(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】多成分キトサンコンジュゲートを介した抗菌性表面
(51)【国際特許分類】
C08B 37/08 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
C08B37/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504502
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021042640
(87)【国際公開番号】W WO2022020518
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523023915
【氏名又は名称】モレキュラー・サーフェス・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ランデル・クレベンジャー
(72)【発明者】
【氏名】チョルジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・ブラックロック
【テーマコード(参考)】
4C090
【Fターム(参考)】
4C090AA02
4C090BA47
4C090BB02
4C090BB18
4C090BB53
4C090BB62
4C090BB92
4C090BD41
4C090CA35
4C090DA22
4C090DA40
(57)【要約】
二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む組成物、及び二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む官能化された金属加工片を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を有する二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む組成物:
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のそれぞれは、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アセチル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択され、但し、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし、
nは、コンジュゲートのために利用可能なモノマー単位の数を表し、約1~約500であり、かつ
mは、第2のコンジュゲートのために利用可能なモノマー単位の数を表し、約1~約500である)。
【請求項2】
R
1~R
6のうちの少なくとも2つが、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R
1~R
6のうちの少なくとも1つが、第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、又は第四級ピリジニウム官能基からなる群から選択され、かつ、二重にコンジュゲートされたキトサンの四級化度が、約1%~約99%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
R
1~R
6のうちの少なくとも1つが、二重にコンジュゲートされたキトサンを基材上に固定化するためのペンダントのジヒドロキシベンジル基をもたらすカテコール又はその誘導体又は類似体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が金属表面に結合されており、前記金属表面が、チタン、ハフニウム、コバルトクローム、ステンレス鋼、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム、ケイ素、金、銀、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記二重にコンジュゲートされたキトサンが、熱の適用によって金属表面に結合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記熱が、従来技術の加熱、マイクロ波照射又は誘導の方法を用いて適用される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記二重にコンジュゲートされたキトサンが、紫外光又は可視光の適用によって金属表面に結合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記二重にコンジュゲートされたキトサンが、電着によって金属表面に結合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記電着が、水性溶媒中で実施される、請求項1から5又は9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記電着が、塩基の存在下において有機溶媒中で実施される、請求項1から5又は9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
金属表面、及び前記金属表面に結合された、二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む改質された加工片であって、前記二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーが、一般式:
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のそれぞれは、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アセチル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択され、但し、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし、
前記金属表面は、金属、金属合金、金属酸化物、又は金属ナノ粒子を含み、
nは、コンジュゲートのために利用可能なモノマー単位の数を表し、かつ、約1~約500であり、かつ
mは、第2のコンジュゲートのために利用可能なモノマー単位の数を表し、かつ、約1~約500である)
を有する、改質された加工片。
【請求項13】
前記金属表面が、チタン、ハフニウム、コバルトクローム、ステンレス鋼、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム、ケイ素、金、銀、それらの酸化物、それらの合金、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項12に記載の改質された加工片。
【請求項14】
改質された加工片を製造する方法であって、
a.カテコール又はその誘導体の水性緩衝溶液又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;
b.金属加工片の少なくとも一部を、前記のカテコール又はその誘導体の水性溶液又は非水性プロトン性溶液中に浸漬させる工程;
c.電圧又はUV照射を処理時間中供給して、官能化された金属加工片を得る工程;及び
d.改質されたキトサンを、前記の官能化された金属加工片に化学結合させる工程、
を含む、方法。
【請求項15】
前記カテコール又はその誘導体が、官能化された金属加工片の表面に共有結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
官能化された金属加工片の表面が、カルボニルジイミダゾール又はその誘導体の添加によって活性化される、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記カテコール又はその誘導体がドーパミン又はポリドーパミンである、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属が、非鉄金属である、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記金属が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、それらの合金、それらの酸化物、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記金属が、チタン、チタン酸化物、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム酸化物、アルミニウム合金、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記金属が、ステンレス鋼である、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記カテコール又はその誘導体の水性溶液又は非水性プロトン性溶液の濃度が、約1質量%~約99質量%である、請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記の印加される電圧が、約1V~約100Vの範囲でありうる、請求項14から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記の印加される電圧が、約1V~約50Vの範囲でありうる、請求項14から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記の印加される電圧が、約10Vである、請求項14から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記のUV照射が、約100nm~約400nmの波長を有する、請求項14から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記のUV照射の波長が、約200nm~約300nmである、請求項14から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記のUV照射の波長が、約254nmである、請求項14から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記の水性溶液のpHが6.5~9.5である、請求項14から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記pHが8.5である、請求項14から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
イミダゾール又はその誘導体の溶液中の官能化された金属加工片が、約1時間~約5時間の間撹拌される、請求項16から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(a)酢酸及び過酸化水素中のキトサンの水性溶液を調製する工程;
(b)キトサンの水性溶液を加熱する工程;
(c)キトサンの水性溶液のpHをpH=9に調整する工程;
(d)オリゴ-キトサン生成物を回収する工程;及び
(e)オリゴ-キトサン生成物を四級化する工程
を更に含む、請求項14から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記オリゴ-キトサンの重量平均分子量が、約100~約5000である、請求項14から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記オリゴ-キトサンの重量平均分子量が、約1000~約3000である、請求項14から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記オリゴ-キトサンの重量平均分子量が、約2000である、請求項14から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記オリゴ-キトサン生成物を四級化する工程が、前記オリゴ-キトサン生成物を、第四級アンモニウム化合物、ピリジニウム化合物、又は第四級ホスホニウム化合物から選択される第四級化合物と反応させることを含む、請求項14から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第四級アンモニウム化合物が、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記非水性プロトン性溶液が、有機溶媒及び塩基を含む、請求項14から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記有機溶媒がアルコールである、請求項14から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記塩基がピペリジンである、請求項14から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記非水性プロトン性溶液が、エタノール又はメタノール中に1質量%のピペリジンを含む、請求項14から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
改質された加工片を製造する方法であって、
a.四級化されたキトサンポリマー又はオリゴマー又はその誘導体を、カテコール又はその誘導体と反応させて、カテコールで変性された二重にコンジュゲートされたキトサンを得る工程;
b.金属加工片の少なくとも一部を、カテコールで変性された二重にコンジュゲートされたキトサンの非水性プロトン性溶液中に浸漬させる工程;
c.カテコールで変性された二重にコンジュゲートされたキトサンを前記加工片に結合させて、官能化された金属加工片を得る工程、
を含む方法。
【請求項43】
カテコールで変性された二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーのペンダントのカテコール部分が、金属加工片の表面に共有結合されて、官能化された金属加工片を形成する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記カテコール又はその誘導体が、ドーパミン又はポリドーパミンである、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記金属が、非鉄金属である、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記金属が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、それらの合金、それらの酸化物、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項42から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記金属が、チタン、チタン酸化物、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム酸化物、アルミニウム合金、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項42から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記金属がステンレス鋼である、請求項42から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記カテコール又はその誘導体の水性溶液又は非水性プロトン性溶液の濃度が、約1質量%~約99質量%である、請求項42から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記カテコールで変性された二重にコンジュゲートされたキトサンを加工片に結合させる工程が、加熱、UV照射への曝露、又は陽極酸化処理を含む、請求項42から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記の二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーが、
【化3】
(式中、カテコール及び第四級アンモニウム部分は、二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーの利用可能なC-2アミン結合位置のあいだでランダムに分布され、q及びnのそれぞれは、約1~約500の範囲である)
である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記のカテコールで変性された二重にコンジュゲートされたキトサンが、
【化4】
(式中、カテコール及び第四級アンモニウム部分は、二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーの利用可能なC-2アミン結合位置のあいだでランダムに分布され、q及びnのそれぞれは、約1~約500である)
である、請求項42から50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
下記式を有する二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む組成物:
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4のそれぞれは、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカートネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アセチル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択され、但し、R
1、R
2、R
3、R
4のうちの少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし、
nは、キトサン鎖中のモノマー単位の数を表し、かつ、約1~約500の範囲であることができる)。
【請求項54】
C-2窒素が、少なくとも50%脱アセチル化されていなければならず、かつ、各モノマー単位が、2つのコンジュゲート部分のうちの1つに結合されうる、請求項53に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月20日に出願された米国特許仮出願第63/223,969号、及び2020年7月21日に出願された米国特許仮出願第63/054,719号に基づく優先権を主張するものであり、そのそれぞれを全ての目的のために参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、マルチパートキトサンコンジュゲート(multipart chitosan conjugate)における且つ表面改質用の付着モチーフとしての、ドーパミン、ポリドーパミン、及び/又はその誘導体の使用のための、方法及び組成物を対象としている。
【背景技術】
【0003】
表面の細菌汚染は、医療分野と非医療分野との両方において継続している課題である。コロニーを形成した細菌を伴う表面は、病気及び死亡さえも引き起こすおそれがある。多様な表面処理用組成物及び方法が、こうした表面の抗菌特性を改善するように開発されてきた。多様な化学的技術、例えばオルガノチオール金属、エンジオール酸化物、シラン酸化物、ホスホン酸及び誘導体などを用いた表面の改質が、これまでに開発されてきた。表面改質は、一般に、結合基を介して、改質された表面にしっかり結合された活性末端基を含むことを包含する。活性末端基は、所望の官能性を、改質された表面にもたらす。
【0004】
ポリドーパミンは、表面官能化のための、最も汎用性の且つ広く使用されているモチーフのうちの1つである。海産の二枚貝の研究、特にムール貝、及び広く多様な表面に結合するその能力の研究に触発されて、早い時期の研究者たちは、ムール貝接着性タンパク質中の3,4-ジヒドロキシ-L-フェニルアラニン(DOPA)の形態にあるカテコール(3,4-ジヒドロキシベンゼン)並びにリジン及びヒスチジンの形態にある第一級及び第二級アミンの優勢性を認めた。初期のカテコール/アミンシステムは、DOPA-Lysポリアミノ酸、及びキトサン等のポリアミンにつながれたカテコールを含む生体模倣接着システムを創出するのに使用された。
【0005】
キトサンは、キチンの部分的又は完全な脱アセチル化によって得られる天然の多糖である。Duttaら(Chitin and chitosan: chemistry, properties and applications, J. Sci. Ind. Res., vol. 63, pp. 20-31 (2004))によって記載されているように、キチンは、セルロースに次いで最も天然に豊富な多糖である。キチンは、グルコサミン及びN-アシル化グルコサミンモノマーの混合ポリマーとして存在し、且つC-2アミンの脱アセチル化度によって特徴付けられる。従来、キトサンは、>50%の脱アセチル化を有すると定義されている。鎖長及び分子量と共に、脱アセチル化度(DDA)は、キトサンの化学的及び物理的挙動の鍵となる決定因子である。キトサンのグルコサミンモノマー単位は、以下の構造:
【0006】
【0007】
(式中、nは、オリゴマー又はポリマー中に存在するモノマー単位の数である)
を有する。
【0008】
各モノマー単位は、化学的改質のためにすぐ利用できる3つの部位--C-2第一級アミン、C-3第二級OH、及びC-6第一級OHを有する。これらの部位は、生物医学的用途のためのキトサンの容易な改質及び目的に合わせた適合(カスタマイズ)を可能にする。加えて、キトサンは、生体適合性、生分解性であり、かつ、その分解生成物は、炎症反応を引き起こさない。
【0009】
キトサンは、医療分野において、例えば薬物送達用のビヒクル、組織工学、抗トロンボゲン剤として、骨再生において、且つ抗菌性材料として、広範な用途を有する。加えて、キトサンは、化粧料、排水処理において、及び飼料及び食物添加剤として使用されてきた。キトサンの他の用途は、例えば、Vunainら, Fundamentals of Chitosan for Biomedical Applications (Chitosan Based Biomaterials: Volume 1: Fundamentals, Jennings, J.A., Bumgardner, J.D. ed., pp. 3-30 (2017)に記載されている。
【0010】
抗菌性キトサンは当技術分野で周知であり、かつ、最近、見直されている(Freitasら, An Overview of Current Knowledge on the Properties, Synthesis and Applications of Quaternary Chitosan Derivatives, Polymers, vol. 12 (12), p. 2878 (2020))。改質されていないキトサンは抗菌性が弱いが、第四級アンモニウム部分の導入が、キトサンの抗菌力とその水溶性の両方を増強する。キトサンは、中性から塩基性の水性条件において不溶性である。
【0011】
最も一般的な四級化には、N,N,N-トリメチルキトサンとそれに続くHTCCとして一般に公知であるN-[(2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニウム)プロピル]が関与する。ホスホニウム及びピリジニウムの各塩の挿入もまた、ますます一般的になってきている。
【0012】
増強された可溶性及び抗菌力に加えて、粘膜接着性及び透過性が、ポリマー又はオリゴマー鎖上の恒久的なカチオン部位の導入によって著しく改善される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Duttaら(Chitin and chitosan: chemistry, properties and applications, J. Sci. Ind. Res., vol. 63, pp. 20-31 (2004))
【非特許文献2】Vunainら, Fundamentals of Chitosan for Biomedical Applications (Chitosan Based Biomaterials: Volume 1: Fundamentals, Jennings, J.A., Bumgardner, J.D. ed., pp. 3-30 (2017)
【非特許文献3】Freitasら, An Overview of Current Knowledge on the Properties, Synthesis and Applications of Quaternary Chitosan Derivatives, Polymers, vol. 12 (12), p. 2878 (2020)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願の発明の態様は、四級化されたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む組成物の構築であり、これは、ドーパミン又は類似体の結合によって更に改質されて3つの部分からなるコンジュゲート(three-part conjugate)を形成する。
【0015】
第2の本発明の態様は、金属、それらの合金、酸化物、又はナノ粒子の形態への結合/それらとの反応を通しての、これらのコンジュゲートの更なる改質、及び前記の結合をもたらす方法である。
【0016】
ドーパミンを堆積(deosition)させるために現在使用されている方法は、塩基性条件下で水性緩衝液中に長時間浸漬させることを要することが多い。この用途の例示の実施形態は、二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む組成物を対象としており、そのコンジュゲートは、キトサン分子の利用できる反応部位のうちの少なくともいくつか(-NH2、-OH)に結合された第四級アンモニウム、ホスホニウム、又はピリジニウム化合物であり、それに、ドーパミン又はその類似体の、キトサン分子の残存する利用可能な部位のうちの少なくともいくつかへの結合が続く。
【0017】
本出願の別の例示の実施形態は、そのペンダント(側鎖)のカテコール(又は類似体)基を介した、表面へのこれらの二重に改質されたキトサンの結合によって得られる組成物を対象とする。そのような表面には、金属、その合金、酸化物、又はナノ粒子、セラミックス、メタロイド、ポリマーなどが含まれる。
【0018】
<まとめ>
本出願者らは、塩基性又は中性条件下、水性又は有機媒質中での、迅速且つ効率的なアノード堆積方法、及びドーパミンを含むペンダントのカテコール、改質されたカテコール及び類似体を有するキトサンコンジュゲートの、金属及び金属酸化物表面への結合を開発してきた。
【0019】
アノード堆積は、ドーパミンの結合及び重合を促進させるために使用される化学的酸化剤の添加と同様に、ドーパミン(DP)/表面の界面において、絶え間ない酸化的環境をもたらす。この方法は、DP/表面の界面において、より低い電圧及び酸化条件と還元条件の間のサイクルを用いる他の電着技術とは対照的な位置付けにある。
【0020】
加えて、キトサンコンジュゲートは、オーブン中で、又はマイクロ波照射を通じて、又は誘導によるいずれかの従来技術によって適用される熱によって、金属及び/又は金属酸化物表面に結合される。
【0021】
光グラフト化もまた、そのペンダント(懸垂基)のカテコール又は類似基を介して、四級化された二重に改質されたキトサンコンジュゲートを結合するために利用されてきた。
【0022】
文献、行為、又は知識の項目が参照される又は議論される本明細書において、この参照又は検討は、文献、行為、若しくは知識の項目、又はその任意の組合せが、本出願の優先日において、公開されて入手可能である、公知である、通常の一般知識の部分である、若しくはそうでなければ適用可能な法規定下で先行技術を構成する、又はそれに本明細書が関わる任意の課題を解消しようとする試みと関係あるものと知られると認めるものではない。
【0023】
本発明の開示を容易にするために従来技術の一定の側面が論じられている一方、本出願の発明者は、これらの技術的側面を決して否認せず、且つ請求項に係る本発明が、本明細書で論じている従来の技術的側面のうちの1つ又は複数を包含する又は含みうることが意図されている。
【0024】
公知の表面官能化方法のどれも、本明細書のキトサン及び/又は改質されたキトサンを、ドーパミン又はドーパミン誘導体リンカーを介して金属表面に結合させて、それらを殺細菌性にする方法を含んでいない。医療装置の領域において、溶出システムは潜在的に全身的な作用を有し、且つ細菌生物に耐性を発生させるおそれがある一方で、結合された抗菌性表面はこれらの欠点を有していないと考えられる。非医療用表面については、結合された表面処理は、潜在的により長く持続し、通常適用される洗浄に対して、より長い有効性の窓を有する。この出願は、生体適合性である高い可能性を有しうる天然物に基づく抗菌性表面を作り出すための独特な組成物及び迅速かつ好都合な方法を記載している。更に、本明細書に記載されているポリドーパミンポリマーを改質する方法は、ドーパミンの特定の誘導体の使用、又は特定の予め合成した化合物、及びさまざまな工程の実施を必要としない。
【0025】
このような改質された表面は多様な用途において使用することができ、それには医療用装置がふくまれるがこれに限定されない。
【0026】
本出願の発明の一側面は、ドーパミン、ポリドーパミン、及び関連する化合物を金属表面に結合させるための従来の方法に伴う欠点に対処することを目的とする。本出願はまた、改質された表面を備えた新規のコーティング及び新規の装置にも対処している。
【0027】
例示の一実施形態は、カテコール又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液中(緩衝液にはリン酸緩衝液が含まれるがこれに限定されない)のカテコール又はその誘導体の水性溶液を調製する工程;金属加工片の少なくとも一部をカテコール又はその誘導体の水性溶液中に浸漬させる工程;電圧又はUV照射を作業継続時間のあいだ供給して、官能化された金属加工片を得る工程;及び、四級化されたキトサンを、官能化された金属加工片に化学結合させる工程、を含む。
【0028】
別の例示の実施形態は、カテコール又はその誘導体を含む四級化されたキトサン二重コンジュゲートの結合によって改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液中(緩衝液にはリン酸緩衝液が含まれるがこれに限定されない)のキトサン又はその誘導体の水性溶液を調製する工程;金属加工片の少なくとも一部をキトサン又はその誘導体の水性溶液中に浸漬させる工程;電圧又はUV照射を作業継続時間のあいだ供給して、官能化された金属加工片を得る工程;化学結合させた改質されたキトサンを金属加工片に付与する工程、を含む。
【0029】
金属の表面に結合されたカテコール又はその誘導体を有する改質された金属表面を調製する別の実施形態では、その方法は、塩基の存在下で、カテコール又はその誘導体の非水性プロトン性溶媒中の溶液を調製する工程;金属加工片の少なくとも一部を前記のカテコール又はその誘導体の溶液中に浸漬させる工程;電圧又はUV照射を作業継続時間のあいだ供給して、官能化された金属加工片を得る工程;及び、官能化された金属加工片に改質されたキトサンを化学結合させる工程、を含む。
【0030】
金属の表面に結合したカテコール又はその誘導体を有する改質された金属表面を調製する別の実施形態では、その方法は、塩基の存在下で、二重にコンジュゲートされたキトサン又はその誘導体の非水性プロトン性溶媒中の溶液を調製する工程;金属加工片の少なくとも一部をキトサン又はその誘導体の溶液中に浸漬させる工程;電圧又はUV照射を作業時間のあいだ供給して、金属加工片に化学結合した改質されたキトサンをもつ官能化された金属加工片を得る工程、を含む。
【0031】
別の例示の実施形態では、上記の非水性プロトン性溶媒は、アルコールを含むが、これに限定されない任意の有機溶媒を含む。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどから選択されうるがこれらに限定されない。
【0032】
別の例示の実施形態では、上記の塩基は、有機溶媒と非混和性である任意の有機塩基であってもよい。
【0033】
別の例示の実施形態では、塩基は、ピペリジンであってもよい。
【0034】
別の例示の実施形態では、水性又は非水性溶液中で二重にコンジュゲートされたキトサンの薄層によって被われた金属加工片は、紫外線又は熱に曝されて、官能化された金属加工片を形成することができる。
【0035】
別の例示の実施形態では、本方法は、紫外光への曝露(光グラフト化)を含み、この場合、非水性プロトン性溶液中で二重にコンジュゲートされたキトサンの薄層によって被われた金属加工片は、約100~約400nmの波長(λmax)を有するUV照射に曝される。別の例示の実施形態では、波長は、約100nm、約125nm、約150nm、約175nm、約200nm、約225nm、約250nm、約251nm、約252nm、約253nm、約254nm、約255nm、約256nm、約257nm、約258nm、約259nm、約260nm、約275nm、約300nm、約325nm、約350nm、約375nm、約400nm、又は約100nm~約400nmの間の任意の波長であってもよい。
【0036】
別の例示の実施形態では、光グラフト化は、約0.1秒~10分の時間の間実施することができる。別の例示の実施形態では、光グラフト化は、約0.1秒、約0.5秒、約1秒、約5秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、約30秒、約35秒、約40秒、約45秒、約50秒、約55秒、約60秒、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、又は約0.1秒~約10分の間の任意の時間実施することができる。
【0037】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体は、官能化された金属加工片の表面に共有結合される。
【0038】
別の例示の実施形態では、ドーパミン又はその誘導体で官能化された金属加工片の表面は、ジイミダゾール、その誘導体、又は分子、オリゴマー、又はポリマーを互いにカップリングする、結合させる、若しくは付着させるように設計され且つ使用される任意の試薬の添加によって活性化される。
【0039】
別の例示の実施形態では、カップリング剤は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)である。
【0040】
別の例示の実施形態では、金属が結合したキトサン-ドーパミン又は類似のコンジュゲートは、第四級アンモニウム、ピリジニウム、又はホスホニウム化合物の結合によってさらに改質される。
【0041】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体には、任意の置換又は非置換のカテコールが含まれ、これは、以下の式で表すことができる:
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のそれぞれは、独立に、チオール、第一級アミン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、又はカルボキサミドからなる群から選択され、但し条件としてR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、aは0~10の範囲であり、bは0~10の範囲であり、但し条件としてa又はbは少なくとも1である)。
カテコール又はその誘導体には、カテコールアミン類、フェノールアルデヒド類、チロソールのヒドロキシル、メトキシ、及び混合メトキシ-ヒドロキシ誘導体を含めた、チロソール及びその誘導体、ヒドロキシル化チラミン、ドーパミン及びその誘導体を含むチラミン及びその誘導体などが含まれるがこれらに限定されない。別の例示の実施形態では、フェノールが挙げられるがこれらに限定されない置換と非置換との両方の他のヒドロキシル含有化合物を、リンカー(linker)として使用することができる。別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体は、ドーパミン又はポリドーパミンである。別の例示の実施形態では、ドーパミン誘導体は、メトキシ誘導体、4-エタノール誘導体などであってもよい。
【0042】
別の例示の実施形態では、二重にコンジュゲートされたキトサンは、以下の式によって表すことができる:
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4のそれぞれは、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アセチル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択され、但し条件としてR
1、R
2、R
3、R
4のうちの少なくとも1つは水素原子ではない)。
上記式中、nは、キトサン鎖中のモノマー単位の数を表し、約1~約500の範囲であることができる。C-2窒素は、(キトサンについての定義により)少なくとも50%脱アセチル化されていなければならず、かつ、各モノマー単位は、2つのコンジュゲート部分のうちの1つに結合されうる。
【0043】
コンジュゲートのための最も結合しやすい点は、脱アセチル化されたアミンのところであり、C-3及びC-5ヒドロキシルにおける第2の結合はあまりない。二重にコンジュゲートされたキトサン中、1つのコンジュゲートが、利用可能な脱アシル化モノマーのサブセットと反応することになり、その一方で、第2のコンジュゲートが、残存しているコンジュゲートされていない脱アシル化されたモノマーのサブセットと反応することになる。
【0044】
キトサンは、約50%~約100%、約55%~約95%、約60%~約90%、約65%~約85%、約70%~約80%、又は約50%~約100%の間の任意のパーセンテージのアセチル基が除去されうるように、且つ更には、R1~R4基のうちの少なくとも2つが変性されうるように、脱アセチル化反応を受けることができる。
【0045】
R1~R4基のうちの少なくとも1つは、第四級アンモニウム、ホスホニウム又はピリジニウム官能基を有してもよく、且つキトサンは、約1%~約99%の間、約5%~約90%の間、約10%~約80%の間、約15%~約75%の間、約20%~約70%の間、約25%~約65%の間、約30%~約60%の間、約35%~約55%の間、約40%~約50%の間の四級化、又は約1%~約99%の間の任意のパーセント割合の四級化を有してもよい。
【0046】
R1~R4基のうちの少なくとも1つは、基材上への将来の固定化のためのペンダント(懸垂基)のジヒドロキシベンジル基をもたらすカテコール類似体であってもよい。
【0047】
下記式を有する二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーを含む組成物:
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のそれぞれは、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択され、但し条件としてR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、nは、コンジュゲートのために利用可能なモノマー単位の数を表し、かつ、約1~約500であり、また、mは、第2のコンジュゲートのために利用可能なモノマー単位の数を表し、かつ、約1~約500である)。
【0048】
特定の実施形態では、R1~R6のうちの少なくとも2つは、独立に、チオール、アルカン、アルケン、アルキン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキサミド、尿素、及びカテコール又はその類似体からなる群から選択される。
【0049】
特定の実施形態では、R1~R6のうちの少なくとも1つは、第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム又は第四級ピリジニウム官能基からなる群から選択され、かつ、二重にコンジュゲートされたキトサンの四級化度は、約1%~約99%である。
【0050】
キトサンは、約50%~約100%、約55%~約95%、約60%~約90%、約65%~約85%、約70%~約80%、又は約50%~約100%の間の任意のパーセント割合のアセチル基が除去されうるように脱アセチル化反応を受けてもよく、且つ更に、R1~R4基のうちの少なくとも2つは修飾(変性)されてもよい。
【0051】
R1~R6基のうちの少なくとも1つは、第四級アンモニウム、ホスホニウム、又はピリジニウム官能基を有していてもよく、キトサンは、約1%~約99%の間、約5%~約90%の間、約10%~約80%の間、約15%~約75%の間、約20%~約70%の間、約25%~約65%の間、約30%~約60%の間、約35%~約55%の間、約40%~約50%の間、又は約1%~約99%の間の任意のパーセンテージの四級化をしていてもよい。
【0052】
R1~R6基のうちの少なくとも1つは、基材上への将来可能な固定化のためのペンダント(ぶら下がり基)のジヒドロキシベンジル基をもたらすカテコール類似体であってもよい。
【0053】
R1~R6基のうちの少なくとも1つは、二重にコンジュゲートされたキトサンを基材上に固定化するためのペンダントのジヒドロキシベンジル基をもたらす、カテコール又はその誘導体又はその類似体である。
【0054】
特定の実施形態では、二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーは、下記式で表される:
【化5】
(式中、カテコール及び第四級アンモニウム部分は、二重にコンジュゲートされたキトサンポリマー又はオリゴマーの利用可能なC-2アミン結合位置のあいだでランダムに分布され、q及びnのそれぞれは、約1~約500の範囲である)。
である。
【0055】
別の例示的な実施形態では、上記の金属は非鉄金属である。別の例示的な実施形態では、金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、Co、W、Mg、並びにその合金、酸化物、及びナノ粒子の各形態から選択されるがこれらに限定されない。別の例示の実施形態では、金属は、チタン、チタン酸化物、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム酸化物、及びアルミニウム合金から選択されるがこれらに限定されない。別の例示的な実施形態では、金属はステンレス鋼である。
【0056】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体の溶液の濃度は、約0.1質量%~約20質量%である。別の例示的な実施形態では、カテコール又はその誘導体の溶液の濃度は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、又は約0.1%~約20%の間の任意のパーセント割合である。
【0057】
別の例示の実施形態では、印加される電圧は、約1V~約100Vの範囲でありうる。別の例示の実施形態では、印加される電圧は、約1V、約2V、約3V、約4V、約5V、約6V、約7V、約8V、約9V、約10V、約11V、約12V、約13V、約14V、約15V、約16V、約17V、約18V、約19V、約20V、約21V、約22V、約23V、約24V、約25V、約26V、約27V、約28V、約29V、約30V、約31V、約32V、約33V、約34V、約35V、約36V、約37V、約38V、約39V、約40V、約41V、約42V、約43V、約44V、約45V、約46V、約47V、約48V、約49V、約50V、約51V、約52V、約53V、約54V、約55V、約56V、約57V、約58V、約59V、約60V、約61V、約62V、約63V、約64V、約65V、約66V、約67V、約68V、約69V、約70V、約71V、約72V、約73V、約74V、約75V、約76V、約77V、約78V、約79V、約80V、約81V、約82V、約83V、約84V、約85V、約86V、約87V、約88V、約89V、約90V、約91V、約92V、約93V、約94V、約95V、約96V、約97V、約98V、約99V、約100V、又は約1V~約100Vの間の任意の電圧でありうる。
【0058】
別の例示の実施形態では、その時間は、約1秒~約60分である。別の例示の実施形態では、その時間は、約1秒、約5秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、約30秒、約35秒、約40秒、約45秒、約50秒、約55秒、約60秒、約65秒、約70秒、約75秒、約80秒、約85秒、約90秒、約95秒、約100秒、約105秒、約110秒、約115秒、約120秒、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、19分、約20分、約21分、約22分、約23分、約24分、約25分、約26分、約27分、約28分、約29分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、又は約1秒~約60分の間の任意の時間である。
【0059】
別の例示の実施形態では、水性緩衝液のpHは、約6.0~約9.5、約6.0~約6.5、約6.5~約7.0、約7.0~約7.5、約7.5~約8.0、約8.0、約8.5、約9、約9.5、又は約6.0~約9.5の間の任意のpHである。
【0060】
別の例示の実施形態では、ドーパミン溶液は、約1質量%~約50質量%のドーパミンをエタノール又はメタノール中の約1質量%~約20質量%のピペリジンと共に、好ましくは約5質量%~約45質量%のドーパミンを約5質量~約15質量%のピペリジンと共に、約10質量%~約40質量%のドーパミンを約10質量%~約15質量%のピペリジンと共に、又はこれらの範囲の端点を含むこれらの範囲内の約1質量%~約50質量%の任意の量のドーパミンの任意の量を約1質量~20質量%のピペリジンと共に含む。
【0061】
別の例示の実施形態では、紫外線照射が、約1分~約60分、約5分~約55分、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、約25分~約35分、又は約1分~約60分の間の任意の時間(これらの範囲の端点を含む)、又は約3時間未満の任意の時間行われる。
【0062】
別の例示の実施形態では、熱が、約30分~約1時間、約1時間~約2時間、約2時間~約4時間、約4時間~約6時間、約6時間~約8時間、約8時間~約10時間、又は30分から10時間の間の任意の時間(これらの範囲の端点を含む)、加えられる。
【0063】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン溶液は、オリゴ-キトサンを含む。
【0064】
別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンは、第四級アンモニウム、ホスホニウム又はピリジニウムの化合物の添加によって、C-2アミンにおいて変性されてもよく、変性された(改質された)キトサンは、ドーパミンの結合(ポリドーパミン)によって、C-6ヒドロキシル、C-3ヒドロキシル、又はそれより前には反応をしていないC-2アミンにおいて更に変性されてもよく、変性を通じてオリゴ-キトサンは表面上に固定される。
【0065】
別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンは、第四級アンモニウム、ホスホニウム、又はピリジニウムの化合物の添加によって、C-2アミンにおいて変性されてもよく、変性された(改質された)キトサンは、3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸の結合によって、C-6ヒドロキシル、C-3ヒドロキシル、又はそれより前には反応していないC-2アミンにおいて更に変性されてもよく、変性を通じてオリゴ-キトサンは表面上に固定される。
【0066】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン溶液は、第四級ホスホニウム化合物でグルコサミンモノマーにおいて変性されたオリゴ-キトサンを含む。
【0067】
別の例示的な実施形態では、オリゴ-キトサンを含む改質されたキトサン溶液は、四級化されたホスホニウムコンジュゲートで、利用できる部位において変性され、コンジュゲートの程度は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~90%、約90%~約100%、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0068】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン溶液は、ドーパミン又はその類似体で、利用可能な残存部位において更に変性された、四級化されたオリゴ-キトサンを含み、コンジュゲートの程度は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~80%、約80%~約90%、約90%~約100%、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0069】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン溶液は、第四級アンモニウム化合物で、グルコサミンモノマーにおいて変性されたオリゴ-キトサンを含む。
【0070】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン溶液は、第四級アンモニウム、ホスホニウム、又はピリジニウム基で、利用可能な部位において変性されたオリゴ-キトサンを含み、利用可能な部位のパーセント割合、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約5~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、25%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約100%、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0071】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン溶液は、ドーパミン又はその類似体で更に改質された四級化されたキトサンを含み、ドーパミン又はその類似体は、コンジュゲートのために利用可能な残存部位において、改質されたキトサンにコンジュゲートされ、(第四級アンモニウム、ホスホニウム、又はピリジニウムの各基にコンジュゲートされていない)利用可能な部位のパーセント割合は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約5~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、25%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約100%、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0072】
別の例示的な実施形態では、オリゴ-キトサン又は改質されたオリゴ-キトサンは、長さ約5モノマー、長さ約5~約10モノマー、長さ約10~約20モノマー、長さ約20~約30モノマー、長さ約30~約40モノマー、長さ約40~約50モノマー、長さ約50~約60モノマー、長さ約60~約70モノマー、長さ約70~約80モノマー、長さ約80~約90モノマー、長さ90~約100モノマー、長さ約100~約200モノマー、長さ約200~約300モノマー、長さ約300~約400モノマー、長さ約400~約500モノマー、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0073】
別の例示も実施形態では、本方法は、改質されたキトサン含有溶液を調製する方法を更に含む。
【0074】
別の例示の実施形態では、改質されたキトサン含有溶液を調製する方法は、(a)酢酸及び過酸化水素中のキトサンの水性溶液を調製する工程;(b)キトサンの水性溶液を加熱する工程;(c)キトサンの水性溶液のpHをpH=9に調整する工程;及び、(d)オリゴ-キトサン生成物を回収する工程、を含む。
【0075】
別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンの重量平均分子量は、約100~約5000である。別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンの重量平均分子量は、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000、又は約100~約5000の間の任意の重量平均分子量である。
【0076】
別の例示の実施形態では、キトサンの水性溶液のpHは、約7.5~約10である。別の例示の実施形態では、キトサンの水性溶液のpHは、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、又は約7.5~約10の間の任意のpHである。
【0077】
別の例示の実施形態では、四級化されたキトサンは、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの添加によって調製され、恒久的な第四級アンモニウム官能性を可能にすることができる。或いは、四級化された分子は、キトサンモノマーのC-2アミンに結合することができ、それに代わる分子を、更なる官能性のために同じ場所に結合させることができ、異なる結合のための化学が、キトサンとリンカーの間などで用いられうる。
【0078】
別の例示の実施形態では、四級化されたキトサンは、ドーパミン又はその類似体とのコンジュゲートによって、更に改質(変性)される。
【0079】
別の例示の実施形態では、ドーパミン又はその類似体が結合した四級化されたキトサンは、金属、その合金、酸化物、又はナノ粒子の各形態に結合される。
【0080】
別の例示の実施形態では、金属、合金、酸化物、又はナノ粒子に結合したドーパミン又はその類似体が結合したキトサン又はオリゴ-キトサンは、第四級アンモニウム、ピリジニウム、又はホスホニウム化合物とのコンジュゲートすることによって四級化されうる。
【0081】
別の例示の実施形態では、本明細書に記載している溶液のいずれかが、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びこれらの混合物から選択される溶媒を含んでもよいが、溶媒はこれらに限定されない。
【0082】
本開示の他の例示の実施形態の詳細は、以下の詳細な説明及び添付の図面に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、例示の実施形態によるドーパミン/ポリドーパミンで改質された金属表面の赤外スペクトルである。
【
図2】
図2は、紫外線照射の適用によって結合されたドーパミン/ポリドーパミンで改質された金属表面の赤外スペクトルである。
【
図3】
図3は、例示の実施形態による、キトサンで改質された表面の赤外スペクトルである。
【
図4】
図4は、二重にコンジュゲートされたキトサンオリゴマーの赤外スペクトルである。
【
図5】
図5は、本出願の実験例の結果に基づく細菌の種の数に対する力価データである。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本開示の利点及び特徴、並びにそれを達成する方法は、添付の図面を参照して、以下に記載される例示の実施形態からより明白に理解される。しかしながら、本開示は、以下の例示の実施形態に限定されず、異なる形態において実施することができる。例示の実施形態は、本開示の開示を完全にするためにのみ、且つ本開示が関連する当業者に、本発明のカテゴリーを完全に提供するためにのみ提供され、本開示は、任意の添付した請求項及びその組合せによって定義される。
【0085】
添付の図面に示されている形状、サイズ、比、角度、数などは、単なる例示であり、本開示はそれらに限定されない。参照の数値などは、本明細書にわたって、一般に要素などを示す。更に、以下の記載において、周知の関連技術の詳細な説明は、本開示の主題を不必要に不明瞭にすることを避けるために省略されうる。本明細書で使用される「を含む(including)」、「を有する(having)」、「を含む(comprising)」及び「からなる(consisting of)」等の用語は、一般に、これら用語が、用語「のみ(only)」と併せて使用されていない限り、他の成分が含まれることを可能にすることが意図されている。単数形への任意の参照は、別段の記載が明白に記述されていない限り、複数形も含むことができる。
【0086】
成分は、明示の記述がない場合であっても、通常の誤差範囲を含むと解釈される。例えば、本明細書に記載されている実施形態に関して、最大でプラス又はマイナス10パーセント(±10%)の誤差範囲は、通常の誤差範囲であると考えられる。
【0087】
本明細書で使用されるとき、単数形(外国語明細書中の「a」、「an」及び「the」)は、文脈が別段のことを明らかに示していない限り、複数形も含むことが意図されている。更に、「又は」の使用は、文脈が別段のことを明らかに示していない限り、「及び/又は」を含むことを意図している。
【0088】
2つの部分の間の位置関係が、「上に(on)」、「上に(above)」、「下に(below)」、及び「隣に(next)」等の用語を使用して説明されているとき、これらの用語が「すぐ近くに」又は「直接に」の用語と併せて使用されていない限り、1つ又は複数の部分が2つの部分の間に位置していてもよい。
【0089】
要素又は層が、別の要素又は層の「上に(on)」あると言及されているとき、その要素又は層は、他の要素又は層の上に直接あってもよく、又は介在する要素又は層が存在してもよい。
【0090】
用語「第1の」、「第2の」などが、多様な成分を説明するのに使用されているが、これらの成分(構成)はこれらの用語によって制限を受けない。これらの用語は、単に1つの成分(構成)を他の成分(構成)から区別するために使用され、第1の成分(構成)は、本開示の技術概念において第2の成分(構成)でありうる。
【0091】
図面中に例示されている各構成のサイズ及び厚さは、説明に好都合であるように表されており、且つ図面は必ずしも縮尺通りではない。
【0092】
数値範囲が本明細書で示されているところでは常に、示されている範囲内の任意の引用された数値(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の示された数及び第2の示された数「を範囲とする/の間を範囲とする」という句、及び第1の示された数から第2の示された数「まで」「を範囲とする/から範囲とする」という句は、本明細書では交換可能に使用され、且つ第1の示された数及び第2の示された数、並びにその間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。
【0093】
本明細書で開示されている寸法及び値は、述べられている正確な数値に厳密に限定されるものとは理解されない。むしろ、別段の規定がない限り、それぞれのこのような寸法は、述べられた値と、その値を囲んでいる機能的に等しい範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「10%」として開示された寸法は、「約10%」を意味すること意図されている。
【0094】
用語「約」の後にくる数及び/又は数値範囲は、その述べられた範囲に限定されると考えられるべきではない。むしろ、用語「約」の後にくる数及び/又は数値範囲は、対象とする発明にしたがう構成のために当業者によって受け入れられる範囲を含むと理解されるべきである。
【0095】
本開示の様々な実施形態の特徴は、部分的に又は完全に互いに結合させる又は組み合わせることができ、様々な技術なやり方において連結させる及び操作することができ、これらの実施形態は、互いに独立に又は互いに連携させて実施することができる。
【0096】
これ以降、本開示の種々の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に記載する。
【0097】
例示の一実施形態は、カテコール又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、カテコール又はその誘導体の緩衝液又は有機溶媒中の水性又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;塩基性pHに調整する又は塩基を添加する工程;金属加工片の少なくとも一部をカテコール又はその誘導体の溶液中に浸漬させる工程;前記の加工片が、処理時間のあいだ、電気化学回路中のアノードであるように電圧を印加して、官能化された金属加工片を得る工程;及び、その官能化された金属加工片に、改質されたキトサンを化学的に結合させる工程、を含む。
【0098】
例示的な一実施形態は、二重に改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液又は有機溶媒中のキトサン又はその誘導体の水性又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;塩基性pHに調整する又は塩基を添加する工程;金属加工片の少なくとも一部を、二重に改質されたキトサン又はその誘導体の溶液中に浸漬させる工程;加工片が、処理時間中、電気化学回路中のアノードであるように電圧を印加して、官能化された金属加工片を得る工程、を含む。
【0099】
例示の実施形態は、カテコール又はその誘導体で改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液又は有機溶媒中の、改質されたキトサン又はその誘導体の水性又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;塩基性pHに調整する又は塩基を添加する工程;金属加工片の少なくとも一部を、改質されたキトサン又はその誘導体の溶液中に浸漬させる工程;加工片が、処理時間中、電気化学回路中のアノードであるように電圧を印加して、官能化された金属加工片を得る工程;及び第四級アンモニウム、ピリジニウム又はホスホニウム分子を化学結合させて、官能化された金属加工片を得る工程、を含む。
【0100】
別の例示の実施形態は、カテコール又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液又は有機溶媒中のカテコール又はその誘導体の水性又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;塩基性pHに調整する又は塩基を添加する工程;金属加工片の表面を被うように噴霧する工程;加工片を、加工片への化学結合を確実にするように処理時間中、紫外光に曝露させて、官能化された金属加工片を作り出す工程;及び、改質されたキトサンを、官能化された金属加工片に化学結合させる工程、を含む。
【0101】
別の例示の実施形態は、二重に改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液又は有機溶媒中のキトサン又はその誘導体の水性又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;塩基性pHに調整する又は塩基を添加する工程;金属加工片の表面を被うように噴霧する工程;及び、加工片を、加工片への化学的結合を保証するような時間のあいだ、紫外光に曝露して、官能化された金属加工片を作り出す工程、を含む。
【0102】
別の例示の実施形態は、カテコール又は誘導体で改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、緩衝液又は有機溶媒中の改質されたキトサン又はその誘導体の水性又は非水性プロトン性溶液を調製する工程;塩基性pHに調整する又は塩基を添加する工程;金属加工片の表面を被うように噴霧する工程;加工片を、加工片への化学的結合を確実にする期間のあいだ、紫外光に曝露して、官能化された金属加工片を作り出す工程;及び、第四級アンモニウム、ピリジニウム又はホスホニウム分子を、官能化された金属加工片に化学的に結合させる工程、を含む。
【0103】
別の例示の実施形態は、改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、第四級アンモニウム、ピリジニウム又はホスホニウム化合物、及びカテコール又はその誘導体が結合された、二重に改質された(変性された)キトサンの水性又は非水性溶液を調製する工程;前記の溶液を金属表面上にそれを被うように噴霧する工程;四級化されたキトサンコンジュゲートの、表面への化学結合を生じさせるのに十分な時間及び温度で、オーブン中、ベーキングする工程、を含む。
【0104】
別の例示の実施形態は、改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、第四級アンモニウム、ピリジニウム又はホスホニウム化合物、及びカテコール又はその誘導体が結合された、二重に改質された(変性された)キトサンの水性又は非水性溶液を調製する工程;前記の溶液を金属表面上にそれを被うように噴霧する工程;四級化されたキトサンコンジュゲートを、表面への化学結合を生じさせるのに十分な時間の間、表面を紫外光に曝露する工程、を含む。
【0105】
別の例示の実施形態は、改質された(変性された)キトサン又はその誘導体を金属の表面に結合させることによって、改質された金属表面を調製する方法であり、その方法は、第四級アンモニウム、ピリジニウム又はホスホニウム化合物、及びカテコール又はその誘導体が結合された、二重に改質された(変性された)キトサンの水性又は非水性溶液を調製する工程;金属加工片を溶液中に浸漬させる工程;それを電気化学的セルのアノードと接触するように置く工程;カソードを含浸させ、金属加工片へのキトサンコンジュゲートの化学結合を達成するのに十分な電圧を印加する工程、を含む。
【0106】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体は、官能化された金属加工片の表面に共有結合される。
【0107】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体で官能化された加工片は、当業者に公知であるカップリング剤の添加によって活性化されて、炭素-炭素結合の形成、炭素-酸素結合の形成、炭素-硫黄結合の形成、炭素-窒素結合の形成、炭素-リン結合の形成、炭素-ケイ素結合の形成などを達成し、且つ更なる官能性化学的実体、例えば改質された(変性された)キトサンオリゴマー及び改質されていない(変性されていない)キトサンオリゴマーの結合又は固定化を達成する。
【0108】
別の例示の実施形態では、完全に形成されたキトサンコンジュゲートは、金属、合金、酸化物、又はナノ粒子の各表面に結合されている。
【0109】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体には、任意の置換又は非置換のカテコールが含まれ、それは、以下の式で表すことができる:
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のそれぞれは、独立に、チオール、第一級アミン、第二級アミン、ニトリル、アルデヒド、イミダゾール、アジド、ハライド、ポリヘキサメチレンジチオカーボネート、水素、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、又はカルボキサミドからなる群から選択され、但し条件としてR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、aは0~10の範囲であり、かつ、bは0~10の範囲であり、但し条件としてa又はbは少なくとも1である)。
カテコール又はその誘導体には、カテコールアミン、フェノールアルデヒド、チロソールのヒドロキシル、メトキシ、及び混合メトキシ-ヒドロキシ誘導体を含めた、チロソール及びその誘導体、ヒドロキシル化チラミン、ドーパミン及びその誘導体を含めたチラミン及びその誘導体などが挙げられるがこれらに限定されない。別の例示の実施形態では、置換された又は非置換のフェノール類を含むがそれらに限定されないその他のヒドロキシを有する化合物をリンカーとして使用しうる。別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体は、ドーパミン又はポリドーパミンである。別の例示の実施形態では、ドーパミン誘導体は、メトキシ誘導体、4-エタノール誘導体などであってもよい。
【0110】
別の例示の実施形態では、金属は非鉄金属であり、そのそれぞれの酸化物、合金、及びナノ粒子の各形態を含む。金属には、チタン並びにその酸化物及び合金、アルミニウム並びにその酸化物及び合金、バナジウム並びにその酸化物及び合金、ジルコニウム並びにその酸化物及び合金、ハフニウム並びにその酸化物及び合金、ニオビウム並びにその酸化物及び合金、タンタル並びにその酸化物及び合金、タングステン並びにその酸化物及び合金、マグネシウム並びにその酸化物及び合金、ステンレス鋼、コバルトクロームなどが挙げられるがこれらに限定されない。しかしながら、そこにカテコール又はその誘導体が結合される材料は限定されることなく、且つポリマー、生物学的ポリマー、セラミックスなどが含まれる。
【0111】
別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体の溶液の濃度は、約0.1質量%~約20質量%である。別の例示の実施形態では、カテコール又はその誘導体の溶液の濃度は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、19%、約20%、又は約0.1%~約20%の間の任意のパーセント率である。
【0112】
別の例示の実施形態では、印加される電圧は、約1V~約100Vの範囲でありうる。別の例示の実施形態では、印加される電圧は、約1V、約2V、約3V、約4V、約5V、約6V、約7V、約8V、約9V、約10V、約11V、約12V、約13V、約14V、約15V、約16V、約17V、約18V、約19V、約20V、約21V、約22V、約23V、約24V、約25V、約26V、約27V、約28V、約29V、約30V、約31V、約32V、約33V、約34V、約35V、約36V、約37V、約38V、約39V、約40V、約41V、約42V、約43V、約44V、約45V、約46V、約47V、約48V、約49V、約50V、約51V、約52V、約53V、約54V、約55V、約56V、約57V、約58V、約59V、約60V、約61V、約62V、約63V、約64V、約65V、約66V、約67V、約68V、約69V、約70V、約71V、約72V、約73V、約74V、約75V、約76V、約77V、約78V、約79V、約80V、約81V、約82V、約83V、約84V、約85V、約86V、約87V、約88V、約89V、約90V、約91V、約92V、約93V、約94V、約95V、約96V、約97V、約98V、約99V、約100V、又は約1V~約100Vの間の任意の電圧でありうる。
【0113】
別の例示の実施形態では、電圧は、約1秒~約60分のあいだ印加される。別の例示の実施形態では、その継続時間は、約1秒、約5秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、約30秒、約35秒、約40秒、約45秒、約50秒、約55秒、約60秒、約65秒、約70秒、約75秒、約80秒、約85秒、約90秒、約95秒、約100秒、約105秒、約110秒、約115秒、約120秒、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、又は約1秒~約60分の間の任意の時間である。
【0114】
別の例示の実施形態では、緩衝液のpHは、約7.5、約8.0、約8.5、約9、約9.5、又は約7.5~約9.5の間の任意のpHである。
【0115】
別の例示の実施形態では、本方法は、官能化された表面を清浄にすること及び乾燥させることを更に含む。
【0116】
別の例示の実施形態では、本方法は、官能化された表面を、真空下、又は不活性若しくは非反応性雰囲気下で乾燥させることを更に含む。別の例示の実施形態では、不活性雰囲気は、窒素又はアルゴンである。
【0117】
別の例示的な実施形態では、イミダゾール溶液中の官能化された金属加工片は、約1時間~約10時間の間撹拌される。別の例示の実施形態では、撹拌は、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間の間、又は約1時間~10時間の間の任意の継続時間、実施される。
【0118】
別の例示の実施形態では、改質された(変性された)キトサンの溶液は、オリゴ-キトサンを含む。
【0119】
別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンは、第四級アンモニウム、ピリジニウム又はホスホニウム化合物の添加によって、そのモノマー単位のC-2アミンにおいて改質する(変性する)ことができ、改質された(変性された)キトサンは、ドーパミン(ポリドーパミン)又はその類似体の結合によってC-6ヒドロキシル、C-3ヒドロキシル、又はC-2アミンにおいて更に改質(変性)することができ、この改質(変性)を通じてそれは表面に固定化される。
【0120】
別の実施形態では、改質(変性)されたキトサンの溶液は、第四級ホスホニウム化合物で、グルコサミンモノマーにおいて改質(変性)されたオリゴ-キトサンを含む。
【0121】
別の実施形態では、改質されたキトサンの溶液は、第四級ホスホニウムコンジュゲートで、利用可能な部位において改質(変性)されたオリゴ-キトサンを含み、コンジュゲートの程度は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約5~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、25%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約100%、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0122】
別の実施形態では、改質(変性)されたキトサンの溶液は、第四級アンモニウム、ホスホニウム又はピリジニウムの各化合物で、グルコサミンモノマーにおいて改質(変性)されたオリゴ-キトサンを含む。
【0123】
別の実施形態では、改質されたキトサンの溶液は、第四級アンモニウム、ホスホニウム又はピリジニウムの各コンジュゲートで、利用可能な部位において改質(変性)されたオリゴ-キトサンを含み、その程度は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約5~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、25%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約100%、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0124】
別の実施形態では、オリゴ-キトサン又は改質(変性)されたオリゴ-キトサンは、長さ約5モノマー、長さ約5~約10モノマー、長さ約10~約20モノマー、長さ約20~約30モノマー、長さ約30~約40モノマー、長さ約40~約50モノマー、長さ約50~約60モノマー、長さ約60~約70モノマー、長さ約70~約80モノマー、長さ約80~約90モノマー、長さ約90~約100モノマー、長さ約100~約200モノマー、長さ約200~約300モノマー、長さ約300~約400モノマー、長さ約400~約500モノマー、又はこれらの範囲内の任意の値(これらの範囲の端点を含む)である。
【0125】
別の例示の実施形態では、本方法は、改質(変性)されたキトサンを含有する溶液を調製する方法を更に含む。
【0126】
別の例示の実施形態では、改質(変性)されたキトサン含有溶液を調製する方法は、(a)酢酸及び過酸化水素中のキトサンの水性溶液を調製する工程;(b)キトサンの水性溶液を加熱する工程;(c)キトサンの水性溶液のpHをpH=9に調整する工程;及び、(d)オリゴ-キトサン生成物を回収する工程を含む。
【0127】
別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンの重量平均分子量は、約100~約5000である。別の例示の実施形態では、オリゴ-キトサンの重量平均分子量は、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000、又は約100~約5000の間の任意の重量平均分子量である。
【0128】
別の例示の実施形態では、キトサンの水性溶液のpHは、約7.5~約10である。別の例示の実施形態では、キトサンの水性溶液のpHは、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、又は約7.5~約10の間の任意のpHである。
【0129】
別の例示の実施形態では、四級化されたキトサンは、恒久的な第四級アンモニウム官能性を可能にするために、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの添加によって調製されうる。代わりの四級化された分子は、キトサンモノマーのC-2アミン、C-3ヒドロキシル、はC-6ヒドロキシルに結合させることができ;代わりの分子は、更なる官能性のために同じ場所に結合させることができ;異なる結合の化学を使って、改質(変性)されたオリゴ-キトサンを、官能化された表面などへ固定化することができる。
【0130】
別の例示の実施形態では、本明細書に記載される溶液のうちのいずれかは、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びこれらの混合物から選択される溶媒を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0131】
カテコールは、追加のヒドロキシル基を含むフェノール誘導体であり、以下の化学構造を有する:
【化7】
【0132】
ドーパミンは、置換基としてエチルアミン基を有する置換されたカテコールであり、以下の化学構造:
【化8】
を有する。
【0133】
カテコール、及びドーパミン等のカテコール誘導体は、環酸素と共有結合を形成することによって、金属表面に結合する。次いで、ドーパミンのぶら下がっているアミン分枝が、ドーパミン重合に関与することによって表面上にポリドーパミンを形成して、結合された分子を安定化することができる。いくつかのアミンが、表面官能性を付与するために所望の分子と更に反応されるように利用できる。このような分子の有用性は、それらが、更に改質(変性)されうる官能基を含むことができることである。このことは、これらの分子の遠位端上へのさまざまな化学(種)の導入を可能にする。そのため、目的に合わせた化学の導入に続くこれらの分子の共有結合は、前記の化学(種)の、表面上への共有結合と同等である。
【0134】
このような官能基には、置換又は非置換のヒドロキシル、置換又は非置換のアミン、置換又は非置換のエステル、置換又は非置換のチオール、置換又は非置換のエーテル、置換又は非置換のホスホン酸エステル、置換又は非置換のホスフィン酸エステル、置換又は非置換のリン酸エステル、置換又は非置換のカルボキシレート、置換又は非置換のアクリレート、置換又は非置換のスルホネート、置換又は非置換のスルフィネート、置換又は非置換のスルホキシド、置換又は非置換のシラン、置換又は非置換のシロキサン、置換又は非置換のポリジメチルシロキサン(PDMS)、置換又は非置換のアミノエステル、置換又は非置換のペプチド、天然と合成との両方の、置換又は非置換のオリゴペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、置換又は非置換の糖、置換又は非置換の多糖などが挙げられるがこれらに限定されず、且つこれらの基は更に改質(変性)されうる。官能基は、エステル、例えばメタクリレート、ウレタン、尿素、アルキルハライドなどであってもよい。
【0135】
環境に対する表面の化学的提示物を操作することは、非処理の表面と比べたときにその表面の挙動を変える。例えば、表面は、疎水性、親水性、疎油性、潤滑性、抗菌性などであるように作ることができる。表面はまた、接着性の有効性を増強する又は減弱させる、のいずれかであるように作ることができる。更に、タンパク質及びタンパク質画分、アミノ酸(天然と合成との両方)及びペプチドは、所望の物理的、化学的又は生物学的応答を増強する又は減弱させるように結合させることができる。
【0136】
本出願の例示の実施形態に記載されている通り、上首尾の表面改質は、リンカー及び結合化学の選択に左右される。金属表面と非金属表面との両方についてのいくつかの結合戦略が開発されてきたものの、焦点は、選択したリンカーとしての、改質(変性)されたカテコール、第一級ドーパミン又は3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸の使用にある。カテコール又はその誘導体は、そこにそれが適用されうる表面の偏在性のために且つ更なる改質のその容易性のため、魅力的である。
【0137】
いくつかの実施形態では、ドーパミン又はポリドーパミンは金属表面に共有結合され、これは、更なる官能化のために表面上で利用可能なドーパミン分子のアミン部分を残す。ウレタン又は尿素の形成は、改質(変性)されたキトサンをポリドーパミンに結合させるための結合化学として選ばれた。ドーパミンモノマーに結合したアミンのうちの多くがドーパミン重合に関与するとはいえ、十分な数が、更なる表面改質のために利用可能なままで残る。本明細書に記載されている試験では、メチレンクロリド中のカルボニルジイミダゾール(CDI)が活性化化学のために選択され、ドーパミンの活性化アミンが、改質(変性)されたキトサンのC-6ヒドロキシル又は反応していないC-2アミンとカップリングすることを可能にする。そのほかに、より環境に優しいカップリング化学を使用することができる。
【0138】
本方法における最終工程は、CDIで活性化されたポリドーパミン表面への、改質(変性)されたキトサンの結合である。改質(変性)されたキトサン(HTCC)は、CDIで活性化されたポリドーパミン表面にカップリングされて、その表面に抗菌特性を付与する。最も結合しやすい位置は、HTCCの形成において四級化することにはならなかったC-2アミンであることが示されている。これが、独特な構成の抗菌性表面の構築を完成させる。
【0139】
本明細書に記載されている改質方法の第1の模式的表示は、以下の通りである。
【0140】
【0141】
上記の説明図において、nは、約1~約500の数の、四級化されたモノマー単位の数を表し、かつ、mは、約1~約500の、ドーパミン表面に結合している残存する脱アセチル化された四級化されていないモノマー単位の数を表す。
【0142】
上記の第1の模式的表示は明解さのために提供しており、規則的パターン中のドーパミン結合点と交互に起こる四級化された位置に限定されると解釈されるべきではなく、四級化された、ドーパミンに結合された、アセチル化された部位と脱アセチル化された部位との間にランダムに分布されたキトサンモノマーのC-2アミンの異なる化学的環境を含んでいてもよい。
【0143】
第2の模式的表示は、本出願の別の例示の実施形態を更に説明している。
【0144】
【0145】
上記の模式的表示において、nは、約1~約500の、四級化されたモノマー単位の数を表し、mは、約1~約500の、コンジュゲートのために利用可能な、四級化されていない脱アセチル化されたモノマー単位の数を表し、かつ、qは、約1~約500のカテコール由来のモノマー単位の数を表している。
【0146】
上記の第2の模式的表示は明解さのために提供されており、規則的パターン中のケイ皮酸結合点と交互に配置された四級化された位置に限定されると解釈されるべきではなく、四級化されたケイ皮酸が結合したアセチル化された部位と脱アセチル化された部位との間にランダムに分布するキトサンモノマーのC-2アミンのさまざまな化学的環境を含んでもいてもよい。
【0147】
この例では、完全に形成された二重にコンジュゲートされたキトサンは、金属表面上への固定化の前に合成される。カテコール-ペンダントHTCC(カテコールがぶら下がったHTCC)は単離され、この方法の都合により必要とされる添加まで貯蔵することができる。HTCCは、上に記載したように且つ文献にあるように合成することができる。第2のコンジュゲートは、周知のEDC/NHSカップリングによって、HTCCを3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸にカップリングして、アミド結合を形成する。
【0148】
金属表面への固定化は、先に記載した方法、すなわち、ベーキング、アノード処理(陽極酸化処理)、又は光グラフト化によって達成することができる。
【0149】
次いで、調製した加工片は、赤外(IR)分光法、接触角、X線光電子分光法(XPS)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、原子間力顕微鏡(AFM)、飛行時間型二次イオン質量分析法(Tof-SIMS)、摩擦係数(COF)試験、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない標準の分析技術を用いて分析される。
【実施例】
【0150】
連結基としてドーパミンを使用する金属表面の官能化を、以下の例において説明する。本明細書に記載している方法は、いくつかの生物に対して、優れた生体適合性を維持しながら、対照に対して5log超の死滅をもたらす非常に強力な表面をもたらす。
【0151】
<例1:ドーパミンでの金属表面の改質>
ドーパミンのpH=8.5リン酸緩衝液中の1質量%水性溶液を調製し、清浄で市販されている純粋な(CP)チタン片を緩衝液中に浸漬させた。各片をDC電力供給のアノード末端と接触するように配置した。10Vの電圧を5分間印加した。次いで、その片を取り出し、水中で15分間、超音波処理した。超音波処理プロセスを繰り返し、それに続いてその片を大量の水中で濯いだ。これに続いて、エタノール中で5分間、更に超音波処理し、続いてエタノール中で濯いだ。その片を乾燥させ、その表面を、赤外(IR)分光法を用いて調べた。上記の方法を用いて改質した表面のIRスペクトルを
図1に示す。
【0152】
図1中のスペクトルは、約1600cm
-1及び1490cm
-1近辺を中心とする特徴的な幅広いピークを示し、これはC=C伸縮振動とN=C伸縮振動との組合せを示している。幅広いピークは、多くの異なる化学的環境中に存在する振動する化学種を示し、ポリマーを示している。約1428cm
-1及び約1268cm
-1におけるピークは、C=C官能基及びCNC官能基を示している。
【0153】
<例2:チタン表面上へのドーパミンの光グラフト化>
ドーパミン(10mg/ml)のリン酸緩衝液(pH=8.5)中の溶液を調製した。その溶液を、清浄な乾燥したチタン片の表面上に、その表面を被うように噴霧した。次いで、その片をUV照射(ラムダmax=254nm)に5分間曝し、続いて、噴霧した溶液を更に2回塗布し、曝した。次いで、処理した片を濯ぎ、水中で15分間、超音波処理し、続いてEtOHで濯いだ。それらをアルゴン下で乾燥させた。処理したクーポンの赤外スペクトルを
図2に示しており、これは、ポリドーパミンが表面上に存在することを立証していた。
【0154】
図2中のスペクトルは、約1600cm
-1及び1490cm
-1あたりを中心とする特徴的な幅広いピークを示し、これはC=C伸縮振動とN=C伸縮振動との組合せを示している。幅広いピークは、多くの異なる化学的環境中に存在する振動する化学種を示し、ポリマーを示している。約1443cm
-1におけるピークは、C=C官能基及びCNC官能基を示している。
【0155】
<例3:ドーパミンで改質された金属表面のCDI活性化>
ドーパミンが表面に結合した金属片を、250mlのCH2Cl2及び3gのCDIの溶液中に浸漬させ、室温にて、撹拌速度400rpm~500rpmにおいて4時間撹拌した。その片をCH2Cl2/CDI溶液から取り出し、アセトンで濯ぎ、続いてアセトン中で10分間、超音波処理した。濯ぐプロセスを繰り返した。次いで、その片を真空下で乾燥させた。
【0156】
<例4:キトサンオリゴマーの結合>
この方法における最終工程は、CDIで活性化したポリドーパミン表面への、改質(変性)したキトサンの結合である。酢酸/過酸化水素の溶液中で加熱することによってキトサン(平均MW=50000、dd≧90%)を解重合することによって、変性したキトサン(N-4又はHTCC)を内製する。解重合反応の生成物をpH=9の溶液から析出させ、洗浄し、単離した。単離した生成物は、約2000の平均MWを有するオリゴ-キトサンである。単離したオリゴ-キトサンを、グルコサミンモノマーのC-2アミンとグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドとの間の反応によって四級化して、変性したキトサン生成物を得た。次いで、この生成物を、CDIで活性化されたポリドーパミン表面にカップリングさせる。
【0157】
DMSO中のN-4の1質量%溶液を調製した。CDIで活性化されたポリドーパミン表面を有する片をアレイ中に平らに置き、N-4/DMSO溶液で噴霧し、100℃において約10分間加熱した。その片をひっくり返し、次いでこのプロセスを繰り返した。全体のプロセスを、各側について少なくとも2回の噴霧/加熱サイクルを繰り返した。最終の噴霧工程の後、改質した片を、約100℃にて約4時間加熱し、続いてエタノール中で10分間、超音波処理した。変性されたキトサンの結合後の表面の特性を、赤外(IR)分光法で確認した。得られたIRスペクトルを
図3に示す。
【0158】
図3のスペクトルは、キトサン及びオリゴ-キトサンのピークの特徴の多くを示す。3277cm
-1の周りの幅広いピークはN-H伸長及びO-H伸縮を示し、C-H伸縮は、2869cm
-1の周りの幅広いピークが示している。残存しているアセチルカルボニル伸縮は1662cm
-1及び1376cm
-1において示されている。1476cm
-1は、第四級アンモニウム中央のメチル基の変角を示している。他の特徴的ピークが1151cm
-1及び1085cm
-1において見られ、それぞれC-O-C伸縮及びC-O伸縮に相当する。
【0159】
<例5:二重にコンジュゲートしたキトサンの形成>
3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸(1mmol)を無水DMSO中に溶かした。次に、EDC(1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)及びNHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)をそれぞれ、ジヒドロキシヒドロケイ皮酸のカルボキシル基に対して1.1及び1:2のモル比で前記の溶液に添加した(EDC及びNHSは開封前に室温に平衡化させた)。その混合物を室温において3時間撹拌した。その混合物を1%の四級化したキトサン(N-4又はHTCC)の溶液(w/v,300mg/30mLのDMSO)中に撹拌しながら滴下により添加した。反応混合物を室温において暗所で一晩撹拌した。反応の終了時に、褐色の沈殿物を遠心分離によって分離し、アセトン及びDMSOで3回洗浄し、透析チューブMWCO=1kDa(Biodesign,New York)で水に対して透析し、凍結乾燥させた。その溶液をアセトンで洗浄した。ドーパミンで四級化したキトサン(HyCnQ)を、真空下、25℃において72時間乾燥させた。ドーパミンで四級化したキトサンを、1H-NMR(Bruker AC500 Spectrophotometer,ドイツ国)及びフーリエ変換赤外(FT-IR)分光法によって確認した。
【0160】
図4は、HyCnQオリゴマーの特徴的なIRスペクトルを示している。3200cm
-1の周りの幅広いピークは、存在する多くのヒドロキシルのO-H伸縮に対応する。2900cm
-1あたりを中心とするピークは、C-H伸縮に対応する。ケイ皮酸の結合によるアミドの形成は、1733cm
-1におけるC=O伸縮の存在によって実証されている。また、1671cm
-1における第二級アミンの変角振動、1530cm
-1における芳香族C=C伸縮、並びに1488cm
-1における第四級中央を示すメチルの変角振動ピークが存在する。
【0161】
<例6:HyCnQの表面結合>
ドーパミンで四級化されたキトサンの溶液(HyCnQ)(0.1g/10mLのDMSO)を金属片上に1回噴霧した(およそ0.001g)。その金属片をプレート上に水平に置いて、コーティングの厚さの均一性を向上させ、次にオーブン中で100℃において20分間反応させた。その金属片をオーブンから取り出し、さらに1回噴霧し、真空中でさらに4時間加熱した。金属片の場合には、上に記載したように各側(両側)を処理した。金属片をEtOH中で5分間、超音波処理をし、真空中で乾燥させた。
【0162】
<試験例>
表面に結合したキトサンコンジュゲートの抗菌特性を、以下の試験例によって特性分析をした。
【0163】
細菌接種物の調製:トリプシン大豆培養液(TSB)10mLを、試験生物の単一のコロニーでインキュベートし、振動インキュベーター中250rpmにおいて35±2℃において夜通しインキュベートした。翌日、夜通しの培養物を3mLのTSB中に継代培養し、35±2℃及び250rpmにおいて、600nmにおける光学密度が0.5から0.7の間に到達するまでインキュベートした。その継代培養物を、滅菌したTSBでOD600=0.3に希釈し、次に滅菌した均衡緩衝液(0.3mM KH2PO4,pH7.2)でOD600=0.01に更に希釈した。
【0164】
試験片(クーポン)の調製:試験片を、例1~4で記載したようにして調製した。対照及び試験片を、70%EtOH中で10分間滅菌し、層流フード中で10分間乾燥させ、24ウェルプレートのウェルに移した。
【0165】
<実験例1 - 小容量に改変したASTM E2149>
対照及び試験片を、500μLの細菌接種物で、35±2℃及び250rpmにて1時間インキュベートした。均衡緩衝液で、且つMiles and Misra法を用いて段階希釈を実施することによって細菌濃度を決定し、1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(CFU)の数を決定した。全ての試験を3通り行い、平均CFU/mLにおけるlog減少を以下の式によって決定した:
Log減少=log10(対照CFU/mL)-log10(試験CFU/mL)。
【0166】
表1は、黄色ブドウ球菌(staph aureus)(MSSA)に対しての、対照に対する処理済み表面の力価を列挙している。表1に示すように、上に記載したASTM2149において、非処理の試験片は平均して2.3×106CFU/mlへと戻り、MSSAに対して、処理した試験片はゼロの細菌に戻り、5+logの減少又は99.999%より良好であった。
【0167】
【0168】
図5は、細菌パネルに対する、結合したドーパミン-N4の力価を示している。MST20-001を、多種の細菌種に対して、実験例1において概要を述べたのと同じ方法で評価(アッセイ)した。MST20-001に対して評価したさまざまな種類を
図5の左に挙げ、下の尺度(スケール)は、対照(非処理の試験片)に対するlog減少を追跡している。例えば、上の例において、処理したサンプルはゼロ細菌に戻り、それに対して対照においては2.34E+6cfu/mlであった。最初の接種を考慮に入れると、これは約5logの殺菌と解釈され、これは処理された試験片に帰することができる。これらのデータは、グラフの一番上を横切る(黄色ブドウ球菌(S.aureus)についての)バーに対応する。データのバーの右にある矢印は、ゼロ細菌が、処理したサンプルによって戻されたものであること、したがって、その処理の力価が少なくとも5logであったことを示している。
【0169】
類似する方法において、MRSA、S.エピデルミディス(S.epidermidis)及びL.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)は、2149の評価において全てゼロ細菌に戻った。E.ファエカリス(E.faecalis)については、力価は、2log未満、又は90から99パーセントの間で有効であった。E.ファエキウム(E.Faecium)は3log超又は99.9%超減少し、その一方で緑膿菌(P.aeruginosa)及びS.エンテリカ(S.enterica)は99.9%又は3log減少した。
【0170】
<実験例2:オートクレーブ試験>
対照及び試験片をChex-All IIインスタント封入型滅菌パウチ中に置き、121℃において30分間オートクレーブ加熱した(Model HA-300MII、株式会社平山製作所、東京、日本国)。各サイクルの後、より多くのサイクルでオートクレーブ加熱することになった試験片を約10分間冷却させ、その後、新しい滅菌パウチに移した。前に記載したASTM E2149プロトコルに従った。その結果を表2に示しており、表2は、この出願の実験例の結果に基づく滅菌試験データを列挙している。
【0171】
【0172】
表1及び表2中のデータからわかるように、オートクレーブ処理していない試験片(上)とオートクレーブ処理した試験片との間の力価において低下はなく、これは、コーティングの良好な安定性を実証している。
【0173】
試験片の調製:試験片を例5~6に記載しているようにして調製した。対照及び試験片を、70%EtOH中、10分間滅菌し、層流フード中で10分間乾燥させ、24ウェルプレートのウェルに移した。
【0174】
<実験例3-小容量に改変したASTM E2149>
対照及び固定化されたHyCnQの試験片を、細菌接種物500μLで、35±2℃及び250rpmにおいて1時間インキュベートした。細菌濃度を、均衡緩衝液を用いた段階希釈を実施することによって、且つマイルス&ミスラ法を用いることによって決定することで、1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(CFU)の数を決定した。全ての試験を3通り行い、平均CFU/mLにおけるlog減少を以下の式により決定した:
Log減少=log10(対照CFU/mL)-log10(試験CFU/mL)。
【0175】
表3には、黄色ブドウ球菌(staph aureus)に対する、処理された表面対対照の力価を挙げている。表1中に示すように、上に記載したASTM 2149において、非処理の試験片は平均して2.3×106CFU/mlに戻り、MSSAに抗して処理された試験片はゼロ細菌に戻り、6+logの減少、又は99.9999%よりも良好であった。
【0176】
【0177】
本開示の例示の実施形態を、添付の例及び図面を参照して詳細に記載してきたが、本開示はそれらに限定されるものではなく、本開示の技術的概念から逸脱することなく多くの異なる形態において具体化することができる。したがって、本開示の例示的な実施形態は、例示目的のためにのみ提供され、本開示の技術的概念を限定することは意図していない。本開示の保護範囲は、添付した請求項及びその組合せに基づいて解釈されるべきであり、その等価の範囲内の全ての技術的概念は本開示の範囲内に落とし込まれていると解釈されるべきである。多様な変更が、上記の方法及び組成物において、本発明の範囲から逸脱することなくなされうるので、上記記載中に含まれる全ての事柄は例示であり、限定的な意味ではないと解釈されることを意図している。本明細書の「特許請求の範囲」内の他の実施形態は、本明細書で開示される本発明の明細書又は実践を考慮して当業者には明らかになる。本明細書が例示的のみであると考えられ、本発明の範囲及び趣旨は「特許請求の範囲」によって示されることを意図している。
【0178】
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【国際調査報告】