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特表2023-535088創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法
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  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図1a
  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図1b
  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図2
  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図3
  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図4
  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図5
  • 特表-創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス、ならびに微生物の不活性化のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20230807BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20230807BHJP
   A61L 2/02 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61N1/40
A61L2/24
A61L2/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504720
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2021070244
(87)【国際公開番号】W WO2022018074
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】20187657.0
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】523025001
【氏名又は名称】オーラフ・タイズン
(71)【出願人】
【識別番号】523025012
【氏名又は名称】ヨハンネス・モグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ゲーアハルト・ヒンターコプフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼフ・スルプ
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼフ・コラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヒンターコプフ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C058
【Fターム(参考)】
4C053LL20
4C058AA28
4C058BB02
4C058CC02
4C058DD13
(57)【要約】
本発明は、創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置のサポートおよび/または微生物の不活性化のためのデバイス(10)に関する。デバイスは、電気エネルギー貯蔵デバイス(16)と、電気励起パルスを提供するためのパルス発生器(17)と、出力側(28)で高周波数電気パルス(200)を提供するためのトランスフォーマ(26)であって、トランスフォーマ(26)の入力側(27)の第1の接続はパルス発生器(17)に接続されている、トランスフォーマと、電気的に絶縁性の物質から作られた閉じた本体(102)と、本体(102)の内部に配置された電極(110)とを含む処置具(100)とを含む。ガスまたはガス混合物が本体(102)の内部に受けられ、処置具(100)は、電気励起の事象時にガスを放電するように設計される。処置具(100)の第1の端部(103)は、トランスフォーマ(26)の出力側(28)の第1の接続部に連結するように設計される。さらに、処置具(100)の第2の端部(104)は、表面および/または生体組織に接触するように設計され、トランスフォーマ(26)の出力側(28)の第2の接続部は、トランスフォーマ(26)の入力側(27)の第2の接続部およびハウジングシールド(13)に接続される。ハウジングシールド(13)は、デバイスのハウジングによって外部環境から電気的に絶縁され、このため、接地されていない質量として設計され、トランスフォーマ(26)およびパルス発生器(17)は、高周波数電気パルス(200)が10kHz~100kHzの範囲の周波数および100kHz~400kHzのパルス繰り返し数を有するように設計される。本発明は、更に、そのようなデバイス(10)が設けられる微生物の不活性化のための方法に関し、デバイス(10)の処置具(100)は高周波数電気パルスを用いて励起される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の治癒のためのパルス電界を用いた処置の支援および/または微生物の不活性化のための装置(10)であって、
電気エネルギー貯蔵ユニット(16)と、
電気励起パルスを提供するためのパルス発生器(17)と、
出力側(28)で無線周波数電気パルス(200)を提供するためのトランスフォーマ(26)であって、該トランスフォーマ(26)の入力側(27)の第1の端子はパルス発生器(17)に接続されている、トランスフォーマと、
電気的絶縁材料から作られた閉じた本体(102)と、該本体(102)の内部に配置された電極(110)とを含む処置具(100)であって、ガスまたはガス混合物が本体(102)の内部に受けられ、処置具(100)は、電気励起に応じたガス放電のために構成され、処置具(100)の第1の端部(103)は、トランスフォーマ(26)の出力側(28)の第1の端子に結合するように構成される、処置具と、
を含み、
該処置具(100)の第2の端部(104)は、表面および/または生体組織の接触のために構成され、
トランスフォーマ(26)の出力側(28)の第2の端子は、トランスフォーマ(26)の入力側(27)の第2の端子、およびハウジングシールド(13)に接続され、該ハウジングシールド(13)は、装置のハウジングによって、周囲から電気的に絶縁され、したがって浮動接地として構成され、トランスフォーマ(26)およびパルス発生器(17)は、無線周波数電気パルス(200)が、
10kHz~100kHzの範囲の周波数、および
100Hz~400Hzのパルス繰り返し数、
を有するように構成され、
処置具は、生成された無線周波数電気パルス、またはその電界を、処置される物体または処置される有機もしくは生体物質に伝導するように構成されることを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
安全デバイス(20)を更に含み、該安全デバイスは、トランスフォーマ(26)の出力側(28)で無線周波数電気パルス(200)の電圧および/もしくは周波数を測定し、無線周波数電気パルス(200)の電圧および/もしくは周波数が所定の限界値を超えている場合および/もしくは下回っている場合にトランスフォーマ(26)へのエネルギー供給を中断するように構成され、ならびに/または電力供給システムへの装置(10)の電気接続を検出し、そのような接続が存在する場合、トランスフォーマ(26)へのエネルギー供給を中断するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
トランスフォーマ(26)は、パルス駆動型トランスフォーマとして形成され、無線周波数電気パルス(200)を提供するために励起パルス(210)を用いて励起され、励起パルス(210)の繰り返し数は、無線周波数電気パルスのパルス繰り返し数に対応することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
パルス駆動型トランスフォーマの励起は、二次コイルとの関連で一次コイルの配置をシフトさせることによって調整されることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
無線周波数電気パルスの電圧および/または周波数は、パルス駆動型トランスフォーマの一次側で誘導された電圧の測定によって、パルス駆動型トランスフォーマの励起休止中に実行されることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
処置具(100)は第1の端部(103)に電極(110)のための電流フィードスルーを有し、該電流フィードスルーは、プラスチックから作られたエンドキャップ(112)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
エンドキャップ(112)のプラスチックは、繊維で補強されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
処置具(100)の本体(102)は、0.001mbar~7mbarの範囲の圧力を有する希ガス(124)または希ガス混合物を充填されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項9】
処置具(100)の第1の端部(103)の隣りに第1の直径Dを有する接続領域(106)が存在し、処置具(100)の第2の端部(103)の隣りに第2の直径Dを有するバルブ領域(108)が存在し、第2の直径Dは第1の直径Dよりも大きく、バルブ領域(108)は、本体(102)の全長の少なくとも3分の1を占めることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項10】
エンドキャップ(112)は、処置具(100)の接続領域(106)を少なくとも部分的に封入するスリーブ領域(114)を有し、処置具(100)は、クランプデバイス(32)によってスリーブ領域(114)上に保持されることを特徴とする、請求項5または6または9のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項11】
処置具(100)は、110℃~140℃の範囲の温度の蒸気でオートクレーブするように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項12】
微生物の不活性化のための方法であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(10)が設けられ、該装置(10)の処置具(100)は、無線周波数電気パルスを用いて励起され、処置具(100)は、微生物が不活性化されることを意図される物体の表面上に適用され、それによって、処置具(100)の本体(102)が表面に接触し、処置具(100)は物体の表面上を案内され、ハウジングシールド(13)は、物体とトランスフォーマ(26)の第2の端子(27b、28b)との間に導電性接続が確立されないように物体から電気的に絶縁されることを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
物体は、医療器具および有機物質から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有機物質は皮膚または組織試料であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
物体の内部の微生物も不活性化されることを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷の治癒の支援および/または微生物の不活性化のための装置に関し、この装置は、電気エネルギー貯蔵ユニットと、無線周波数電気パルスを提供するためのトランスフォーマと、電気的に絶縁性の物質から作られた本体と、本体の内部に配置された電極とを含む処置具とを含み、本体の内部にガスまたはガス混合物が受けられ、処置具は、電気励起に応じてガス放電を行うように構成される。本発明は、更に、微生物の不活性化のための方法に関し、上記の装置が設けられ装置の処置具は無線周波数電気パルスを用いて励起される。
【背景技術】
【0002】
医学またはおよび他の技術分野において、医療装置等の物体、または食品もしくは組織試料等の生体物質を消毒または殺菌することが必要である。殺菌の場合、通常、生きている微生物の数を6桁低減することが必要とされる。消毒の場合、通常、5桁の低減が必要とされる。
【0003】
人間または動物の処置において、感染を回避し、創傷の治癒を促進するために、皮膚の表面または開いた創傷等の組織を処置、特に消毒することも必要である場合がある。消毒および殺菌のための様々な方法が知られている。殺菌される物体が温度および湿度の上昇に耐え得る場合、オートクレーブにおいて殺菌を行うことができる。オートクレーブにおいて、物体は、例えば131℃の高温蒸気に当てられる。
【0004】
しかしながら、消毒される物体または物質の構造に依拠して、これらのオートクレーブが可能でない場合がある。生体物質は、熱の作用によって破壊され、医用機器において用いられる様々な物質も、オートクレーブにおいて一般的な条件に関して十分安定していない。
【0005】
消毒中に僅かな加熱しか生じない更なる消毒方法も従来技術から既知である。
【0006】
特許文献1は、食品が、5kV/cm~25kV/cmの電界強度を有する強力電界、および繰り返し率が0.1Hz~100Hzで1μs~100μsのパルス持続時間のパルスに当てられる、保存液体食品のための保存方法および対応する装置について記載している。この場合、電界は、2つの電極の間に設定され、食品は、2つの電極間の処置ゾーン内に供給される。
【0007】
特許文献2は、低圧プラズマを用いた生体組織の処置のための装置を開示している。装置は、電気エネルギー供給部と、無線周波数電界を生成するためのトランスフォーマと、トランスフォーマに電気的に結合することができるプローブと、トランスフォーマを制御するための制御デバイスとを含む。トランスフォーマハウジングは、好ましくはハンドルとして形成され、これによって、装置の人間工学的扱いが可能になり、エネルギー供給部はトランスフォーマハウジングの外側に配置される。プローブは、500Pa~最大3000Paの圧力を有する希ガスまたは希ガス混合物を充填される。10kHz~50kHzの周波数、および約250μsのパルス長において1.8kV~35kVの電圧でトランスフォーマを用いて生成された電気パルスによるプローブの励起を通じて、プローブと、処置される生体組織との間に低圧プラズマが生成され、プローブは、この目的で組織から1mm~50mmの距離に位置する。この場合、生体組織は、電圧源の接地に接続される接地電極を形成する。
【0008】
特許文献2から既知の装置を用いて、人間または動物、特に皮膚表面または開いた創傷を処置することができる。しかしながら、組織の消毒を超えて拡大する創傷治癒の促進は達成されていない。
【0009】
特許文献3は、非熱的大気圧プラズマを生成する装置について記載している。この装置は金属ハウジングを含み、金属ハウジングは、プラズマ発生領域における接地電極として機能し、金属ハウジング内で、RF発生器、無線周波数に適した閉じたフェライト磁心を有するRF共鳴コイル、ガスノズルとして機能する絶縁本体、および絶縁本体内に装着される高電圧電極が、プロセスガスがそれらの周りをまたはそれらを通って流れるように配置される。約1MHzの無線周波数が励起のために用いられる。
【0010】
特許文献4は、吸入のためのコールドプラズマを提供するための装置について記載している。生体適合性ガスは、この目的で装置に取り入れられ、誘電バリア放電に曝される。装置は、口の開口部内に挿入することができるプラズマ放電を生成するためのモジュールである、患者が装着するマスクを有する。
【0011】
特許文献5は、生体組織に対し非熱的プラズマを用いるための装置について記載している。この目的で、プラズマは、組織を加熱することなく組織の近傍に生成されることが意図される。距離(プラズマ間隙)は、この場合、コールドプラズマを生成するために、装置と処置される患者との間に維持される。
【0012】
低圧プラズマを用いて組織を処置するための既知の装置および方法での不利点は、処置具またはプローブと組織との間の距離を厳密に維持することが困難であることである。更に、既知の方法は表面的にのみ機能し、組織の深さにおいて効果が達成されない。高電界パルスに基づく既知の装置および方法では、2つの電極が必要とされ、それらの間に、パルス状の高電界を有する処置ゾーンが形成されることが問題である。特に、これにより、物体の大きなエリアの処置が大幅に困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,695,472号
【特許文献2】WO2014/094931A1
【特許文献3】WO2011/015538
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/068226A1号
【特許文献5】WO2006/116252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、微生物の不活性化が組織の深さにおいても達成される装置および方法を提供することである。更に、本発明の目的は、創傷の治癒を支援することができる装置を提供することである。特に、創傷の治癒を支援するために、創傷の治癒の4つの固有段階の刺激を行うことが目的である。また、本発明の目的は処置を実行するために接地または第2の電極を必要としない装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
創傷の治癒の支援および/または微生物の不活性化のための装置が提案される。この装置は、電気エネルギー貯蔵ユニットと、電気励起パルスを提供するためのパルス発生器と、出力側において無線周波数電気パルスを提供するためのトランスフォーマとを含む。この場合、トランスフォーマの入力側の第1の端子はパルス発生器に接続される。装置は、電気的絶縁材料から作られた閉じた本体と、本体の内部に配置された電極とを含む処置具を含み、ガスまたはガス混合物が本体の内部に受けられ、処置具は、電気励起に応じたガス放電のために構成され、処置具の第1の端部は、トランスフォーマの出力側の第1の端子に結合するように構成される。
【0016】
処置具の第2の端部が、表面および/または生体組織の接触のために構成され、トランスフォーマの出力側の第2の端子が、トランスフォーマの入力側の第2の端子、およびハウジングシールドに接続され、ハウジングシールドが、装置のハウジングによって、周囲から電気的に絶縁され、したがって浮動接地として構成され、トランスフォーマおよびパルス発生器が、無線周波数電気パルスが10kHz~100kHzの範囲の周波数を有するように構成されることが更に提供される。無線周波数電気パルスは、更に好ましくは、1μs~1000μsの範囲のパルス幅を有する。無線周波数電気パルスのパルス繰り返し数は、好ましくは、100Hz~400Hzの範囲にある。パルス-休止比は、好ましくは、0.01%~1%の範囲にある。処置具は、この場合、生成された無線周波数電気パルス、またはその電界を、処置される物体または処置される有機もしくは生体物質に伝導するように構成される。
【0017】
動作中、電気パルスは、処置具の内部のガス放電を励起し、閉じた本体の内部は適切なガスを充填される。誘電変位電流が処置具の周囲で生成され、処置具が物体のまたは有機物質の表面と接触する事象では、誘電変位電流は触れた位置に集中する。この場合、装置の動作中、処置具、または処置具の表面上に存在する誘電変位電流が、装置の唯一の外部への電気接続であることがもたらされる。特に、閉じた本体に受けられたガスは、ガス放電が処置具の内部に制約されるように周囲から封止される。
【0018】
特に、装置は接地を有さず、処置具を介してのみ処置される物体に接触する。処置される物体と装置との間の更なる電気的接続は意図されず、装置の電気的絶縁ハウジングによって阻止される。
【0019】
無線周波数電気パルスを生成するために、装置は、低電圧を有する電気励起パルスを高電圧に変換するトランスフォーマを含む。高電圧は、トランスフォーマの出力側で提供され、出力側は、処置具に電気的に結合される。低電圧電気励起パルスは、例えばパルス発生器または制御ユニットによって、トランスフォーマの入力側の駆動信号として提供される。
【0020】
好ましくは、トランスフォーマは、磁心を有するパルス駆動型共鳴トランスフォーマとして形成される。そのようなパルス駆動型共鳴トランスフォーマにおいて、一次コイルおよび二次コイルは、共通磁心に配置される。磁心は、この場合、好ましくはフェライト磁心として形成される。無線周波数電気パルスを提供するために、パルス駆動型共鳴トランスフォーマは、電圧パルスで励起され、電気励起パルスの繰り返し数は、無線周波数電気パルスのパルス繰り返し数に対応する。
【0021】
磁心を有するパルス駆動型共鳴トランスフォーマにおいて、トランスフォーマの入力側を表す一次コイル、およびトランスフォーマの出力側を表す二次コイルが磁心を介して互いに磁気的に結合される。この場合の二次コイルは、一次コイルよりも高い巻数を有する。一次コイルは、例えば、2~100の範囲の巻数、好ましくは4~40の範囲の巻数を有する。二次コイルは、例えば、1000~100000の範囲の巻数を有する。
【0022】
磁心は、好ましくは、実質的にロッドの形状で形成され、一次コイルおよび二次コイルの双方が磁心の周りに巻き付けられる。磁心の長さは、好ましくは1cm~6cmである。磁心は、この場合、個々の巻数のコイルを受けるためにチャンバを形成することができる。
【0023】
好ましくは、二次コイルは、互いに離間された複数の巻線セグメントに細分化される。例えば、ここでは二次コイルおよび一次コイルが巻き付けられる巻芯としても用いられる磁心は、複数のコイル区画を提供することができ、コイル区画のうちの1つにおける巻線がそれぞれ二次コイルの巻線セグメントを表す。例えば、2~20個、好ましくは2~15個の巻線セグメントを提供することができる。特に好ましくは、3~9個の巻線セグメントが提供される。各巻線セグメントは、例えば、100~1000の巻数の二次コイルを有することができる。
【0024】
一次コイルは、複数のセグメントに細分化することもできる。例えば、一次コイルは、共通巻芯として用いられる磁心における1~5個の巻線セグメントの形態で配置することができ、一次コイルの個々のセグメントは、例えば巻芯上に複数のコイル区画を設けることによって、互いに空間的に分離される。
【0025】
特に好ましくは、一次コイルは、磁心上の二次コイルの巻線セグメント間に配置される。この場合、一次コイルは、例えば、単一のセグメントの形態で構成することができ、したがって、二次コイルの2つの巻線セグメント間に完全に配置することができる。代替として、一次コイルは同様に、複数の巻線セグメントを有し、一次コイルの巻線セグメントは、それぞれ、二次コイルの2つの巻線セグメント間に配置される。
【0026】
好ましくは、銅線がコイルの巻線のための配線として用いられ、二次コイルの銅線の直径は、好ましくは、0.01mm~0.1の範囲にあり、特に好ましくは0.03mm~0.07mmの範囲にある。好ましくは二次コイルに用いられる銅線の3~10倍の直径を有する、より太い銅線が、好ましくは一次コイルに用いられる。
【0027】
生成される無線周波数電気パルスの周波数は、パルス駆動型トランスフォーマの二次コイルおよび処置具によって形成される振動システムの共鳴周波数によって実質的に決まる。特に、共鳴周波数は、二次コイルのインダクタンス、コイルのキャパシタンス、および処置具の静電容量によって決まる。電気励起パルスを用いた振動システムの励起は、好ましくは、この共鳴周波数に適合する。パルス駆動型変換機の励起の精密な調整は、好ましくは、二次コイルに関係して一次コイルの配置をシフトさせることによって行われる。更に、特に、電気容量は、個々の巻線セグメント間の距離、および巻線セグメント数の選択によって変更することができ、それによって、固有周波数または共鳴周波数が影響を受けることができる。特に、この場合、二次コイルの2つの隣接セグメント間の巻線セグメントの距離を変動させることが好ましい。
【0028】
パルス駆動型トランスフォーマおよび処置具は、トランスフォーマの出力側に形成される振動システムの固有周波数または共鳴周波数が、10kHz~100kHzの範囲、好ましくは20kHz~80kHzの範囲、特に好ましくは30kHz~70kHzの範囲にあるように構成される。
【0029】
この場合、好ましくは、この共鳴周波数が、二次コイルのインダクタンスおよび処置具の静電容量を実質的に与えられると、処置具が物体に触れる際にシフトすることが考慮に入れられる。物体が処置具により触れられることによって、振動システムの電気容量が変化し、これに応じて周波数の変化がもたらされる。
【0030】
例えば、処置具およびトランスフォーマは、処置具が物体と接触していないときに例えば9μsの持続時間を有する例えば25VのDC電圧パルスの形態の電気励起パルスによる励起に応答して、60kHz~70kHzの周波数を有する無線周波数電気パルスが出力側において生成されるように構成される。生成された無線周波数電気パルスは、電気励起パルスを用いた励起の直後に最も大きな振幅を有し、振動の減衰に起因して衰退する。無線周波数電気パルスのパルス幅は、電気励起パルスの持続時間よりも実質的に長い。
【0031】
例えば、人物が処置具に触れた場合、トランスフォーマの出力側の振動システムの電気容量が変化する。例えば、パルス駆動型トランスフォーマの出力側の振動システムの共鳴周波数は約40kHzである。
【0032】
電気励起パルスのパルス幅、すなわち、電気励起パルスの持続時間は、好ましくは0.1μs~20μsの範囲にあり、特に好ましくは0.5μs~15μsの範囲にあり、更に特に好ましくは1μs~10μsの範囲にある。例えば、パルス持続時間は9μsである。
【0033】
毎秒どれだけ多くの電気励起パルスが生成されるかが決まるパルス繰り返し数は、100Hz~400Hzの範囲にある。好ましくは、パルス繰り返し数は200Hz~300Hzの範囲にあり、パルス繰り返し数は例えば280Hzである。電気励起パルスのパルス繰り返し数は、無線周波数電気パルスのパルス繰り返し数に対応する。
【0034】
無線周波数電気パルスのパルス幅、すなわち、無線周波数電気パルスの持続時間は、1μs~1000μsの範囲にあり、好ましくは50μs~500μsの範囲にあり、特に好ましくは100μs~250μsの範囲にある。パルス幅は、特に、トランスフォーマおよび処置具によって形成される振動システムの、電気励起パルスによって励起される振動の減衰によって決まる。
【0035】
パルス-休止比は、選択されたパルス幅、またはパルス持続時間、および無線周波数電気パルスのパルス繰り返し数によって決まる。デューティサイクルまたはデューティファクタとも呼ばれるこのパルス-休止比は、次の電気パルスの放出までのパルス幅と後続の休止との間の比を与える。パルス-休止比は、0.01%~1%の範囲、好ましくは0.05%~0.5%の範囲、特に好ましくは0.1%~0.25%の範囲にある。例えば9μsのパルス持続時間、および例えば250Hzの繰り返し率では、パルス-休止比は0.225%である。
【0036】
好ましくは、低電圧電気励起パルスまたは駆動信号を用いてパルス発生器を介してトランスフォーマを駆動する制御ユニットが提供される。電気励起パルスの電圧は、例えば、10V~70Vの範囲にあり、トランスフォーマによって、高電圧または無線周波数電気パルスに変換される。特に好ましくは、電圧は、15V~40Vの範囲にある。この事例における電気励起パルスの繰り返し率は、無線周波数電気パルスのパルス繰り返し数に対応する。他方で、電気励起パルスのパルス持続時間は、実質的に、無線周波数電気パルスのパルス幅未満である。特に、電気励起パルスの持続時間は、好ましくは、無線周波数電気パルスのパルス幅の少なくとも5分の1、特に好ましくは少なくとも10分の1よりも短い。
【0037】
無線周波数電気パルスの高電圧は、好ましくは5kV~40kVの範囲にある。特に好ましくは、高電圧は10~25kVの範囲にある。この場合、これらの仕様は、無線周波数電気パルスのピーク間最大電圧を指す。
【0038】
好ましくは、装置は、トランスフォーマの出力側における電流を、1μA~300μAの範囲の最大値に制限するように構成される。特に好ましくは、出力側における電流は、10μA~120μAの範囲の最大値に制限される。例えば、最大電流は100μAに制限される。例えば電流を直接または間接的に測定し、制限値を超過した場合に電流の供給を中断する手段、例えば電気抵抗、ヒューズまたは監視もしくは安全デバイスを用いて、最大電流を制限することができる。
【0039】
トランスフォーマの出力側で生成され、トランスフォーマの出力側に結合された処置具に転送される無線周波数電気パルスのための提案されたパラメータによって、放出される電力の制限が達成される。したがって、これらのパラメータ、すなわち、特に、無線周波数電気パルスの電圧および周波数の順守を監視すれば十分である。
【0040】
装置の放出電力を制限することによって、装置によって扱われる物体または生体物質の過剰な加熱が回避されることが確実になる。特に、人間または動物における適用の場合、加熱は、皮膚が10分以内に最大3℃だけ加熱されるように制約される必要がある。人間における適用の場合、更に、41℃の温度を上回る加熱が行われてはならない。
【0041】
好ましくは、装置は、トランスフォーマの出力側で電気パラメータを監視し、電気パラメータのうちの1つについて所定の値を超過するかまたは下回った場合に、トランスフォーマへのエネルギー供給を中断するように構成された安全デバイスを含む。
【0042】
出力側で監視される電気パラメータは、好ましくは、電流、電圧、パルス繰り返し数、パルス幅、パルス周波数、およびこれらのパラメータの少なくとも2つの組合せから選択される。例えば、電圧および周波数が監視される。好ましくは、全ての上述した電気パラメータが監視される。
【0043】
好ましくは、監視される電気パラメータについて制限値が定義され、上限を超過するかまたは下限値を下回った場合に、トランスフォーマへのエネルギー供給が中断される。制限値は、例えば、パーセント偏差として指定することができる。この場合に許容可能な偏差は、好ましくは、最大5%であり、特に好ましくは最大3%である。例えば、280Hzの設定点繰り返し率の場合、+/-5%の偏差を指定することができ、それによって、繰り返し率が294Hzを上回るかまたは266Hz未満となる事象においてシャットダウンが生じる。
【0044】
安全デバイスは、好ましくは、それぞれの電気パラメータを記録するための対応するセンサを含む。特に、この場合に、電圧の時間分解測定を行うことができ、(ピーク)電圧、周波数、パルス幅またはパルス長さ、パルス-休止比およびパルス繰り返し数等の更なる電気パラメータが、デジタル処理によってここから決定される。電流を測定するために、電流センサを更に設けることができる。
【0045】
一次コイルまたは二次コイルにおいて電圧を測定するための手段は、好ましくは高インピーダンスで構成され、同様に高インピーダンスを有する電圧源への負荷を可能な限り小さくするようにする。手段は、特に、電圧を測定するためのアナログ/デジタルコンバータを含むことができる。次に、測定結果の評価、特に所定の制限値との比較を、例えば、適切なプロセッサ、例えばマイクロコントローラによって実行されるコンピュータプログラムによって行うことができる。
【0046】
トランスフォーマの二次側における測定は、例えば、ダイオード、インピーダンスコンバータおよび分圧器によってトランスフォーマの出力側に接続されたコンデンサにおいて電圧を測定することによって行うことができる。インピーダンスコンバータは、例えば、演算増幅器として構成することができ、分圧器は、抵抗器によって、またはコンデンサによって生成することができる。
【0047】
好ましくは、無線周波数電気パルスの電圧および/または周波数の測定は、共鳴トランスフォーマの一次側で誘導された電圧の測定によって、共鳴トランスフォーマの励起休止中に実行される。このように、トランスフォーマの高電圧側における直接の測定は必須でない。この場合、例えば、励起休止中に一次コイルに印加される電圧を直接測定することができる。
【0048】
電圧をチェックするための特に単純な測定は、例えば、ダイオードを介してコンデンサを充電するために共鳴トランスフォーマにおける振動によって一次側において誘導された電圧を用いることによって行うことができる。好ましくは、この場合、一次コイルへの接続は、インピーダンスコンバータによって、および場合により分圧器によって行われる。例えばMOSFETとして構成される制御可能なスイッチによって、インピーダンスコンバータの出力は、電気励起パルス中、ハウジングシールドに対し、したがって一次コイルの第2の端子に対し短絡させ、励起パルスがコンデンサを充電できないようにすることができる。トランスフォーマの励起の終了後に初めて制御可能スイッチがオフにされ、それによって、トランスフォーマ内に存在する振動の陽性半波がそれぞれコンデンサを充電する。コンデンサにおいて測定可能な電圧は、トランスフォーマの出力側、すなわち二次コイルにおける電圧を表す。インピーダンスコンバータは、例えば、演算増幅器として構成することができ、分圧器は、抵抗器によって、またはコンデンサによって生成することができる。
【0049】
それに加えて、または代替として、装置は、好ましくは、電力供給システムへの装置の電気接続を検出し、そのような接続が存在する場合、トランスフォーマへのエネルギー供給を中断するように構成された安全デバイスを含む。これによって達成される効果は、動作中に装置と電力供給システムとの間の接続が存在せず、したがって、装置の動作中の電力供給電圧に起因したユーザへのリスクが排除されることである。
【0050】
好ましくは、装置はハンドルの形態のハウジングを有し、電気エネルギー貯蔵ユニット、トランスフォーマおよび処置具の一部がハウジングに収容される。処置具の別の部分はハウジングから突出する。特に好ましくは、ハウジングは、ハウジングから突出している処置具の部分を除く装置の全ての構成要素がハウジング内に収容されるように構成される。
【0051】
ハウジングは、好ましくは、電気的絶縁材料から作られる外側ハウジングケースを有する。ハウジングケースの材料は、特にプラスチックである。
【0052】
ハウジングは、好ましくは電気シールドを有する。電気シールドはハウジングシールドとして形成され、ハウジングケースの内側に配置され、導電性である。好ましくは、シールドは導電性箔の形態および/もしくは導電性プレートの形態、またはハウジングケースの内側の導電性コーティングの形態で構成される。例えば、導電性箔、例えばアルミニウム箔がシールドとして用いられる。
【0053】
電気シールドは、好ましくは、装置を完全に封入し、シールドにおける開口部は、ハウジングから突出する処置具、および場合により端子および/または制御要素についてのみ設けられる。
【0054】
ハウジングシールドはハウジングによって完全に絶縁され、それによって、ハウジングシールドから外方への導電性接続は行われない。特に、ハウジングシールドと、物体の処置のために装置を案内する人物との間に導電性接続は行われず、ハウジングシールドと処置される物体との間に導電性接続は行われない。
【0055】
好ましくは、装置は、装置の電気エネルギー貯蔵ユニットを充電することができる充電端子を含む。好ましくは、電気エネルギー貯蔵ユニットは、再充電可能バッテリ、例えばリチウムイオンバッテリまたはニッケル金属水素化物バッテリとして構成される。電気エネルギー貯蔵ユニットをコンデンサ、例えばスーパーコンデンサとして構成することが更に考えられる。
【0056】
装置は、好ましくは、装置をオンおよび/またはオフにすることができる少なくとも1つの制御要素を含む。加えて、装置の電力を選択することができる制御要素を提供することができる。制御要素は、例えば、オン/オフスイッチまたはボタンとして構成される。
【0057】
制御要素または要素は、好ましくは、装置の制御ユニットに接続される。
【0058】
装置の制御ユニットは、好ましくは、トランスフォーマの入力側に送達される駆動信号または電気励起パルスを提供するためのパルス発生器を含む。この目的で、制御ユニットは、電気エネルギー貯蔵ユニットへの接続を保持する。これに対する代替として、制御ユニットおよびパルス発生器は、別個の構成要素として構成することもできる。
【0059】
パルス発生器は、例えば、半導体スイッチ、例えばMOSFETを用いることによって制御された形でオンおよびオフにされる電圧源として構成される。この場合、例えば、半導体スイッチは、励起パルスの持続時間にわたってオンにされ、後続の励起休止においてオフにされる。
【0060】
代替として、パルス発生器は、任意の所望の信号波形を生成することができる任意の関数発生器として構成することができる。更に、制御ユニットは、パルス発生器によって生成される電気励起パルスを増幅させるための増幅器を含むことができる。
【0061】
制御ユニットおよび安全デバイスを共通ユニットとして構成することもできる。これに対する代替として、制御ユニットおよび安全デバイスは、別個のユニットとして構成される。
【0062】
装置の処置具を用いて、生成された無線周波数電気パルス、またはその電界を、処置される物体または処置される有機もしくは生体物質に伝導する。処置具は、電気的に絶縁性の物質から作られた閉じた本体と、本体の内部に配置された電極とを含む。電極の本体の内部にガスまたはガス混合物が受けられ、処置具は、電気パルスによる電気励起に応じてガス放電を行うように構成される。装置の動作中、受けられたガスはガス放電によって励起される。したがって、電極から開始し、励起されたガスを通って処置具の本体への電界、または結果として生じる誘電変位電流を誘導することができる。次に、誘電変位電流または電界を、処置具が触れる物体上に送信することができる。
【0063】
処置具は、トランスフォーマの出力側に結合するように構成された第1の端部と、物体および/または生体組織の表面に接触するように構成された第2の端部とを有する。
【0064】
処置具の本体は、好ましくは、実質的に細長く成形され、第2の端部が第1の端部よりも大きな寸法を有するようにされる。
【0065】
処置具の本体の電気的絶縁物質は、好ましくはガラスである。ガラスは、好ましくは、患者の損傷した皮膚と接触するのに適切であるように選択される。これは、ガラスが有害物質を発してはならず、炎症およびアレルギーを引き起こしてはならないことを意味する。適切なガラスは、例えばホウケイ酸塩ガラス、石英ガラス、またはソーダ石灰ガラスである。
【0066】
処置具は、好ましくは、トランスフォーマの出力側に結合するように構成された第1の端部に電流フィードスルーおよびエンドキャップを含む。エンドキャップは、好ましくはプラスチックから作られる。プラスチックは、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマーから選択され、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0067】
エンドキャップのプラスチックは、好ましくは、繊維を用いて補強され、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維から選択され、ガラス繊維が特に好ましい。繊維の繊維体積分率は、好ましくは20%~50%の範囲、特に好ましくは30%~40%の範囲にある。更に、短い繊維よりも長い繊維が好ましい。1mm~50mmの範囲の長さを有する繊維は長い繊維とみなされる。より短い繊維は短い繊維を含み、より長い繊維はエンドレス繊維を含む。
【0068】
処置具の第1の端部に設けられる電流フィードスルーは、外側に電気接点を有し、処置具の本体の内部の電極への電気接続を確立する。
【0069】
電極は、好ましくは、処置具の本体の内部において第1の端部の隣りに配置され、好ましくはピンの形状で構成される。
【0070】
電極のピン形状は、好ましくは、10mm~13mmの範囲の長さを有し、11mm~12mmの範囲の長さが特に好ましい。電極の直径は、0.1mm~3mmの範囲にあり、特に好ましくは、0.5mm~2mmの範囲にある。例えば、電極の直径は1mmである。
【0071】
電極の材料は、好ましくは金属である。この場合、金属は、好ましくは、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、プラチナおよび対応する合金から選択される。電極は更にコーティングすることができる。
【0072】
好ましくは、処置具の第1の端部の隣りに第1の直径を有する接続領域が存在し、処置具の第2の端部の隣りに第2の直径を有する好ましくはバルブ領域が存在し、第2の直径は第1の直径よりも大きく、バルブ領域は、バルブの全長の少なくとも3分の1を占める。
【0073】
好ましくは、バルブ領域の容積は、処置具の総容積の少なくとも3分の2を占める。
【0074】
好ましくは、処置具の本体は、厳密に2つの領域、すなわちバルブ領域および接続領域を含み、これらの領域は互いに急峻に融合する必要はなく、連続した遷移部を介して接続することができる。バルブ領域は、好ましくは、40mm~80mmの長さを有し、50mm~60mmの長さが好ましい。例えば、バルブ領域は、58mmの長さを有する。バルブ領域の直径は、好ましくは、15mm~25mm、好ましくは18mm~22mmの範囲にあり、例えば20mmである。
【0075】
本体の第2の端部は、好ましくは、実質的に平坦であり、それによって円形表面がバルブ領域を閉じるように構成される。この表面は、連続した遷移部または鋭角の縁部を介して円形のバルブ領域に融合することができる。
【0076】
処置される物体、または処置される有機物質との接触のために、バルブ領域の実質的に平坦な表面および湾曲した壁の双方を用いることができる。
【0077】
処置具の本体の接続領域は、好ましくは、30mm~60mmの長さを有し、40mm~50mmの長さが好ましい。例えば、バルブ領域は、45mmの長さを有する。接続領域の直径は、好ましくは、5mm~15mm、好ましくは8mm~12mmの範囲にあり、例えば10mmである。
【0078】
エンドキャップは、第1の端部において処置具の本体を封入し、電気接点表面は第1の端部において自由なままである。エンドキャップは、好ましくは、第1の端部から開始して接続領域の少なくとも一部にわたって延びるスリーブ領域を含む。スリーブ領域の長さは、好ましくは10mm~50mmの範囲にあり、特に好ましくは15~30mmの範囲にある。例えば、スリーブ領域は20mmの長さである。エンドキャップの直径は、好ましくは7mm~18mm、好ましくは10mm~15mmの範囲にある。例えば、エンドキャップの直径は12mmである。
【0079】
エンドキャップは、好ましくは、スリーブ領域内に配置された接着剤によって処置具の本体に接続される。接着剤は、好ましくは、熱的に安定なエポキシ樹脂接着剤である。
【0080】
処置具の本体は、気密であるように閉じられる。処置具の本体は、通常訳1barの大気圧との関係で低減された圧力を有する希ガスまたは希ガス混合物を充填される。処置具のガス充填圧力は、好ましくは0.001mbar~1mbarの範囲にあり、特に好ましくは、0.01~0.7mbarの範囲にある。
【0081】
処置具には、例えば、ネオンもしくはアルゴン、または複数の希ガスの混合物を充填することができる。ガス混合物は、更なるガス、例えば窒素、例えば、ネオン、アルゴンおよび窒素の混合物も含むことができる。ガス充填には好ましくはネオンが用いられる。ネオンの場合、例えば、アルゴンの充填と比較して、より高い電界および磁界の強度が達成される。
【0082】
処置具の本体は、好ましくは1つの壁で構成され、それによって、ガラスの単一の層のみが周囲から希ガスまたは希ガス混合物を充填された処置具の内部を分離する。
【0083】
装置の処置具は、好ましくは、必要なときに取替えまたは洗浄が可能であるように、交換可能であるように構成される。処置具を分離することによって、特に、処置具を容易に殺菌することもできる。
【0084】
好ましくは、装置は、処置具の存在を検出する安全デバイスを含み、処置具がない場合、トランスフォーマへのエネルギー供給を中断する。この目的で、安全デバイスは、マイクロスイッチまたは光電バリアとして構成される検出器を含むことができる。マイクロスイッチとして形成される検出器は、例えば、処置具の存在時に起動されるように配置される。光電バリアとして形成される検出器は、例えば、処置具が存在するときに、光ビームが処置具によって遮断されるように配置される。処置具のエンドキャップは、この文脈において、特に、光電バリアの光ビームを遮断するために不透明であるように構成することができる。
【0085】
好ましくは、処置具は、処置具が装置に嵌められているとき、装置のリーダによって読み取ることができるデータメモリを有する。データメモリは、例えば、1次元バーコードの形態またはQRコード等のマトリックスコードの形態で光学的に形成することができる。これに対する代替として、データメモリは、例えば、RFID等の無線通信方法によって読み出すことができるメモリチップとして形成することができる。
【0086】
処置具のデータメモリは、例えば、タイプおよび/または要求される動作パラメータのインジケーション、ならびに順守される制限値のインジケーションを含むことができる。次に、制限値の順守は、これに応じて構成された安全デバイスによってチェックすることができる。順守される制限値は、特に、無線周波数電気パルスの電圧、周波数、および/または電流強度の上限および/または下限を含むことができる。
【0087】
蒸気でオートクレーブすることによる処置具の単純で信頼性のある洗浄を可能にするために、処置具は、好ましくは、110℃~140℃の範囲の温度の蒸気に耐えるように構成される。用いられる材料、すなわち、特に本体のガラスおよびエンドキャップのプラスチック、ならびに場合により用いられる接続手段、例えば接着剤がそれに応じて選択される。金属から作られる従来のエンドレスと比較して、プラスチック材料から作られた提案されるエンドキャップは、有利な熱特性および加水分解に対する良好な耐性を有する。
【0088】
処置具の単純な電気結合を確実にするために、処置具は、好ましくは、プラグインコネクタによって受けられ、処置具は、プラグインコネクタの接点によってトランスフォーマの出力側に電気的に接続される。プラグインコネクタの接点は、例えば、処置具が嵌められたときに処置具の電気接点表面に対し予め圧縮応力を与えられたばね接点として構成される。
【0089】
好ましくは、処置具は、処置具の接続領域を少なくとも部分的に封入するスリーブ領域を有し、プラグインコネクタは、処置具をスリーブ領域に保持するように構成されたクランプデバイスを有する。
【0090】
本発明の更なる態様は、微生物の不活性化のための方法に関し、説明した装置のうちの1つが提供され、装置の処置具は無線周波数電気パルスを用いて励起される。処置具が、微生物が不活性化されることを意図される物体の表面上に適用され、それによって処置具の本体が表面に触れ、処置具が物体の表面上を案内されることが更に提供される。この場合、装置のハウジングシールドは、物体とトランスフォーマの第2の端子との間に導電性接続が確立されないように物体から電気的に絶縁される。
【0091】
特に、微生物が不活性化されるように意図される装置および物体は、共通接地に接続されず、物体は、本方法の間に単一の電極、この場合は装置の処置具の本体のみと接触される。
【0092】
説明される装置は、好ましくは、本明細書に記載の方法と共に用いるように構成され、それによって、方法に関連して説明された特徴は、それに応じて装置についても当てはまり、逆もまた同様に、装置との関連で説明された特徴は方法にも当てはまる。
【0093】
好ましくは、物体は、医療器具または有機もしくは生体物質から選択される。有機材料は、例えば、皮膚または組織試料である。これに応じて、方法は、特に、非治療処置のために用いることができる。
【0094】
方法は、例えば、創傷の領域内の微生物を不活性化し、および/または創傷の治癒を支援するために、患者に対し使用するのにも適している。細菌の感染に起因して、創傷の治癒が不良となる問題が多くの場合に発生している。これが、1つまたはそれ以上の抗生剤に耐性がある細菌を含む場合、創傷の処置は多くの場合特に困難で時間がかかる。提案される方法が用いられる場合、耐性のある細菌も殺菌され、創傷の治癒が促進される。創傷の処置に用いる場合、提案される装置が提供され、装置の処置具は、無線周波数電気パルスを用いて励起される。次に、処置具は、好ましくは皮膚または創傷と直接接触され、それによって処置具は患者に触れ、創傷の表面全体上を1回または複数回案内され、創傷の表面の各領域は、好ましくは1分~10分、特に好ましくは2分~6分の範囲で処置具と直接接触する。無線周波数電気パルスの電気パラメータは、例えば、この目的で以下のように選択される:20kVの電圧(ピーク間)、55kHzの周波数、280Hzの繰り返し率および128μsのパルス幅。
【0095】
これに対する代替として、処置される創傷を覆うか、既に施された包帯を処置の間適所に残し、したがって除去しないことが可能である。創傷の処置のために、この場合、装置の処置具は、創傷被覆または包帯上に直接配置され、それによって創傷被覆または包帯に触れ、創傷の表面全体にわたって1回または複数回案内される。創傷被覆は、例えば従来の創傷圧定布とすることができる。無線周波数電気パルスの電気パラメータは、例えば、この目的で以下のように選択される:29kVの電圧(ピーク間)、55kHzの周波数、280Hzの繰り返し率および156μsのパルス幅。
【0096】
創傷の処置の間、処置される患者または別の人物によって装置を案内することができる。取得された組織試料または他の有機もしくは生体物質の処置中、対応する手順が実行される。
【0097】
方法は、更に、特に医療器具の殺菌または消毒に適している。この目的で、提案される装置が提供され、装置の処置具は、無線周波数電気パルスを用いて励起される。次に、処置具は、消毒される医療器具の表面と直接接触され、それによって処置具は医療器具に直接触れ、器具の表面全体上を1回または複数回案内され、表面の各領域は、好ましくは1分~10分、特に好ましくは2分~6分の範囲で処置具と直接接触する。任意の他の所望の物体または物品の消毒のために、対応する手順が実行される。無線周波数電気パルスの電気パラメータは、例えば、この目的で以下のように選択される:34kVの電圧(ピーク間)、55kHzの周波数、280Hzの繰り返し率および170μsのパルス幅。
【0098】
処置具に起因した効果は、電界の作用に基づくことが仮定される。電界、および電界に起因した誘電変位電流は、処置具と接触した表面に作用するのみでなく、基礎をなす物質にも作用し、それによって、内部においても、物体が処置され、微生物が不活性化される。
【0099】
細菌、例えばバクテリアに対する処置具の影響は、バクテリアの細胞膜がパルス状電界によって恒久的に損傷を受けることに基づくことが仮定される。物体の表面または内側に存在するバクテリアは、装置を用いた処置中に損傷を受け、結果として殺菌される。この場合、物体は実質的に加熱されておらず、大きなUV放射用量にも曝されていないため、方法は非常に非侵襲的に機能する。
【0100】
説明した装置を用いた創傷の処置中、創傷治癒は、純粋な消毒効果を超えた範囲まで促進されることが更に観測された。処置具から発せられる誘電変位電流は、創傷治癒プロセスを刺激すると想定される。
【0101】
処置具から発せられる電界は、近傍にある物質による影響を受ける。この場合、電界は、特に、導電性物質の存在によって集中する。したがって、小型で携帯可能な物体に対する特に良好な効果のために、これらが、処置具が物体の表面上を案内されている間、処置を行っている人物の手に保持されることが好ましい。操作者の身体は高い導電性を有し、したがって、電界が手に保持された物体に有利に集中することが確実になる。
【0102】
処置具の電気励起中に処置具の表面上に生成される電界は、好ましくは500V/m~6000V/mの範囲、特に好ましくは500V/m~1800V/mの範囲の電界強度を有する。
【0103】
処置具の表面上の磁束密度は、例えば、10μT~73μTの範囲にあり、好ましくは、10μT~43μTの範囲にある。
【0104】
InVitro試験
試験細菌に対する装置または方法の影響が研究された。試験細菌として、a)NCTC12493黄色ブドウ球菌およびb)ATCC27853緑膿菌が研究された。この目的で、抗生剤に対するバクテリアの感度を試験するための阻害試験のゾーンに類似した手順が実行された。この目的で、それぞれの試験細菌が寒天培地に適用され、その後、寒天培地は、本発明による方法を用いて処置されたかまたは処置されなかった。処置の成功は、処置されていない寒天培地との比較において、細菌の成長の阻害により明確に見ることができる。
【0105】
試験細菌a)NCTC12493、黄色ブドウ球菌は、グラム陽性球菌である。ブドウ球菌は活発に動かず、芽胞を形成しない。黄色ブドウ球菌は非常に蔓延しており、多くの生息環境において発生し、通例、ヒトにおける皮膚および粘膜の正常コロニー形成細菌叢に属する無害な腐生菌および片利共生生物として生息するが、病原性の場合もあり、皮膚および軟組織の感染に加えて、肺炎、髄膜炎、心内膜炎、ならびに更には毒素性ショック症候群および敗血症も引き起こす。
【0106】
試験細菌b)ATCC27853緑膿菌(ラテン語のaerugoに由来、緑青)は、シュードモナス属のグラム陰性、オキシダーゼ陽性のロッド形状のバクテリアである。これは、1900年にWalter Migulaによって発見された。この命名は、化膿性感染病の事象における膿の青緑色に起因したものである。
【0107】
試験細菌は、いくつかの抗生剤に対する耐性も発現した重要な院内細菌である。
【0108】
試験細菌は、滲出液を有する創傷をシミュレートするために、70mmの直径を有する準備された寒天平板にそれぞれ適用された。次に、寒天平板は、表1に指定されたパラメータを有する記載の装置を用いることによって処置された。処置の持続時間は、表2に示すように変動し、比較試験5および6については処置が行われなかった。指定の処置持続時間中、装置の処置具は寒天平板上に配置され、寒天平板の表面上を動かされた。処置時間中、処置具は、時間全体にわたって寒天平板の表面と接触した。次に、寒天平板は、インキュベータ内で少なくとも48時間処置された。48時間後、第1の評価が行われた。結果に依拠して、更なる48時間にわたってインキュベータ内で更なる処置が行われた。
【0109】
コロニーを検出するために、寒天平板の表面が殺菌した環状ループで縞を付けられ、その後ワイヤループが評価される。
【0110】
試験時に、装置は以下のパラメータを用いて操作された。
【0111】
【表1】
【0112】
試験結果については以下の表2に列挙されている。
【0113】
【表2】
【0114】
「結果」列に示される%指定は、バクテリアのコロニー形成を有しない寒天平板のエリア、したがって阻害ゾーンのパーセンテージを指す。試験3および4において、バクテリア成長のほぼ完全な阻害が達成された。寒天平板の総面積の10%以下の残りのコロニー形成エリアは、用いられるペトリ皿の壁に起因して、処置具が平板の縁部上を完全に掃引しなかったことに起因する。したがって、試験3および試験4において、処置具を用いて処置された寒天平板の表面のバクテリア成長の完全な阻害が想定される。
【0115】
試験1および2において、バクテリア成長の完全な阻害が達成されなかった。これは、2分のみの短い処置持続時間は、寒天平板の表面全体にわたる完全な掃引に十分でなく、したがって、寒天平板の大きな領域が、処置具を用いた掃引によって処置されなかったことに起因する。
【0116】
人体に対する使用の適合性も試験するために、皮膚の加熱が研究された。この目的で、処置具が試験被験者の皮膚上で手の領域内に配置され、表1におけるパラメータに従って電気パルスを用いて励起された。皮膚の加熱は、赤外線温度計によって監視された。処置の開始前の開始温度は32℃であった。6分間の一定の皮膚接触後、温度は33℃まで1度上がった。医療製品に要求されるガイドライン、すなわち、41℃を上回らない5度以下の上昇が順守され、これに達しそうにすらなっていない。
【0117】
適合性のために、処置具におけるガス放電中にUV放射が許容不可能な程度まで発生するか否かについても研究が行われた。表1に指定したパラメータを用いた試験において、処置具のバルブ領域のすぐ隣りで、0.035mW/cmのUVパワーが測定された。0.1mW/cmのガイドラインが順守された。
【0118】
試験対象者に対する試験において、人間の細胞に対する処置具の有害な影響を検出することができなかった。
【0119】
熱傷創に対する装置の使用
頭皮、顎(首部-喉部)、胸部および手の領域に熱傷創を有する患者について、最初に従来の方式で熱傷創が処置された。患部皮膚エリア、頭部-首部-喉部および胸部、ならびに両手がIIb~III度の火傷を有していた。
【0120】
全ての患部皮膚エリアに対し接線方向の壊死切除術が行われた。その後、手および前腕における創傷が、創面切除術、および大腿部からの分層植皮術によって処置された。胸部について、創面切除術およびIntegra移植が両側で行われた。顔および頭部は湿性包帯で処置された。
【0121】
頭部および首部における熱傷創を除くと、治癒経過は良好または正常であった。この直後の固定リハビリテーション中、デクスパンテノールを含有する軟膏包帯剤によって保存的処置が継続された。
【0122】
3カ月間の従来の処置の後の患者の状態は以下の通りであった:
頭部における創傷閉鎖の失敗および首部の創傷の炎症の後、創傷処置が開始し、記載の装置を用いることにより支援された。この時点において、頭皮領域における創傷が閉じていなかった。顎部領域における創傷は、膿を伴う炎症を有していた。手の創傷は閉じていたが、創傷はひび割れ、瘢痕組織が平滑でなかった。
【0123】
頭皮領域および顎部領域における創傷は、それぞれ、本発明による装置を用いて、午前および午後に3回2分間処置された。創傷は処置の前にガーゼ圧定布で覆われた。装置の処置具は、その後、ガーゼ圧定布と直接接触され、創傷のエリア全体が処置されるように創傷の領域上を案内された。この場合、処置具は、創傷または圧定布上への配置後、約30秒にわたって動かされなかった。
【0124】
約30秒後、処置具は約15秒にわたって創傷の上を案内された。その後、処置具は、再び新たな焦点で創傷上に配置され、次に、再び約15秒にわたって創傷上を案内された。2分間の処置が3回繰り返された。
【0125】
第1および第2の処置の間、処置は装置のレベル4を用いて行われ、無線周波数電気パルスのために用いられた電気パラメータは以下の通りであった:20kVの電圧(ピーク間)、45kHzの周波数、280Hzの繰り返し率。
【0126】
第3の処置の間、処置は装置のレベル2を用いて行われ、無線周波数電気パルスのために用いられた電気パラメータは以下の通りであった:9.5kVの電圧(ピーク間)、45kHzの周波数、280Hzの繰り返し率。
【0127】
頭皮領域における熱傷創は、8日の処置後にほぼ完全に閉じた。
【0128】
処置は、次の14日間、それぞれ朝に1回の処置、および夕方に圧定布なしでレベル2を用いて1回継続された。
【0129】
首領域における創傷は、21日後に完全に治癒した。
【0130】
頭皮における創傷は、レベル2を用いて更に30日処置され、毎日1回の処置が行われた。特殊な事例では、例えば、シャワー後に創傷を洗浄するために、レベル4が用いられた。次の30日の処置後(約3カ月後)、頭皮領域内の創傷が完全に閉じただけでなく、驚くべきことに発毛も生じ、それによって頭皮の機能が完全に回復した。処置具から発せられる交番の電界および/または磁界によって、真皮における、特に発毛の再刺激の生物学的効果がトリガされ、上に重なる表皮が熱傷創から発毛し得るように復活したと想定される。
【0131】
顎領域における創傷は、8日間の処置後、炎症がなくなり、23日間の処置後、依然として僅かに見えるが、他の点では完全に治癒した。
【0132】
手の領域における創傷は、処置の開始時に既に閉じていたため、本発明による装置を用いた処置のための創傷被覆は必要でなかった。装置の処置具は、処置の創傷と直接接触され、各指は毎日1回2分間処置された。処置は、医用スキンクリームを施すことによって支援された。
【0133】
3カ月の処置後、移植片は完全に機能し、傷跡は平滑である。内部瘢痕形成は生じなかった。それぞれのステップは、常に、殺菌した包装からの殺菌した処置具を用いて実行された。処置後、処置具は洗浄され、洗浄後包装内に真空パックされ、オートクレーブにおいて141℃で殺菌された。このため、処置具は常に殺菌状態で格納され、したがって殺菌状態で使用可能であった。
【0134】
図面および以下の説明を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0135】
図1a】創傷の治癒の支援および/または微生物の不活性化のための装置の概略図を上面断面図として示す。
図1b】トランスフォーマの概略断面図を示す。
図2】装置の簡略化された概略回路図を示す。
図3】装置の処置具の概略表現を示す。
図4】処置具の詳細図を示す。
図5】無線周波数電気パルスの質的表現を示す。
図6】トランスフォーマの励起のための電気励起パルスの質的表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0136】
本発明の実施形態の以下の説明において、同じまたは類似の要素は、同じ参照符号で表され、これらの要素の繰り返しの説明はいくつかの事例において省かれる。図は、本発明の主題を概略的に表すのみである。
【0137】
図1aは、創傷の治癒の支援および/または微生物の不活性化のための装置10を示す。装置10は、処置具100の一部を除いて装置10の全ての構成要素を収容するハウジング12を含む。処置具100がハウジング12から突出する場所において、器具案内具14が設けられる。器具案内具14を有するハウジング12は、電気的絶縁物質、例えばプラスチックから作られる。図1aに示す例において、装置10のハウジング12にはハンドルセクション12aが設けられ、装置10は、処置中、人間工学的にこのハンドルセクション12a上で保持することができる。
【0138】
装置10は、コントローラ18に電気エネルギーを供給する電気エネルギー貯蔵ユニット16を含む。電気エネルギー貯蔵ユニット16は、好ましくは、リチウムイオンバッテリとして構成される。電気エネルギー貯蔵ユニット16に充電するために、ハウジング12内の開口部を通じてアクセス可能な充電端子22が提供される。
【0139】
コントローラ18は、トランスフォーマ26の入力側27に接続される。装置10の動作中、パルス発生器17を用いることによって、コントローラ18は、トランスフォーマ26の入力側27に送達される電気励起パルスを生成する。次に、トランスフォーマ26は、無線周波数電気パルスの形態で高電圧を生成し、これはトランスフォーマ26の出力側28で発せられる。高電圧は、トランスフォーマ26に電気的に結合された処置具100を励起するために用いられる。表された例ではハウジング12の内側の導電性箔の形態で構成されるハウジングシールド13は、ハウジング12内に収容された構成要素の電気的遮蔽のために配置される。代替として、ハウジングシールド13は、例えば、ハウジング12の内側の導電性コーティングとして構成することもできる。
【0140】
トランスフォーマ26の概略表現は、一次コイル270が二次コイル280の2つの部分間に挿入されることを示す。トランスフォーマ26の入力側、すなわち一次コイル270の第1の端子27aは、この場合、直接コントローラ18に、したがってパルス発生器17に接続される。一次コイル270の第2の端子27bは、安全デバイス20を介してコントローラ18に接続され、コントローラ18を介してハウジングシールド13に接続される。トランスフォーマ26の出力側、すなわち二次コイル280の第1の端子28aは、処置具100に接続される。二次コイル280の第2の端子28bはコントローラ18に接続され、コントローラ18を介してハウジングシールド13に接続される。この場合、第2の端子27bおよび28bはそれぞれ、コントローラ18を介してハウジングシールド13に間接的に接続され、したがって同じ電位を有する。ハウジングシールド13によって形成された電気接地は接地されておらず、ハウジング12から電気的に絶縁されている。
【0141】
処置具100は、電気的絶縁物質から作られた本体102を含む。本体102は、この場合、細長く構成され、接続領域106およびバルブ領域108を有する。本体102の材料は、例えばガラスである。接続領域106の隣りに処置具100の第1の端部103が存在し、バルブ領域108の隣りに処置具100の第2の端部104が存在する。バルブ領域108は、装置10のハウジング12から全体が突出するのに対し、接続領域106は、ハウジング12によって少なくとも部分的に封入される。本体102の内部は希ガス124を充填され、希ガス124は、周囲圧力と比較して低減された圧力を有する。
【0142】
第1の端部103の隣りに、処置具100は、プラスチックから作られたエンドキャップ112を有する。エンドキャップ112は、第1の端部103の隣りの接続領域106の一部を封入するスリーブ領域114を有する。エンドキャップ112および本体102を通じて電極110に電気的に接続された電気接点表面116が、第1の端部103に更に配置される。
【0143】
処置具100は、装置10内に交換可能に受けられる。この目的で、エンドキャップ112のスリーブ領域114において処置具100を受けるクランプ装置32が設けられる。この位置において、処置具100の電気接点表面116が電気ばね接点30と接触され、電気ばね接点30はトランスフォーマ26の出力側28に接続される。したがって、処置具100が装置10のクランプ装置32に受けられるとき、処置具100はトランスフォーマ26に電気的に結合される。
【0144】
装置10をオンおよび/またはオフにするために、ならびに動作パラメータの変更を可能にするために、コントローラ18に接続された制御要素24が設けられる。制御要素24は、例えばボタンとして構成される。装置10がオンにされた後、コントローラ18は、低電圧電気励起パルスの生成を開始し、これがトランスフォーマ26の入力側27における制御信号としてトランスフォーマ26に送達される。電気励起パルスはトランスフォーマによって高電圧無線周波数電気パルスに変換され、処置具100の励起のための励起信号として用いられる。この場合、処置具100の本体102の内部に受けられる希ガス124がガス放電に励起される。更に、高い交流電界が生成される。
【0145】
好ましくは装置10の機能が監視される。この目的で、図1aに表される実施形態における装置10は安全デバイス20を含み、安全デバイス20は、この実施形態において、追加の構成要素として構成される。これに対する代替として、安全デバイス20は、コントローラ18の一部として構成することもできる。安全デバイス20は、電気パラメータのための所定の限界値を下回っていないかまたは超過していないことに関して、トランスフォーマ26の出力側28における高電圧、すなわち無線周波数電気パルスを監視するように構成および適用される。電気パラメータは、例えば、電流、電圧、パルス繰り返し数、パルス幅およびパルス周波数を含む。図1aに表される実施形態において、トランスフォーマ26の入力側27で測定が実行され、電気励起パルスの減衰後、無線周波数電気パルスが、トランスフォーマ26の入力側27において測定可能な信号を生成することが利用される。これらの電気パラメータの測定のために、表される例において、トランスフォーマ26の入力側27の第2の端子27bが安全デバイス20を介してコントローラ18に接続される。制限値を超過するかまたは下回る場合、トランスフォーマ26へのエネルギー供給がコントローラ16によって中断される。代替としてまたは加えて、トランスフォーマ26の出力側の電気パラメータを監視することが可能である。この場合、例えば、出力側28の第1の端子28aは、安全デバイス20への追加の接続を有する。
【0146】
図1bは、共鳴トランスフォーマとして構成されたトランスフォーマ26の概略断面図を示す。図は2つの部分にあり、上半分は平面図を示し、下半分はトランスフォーマ26の断面図を示す。トランスフォーマ26はコア262を有し、コア262は、図1bに表される例では、7つのコイル区画264を有する。
【0147】
表される例において、トランスフォーマ26の二次コイル280は、6つのコイルセグメント282に分割され、コイルセグメント282のうちの1つは、それぞれコイル区画264のうちの1つに配置される。個々のコイルセグメント282は、コイル区画264によって互いから或る距離に配置される。電気的に、個々のコイルセグメント282は直列に接続され、隣り合って配置された2つのコイルセグメント282は、それぞれ接続部284によって互いに電気的に接続される。それぞれコイルセグメント282間の距離に起因して、各事例において電気容量が形成され、これは、トランスフォーマ26の出力側28(図1aを参照)における振動システムの固有周波数または共鳴周波数に影響を与える。これに対応して、この共鳴周波数を、距離を変更することによって調整することができる。
【0148】
表される例において、一次コイル270は、同様にコイル区画264のうちの1つに配置された単一のセグメントとして構成される。この事例では、一次コイル270は、二次コイル280の2つのコイルセグメント282間に位置する。
【0149】
図2は、装置10の簡略化された概略回路図を示す。この事例では、特に、電気パラメータを測定するために安全デバイス20がトランスフォーマ26に接続される方式が表される。トランスフォーマ26は、パルス駆動型トランスフォーマとして構成され、一次コイル270および二次コイル280を有する。入力側27または一次コイル270の第1の端子27aは、パルス発生器17に接続される。入力側27または一次コイル270の第2の端子27bは、ハウジングシールド13に接続される。出力側28または二次コイル280の第1の端子28aは、処置具100に接続され、出力側28または二次コイル280の第2の端子28bは、同様にハウジングシールド13に接続される。
【0150】
図2の簡略化された表現において、パルス発生器17は、電気励起パルスの持続時間にわたってスイッチ17bを介してトランスフォーマ26に接続されるDC電圧源17aを含む。
【0151】
図2の実施形態において、概略的に表された安全デバイス20は、無線周波数電気パルスの電気パラメータを、これらの無線周波数電気パルスによって一次コイルにおいて誘導された電圧の測定によって決定するように構成される。この目的で、安全デバイス20は一次コイル270の第1および第2の端子27a、27bに接続される。
【0152】
安全デバイス20は、一次コイル270において誘導された電流によって充電されるコンデンサ206における電圧の測定によって、無線周波数電気パルスの電気パラメータをチェックする。この目的で、コンデンサ207は、ダイオード204と、インピーダンスコンバータ203と、第1の抵抗器201および第2の抵抗器202によって形成された分圧器とを介して、一次コイル270の第1の端子27aに接続される。例えばMOSFETとして構成される制御可能なスイッチ205によって、インピーダンスコンバータ203の出力を、電気励起パルス中、ハウジングシールド13に対し、したがって一次コイル270の第2の端子27bに対し短絡させ、電気励起パルスがコンデンサ206を充電できないようにすることができる。トランスフォーマ26の励起の終了後に初めて制御可能スイッチ205がオフにされ、それによって、トランスフォーマ26内に存在する振動の陽性半波がそれぞれコンデンサ206を充電する。次に、コンデンサ206によって印加される電圧を、電圧測定手段207によって測定することができる。次に、コントローラ18は、電圧測定結果に応じてパルス発生器17を制御し、例えば、所定の制限値を超過するかまたは下回ったときにパルス発生器17をオフにすることができる。
【0153】
図2の表現において、パルス発生器17、安全デバイス20およびコントローラ18は別個の構成要素として表される。しかしながら、図1aに示すように、これらの構成要素のうちのいくつかまたは全てを共通ユニットとして構成することができる。
【0154】
装置10の処置具100が図3に概略的に示されている。
【0155】
処置具100は、電気的絶縁物質、例えばガラスから作られた本体102を含む。
【0156】
処置具100の第1の端部103の隣りに、第1の直径Dを有する接続領域106が存在し、処置具100の第2の端部104の隣りに、第2の直径Dを有するバルブ領域108が存在する。第2の直径Dは、この事例では、第1の直径Dよりも大きい。接続領域106は第1の長さLを有し、バルブ領域108は第2の長さLを有する。表される実施形態において、接続領域106の第1の長さLは、本体102の全長の約45%を占める。
【0157】
好ましくは、バルブ領域108の容積は、処置具100の本体102の総容積の少なくとも3分の2を占める。
【0158】
図3の表現から見てとることができるように、バルブ領域108および接続領域106は互いに急峻に融合しない。本体102は、接続領域106とバルブ領域108との間で連続した遷移部を有する。
【0159】
表される実施形態において、処置具100の本体102の第2の端部104は、実質的に平坦であり、それによって円形表面がバルブ領域108を閉じるように構成される。この表面は、連続した遷移部を介して円形のバルブ領域108に融合する。処置される物体、または処置される有機物質との接点のために、バルブ領域108の実質的に平坦な表面および湾曲した壁の双方を用いることができる。
【0160】
エンドキャップ112は、第1の端部103において処置具100の本体102を封入し、電気接点表面116(図1および図3を参照)は第1の端部103において自由なままである。エンドキャップ112は、第1の端部から開始して接続領域106の少なくとも一部にわたって延びるスリーブ領域114を含む。スリーブ領域114は、長さLおよび直径Dを有する。
【0161】
図4は、断面図における第1の端部103の隣りの部分を示す、処置具100の詳細図を示す。エンドキャップ112は、第1の端部103において処置具100の本体102を封入し、電気接点表面116が、エンドキャップ112を通じて本体102の内部において電極110に接触することを見てとることができる。図3に示す実施形態では、電気接点表面116と、本体102を通る電気的フィードスルー120との間に、電気的絶縁物質から作られたリベット118が存在し、これは、電気的フィードスルー120と電気接点表面116との間の電気接続を取り囲む。
【0162】
図4において、エンドキャップ112が本体102の排気開口部126を覆うことを更に見てとることができる。排気開口部126を通じて、本体102の製造中、空気が最初に排出され、その後、希ガス124、例えばネオンが本体102の内側に導入された。次に、排気開口部126が閉じられた。
【0163】
エンドキャップ112は、第1の端部103から開始して接続領域106の少なくとも一部にわたって延びるスリーブ領域114を更に含む。スリーブ領域114は、長さLおよび直径Dを有する。図3に表す実施形態において、エンドキャップ112を本体102上に締め付けるために、本体102とエンドキャップ112のスリーブ領域114との間に配置されたエポキシ接着剤122が用いられる。
【0164】
図5は、トランスフォーマ26の出力側28における無線周波数電気パルス200の質的プロファイルを示す。無線周波数電気パルス200は、図6に示し、コントローラ18のパルス発生器17によって生成される励起パルス210がトランスフォーマ26に適用された後に生成される。励起パルス210は、共鳴トランスフォーマ(図1aを参照)として構成されたトランスフォーマ26を励起して振動させ、それによって、処置具100の電気励起のための無線周波数電気パルス200として用いられる高電圧無線周波数が生成されるようにする。
【0165】
図5および図6において、電圧はY軸上にプロットされ、時間はX軸上にプロットされる。図6に示す励起パルス210は、例えば、DC電圧が、半導体スイッチ、例えばMOSFETによって再びオンおよびオフにされることによって得られる。図5および図6は、それぞれ単一のパルスを示す。
【0166】
図5に表す無線周波数電気パルス200は、示す例において指数関数的減衰を辿るエンベロープ202を有する。無線周波数電気パルス200のパルス幅、またはパルス持続時間は、ここで、エンベロープ202の減衰がA/eの値まで降下するまでの時間として定義することができ、ここで、Aは最大振幅であり、eはオイラー数である。
【0167】
本発明は、ここで記載する例示的な実施形態およびここで強調される態様に限定されるものではない。むしろ、特許請求の範囲によって指定される範囲内で、当業者の能力内にある多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0168】
10 装置
12 ハウジング
12a ハンドルセクション
13 ハウジングシールド
14 器具案内具
16 電気エネルギー貯蔵ユニット
17 パルス発生器
17a 電圧源
17b スイッチ
18 コントローラ
20 安全デバイス
201 第1の抵抗器
202 第2の抵抗器
203 インピーダンスコンバータ
204 ダイオード
205 スイッチ
206 コンデンサ
207 電圧測定手段
22 充電端子
24 制御要素
26 トランスフォーマ
262 コア
264 コイル区画
27 入力側
27a 第1の入力側端子
27b 第2の入力側端子
270 一次コイル
28 出力側
28a 第1の出力側端子
28b 第2の出力側端子
280 二次コイル
282 コイルセグメント
284 接続部
30 電気ばね接点
32 クランプデバイス
100 処置具
102 本体
103 第1の側
104 第2の側
106 接続領域
108 バルブ領域
110 電極
112 エンドキャップ
114 スリーブ領域
116 電気接点表面
118 リベット
120 電気的フィードスルー
122 エポキシ接着剤
124 希ガス
126 排気開口部
200 無線周波数電気パルス
202 エンベロープ
210 励起パルス
D 直径(S=接続領域、H=スリーブ領域、K=バルブ領域)
L 長さ(S=接続領域、H=スリーブ領域、K=バルブ領域)
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】