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特表2023-535097電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置
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  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図1
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図2
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図3
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図4
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図5
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図6
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図7
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図8
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図9
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図10
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図11
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図12
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図13
  • 特表-電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(54)【発明の名称】電池の筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20230807BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20230807BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20230807BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20230807BHJP
   H01M 50/24 20210101ALI20230807BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20230807BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20230807BHJP
【FI】
H01M50/204 201
H01M50/204 401H
H01M10/6567
H01M10/6563
H01M50/30
H01M50/24
H01M10/6551
H01M50/204 401F
H01M50/204 401Z
H01M10/625
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504838
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2020121991
(87)【国際公開番号】W WO2022082388
(87)【国際公開日】2022-04-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲豐▼▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】汪 文礼
(72)【発明者】
【氏名】薛 城
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】胡 浪超
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB01
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA37
5H040AS07
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AY08
5H040AY10
(57)【要約】
本願の実施例は、電池に使用される筐体(11)、電池(10)、電力利用装置、電池を製造する方法(300)及び装置(400)を提供する。前記筐体(11)は、前記筐体(11)内に収容された電池セル(20)の温度を調節するための熱管理部材(13)と、前記筐体(11)内外のガスを連通するための貫通孔(110c)が設置された第1壁(110)と、前記貫通孔(110c)を遮蔽して、前記貫通孔(110c)を通じて前記筐体(11)内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材(13)に付着した凝縮部材(16)と、を含む。本願の実施例にかかる技術的解決手段は、電池(10)の安全性を強化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(11)内に収容された電池セル(20)の温度を調節するための熱管理部材(13)と、
前記筐体(11)内外のガスを連通するための貫通孔(110c)が設置された第1壁(110)と、
前記貫通孔(110c)を遮蔽して、前記貫通孔(110c)を通じて前記筐体(11)内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材(13)に付着した凝縮部材(16)と、を含む、
ことを特徴とする電池に使用される筐体。
【請求項2】
前記凝縮部材(16)は、前記筐体(11)の内面に設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記熱管理部材(13)は、前記第1壁(110)と交差し、前記凝縮部材(16)の第1部分は、前記熱管理部材(13)に付着するように前記熱管理部材(13)に沿って延在し、前記凝縮部材(16)の第2部分は、前記貫通孔(110c)を遮蔽するように前記第1壁(110)に沿って延在する、
ことを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記凝縮部材(16)は、前記貫通孔(110c)を遮蔽するカバー状構造(161)を含む、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の筐体。
【請求項5】
前記カバー状構造(161)は、前記第1壁(110)の前記貫通孔(110c)の周囲における領域に付着し、ガスが前記筐体(11)に流れ込むための第1開口(161a)を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の筐体。
【請求項6】
前記第1開口(161a)は、前記カバー状構造(161)の、重力方向と逆方向である第1方向に設置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の筐体。
【請求項7】
前記第1開口(161a)は、前記筐体(11)内の消火システムの配管の接続部に対応し、前記第1開口(161a)は、前記接続部で流体が漏れる時、前記接続部で漏れた流体を収集することにさらに用いられる、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の筐体。
【請求項8】
前記カバー状構造(161)は、半球形と四角形である、
ことを特徴とする請求項4~7の何れか1項に記載の筐体。
【請求項9】
前記凝縮部材(16)は、前記カバー状構造(161)における凝縮液を前記熱管理部材(13)にガイドするための流路(162)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4~8の何れか1項に記載の筐体。
【請求項10】
前記凝縮部材(16)の前記流路(162)両側における部分は、前記熱管理部材(13)又は前記第1壁(110)に付着している、
ことを特徴とする請求項9に記載の筐体。
【請求項11】
前記カバー状構造(161)は、前記カバー状構造(161)における凝縮液を前記流路(162)にガイドするための、前記流路(162)に対応する第2開口(161b)を有する、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の筐体。
【請求項12】
前記第2開口(161b)は、前記カバー状構造(161)の、重力方向である第2方向に設置されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の筐体。
【請求項13】
前記熱管理部材(13)には、前記流路(162)内の凝縮液の重力が閾値に達する時に前記流路(162)内の凝縮液を前記筐体(11)から排出するための一方向重り弁(130)が設置されている、
ことを特徴とする請求項9~12の何れか1項に記載の筐体。
【請求項14】
前記筐体(11)は、前記筐体(11)内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機構(17)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載の筐体。
【請求項15】
前記第1壁(110)は、前記筐体(11)の内壁である第1サブ壁(110a)と、前記筐体(11)の外壁である第2サブ壁(110b)とを含み、前記第1サブ壁(110a)と前記第2サブ壁(110b)との間にキャビティが形成され、前記第1サブ壁(110a)に前記貫通孔(110c)が設置されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の筐体。
【請求項16】
前記第2サブ壁(110b)に前記圧力平衡機構(17)が設置され、前記筐体(11)外部から前記圧力平衡機構(17)を通じて前記キャビティに流れ込んだガスは、前記貫通孔(110c)を通じて前記筐体(11)内部へ流れ込む、
ことを特徴とする請求項15に記載の筐体。
【請求項17】
前記第1壁(110)は、前記圧力平衡機構(17)を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを前記キャビティに凝縮することに用いられる、
ことを特徴とする請求項16に記載の筐体。
【請求項18】
前記貫通孔(110c)の軸線は、前記圧力平衡機構(17)の軸線と重なっていない、
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の筐体。
【請求項19】
前記貫通孔(110c)の前記第2サブ壁(110b)における正投影は、前記圧力平衡機構(17)と重なっていない、
ことを特徴とする請求項18に記載の筐体。
【請求項20】
前記キャビティ内には、前記圧力平衡機構(17)を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを凝縮するためのリブ(110d)が設置されている、
ことを特徴とする請求項16~19の何れか1項に記載の筐体。
【請求項21】
前記リブ(110d)は、前記圧力平衡機構(17)から前記貫通孔(110c)までのガス通路に設置されている、
ことを特徴とする請求項20に記載の筐体。
【請求項22】
前記リブ(110d)は、前記第1サブ壁(110a)に固定される、
ことを特徴とする請求項20又は21に記載の筐体。
【請求項23】
前記リブ(110d)は、前記圧力平衡機構(17)の中心から前記貫通孔(110c)の中心までの結び線に平行である、
ことを特徴とする請求項20~22の何れか1項に記載の筐体。
【請求項24】
前記筐体(11)内に収容された複数の電池セル(20)と、
請求項1~23の何れか1項に記載の筐体(11)と、を含む、
ことを特徴とする電池。
【請求項25】
請求項24に記載の電池(10)を含む、
ことを特徴とする電力利用装置。
【請求項26】
前記電力利用装置は、車両(1)、船舶又は宇宙機である、
ことを特徴とする請求項25に記載の電力利用装置。
【請求項27】
複数の電池セル(20)を提供すること(310)と、
前記筐体(11)内に収容された電池セル(20)の温度を調節するための熱管理部材(13)と、
前記筐体(11)内外のガスを連通するための貫通孔(110c)が設置された第1壁(110)と、
前記貫通孔(110c)を遮蔽して、前記貫通孔(110c)を通じて前記筐体(11)内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材(13)に付着した凝縮部材(16)と、を含む、筐体(11)を提供すること(320)と、
前記複数の電池セル(20)を前記筐体(11)内に収容すること(330)と、を含む、
ことを特徴とする電池を製造する方法。
【請求項28】
前記熱管理部材(13)は、前記第1壁(110)と交差し、前記凝縮部材(16)の第1部分は、前記熱管理部材(13)に付着するように前記熱管理部材(13)に沿って延在し、前記凝縮部材(16)の第2部分は、前記貫通孔(110c)を遮蔽するように前記第1壁(110)に沿って延在する、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記凝縮部材(16)は、前記貫通孔(110c)を遮蔽するカバー状構造(161)を含む、
ことを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記カバー状構造(161)は、前記第1壁(110)の前記貫通孔(110c)の周囲における領域に付着し、ガスが前記筐体(11)に流れ込むための第1開口(161a)を有する、
ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記凝縮部材(16)は、前記カバー状構造(161)における凝縮液を前記熱管理部材(13)にガイドするための流路(162)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
複数の電池セル(20)を提供することと、
前記筐体(11)内に収容された電池セル(20)の温度を調節するための熱管理部材(13)と、
前記筐体(11)内外のガスを連通するための貫通孔(110c)が設置された第1壁(110)と、
前記貫通孔(110c)を遮蔽して、前記貫通孔(110c)を通じて前記筐体(11)内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材(13)に付着した凝縮部材(16)と、を含む、筐体(11)を提供することに用いられる提供モジュール(410)と、
前記複数の電池セル(20)を前記筐体(11)内に収容するための取付モジュール(420)と、を含む、
ことを特徴とする、電池を製造する装置(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、電池分野に関し、より具体的には、電池に使用される筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ・排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電気自動車は、省エネ及び環境に優しいという利点により、自動車業界の持続可能な発展の重要な部分になっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関する重要な要素でもある。
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させることに加えて、安全性も無視できない問題である。電池の安全性が保証できない場合、該電池は使用できなくなる。
【0004】
電池が高温高湿環境において、電池の筐体内で凝縮液が生成しやすく、安全リスクを引き起こし、電池の安全性に影響を与える。従って、電池の安全性を如何に強化するかは、電池技術において解決すべき緊急の技術的問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、電池の安全性を強化できる、電池に使用される筐体、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、前記筐体内に収容された電池セルの温度を調節するための熱管理部材と、前記筐体内外のガスを連通するための貫通孔が設置された第1壁と、前記貫通孔を遮蔽して、前記貫通孔を通じて前記筐体内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材に付着した凝縮部材と、を含む、電池に使用される筐体を提供する。
【0007】
本願の実施例にかかる技術的解決手段では、凝縮部材が熱管理部材に付着し、筐体内外のガスを連通する貫通孔を遮蔽して、貫通孔を通じて筐体内に流れ込んだガスを凝縮することで、凝縮液が筐体内の電気的接続領域から離れることが可能であるので、電池の安全性を強化できる。
【0008】
幾つかの実施例において、前記凝縮部材は、前記筐体の内面に設置されている。
【0009】
幾つかの実施例において、前記熱管理部材は、前記第1壁と交差し、前記凝縮部材の第1部分は、前記熱管理部材に付着するように前記熱管理部材に沿って延在し、前記凝縮部材の第2部分は、前記貫通孔を遮蔽するように前記第1壁に沿って延在する。
【0010】
幾つかの実施例において、前記凝縮部材は、前記貫通孔を遮蔽するカバー状構造を含む。
【0011】
幾つかの実施例において、前記カバー状構造は、前記第1壁の前記貫通孔の周囲における領域に付着し、ガスが前記筐体に流れ込むための第1開口を有する。
【0012】
幾つかの実施例において、前記第1開口は、前記カバー状構造の、重力方向と逆方向である第1方向に設置されている。
【0013】
カバー状構造が貫通孔を遮蔽することによって、貫通孔に達したガスがカバー状構造161により凝縮されて、凝縮効果を向上させることが可能である。筐体内外の圧力のバランスを取るために、凝縮後のガスは、カバー状構造の第1開口を介して筐体内部に入ることができる。
【0014】
幾つかの実施例において、前記第1開口は、前記筐体内の消火システムの配管の接続部に対応し、前記第1開口は、前記接続部で流体が漏れる時、前記接続部で漏れた流体を収集することにさらに用いられる。
【0015】
このように、接続部で漏れた流体が筐体内で拡散することによる安全リスクを防止することができる。
【0016】
幾つかの実施例において、前記カバー状構造は、半球形と四角形である。
【0017】
幾つかの実施例において、前記凝縮部材は、前記カバー状構造における凝縮液を前記熱管理部材にガイドするための流路をさらに含む。
【0018】
幾つかの実施例において、前記凝縮部材の前記流路両側における部分は、前記熱管理部材又は前記第1壁に付着している。
【0019】
幾つかの実施例において、前記カバー状構造は、前記カバー状構造における凝縮液を前記流路にガイドするための前記流路に対応する第2開口を有する。
【0020】
幾つかの実施例において、前記第2開口は、前記カバー状構造の、重力方向である第2方向に設置されている。
【0021】
幾つかの実施例において、前記熱管理部材には、前記流路内の凝縮液の重力が閾値に達する時に前記流路内の凝縮液を前記筐体から排出するための一方向重り弁が設置されている。
【0022】
カバー状構造と流路によって、凝縮液又は消火配管の接続部で漏れた流体を熱管理部材にガイドすることができる。凝縮液又は漏れた流体が多い場合、一方向重り弁によって、それらを筐体から排出して、電池の安全性を保証することができる。
【0023】
幾つかの実施例において、前記筐体は、前記筐体内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機構をさらに含む。
【0024】
幾つかの実施例において、前記第1壁は、前記筐体の内壁である第1サブ壁と、前記筐体の外壁である第2サブ壁とを含み、前記第1サブ壁と前記第2サブ壁との間にキャビティが形成され、前記第1サブ壁に前記貫通孔が設置されている。
【0025】
幾つかの実施例において、前記第2サブ壁に前記圧力平衡機構が設置され、前記筐体外部から前記圧力平衡機構を通じて前記キャビティに流れ込んだガスは、前記貫通孔を通じて前記筐体内部へ流れ込む。
【0026】
幾つかの実施例において、前記第1壁は、前記圧力平衡機構を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを前記キャビティに凝縮することに用いられる。
【0027】
第1サブ壁と第2サブ壁はキャビティを形成することができる。このように、筐体外部のガスがキャビティに入った後、キャビティに凝縮され、キャビティ内に凝縮液を形成し、また、キャビティが存在するため、ガスの凝縮空間を拡大させ、凝縮効果をさらに向上させた。
【0028】
幾つかの実施例において、前記貫通孔の軸線は、前記圧力平衡機構の軸線と重なっていない。
【0029】
幾つかの実施例において、前記貫通孔の前記第2サブ壁における正投影は、前記圧力平衡機構と重なっていない。
【0030】
貫通孔と圧力平衡機構がずれるように設置されることで、ガスのキャビティ内を通過する通路を長くし、ガスに対する凝縮効果を向上させることができる。
【0031】
幾つかの実施例において、前記キャビティ内には、前記圧力平衡機構を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを凝縮するためのリブが設置されている。
【0032】
リブを設置することによって、ガスの凝縮面積を拡大させて、ガスに対する凝縮効果を向上させることができる。
【0033】
幾つかの実施例において、前記リブは、前記圧力平衡機構から前記貫通孔までのガス通路に設置されている。
【0034】
このように、ガスは、圧力平衡機構から貫通孔へ流れる時にリブと接触することで、リブにより凝縮され、凝縮効果を向上させる。
【0035】
幾つかの実施例において、前記リブは、前記第1サブ壁に固定される。
【0036】
幾つかの実施例において、前記リブは、前記圧力平衡機構の中心から前記貫通孔の中心までの結び線に平行である。
【0037】
このように、リブの凝縮効果を達成できるだけでなく、ガスの流通を妨げることなくリブによって気流をガイドして、筐体内外の圧力のバランスを保証することもできる。
【0038】
第2態様によれば、前記筐体内に収容された複数の電池セルと、第1態様の筐体とを含む電池を提供する。
【0039】
第3態様によれば、第2態様の電池を含む電力利用装置を提供する。
【0040】
幾つかの実施例において、前記電力利用装置は、車両、船舶又は宇宙機である。
【0041】
第4態様によれば、複数の電池セルを提供することと、前記筐体内に収容された電池セルの温度を調節するための熱管理部材と、前記筐体内外のガスを連通するための貫通孔が設置された第1壁と、前記貫通孔を遮蔽して、前記貫通孔を通じて前記筐体内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材に付着した凝縮部材と、を含む筐体を提供することと、前記複数の電池セルを前記筐体内に収容することと、を含む電池を製造する方法を提供する。
【0042】
幾つかの実施例において、前記熱管理部材は、前記第1壁と交差し、前記凝縮部材の第1部分は、前記熱管理部材に付着するように前記熱管理部材に沿って延在し、前記凝縮部材の第2部分は、前記貫通孔を遮蔽するように前記第1壁に沿って延在する。
【0043】
幾つかの実施例において、前記凝縮部材は、前記貫通孔を遮蔽するカバー状構造を含む。
【0044】
幾つかの実施例において、前記カバー状構造は、前記第1壁の前記貫通孔の周囲における領域に付着し、ガスが前記筐体に流れ込むための第1開口を有する。
【0045】
幾つかの実施例において、前記凝縮部材は、前記カバー状構造における凝縮液を前記熱管理部材にガイドするための流路をさらに含む。
【0046】
第5態様によれば、上記第4態様の方法を実行するモジュールを含む電池を製造する装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
ここで説明される図面は、本願をより良く理解させるためのものであり、本願の一部を構成し、本願の概略的実施例及びその説明は本願を解釈するものであり、本願を不当に限定するものではない。図面において、
【0048】
図1】本願の一実施例にかかる車両の模式図である。
図2】本願の一実施例にかかる電池の概略構成図である。
図3】本願の一実施例にかかる電池モジュールの概略構成図である。
図4】本願の一実施例にかかる電池セルの分解図である。
図5】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図6】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図7】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図8】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図9】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図10】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図11】本願の幾つかの実施例にかかる筐体の概略構成図である。
図12】本願の一実施例にかかる電池の概略的部分構成図である。
図13】本願の一実施例にかかる電池を製造する方法の概略的フローチャートである。
図14】本願の一実施例にかかる電池を製造する装置の概略的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、本願の実施例における図面に合わせて、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明する。明らかに、説明される実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。当業者が、本願の実施例に基づいて、創造的な労力を要することなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0050】
別段の定義がない限り、本願で使用される全ての技術と科学用語は、当業者に通常理解される意味と同じである。本願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限することを意図しない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語「含む」、「有する」及びそれらのすべての変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序やメインとサブの関係を説明するためのものではなく、異なる対象を区別するために使用される。
【0051】
本願で言及される「実施例」は、実施例に合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性は、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の各所に現れる語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と互いに排他的である別個又は代替な実施例でもない。本願で説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることは、当業者によって明示的及び暗黙的に理解される。
【0052】
なお、本願の説明において、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」、「付着」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結してもよく、中間仲介部材によって間接的に連結してもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0053】
本願において、「及び/又は」という用語は、関連対象を説明するための相関関係に過ぎず、3種類の関係が存在できることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つのケースを示すことができる。また、本願において、文字「/」は一般的に、前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0054】
本願で出現される「複数」とは2つ以上(2つを含む)を指す。同様に、「複数グループ」とは、2グループ以上(2グループを含む)を指し、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0055】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などであってもよく、本願の実施例はこれについても限定しない。電池セルは一般に、包装方法に応じて、円筒形電池セル、四角形電池セル及びパウチ電池セルの3つのタイプに分けられ、本願の実施例はこれについても限定しない。
【0056】
本願で言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は一般的に、1つ又は複数の電池セルをカプセル化するための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えるのを防ぐことができる。
【0057】
電池セルは、正極プレート、負極プレート及びセパレータで構成された電極アセンブリと、電解液と、を含む。電池セルは主に、金属イオンが正極プレートと負極プレートとの間を移動することにより動作する。正極プレートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面にコーティングされ、正極活物質層でコーティングされていない集電体は、正極活物質層でコーティングされた集電体から突出し、正極活物質層でコーティングされていない集電体は正極タブとして使用されている。リチウムイオン電池を例に挙げると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極プレートは負極集電体と、負極活物質層と、を含み、負極活物質層は負極集電体の表面にコーティングされ、負極活物質層でコーティングされていない集電体は、負極活物質層でコーティングされた負極集電体から突出し、負極活物質層でコーティングされていない集電体は負極タブとして使用されている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素などであってもよい。溶断せずに大きな電流を通すことを確保するように、正極タブは複数であり、積み重ねられており、負極タブは複数であり、積み重ねられている。セパレータの材質はPP又はPEなどであってもよい。又、電極アセンブリは、巻取構造であっても、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0058】
電池技術の発展では、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータなど、多くの設計要素を同時に考慮する必要がある。また、電池の安全性も考慮する必要がある。
【0059】
電池セルに関しては、主な安全リスクは充放電プロセスに起因すると同時に、適切な環境温度設計にも関係ある。不必要な損失を効果的に回避するために、電池セルには一般的に、少なくとも3つの保護措置がある。具体的には、保護措置には、少なくともスイッチ素子と、適切なセパレータ材料及び圧力解放機構の選択とが含まれる。スイッチ素子は、電池セル内の温度又は抵抗が一定の閾値に達する時に電池の充電又は放電を停止できる素子を指す。セパレータは正極プレートと負極プレートを仕切ることに使用され、温度が一定の値に上昇する時に、それに付着したマイクロスケール(又はナノスケール)の微細孔を自動的に溶解することができるので、金属イオンはセパレータを通過できず、電池セルの内部反応を停止させる。
【0060】
圧力解放機構は、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する時に内部圧力又は温度を解放するように作動する素子又は部材を指す。該閾値の設計は設計要求によって異なる。前記閾値は、電池セル内の正極プレート、負極プレート、電解液及びセパレータの1つ又は複数の材料に依存する可能性がある。圧力解放機構は、防爆弁、ガス弁、圧力解放弁又は安全弁などの形態を用いることができ、具体的には圧力感応又は温度感応素子又は構造を用いることができる。即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する時、圧力解放機構が動作を実行するか、又は圧力解放機構に設けられた弱い構造が破壊されて、内部圧力又は温度を解放することが可能な開口又は通路を形成する。
【0061】
本願で言及される「作動」は、圧力解放機構が動作するか、又は一定の状態にアクティブ化されて、電池セルの内部圧力及び温度が解放されることを意味する。圧力解放機構によって発生される動作には、圧力解放機構の少なくとも一部が破裂すること、破砕すること、引き裂かれること、又は開放されることなどが含まれるが、これらに限定されない。圧力解放機構が作動する場合、電池セル内の高温高圧物質が作動部分から排出物として排出される。このようにして、制御可能な圧力又は温度下で電池セルの圧力と温度を解放させ、潜在的でより深刻な事故を回避することができる。
【0062】
本願で言及される電池セルの排出物には、電解液、溶解又は分割された正極プレートと負極プレート、セパレータの破片、反応によって生成された高温高圧ガス、火炎などが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
電池セルにおける圧力解放機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡や過充電などの現象が発生する時、電池セル内で熱暴走が発生し、圧力又は温度が急激に上昇する可能性がある。この場合、圧力解放機構の作動により、内部圧力及び温度を外部へ解放し、電池セルの爆発や発火を防止することができる。
【0064】
現在の圧力解放機構の設計方法において、主に電池セル内の高圧と高熱の解放、即ち、前記排出物の電池セル外への排出を焦点に当てる。高温高圧の排出物は、電池セルの圧力解放機構が設置された方向へ排出され、より具体的には、圧力解放機構が作動する領域の方向に沿って排出される。このような排出物は、該方向における1つ又は複数の構造を突破するのに十分なほど強力で破壊的であり、安全上の問題を引き起こす可能性がある。また、電池セル内で熱暴走が発生した後、電池セル内の高圧と高熱が発生し続け、継続的な安全リスクにつながる可能性がある。
【0065】
上記問題に対して、電池の筐体内に消火システムを設置し、消火システムの消火配管は、電池セルの圧力解放機構が設置された壁の上方に設置されている。圧力解放機構が作動する時、消火配管から消火媒体を排出して、圧力解放機構から排出された排出物の温度を下げ、排出物の危険性を低減することができる。消火媒体は、さらに、作動後の圧力解放機構を通じて電池セル内に流れ込むことができ、それにより電池セルの温度をさらに下げ、電池の安全性を強化することができる。例えば、圧力解放機構が作動する時に電池セル内から排出された排出物によりして、該消火配管が破壊されることで、消火配管内の消火媒体を排出することができる。
【0066】
本願の実施例における消火配管は消火媒体を収容することに用いられる。ここでの消火媒体は、液体又はガスなどの流体であってもよい。圧力解放機構が該消火配管を破壊していない場合、該消火配管にいずれの物質も収容されず、圧力解放機構が作動する場合、消火配管に消火媒体が収容されることが可能である。例えば、弁の開閉によって消火媒体が消火配管に入るように制御できる。又は、圧力解放機構が破壊されていない場合、該消火配管には常に消火媒体が収容されていてもよく、該消火媒体は、さらに、電池セルの温度を調節することにも用いられ得る。温度の調節とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを意味する。電池セルを冷却又は降温する場合、該消火配管は、冷却流体を収容して、複数の電池セルの温度を下げることに用いられる。この場合、消火配管は、冷却部材、冷却システム又は冷却配管などと呼ばれてもよい。それが収容した消火媒体は、冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと呼ばれてもよい。選択可能に、前記消火媒体は、より良い温度調節の効果を達成するように、繰り返して流れるものであってもよい。選択可能に、消火媒体は水、水とグリコールとの混合液又は空気などであってもよい。
【0067】
電池が高温高湿環境において、電池の筐体内で凝縮液が生成しやすく、安全リスクを引き起こし、電池の安全性に影響を与える。具体的には、電池内の高温高湿のガスが、電池の筐体内の消火配管などの低温部材に接する時、凝縮液が生成され、該凝縮液が電池内の電気的接続領域に滴下されると、電池の安全性に影響を与える可能性がある。
【0068】
このことを鑑みて、本願は、凝縮部材を熱管理部材に付着し、電池の筐体内外のガスを連通する貫通孔を遮蔽することで、貫通孔を通じて筐体内に流れ込んだガスを凝縮するという技術的解決手段を提供する。このように、凝縮液が筐体内の電気的接続領域から離れることが可能であるので、電池の安全性を強化できる。
【0069】
熱管理部材は、流体を収容して、複数の電池セルの温度を調節することに用いられる。ここでの流体は液体又はガスであってもよく、温度の調節は、複数の電池セルを加熱又は冷却することを意味する。電池セルを冷却又は降温する場合、該熱管理部材は、冷却流体を収容して、複数の電池セルの温度を下げることに用いられる。この場合、熱管理部材は、冷却部材、冷却システム又は冷却プレートなどと呼ばれてもよい。それが収容した流体は、冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと呼ばれてもよい。また、熱管理部材は、加熱して複数の電池セルの温度を上げることにも使用される。本願の実施例はこれについて限定しない。選択可能に、前記流体は、より良い温度調節の効果を達成するように、繰り返して流れるものであってもよい。選択可能に、流体は水、水とグリコールとの混合液又は空気などであってもよい。
【0070】
凝縮部材は熱管理部材に付着し、電池の筐体内外のガスを連通する貫通孔を遮蔽して、貫通孔を通じて筐体内に流れ込んだガスを凝縮することに用いられる。凝縮部材は、金属のような熱伝導性に優れた材料を使用できる。貫通孔を遮蔽して、貫通孔を通じて筐体内に流れ込んだガスを凝縮することができれば、凝縮部材は、様々な可能な形状及び設置方法を使用できる。
【0071】
電池の筐体は、複数の電池セル、合流部材及び電池の他の部材を収容することに用いられる。幾つかの実施例において、筐体には、電池セルを固定するための構造が設置されてもよい。筐体の形状は、収容された複数の電池セルによって決定される。幾つかの実施例において、筐体は、6つの壁を有する四角形であってもよい。
【0072】
合流部材は、複数の電池セル間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は混合接続を実現して、高い電圧出力を形成することに使用される。合流部材は、電池セルの電極端子を接続することによって、電池セル間の電気的接続を実現することができる。幾つかの実施例において、合流部材は、溶接によって電池セルの電極端子に固定することができる。合流部材により形成された電気的接続は「高圧接続」と呼ばれてもよい。
【0073】
合流部材に加えて、電池には、電池セルの状態を感知するためのセンサが設置されてもよい。本願の実施例において、電池内の電気的接続は、合流部材により形成された電気的接続及び/又はセンサにおける電気的接続を含んでもよい。
【0074】
電池の筐体には、筐体内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機構がさらに設置されてもよい。例えば、筐体内の圧力が筐体外よりも高い場合、筐体内のガスは圧力平衡機構を通じて筐体外へ流出することができる。筐体内の圧力が筐体外よりも低い場合、筐体外のガスは圧力平衡機構を通じて筐体内へ流入することができる。
【0075】
以上に説明される電池の筐体内の各部材は、本願の実施例に対する限定と解釈されるべきではなく、即ち、本願の実施例にかかる電池に使用される筐体は、上記部材を含んでもよく、上記部材を含んでいなくてもよいことを理解されたい。
【0076】
本願の実施例に説明される技術的解決手段は、いずれも、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電動自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船舶、及び飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙シャトルなどを含む宇宙機のような、電池を使用する様々な装置に適用される。
【0077】
本願の実施例に説明される技術的解決手段は、上述したデバイスに適用されるだけでなく、電池を使用する全てのデバイスにも適用可能であることを理解されたい。しかし、説明の便宜上、下記実施例はいずれも、電気自動車を例として説明する。
【0078】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例にかかる車両1の概略構成図である。車両1は、燃料自動車、ガソリン自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車はバッテリー式電気自動車、ハイブリッド車又はレンジエクステンダー式電気自動車などであってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよい。コントローラ30は、電池10がモータ40に電力を提供するように制御するために用いられる。例えば、車両1の底部又は車両の前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は車両1に電力を提供することに用いられてもよい。例えば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに使用されてもよい。例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例において、電池10は車両1の操作電源だけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は一部代替して車両1に駆動の動力を提供することもできる。
【0079】
様々な使用電力需要を満たすために、電池10は、複数の電池セル20を含んでもよく、そのうち、複数の電池セル20間は直列接続、並列接続又は混合接続されてもよい。混合接続とは、直列接続と並列接続を混合したものを指す。電池は電池パックと呼ばれてもよい。選択可能に、複数の電池セル20はまず直列接続又は並列接続又は混合接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は混合接続されて電池10を構成することができる。即ち、複数の電池セル20は電池10を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成して、電池モジュールがさらに電池10を構成してもよい。
【0080】
例えば、図2に示すように、本願の一実施例にかかる電池10の概略構成図である。電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池10は筐体11をさらに含んでもよい。筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20が筐体11内に収容されている。図2に示すように、筐体11は、ここでそれぞれ第1部分111(上筐体)と第2部分112(下筐体)と呼ばれる2つの部分を含んでもよく、第1部分111と第2部分112が嵌合されている。第1部分111と第2部分112の形状は複数の電池セル20が組み合わせた形状に応じて決定され、第1部分111と第2部分112はいずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分111と第2部分112はいずれも、中空の長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であり、第1部分111の開口と第2部分112の開口が対向して設置され、且つ第1部分111と第2部分112は互いに嵌合して密閉チャンバーを有する筐体11を形成する。複数の電池セル20は、互いに並列接続又は直列接続又は混合接続されて組み合わせた後、第1部分111と第2部分112によって嵌合後に形成された筐体11内に置かれる。
【0081】
選択可能に、電池10は、他の構造を含んでもよく、ここで重複する説明を省略する。例えば、該電池10は、複数の電池セル20間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は混合接続を実現するための合流部材をさらに含んでもよい。具体的には、合流部材は、電池セル20の電極端子を接続することによって、電池セル20間の電気的接続を実現することができる。さらに、合流部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定され得る。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに、導電機構によって筐体11を通過して導出され得る。選択可能に、導電機構は合流部材に属してもよい。
【0082】
様々な電力需要に応じて、電池セル20の数は任意の数に設置されてもよい。大きな容量又は電力を実現するために、複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は混合接続されてもよい。各電池10に含まれている電池セル20の数が多い可能性があるので、組立を容易にするために、電池セル20をグループに分けて設置して、各グループの電池セル20で電池モジュールを構成することができる。電池モジュールに含まれている電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設置されてもよい。例えば、図3は、電池モジュールの一例である。電池は、直列接続、並列接続又は混合接続によって接続された複数の電池モジュールを含んでもよい。図4に示すように、本願の一実施例にかかる電池セル20の概略構成図である。電池セル20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22、ケース211及びカバープレート212を含む。図4に示される座標系は図3と同じである。ケース211及びカバープレート212によってハウジング又は電池パック21が形成される。ケース211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定される。例えば、ケース211は、中空の長方体又は正方体又は円柱体であってもよく、1つ又は複数の電極アセンブリ22をケース211内に置くことができるように、ケース211の1つの面は開口を有する。例えば、ケース211が中空の長方体又は正方体である場合、ケース211の1つの平面は開口面であり、即ち、ケース211内外が通じ合うように該平面は壁体を有しない。ケース211が中空の円柱体であってもよい場合、ケース211の端面は開口面であり、即ち、ケース211内外が通じ合うように該端面は壁体を有しない。カバープレート212は開口を被覆し、ケース211と接続されて、電極アセンブリ22が置かれる密閉のチャンバーが形成される。ケース211内に電解液、例えば、電解質が充填されている。
【0083】
該電池セル20は、カバープレート212に設置された2つの電極端子214をさらに含んでもよい。カバープレート212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214は、カバープレート212の平面に固定され、それぞれ、正電極端子214aと負電極端子214bである。各電極端子214には、接続部材23がそれぞれ対応して設置される。接続部材23は、又は合流部材と呼ばれてもよく、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するために、カバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置する。
【0084】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221aと第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、一方の接続部材23を介して一方の電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは、他方の接続部材23を介して他方の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは、一方の接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは、他方の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0085】
該電池セル20において、実際の必要に応じて、電極アセンブリ22は、1つ又は複数に設置されてもよい。図4に示すように、電池セル20には、4つの独立した電極アセンブリ22が設置されている。
【0086】
電池セル20には、さらに、圧力解放機構213が設置されてもよい。圧力解放機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達する時に作動して、内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0087】
圧力解放機構213は、様々な可能な圧力解放構造であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。例えば、圧力解放機構213は、圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値に達する時に溶融できるように構成された温度感応型圧力解放機構であってもよく、及び/又は、圧力解放機構213は、圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部気圧が閾値に達する時に破裂できるように構成された圧力感応型圧力解放機構であってもよい。
【0088】
図5は、本願の一実施例にかかる電池に使用される筐体11の模式図である。図5に示すように、筐体11は、熱管理部材13、第1壁110及び凝縮部材16を含んでもよい。
【0089】
熱管理部材13は、筐体11内に収容された電池セル20の温度を調節することに用いられる。電池セル20の温度を下げる場合、該熱管理部材13は、冷却媒体を収容して、複数の電池セル20の温度を調節することができる。この場合、熱管理部材13は、冷却部材、冷却システム又は冷却プレートなどと呼ばれてもよい。選択可能に、熱管理部材13に収容された流体は、より良い温度調節の効果を達成するように、繰り返して流れるものであってもよい。選択可能に、熱管理部材13は、筐体11の底部に設置されてもよい。
【0090】
第1壁110には、筐体11内外のガスを連通するための貫通孔110cが設置されている。第1壁110は、筐体11の何れか一つの壁であってもよい。選択可能に、図5に示すように、第1壁110は筐体11の側壁であってもよい。例えば、該側壁は図2の第2部分112(下筐体)の側壁であってもよい。貫通孔110cは、筐体11内外の圧力のバランスを取ることに使用可能である。例えば、筐体11内の圧力が筐体11外よりも高い場合、筐体11内のガスは貫通孔110cを通じて筐体11外へ流出することができ、筐体11内の圧力が筐体11外よりも低い場合、筐体11外部のガスは貫通孔110cを通じて筐体11内部へ流入することができる。
【0091】
凝縮部材16は熱管理部材13に付着する。凝縮部材16は、貫通孔110cを遮蔽して、貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスを凝縮することに用いられる。
【0092】
凝縮部材16は、金属のような熱伝導性に優れた材料を使用でき、本願の実施例はこれについて限定しない。貫通孔110cを遮蔽して、貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスを凝縮することができれば、凝縮部材16の形状及び設置方法は限定されない。凝縮部材16は、貫通孔110cを完全に遮蔽してもよく、貫通孔110cの一部を遮蔽してもよい。
【0093】
熱管理部材13は低い温度を維持できるため、熱管理部材13に付着した凝縮部材16の温度が低くなる。このように、筐体11の外部から貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスが凝縮部材16によって凝縮されることで、凝縮液が筐体11内の電気的接続領域から離れ、筐体11内に流れ込んだガスは、比較的に乾燥して筐体11の内部に凝縮液を再度形成することが困難であるので、電池10の安全性を強化できる。
【0094】
例えば、電池セル20間の電気的接続部、即ち合流部材により形成された電気的接続部に凝縮液がある場合、高圧間短絡を招き、安全上の問題を引き起こす可能性がある。又は、センサ内の電気的接続部に凝縮液がある場合、センサの感知が失効となり、電池管理システムに影響を与えて、さらに安全上の問題を引き起こす可能性がある。
【0095】
従って、本願の実施例において、凝縮部材16が熱管理部材13に付着し、筐体11内外のガスを連通する貫通孔110cを遮蔽して、貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスを凝縮することにより、凝縮液が筐体11内の電気的接続領域から離れることが可能であるので、電池10の安全性を強化できる。
【0096】
本願の実施例にかかる技術的解決手段は、消火システムを有する電池10に適用可能である。電池10の安全性を向上させるために、電池10には消火システムを含んでもよい。消火システムの消火配管は、電池セル20の圧力解放機構213が設置された壁(例えばカバープレート212)の上方に設置されてもよい。圧力解放機構213が作動する時、消火配管から消火媒体を排出して、圧力解放機構213から排出された排出物の温度を下げ、排出物の危険性を低減することができる。消火媒体は、さらに、作動後の圧力解放機構213を通じて電池セル20内に流れ込むことができ、それにより電池セル20の温度をさらに下げ、電池10の安全性を強化することができる。消火配管の温度が低いため、電池10内の高温高湿のガスは消火配管で凝縮して凝縮液を生成する可能性があり、該凝縮液は下方の電池10内の電気的接続領域に滴下される可能性があるため、電池10の安全性に影響を与える。
【0097】
前述の消火システムを有するシーンは、本願の実施例にかかる可能な適用シーンのみであり、本願の実施例はこれに限定されないことを理解されたい。
【0098】
選択可能に、本願の一実施例において、凝縮部材16は、筐体11の内面に設置されてもよい。
【0099】
例えば、熱管理部材13が第1壁110と交差する場合、凝縮部材16の第1部分は、熱管理部材13に付着するように熱管理部材13に沿って延在し、凝縮部材16の第2部分は、貫通孔110cを遮蔽するように第1壁110に沿って延在する。
【0100】
選択可能に、本願の一実施例において、図5又は6に示すように、凝縮部材16は、貫通孔110cを遮蔽するカバー状構造161を含んでもよい。
【0101】
選択可能に、カバー状構造161は、第1壁110の貫通孔110cの周囲における領域に付着し、ガスが筐体11に流れ込むための第1開口161aを有してもよい。第1開口161aは、カバー状構造161の、重力方向と逆方向である第1方向、即ち図中の上向きの方向に設置されてもよい。
【0102】
カバー状構造161が貫通孔110cを遮蔽することによって、貫通孔110cに達したガスはカバー状構造161により凝縮されて、凝縮効果を向上させることが可能である。筐体11内外の圧力のバランスを取るように、凝縮後のガスは、カバー状構造の第1開口161aを通じて筐体11内部に入ることができる。
【0103】
選択可能に、カバー状構造161は、貫通孔110cを完全に遮蔽してもよく、貫通孔110cの一部を遮蔽してもよい。例えば、カバー状構造161の上縁は、貫通孔110cを完全に遮蔽するように貫通孔110cの最上部より高くてもよく、貫通孔110cの一部を遮蔽するように貫通孔110cの最上部より高くなくてもよい。
【0104】
選択可能に、本願の一実施例において、第1開口161aは、筐体11内の消火システムの配管の接続部に対応する。第1開口161aは、接続部で流体が漏れる時、接続部で漏れた流体を収集することにさらに用いられる。
【0105】
筐体11内に消火システムが設置される時、消火システムの配管(消火配管)の接続部で流体が漏れる可能性がある。この場合、凝縮部材16の位置は、第1開口161aが消火配管の接続部に対応するように、消火配管の接続部の下方に設置されてもよい。このように、該接続部で流体が漏れる場合、漏れた流体も、第1開口161aを通じてカバー状構造161内に滴下されて収集される。
【0106】
消火配管の接続部で流体が漏れるが、漏れた流体が収集されない場合、筐体11内において拡散し、継続的に蒸発・凝縮し、安全リスクを引き起こす。本願の実施例にかかる方法を採用すれば、該安全リスクを低減することができる。
【0107】
選択可能に、カバー状構造161は、半球形又は四角形であってもよい。本願の実施例の効果を実現できれば、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0108】
選択可能に、本願の一実施例において、図7に示すように、凝縮部材16は、カバー状構造161における凝縮液を熱管理部材13にガイドするための流路162をさらに含む。凝縮部材16の流路162の両側における部分は、熱管理部材13又は第1壁110に付着して、凝縮部材16と熱管理部材13又は第1壁110との間の密閉を保証する。
【0109】
カバー状構造161は、カバー状構造161における凝縮液を流路162にガイドするための、流路162に対応する第2開口161bを有する。第2開口161bは、カバー状構造161の、重力方向である第2方向、即ち図7中の下向きの方向に設置されている。
【0110】
選択可能に、本願の一実施例において、図8に示すように、熱管理部材13には、流路162内の凝縮液の重力が閾値に達する時に流路162内の凝縮液を筐体11から排出するための一方向重り弁130が設置されてもよい。
【0111】
一方向重り弁130は、流路162内の液体の重力が閾値に達する時に開放し、下方へ液体を排出し、外部のガスが逆方向から入ることができない。選択可能に、開放した一方向重り弁130の重力に適合するように、流路162は、重力方向における長さが長くされてもよい。
【0112】
カバー状構造161及び流路162によって、凝縮液又は消火配管の接続部で漏れた流体を熱管理部材13にガイドすることができる。さらに、一方向重り弁130によって、凝縮液又は漏れた流体が多い時に、それらを筐体11から排出して、電池10の安全性を保証することができる。
【0113】
選択可能に、凝縮部材16は、密閉材料又は溶接によって熱管理部材13又は第1壁110に付着してもよい。該密閉材料は熱伝導性の密閉材料であってもよい。
【0114】
凝縮部材16は、その他の方法により、及び/又はその他の位置において熱管理部材13又は第1壁110に付着してもよい。本願の実施例の効果を実現できれば、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0115】
選択可能に、本願の一実施例において、筐体11は、筐体11内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機構17をさらに含んでもよい。例えば、筐体11内の圧力が筐体11外よりも高い場合、筐体11内のガスは圧力平衡機構17を通じて筐体11外へ流出することができ、筐体11内の圧力が筐体11外よりも低い場合、筐体11外のガスは圧力平衡機構17を通じて筐体11内へ流入することができる。選択可能に、第1壁110が単層壁である場合、圧力平衡機構17は貫通孔110c内に設置されてもよい。第1壁110が多層壁である場合、圧力平衡機構17と貫通孔110cは異なる層のサブ壁にそれぞれ設置されてもよい。
【0116】
選択可能に、本願の一実施例において、図9に示すように、第1壁110は第1サブ壁110aと第2サブ壁110bを含んでもよくい。そのうち、筐体11の内壁である第1サブ壁110aと、筐体11の外壁である第2サブ壁110bとの間にキャビティが形成され、第1サブ壁110aに貫通孔110cが設置されている。
【0117】
この場合、第2サブ壁110bに圧力平衡機構17が設置されてもよく、筐体11の外部から圧力平衡機構17を通じてキャビティに流れ込んだガスは、貫通孔110cを通じて筐体11内部へ流れ込む。第1壁110は、圧力平衡機構17を通じてキャビティに流れ込んだガスをキャビティに凝縮することに用いられ得る。
【0118】
第1壁110が多層壁に設置される場合、多層壁にはキャビティが形成されてもよい。例えば、図9の第1サブ壁110aと第2サブ壁110bはキャビティが形成されてもよい。このように、筐体11の外部のガスがキャビティに入った後、キャビティに凝縮され、キャビティ内に凝縮液を形成することができる。また、キャビティが存在するため、ガスの凝縮空間を拡大させ、凝縮効果をさらに向上させた。
【0119】
選択可能に、本願の別の実施例として、凝縮液又は漏れた流体を第1壁110内のキャビティにガイドして、それらが筐体11内部に蓄積されないようにしてもよい。例えば、位置がカバー状構造161よりも低く設置された、第1サブ壁110aにおける貫通孔を利用して、流路を通じて凝縮液又は漏れた流体を該貫通孔にガイドして、それらをキャビティ内へ排出する。さらに、凝縮液又は漏れた流体が多い時にそれらを筐体11の外部へ排出するように、キャビティの底部にも一方向重り弁が設置されてもよい。
【0120】
選択可能に、図9に示すように、第1サブ壁110aと第2サブ壁110bに加えて、第1壁110は、第1サブ壁110aと第2サブ壁110bを接続する第3サブ壁110eを含んでもよい。本願の実施例はこれについて限定しない。
【0121】
選択可能に、本願の一実施例において、貫通孔110cの軸線は、圧力平衡機構17の軸線と重なっていない。選択可能に、貫通孔110cの第2サブ壁110bにおける正投影は、圧力平衡機構17と重なっていない。
【0122】
図9図10に示すように、貫通孔110cと圧力平衡機構17は、それぞれ第1サブ壁110aと第2サブ壁110bに位置して、正対しない。貫通孔110cが圧力平衡機構17に正対する場合、外部ガスは圧力平衡機構17を通じてキャビティに入った後、貫通孔110cをすばやく通じて筐体11内に入り、このようにガスに対する凝縮効果に影響を与える可能性がある。本願の実施例において、貫通孔110cと圧力平衡機構17がずれるように設置されることで、ガスのキャビティ内を通過する通路を長くし、ガスに対する凝縮効果を向上させることができる。
【0123】
選択可能に、本願の一実施例において、図11に示すように、キャビティには、圧力平衡機構17を通じてキャビティに流れ込んだガスを凝縮するためのリブ110dが設置されてもよい。
【0124】
リブ110dを設置することによって、ガスの凝縮面積を拡大させて、ガスに対する凝縮効果を向上させることができる。
【0125】
リブ110dは、圧力平衡機構17から貫通孔110cまでのガス通路内に設置されてもよい。このように、ガスが圧力平衡機構17から貫通孔110cへ流れる時、リブ110dに接触して、リブ110dにより凝縮され、凝縮効果を向上させる。
【0126】
リブ110dは、第1サブ壁110aに固定されてもよい。接着、溶接、ボルト接続などによって固定されてもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。ボルト接続によって固定する場合、リブ110dに対してねじ逃げ及び穴開けを実施する。
【0127】
選択可能に、リブ110dは、圧力平衡機構17の中心から貫通孔110cの中心までの結び線に平行であってもよい。このように、リブ110dの凝縮効果を達成できるだけでなく、ガスの流通を妨げることなくリブ110dによって気流をガイドして、筐体11内外の圧力のバランスを保証することもできる。
【0128】
本願の実施例は、筐体11内に収容された複数の電池セル20と、前述の各実施例に記載されている筐体11とを含む電池10をさらに提供する。
【0129】
選択可能に、該電池10は、合流部材、センサ、消火システムなどのような他の電池部品をさらに含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0130】
図12は、本願の一実施例にかかる電池10の概略的部分構成図である。図12に示すように、該電池10は、筐体11及び複数の電池セル20を含んでもよい。
【0131】
筐体11は、前述の各実施例に記載されている筐体11であってもよい。例えば、筐体11には、熱管理部材13に付着した凝縮部材16が含まれ、凝縮部材16は、貫通孔110cを遮蔽して、貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスを凝縮することに用いられる。
【0132】
電池セル20は、前述の各実施例に記載されている電池セル20であってもよい。例えば、電池セル20は、図4中の電池セル20であってもよい。
【0133】
電池10は、複数の電池セル20の電気的接続を実現するための合流部材をさらに含んでもよい。電池10は、電池セル20の状態を感知するためのセンサをさらに含んでもよい。合流部材とセンサは電池セル20の上方に設置されてもよい。
【0134】
電池セル20のカバープレートには、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達する時に作動して、内部圧力を解放させるための圧力解放機構213が設置されてもよい。圧力解放機構213の上方には、圧力解放機構213が作動する時、消火媒体を排出して、圧力解放機構から排出した排出物の温度及び電池セル20の温度を下げるための消火配管が設置されてもよい。
【0135】
第1壁110には、筐体11内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機構17がさらに設置されてもよい。圧力平衡機構17が筐体11内外の圧力のバランスを取る時、ガスは貫通孔110cを通じて筐体11内部に流れ込む。前述の各実施例に記載されているように、ガスは筐体11内に流れ込む過程で凝縮される。このように筐体11内に流れ込んだガスは、比較的に乾燥して筐体11の内部に凝縮液を再度形成することが困難であるので、筐体11内の電気的接続領域、例えば、合流部材又はセンサの電気的接続領域が凝縮液に影響されることによる安全上の問題を回避できる。
【0136】
電池10内の各部材の具体的な説明に関しては、前述の各実施例を参照することができる。簡潔性のために、ここで重複する説明を省略する。
【0137】
本願の一実施例は、前述の各実施例の電池10を含んでもよい電力利用装置をさらに提供する。選択可能に、電力利用装置は車両1、船舶又は宇宙機であってもよい。
【0138】
以上、本願の実施例にかかる電池に使用される筐体、電池及び電力利用装置が記載されている。以下、本願の実施例にかかる電池を製造する方法及び装置を説明し、なかでも、詳述されていない部分は前述の各実施例を参照することができる。
【0139】
図13は、本願の一実施例にかかる電池を製造する方法300の概略的フローチャートを示す。図13に示すように、該方法300は、
複数の電池セル20を提供すること310と、
筐体11内に収容された電池セル20の温度を調節するための熱管理部材13と、
筐体11内外のガスを連通するための貫通孔110cが設置された第1壁110と、
貫通孔110cを遮蔽して、貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスを凝縮する、ための、熱管理部材13に付着した凝縮部材16と、を含む、筐体11を提供すること320と、
複数の電池セル20を筐体11内に収容すること330と、を含む。
【0140】
図14は、本願の一実施例にかかる電池を製造する装置400の概略的ブロック図を示す。図14に示すように、電池を製造する装置400は、提供モジュール410と、取付モジュール420とを含んでもよい。
【0141】
提供モジュール410は、複数の電池セル20を提供することと、筐体を提供することに用いられる。筐体11は、筐体11内に収容された電池セル20の温度を調節するための熱管理部材13と、筐体11内外のガスを連通するための貫通孔110cが設置された第1壁110と、貫通孔110cを遮蔽して、貫通孔110cを通じて筐体11内に流れ込んだガスを凝縮するための、熱管理部材13に付着した凝縮部材16と、を含む。
【0142】
取付モジュール420は、複数の電池セル20を筐体11内に収容することに用いられる。
【0143】
最後に、以上の実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前述の実施例を参照して本願を詳しく説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載されている技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部の技術的特徴に対して同等の置換を行うことができるが、これらの修正又は置換により、対応する技術的解決手段の本質が本願の各実施例の技術的解決手段の精神や範囲から逸脱しないことを、理解すべきである。
【符号の説明】
【0144】
1 車両
10 電池
11 筐体
13 熱管理部材
16 凝縮部材
17 圧力平衡機構
20 電池セル
21 電池パック
22 電極アセンブリ
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
110 第1壁
110a 第1サブ壁
110b 第2サブ壁
110c 貫通孔
110d リブ
110e 第3サブ壁
111 第1部分
112 第2部分
130 弁
161 カバー状構造
161a 第1開口
161b 第2開口
162 流路
211 ケース
212 カバープレート
213 圧力解放機構
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
221a 第1タブ
222a 第2タブ
400 装置
410 提供モジュール
420 取付モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内に収容された電池セの温度を調節するための熱管理部と、
前記筐内外のガスを連通するための貫通が設置された第1と、
前記貫通を遮蔽して、前記貫通を通じて前記筐内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部に付着した凝縮部と、を含む、
電池に使用される筐
【請求項2】
前記凝縮部は、前記筐の内面に設置されている、
請求項1に記載の筐
【請求項3】
前記熱管理部は、前記第1と交差し、前記凝縮部の第1部分は、前記熱管理部に付着するように前記熱管理部に沿って延在し、前記凝縮部の第2部分は、前記貫通を遮蔽するように前記第1に沿って延在する、
請求項2に記載の筐
【請求項4】
前記凝縮部は、前記貫通を遮蔽するカバー状構を含む、
請求項2又は3に記載の筐
【請求項5】
前記カバー状構は、前記第1の前記貫通の周囲における領域に付着し、ガスが前記筐に流れ込むための第1開を有する、
請求項4に記載の筐
【請求項6】
前記第1開は、前記カバー状構の、重力方向と逆方向である第1方向に設置されている、
請求項5に記載の筐
【請求項7】
前記第1開は、前記筐内の消火システムの配管の接続部に対応し、前記第1開は、前記接続部で流体が漏れる時、前記接続部で漏れた流体を収集することにさらに用いられる、
請求項5又は6に記載の筐
【請求項8】
前記カバー状構は、半球形と四角形である、
請求項4~7の何れか1項に記載の筐
【請求項9】
前記凝縮部は、前記カバー状構における凝縮液を前記熱管理部にガイドするための流をさらに含む、
請求項4~8の何れか1項に記載の筐
【請求項10】
前記凝縮部の前記流両側における部分は、前記熱管理部又は前記第1に付着している、
請求項9に記載の筐
【請求項11】
前記カバー状構は、前記カバー状構における凝縮液を前記流にガイドするための、前記流に対応する第2開を有する、
請求項9又は10に記載の筐
【請求項12】
前記第2開は、前記カバー状構の、重力方向である第2方向に設置されている、
請求項11に記載の筐
【請求項13】
前記熱管理部には、前記流内の凝縮液の重力が閾値に達する時に前記流内の凝縮液を前記筐から排出するための一方向重りが設置されている、
請求項9~12の何れか1項に記載の筐
【請求項14】
前記筐は、前記筐内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機をさらに含む、
請求項1~13の何れか1項に記載の筐
【請求項15】
前記第1は、前記筐の内壁である第1サブと、前記筐の外壁である第2サブとを含み、前記第1サブと前記第2サブとの間にキャビティが形成され、前記第1サブに前記貫通が設置されている、
請求項14に記載の筐
【請求項16】
前記第2サブに前記圧力平衡機が設置され、前記筐外部から前記圧力平衡機を通じて前記キャビティに流れ込んだガスは、前記貫通を通じて前記筐内部へ流れ込む、
請求項15に記載の筐
【請求項17】
前記第1は、前記圧力平衡機を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを前記キャビティに凝縮することに用いられる、
請求項16に記載の筐
【請求項18】
前記貫通の軸線は、前記圧力平衡機の軸線と重なっていない、
請求項16又は17に記載の筐
【請求項19】
前記貫通の前記第2サブにおける正投影は、前記圧力平衡機と重なっていない、
請求項18に記載の筐
【請求項20】
前記キャビティ内には、前記圧力平衡機を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを凝縮するためのリが設置されている、
請求項16~19の何れか1項に記載の筐
【請求項21】
前記リは、前記圧力平衡機から前記貫通までのガス通路に設置されている、
請求項20に記載の筐
【請求項22】
前記リは、前記第1サブに固定される、
請求項20又は21に記載の筐
【請求項23】
前記リは、前記圧力平衡機の中心から前記貫通の中心までの結び線に平行である、
請求項20~22の何れか1項に記載の筐
【請求項24】
前記筐内に収容された複数の電池セと、
請求項1~23の何れか1項に記載の筐と、を含む、
電池。
【請求項25】
請求項24に記載の電池を含む、
電力利用装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
カバー状構造が貫通孔を遮蔽することによって、貫通孔に達したガスがカバー状構により凝縮されて、凝縮効果を向上させることが可能である。筐体内外の圧力のバランスを取るために、凝縮後のガスは、カバー状構造の第1開口を介して筐体内部に入ることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を収容することで、筐体内に収容された電池セルの温度を調節するための熱管理部材と、
前記筐体内外のガスを連通するための貫通孔が設置された第1壁と、
前記貫通孔を遮蔽して、前記貫通孔を通じて前記筐体内に流れ込んだガスを凝縮するための、前記熱管理部材に付着した凝縮部材と、を含み、
前記凝縮部材は、前記筐体の内面に設置されており、前記凝縮部材は、前記貫通孔を遮蔽するカバー状構造を含み、前記凝縮部材は、前記カバー状構造における凝縮液を前記熱管理部材にガイドするための流路をさらに含み、前記カバー状構造は、前記カバー状構造における凝縮液を前記流路にガイドするための、前記流路に対応する第2開口を有する、
電池に使用される筐体。
【請求項2】
前記熱管理部材は、前記第1壁と交差し、前記凝縮部材の第1部分は、前記熱管理部材に付着するように前記熱管理部材に沿って延在し、前記凝縮部材の第2部分は、前記貫通孔を遮蔽するように前記第1壁に沿って延在する、
請求項に記載の筐体。
【請求項3】
前記カバー状構造は、前記第1壁の前記貫通孔の周囲における領域に付着し、ガスが前記筐体に流れ込むための第1開口を有する、
請求項に記載の筐体。
【請求項4】
前記第1開口は、前記カバー状構造の、重力方向と逆方向である第1方向に設置されている、
請求項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1開口は、前記筐体内の消火システムの配管の接続部に対応し、前記第1開口は、前記接続部で流体が漏れる時、前記接続部で漏れた流体を収集することにさらに用いられる、
請求項3又は4に記載の筐体。
【請求項6】
前記カバー状構造は、半球形と四角形である、
請求項1~5の何れか1項に記載の筐体。
【請求項7】
前記凝縮部材の前記流路両側における部分は、前記熱管理部材又は前記第1壁に付着している、
請求項に記載の筐体。
【請求項8】
前記第2開口は、前記カバー状構造の、重力方向である第2方向に設置されている、
請求項に記載の筐体。
【請求項9】
前記熱管理部材には、前記流路内の凝縮液の重力が閾値に達する時に前記流路内の凝縮液を前記筐体から排出するための一方向重り弁が設置されている、
請求項1~8の何れか1項に記載の筐体。
【請求項10】
前記筐体は、前記筐体内外の圧力のバランスを取るための圧力平衡機構をさらに含む、
請求項1~9の何れか1項に記載の筐体。
【請求項11】
前記第1壁は、前記筐体の内壁である第1サブ壁と、前記筐体の外壁である第2サブ壁とを含み、前記第1サブ壁と前記第2サブ壁との間にキャビティが形成され、前記第1サブ壁に前記貫通孔が設置されている、
請求項10に記載の筐体。
【請求項12】
前記第2サブ壁に前記圧力平衡機構が設置され、前記筐体外部から前記圧力平衡機構を通じて前記キャビティに流れ込んだガスは、前記貫通孔を通じて前記筐体内部へ流れ込む、
請求項11に記載の筐体。
【請求項13】
前記第1壁は、前記圧力平衡機構を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを前記キャビティに凝縮することに用いられる、
請求項12に記載の筐体。
【請求項14】
前記貫通孔の軸線は、前記圧力平衡機構の軸線と重なっていない、
請求項12又は13に記載の筐体。
【請求項15】
前記貫通孔の前記第2サブ壁における正投影は、前記圧力平衡機構と重なっていない、
請求項14に記載の筐体。
【請求項16】
前記キャビティ内には、前記圧力平衡機構を通じて前記キャビティに流れ込んだガスを凝縮するためのリブが設置されている、
請求項12~15の何れか1項に記載の筐体。
【請求項17】
前記リブは、前記圧力平衡機構から前記貫通孔までのガス通路に設置されている、
請求項16に記載の筐体。
【請求項18】
前記リブは、前記第1サブ壁に固定される、
請求項16又は17に記載の筐体。
【請求項19】
前記リブは、前記圧力平衡機構の中心から前記貫通孔の中心までの結び線に平行である、
請求項16~18の何れか1項に記載の筐体。
【請求項20】
前記筐体内に収容された複数の電池セルと、
請求項1~19の何れか1項に記載の筐体と、を含む、
電池。
【請求項21】
請求項20に記載の電池を含む、
電力利用装置。
【国際調査報告】