205から電力を受けるように構成される。バッテリパックインターフェース115、120は、通信ライン345を介して電力制御モジュール205に通信可能に接続するようにも構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、コントローラ200は、サーミスタ250を用いて第2のヒートシンクに関連する温度を測定し、温度は電力入力回路215の出力に比例する。測定されたDC回路領域の温度に基づいて、コントローラ200は、AC回路領域及び第1のヒートシンクの温度を推定する。サーミスタ250によって測定された温度とバッテリパック充電器100、100Bの他のコンポーネントとの熱的関係又は勾配は、コントローラ200のメモリ305に記憶され得る。その結果、サーミスタ250によって測定された温度は、バッテリパック充電器100、100Bの他のコンポーネントの温度を推定するためのオブザーバとして使用され得る。例えば、電力入力回路215の入力セクションからの損失は、一般に、電力入力回路215の入力電圧に反比例する。電力入力回路215への実際の入力電圧が分からないことには、サーミスタ250によって測定された温度と電力入力回路215(すなわちAC回路領域)との熱的関係は根拠のないものになり得る。電力入力回路215の入力電圧(すなわちバッテリパック充電器100、100BへのAC入力ライン電圧)を求めることにより、コントローラ200は、AC回路領域及び第1ヒートシンクの温度を求めるために、サーミスタ250によって測定した温度と電力入力回路215との間の適切な熱的関係を選択し得る。
【0039】
AC回路領域及び第1ヒートシンクの温度を求めた後、コントローラ200は、ファン245を駆動するための情報及び/又は制御信号をファン制御モジュール210に提供する。ファン245を駆動することとしては、ファン245をONにすること、ファン245をOFFにすること、ファン245の回転速度を上げること、ファンの回転速度を下げることなどが挙げられる。ファン245は、バッテリパック充電器100、100Bに望ましい運転条件を維持するように駆動される。いくつかの実施形態では、ファン245は、バッテリパック充電器100、100Bの温度(例えば、内部周囲温度)を所望の温度範囲(例えば、40°F~105°F)内に維持するように動作される。他の実施形態では、ファン245は、バッテリパック充電器100、100Bの温度(例えば、内部周囲温度)を特定の温度(例えば、85°F)に維持するように動作される。
【0040】
図3は、定電流定電圧(「CC/CV」)充電プロファイルを示す。バッテリセルの製造業者の推奨に従い、バッテリパックにおけるいずれか1つのセルが4.2Vに到達するまで定電流が印加される。リチウムイオンセルに許容される業界標準の最大電圧は、4.2Vである。バッテリパック内で並列構成に接続されたバッテリセルは、それぞれ製造業者の定格電流で充電され得る。例えば、単一のセルの定格電流が6Aの充電電流である場合、並列に接続された3つのバッテリセルは、まとめて18Aの充電電流で充電され得る。1つのセルの電圧が4.2Vに到達すると、充電電圧は、一定に保たれ、電流は、実質的にゼロに到達するまで減衰する。換言すれば、バッテリパックにおけるいずれか1つのセルが4.2Vに到達するまで通常のCC充電定格(例えば、6アンペア)が印加され、その後、バッテリパック充電器100、100BがCCモードからCVモードに切り替わり、その結果、電圧を4.2Vに維持する間、電流が徐々に0まで減少する。電流が印加されない状態で電圧が4.2である場合、バッテリセル又はバッテリパックは完全に充電されていると見なされる。いくつかの実施形態では、このような充電技法は、従来のリチウムバッテリセル(例えば、SDI 15M 18650セル)では1700秒超かかる。
【0041】
図4は、ステップ状充電プロファイルを示す。最初に、ステップ状充電プロファイルでは、低い充電状態(「SOC」)においてバッテリセルをより速く充電するために、充電プロセスの開始時、通常の充電定格(例えば、6アンペア)を超える一定の電流値で定電流が印加される。例えば、
図4に示すように、通常6アンペアの充電が定格であるバッテリセルに10アンペアの充電が適用される。低SOCにおける高い充電レートは、高SOCにおける高い充電レートほどサイクル寿命の劣化に悪影響を及ぼさないことが分かっている。バッテリパックにおけるいずれかのセルの電圧が上昇すると、バッテリセルのサイクル寿命を維持し、バッテリセルの製造業者が推奨する4.2Vのセル電圧限界を超えないために、バッテリセルのSOCが増加するにつれて充電電流は徐々に減少(例えば、ステップ状に減少)する。例えば、バッテリセルの電圧が4.2Vに到達すると、充電電流は、所定のステップサイズ、例えば10アンペアから8アンペアに減少されて、電圧を降下させる。このプロセスは、例えば4.2Vの一定の電圧値を維持しながら、電流が徐々に0まで減少するまで続く。いくつかの実施形態では、このような充電技法は、充電時間をCC/CV充電の1700秒から1500秒以下に短縮する。
【0042】
図5は、定電圧(「CV」)充電プロファイルを示す。CV充電プロファイルは、CC/CV充電プロファイルの定電流(「CC」)部分を省いたものである。CV充電プロファイルは、バッテリセルの製造業者によって規定された最大電圧(例えば、4.2V)を適用し、セルの製造業者による最大電圧限度を超えることなくセルに充電する。したがって、プロファイルを初期設定してから、充電電圧は、一定に保たれ、電流は、初期値(例えば、約30アンペア)から実質的にゼロに到達するまで減衰する。ここで、バッテリセル又はバッテリパックは、完全に充電されていると見なされる。いくつかの実施形態では、このような充電技法は、充電時間をCC/CV充電の1700秒から1200秒以下に短縮する。
【0043】
図6は、過電圧充電プロファイルを示す。過電圧充電プロファイルは、バッテリセルの電圧が通常のセルの製造業者の最大電圧限度を著しく超えないことを確保する充電電流及びセル抵抗を用いながら、バッテリパック又はバッテリセルへの供給電圧が通常のセルの製造業者の最大電圧限度(例えば、4.2V)を超えることを許容する。過電圧充電プロファイルは、充電中に通常の充電定格(例えば、6アンペア)を超えることもできる。過電圧充電プロファイルにより、バッテリ充電器は長時間CC充電モードに留まることができる。例えば、充電プロファイルは約8アンペアの初期定電流を有することができる一方、電圧は、4.2Vの電圧限界まで上昇し、4.2Vの電圧限界を少なくとも約4.4Vまで超えることができ、約4.4Vで充電電流が止まる。通常のセルの製造業者の最大電圧限度を超えた後、バッテリセル電圧は、充電電流が止まった後に通常のセルの製造業者の最大電圧限度に戻る。いくつかの実施形態では、このような充電技法は、充電時間をCC/CV充電の1700秒から600秒以下に短縮する。
【0044】
図7は、動的又は電荷受け入れ性能ベースの充電プロファイルを示す。動的充電プロファイルは、SOC、温度、セルの使用年数、セルの正常性及び電荷受け入れ性能ベースの差動電圧などのパラメータを用いて最適な速度及びサイクル寿命を確保するために充電サイクル全体を通して電流及び電圧の両方を調節することを含む。動的充電プロファイルにより、充電レートを上げることができ、充電速度を上げることによって生じるバッテリセルのサイクル寿命への悪影響の一部を緩和することができる。動的充電プロファイルは、充電中、部分的に、通常の充電定格(例えば、6アンペア)を超える。
図7に示すように、例えば、初期充電レートは8アンペアとすることができる(これは通常の所定の充電定格である6アンペアを上回る)。バッテリセルの電圧が4Vに近づくと、充電電流は約3Aに所定時間ステップ状に減少された後、8アンペアにステップ状に増加して戻り得る。その後、充電電流は、バッテリセルが4.2Vの限界に到達するまで、再び通常の充電定格である6アンペアにステップ状に減少され、次いで電流は約ゼロに減衰し得る。いくつかの実施形態では、このような充電技法は、充電速度を上げることによって生じるバッテリセルサイクル寿命に対する一部の悪影響を緩和しながら、1700秒以下の充電時間を有し得る。
【0045】
動作において、バッテリパック充電器100、100Bは、バッテリパックインターフェース115、120に接続された1つ又は複数のバッテリパックを充電するために提供され得る。最初、ユーザは、少なくとも1つのバッテリパックをバッテリパック充電器に挿入することができ、例えば、バッテリパックを1つ又はバッテリパックインターフェース115、120にスライドさせて入れることができる。その後、バッテリパック充電器100、100Bは、バッテリパックインターフェース115、120を介して少なくとも1つのバッテリパックを充電し得る。例えば、バッテリパック充電器100、100Bは、電力制御モジュール205からバッテリパックインターフェース115、120を介して少なくとも1つのバッテリパックに(例えば、電力ライン340を介して)電力を提供し得る。いくつかの実施形態では、バッテリパック充電器100、100Bは、少なくとも1つのバッテリパックが充電プロファイル及び他のパラメータ(例えば、SOC、温度、セルの使用年数、セルの正常性及び電荷受け入れ性能ベースの差動電圧)の組み合わせに基づいて電力を受けるレートを制御するために、(例えば、通信ライン345を介して)少なくとも1つのバッテリパックと通信し得る。充電プロファイル及び他のパラメータは、バッテリパックの監視されたデータ及び/又はバッテリパック充電器100、100Bのメモリ305に記憶されたデータの両方とすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、バッテリパック充電器100、100Bは、
図3~
図7に関して論じた充電プロファイルのそれぞれを(コントローラ200を介して)実行するように実施され得る。バッテリパック充電器100、100Bは、充電プロファイル(例えば、処理ユニット300によって実行されるようにメモリ305に記憶された充電プロファイル)の1つ又は複数を予めプログラムされ得る。バッテリパック充電器100、100Bは、充電プロファイルの1つ若しくは複数を実行するように特に設計され得るか、又はそれは、充電プロファイルを入れ替えるように設計され得る。例えば、バッテリパック充電器100、100Bは、いずれのバッテリプロファイルを実行するかを選択するためのセレクタを含み得るか、又はそれは、バッテリサイズ、タイプ、環境条件などの任意の組み合わせに基づいて充電プロファイルを選択し得る。同時に接続された複数のバッテリパックは、同じ充電プロファイルを用いて充電され得るか、又はそれらは、異なる充電プロファイルを用いて充電され得る。例えば、ステムを有する12Vのバッテリパックがある充電プロファイルを用いて充電され得る一方、複数のレールを有する18Vのバッテリパックが別の充電プロファイルを用いて充電され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ200は、例えば、バッテリパックインターフェース115、120、電力制御モジュール205、電力入力回路215、サーミスタ、電力入力回路215、入力ユニット310、出力ユニット315などの任意の組み合わせを介して、接続されたバッテリパックの充電を監視し得る。コントローラ200は、充電プロファイル及び監視されたデータの組み合わせに基づいて、監視されたデータを処理し(例えば、処理ユニット300)、充電を更新する(例えば、電流及び/又は電圧)ことができる。
【0047】
このように、本明細書で説明される実施形態は、とりわけ、リチウムベースのバッテリセルを含むバッテリパックのための、充電速度を上げたバッテリ充電器を提供する。
【国際調査報告】