(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ソラフェニブ粒子およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/44 20060101AFI20230807BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230807BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230807BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230807BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230807BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230807BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230807BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230807BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230807BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230807BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P1/16
A61P1/18
A61P5/00
A61P13/08
A61P13/10
A61P13/12
A61P35/00
A61K9/10
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504301
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 US2021042543
(87)【国際公開番号】W WO2022020449
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519401413
【氏名又は名称】クリチテック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シッテナウアー,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ファージング,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】バルテザー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディゼレガ,ギア
(72)【発明者】
【氏名】アバルカ,アランザ,バレーダ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,シェルビー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC27
4C076DD38
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF03
4C076FF06
4C076FF33
4C076GG02
4C076GG05
4C076GG50
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086GA14
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA05
4C086NA11
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB26
(57)【要約】
少なくとも95重量%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩の粒子を含み、粒子は、少なくとも2m
2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有する、組成物。ソラフェニブ粒子を製造するための方法であって、(a)(i)少なくとも1つの溶媒、およびソラフェニブを含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に、および(ii)圧縮流体を加圧可能チャンバを規定する容器の入口に導入すること;(b)溶液をノズルオリフィスから加圧可能チャンバ中に通過させ、噴霧液滴の出力ストリームを生成させることであって、ノズルオリフィスは出力ストリーム内に配置された音響エネルギー源から2mm~20mmの間に配置され、音響エネルギー源は通過中に、10%~100%の振幅を有する音響エネルギーを生成させ、ノズルオリフィスは20μm~125μmの直径を有すること;(c)噴霧液滴を圧縮流体と接触させ、噴霧液滴からの溶媒の枯渇を引き起こし、化合物粒子を生成させることを含み、工程(a)、(b)、および(c)は、圧縮流体に対する超臨界温度および圧力下で実施される、方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも95重量%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含む粒子を含み、前記粒子は、少なくとも2m
2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有する、組成物。
【請求項2】
前記粒子は少なくとも5m
2/gのSSAを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子は少なくとも10m
2/gのSSAを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子は2m
2/g~約50m
2/g、約3m
2/g~50m
2/g、5m
2/g~50m
2/g、7m
2/g~50m
2/g、または10m
2/g~50m
2/gのSSAを有する、請求項1-3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子は体積分布で、約1μm~約8μmの平均粒子サイズを有する、請求項1-4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子は、少なくとも96%、97%、98%、99%、または100%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1-5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子は無コートであり、ポリマー、タンパク質、ポリエトキシル化ヒマシ油およびモノ、ジおよびトリグリセリドおよびポリエチレングリコールのモノおよびジエステルからなるポリエチレングリコールグリセリドを排除する、請求項1-6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は薬学的に許容される液体担体をさらに含む懸濁液を含む、請求項1-7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリソルベート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マンニトール、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1つ以上の成分をさらに含む、請求項1-8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒子は下記の平均嵩密度を有する、請求項1-9のいずれか一項に記載の組成物:
(a)約0.010g/cm
3~約0.200g/cm
3、約0.025g/cm
3~約0.175g/cm
3、約0.050g/cm
3~約0.150g/cm
3、約0.075g/cm
3~約0.125g/cm
3、または約0.085g/cm
3~約0.115g/cm
3、タッピングあり;
(b)約0.010g/cm
3~約0.200g/cm
3、約0.020g/cm
3~約0.175g/cm
3、約0.040g/cm
3~約0.125g/cm
3、約0.050g/cm
3~約0.100g/cm
3、または約0.060g/cm
3~約0.090g/cm
3、タッピングなし;
(c)約0.200g/cm
3、0.175g/cm
3、0.150g/cm
3、または0.125g/cm
3未満、タッピングあり;および/または
(d)約0.200g/cm
3、0.175g/cm
3、0.150g/cm
3、または0.125g/cm
3、0.100g/cm
3、または0.090g/cm
3未満、タッピングなし。
【請求項11】
ソラフェニブの前記薬学的に許容される塩はトシル酸ソラフェニブを含む、請求項1-10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
腫瘍を有する被験体に前記腫瘍を治療するのに有効な量の、請求項1-11のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、腫瘍を治療するための方法。
【請求項13】
前記腫瘍は、甲状腺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、膵腫瘍、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍および卵巣がんからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記被験体はヒト被験体である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は腫瘍内注射、腫瘍周囲注射、または腹腔内注射により投与される、請求項12-14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ソラフェニブ粒子を製造するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つの溶媒、およびソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に、および(ii)圧縮流体を加圧可能チャンバを規定する容器の入口に導入すること;
(b)前記溶液をノズルオリフィスから前記加圧可能チャンバ中に通過させ、噴霧液滴の出力ストリームを生成させることであって、前記ノズルオリフィスは前記出力ストリーム内に配置された音響エネルギー源から2mm~20mmの間に配置され、前記音響エネルギー源は通過中に、10%~100%の振幅を有する音響エネルギーを生成させ、前記ノズルオリフィスは20μm~125μmの直径を有すること;
(c)前記噴霧液滴を前記圧縮流体と接触させ、前記噴霧液滴からの前記溶媒の枯渇を引き起こし、少なくとも95%のソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含む化合物粒子を生成させることであって、前記粒子は、少なくとも2m
2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有すること
を含み、
工程(a)、(b)、および(c)は、前記圧縮流体に対する超臨界温度および圧力下で実施される、方法。
【請求項17】
(d)工程(c)で生成された前記化合物粒子をアンチソルベントと接触させ、前記化合物粒子からの前記溶媒のさらなる枯渇を引き起こすことをさらに含み、工程(d)は前記アンチソルベントに対する超臨界温度および圧力下で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が前記ノズルを通る流速は、約0.5mL/min~約30mL/minの範囲を有する、請求項16-17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記音響エネルギー源は、音響ホーン、音響プローブ、または音響プレートの1つを含む、請求項16-18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記音響エネルギー源は、約18kHz~約22kHz、または約20kHzの周波数を有する、請求項16-19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(e)前記加圧可能チャンバの前記出口を通して複数の粒子を受け取ること;ならびに
(f)収集装置において前記複数の粒子を収集すること
をさらに含む、請求項16-20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記圧縮流体は超臨界二酸化炭素である、請求項16-21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記アンチソルベントは超臨界二酸化炭素である、請求項17-22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒としては、アセトン、エタノール、メタノール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない、請求項16-23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記溶媒はアセトンを含む、請求項16-24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は31.1℃~約60℃、かつ、約1071psi~約1800psiで実施される、請求項16-25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子は、少なくとも5m
2/g、少なくとも7.5m
2/g、または少なくとも10m
2/gのSSAを有し、および/または、前記粒子は請求項1-11のいずれか一項に記載の粒子である、請求項16-26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項16-27のいずれか一項に記載の方法により調製された化合物粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年7月23日に出願された米国仮特許出願第63/055786号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
溶解速度は、薬物吸収の速度および程度ならびにバイオアベイラビリティを決定する際の主要なパラメータである。不十分な水溶解度および不十分なインビボ溶解は、多くの薬物のインビボバイオアベイラビリティについての制限因子となる。よって、インビトロ溶解速度は薬物開発において重要な要素として認識されており、溶解しにくい薬物の溶解速度を増加させるための方法および組成物が必要である。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、本開示は、少なくとも95重量%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含む粒子を含む組成物を提供し、粒子は、少なくとも2m2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有する。様々な実施形態では、粒子は少なくとも5m2/gまたは少なくとも10m2/gのSSAを有する。他の実施形態では、粒子は2m2/g~約50m2/g、約3m2/g~50m2/g、5m2/g~50m2/g、7m2/g~50m2/g、または10m2/g~50m2/gのSSAを有する。別の実施形態では、粒子は体積分布で、約1μm~約8μmの平均粒子サイズを有する。1つの実施形態では、粒子は、少なくとも96%、97%、98%、99%、または100%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、粒子は無コートであり、ポリマー、タンパク質、ポリエトキシル化ヒマシ油ならびにモノ、ジおよびトリグリセリドならびにポリエチレングリコールのモノおよびジエステルからなるポリエチレングリコールグリセリドを排除する。さらなる実施形態では、組成物は薬学的に許容される液体担体をさらに含む懸濁液を含む。1つの実施形態では、組成物はポリソルベート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マンニトール、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1つ以上の成分をさらに含む。他の実施形態では、粒子は下記の平均嵩密度を有する:
(a)約0.010g/cm3~約0.200g/cm3、約0.025g/cm3~約0.175g/cm3、約0.050g/cm3~約0.150g/cm3、約0.075g/cm3~約0.125g/cm3、または約0.085g/cm3~約0.115g/cm3、タッピングあり;
(b)約0.010g/cm3~約0.200g/cm3、約0.020g/cm3~約0.175g/cm3、約0.040g/cm3~約0.125g/cm3、約0.050g/cm3~約0.100g/cm3、または約0.060g/cm3~約0.090g/cm3、タッピングなし;
(c)約0.200g/cm3、0.175g/cm3、0.150g/cm3、または0.125g/cm3未満、タッピングあり;および/または
(d)約0.200g/cm3、0.175g/cm3、0.150g/cm3、または0.125g/cm3、0.100g/cm3、または0.090g/cm3未満、タッピングなし。
【0004】
別の実施形態では、ソラフェニブの薬学的に許容される塩はトシル酸ソラフェニブを含む。
【0005】
別の態様では、本開示は、腫瘍を有する被験体に腫瘍を治療するのに有効な量の、本明細書で開示されるいずれかの実施形態または実施形態の組合わせの組成物を投与することを含む、腫瘍を治療するための方法を提供する。様々な実施形態では、腫瘍は、甲状腺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、膵腫瘍、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍および卵巣がんからなる群より選択される。1つの実施形態では、被験体はヒト被験体である。別の実施形態では、組成物は腫瘍内注射、腫瘍周囲注射、または腹腔内注射により投与される。
【0006】
さらなる態様では、本開示は、下記を含む、化合物粒子を製造するための方法を提供し:
(a)(i)少なくとも1つの溶媒、およびソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に、および(ii)圧縮流体を加圧可能チャンバを規定する容器の入口に導入すること;
(b)溶液をノズルオリフィスから加圧可能チャンバ中に通過させ、噴霧液滴の出力ストリームを生成させることであって、ノズルオリフィスは出力ストリーム内に配置された音響エネルギー源から2mm~20mmの間に配置され、音響エネルギー源は通過中に、10%~100%の振幅を有する音響エネルギーを生成させ、ノズルオリフィスは20μm~125μmの直径を有すること;
(c)噴霧液滴を圧縮流体と接触させ、噴霧液滴からの溶媒の枯渇を引き起こし、少なくとも95%のソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含む化合物粒子を生成させることであって、粒子は、少なくとも2m2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有すること、
工程(a)、(b)、および(c)は、圧縮流体に対する超臨界温度および圧力下で実施される。
【0007】
1つの実施形態では、方法は、下記をさらに含み:
(d)工程(c)で生成された化合物粒子をアンチソルベントと接触させ、化合物粒子からの溶媒のさらなる枯渇を引き起こすこと、工程(d)はアンチソルベントに対する超臨界温度および圧力下で実施される。
【0008】
1つの実施形態では、溶液がノズルを通る流速は、約0.5mL/min~約30mL/minの範囲を有する。別の実施形態では、音響エネルギー源は、音響ホーン、音響プローブ、または音響プレートの1つを含む。さらなる実施形態では、音響エネルギー源は約18kHz~約22kHz、または約20kHzの周波数を有する。1つの実施形態では、方法は、下記をさらに含む:
(e)加圧可能チャンバの出口を通して複数の粒子を受け取ること;ならびに
(f)収集装置において複数の粒子を収集すること。
【0009】
別の実施形態では、圧縮流体は超臨界二酸化炭素である。さらなる実施形態では、アンチソルベントは超臨界二酸化炭素である。様々な実施形態では、溶媒としては、アセトン、エタノール、メタノール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。1つの実施形態では、溶媒はアセトンを含む。別の実施形態では、方法は31.1℃~約60℃、かつ、約1071psi~約1800psiで実施される。さらなる実施形態では、粒子は、少なくとも5m2/g、少なくとも7.5m2/g、または少なくとも10m2/gのSSAを有し、および/または、粒子は本開示のいずれかの実施形態または実施形態の組合わせの組成物中の粒子である。
【0010】
さらなる実施形態では、本開示は、本開示のいずれかの実施形態または実施形態の組合わせの方法により調製された化合物粒子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1(A-D)】(A)1000×倍率での原料ソラフェニブ、(B)2500×倍率での原料ソラフェニブ、(C)アセトンを溶媒として使用して本開示に従い作製したソラフェニブ粒子;2500X倍率、(D)アセトンを溶媒として使用して本開示に従い作製したソラフェニブ粒子;10000X倍率の例示的な走査電子顕微鏡写真である。
【
図2(A-D)】(A-B)エタノールを溶媒として使用して本開示に従い作製したソラフェニブ粒子の例示的な走査電子顕微鏡写真であり、(A)2500X倍率、(B)10000X倍率;またはメタノールを溶媒として使用しており、(C)2500X倍率、(B)5000X倍率である。
【
図3】生ソラフェニブと比較した、本開示に従い作製したソラフェニブの例示的なX線回折パターンである。
【
図4】900mLの、1%SDSを有する0.1N HCl、75rpm、pH=1、37℃におけるソラフェニブの溶解を示す。
【
図5】500mLの50%EtOH-水、50rpm、pH=7、37℃におけるソラフェニブの溶解を示す
【発明を実施するための形態】
【0012】
引用される全ての参考文献は本明細書でその全体が参照により組み込まれる。本明細書では、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈で明確に別記されない限り、複数の指示対象を含む。本開示の任意の態様の全ての実施形態は、文脈で明確に別記されない限り、組合わせて使用することができる。
【0013】
本明細書では、「約」は、列挙された値の+/-5%を意味する。
【0014】
1つの態様では、本開示は、少なくとも95重量%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含む粒子を含む組成物を提供し、粒子は、少なくとも2m2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有する。
【0015】
本明細書では、「ソラフェニブ」は塩基、酸、および中性状態を含むソラフェニブの任意のイオン化状態を含む。
【0016】
ソラフェニブの構造
【化1】
ソラフェニブ化学名:
4-(4-((((4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド
「ソラフェニブ粒子」は添加賦形剤を含まないソラフェニブの粒子を示す。ソラフェニブ粒子は「ソラフェニブを含む粒子」(ソラフェニブおよび少なくとも1つの添加賦形剤を含む粒子である)とは異なる。本開示のソラフェニブ粒子はポリマー、ワックスまたはタンパク質賦形剤を排除し、固体賦形剤内に包埋、含有、封入または被包されない。しかしながら、本開示のソラフェニブ粒子は、ソラフェニブの調製中に典型的に見出される不純物および副産物を含み得る。たとえそうであっても、ソラフェニブ粒子は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含み、ソラフェニブ粒子は、実質的に純粋なソラフェニブまたはソラフェニブの薬学的に許容される塩から構成され、またはこれから本質的に構成されることが意味される。
【0017】
本明細書では、「比表面積」はブルナウアー-エメット-テラー(「BET」)等温式(すなわち:BET SSA)により測定した、ソラフェニブ質量の単位あたりのソラフェニブ粒子の総表面積である。当業者により理解されるように、SSAは1グラム当たりに基づいて決定され、組成物中の凝集および非凝集ソラフェニブ粒子の両方を考慮する。BET比表面積試験手順は米国薬局方(Pharmaceopeia)および欧州薬局方の両方に含まれる大要方法である。ソラフェニブ粒子は、少なくとも2m2/gの比表面積(SSA)を有する。様々なさらなる実施形態では、ソラフェニブ粒子は少なくとも3m2/g5m2/g、6m2/g、7m2/g、8m2/g、9m2/g、10m2/g、11m2/g、12m2/g、13m2/g、15m2/g、またはそれ以上のSSAを有する。さらなる実施形態では、ソラフェニブ粒子は約2m2/g~約50m2/g、約3m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約7m2/g~約50m2/g、約10m2/g~約50m2/g、約3m2/g~約40m2/g、約5m2/g~約40m2/g、約7m2/g~約40m2/g、または約10m2/g~約40m2/gのSSAを有する。
【0018】
様々な実施形態では、粒子は約0.010g/cm3~約0.200g/cm3、約0.025g/cm3~約0.175g/cm3、約0.050g/cm3~約0.150g/cm3、約0.075g/cm3~約0.125g/cm3、または約0.085g/cm3~約0.115g/cm3、タッピングあり、の平均嵩密度を有する。本明細書では、粒子のタップ密度は試料を含むメスシリンダーをさらなる体積変化がほとんど得られなくなるまで機械的にタッピングすることにより得られる。
【0019】
他の実施形態では、粒子は約0.010g/cm3~約0.200g/cm3、約0.020g/cm3~約0.175g/cm3、約0.040g/cm3~約0.125g/cm3、約0.050g/cm3~約0.100g/cm3、または約0.060g/cm3~約0.090g/cm3、タッピングなし、の平均嵩密度を有する。本明細書では、粒子の嵩密度(タッピングなし)はタッピングされていない粉末試料の質量対体積(微粒子間空隙体積を含む)の比である。
【0020】
様々な他の実施形態では、粒子は約0.200g/cm3、0.175g/cm3、0.150g/cm3、または0.125g/cm3未満、タッピングあり、の平均嵩密度を有する。他の実施形態では、粒子は約0.200g/cm3、0.175g/cm3、0.150g/cm3、または0.125g/cm3、0.100g/cm3、または0.090g/cm3未満、タッピングなし、の平均嵩密度を有する。
【0021】
ソラフェニブ粒子は体積分布で、約0.7ミクロン~約8ミクロンの直径の平均粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ソラフェニブ粒子は体積分布で、約1ミクロン~約8ミクロンの直径、約1ミクロン~約7.5ミクロンの直径、約1.5ミクロン~約7ミクロンの直径、約0.7ミクロン~約6ミクロンの直径、約1ミクロン~約6ミクロンの直径、約1.5ミクロン~約6ミクロンの直径、約0.7ミクロン~約5ミクロンの直径、約1ミクロン~約5ミクロンの直径、または約1.5ミクロン~約5ミクロンの直径の平均粒子サイズを有する。ソラフェニブ粒子は、体循環によりそれらが腫瘍から運ばれる可能性が低いサイズ範囲にあり、高い比表面積からさらに利益を得、薬物の増強された可溶化および放出が提供される。
【0022】
これらの様々な実施形態のいずれかにおいて、ソラフェニブ粒子は、例えば、ソラフェニブ粒子1つあたり少なくとも約2.8×10-15グラムのソラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩、または、ソラフェニブ粒子1つあたり少なくとも約2.8×10-15~約3.40×10-9グラムのソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含み得る。
【0023】
1つの実施形態では、粒子は無コートであり、ポリマー、タンパク質、ポリエトキシル化ヒマシ油、ならびに、モノ、ジおよびトリグリセリドおよびポリエチレングリコールのモノおよびジエステルからなるポリエチレングリコールグリセリドを排除する。
【0024】
さらなる実施形態では、組成物は薬学的に許容される液体担体をさらに含む懸濁液を含む。本開示の懸濁液はソラフェニブ粒子および液体担体を含む。液体担体は水性または非水性とすることができる。たとえ、ソラフェニブ粒子が添加賦形剤を含まないとしても、懸濁液の液体担体は、水および任意で、バッファー、張度調整剤、保存剤、粘滑剤、粘度調整剤、浸透圧剤、界面活性剤、抗酸化剤、アルカリ化剤、酸性化剤、消泡剤、および着色剤からなる群より選択される1つ以上の賦形剤を含むことができる。例えば、懸濁液は、ソラフェニブ粒子、水、バッファーおよび塩を含むことができる。それは任意で、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、懸濁液は、水、水に懸濁されたソラフェニブ粒子およびバッファーから本質的に構成され、またはこれから構成される。懸濁液は、浸透圧性塩をさらに含むことができる。
【0025】
1つの実施形態では、組成物はポリソルベート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マンニトール、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1つ以上の成分をさらに含む。
【0026】
懸濁液は1つ以上の界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤としては、例として、ポリソルベート、ラウリル硫酸、アセチル化モノグリセリド、ジアセチル化モノグリセリド、およびポロクサマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
懸濁液は1つ以上の張度調整剤を含むことができる。好適な張度調整剤としては、例として、1つ以上の無機塩、電解質、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよびカリウムならびにアルカリ土類金属塩、例えばアルカリ土類金属無機塩、例えば、カルシウム塩、およびマグネシウム塩、マンニトール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0028】
腹腔内(IP)投与にとりわけ好適な1つの実施形態では、懸濁液は、IP腔の流体(複数可)に関して、高浸透圧(高張)、低浸透圧(低張)または等浸透圧(等張)となるように製剤化され得る。いくつかの実施形態では、懸濁液はIP腔内の流体に関して等張であり得る。そのような実施形態では、懸濁液の浸透圧は、約200~約380、約240~約340、約280~約300または約290mOsm/kgの範囲とすることができる。
【0029】
懸濁液は1つ以上の緩衝剤を含むことができる。好適な緩衝剤としては、例として、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム塩酸、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス-(ヒドロキシメチル)メタン、および炭酸水素ナトリウムならびに当業者に知られている他のものが挙げられるが、それらに限定されない。pHを腹腔内使用に望ましい範囲に調整するために、バッファーが一般的に使用される。通常、およそ5~9、5~8、6~7.4、6.5~7.5、または6.9~7.4のpHが望ましい。
【0030】
懸濁液は1つ以上の粘滑剤を含むことができる。粘滑剤は、粘膜、例えば腹膜およびその中の臓器を覆う膜上で緩和フィルムを形成する作用物質である。粘滑剤は小さな疼痛および炎症を軽減することができ、時として、粘膜保護剤と呼ばれる。好適な粘滑剤としては、約0.2~約2.5%の範囲のセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロース;約0.01%のゼラチン;約0.05~約1%のポリオール、例えばまた、約0.05~約1%の、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、およびプロピレングリコール;約0.1~約4%のポリビニルアルコール;約0.1~約2%のポビドン;ならびに本明細書で記載される別のポリマー粘滑剤と共に使用される場合約0.1%のデキストラン70が挙げられる。
【0031】
懸濁液はpHを調整するために1つ以上のアルカリ化剤を含むことができる。本明細書では、「アルカリ化剤」という用語は、アルカリ媒体を提供するために使用される化合物を意味することが意図される。そのような化合物としては、例として、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムならびに当業者に知られている他のものが挙げられるがそれらに限定されない。
【0032】
懸濁液はpHを調整するために1つ以上の酸性化剤を含むことができる。本明細書では、「酸性化剤」という用語は、酸性媒体を提供するために使用される化合物を意味することが意図される。そのような化合物としては、例として、酢酸、アミノ酸、クエン酸、硝酸、フマル酸および他のαヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、および硝酸ならびに当業者に知られている他のものが挙げられるがそれらに限定されない。
【0033】
懸濁液は1つ以上の消泡剤を含むことができる。本明細書では、「消泡剤」という用語は、充填組成物の表面上に形成する泡立ちの量を防止または低減させる1つのまたは複数の化合物を意味することが意図される。好適な消泡剤としては、例として、ジメチコン、SIMETHICONE(登録商標)、オクトキシノールならびに当業者に知られている他のものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
懸濁液は、懸濁液の粘度を増加または減少させる1つ以上の粘度調整剤を含むことができる。好適な粘度調整剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチセルロース(methycellulose)、マンニトールおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0035】
懸濁液は1つ以上の浸透圧剤、例えば腹膜透析のために使用されるものを含むことができる。好適な浸透圧剤としては、イコデキストリン(グルコースポリマー)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および緩衝剤としても使用される塩が挙げられる。
【0036】
本明細書では、ソラフェニブの「薬学的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、患者の組織と接触して使用するのに好適で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、などがなく、合理的な損益比に見合っており、それらの使用目的のために有効であり、ならびに、可能であれば、ソラフェニブの双性イオン形態である。「塩」という用語はソラフェニブの比較的無毒の、無機および有機酸付加塩を示す。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩、などが挙げられる。これらはアルカリおよびアルカリ土類金属に基づくカチオン、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、など、ならびに無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオン、例えば、限定はされないがアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、などを含み得る。(例えば、Berge S.M. et al., “Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci., 1977;66:1-19を参照されたい。これは参照により本明細書に組み込まれる。)1つの実施形態では、ソラフェニブの薬学的に許容される塩はトシル酸ソラフェニブを含む。
【0037】
1つの実施形態では、組成物は、主治医により使用目的に好適と判断された投与量での、懸濁液でのソラフェニブの剤形(すなわち:薬学的に許容される担体および任意の他の成分を有する)を含む。任意の好適な剤形が使用され得る;様々な非限定的実施形態では、剤形は、約0.01mg/kg~約50mg/kg体重/日を提供するのに十分である。様々なさらなる実施形態では、剤形は、約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、または約0.01mg/kg~約1mg/kg体重/日を提供するのに十分である。懸濁液はそのまま投与することができ、または、希釈剤、例えば、任意で、緩衝剤および1つ以上の他の賦形剤を含む注射用生理食塩水で、投与前に希釈することができる。例えば、懸濁液対希釈剤の体積比は1:1-1:100(v/v)の範囲にあってもよく、または他の好適な比であってもよい。
【0038】
別の態様では、本開示は、腫瘍を有する被験体に、腫瘍を治療するのに有効な量の、本開示のいずれかの実施形態または実施形態の組合わせの組成物または懸濁液を投与することを含む、腫瘍を治療するための方法を提供する。本開示のソラフェニブ粒子の比表面積の増加により、現在のところ入手可能なソラフェニブと比較して、粒子の溶解速度の著しい増加という結果になる。これにより、例えば、腫瘍治療における、本開示の粒子の使用について著しい改善が提供される。さらに、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、ソラフェニブの投与頻度および副作用を低減させることができる。非限定的例として、直接腫瘍注射により投与されるソラフェニブ用量は、経口投与と比較して、実質的に少なくなり、投与頻度がより少なくなり、副作用もまた、より低くなると予測されるであろう。というのも、全身濃度が著しく低減されるからである。
【0039】
本明細書では、「腫瘍」は、良性腫瘍、前悪性腫瘍、転移していない悪性腫瘍、および転移した悪性腫瘍を含む。
【0040】
本開示の方法は、ソラフェニブ治療に感受性がある腫瘍、例えば、限定はされないが、甲状腺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、膵腫瘍、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍および卵巣がんを治療するために使用することができる。
【0041】
被験体は、腫瘍を有する任意の好適な被験体、例えば、限定はされないが、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、などであってもよい。
【0042】
本明細書では、「治療する」または「治療している」は、下記の1つ以上を達成したことを意味する:(a)障害の重症度を低減させること;(b)治療される障害(複数可)に特徴的な症状の発症を制限または防止すること;(c)治療される障害(複数可)に特徴的な症状の悪化を阻止すること;(d)前に障害(複数可)を有したことがある患者において障害(複数可)の再発を制限または防止すること;および(e)前に障害(複数可)の症状を示した患者において症状の再発を制限または防止すること。
【0043】
これらの使用に有効な量は、ソラフェニブの性質(比活性、など)、投与経路、障害のステージおよび重症度、被験体の体重および全身の健康状態、および処方医師の判断を含むが、これらに限定はされない因子に依存する。実際に投与される本開示の懸濁液の組成物の量は医師により、上記関連状況を考慮して決定されることが理解されるであろう。1つの非限定的実施形態では、有効な量は0.01mg/kg~約50mg/kg体重/日を提供する量である。
【0044】
組成物は、任意の好適な経路を介して、例えば、限定はされないが、経口的に、肺、腹腔内に、腫瘍内に、腫瘍周囲に、皮下注射、筋肉内注射、または任意の他の形態の注射により、担当医療関係者により、所定の被験体に対する全ての因子を考慮して最も適切だと判断されるように投与され得る。
【0045】
投与期間は、組成物および懸濁液中のソラフェニブ粒子の用量が投与される期間である。投与期間は全用量が投与される単一期間とすることができ、または、それは、それぞれの期間中に、用量の一部が投与される2以上の期間に分割することができる。
【0046】
後投与期間は、前投与期間の完了後に始まり、その後の投与期間を開始させた後に終わる期間である。後投与期間の持続期間はソラフェニブに対する被験体の臨床反応に従い変動する可能性がある。懸濁液は後投与期間中に投与されない。後投与期間は、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも28日、少なくとも35日、少なくとも60日または少なくとも90日またはそれ以上続く可能性がある。後投与期間は被験体にとって一定に維持することができ、または2以上の異なる後投与期間が、被験体にとって使用され得る。
【0047】
投与サイクルは、投与期間および後投与期間を含む。したがって、投与サイクルの持続期間は投与期間と後投与期間の合計となる。投与サイクルは被験体に対して一定に維持することができ、または2つ以上の異なる投与サイクルが被験体に対して使用され得る。
【0048】
1つの実施形態では、投与は複数回実施され、各投与は、時間が、少なくとも21日だけ離される。
【0049】
別の態様では、本開示は、下記を含む、ソラフェニブを製造するための方法を提供し:
(a)(i)少なくとも1つの溶媒、およびソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に、および(ii)圧縮流体を加圧可能チャンバを規定する容器の入口に導入すること;
(b)溶液をノズルオリフィスから加圧可能チャンバ中に通過させ、噴霧液滴の出力ストリームを生成させることであって、ノズルオリフィスは出力ストリーム内に配置された音響エネルギー源から2mm~20mmの間に配置され、音響エネルギー源は通過中に、10%~100%の振幅を有する音響エネルギーを生成させ、ノズルオリフィスは20μm~125μmの直径を有すること;
(c)噴霧液滴を圧縮流体と接触させ、噴霧液滴からの溶媒の枯渇を引き起こし、少なくとも95%のソラフェニブまたはその薬学的に許容される塩を含む化合物粒子を生成させることであって、粒子は、少なくとも2m2/gの比表面積(SSA)を有し、かつ、体積分布で、約0.7μm~約8μmの平均粒子サイズを有すること、
工程(a)、(b)、および(c)は、圧縮流体に対する超臨界温度および圧力下で実施される。
【0050】
方法は、溶媒に溶解された溶質の出力ストリーム中に直接配置された音響エネルギー源を利用する。本開示の方法に適合する任意の好適な音響エネルギー源が使用され得、限定はされないが、音響ホーン、音響プローブ、または音響プレートが挙げられる。様々な実施形態では、ノズルオリフィスは、音響エネルギー源から約2mm~約20mm、約2mm~約18mm、約2mm~約16mm、約2mm~約14mm、約2mm~約12mm、約2mm~約10mm、約2mm~約8mm、約2mm~約6mm、約2mm~約4mm、約4mm~約20mm、約4mm~約18mm、約4mm~約16mm、約4mm~約14mm、約4mm~約12mm、約4mm~約10mm、約4mm~約8mm、約4mm~約6mm、約6mm~約20mm、約6mm~約18mm、約6mm~約16mm、約6mm~約14mm、約6mm~約12mm、約6mm~約10mm、約6mm~約8mm、約8mm~約20mm、約8mm~約18mm、約8mm~約16mm、約8mm~約14mm、約8mm~約12mm、約8mm~約10mm、約10mm~約20mm、約10mm~約18mm、約10mm~約16mm、約10mm~約14mm、約10mm~約12mm、約12mm~約20mm、約12mm~約18mm、約12mm~約16mm、約12mm~約14mm、約14mm~約20mm、約14mm~約18mm、約14mm~約16mm、約16mm~約20mm、約16mm~約18mm、および約18mm~約20mmに配置される。さらなる実施形態では、WO2016/197091号の任意の実施形態のノズルアセンブリが使用され得る。
【0051】
本開示の方法に適合する任意の好適な音響エネルギー源が使用され得、限定はされないが、音響ホーン、音響プローブ、または音響プレートが挙げられる。様々なさらなる実施形態では、音響エネルギー源は音響エネルギー源を使用して発生させることができる全出力の約10%~約100%の振幅を有する音響エネルギーを生成させる。本明細書における教示を考慮すると、当業者は使用される特定の全出力を有する適切な音響エネルギー源を決定することができる。1つの実施形態では、音響エネルギー源は約500~約900ワット;様々なさらなる実施形態では、約600~約800ワット、約650-750ワット、または約700ワットの全出力を有する。
【0052】
様々なさらなる実施形態では、音響エネルギー源は、音響エネルギー源を使用して発生させることができる全出力の約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約90%~約100%、約10%および約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、約50%~約70%、約60%~約70%、約10%~約60%、約20%~約60%、約30%~約60%、約40%~約60%、約50%~約60%、約10%~約50%、約20%~約50%、約30%~約50%、約40%~約50%、約10%~約40%、約20%~約40%、約30%~約40%、約10%~約30%、約20%~約30%、約10%~約20%、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または約100%の出力を有する音響エネルギーを生成させる。本明細書における教示を考慮すると、当業者は、音響エネルギー源で使用される適切な周波数を決定することができる。1つの実施形態では、音響エネルギー源で約18~約22kHzの周波数が使用される。様々な他の実施形態では、音響エネルギー源で約19~約21kHz、約19.5~約20.5の周波数、または約20kHzの周波数が使用される。
【0053】
様々なさらなる実施形態では、ノズルオリフィスは、約20μm~約125μm、約20μm~約115μm、約20μm~約100μm、約20μm~約90μm、約20μm~約80μm、約20μm~約70μm、約20μm~約60μm、約20μm~約50μm、約20μm~約40μm、約20μm~約30μm、約30μm~約125μm、約30μm~約115μm、約30μm~約100μm、約30μm~約90μm、約30μm~約80μm、約30μm~約70μm、約30μm~約60μm、約30μm~約50μm、約30μm~約40μm、約40μm~約125μm、約40μm~約115μm、約40μm~約100μm、約40μm~約90μm、約40μm~約80μm、約40μm~約70μm、約40μm~約60μm、約40μm~約50μm、約50μm~約125μm、約50μm~約115μm、約50μm~約100μm、約50μm~約90μm、約50μm~約80μm、約50μm~約70μm、約50μm~約60μm、約60μm~約125μm、約60μm~約115μm、約60μm~約100μm、約60μm~約90μm、約60μm~約80μm、約60μm~約70μm、約70μm~約125μm、約70μm~約115μm、約70μm~約100μm、約70μm~約90μm、約70μm~約80μm、約80μm~約125μm、約80μm~約115μm、約80μm~約100μm、約80μm~約90μm、約90μm~約125μm、約90μm~約115μm、約90μm~約100μm、約100μm~約125μm、約100μm~約115μm、約115μm~約125μm、約20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、115μm、または約120μmの直径を有する。ノズルは方法において使用される溶媒および圧縮流体の両方に不活性である。
【0054】
1つの実施形態では、溶媒としては、アセトン、エタノール、メタノール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。特定の実施形態では、溶媒はアセトンを含む。溶媒は全体溶液の少なくとも約80%、85%、または90重量%を占めなければならない。
【0055】
圧縮流体は、使用される条件下で超臨界流体を形成することができ、粒子を形成する溶質は圧縮流体に溶解しにくく、または、これに不溶性である。当業者に知られているように、超臨界流体はその臨界点を超える温度および圧力の任意の物質であり、そこでは、明確な液相および気相は存在しない。本開示の方法の工程(a)、(b)、および(c)は、圧縮流体に対する超臨界温度および圧力下で実施され、そのため、圧縮流体はこれらの処理工程中、超臨界流体として存在する。
【0056】
圧縮流体は、粒子中の望まれない成分のための溶媒として機能することができ、これを除去するために使用することができる。本開示の方法では任意の好適な圧縮流体が使用され得;例示的なそのような圧縮流体は米国特許第5833891号および5874029号において開示される。1つの非限定的実施形態では、好適な超臨界流体形成圧縮流体および/またはアンチソルベントは二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、亜酸化窒素、キセノン、六フッ化硫黄およびトリフルオロメタンを含むことができる。さらなる溶媒枯渇を引き起こすための工程(d)において列挙されるアンチソルベントは、以上で規定される圧縮流体であり、工程(a-c)で使用される同じ圧縮流体であってもよく、または、異なっていてもよい。1つの実施形態では、工程(d)で使用されるアンチソルベントは工程(a-c)で使用される圧縮流体と同じである。好ましい実施形態では、圧縮流体およびアンチソルベントはどちらも超臨界二酸化炭素である。
【0057】
全ての場合において、圧縮流体およびアンチソルベントは、溶媒と実質的に混和可能であるべきであり、一方、沈殿される化合物は、圧縮流体中で実質的に不溶性であるべきであり、すなわち、化合物は、選択された溶媒/圧縮流体接触条件では、圧縮流体またはアンチソルベントに約5重量%以下の可溶性であるべきであり、好ましくは本質的に完全に不溶性である。
【0058】
本開示の方法において使用される超臨界条件は、典型的には、超臨界流体の臨界温度の1X~約1.4X、または1X~約1.2X、および、圧縮流体の超臨界圧の1X~約7X、または1X~約2Xの範囲である。
【0059】
所定の圧縮流体またはアンチソルベントについての臨界温度および圧力を決定することは、十分当業者のレベルの範囲内である。1つの実施形態では、圧縮流体およびアンチソルベントはどちらも超臨界二酸化炭素であり、臨界温度は少なくとも31.1℃、かつ、最大約60℃までであり、臨界圧力は少なくとも1071psi、かつ、最大約1800psiまでである。別の実施形態では、圧縮流体およびアンチソルベントはどちらも超臨界二酸化炭素であり、臨界温度は少なくとも35℃、かつ、最大約55℃までであり、臨界圧力は少なくとも1070psi、かつ、最大約1500psiまでである。当業者によれば、特定臨界温度および圧力は処理中の異なる工程で異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0060】
任意の好適な加圧可能チャンバが使用され得、限定はされないが、WO2016/197091号または米国特許第5,833,891号および5,874,029号において開示されるものが挙げられる。同様に、噴霧液滴を圧縮流体と接触させ、液滴からの溶媒の枯渇を引き起こす工程;ならびに、液滴をアンチソルベントと接触させ、液滴からの溶媒のさらなる枯渇を引き起こし、化合物の粒子を生成させる工程は任意の好適な条件下、例えば、限定はされないが、米国特許第WO2016/197091号または5,833,891号および5,874,029において開示されるもの下で実施することができる。
【0061】
流速は出力を最適化するために可能な限り高く、かつ、ノズルオリフィスを含む装置の圧力限界未満で調整することができる。1つの実施形態では、ノズルを通る溶液の流速は、約0.5mL/min~約30mL/minの範囲を有する。様々なさらなる実施形態では、流速は、約0.5mL/min~約25mL/min、0.5mL/min~約20mL/min、0.5mL/min~約15mL/min、0.5mL/min~約10mL/min、0.5mL/min~約4mL/min、約1mL/min~約30mL/min、約1mL/min~約25mL/min、約1mL/min~約20mL/min、1mL/min~約15mL/min、約1mL/min~約10mL/min、約2mL/min~約30mL/min、約2mL/min~約25mL/min、約2mL/min~約20mL/min、約2mL/min~約15mL/min、または約2mL/min~約10mL/minである。流速に供される薬物の溶液は、任意の好適な濃度、例えば、約1mg/ml~約80mg/mlとすることができる。
【0062】
1つの実施形態では、方法は、加圧可能チャンバの出口を通して複数の粒子を受け取ること;ならびに収集装置、例えばWO2016/197091号に開示されるものにおいて複数の粒子を収集することをさらに含む。
【0063】
別の態様では、本開示は、本開示のいずれかの実施形態または実施形態の組合わせの方法により調製された化合物粒子を提供する。
【0064】
実施例
ソラフェニブ遊離塩基(FB)は、ChemciaおよびBOC Sciencesから入手した。材料を温度および湿度モニタキャビネット内で光から保護して保存した。
【0065】
化合物名:ソラフェニブ遊離塩基
分子式:C21H16CIF3N4O3
分子量:464.8g/mole
1つの特定的な例示的な方法では、15mg/mlのソラフェニブの溶液をアセトンに溶解した。ノズルおよび音響プローブを加圧可能チャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの穴を有する二酸化チタンでコートした焼結ステンレス鋼メッシュフィルタを加圧可能チャンバに取付け、沈殿ソラフェニブ粒子を収集した。超臨界二酸化炭素を製造装置の加圧可能チャンバ内に入れ、約37℃、4-12kg/時間の流速でおよそ1200psiにした。音響プローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調整した。ソラフェニブを含むアセトン溶液を、ノズルを通して2mL/分の流速でおよそ20分間ポンピングした。次いで、沈殿ソラフェニブ粒子を、混合物をステンレス鋼メッシュフィルタに通してポンピングするにつれ、超臨界二酸化炭素から収集した。ソラフェニブの粒子を含むフィルタを開き、得られた生成物をフィルタから収集した。
【0066】
別の特定の例示的な方法では、6mg/mlのソラフェニブの溶液をエタノールに溶解した。ノズルおよび音響プローブを加圧可能チャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの穴を有する二酸化チタンでコートした焼結ステンレス鋼メッシュフィルタを加圧可能チャンバに取付け、沈殿ソラフェニブ粒子を収集した。超臨界二酸化炭素を製造装置の加圧可能チャンバ内に入れ、約37℃、4-12kg/時間の流速でおよそ1200psiにした。音響プローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調整した。ソラフェニブを含むエタノール溶液を、ノズルを通して2mL/分流速でおよそ50分間ポンピングした。次いで、沈殿ソラフェニブ粒子を、混合物をステンレス鋼メッシュフィルタに通してポンピングするにつれ、超臨界二酸化炭素から収集した。ソラフェニブの粒子を含むフィルタを開き、得られた生成物をフィルタから収集した。
【0067】
1つの特定的な例示的な方法では、6mg/mlのソラフェニブの溶液をメタノールに溶解した。ノズルおよび音響プローブを加圧可能チャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの穴を有する二酸化チタンでコートした焼結ステンレス鋼メッシュフィルタを加圧可能チャンバに取付け、沈殿ソラフェニブ粒子を収集した。超臨界二酸化炭素を製造装置の加圧可能チャンバ内に入れ、約37℃、4-12kg/時間の流速でおよそ1200psiにした。音響プローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調整した。ソラフェニブを含むメタノール溶液を、ノズルを通して2mL/分流速でおよそ50分間ポンピングした。次いで、沈殿ソラフェニブ粒子を、混合物をステンレス鋼メッシュフィルタに通してポンピングするにつれ、超臨界二酸化炭素から収集した。ソラフェニブの粒子を含むフィルタを開き、得られた生成物をフィルタから収集した。
【0068】
実現可能性研究
ソラフェニブ遊離塩基を、超臨界流体二酸化炭素(scCO2)および様々な有機溶媒中での溶解度について評価した。3つの沈殿実行(およそ600-700mg)をRC612B沈殿ユニット上で、前のページで提供された実施例に従い実施した。溶媒は3つの沈殿の各群間で修正された単一変数であった。沈殿を、PSDを決定するためにレーザ回折、SSAを決定するためにBET吸着測定(sorptometry)、傾向を決定し、PSDおよびSSAデータを支持するためにSEM、ならびに結晶/アモルファス形態を決定するためにPXRDにより分析した。
【0069】
PSD分析を、Malvern Mastersizer(商標)3000上でAero S分散ユニットを使用して、製造者取扱説明書に従い実施した。
【0070】
SSA決定分析を、Quantachrome NOVAtouch(商標)LX2BET吸着測定器(Sorptometer)またはPorous Materials, Inc.、自動化BET吸着測定器(Sorptometer)BET-202A上で、製造者取扱説明書に従い実施した。
【0071】
PXRD分析をSiemens D 5000X線回折計上で実施した。PXRDは、5~35 2θ°で、0.02 2θ°/秒の速度、および1秒/工程で走査した。データは
図3に示される。
【0072】
SEMをHitachi 8130 SEM上で実施した。SEM顕微鏡写真が
図1-2において見られ得る。
【0073】
嵩/タップ密度.嵩/タップ密度分析を、試料を入れるための10mLメスシリンダーを有するAgilent 350タップ密度試験装置を使用して実施した。結果は表1において見ることができる。
【0074】
ソラフェニブは3つの溶媒、アセトン、エタノール、およびメタノールから沈殿した。3つ全ての実行から、収率>58%が得られた。沈殿後、生成された材料を、以上で概説した技術を使用して分析した。
【0075】
初期実現可能性研究を実施した後、ソラフェニブを、スケールアップ7グラム実行において15.1mg/mLで、アセトンから沈殿させた。スケールアップ実行から沈殿させたものを、PSDを決定するためにレーザ回折、PSDデータを支持し、傾向を決定するためにSEM、結晶/アモルファス形態、および嵩/タップB/T密度を決定するためにPXRDにより分析した。これらの材料はまた、未処理/原料と比較するために、溶解のために使用した。加えて、試料を取り、3つの時点(T0を除く)のために開閉容器を備えた短期安定性研究(14日)に置いた:T1d、T7d、およびT14d。PXRDおよび外観試験を各時点で実施した。PXRDおよび外観は試料のいずれについても変化しなかった。
【0076】
粒子サイズ分布結果表が表1において見られ得る。
【表1】
研究により、この中で生成されたソラフェニブ粒子は著しく増加した比表面積を有することが示される。
【0077】
溶解度研究
FDA溶解法の評価
溶解法をソラフェニブの固体経口剤形についてのFDA認可法を使用して評価し、
図4に示されるように、異なる比表面積を有する材料間での良好な区別が示された。この方法を酸性媒体中で実施した。薬物の腫瘍内送達の可能性に関連するものとして、中性pH(6.8~7.4)での特異的な溶解法の開発を追求した。有機溶媒の添加を使用して、中性pHでの化合物の溶解度を増加させた。溶解度研究を下記条件で実施した:
・25/75、50/50、および75/25(v/v)のメタノール/水比
・25/75、50/50、および75/25(v/v)のエタノール/水比
【0078】
溶解度を、振盪フラスコ法を使用することにより決定した。薬物を2連で調製した各溶液に過剰に添加した。バイアルを機械式振盪機上に24時間、20-25℃で置いた。振盪後、溶液を除去し、0.2μmPTFEシリンジフィルタに通して濾過し、UV/可視分光光度法により分析した。
【0079】
ソラフェニブについての有機溶媒修飾溶解度の結果が表2に示される。どちらの溶媒についても、ソラフェニブは濃度依存溶解度を示した。全溶解度は、エタノールを用いるとわずかに高くなった。
【表2】
【0080】
溶解のために選択した媒体は500mLの50%エタノール-水とし、パドルスピードは50rpm、pH=7、37℃とした。シンク条件を満たすために、50mgの薬物を各容器に直接添加した。2つの容器は9.97m
2/gの比表面積測定値を有する処理材料を含み、2つの容器は0.88m
2/gの比表面積測定値を有する未処理材料を含んだ。時点を10、20、30、45、60、および120分に取った。各時点で、5mLアリコートを取り出し、0.45μmPTFEシリンジフィルタを用いて直ちに濾過し、最初の1mLの濾液を廃棄した。次いで、溶液をUV/可視分光光度法により、293nmの波長で分析した。溶解プロファイルが
図5に示され、これにより、本開示のソラフェニブ粒子は、未処理ソラフェニブと比較して、著しく改善された溶解度を示すことが示される。
【国際調査報告】