(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】体内腔の閉塞を治療するためのカテーテルベースの装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20230807BHJP
A61B 17/3207 20060101ALI20230807BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20230807BHJP
【FI】
A61B17/22 528
A61B17/3207
A61M25/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504481
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 US2021042676
(87)【国際公開番号】W WO2022020539
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523023236
【氏名又は名称】アルテア メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALTHEA MEDICAL LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ベナリー,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】オフェク,リア
(72)【発明者】
【氏名】シェルニン,オル
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160KL03
4C160MM36
4C160NN01
4C267AA08
4C267CC09
(57)【要約】
患者の体内腔の閉塞を治療または除去するための方法および装置、特に肺塞栓症の治療が開示されている。この治療では、溶解物質などの溶解剤を特定領域に加えながら、閉塞物を破壊する機械的手段を提供することによって、血栓を軟化および溶解させる。閉塞物の破片を吸引する手段が提供される。さらに、閉塞物を把持して体内腔から除去するための種々の手段が開示されている。
【選択図】
図38
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側シャフト内で直線移動および回転移動可能な内側チューブであって、ノズル穴およびスロットが形成された内側チューブと、
前記スロットを通って外側に拡張可能な破壊要素と、
前記外側シャフトの近位部分に結合された吸引デバイスとを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記ノズル穴を介して導入される溶解物質をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記外側シャフトに結合された膨張可能なバルーンをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記吸引デバイスが、振動圧力吸引デバイスを含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記外側シャフトに結合されたメッシュアセンブリをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記メッシュアセンブリが、自己拡張型のメッシュコーンを含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、
前記メッシュアセンブリが、近位捕捉メッシュチューブ、捕捉メッシュおよび遠位捕捉メッシュチューブを含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記外側シャフトに結合されたコーンおよび把持機構をさらに備え、前記把持機構が、複数の外方向および内方向に移動可能な把持要素を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
吸引ハブ、吸引ポートおよび吸引チューブを含む吸引システムと、
前記吸引ハブを介して前記吸引システム内に挿入されるエキスパンダ要素であって、前記吸引システムの一部分の断面を塑性変形させて拡大するサイズを有するエキスパンダ要素とを備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
外側シャフト、中間シャフトおよび内側シャフトを含む3つの同心のシャフトを有する拡張可能な血栓捕捉デバイスを備え、前記拡張可能な血栓捕捉デバイスの遠位端が、弾性的で半径方向に圧縮可能な支持フレームを含み、
前記支持フレームがコーンに結合され、前記コーンの近位端および遠位端が、互いに相対的に移動可能な前記同心のシャフトのうちの2つの異なるシャフトに接続されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
前記コーンが、放射状に配置され、前記コーンの長手方向軸に向かって内側に突出するバーブ要素を備えることを特徴とする装置。
【請求項12】
外側シャフト、中間シャフトおよび内側シャフトを含む3つの同心のシャフトを有する拡張可能な血栓捕捉デバイスであって、当該拡張可能な血栓捕捉デバイスの遠位端が、弾性的で半径方向に圧縮可能な支持フレームを含み、前記弾性的で半径方向に圧縮可能な支持フレームが、前記内側シャフトに対して軸方向に移動するように配置された1または複数の閉塞物捕捉要素を備える、拡張可能な血栓捕捉デバイスと、
前記閉塞物捕捉要素を半径方向外側に変形させるために、かつ半径方向内側に収縮させるために、前記内側シャフトに対して軸方向に移動可能な1または複数のスリーブ要素とを備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、
前記1または複数の閉塞物捕捉要素の各々が、半径方向に変形していない状態において互いに接触またはほぼ接触する複数の放射状に分散したアームのペアを含むことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、体内腔の閉塞を治療するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血栓塞栓症は、血栓(栓子)が血管内で形成され、それが遊離して(塞栓子を形成して)、血流により循環系内の別の場所に運ばれ、その新しい場所で血栓または閉塞が生じることである。例えば、血栓が詰まって肺の血管を塞ぐと、肺塞栓症と呼ばれる疾患になることがある。血栓塞栓症は、特に成人において、罹患率および死亡率の重大な原因となっている。血栓塞栓症は、突然、重度になることがあり、いつでも発生する可能性がある。
【0003】
体内の静脈循環系で血栓が形成されると、肺に移動または塞栓を起こすことがある。血栓は通常、脚、骨盤の静脈または下大静脈から右心腔を閉塞し、そこから肺動脈に至る。その結果、右心不全が起こり、肺を通る血流が減少し、肺、心臓および体の他の部分の酸素供給が減少する。血栓が肺動脈に入ると、肺の様々な動脈の閉塞と痙攣が起こり、肺組織を通る血流とガス交換がさらに減少し、肺水腫が生じる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、体内腔の閉塞を治療するための装置および方法を提供しようとするものである。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、外側シャフト内で直線移動および回転移動可能な内側チューブであって、ノズル穴およびスロットが形成された内側チューブと、スロットを通って外側に拡張可能な破壊要素と、外側シャフトの近位部分に結合された吸引デバイスとを備えた装置が提供されている。
【0006】
以下に、更なる実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、以下の詳細な説明を図面と併せて読むことにより、より完全に理解され、認識されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の非限定的な実施形態に係るカテーテルベースの治療装置(CBTD)の簡略図である。
【
図2】
図2は、内側チューブが装置の外側シャフト内から前進している様子を示す簡略図である。
【
図3】
図3は、スロットおよびノズル穴を有する内側チューブの簡略図である。
【
図4】
図4は、スロットおよびノズル穴が閉塞物内に位置するように、内側チューブが閉塞物内に進入している様子を示す簡略図である。
【
図5】
図5は、閉塞物内の内側チューブの簡略図である。
【
図6】
図6は、内側チューブが、閉塞物と体内腔(図示せず)との間ではなく、閉塞物内に確実に挿入されるように設計されたセンタリング要素を有するCBTDの簡略図である。
【
図7】
図7は、外側シャフトが、膨張して体内腔の内径に対してシールを形成することができるバルーンを有する、本実施形態の別の可能性のある特徴の簡略図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の非限定的な実施形態に係るカテーテルベースの治療装置(CBTD)の簡略図である。
【
図10】
図10は、
図8のCBTDの外側シャフト内から延びる内側要素の簡略図である。
【
図13】
図13は、捕捉メッシュが閉塞物の上で折り畳まれるときの簡略拡大図である。
【
図14】
図14は、本発明の別の非限定的な実施形態に係るカテーテルベースの治療装置(CBTD)の簡略図である。
【
図15】
図15は、装置の把持アームに把持された閉塞物の簡略図である。
【
図16】
図16は、把持アームのストラットから切り出された操作アームを有する把持要素の簡略図である。
【
図17】
図17は、吸引ハブ、吸引ポートおよび吸引チューブを含む、本発明の非限定的な実施形態に係る吸引システムの簡略図である。
【
図18】
図18は、吸引ハブを通して吸引システム内に挿入されるエキスパンダ要素の簡略図である。
【
図19】
図19は、吸引システムのエキスパンダ要素の簡略図である。
【
図20】
図20は、吸引システムで使用される別のエキスパンダ要素の簡略図である。
【
図21】
図21は、拡張プロセスの後に遠位および近位セクションがほぼ同じ直径を有する吸引システムの簡略図である。
【
図22】
図22は、血栓に近接する吸引前の完全に拡張された吸引システムの簡略図である。
【
図23】
図23は、吸引システムの一部分の遠位セクションの断面の簡略図である。
【
図24】
図24は、遠位セクションの拡張を達成する別の方法の簡略図である。
【
図25】
図25は、遠位セクションの長さと近位セクションの長さとの間の関係を示す簡略図である。
【
図26】
図26は、拡張する吸引システムの別の実施形態の簡略図である。
【
図27】
図27は、エキスパンダ要素が吸引チューブを通って引き戻される様子を示す簡略図である。
【
図28】
図28は、エキスパンダ要素が吸引チューブを通って引き戻されて、吸引チューブを塑性変形させている様子を示す簡略図である。
【
図29】
図29は、吸引チューブの直径を拡大した後、吸引システムから引き抜かれるときのエキスパンダ要素の簡略図である。
【
図30】
図30は、真空ポンプ、真空ゲージ、収集チャンバおよび制御可能な解放バルブを有する真空吸引システムの簡略図である。
【
図31】
図31は、真空バルブを有する収集要素の簡略図である。
【
図33】
図33は、本発明の非限定的な実施形態に係る拡張可能な血栓捕捉デバイスの簡略図である。
【
図34】
図34は、拡張可能な血栓捕捉デバイスの遠位端の簡略図である。
【
図35】
図35は、拡張可能な血栓捕捉デバイスが体内腔の閉塞物に向かって前進している様子を示す簡略図である。
【
図36】
図36は、外側シャフトが後退されて、支持フレームの遠位端を露出させている様子を示す簡略図である。
【
図37】
図37は、遠位セクションが完全に開いた状態の拡張可能な血栓捕捉デバイスの簡略図である。
【
図38】
図38は、拡張可能な血栓捕捉デバイスの遠位端が閉塞物の上を前進している様子を示す簡略図である。
【
図39】
図39は、閉塞物をしっかりと捕捉するように閉塞物の周りで膜がねじられる様子を示す簡略図である。
【
図40】
図40は、本発明の非限定的な実施形態に係る血栓引掛けデバイスの簡略図である。
【
図41】
図41は、血栓引掛けデバイスが体内腔で前進している様子を示す簡略図である。
【
図42】
図42は、外側シャフトが近位側に引っ張られて可撓性アームを露出させている様子を示す簡略図である。
【
図43】
図43は、完全に開いた位置にある血栓引掛けデバイスの簡略図である。
【
図44】
図44は、体内腔の血栓引掛けデバイスと、完全に拡張された位置にある可撓性アームの簡略図である。
【
図45】
図45は、長手方向軸を中心に回転されるときの血栓引掛けデバイスの簡略図である。
【
図46】
図46は、本発明の別の非限定的な実施形態に係る、体内腔の閉塞物を捕捉するためのデバイスの簡略図である。
【
図47】
図47は、外側シャフトが近位側へと後方に引っ張られている状態にあるデバイスの簡略図である。
【
図48】
図48は、外側シャフトがさらに近位側に引き抜かれることによって露出されるデバイスの要素の簡略図である。
【
図49】
図49は、外側シャフトが完全に後方に引き抜かれた後の閉塞物捕捉デバイスの様々な要素の簡略図である。
【
図51】
図51は、内側シャフトが軸方向に引き戻されて、スリーブ要素が閉塞物捕捉要素を半径方向に圧縮および変形させるときのデバイスの簡略図である。
【
図52】
図52は、半径方向アームが半径方向に開いた状態にある閉塞物捕捉要素の拡大図である。
【
図53】
図53は、閉塞物の隣に配置されるときに閉塞物捕捉要素および半径方向アームが半径方向に開いた状態にあるデバイスの簡略図である。
【
図54】
図54は、内側シャフトが軸方向に遠位前方に移動して、閉塞物捕捉要素にかかる圧縮力を除去するときのデバイスの簡略図である。
【
図55】
図55は、デバイスの閉塞物捕捉要素によって捕捉されるときの閉塞物の簡略図である。
【
図56】
図56は、デバイスが内腔から閉塞物を引き抜くときの簡略図である。
【
図57】
図57は、閉塞物を「挟む」ために使用され得る他の構成を示している。
【
図58】
図58は、閉塞物を「挟む」ために使用され得る他の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、動脈または静脈などの体内腔導管内の閉塞物101の概略図である(明確化のために導管は示されていない)。可能性のある一実施形態によれば、カテーテルベースの治療装置(CBTD)10は、図示のように、血栓など閉塞物に向かって前進する。CBTD10の外側シャフト11が見られる。
【0009】
図2は、内側チューブ12が外側シャフト11内から前進している様子を示している。内側チューブ12は、閉塞物101に向かって前進している。
【0010】
図3は、スロット13およびノズル穴14を有する内側チューブ12を示している。内側チューブ12は、外側シャフト11内で軸方向および半径方向の両方に移動することができる。
【0011】
図4は、スロット13およびノズル穴14がともに閉塞物内に位置するように、内側チューブ12が閉塞物101内に進入している様子を示す概略図である。
【0012】
図5は、閉塞物101内の内側チューブ12を示している。閉塞物は、明確にするために、切欠きセクションを有する。破壊要素15は、図示のように、半径方向に延出している。これらの破壊要素は、オペレータの裁量で拡張して、閉塞物101の本体を破壊することができる。並行して、ノズル穴14から閉塞物溶解物質を加えることができる。破壊要素15による機械的破壊とノズル穴14を介して加えられる閉塞物溶解物質との組合せにより、外側シャフト11を介して閉塞物を吸引するのを補助することができる。
【0013】
図6は、内側チューブ12が、閉塞物と体内腔(図示せず)との間を通り抜けるのではなく、閉塞物101内に確実に挿入されるように設計されたセンタリング要素16を有するCBTD10を示している。
【0014】
図7は、本実施形態の更なる発展例であり、ここでは、外側シャフト11が、膨張して体内腔の内径に対してシールを形成するように設計されたバルーン17を備え、それにより、治療ゾーンを隔離して、閉塞物溶解要素が塞栓の領域に留まることを可能にし、その物質の効果を増大させるようになっている。
【0015】
このように、本発明は、外側シャフトの近位端が吸引デバイスに接続された、体内腔の閉塞を治療するカテーテルベースの治療装置を提供する。内側チューブは、外側シャフト内に配置され、内側チューブは、その遠位端に一連のノズル穴およびスロットを有する。ノズル穴およびスロットは、内側チューブの遠位端またはその近傍に放射状に分布することができる。内側チューブの遠位端のスロットは、内側チューブの回転が閉塞物を破壊するように、破壊要素が閉塞物内へと半径方向に延出することを可能にする。血栓の場合には、溶解剤などの閉塞物溶解物質を、閉塞物の溶解を助けるために内側チューブを介して導入することができる。機械的破壊を溶解物質と組み合わせることにより、外側シャフトを介して閉塞物を吸引するのを助けることができる。
【0016】
さらに、外側シャフトによって生じる負圧を、ノズル穴から導入されるときの溶融物質の正圧と組み合わせた、圧力プロファイルを使用することができる。閉塞物を吸引するときに、ノズル穴を介して溶解物質をパルス状に加えることと組み合わせた、振動する圧力プロファイルを使用することにより、閉塞物を遊離させて、それを大量の血液損失なしに内腔から吸引するのを補助することができる。
【0017】
図8は、本発明の別の実施形態である。CBTD20は体内腔(図示せず)の閉塞物101に向かって前進している。外側シャフト21は、図示のように、閉塞に向かって前進している。
【0018】
図9は、CBTD20の更なる描写である。外側シャフト21は、尾側に引っ張られ、それにより自己拡張型メッシュコーン22が拡張して、内腔壁に対してシールすることを可能にする。
【0019】
図10は、近位捕捉メッシュチューブ23、捕捉メッシュ24および遠位捕捉メッシュチューブ25(この図には示されていない)を含む、外側シャフト21内から延びる内側要素を示している。
【0020】
図11は、遠位捕捉メッシュ24の構造を示している。近位捕捉メッシュチューブ23は捕捉メッシュ24の近位端に取り付けられ、遠位捕捉メッシュチューブ25は捕捉メッシュ24の遠位端に接続されている。遠位捕捉メッシュチューブ25は、遠位捕捉メッシュチューブ25が近位捕捉メッシュチューブ23に対して半径方向および軸方向の両方に相対的に移動できるように、同心で近位チューブ23内にある。
【0021】
図12を参照されたい。捕捉メッシュ24の遠位端は、閉塞物101に突き当たるまで頭側に前進される。この時点で、近位捕捉メッシュチューブ23が頭側に前進する一方で、遠位捕捉メッシュチューブ25は閉塞物に対して静止する。この動作により、捕捉メッシュ24はそれ自体の上に折り畳まれ、閉塞物101の一部分を飲み込む。この時点で、遠位捕捉メッシュチューブ25は、近位捕捉メッシュチューブ23に対して回転され、それにより捕捉メッシュ24を半径方向内側に締め付けて、閉塞物を圧迫する。オペレータは、閉塞物を尾側に引っ張って、メッシュコーン22内に入れることができる。その後、すべての要素を外側シャフト21内に引き込むことができる。この実施形態では、閉塞物またはその一部分を吸引するために、外側シャフト21の近位端を吸引システムに接続することができる。
【0022】
図13は、捕捉メッシュ24が閉塞物101の上に折り畳まれたときの拡大図である。遠位捕捉メッシュチューブ25と近位捕捉メッシュチューブ23との間の相対運動により、捕捉メッシュ24が閉塞物の近位部分の周囲で締め付けられる。
【0023】
このように、本発明は、体内腔の閉塞を治療するためのカテーテルベースの治療装置を提供する。一実施形態は、外側シャフトと、メッシュコーンと、それぞれの端部に遠位チューブおよび近位チューブが取り付けられた遠位捕捉メッシュとを提供する。捕捉メッシュは、その遠位端が閉塞物に対して静止するまで前進される。この時点で、遠位捕捉メッシュチューブが頭側に進められ、それにより捕捉メッシュを変形させて、それ自体の上に折り畳み、閉塞物の一部分の上に延在させるようになっている。変形した捕捉メッシュの遠位端に接続された遠位捕捉メッシュチューブは、近位捕捉メッシュチューブに対して回転され、それにより捕捉メッシュを閉塞物の一部分の周りで締め付けるため、オペレータは、閉塞物を引っ張って自由にし、それをメッシュコーンの中に、そして外側シャフトの中に引き込むことができる。この発明の別の特定の実施形態では、チューブシステムに組み込まれた振動要素を、一方のチューブに対する他方のチューブの相対的な半径方向の動きを補助するために使用することができる。
【0024】
図14は、本発明のさらに別の実施形態の説明図である。展開状態で示される円錐形のコーン32を有するCBTDは、その遠位端に配置された把持要素34を有する。内側把持チューブ33が複数の操作アーム36に接続されるように、2つの同心チューブ33、35が把持器34に接続される。
図14は、3アーム構成を示している。外側把持チューブ33は、把持要素の近位端に接続されている。内側把持チューブ35を外側把持チューブ33内に引っ張ることにより、相対的な軸方向運動がもたらされ、それにより操作アームが把持要素の遠位端を変形させ、把持アーム37を半径方向内側に閉じて、円錐形のメッシュ32内に引っ張ることができるように閉塞物101を把持する。
【0025】
図15は、把持アーム37に把持された閉塞物101を示している。
【0026】
図16は、把持アーム37のストラットから切り出された操作アーム36を有する把持要素の可能性のある構成の概略図である。この構成は、3つの把持アーム37と操作アーム36を示しているが、当技術分野における当業者には、他の構成も知られている。さらに、この実施形態は、操作アーム36が把持アーム37のストラットから切り出されることを示しているが、この設計についても他の構成が存在する。
【0027】
このように、本発明は、体内腔の閉塞物を把持して除去するための把持CBTDを提供する。このCBTDは、外側シャフト(図示せず)と、閉塞物を引き込むときに受け入れる円錐形のコーンと、その遠位端の把持機構とから構成することができる。把持機構は、ほぼ放射状に配置された複数の把持要素を含み、それら把持要素が、近位端および遠位端を有する。遠位端は、静脈または動脈内の血栓などの体内腔の閉塞物を把持するために使用される。把持要素の近位端は、把持チューブに接続されている。操作アームは、把持アーム(ストラット)の材料から切り出され、外側の把持チューブと同心で内部にある内側の把持チューブに接続されている。操作アームの近位端は、内側および外側の把持チューブ間の軸方向運動により把持要素が半径方向内向きに折り畳まれて閉塞物を把持するように、把持アームの近位端と遠位端との間に配置されている。
【0028】
本発明の別の態様では、
図17~
図31を参照して説明するように、体内腔から閉塞物を摘出するために、変形可能な吸引チューブが提供される。
【0029】
血栓除去術は、長いチューブを閉塞(血栓)部位に挿入し、それを除去しようとすることにより、血管系から血栓形成物を除去する処置である。先行技術において、血栓を除去する最も簡単で迅速な方法は、吸引技術を使用するものであり、その場合、患者の体外にあるチューブの近位端に負圧(真空)を生成し、その生成する真空が血栓を剥離させて吸引チューブの遠位端内に吸引するのに十分なものとされる。特に吸引チューブの直径が大きくなると、動脈や静脈を辿って閉塞物に到達することは困難となる。一方、吸引チューブの直径が小さくなると、吸引効力が劇的に低下する。
【0030】
本発明の一態様では、小径の吸引チューブを血管系を通して標的部位まで挿入および前進させた後、塑性変形させて、その直径を必要なサイズまで増大させることができる装置および方法が提供される。さらに、吸引動作前に真空レベルを予め設定することができる真空生成システムが記載されている。
【0031】
図17は、内腔103内に配置された吸引システム40を示しており、その遠位端が血栓104のすぐ近傍に配置されている。吸引システム40は、吸引ハブ41、吸引ポート42および吸引チューブからなり、吸引チューブが、遠位セクション44と近位セクション43の2つのセクションを有し、遠位セクション44が近位セクション43よりも小さな直径を有する。
【0032】
図18は、吸引ハブ41を通してエキスパンダ要素45を吸引システム40内に挿入する様子を示している。エキスパンダ要素45は、近位セクション43の直径と同じかそれより大きい直径を有することができ、遠位セクション44の遠位の直径より大きい直径を有する。エキスパンダ要素45は、その直径に応じて、遠位セクション44のみを塑性変形させるか、または遠位セクション44および近位セクション43の両方を塑性変形させる。
【0033】
図19は、エキスパンダ要素45が、遠位セクション44の遠位端まで、遠位および近位セクション44、43の両方を通して前進させられている様子を示している。
【0034】
図20は、遠位セクション44の直径のみをさらに増大させるために、または遠位および近位セクション44、43の両方の直径をさらに増大させるために、エキスパンダ要素45のより大きな直径を有する別のエキスパンダ要素46が吸引ハブ41を通して挿入される様子を示している。
【0035】
図21は、拡張プロセス後に、遠位セクション44および近位セクション43の両方がほぼ同じ直径を有する吸引システム40を示している。最終的な直径は、使用されるエキスパンダの直径と、近位セクション43および遠位セクション44を構成するために使用される材料の特性とにより決定される。拡張の程度は、使用するエキスパンダの最終的なサイズを決定する医師によって調整される。
【0036】
図22は、内腔103内の血栓104のすぐ近くにある完全に拡張された吸引前の吸引システム40を示している。
【0037】
図23は、遠位セクション44の断面の概略図であり、ここでは、遠位セクション44の直径をその縮んだ状態からその完全に拡張した状態まで拡張するために必要な余剰材料を折り畳むために、ひだ112が使用されている。
【0038】
図24は、遠位セクション44の拡張を達成する別の方法を示す概略図であり、ここでは、遠位セクション44の材料が、拡張時に引き伸ばされて変形する。当業者に知られているように、ジャケット材料に封入または接続された支持構造を有する遠位セクション44を製造するために、複合構造を使用することができる。複合構造は、遠位セクション44の均一な塑性変形を助けることができる。
【0039】
図25は、遠位セクション44の長さと近位セクション43の長さとの間の関係を示している。L2/L1は、0.1~0.8の範囲とすることができる。
【0040】
図26は、吸引ハブ51および吸引ポート52を有する拡張する吸引システム50の他の実施形態である。吸引チューブ53は、その中に予め配置されたエキスパンダ要素54を有し、このエキスパンダ要素は、吸引チューブ内で自由に移動できるように吸引チューブ53の内径とほぼ同様の直径を有する。エキスパンダ要素54は、直径が吸引チューブ53の直径よりも大きい遠位先端セクション55を有する。
【0041】
図27は、エキスパンダ要素54が吸引チューブ53を通って引き戻され、吸引チューブを塑性変形して(吸引チューブ53の直径が拡張することを示す)膨出部56をもたらす様子を示す概略図である。
【0042】
図28は、エキスパンダ要素54が吸引チューブ53を通って引き戻され、吸引チューブを塑性変形している様子をさらに示す説明図である。ここでは、膨出部56がより近位側にあり、吸引チューブ53のより長いセクションが拡張したことを意味する。
【0043】
図29は、吸引チューブ53の直径を拡張した後に、吸引システム50から引き抜かれるときのエキスパンダ要素54を示している。吸引チューブは、エキスパンダ要素54の引き戻しを容易にするために、異なる直径を有する2以上のセクションから構成されるものであってもよい。
【0044】
図30は、真空ポンプ65、真空ゲージ66、収集チャンバ64および制御可能な解放バルブ63を有する真空吸引システム60を示している。それらは、吸引ハブ61の一部分である吸引ポート62に一列に接続されている。吸引チューブ67は、吸引ハブ61に接続されている。真空ポンプは、所望の値に達するまで作動させることができる。収集チャンバ64は、制御可能な解放バルブ63が解放されるまで、その中の圧力が必要に応じて上昇することを可能にする真空バルブ68を有する。吸引チューブ67の遠位端を介して吸引されたすべての物質は、吸引ポート62を経由して収集チャンバ64内に吸い取られることになる。
【0045】
図31は、真空ポンプ(図示せず)に接続された真空バルブ68を有する収集要素64を示している。ポンプは、所望の真空レベルに達するまで作動させることができる。収集チャンバ64は、排気されて、制御可能な解放バルブ63が解放されるまで真空を維持する。この時点で、吸引チューブ67から後方にあるシステム内に位置するあらゆる物質は、収集チャンバ64内に引き込まれることになる。
図31では、真空バルブ68が、空気を一方向にのみ排気することができるバネ荷重ボールとして示されているが、代わりに、多くのタイプの真空バルブを使用することができる。
【0046】
本発明の別の態様では、閉塞する塊を捕捉するためのデバイスが提供される。
【0047】
図32は、肺動脈201に留まった肺血栓202の概略図である。
【0048】
図33は、体内腔の閉塞部位に半径方向に縮められた状態で導入されるように設計された拡張可能な血栓捕捉デバイス70を示している。このデバイス70は、3つの同心シャフト、すなわち、デバイス70のすべての要素が縮め込まれる外側シャフト71と、中間シャフト72と、内側シャフト74とから構成されている。シャフト71、72、74に加えて、デバイス70は、肺動脈などの体内腔の閉塞物を捕捉するように設計された半径方向に圧縮可能な遠位端を有する。捕捉デバイス70の遠位端は、開いた直径を有し、それが、その近位端よりも大きく、本質的に開いたコーンを形成する。デバイス70の遠位端は、開いた遠位端を有する支持フレーム79からなり、ニチノールに限定されるものではないが、そのような弾性材料で構成されている。支持体79の端部は、支持フレームを半径方向に圧縮することができるように構成されている。支持フレーム79は、その近位端が接続カラー73に接続され、この接続カラーが、中間シャフト72に接続される。一実施形態では、支持フレーム79が、単一のストラット75を使用して接続カラー73に接続されるが、他の接続方法も当業者に知られている。フレーム79の遠位端は、全体的にコーンを形成する可撓性コーティングまたは膜81に接続されている。コーンの近位端は、内側シャフト74に接続され、コーンの近位端と遠位端が、互いに相対的に移動できる2つの異なる同心シャフトに接続されるようになっている。一例として、内側シャフト74は、中間シャフト72に対して軸方向および半径方向に相対的に移動することができる。ポリマーカバーは、バーブ要素80を封入することができ、それら要素は、放射状に配置されて、内側に突出し、コーンの軸を向いている。それらバーブは、コーンの近位端に向かって後方に角度を付けるようにしてもよく、そうるすことで、コーンが内腔の閉塞物の上に進められるとき、バーブが閉塞物を横切って容易に動くことができるが、デバイス70が後退するとき閉塞物の中にそれ自体が埋め込まれることとなる。さらに、内側シャフト74が中間シャフト72内で半径方向に動かされることによって、コーン81がその中心軸の周りでねじられ、それによってもバーブ80が閉塞物内に埋め込まれる。
【0049】
図34は、拡張可能な血栓捕捉デバイス70の遠位端の別の図であり、遠位端が支持フレーム79に接続され、近位端が内側シャフト74に接続された可撓性膜81の側面図を示している。また、図示のように、ストラット75が支持フレーム79を連結カラー73に連結し、連結カラーは、中間シャフト72に連結されている。
【0050】
図35~
図39は、体内腔の閉塞物を除去するために拡張可能な血栓捕捉デバイス70を使用する際に関与するステップを示している。
【0051】
図35は、拡張可能な血栓捕捉デバイス70が体内腔201の閉塞物202に向かって前進している様子を示している。
【0052】
図36は、外側シャフト71が後退されて、支持フレーム79の遠位端を露出させている様子を示している。
【0053】
図37は、その遠位セクションが完全に開いた状態の拡張可能な血栓捕捉デバイス70を示している。
【0054】
図38は、支持フレーム79の遠位端が閉塞物202の近位端の上に延びるように、拡張可能な血栓捕捉デバイス70の遠位端が閉塞物202を越えて前進されている様子を示している。この時点で、放射状のバーブ80(図示せず)は、閉塞物202にそれ自体を埋め込むことができる。
【0055】
図39は、閉塞物202をしっかりと捕捉するために、膜81が閉塞物の周りでねじられる様子を示している。閉塞物202が捕捉されると、デバイス70を後退させて、閉塞物202を体内腔201から除去することができる。
【0056】
図40は、血栓引掛けデバイス90の概略図である。この実施形態では、外側シャフト92と、先端91に接続された内側シャフト93とにより構成されるデバイスが示されている。半径方向に伸縮可能な可撓性アーム94が内側シャフト93に連結されている。可撓性アーム94は、外側シャフト92が、先端91を除くデバイス90のすべての要素を包含できるように半径方向に圧縮することができる。
図40は、半径方向に開いた位置にある伸長可能なアーム94を有するデバイス90を示している。
【0057】
図41~
図45は、体内腔壁から血栓を引き?がすために取られるステップを示している。
【0058】
図41は、デバイス90が体内腔201内で前進している様子を示している。大きな血栓形成物202が内腔壁に付着している。
【0059】
図42は、外側シャフト92が近位側に引っ張られて、可撓性アーム94を露出させ始めている様子を示している。
【0060】
図43は、外側シャフト92が完全に後退して、可撓性アーム94が完全に半径方向に開いた位置にある、完全に開いた位置のデバイス90を示している。このデバイスは、体内腔201内に位置しているが、血栓202は、明確にするために示されていない。
【0061】
図44は、完全に伸長した位置にある可撓性アーム94を有する体内腔201内にあるデバイス90を示している。可撓性アーム94は、血栓202の側部に係合する。
【0062】
図45は、デバイス90がその長手方向軸を中心に回転している様子を示している。可撓性アーム94は、血栓202を引っ掛けて、内腔201の壁から取り除く。この時点で、外側シャフト92を前進させて、可撓性アーム94に血栓202を掴ませ、オペレータがデバイス90全体を後退させることによって血栓202を除去することができる。外側シャフト92の前進およびデバイス90の後退は図示されていない。
【0063】
ここで、本発明の非限定的な実施形態に係る、別の閉塞物捕捉デバイスを示す
図46~
図58を参照する。
【0064】
図46は、体内腔内の閉塞物を捕捉するように設計されたデバイス300を示している。このデバイス300は、外側シャフト302内でその半径方向に圧縮された状態で示されており、先端301を有する。
【0065】
図47は、外側シャフト302が近位後方に引っ張られ、それにより把持要素304が部分的に露出した、デバイス300を示している。
【0066】
図48は、外側シャフト302をさらに近位側に引き抜くことによって露出されるようになったデバイス300の要素を示している。
【0067】
図49は、外側シャフト302が完全に引き戻された後の、閉塞物捕捉デバイス300の様々な要素を示している。このデバイスは、内側シャフト303、中間シャフト306および外側シャフト302の3つの同心シャフトを含むことができる。内側シャフト303は、静止している中間シャフト306に対して相対的に動くことができる。スリーブ要素305は、内側シャフト303にしっかりと接続され、中間シャフト306の上または中に移動できないように、中間シャフト306と同様の直径寸法を有する。閉塞物捕捉要素304は、内側シャフト303の上に位置し、それらは内側シャフト303に対して軸方向に自由に移動することができる。内側シャフト303が中間シャフト306に対して軸方向に移動すると、スリーブ要素305が、閉塞物捕捉要素304を半径方向に変形させる(例えば、外側に座屈させる)ように圧縮する。この構成では、2つの閉塞物捕捉要素304が示されているが、いくつかの構成では、閉塞物捕捉要素304が1つのみであっても、あるいは複数であってもよい。1または複数の閉塞物捕捉要素304は、弾性的で半径方向に圧縮可能な支持フレームを形成する。
【0068】
図50は、閉塞物捕捉要素304の拡大図である。各捕捉要素304は、複数の放射状に分散したアームのペア307(限定するものではないが、図示の実施形態では3つのペアが示されている)により構成することができ、各ペアは、各ペアの半径方向アーム307が半径方向に変形していない状態において互いに接触またはほぼ接触するような位置に配置されるように設計されている。
【0069】
図51は、内側シャフト303が軸方向に引き戻され、スリーブ要素305が閉塞物捕捉要素304を半径方向に圧縮および変形させ、それによって半径方向アーム307が互いに離れて移動しているときのデバイス300を示している。
【0070】
図52は、半径方向アーム307が半径方向に開いた状態にある閉塞物捕捉要素304の拡大図である。
【0071】
図53は、閉塞物202の隣に位置するときに、閉塞物捕捉要素304および半径方向アームが半径方向に開いた状態にあるデバイス300を示している。
【0072】
図54は、内側シャフト303が軸方向に遠位側に前進して、閉塞物捕捉要素304にかかる圧縮力を取り除き、半径方向アーム307を、互いに接触またはほぼ接触する非圧縮状態に戻らせるときのデバイス300を示している。これにより、半径方向アーム307は、閉塞物202を「挟み込み」、その一部分を捕捉する。
【0073】
図55は、内腔201を閉塞していた閉塞物202が、デバイス300の閉塞物捕捉要素304によって捕捉された状態を示している。
【0074】
図56は、デバイス300が後方に引っ張られ、内腔201から閉塞物202を引き抜くときの様子を示している。
【0075】
図57および
図58は、前の図面に見られるのと同じ「挟み込み」作用を達成するために使用され得る他の構成を示している。この場合、半径方向アーム307は、ねじりバネ319を介して接続された別個のカラー317に取り付けられている。この構成では、半径方向アーム307の1ペアのみが示されている。
【国際調査報告】