(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】刺激装置、人工換気装置、刺激方法および人工換気方法
(51)【国際特許分類】
A61N 2/04 20060101AFI20230807BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20230807BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61N2/04
A61M16/00 332A
A61B5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504206
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2021070605
(87)【国際公開番号】W WO2022018231
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296347
【氏名又は名称】シュティミッツ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー-ブルーン, ロニヤ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C106
【Fターム(参考)】
4C038SS00
4C038ST09
4C038SU06
4C106AA06
4C106BB21
4C106CC03
4C106FF12
(57)【要約】
空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する磁場誘導装置と、センサ部と、磁場誘導装置およびセンサ部と通信する制御部と、を備える刺激装置が提供される。磁場誘導装置の磁場発生器は、ヒト患者または動物患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、センサ部は、ヒト患者または動物患者に配置されて、呼吸器システムまたは患者からのフィードバックを検知するように構成されており、制御部は、磁場誘導装置を制御して空間磁場を発生させ、センサ部からフィードバック信号を受信するように構成されている。制御部は、センサ部から受信したフィードバック信号を評価し、フィードバック信号が異常を示した場合に磁場誘導装置の磁場発生器を起動させるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する磁場誘導装置と、
センサ部と、
前記磁場誘導装置および前記センサ部と通信する制御部と、
を備える刺激装置であって、
前記磁場誘導装置の前記磁場発生器は、ヒト患者または動物患者に配置されて、前記患者の吸気筋組織が前記空間磁場によって刺激され得るように構成されており、
前記センサ部は、前記ヒト患者または動物患者に配置されて、前記患者からの、または前記患者の呼吸システムからのフィードバックを検知するように構成されており、
前記制御部は、前記磁場誘導装置を制御して前記空間磁場を発生させて、前記センサ部からフィードバック信号を受信するように構成されており、
前記制御部が、前記センサ部から受信した前記フィードバック信号を評価し、前記フィードバック信号が異常を示した場合に、前記磁場誘導装置の前記磁場発生器を起動させるように構成されていることを特徴とする、
刺激装置。
【請求項2】
前記センサ部が前記患者の呼吸システムの圧力を検知する圧力センサを備え、異常は、呼気終末陽圧、すなわちPEEPが所定の圧力閾値を下回った場合である、請求項1に記載の刺激装置。
【請求項3】
前記吸気筋組織が、前記患者の横隔膜、前記患者の外肋間筋、前記患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む、請求項1または2に記載の刺激装置。
【請求項4】
前記圧力センサ部が気道圧センサを備え、前記フィードバック信号が、気道圧成分を有する圧力信号である、請求項1から3のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項5】
前記圧力センサ部が食道内圧センサを備え、前記圧力信号が食道内圧成分を有する、請求項4に記載の刺激装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記圧力信号の前記気道圧成分から前記圧力信号の前記食道内圧成分を減算することで経肺圧を算出することにより、前記圧力信号を評価するように構成されている、請求項4および5のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項7】
前記センサ部が、前記患者に過換気が発生していることを検知する過換気センサを備え、異常は、前記患者に過換気が発生していることが識別された場合である、請求項1から6のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項8】
前記過換気センサが、前記患者に配置されて、前記患者の前記呼吸システム内の空気流を検知するように構成された空気流センサであり、
インジケータ信号が空気流信号であり、
前記制御部が、前記空気流信号から求められた呼吸数が閾値数を超えた場合に、評価された前記空気流信号が過換気を表すように構成されている、請求項7に記載の刺激装置。
【請求項9】
前記閾値数が毎分15回以上である、請求項8に記載の刺激装置。
【請求項10】
過換気センサ部が、前記患者に配置されて、前記患者の気中または血中の二酸化炭素濃度を検知するように構成された二酸化炭素センサであり、
前記インジケータ信号が二酸化炭素信号であり、
前記制御部が、前記二酸化炭素信号から求められた二酸化炭素濃度が二酸化炭素閾値を下回った場合に、評価された前記二酸化炭素信号が過換気を表すように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項11】
前記二酸化炭素閾値が22mmol/L以下である、請求項10に記載の刺激装置。
【請求項12】
前記センサ部が、呼吸システムから前記患者に供給されるガスの酸素含有量を検知するセンサを備え、異常は、前記酸素含有量が所定の酸素化閾値を下回った場合である、請求項1から11のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項13】
前記制御部が前記磁場誘導装置を起動させて、前記磁場発生器が前記空間磁場のパルスを生成するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項14】
前記空間磁場のパルスが約10Hz~約35Hzの周波数を有する、請求項13に記載の刺激装置。
【請求項15】
前記磁場誘導装置の前記磁場発生器が電極を備え、前記磁場発生器によって生成された前記空間磁場が電場である、請求項1から14のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項16】
前記磁場誘導装置の前記磁場発生器がコイル構造を備え、前記磁場発生器によって生成された前記空間磁場が電磁場である、請求項1から14のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項17】
前記磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、
前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器が、前記ヒト患者または動物患者に配置されて、前記患者の呼気筋組織が前記第2の空間磁場によって刺激され得るように構成されており、
前記制御部が、前記磁場誘導装置を、前記磁場発生器および前記第2の磁場発生器に前記磁場および前記第2の磁場の協調パルスを発生させて、前記患者の前記吸気筋組織および前記患者の前記呼気筋組織を次々と協調的に刺激するよう作動させるように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項18】
前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器が第2の電極を備え、前記磁場発生器によって生成された前記第2の空間磁場が第2の電場である、請求項17に記載の刺激装置。
【請求項19】
前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器が第2のコイル構造を備え、前記第2の磁場発生器によって生成された前記第2の空間磁場が第2の電磁場である、請求項17に記載の刺激装置。
【請求項20】
前記呼気筋組織が、前記患者の腹筋、前記患者の内肋間筋、前記患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項21】
前記制御部が、前記センサ部から受信した前記フィードバック信号が異常を示した場合に、前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器を停止状態にして、前記第2の空間磁場を発生させないように構成されている、請求項17から20のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項22】
前記所定の圧力閾値および/または前記所定の酸素化閾値を設定するように構成された入力構造を備える、請求項1から21のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項23】
前記入力構造がユーザインターフェースを含む、請求項22に記載の刺激装置。
【請求項24】
前記患者の前記呼吸システム内に気流抵抗を付与するように構成された抑制装置を備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項25】
前記空間磁場を発生させるように前記磁場誘導装置の前記磁場発生器を手動で駆動させるように構成された起動装置を備える、請求項1から24のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項26】
前記駆動装置が、前記患者にアクセス可能なボタンを備える、請求項25に記載の刺激装置。
【請求項27】
前記磁場誘導装置が駆動されたときに、前記磁場発生器によって生成された前記空間磁場内に横隔神経があるように、前記磁場誘導装置の前記磁場発生器が前記患者に配置されるように構成されている、請求項1から26のいずれか一項に記載の刺激装置。
【請求項28】
ヒト患者または動物患者に磁場誘導装置の磁場発生器を配置することであって、前記磁場発生器は、前記患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、前記空間磁場を発生させるように構成されている、磁場発生器を配置することと、
前記患者からの、または前記患者の呼吸システムからのフィードバックを検知するセンサ部を、前記ヒト患者または動物患者に配置することと、
前記センサ部によって供給されるフィードバック信号を評価することと、
前記フィードバック信号が異常を示した場合に、前記磁場誘導装置の前記磁場発生器を駆動して、前記空間磁場を発生させることと、を含む、
患者を刺激して前記患者の人工換気を行うか、または前記患者の呼吸を補助する刺激方法。
【請求項29】
前記吸気筋組織が、前記患者の横隔膜、前記患者の外肋間筋、前記患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む、請求項28に記載の刺激方法。
【請求項30】
前記センサ部が、前記患者の呼吸システムの圧力を検知する圧力センサを備え、異常は、呼気終末陽圧、すなわちPEEPが所定の圧力閾値を下回った場合である、請求項28に記載の刺激方法。
【請求項31】
圧力センサ部が気道圧センサを備え、圧力信号が気道圧成分を有する、請求項30に記載の刺激方法。
【請求項32】
前記圧力センサ部が食道内圧センサを備え、前記圧力信号が食道内圧成分を有する、請求項30または31に記載の刺激方法。
【請求項33】
前記圧力センサ部によって供給される前記圧力信号を評価することが、前記圧力信号の前記気道圧成分から前記圧力信号の前記食道内圧成分を減算することで経肺圧を算出することを含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項34】
前記センサ部が、前記患者に過換気が発生していることを検知する過換気センサを備え、異常は、前記患者に過換気が発生していることが識別された場合である、請求項28から33のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項35】
過換気センサ部が、前記患者に配置されて、前記患者の前記呼吸システム内の空気流を検知するように構成された空気流センサであり、
インジケータ信号が空気流信号であり、
前記空気流信号から求められた呼吸数が閾値数を超えた場合に、評価された前記空気流信号が過換気状態を表す、請求項34に記載の刺激方法。
【請求項36】
前記閾値数が毎分15回以上である、請求項35に記載の刺激方法。
【請求項37】
前記過換気センサ部が、前記患者に配置されて、前記患者の気中または血中の二酸化炭素濃度を検知するように構成された二酸化炭素センサであり、
インジケータ信号が二酸化炭素信号であり、
前記二酸化炭素信号から求められた二酸化炭素濃度が二酸化炭素閾値を下回った場合に、評価された前記二酸化炭素信号が過換気を表す、請求項28から33のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項38】
前記二酸化炭素閾値が22mmol/L以下である、請求項37に記載の刺激装置。
【請求項39】
前記センサ部が、前記呼吸システムから前記患者に供給されるガスの酸素含有量を検知するセンサを備え、異常は、前記酸素含有量が所定の酸素化閾値を下回った場合である、請求項1から38のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項40】
前記磁場誘導装置の前記磁場発生器を駆動することが、前記空間磁場のパルスを発生させることを含む、請求項28から39のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項41】
前記空間磁場のパルスが、約10Hz~約35Hzの周波数を有する、請求項40に記載の刺激方法。
【請求項42】
前記磁場誘導装置の前記磁場発生器が電極を備え、前記磁場発生器が発生させる前記空間磁場が電場である、請求項28から41のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項43】
前記磁場誘導装置の前記磁場発生器がコイル構造を備え、前記磁場発生器が発生させる前記空間磁場が電磁場である、請求項28から41のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項44】
前記磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、
前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器が、前記ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が前記第2の空間磁場によって刺激され得るように、前記患者に配置されるように構成されており、
前記磁場誘導装置は、前記磁場発生器および前記第2の磁場発生器が前記磁場および前記第2の磁場の協調パルスを発生して、前記患者の前記吸気筋組織および前記患者の前記呼気筋組織を次々と協調的に刺激するように駆動する、請求項28から43のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項45】
前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器が第2の電極を備え、前記磁場発生器が発生させる前記第2の空間磁場が第2の電場である、請求項30に記載の刺激方法。
【請求項46】
前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器が第2のコイル構造を備え、前記第2の磁場発生器が発生させる前記第2の空間磁場が第2の電磁場である、請求項30に記載の刺激方法。
【請求項47】
前記呼気筋組織が、前記患者の腹筋、前記患者の内肋間筋、前記患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項48】
前記フィードバック信号が異常を示した場合に、前記磁場誘導装置の前記第2の磁場発生器を停止して、前記第2の空間磁場を発生させないようにすることを含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項49】
前記所定の圧力閾値および/または前記所定の酸素化閾値を設定することを含む、請求項28から48のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項50】
前記所定の圧力閾値および/または前記所定の酸素化閾値を設定するためのユーザインターフェースが設けられている、請求項49に記載の刺激方法。
【請求項51】
前記患者の前記呼吸システム内に気流抵抗を付与することを含む、請求項28から50のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項52】
前記空間磁場を発生させるように前記磁場誘導装置の前記磁場発生器を手動で起動させることを含む、請求項28から51のいずれか一項に記載の刺激方法。
【請求項53】
前記患者がボタンを押すことによって、前記磁場誘導装置の前記磁場発生器が起動する、請求項52に記載の刺激方法。
【請求項54】
前記磁場誘導装置が起動したときに、前記磁場発生器が発生させる前記空間磁場内に横隔神経があるように、前記磁場誘導装置の前記磁場発生器が前記患者に配置されるように構成されている、請求項28から53のいずれか一項に記載の刺激方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立請求項のプリアンブルに係る刺激装置、それぞれの独立請求項のプリアンブルに係る刺激方法、それぞれの独立請求項のプリアンブルに係る人工換気装置、およびそれぞれの独立請求項のプリアンブルに係る人工換気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、電気刺激または電磁刺激を人工換気施行患者に使用できることが知られている。このため、人工換気施行においてそのような刺激のみが行われるか、または刺激によって従来の機械的人工換気が補助されることが知られている。さらに、電気刺激または電磁刺激を使用することによる、人工換気を施行するための様々な装置および方法が当技術分野で紹介されている。例えば、国際公開第2020/079266号では、そのような装置および方法について述べられている。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、このような応用を効率的に行えるようにする更なる治療応用および治療装置が依然として必要とされている。
【0004】
発明の開示
本発明によれば、以下に説明され、かつ特許請求の範囲に定義されるように、必要とされているものに改良を施した装置および方法が提案されている。
【0005】
したがって、本発明は、空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する磁場誘導装置と、センサ部と、磁場誘導装置およびセンサ部と通信する制御部とを備える刺激装置を提供するものであり、磁場誘導装置の磁場発生器は、ヒト患者または動物患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、センサ部は、ヒト患者または動物患者に配置されて、呼吸システムまたは患者からのフィードバックを検知するように構成されており、制御部は、磁場誘導装置を制御して空間磁場を発生させ、センサ部からフィードバック信号を受信するように構成されている。制御部は、センサ部から受信したフィードバック信号を評価し、またフィードバック信号が異常を示した場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させるように構成されている。
【0006】
本発明は、患者を刺激して患者の人工換気を行うか、または患者の呼吸を補助する刺激方法をさらに提供するものであり、本方法は、ヒト患者または動物患者に磁場誘導装置の磁場発生器を配置することであって、磁場発生器は、患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、空間磁場を発生させるように構成されている、磁場発生器を配置することと、患者の呼吸器系からのフィードバックを検知するセンサ部を、ヒト患者または動物患者に配置することと、センサ部によって供給されるフィードバック信号を評価することと、フィードバック信号が異常を示した場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させて、空間磁場を発生させることと、を含む。
【0007】
本発明の態様のうちの1つの具体的な実施形態の文脈でさらに指定されない限り、以下の定義および説明は、以下に記載される本発明のすべての態様に適用される。
【0008】
他の任意の構成要素と通信している場合、制御部は、他の構成要素に有線または無線で結合され得る。このように、制御信号は、作動または制御を行うために他の構成要素に送信され得る。付加的にまたは代替的に、センサ信号などの信号を制御部が受信することができる。例えば、そのようなセンサ信号は、一例として更なる評価を行うために、検知した寸法または物理的特性を示すことができる。
【0009】
制御部を、別の構成要素を制御するために、かつ/または検知信号などの信号を評価するために必要となるタスクを実行するのに適した、任意のコンピューティングエンティティとすることができる。制御部を、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどとするか、またはそれらを含み得るものとすることができる。「制御部(control unit)」という用語は、単一の装置と結合装置とを包含している。制御部を、例えば、異なる場所で異なるタスクを実行するクラウドソリューションなどの分散システムとすることができる。
【0010】
典型的には、制御部または制御コンピュータは、プロセッサもしくは中央処理装置(CPU)、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記録媒体、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)などを有する永久データ記憶装置、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)アダプタ、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)アダプタ、無線LAN(WLAN)アダプタ、Bluetooth(登録商標)アダプタなどの通信アダプタ、およびキーボード、マウス、タッチスクリーン、画面、マイクロフォン、スピーカなどの物理ユーザインターフェースを含む。制御部または制御コンピュータは、多種多様な構成要素から設けられ得る。
【0011】
制御部は、部分的にまたは完全に別個のエンティティとして、または他の任意の装置もしくはエンティティに内蔵された部分として設けられ得る。例えば制御部は、ヒト患者または動物患者の人工換気を行うために使用される人工換気装置内に設けられるなど、人工換気装置内に内蔵され得るか、かつ/または磁場誘導装置内に内蔵され得る。
【0012】
以下に記載される本発明の態様の文脈での「空間磁場(spatial field)」という用語は、患者の標的組織を刺激できるようにする任意の磁場をいう。この空間磁場は、具体的には電場または電磁場を含み得る。そのような磁場により、筋肉組織を直接刺激すること、または神経系を介してもしくは他の筋肉組織を介して筋肉組織を間接的に刺激することができる。
【0013】
空間磁場に関連する「パルス(pulses)」という用語は、単発パルス(single pulses)をいう。このため、単発パルスは、比較的短い時間にわたって、かつ2つの後続のパルス間に比較的長い中断を伴って空間磁場を発生させることをいう。典型的には、単発パルスは、例えば5ヘルツ(Hz)以下など、10Hzを下回る周波数で供給されるか、または単発パルスの供給はユーザもしくは施術者によって開始される。単発パルスは、約10マイクロ秒(μs)~約300μsの時間幅を有し得る。そのようなパルスは、神経および筋肉組織を活性化することができ、患者またはセンサによって識別され得る。具体的は、そのような単発パルスは、筋肉または筋肉組織に単発痙攣を発生させ得る。
【0014】
これに対して、単発パルスではなく連発パルスとして発生させる場合、空間磁場を連続的に発生させるか、または比較的迅速に互いに続くパルス列で発生させる。そのようなパルスは、約15Hz~約30Hzの周波数範囲で供給され得る。とりわけ連発の場合は、強縮または活性化を誘導するように、神経または筋肉の活性化を実現することができる。有利には、こうした連発は、目標強度および目標周波数が達成されるまで、強度(磁場強度)および/または周波数を上昇させることによってもたらされる(ランププロトコール)。このようにして、突発的な痙攣や不快感が軽減され得る。これらのパラメータはすべて、空間磁場の「時間特性(temporal characteristics)」または「時間パラメータ(temporal parameter)」という用語に集約されている。これらの時間パラメータは、入力インターフェースを介して手動で調整され得、または調整機構もしくは制御部によって自動的に制御され得る。
【0015】
空間磁場を発生させるために印加される電圧または電流波形のパラメータは、パルス波形、振幅、幅、極性、および繰返し周波数を含む空間磁場の時間特性に影響を及ぼし得、中でも群発パルスまたは連発パルスの持続時間およびそれらの間の間隔、パルス総数、刺激セッション間の間隔およびセッション総数は、とりわけ磁場強度に影響を及ぼし、標的部位または標的組織が活性化され得るかどうか、およびどの程度の強度または「用量(dose)」で活性化され得るかを決定する。
【0016】
空間磁場の時間特性および空間分布は、筋肉組織において所望の活性化(活性化フィードバック)が行われるように調整され得る。その結果、活性化フィードバック(信号)は、筋肉組織の活性化時の適切な特性を示す信号、例えば目標値(閾値)に到達するか、または目標値を超える信号、特定の曲線パターンまたは曲線形状を示す信号、所望の強度で適切な標的筋肉組織の活性化を呈することが知られている特定のアルゴリズムを満たす信号、またはそれらの任意の組合せを指してもよい。活性化フィードバック(信号)は、とりわけ調整機構による変更が停止する前に到達すべき、所望の筋肉活性化強度に関するフィードバックを含んでもよい。適切な活性化フィードバック信号の特性は、例えば入力インターフェースを介してユーザによって定義され得るか、またはアルゴリズムによって検出され得る。
【0017】
本明細書で使用される「コイル構造(coil design)」という用語は、少なくとも2つのコイル、または少なくとも1つの円錐形もしくは他の形状の曲面コイルあるいは湾曲コイル、または少なくとも1つの円筒形もしくは他の形状の非平坦コイル、あるいは少なくとも1つの小型コイル、すなわち直径3cm以下のコイルなどの急峻な勾配を有する電磁場を発生させるのに十分に小型であるコイルであり得るか、またはそれらを含むことができる。本明細書に記載の電磁場の標的形状は、空間電磁場によって形成されるピークを含み得る。電磁場発生器は、電磁場生成器とも呼ばれ得る。
【0018】
電磁場の標的形状は、電磁場が局所的に抑制された、例えばピークを有する標的電場であることによって得ることができる。例えば、電磁場のピーク(焦点領域)によって得ることができる、電磁場によって活性化することになる神経領域または組織領域である(例えば、活性化することになる横隔神経)標的部位で、電場が有効になるように適合させることができる。標的形状は一般に、周辺組織もしくは神経、上位組織もしくは神経、または近傍組織もしくは神経に生じる他の望ましくない共刺激効果を最小限に抑えながら、1つまたは複数の標的神経を効果的に刺激することができる、電磁場または時間依存性電場の成分の任意の形状とすることができる。ピーク形状は、焦点領域における効果を最大化しつつ、当該領域外の効果を最小限に抑えるので、その代表例である。
【0019】
発生器によってコイルに印加される電圧または電流波形のパラメータは、パルス波形、振幅、幅、極性、および繰返し周波数を含む電磁場の時間特性に影響を及ぼし、中でも群発パルスまたは連発パルスの持続時間およびそれらの間の間隔、パルス総数、刺激セッション間の間隔およびセッション総数は、とりわけ磁場強度に影響を及ぼし、標的部位または標的組織が活性化され得るかどうか、およびどの程度の強度または「用量(dose)」で活性化され得るかを決定する。
【0020】
磁場誘導装置の磁場発生器に関連して使用される「~に配置される(positioned at)」または「~で保持する(holding at)」という用語は、患者の身体と物理的に接触しているか、またはそれに近接している磁場発生器をいう。したがって、磁場発生器またはその構成要素の位置および向きを、標的組織を刺激するのに適切となるように事前に定義または明確に定義することができる。適切な位置に配置されるように構成するために、磁場発生器が当該位置に適合するように形成され得る。また、磁場発生器は、その位置に固定するための適切な取付構造体を備え得る。
【0021】
同様に、センサ部の文脈における「~に配置される(positioned at)」という用語は、患者の身体と物理的に接触しているか、または患者の身体から離隔しているセンサ部またはその一部をいう。この用語はまた、少なくとも体内、例えば口腔内などに配置されることを含んでもよい。適切な位置に配置されるように構成するために、センサ部が当該位置に適合するように形成され得る。また、磁場発生器は、その位置に固定するための適切な取付構造体を備え得る。
【0022】
「センサ部(sensor unit)」という用語は、単一のセンサまたはセンサの組合せをいう。センサ部は、通信アダプタ、取付装置、または同様の構造体などの他の手段をさらに含み得る。
【0023】
「異常(abnormality)」という用語は、患者由来または患者の呼吸を補助する呼吸システム由来の呼吸状態の異常または不規則性をいう。こうした異常は、例えば患者の呼吸システムの呼気終末陽圧が特定の値を下回った場合、または患者の過換気が起こる場合で、例えば呼吸数または1回換気量が、身体が産生し得るよりも多くの二酸化炭素を排出している場合などに発生し得る。患者の過換気は多くの場合、酸素不足に関連している。
【0024】
フィードバック信号が異常を示した場合に当該フィードバック信号を評価するために、本発明では、患者の呼吸システムの圧力を検知する圧力センサをセンサ部に設けてもよく、異常は、呼気終末陽圧、すなわちPEEPが所定の圧力閾値を下回った場合である。この場合、圧力センサによって測定されたPEEPが所定の圧力閾値を下回ることで呼吸状態の異常を示すと、磁場発生器が起動または調節され、これによって患者の呼吸を補助するために刺激付与が開始または調整される。
【0025】
例示的な一実施形態では、センサ部は、患者に過換気が発生していることを検知する過換気センサを備えてもよく、異常は、患者に過換気が発生していることが識別された場合である。この場合、患者の過換気が発生して呼吸状態の異常を示すと、磁場発生器が起動または調節され、これによって患者の呼吸を補助するために刺激付与が開始または調整される。
【0026】
例示的な一実施形態では、センサ部は、呼吸システムから患者に供給されるガスの酸素含有量を検知するセンサを備えてもよく、異常は、酸素含有量が所定の酸素化閾値を下回った場合である。この場合、患者に対する空気の酸素化が過度に減少して呼吸状態の異常を示すと、磁場発生器が起動または調節され、これによって患者の呼吸を補助するために刺激付与が開始または調整される。
【0027】
以下、本発明のいくつかの態様および更なる好ましい実施形態について説明するが、ここで異常とは、呼気終末陽圧が低下する場合、または空気中の酸素含有量が減少する場合、もしくは過換気が発生する場合を指す。
【0028】
第1の態様では、本発明は、磁場誘導装置と、圧力センサ部と、制御部とを備える刺激装置である。磁場誘導装置は、空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する。制御部は、磁場誘導装置および圧力センサと通信する。
【0029】
制御部を、磁場誘導装置を制御するために、かつ圧力信号を評価するために必要となるタスクを実行するのに適した、任意のコンピューティングエンティティとすることができる。制御部は、部分的にまたは完全に別個の構成要素として、または他の任意の装置もしくは構成要素に内蔵された構成要素として設けられ得る。例えば制御部は、患者の人工換気を行うために使用される人工換気装置内に設けられるなど、人工換気装置内に内蔵され得るか、かつ/または磁場誘導装置内に内蔵され得る。
【0030】
磁場誘導装置の磁場発生器は、ヒト患者または動物患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されている。したがって、吸気筋組織への刺激は、直接的な刺激、神経系を介するなどの間接的な刺激、またはこれら2つを組み合わせた刺激とすることができる。圧力センサ部は、ヒト患者または動物患者に配置されて、患者の呼吸システムの圧力を検知するように構成されている。
【0031】
制御部は、磁場誘導装置を制御して空間磁場を発生させ、圧力センサ部から圧力信号を受信するように構成されている。さらに制御部は、圧力センサ部から受信した圧力信号が呼気終末陽圧を示していると評価し、圧力信号が閾値を下回っていると評価した場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動して、空間磁場を発生させるように構成されている。したがって、当該閾値を目標圧力とすることができる。このように、制御部は、閾値に到達したときに、磁場誘導装置をオンにしたり、空間磁場の印加を開始したりすることができる。
【0032】
本発明の第1の態様に係る刺激装置により、呼気終末陽圧(PEEP)を正しくまたは適切に設定することができる。これにより、一定の最小圧力、例えば目標圧力が患者の肺内で確実に保持され得る。このようにして、肺胞の虚脱が回避され得るか、または少なくとも低減され得る。これらの効果は、肺疾患患者などのサーファクタント機能が改変された患者にとって、とりわけ重要であり得る。さらに、本刺激装置により、いわゆるため息に類似した深い吸気が誘導されるようになり得る。
【0033】
したがって、本発明の第1の態様に係る刺激装置により、機械的に患者の人工換気を行う際、すなわちPEEPの正しい設定を把握する際に直面する最大の課題のうちの1つに対処できるようになる。
【0034】
好ましくは、吸気筋組織が、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む。これらの筋肉組織のうちのいずれかまたはそれらの組合せを刺激することによってさえも、呼吸が効率的に誘導され得る。
【0035】
好ましくは、圧力センサ部が気道圧センサを備え、好ましくは、圧力信号が気道圧成分を有する。これにより、PEEPの設定を確実に行えるようにする信号を効率的に供給することができる。
【0036】
好ましくは、圧力センサ部が食道内圧センサを備え、圧力信号が食道内圧成分を有する。
【0037】
制御部が、好ましくは、圧力信号の気道圧成分から圧力信号の食道内圧成分を減算することで経肺圧を算出することにより、圧力信号を評価するように構成されている。経肺圧は、実際の肺内膨張圧を示すものである。したがって、そのような実施形態により、PEEPの特定の有用な設定が行われるようになる。
【0038】
好ましくは、制御部が磁場誘導装置を起動して、磁場発生器によって空間磁場のパルスを発生させるように構成されている。このため、空間磁場のパルスが、好ましくは約10Hz~約35Hzの周波数を有する。そのような空間磁場のパルスにより、吸気を誘導するために、筋肉組織を効率的に刺激したり、あるいは活性化したりすることができる。
【0039】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器が電極を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電場である。そのような電極により、空間磁場を効率的に供給できるようになる。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0040】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器がコイル構造を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が、標的形状を有する電磁場である。そのようなコイル構造により、例えばピークを有する標的形状の電磁場を発生させることができるようになる。そのような形状により、吸気筋組織、または神経系の組織などの吸気筋組織に結合された他の任意の組織などに直接行われるなど、標的組織が比較的正確に刺激されるか、または活性化されるようになる。このように、吸気筋組織への刺激は、とりわけ効率的かつ好都合に行われ得る。
【0041】
好ましくは、磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が第2の空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、制御部が磁場誘導装置を作動させて、磁場発生器および第2の磁場発生器に当該磁場および第2の磁場の協調パルスを発生させることで、患者の吸気筋組織および患者の呼気筋組織を次々と協調的に刺激させるように構成されている。
【0042】
このような第2の磁場発生器を有することにより、本刺激装置によって吸気および呼気が制御され得る。これにより、個々に特定の治療への応用が行われるようになる。例えば、全呼吸プロセスが、本刺激装置によって制御かつ誘導され得る。
【0043】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2の電極を備え、磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0044】
別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2のコイル構造を備え、第2の磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電磁場である。
【0045】
好ましくは、呼気筋組織が、患者の腹筋、患者の内肋間筋、患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0046】
特に好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、活性化されると第2の電磁場を発生させるようなコイル構造を備え、磁場誘導装置の磁場発生器が、活性化されると電場を発生させるような電極を備える。コイル構造と電極とをこのように組み合わせて用いることにより、吸気筋組織と呼気筋組織とが高度に刺激されるようになる。例えば吸気筋組織は、一例として患者の頸部の横隔神経の一方または両方を刺激することによって活性化され得る。したがって、1つまたは2つのコイル構造が患者の頸部に配置され得、1つまたは複数の横隔神経が、対象とする電磁場を印加することによって刺激され得る。これにより、1つまたは複数の横隔神経を個別に刺激したり、頸部の他の組織への刺激を制限したりすることができる。呼気筋組織は、例えば、患者の胸部に電極を配置することによって活性化され得る。これにより、患者の腹筋および/または内肋間筋を直接刺激することができる。電極によって比較的広い空間磁場を発生させることができるので、それぞれの筋肉が効率的に刺激され得る。一般的に、神経または比較的小さな筋肉への刺激は、コイル構造を使用するとより効率的または快適に行われ得る。その一方で、比較的大きな筋肉への刺激は、電極を使用するとより効率的または快適に行われ得る。
【0047】
好ましくは、制御部が、圧力信号が閾値を下回っていると評価した場合に、磁場誘導装置の第2の磁場発生器を停止状態にして、第2の空間磁場を発生させないように構成されている。このように、経肺圧または膨張圧などの圧力が臨界値または所望の値を下回る前に、呼気を停止させるようにすることができる。具体的には、呼気終了時に水柱が0cm~5cmを示す経肺圧に到達したときに、呼気が停止され得る。
【0048】
本発明の第1の態様に係る刺激装置は、閾値を設定するように構成された入力構造を備える。入力構造を、閾値を(半)自動で取り込むためのインターフェースとすることができる。より好ましくは、ユーザまたは施術者が閾値を能動的に設定できるように、入力構造がユーザインターフェースを含む。
【0049】
好ましくは、本発明の第1の態様に係る刺激装置が、患者の呼吸システム内に気流抵抗を付与するように構成された抑制装置を備える。このように、肺内に自然に生成される陽圧をもたらし得る抵抗に対して、呼気が行われ得る。このように、肺胞が開放したままにされ得、または開放され得る。
【0050】
好ましくは、本発明の第1の態様に係る刺激装置が、空間磁場を発生させるように磁場誘導装置の磁場発生器を手動で起動させるように構成された起動装置を備える。このため、好ましくは起動装置が、患者にアクセス可能なボタンを備える。そのような実施形態により、吸気が能動的に誘導されるようになる。例えば、所望であれば、深呼吸が行われるように吸気が誘導され得る。
【0051】
好ましくは、磁場誘導装置が起動したときに、磁場発生器が発生させる空間磁場内に横隔神経があるように、磁場誘導装置の磁場発生器が患者に配置されるように構成されている。そのような実施形態により、吸気が起こるように横隔膜を効率的に活性化することができる、横隔神経への刺激付与が可能になる。
【0052】
第2の態様では、本発明は、患者の人工換気を行うか、または患者の呼吸を補助するために患者を刺激する刺激方法である。第2の態様に係る刺激方法は、(i)ヒト患者または動物患者に磁場誘導装置の磁場発生器を配置するステップであって、磁場発生器は、患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、空間磁場を発生させるように構成されている、ステップと、(ii)患者の呼吸システムの圧力を検知する圧力センサ部を、ヒト患者または動物患者に配置するステップと、(iii)圧力センサ部によって供給されるフィードバック信号が呼気終末陽圧を示していると評価するステップと、(iv)圧力信号が閾値を下回っていると評価した場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させて、空間磁場を発生させるステップと、を含む。
【0053】
以下に記載する本発明の第2の態様およびその好ましい実施形態に係る刺激方法により、上述した本発明の第1の態様およびその好ましい実施形態に係る刺激装置の効果および利点を効率的に実現することができる。
【0054】
好ましくは、吸気筋組織が、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0055】
好ましくは、圧力センサ部が気道圧センサを備え、圧力信号が気道圧成分を有する。
【0056】
好ましくは、圧力センサ部が食道内圧センサを備え、圧力信号が食道内圧成分を有する。
【0057】
好ましくは、圧力センサ部によって供給されるフィードバック信号を評価することが、圧力信号の気道圧成分から圧力信号の食道内圧成分を減算することで経肺圧を算出することを含む。
【0058】
好ましくは、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させることが、空間磁場のパルスを発生させることを含む。このため、空間磁場のパルスが、好ましくは約10Hz~約35Hzの周波数を有する。
【0059】
好ましくは、磁場誘導装置の磁場発生器が電極を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0060】
好ましくは、磁場誘導装置の磁場発生器がコイル構造を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電磁場である。
【0061】
好ましくは、磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が第2の空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、磁場誘導装置は、磁場発生器および第2の磁場発生器が磁場および第2の磁場の協調パルスを発生して、患者の吸気筋組織および患者の呼気筋組織を次々と協調的に刺激するように作動する。
【0062】
このため、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、好ましくは第2の電極を備え、磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0063】
あるいは、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、好ましくは第2のコイル構造を備え、第2の磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電磁場である。
【0064】
好ましくは、呼気筋組織が、患者の腹筋、患者の内肋間筋、患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0065】
好ましくは、本発明の第2の態様に係る刺激方法が、圧力信号が閾値を下回っていると評価した場合に、磁場誘導装置の第2の磁場発生器を停止して、第2の空間磁場を発生させないようにすることを含む。
【0066】
好ましくは、本発明の第2の態様に係る刺激方法が、閾値を設定することを含む。これにより、好ましくは、閾値を設定するためのユーザインターフェースが設けられている。
【0067】
好ましくは、本発明の第2の態様に係る刺激方法が、患者の呼吸システム内に気流抵抗を付与することを含む。
【0068】
好ましくは、本発明の第2の態様に係る刺激方法が、空間磁場を発生させるように磁場誘導装置の磁場発生器を手動で起動させることを含む。その結果、好ましくは患者または施術者がボタンを押すことによって、磁場誘導装置の磁場発生器が起動する。
【0069】
好ましくは、磁場誘導装置が起動したときに、磁場発生器が発生させる空間磁場内に横隔神経があるように、磁場誘導装置の磁場発生器が患者に配置されるように構成されている。
【0070】
第3の態様では、本発明は、空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する磁場誘導装置と、ヒト患者または動物患者に配置されて、患者の呼吸システムにガスを供給するように構成されたガス供給部と、を備える人工換気装置である。ガス供給部が供給するガスは、酸素で富化された空気である。以下では、酸素で富化された空気は、酸素化空気とも呼ばれる。
【0071】
ガス供給部は、酸素化空気を患者の呼吸システムに能動的に供給または送達するように構成され得る。または、ガス供給部は、患者の呼吸システムがそれ自体で酸素化空気を吸引する必要が生じるように、酸素化空気を受動的に供給するように構成され得る。さらに、供給部は、酸素化空気が一定の圧力で送達され、その間に患者が当該空気を吸引する必要が生じるように、能動的かつ受動的な供給またはそれらの組合せを行えるように構成され得る。また、ガス供給部は、患者が酸素化空気を強く吸引する必要が生じるように、酸素化空気の供給圧力を低下させることができる。
【0072】
磁場誘導装置の磁場発生器は、ヒト患者または動物患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されている。したがって、吸気筋組織への刺激は、直接的な刺激、神経系を介するなどの間接的な刺激、またはこれら2つを組み合わせた刺激とすることができる。
【0073】
空気中の酸素を富化すると、当該空気の酸素濃度は、通常の空気のものよりも高くなる。通常の空気は、典型的には約20.5%~21.5%の酸素を有するが、本発明に係る酸素富化空気は、より高い酸素濃度を有する。好ましくは、酸素富化空気が、約21.5%超の酸素、約22%超の酸素、約22.5%超の酸素、または23%超の酸素を含む。
【0074】
本発明の第3の態様に係る人工換気装置により、患者に行う機械的人工換気が低減するか、または停止さえも可能になる。具体的には、酸素化空気を加えることにより、患者が十分な酸素消費を行えるように患者のシステムに供給する必要空気量が減少する。このように、患者の人工換気を行う際に、比較的高い圧力を印加することで生じる不都合な面が軽減または排除され得る。このことは、比較的脆弱な呼吸システムが関与する場合、具体的には肺が関与する場合、とりわけ重要または有益となり得る。
【0075】
したがって、本発明の第3の態様に係る人工換気装置を使用すれば、例えば呼吸ポンプ、または持続的気道陽圧換気などを用いた機械的人工換気が改善され、より穏やかかつ効率的に人工換気が行われるようになる。その結果、患者への適切な酸素送達がなおも達成されるか、または確実に行われ得る。
【0076】
好ましくは、本発明の第3の態様に係る人工換気装置が、磁場誘導装置およびガス供給部と通信する制御部を備え、制御部が磁場誘導装置を制御して空間磁場を発生させ、ガス供給部を制御して、酸素富化空気を患者の呼吸システムに供給させるように構成されている。そのような制御部により、多くの最新式の人工換気療法が効率的に(半)自動適用されるようになる。
【0077】
好ましくは、ガス供給部が、酸素富化空気を患者の呼吸システムに供給できるように患者に配置されるように構成された、接続部材を備える。そのような接続部材は、持続的気道陽圧換気(CPAP)用マスクまたは非侵襲的マスクなどのマスクであってもよいし、またはチューブなどであってもよいし、もしくはそれらを含んでもよい。具体的には、接続部材は、例えば口および/または鼻を介して患者の呼吸システムに接続される従来型の人工換気で知られている、任意の構造であってもよい。
【0078】
好ましくは、ガス供給部が、患者の呼吸システムに送達されるガスの流れを生成するように構成された、送達部材を備える。そのような送達部材は、酸素化空気を患者の呼吸システムに送達するためのポンプまたは同様の構造を含んでもよい。
【0079】
好ましくは、吸気筋組織が、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む。これらの筋肉組織のうちのいずれかまたはそれらの組合せを刺激することによってさえも、呼吸が効率的に誘導され得る。
【0080】
好ましくは、制御部が磁場誘導装置を起動させて、磁場発生器によって空間磁場のパルスを発生させるように構成されている。このため、空間磁場のパルスが、好ましくは約10Hz~約35Hzの周波数を有する。そのような空間磁場のパルスにより、吸気を誘導するために、筋肉組織を効率的に刺激したり、あるいは活性化したりすることができる。
【0081】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器が電極を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電場である。そのような電極により、空間磁場を効率的に供給できるようになる。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0082】
別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器がコイル構造を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電磁場である。そのようなコイル構造により、例えばピークを有する標的形状の電磁場を発生させることができるようになる。そのような形状により、吸気筋組織、または神経系の組織などの吸気筋組織に結合された他の任意の組織などに直接行われるなど、標的組織が比較的正確に刺激されるか、または活性化されるようになる。このように、吸気筋組織への刺激は、とりわけ効率的かつ好都合に行われ得る。
【0083】
好ましくは、磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が第2の空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、制御部が磁場誘導装置を作動させて、磁場発生器および第2の磁場発生器に当該磁場および第2の磁場の協調パルスを発生させることで、患者の吸気筋組織および患者の呼気筋組織を次々と協調的に刺激させるように構成されている。
【0084】
このような第2の磁場発生器を有することにより、本刺激装置によって吸気および呼気が制御され得る。これにより、個々に特定の治療への応用が行われるようになる。例えば、全呼吸プロセスが、本刺激装置によって制御かつ誘導され得る。
【0085】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2の電極を備え、磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0086】
別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2のコイル構造を備え、第2の磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電磁場である。
【0087】
呼気筋組織は、患者の腹筋、患者の内肋間筋、患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0088】
特に好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、活性化されると第2の電磁場を発生させるようなコイル構造を備え、磁場誘導装置の磁場発生器が、活性化されると電場を発生させるような電極を備える。コイル構造と電極とをこのように組み合わせて用いることにより、吸気筋組織と呼気筋組織とが高度に刺激されるようになる。例えば吸気筋組織は、一例として患者の頸部の横隔神経の一方または両方を刺激することによって活性化され得る。したがって、1つまたは2つのコイル構造が患者の頸部に配置され得、1つまたは複数の横隔神経が、対象とする電磁場を印加することによって刺激され得る。これにより、1つまたは複数の横隔神経を個別に刺激したり、頸部の他の組織への刺激を制限したりすることができる。呼気筋組織は、例えば、患者の胸部に電極を配置することによって活性化され得る。これにより、患者の腹筋および/または内肋間筋を直接刺激することができる。電極によって比較的広い空間磁場を発生させることができるので、それぞれの筋肉が効率的に刺激され得る。一般的に、神経または比較的小さな筋肉への刺激は、コイル構造を使用するとより効率的または快適に行われ得る。その一方で、比較的大きな筋肉への刺激は、電極を使用するとより効率的または快適に行われ得る。
【0089】
好ましくは、本発明の第3の態様に係る人工換気装置が、空間磁場を発生させるように磁場誘導装置の磁場発生器を手動で起動させるように構成された起動装置を備える。このため、好ましくは起動装置が、患者にアクセス可能なボタンを備える。そのような実施形態により、吸気が能動的に誘導されるようになる。例えば、所望であれば、深呼吸が行われるように吸気が誘導され得る。
【0090】
好ましくは、磁場誘導装置が起動したときに、磁場発生器が発生させる空間磁場内に横隔神経があるように、磁場誘導装置の磁場発生器が患者に配置されるように構成されている。
【0091】
第4の態様では、本発明は、(i)ヒト患者または動物患者に磁場誘導装置の磁場発生器を配置することであって、磁場発生器は、患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、空間磁場を発生させるように構成されている、磁場発生器を配置することと、(ii)患者の呼吸システムにガスを供給することと、を含む人工換気方法である。当該ガスは、酸素で富化された空気、すなわち酸素化空気である。
【0092】
以下に記載する本発明の第4の態様およびその好ましい実施形態に係る人工換気方法により、上述した本発明の第3の態様およびその好ましい実施形態に係る人工換気装置の効果および利点を効率的に実現することができる。
【0093】
好ましくは、酸素化空気が、約21.5%超の酸素、約22%超の酸素、約22.5%超の酸素、または23%超の酸素を含む。
【0094】
好ましくは、本発明の第4の態様に係る人工換気方法が、酸素化空気を患者の呼吸システムに供給できるように、患者に接続部材を配置するステップを含む。
【0095】
好ましくは、本発明の第4の態様に係る人工換気方法が、患者の呼吸システムに送達されるガスの流れを生成することを含む。
【0096】
好ましくは、吸気筋組織が、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0097】
好ましくは、本発明の第4の態様に係る人工換気方法が、磁場誘導装置を起動させて、磁場発生器によって空間磁場のパルスを発生させることを含む。このため、空間磁場のパルスが、好ましくは約10Hz~約35Hzの周波数を有する。
【0098】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器が電極を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0099】
別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器がコイル構造を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電磁場である。
【0100】
好ましくは、磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が第2の空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、磁場誘導装置は、磁場発生器および第2の磁場発生器が磁場および第2の磁場の協調パルスを発生して、患者の吸気筋組織および患者の呼気筋組織を次々と協調的に刺激するように作動する。
【0101】
好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2の電極を備え、磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0102】
別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2のコイル構造を備え、第2の磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電磁場である。
【0103】
好ましくは、呼気筋組織が、患者の腹筋、患者の内肋間筋、患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0104】
好ましくは、本発明の第4の態様に係る人工換気方法が、空間磁場を発生させるように磁場誘導装置の磁場発生器を手動で起動させるステップを含む。このため、好ましくは、患者がボタンを押すことによって磁場発生器が起動する。
【0105】
好ましくは、磁場誘導装置が起動したときに、磁場発生器が発生させる空間磁場内に横隔神経があるように、磁場誘導装置の磁場発生器が患者に配置されるように構成されている。
【0106】
第5の態様では、本発明は、空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する磁場誘導装置と、過換気センサ部と、磁場誘導装置および過換気センサ部と通信する制御部と、を備える刺激装置である。磁場誘導装置の磁場発生器は、ヒト患者または動物患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されている。過換気センサ部は、患者に配置されて、患者の過換気状態を示すインジケータを検知するように構成されている。制御部は磁場誘導装置を制御して、空間磁場を発生させるように構成されている。さらに、制御部は、過換気センサ部からインジケータ信号を受信するように構成されている。制御部は、過換気センサ部から受信したインジケータ信号が患者の過換気状態を示していると評価し、評価されたインジケータ信号が過換気状態を表す場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させて、空間磁場を発生させるように構成されている。
【0107】
磁場発生器および過換気センサを有することで、本発明の第5の態様に係る刺激により、比較的深い吸入を誘導したり、促進したりすることができる。このようにして、患者の血中酸素濃度を、適切な範囲内に収めることができる。また、本刺激装置を用いた能動的な吸気誘導により、過換気、すなわち患者の高速かつ過剰な呼吸試行が回避され得る。
【0108】
好ましい一実施形態では、過換気センサ部が、患者に配置されて、患者の呼吸システム内の空気流を検知するように構成された空気流センサであり、インジケータ信号が空気流信号であり、制御部が、空気流信号から求められた呼吸数が閾値数を超えた場合に、評価された空気流信号が過換気を表すように構成されている。このため、好ましくは、閾値数が毎分15回以上である。
【0109】
例えば患者の口腔内空気流を観察することによって、呼吸数が適切に監視され得る。したがって、そのような実施形態により、過換気状態を効率的に識別し、吸気筋組織を活性化することによって必要な措置が行われるようにすることができる。
【0110】
別の好ましい実施形態では、過換気センサ部が、患者に配置されて、患者の気中または血中の二酸化炭素濃度を検知するように構成された二酸化炭素センサであり、インジケータ信号が二酸化炭素信号であり、制御部が、二酸化炭素信号から求められた二酸化炭素濃度が二酸化炭素閾値を下回った(deceeds)場合に、評価された二酸化炭素信号が過換気を表すように構成されている。このため、好ましくは、二酸化炭素閾値が22ミリモル/リットル(mmol/L)以下である。
【0111】
空気流を観察する代わりに、またはこれを補完するために、血中または気(流)中の二酸化炭素濃度が観察され得る。これにより、呼吸数が適切に監視されるようになる。したがって、そのような実施形態により、過換気状態を効率的に識別し、吸気筋組織を活性化することによって必要な措置が行われるようにすることができる。
【0112】
第6の態様では、本発明は、空間磁場を発生させるように構成された磁場発生器を有する磁場誘導装置と、ヒト患者または動物患者に配置されて、患者の酸素化状態を検知するように構成された酸素化センサと、磁場誘導装置および酸素化センサと通信する制御部と、を備える刺激装置である。磁場誘導装置の磁場発生器は、患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、患者に配置されるように構成されている。制御部は磁場誘導装置を制御して、空間磁場を発生させるように構成されている。制御部は、酸素化センサ部から酸素化信号を受信するように構成されている。制御部は、酸素化センサ部から受信した酸素化信号を評価し、酸素化信号が酸素化閾値を下回っていると評価した場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させて、空間磁場を発生させるように構成されている。
【0113】
過換気状態を識別することに関して同様に、磁場発生器および酸素化センサを有することで、本発明の第6の態様に係る刺激により、必要に応じて、すなわち酸素濃度が低すぎる場合に、比較的深い吸入を誘導したり、促進したりすることができる。このようにして、患者の血中酸素濃度を、適切な範囲内に収めることができる。
【0114】
好ましくは、本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置では、吸気筋組織が、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0115】
好ましくは、本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置では、制御部が磁場誘導装置を起動させて、磁場発生器によって空間磁場のパルスを発生させるように構成されている。このため、空間磁場のパルスが、約10Hz~約35Hzの周波数を有する。そのような空間磁場のパルスにより、吸気を誘導するために、筋肉組織を効率的に刺激したり、あるいは活性化したりすることができる。
【0116】
本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置の好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器が電極を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電場である。そのような電極により、空間磁場を効率的に供給できるようになる。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0117】
本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置の別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器がコイル構造を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電磁場である。そのような電極により、空間磁場を効率的に供給できるようになる。そのようなコイル構造により、例えばピークを有する標的形状の電磁場を発生させることができるようになる。そのような形状により、吸気筋組織、または神経系の組織などの吸気筋組織に結合された他の任意の組織などに直接行われるなど、標的組織が比較的正確に刺激されるか、または活性化されるようになる。このように、吸気筋組織への刺激は、とりわけ効率的かつ好都合に行われ得る。
【0118】
好ましくは、本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置では、磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が第2の空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、制御部が磁場誘導装置を作動させて、磁場発生器および第2の磁場発生器に当該磁場および第2の磁場の協調パルスを発生させることで、患者の吸気筋組織および患者の呼気筋組織を次々と協調的に刺激させるように構成されている。
【0119】
このような第2の磁場発生器を有することにより、本刺激装置によって吸気および呼気が制御され得る。これにより、個々に特定の治療への応用が行われるようになる。例えば、全呼吸プロセスが、本刺激装置によって制御かつ誘導され得る。
【0120】
本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置の好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2の電極を備え、磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0121】
本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置の別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2のコイル構造を備え、第2の磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電磁場である。
【0122】
このため、好ましくは呼気筋組織が、患者の腹筋、患者の内肋間筋、患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0123】
特に好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、活性化されると第2の電磁場を発生させるようなコイル構造を備え、磁場誘導装置の磁場発生器が、活性化されると電場を発生させるような電極を備える。コイル構造と電極とをこのように組み合わせて用いることにより、吸気筋組織と呼気筋組織とが高度に刺激されるようになる。例えば吸気筋組織は、一例として患者の頸部の横隔神経の一方または両方を刺激することによって活性化され得る。したがって、1つまたは2つのコイル構造が患者の頸部に配置され得、1つまたは複数の横隔神経が、対象とする電磁場を印加することによって刺激され得る。これにより、1つまたは複数の横隔神経を個別に刺激したり、頸部の他の組織への刺激を制限したりすることができる。呼気筋組織は、例えば、患者の胸部に電極を配置することによって活性化され得る。これにより、患者の腹筋および/または内肋間筋を直接刺激することができる。電極によって比較的広い空間磁場を発生させることができるので、それぞれの筋肉が効率的に刺激され得る。一般的に、神経または比較的小さな筋肉への刺激は、コイル構造を使用するとより効率的または快適に行われ得る。その一方で、比較的大きな筋肉への刺激は、電極を使用するとより効率的または快適に行われ得る。
【0124】
好ましくは、本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置が、空間磁場を発生させるように磁場誘導装置の磁場発生器を手動で起動させるように構成された起動装置を備える。このため、起動装置は、患者にアクセス可能なボタンを備える。そのような実施形態により、吸気が能動的に誘導されるようになる。例えば、所望であれば、深呼吸が行われるように吸気が誘導され得る。
【0125】
好ましくは、本発明の第5および第6の態様に係る刺激装置では、磁場誘導装置が起動したときに、磁場発生器が発生させる空間磁場内に横隔神経があるように、磁場誘導装置の磁場発生器が患者に配置されるように構成されている。
【0126】
第7の態様では、本発明は、(i)ヒト患者または動物患者に磁場誘導装置の磁場発生器を配置することであって、磁場発生器は、患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、空間磁場を発生させるように構成されている、磁場発生器を配置することと、(ii)患者の過換気状態を示すインジケータを検知する過換気センサ部を、患者に配置することと、(iii)過換気センサ部から受信したインジケータ信号が、患者の過換気状態を示していると評価することと、(iv)評価されたインジケータ信号が過換気を表す場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させて、空間磁場を発生させることと、を含む刺激方法である。
【0127】
以下に記載する本発明の第7の態様およびその好ましい実施形態に係る刺激方法により、上述した本発明の第5の態様およびその好ましい実施形態に係る刺激装置の効果および利点を効率的に実現することができる。
【0128】
好ましくは、過換気センサ部が、患者に配置されて、患者の呼吸システム内の空気流を検知するように構成された空気流センサであり、インジケータ信号が空気流信号であり、空気流信号から求められた呼吸数が閾値数を超えた場合に、評価された空気流信号が過換気を表す。このため、好ましくは、閾値数が毎分15回以上である。
【0129】
代替的にまたは相互補完的に、過換気センサ部が、患者に配置されて、患者の気中または血中の二酸化炭素濃度を検知するように構成された二酸化炭素センサであり、インジケータ信号が二酸化炭素信号であり、二酸化炭素信号から求められた二酸化炭素濃度が二酸化炭素閾値を下回った場合に、評価された二酸化炭素信号が過換気を表す。このため、好ましくは、二酸化炭素閾値が22mmol/L以下である。
【0130】
第8の態様では、本発明は、(i)ヒト患者または動物患者に磁場誘導装置の磁場発生器を配置することであって、磁場発生器は、患者の吸気筋組織が空間磁場によって刺激され得るように、空間磁場を発生させるように構成されている、磁場発生器を配置することと、(ii)患者の酸素化状態を検知する酸素化センサを、ヒト患者または動物患者に配置することと、(iii)酸素化センサ部から受信した酸素化信号を評価することと、(iv)酸素化信号が酸素化閾値を下回っていると評価した場合に、磁場誘導装置の磁場発生器を起動させて、空間磁場を発生させることと、を含む刺激方法である。
【0131】
以下に記載する本発明の第8の態様およびその好ましい実施形態に係る刺激方法により、上述した本発明の第6の態様およびその好ましい実施形態に係る刺激装置の効果および利点を効率的に実現することができる。
【0132】
好ましくは、吸気筋組織が、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0133】
好ましくは、本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法では、磁場誘導装置を起動させて、磁場発生器によって空間磁場のパルスを発生させている。このため、空間磁場のパルスが、好ましくは約10Hz~約35Hzの周波数を有する。
【0134】
本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法の好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器が電極を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0135】
本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法の別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の磁場発生器がコイル構造を備え、磁場発生器が発生させる空間磁場が電磁場である。
【0136】
好ましくは、本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法では、磁場誘導装置が、第2の空間磁場を発生させるように構成された第2の磁場発生器を備え、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、ヒト患者または動物患者の呼気筋組織が第2の空間磁場によって刺激され得るように、当該患者に配置されるように構成されており、磁場誘導装置は、磁場発生器および第2の磁場発生器が磁場および第2の磁場の協調パルスを発生して、患者の吸気筋組織および患者の呼気筋組織を次々と協調的に刺激するように作動する。
【0137】
本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法の好ましい一実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が第2の電極を備え、磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電場である。あるいは、アンテナなどの電場を発生させる別の構造も使用され得る。
【0138】
本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法の別の好ましい実施形態では、磁場誘導装置の第2の磁場発生器が、好ましくは第2のコイル構造を備え、第2の磁場発生器が発生させる第2の空間磁場が第2の電磁場である。
【0139】
好ましくは、呼気筋組織が、患者の腹筋、患者の内肋間筋、患者の呼気補助筋、またはそれらの組合せを含む。
【0140】
好ましくは、本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法では、磁場誘導装置が、空間磁場を発生させるように磁場誘導装置の磁場発生器を手動で起動させるステップを含む。このため、好ましくは、磁場発生器は、患者がアクセス可能なボタンを押すことによって起動する。
【0141】
好ましくは、本発明の第7または第8の態様に係る刺激方法では、磁場誘導装置が、磁場誘導装置が起動したときに、磁場発生器が発生させる空間磁場内に横隔神経があるように、磁場誘導装置の磁場発生器が患者に配置されるように構成されている。
【0142】
本発明の様々な態様については、例示的な実施形態を通して、添付の図面を参照しながら、本明細書で以下により詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【
図1】本発明に係る方法の実施形態を実行する、本発明に係る刺激および人工換気装置の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0144】
図1は、本発明に係る例示的な刺激装置1を示す。人工換気装置1は、コイル構造として2つのコイル211を有する電磁場発生器21を備える、電磁場誘導装置2の第1の実装形態を有する。コイル211は、一方の共通平面内に配置され、空間電磁場212を発生させるように構成されている。作動すると、2つのコイル211は、患者5の頸部52に向かって電磁場212を発生させる。電磁場212は、電磁場212を頸部52内に最大に到達させる標的部位213を含む、中心標的形状を有する。あるいは、磁場誘導装置は、患者の神経を刺激する電場を発生させるための1つまたは2つの電極を備え得る。
【0145】
磁場誘導装置2は、患者5の頸部52に配置されており、かつ患者5が横たわるベッド51に固定されている頸部円弧部221を含む取付装置22を有する。頸部円弧部221は、磁場誘導装置2の電磁場調整機構の再配置構造として、接合部222を備える。接合部222は、コイル211を患者5の頸部52に保持している。
【0146】
刺激装置1は、気管チューブ13が当該部分から延在する、空気流発生器としてのベンチレータ11をさらに備える。人工換気装置1は、人工換気装置1の導管接合部またはEMI装置のアダプタとしてマウスピース12を有する。マウスピース12は、患者5の呼吸システムへの入口点としての口に装着される。気管チューブ13は、センサ部4の流量センサ41または磁場誘導装置2に結合されている。
【0147】
刺激装置1は、電磁場調整機構の較正部31および磁場調整部32を含む処理部としての制御部3をさらに有する。制御部3は、それぞれのコード33を介して流量センサ41、ベンチレータ11および接合部222と通信している。
【0148】
較正部31は、接合部222を操作して、コイル211が発生させる電磁場212の標的部位213の位置を自動的に変化させて、制御部3に電磁場212の磁場強度を変化させるように構成されている。電磁場212の磁場強度および位置を変化させる目的は、患者5の横隔神経53を特異的に刺激するように、電磁場212を調整することにある。横隔神経53が刺激されると、患者5の横隔膜が活性化する。これにより、流量センサ41によって検知される空気流または呼吸が誘導される。
【0149】
制御部は、流量センサ41によって送信されたフィードバック信号を評価するように構成されており、フィードバック信号は、呼気の終了を含む呼吸サイクル中にわたって、過換気の発生を示す測定空気流を含む。例えば、空気流から求められた呼吸数が特定の値を超えた場合、患者が過換気状態にあることを示している。この異常を解消するために、磁場誘導装置2を用いて電磁場を発生させることにより、刺激が活性化され得る。
【0150】
代替的にまたは付加的に、センサ部4は、呼気終末陽圧、すなわちPEEPを測定するための圧力センサを含み得る。PEEPが所定の値を下回った場合、当該患者の呼吸が異常であることを示している。このため、磁場誘導装置2を用いて電磁場を発生させることにより、刺激が活性化され得る。
【0151】
換言すれば、磁場発生器は異常を検出すると、流量センサ41から活性化信号を受信することができる。さらに、磁場発生器は、活性化フィードバックを受信した場合に、電磁場212および制御部3の標的部位213の位置が変動するのを阻止し、電磁場212の磁場強度が変動するのを阻止するように構成されている。
【0152】
ベンチレータ11は、マウスピース12を介して患者5の呼吸システムに空気を送達するように構成されている。このため、制御部3はベンチレータ11を制御して、制御部3で規定された呼吸方式に従って呼吸システムに空気を送達させるように構成されている。具体的には、制御部3は、横隔神経53を通じた横隔膜の活性化が患者5の人工換気と連動するように、横隔膜の活性化を調整する。
【0153】
上述したように、センサ部4は、それぞれが呼吸および刺激に関連付けられた特定のパラメータを検出または測定することができる、複数のセンサを備え得る。例えば、センサ部4は、流量センサおよび圧力センサを備え得る。この場合、制御部3は、PEEPと過換気信号との両方を評価し、それらの一方または両方が異常を示した場合に刺激を活性化したり、刺激強度を調整したりすることができる。
【0154】
上記に鑑みて、本発明では、刺激を開始かつ調整するためのいくつかの条件を述べている。各条件は、呼吸状態の異常を知らせるものである。異常が検出されると、刺激が制御され得、例えば刺激が開始されるか、または刺激の強度が増減することになる。
【0155】
本発明の態様および実施形態を例示する本記載および添付の図面は、保護対象の発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。すなわち、本発明を図面および前述の記載において詳細に例示かつ説明してきたが、そのような例示および説明は例示的または典型的なものであって、限定的なものではないと考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更を行うことができる。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、および技術を詳細に示すことはしていない。したがって、以下の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で当業者によって変更および修正が行われてもよいことが理解されるであろう。とりわけ、本発明は、上記および下記の異なる実施形態からの特徴を任意に組み合わせたものを含む、更なる実施形態を包含する。
【0156】
本開示はまた、上記または以下の記載では説明されていない場合もあるが、図に示す更なる特徴をすべて個々に包含する。また、図面および記載に述べられている実施形態の単一の代替例およびその特徴の単一の代替例は、本発明の主題または開示されている主題から放棄され得る。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態で定義された特徴からなる主題と、当該特徴を含む主題とを包含する。
【0157】
さらに、特許請求の範囲において、「~を含む(comprising)」という語は他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(a)」は複数を除外しない。単一のユニットまたはステップは、特許請求の範囲に記載のいくつかの特徴の機能を果たすことができる。いくつかの手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実が、これらの手段を組み合わせたものが有利に使用され得ないことを示すものではない。属性または値に関連する「本質的に(essentially)」、「約(about)」、「およそ(approximately)」などの用語はまた、具体的にそれぞれ属性または値を正確に定義するものである。所与の数値または範囲の文脈における「約(about)」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内にある値または範囲を指す。結合または接続されたと記載されている構成要素は、電気的または機械的に直接結合されてもよく、あるいは1つまたは複数の中間構成要素を介して間接的に結合されてもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】