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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】操作されたパーキン及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230808BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230808BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20230808BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230808BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20230808BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230808BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230808BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230808BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230808BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230808BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 38/53 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/864 100Z
C07K19/00
C07K14/47
C12N7/01
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12N5/10
A61K48/00
A61P25/16
A61K38/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570440
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 US2021033491
(87)【国際公開番号】W WO2021236981
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/027,866
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/027,868
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521067485
【氏名又は名称】スペースクラフト セブン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】サクラメント チェスター ビッテンコート
(72)【発明者】
【氏名】ハーツォグ クリストファー ディーン
(72)【発明者】
【氏名】プラバカール ラジ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084DC28
4C084NA14
4C084ZA15
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA45
4H045EA21
4H045FA74
(57)【要約】
活性化変異を有する、及び/又はミトコンドリアターゲティング配列に融合された、パーキンタンパク質バリアントを提供する。操作されたパーキンは、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)、膜貫通ドメイン、及びパーキンタンパク質又はその機能的バリアント若しくは断片、例えばN末端欠失を有するパーキン、を含む、融合タンパク質であり得る。MTSは、PINK1のMTS又はその機能的バリアントであり得る。代替的に又は追加的に、操作されたパーキンは、例えば単一アミノ酸置換などの1つ以上の活性化変異を有し得る。操作されたパーキンは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのベクターで送達し得、パーキンソン病又は様々な神経変性疾患のいずれかなどの疾患又は障害を治療するために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)、膜貫通ドメイン(TMD)、及びパーキンタンパク質又はその機能的バリアント若しくは断片を含む、融合タンパク質
をコードするポリヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記MTSが、PINK1のMTS又はその機能的バリアントである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記MTSが、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MPP)切断部位を含む、請求項1又は請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記MTSが、ヒトPINK1の残基1~34:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記MTSが、ヒトPINK1の残基1~94:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記MTSが、ヒトPINK1の残基1~94:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記TMDが、PINK1のTMD又はその機能的バリアントである、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記TMDが、PARL切断部位を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記TMDが、ヒトPINK1の残基95~110:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記TMDが、ヒトPINK1の残基95~110:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記TMDが、ヒトPINK1の残基95~110:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記融合タンパク質が、PINK1のMTS-TMD断片又はその機能的バリアントを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記MTS-TMD断片が、ヒトPINK1の残基1~110:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
前記MTS-TMD断片が、ヒトPINK1の残基1~110:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記機能的バリアント又はその断片が、N末端ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失、及び任意選択的にUbl-RING0ドメイン間リンカー配列の欠失を含むΔパーキンタンパク質である、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基141~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基141~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
前記融合タンパク質が、以下の配列:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項21】
前記融合タンパク質が、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F146A置換を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記融合タンパク質が、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、W403A置換を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記融合タンパク質が、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F463A置換を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
前記融合タンパク質が、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、C457S置換を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
前記融合タンパク質が、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F146A置換及びW403A置換の両方を含む、請求項22に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
前記融合タンパク質が、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対して、F104M置換を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記融合タンパク質が、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F146A置換及びW403A置換の両方を含み、前記融合タンパク質が、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対して、F104M置換を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
前記融合タンパク質が、配列番号97又は98の配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、かつ、F104M、W403A、及びF463Aから選択される2つ以上のアミノ酸置換を含み、
F104Mが、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対するものであり、W403Aが、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものであり、F463Aが、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものである、
請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
前記融合タンパク質が、配列番号97又は98のうちのいずれか1つの配列と同一であるポリペプチド配列を含み、かつ、F104M、W403A、及びF463Aから選択される2つ以上のアミノ酸置換を含み、
F104Mが、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対するものであり、W403Aが、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものであり、F463Aが、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものである、
請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項31】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
AAV9キャプシド又はその機能的バリアントを含む、請求項31に記載のベクター。
【請求項33】
前記AAV9キャプシドが、参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する、請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
細胞におけるパーキン活性を増加させる方法であって、前記細胞を請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターと接触させることを含む、方法。
【請求項35】
対象におけるパーキン活性を増加させる方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項36】
前記細胞又は対象が、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む、請求項34又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
パーキン活性が、神経毒治療に応答してのパーキンのTOMM2との共局在化、神経毒治療に応答してのミトコンドリアタンパク質のユビキチン化、及び神経毒治療に応答してのミトコンドリア画分におけるパーキンレベルの増加のうちの1つ以上を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ニューロンの生存を促進する方法であって、前記ニューロンを請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターと接触させることを含む、方法。
【請求項39】
対象におけるニューロンの生存を促進する方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項40】
前記ニューロンが、ドパミン作動性ニューロンである、請求項38又は請求項39に記載の方法。
【請求項41】
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項42】
前記対象が、パーキン発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、PINK1発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている、請求項41又は請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記疾患又は障害が、パーキンソン病である、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記パーキンソン病が、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
パーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
神経変性に関連する運動合併症を低減し;抗パーキンソン薬物療法、任意選択的にL-ドパ及び/若しくはドパミン作動薬、の必要性を低減し;変性ニューロンの機能を回復させ;かつ/又はニューロンを変性から保護する、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
任意選択的に[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放出断層撮影(PET)又はDaT-SPECT撮像によって評価される、黒質線条体機能
を強化する、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象のUPDRS又はMDS-UPDRSの一方又は両方を改善する、請求項41~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、細胞。
【請求項51】
請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによってコードされる、タンパク質。
【請求項52】
請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項53】
請求項30~33のいずれか一項に記載のベクターと、使用説明書と、を含む、キット。
【請求項54】
キャプシド及びベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、前記ベクターゲノムが、プロモーターに動作可能に連結された活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【請求項55】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項55に記載のrAAVビリオン。
【請求項56】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に2つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項55に記載のrAAVビリオン。
【請求項57】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273にアミノ酸置換を含む、請求項56に記載のrAAVビリオン。
【請求項58】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、F146A、W403A、及び/又はN273Kから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項54~57のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項59】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A及びW403Aを含む、請求項58に記載のrAAVビリオン。
【請求項60】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A、N273K、及びW403Aを含む、請求項59に記載のrAAVビリオン。
【請求項61】
前記活性化パーキンタンパク質が、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項60に記載のrAAVビリオン。
【請求項62】
前記活性化パーキンタンパク質が、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項54に記載のrAAVビリオン。
【請求項63】
前記パーキンタンパク質が、ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失を含むΔパーキンタンパク質である、請求項54~60のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項64】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項63に記載のrAAVビリオン。
【請求項65】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項63に記載のrAAVビリオン。
【請求項66】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Cys-431にアミノ酸置換を含む、請求項54~65のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項67】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、C431Fアミノ酸置換を含む、請求項66に記載のrAAVビリオン。
【請求項68】
前記プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項54~67のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項69】
前記プロモーターが、CAGプロモーターである、請求項54~68のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項70】
前記プロモーターが、CMVプロモーターである、請求項54~68のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項71】
前記プロモーターが、ニューロン特異的プロモーターである、請求項54~67のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項72】
前記プロモーターが、SYNプロモーターである、請求項54~67又は71のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項73】
前記ベクターゲノムが、WPREエレメントを含む、請求項54~72のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項74】
前記ベクターゲノムが、hGHポリアデニル化部位を含む、請求項54~73のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項75】
前記キャプシドが、AAV9キャプシド又はその機能的バリアントである、請求項54~74のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項76】
前記AAV9キャプシドが、参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する、請求項75に記載のrAAVビリオン。
【請求項77】
細胞におけるパーキン活性を増加させる方法であって、前記細胞を請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンと接触させることを含む、方法。
【請求項78】
対象におけるパーキン活性を増加させる方法であって、有効量の請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項79】
前記細胞又は対象が、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む、請求項77又は請求項78に記載の方法。
【請求項80】
パーキン活性が、神経毒治療に応答してのパーキンのTOMM2との共局在化、神経毒治療に応答してのミトコンドリアタンパク質のユビキチン化、及び神経毒治療に応答してのミトコンドリア画分におけるパーキンレベルの増加のうちの1つ以上を含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
ニューロンの生存を促進する方法であって、前記ニューロンを請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンと接触させることを含む、方法。
【請求項82】
対象におけるニューロンの生存を促進する方法であって、有効量の請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項83】
前記ニューロンが、ドパミン作動性ニューロンである、請求項81又は請求項82に記載の方法。
【請求項84】
疾患又は障害の治療を必要とする対象におけるそれを治療する方法であって、有効量の請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項85】
前記対象が、パーキンの遺伝子欠損を抱えている、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が、PINK1の遺伝子欠損を抱えている、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記対象が、DJ-1の遺伝的欠損を抱えている、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記疾患又は障害が、パーキンソン病である、請求項84~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記パーキンソン病が、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
パーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する、請求項84~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
神経変性に関連する運動合併症を低減し;抗パーキンソン薬物療法、任意選択的にL-ドパ及び/若しくはドパミン作動薬、の必要性を低減し;変性ニューロンの機能を回復させ;かつ/又はニューロンを変性から保護する、請求項84~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
任意選択的に[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放出断層撮影(PET)又はDaT-SPECT撮像によって評価される、黒質線条体機能
を強化する、請求項84~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記対象のUPDRS又はMDS-UPDRSの一方又は両方を改善する、請求項84~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項95】
請求項54~76のいずれか一項に記載のrAAVビリオンと、使用説明書と、を含む、キット。
【請求項96】
活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項97】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Cys-431にアミノ酸置換を含む、請求項96に記載のポリヌクレオチド。
【請求項98】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、C431Fアミノ酸置換を含む、請求項96に記載のポリヌクレオチド。
【請求項99】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項96~98のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項100】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に2つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項99に記載のポリヌクレオチド。
【請求項101】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273にアミノ酸置換を含む、請求項100に記載のポリヌクレオチド。
【請求項102】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、F146A、W403A、及び/又はN273Kから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項96~101のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項103】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A及びW403Aを含む、請求項102に記載のポリヌクレオチド。
【請求項104】
前記活性化パーキンタンパク質が、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A、N273K、及びW403Aを含む、請求項103に記載のポリヌクレオチド。
【請求項105】
前記活性化パーキンタンパク質が、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項96に記載のポリヌクレオチド。
【請求項106】
前記活性化パーキンタンパク質が、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と同一であるポリペプチド配列を含む、請求項96に記載のポリヌクレオチド。
【請求項107】
前記パーキンタンパク質が、ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失を含むΔパーキンタンパク質である、請求項96~104のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項108】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を含む、請求項107に記載のポリヌクレオチド。
【請求項109】
前記Δパーキンタンパク質が、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と同一のポリペプチド配列を含む、請求項108に記載のポリヌクレオチド。
【請求項110】
活性化パーキンタンパク質をコードする前記ポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む、請求項96~109のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項111】
前記プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項110に記載のポリヌクレオチド。
【請求項112】
前記プロモーターが、CAGプロモーター又はCMVプロモーターである、請求項111に記載のポリヌクレオチド。
【請求項113】
前記プロモーターが、ニューロン特異的プロモーターである、請求項110に記載のポリヌクレオチド。
【請求項114】
前記プロモーターが、SYNプロモーターである、請求項110又は請求項113に記載のポリヌクレオチド。
【請求項115】
WPREエレメントを含む、請求項96~114のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項116】
hGHポリアデニル化部位を含む、請求項96~115のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項117】
請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項118】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項117に記載のベクター。
【請求項119】
AAV9キャプシド又はその機能的バリアントを含む、請求項118に記載のベクター。
【請求項120】
前記AAV9キャプシドが、参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する、請求項119に記載のベクター。
【請求項121】
細胞におけるパーキン活性を増加させる方法であって、前記細胞を請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターと接触させることを含む、方法。
【請求項122】
対象におけるパーキン活性を増加させる方法であって、請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項123】
前記細胞又は対象が、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む、請求項121又は請求項122に記載の方法。
【請求項124】
パーキン活性が、神経毒治療に応答してのパーキンのTOMM2との共局在化、神経毒治療に応答してのミトコンドリアタンパク質のユビキチン化、及び神経毒治療に応答してのミトコンドリア画分におけるパーキンレベルの増加のうちの1つ以上を含む、請求項121~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
ニューロンの生存を促進する方法であって、前記ニューロンを、請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターと接触させることを含む、方法。
【請求項126】
対象におけるニューロンの生存を促進する方法であって、前記対象に、請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターを投与することを含む、方法。
【請求項127】
前記ニューロンが、ドパミン作動性ニューロンである、請求項125又は請求項126に記載の方法。
【請求項128】
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項129】
前記対象が、パーキン発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記対象が、PINK1発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている、請求項128又は請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記疾患又は障害が、パーキンソン病である、請求項128~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記パーキンソン病が、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
パーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する、請求項128~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
神経変性に関連する運動合併症を低減し;抗パーキンソン薬物療法、任意選択的にL-ドパ及び/若しくはドパミン作動薬、の必要性を低減し;変性ニューロンの機能を回復させ;かつ/又はニューロンを変性から保護する、請求項128~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
任意選択的に[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放出断層撮影(PET)又はDaT-SPECT撮像によって評価される、黒質線条体機能
を強化する、請求項128~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記対象のUPDRS又はMDS-UPDRSの一方又は両方を改善する、請求項128~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、細胞。
【請求項138】
請求項96~116のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによってコードされる、タンパク質。
【請求項139】
請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項140】
請求項117~120のいずれか一項に記載のベクターと、使用説明書と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月20日に出願された米国仮特許出願第63/027,866号、及び2020年5月20日に出願された米国仮特許出願第63/027,868号に対する優先権を主張するものであり、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する記述
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前は、ROPA_016_01WO_ST25.txtである。テキストファイルは約265KBで、2021年5月20日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【0003】
発明の分野
本発明は、一般に、例えば、パーキンソン病などの中枢神経系(CNS)障害などのミトコンドリア機能障害に関連する障害のための遺伝子療法に関する。特に本開示は、活性化変異を有する、及び/又はミトコンドリアターゲティング配列に融合された、操作されたパーキン(Parkin)タンパク質バリアントを提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
タンパク質パーキンをコードするPARK2は、パーキンソン病に関与するいくつかの遺伝子のうちの1つである。他のものとしては、PARK1(タンパク質α-シヌクレインをコードする)、PARK6(タンパク質PINK1をコードする)、PARK7(タンパク質DJ-1をコードする)、及びPARK8(ダーダリン(dardarin)としても知られる、タンパク質LRRK2をコードする、)が挙げられる。Creed et al.(2018)Mov Disord.33:717-729(非特許文献1)、Blesa et al.(2014)Front. Neuroanat.8:1-12(非特許文献2)、Alcalay et al.(2010)Arch Neurol.67:1116-1122(非特許文献3))。
【0005】
PINK1とパーキンは一緒になって、酸化ストレスからミトコンドリアを保護する。PINK1は、N末端のミトコンドリアシグナル伝達配列(N-terminal mitochondrial signaling sequence)(MTS)を介してミトコンドリアに転位置される。ミトコンドリアのストレスがない場合、PINK1は、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MMP)及びプロテアーゼプレセニリン関連菱形様タンパク質(protease presenilin-associated rhomboid-like protein)(PARL)によって、健康なミトコンドリア内でタンパク質分解的に切断される。ミトコンドリア損傷した場合、PINK1は、完全に転位置せず、代わりに、その膜貫通ドメイン(TMD)が損傷したミトコンドリアの膜に埋め込まれ、MMP及びPARLからのタンパク質分解から保護されて、ミトコンドリア表面に蓄積する。
【0006】
切断されていないPINK1は、その後、一連の酵素ステップを介してパーキンを活性化する役割を果たす。パーキンに対する様々な点変異は、PINK1活性なしにパーキンを人為的に活性化するか、又はPINK1が活性化されているときに活性化に向かって平衡をシフトすることが示されている。
【0007】
パーキンソン病及びミトコンドリア機能障害に関連するその他の障害に対する遺伝子療法ベースの治療には、長期間にわたって満たされていないニーズがある。本明細書で提供される遺伝子療法は、このニーズに対処するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Creed et al.(2018)Mov Disord.33:717-729
【非特許文献2】Blesa et al.(2014)Front. Neuroanat.8:1-12
【非特許文献3】Alcalay et al.(2010)Arch Neurol.67:1116-1122
【発明の概要】
【0009】
概要
一態様では、本開示は、キャプシド及びベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供し、ベクターゲノムは、プロモーターに動作可能に連結された活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、例えば、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を本開示のrAAVビリオンと接触させることを含む、
【0011】
別の態様では、本開示は、例えば、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、本開示のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、ニューロンを本開示のrAAVビリオンと接触させることを含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、本開示のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、本開示のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)、膜貫通ドメイン(TMD)、及びパーキンタンパク質又はその機能的バリアント若しくは断片を含む、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、例えば、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、ニューロンを本開示のポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0019】
別の態様では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0020】
別の態様では、本開示は、疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0021】
更なる態様では、本開示は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを含むか、又はそれらによってコードされる細胞、タンパク質、医薬組成物、及びキットを提供する。
【0022】
更なる態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンを含む医薬組成物及びキットを提供する。
【0023】
様々な実施形態では、本開示は、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)、膜貫通ドメイン(TMD)、及びパーキンタンパク質又はその機能的バリアント若しくは断片を含む、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTSは、PINK1のMTS又はその機能的バリアントである。
【0025】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTSは、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MPP)切断部位を含む。
【0026】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTSは、ヒトPINK1の残基1~34:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0027】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTSは、ヒトPINK1の残基1~94:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0028】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTSは、ヒトPINK1の残基1~94:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0029】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、TMDは、PINK1のTMD又はその機能的バリアントである。
【0030】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、TMDは、PARL切断部位を含む。
【0031】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、TMDは、ヒトPINK1の残基95~110:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0032】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、TMDは、ヒトPINK1の残基95~110:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0033】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、TMDは、ヒトPINK1の残基95~110:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0034】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、PINK1のMTS-TMD断片又はその機能的バリアントを含む。
【0035】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTS-TMD断片は、ヒトPINK1の残基1~110:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0036】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、MTS-TMD断片は、ヒトPINK1の残基1~110:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0037】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、機能的バリアント又はその断片は、N末端ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失、及び任意選択的にUbl-RING0ドメイン間リンカー配列の欠失を含む、Δパーキンタンパク質である。
【0038】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基141~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0039】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基141~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0040】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0041】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0042】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F146A置換を含む。
【0043】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、W403A置換を含む。
【0044】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F463A置換を含む。
【0045】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、C457S置換を含む。
【0046】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F146A置換及びW403A置換の両方を含む。
【0047】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対して、F104M置換を含む。
【0048】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対して、F146A置換及びW403A置換の両方を含み、融合タンパク質は、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対して、F104M置換を含む。
【0049】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号97又は98の配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、かつ、F104M、W403A、及びF463Aから選択される2つ以上のアミノ酸置換を含む。F104Mは、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対するものであり、W403Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものであり、F463Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものである。
【0050】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号97又は98のうちのいずれか1つの配列と同一であるポリペプチド配列を含み、かつ、F104M、W403A、及びF463Aから選択される2つ以上のアミノ酸置換を含む。F104Mは、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対するものであり、W403Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものであり、F463Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものである。
【0051】
様々な実施形態では、本開示は、実施形態のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0052】
ベクターのいくつかの実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0053】
AAVベクターのいくつかの実施形態では、ベクターは、AAV9キャプシド又はその機能的バリアントを含む。AAV9キャプシドは、参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有していてもよい。
【0054】
様々な実施形態では、本開示は、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を実施形態のいずれかに記載のポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0055】
様々な実施形態では、本開示は、対象におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、対象に実施形態のいずれかのポリヌクレオチド又はベクターを投与することを含む。
【0056】
本方法のいくつかの実施形態では、細胞又は対象は、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む。
【0057】
本方法のいくつかの実施形態では、パーキン活性は、神経毒治療に応答してのパーキンのTOMM2との共局在化、神経毒治療に応答してのミトコンドリアタンパク質のユビキチン化、及び神経毒治療に応答してのミトコンドリア画分におけるパーキンレベルの増加のうちの1つ以上を含む。
【0058】
様々な実施形態では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、ニューロンを実施形態のいずれかのポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0059】
様々な実施形態では、本開示は、対象におけるニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、対象に、実施形態のいずれかのポリヌクレオチド又はベクターを投与することを含む。
【0060】
本方法のいくつかの実施形態では、ニューロンは、ドパミン作動性ニューロンである。
【0061】
様々な実施形態では、本開示は、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、この方法は、任意の実施形態のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0062】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、パーキンの発現又は機能の遺伝的欠損を抱えている。
【0063】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、PINK1発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている。
【0064】
本方法のいくつかの実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病である。
【0065】
本方法のいくつかの実施形態では、パーキンソン病は、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である。
【0066】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する。
【0067】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、神経変性に関連する運動合併症を低減し;抗パーキンソン薬物療法、任意選択的にL-ドパ及び/若しくはドパミン作動薬、の必要性を低減し;変性ニューロンの機能を回復させ;かつ/又はニューロンを変性から保護する。
【0068】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、任意選択的に[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放出断層撮影(PET)又はDaT-SPECT撮像によって評価される、黒質線条体機能を強化する。
【0069】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、対象のUPDRS又はMDS-UPDRSの一方又は両方を改善する。
【0070】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のポリヌクレオチドを含む、細胞を提供する。
【0071】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のポリヌクレオチドによってコードされる、タンパク質を提供する。
【0072】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のベクターと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0073】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のベクターと、使用説明書と、を含む、キットを提供する。
【0074】
様々な実施形態では、本開示は、キャプシド及びベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供し、ベクターゲノムは、プロモーターに動作可能に連結された活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0075】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0076】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に2つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0077】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273にアミノ酸置換を含む。
【0078】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、F146A、W403A、及び/又はN273Kから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0079】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A及びW403Aを含む。
【0080】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A、N273K、及びW403Aを含む。
【0081】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0082】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0083】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、パーキンタンパク質は、ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失を含むΔパーキンタンパク質である。
【0084】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0085】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0086】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Cys-431にアミノ酸置換を含む。
【0087】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、C431Fアミノ酸置換を含む。
【0088】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーターである。
【0089】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、プロモーターはCAGプロモーターである。
【0090】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、プロモーターはCMVプロモーターである。
【0091】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、プロモーターは、ニューロン特異的プロモーターである。
【0092】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、プロモーターはSYNプロモーターである。
【0093】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、ベクターゲノムは、WPREエレメントを含む。
【0094】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、ベクターゲノムは、hGHポリアデニル化部位を含む。
【0095】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、キャプシドは、AAV9キャプシド又はその機能的バリアントである。
【0096】
rAAVビリオンのいくつかの実施形態では、AAV9キャプシドは、参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する。
【0097】
様々な実施形態では、本開示は、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を任意の実施形態のrAAVビリオンと接触させることを含む。
【0098】
様々な実施形態では、本開示は、対象おけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、有効量の任意の実施形態のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0099】
本方法のいくつかの実施形態では、細胞又は対象は、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む。
【0100】
本方法のいくつかの実施形態では、パーキン活性は、神経毒治療に応答してのパーキンのTOMM2との共局在化、神経毒治療に応答してのミトコンドリアタンパク質のユビキチン化、及び神経毒治療に応答してのミトコンドリア画分におけるパーキンレベルの増加のうちの1つ以上を含む。
【0101】
様々な実施形態では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、ニューロンを任意の実施形態のrAAVビリオンと接触させることを含む。
【0102】
様々な実施形態において、本開示は、対象におけるニューロンの生存を促進する方法を提供し、方法は、有効量の任意の実施形態のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0103】
本方法のいくつかの実施形態では、ニューロンは、ドパミン作動性ニューロンである。
【0104】
様々な実施形態では、本開示は、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、この方法は、有効量の任意の実施形態のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0105】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、パーキンの遺伝的欠損を抱えている。
【0106】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、PINK1の遺伝的欠損を抱えている。
【0107】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、DJ-1の遺伝的欠損を抱えている。
【0108】
本方法のいくつかの実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病である。
【0109】
本方法のいくつかの実施形態では、パーキンソン病は、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である。
【0110】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する。
【0111】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、神経変性に関連する運動合併症を低減し;抗パーキンソン薬物療法、任意選択的にL-ドパ及び/若しくはドパミン作動薬、の必要性を低減し;変性ニューロンの機能を回復させ;かつ/又はニューロンを変性から保護する。
【0112】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、任意選択的に[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放出断層撮影(PET)又はDaT-SPECT撮像によって評価される、黒質線条体機能を強化する。
【0113】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、対象のUPDRS又はMDS-UPDRSの一方又は両方を改善する。
【0114】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のrAAVビリオンと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0115】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のrAAVビリオンと、使用説明書と、を含む、キットを提供する。
【0116】
様々な実施形態では、本開示は、活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0117】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Cys-431にアミノ酸置換を含む。
【0118】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、C431Fアミノ酸置換を含む。
【0119】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0120】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に2つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0121】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273にアミノ酸置換を含む。
【0122】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、F146A、W403A、及び/又はN273Kから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0123】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A及びW403Aを含む。
【0124】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A、N273K、及びW403Aを含む。
【0125】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0126】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A(配列番号93)と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0127】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、パーキンタンパク質は、ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失を含むΔパーキンタンパク質である。
【0128】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0129】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と同一であるポリペプチド配列を含む。
【0130】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む。
【0131】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーターである。
【0132】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、プロモーターは、CAGプロモーターである。
【0133】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、プロモーターは、CMVプロモーターである。
【0134】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、プロモーターは、ニューロン特異的プロモーターである。
【0135】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、プロモーターは、SYNプロモーターである。
【0136】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、ベクターゲノムは、WPREエレメントを含む。
【0137】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態では、ベクターゲノムは、hGHポリアデニル化部位を含む。
【0138】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のポリヌクレオチドを含む、ベクターを提供する。
【0139】
ベクターのいくつかの実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0140】
AAVベクターのいくつかの実施形態では、ベクターは、AAV9キャプシド又はその機能的バリアントを含む。AAV9キャプシドは、参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有していてもよい。
【0141】
様々な実施形態では、本開示は、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を実施形態うちの任意の1つのポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0142】
様々な実施形態では、本開示は、対象におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、実施形態のいずれか1つのポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0143】
本方法のいくつかの実施形態では、細胞又は対象は、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む。
【0144】
本方法のいくつかの実施形態では、パーキン活性は、神経毒治療に応答してのパーキンのTOMM2との共局在化、神経毒治療に応答してのミトコンドリアタンパク質のユビキチン化、及び神経毒治療に応答してのミトコンドリア画分におけるパーキンレベルの増加のうちの1つ以上を含む。
【0145】
様々な実施形態では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、ニューロンを任意の実施形態のポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0146】
様々な実施形態では、本開示は、対象におけるニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、任意の実施形態のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0147】
本方法のいくつかの実施形態では、ニューロンは、ドパミン作動性ニューロンである。
【0148】
様々な実施形態では、本開示は、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、この方法は、任意の実施形態のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0149】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、パーキンの発現又は機能の遺伝的欠損を抱えている。
【0150】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、PINK1発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている。
【0151】
本方法のいくつかの実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病である。
【0152】
方法のいくつかの実施形態では、パーキンソン病は、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である。
【0153】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する。
【0154】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、神経変性に関連する運動合併症を低減し;抗パーキンソン薬物療法、任意選択的にL-ドパ及び/若しくはドパミン作動薬、の必要性を低減し;変性ニューロンの機能を回復させ;かつ/又はニューロンを変性から保護する。
【0155】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、任意選択的に[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放出断層撮影(PET)又はDaT-SPECT撮像によって評価される、黒質線条体機能を強化する。
【0156】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、対象のUPDRS又はMDS-UPDRSの一方又は両方を改善する。
【0157】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のポリヌクレオチドを含む、細胞を提供する。
【0158】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のポリヌクレオチドによってコードされる、タンパク質を提供する。
【0159】
様々な実施形態において、本開示は、任意の実施形態のベクターと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0160】
様々な実施形態では、本開示は、任意の実施形態のベクターと、使用説明書と、含む、キットを提供する。
【0161】
本発明の更なる態様及び実施形態は、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図1】矢印で示される特定のアミノ酸置換を有するパーキンのドメイン図を示す。
図2】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図3】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。F146A、N273K、及びW403Aでのアミノ酸置換が、矢印で示されている。
図4】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。F146A及びW403Aでのアミノ酸置換が、矢印で示されている。
図5】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。F146A及びW403Aでのアミノ酸置換が、矢印で示されている。
図6】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図7】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。F146A及びW403Aでのアミノ酸置換が、矢印で示されている。
図8】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。F104M、F146A及びW403Aでのアミノ酸置換が、矢印で示されている。F104Mは、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対するものであり、W403Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものであり、F463Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものである。
図9】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。C431Fでのアミノ酸置換が、矢印で示されている。
図10図10A~10Dは、トランスフェクトされたN27Aドパミン作動性(DA)ニューロンにおけるパーキン構築物の生物活性の試験を示す。発光ユニット(LU)は、対照(図10A)、7.5μMの6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)(図10B)、15μMの6-OHDA(図10C)、又は30μMの6-OHDA(図10D)μMによる処理の3日後に測定されたニューロン増殖及び/又は生存を表す。
図11図11A~11Dは、トランスフェクトされたN27Aドパミン作動性(DA)ニューロンにおけるパーキン構築物の生物活性の試験を示す。発光ユニット(LU)は、対照(図11A)、7.5μMの6-OHDA(図10B)、15μMの6-OHDA(図10C)、又は30μMの6-OHDA(図10D)による処理の9日後に測定されたニューロンの増殖及び/又は生存を表す。
図12】トランスフェクトされたヒトPARK2-/-ドパミン作動性(DA)ニューロンにおけるパーキン構築物の生物活性の試験を示す
図13】パーキンバリアントをコードするAAVベクターによる一次ニューロンの形質導入後のパーキンタンパク質発現のウェスタンブロットを示す。CON GFP=対照緑色蛍光タンパク質、ACT=活性化パーキン、DEL=Δパーキン、SUP1=スーパーパーキン、SUP2=スーパーパーキンV2、WT=野生型パーキン、C431F=C431Fアミノ酸置換。
図14】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図15】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図16】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図17】ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0163】
発明の詳細な説明
概要
AAV2ベクターなどのアデノ随伴ウイルスベクターは、潜在的に治療的導入遺伝子をパーキンソン病(PD)に罹った対象の脳に送達するために使用されてきたが、成功は限定的であった。例えば、AAV2-ニュールツリン送達の二重盲検試験は忍容性は良好であったが、偽手術よりも優れていなかった。Olanow et al.Ann Neurol.78:248-57(2015)。AAVベクターからのパーキン発現は、神経変性の前臨床モデルにおいて、s黒質ドパミンニューロンに神経保護効果を有することが示されている(Benskey et al.,Neurotox,2015、Paterna et al.,Mol Ther, 2007、Yasuda et al.,J Neuropath Exp Neurol,2011、Klein et al.Neurosci Lett.401:130-135 (2006)。PDマウスモデルにおけるNurr1及びFoxa2のAAV介在性遺伝子送達は、中脳DA(mDA)ニューロン及び黒質線条体DA神経伝達に関連する運動行動を著しく保護した。Oh et al.EMBO Mol Med.7:510-25(2015)。
【0164】
本発明は一般に、例えば、パーキンソン病などの中枢神経系(CNS)障害などのミトコンドリア機能障害に関連する障害のための遺伝子療法に関する。特に本開示は、活性化パーキンタンパク質の発現のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供する。
【0165】
一態様では、本開示は、キャプシド及びベクターゲノムを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供し、ベクターゲノムは、プロモーターに動作可能に連結された活性化パーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0166】
他の態様では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、任意選択的に有効量の開示されたrAAVビリオンとニューロンと接触させること、又は対象に投与することを含む。
【0167】
別の態様では、本開示は、疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、有効量の開示されたrAAVビリオンを対象に投与することを含む。
【0168】
更に、本開示は、パーキンタンパク質の一部が、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)に融合されている、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。本開示のポリヌクレオチドを含むベクター、例えば、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターが更に提供される。
【0169】
一態様では、本開示は、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)、膜貫通ドメイン(TMD)、及びパーキンタンパク質又はその機能的バリアントを含む、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0170】
他の態様では、本開示は、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0171】
別の態様では、本開示は、細胞におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を本開示のポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0172】
別の態様では、本開示は、対象におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0173】
別の態様では、本開示は、ニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、ニューロンを本開示のポリヌクレオチド又はベクターと接触させることを含む。
【0174】
別の態様では、本開示は、対象におけるニューロンの生存を促進する方法を提供し、この方法は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0175】
別の態様では、本開示は、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、この方法は、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを対象に投与することを含む。
【0176】
様々な他の態様及び実施形態が、以下の詳細な説明に開示されている。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0177】
定義
セクション見出しは、組織目的のみを目的としており、記述された主題を特定の態様又は実施形態に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0178】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施において使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書に記載されたすべての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含めて本明細書が優先される。更に、本明細書に記載される材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0179】
本明細書に記載されるすべての刊行物及び特許は、それぞれの個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書の任意の定義を含めて本出願が優先される。しかしながら、本明細書に引用される任意の参照文献、記事、刊行物、特許、特許公開、及び特許出願の言及は、有効な先行技術を構成するか、又は世界の任意の国で共通の一般知識の一部を形成するという承認又は任意の形態の提案とされるものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0180】
本記載では、別段の示唆がない限り、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比範囲、又は整数範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合にはその分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。用語「約」は、数字又は数の直前にある場合、その数字又は数がプラス又はマイナス10%の範囲であることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「a」及び「an」は、別段の示唆がない限り、列挙された構成要素のうちの「1つ以上」を指すことが理解されるべきである。代替物(例えば、「又は」)の使用は、代替物のいずれか一方、両方、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。用語「及び/又は」は、選択肢の一方又は両方を意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」及び「含む(comprise)」は同義で使用される。
【0181】
本明細書で使用される場合、用語「同一性」及び「同一である」は、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列に関して、BLASTアルゴリズムによって生成されたアライメントなどの、その「クエリー」配列と「対象」配列とのアライメントにおける、完全に一致している残基のパーセンテージを指す。同一性は、特に明記しない限り、対象配列の全長にわたって計算される。したがって、クエリー配列が、対象配列と整列しているときに、対象配列中の残基の少なくともx%(切り捨て)が、クエリー配列中の対応する残基と完全に一致するように整列される場合、クエリー配列は、対象配列と「少なくともx%の同一性を共有する」。対象配列が可変位置(例えば、Xで示される残基)を有する場合、クエリー配列中の任意の残基へのアライメントは、一致としてカウントされる。同一性パーセントを決定するための配列の比較は、例えば、配列解析プログラムのBLAST一式にあるものなどの数学的アルゴリズムを使用することを含む、多くの周知の方法によって達成され得る。特に断りのない限り、参照配列に対する用語「同一性」及び「同一である」は、blast.ncbi.nlm.nih.govにおいて入手可能な、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)オンラインアライメントツール、バージョン2.11.0(2020年10月19日リリース)のBlast-pプログラム(タンパク質用)又はBlast-nプログラム(ポリヌクレオチド用)を使用して、2つの配列を整列させた後の、参照配列の全長にわたる配列同一性を指す。Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403-410(1990)を参照されたい。
【0182】
本明細書で使用される場合、「AAVベクター」又は「rAAVベクター」は、AAV末端反復配列(ITR)が隣接する1つ以上の対象ポリヌクレオチド(又は導入遺伝子)を含む組換えベクターを指す。かかるAAVベクターは、rep及びcap遺伝子産物をコードし発現するプラスミドでトランスフェクトされた宿主細胞中に存在するとき、複製され、感染性ウイルス粒子にパッケージングされ得る。あるいは、AAVベクターは、rep遺伝子とcap遺伝子を発現するように安定的に操作された宿主細胞を使用して、感染性粒子にパッケージングされてもよい。
【0183】
本明細書で使用される場合、「AAVビリオン」又は「AAVウイルス粒子」又は「AAVベクター粒子」は、少なくとも1つのAAVキャプシドタンパク質及びキャプシド化ポリヌクレオチドAAVベクターから構成されるウイルス粒子を指す。本明細書で使用される場合、粒子が、異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、通常、これは、「AAVベクター粒子」又は単に「AAVベクター」と呼ばれる。したがって、AAVベクター粒子の産生は、ベクターがAAVベクター粒子内に含まれるため、必然的にAAVベクターの産生を含む。
【0184】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、真核細胞においてポリヌクレオチドからのRNA転写の開始を促進することができるポリヌクレオチド配列を指す。
【0185】
本明細書で使用される場合、「ベクターゲノム」は、ベクター(例えば、rAAVビリオン)によってパッケージングされたポリヌクレオチド配列を指し、隣接配列(AAV中、逆位末端配列)を含む。用語「発現カセット」及び「ポリヌクレオチドカセット」は、隣接配列間のベクターゲノムの部分を指す。「発現カセット」は、ベクターゲノムが、発現を駆動するエレメント(例えば、プロモーター)に動作可能に連結された遺伝子産物をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むことを意味する。
【0186】
本明細書で使用される場合、用語「必要としている患者」又は「必要としている対象」は、本明細書に開示される組換え遺伝子療法ベクター又は遺伝子編集システムを用いた治療又は改善に適している疾患、障害、又は状態のリスクのある又は罹患している患者又は対象を指す。必要とする患者又は対象は、例えば、中枢神経系の分解(degradation)に関連する障害と診断された患者又は対象であってもよい。対象は、PARK2、PARK6、PARK7、LRRK2、又はα-シヌクレイン、遺伝子若しくはタンパク質に変異又は機能不全を有する可能性がある。「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書に記載される方法によって治療される対象は、成人又は子供であってよい。対象は年齢の範囲であり得る。対象は、パーキンソン病、例えば、早期発症型パーキンソン病のリスクがあるとして特定される人であってもよい。
【0187】
本明細書で使用される場合、「欠損」、例えば細胞又は対象などの「パーキン活性の欠損」は、PARK2遺伝子の機能の部分的な完全な喪失による遺伝的欠損、又は正常レベルより低いタンパク質(パーキン)の発現、又はタンパク質(パーキン)活性に影響を与える因子の発現の減少などの他の原因からの活性の減少のいずれかを指す。例えば、PINK1がパーキンを活性化するため、正常レベルよりも低いレベルのPINK1を発現する細胞は、パーキンで活性が低下している可能性がある。
【0188】
本明細書で使用される場合、「パーキン活性」は、パーキンの任意の酵素又は細胞シグナル伝達活性を指す。
【0189】
本明細書で使用される場合、「活性化パーキン」は、参照パーキンタンパク質(例えば、ヒトパーキンタンパク質)と比較して、1つ以上の生化学的アッセイ又は細胞アッセイにおいて増加した内因活性を有するパーキンタンパク質のバリアントを指す。
【0190】
本明細書で使用される場合、用語「バリアント」又は「機能的バリアント」は、互換的に、親タンパク質の1つ以上の所望の活性を保持する親タンパク質と比較して、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、又は欠失を有するタンパク質を指す。
【0191】
本明細書で使用される場合、「遺伝的欠損」は、遺伝子における機能の部分的又は完全な喪失を意味する。例えば、パーキン機能発現における遺伝的欠損を抱える対象は、対象の少なくともいくつかの細胞(例えば、ニューロン)において、パーキンタンパク質の発現を減少させるか、又はその機能を減少させる、PARK2遺伝子に1つ以上の変異を有する。
【0192】
本明細書で使用される場合、「パーキンソン病」は、例えば、“The Differential Diagnosis of Parkinson’s Disease.” Parkinson’s Disease: Pathogenesis and Clinical Aspects, Chapter 6. Codon Publications(2018年)、又はHarrison’s Principles of Internal Medicine、20th ed.に定義される通り、この名前で当技術分野で知られている疾患の任意の形態を指す。
【0193】
本明細書で使用される場合、「治療」とは、疾患若しくは障害の1つ以上の症状の抑制、低減、又は改善、及び/又は疾患若しくは障害の進行の防止を指す。
【0194】
本明細書で使用される場合、「ミトコンドリア機能不全に関連する疾患」という語句は、ミトコンドリア機能不全に関連して達又は進行し、パーキン活性によって防止又は逆転され得る、任意の疾患又は障害を指す。
【0195】
パーキンタンパク質
本開示は、様々な活性化パーキンタンパク質に関連する組成物及び使用方法を企図する。活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質(例えば、ヒトPRKN2遺伝子によって通常コードされるパーキンタンパク質などの野生型パーキンタンパク質、すなわち表1のH1)と比較して、生化学的、細胞的、又は生理学的活性が増加した任意のパーキンタンパク質である。
【0196】
更に、本開示は、パーキンタンパク質の一部の、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)への様々な融合に関連する組成物及び使用方法を企図する。パーキンタンパク質は任意選択的に、Δパーキンタンパク質、すなわち参照パーキンタンパク質(例えば、ヒトPRKN2遺伝子によって通常コードされるパーキンタンパク質、すなわち表1のH1などの野生型パーキンタンパク質)に対して1つ以上のドメインの欠失を有するパーキンタンパク質であってもよい。
【0197】
選択的スプライシングは、表1に示されるヒトパーキンの様々な代替的アイソフォームを生成する(Scuderi et al.BioMed Res.Int’l Vol.2014,Article 690796を参照されたい)。
【0198】
(表1)パーキンアイソフォーム
*タンパク質アクセッション番号がデータベースに存在せず。
【0199】
標準的なヒトパーキンアイソフォーム(H1)のポリペプチド配列は、以下の通りである。
【0200】
参照パーキンタンパク質は、配列番号1であってもよい。活性化パーキンタンパク質はまた、例えば、ClustalW又はMUSCLEアライメントアルゴリズムを用いて調製された、パーキンタンパク質アイソフォームの多重配列アライメントにおける等価位置にアミノ酸置換を有する、パーキンの別のアイソフォームであってもよい。
【0201】
本開示の組成物及び方法で使用され得る更なるパーキンのアイソフォームには、配列番号2~8のポリペプチドが含まれる。
【0202】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチドは、配列番号9と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0203】
活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されてもよい。いくつかの実施形態では、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチドは、配列番号10と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンは、配列番号1に対して番号付けされた、Ubl(S65D又はS65E)、リンカー(S131A)RING0(Y143A、F146A)、RING1(N273K)、REP(W403A)、又はRING2(C457S又はF463A)ドメインの予測された残基の変異から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。すなわち、活性化パーキンタンパク質は、S65D若しくはS65E、S131A、Y143A、F146A、N273K、W403A、C457S、及びF463Aからなる群から選択されるアミノ酸置換のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上を含んでもよい。これらの部位のいずれかにおける代替的な保存的変異、又は非保存的変異を使用してもよく、これらには、限定されないが、S65X、S131X、Y143X、F146X、N273X、W403X、C457X、及びF463Xからなる群から選択される1つ以上、2つ以上の、3つ以上、又は4つ以上のアミノ酸置換が含まれ、ここでXは、参照パーキンタンパク質に存在するアミノ酸以外の任意の天然又は非天然のアミノ酸を表す。
【0205】
本開示によって企図される特定の変異としては、S65D、S65E、S65K、又はS65R;S131A、S131L、又はS131I;F146A、F146S、F146T、F146I、又はF146L;N273K、N2773R、N273E、又はN273Q;及びF463A、F463S、F463T、F463I、又はF463Lが含まれる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、分子内又は分子間の界面を破壊する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、電荷、サイズ、及び/又は疎水性などの残基の1つ以上の特性を維持しながら、分子内又は分子間の界面を破壊する。
【0206】
活性化パーキンは、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、又は欠失(集合的に変異)を含んでもよく、これは、パーキンの1つの構造ドメインの別の構造ドメインへの結合を低下させ、それによって自己阻害を低下させる。例えば、活性化パーキンは、RING1ドメインへの結合を低減させるUbl内の変異、又はUblドメインへの結合を低減させるRING1ドメイン内の変異(例えば、N273K)を含んでもよい。活性化パーキンは、RING1ドメインへの結合を低減させるREPドメイン内の変異(例えば、W403A)、又はREPドメインへの結合を低減させるRING1ドメイン内の変異を含んでもよい。活性化パーキンは、RING2ドメインへの結合を低減させるRING0ドメイン内の変異(例えば、F146A)、又はRING0ドメインへの結合を低減させるRING2ドメイン内の変異(例えば、C457S及び/又はF463A)を含んでもよい。
【0207】
前述に代えて、又は前述に加えて、活性化パーキンは、キナーゼc-Ablによって媒介される(例えば、Y143A)か、又はキナーゼp38MAPKによって媒介される(例えば、S131A)、パーキンの分解に対して保護する変異を含んでもよい。
【0208】
前述に代えて、又は前述に加えて、活性化パーキンは、アミノ酸置換C431Xを含んでもよく、ここでXは、参照パーキンタンパク質に存在するアミノ酸以外の任意の天然又は非天然のアミノ酸を表す。いくつかの実施形態では、活性化パーキンは、アミノ酸置換C431Fを含んでもよい。
【0209】
活性化パーキンの様々な更なる実施形態を、表2A又は表2Bに提供する。
【0210】
(表2A)アミノ酸置換の例示的組み合わせ
【0211】
(表2B)アミノ酸置換の例示的組み合わせ
【0212】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Cys-431に1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273に2つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、位置Phe-146、Trp-403、Cys-457、Phe-463、及びAsn-273にアミノ酸置換を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、F146A、W403A、及び/又はN273Kから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A及びW403Aを含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、参照パーキンタンパク質に対して、アミノ酸置換F146A、N273K、及びW403Aを含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、表1に列挙されたヒトパーキンのアイソフォームと、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、配列番号1のヒトパーキンと、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+N273K+W403A:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+N273K+W403Aのポリペプチド配列(配列番号11)からなる。
【0222】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ポリペプチド配列の全長にわたって、ヒトパーキンF146A+N273K+W403A(配列番号11)の一部と同一であり、ポリペプチド配列は、配列番号11に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸のC末端及び/又はN末端トランケーションを有する。
【0223】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+C457S:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+N273K+W403A+C457S:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+N273K+W403A+C457S+F463A:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463A:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンC431F:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0229】
パーキンタンパク質又はその機能的バリアント若しくは断片を含む融合タンパク質。パーク(Park)タンパク質は、例えば、ClustalW又はMUSCLEアライメントアルゴリズムを用いて調製された、パーキンタンパク質アイソフォームの多重配列アライメントにおける等価位置に欠失及び/又はアミノ酸置換を有する、配列番号1又はパーキンの別のアイソフォームであってもよい。
【0230】
使用可能なパーキンの更なるアイソフォームには以下が含まれ、括弧内のN末端部分は任意選択的に削除されてもよい:
【0231】
本開示は、ミトコンドリアターゲティング配列(MTS)、膜貫通ドメイン(TMD)、及びパーキンタンパク質又はその機能的バリアント若しくは断片を含む、融合タンパク質を提供する。MTSは、PINK1のMTS又はその機能的バリアントであり得る。
【0232】
PINK1のMTSは、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MPP)及びプレセニリン関連菱形様(PARL)タンパク質によって翻訳後切断される。いくつかの実施形態では、MTS、又は融合タンパク質の別の部分は、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MPP)切断部位を含む。いくつかの実施形態において、TMDは、PARL切断部位を含む。MPP及びPARL切断部位は、存在する場合、ミトコンドリアが分極したときに切断される。本発明者らは、融合タンパク質におけるこれらの切断部位の包含が、損傷したミトコンドリアにおいて融合タンパク質を特異的に活性化させる可能性があることを認識している。
【0233】
融合タンパク質は、任意選択的に、PARL切断の産物を安定化するアミノ酸置換を有してもよい。例えば、融合タンパク質は、野生型PINK1配列に対して、アミノ酸置換F104M、F104A、F104V、F104S、又はF104Gを含んでもよい。PINK1の例示的な部分配列はまた、以下の通りである。
【0234】
F104M、F104A、F104V、F104S、F104G、又はPINK1の同じ又は異なる位置でのその機能的に等価な置換により、融合タンパク質は、MPP及びPARLによってMTSで切断され得る。その結果、融合タンパク質のパーキン又はパーキンの断片は、ミトコンドリア膜から活性形態で放出される。有利には、(損傷を受けていないミトコンドリアでの)PARLによる切断によって産生されるパーキン断片は、ミトコンドリア膜から細胞質内に活性形態で放出され得る。
【0235】
MTSは、ヒトPINK1の残基1~94:
に対し、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のポリペプチド配列を含み得る。
【0236】
MTSは、最小のMTSであってもよい。MTSは、ヒトPINK1の残基1~34:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含み得る。
【0237】
本開示の融合タンパク質は、膜貫通ドメイン(TMD)を更に有してもよい。適切な膜貫通ドメインは、PARLによって切断され得る任意のTMDを含み得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、TMDは、PINK1のTMD又はその機能的バリアントである。TMDは、ヒトPINK1の残基95~110:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含み得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、TMDは、PINK1のTMD又はその機能的バリアントである。TMDは、ヒトPINK1 F104Mの残基95~110:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含み得る。
【0240】
いくつかの実施形態では、TMDは、PINK1のTMD又はその機能的バリアントである。TMDは、ヒトPINK1 F104Aの残基95~110:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含み得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、PINK1のMTS及びPINK1-iのTMD、すなわちPINK1のMTS-TMD断片、又はそれらの機能的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、PINK1のMTS-TMD断片又はその機能的バリアントを含み、任意選択的にヒトPINK1の残基1~110:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0242】
MTS-TMD断片は、ヒトPINK1 F104Mの残基1~110:
と同一であるポリペプチド配列を含み得る。
【0243】
MTS-TMD断片は、ヒトPINK1 F104Aの残基1~110:
と同一であるポリペプチド配列を含み得る。
【0244】
場合によっては、パーキン断片は、N末端ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失、及び任意選択的にUbl-RING0ドメイン間リンカーの欠失を含む断片である。この断片は、本明細書では「Δパーキンタンパク質」と呼ばれる。「Δパーキンタンパク質」は、任意選択的に、F146A及び/又はW403A及び/又はC457S及び/又はF463Aなどの1つ以上の活性化アミノ酸置換を含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基141~465:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む、Δパーキンタンパク質を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む、Δパーキンタンパク質を含む。
【0246】
本開示の完全融合タンパク質は、いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質にC末端で融合したPINK1のMTS-TMDを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド配列を含む。
ここで配列は、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対して、F104M又はF104A置換を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド配列を含む。
ここで配列は、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対して、F104M又はF104A置換を含む。
【0250】
本開示の完全融合タンパク質は、いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質にC末端で融合したPINK1のMTS-TMDを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
ここで配列は、W403A及びF463A置換を含む。
【0251】
本開示の完全融合タンパク質は、いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質にC末端で融合したPINK1のMTS-TMDを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列:
と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
ここで配列は、F104M、W403A及びF463A置換を含む。F104Mは、配列番号64の参照ヒトPINK1タンパク質配列に対するものであり、W403Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものであり、F463Aは、配列番号1の参照ヒトパーキンタンパク質配列に対するものである。
【0252】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号77と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0253】
融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されてもよい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号78と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号79と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0255】
融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されてもよい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号80と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号81と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0257】
融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されてもよい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号82と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、パーキンタンパク質は、表1に列挙されたヒトパーキンのアイソフォームと、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド配列を含むか、又はその断片は、括弧内に示される部分の欠失を含む。いくつかの実施形態では、パーキンタンパク質は、配列番号1のヒトパーキンと少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるポリペプチド配列又はその機能的断片を含む。
【0259】
パーキンは、パーキンのユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失、又はUblドメインの一部の欠失を含んでもよい。Ublドメインの欠失を有するパーキンは、本明細書では「Δパーキン」と呼ばれる。Ublドメインの境界は、参照パーキンの配列に応じて変化し得る。一般的に、ヒトパーキンのUblドメインは、最初の75アミノ酸残基であると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、パーキンタンパク質は、ユビキチン様(Ubl)ドメインの欠失を含むΔパーキンタンパク質であり、例えば、Δパーキンは、残基1~75、5~75、1~70、5~75などの欠失を含む。
【0260】
活性化パーキンは、パーキンのリンカードメイン(残基76~140)又はリンカーの任意の部分の欠失を更に含み得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、このΔパーキンタンパク質は、ヒトパーキンの残基76~465
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンの残基141~465:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403Aの残基76~465:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンW403A+F463Aの残基141~465:
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、活性化Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキン(配列番号16)の残基76~465のポリペプチド配列からなる。いくつかの実施形態では、活性化Δパーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+W403A(配列番号18)の残基76~465のポリペプチド配列からなる。
【0266】
いくつかの実施形態では、活性化Δパーキンタンパク質は、ポリペプチド配列の全長にわたって、ヒトパーキン(配列番号16)の残基76~465の一部と同一であり、ポリペプチド配列は、配列番号16に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸のC末端及び/又はN末端トランケーションを有する。
【0267】
いくつかの実施形態では、活性化Δパーキンタンパク質は、ポリペプチド配列の全長にわたって、ヒトパーキンF146A+W403A(配列番号18)の残基76~465の一部と同一であり、ポリペプチド配列は、配列番号18に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸のC末端及び/又はN末端トランケーションを有する。
【0268】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+C457Sの残基76~465(又は残基141~465):
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンN273K+W403A+F463Aの残基76~465(又は残基141~465):
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+N273K+W403A+C457Sの残基76~465(又は残基141~465):
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、活性化パーキンタンパク質は、ヒトパーキンF146A+N273K+W403A+C457S+F463Aの残基76-465(又は残基141~465):
と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、Δパーキンをコードするポリヌクレオチドは、配列番号22と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、Δパーキンをコードするポリヌクレオチドは、配列番号23と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0274】
Δパーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、コドン最適化されてもよい。いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号24と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、Δパーキンタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号25と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0276】
ベクターゲノム
本開示のAAVビリオンは、ベクターゲノムを含む。ベクターゲノムは、発現カセット(又はポリヌクレオチド配列の発現を必要としない遺伝子編集用途のためのポリヌクレオチドカセット)を含んでもよい。任意の好適な逆位末端配列(ITR)を使用してもよい。ITRは、カプシドと同じ血清型由来であってもよく、又は異なる血清型由来であってもよい(例えば、AAV2 ITRが使用され得る)。
【0277】
いくつかの実施形態では、5’ITRは、配列番号26と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、5’ITRは、配列番号27と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、ベクターゲノムは、例えば、配列番号28と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、1つ以上のフィラー(filler)配列を含む。
【0280】
プロモーター
いくつかの実施形態では、パーキンタンパク質、例えば活性化パーキンタンパク質、又はその機能的バリアント若しくは断片をコードするポリヌクレオチド配列は、プロモーターに動作可能に連結される。
【0281】
本開示は、様々なプロモーターの使用を企図する。本開示の実施形態で有用なプロモーターとしては、限定されないが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、又はCMVエンハンサーと、ニワトリベータ-アクチンプロモーター及びウサギベータ-グロビン遺伝子の一部(CAG)とから構成されるプロモーター配列が挙げられる。場合によっては、プロモーターは合成プロモーターであってもよい。合成プロモーターの例は、Schlabach et al.PNAS USA.107(6):2538-43(2010)によって提供される。
【0282】
いくつかの実施形態では、パーキンタンパク質、又はその機能的バリアント若しくは断片をコードするポリヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに動作可能に連結される。誘導性プロモーターは、薬剤の添加若しくは蓄積に応答して、又は薬剤の除去、分解、若しくは希釈に応答して、ポリヌクレオチド配列を転写的に発現させるか、又は転写的に発現させないように構成され得る。薬剤は薬物であってもよい。薬剤は、テトラサイクリン又はその誘導体の1つであってもよく、これには限定されないが、ドキシサイクリンが含まれる。場合によっては、誘導性プロモーターは、tet-onプロモーター、tet-offプロモーター、化学的に調節されたプロモーター、物理的に調節されたプロモーター(すなわち、光の存在若しくは不在、又は低温若しくは高温に応答するプロモーター)である。誘導性プロモーターには、重金属イオン誘導性プロモーター(マウス乳腺腫瘍ウイルス(mMTV)プロモーター又は様々な成長ホルモンプロモーターなど)、及びT7 RNAポリメラーゼの存在下で活性なT7ファージ由来のプロモーターが含まれる。誘導性プロモーターのこのリストは非限定的である。
【0283】
場合によっては、プロモーターは、非神経細胞よりもニューロンで発現を駆動することができるプロモーターなどの組織特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、組織特異的プロモーターは、hSYN1(ヒトシナプシン)、INA(アルファインターネキシン)、NES(ネスチン)、TH(チロシンヒドロキシラーゼ)、FOXA2(フォークヘッドボックスA2)、CaMKII(カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII)、及びNSE(ニューロン特異的エノラーゼ)を含むがこれに限定されない、任意の様々なニューロン特異的プロモーターから選択される。場合によっては、プロモーターはユビキタスプロモーターである。「ユビキチンプロモーター」は、実験条件又は臨床条件下で組織特異的ではないプロモーターを指す。場合によっては、ユビキタスプロモーターは、CMV、CAG、UBC、PGK、EF1-アルファ、GAPDH、SV40、HBV、ニワトリベータ-アクチン、及びヒトベータ-アクチンプロモーターのいずれか1つである。
【0284】
いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、表3から選択され、配列は、それに対して少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する。
【0285】
(表3)
【0286】
プロモーターの更なる例示的な例は、シミアンウイルス40由来のSV40後期プロモーター、バキュロウイルス多面体エンハンサー/プロモーターエレメント、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV tk)、サイトメガロウイルス(CMV)由来の最初期プロモーター、及びLTRエレメントを含む様々なレトロウイルスプロモーターである。多種多様な他のプロモーターが既知であり、当技術分野で一般的に利用可能であり、多くのそのようなプロモーターの配列は、GenBankデータベースなどの配列データベースで利用可能である。
【0287】
その他の調節エレメント
場合によっては、本開示のベクターは、エンハンサー、イントロン、ポリAシグナル、2Aペプチドコード配列、WPRE(ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント)、及びHPRE(B型肝炎転写後調節エレメント)からなる群から選択される1つ以上の調節エレメントを更に含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、ベクターはCMVエンハンサーを含む。
【0289】
ある特定の実施形態では、ベクターは、1つ以上のエンハンサーを含む。特定の実施形態では、エンハンサーは、CMVエンハンサー配列、GAPDHエンハンサー配列、β-アクチンエンハンサー配列、又はEF1-αエンハンサー配列である。前述の配列は、当該技術分野で公知である。例えば、CMV最初期(IE)エンハンサーの配列は、配列番号35である。
【0290】
ある特定の実施形態では、ベクターは、1つ以上のイントロンを含む。特定の実施形態では、イントロンは、ウサギグロビンイントロン配列、ニワトリβ-アクチンイントロン配列、合成イントロン配列、又はEF1-αイントロン配列である。
【0291】
ある特定の実施形態では、ベクターはポリA配列を含む。特定の実施形態では、ポリA配列は、ウサギグロビンポリA配列、ヒト成長ホルモンポリA配列、ウシ成長ホルモンポリA配列、PGKポリA配列、SV40ポリA配列、又はTKポリA配列である。いくつかの実施形態では、ポリAシグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHpA)であってもよい。
【0292】
ある特定の実施形態では、ベクターは、1つ以上の転写物安定化エレメントを含む。特定の実施形態では、転写物安定化エレメントは、WPRE配列、HPRE配列、足場付着領域、3’UTR、又は5’UTRである。特定の実施形態では、ベクターは、5’UTR及び3’UTRの両方を含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、ベクターは、表4から選択される5’非翻訳領域(UTR)を含む。
【0294】
(表4)
【0295】
いくつかの実施形態では、ベクターは、表5から選択される3’非翻訳領域を含む。
【0296】
(表5)
【0297】
いくつかの実施形態では、ベクターは、表6から選択されるポリアデニル化配列(ポリA)を含む。
【0298】
(表6)
【0299】
例示的ベクターゲノムは、配列番号53~58、83~88、91、92、94、96、及び98として提供される図2~5、6~8、及び14~17に示される。いくつかの実施形態では、ベクターゲノムは、配列番号53~58、83~88、91、92、94、96、及び98のいずれか1つと、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になる、又はそれからなる。
【0300】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0301】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0302】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む。
【0303】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Btを含む。
【0304】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0305】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む。
【0306】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0307】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む。
【0308】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む。
【0309】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む。
【0310】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL/eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む。
【0311】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Btを含む。
【0312】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0313】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0314】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0315】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、3’UTR(グロビン)、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0316】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む。
【0317】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0318】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0319】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む。
【0320】
前述の実施形態では、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列に対するエレメント5’の順序が逆転し、その結果プロモーターがエンハンサーエレメントに先行するか、又はエンハンサーエレメントがプロモーターエレメントに先行する。
【0321】
アデノ随伴ウイルスベクター
アデノ随伴ウイルス(AAV)は複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは約4.7kbの長さであり、2つの145ヌクレオチド逆位末端配列(ITR)を含む。AAVには複数の既知のバリアントがあり、抗原エピトープによって分類される場合、血清型と呼ばれることもある。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は既知である。例えばAAV-1の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_002077で提供され、AAV-2の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_001401及びSrivastava et al.,J.Virol.,45:555-564(1983)で提供され、AAV-3の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_1829で提供され、AAV-4の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_001829で提供され、AAV-5ゲノムは、GenBank登録番号AF085716で提供され、AAV-6の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_00 1862で提供され、AAV-7及びAAV-8ゲノムの少なくとも一部は、それぞれGenBank登録番号AX753246及びAX753249で提供され、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)で提供され、AAV-10ゲノムはMol.Ther.,13(1):67-76 (2006)で提供され、AAV-11ゲノムはVirology,330(2):375-383(2004)で提供されている。AAVrh.74ゲノムの配列は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,434,928号で提供されている。ウイルスDNA複製(rep)、キャプシド形成/パッケージング、及び宿主細胞染色体組込みを導くシス作用配列は、AAV ITR内に含まれる。3つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置からp5、p19、及びp40と命名)は、rep遺伝子及びcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロン(ヌクレオチド2107及び2227)のディファレンシャルスプライシング(differential splicing)と連動して2つのrepプロモーター(p5及びp19)は、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、及びrep40)を産生する。Repタンパク質は、ウイルスゲノムの複製を最終的に担う複数の酵素特性を有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのキャプシドタンパク質VP1, VP2、及びVP3をコードする。選択的スプライシング及び非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連するキャプシドタンパク質の産生に関与する。単一のコンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95にある。AAVのライフサイクルと遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)で概説されている。
【0322】
AAVは、例えば遺伝子治療などで外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的な独自の特徴を有している。培養中の細胞のAAV感染は非細胞変性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は無症状及び無症候性である。更に、AAVは多くの哺乳動物細胞に感染し、インビボで多くの異なる組織をターゲティングする可能性を許容する。更に、AAVはゆっくりと分裂する細胞と分裂しない細胞に形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外エレメント)として、これらの細胞の生存期間に本質的に存続することができる。AAVプロウイルスゲノムは、プラスミド内にクローン化DNAとして挿入され、これにより組換えゲノムの構築が実現可能となる。更に、AAV複製及びゲノムのキャプシド化を指示するシグナルは、AAVゲノムのITR内に含まれているため、ゲノムの内部約4.3kbの一部又はすべて(複製及び構造キャプシドタンパク質、rep-capをコードする)は、外来DNAで置換されてもよい。AAVベクターを生成するために、repタンパク質及びcapタンパク質をトランスで提供してもよい。AAVのもう1つの重要な特徴は、AAVが非常に安定した強力なウイルスであることである。アデノウイルスの不活化に使用される条件(56°~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を軽減する。AAVは凍結乾燥することもできる。最後に、AAV感染細胞は重複感染に耐性がない。
【0323】
rAAVゲノム中のAAV DNAは、組換えウイルスが誘導され得る任意のAAVバリアント又は血清型由来であってもよく、AAVバリアント又は血清型には、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、及びAAVrh10が含まれるが、これらに限定されない。シュードタイプ化されたrAAVの製造は、例えば、WO 01/83692に開示されている。キャプシド変異を有するrAAVなどの他のタイプのrAAVバリアントも企図されている。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、当該技術分野で公知である。
【0324】
場合によっては、rAAVは自己相補的なゲノムを含む。本明細書で定義されるように、「自己相補的」又は「二本鎖」ゲノムを含むrAAVは、McCarty et al.Self-complementary recombinant adeno-associated virus (scAAV) vectors promote efficient transduction independently of DNA synthesis.Gene Therapy.8 (16):1248-54 (2001)に記載されるように、rAAVのコード領域が分子内二本鎖DNA鋳型を形成するように構成されるように操作されたrAAVを指す。本開示は、感染(形質導入のような)時に、rAAVゲノムの第二の鎖の細胞介在性合成を待つのではなく、scAAVの2つの相補的な半分が、すぐに複製及び転写ができる1つの二重鎖DNA(dsDNA)ユニットを形成するので、場合によっては、自己相補的ゲノムを含むrAAVの使用を企図する。rAAVに見られる完全コード容量(4.7~6kb)の代わりに、自己相補的ゲノムを含むrAAVは、その量の約半分(≒2.4kb)しか保持できないことが理解されよう。
【0325】
他の場合では、rAAVベクターは一本鎖のゲノムを含む。本明細書で定義されるように、「単一標準」ゲノムは、自己相補的ではないゲノムを指す。ほとんどの場合、非組換えAAVは一本鎖DNAゲノムを有している。rAAVは、細胞の効率的な形質導入を達成するためにscAAVであるべきといういくつかの兆候があった。しかしながら、本開示は、rAAVベクターの他の遺伝子改変が、標的細胞において最適な遺伝子転写を得るために有益であり得るという理解の下で、自己相補的ゲノムではなく、一本鎖ゲノムを有するかもしれないrAAVベクターを企図している。場合によっては、本開示は、マウス眼の前眼部への効率的な遺伝子導入を達成できる一本鎖rAAVベクターに関する。Wang et al.Single stranded adeno-associated virus achieves efficient gene transfer to anterior segment in the mouse eye. PLoS ONE 12(8):e0182473(2017)を参照されたい。
【0326】
場合によっては、rAAVベクターは、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、又はAAVrh74のベクターである。シュードタイプ化されたrAAVの産生は、例えば、WO 01/83692に開示されている。キャプシド変異を伴うrAAVなどの他のタイプのrAAVバリアントも意図されている。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。場合によっては、rAAVベクターは血清型AAV9のベクターである。いくつかの実施形態では、当該rAAVベクターは、血清型AAV9のベクターであり、一本鎖ゲノムを含む。いくつかの実施形態では、当該rAAVベクターは、血清型AAV9のベクターであり、自己相補的ゲノムを含む。いくつかの実施形態では、rAAVベクターは、AAV2の逆位末端配列(ITR)の配列を含む。いくつかの実施形態では、rAAVベクターはAAV2ゲノムを含み、その結果、rAAVベクターはAAV-2/9ベクター、AAV-2/6ベクター、又はAAV-2/8ベクターである。
【0327】
最も良く知られているAAVに対する完全長配列及びキャプシド遺伝子の配列は、米国特許第8,524,446号に提供され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0328】
AAVベクターは、野生型AAV配列を含んでよく、又は野生型AAV配列に対する1つ以上の改変を含んでもよい。ある特定の実施形態では、AAVベクターは、キャプシドタンパク質、例えば、VP1, VP2及び/又はVP3内に、例えば置換、欠失、又は挿入などの1つ以上のアミノ酸改変を含む。特定の実施形態では、改変は、AAVベクターが対象に提供されるとき、免疫原性の低下をもたらす。
【0329】
rAAVのキャプシドタンパク質は、rAAVがニューロン、又はより具体的にはドパミン作動性ニューロンなどの対象の特定標的組織を標的とするように改変されてもよい。例えば、Albert et al.AAV Vector-Mediated Gene Delivery to Substantia Nigra Dopamine Neurons: Implications for Gene Therapy and Disease Models. Genes.2017 Feb 8を参照されたい。また米国特許第6,180,613号及び米国特許公開第US20120082650A1号も参照されたい。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、rAAVは対象の黒質に直接注射される。
【0330】
いくつかの実施形態では、rAAVビリオンは、AAV2 rAAVビリオンである。キャプシドの多くは、AAV2キャプシド又はその機能的バリアントである。いくつかの実施形態では、AAV2キャプシドは、例えば配列番号59などの参照AAV2キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する。
【0331】
いくつかの実施形態では、rAAVビリオンは、AAV9 rAAVビリオンである。キャプシドの多くは、AAV9キャプシド又はその機能的バリアントである。いくつかの実施形態では、AAV9キャプシドは、例えば配列番号60などの参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する。
【0332】
いくつかの実施形態では、rAAVビリオンは、AAV-PHP.B rAAVビリオン又はその好中球性バリアントであり、例えば、国際特許公開第WO2015/038958A1号及び第WO2017/100671A1号に開示されているものなどであるが、これらに限定されない。例えば、AAVキャプシドは、配列TLAVPFK(配列番号62)又はKFPVALT(配列番号63)からの少なくとも4つの連続アミノ酸を含んでもよく、例えば、AAV9のアミノ酸588及び589をコードする配列の間に挿入される。
【0333】
キャプシドの多くは、AAV-PHP.Bキャプシド又はその機能的バリアントである。いくつかの実施形態では、AAV-PHP.Bキャプシドは、例えば配列番号61などの参照AAV-PHP.Bキャプシドと少なくとも98%、99%、又は100%の同一性を共有する。
【0334】
本開示のrAAVビリオンに使用される更なるAAVキャプシドには、国際特許公開第WO2009/012176A2号及び第WO2015/168666A2号に開示されているものが含まれる。
【0335】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される発現カセットを含む、rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを提供する。
【0336】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0337】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0338】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む。
【0339】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Btを含む。
【0340】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0341】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む。
【0342】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0343】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む。
【0344】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む。
【0345】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む。
【0346】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL/eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む。
【0347】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Btを含む。
【0348】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0349】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0350】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0351】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、3’UTR(グロビン)、及びpAGlobin-Ocを含む。
【0352】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む。
【0353】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0354】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む。
【0355】
rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む。
【0356】
前述のrAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列に対するエレメント5’の順序が逆転し、その結果、プロモーターがエンハンサーエレメントに先行するか、又はエンハンサーエレメントがプロモーターエレメントに先行する。
【0357】
医薬組成物及びキット
一態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンと、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0358】
例えば、注射による投与の目的のために、滅菌水溶液などの様々な溶液を使用することができる。このような水溶液は、所望により緩衝されてもよく、液体希釈剤は、生理食塩水又はグルコースによって最初に等張することができる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含有する)又は薬理学的に許容可能な塩としてのrAAVの溶液は、0.001%又は0.01%の例えばPluronic(商標)F-68などの界面活性剤と好適に混合された水中で調製することができる。rAAVの分散体は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその混合物、並びに油中で調製されてもよい。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための防腐剤を含有する。この関連で、使用される滅菌水性媒体はすべて、当業者に周知の標準技術によって容易に取得可能である。
【0359】
注射可能な使用に適した医薬品形態としては、これらに限定されないが、滅菌水溶液又は分散液、並びに滅菌注射溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合も、形態は滅菌されており、容易に注射可能な(syringability)程度に流動的でなければならない。製造及び保管の条件下で安定であり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合に必要な粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の長期間の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0360】
滅菌注射可能な溶液は、必要に応じて、上記で列挙された様々な他の成分と、適切な溶媒中に必要な量のrAAVを組み込み、その後に濾過滅菌することにより調製され得る。一般的に、分散剤は、滅菌された活性成分を、基本的な分散媒体及び上記で列挙されたものから必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌された注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、活性成分に加えて、事前に滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0361】
別の態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンと、使用説明書と、含む、キットを含む。
【0362】
使用方法
ある態様において、本開示は、細胞においてパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を本開示のrAAVと接触させることを含む。別の態様では、本開示は、対象におけるパーキン活性を増加させる方法を提供し、この方法は、本開示のrAAVを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、細胞及び/又は対象は、パーキン活性を欠損しており、かつ/又はパーキンに機能喪失変異を含む。細胞は、ニューロン、例えば、ドパミン作動性ニューロンであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞及び/又は対象は、PINK1活性が欠損しており、かつ/又はPINK1の機能喪失変異を含む。様々な実施形態では、活性化パーキンは、細胞又は対象において発現される。
【0363】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される発現カセットを含む、rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0364】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0365】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0366】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0367】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0368】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0369】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0370】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0371】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0372】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0373】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0374】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL/eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0375】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0376】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0377】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0378】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0379】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、3’UTR(グロビン)、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0380】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0381】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0382】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0383】
ある特定の実施形態では、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンと細胞とを接触させるか、又はそれを対象に投与する。
【0384】
前述のrAAVビリオン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列に対するエレメント5’の順序が逆転し、その結果、プロモーターがエンハンサーエレメントに先行するか、又はエンハンサーエレメントがプロモーターエレメントに先行する。
【0385】
活性化パーキンの有効性は、例えば以下に示すような非限定的な1つ以上のアッセイにおいて、未処理の細胞/対照に対する、又は参照パーキンタンパク質による処理に対する増加として決定できる:(1)活性パーキンタンパク質の発現、(2)ミトコンドリアタンパク質のユビキチン化の増加、(3)マイトファジーの改善、(4)細胞毒性の低減、(5)酸化ストレスの低減、及び/又は(6)ニューロン、例えば、ドパミン作動性ニューロン、の生存の増加。特定の実施形態では、増加は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は少なくとも100倍である。前述のパラメータ及び他のパラメータは、実施例4~5に記載されるものを含むがこれに限定されない、当技術分野で周知の方法によって測定することができる。
【0386】
いくつかの実施形態では、本方法は、細胞培養及び/又はインビボでのニューロンの生存を促進する。ニューロンは、ドパミン作動性ニューロンであってもよい。生存は、以下の実施例に記載されるものなど、1つ以上のアッセイを使用して測定されうる。特定の実施形態では、生存は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は少なくとも100倍増加する。
【0387】
治療方法
別の態様では、本開示は、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、この方法は、有効量の本開示のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、パーキンの発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている。対象は、PRKN(すなわち、PARK2、AR-DJ、ユビキチンE3リガーゼ)、PARK7(すなわち、DJ-1)、PINK1(すなわち、PARK6、PTEN誘導推定キナーゼ1、BRPK)、LRRK2、SNCA(すなわち、PARK1, PARK4、アルファ-シヌクレイン)において、遺伝的欠損(すなわち、診断されたか、又は診断されていないかどうかにかかわらず)を抱えている可能性がある。いくつかの実施形態では、対象は、PINK1発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている。いくつかの実施形態では、対象は、DJ-1発現又は機能における遺伝的欠損を抱えている。
【0388】
ある特定の実施形態では、対象に、本明細書に開示される発現カセットを含む、rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0389】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0390】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0391】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0392】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0393】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0394】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0395】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0396】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0397】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0398】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0399】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL/eMLPエンハンサー、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0400】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0401】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、Synプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0402】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0403】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0404】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、3’UTR(グロビン)、及びpAGlobin-Ocを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0405】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、及びpAGH-Btを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0406】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0407】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0408】
ある特定の実施形態では、対象に、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列、及びpAGH-Hsを含む発現カセットを含む、rAAVビロン、例えばAAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンを投与する。
【0409】
前述のrAAVビロン、例えば、AAV2 rAAVビロン又はAAV9 rAAVビロンの特定の実施形態では、活性化パーキンをコードするポリヌクレオチド配列に対するエレメント5’の順序が逆転し、その結果、プロモーターがエンハンサーエレメントに先行するか、又はエンハンサーエレメントがプロモーターエレメントに先行する。
【0410】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病である。本開示は、様々な神経変性疾患のいずれかに対する治療を提供する。例えば、本開示のrAAVビリオンは、若年発症、早期発症、若年発症、及び常染色体劣性早期発症のパーキンソン病としても知られる早期発症型パーキンソン病(EOPD)又は若年性PDを治療する。
【0411】
本開示のrAAVビリオンは、特発性PD、黒質線条体変性症、一次ドパミンニューロン喪失によるドパミン欠乏、散発性PD、PD病因不明、機能喪失に関連する神経変性疾患、並びに/又は病因不明若しくは特発性、及び散発性発症の神経変性疾患を伴う中脳(黒質及び/又は腹側被蓋野を含む)におけるドパミン作動性ニューロンの明らかな神経変性を更に治療する。
【0412】
本開示の方法は、加齢及び/又は遺伝的原因及び/又は原因不明のパーキンソン病(すなわち、特発性PD)に関連するものを含むがこれに限定されない、様々な障害における、黒質におけるドパミン作動性ニューロンの喪失を防止し得る。病因不明又は既知の病因を有する黒質におけるニューロンの一次喪失に関連する様々な神経変性状態を治療することができる。
【0413】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、PARK2遺伝子又はPINK1遺伝子の非存在又は変異による、黒質のドパミン作動性ニューロンの更なる喪失を停止及び/又は防止するための神経保護能及び神経回復能を有する治療薬として作用し得る。本開示の組成物は、神経保護療法として投与され、PARK2遺伝子及び/又はPINK1遺伝子における変異又は欠失の結果として、早期発症型パーキンソン病を有する患者における、黒質線条体変性、中脳の黒質領域に位置するドパミン作動性ニューロンの喪失を軽減することができる。
【0414】
活性化パーキンタンパク質のCNSへのAAV介在性送達は、ドパミン作動性黒質線条体系の神経保護及び/又は神経回復を示す解剖学的、神経化学的、及び行動学的尺度を改善する可能性がある。
【0415】
併用療法も本発明によって企図される。併用療法は、本開示のrAAVビリオン、並びにl-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-ドパ)及びドパミン作動薬のいずれか又は両方の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、rAAVビリオンの投与は、L-ドパ及び/又はDAの投与の必要性を減少させる。本明細書で使用される場合、併用は、同時治療又は逐次治療が含まれる。本発明の方法の標準的な医学的治療(例えば、コルチコステロイド又は局所的減圧薬)との組み合わせが、新規の療法との組み合わせと同様に、具体的に企図される。場合によっては、対象は、本明細書に記載されるrAAVの投与に対する免疫反応を防止又は低減するためにステロイドで治療されうる。
【0416】
例えば、静脈内注射のための、治療有効量のrAAVベクターは、約1e7vg/kg~約5e15vg/kg、又は約1e7vg/kg~約1e14vg/kg、又は約1e8vg/kg~約1e14vg/kg、又は約1e9vg/kg~約1e13vg/kg、又は約1e9vg/kg~約1e12vg/kg、又は約1e7 vg/kg~約5e7 vg/kg、又は約1e8vg/kg~約5e8vg/kg、又は約1e9 vg/kg~約5e9 vg/kg、又は約1e10 vg/kg~約5e10 vg/kg、又は約1e11vg/kg~約5e11vg/kg、又は約1e12vg/kg~約5e12vg/kg、又は約1e13vg/kg~約5e13vg/kg、又は約1e14vg/kg~約5e14vg/kg、又は約1e15vg/kg~約5e15vg/kgの範囲のrAAVの用量である。本発明はまた、これらの範囲のrAAVベクターを含む組成物を含む。
【0417】
例えば、特定の実施形態では、治療有効量のrAAVベクターは、約1e10vg/kg、約2e10vg/kg、約3e10vg/kg、約4e10vg/kg、約5e10vg/kg、約6e10vg/kg、約7e10vg/kg、約8e10vg/kg、約9e10vg/kg、約1e12vg/kg、約2e12vg/kg、約3e12vg/kg、約4e12vg/kg及び5e12vg/kgの用量である。本発明はまた、これらの用量のrAAVベクターを含む組成物を含む。
【0418】
いくつかの実施形態では、例えば、黒質への直接注射が行われる場合、治療有効量のrAAVベクターは、1e7/半球vg~1e11vg/半球の範囲の、又は約1e7vg/半球、約1e8vg/半球、約1e9vg/半球、約1e10vg/半球、若しくは約1e11vg/半球の用量である。
【0419】
いくつかの実施形態では、例えば、被殻への直接注射(被殻内)が行われる場合、治療有効量のrAAVベクターは、1e9vg/半球~6e11vg/半球の範囲の、又は約1e9vg/半球、約1e10vg/半球、約1e11vg/半球、約2e11vg/半球、約3e11vg/半球、若しくは約6e11vg/半球の用量である。
【0420】
場合によっては、治療用組成物は、注入された治療用組成物の体積当たり、約1e9、1e10、又は1e11を超えるrAAVベクターのゲノムを含む。場合によっては、治療用組成物は、注入された治療用組成物の体積当たり、約1e9、1e10、又は1e11を超えるrAAVベクターのゲノムを含む。場合によっては、治療用組成物は、1mL当たりおよそ1e10、1e11、1e12、又は1e13を超えるrAAVベクターのゲノムを含む。ある特定の実施形態では、治療用組成物は、1mL当たり約1e14、1e13又はle1e12未満のrAAVベクターのゲノムを含む。
【0421】
いくつかの実施形態では、本開示は、パーキンソン病を治療及び/又は予防する方法を提供し、この方法は、任意選択的に疾患の発症前、発症中、又は発症後に、本開示のベクターを投与することを含む。パーキンソン病は、早期発症型パーキンソン病(EOPD)である可能性がある。いくつかの実施形態では、本方法は、例えばEOPDなどのパーキンソン病の1つ以上の症状を軽減する。神経変性、黒質線条体変性、及び/若しくは運動失調に関連する運動合併症を低減し、抗パーキンソン薬物療法(L-DOPA及びドパミン作動薬を含むが、これらに限定されない)の必要性を低減し、変性ニューロンの機能を復元し、並びに/又はニューロンを変性から保護することができる。
【0422】
患者における機能改善、臨床的有益性又は有効性の証拠は、被殻及び黒質の中脳領域での[18F]フルオロ-L-ドパ陽電子放射断層撮影法(PET)取り込みなどの強化された黒質線条体機能の代理マーカー、又は被殻のDaT-SPECTイメージングによるドパミントランスポーター(DaT)などのシナプス前ドパミン終末活動のマーカーの分析によって評価され得る。症候性、臨床的利益の証拠は、標準的なパーキンソン病評価尺度、例えば、Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)又はMovement Disorder Society-sponsored version of the UPDRS(MDS-UPDRS)などを使用して決定されてもよく、これは、併用抗パーキンソン薬の有無にかかわらず評価される。これら又は類似の尺度、並びに生活の質に関する患者報告アウトカムは、疾患の運動要素及び非運動要素の両方の改善を示すことができる。治療効果を評価する更なる方法は、当技術分野で公知である。これらには、実施例6で使用される方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0423】
組成物の投与
組成物の有効用量の投与は、限定されないが、全身的、局所的、直接注射、静脈内、脳内、脳脊髄内、くも膜下腔内、大槽内、被殻内、海馬内、黄斑内、線条体内(被殻及び/又は尾状核)、又は脳室内投与を含む、当技術分野の標準的な経路によるものであってよい。場合によっては、投与は、静脈内、脳内、脳脊髄、くも膜下腔内、大槽内、被殻内、海馬内、線条体内(被殻及び/又は尾状核)、又は脳室内注射を含む。投与は、トレンデレンブルク傾斜を伴う、又は伴わないくも膜下腔内注射によって行われてもよい。
【0424】
いくつかの実施形態では、本開示は、有効用量の本発明のrAAV及び組成物の局所投与及び全身投与を提供する。例えば、全身投与は、全身が影響を受けるように循環系に投与され得る。全身投与には、注射、注入、又は移植による親(parental)投与が含まれる。
【0425】
特に、本発明のrAAVの投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することによって達成され得る。投与には、以下に限定されないが、中枢神経系(CNS)又は脳脊髄液(CSF)への注射、及び/又は脳への直接の注射が含まれる。
【0426】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、例えば、脳神経外科手術による黒質の領域(及び周囲の領域)を含む、中脳の領域(又は中脳のすぐ上)への、実質内への直接的な送達を含む。注入は、注入ポンプを使用して、専用カニューレ、カテーテル、シリンジ/針を使用して行われてもよい。任意選択的に、注射部位のターゲティングは、MRIガイドイメージングを用いて達成されてもよい。投与は、有効量のrAAVビリオン、又はrAAVビリオンを含む医薬組成物のCNSへの送達を含み得る。これらは、例えば、トレンデレンブルク傾斜手順を伴う大槽内(intracisternal magna)注入、又はトレンデレンブルク傾斜処置を伴わない大槽内注入、トレンデレンブルク傾斜処置を伴うくも膜下腔内注入、又はトレンデレンブルク傾斜処置を伴わないくも膜下腔内注入を介して達成され得る。本開示の組成物は、更に静脈内投与されてもよい。
【0427】
CNSへの直接送達には、特定の神経領域又は神経標的を含有するより一般的な脳領域を標的とすることを伴うことがある。個々の患者の脳領域及び/又は神経標的の選択、並びにその後のAAVの術中送達は、多数の撮像技術(MRI、CT、MRIマージと組み合わせたCT)を使用して、任意の数のソフトウェア計画プログラム(例えば、Stealth System、Clearpoint Neuronavigation System、Brainlab、Neuroinspireなど)を採用することによって達成することができる。脳領域のターゲティング及び送達には、標準的な定位固定フレーム(Leksell、CRW)の我々が関与するか、又は術中MRIの有無に関わらず、フレームレスアプローチを使用することができる。AAVの実際の送達は、AAVベクターの吸着を防止するために、材料で被覆した内側ルーメンを有する、又は有さない針又はカニューレを通した注射による場合がある(例えば、Smartflowカニューレ、MRI Interventionsカニューレ)。送達デバイスは、シリンジを、事前にプログラムされた注入速度及び容量を有する自動注入又はマイクロ注入ポンプとインターフェイスで接続する。シリンジ/針の組み合わせ、又は針のみは、定位固定フレームと直接インターフェイスで接続されてもよい。注入は、一定の流量、又は対流性強化送達による変動速度を含みうる。
【実施例
【0428】
実施例1:インビトロでの生物活性
以下のパーキン変異体の各々をコードするAAV発現カセットを有するプラスミドベクターは、従来のクローニング方法を使用して構築される。
【0429】
構築物は、HEK293、HeLa細胞、ラット初代ニューロンの形質導入、及び/又はChoLec2細胞のインビトロトランスフェクション後に、ウェスタンブロット、ELISA、及び/又は免疫標識によって、パーキンの発現についてスクリーニングされる。
【0430】
パーキン発現を示す選択された構築物は、ヘルパーフリーパッケージングシステムを使用してAAVビリオンにトランスフェクトされ、又はAAVビリオンに変換され、また、ChoLec2及び/又はSH-SY5Y細胞を形質導入するために使用される。細胞は、脱共役剤(カルボニルシアニド3-クロロフェニルヒドラゾン[CCCP]又はカルボニルシアニド4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾンFCCP])、ミトコンドリア損傷のアッセイで処理される。蛍光顕微鏡を使用して、パーキン変異体の、ミトコンドリアへの局在を測定する。細胞はまた、外因性パーキン及びミトコンドリア外膜のトランスロカーゼ複合体サブユニット20(TOMM20)の共局在化を測定することによって、及びミトコンドリア膜画分のウェスタンブロットによって、損傷したミトコンドリアのクリアランスについて試験される。オートファゴソーム(例えば、LC3)のマーカーのレベルも測定される。
【0431】
パーキン変異体は、細胞生存を強化し、ミトコンドリアの形態及び機能を正常化する能力、例えば、活性酸素種の軽減について、MitoSOXアッセイによって評価されるなど、更にアッセイされる。
【0432】
パーキン構築物の生理活性を更に実証するために、適切な対照(内因性タンパク質、例えば、β-アクチン)と比較して、パーキン基質の改変、例えば、ユビキチン化又は総発現レベルAIMP2, CISD1、Miro、STEP-61, RTP-801、ポリン、マイトフュージョン、PARIS、PGC-1αが測定される。
【0433】
選択されたAAVビリオンは、正常なPARK2遺伝子又はPARK6遺伝子を欠くげっ歯類からの一次ニューロン、及び正常なPARK2遺伝子又はPARK6遺伝子を欠くヒト患者由来細胞で更に評価される。ニューロンは、AAVビリオンとの接触前、接触中、又は接触後に、ドパミン作動性ニューロンに分化され得る。上述の生物活性アッセイは、一次ニューロンアッセイ又は患者由来細胞アッセイで繰り返される。
【0434】
実施例2: インビボ有効性
選択されたパーキン構築物をコードするAAVビリオンを用いた治療を、疾患の動物モデルで試験する。具体的には、マウス、ラット、又は非ヒト霊長類(NHP)を、ドパミン作動性神経毒で処理して、神経疾患を誘発する。実験で使用される神経毒には、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)及び6-ヒドロキシドパミンが含まれる。
【0435】
選択されたパーキン構築物をコードするAAVビリオンによる治療は、PARK2遺伝子又はPARK6遺伝子の機能喪失(例えばヌル)変異を有するマウス又はラットモデルでも試験される。治療の神経保護効果及び神経回復効果を測定する。
【0436】
評価には、黒質及び/又は腹側被蓋野におけるドパミン作動性ニューロンの喪失の防止、又は更なる変性からの救済のための試験が含まれる。黒質線条体系に対する神経保護/神経回復効果は、例えば、Kirik et al.,Eur J Neurosci,2000に開示された、例えば、神経細胞体の数の定量化、神経細胞体及びそれらの軸索突起の一般的な形態(例えば、サイズ、形状)、並びに他の脳領域(例えば、線条体)への経路における軸索投射の完全性などの技術を使用して測定する。ドパミン作動性ニューロン(ニューロン数の定量化)及び線維密度(光学的密度測定)の特徴解析は、チロシンヒドロキシラーゼ及び/又は小胞モノアミントランスポーターの免疫標識を使用して達成される。線条体及び/又は黒質におけるドパミン及び/又はその代謝物(例えば、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸[DOPAC]、ホモバニリン酸[HVA])の神経化学的レベルも定量化される。
【0437】
パーキン構築物をコードするAAVビリオンによる治療の機能的/行動的結果の特徴付けは、げっ歯類の黒質線条体機能の特徴付けを行う既知の試験パラダイムを使用して運動行動を調べることによって達成され(Bjorklund et al.Br Res,2000、Kirik et al.,Nat Neurosci,2004)、これらに限定するものではないが、アンフェタミン誘発回転、自発回転、前肢使用嗜好性(forelimb use preference)、シリンダー試験、調整されたステッピングタスク、オープンフィールドにおける一般的な自発運動行動及びロトロッド(rotorod)が含まれる。NHPは、Unified Parkinson’s Disease Rating Scaleに相当するNHPを使用した行動試験によって評価される(Kordower et al.,Ann Neurol,2006)。
【0438】
実施例4: ニューロンの喪失の防止:パーキンソン病の6-OHDAモデル
パーキンバリアントは、パーキンソン病によって引き起こされるニューロン損傷のモデルとして、例えばSimola et al.Neurotox Res.2007 Apr;11(3-4):151-67 (2007);Hanrott et al.J.Biol.Chem.281:5373-82 (2006)に記載されるような6-OHDA毒性モデルとして当該技術分野で公知のアッセイで試験した。このモデルは、パーキンソン病患者の疾患病理の特徴である、強力なドパミン作動性ニューロン酸化ストレスとニューロン喪失を産生する。
【0439】
表8は、これらの実験で評価した特定のAAV構築物をまとめたものである。
【0440】
(表8)試験した構築物
【0441】
C431Fは、触媒中心変異として文献に記載されている。Fiesel et al.Hum Mutat.36:774-786(2015)を参照されたい。これは、パーキン活性化の陰性対照として意図されていた。
【0442】
ドパミン作動性(DA)毒素6-OHDA(6-ヒドロキシドパミン)の神経毒性効果の緩和を、ラットドパミン作動性神経細胞株(N27-A; END Millipore、Millipore, Temecula, CA)で評価した。細胞を96ウェルプレートに播種し、操作されたパーキンバリアントの各々をコードするプラスミドDNA、蛍光レポーター対照、又はモックトランスフェクションでトランスフェクトした。24時間培養後、細胞を、濃度7.5μM、15μM、又は30μMの6-OHDA(6-ヒドロキシドパミン臭化水素酸塩、Sigma-Aldrich、cat.162957)に曝露した。各条件における全ニューロンの細胞生存率を、6-OHDAの添加後3日(図10A~10D; RealTime-GloTM MT Cell Viability Assay、Promega cat. G9712)、又は9日(図11A~11D、Cell Titer-Glo 2.0 Assay、Promega cat. G9241)に発光ベースのアッセイで測定した。トランスフェクション状態の全体的な効果の評価のために非パラメータ解析(Kruskal-Wallis)を行い、適切な場合には、Dunnの多重比較事後解析の違い(Dunn’s multiple comparison post-hoc analyses differences )を実施した。
【0443】
両方の実験において、「活性化」及び「スーパー」パーキン構築物は、対照(CON GFP)実験と比較して、神経細胞数において毒素の用量依存的減少を防止した。驚いたことに、C431Fパーキンは、野生型パーキン(WT)よりも効果的であった。更に、これらの6-OHDA実験の両方とも、「活性化」パーキン、Δパーキン、及び「スーパーパーキンV2」は、それぞれ野生型パーキンよりも優れていた。
【0444】
要約すると、本実施例で試験された操作されたパーキン構築物は、パーキンソン病の認められたインビトロモデルにおける、神経細胞損傷の防止において野生型パーキンよりも優れている。
【0445】
実施例4: ヒトIPSC由来PARK2-/-ドパミン作動性ニューロンにおける細胞数の増加及びミトコンドリア膜電位の保存
パーキンソン病に対する別の許容可能なインビトロモデルは、ドパミン作動性ニューロンにおける酸化ストレスのプロモーターの有害な細胞への影響を防止するためのアッセイである。これには、過酸化水素(H)で処理されたパーキンヌル(すなわち、PARK2-/-)ドパミン作動性ニューロンにおけるミトコンドリア膜電位の散逸の防止が含まれる。(Ferrari et al.J.Neuroscience Methods 340:108741 (2020); Avazzadeh et al.Blain Sci.11:373(2021))このモデルは、ヒト細胞を使用する。黒質の変性がパーキンソン病に罹った対象で観察されるため、モデルシステムにおけるドパミン作動性ニューロンの喪失を軽減できる治療アプローチは、パーキンソン病における治療効果を予測するものとみなされる。
【0446】
iPS由来ヒトPARK2 -/-ドパミン作動性ニューロン(Applied StemCell(商標)、Milpitas, CA)を384ウェルプレートに播種し、7日間培養した後、Viafect(Promega(登録商標)#E4981)を使用して各パーキンバリアントをコードするプラスミドDNAでトランスフェクトした。対照として0.1%のDMSOを含む培地で10日目に、過酸化水素(150μM H)を細胞に添加した(6ウェル/条件)。細胞をHで24時間及び48時間処理した後、生細胞中のミトコンドリアを染色する赤色蛍光色素を使用してミトコンドリア膜電位を評価した。その蓄積は膜電位に依存する(MitoTracker(商標)、ThermoFisher(登録商標)Cat. M7512)。固定の直前に、標準的なキットのプロトコルに従って、250nMのMitoTracker TM Red CMXRosで30分間細胞を染色した。固定、透過処理、及びブロッキングの後、細胞をその後、Hoechst核色素で染色した。定量化は、ThermoFisher(登録商標)CX7LEDハイコンテンツ顕微鏡で9フィールド/ウェルからのデータを捕捉する20倍の倍率でのプレートの撮像によって達成された。ThermoFisher(登録商標)CellInsight(登録商標)ソフトウェアパッケージを使用して、自動定量的画像解析を実行した。
【0447】
非トランスフェクトされていない対照及びモック対照(CONモック)条件において、150μM H図12、左)への曝露後に細胞数が著しく低下した。スーパーパーキン、スーパーパーキンV2、及び変異体C431F構築物は、H介在性ニューロン数の喪失を防止し(図12、左)、ミトコンドリア膜電位の散逸を防止する(図12、右)ことが見出された。
【0448】
Δパーキン、スーパーパーキン、スーパーパーキンV2、及びC431Fパーキン構築物は、H処理後に細胞数の増加が観察された。スーパーパーキン、スーパーパーキンV2、及びC431Fパーキン構築物は、ミトコンドリア膜トラッカー(Mitochondrial Membrane Tracker)の増加を防止した。
【0449】
実施例5: AAVベクターからの操作されたパーキンバリアントの発現
本実施例は、生理学的に関連のある一次細胞に特異的な一次皮質ニューロンにおけるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターからの操作されたパーキン構築物の発現を示す。
【0450】
一次皮質ニューロン培養は、(Banker and Goslin, 1998)によって記述されるように、妊娠Wistarラットからの胚性胎児(約E18)を使用して調製した。簡潔に述べると、脳を単離した後、海馬及び皮質を解剖し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で洗浄し、トリプシン(0.25%)で15分間インキュベートした。次に、微細ガラスピペットで非常に穏やかに数回ピペット操作することによって細胞を解離させた。次いで、単離細胞を、ポリL-リジンで処理した組織培養プレートi上の神経細胞用プレート培地[B27(2%)、GlutaMax(商標)(2nM)Penn/strep(1%)及びグルコース(6.5%)、v/vを含有するNeurobasal培地(Gibco(商標)]に、およそ0.5×10細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を、加湿インキュベーター(37℃、5% CO2)で約3週間増殖させ、約1mlの培地を毎週補充した。14日目のニューロンをAAV遺伝子導入に使用した。
【0451】
操作されたパーキン構築物のそれぞれに対するAAV9ベクターを使用して、3×10の感染多重度(MOI)で一次ニューロン培養物を形質導入した。
【0452】
細胞可溶化物を7日後に収集した。総タンパク質をBCAキット(Thermo(登録商標)カタログ番号23225)を使用して測定し、10mgのタンパク質を4~12%のBis-Trisゲルにロードした。タンパク質をPVDF膜に移し、TBS-T+10%粉ミルク中でブロッキングし、抗パーキン(CST #2132)抗体で一晩インキュベートした。抗GAPDH(Abcam ab8245)も、ローディング対照として実験で使用された。
【0453】
ウェスタンブロットによるパーキンタンパク質発現の分析により、一次ニューロンの形質導入後の強力なタンパク質発現が明らかになった。レーン5及び6は、ニューロンで検出されたWTパーキンの内因性レベルを示す。レーン1は、約52kDaのサイズの完全長ヒトパーキンタンパク質の活性化パーキン介在性過剰発現を明らかにした。レーン2の上のバンドは、ヒトパーキンの内因性レベルを表し、下側のバンド(約36kDa、矢印)は、タンパク質のΔパーキン型を反映する。レーン3及びレーン4は、完全長(約54kDa)及びその切断型(約43kDa)の両方において、ヒトパーキンのスーパーパーキン介在性過剰発現を示す。スーパーパーキンV2ベクターの切断バンドは、スーパーパーキンV1の切断バンドよりも強く、V2はユビキチン化及びその後の分解に対してより耐性があることと一致している。
【0454】
実施例6: 黒質線条体変性のMPTPマウスモデルにおけるインビボ試験
本実施例は、本明細書に開示される操作されたパーキンバリアントを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによるパーキンソン病の治療を実証する。
【0455】
使用される動物モデルは、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)マウスの黒質線条体変性モデルである。このモデルでは、神経毒MPTPの反復腹腔内注射により、黒質内のドパミン産生ニューロンの両側性の喪失、及び線条体内のドパミンレベルの同時枯渇を生じさせる。
【0456】
4つのパーキンバリアントの各々をコードするAAV9ベクターの、黒質への片側注射がMPTP投与の4週間前に行われる。陽性薬理学的対照として、マウスの群は、MPTP投与前に、いくつかの神経保護特性を有するチロシンキナーゼ阻害剤であるニロチニブの慢性注射を受ける。治療群及び全般的試験デザインの概要は表9に見出すことができる。
【0457】
(表9)
FB=製剤緩衝液対照、Sal=生理食塩水、ACT=活性化パーキン、DEL=Δパーキン、SUP1=スーパーパーキン、SUP2=スーパーパーキンV2、MPTP=1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
【0458】
最初のMPTP注射の6日後、新鮮な脳試料が採取される。神経化学分析には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、線条体内のドパミン及びその代謝物レベルを定量化することが含まれる。解剖学的解析には、黒質(SN)(緻密部;SNc)内のチロシンヒドロキシラーゼ(TH)陽性細胞の数の定量が含まれる。これらのデータは、本明細書に開示される操作されたパーキンバリアントを使用した、パーキンソン病におけるドパミン作動性ニューロンの喪失の潜在的な治療の証拠を提供し得る。
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【配列表】
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【国際調査報告】