(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】無線電力装置を検査するための検査装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20230807BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230807BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023504312
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021069263
(87)【国際公開番号】W WO2022017842
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319004364
【氏名又は名称】エレクトディス アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ラウレンス スバーンス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ダールバリ
(72)【発明者】
【氏名】マックス アンデション
(72)【発明者】
【氏名】トニー ティレルクビスト
(57)【要約】
無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するための異物エミュレーション装置(60、160、260)が提供される。異物エミュレーション装置(60、160、260)は、処理手段(61、42、52)と動作可能に通信している。異物エミュレーション装置(60、160、260)は、少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)が配置されている本体(68、168、268)と、温度データを処理手段(61、42、52)に送信するように構成された少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)であって、温度データが少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)の温度を示す、センサ部と、少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a、166b)と検査される無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすための手段と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するための異物エミュレーション装置(60、160、260、360)であって、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)は処理手段(61、42、52)と動作可能に通信しており、前記異物エミュレーション装置(60、160、260)は、
少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)が配置されている本体(68、168、268、368)と、
前記処理手段(61、42、52)に温度データを送信するように構成された少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)であって、前記温度データが前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の温度を示すセンサ部(64)と
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と検査される前記無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)と、
を有する、異物エミュレーション装置。
【請求項2】
前記制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)が、駆動部(62)と動作可能に通信している、請求項1に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項3】
前記処理手段(61、42、52)は、
前記温度データを受信し、少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)、および/または、前記無線電力装置(10、20)を移動させるように前記駆動部(62)に指示する、
ように構成される、請求項2に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項4】
前記処理手段(61、42、52)に位置データを送信するように構成された少なくとも1つの位置センサ(64b)と動作可能に通信しており、前記位置データが、前記無線電力装置(10、20)に対する前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記位置を示す、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項5】
前記処理手段(61、42、52)は、前記位置データを受信し、少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)、および/または、前記無線電力装置(10、20)を移動させるように前記駆動部(62)に指示するように構成される、請求項2または4に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項6】
プローブ装置(110)をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
【請求項7】
前記温度データは、無線通信を用いて前記処理手段(61、42、52)に送信される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
【請求項8】
前記処理手段(61、42、52)は、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と通信可能なホスト装置に配置される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
【請求項9】
前記無線電力装置(10、20)は、無線充電器の形態の無線電力送信装置(20)である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置。
【請求項10】
前記無線電力装置(10、20)は、無線電力受信装置(10)である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置。
【請求項11】
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するためのシステムであって、前記システムは、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と、処理手段(61、42、52)が配置されているホスト装置と、を備える、システム。
【請求項12】
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)が配置された本体(68、168、268)、駆動部(62)、および、少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)を有する異物エミュレーション装置(60、160、260、360)を提供すること(820)と、
前記エミュレート対象物(66、166a~b、266)と前記検査される無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすこと(840)と、
前記少なくとも1つの温度センサ(64a)によって生成され、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記温度を示す温度データを、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と動作可能に通信している処理手段(61、42、52)に送信すること(852)と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記処理手段(61、42、52)が、前記温度データを受信することと、
少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)を移動させるための指示を駆動部(62)に送信することと、
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と前記無線電力装置(10、20)との間の相対的移動を引き起こすことと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)が、少なくとも1つの位置センサ(64b)と動作可能に通信しており、前記方法が、さらに、
前記少なくとも1つの位置センサ(64b)によって生成され、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記相対的位置を示す位置データを、前記処理手段(61、42、52)に送信することと、
を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記処理手段(61、42、52)が、前記位置データを受信することと、
少なくとも前記位置データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)を移動させるための指示を駆動部(62)に送信することと、
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と前記無線電力装置(10、20)との間の相対的移動を引き起こすことと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処理手段(61、42、52)によってロードされ実行されると、請求項12に記載の方法を実行させる命令を符号化したコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
処理手段(61、42、52)によってロードされ実行されると、請求項12に記載の方法を実行させるコード命令を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線給電の分野に関し、より具体的には、無線電力装置と検査装置との間の無線給電の検査に関するものである。さらに具体的には、本発明は、少なくとも1つの無線給電コイルを有する無線電力装置の検査に使用するための検査装置に関し、検査装置は、無線電力送信装置および/または受信装置が異物にどう反応するかを検査するように構成される。本発明は、また、少なくとも1つの無線電力送信コイルを有する無線電力送信装置からの無線給電の性能を検査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線給電は、携帯端末、タブレットPC、ノートPC、カメラ、オーディオプレーヤ、充電式歯ブラシ、無線ヘッドセットなどの携帯機器、その他、様々な民生機器、家電製品の無線充電など、ますます普及が進むと予想される。
【0003】
ワイヤレスパワーコンソーシアムは、Qiと呼ばれる無線給電規格を開発している。その他、無線給電のアプローチとして、ワイヤレスパワーアライアンス、パワーマターズアライアンスなどが知られている。
【0004】
ワイヤレスパワーコンソーシアムによってQiとして知られている無線給電規格は、本発明に適用される現在好ましい無線給電方式として、本書を通じて特に限定されることなく参照される。しかしながら、本発明は、一般に、上述のものを含むがこれに限定されない他の無線給電規格またはアプローチにも適用され得る。
【0005】
Qiに準拠した機器の動作は、平面コイル間の磁気誘導に基づく。すなわち、無線電力を供給する装置(基地局または無線電力送信装置と呼ばれる)と、無線電力を消費する装置(モバイル機器と呼ばれる)の2種類の装置が関係する。給電は、基地局からモバイル機器に行われる。このため、基地局には1次コイルを含むサブシステム(電力送信器)があり、モバイル機器には2次コイルを含むサブシステム(電力受信器)がある。1次コイルと2次コイルは、コアレス共振トランスの両半分を構成する。一般的に、基地局は平らな表面を有し、その上にユーザが1つまたは複数のモバイル機器を置くことで、基地局上に置かれたモバイル機器の無線バッテリ充電または動作電源供給を実現する。
【0006】
動作中、多くの様々な要因が無線充電の品質に影響を与える。例えば、無線電力送信装置によって発生する磁場に曝される電力受信器の金属部分において、磁気誘導によって熱が発生することがある。モバイル機器および/または基地局が過度の熱にさらされると、モバイル機器の重要な部品の損傷や性能の低下など、いくつかの望ましくない影響が生じる恐れがある。さらに、充電効率、ひいては必要とされる充電期間は、基地局における電力受信器の向きによって変化する可能性がある。
【0007】
無線充電の品質に影響を与えるもう一つの要因は、モバイル機器と基地局との間に異物が存在する場合である。異物とは、ここでは、無線電力送信装置または無線電力受信装置のいずれにも属さず、無線給電に予期せぬ損失をもたらす可能性のあるあらゆる物体と見なされる。異物によって吸収されたエネルギーは、異物の(意図しない)加熱をもたらす可能性がある。これは、温度が人間の安全基準を超えた場合、深刻な安全上の問題につながる可能性がある。その上、過度の温度は、異物の近くにあるいずれかの機器に修復不可能な損傷を与える可能性がある。
【0008】
ワイヤレスパワーコンソーシアムに準拠するために、基地局(無線電力送信器)またはPTxは、前述の好ましくない加熱効果を引き起こす可能性のある異物が配置されている場合、無線給電を中断するか、あるいは、伝送を全く開始しない異物検出機能を備える必要がある。異物検出方法には、例えば、Qファクター法、ロスバランス法などの様々な種類が存在する。Qファクター法は給電段階の前に使用され、ロスバランス法は給電段階中に使用される。
【0009】
そのため、基地局におけるこのような異物検出機能を、正確かつ費用対効果の高い方法で検査し、評価する必要がある。Qiコンプライアンステストの最新技術では、無線電力装置と複数の代表的な異物を相対的に手作業で位置決めする必要がある。これは煩雑であり、非常に時間がかかり、オペレータのミスが発生しやすい。例えば、無線電力送信製品の一部の製造業者は、異物を移動させるロボットと電力受信製品を移動させる別のロボットを利用し、送信製品の充電面全体にわたって精密な位置決め方式を完成させる。FOとレシーバ製品の両方をコントローラに接続するケーブルは、干渉を引き起こしたり、絡まったりすることがあり、同期した移動が必要なため、位置決めシステムに特別な要件が課される。さらに、検査の対象が金属の検出であるため、FOとは別に、電磁場の近傍に金属(または、導電性材料)を配置しないことが非常に重要である。包括的な検査設定を行うには、多大な労力とコスト、煩雑さが伴うことは明らかである。そのため、大半の生産ラインでは、1カ所または数カ所の決まった位置に物体を挿入し、その数カ所の結果に基づいて性能を評価するというシンプルな検査シナリオが採用されている。これは、消費者向け製品、あるいは自動車向け製品の安全機能のために、かなりの犠牲を強いることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、無線給電の技術分野における改良を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様において、少なくとも1つの無線電力コイルを有する無線電力装置の異物検出を検査するための異物エミュレーション装置が提供される。異物エミュレーション装置は、処理手段と動作可能に通信している。異物エミュレーション装置は、少なくとも1つのエミュレート対象物(emulated object)が配置される本体と、処理手段に温度データを送信するように構成された少なくとも1つの温度センサを含むセンサ部であって、温度データが少なくとも1つのエミュレート対象物の温度を示すセンサ部と、少なくとも1つのエミュレート対象物と検査対象の無線電力装置との間の制御される相対的移動を引き起こすための手段と、を備える。
【0012】
制御された相対的移動を引き起こすための手段は、制御された相対的移動を引き起こすように調整された駆動手段であってよい。この移動は、検査される無線電力装置に対する少なくとも1つのエミュレート対象物の移動であってよい。
【0013】
一実施形態では、制御された相対的移動を引き起こすための手段は、駆動部と動作可能に通信している。
【0014】
一実施形態では、無線電力装置は、無線充電器の形態を有する無線電力送信装置である。一実施形態では、無線電力装置は、無線電力受信装置である。
【0015】
一実施形態において、処理手段は、温度データを受信し、少なくとも温度データに基づいて、少なくとも1つのエミュレート対象物を移動させるように、かつ/または、検査中の無線電力装置を移動させるように、駆動部に指示するように構成されている。温度データは、無線通信を用いて、処理手段に送信されてよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)であってよい。
【0016】
一実施形態では、異物エミュレーション装置は、処理手段に位置データを送信するように構成された少なくとも1つの位置センサと動作可能に通信しており、位置データは、無線電力装置に対する少なくとも1つのエミュレート対象物の位置の指標である。処理手段は、位置データを受信し、少なくとも温度データに基づいて、少なくとも1つのエミュレート対象物を移動させるように、かつ/または、無線電力装置を移動させるように、駆動部に指示するように構成されてよい。
【0017】
一実施形態において、異物エミュレーション装置は、長手方向配置部(少なくとも1つのエミュレート対象物の移動を案内するように構成されている)をさらに含む。
【0018】
少なくとも1つのエミュレート対象物は、異物エミュレーション装置の本体に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0019】
一実施形態において、異物エミュレーション装置は、プローブ装置をさらに備える。
【0020】
第2の態様において、少なくとも1つの無線電力コイルを有する無線電力装置の異物検出を検査するためのシステムが提供される。このシステムは、異物エミュレーション装置と、処理手段が配置されているホスト装置とを備える。このシステムは、プローブ装置をさらに含んでもよい。
【0021】
第3の態様において、少なくとも1つの無線電力コイルを有する無線電力装置の異物検出を検査するための方法が提供される。本方法は、少なくとも1つのエミュレート対象物が配置されている本体を有する異物エミュレーション装置と、少なくとも1つのエミュレート対象物と検査される無線電力装置との間の制御された相対的移動を引き起こすための手段と、少なくとも1つの温度センサを含むセンサ部と、を提供することを含む。本方法は、エミュレート対象物と検査される無線電力装置との制御された相対的移動を引き起こすことを含む。本方法は、少なくとも1つの温度センサによって生成された、少なくとも1つのエミュレート対象物の温度を示す温度データを、異物エミュレーション装置と動作可能に通信している処理手段に送信することをさらに含む。
【0022】
本方法は、処理手段が、温度データを受信することと、少なくとも温度データに基づいて、少なくとも1つのエミュレート対象物の相対的移動を引き起こすための命令を送信することと、をさらに含んでもよい。本方法は、少なくとも1つのエミュレート対象物の相対的移動を引き起こすこと、または、無線電力装置を移動させることをさらに含んでもよい。
【0023】
一実施形態では、異物エミュレーション装置は、少なくとも1つの位置センサと動作可能に通信しており、本方法は、少なくとも1つの位置センサによって生成された、少なくとも1つのエミュレートされたものの位置を示す位置データを、処理手段に送信することをさらに含む。
【0024】
第4の態様において、ロードされて処理手段によって実行されると、第3の態様による方法を実行させる命令を符号化したコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0025】
第5の態様において、ロードされて処理手段によって実行されると、第3の態様による方法を実行させるコード命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施形態の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、携帯機器への無線給電のための無線電力送信装置の概略ブロック図である。
【
図2a】
図2aは、一実施形態による無線電力送信装置の検査に使用するための異物エミュレーション装置の概略ブロック図である。
【
図2b】
図2bは、一実施形態による無線電力送信装置の検査に使用するための異物エミュレーション装置の概略ブロック図である。
【
図3a】
図3aは、一実施形態による異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図3b】
図3bは、一実施形態による異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図5a-d】
図5a-dは、様々な実施形態によるエミュレート対象物の概略図である。
【
図6a】
図6aは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図6b】
図6bは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図7a】
図7aは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図7b】
図7bは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図8a】
図8aは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図8b】
図8bは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図8c】
図8cは、一実施形態に係る異物エミュレーション装置の概略図である。
【
図9】
図9は、
図3または
図4による異物エミュレーション装置を用いて無線電力送信装置を検査する方法の概略的なブロック図である。
【
図10】
図10は、一実施形態による無線電力送信装置の検査に使用するための異物エミュレーション装置の概略的なブロック図である。
【
図11】
図11は、一実施形態による無線電力送信装置の検査に使用するための異物エミュレーション装置の概略ブロック図である。
【
図12】
図12は、一実施形態による無線電力受信装置の検査に使用するための異物エミュレーション装置の概略的なブロック図である。
【
図13】
図13は、一実施形態による無線電力受信装置の検査に使用するための異物エミュレーション装置の概略的なブロック図である。
【
図14a】
図14aは、一実施形態によるプローブ装置を構成する異物エミュレーション装置の概略的なブロック図である。
【
図14b】
図14bは、一実施形態によるプローブ装置を構成する異物エミュレーション装置の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、本発明は、多くの様々な形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。添付の図面に例示された特定の実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図していない。図面において、同じ番号は、同様の要素を指す。
【0028】
図1は、無線電力受信装置10に無線給電するための無線電力送信装置20を示す図である。無線電力受信装置10は、携帯機器であってもよい。携帯機器10は、例えば、携帯端末10a(例えば、スマートフォン)、タブレットコンピュータ10b(例えば、サーフパッド)、ノートパソコン10c、カメラ、オーディオプレーヤ、充電式歯ブラシ、無線ヘッドセット、または、他の種類の消費者向けの製品または家電製品であってよい。
【0029】
無線給電は、ワイヤレスパワーコンソーシアムによるQi規格に準拠するものとして説明され、したがって、無線電力送信装置20は、Qi用語でいう基地局である。しかしながら、既に述べたように、本発明は、背景技術の項で述べたものを含むがこれには限定されない、他の無線給電の規格またはアプローチにも一般的に適用可能である。
【0030】
無線電力送信装置20は、少なくとも1つの無線電力送信コイル24を有する無線電力送信器22を具備する。送信装置20は、複数の送信コイルを有してよい。送信コイルは、間隔をあけて配置され、かつ/または、一部が重なるように配置され得る。
【0031】
無線電力受信装置10は、無線電力受信コイル14を有する無線電力受信器12を含む。動作時、無線電力送信装置20は、無線電力送信コイル24および無線電力受信コイル14を介して、磁気誘導18により、無線電力受信装置10に無線で電力を伝送することになる。
【0032】
無線電力受信コイル14によって受信された電力は、無線電力受信装置10内の負荷16を駆動する。典型的には、負荷16は、リチウムイオン電池などの充電式電池であってもよく、したがって、無線電力送信装置20は、無線電力受信装置10のための無線電力充電器として機能することになる。別のシナリオでは、負荷16は、携帯機器内の電子回路であってもよく、したがって、無線電力送信装置20は、無線電力受信装置10のための無線電力供給器として機能することになる。
【0033】
背景技術の項で述べたように、モバイル機器と基地局との間に異物が配置されると、無線充電の品質に影響を与える。このため、無線給電に予期せぬ損失が発生したり、異物が意図せず加熱されたりすることがある。異物とは、無線給電に予期せぬ損失をもたらすあらゆる物体を指す。これは、例えば、コイン、ペーパークリップ、箔の破片、医薬品の包み紙、チューインガムの金属箔および紙の包み紙、タバコのパッケージ、ファーストフードの包み紙などの小さな金属物、および同様の小さい、かつ/または、薄い物であってもよい。
【0034】
従って、無線電力送信装置20は、異物検出機能を備えることが好ましい。異物検出機能とは、異物による障害が発生した場合に、電力供給を自動的に中断する安全機構である。異物検出機能が存在しないか、または、誤動作している場合、小さな金属物が送信器とモバイル機器の間に置かれると、数秒のうちに100℃以上に加熱され、深刻な事態を引き起こすことがある。さらに、電力受信装置10は、異物検出機能を有することによっても利益を得ることができる。以下では、無線電力装置という用語は、無線電力送信装置20と電力受信装置10の両方をカバーするものとみなす。
【0035】
無線電力送信装置20または無線電力受信装置10のような無線電力装置が異物にどのように反応するかを検査するために、異物エミュレーション装置60が提供されており、その実施形態が
図2~
図8に示されている。このように、異物エミュレーション装置60は、無線電力送信装置および/または受信装置の異物検出方法を自動で検査するように構成された検査装置である。
【0036】
図2a~bは、無線電力装置(被検査装置)を検査するための異物エミュレーション装置60の一実施形態を示す概略的なブロック図である。
図2aでは、異物エミュレーション装置60は、無線電力送信装置20を検査するために配置されており、
図2bでは、異物エミュレーション装置60は、無線電力受信装置10を検査するために配置されている。
【0037】
図2aにおいて、異物エミュレーション装置60は、無線電力送信器22と少なくとも1つの無線電力送信コイル24とを有する無線電力送信装置20を検査するように配置される。無線電力送信装置20は、
図1の無線電力送信装置20と同一であってよい。
【0038】
異物エミュレーション装置60は、異物として機能するように構成された少なくとも1つのエミュレート対象物(emulated object)66を含む。各エミュレート対象物66は、コイン、ペーパークリップ、箔の破片、医薬品の包装紙などの異物をエミュレートするために、サイズ、形状、材料などの特定の特性を備えて配置される。エミュレート対象物66については、
図3を参照しながらさらに説明する。
【0039】
異物エミュレーション装置60は、センサ部64をさらに備える。センサ部64は、少なくとも1つのセンサを備える。少なくとも1つのセンサは、温度センサ64aを含む。温度センサは、熱センサとも呼ばれる場合がある。
図2に示す例示的な実施形態では、センサ部64は、少なくとも1つの温度センサ64a、および、少なくとも1つの位置センサ64bを備える。センサ部64は、
図3を参照しながら詳細に説明される。後に詳述するように、位置センサ64bは、存在する場合、
図2に示すように異物エミュレーション装置60に配置され得るし、異物エミュレーション装置60の外部に配置され得る(図示せず)。いずれの場合も、位置センサ64bは、異物エミュレーション装置60と動作可能に通信している。
【0040】
さらに、異物エミュレーション装置60は、好ましくは、少なくとも1つのエミュレート対象物66と検査される無線電力装置10、20との間の制御された相対的移動を引き起こすための手段65を含む。したがって、制御された移動を引き起こすための手段65は、少なくとも1つのエミュレート対象物66の移動、および/または、無線電力装置10、20の移動を制御するように配置される。制御された相対的移動を引き起こすための手段65は、少なくとも1つのエミュレート対象物66、および/または、検査されている無線電力装置10、20の移動を引き起こす駆動部62と動作可能に通信している。駆動部62は、異物エミュレーション装置60の一部であってもよいし(
図2a)、装置60の外部に配置されてもよい(
図2b)。制御された相対的移動を引き起こすための手段は、例えば、相対的移動を正確な方法で制御することを可能にするトラック、フレーム、ロッド、または、同様の配置であってよい。制御された相対的移動を引き起こすための手段は、少なくとも1つのエミュレート対象物66、および/または、検査される無線電力装置10、20の移動を引き起こすように駆動部62に指示することによって、制御された相対的移動を引き起こすように調整された駆動手段であってよい。
【0041】
制御された相対的移動を引き起こすための手段65および駆動部62について、
図3を参照しながら詳細に説明する。
【0042】
好ましくは、異物エミュレーション装置60は、異物エミュレーション装置60によって得られたデータを送信するためのインタフェース63をさらに備える。インタフェース63は、単純な配線、USBなどのシリアルインタフェース、Bluetooth(登録商標)やWiFiなどの無線インタフェースなど、任意の適切なタイプであってよい。好ましい実施形態では、インタフェースは、Bluetooth(登録商標)であり、より好ましくは、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)である。インタフェース63は、異物エミュレーション装置60から、それが動作可能に通信している処理手段61にデータを送信するように構成される。
【0043】
処理手段61は、適切なソフトウェアおよび/またはファームウェアを有するマイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラム可能なデバイス、および/または、特殊用途向け集積回路(ASIC)などの専用ハードウェアを含んでよい。処理手段61は、ディスクまたはメモリのようなコンピュータ可読記憶媒体に接続することができ、または、それを含む。メモリは、ROM、RAM、SRAM、DRAM、FLASH(登録商標)、DDR、SDRAM、または、他のメモリ技術などのコンピュータ読み取り可能なメモリのための任意の一般的に公知の技術を使用して実装することができる。処理手段61は、異物エミュレーション装置60の一部であってもよく、別個のユニットであってもよく、(
図7に示すように)ホスト装置の一部であってもよく、(
図8に示すように)より大きい検査装置の一部であってもよい。
【0044】
先に述べたように、
図2bは、無線電力受信装置10を検査するために配置された異物エミュレーション装置60を図示する。ここで、異物エミュレーション装置60は、無線電力受信器12と少なくとも1つの無線電力受信コイル14とを有する無線電力受信装置10を検査するために配置されている。無線電力受信装置10は、
図1の無線電力受信装置10と同一であってよい。
【0045】
さらに、
図2bにおいて、駆動部62は、異物エミュレーション装置60の外部に配置されている。異物エミュレーション装置60は、駆動部62と動作可能に通信している。この通信は、インタフェース63から直接駆動部62へ、かつ/または、インタフェース63から処理手段61および駆動部62へ、あるいは、その逆に行われ得る。
【0046】
図3a~bは、異物エミュレーション装置60の一実施形態の概略上面図であり、
図3aは、検査される無線電力装置10、20を含まずに示され、
図3bは、検査される無線電力送信装置20を含んで示されている。これらの実施形態では、検査対象の装置は無線電力送信装置20であるが、本明細書で説明されているように、検査対象の装置は代替的に無線電力受信装置10であってもよい。
【0047】
本実施形態では、異物エミュレーション装置60は、本体68を備える。本体68は、例えば、有機熱可塑性ポリマーなどの任意の形態のプラスチックによって構成することができる。有機熱可塑性ポリマーは、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であってもよい。本体の材料が金属でないことが好ましいが、これは、検査対象の無線電力送信装置20と干渉してしまうからである。
【0048】
本体は、本体68の残りの部分から延びるアーム69を備える。アームは、少なくとも1つのエミュレート対象物66と共に配置される。エミュレート対象物66は、好ましくは、異物エミュレーション装置60に着脱可能に取り付けられている。このようにして、シミュレーションされた異なる異物に対して無線電力送信装置20を検査するために、様々なエミュレート対象物66の中で変更することが可能である。
【0049】
一実施形態では、アーム69は、複合材料によって構成されている。複合材料は、例えば、プリント回路基板(PCB)に一般的に使用されるFR4であってよい。これにより、温度センサの接続が非常に容易になり、簡単な基板間コネクタで本体68との接続を行うことができる。
【0050】
図3bでは、エミュレート対象物66は、無線電力装置20の上方に配置されている。アーム69の高さは、検査対象の無線電力装置20と異物エミュレーション装置60との間の様々な距離を考慮して、適応可能であることが好ましい。すなわち、アーム69およびエミュレート対象物66は、z方向に移動することができる。
【0051】
図示していないが、異物エミュレーション装置60の他の実施形態では、無線電力装置20は、エミュレート対象物66の上方に配置され得る。したがって、エミュレート対象物66は、無線電力装置20の下方に配置される。
【0052】
前述したように、異物エミュレーション装置60は、少なくとも1つの温度センサ64aを備える。温度センサ64aは、エミュレート対象物66の温度を測定するように構成される。したがって、温度センサ64は、好ましくは、エミュレート対象物66の中、上、または近傍に配置される。一実施形態では、温度センサ64aは、エミュレート対象物66に一体化されている。代替の実施形態では、温度センサ64aは、エミュレート対象物66が温度センサ64aの上に配置されるように、エミュレート対象物66の下に配置される。したがって、温度センサ64aは、本体68のアーム69上に配置されてもよい。温度センサ64aから読み取った温度は、インタフェース63に転送され、インタフェース63は、処理手段61に温度情報を伝達する。
【0053】
温度センサ64aは、例えば、熱電対、抵抗温度検出器、サーミスタ、赤外線センサ、半導体および/または温度計など、任意の種類の温度センサであってよい。一実施形態では、温度センサは、マルチセンサ高精度デジタル温度測定システムである。温度センサ64aが、高精度および高分解能を両立して、結果を℃または°Fでデジタル出力するように構成されていることが好ましい。例えば、温度センサ64aが、0.1℃の精度と0.001℃の解像度で温度測定結果を出力することが好ましい。
【0054】
一実施形態では、異物エミュレーション装置60の少なくとも一部は、無線電力装置20と相対的に移動するように構成される。したがって、異物エミュレーション装置60の少なくとも一部は、無線電力装置20と相対的に移動する。異物エミュレーション装置60の少なくとも一部の移動は、制御された相対的移動を引き起こすための手段65によって実行される。制御された相対的移動を引き起こすための手段65は、駆動部62と動作可能に通信している。本実施形態では、駆動部62は、異物エミュレーション装置60の一部として配置される。しかしながら、駆動部62は、
図2bに示されるように、異物エミュレーション装置60の外部に配置されてよい。
【0055】
駆動部62は、電気モータなどのモータであってもよい。一実施形態では、駆動部62は、ブラシレスDC電気モータである。ブラシレスDC電気モータは、ステッピングモータであってもよい。ステッピングモータは、全回転をいくつかの等しい数のステップに分割する。ステッピングモータの利点は、フィードバックのための位置センサを有することなく、これらのステップのうちの1つで移動および保持することが可能であることである。しかしながら、別途位置センサを使用することが有効である場合もある。
【0056】
異物エミュレーション装置60は、任意に、位置センサ64bを備えてよい。位置センサ64bは、異物エミュレーション装置60の少なくとも一部の移動、および/または、無線電力装置20の(相対的な)位置をモニタするよう構成される。位置センサ64bは、エミュレート対象物66の絶対位置を決定するように構成されてもよいし、開始位置に対するエミュレート対象物66の相対位置(変位)を決定するように構成されてもよい。使用される位置センサ64bは、エミュレート対象物66の移動の増分ステップを検出するために、高精度であることが好ましい。一実施形態では、位置センサ64bは、リニア位置センサである。線形位置センサは、例えば、線形ポテンショメータ、容量型位置センサ、レーザセンサ、または、インクリメンタルリニアエンコーダであってよい。位置センサ64bは、駆動部62の一部として配置されてよく、または、別個のユニットとして配置されてよい。位置センサ64bは、異物エミュレーション装置60の外部に配置され、異物エミュレーション装置60、および/または、プロセッサ61と動作可能に通信することができる。
【0057】
図3a~bの実施形態では、異物エミュレーション装置60の少なくとも一部の移動は、異物エミュレーション装置60の長さまたは幅に沿って延びる長手方向配置部(longitudinal arrangement)67に沿って行われる。その延長線は、図に示すようにX軸に沿っている。長手方向配置部67は、例えば、ラックまたはロッドであってもよい。一実施形態では、長手方向配置部67は、駆動部62と連動して配置されたピニオン(図示せず)を受け入れるように構成されたラックである。この実施形態では、長手方向配置部67は、制御された移動を引き起こすための手段65として、または、制御された移動を引き起こすための手段65の一部と見なすことができる。この構成により、異物エミュレーション装置60は、小刻みなステップで移動することができる。ステップがサブミリメートルのスケールであることが好ましい。
【0058】
異物エミュレーション装置60の少なくとも一部の移動は、
図3a~bに矢印「M」で例示した長手方向であってもよい。この実施形態では、方向はx軸に沿った方向である。一実施形態では、移動Mは、表面上に横たわった状態で無線電力装置20の長さに沿う方向である。しかしながら、当然のことながら、移動Mは、装置が(
図4に示すように)回転した場合、表面に横たわった状態で無線電力装置20の幅に沿った方向になり得る。
【0059】
図示されていないが、移動は、単一の実施形態においても、例えば、y軸に沿った方向、すなわち、前進および後退の方向で、複数の方向であり得ることを理解されたい。これは、例えば、アーム69を本体68に対して相対的に移動させることによって、かつ/または、検査中に長くしたり短くしたりすることができる伸縮自在に配置されたアーム69を有することによって、達成され得る。
【0060】
さらに、異物エミュレーション装置60全体をy方向(または、z方向)に移動させることで、平面上の移動や立体内の移動を実現することも可能である。
【0061】
異物エミュレーション装置60の移動範囲RMは、好ましくは、エミュレート対象物66を無線電力装置20の全長に沿って移動させることができるようにする。これにより、無線電力装置20の全長に沿って配置されている異物について、無線電力装置20を検査することができる。したがって、移動範囲RMは、少なくとも無線電力装置20の長さL(
図3bに図示)と同じか、それよりも長いことが好ましい。デバイスの幅W(
図4に図示)についても同様である。移動範囲RMは、長手方向配置部67の長さによって決定される。したがって、長手方向配置部67の長さは、少なくとも無線電力装置20の長さLと同じか、それよりも長いことが好ましい。
【0062】
一実施形態では、
図3a~bに示すように、本体68全体が無線電力装置20に対して相対的に移動している。したがって、エミュレート対象物66を保持するように配置されたアーム69だけでなく、本体68の残りの部分も、無線電力送信装置20と相対的に移動している。換言すれば、本体68は、x軸に沿った長手方向配置部67に沿って移動される。これは、
図3bに示されており、ここでは、本体68は、
図3aに示されているような位置に相対的に移動されている。
【0063】
図4は、第2の実施形態に係る異物エミュレーション装置60の一実施形態を模式的に示す上面図である。
図4に示す実施形態は、本体68がアーム69の形態を有する点で、
図3の実施形態と異なる。それゆえ、アーム69と本体68は同一である。それゆえ、本実施形態では、駆動部62は、エミュレート対象物66を配置された本体部68を、無線電力装置20に対して相対的に移動させる。
【0064】
図3及び
図4では、エミュレート対象物66は、円として図示されている。しかしながら、エミュレート対象物66は、実際の異物をシミュレートするのに適した任意の形態、厚さまたは形状を取り得る。異なる形状の例が、上面からの視点で示される
図5a-dに示される。
図5aは、円筒の形のエミュレート対象物66を示し、
図5bは、不規則な形のエミュレート対象物66を示し、
図5cは、ペーパークリップに似た形のエミュレート対象物66を示し、
図5dは、キーに似た形のエミュレート対象物66を示す。当業者には理解されるように、エミュレート対象物66は、均一な厚さまたは変化する厚さを有し得る。さらに、
図3および
図4は、1つのエミュレート対象物66を有する実施形態のみを示しているが、異物エミュレーション装置60は、複数の対象物66を備えて配置され得ることを理解されたい。より多くのエミュレート対象物66が存在する場合、これらは同じ種類のものであるか、または形状および/または厚さが異なる可能性がある。
【0065】
図6a~bは、異物エミュレーション装置160の他の実施形態を示し、
図6aは、異物エミュレーション装置160を上面からの視点で図示し、
図6bは、異物エミュレーション装置160を側面からの視点で図示する。本実施形態は、処理手段61、42、52に温度データを送信するように構成された少なくとも1つの温度センサ64aを含むセンサ部64を備え、温度データは、本明細書の他の実施形態を参照して説明されてきたように、少なくとも1つのエミュレーション対象物の温度を示している。
【0066】
異物エミュレーション装置160は、本体168を備える。本体は、少なくとも1つのエミュレーション対象物166a、166bの移動を案内するように構成された長手方向配置部167を備える。この実施形態では、間隔を空けた状態で配置された2つの異物166a、166bが存在する。しかしながら、理解されるように、異物エミュレーション装置160は、1つのみの異物、または、2つ以上の異物を備え得る。
【0067】
長手方向配置部167は、異物166a、166bが配置された可動部材とみなすことができる。可動部材167は、例えば、粘着テープのような薄い材料であってもよい。可動部材167は、可撓性を有していることが好ましい。可動部材167が粘着テープの形態である場合、異物166a、166bは、粘着テープ167に付着させることができる。可動部材167は、好ましくは、少なくとも1つの異物166a、166bを収容するのに十分な大きさの幅を有する。
【0068】
本実施形態において、可動部材167は、制御された移動を引き起こすための手段65として、または、制御された移動を引き起こすための手段65の一部と見なすことができる。
【0069】
可動部材167は、好ましくは、2つの駆動部62と連動して配置される。駆動部62は、好ましくは、離間した状態で配置され、可動部材167は、2つの駆動部62の間に配置される。駆動部62は、可動部材167を移動させるドラムの形態であってよい。
図6bの矢印Mで示すように、可動部材167は、可動部材167の長さに沿った方向に移動する。したがって、少なくとも1つの駆動部62は、検査される無線電力装置10、20に対して少なくとも1つのエミュレート対象物を移動させるように構成される。
【0070】
図6Bに示すように、無線電力装置10、20は、検査時に、長手方向配置部167の上に配置されるように配置される。
【0071】
図7a~bは、異物エミュレーション装置260のさらに他の実施形態を示す。異物エミュレーション装置260は、少なくとも1つのエミュレート対象物266が配置される本体268を備える。本実施形態は、処理手段61、42、52に温度データを送信するように構成された少なくとも1つの温度センサ64aを含むセンサ部64を備え、温度データは、本明細書の他の実施形態を参照して説明されてきたように、少なくとも1つのエミュレート対象物の温度を示している。
【0072】
本体268は、検査される無線電力装置10、20の移動を案内するように構成された長手方向配置部267をさらに備える。長手方向配置部267は、無線電力装置10、20が案内されるフレームとみなすことができる。無線電力装置10、20は、好ましくは、可動部分270上に配置される。
【0073】
図7a~bの矢印によって示されるように、可動部分270は、長手方向配置部267に沿って移動可能である。可動部分270は、例えば、長手方向配置部267の長さに沿ったトラックに沿って摺動されるように構成された摺動部分であってよい。この実施形態では、長手方向配置部267および/または可動部分270は、制御された移動を引き起こすための手段65として、または、制御された移動を引き起こすための手段65の一部と見なすことができる。
【0074】
装置260は、少なくとも1つの駆動部をさらに備え、または、少なくとも1つの駆動部と動作可能に通信している。駆動部は、検査される無線電力装置10、20と少なくとも1つのエミュレート対象物の相対的移動を引き起こすよう構成される。
【0075】
本体268は、支持体配置部270をさらに備える。支持体配置部270は、少なくとも1つのエミュレート対象物266を保持するように構成される。支持体配置部270は、プレート状であってよい。プレート270は、長手方向配置部267の長さに沿って延在していてもよい。
【0076】
図8a~cは、一実施形態による異物エミュレーション装置360の断面図である。
図8a~bでは、異物エミュレーション装置360は、無線電力装置10、20が配置されていない状態で示されている。
図8cは、異物エミュレーション装置360が無線電力装置10、20と共に配置されている場合の図である。
【0077】
異物エミュレーション装置360は、無線電力装置10、20を収容するための凹部304を有する本体368を備える。凹部304は、無線電力装置10、20を収容するように設計されている。凹部304の形状は、好ましくは、そこに配置される無線電力装置10、20と同じ形状である。
【0078】
凹部304は、任意選択的に、1つ以上の締結部(図示せず)を備えてよい。締結部は、例えば、本体368の凹部304内に無線電力装置10、20をリリース可能に配置するように適合されたクランプ、留め金、または、ブラケット、または、同様の手段であってよい。
【0079】
異物エミュレーション装置360は、アーム369をさらに備える。アーム369は、本体368の凹部304の内部に配置される。アーム369は、第1可動端369aと第2固定端369bとを備える。
【0080】
アーム369は、エミュレート対象物366をさらに備える。したがって、アーム369は、エミュレート対象物366を支持するための支持配置と見なすことができる。エミュレート対象物366は、アーム369の第1可動端369aに配置されるように構成される。エミュレート対象物366は、アームの凹部内に配置されてもよいし、別の適切な方法でアーム上に取り付けられてもよい。
【0081】
アーム369の第2固定端369bは、駆動手段65に接続される。駆動手段65は、検査される無線電力装置10、20に関連して、アーム369の制御された相対的移動を引き起こすよう調整されている。駆動手段65は、1つ以上のねじ、ボルトまたはナットなどの締結手段(図示せず)を介して本体368に接続されてよい。
【0082】
アーム369の可動端369aは、トラック306内で移動可能である。トラック306は、本体368の凹部304の一部を構成する。トラック306は、凹部304の表面に設けられた凹部であってよい。トラック306は、本体368に鋳造、成形、または、フライス加工されてよい。トラック306は、アーム369、より具体的にはアーム369の第1可動端369aを受容するように適合されている。従って、アーム369の第1可動端369aは、トラック306内に摺動自在に係合して配置される。摺動自在な係合は、駆動手段65が、トラック306に沿って、検査される無線電力装置10、20に関連して、エミュレート対象物366の移動を引き起こすことができる。この移動は、
図8bの矢印によって図示されている。
【0083】
したがって、アーム369、ひいては、その上に配置されたエミュレート対象物366は、凹部304の上に配置される無線電力装置10、20の異なる位置に沿って移動することができる。換言すれば、無線電力装置10、20は、静止位置に配置される一方で、エミュレート対象物366は制御された方法で移動する。
【0084】
図8a~cに関連して説明されるような異物エミュレーション装置360は、本明細書に開示される他の実施形態に関連して説明されるような温度センサおよび/または位置センサをさらに含んでもよい。さらに、エミュレート対象物366の案内および位置決めは、本開示全体を通じて説明される他の実施形態に従って実行されてもよい。
【0085】
図9は、無線電力装置10、20が、エミュレートされた異物66にどのように反応するかを検査するための例示的な方法を示している。第1ステップ810において、検査される無線電力装置10、20が提供される。無線電力装置10は、無線電力送信装置20または無線電力受信装置10であってよい。
【0086】
本明細書で説明されてきたような異物エミュレーション装置60も、提供される(820)。無線電力装置10、20は、異物エミュレーション装置60と連動して表面に配置される。無線電力装置10、20は、異物エミュレーション装置60のエミュレート対象物66の上方に置かれるか、または、その下方に置かれるかのいずれかである(830)。
【0087】
一実施形態において、本方法は、検査される無線電力装置に対してエミュレート対象物の相対的移動を引き起こすステップ840を含む。制御された相対的移動を引き起こすステップは、異物エミュレーション装置60と動作可能に通信している駆動装置に、少なくとも1つのエミュレート対象物を移動させること、および/または、無線電力デバイスを移動させることを指示することを含んでよい。
【0088】
一実施形態では、処理手段61は、駆動部62に対して、エミュレート対象物66を所定の経路に沿って、小さなステップで移動させるように指示する(840)。ステップは、好ましくは、サブミリメートルのスケールである。駆動部62は、好ましくは、処理手段61によって無線で制御される。駆動部62は、処理手段61に関連するメモリに記憶された所定のプロトコルに従うように構成されてもよく、かつ/または、駆動部62は、処理手段61のユーザによってもたらされる指示に従うように構成される。駆動部は、異物エミュレーション装置60の一部として、または、異物エミュレーション装置60と動作可能に通信している、別個の外部部品として配置されてよい。
【0089】
代替的な実施形態では、処理手段61は、駆動部62に対して、無線電力装置10、20を所定の経路に沿って、小さなステップで移動させるように指示する(840)。ステップは、好ましくは、サブミリメートルのスケールである。駆動部62は、好ましくは、処理手段61によって無線で制御される。駆動部62は、処理手段61に関連するメモリに記憶された所定のプロトコルに従うように構成されてもよく、かつ/または、駆動部62は、処理手段61のユーザによってもたらされる指示に従うように構成される。
【0090】
存在する場合、位置センサ64bは、移動毎にエミュレート対象物66の位置をモニタする(860)。位置データは、862が処理手段61に送信される。処理手段61は、位置データを評価する(870)。
【0091】
一実施形態では、温度センサ64aは、エミュレート対象物66の移動が停止すると、エミュレート対象物66上の温度を測定するように構成される。したがって、温度センサ64aは、エミュレート対象物66の温度をモニタするように構成される(850)。温度センサ64aは、実際の温度データを処理手段61に送信するように構成され、かつ/または、温度偏差を処理手段61に送信するように構成されてよい。
【0092】
温度データは、インタフェース63を使用して処理手段61に送信される(852)。処理手段61は、受信した温度データを評価するように構成されている(870)。温度の上昇は、エミュレート対象物66に吸収された何らかの電磁エネルギーを示している。
【0093】
一実施形態では、処理手段61は、温度データおよび位置データの両方を評価するように構成される。全ての可能な組み合わせの位置データおよび温度データが処理手段61のメモリに記憶されていることが好ましい。
【0094】
このプロセスは、満足できる数の位置が検査されるまで、かつ/または、位置または温度データが所定の閾値に達するまで、エミュレート対象物66の全ての移動について繰り返される。
【0095】
一実施形態では、温度データが所定の閾値を超える場合、処理手段61は、閾値モードを起動するように構成される。閾値モードは、アラーム信号を生成および/または送信することを含んでよい。アラーム信号は、インタフェース63を使用して無線電力装置10、20に送信され、無線電力装置10、20に無線充電をオフにするように指示し、かつ/または、光、音などの形態でアラームを送信してもよい。さらに、または、代替的に、閾値モードは、駆動部がエミュレート対象物66を無線電力装置10、20から離れるように移動させるようにしてもよい。
【0096】
一実施形態では、位置データが所定の閾値を超えている場合、処理手段61は、エミュレート対象物66がその終了位置の1つに到達したことをユーザに知らせる光、音などの形態のアラーム信号を送信するように構成される。
【0097】
記憶された温度に関する情報および無線電力装置10、20に対するエミュレート対象物66の位置は、ディスプレイによってユーザに示されてよい。ディスプレイは、(
図10~11に示すように)報告手段43、53の一部であってもよく、処理手段62の一部であってもよく、外部装置の一部であってもよい。
【0098】
ディスプレイは、例えば、テキストボックス、または、表、または、グラフィカルイラストの形態で情報を表示することができる。情報は、例えば、エミュレート対象物66の位置に関連する温度の情報、無線電力装置10、20の動作パラメータの情報、および/または、使用されているエミュレート対象物66の情報を含んでよい。さらに、または、代替的に、対話型ディスプレイは、ユーザが少なくとも1つのエミュレート対象物66の動きを調整することを可能にすることができる。これは、例えば、所望の移動方向に矢印などの記号を表す複数のグラフィカルオブジェクトを表示することによって行われてよい。
【0099】
異物エミュレーション装置60は、単独で、または、検査装置および/または無線プローブ装置と組み合わせて使用することができる。
図10および
図11は、異物エミュレーション装置60とともに無線電力送信装置20を検査するための検査受信装置30、50を含むシステムの2つの実施形態を示す概略ブロック図である。
図12および
図13は、異物エミュレーション装置60とともに無線電力受信装置10を検査するための検査送信装置30’、50’を含むシステムの2つの実施形態を示す概略的なブロック図である。
図14a~bは、異物エミュレーション装置60とともに無線プローブ装置110を構成する概略ブロック図である。
【0100】
まず、
図10および
図11に戻ると、両実施形態は、少なくとも1つの無線電力受信コイル34を有する無線電力受信器32を有する検査装置30、50を備える。さらに、検査装置30、50は、検査装置50自体に処理手段52を備えることによって(
図11のように)、または、処理手段42を有するホスト装置40と通信することによって(
図10のように)、処理手段42、52(例えばコントローラ)、および、その関連のメモリ44、54と動作可能に通信している。
【0101】
検査セッション中の動作において、無線電力送信装置20は、検査セッションの動作時間中に、無線電力送信コイル(複数可)24および無線電力受信コイル(複数可)34を介して、磁気誘導18により、検査装置30、50への電力の無線給電を開始することになる。
【0102】
検査装置30、50における無線電力受信コイル34によって受信された過剰電力を処理するために、適当な負荷36が提供されてもよい。例えば、好適なサイズの抵抗器を使用することができる。
【0103】
次に、検査装置30、50の異なる実施形態について、より詳細に説明する。
【0104】
図10は、ホスト装置40の制御下で無線電力送信装置20(被検査装置)を検査するための検査装置30を示す模式ブロック図である。ホスト装置40は、検査装置30によって得られたデータを受信するためのインタフェース41を有する。インタフェース33および41は、単純な配線、USBなどのシリアルインタフェース、WiFiのBluetooth(登録商標)などの無線インタフェースなど、任意の適切なタイプであってよい。検査装置30は、例えば、ホスト装置40へのインタフェース33の一部となり得るケーブルを有していてもよい。
【0105】
また、ホスト装置40は、検査装置30から受信したデータを処理するための処理手段42を有する。処理手段42は、
図2~
図6を参照して説明してきたのと同じであってよい。処理手段42は、ディスクまたはメモリ44のようなコンピュータ可読記憶媒体に接続されているか、または、それを含む。メモリ44は、検査セッションに関連するデータを記憶するように構成されてよい。
【0106】
さらに、ホスト装置40は、処理手段42によって得られたデータ処理結果を通知または提示するための報告手段43を有する。これは、45に見られるように、ホスト装置40のローカルユーザインタフェース(例えばディスプレイ)上のグラフィカル情報の提示、視覚的および/または聴覚的アラームの発生、または、外部装置への情報の伝達を含んでよい。このような外部装置は、例えば、コンピュータや携帯電話であってよい。
【0107】
図11は、他の実施形態に係る検査装置50を示す模式的ブロック図である。検査装置50は、検査装置50から受信したデータを処理するための処理手段52を備える。処理手段52は、
図2~
図8を参照して説明したものと同様であってよい。処理手段52は、ディスクまたはメモリ54などのコンピュータ可読記憶媒体に接続されているか、または、それを含む。メモリ54は、検査セッションに関連するデータを記憶するように構成されてよい。さらに、検査装置50は、処理手段52によって得られたデータ処理結果を通知または提示するための報告手段53を有してよい。これは、55に見られるように、検査装置50のローカルユーザインタフェース(例えば、ディスプレイ)上のグラフィック情報の提示、視覚的および/または聴覚的アラームの発生、または外部装置への情報の通信を含んでよい。このような外部装置は、例えば、コンピュータまたは携帯電話であってよい。報告手段53に加えて、または、代替的に、検査装置50は、無線電力送信装置20からデータを受信するための通信インタフェース51をさらに有してよい。通信インタフェース51は、単純な配線、USBなどのシリアルインタフェース、WiFiのBluetooth(登録商標)などの無線インタフェースなど、任意の適切なタイプであってよい。
【0108】
検査装置30、50は、任意の適切な形状を有することができる。一実施形態では、検査装置30、50は、検査装置30、50が携帯機器をエミュレートする状況において無線電力送信装置20の検査を可能にする方法で配置される。そのような状況において、検査装置30、50は、例えば、丸みを帯びたエッジおよびコーナーを有する薄い箱の形状を本質的に有する、スマートフォンに似た形状であってよい。
【0109】
一実施形態では、検査装置は、検査モードを有する消費者向け装置のようなエンドユーザ装置であり得る。したがって、検査装置は、例えば、携帯機器(例えば、スマートフォン)、タブレットコンピュータ(例えば、サーフパッド)、ラップトップコンピュータ、または、検査モードを有するように構成されている別の種類の消費者向け製品もしくは電気製品のような携帯機器であり得る。
【0110】
検査装置30、50は、無線電力送信装置20の表面への配置に適合した底面を有する筐体を備える。さらに、筐体は、底部側とは反対側の上部側を備える。筐体の少なくともいくつかの部分は、無線電力送信装置20の無線電力送信コイル(複数可)24と検査装置30、50の無線電力受信コイル34との間の誘導結合を可能にするのに適したプラスチックまたは他の材料で作られている。
【0111】
図12および
図13は、異物エミュレーション装置60とともに無線電力受信装置10を検査するための検査装置30’、50’を含むシステムの2つの実施形態を示す概略ブロック図であり、両実施形態は、少なくとも1つの無線電力送信コイル35を備えた無線電力送信器31を有する検査装置30’、50’を備える。
図10および
図11の実施形態と同様に、検査装置30’、50’は、処理手段42、52(例えば、コントローラ)、および、その関連のメモリ44、54と動作可能に通信しており、処理手段52を検査装置50自体に配置することによって(
図13のように)、または、処理手段42を有するホスト装置40と通信することによって(
図12のように)、動作可能になる。
【0112】
検査セッション中の動作において、検査装置30’、50’は、検査セッションの動作時間中に、無線電力送信コイル(複数可)35および無線電力受信コイル(複数可)14を介して、磁気誘導18により無線電力受信装置10への電力の無線給電を開始することになる。
【0113】
検査装置30’、50’は、任意の適切な形状を有してよい。一実施形態では、検査装置30’、50’は、検査装置30’、50’が無線充電器をエミュレートする状況で無線電力受信装置10を検査できるように配置される。その状況において、検査装置30’、50’は、無線充電器に対応する類似の形状であってよい。
【0114】
一実施形態では、検査装置は、検査モードを有する消費者向け装置などのエンドユーザ装置であり得る。それゆえ、検査装置は、無線送信コイルを有する検査モードを備えるように構成されている無線充電器または他の種類の消費者向け製品または家電製品であり得る。
【0115】
図2~13を参照して説明した新規かつ進歩性を有する異物エミュレーション装置60は、プローブ装置110を使用して使用、検証、認証、トリミング、および/または、キャリブレーションすることができる。
図14a~bは、異物エミュレーション装置60と共に無線電力装置10、20を検査するための無線プローブ装置110を含むシステムを示している。
図14aでは、プローブ装置110はシステム内の別個の構成要素であり、
図14bでは、プローブ装置110は異物エミュレーション装置60に統合されている。
【0116】
まず、
図14aを参照して、プローブ装置110について説明する。プローブ装置110は、無線電力送信装置20および/または無線電力受信装置10の形態の無線電力機器の検査のために配置される。プローブ装置は、少なくとも1つのピックアップコイル112を備える。ピックアップコイル112は、無線電力送信装置20の筺体の表面と、無線電力受信装置10の筺体の表面との間に配置されるよう設計されている。これにより、ピックアップコイル112は、無線給電プロトコルに従って、無線電力送信装置20と受信装置10との間で交換される電磁信号を捕らえることによって電気信号を生成することができる。
【0117】
プローブ装置132は、ピックアップコイル112によって生成された電気信号を提供するための分析装置を備えるか、または、分析装置と動作可能に接続されるかのいずれかである。分析装置は、処理手段61の一部であってもよいし、処理手段61であってもよい。このために、プローブ装置110は、ピックアップコイル112によって生成された電気信号を処理手段61に提供するためのインタフェースも備える。
【0118】
プローブ装置110は、温度センサなどの他のセンサをさらに含んでよく、これらのセンサからのセンサデータも、インタフェースを介して処理装置によって受信されてよい。
【0119】
プローブ装置110は、好ましくは、システムで使用され、システムは、好ましくは、無線電力送信および受信装置20、10の間で交換される電気-磁気信号の操作を引き起こすための手段を備える。電磁信号の操作を引き起こすための手段は、例えば、プローブ装置110のピックアップコイル112に制御可能な負荷を課すように結合された抵抗素子を備えてよい。このような抵抗素子は、処理手段61に設けられていてもよいし、外部要素であってもよいし、プローブ装置110自体に設けられていてもよい。あるいは、電磁信号の操作を引き起こすための手段は、無線電力送受信装置20、10の間で交換される電磁信号の振幅変調を引き起こすためのAM変調器からなり、AM変調器は、処理手段によって制御可能である。制御可能な負荷(例えば、抵抗素子によって課される)の提供により、システムは、無線電力送信装置20によって送信される無線電力の、例えば、抵抗素子による制御可能な遮断のために構成され、無線電力送信装置および受信装置20、10間で予想よりも少ない無線電力の伝送を引き起こすようにすることができる。
【0120】
ここで、
図14bの特定の実施形態に戻ると、プローブ装置110は、異物エミュレーション装置60の一部である。プローブ装置110は、好ましくは、ピックアップコイル112によって生成された電気信号を処理手段61に提供するためのインタフェース63と通信する。
【0121】
本実施形態では、抵抗素子が異物エミュレーション装置60に含まれていることが好ましい。例えば、抵抗素子はプローブ装置110に含まれてよく、その中のピックアップコイル112に結合されてもよく、抵抗素子は異物エミュレーション装置60のインタフェースを介して処理部によって制御可能である。
【0122】
前述のように、分析装置110は、検査対象の装置が意図したとおりに動作しているか否かを検出し、その点に関する出力を提供する上で非常に有用である。出力は、内部または外部の記憶手段、装置のユーザ、または、ホスト装置に提供することができる。すなわち、プローブ装置110は、分析装置が、無線給電が給電フェーズで動作しているか否かを判断できるように、分析装置に信号を提供する。もしそうであれば、分析装置110は、電力送信装置120または電力受信装置110のいずれかが第1データパケットを送信するか否かを検出するように構成されることになる。分析装置110は、第1パケットを送信する装置110、120によって、データ通信の構成変更が実行されたことを検出するように構成される。分析装置110は、任意選択的に、誘導型無線給電インタフェースをモニタし、シグナリング条件が満たされているか否かを検出するように構成されてよい。分析装置110は、さらに、シグナリング条件が満たされることなく、例えば、データ通信の構成変更が実行されたか否かを検出するように構成されてよい。本明細書に記載されるプロセスの任意の検出された逸脱または違反は、分析装置110が逸脱または違反を示す出力を生成する結果となる場合がある。
【0123】
以上、本発明をその実施形態を参照しながら詳細に説明した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内で、他の実施形態も同様に可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
以上、本発明をその実施形態を参照しながら詳細に説明した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内で、他の実施形態も同様に可能である。
[構成1]
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するための異物エミュレーション装置(60、160、260、360)であって、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)は処理手段(61、42、52)と動作可能に通信しており、前記異物エミュレーション装置(60、160、260)は、
少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)が配置されている本体(68、168、268、368)と、
前記処理手段(61、42、52)に温度データを送信するように構成された少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)であって、前記温度データが前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の温度を示すセンサ部(64)と
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と検査される前記無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)と、
を有する、異物エミュレーション装置。
[構成2]
前記制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)が、駆動部(62)と動作可能に通信している、構成1に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
[構成3]
前記処理手段(61、42、52)は、
前記温度データを受信し、少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)、および/または、前記無線電力装置(10、20)を移動させるように前記駆動部(62)に指示する、
ように構成される、構成2に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
[構成4]
前記処理手段(61、42、52)に位置データを送信するように構成された少なくとも1つの位置センサ(64b)と動作可能に通信しており、前記位置データが、前記無線電力装置(10、20)に対する前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記位置を示す、構成1乃至3のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
[構成5]
前記処理手段(61、42、52)は、前記位置データを受信し、少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)、および/または、前記無線電力装置(10、20)を移動させるように前記駆動部(62)に指示するように構成される、構成2または4に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
[構成6]
プローブ装置(110)をさらに備える、構成1乃至5のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
[構成7]
前記温度データは、無線通信を用いて前記処理手段(61、42、52)に送信される、構成1乃至6のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
[構成8]
前記処理手段(61、42、52)は、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と通信可能なホスト装置に配置される、構成1乃至7のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
[構成9]
前記無線電力装置(10、20)は、無線充電器の形態の無線電力送信装置(20)である、構成1乃至8のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置。
[構成10]
前記無線電力装置(10、20)は、無線電力受信装置(10)である、構成1乃至8のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置。
[構成11]
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するためのシステムであって、前記システムは、構成1乃至10のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と、処理手段(61、42、52)が配置されているホスト装置と、を備える、システム。
[構成12]
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)が配置された本体(68、168、268)、駆動部(62)、および、少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)を有する異物エミュレーション装置(60、160、260、360)を提供すること(820)と、
前記エミュレート対象物(66、166a~b、266)と前記検査される無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすこと(840)と、
前記少なくとも1つの温度センサ(64a)によって生成され、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記温度を示す温度データを、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と動作可能に通信している処理手段(61、42、52)に送信すること(852)と、
を含む、方法。
[構成13]
前記処理手段(61、42、52)が、前記温度データを受信することと、
少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)を移動させるための指示を駆動部(62)に送信することと、
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と前記無線電力装置(10、20)との間の相対的移動を引き起こすことと、
をさらに含む、構成12に記載の方法。
[構成14]
前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)が、少なくとも1つの位置センサ(64b)と動作可能に通信しており、前記方法が、さらに、
前記少なくとも1つの位置センサ(64b)によって生成され、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記相対的位置を示す位置データを、前記処理手段(61、42、52)に送信することと、
を含む、構成11または12に記載の方法。
[構成15]
前記処理手段(61、42、52)が、前記位置データを受信することと、
少なくとも前記位置データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)を移動させるための指示を駆動部(62)に送信することと、
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と前記無線電力装置(10、20)との間の相対的移動を引き起こすことと、
をさらに含む、構成14に記載の方法。
[構成16]
処理手段(61、42、52)によってロードされ実行されると、構成12に記載の方法を実行させる命令を符号化したコンピュータ可読記憶媒体。
[構成17]
処理手段(61、42、52)によってロードされ実行されると、構成12に記載の方法を実行させるコード命令を含むコンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するための異物エミュレーション装置(60、160、260、360)であって、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)は処理手段(61、42、52)と動作可能に通信しており、前記異物エミュレーション装置(60、160、260)は、
少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)が配置されている本体(68、168、268、368)と、
前記処理手段(61、42、52)に温度データを送信するように構成された少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)であって、前記温度データが前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の温度を示すセンサ部(64)と
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と検査される前記無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)
であって、
前記制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)が、駆動部(62)と動作可能に通信している、手段と、
を有する、異物エミュレーション装置。
【請求項2】
前記処理手段(61、42、52)は、
前記温度データを受信し、少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)、および/または、前記無線電力装置(10、20)を移動させるように前記駆動部(62)に指示する、
ように構成される、請求項
1に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項3】
前記処理手段(61、42、52)に位置データを送信するように構成された少なくとも1つの位置センサ(64b)と動作可能に通信しており、前記位置データが、前記無線電力装置(10、20)に対する前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記位置を示す、請求項1
または2に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項4】
前記処理手段(61、42、52)は、前記位置データを受信し、少なくとも前記
位置データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266)、および/または、前記無線電力装置(10、20)を移動させるように前記駆動部(62)に指示するように構成される、請求項
1または
3に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260)。
【請求項5】
プローブ装置(110)をさらに備える、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
【請求項6】
前記温度データは、無線通信を用いて前記処理手段(61、42、52)に送信される、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
【請求項7】
前記処理手段(61、42、52)は、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と通信可能なホスト装置に配置される、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)。
【請求項8】
前記無線電力装置(10、20)は、無線充電器の形態の無線電力送信装置(20)である、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置。
【請求項9】
前記無線電力装置(10、20)は、無線電力受信装置(10)である、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置。
【請求項10】
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査するためのシステムであって、前記システムは、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と、処理手段(61、42、52)が配置されているホスト装置と、を備える、システム。
【請求項11】
少なくとも1つの無線電力コイル(24、14)を有する無線電力装置(10、20)の異物検出を検査する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)が配置された本体(68、168、268)、駆動部(62)、および、少なくとも1つの温度センサ(64a)を含むセンサ部(64)を有する異物エミュレーション装置(60、160、260、360)を提供すること(820)と、
前記エミュレート対象物(66、166a~b、266)と前記検査される無線電力装置(10、20)との間の制御された相対的移動を引き起こすこと(840)
であって、
前記制御された相対的移動を引き起こすための手段(65)が、駆動部(62)と動作可能に通信している、引き起こすことと、
前記少なくとも1つの温度センサ(64a)によって生成され、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記温度を示す温度データを、前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)と動作可能に通信している処理手段(61、42、52)に送信すること(852)と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記処理手段(61、42、52)が、前記温度データを受信することと、
少なくとも前記温度データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)を移動させるための指示を
前記駆動部(62)に送信することと、
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と前記無線電力装置(10、20)との間の相対的移動を引き起こすことと、
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記異物エミュレーション装置(60、160、260、360)が、少なくとも1つの位置センサ(64b)と動作可能に通信しており、前記方法が、さらに、
前記少なくとも1つの位置センサ(64b)によって生成され、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)の前記相対的位置を示す位置データを、前記処理手段(61、42、52)に送信することと、
を含む、請求項
10または
11に記載の方法。
【請求項14】
前記処理手段(61、42、52)が、前記位置データを受信することと、
少なくとも前記位置データに基づいて、前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)を移動させるための指示を
前記駆動部(62)に送信することと、
前記少なくとも1つのエミュレート対象物(66、166a~b、266、366)と前記無線電力装置(10、20)との間の相対的移動を引き起こすことと、
をさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
処理手段(61、42、52)によってロードされ実行されると、請求項
11に記載の方法を実行させる命令を符号化したコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
処理手段(61、42、52)によってロードされ実行されると、請求項
11に記載の方法を実行させるコード命令を含むコンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】