(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】多方向適応光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/295 20060101AFI20230807BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20230807BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G02F1/295
G02B6/12 301
G02B6/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023504027
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2021070081
(87)【国際公開番号】W WO2022018004
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523019424
【氏名又は名称】オムマティディア ライダー エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルガッロ バルバス、エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ルビオ ギベルナウ、ホセ ルイス
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AA04
2H137AA05
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2H147GA26
2K102BA07
2K102BB04
2K102BB08
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2K102EA21
2K102EB10
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
多方向光学デバイスが開示される。光学デバイスは、受信光の伝搬方向を決定し(受信器構成において)、かつ/または、送信光の伝搬方向を制御する(送信器構成において)ためにマルチ入力/マルチ出力光結合構造を用いることができる。可動パーツを必要とせずに、伝搬方向を決定することが可能である。いくつかの実施形態によれば、N個のポートおよびM個のポート間を横断する光にフーリエ変換を実行するためのN×Mスターカプラを用い、こうすることで、N個のポートのうちの1つまたは複数に達する光が、線形位相プロファイルを伴ってM個のポートにわたって分散される、ソリッドステートフォトニック集積回路(PIC)の設計が本明細書で開示される。線形位相プロファイルの傾きは、N個のポートのうちのどのポートから光が受信されたかに依存する。光は、M個のポートに結合された導波路から、線形位相プロファイルに応じた1つまたは複数の伝搬方向に出射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;
前記基板上の複数の光学素子、前記複数の光学素子のそれぞれが、
結合領域、
前記結合領域の第1の側にそれぞれが結合された第1の複数の導波路、および
前記結合領域の第2の側にそれぞれが結合された第2の複数の導波路を有し、
ここで、前記結合領域が、前記第1の複数の導波路から受信される光を、前記第1の複数の導波路にわたった前記光の相対位相差に基づいて、前記第2の複数の導波路のうちの1つまたは複数に結合するように構成されており、
ここで、前記複数の光学素子にわたった前記第1の複数の導波路の端部が、前記基板上で2次元アレイ状に配置されている;および
前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数から前記光を受信し、こうすることで、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数のうちの各導波路から受信される前記光が、前記第1の複数の導波路により受信される光の異なる伝搬方向に関連付けられるように構成された1つまたは複数の光検出器
を備える集積フォトニックシステム。
【請求項2】
前記第1の複数の導波路がそれぞれ、実質的に同じ光路長を有する、請求項1に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項3】
前記第2の複数の導波路のうちの対応する導波路に結合された位相変調素子、および/または、前記第1の複数の導波路のうちの対応する導波路に結合された位相変調素子をさらに備える、請求項1に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の光検出器に結合されており、前記第1の複数の導波路により収集される光の伝搬方向を決定するように構成された処理デバイスをさらに備える、請求項1に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の光検出器が、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数から受信される光を、局部発振器から受信される光と混合するように構成された1つまたは複数のミキサを有する、請求項1に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項6】
前記複数の光学素子が、第1の複数の光学素子であり、前記集積フォトニックシステムが、第2の複数の光学素子をさらに備え、前記第2の複数の光学素子のうちの各光学素子が、結合領域を有し、前記第1の複数の光学素子の所与の結合領域の第2の側に結合された前記第2の複数の導波路のそれぞれが、前記第2の複数の光学素子の異なる結合領域に結合された、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項7】
前記結合領域、前記第1の複数の導波路、および、前記第2の複数の導波路が全て、窒化シリコンを含む、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項8】
前記第1の複数の導波路の前記端部がそれぞれ、前記第1の複数の導波路のうちの対応する導波路に受信光を結合するように構成された格子構造、ナノアンテナ、または、マイクロミラーを含む開口を含む、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項9】
前記基板の上に配置されており、前記開口に向かって光を方向付けるように構成されたシリンドリカルレンズをさらに備える、請求項8に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項10】
前記シリンドリカルレンズおよび前記基板の間に配置されており、前記シリンドリカルレンズから受信された光を、前記開口に向かって集光するように構成されたレンズアレイをさらに備える、請求項9に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項11】
基板;
前記基板上の1つまたは複数の光学源;および
前記基板上の複数の光学素子
を備える集積フォトニックシステムであって、前記複数の光学素子のそれぞれが、
結合領域、
前記結合領域の第1の側にそれぞれが結合された第1の複数の導波路、および
前記1つまたは複数の光学源のうちの少なくとも1つから光を受信するように構成された第1の端部をそれぞれが含み、前記結合領域の第2の側に結合された第2の端部をそれぞれが含む第2の複数の導波路を有し、
ここで、前記結合領域が、前記第2の複数の導波路のうちの1つまたは複数から受信される光を、前記第1の複数の導波路に結合し、こうすることで、前記第1の複数の導波路にわたった前記光の相対位相差が、前記第2の複数の導波路のうちのどの導波路から前記光が受信されるかに基づくようになるように構成されており、
ここで、前記第1の複数の導波路のうちの1つまたは複数のうちのそれぞれから、前記第1の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数のうちのそれぞれの間の前記光の前記相対位相差に基づいた伝搬方向に光が出射し、
ここで、前記複数の光学素子にわたった前記第1の複数の導波路の端部が、前記基板上で2次元アレイ状に配置されている、
集積フォトニックシステム。
【請求項12】
前記第2の複数の導波路がそれぞれ、実質的に同じ光路長を有する、請求項11に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項13】
前記第1の複数の導波路のうちのいずれかに結合された位相変調素子、および/または、前記第2の複数の導波路のうちのいずれかに結合された位相変調素子をさらに備える、請求項11に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項14】
前記第1の複数の導波路のうちのいずれかに結合された振幅変調素子をさらに備える、請求項11に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項15】
前記1つまたは複数の光学源に結合された入力および前記第1の複数の導波路に結合された複数の出力を有するマルチプレクサをさらに備える、請求項11に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項16】
前記マルチプレクサに結合されており、前記複数の出力のうちの、前記光が進行するための1つまたは複数の出力を選択するように構成された論理回路をさらに備え、ここで、前記第2の複数の導波路から出射する前記光の前記伝搬方向が、前記選択に基づいている、請求項15に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項17】
前記複数の光学素子が、第1の複数の光学素子であり、前記集積フォトニックシステムが、第2の複数の光学素子をさらに備え、前記第2の複数の光学素子のうちの各光学素子が、追加の結合領域を有し、前記第1の複数の光学素子の所与の結合領域に結合された前記第2の複数の導波路のそれぞれが、前記第2の複数の光学素子の異なる追加の結合領域に結合された、請求項11から16のうちのいずれか一項に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項18】
前記結合領域、前記第1の複数の導波路、および、前記第2の複数の導波路が全て、窒化シリコンを含む、請求項11から16のうちのいずれか一項に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項19】
前記結合領域の前記第2の側が、前記結合領域の前記第1の側とは反対である、請求項11から16のうちのいずれか一項に記載の集積フォトニックシステム。
【請求項20】
多方向光学デバイスを使用する方法であって、
1つまたは複数の伝搬方向から受信される光の少なくとも一部分を、基板上の第1の複数の導波路開口に結合する段階、ここで、前記第1の複数の導波路開口が、前記基板上で2次元アレイ状に配置されている;
前記第1の複数の導波路からの前記光を、前記基板上の複数の結合領域の第1の側に結合する段階;および、
前記複数の結合領域からの前記光を、前記複数の結合領域の第2の側における複数の第2の導波路のうちの1つまたは複数の第2の導波路に選択的に結合する段階、ここで、前記1つまたは複数の第2の導波路が、前記第1の複数の導波路に結合された前記受信される光の前記1つまたは複数の伝搬方向に基づいて選択される、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光信号上で変調される、または、光信号に含まれるデータを送信または受信するフォトニック集積回路(PIC)は、多くの分野で使用されている。これらの光信号は、一般に、赤外または可視スペクトル内のものである。ファイバオプティック通信、生物医学、および、フォトニックコンピューティングなどの用途は全て、PICを利用して、送信または受信光に様々なフォトニック機能を統合することが可能である。こうした用途は、多方向のポイントツーポイント光通信能力から恩恵を受けることができる。多方向光通信の提供について、いくつかの些細ではない問題が残っている。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】本開示の一実施形態に係る、ソースおよび光検出器を有するフォトニック集積回路の概略図である。
【0003】
【
図2A】本開示の一実施形態に係る、フォトニック集積回路の光学素子の例示的動作を実証する概略図であって、光学素子が、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を含む、概略図である。
【
図2B】本開示の一実施形態に係る、フォトニック集積回路の光学素子の例示的動作を実証する概略図であって、光学素子が、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を含む、概略図である。
【
図2C】本開示の一実施形態に係る、フォトニック集積回路の光学素子の例示的動作を実証する概略図であって、光学素子が、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を含む、概略図である。
【0004】
【
図3A】本開示の一実施形態に係る、フォトニック集積回路の光学素子の追加の例示的動作を実証する概略図であって、光学素子が、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を含む、概略図である。
【
図3B】本開示の一実施形態に係る、フォトニック集積回路の光学素子の追加の例示的動作を実証する概略図であって、光学素子が、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を含む、概略図である。
【0005】
【
図4】本開示の一実施形態に係る複数のフォトニック集積回路のシステムの例示的動作を実証する概略図である。
【0006】
【
図5A】本開示の一実施形態に係る、一出力段設計を有する受信器として働くフォトニック集積回路の概略図である。
【
図5B】本開示の一実施形態に係る、一出力段設計を有する受信器として働くフォトニック集積回路の概略図である。
【0007】
【
図6】本開示の一実施形態に係る、特定の入力段設計を有する送信器として働くフォトニック集積回路の概略図である。
【0008】
【
図7】本開示の一実施形態に係る、複数の相互接続された光学素子を有するフォトニック集積回路の概略図である。
【0009】
【
図8A】本開示の一実施形態に係る、光学素子のアレイを有する他のフォトニック集積回路の概略図である。
【0010】
【
図8B】本開示の一実施形態に係る、上記のフォトニック集積回路のうちのいずれかで使用される一光検出器設計の概略図である。
【
図8C】本開示の一実施形態に係る、上記のフォトニック集積回路のうちのいずれかで使用される一光検出器設計の概略図である。
【
図8D】本開示の一実施形態に係る、上記のフォトニック集積回路のうちのいずれかで使用される一光検出器設計の概略図である。
【0011】
【
図9】本開示の一実施形態に係る、
図8のフォトニック集積回路とともに使用されるレンズ配置の概略図である。
【0012】
【
図10】本開示のいくつかの実施形態に係るフォトニック集積回路を含む電気デバイスの図である。
【0013】
【
図11】本開示のいくつかの実施形態に係る、多方向光学デバイスを使用して、受信光の1つまたは複数の伝搬方向を決定する例示的方法のフローチャートである。
【0014】
【
図12】本開示のいくつかの実施形態に係る、多方向光学デバイスを使用して、異なる伝搬方向に光を送信する例示的方法のフローチャートである。
【0015】
本実施形態のこれらの特徴および他の特徴が、本明細書で説明される図面と併せて、以下の詳細な説明を読むことで、より良好に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
光学デバイス構造が開示される。重ね合わせの原理が適用され、こうすることで、その構造により、多方向通信が可能になる。一実施形態では、光学デバイスは、受信光の伝搬方向を決定し(受信器構成において)、かつ/または、送信光の伝搬方向を制御する(送信器構成において)ためにマルチ入力/マルチ出力(MIMO)光結合構造を用いる。いずれのケースでも、伝搬方向は、可動パーツを必要とせずに、無動式で求められることに留意されたい。いくつかのこうした実施形態によれば、ソリッドステートフォトニック集積回路(PIC)が、N個のポートおよびM個のポート間を横断する光にフーリエ変換を実行するためのN×Mスターカプラを用いており、こうすることで、N個のポートのうちの1つまたは複数に達する光が、線形位相プロファイルを伴ってM個のポートにわたって分散される。線形位相プロファイルの傾きは、N個のポートのうちのどのポートから光が受信されたかに依存する。光は、M個のポートに結合された導波路から、線形位相プロファイルに応じた伝搬方向に出射する。その逆もやはり正しく、所与の伝搬方向からM個のポートで受信される光は、対応する位相プロファイルをM個のポートにわたって示すこととなる。M個のポートからの受信光は、受信光の位相プロファイルに基づいてN個のポートのうちの1つまたは複数に結合されることとなる。このように、PICは、作り出される光の送信方向を制御可能な光送信器、および/または、受信光の伝搬方向を決定することが可能な受光器として働くように設計することができる。本開示に照らして、多数の実施形態、および、こうした実施形態の変形形態が理解されるであろう。
概要
【0017】
先で言及されたように、多方向光通信の提供について、いくつかの些細ではない問題が残っている。より詳細には、光の伝搬方向を区別および/または制御できることは、同時ポイントツーポイント光通信システム、チャネル適応光通信システムなどの多数の光学用途、および、多方向光学検知の実行に役に立つ。あいにく、こうした用途のために設計された既存のデバイスは、発される光の伝搬方向を変えるために、調整可能なマイクロミラーなどの可動素子を使用している。光回路の一部分である素子を動かさなければならないこと、または、光学デバイス自体を動かさなければならないことは、更なる複雑性および電力を要し、さらに、可動片の経時的な摩耗を起こし、発熱について熱管理の問題をもたらす。
【0018】
したがって、受信光の伝搬方向を決定すること、および/または、可動素子を使用することなく、送信光の伝搬方向を変えることが可能な多方向適応光学デバイスを設計し、使用する技術が開示される。本明細書では、「光」という語は、電磁(EM)スペクトルの任意の部分を指すことができる。いくつかの実施形態では、光は、EMスペクトルの可視部分、または、EMスペクトルの赤外部分を指す。例えば、光は、1.3μmから1.7μmの間のいずれかの波長を有する赤外線を指すことがある。いくつかの実施形態によれば、多方向適応光学デバイスは、1つまたは複数のN×Mスターカプラを使用し、各カプラが、結合領域の一方の側にN個のポートを有し、結合領域の他の側にM個のポートを有する。動作において、スターカプラのN個のポートのうちの1つまたは複数に達する光が、N個のポートのうちのどのポートから光が受信されたかに依存する線形位相プロファイルを伴って、スターカプラのM個のポートにわたって分散される。位相プロファイルを変えることにより、光が、異なる位相面を伴って、M個のポートに結合された導波路の端部から出射する。出射光の伝搬方向は、光の位相面に依存する。相反原理を考えると、反対の通信方向においては、その逆も正しく、これにより、所与の位相面を有する光が、スターカプラのM個のポートにより受信され、光の位相面に基づいて、N個のポートのうちの1つまたは複数へと方向付けられる。このようにして、受信光の伝搬方向は、ルーティングされた光をN個のポートのうちのどのポートが含むかに基づいて決定することが可能である。光は、導波路のセットから同時に複数の方向に送信され得、また、光は、それと同じ導波路のセットから同時に複数の異なる方向から受信され得る。
【0019】
多数のPIC設計または他の光学デバイス設計を、本明細書で説明されるスターカプラのうちの1つまたは複数を使用して実現可能である。さらに後で順に説明されるように、光を制御し、かつ/または、より良好に区別するために、光合波器、位相変調器、および、振幅変調器を含めることもできる。いくつかの実施形態では、複数のPICが自由空間光信号を使用して互いに通信するように、複数のPICを光学システム内で使用することができ、ここでは、決定された光信号の方向を使用して、どのPICから信号が生じたかを決定することが可能である。さらに、所与のPICからの送信光信号の方向を制御して、その光信号をどの下流PICが受信するかを選択することもできる。いくつかの実施形態では、光受信または光送信が、基板上の2次元領域にわたって、リンクされた複数のスターカプラを使用して行われ得る。光を様々な伝搬方向から、最小限の損失で、経路面を動かす必要なく、または、PICを回転させる必要なく収集することもでき、このことは、相対的に大きなエリアから光を集める望遠鏡ベースの用途または他の任意の用途などの多くの用途について大きな恩恵を有し得る。
【0020】
多数の光学デバイス構造が明らかになるであろう。例えば、一例示的実施形態によれば、集積フォトニックシステムが、基板および前記基板上の光学素子を備える。前記光学素子は、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を有する。前記第1の複数の導波路はそれぞれ、光を収集するように構成された第1の端部、および、前記結合領域の第1の側に結合された第2の端部を含む。前記第2の複数の導波路のそれぞれは、前記結合領域の第2の側に結合されている。前記結合領域は、前記第1の複数の導波路から受信される光を、前記第1の複数の導波路のそれぞれの中の前記光の相対位相差に基づいて、前記第2の複数の導波路のうちの1つまたは複数に結合するように設計されている。いくつかの実施形態では、また、前記集積フォトニックシステムが、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数から前記光を受信し、こうすることで、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数のうちの各導波路から受信される前記光が、異なる伝搬方向に関連付けられるように設計された1つまたは複数の光検出器を備える。理解されるように、こうした構成は、受光器用途で特に役に立つ。
【0021】
他の例示的実施形態によれば、集積フォトニックシステムが、基板、前記基板上の1つまたは複数の光学源、および、前記基板上の光学素子を備える。前記光学素子は、結合領域、第1の複数の導波路、および、第2の複数の導波路を有する。前記第1の複数の導波路はそれぞれ、前記1つまたは複数の光学源のうちの少なくとも1つの光学源から光を収集するように構成された第1の端部、および、前記結合領域の第1の側に結合された第2の端部を含む。前記第2の複数の導波路のそれぞれは、前記結合領域の第2の側に結合されている。前記結合領域は、前記第1の複数の導波路のうちの1つまたは複数から受信される光を、前記第2の複数の導波路に結合するように設計されており、こうすることで、前記第2の複数の導波路のそれぞれの中の前記光の相対位相差が、前記第1の複数の導波路のうちのどの導波路から前記光が受信されるかに基づくようになる。こうして、前記光が、前記第2の複数の導波路のそれぞれの中の前記光の前記相対位相差に基づいて、前記第2の複数の導波路から異なる伝搬方向で出射する。理解されるように、こうした構成は、光送信器用途で特に役に立つ。
【0022】
他の例示的実施形態によれば、多方向光学デバイスを使用する方法が、1つまたは複数の伝搬方向で受信される入射光を、基板上の第1の複数の導波路に結合する段階;前記第1の複数の導波路からの前記光を、前記基板上の結合領域の第1の側に結合する段階;および、前記結合領域からの前記光を、前記結合領域の第2の側における複数の第2の導波路のうちの1つまたは複数の第2の導波路に選択的に結合する段階を備える。前記1つまたは複数の第2の導波路は、前記第1の複数の導波路に結合された前記受信光の前記1つまたは複数の伝搬方向に基づいて選択される。
【0023】
他の例示的実施形態によれば、多方向光学デバイスを使用する方法が、基板上の複数の第1の導波路のうちの1つの導波路内に光を送信する段階;前記1つの導波路からの前記光を、前記基板上の結合領域の第1の側に結合する段階;前記結合領域からの前記光を、前記結合領域の第2の側に結合された第2の複数の導波路のそれぞれに結合する段階、こうすることで、前記光が、前記複数の第1の導波路のうちのいずれの導波路内に前記光が送信されたかに基づいて、前記第2の複数の導波路のそれぞれから異なる伝搬方向で出射するようになる、を備える。
【0024】
説明では、「一実施形態では」または「実施形態では」といった言い回しが使用されるが、これらの言い回しはそれぞれ、同一または異なる実施形態のうちの1つまたは複数を指すことができる。さらに、本開示の実施形態について使用される「備える」、「含む」、および、「有する」などの言い回しは、同義である。
【0025】
特許請求される主題を理解する際に最も役に立つように、様々な動作が、複数の個別のアクションまたは動作として順に説明されることがある。しかしながら、説明の順序は、これらの動作が必ず順序に依存するということを示唆するものと解釈されるべきではない。具体的には、これらの動作は、提示される順序で実行されないこともある。説明される動作は、説明される実施形態とは異なる順序で実行されることもある。様々な追加の動作が実行され得、かつ/または、説明される動作が、追加の実施形態では省略されることもある。
システムアーキテクチャ
【0026】
図1は、光を収集、解析、送信、および/または、変調するためのより大きなシステムの一部分になることができる例示的なフォトニック集積回路(PIC)100を示す。例えば、PIC100を使用して、遠く離れた(宇宙からなど)、様々な伝搬方向から受信される光を捕獲することができる。PIC100は、フォトニック用途で一般に使用される任意の材料で作ることができる基板101を含む。こうした基板材料には、ガラス基板、硬質のポリマー基板、または、半導体基板が含まれる。ガラス基板は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはホウケイ酸ガラスを含み得る。ポリマー基板は、裂けることなく巻かれるように、または、曲げられるように十分に柔軟にすることができる。例示的ポリマー材料は、例を少し挙げると、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、パリレン、ポリエチレングリコール(PEG)、または、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。半導体基板は、やはり柔軟にようになる十分に薄くすることができ、例を少し挙げると、シリコン、ガリウムヒ素、リン化インジウム、または、それらの任意の3次または4次変異体などの材料を含み得る。いくつかの実施形態では、半導体基板は、酸化物材料などの頂部クラッド材料を含み、その上に、導波路などの様々なフォトニック素子が形成される。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、PIC100は、光学源102および光検出器104を含む。1つの光学源102および1つの光検出器104のみ示されているが、光学源102は任意数の光学源を表すことができ、同様に、光検出器104は任意数の光検出器を表すことができることを理解されたい。ソースおよび検出器の両方を有することにより、PIC100は、同時での光送信および光受信が可能である。いくつかの実施形態では、PIC100は光学源102のみを含み、こうすることで、PIC100が光送信器としてのみ使用される。いくつかの実施形態では、PIC100は光検出器104のみを含み、こうすることで、PIC100が受光器としてのみ使用される。
【0028】
ガリウムおよびヒ素を有する層から、または、インジウムおよびリンを有する層から形成された1つまたは複数のダイオードレーザまたは発光ダイオード(LED)などの光学源102を、基板101にモノリシックに統合することができる。他のいくつかの実施形態では、光学源102は、基板101に接合される1つまたは複数の光源を表す。光学源102は、基板101上にパターン形成された1つまたは複数の導波路に結合され得る光103を生成する。
【0029】
ガリウムおよびヒ素を有する層から、または、インジウムおよびリンを有する層から、または、ドープされたシリコンまたはドープされたゲルマニウムを有する層から形成された1つまたは複数のPN接合などの光検出器104を、基板101にモノリシックに統合することができる。他のいくつかの実施形態では、光検出器104は、基板101に接合される1つまたは複数の光学検出器を表す。光検出器104は、基板101上にパターン形成された1つまたは複数の導波路から、光検出器104に結合され得る光105を受信する。
【0030】
PIC100は、結合領域106を有する光学素子を備え、第1の複数の導波路108が、結合領域106の第1の側に結合され、第2の複数の導波路110が、結合領域106の第2の側に結合される。いくつかの実施形態では、結合領域106、第1の複数の導波路108、および、第2の複数の導波路110が共同で、N個の入力およびM個の出力(またはその逆)を有するN×Mスターカプラを形成する。いくつかの実施形態では、第1の複数の導波路108が、第2の複数の導波路110と比較して、より多くの導波路を含む。
【0031】
第1の複数の導波路108はそれぞれ、結合領域106に結合された1つの端部、および、光112を送信する(光送信器として働くとき)か、または、光112を受信する(受光器として働くとき)ように設計された他の端部を有する。光112は、第1の複数の導波路108から送信されるか、または、第1の複数の導波路108により受信される自由空間光を表し得る。いくつかの実施形態によれば、第1の複数の導波路108のそれぞれは、実質的に同じ光路長を有する。この文脈では、「実質的に同じ」は、複数の導波路108を、可能な限り互いに近い光路長を有するように設計するための一致協力の努力に基づいた、互いに近い光路長を指す。したがって、第1の複数の導波路108のそれぞれの物理長は、第1の複数の導波路108の間で実質的に同じ光路長が実現されるように設計され得る。いくつかの実施形態では、実質的に同じ光路長を実現するために、任意数の第1の複数の導波路108上で受動または能動遅延素子が使用され得る。例えば、能動遅延素子を使用して、光の波長が分散または他の理由に起因して引き起こす光路長差を相殺することができる。光の波長は、可変波長源で動作する通信システム内で使用される際に変化し得る。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、結合領域106は、第1の複数の導波路108および第2の複数の導波路110と同じ材料から形成される。いくつかの実施形態では、結合領域106、第1の複数の導波路108、および、第2の複数の導波路110はそれぞれ、窒化シリコンを含むが、可視波長または赤外波長について導波路コアとして働くことが可能な他の任意の材料を使用することもできる。結合領域106は、自体の入力および出力の間を通過する光に受動的にフーリエ変換を実行するスターカプラの形状および形態を有し得る。したがって、結合領域106は、ローランド円の特性を活用するように構築され得る。光送信の例では、光が、第2の複数の導波路110のうちの1つまたは複数から結合領域106において受信され、第1の複数の導波路108のそれぞれにわたって分散されて、第1の複数の導波路108にわたって線形位相プロファイルを伴うようになる。線形位相プロファイルの傾きは、第2の複数の導波路110のうちの1つまたは複数の導波路のうちのどの導波路から光が受信されたかに依存する。光は、第1の複数の導波路108から、線形位相プロファイルに基づく伝搬方向を有する光112として最終的に出射することとなる。光受信の例では、光が、第1の複数の導波路108から結合領域106において受信され、ここで、光は、受信光112の伝搬方向に基づく線形位相プロファイルを有する。結合領域106は、光の線形位相プロファイルに基づいて、第2の複数の導波路110のうちの1つまたは複数に選択的に光を結合するように設計される。上記のように、同じPIC100を使用して、光を同時に受信および送信することができる。
【0033】
光の線形位相プロファイルに基づいた結合領域106の選択的結合性能により、受信光の伝搬方向を、第2の複数の導波路110のうちのどの導波路から光が受信されるかに基づいて決定することが可能である。同様に、送信光の伝搬方向を、第2の複数の導波路110のうちのどの導波路内に光を送信するかを選択することにより制御することが可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、PIC100は、第2の複数の導波路110のうちの選択された1つまたは複数内へと光103を方向付け、かつ/または、第2の複数の導波路110のうちの選択された1つまたは複数から光105を受信するように設計されたマルチプレクサを有し得るカプラ114を備える。したがって、マルチプレクサは、特定の導波路内へと光を方向付けるための光スイッチを含むスイッチング網を有し得る。光スイッチは、異なる経路間での切り替えを行うために導波路の一部分を機械的に動かすための微小電気機械(MEMS)スイッチであり得る。光スイッチの他の例は、マッハツェンダ干渉計、または、光変調を利用して、特定の経路を辿るように光を方向付けるスイッチを含む。光変調は、電気光学、熱光学、または、音響光学変調器のいずれかを使用して実行され得る。他のいくつかの実施形態では、カプラ114が、第2の複数の導波路110から受信される光を光105として組み合わせるか、または、生成された光103を第2の複数の導波路110のそれぞれにわたって分散させる。したがって、カプラ114は、1×N多モード干渉(MMI)カプラ、1×Nスターカプラ、または、これらと同様の任意の結合素子を含み得る。1つのカプラ114のみ示されているが、カプラ114は任意数の個別のカプラを表し得ることを理解されたい。例えば、第1の結合素子を使用して、第2の複数の導波路110のうちの1つまたは複数内へと光103を方向付けることができ、第2の結合素子を使用して、第2の複数の導波路110のうちの1つまたは複数の導波路から光105を受信することができる。
【0035】
PIC100上での使用について先で議論された導波路はいずれも、ストリップ導波路、リッジ導波路、または、リブ導波路であり得る。いずれの導波路も、第1の屈折率を有し、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有するクラッディング材料に囲まれたコア材料を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、基板101の頂部層は、導波路のいずれかのためのクラッディングとして働く材料である。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、第1の複数の導波路108がそれぞれ、変調素子116を含む。変調素子116は、第1の複数の導波路108のそれぞれの中の伝搬光の位相、周波数、振幅、または、遅延のうちのいずれかを変えるために提供され得る。図示の例では、変調素子116は、受信光112の位相プロファイルを補正するように個々にアドレス指定可能な位相変調器を含む。変調素子116は、電気光学、熱光学、または、音響光学変調器のいずれを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、第2の複数の導波路110がそれぞれ、変調素子118を含む。変調素子118は、第2の複数の導波路110のそれぞれの中の伝搬光の位相、周波数、振幅、または、遅延のうちのいずれかを変えるために提供され得る。図示の例では、変調素子118は、第2の複数の導波路110内の伝搬光の異なる位相遅れについて補正を行うように個々にアドレス指定可能な位相変調器を含む。変調素子118は、電気光学、熱光学、または、音響光学変調器のいずれを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、PIC100は、変調素子116を含み、変調素子118を含まない。他のいくつかの実施形態では、PIC100は、変調素子118を含み、変調素子116を含まない。他のいくつかの実施形態では、PIC100は、変調素子116も変調素子118も含まない(例えば、位相補正が信号処理によりデジタル的に行われる設計)。
【0039】
一実施形態によれば、光ヘテロダインを実行して、受信された、または、送信される光学的光信号と混合し、後にフィルタリングまたは調節を行うことが可能である。一つの例では、局部発振器周波数(LO)を有する光信号を、第1の複数の導波路108のそれぞれの中の光と混合して、所与の中間周波数(IF)を有するダウンコンバートまたはアップコンバートされた光信号を作ることができる。また、LO光信号は、第1の複数の導波路108と同じ側から結合領域106により受信され得る。入ってくる光信号を制御されたやり方で光混合することにより、受信または送信光信号の波形歪みを、信号処理を通してデジタル的に補正することが可能であり、これにより、位相変調器による位相制御の必要性をなくすことができる。他のいくつかの実施形態では、ヘテロダイン後の様々な導波路出力における位相が分かることにより、変調素子118および/または変調素子116の最適な制御を可能にして、こうした波形歪みを抑制することができる。
【0040】
図2Aから
図2Cは、いくつかの実施形態による、PIC100のスターカプラ素子を使用した、送信光の伝搬方向の変更の様々な例を示す。
図2Aから
図2Cに示されるスターカプラの様々な特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、いくつかの特徴が、より見易くするために誇張されていることもある。
【0041】
図2Aは、光が第2の複数の導波路110の導波路のうちの1つを通して、結合領域106内に送信される例を示す。次いで、光は、結合領域106により第1の複数の導波路108のそれぞれに分散されて、ここで、それは、伝搬する波面204を有する自由空間光として開口202から出射する。いくつかの実施形態では、開口202は、共通の平面に沿って互いに平行になるように配置される。いくつかの実施形態では、開口202は、第1の複数の導波路108の端部における開裂面を表す。いくつかの実施形態では、開口202は、伝搬光の波面204に影響を及ぼすための格子構造またはナノアンテナを含む。光を反射または集光するように設計されたマイクロミラーまたはマイクロレンズなどの追加の光学素子が、開口202に、または、その近くにあってもよい。
【0042】
図2Aに示される例では、第2の複数の導波路110のうちの中央の導波路から光が受信されるので、第1の複数の導波路108のそれぞれの中の光の位相は、実質的に同じであり、よって、光は、開口202から、開口202のそれぞれが沿って置かれたラインに対して実質的に垂直な方向(矢印で示されるように)に伝搬する。波面204は、出射光の位相プロファイルに向かった傾きを示していない。
【0043】
図2Bは、光が第2の複数の導波路110の導波路のうちの1つを通して、結合領域106内に送信される他の例を示す。
図2Bに示される例では、複数の導波路110のうちの中央の導波路からずれた導波路から光が受信されるので、第1の複数の導波路の108のそれぞれの中の光の位相は、一定な位相差(例えば、線形位相プロファイル)を有し、よって、光は、開口202から、垂直方向に対して(矢印で示される正のx方向に)僅かな角度をもって伝搬する。波面206は、出射光の位相プロファイルに向かった僅かな傾きを示している。線形位相プロファイルの傾きの大きさは、第2の複数の導波路110のうちのどの導波路から光が受信されるかに基づいており、線形位相プロファイルの傾きは、中央の導波路から遠い導波路ほど増加する。
【0044】
図2Cは、光が第2の複数の導波路110の導波路のうちの1つを通して、結合領域106内に送信される他の例を示す。
図2Cに示される例では、複数の導波路110のうちの中央の導波路から最も遠い導波路から光が受信されており、よって、一定な位相差(例えば、線形位相プロファイル)をもたらし、図示の設計を考えると、考えられる最大の傾きを有している。したがって、光は、開口202から、垂直方向に対して(矢印で示される正のx方向に)より大きな角度で伝搬する。波面208は、出射光の位相プロファイルに向かったより大きな傾きを示している。
【0045】
一実施形態によれば、第2の複数の導波路110のうちの中央の導波路の他方の側にある対称な導波路を通して光を入力することにより、伝搬光の方向を負のx方向にすることもできることを理解されたい。また、第2の複数の導波路110のうちの1つより多くの導波路を通して光を送信することもでき、これにより、光が異なる方向に同時に伝搬するであろう。
【0046】
図3Aから
図3Bは、いくつかの実施形態による、PIC100のスターカプラ素子を使用した、様々な伝搬方向からの光の受信の様々な例を示す。
図3Aおよび
図3Bに示されるスターカプラの様々な特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、いくつかの特徴が、より見易くするために誇張されていることもある。
【0047】
図3Aは、一実施形態による、第1の複数の導波路108の開口202により波面302が受信されている光を示す。波面302は、開口202のそれぞれが沿って置かれたラインに平行な位相プロファイルを有するので、第1の複数の導波路108のそれぞれの中の収集される光は、実質的に同じ位相を有することとなる(例えば、位相オフセットが約0)。第1の複数の導波路108のそれぞれにわたって実質的に等しい位相を有する光が結合領域106により受信されると、光は、第2の複数の導波路110のうちの中央の導波路へと方向付けられる。中央の導波路が、光の間の位相差(この例では、位相差は約0)に基づいて選択され、位相差は、少なくとも、第1の複数の導波路108により受信される時の光の伝搬方向により決定される。いくつかの実施形態では、光の大部分が中央の導波路を通して結合され、光のうちのいくらかが、第2の複数の導波路110のうちの他の導波路を通して結合され得ることを理解されたい。例えば、光の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または、少なくとも95%が、中央の導波路を通して結合され、残りの光部分が、第2の複数の導波路110のうちのその他の導波路のうちの1つまたは複数を通して結合される。
【0048】
図3Aでさらに示されるように、第2の複数の導波路110のうちの中央導波路C
nを通して受信される光の強さは、
【数1】
と等しく、ここで、
【数2】
は、光のゼロ次の強さを表し、
【数3】
は、所与の導波路についての光の相対位相プロファイルを表す。同様に、第2の複数の導波路110のうちの隣接する導波路C
n+1およびC
n-1のそれぞれにより受信される光の強さは、ゼロまたはゼロに近い。
【0049】
図3Bは、一実施形態による、1つより多くの方向から光が受信され、この結果、非線形波面304がもたらされる例を示す。こうした状況は、例えば、光の波面を歪める乱流大気条件を光が横断する際に起こり得る。ほとんどの実際の状況では、自由空間光が、いくつもの空気状態に起因した何らかの形態の波面歪みなしで、自体の目的地に達することはめったにない。図示の例では、波面304を、3つの別個の伝搬モードまたは位相プロファイルの組み合わせ(フーリエ解析に基づいて分解可能)として概念化することができる。一実施形態によれば、結合領域106により光が受信されると、受信光の様々な位相プロファイルに対応する第2の複数の導波路110うちの1つより多くの導波路へと、光は方向付けられる。
【0050】
例えば、図示のように、光は、中央の導波路および中央の導波路の両側の導波路に結合され得る。よって、第1の複数の導波路108のそれぞれにわたる位相差に寄与しない受信光(モード1)が、中央の導波路C
nに結合される。さらに、第1の複数の導波路108のそれぞれにわたって、いくらかの正の位相差を有する受信光(モード2)が、中央の導波路の上方の導波路C
n+1に結合される。そして、第1の複数の導波路108のそれぞれにわたって、いくらかの負の位相差を有する受信光(モード3)が、中央の導波路の下方の導波路C
n-1に結合される。
図3Bでさらに示されているように、第2の複数の導波路110のうちの中央導波路C
n内で受信される光の強さおよび位相は、
図3Aについて議論されたように、
【数4】
と等しい。さらに
図3Bで見られるように、上隣の導波路C
n+1により受信される光の強さおよび位相は、
【数5】
と等しく、第2の複数の導波路110のうちの下隣の導波路C
n-1により受信される光の強さおよび位相は、
【数6】
と等しい。
【0051】
したがって、例えば、理想的なモードまたはコンポーネント(フラットな位相面を有するコンポーネント)のみ感光可能な標準的なコリメートシステムを用いた場合のように、入ってくる光の理想的ではない部分を失う代わりに、理想的なモードまたはコンポーネントだけでなく、第2の複数の導波路110のうちの様々な導波路で得ることができる他のモードまたはコンポーネントも捕獲することにより、より多くの入射光が受信され、次いで、所与の用途に応じて、これらの様々なモードまたはコンポーネントを、更なるデジタル処理のために別々に光検出およびデジタル化することが可能である。他の例示的ケースでは、様々なモードまたはコンポーネントを、周波数調整および/または位相調整し、コヒーレントに組み合わせることも可能である。
【0052】
これらは単なるいくつかの例であり、第1の複数の導波路108に入射する受信光の位相プロファイルに基づいて、光は、結合領域106を介して第2の複数の導波路110のうちの任意数の導波路に結合され得る。さらに、先で述べられたように、いくつかの実施形態では、光の大部分が、位相プロファイルに基づいて第2の複数の導波路110のうちの特定の導波路に結合されるが、光のいくらかの部分は、第2の複数の導波路110のちの他のいくつかの導波路または他の全ての導波路にも結合され得、こうした各部分は、検出前の処理(例えば、コヒーレント用途のための周波数調整および/または位相調整)、利用可能な1つまたは複数のモードの光検出、および、検出後の処理(例えば、コンピュータ、システム、または、プロセスを制御するために受信光信号を使用する)ために利用可能である。
【0053】
図4は、どのようにして、異なる送信器が、異なる角度から同じ受信器に送信を行うことができるか、受信器が、光の受信伝搬角度(本明細書では伝搬方向とも称される)に基づいて送信器を区別できるかの一例を示す。一実施形態によれば、これらのコンポーネントは、例えば、互いに通信する1つより多くのPICを含むシステムの一部分であり得る。示されている
図4の例は、PIC402、PIC404、および、PIC406を含み、これらはそれぞれ、自由空間にわたって互いに通信する別々のチップであり得る。これらの別々のチップは、コンピュータまたは他のホストプラットフォームの光通信バスの中など、同一デバイス中にあってもよい。いくつかの実施形態では、PIC402、PIC404、および、PIC406のそれぞれは、自由空間にわたって互いに通信する別々に収容されたデバイスに統合される。
【0054】
図示された使用事例では、PIC402およびPIC404が光送信器として働いており、PIC406が受光器として働いている。他の例では、PIC402、PIC404、および、PIC406のうちのいずれかが、送信器または受信器として働き得る。一実施形態によれば、PIC402が、PIC406に向かう第1の伝搬角度を有する第1の光線を送信する。同様に、PIC404が、PIC406に向かう第2の伝搬角度を有する第2の光線を送信する。こうしたいくつかの実施形態によれば、PIC402およびPIC404のそれぞれからの伝搬角度は、結合領域106の左側の特定の導波路に送信光を結合することにより選択される。このことは、例えば、選択された導波路に接続された光学源をアクティブにすること、または、光スイッチング網および/または変調素子を使用して、光学源から選択された導波路(多方向伝搬が所望される場合は複数の導波路)へと光を方向付けることにより達成され得る。見ると分かるように、アクティブな光学源および選択された導波路が、アクティブでないソースおよび選択されていない導波路からそれらを区別するためにボールドで示されている。さらに
図4で見られるように、光は、選択された入力導波路および結合領域106を通過して、結合領域106の右側の出力導波路のそれぞれに達し、選択された入力導波路に関連付けられた伝搬角度で、それらの出力導波路を出射する。
【0055】
送信光がPIC406により受信されると、それは、受信導波路に結合され、PIC406上の結合領域106へと導光され、ここで、光の受信伝搬角度(方向)に基づいて、光は1つまたは複数の特定の導波路へと方向付けられる。図示の例では、PIC402から受信される第1の光は第1の伝搬角度を有して受信され、よって、第1の光は、光検出器408に接続された導波路に結合され、PIC404から受信される第2の光は第2の伝搬角度を有して受信され、よって、第2の光は、光検出器410に接続された導波路に結合される。このようにして、光検出器408は、PIC402により送信される第1の光を受信し、光検出器410は、PIC404により送信される第2の光を受信する。第1の光および第2の光は、同時に、または、異なる時間に送信および受信され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、PIC402、PIC404、および、PIC406のうちの1つまたは複数が、光送信器および受光器の両方として設計される。こうした1つの例示的実施形態では、PIC402は、PIC406に光を送信し、PIC406から光を受信する。同様に、PIC404は、PIC406に光を送信し、PIC406から光を受信し、PIC406は、PIC402およびPIC404のうちの一方または両方に光を送信し、PIC402およびPIC404のうちの一方または両方から光を受信する。
図1を参照して先で議論されたように、光送信器および受光器を、同一のPICに組み込むこともできる。より詳細には、いくつかの実施形態によれば、結合領域106および光学源/光検出器の間に様々な光学素子を使用して、双方向用途において、送信光、受信光を区別すること、および/または、所与の用途のために必要に応じて、コヒーレント光を生成するか、または、光を調整することができる。2つのモードの光が同じ周波数および同じ位相または一定な位相差を有する場合に、それらはコヒーレントであると言われることに留意されたい。上記のような光学素子のいくつかの例には、光サーキュレータ、マルチプレクサおよびスイッチング網、位相変調器、周波数変調器、適応レンズ、偏光ビームスプリッタ、および、光アイソレータが含まれる。
【0057】
図5Aおよび
図5Bは、いくつかの実施形態に係る例示的なフォトニック回路受信器設計を示す。
図5Aは、一実施形態による、結合領域106、および、第2の複数の導波路110および光検出器504の間の1×Nカプラ502を含むPIC500を示す。カプラ502は、例えば、光検出器504により受信される信号出力に結合するべき、N個の入力のうちの1つを選択するマルチプレクサを含み得る。いくつかの実施形態では、カプラ502は、時分割多重を使用して、1つより多くの入力から受信される光を捕獲するためにN個の入力を切り替える。いくつかの実施形態では、カプラ502は、導波路110のうちのいずれかから受信される任意の光を、光検出器504に結合された単一の導波路に結合するように設計される。したがって、カプラ502は、1×N多モード干渉(MMI)カプラ、1×Nスターカプラ、または、これらと同様または同等の任意の結合素子であり得る。導波路110から受信される光をカプラ502が組み合わせる実施形態では、各導波路110上で変調素子を使用して、光検出器504により受信される光を調整することもできる。例示的変調素子には、位相または周波数の変調素子が含まれ得る。例えば、各導波路110上の光位相変調器を使用して、異なるコンポーネントの相対的な位相遅れ(例えば、φ
n、φ
(n-1)、φ
(n+1)など)を補償し、次いで、光検出の前に、それらの全てをコヒーレントに組み合わせることが可能である。
【0058】
図5Bは、結合領域106、および、第2の複数の導波路110上の複数の位相変調素子506を、導波路が光検出器508に結合される前段に含む他のPIC501を示す。上記のように、光検出器508は任意数の光検出器を表すことができ、これにより、導波路110のそれぞれは、別々の光検出器に結合され得る。光検出器508により受信される光のコヒーレンスさを促進するために、位相変調素子506を使用して、例えば、第2の複数の導波路110のそれぞれの中の光の位相を調整することが可能である。位相変調素子506は、複数の電気光学変調器、複数の熱光学変調器、または、複数の音響光学変調器のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、位相変調素子506の代わりに、または、それとともに、周波数変調器、振幅変調器、または、遅延素子などの他の変調器が使用される。より一般的な意味では、受信光は、その検出を所与の用途ために促進するように、調整(例えば、増幅、位相調整、周波数調整、および/または、フィルタリング)または処理することが可能である。
【0059】
PIC500またはPIC501のそれぞれについて、いくつかの実施形態では、第1の複数の導波路108とともに追加の変調素子を使用して、入射光の位相プロファイルの補正を行うことが可能である。追加の変調素子には、例えば、第1の複数の導波路108のそれぞれに結合された位相変調素子が含まれ得るが、任意の光処理コンポーネントを使用することが可能である(例えば、フィルタ、周波数調整器、位相調整器、適応レンズ)。
【0060】
図6は、いくつかの実施形態に係るフォトニック送信器として働く例示的PIC600を示す。一実施形態によれば、PIC600は、結合領域106、および、第2の複数の導波路110および光学源602の間の1×Nカプラ604を含む。カプラ604は、例えば、ソース602から受信される信号入力に結合するべき、N個の出力のうちの1つを選択するマルチプレクサを含み得る。いくつかの実施形態では、カプラ604は、時分割多重を使用して、第2の複数の導波路110のうちの1つより多くの導波路内にソース602から生成された光を送信するためにN個の出力を切り替える。いくつかの実施形態では、カプラ604は、ソース602から受信される光を第2の複数の導波路110のそれぞれに結合するように設計される。したがって、カプラ604は、1×N多モード干渉(MMI)カプラ、1×Nスターカプラ、または、これらと同様の任意の結合素子であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、第2の複数の導波路110のそれぞれが、振幅変調素子606を含む。各振幅変調素子606は、対応する導波路内の光の振幅を変えるように個々に制御され得る。例えば、振幅変調素子606は、3つの中央の導波路(例証されている)には振幅変調を適用せず、その他の導波路については振幅を0近くに低減するように制御することができる。振幅変調素子606を使用して、任意の振幅変調スキームを実現することができる。いくつかの実施形態によれば、振幅変調素子606は、複数の電気光学変調器、複数の熱光学変調器、または、複数の音響光学変調器のうちの1つまたは複数であり得る。いくつかの実施形態では、位相変調器および/または周波数変調器などの追加の変調素子も、第2の複数の導波路110のそれぞれに設けられる。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、第1の複数の導波路108とともに追加の変調素子を使用して、例えば、送信光の位相および/または周波数プロファイルの補正が行われる。追加の変調素子は、例えば、第1の複数の導波路108のそれぞれに結合された位相変調素子を含み得る。
【0063】
先で議論されたPICの実施形態のうちの様々な実施形態は、出力導波路の1次元アレイに沿って光を受信および/または送信した。しかし、いくつかの実施形態では、本明細書で議論されるPIC設計のうちのいずれかが、基板上で2Dパターンに導波路開口を配置することにより、2次元エリアにわたって光を受信および/または送信するように適応され得る。
図7は、一実施形態による、それぞれが結合領域702-1から702-4を有する第1の複数の光学素子701を備える例示的PIC700を示し、第1の複数の導波路708に接続された開口706の2Dアレイから光を捕獲または送信するために、各結合領域702-1から702-4が、第2の複数の光学素子703の追加の結合領域704-1から704-4に接続された導波路707を含んでいる。結合領域702-1から702-4および結合領域704-1から704-4のそれぞれは、例えば、
図2および
図3を参照して先で説明された自体の様々な導波路間で光を結合するように設計されたスターカプラであり得る。図示の例は、合計8個の結合領域とともに4×4アレイの開口706を含んでいるが、任意サイズの開口706アレイを、開口706の2Dアレイとインタフェースを取るための任意数の結合領域とともに設計可能であることを理解されたい。
【0064】
一実施形態によれば、第1の複数の光学素子701の各結合領域が、対応する結合領域の一方の側に結合された第1の複数の導波路708のサブセットを含む。第1の複数の導波路708の遠位端部が、送信光または受信光のための開口706を含む。各開口706は、開口706を介した導波路708内での光の受信を促進するために、開裂導波路面、角度を付けられた面、格子構造、ナノアンテナ、マイクロミラー、または、他のこうした光学素子のうちのいずれかを含み得る。
【0065】
第2の複数の導波路707のうちの各導波路は、第1の複数の光学素子701からの1つの結合領域を、第2の複数の光学素子703の1つの結合領域に接続する。例えば、各結合領域702-1から702-4は、結合領域704-1に接続された第1の導波路、結合領域704-2に接続された第2の導波路、結合領域704-3に接続された第3の導波路、および、結合領域704-4に接続された第4の導波路を含む。言い換えれば、各結合領域702-1から702-4が、結合領域704-1から704-4のうちの異なる結合領域にそれぞれが結合された導波路を含み、各結合領域704-1から704-4が、結合領域702-1から702-4のうちの異なる結合領域にそれぞれが結合された導波路を含む。図面内の異なる線種(実線および破線)を使用して、第2の複数の導波路707のうちのどの導波路が、結合領域702-1から702-4のそれぞれに関連付けられているかを差別化している。
【0066】
一実施形態によれば、光が2D開口706のアレイにより受信されると、それは、第1の複数の導波路708に結合され、第1の複数の光学素子701のそれぞれにより受信される。結合領域702-1を注視すると、光が受信され、受信光の伝搬方向に基づいて、第2の複数の導波路707のうちの実線の導波路のうちの1つまたは複数へと方向付けられる。他の結合領域702-2から702-4のそれぞれについても同様のプロセスが発生する。第2の複数の導波路707のうちのどの導波路に光が結合されたかに基づいて、結合領域704-1から704-4の全てが光を受信するわけではないこともある。例えば、結合領域702-1から702-4のそれぞれが、第2の複数の導波路707のうちの自体が対応する最も上にある導波路へと光を主に方向付ける角度で光が受信された場合、結合領域704-1のみが実質的な光エネルギーを受信するであろう。もちろん、先で言及されたように、いくつかの実施形態では、光の少なくともいくつかの部分を、結合領域702-1から702-4が、第2の複数の導波路707のうちの自体の導波路のそれぞれに結合する。
【0067】
結合領域704-1から704-4のそれぞれは、第2の複数の導波路707を介して光を受信し、第3の複数の導波路710のうちの1つまたは複数に光を結合する。第3の複数の導波路710には、1つまたは複数の光検出器が結合され得る。一実施形態によれば、開口706の2Dアレイにわたる受信光の伝搬角度が、第3の複数の導波路710のうちのどの導波路に、光が最終的に結合されるかに影響を与える。
図3Aおよび
図3Bを参照して先で説明された動作原理が、ここでは等しく適用可能であるが、2Dエリアにわたる光伝搬方向を決定するために、それらは発展されている。
【0068】
光送信の例では、一実施形態によれば、光は、第3の複数の導波路710のうちの1つまたは複数を通して送信され、結合領域704-1から704-4に入る。結合領域704-1から704-4のそれぞれは、対応する第2の複数の導波路707に受信光を結合し、ここで、結合領域704-1から704-4のそれぞれからの光は、第3の複数の導波路710のうちのどの導波路から光が受信されたかに基づく線形位相オフセットを有することとなる。
【0069】
結合領域702-1から702-4のそれぞれは、第2の複数の導波路707を介して光を受信し、第1の複数の導波路708のうちの1つまたは複数に光を結合する。第1の複数の導波路708内の光は、第3の複数の導波路710のうちのどの導波路内に光が送信されたかに基づく伝搬方向で、2D開口706のアレイから最終的に送出される。
図2Aから
図2Cを参照して先で説明された動作原理が、ここでは等しく適用可能であるが、2Dエリアにわたる光伝搬方向を制御するために、それらは発展されている。
【0070】
図8Aは、いくつかの実施形態による、セル802-1から802-nのアレイを備える他の例示的PIC800を示し、各セルは、光を受信または送信するために自体の開口804の線形アレイを有している。セル802-1は、
図8Aでより詳細に示されている。セル802-1から802-nの線形アレイが図示されているが、セルの2Dアレイは、そのアレイの各行または列に任意数のセルが存在する状態で使用することもできる。開口706と同様に、各開口804は、開口804を介した導波路806内での光の受信を促進するために、開裂導波路面、角度を付けられた面、格子構造、ナノアンテナ、マイクロミラー、または、他のこうした光学素子のうちのいずれかを含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、導波路806のうちのいずれか、または、それぞれが、変調素子808を含む。変調素子808は、導波路806のそれぞれの中の伝搬光の位相、周波数、振幅、または、遅延のうちのいずれかを変えるために提供され得る。図示の例では、変調素子808は、開口804を介して受信される光の位相プロファイルを補正するように個々にアドレス指定可能な位相変調器を含む。変調素子808は、電気光学、熱光学、または、音響光学変調器のいずれを含んでもよい。
【0072】
PIC800の各セルは、結合領域810を有する光学素子を備え、導波路806が、結合領域810の第1の側に結合され、導波路812が、結合領域810の第2の側に結合される。いくつかの実施形態では、結合領域810、導波路806、および、導波路812が共同で、N個の入力およびM個の出力(またはその逆)を有するN×Mスターカプラを形成する。結合領域810は、先で説明された結合領域106と機能および設計が同様であってもよい。
【0073】
導波路812は、結合領域810および光検出器814の間で結合される。先で議論されたように、光検出器814は任意数の光検出器を表すことができ、これにより、導波路812のそれぞれは、別々の光検出器に結合され得る。光検出器814の機能および設計は、先で説明された光検出器104と同様であり得る。
【0074】
図8Bから
図8Dは、光検出器814についての、いくつかの例示的設計を示す。
図8Bでは、光検出器814は、1つまたは複数のPNダイオード、PINダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、または、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)をそれぞれが有し得る光センサ816のアレイを備える。導波路812(ボールド線で特定されている)のそれぞれは、対応するセンサ816に結合され得る。
【0075】
図8Cでは、一実施形態によれば、導波路812(ボールド線で特定されている)のそれぞれからの光が、発振器820により提供される局部発振器光信号とミキサ818において混合され、その後、混合光が、対応するセンサ816により受信される。ミキサ818は、任意のタイプの非平衡、平衡、または、直交(IQ)ミキサであり得、いくつかの実施形態では、それは、1つまたは複数の多モード干渉(MMI)カプラを用いて実装される。発振器820からのLO信号は、導波路812のそれぞれからの受信光信号の周波数ダウンコンバージョンを実行するために固定周波数を有し得る。
【0076】
図8Dでは、
図8Cの実施形態同様に、導波路812(ボールド線で特定されている)のそれぞれからの光が、発振器820により提供される局部発振器光信号とミキサ818において混合され、その後、混合光が、対応するセンサ816により受信される。ミキサ818は、任意のタイプの非平衡、平衡、または、直交(IQ)ミキサであり得、いくつかの実施形態では、それは、1つまたは複数の多モード干渉(MMI)カプラを用いて実装される。ただし、発振器820からのLO信号の周波数は、センサ816からのフィードバックを使用して、発振器820のLO周波数を安定化および/または制御する位相ロックループ(PLL)822により影響され得る。
【0077】
図8Bから
図8Dを参照して説明される様々な光検出器の実施形態を、本明細書で説明されるフォトニック集積回路のうちの任意のフォトニック集積回路の光検出器のうちのいずれにも適用可能であることに留意されたい。
【0078】
PIC700では、カスケード接続された光学素子701および703を使用して、2Dエリアにわたる光受信の解析(または送信制御)が実現された。PIC800では、カスケード接続された光学素子の使用が、独立したレンズ配置の使用に置き換えられて、光に対する同様な2Dフーリエ変換が実現される。
図9は、いくつかの実施形態による、開口804に光を結合するために、または、そこからの光を結合するために使用される例示的レンズ配置900を示す。レンズ配置900は、基板101の一方の側を覆って接合または位置合わせして、基板101の厚みを通して、基板101の反対側の開口804に光を収集または送信することができる。したがって、一実施形態によれば、基板101は、使用されている光の波長を実質的に透過させる材料である。1つの例では、基板101はシリコン基板であり、光は赤外光である。
【0079】
一実施形態によれば、レンズ配置900は、PIC800内のセルのそれぞれにわたって延びる第1のシリンドリカルレンズ902を含む。いくつかの例では、シリンドリカルレンズ902は、シリンドリカルレンズ以外のレンズである。シリンドリカルレンズ902は、1つの方向のみに集光している光に影響し、これを、フーリエ変換構成内で使用して、PIC700内のカスケード接続された光学素子の段のうちの1つと同様の1Dフーリエ変換効果をもたらすことが可能である。いくつかの実施形態では、レンズ配置900が、レンズアレイ904も含む。レンズアレイ904は、PIC800内のセルのそれぞれにわたって延びてもよく、または、独立したレンズアレイ904が、PIC800内の各セルの開口804を覆って位置合わせされてもよい。レンズアレイ904は、基板101を通して所与の開口804に光を集光する任意のタイプのレンズを含み得る。いくつかの例では、開口804と同一面である基板101の面上で、反射防止(AR)コーティング906が使用される。
【0080】
図10は、いくつかの実施形態による、PIC1002とともに、論理回路1004、電源1006、および、ユーザインタフェース1008など、PIC1002とインタフェースを取るための電気コンポーネントを含む例示的デバイス1000を示す。PIC1002は、本明細書で説明される、自由空間光を送信および/または受信するためのPIC設計のうちのいずれのものをも表し得る。
【0081】
一実施形態によれば、論理回路1004は、PIC1002の様々なコンポーネントを制御するために、または、PIC1002上の1つまたは複数の光検出器から電気信号を受信し、解析するために使用されるハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の組み合わせを含み得る。例えば、論理回路1004は、PIC1002上のアクティブな光変調器(例えば、位相、周波数、または、振幅の変調器)のうちの1つまたは複数を制御するための、または、光マルチプレクサなどの選択的スイッチング素子を制御するための電気信号を提供し得る。論理回路1004は、1つまたは複数の光検出器からの電気的出力を受信して、受信信号の特性に基づいて受信光の伝搬方向を決定すること、および/または、どの光検出器から信号が受信されるかを決定することができる。いくつかの実施形態では、論理回路1004は、1つまたは複数の光学源および/または変調素子を制御して、所与の時間に、または、特定の伝搬方向に光を送信することができる。
【0082】
論理回路1004は、任意数のプロセッサまたは処理デバイスを表し得る。いくつかの実施形態では、論理回路1004は、任意の適当なプロセッサを含み、また、PIC1002に関連付けられた動作の制御および処理を支援するための1つまたは複数のコプロセッサまたはコントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、任意数のプロセッサコアとして実装され得る。プロセッサ(またはプロセッサコア)は、例えば、マイクロプロセッサ、組込みプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックスプロセッサ(GPU)、ネットワークプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または、コードを実行するように構成された他のデバイスなど、任意のタイプのプロセッサであってもよい。
【0083】
論理回路1004は、メモリ1010に記憶されたコードまたはソフトウェアを実行するように設計され得る。いくつかの実施形態によれば、メモリ1010は、例えば、フラッシュメモリおよび/またはランダムアクセスメモリ(RAM)を含む任意の適当なタイプのデジタルストレージを使用して実装可能である。いくつかの実施形態では、メモリ1010は、メモリ階層および/またはメモリキャッシュの様々な層を含み得る。メモリ1010は、RAM、動的RAM(DRAM)、または、静的RAM(SRAM)デバイスなどの揮発性メモリデバイスとして実装することができるが、これらに限定されない。コードまたは命令を、例えば、PIC1002に与えられる光源を制御するために、または、用途に応じた1つまたは複数の光学素子(例えば、位相調整器など)をオンに切り替えるために、または、PIC1002から光を受信するフォトディテクタの感度または他の設定可能なパラメータを設定するために使用することができることに留意されたい。
【0084】
一実施形態によれば、デバイス1000内に電源1006を含めて、デバイス1000の様々な電気コンポーネントに電力を供給することができる。電源1006は、バッテリまたはキャパシタなどの任意の周知エネルギー貯蔵コンポーネント、および/または、デバイス1000のコンポーネントを、デバイス1000から分離したエネルギー源(例えば、AC線電力)に結合するための回路を表し得る。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、ユーザインタフェース1008は、ユーザがデバイス1000と対話するための任意の手段を含み得る。ユーザインタフェース1008は、表示素子、タッチパッド、キーボード、マウス、スピーカなどのデバイス(図示せず)を含み得る。したがって、ユーザは、タッチパッド、キーボード、または、マウスを介した入力を使用してデバイス1000と対話することができ、ディスプレイを介して受信される情報を読み出すことができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、デバイス1000からオーディオ出力を受信することができる。
方法体系
【0086】
図11は、本開示の特定の実施形態に係る、1つまたは複数の伝搬方向から光を受信するために多方向光学デバイスを使用する例示的方法1100を示す。見ると分かるように、この例示的方法は、いくつかのフェーズおよびサブプロセスを含み、それらのシーケンスは、実施形態に応じて異なり得る。しかし、全体として考えると、これらのフェーズおよびサブプロセスが、例えば、
図3Aおよび
図3Bを参照して先で説明されたように、複数の伝搬方向から光を受信し、受信光の伝搬方向を決定するためのプロセスを形成する。この方法は、本明細書で説明される様々なPIC実施形態のうちのいずれにおいても実装することができるが、本開示に照らして明らかになるように、他の実施形態では、他のシステムアーキテクチャを使用することもできる。このために、
図11に示される様々な機能の、他の図面に示される特定のコンポーネントとの相関は、どのような構造上および/または使用上の制限をも示唆する意図はない。多数の変形形態および代替構成が、本開示に照らして明らかになるであろう。
【0087】
一実施形態によれば、方法1100は動作1102から始まり、ここでは、光が1つまたは複数の伝搬方向から受信され、第1の複数の導波路に結合される。光は、約400nmから約2000nmの任意の波長を有し得る。光は、基板にわたる平面に沿って位置合わせされた開口により受信され得、この基板は、第1の複数の導波路も含んでいる。開口は、格子構造、マイクロミラー、ナノアンテナなど、光を受信し、対応する導波路に結合するように設計された光学素子を含み得る。いくつかの実施形態では、開口は、基板の表面にわたる2Dアレイ状に配置される。いくつかの例では、光は、第1の複数の導波路の端部における開裂面により直接的に受信される。いくつかの例では、光は、光学格子、マイクロレンズ、または、マイクロミラーなどの1つまたは複数の屈折率整合型の構造または光学素子を介して、第1の複数の導波路に結合される。いくつかの実施形態によれば、第1の複数の導波路内の光は、受信光の伝搬方向に応じた位相プロファイルを有する。
【0088】
一実施形態によれば、方法1100は動作1104で継続し、ここでは、第1の複数の導波路内の光が、結合領域の第1の側に結合される。結合領域は、スターカプラの形態を有し得る。スターカプラは、第1の複数の導波路と同じ材料から基板上に形成され得る。
【0089】
一実施形態によれば、方法1100は動作1106で継続し、ここでは、光が、結合領域の第2の側で1つまたは複数の第2の導波路に選択的に結合される。
図2Aから
図2Cを参照して先でより詳細に議論されたように、結合領域は、受信光の位相プロファイルに基づいて、1つまたは複数の第2の導波路のうちの特定の導波路に受信光を結合するように設計される。
【0090】
一実施形態によれば、方法1100は動作1108で継続し、ここでは、受信光の1つまたは複数の伝搬方向が、1つまたは複数の第2の導波路のうちのどの導波路から光が受信されるかに基づいて決定される。1つまたは複数の第2の導波路からの光は、1つまたは複数の光検出器により受信されて、電気信号に変換され得る。いくつかの実施形態では、決定された光の伝搬方向を使用して、光がどこから送信されたかを決定し、よって、送信光の特定のソースを特定することが可能である。1つまたは複数伝搬方向は、1つまたは複数の第2の導波路から光を受信している1つまたは複数の光検出器から電気信号を受信するように構成されたプロセッサ(論理回路804について議論されたようなもの)を使用して決定することができる。
【0091】
図12は、本開示の特定の実施形態に係る、1つまたは複数の伝搬方向に光を送信するために多方向光学デバイスを使用する例示的方法1200を示す。見ると分かるように、この例示的方法は、いくつかのフェーズおよびサブプロセスを含み、それらのシーケンスは、実施形態に応じて異なり得る。しかし、全体として考えると、これらのフェーズおよびサブプロセスが、例えば、
図2Aから
図2Cを参照して先で説明されたように、複数の伝搬方向への光の送信を制御するためのプロセスを形成する。この方法は、本明細書で説明される様々なPIC実施形態のうちのいずれにおいても実装することができるが、本開示に照らして明らかになるように、他の実施形態では、他のシステムアーキテクチャを使用することもできる。このために、
図12に示される様々な機能の、他の図面に示される特定のコンポーネントとの相関は、どのような構造上および/または使用上の制限をも示唆する意図はない。多数の変形形態および代替構成が、本開示に照らして明らかになるであろう。
【0092】
一実施形態によれば、方法1200は動作1202から始まり、ここでは、光が第1の複数の導波路のうちの、ある導波路内に送信される。導波路の選択は、選択された導波路に結合された特定の光学源をアクティブにすることにより、光スイッチング網を使用して、特定の導波路へと光を方向付けることにより、または、変調素子を使用して、第1の複数の導波路のうちの特定の導波路内の光を抑制および/または増幅することにより行われ得る。送信光を生成するのに使用される光学源は、レーザまたはLEDであり得る。いくつかの実施形態では、1つより多くの伝搬方向に同時に光を送信するために、第1の複数の導波路のうちの1つより多くの導波路内へと光を送信することが可能である。
【0093】
一実施形態によれば、方法1200は動作1204で継続し、ここでは、光が、第1の複数の導波路から、結合領域の第1の側に結合される。結合領域は、スターカプラの形態を有し得る。スターカプラは、第1の複数の導波路と同じ材料から基板上に形成され得る。
【0094】
一実施形態によれば、方法1200は動作1206で継続し、ここでは、光が、結合領域の第2の側で第2の複数の導波路に結合される。
図2Aから
図2Cを参照して先でより詳細に議論されたように、結合領域は、第1の複数の導波路のうちのどの導波路から光が受信されたかに応じた位相プロファイルを伴って、光が第2の複数の導波路に結合されるように設計される。位相プロファイルにより、第2の複数の導波路から出射される際の光の最終的な伝搬方向が求まる。
【0095】
一実施形態によれば、方法1200は動作1208で継続し、ここでは、第1の複数の導波路のうちのどの導波路内に光が送信されたかに応じた伝搬方向に、光が第2の複数の導波路から送信される。光が第1の複数の導波路のうちの1つの導波路内にのみ送信される場合、光は、線形位相面を伴って第2の複数の導波路から出射されることとなり、この結果、単一の伝搬方向になる。しかし、いくつかの例では、光が第1の複数の導波路のうちの1つより多くの導波路内に送信される場合、光は、非線形位相面(様々な位相プロファイルが寄与したものから形成される)を伴って第2の複数の導波路から出射されることとなり、この結果、複数の伝搬方向になる。
【0096】
特に明記されない限りは、本明細書での議論から明らかなように、「処理する」、「演算する」、「計算する」、または、「決定する」などの言い回しは、コンピュータシステムのレジスタおよび/またはメモリユニット内で物理量(例えば、電子的量)として表されるデータを操作し、かつ/または、そうしたデータを、コンピュータシステムのレジスタ、メモリユニット、または、他のこうした情報記憶、送信、または、ディスプレイデバイス内で物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータまたはコンピューティングデバイス、または、同様の電子コンピューティングデバイスのアクションおよび/または処理を指すことを理解することができる。この文脈では、実施形態は限定されない。
【0097】
本明細書での任意の実施形態で使用される「回路」という用語は、単独で、または、任意の組み合わせにおいて、例えば、ハードワイヤード回路、1つまたは複数の個々の命令処理コアを有するコンピュータプロセッサなどのプログラマブル回路、ステートマシン回路、および/または、プログラマブル回路により実行される命令を記憶するファームウェアを備え得る。回路は、1つまたは複数の命令を実行して、本明細書で説明される1つまたは複数の動作を実行するように構成されたプロセッサおよび/またはコントローラを含み得る。命令は、例えば、前述の動作のうちのいずれかを回路に実行させるように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェアなどとして具現化され得る。ソフトウェアは、コンピュータ可読記憶デバイス上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、および/または、データとして具現化され得る。ソフトウェアは、任意数のプロセスを含むように具現化または実装され得、続いて、プロセスは、任意数のスレッドなどを階層的に含むように具現化または実装され得る。ファームウェアは、メモリデバイス内でハードコードされた(例えば、不揮発性である)コード、命令または命令セット、および/または、データとして具現化され得る。回路は、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなど、より大きなシステムの一部分を形成する回路として、集合的に、または、個々に具現化され得る。他の実施形態は、プログラマブル制御デバイスにより実行されるソフトウェアとして実装され得る。本明細書で説明されているように、ハードウェア素子、ソフトウェア素子、または、それらの任意の組み合わせを使用して様々な実施形態が実装され得る。ハードウェア素子の例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子(例えば、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、および、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、および、チップセットなどを含み得る。
[他の考えられる項目]
(項目1)
基板;
前記基板上の光学素子、前記光学素子が、
結合領域、
前記結合領域の第1の側にそれぞれが結合された第1の複数の導波路、および
前記結合領域の第2の側にそれぞれが結合された第2の複数の導波路を有し、
ここで、前記結合領域が、前記第1の複数の導波路から受信される光を、前記第1の複数の導波路のそれぞれの中の前記光の相対位相差に基づいて、前記第2の複数の導波路のうちの1つまたは複数に結合するように構成されている、光学素子;および
前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数から前記光を受信し、こうすることで、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数のうちの各導波路から受信される前記光が、前記第1の複数の導波路により受信される光の異なる伝搬方向に関連付けられるように構成された1つまたは複数の光検出器
を備える集積フォトニックシステム。
(項目2)
前記第1の複数の導波路がそれぞれ、実質的に同じ光路長を有する、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目3)
前記第2の複数の導波路のうちの対応する導波路に結合された位相変調素子をさらに備える、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目4)
前記第1の複数の導波路のうちの対応する導波路に結合された位相変調素子をさらに備える、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目5)
前記第2の複数の導波路に結合された入力および前記1つまたは複数の光検出器に結合された1つまたは複数の出力を有するカプラをさらに備える、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目6)
前記第1の複数の導波路のそれぞれの第1の端部が、共通の平面に沿って互いに平行に配置された、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目7)
前記1つまたは複数の光検出器に結合されており、前記第1の複数の導波路により収集される光の伝搬方向を決定するように構成された処理デバイスをさらに備える、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目8)
前記1つまたは複数の光検出器が、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数から受信される光を、局部発振器から受信される光と混合するように構成された1つまたは複数のミキサを有する、項目1に記載の集積フォトニックシステム。
(項目9)
前記局部発振器の周波数を制御するように構成された位相ロックループ(PLL)をさらに備える、項目8に記載の集積フォトニックシステム。
(項目10)
前記1つまたは複数のミキサが、1つまたは複数の非平衡、平衡、または、直交(IQ)ミキサを含む、項目8に記載の集積フォトニックシステム。
(項目11)
前記光学素子が、前記基板上の複数の光学素子のうちの1つの光学素子であり、前記複数の光学素子のうちの各光学素子が、結合領域、および、前記対応する結合領域の第1の側に結合された第1の複数の導波路を有し、前記複数の光学素子にわたった、前記第1の複数の導波路の端部が、前記基板上で2次元アレイ状に配置された、項目1から10のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目12)
前記複数の光学素子が、第1の複数の光学素子であり、前記集積フォトニックシステムが、第2の複数の光学素子をさらに備え、前記第2の複数の光学素子のうちの各光学素子が、結合領域を有し、前記第1の複数の光学素子の所与の結合領域の第2の側に結合された第2の複数の導波路のそれぞれが、前記第2の複数の光学素子の異なる結合領域に結合された、項目11に記載の集積フォトニックシステム。
(項目13)
前記結合領域、前記第1の複数の導波路、および、前記第2の複数の導波路が全て、窒化シリコンを含む、項目1から10のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目14)
前記結合領域の前記第2の側が、前記結合領域の前記第1の側とは反対である、項目1から10のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目15)
前記第1の複数の導波路がそれぞれ、前記第1の複数の導波路のうちの対応する導波路に受信光を結合するように構成された格子構造、ナノアンテナ、または、マイクロミラーを含む開口を含む、項目1から10のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目16)
前記光学素子および前記1つまたは複数の光検出器が、フォトニックセルの素子であり、前記集積フォトニックシステムが、複数のフォトニックセルをさらに備える、項目15に記載の集積フォトニックシステム。
(項目17)
前記基板の上に配置されており、前記開口に向かって光を方向付けるように構成されたシリンドリカルレンズをさらに備える、項目16に記載の集積フォトニックシステム。
(項目18)
前記シリンドリカルレンズおよび前記基板の間に配置されており、前記シリンドリカルレンズから受信された光を、前記開口に向かって集光するように構成されたレンズアレイをさらに備える、項目17に記載の集積フォトニックシステム。
(項目19)
基板;
前記基板上の1つまたは複数の光学源;および
前記基板上の光学素子
を備える集積フォトニックシステムであって、前記光学素子が、
結合領域、
前記1つまたは複数の光学源のうちの少なくとも1つの光学源に光学的に結合された第1の端部をそれぞれが含み、前記結合領域の第1の側に結合された第2の端部をそれぞれが含む第1の複数の導波路、および
前記結合領域の第2の側にそれぞれが結合された第2の複数の導波路を有し、
ここで、前記結合領域が、前記第1の複数の導波路のうちの1つまたは複数から受信される光を、前記第2の複数の導波路に結合し、こうすることで、前記第2の複数の導波路のそれぞれの中の前記光の相対位相差が、前記第1の複数の導波路のうちのどの導波路から前記光が受信されるかに基づくようになるように構成されており、
ここで、前記第2の複数の導波路のうちの1つまたは複数のうちのそれぞれから、前記第2の複数の導波路のうちの前記1つまたは複数のそれぞれの間の前記光の前記相対位相差に基づいた伝搬方向に光が出射する、集積フォトニックシステム。
(項目20)
前記第2の複数の導波路がそれぞれ、実質的に同じ光路長を有する、項目19に記載の集積フォトニックシステム。
(項目21)
前記第1の複数の導波路のうちのいずれかの導波路に結合された位相変調素子をさらに備える、項目19に記載の集積フォトニックシステム。
(項目22)
前記第2の複数の導波路のうちのいずれかの導波路に結合された位相変調素子をさらに備える、項目19に記載の集積フォトニックシステム。
(項目23)
前記第1の複数の導波路のうちのいずれかの導波路に結合された振幅変調素子をさらに備える、項目19に記載の集積フォトニックシステム。
(項目24)
前記1つまたは複数の光学源に結合された入力および前記第1の複数の導波路に結合された複数の出力を有するマルチプレクサをさらに備える、項目19に記載の集積フォトニックシステム。
(項目25)
前記マルチプレクサに結合されており、前記複数の出力のうちの、前記光が進行するための1つまたは複数の出力を選択するように構成された論理回路をさらに備え、ここで、前記第2の複数の導波路から出射する前記光の前記伝搬方向が、前記選択に基づいている、項目24に記載の集積フォトニックシステム。
(項目26)
前記光が、前記第2の複数の導波路の遠位端部から出射し、前記第2の複数の導波路のそれぞれの前記遠位端部が、共通の平面に沿って互いに平行に配置された、項目19に記載の集積フォトニックシステム。
(項目27)
前記光学素子が、前記基板上の複数の光学素子のうちの1つの光学素子であり、前記複数の光学素子のそれぞれが、結合領域、前記結合領域の第1の側に結合された第1の複数の導波路、および、前記結合領域の第2の側に結合された第2の複数の導波路を有し、前記複数の光学素子にわたった、前記第2の複数の導波路の端部が、前記基板上で2次元アレイ状に配置された、項目19から26のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目28)
前記複数の光学素子が、第1の複数の光学素子であり、前記集積フォトニックシステムが、第2の複数の光学素子をさらに備え、前記第2の複数の光学素子のうちの各光学素子が、結合領域を有し、前記第1の複数の光学素子の所与の結合領域に結合された前記第1の複数の導波路のそれぞれが、前記第2の複数の光学素子の異なる結合領域に結合された、項目27に記載の集積フォトニックシステム。
(項目29)
前記結合領域、前記第1の複数の導波路、および、前記第2の複数の導波路が全て、窒化シリコンを含む、項目19から26のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目30)
前記結合領域の前記第2の側が、前記結合領域の前記第1の側とは反対である、項目19から26のうちのいずれか一項目に記載の集積フォトニックシステム。
(項目31)
多方向光学デバイスを使用する方法であって、
1つまたは複数の伝搬方向から受信される光の少なくとも一部分を、基板上の第1の複数の導波路に結合する段階;
前記第1の複数の導波路からの前記光を、前記基板上の結合領域の第1の側に結合する段階;および、
前記結合領域からの前記光を、前記結合領域の第2の側における複数の第2の導波路のうちの1つまたは複数の第2の導波路に選択的に結合する段階、ここで、前記1つまたは複数の第2の導波路が、前記第1の複数の導波路に結合された前記受信光の前記1つまたは複数の伝搬方向に基づいて選択される、
を備える方法。
(項目32)
前記1つまたは複数の第2の導波路のうちの1つまたは複数から光を受信する段階;および
前記第1の複数の導波路に結合された前記受信光の前記1つまたは複数の伝搬方向を、前記1つまたは複数の第2の導波路のうちのどの導波路から前記光が受信されるかに基づいて決定する段階
をさらに備える、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記1つまたは複数の第2の導波路から受信される前記光を、1つまたは複数の光検出器を使用して検出する段階をさらに備える、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記1つまたは複数の第2の導波路から受信される前記光を、局部発振器から受信される光と混合する段階をさらに備える、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記1つまたは複数の第2の導波路から受信される前記光を多重化する段階をさらに備える、項目32に記載の方法。
(項目36)
前記1つまたは複数の第2の導波路に結合された1つまたは複数の位相変調器を使用して、前記1つまたは複数の第2の導波路内の前記光に位相変調を適用する段階をさらに備える、項目32に記載の方法。
(項目37)
前記第1の複数の導波路に結合された1つまたは複数の位相変調器を使用して、前記第1の複数の導波路内の前記光に位相変調を適用する段階をさらに備える、項目31に記載の方法。
(項目38)
前記光を受信する段階が、前記基板上で2次元アレイ状に配置された複数の開口にて前記光を受信する段階を有する、項目31から37のいずれか一項目に記載の方法。
(項目39)
多方向光学デバイスを使用する方法であって、
基板上の複数の第1の導波路のうちの1つの導波路内に光を送信する段階;
前記1つの導波路からの前記光を、前記基板上の結合領域の第1の側に結合する段階;および
前記結合領域からの前記光を、前記結合領域の第2の側に結合された第2の複数の導波路のそれぞれに結合する段階、ここで、前記光が、前記複数の第1の導波路のうちのいずれの導波路内に前記光が送信されたかに基づいて、前記第2の複数の導波路から異なる伝搬方向で出射する、を備える方法。
(項目40)
前記送信する段階が、前記基板上の前記複数の第1の導波路のうちの選択された導波路内に前記光を送信する段階を備え、前記光が、前記第2の複数の導波路の遠位端部から、前記複数の第1の導波路のうちの前記選択された導波路のうちのどの導波路内に前記光が送信されたかに基づいた複数の異なる伝搬方向に出射する、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記複数の第1の導波路に結合された1つまたは複数の位相変調器を使用して、前記選択された導波路内の前記光に位相変調を適用する段階をさらに備える、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記複数の第1の導波路に結合された1つまたは複数の振幅変調器を使用して、前記選択された導波路内の前記光に振幅変調を適用する段階をさらに備える、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記第2の複数の導波路に結合された1つまたは複数の位相変調器を使用して、前記第2の複数の導波路内の前記光に位相変調を適用する段階をさらに備える、項目39に記載の方法。
(項目44)
前記複数の第1の導波路のうちの選択された導波路内に前記送信光を多重化する段階をさらに備える、項目39に記載の方法。
(項目45)
前記光が、前記基板上で2次元アレイ状に配置された複数の開口において前記第2の複数の導波路から出射する、項目39から44のいずれか一項目に記載の方法。
【国際調査報告】