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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】歪み緩和層
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/12 20100101AFI20230808BHJP
   H01L 33/16 20100101ALI20230808BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20230808BHJP
【FI】
H01L33/12
H01L33/16
H01L33/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501450
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 GB2021051811
(87)【国際公開番号】W WO2022013556
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】2010988.0
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウェイシン
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトマン,ジョン ライル
(72)【発明者】
【氏名】ユー,シャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン-ヨン
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA40
5F241CA40
5F241CA74
(57)【要約】
エピタキシャル結晶構造内の歪み緩和層を形成するための方法であって、該方法が、第1の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む結晶テンプレート層を提供することと、第1のエピタキシャル結晶層を結晶テンプレート層上に形成することであって、第1のエピタキシャル結晶層が、結晶テンプレート層の導電率よりも高い初期導電率を有する、形成することと、第2のエピタキシャル結晶層を第1のエピタキシャル結晶層上に形成することであって、第2のエピタキシャル結晶層が、第1のエピタキシャル結晶層の初期導電率よりも低い導電率を有し、結晶テンプレート層の第1の自然緩和面内格子パラメータとは異なる第2の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む、形成することと、第1のエピタキシャル結晶層の電気化学エッチングによって第1のエピタキシャル結晶層内に細孔を形成し、第1のエピタキシャル結晶層内の、及び/又は第1のエピタキシャル結晶層と第2のエピタキシャル結晶層との間の界面における結合の塑性変形による第2のエピタキシャル結晶層内の歪み緩和を可能にすることと、少なくとも第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く導電材料を含む1つ以上のチャネルを形成し、これにより、第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く結晶テンプレート層への電気接続を可能にすることと、を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル結晶構造内の歪み緩和層を形成するための方法であって、前記方法が、
第1の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む結晶テンプレート層を提供することと、
第1のエピタキシャル結晶層を前記結晶テンプレート層上に形成することであって、前記第1のエピタキシャル結晶層が、前記結晶テンプレート層の導電率よりも高い初期導電率を有する、形成することと、
第2のエピタキシャル結晶層を前記第1のエピタキシャル結晶層上に形成することであって、前記第2のエピタキシャル結晶層が、前記第1のエピタキシャル結晶層の前記初期導電率よりも低い導電率を有し、前記結晶テンプレート層の前記第1の自然緩和面内格子パラメータとは異なる第2の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む、形成することと、
前記第1のエピタキシャル結晶層の電気化学エッチングによって前記第1のエピタキシャル結晶層内に細孔を形成し、前記第1のエピタキシャル結晶層内の、及び/又は前記第1のエピタキシャル結晶層と前記第2のエピタキシャル結晶層との間の界面における結合の塑性変形による前記第2のエピタキシャル結晶層内の歪み緩和を可能にすることと、
少なくとも前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層を貫く導電材料を含む1つ以上のチャネルを形成し、これにより、前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層を貫く前記結晶テンプレート層への電気接続を可能にすることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記細孔が、50%超、好ましくは、60%超、及びより好ましくは、70%超の、前記結晶テンプレート層と前記第2のエピタキシャル結晶層との間の前記第1のエピタキシャル層の体積の密度を有するように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のエピタキシャル結晶層が少なくとも1つのVピットを含み、好ましくは、前記少なくとも1つのVピットの深さが実質的に、一体化した前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層の厚さである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのVピットを拡大することを含み、好ましくは、前記少なくとも1つのVピットを拡大することが、前記少なくとも1つのVピットの少なくとも1つの側壁からの材料をエッチングし、これにより、前記結晶テンプレート層の少なくとも部分を露出させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも前記第2のエピタキシャル結晶層を貫いてエッチングし、これにより、前記第2のエピタキシャル結晶層内に1つ以上のアイランドを形成することを含み、好ましくは、前記第2のエピタキシャル結晶層をパターニングすることを含み、パターニングがリソグラフィ技法及び自己組織化Niハードマスクのうちの少なくとも一方を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記結晶テンプレート層を、パターニングされたテンプレート層上に形成することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パターニングされたテンプレート層が、トレンチを提供するようにパターニングされ、好ましくは、前記結晶テンプレート層を形成することが、前記トレンチ内にオーバーグロース材料を形成し、V溝を提供し、これにより、前記第2のエピタキシャル結晶層内における谷によって少なくとも部分的に画定された2次元領域の形成を可能にすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記結晶テンプレート層が、1つ以上のオーバーグロース構造を提供するようにパターニングされ、好ましくは、前記パターニングされたテンプレート層を形成することが、前記結晶テンプレート層を少なくとも部分的にマスクし、1つ以上の孔を提供し、前記1つ以上の孔内にオーバーグロース材料を形成し、これにより、前記1つ以上のオーバーグロース構造を提供することを含み、好ましくは、少なくとも前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層を貫く前記導電材料を含む前記1つ以上のチャネルを形成することが、前記1つ以上のオーバーグロース構造の1つ以上の側壁からの材料を除去することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のエピタキシャル結晶層の少なくとも部分を平坦化し、これにより、前記第2のエピタキシャル結晶層と疑似格子整合した第3のエピタキシャル結晶層を形成することを含み、好ましくは、前記導電材料が前記第3のエピタキシャル結晶層の部分を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第3のエピタキシャル結晶層が導電層であり、好ましくは、前記第3のエピタキシャル結晶層が前記結晶テンプレート層と電気的に連通しており、及び/又は前記第3のエピタキシャル結晶層が、キャリア再結合に応じて光を放出するように構成された活性領域の少なくとも部分を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶テンプレート層、前記第1のエピタキシャル結晶層、前記第2のエピタキシャル結晶層、及び前記第3のエピタキシャル結晶層のうちの少なくとも1つが半導体材料を含み、好ましくは、前記半導体材料がIII-V族系材料であり、より好ましくは、前記III-V族系材料が窒化物系材料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
エピタキシャル結晶構造であって、
第1の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む結晶テンプレート層と、
前記結晶テンプレート層上に形成された第1のエピタキシャル結晶層と、
前記第1のエピタキシャル結晶層上に形成された第2のエピタキシャル結晶層であって、前記第2のエピタキシャル結晶層が、前記結晶テンプレート層の前記第1の自然緩和面内格子パラメータとは異なる第2の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む、第2のエピタキシャル結晶層と、
前記第1のエピタキシャル結晶層内に形成された1つ以上の細孔であって、これにより、前記第2のエピタキシャル結晶層内の任意の歪みが、前記第1のエピタキシャル結晶層内の、及び/又は前記第1のエピタキシャル結晶層と前記第2のエピタキシャル結晶層との間の界面における結合の塑性変形によって緩和される、1つ以上の細孔と、
少なくとも前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層を貫いて形成された導電材料を含む1つ以上のチャネルであって、これにより、前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層を貫く前記結晶テンプレート層への電気接続を可能にする、1つ以上のチャネルと、
を含むエピタキシャル結晶構造。
【請求項13】
前記第2のエピタキシャル結晶層と疑似格子整合した第3のエピタキシャル結晶層を含む、請求項12に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項14】
前記1つ以上の細孔が、50%超、好ましくは、60%超、及びより好ましくは、70%超の、前記結晶テンプレート層と前記第2のエピタキシャル結晶層との間の前記第1のエピタキシャル層の体積の密度を有するように形成される、請求項12又は13に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項15】
前記第2のエピタキシャル結晶層が少なくとも1つのVピットを含み、好ましくは、前記少なくとも1つのVピットの深さが実質的に、一体化した前記第1のエピタキシャル結晶層及び前記第2のエピタキシャル結晶層の厚さである、請求項12~14のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項16】
前記少なくとも1つのVピットが前記結晶テンプレート層の少なくとも部分を露出させる、請求項15に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項17】
前記第2のエピタキシャル結晶層内に形成された1つ以上のアイランドを含む、請求項12~16のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項18】
前記第2のエピタキシャル結晶層内の前記1つ以上のアイランドを少なくとも部分的に包囲し、これにより、1つ以上の2次元領域の形成を可能にする1つ以上の谷を含む、請求項17に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項19】
前記導電材料が前記第3のエピタキシャル結晶層の部分を形成する、請求項13に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項20】
前記第3のエピタキシャル結晶層が導電層であり、好ましくは、前記第3のエピタキシャル結晶層が前記結晶テンプレート層と電気的に連通しており、及び/又は前記第3のエピタキシャル結晶層が、キャリア再結合に応じて光を放出するように構成された活性領域の部分を形成する、請求項12~19のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項21】
前記結晶テンプレート層、前記第1のエピタキシャル結晶層、前記第2のエピタキシャル結晶層、及び前記第3のエピタキシャル結晶層のうちの少なくとも1つが半導体材料を含み、好ましくは、前記半導体材料がIII-V族系材料であり、より好ましくは、前記III-V族材料が窒化物系材料である、請求項12~20のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶構造。
【請求項22】
請求項12~21のいずれか一項に記載のエピタキシャル結晶構造を含む発光デバイス。
【請求項23】
少なくとも1つの請求項22に記載の発光デバイスを含む発光画素のアレイ。
【請求項24】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を含む発光デバイスを形成する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法を含む発光画素のアレイを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプレート、及びテンプレートを形成するための方法に関する。詳細には、限定するものではないが、本発明は、実用的デバイス形成のための歪み緩和結晶性材料の成長を可能にするテンプレート、及びテンプレートを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エピタキシャル成長結晶デバイス、このような発光ダイオード(LED(light emitting diode))デバイスは、通例、異なる組成の層を有する結晶構造を提供するために、有機金属気相成長(MOCVD(metal organic chemical vapour deposition))及び分子線エピタキシ(MBE(molecular beam epitaxy))などの技法を用いて形成される。特定の放射再結合を達成することを所望することによって必要となり得る、層の異なる組成は、例えば、層の結晶格子パラメータの間の不整合を生じさせ得る。このような不整合は、通例、高い歪みをもたらし得、それがひいては内部量子効率(IQE(internal quantum efficiency))の低下をもたらし得る。これは、特に、より長い波長の光の放出、例えば、赤色光の放出を提供するためにInGaN量子井戸(QW(quantum well))内の高いインジウム含有率が用いられる場合における、窒化インジウムガリウム(InGaN)ベースのLED構造の形成における既知の問題である。
【0003】
このような場合には、デバイスの特性を改善するために下地層内の歪みを低減しようと試みることは、多くの場合、さらなる困難を引き起こす。例えば、InGaNベースのデバイスでは、窒化ガリウム(GaN)よりも大きい面内格子定数を有する緩和InGaN層上にQWを成長させることが歪みを低減し、したがって、IQEを改善することになる。しかし、高品質の緩和InGaN層を達成し、さらに、機能的デバイスを形成するためのQW内のキャリア注入も可能にすることは問題がある。なぜなら、好ましいドーピングレベルを有する高品質のn型層は、通例、及び有利に、n型にドープされたGaNから形成され、歪みを低減し、ひいては、赤色光を放出するInGaNベースのLEDのIQEを改善するために必要とされる組成を有する材料のためには容易に達成されないからである。
【0004】
多孔質GaN層が、その後に成長させた層内の歪みを低減するための機構として提案されている。なぜなら、多孔質GaNは柔軟であり、切断された結合を多く含み、これが多孔質GaN/InGaN界面におけるミスフィット転位の伝搬を可能にするからである。しかし、このような多孔質GaNは高い抵抗性を有し、したがって、概して、機能的デバイスの形成には適さない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述された問題のうちの少なくとも一部を軽減するために、エピタキシャル結晶構造内の歪み緩和層を形成するための方法であって、該方法が、第1の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む結晶テンプレート層を提供することと、第1のエピタキシャル結晶層を結晶テンプレート層上に形成することであって、第1のエピタキシャル結晶層が、結晶テンプレート層の導電率よりも高い初期導電率を有する、形成することと、第2のエピタキシャル結晶層を第1のエピタキシャル結晶層上に形成することであって、第2のエピタキシャル結晶層が、第1のエピタキシャル結晶層の初期導電率よりも低い導電率を有し、結晶テンプレート層の第1の自然緩和面内格子パラメータとは異なる第2の自然緩和
面内格子パラメータを有する材料を含む、形成することと、第1のエピタキシャル結晶層の電気化学エッチングによって第1のエピタキシャル結晶層内に細孔を形成し、第1のエピタキシャル結晶層内の、及び/又は第1のエピタキシャル結晶層と第2のエピタキシャル結晶層との間の界面における結合の塑性変形による第2のエピタキシャル結晶層内の歪み緩和を可能にすることと、少なくとも第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く導電材料を含む1つ以上のチャネルを形成し、これにより、第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く結晶テンプレート層への電気接続を可能にすることと、を含む方法が提供される。
【0006】
また、エピタキシャル結晶構造であって、第1の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む結晶テンプレート層と、結晶テンプレート層上に形成された第1のエピタキシャル結晶層と、第1のエピタキシャル結晶層上に形成された第2のエピタキシャル結晶層であって、第2のエピタキシャル結晶層が、結晶テンプレート層の第1の自然緩和面内格子パラメータとは異なる第2の自然緩和面内格子パラメータを有する材料を含む、第2のエピタキシャル結晶層と、第1のエピタキシャル結晶層内に形成された1つ以上の細孔であって、これにより、第2のエピタキシャル結晶層内の任意の歪みが、第1のエピタキシャル結晶層内の、及び/又は第1のエピタキシャル結晶層と第2のエピタキシャル結晶層との間の界面における結合の塑性変形によって緩和される、1つ以上の細孔と、少なくとも第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫いて形成された導電材料を含む1つ以上のチャネルであって、これにより、第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く結晶テンプレート層への電気接続を可能にする、1つ以上のチャネルと、を含むエピタキシャル結晶構造が提供される。
【0007】
有利に、1つ以上のチャネルの形成と組み合わせた、初期に高導電率を有する層の多孔化は、下地テンプレート層の固有の緩和された面内格子パラメータと比べて異なる固有の緩和された面内格子パラメータを有する結晶層の緩和を可能にする。このような緩和は、さもなければ達成が困難であろうデバイスの形成を可能にし、さらに、デバイス形成を改善する様態で下地テンプレート層との電気接続を可能にする。
【0008】
好ましくは、細孔は、50%超、好ましくは、60%超、及びより好ましくは、70%超の、結晶テンプレート層と第2のエピタキシャル結晶層との間の第1のエピタキシャル層の体積の密度を有するように形成される。有利に、第1のエピタキシャル結晶層内のボイドの密度は、第1のエピタキシャル結晶層内の、及び/又は第1のエピタキシャル結晶層との間の界面における結合の塑性変形を促進するために制御される。
【0009】
好ましくは、第2のエピタキシャル結晶層は少なくとも1つのVピットを含み、好ましくは、少なくとも1つのVピットの深さは実質的に、一体化した第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層の厚さである。有利に、このような深さのVピットは下地結晶テンプレート層との電気接続を可能にする。
【0010】
好ましくは、本方法は、少なくとも1つのVピットを拡大することを含み、好ましくは、少なくとも1つのVピットを拡大することは、少なくとも1つのVピットの側壁からの材料をエッチングし、これにより、結晶テンプレート層の少なくとも部分を露出させることを含む。有利に、Vピットは、多孔化された、電気的に高抵抗性の多孔質の第1のエピタキシャル結晶層を貫く、結晶テンプレート層と、第2のエピタキシャル結晶層上にその後に形成された層との間の電気接続を促進する。
【0011】
好ましくは、本方法は、少なくとも第2のエピタキシャル結晶層を貫いてエッチングし、これにより、第2のエピタキシャル結晶層内に1つ以上のアイランドを形成することを含む。有利に、アイランドの形成は第2のエピタキシャル結晶層の緩和を制御する。
【0012】
好ましくは、本方法は、第2のエピタキシャル結晶層をパターニングすることを含み、パターニングはリソグラフィ技法及び自己組織化Niハードマスクのうちの少なくとも一方を含む。有利に、自己組織化Niハードマスクを用いて第2のエピタキシャル結晶層をパターニングすることは、歪み緩和、及び下地結晶テンプレート層との電気接続のための狭いチャネルの形成を可能にする。
【0013】
好ましくは、本方法は、パターニングされたテンプレート層上に結晶テンプレート層を形成することを含む。有利に、結晶テンプレート層の下地モルフォロジを制御することによって、改善されたデバイス形成が促進される。有利に、改善された光歪み管理、より効率的な光生成、及びより効率的な光抽出を有する、高解像度マイクロLEDアレイなどの、LEDデバイス、及びLEDデバイスのアレイの形成がもたらされ得る。
【0014】
好ましくは、パターニングされたテンプレート層は、トレンチを提供するようにパターニングされ、好ましくは、結晶テンプレート層を形成することは、トレンチ内にオーバーグロース材料を形成し、v溝を提供し、これにより、第2のエピタキシャル結晶層内における谷によって少なくとも部分的に画定された2次元領域の形成を可能にすることを含む。有利に、トレンチの形成は、谷のサイズがトレンチ内の材料のオーバーグロースによって調整されることを可能にする。
【0015】
好ましくは、パターニングされたテンプレート層は、1つ以上のオーバーグロース構造を提供するようにパターニングされ、好ましくは、パターニングされた結晶テンプレート層を形成することは、結晶テンプレート層を少なくとも部分的にマスクし、1つ以上の孔を提供すること、及び1つ以上の孔内にオーバーグロース材料を形成し、これにより、1つ以上のオーバーグロース構造を提供することを含む。有利に、パターニングされた基板上のオーバーグロースは、初期に実質的に平坦な平面基板から突出した構造を提供するために用いることができる。このようなモルフォロジは、LEDデバイスが上に形成される下地結晶性材料の改善された歪み管理と組み合わせた、LEDデバイスからの改善された発光特性を可能にするために用いることができる。
【0016】
好ましくは、パターニングされたテンプレート層が、1つ以上のオーバーグロース構造を提供するようにパターニングされる場合には、少なくとも第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く導電材料を含む1つ以上のチャネルを形成することは、1つ以上のオーバーグロース構造の1つ以上の側壁からの材料を除去することを含む。有利に、材料を除去し、少なくとも第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫くチャネルを形成することは、第1のエピタキシャル結晶層及び第2のエピタキシャル結晶層を貫く結晶テンプレート層への電気接続を可能にする。
【0017】
好ましくは、本方法は、第2のエピタキシャル結晶層の少なくとも部分を平坦化し、これにより、第2のエピタキシャル結晶層と疑似格子整合した第3のエピタキシャル結晶層を形成することを含む。有利に、第3のエピタキシャル結晶層は機能的デバイスの形成のための表面を提供する。
【0018】
好ましくは、本方法は、1つ以上のチャネル内に材料を形成することを含み、好ましくは、材料は第3のエピタキシャル結晶層の部分を形成する。好ましくは、第3のエピタキシャル結晶層は導電層であり、好ましくは、第3のエピタキシャル結晶層は結晶テンプレート層と電気的に連通しており、及び/又は第3のエピタキシャル層は、キャリア再結合に応じて光を放出するように構成された活性領域の部分を形成する。有利に、第3のエピタキシャル結晶層上に形成されたデバイスは、下地結晶テンプレートレイター(later)と接触させられ、電気接続し得る。有利に、第3のエピタキシャル層が、キャリア再
結合に応じて光を放出するように構成された活性領域の部分を形成する場合には、光生成効率が改善される。有利に、第3のエピタキシャル層が、パターニングされた結晶テンプレート層の特徴の側壁上の活性領域の部分を形成する場合には、改善された電気接続及び第3のエピタキシャル結晶層内へのキャリア注入がもたらされ、これは、歪みが緩和された第2のエピタキシャル結晶層と相まって、第2のエピタキシャル結晶層上に少なくとも部分的に形成されたデバイスからの改善された光生成をもたらす。
【0019】
好ましくは、結晶テンプレート層、第1のエピタキシャル結晶層、第2のエピタキシャル結晶層、及び第3のエピタキシャル結晶層のうちの少なくとも1つは半導体材料を含み、好ましくは、半導体材料はIII-V族系材料であり、より好ましくは、III-V族材料は窒化物系材料である。有利に、このような材料の提供のための技法は、低い欠陥密度を有する高品質結晶性材料を提供することができる。
【0020】
好ましくは、エピタキシャル結晶構造は発光デバイスの部分を形成する。有利に、歪み緩和は導電率と組み合わせて管理され、高品質の実用的デバイスを形成する。
【0021】
好ましくは、発光デバイスは発光画素のアレイの部分を形成する。有利に、発光画素のアレイは歪み緩和層上に形成され得、これにより、面内格子パラメータは材料要求に適合し、それゆえ、両側で電気接続され得るより高品質のデバイスをもたらし、その結果、アレイ内の画素の密度を増大させる。
【0022】
本発明のさらなる態様は説明及び添付の請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態の詳細な説明が図を参照して例としてのみ説明される。
【0024】
図1A図1Aはエピタキシャル結晶構造の断面図を示す。
図1B図1Bは、さらに処理された図1Aのエピタキシャル結晶構造の断面図を示す。
図2A図2Aは、Vピットを含むエピタキシャル結晶構造の断面図を示す。
図2B図2Bは、さらに処理された図2Aのエピタキシャル結晶構造の断面図を示す。
図2C図2Cは、さらに処理された図2Bの構造の断面図を示す。
図3A図3Aは、Vピット及びV溝を含むエピタキシャル構造の断面図を示す。
図3B図3Bは、さらに処理された図3Aの構造の断面図を示す。
図3C図3C図3Bの構造の平面図を示す。
図3D図3Dは、さらに処理された図3Bの構造の断面図を示す。
図4A図4Aは、さらに処理された図1Bの構造の断面図を示す。
図4B図4Bは、さらに処理された図4Aの構造の断面図を示す。
図5A図5Aは、テンプレート上に形成されたエピタキシャル構造の断面図を示す。
図5B図5Bは、さらに処理された図5Aの構造の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
機能的固体デバイスが上に形成され得る歪み緩和エピタキシャル結晶層の形成が説明される。構造、及び構造を形成するための方法は、上述された問題のうちの少なくとも一部に対処する。図1図5は、エピタキシャル結晶構造内の歪み緩和層の形成を説明する。ここで、歪み緩和層は、歪み緩和層が上に形成される基板の固有の自然格子パラメータとは異なる固有の自然格子パラメータを有する。このような歪み緩和層の形成は、歪み緩和層とより接近して整列した固有結晶格子パラメータを有するその後に形成される層が形成
され得、したがって、より高い結晶品質及び低減された欠陥を有するように形成され得るようになることを意味する。
【0026】
本明細書において説明される方法及び構造は、III-V族結晶性材料、特に、窒化物系半導体材料に基づく。しかし、さらなる例では、当業者は、ここで説明される技法は、他のIII-V族結晶性材料、又はII-VI族結晶性材料などの、異なる結晶構造及び半導体材料に適用することができることを理解する。有利に、構造は、下地のバルク基板層よりもテンプレートに接近して整列した自然格子パラメータを有する材料を形成するためのテンプレート層を提供するだけでなく、それはまた、テンプレートにより接近して整列した自然格子パラメータを有する材料が導電性テンプレート上に形成されることも可能にし、したがって、高い結晶品質の実用的機能的デバイス、例えば、発光ダイオード(LED)デバイスの高解像度アレイが形成されることを可能にする。
【0027】
図1Aはエピタキシャル構造100Aの断面図を示す。エピタキシャル構造100Aは、デバイスを形成するための初期テンプレートを提供し、有機金属気相成長(MOCVD)によって形成される。さらなる例では、代替的な、及び/又は追加の成長及び/又は堆積技法が、本明細書において説明されるエピタキシャル層を提供するために用いられる。一例では、分子線エピタキシ(MBE)が用いられる。発光ダイオード(LED)デバイスは、通例、成長基板を提供し、その上に半導体結晶性材料の複数のエピタキシャル層が成長及び/又は堆積させられ、機能的デバイスを形成することによって形成される。窒化ガリウム(GaN)ベースのLEDデバイスのためには、n型にドープされたn-GaNが、通例、p-n接合の形成のための基層として提供される。エピタキシャル構造100Aは、高品質の結晶性材料を有するLEDデバイスなどの、デバイスの形成を可能にし、さらに、デバイスが導電層上に形成されることを可能にするために処理される構造を提供する。
【0028】
図1Aに、成長基板102が示されている。成長基板102はシリコンから形成される。さらなる例では、サファイア、炭化ケイ素、又は任意の他の好適な基板材料などの、代替的な、及び/又は追加の材料が、基板を形成するために用いられる。成長基板102上に、n型にドープされたn-GaNが提供され、結晶テンプレート層104の役割を効果的に果たす。結晶テンプレート層104はn型GaN層として示されているが、さらなる例では、緩衝層などの、代替的な、及び/又は追加の層が、n-GaN層の特性(結晶品質、ドーピングレベル、厚さ等など)を制御するために含まれる。結晶テンプレート層104は厚さおよそ1000nmであり、5x1018at/cmの濃度にドープされている。さらなる例では、結晶テンプレート層104は異なる厚さに形成され、異なるドーピング濃度を有し、その一方で、本明細書において説明される機能性を依然として可能にする。さらなる例では、結晶テンプレート層104は、本明細書において説明される機能性を提供するために形成されたp型ドープ層であり、その後に形成される層の組成はそれに応じて調整される。
【0029】
n型結晶テンプレート層104の上に、第1のエピタキシャル結晶層106が形成されて存在し、第1のエピタキシャル結晶層106は窒化ガリウム(GaN)から形成される。したがって、第1のエピタキシャル結晶層106は、結晶テンプレート層104と同じ自然の緩和された面内格子定数を有する。さらなる例では、第1のエピタキシャル結晶層106は異なる材料から形成され、結晶テンプレート層104と疑似格子整合している。第1のエピタキシャル結晶層106は高濃度ドープ層として形成される。ここで、ドーピングは、高濃度にドープされた第1のエピタキシャル結晶層106とn型結晶テンプレート層104との間に初期ドーピングコントラストが存在するようにしたものである。このようなコントラストは、後続のステップにおける第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化を可能にする、以下において図1Bを参照して説明する。第1のエピタキシャル結晶
層はおよそ30nmの厚さを有し、初期に、1x1020at/cmのオーダーの濃度にドープされる。このようなドーピング濃度はSiを用いて達成される。さらなる例では、過剰な表面粗化を防止しつつ、このようなドーピング濃度を達成するために、Si及びAlを用いた共ドーピングが用いられる。さらなる例では、異なる技法、濃度、及び厚さが、第1のエピタキシャル結晶層106を形成するために、代替的に、及び/又は追加的に用いられる。有利に、30nmのオーダーの薄い第1のエピタキシャル結晶層106の使用は、多孔化処理の後に欠陥の多い層をもたらし、切断された結合はミスフィット転位の移動を可能にする。さらなる例では、第1のエピタキシャル結晶層106は、1nm~300nm、好ましくは、20nm~50nmの厚さを有する。さらなる例では、第1のエピタキシャル結晶層106は、8x1018at/cm~5x1020at/cm、及び好ましくは3x1019at/cm~1x1020at/cmの濃度におけるSiを初期にドープされる。さらなる例では、第1のエピタキシャル結晶層106は、0.5%~10%、及び好ましくは、1%~3%のモル分率を有するAl及びSiを共ドープされる。
【0030】
第1のエピタキシャル結晶層106上に、非ドープ層108を有する第2のエピタキシャル結晶層が提供され、ドープされていない第2のエピタキシャル結晶層108は、結晶テンプレート層104及び第1のエピタキシャル結晶層106に対して固有に異なる格子定数を有する層である。図1Aの例では、第2のエピタキシャル結晶層108は窒化インジウムガリウム(InGaN)の非ドープ層である。ドープされていない第2のエピタキシャル結晶層108は厚さおよそ100nm~150nmである。有利に、第2のエピタキシャル結晶層108は、弾性緩和を可能にする厚さを有する。したがって、第2のエピタキシャル結晶層108の成長は、結晶テンプレート層104及び第1のエピタキシャル結晶層106の下地材料によって初期に歪まされ、これにより、第2のエピタキシャル結晶層108の異なる固有の自然面内格子パラメータが第1のエピタキシャル結晶層106の固有の自然面内格子パラメータと疑似格子整合的に整列した、第2のエピタキシャル結晶層108をもたらす。さらなる例では、第2のエピタキシャル結晶層108は、本明細書において説明される機能性を可能にしつつ、異なる厚さを有するように形成される。一例では、第2のエピタキシャル結晶層108は100nm~500nmの厚さを有する。さらなる例では、第2のエピタキシャル結晶層108は、好ましくは、150nm~200nmの厚さを有する。第2のエピタキシャル結晶層108は、0%~25%、及び好ましくは、6%~15%のIn組成を有するInGaNのバルク層である。第2のエピタキシャル結晶層108はバルクInGaN層であるが、さらなる例では、第2のエピタキシャル結晶層108は、0%~25%、及び好ましくは、6%~15%のInGaN内の平均インジウム組成をもたらす交互の化学組成を有する複数の層の超格子構造である。一例では、InGaNの第2のエピタキシャル結晶層が超格子構造であるときには、結晶テンプレート層104に対する固有の異なる格子定数は、第2のエピタキシャル結晶層を形成する超格子層全体にわたる平均組成に関連する。
【0031】
第1のエピタキシャル結晶層106、結晶テンプレート層104,及び第2のエピタキシャル結晶層108の間の高いドーピングコントラストを有するこのようなエピタキシャル構造100Aの提供は、初期に高濃度にドープされた第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化を可能にする。第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化は電気化学プロセスによって行われる。電気化学エッチングプロセスは、最も導電性の高い層が最初にエッチングされるようエピタキシャル層を選択的にエッチングするために用いることができる。図1Aのエピタキシャル構造100Aなどの、エピタキシャル構造内の埋め込み層の多孔化は第2のエピタキシャル結晶層108内の貫通転位芯を通じて行われ得る。有利に、最上部の第2のエピタキシャル結晶層108が侵される必要はなく、表面下層を多孔化するために第2のエピタキシャル結晶層108をパターニングする必要はない。第2のエピタキシャル結晶層108は非ドープ層108として説明されているが、さらなる例では、
ドープされていない第2のエピタキシャル結晶層108は、本明細書において説明される方法に係る表面下層の多孔化を可能にするために、導電率における十分なコントラストをもたらすドーピングレベルを有する。
【0032】
エピタキシャル構造100Aの電気化学エッチングは、表面下の第1のエピタキシャル結晶層106のこのような電気化学処理が行われることを可能にする第2のエピタキシャル結晶層108の非ドープInGaN内の貫通転位又は他の開口部を通じた第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化をもたらす。これは、第1のエピタキシャル結晶層106のみがこの層の電気化学エッチングの間に多孔化することを意味する、n型結晶テンプレート層104と第1のエピタキシャル結晶層106との間の高いドーピングコントラストによって促進される。有利に、第1のエピタキシャル結晶層106が、それの内部に形成された細孔を有するのに従って、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’は高抵抗性を有するようになり、したがって、第1のエピタキシャル結晶層106を多孔化するために用いられる電気化学プロセスは細孔の形成を停止するため、ドーピングコントラストは多孔化プロセスの制御を可能にする。
【0033】
したがって、多孔質の第1のエピタキシャル結晶層106’を提供するためにエピタキシャル構造100Aが電気化学エッチングによって処理されると、第1のエピタキシャル結晶層106は多孔質で柔軟なエピタキシャル結晶層106’になる。
【0034】
図1Bは、エピタキシャル構造100Aの処理されたバージョンを示す。エピタキシャル構造100Bは、多孔質の第1のエピタキシャル結晶層106’全体にわたる細孔をもたらすために第1のエピタキシャル結晶層106が多孔化された、エピタキシャル構造100Aの処理されたバージョンである。このような多孔化は、ドープされていないInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108の歪み緩和を可能にする。このような歪み緩和は、第2のエピタキシャル結晶層108が膨張することを必要とする。後述されるように、有利な構造を提供するために、第2のエピタキシャル結晶層108の横方向の膨張が制御される。多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’が、体積の密度によって、細孔及びGaN材料である程度は、電気化学エッチングプロセスに依存する。電気化学エッチングプロセスは、表面下層内の柔軟な材料を有利にもたらしつつ、初期に形成された際の第1のエピタキシャル結晶層106の高濃度にドープされた導電率に比べて低減された導電率を有する多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’をもたらす。
【0035】
上述されたように、第1のエピタキシャル結晶層106に対して初期に歪まされた、第2のエピタキシャル結晶層108は、緩和するために膨張しなければならない。第2のエピタキシャル結晶層108の膨張は、図2図5を参照して説明されるように、適切な間隙及び/又はチャネルの形成によって制御される。
【0036】
図2Aに、図1Bに関して説明された、処理されたエピタキシャル構造100Bに従って提供され、これにより、結晶テンプレート層104、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’、及び第2のエピタキシャル結晶層108が存在する、エピタキシャル構造200Aの断面図が示されている。エピタキシャル構造200Aは第2のエピタキシャル結晶層108の表面内のVピット202をさらに示している。このようなVピット202はn型結晶テンプレート層104の形成時に作り出される。図2Aは結晶テンプレート層104の最上層105を示す。最上層105もGaNから形成されるが、最上層105内のVピットの形成は、結晶テンプレート層104を形成する際の成長条件を変更することによって可能にされる。例えば、結晶テンプレート層104の最上層105内のVピットは、成長温度を下げることによって開始され得る。このような最上層105は厚さ50nmのオーダーのものである。有利に、このような厚さは、チャネルがエピタキシャル構造200Aを貫いて形成されることを可能にするための適切な厚さの後続の層内のVピ
ットを生み出す。さらなる例では、最上層105は、本明細書において説明される機能性を提供するように設計された構成を有する。エピタキシャル構造200Aの断面図は1つのVピットを示す。しかし、さらなる例では、追加のVピットが結晶テンプレート層の最上層105の平面状の表面にわたって形成される。一例では、このようなVピットは結晶テンプレート層の最上層105にわたってランダムに形成される。
【0037】
結晶テンプレート層104の最上層105内のVピットの形成は、その後に成長させられた層を貫いて伝搬するVピットをもたらす。したがって、結晶テンプレート層104の最上層105内に形成されたVピットに従って第2のエピタキシャル結晶層108の表面内にVピット202が形成される。さらなる例では、追加の、及び/又は代替的な技法が、第2のエピタキシャル結晶層108内にVピット202を形成するために用いられる。
【0038】
1つ以上のVピット202が第2のエピタキシャル結晶層108内に形成されると、Vピット202を拡大し、これにより、1つ以上のチャネルを開き、結晶テンプレート層104、及び/又は結晶テンプレート層104の最上層105の少なくとも部分を露出させるために、エピタキシャル構造200Aが処理される。図2Bにこれが示されている。同図では、Vピット202の側壁がエッチングされたように示されている。
【0039】
図2Bは、さらに処理された図2Aのエピタキシャル構造200Aである、エピタキシャル構造200Bの断面図を示す。図2Bには、Vピット202の側壁のエッチングによるVピット202の拡大が示されている。ウェットエッチングによる図2Aのエピタキシャル構造200Aの処理はエピタキシャル構造200Aの異方性エッチングを可能にする。ウェットエッチングは高温で水酸化カリウム(KOH)を用いて遂行される。さらなる例では、追加の、及び/又は代替的な技法が、Vピット202をエッチングし、拡大するために用いられる。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAh)が用いられる。
【0040】
図2Bにおいて示されるように、非ドープInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108の側壁208が、導電性のGaNへの開放経路を提供するようにエッチングされる。その後、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106の206の側壁及びVピットを開けた最上層105の側壁205が拡大される。結果として生ずるエッチングされたVピット202は、実質的に、非ドープInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108の厚さと組み合わせられた多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’の厚さの深さになる。有利に、このような拡大は、エピタキシャル構造200Bを貫くn型結晶テンプレート層104への電気接続のためのルートをもたらす。Vピット202の側壁205、206、208が、少なくとも、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108を貫く1つ以上のチャネルをもたらすようエッチングされると、エピタキシャル構造200Bは、図2Cにおいて示されるように、さらに処理される。
【0041】
図2Cは、さらに処理された図2Bのエピタキシャル構造200Bである、エピタキシャル構造200Cの断面図を示す。図2Cには、図2A及び図2Dを参照して説明された拡大されたVピット202によってもたらされたチャネル内に形成されたn型材料210である導電材料が示されている。n型材料210はまた、非ドープInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108の上のn型材料210の薄い疑似格子整合層である第3のエピタキシャル結晶層も形成する。n型材料210は結晶テンプレート層104のn型材料と電気接触し、有利に、電流拡散、及びその後に形成されたデバイス内のエピタキシャル構造200Cのn型にドープされた側を介したコンタクトを作る容易さを可能にする。n型材料210は構造を平坦化する。GaNで形成される場合には、n型材料210の平坦化層は、非ドープInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108が緩和されたときに引張
応力を受ける。導電性n型材料210はGaNで形成されるが、さらなる例では、導電材料210は異なる材料から形成される。一例では、導電性n型材料210は、0%~6%のIn組成を有するInGaNから形成される。導電材料210は、5nm~300nm、及び好ましくは、20nm~100nmの厚さを有する層として形成される。
【0042】
Vピット202によって提供された1つ以上のチャネル内に形成された導電材料は、構造を平坦化するように示されたn型材料210であるが、さらなる例では、代替的に、又は加えて、導電性n型材料210は第2のエピタキシャル結晶層108を部分的に平坦化するか、又は第2のエピタキシャル結晶層108を平坦化せず、その一方で、依然として、Vピット202によって提供された1つ以上のチャネルに導電材料を少なくとも部分的に充填し、これにより、第2のエピタキシャル結晶層108の緩和に続いて形成された比較的歪みが緩和された領域に導電性をもたらす。
【0043】
n型材料210の上に、さらなる層212が形成されて存在する。さらなる層212は、一例では、InGaNベースの量子井戸(QW)からの赤色光の提供に関連付けられた活性領域を有する複数の層のエピタキシャル構造である。有利に、さらなる層212は、第2のエピタキシャル結晶層108と疑似格子整合した導電層上に形成されることから恩恵を受ける。さらなる層212は、n型材料210上に提供されるように示されているが、さらなる例では、さらなる層212はn型材料210及び第2のエピタキシャル結晶層108の両方の上に提供される。さらなる例では、さらなる層212は、さらなる例では、マイクロLEDデバイスの高解像度アレイなどの、デバイスのアレイを形成する、1つ以上のLEDデバイスを含む。さらなる例では、さらなる層212は、代替的に、及び/又は加えて、n型材料210の部分を形成し、及び/又はn型材料に取って代わり、これにより、結晶テンプレート層104のVピットを開けた最上層105などの、n型結晶テンプレート層104の側壁上に少なくとも部分的に形成されたさらなる層212を通した第2のエピタキシャル結晶層108上に形成された歪み緩和材料の部分内への直接のキャリア注入を有利に可能にする。
【0044】
構造200の拡大されたVピット202は、導電材料が第2のエピタキシャル結晶層108上に形成されることを可能にするためのルートを提供し、第2のエピタキシャル結晶層108の歪み緩和を促進するように図2A図2Cに関して説明されているが、結晶テンプレート層104の最上層105内のVピット202の場所及び密度は、ある程度、ランダムである。最上層105内のVピット202の密度は、制御された様態での電気接続を可能にするための適切な成長技法を用いて制御される。
【0045】
図3A図3Dは、結果として生ずるテンプレート構造のさらなる制御を提供するための図2A図2Cのエピタキシャル構造200A~C内に組み込まれたさらなる構造を示す。
【0046】
図3Aはエピタキシャル構造300Aの断面図を示す。エピタキシャル構造300Aは、追加のステップを用いて処理された図2Aの構造200Aである。
【0047】
図3Aは、結晶テンプレート層104内に形成されたトレンチ304を示す。トレンチ304は、トレンチ304を形成するためのパターニング及びエッチングステップを用いるリソグラフィ技法を用いて形成される。さらなる例では、結晶テンプレート層104は、トレンチ304を提供するための異なる技法を用いて処理される。トレンチ304は、その後に処理されることになる結晶テンプレート層104内の任意の有益な構造に従って形成される。
【0048】
トレンチ304が結晶テンプレート層104内に形成されると、後続の層105、10
6、108がエピタキシャルに形成される。このような形成は、トレンチ304に対応するエピタキシャル構造300A内のV溝302をもたらす。Vピットが結晶テンプレート層104の最上層105内に追加的に形成され、層を貫いて伝搬し、V溝302に加えてVピット202を提供する。さらなる例では、V溝302は、Vピット202を伴わずに提供される。
【0049】
トレンチ304は、後続のエピタキシャル層を形成する前に結晶テンプレート層104内に形成され、これにより、少なくとも、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108を貫くチャネルの形成を可能にするように示されているが、さらなる例では、トレンチ304は、マスクを用いて結晶テンプレート層104をパターニングし、マスクでパターニングされた結晶テンプレート層104上にオーバーグロース材料を形成することによって形成される。このような技法は、例えば、国際公開第2020/008200A1号パンフレットに記載されているように、基板と垂直な正台形断面を各々有する柱のアレイを提供するために用いられる。このようなマスクでパターニングされた結晶テンプレート層104上のオーバーグロースは、さらなる例では、図5A及び図5Bに関してさらに詳細に説明されるように、発光デバイスのアレイの形成のための下地層を提供するために用いられる。さらなる例では、結晶テンプレート層104のモルフォロジは、パターニング、及び/又は改善されたデバイス形成のための適切な下地基板を提供するための他の技法によって制御される。
【0050】
V溝302が形成されると、プロセスは、図2に関して示されるものと類似して進む。図3Bに、さらに処理された図3Aのエピタキシャル構造300Aであるエピタキシャル構造300Bの断面図が示されている。
【0051】
図3Bには、側壁のエッチングによるVピット202の拡大及び側壁のエッチングによるV溝302の拡大が示されている。ウェットエッチングによる図3Aのエピタキシャル構造300Aの処理はエピタキシャル構造300Aの異方性エッチングを可能にする。図3Bにおいて示されるように、第2のエピタキシャル結晶層108の側壁308がエッチングされる。その後、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’の306の側壁及びVピットを開けた最上層105の側壁305が拡大される。有利に、このような拡大は、非ドープInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108が膨張し、それゆえ、歪みが緩和するための余地を提供するとともに、エピタキシャル構造300Bを貫くn型結晶テンプレート層104への電気接続のためのルートを提供する。有利に、V溝302をこのように形成することは、その後に材料が内部に形成される間隙の幅を調整するための方法を提供する。これは、例えば、n型材料への導通経路を提供するべく、すでに形成されたエピタキシャル構造内にV溝を形成するためのリソグラフィ技法が、V溝を十分に小さい規模で形成するために実用的でない場合に有益である。
【0052】
歪み緩和は、図3Bの構造300Bをアニールすることによって促進される。さらなる例では、歪み緩和は、追加の、及び/又は代替的な技法を用いて促進される。V溝302の側壁305、306、308がエッチングされると、エピタキシャル構造300Bは、図3Dにおいて示されるように、さらに処理される。図3C図3Bの構造の平面図300Cを示す。第2のエピタキシャル結晶層108の表面内にランダムに分布したVピット202が示されている。また、六角形パターンを形成するV溝302も示されている。したがって、V溝302は、第2のエピタキシャル結晶層108内の1つ以上のアイランドの外周を少なくとも部分的に形成する谷によってアイランド又は領域を形成するためにInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108の部分を隔離しており、これにより、谷は第2のエピタキシャル結晶層108内の1つ以上のアイランドを少なくとも部分的に包囲している。V溝302は六角形の構成で示されているが、さらなる例では、V溝302は、代替的に、及び/又は加えて、任意の適切な構成で形成される。有利に、結晶テンプレ
ート層104のこのようなリソグラフィパターニング及びエッチングに基づく第2のエピタキシャル結晶層108内の2次元アイランドの形成は、1μm~10μmのオーダーの横方向寸法を有する、歪み緩和アイランドをもたらす。アイランドのこのような形成は高度に制御可能であり、1μm~10μmのオーダーの画素サイズを有するマイクロLEDデバイスなどの、緩和アイランド領域上に形成可能であるデバイスのサイズと同程度の緩和アイランド領域をもたらす。さらなる例では、アイランドの横方向寸法は、その後に形成された結晶層に基づくデバイスの形成に適した寸法の、歪み緩和アイランドをもたらすように制御される。
【0053】
図3Bのエピタキシャル構造300Bが提供されると、次に、エピタキシャル構造300Bは平坦化される。図3Dにこれが示されている。図3Dは、それが、さらに処理された図3Bのエピタキシャル構造300Bである構造300Dであることを示す。V溝302及びVピット202によって提供されたチャネル内に形成されたn型材料210が示されている。n型材料210を充填されたランダムなVピット202は後続の層内への均一な電子注入をもたらす。図2Cのエピタキシャル構造200Cと同様に、後続の疑似格子整合層212がn型材料210の平坦化層上に形成される。n型材料210の平坦化層は、n-GaNから形成されるときには、それの真下の第2のエピタキシャル結晶層108が緩和されたときに引張応力を受ける。V溝302、及び/又はエッチングされたV溝302によって提供された1つ以上のチャネル内に形成された導電材料は、構造を平坦化するように示された導電性n型材料210であるが、さらなる例では、代替的に、又は加えて、導電性n型材料210は第2のエピタキシャル結晶層108を部分的に平坦化するか、又は第2のエピタキシャル結晶層108を平坦化せず、その一方で、依然として、Vピット202及び/又はV溝302によって提供された1つ以上のチャネルに導電材料を少なくとも部分的に充填し、これにより、第2のエピタキシャル結晶層108の緩和に続いて形成された比較的歪みが緩和された領域に導電性をもたらす。
【0054】
さらなる層212は、n型材料210上に提供されるように示されているが、さらなる例では、さらなる層212はn型材料210及び第2のエピタキシャル結晶層108の両方の上に提供される。さらなる例では、さらなる層212は、さらなる例では、マイクロLEDデバイスの高解像度アレイなどの、デバイスのアレイを形成する、1つ以上のLEDデバイスを含む。さらなる例では、さらなる層212は、代替的に、及び/又は加えて、n型材料210の部分を形成し、及び/又はn型材料に取って代わり、これにより、拡大されたV溝302の側壁などの、n型結晶テンプレート層104の側壁上に少なくとも部分的に形成されたさらなる層212を通した第2のエピタキシャル結晶層108上に形成された歪み緩和材料の部分内への直接のキャリア注入を有利に可能にする。
【0055】
フォトリソグラフィ及びエッチング技法が、結晶テンプレート層104内のトレンチ304を形成するために用いられるが、さらなる例では、異なるパターニング技法が用いられる。さらに、Vピット202及びV溝302の相対断面サイズは、図3A図3Dにおいて、V溝302がVピット202よりも相当に深いように示されているが、さらなる例では、V溝302及びVピット202は異なる相対サイズを有する。Vピット202及びV溝302は、絶縁性の第2のエピタキシャル結晶層108上に形成された層との結晶テンプレート層104の電気接続のためのチャネルを有利に効果的に提供する。有利に、Vピット202は、その後に成長させられた層内への均一な電子注入を支援する。
【0056】
有利に、V溝302は第2のエピタキシャル結晶層108の緩和を支援し、Vピット202は結晶テンプレート層104との電気接続のためのチャネルを提供する。規定された発光表面を有する画素を提供するLEDデバイスなどの、その後に形成されたデバイスが、V溝302の密度よりも大きい発光面積を有する場合には、十分な電流拡散がV溝302を通して可能にされ得るため、Vピット202を伴わずに構造を提供することができる
。画素の光面積が、例えば、V溝302の密度よりも小さい場合には、Vピット202は、画素に関連付けられたLEDデバイス内の十分な電流拡散を提供するために特に有益である。
【0057】
図4Aは、図1Bのエピタキシャル構造100Bの処理されたバージョンであるエピタキシャル構造400Aの断面図を示す。第1のエピタキシャル結晶層106を多孔化し、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’をもたらした後の第2のエピタキシャル結晶層108の横方向緩和を可能にするために、チャネルがエピタキシャル構造400Aを貫いて形成される。
【0058】
エピタキシャル構造400Aは自己組織化ハードマスクを用いて第2のエピタキシャル結晶層108の表面上にパターニングされる。ニッケル(Ni)の薄膜が第2のエピタキシャル結晶層108の表面上に蒸着させられる。ニッケルの薄膜は、その後、アニールされ、ランダムな液滴を形成する。次に、ドライエッチが用いられ、導電性n型結晶テンプレート層104へのチャネルを提供するためにエピタキシャル構造400Aを貫くチャネル402を形成する。次に、ニッケルマスクはウェット洗浄技法を用いて除去される。第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化は、チャネル402が形成されるのに先だって行われるが、さらなる例では、代替的に、又は加えて、チャネル402は第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化の前に形成される。有利に、第1のエピタキシャル結晶層106(若しくは多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’)及び第2のエピタキシャル結晶層108を貫いて形成されたチャネル402は第2のエピタキシャル結晶層108内の2次元領域又はアイランドの外周を少なくとも部分的に規定する。
【0059】
チャネル402が形成されると、プロセスは図4Bへ進む。図4Bに、チャネル402内の材料の平坦化層404を形成するためにさらに処理された図4Aのエピタキシャル構造400Aであるエピタキシャル構造400Bの断面図が示されている。1つ以上のチャネル内に形成された導電材料404は、構造を平坦化するように示された、n型GaNなどの、n型材料404であるが、さらなる例では、代替的に、又は加えて、導電性n型材料404は第2のエピタキシャル結晶層108を部分的に平坦化するか、又は第2のエピタキシャル結晶層108を平坦化せず、その一方で、依然として、チャネル402によって提供された1つ以上のチャネルに導電材料404を少なくとも部分的に充填し、これにより、第2のエピタキシャル結晶層108の緩和に続いて形成された比較的歪みが緩和された領域に導電性をもたらす。
【0060】
次に、例示的なInGaN赤色発光活性領域である、さらなる層412が、図2及び図3を参照して説明されるさらなる層212と類似した仕方で材料404上に形成される。このようなさらなる層412は、さらなる例では、1つ以上のLED構造を形成する。さらなる例では、このようなLED構造は、マイクロLEDデバイスの高解像度アレイなどの、LEDデバイスのアレイの部分を形成する。さらなる層412は、n型材料404上に提供されるように示されているが、さらなる例では、さらなる層412はn型材料404及び第2のエピタキシャル結晶層108の両方の上に提供される。さらなる例では、さらなる層412は、さらなる例では、マイクロLEDデバイスの高解像度アレイなどの、デバイスのアレイを形成する、1つ以上のLEDデバイスを含む。さらなる例では、さらなる層412は、代替的に、及び/又は加えて、n型材料404の部分を形成し、及び/又はn型材料に取って代わり、これにより、結晶テンプレート層104まで貫いて形成されたチャネル402の側壁などの、n型結晶テンプレート層104の側壁上に少なくとも部分的に形成されたさらなる層412を通した第2のエピタキシャル結晶層108上に形成された歪み緩和材料の部分内への直接のキャリア注入を有利に可能にする。
【0061】
有利に、自己組織化ニッケル液滴は小さく、高密度であり、非常に狭い間隙が作り出さ
れ得、これにより、歪み緩和及び平坦化はより容易になる。平坦化は、狭い間隙のための短い距離にわたって達成され得る。間隙のこのような高密度の分布にn型材料210をさらに充填することで、エピタキシャル構造400Bを通した良好な電流の流れがもたらされる。
【0062】
有利に、図4A及び図4Bに関して説明される自己組織化ニッケルハードマスクなどの、ハードマスクの使用は、250nm~1000nmのオーダーの横方向寸法を有する第2のエピタキシャル結晶層108内の高密度に詰まった2次元アイランドの形成を可能にする。有利に、このような規模で形成されたアイランドは平坦化を促進するだけでなく、それらはまた、アイランドの横方向寸法が、画素サイズが、通例、1000nmよりも大きいマイクロLEDデバイスなどの、緩和アイランド上の層内に形成されたデバイスの横方向寸法よりも小さい、均一な歪み緩和層も提供する。これは、実効的に、緩和アイランドの規模が、緩和アイランド上に形成された機能的デバイスの規模よりも小さい、サイズに依存しない歪み緩和層が提供され得ることを意味する。
【0063】
図5A及び図5Bに、結晶テンプレート層104をパターニングすることによって提供されたモルフォロジを有する結晶テンプレート層104上における多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108の形成が示されている。
【0064】
図5Aは、パターニングされた基板上に形成されたエピタキシャル構造500Aの断面図を示す。図1図4を参照して説明されたとおりの結晶テンプレート層104が示されている。結晶テンプレート層104は、マスク502を堆積させるための周知の技法を用いてパターニングされる。マスク502は断面で示されているが、当業者は、マスク502は、結晶テンプレート層上に孔のアレイを提供するために2次元で形成可能であることを理解する。マスク502は二酸化ケイ素を用いて形成される。さらなる例では、マスク502は、代替的に、及び/又は加えて、さらなる材料を用いて形成される。マスクされた結晶テンプレート層上のn型GaNのオーバーグロース504は、オーバーグロース504が、n型GaN結晶テンプレート層104と電気的に連通したGaNの構造を形成する結果をもたらす。図5Aでは、オーバーグロース504は、台形断面構造を形成するように示されている。しかし、当業者は、このようなオーバーグロース504のモルフォロジは3次元に拡張し、オーバーグロース504の構造のために用いられる材料の下地結晶構造に関連することを理解する。成長させられると、オーバーグロース504の構造は結晶テンプレート層104の部分を形成する。
【0065】
図5A及び図5Bに関して説明される台形オーバーグロース504の構造の寸法は台形錘の高さの関数として変化する。台形特徴の横方向寸法は、およそ1μmの高さに対して、台形特徴の基部において4μmのオーダーのものであり、台形特徴の最上部において3μmのオーダーのものである。さらなる例では、台形特徴の横方向寸法は、異なるサイズの代替的な、又は追加の特徴を提供するように制御される。さらなる例では、オーバーグロース504の特徴の寸法は、1μm~10μmのオーダーの画素寸法を有するマイクロLEDデバイスの形成に適した第2のエピタキシャル結晶層108内の、横方向にサイズ設定されたアイランドを提供するように制御される。代替的に、又は加えて、1μmよりも小さい横方向寸法を有する第2のエピタキシャル結晶層108内のアイランド領域が提供される。有利に、このようなリソグラフィパターニング及びオーバーグロースに基づく第2のエピタキシャル結晶層108内の2次元アイランドの形成は、1μm~10μm以下のオーダーの横方向寸法を有する、歪み緩和アイランドをもたらす。アイランドのこのような形成は高度に制御可能であり、1μm~10μmのオーダーの画素サイズを有するマイクロLEDデバイスなどの、緩和アイランド領域上に形成可能であるデバイスのサイズと同程度の緩和アイランド領域をもたらす。
【0066】
オーバーグロース504の構造が形成されると、図1図4を参照して説明されたものなどの、初期に高濃度にドープされた第1のエピタキシャル結晶層106が形成される。第1のエピタキシャル結晶層106は、マスク502の孔内に形成されたオーバーグロース504の最上部及び側壁上に形成される。オーバーグロース504の特徴の最上部上の第1のエピタキシャル結晶層106の厚さはおよそ30nmである。オーバーグロース504の構造の最上部及び側壁によってもたらされるものなどの、異なる結晶面上の結晶性材料の成長速度は異なり得、例えば、結晶性材料の成長速度、及び結晶性材料の組成を変えることによって制御することができる。したがって、オーバーグロース504の構造の異なる面上に堆積させられた結晶層の厚さは異なり得る。第1のエピタキシャル結晶層106及び第2のエピタキシャル結晶層108の厚さは、以上において、下地の平面基板と概ね垂直な(ひいては、主たる成長方向と平行な)層の厚さに関して説明された。オーバーグロース504の特徴の最上部上の第1のエピタキシャル結晶層106の厚さがおよそ30nmである場合には、オーバーグロース504の特徴の側壁上の第1のエピタキシャル結晶層106の厚さは1~3nmのオーダーのものである。さらなる例では、側壁上の第1のエピタキシャル結晶層106の厚さは異なる厚さである。有利に、オーバーグロース504の特徴の側壁上の比較的より薄い第1のエピタキシャル結晶層106は、下地のn-GaNへのチャネルを提供するために、オーバーグロース504の特徴の側壁上の第1のエピタキシャル結晶層106が、後述されるように、簡単にエッチング除去され得ることを意味する。
【0067】
その後、図1図4を参照して説明されたものなどの、第2のエピタキシャル結晶層108が第1のエピタキシャル結晶層106上に形成される。以上において図1図4を参照して説明されたように、第2のエピタキシャル結晶層108は結晶テンプレート層104及び第1のエピタキシャル結晶層106の下地材料によって初期に歪まされ、これにより、第2のエピタキシャル結晶層108の異なる固有の自然面内格子パラメータは第1のエピタキシャル結晶層106の固有の自然面内格子パラメータと疑似格子整合的に整列している。第2のエピタキシャル結晶層108は、オーバーグロース504の特徴の上に100nm~150nmの厚さを有する。以上において図5Aにおける第1のエピタキシャル結晶層106に関して説明されたように、オーバーグロース504の構造の最上部及び側壁によって提供されるものなどの、異なる結晶面上の結晶性材料の成長速度は異なり得る。オーバーグロース504の特徴の最上部上の第2のエピタキシャル結晶層108の厚さがおよそ100~150nmである場合には、オーバーグロース504の特徴の側壁上の第2のエピタキシャル結晶層108の厚さは5~20nmのオーダーのものである。さらなる例では、側壁上の第2のエピタキシャル結晶層108の厚さは異なる厚さである。
【0068】
エピタキシャル構造500Aの電気化学エッチングは、表面下の第1のエピタキシャル結晶層106のこのような電気化学処理が行われることを可能にする第2のエピタキシャル結晶層108の非ドープInGaN内の貫通転位又は他の開口部を通じた第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化をもたらす。これは、第1のエピタキシャル結晶層106のみがこの層の電気化学エッチングの間に多孔化することを意味する、n型結晶テンプレート層104と第1のエピタキシャル結晶層106との間の高いドーピングコントラストによって促進される。有利に、第1のエピタキシャル結晶層106が、それの内部に形成された細孔を有するのに従って、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’は高抵抗性を有するようになり、したがって、第1のエピタキシャル結晶層106を多孔化するために用いられる電気化学プロセスは細孔の形成を停止するため、ドーピングコントラストは多孔化プロセスの制御を可能にする。図5Bに、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’が示されている。
【0069】
図5Bは、発光構造のアレイを提供するためにさらに処理された図5Aの構造500A
であるエピタキシャル構造500Bを示す。オーバーグロース504の構造の最上部上に形成された多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’、及び多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’上に形成された第2のエピタキシャル結晶層108が示されている。第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化は、オーバーグロース504の構造の側壁からのオーバーグロース504の構造の間のチャネル内の材料の除去をもたらす。さらなる例では、オーバーグロース504の構造の側壁からの材料は、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108を貫くチャネルを形成し、結晶テンプレート層104上に形成されたGaNのオーバーグロース504の構造のn型GaNまで層106’、108を貫く経路を形成するための異なる手段によって除去される。有利に、図5A及び図5Bを参照して説明されたエピタキシャル構造500A、500Bなどの、GaNベースの構造においては、成長方向は、通例、c面と垂直であり、オーバーグロース504の構造の側壁などの、傾斜したファセットのエッチング速度は、オーバーグロース504の構造の最上部上に形成されたものなどの、c面材料のものよりも速い。これは、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2の第1のエピタキシャル結晶層108は、オーバーグロース504の構造の最上部上に形成された材料がエッチングされるのよりも速い速度でオーバーグロース504の構造の側壁からエッチングされ得ることを意味する。したがって、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108を貫くn-GaNまでのチャネルを形成するための材料の除去が促進される。
【0070】
多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108の除去は、第2のエピタキシャル結晶層108内の2次元領域又はアイランドを効果的に作り出す。第1のエピタキシャル結晶層106の多孔化は非ドープInGaNの第2のエピタキシャル結晶層108内の歪み緩和を可能にする。このような歪み緩和は、第2のエピタキシャル結晶層108が膨張することを必要とする。本明細書において説明されるように、有利な構造を提供するために、第2のエピタキシャル結晶層108の横方向の膨張が制御される。多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’が、体積の密度によって、細孔及びGaN材料である程度は、電気化学エッチングプロセスに依存する。電気化学エッチングプロセスは、表面下層内の柔軟な材料を有利にもたらしつつ、初期に形成された際の第1のエピタキシャル結晶層106の高濃度にドープされた導電率に比べて低減された導電率を有する多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’をもたらす。有利に、第2のエピタキシャル結晶層108内の2次元領域又はアイランドを効果的に作り出すための、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108の除去はまた、結晶テンプレート層104との、第2のエピタキシャル結晶層108上に成長させられた上の、その後に成長させられた層の電気接続のためのチャネルも作り出す。
【0071】
以上において図2図4に関して説明されたさらなる層212、414と類似した、さらなる層506が、緩和された第2のエピタキシャル結晶層108上にコンフォーマルに堆積させられ、形成される。さらなる層506は活性領域である。さらなる層506は、キャリア注入及び再結合時に赤色光に対応する光の主波長を有する光を放出するように設計されたInGaNベースの量子井戸などの、1つ以上の量子井戸を含む。さらなる例では、さらなる層506は、比較的緩和された第2のエピタキシャル結晶層108上における形成から恩恵を受ける追加の、及び/又は代替的な層を含む。さらなる層506は、結晶テンプレート層104の部分を形成するn-GaNオーバーグロース504から、緩和された第2のエピタキシャル結晶層108上に形成された活性領域の部分への導電性のためのチャネルを提供する第3のエピタキシャル結晶層である。
【0072】
さらなる層506上に、p型領域508が形成される。p型領域508は、オーバーグロース504の構造の最上部上、及びオーバーグロース504の構造の側壁上のさらなる
層506上にコンフォーマルに堆積させられ、形成される。p型領域508は、p型にドープされたGaNから形成される。さらなる例では、追加の、及び/又は代替的な層が、p型領域508を形成するために用いられる。
【0073】
有利に、図5Bの構造500Bは、活性領域を形成する材料の格子定数により近い格子定数を有する比較的歪みが緩和された層上に形成された活性領域を有する発光ダイオード構造のアレイを提供し、これにより、改善された効率を有する高品質の発光領域を提供する。オーバーグロース504の構造上のこのような活性領域の形成は、このような高品質の発光領域に基づくデバイスからの光抽出を改善し、コリメーションを改善する。
【0074】
有利に、多孔化された第1のエピタキシャル結晶層106’及び第2のエピタキシャル結晶層108を貫く電気接続を形成する第3のエピタキシャル層がオーバーグロース504の構造のうちの1つ以上の1つ以上の側壁上の活性領域の部分を形成する場合には、結晶テンプレート層104と、第2のエピタキシャル結晶層108のアイランド上のさらなる層506の活性領域との間の電子のための直接電流経路が提供される。有利に、このような注入は制御され、側壁注入は、高い動作電流が存在するさらなる層506の部分を形成する多重量子井戸(MQW(multiple quantum well))構造のための順方向電圧の低減を可能にする。
【0075】
図5Bはマスク502を示しているが、さらなる例では、マスク502はオーバーグロース504のステップの後に除去される。さらに、さらなる層506及びp型領域508はオーバーグロース504の構造上にコンフォーマルに形成されているが、個々の構造は、任意選択的に、切り離され、これにより、結晶テンプレート層104によって形成された共通のn型電極を有する複数の個々にアドレス指定可能な発光ダイオード構造の形成を可能にする。
【0076】
有利に、本明細書において説明される技法及び構造は、導電テンプレート層上に比較的歪みが緩和された層を形成し、その一方で、導電テンプレート層と、比較的歪みが緩和された層上にその後に成長させられた層との間の電気接続を可能にする仕方を提供する。有利に、結晶テンプレート層の固有面内格子パラメータとは異なる固有面内格子パラメータを有するエピタキシャル結晶層が介在層上に形成され、これにより、エピタキシャル結晶層が介在層に対して疑似格子整合して形成される場合には、多孔化された介在層及びエピタキシャル結晶層を貫くチャネルの形成と併せた介在層の多孔化が、エピタキシャル結晶層内の歪み緩和、及び緩和されたエピタキシャル結晶層上に形成されたデバイス内の電流注入のためのルートを可能にする。
【0077】
有利に、形成され、電気接続を可能にするための材料を充填されたチャネルは、歪み緩和のために用いられる高抵抗層の使用、ひいては機能的デバイスの提供に関連付けられる困難を克服する。有利に、エピタキシャル層の平面状成長方向と垂直な方向に対して角度を成す面を有するチャネルの使用は、下地結晶テンプレート層への接続が上に作られ得る傾斜表面をもたらし、その一方で、比較的歪みが緩和された材料が上方に形成された結晶テンプレート層の固有面内格子パラメータとは異なる固有面内格子パラメータを有する比較的歪みが緩和された材料の切り離されたアイランド上の歪み緩和発光構造を同時にもたらす。
【0078】
有利に、図1図5を参照して説明された構造上に発光ダイオード(LED)デバイスを形成することができる。有利に、歪み緩和層上に、関連画素を有するLEDのアレイを形成することができ、その一方で、歪み緩和が、高抵抗性である多孔質層を用いるにもかかわらず、n型領域を貫くn型コンタクトを可能にする。これは、導電性の材料層を形成する必要性、並びにデバイスの同じ側からのLEDデバイス内のp型及びn型層の両方の
ためのコンタクトの形成を回避する。これは、例えば、赤色光に対応する主ピーク波長を有する光を放出するように構成された窒化物材料から形成されたLEDなどの、より長い波長のInGaNベースの発光デバイスに関して特に有利であり、この場合には、通例、低品質のものであるInGaNのより厚い導電層の代わりに、非ドープInGaNの歪み緩和アイランドを用いることができる。さらに、デバイスの、p型コンタクトと反対の側にn型コンタクトを作るための導通を可能にすることは、アレイ内のLEDデバイスに関連付けられた画素がより接近して詰められ得、これにより、このようなアレイに基づく表示デバイスの解像度を改善することを意味する。
【0079】
本明細書において説明されるプロセスは特定の順序で与えられているが、当業者は、さらなる例では、提供される機能性を可能にしつつ、代替的な、及び/又は追加のステップ及びプロセスの順序が実施されることを理解する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】