(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】プレチャンバ点火プラグ
(51)【国際特許分類】
H01T 13/54 20060101AFI20230808BHJP
F02P 13/00 20060101ALI20230808BHJP
F02D 35/00 20060101ALI20230808BHJP
F02B 23/08 20060101ALI20230808BHJP
F02B 19/12 20060101ALI20230808BHJP
F02M 57/06 20060101ALI20230808BHJP
H01T 13/40 20060101ALI20230808BHJP
H01T 13/36 20060101ALI20230808BHJP
G01L 23/08 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H01T13/54
F02P13/00 302B
F02P13/00 303G
F02P13/00 303A
F02P13/00 301J
F02D35/00 360A
F02D35/00 368A
F02B23/08 L
F02B19/12 E
F02P13/00 303E
F02M57/06
H01T13/40
H01T13/36
G01L23/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501835
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 AT2021060406
(87)【国際公開番号】W WO2022094642
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507116592
【氏名又は名称】ピエツォクリスト・アドヴァンスト・ゼンゾリクス・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】バウムガルトナー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ミロシェヴィッチ,イゴール
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー,ディートマー
【テーマコード(参考)】
2F055
3G019
3G023
5G059
【Fターム(参考)】
2F055AA23
2F055EE12
2F055EE23
2F055EE25
2F055EE31
3G019AA07
3G019AA10
3G019KA01
3G019KA16
3G019KA22
3G019KA26
3G019KA28
3G023AA01
3G023AB03
3G023AB09
3G023AC05
3G023AC07
3G023AD14
3G023AD28
3G023AD30
3G023AG02
5G059AA01
5G059CC02
5G059CC13
5G059KK03
5G059KK12
5G059KK19
5G059KK21
5G059KK23
(57)【要約】
本発明は、内燃機関の燃焼室(12)における使用に適したプレチャンバ点火プラグ(1)に関し、当該プレチャンバ点火プラグは、意図する使用において少なくとも一つの開口部(3)を介して燃焼室(12)と流体連通しているプレチャンバ(2)を有し、プレチャンバ(2)において発火混合物を点火するのに適した、少なくとも一つの中心電極(4)を有する点火装置が配置されており、さらにプレチャンバ(2)においてプレチャンバ(2)における圧力曲線を測定するために第一の圧力センサ(6)が配置されており、プレチャンバ点火プラグ(1)は、燃焼室(12)における圧力曲線を測定するのに適した第二の圧力センサ(9)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室(12)における使用に適したプレチャンバ点火プラグ(1)であって、
意図する使用において少なくとも一つの開口部(3)を介して前記燃焼室(12)と流体連通しているプレチャンバ(2)を有し、
前記プレチャンバ(2)において発火混合物を点火するのに適した、少なくとも一つの中心電極(4)を有する点火装置が配置されており、
さらに前記プレチャンバ(2)において前記プレチャンバ(2)における圧力曲線を測定するために第一の圧力センサ(6)が配置されているプレチャンバ点火プラグにおいて、
前記プレチャンバ点火プラグ(1)は、前記燃焼室(12)における圧力曲線を測定するのに適した第二の圧力センサ(9)を有することを特徴とするプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項2】
前記プレチャンバ(2)または前記プレチャンバ(2)の一部は、前記プレチャンバ点火プラグ(1)に対して少なくとも一つの相補係合、摩擦係止、および/または少なくとも一つの物質一体化係合による接続によって接続されており、好ましくはねじ止め、接着圧着、圧入、溶接および/または少なくとも一つのスナップ嵌めを介して接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項3】
前記プレチャンバ点火プラグ(1)は、能動加熱装置(20)を有し、当該能動加熱装置は少なくとも一つの、好ましくは電気駆動可能な加熱要素(21)を含み、前記加熱要素は、好ましくは前記プレチャンバ(2)に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項4】
前記プレチャンバ点火プラグ(1)は、前記プレチャンバ(2)において温度センサ(17)を含み、前記温度センサ(17)は、好ましくは光学式でありおよび/または好ましくは前記プレチャンバ(2)のプレチャンバキャップ(22)に向けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項5】
前記プレチャンバ点火プラグ(1)は、前記燃焼室(2)への燃焼ガスのための少なくとも一つの供給導管(18)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項6】
前記供給導管(18)と前記温度センサ(17)とは、前記プレチャンバ点火プラグ(1)の長手方向軸(A)を横切る断面において前記プレチャンバ点火プラグ(1)の対向する側に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項7】
前記第一の圧力センサ(6)は、前記プレチャンバ点火プラグ(1)の長手方向軸(A)に沿って前記プレチャンバ点火プラグ(1)の少なくとも一つの中心電極(4)よりも前記プレチャンバ(2)から離れていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項8】
前記第一の圧力センサ(6)は、前記プレチャンバ(2)と流体連通している、前記プレチャンバ点火プラグ(1)の凹部(5)に配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項9】
前記凹部(5)は、長尺に構成され、前記長手方向軸(A)に対して平行にまたは前記長手方向軸(A)に対して少なくとも30°、好ましくは35°と60°との間の角度において位置することを特徴とする、請求項8に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項10】
前記第一の圧力センサ(6)および/または前記第二の圧力センサ(9)は、前記プレチャンバ点火プラグ(1)の長手方向軸(A)に対して傾斜して位置することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項11】
前記第一の圧力センサ(6)および前記第二の圧力センサ(9)は、前記プレチャンバ点火プラグ(1)の長手方向軸(A)を横切る断面において前記プレチャンバ点火プラグ(1)の対向する側に配置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項12】
少なくとも前記第一の圧力センサ(6)および/または前記第二の圧力センサ(9)は、圧電式、ピエゾ抵抗式、静電容量式または光学式圧力センサであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のプレチャンバ点火プラグ(1)。
【請求項13】
内燃機関の稼働方法であって、
燃焼室(12)に配置されたプレチャンバ点火プラグ(1)のプレチャンバ(2)における圧力が前記プレチャンバ点火プラグ(1)の第一の圧力センサ(6)によって測定されてエンジン制御装置へ送信され、前記エンジン制御装置は、前記第一の圧力センサ(6)から得られた圧力データに基づいて前記内燃機関を制御する方法において、
前記燃焼室(12)における圧力は、前記プレチャンバ点火プラグ(1)の第二の圧力センサ(9)によって測定され、前記エンジン制御装置に送信され、前記エンジン制御装置は、前記第二の圧力センサ(9)から得られた圧力データに基づいて前記内燃機関を制御することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記プレチャンバにおける温度が前記プレチャンバ点火プラグ(1)の温度センサ(17)によって測定されて前記エンジン制御装置に送信されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼室における使用に適したプレチャンバ点火プラグに関し、当該プレチャンバ点火プラグは、意図する使用において少なくとも一つの開口部を介して前記燃焼室と流体連通しているプレチャンバを有し、前記プレチャンバにおいて発火混合物を点火するのに適した、少なくとも一つの中心電極を有する点火装置が配置されており、さらに前記プレチャンバにおいて前記プレチャンバにおける圧力曲線を測定するために第一の圧力センサが配置されている。
【0002】
当該発明は、さらに内燃機関の稼働方法にも関し、プレチャンバにおける燃焼室に配置されたプレチャンバ点火プラグの圧力が前記プレチャンバ点火プラグの第一の圧力センサによって測定されてエンジン制御装置へ送信され、前記エンジン制御装置は、前記第一の圧力センサの得られた圧力データに基づいて前記内燃機関を制御する。
【背景技術】
【0003】
このようなプレチャンバ点火プラグは、特に希薄な混合気用の定置型ガス駆動内燃機関に使用される。このような内燃機関は、多くの場合、長寿命で長時間稼働をするように構成されている。稼働中の走行挙動、燃料消費量および排気ガス量を最適化するためには稼働中のプレチャンバにおける現在の圧力状態を知ることが有利である。
【0004】
内燃機関(あるいは略して内燃機関)においてプレチャンバを有しない各点火プラグにシリンダヘッドに設置されて燃焼室内の圧力を測定する圧力センサを設けることが公知である。このような点火プラグは、例えば米国特許出願公開第2008/0218052号明細書または米国特許第4969353号明細書に記載されている。このようなデータは、燃焼挙動に関する情報を提供する。当該センサは、相応する導管やアクセス開口部が設けられるように最初からシリンダヘッドに設置されて設計される必要がある。既存の内燃機関に後付配置することは極めて困難で費用がかかる。
【0005】
独国特許出願公開第102013210125号明細書においてプレチャンバ内に圧力センサを有するプレチャンバ点火プラグが開示されている。これにより前記プレチャンバにおける現在の圧力を測定してエンジン制御装置を介して噴射量あるいは噴射タイミングなどのパラメータを相応して調整することが可能である。しかしながら当該情報は、前記プレチャンバにおける状態にのみ関するものである。多くの場合、プレチャンバと燃焼室は、より小さい開口部によってのみ接続されているため、前記燃焼室における圧力状態と前記プレチャンバにおける圧力状態とは異なる。
【0006】
このようなプレチャンバ点火プラグは、米国特許出願公開第2015/059456号明細書にも開示されている。そこではプレチャンバにおいて測定された圧力勾配に基づいて燃焼室における圧力状態が推測される。同様に独国特許出願公開第102019101422号明細書においてもプレチャンバにおける圧力センサによって燃焼室内の状態が推察される。しかしながらこのことは多く場合、十分に正確ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0218052号明細書
【特許文献2】米国特許第US4969353号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102013210125号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/059456号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102019101422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明の課題は、エンジン制御のための情報提供を改善し、安価で簡単に既存の内燃機関に後付することが可能であるプレチャンバ点火プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該課題は、前記プレチャンバ点火プラグが燃焼室における圧力曲線を測定するのに適した第二の圧力センサを有することによって解消される。
【0010】
当該課題は、燃焼室における圧力が前記プレチャンバ点火プラグの第二の圧力センサによって測定され、エンジン制御装置へ送信され、前記エンジン制御装置は、得られた前記第二の圧力センサの圧力データに基づいて前記内燃機関を制御することによっても解消される。
【0011】
プレチャンバと燃焼室における圧力を測定することによってすべての重要な圧力値がシリンダの一部、すなわちプレチャンバ点火プラグのみにより測定される。これにより内燃機関が現在の圧力条件に反応して最適に調整され得る。この際、前記プレチャンバ点火プラグ上に両圧力センサを配置することが特に有利であるのは、これにより特に小型である構造が可能となり、よってこの種のプレチャンバ点火プラグを使用することで既存の内燃機関に対して後付することが可能であるからである。この際、シリンダを大きく改造する必要はなく、単に既存の点火プラグを取り外して本発明による点火プラグを挿入するだけでよい。
【0012】
少なくとも前記第一および/または前記第二の圧力センサが圧電式、ピエゾ抵抗式、静電容量式または光学式圧力センサとして構成されることが好ましい。
【0013】
前記第二の圧力センサは、前記燃焼室に対向する前記プレチャンバ点火プラグの外壁に配置されることが好ましい。前記第二の圧力センサの測定面が前記燃焼室における意図する設置位置にあることが好ましい。
【0014】
この際、前記第一の圧力センサが前記プレチャンバ点火プラグの長手方向軸に対して偏心して配置されることが好ましい。
【0015】
中心電極は、前記長手方向軸に沿って配置されることが好ましい。
【0016】
前記中心電極は、混合物を前記プレチャンバにおいて、またそれにより続いて燃焼室において点火するために使用される。当該中心電極は、混合気を点火する放電を生成するための古典的な電気電極として構成され得る。この目的のため前記中心電極から距離をおいて配置される、少なくとも一つの接地電極を設けることが可能である。
【0017】
前記中心電極は、コロナ点火、すなわち高周波点火を提供するためのコロナ点火電極として構成されていてもよい。
【0018】
さらなる一実施形態において前記プレチャンバ点火プラグは、面放電点火プレチャンバ点火プラグとして構成され得る。この目的のため少なくとも一つの、好ましくは環状の接地電極を概ね前記中心電極の高さに設け、電気絶縁表面が前記接地電極および前記中心電極のわずか下方において前記両電極の間に配置されて好ましくは前記両電極を互いに接続させることが可能である。
【0019】
さらに前記プレチャンバ点火プラグは、レーザ点火を実施するように構成することが可能である。この際、前記混合気を点火することが可能なレーザ光を生成するレーザ発生装置が設けられる。本発明の範囲において中心電極という用語は、このようなレーザプレチャンバ点火プラグとの関連において前記レーザ発生装置を前記プレチャンバと接続する光導体のことを意味するものとする。
【0020】
この際、前記第一の圧力センサおよび/または前記第二の圧力センサは、前記プレチャンバ点火プラグに対して接着またはその他の形で物質一体化接合により接続されていることが好ましい。別法では前記プレチャンバ点火プラグに対して相補係合的に接続されることも可能である。
【0021】
前記プレチャンバ点火プラグと前記第一および/または前記第二の圧力センサとの間の接続は、少なくとも一つの封止要素を介して封止されていることが好ましい。
【0022】
前記プレチャンバまたは前記プレチャンバの一部が前記プレチャンバ点火プラグに対して少なくとも一つの相補係合(form-fitting)、摩擦係止(force-fitting)、および/または少なくとも一つの物質一体化係合(materially bonded connection)による接続によって接続されており、好ましくはねじ止め、接着圧着、圧入、溶接および/または少なくとも一つのスナップ嵌めを介して接続されていることが好ましい。換言すると好ましくは前記プレチャンバを構成するジャケットの少なくとも一部が前記プレチャンバ点火プラグに配置されており、好ましくは当該プレチャンバ点火プラグに対して記載の方法で接続されている。この際、前記プレチャンバは、前記プレチャンバ点火プラグに対向するプレチャンバキャップを有することが好ましい。これにより基本的には前記プレチャンバキャップが前記燃焼室の最も奥まで進入している。これにより各用途間で前記プレチャンバを容易に適応させることが可能となる。通例ではこの目的のために前記プレチャンバ点火プラグを前記内燃機関から取り外し、前記プレチャンバまたは前記プレチャンバの一部を交換して前記プレチャンバ点火プラグを再び組み込む必要がある。溶接による接続の場合、溶接継ぎ目を開いて部品を交換することが可能となる。
【0023】
接続技術において相補係合とは、一般的に少なくとも二つの部材の間において、当該部材が互いに自身の形状寸法上の関係、すなわち例えば互いに一致する形状および/または配置に基づいて少なくとも一つの自由度において互いの動作を抑制する接続、すなわち例えば目違い継ぎまたはスプライン結合であると理解される。
【0024】
摩擦係止とは、少なくとも二つの部材の互いに対する動作が摩擦力による力場によって妨げられる接続であると理解される。このような接続は、例えばクランプねじによって実施することが可能である。
【0025】
物質一体化係合とは、少なくとも二つの部材が原子または分子の力によって結束される接続、すなわち例えば溶接接続または接着接続であると理解される。
【0026】
さらに前記プレチャンバ点火プラグが能動加熱装置を有し、当該能動加熱装置が少なくとも一つの、好ましくは電気駆動可能な加熱要素を含んでなり、前記加熱要素が好ましくは前記プレチャンバに配置されているようにすることが可能である。これにより前記プレチャンバにおける温度、ひいては前記圧力状態を調整することが可能である。
【0027】
現在の状態および燃焼プロファイルに関するさらなる情報を収集するためには好ましくは前記プレチャンバ点火プラグが前記プレチャンバにおいて温度センサを含んでなり、前記温度センサは、好ましくは光学式でありおよび/または好ましくは前記プレチャンバのプレチャンバキャップに向けられていることが有利である。前記温度センサが前記プレチャンバキャップに向けられていると温度を特に正確に測定することが可能である。特に前記温度センサが表面温度を測定する光学式である場合にはこれが有効である。このことは、前記プレチャンバにおいて温度が前記プレチャンバ点火プラグの温度センサによって測定されて前記エンジン制御装置に送信されるように設けられている場合にも当てはまる。
【0028】
前記プレチャンバ点火プラグが前記プレチャンバへの燃焼ガスのための供給導管を有することが特に有利である。この際、燃料ガスとは空気と燃料の混合物あるいは両者のうちいずれか一つだけであり得る。
【0029】
前記供給導管による噴射の間、前記温度センサへの干渉を最小限に抑えるためには前記供給導管と前記温度センサとが前記プレチャンバ点火プラグの長手方向軸に直交する断面において前記プレチャンバ点火プラグの対向する側に配置されていることが有利である。
【0030】
前記第一の圧力センサは、前記プレチャンバ点火プラグの長手方向軸に沿って前記プレチャンバ点火プラグの少なくとも一つの中心電極よりも前記プレチャンバから離れているようにしてもよい。両方が前記プレチャンバに設けられているとは、前記中心電極が長手方向軸に沿って前記プレチャンバ点火プラグから前記プレチャンバの方向へ前記第一の圧力センサよりも離れていることを意味する。よって前記中心電極は、前記第一の圧力センサよりも前記プレチャンバのより奥深くに位置する。これにより前記第一の圧力センサが点火位置から少し離れて位置されて当該中心電極から少し保護されるようにすることが可能である。
【0031】
さらに前記第一の圧力センサが前記プレチャンバと流体連通している、前記プレチャンバ点火プラグの凹部に配置されていると前記圧力センサの保護を得ることが可能である。前記凹部は、前記プレチャンバからは実質的に隔離されて一つまたは数少ない導管または開口部を介してのみ当該プレチャンバと流体連通していてもよい。これにより圧力測定は間違いなく可能であるものの前記圧力センサが例えば高温に対してよく保護される。
【0032】
さらに前記凹部が長尺に構成されて前記長手方向軸に対して平行にまたは前記長手方向軸に対して少なくとも30°、好ましくは35°および60°の間の角度において位置するようにすることが可能である。長尺とは、前記凹部の最も長い延伸部が断面において主軸に沿って延伸することを意味する。この際、当該主軸は前記プレチャンバ点火プラグの前記長手方向軸に対して平行であるか、少なくとも30°、好ましくは35°および60°の間、特に好ましくは45°の角度において位置する。
【0033】
少なくとも前記第一の圧力センサおよび/または前記第二の圧力センサが前記プレチャンバ点火プラグの前記長手方向軸に対して実質的に平行に位置することが好ましい。このことは、自身の近傍における圧力を測定する前記圧力センサの少なくとも一つの測定点が前記長手方向軸に対して横方向の位置にあることを意味する。ほとんどの場合、前記測定点は測定表面として構成されている。
【0034】
しかしながら前記第一の圧力センサおよび/または前記第二の圧力センサが前記プレチャンバ点火プラグの前記長手方向軸に対して傾斜して位置するようにしてもよい。この際、前記第一の圧力センサおよび/または前記第二の圧力センサが前記燃焼室に向かって傾斜することが好ましい。
【0035】
さらに前記第一の圧力センサおよび前記第二の圧力センサが前記プレチャンバ点火プラグの前記長手方向軸を横切る断面において前記プレチャンバ点火プラグの対向する側に配置されているようにしてもよい。
【0036】
好ましい実施形態において、少なくとも前記第一の圧力センサおよび/または第二の圧力センサが光学式圧力センサであるようにされている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本発明の第一の実施形態の縦断面図である。
【
図1b】
図1aの第一の実施形態の縦断面図である。
【
図1d】本発明の第二の実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下において図示される、非限定的な本発明の実施形態を参照しながら本発明について説明する。
図1aから
図1cに図示される、本発明によるプレチャンバ点火プラグ1の第一の実施形態は、長尺の本体10を有し、当該本体は内燃機関のシリンダのシリンダヘッド11を通って長手方向軸Aに沿って延伸して前記シリンダの燃焼室12に進入する。当該プレチャンバ点火プラグの前記燃焼室12に対向する端部にはプレチャンバ2が配置されており、当該プレチャンバは主にジャケット21によって構成されている。前記ジャケット21は、自身の前記燃焼室12に対向する端部においてプレチャンバキャップ22を含んでいる。前記プレチャンバ2は、前記プレチャンバキャップ22の前記ジャケット21における溢流導管の形の複数の開口部3を介して前記燃焼室12と接続されている。図示される実施形態においては四つの横方向開口部3が設けられているが、例えば中央に配置された開口部など、他の位置における開口部も設けられ得る。この際、前記開口部3は前記長手方向軸Aを横切る横断面において前記プレチャンバ2上に均等に分配されており、主軸Hに対して前記燃焼室12の方向へ傾斜している。前記プレチャンバ2は、実質的に円筒形の形状を有する。
【0039】
前記長手方向軸Aに沿って前記プレチャンバ点火プラグ1から中央電極4が前記プレチャンバ2内に延伸する。この際、前記中央電極4は横断面において前記プレチャンバ点火プラグ1の中央に配置されており、概ね前記プレチャンバ2の中央まで延伸する。前記プレチャンバ点火プラグ1は、前記中央電極4の側方において凹部5を有し、当該凹部は前記プレチャンバ2と流体連通しており主軸Hに沿って延伸する。前記凹部5において第一の圧力センサ6が配置されており、当該第一の圧力センサは長尺の圧電式、ピエゾ抵抗式、静電容量式あるいは光学式圧力センサとしても構成されており、前記プレチャンバ点火プラグ1に対して接着されている。測定面7は、前記第一の圧力センサ6によって占められていない、前記プレチャンバ2と流体連通している前記凹部5の一部の方向に向いている。前記長手方向軸Aに対して平行な前記主軸Hに沿って、概ね前記プレチャンバ2の半分の高さの位置に接地電極8が配置されており、当該接地電極8は前記中央電極4の方向に向いて前記中央電極とともに点火装置の一部である。複数の接地電極を設けることも可能である。前記第一の圧力センサ6は、前記本体10内を通る管14を介して供給され、また当該管を介して測定データを提供もする。
【0040】
長手方向断面において前記第一の圧力センサ6に対して前記長手方向軸Aの反対側に第二の圧力センサ9が配置されており、当該第二のセンサは前記プレチャンバ2の外に位置する。当該第二のセンサは、前記燃焼室12に向かって前記中央電極4から離れる方向に傾斜している。当該第二のセンサもまた前記燃焼室12に向かって前記長手方向軸Hに対して概ね35°の角度において傾斜している測定面7を有する。前記第二の圧力センサ9もまた前記本体10に対して接着されており、当該本体の外壁において前記燃焼室12に向けて配置されており、前記本体10内を通る管15を介して供給され、また当該管を介して自身の測定データを提供もする。
【0041】
前記第一および第二の圧力センサ6、9の前記測定面7は、前記長手方向軸Hに沿って概ね同じ高さに配置されており、前記プレチャンバ2に向かって方向16に対して前記中央電極4の背後に配置されている。
【0042】
図1bにおいて同じ前記プレチャンバ点火プラグ1が同じく縦断面において図示されているものの、
図1aに対して90°回転されている。当該図では前記長手方向軸Aの一方側において前記プレチャンバキャップ22に向けられた光学式温度センサ17が配置されていることが見受けられる。測定コーン19がこのことを示している。前記長手方向軸Hの反対側における側面において前記プレチャンバ2に燃料ガスを供給するための供給導管18が配置されており、当該供給導管は前記プレチャンバ2に開口する。
【0043】
図1cでは
図1aの線III-IIIに沿った横断面図において前記第一の圧力センサ6、第二の圧力センサ9、温度センサ17および供給導管18が前記長手方向軸Hの周りに均等に配置されていることが見受けられる。前記本体10は、前記第二の圧力センサ9の領域におけるスリットを除いて基本的に円形である。線I-Iは、
図1aに図示される断面、線II-IIは、
図1bに図示される断面を示す。
【0044】
図1dは、
図1bと同様の断面における第二の実施形態を図示しており、第一の実施形態と類似している。よってここでは最も重要な相違点のみについて説明し、類似する各部品には同一の参照符号を付している。前記中央電極4の側方には能動的な電気加熱装置20が設けられており、当該加熱装置は前記プレチャンバ2に進入する加熱要素21を有する。当該加熱装置は、横断面において前記供給導管18に対向するように配置されている。
【0045】
図2は、第一の実施形態に類似した、本発明の第三の実施形態を図示している。よってここでは最も重要な相違点のみについて説明する。
図1aと同様の位置における縦断面が図示されている。この際、前記凹部5の主軸Hは、前記長手方向軸Aに対して約35°の角度βをなす。前記第一の圧力センサ6の前記測定面7は、前記主軸Hに対して平行に延伸し、前記燃焼室12の方向に前記中央電極4から離れるように傾斜している。
【国際調査報告】