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特表2023-535146クロスフロー濾過における可変速度パターン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】クロスフロー濾過における可変速度パターン
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/00 20060101AFI20230808BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20230808BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230808BHJP
【FI】
B01D63/00 510
B01D63/10
C02F1/44 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502722
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021040353
(87)【国際公開番号】W WO2022015525
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/051,738
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】オールバッハ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガート,ジェイ,ケンダル
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガート,ジェイ,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ロングマイア,ネルソン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006HA61
4D006JA05A
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006MA03
4D006MA06
4D006MC62
4D006PA01
(57)【要約】
本発明の実施形態は、固定されたチャネル高さで供給液スペーサの様々な形状を用いることにより、クロスフロー濾過要素の供給液チャネル内の流動特性を変え得る方法及び装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層組成物における使用のための膜シートであって、前記膜シートが、選択的流体分離を提供するように構成された活性表面を有し、前記膜シートがその上に配置された供給液離隔特徴を有し、前記膜の、前記供給液離隔特徴により占められた部分が、前記膜シートの第1端から前記膜シートの反対側の端へ、前記膜シートの第1縁から前記膜シートの第2縁へ、又は両方で変化する、膜シート。
【請求項2】
前記膜の、前記供給液離隔特徴により示された前記部分が、前記膜シートの第1端から前記膜シートの反対側の端へ変化する、請求項1に記載の膜シート。
【請求項3】
前記膜の、前記供給液離隔特徴により示された前記部分が、前記膜シートの第1縁から前記膜シートの第2縁へ変化する、請求項1に記載の膜シート。
【請求項4】
各供給液離隔特徴が前記膜シートの縁から縁への流体フローに提示される断面を有し、前記膜シートに配置された供給液離隔特徴の数が、前記第1縁から第2距離にある前記膜シートの第2領域におけるよりも前記第1縁から第1距離にある前記膜シートの第1領域においてより大きい、請求項1に記載の膜シート。
【請求項5】
各供給液離隔特徴が前記膜シートの縁から縁への流体フローに提示される断面を有し、供給液離隔特徴の、前記膜シートに配置された断面が、(a)前記第1縁から第2距離にある前記膜シートの第2領域におけるよりも前記第1縁から第1距離にある前記膜シートの第1領域においてより大きい、又は(b)前記第1端から第2距離にある前記膜シートの第4領域におけるよりも前記第1端から第1距離にある前記膜シートの第3領域においてより大きい、又は(c)両方である、請求項1に記載の膜シート。
【請求項6】
各供給液離隔特徴が、他のいずれの供給液離隔特徴とも交差しない形状により画定され、前記膜シートの面積当たりの供給液離隔特徴の平均数が(a)、前記第1縁から第2距離にある前記膜シートの第2領域におけるよりも前記第1縁から第1距離にある前記膜シートの第1領域においてより大きい、又は(b)前記第1端から第2距離にある前記膜シートの第4領域におけるよりも前記第1端から第1距離にある前記膜シートの第3領域においてより大きい、又は(c)両方である、請求項1に記載の膜シート。
【請求項7】
各供給液離隔特徴が、他のいずれの供給液離隔特徴とも交差せず外形寸法を有する形状により画定され、供給液離隔特徴の平均外形寸法が、(a)前記第1縁から第2距離にある前記膜シートの第2領域におけるよりも前記第1縁から第1距離にある前記膜シートの第1領域においてより大きい、又は(b)前記第1端から第2距離にある前記膜シートの第4領域におけるよりも前記第1端から第1距離にある前記膜シートの第3領域においてより大きい、又は(c)両方である、請求項1に記載の膜シート。
【請求項8】
各供給液離隔特徴が、前記膜シートの前記第1縁の近くから前記膜シートの前記第2縁の近くへ延在するとともに、前記膜シートの前記第2縁の近くよりも前記膜シートの前記第1縁の近くでより大きい幅を有する、請求項3に記載の膜シート。
【請求項9】
前記供給液離隔特徴が、前記第1縁に平行に測定された距離だけ分離され、前記距離が、前記膜シートの前記第2端の近くの領域においてよりも前記膜シートの前記第1端の近くの領域においてより大きい、請求項8に記載の膜シート。
【請求項10】
スパイラル型膜要素における使用のための積層組成物であって、
(a)透過液キャリアと、
(b)請求項1に記載の膜シートと
を含み、
(c)前記膜シートが、前記膜シートの、活性表面の反対側の表面が前記透過液キャリアと接触するように配置される、積層組成物。
【請求項11】
スパイラル型要素であって、取集チューブと請求項10に記載の積層組成物とを含み、前記透過液キャリアが前記取集チューブと流体連通するように前記取集チューブの周りにスパイラル状に巻かれる、スパイラル型要素。
【請求項12】
水を処理する方法であって、請求項10に記載のスパイラル型要素を提供することと、給水が膜シートの活性表面に接触するように前記スパイラル型要素に給水を供給することと、処理された水を取集チューブから取集することとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離のために用いられる膜システム、具体的にはクロスフロー及びスパイラル型膜要素に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
クロスフロー濾過において、供給流体がフィルタを通って流れるとともに他端で解放される一方で、流体の一部は、流体フローの方向に平行な膜表面を通じて濾過により除去される。プレート・フレーム、カセット、中空糸、又はスパイラル型システムを含む様々な形のクロスフロー濾過が存在する。プレート・フレーム、カセット、及びスパイラル型濾過モジュールは、濾過膜の隣接する層間に間隔を提供する積み重ねられた膜層に依存することが多く、本発明はそのようなシステムに当てはまる。
【0003】
スパイラル型膜濾過要素は当該技術分野では知られているとともに、膜を通って中心チューブに流れる流体の、中心チューブの軸に長手方向に、除去のための経路を作り出す多孔質透過液キャリアに又は多孔質透過液キャリアの周りにシールされた膜シートを有する積層構造を含み、この積層構造は中心チューブの周りにスパイラル状に巻かれるとともに、要素を通じた流体の軸方向フローを可能にするように多孔質供給液スペーサでそれ自体から離隔している。従来、供給液スペーサは給水のフローを可能にするために使用され、給水の一部は膜を通ってスパイラル型要素に入り、排除水が中心チューブに対して平行及び要素構成に対して軸方向に要素を出ることを可能にする。
【0004】
スパイラル型要素の設計の改良形態は、Bargerらへの米国特許第6,632,357号、Bradfordらへの米国特許第7,311,831号、並びに、供給液スペーサを膜の内側又は外側に直接印刷、積層又はエンボス加工された島状部又は突出部と取り換える、Herringtonらへの「Improved Spiral Wound Element Construction」と題された豪州特許出願公開(第2014223490号)及び日本登録特許(第6499089号)に開示されている。Roderickらへの「Graded spacer for filtration wound elements」と題された米国特許出願第PCT/WO2018190937A1号は、スパイラル型要素における供給液流動特性を変えるために使用される高さが段階的なスペーサ特徴の使用を説明する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の説明
本発明の実施形態は、固定されたチャネル高さで供給液スペーサの様々な形状を用いることによりクロスフロー濾過要素の供給液チャネル内の流動特性を変え得る方法及び装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
図1】スパイラル型膜要素の分解図である。
図2】部分的に組み立てられたスパイラル型膜要素の分解図である。
図3】出口でクロスフロー面積の約20%を塞ぐ、供給液入口から濃縮液出口へ幅が一様に増加する印刷されたフロー制御スペーサを備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
図4】出口でクロスフロー面積の約50%を塞ぐ、供給液入口から濃縮液出口へ幅が一様に増加する印刷されたフロー制御スペーサを備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
図5】出口でクロスフロー面積の約20%を塞ぐ、供給液入口から濃縮液出口へ幅が段階的に増加する印刷されたフロー制御スペーサを備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
図6】供給液入口から濃縮液出口へ数が増加する線からなる印刷されたフロー制御スペーサを備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
図7】一様に分布する供給液スペーサ特徴も含む、供給液入口から濃縮液出口へ幅が一様に増加する印刷されたフロー制御スペーサを備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
図8】供給液入口から濃縮液出口へサイズが増加する丸い離隔特徴の配列を含む印刷されたフロー制御スペーサの配列を備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
図9】供給液入口から濃縮液出口へサイズが増加する、及びまた先端から中心チューブへサイズが増加する丸い離隔特徴の配列を含む印刷されたフロー制御スペーサの配列を備えた巻く前のスパイラル型要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を実施するためのモード及び産業上の利用可能性
スパイラル型濾過要素における供給液スペーサは、供給流体が通って流れるためのチャネルを維持することが求められるが、スペーサ設計はまた局所的流速、乱流、停滞ゾーン及び他の流体フロー状態に影響を及ぼす。押出成形されたメッシュ供給液スペーサは、従来膜製造において、それらの製造プロセスの一体化の容易さを原因として、使用されてきたが、それらの設計の性質により、それらの流体力学特徴の多くはスペーサの厚さに依存する。印刷された供給液スペーサは、スパイラル型膜要素構成に見られる特定の用途又は特定の課題にあわせられ得る幅広い構成を作り出すためにそれらの厚さ及び形状が独立して変えられ得るため、従来の押出成形された又は織られたメッシュスペーサでは得ることができない固有の設計特徴を可能にする。
【0008】
クロスフロー濾過は、その性質により、供給流体の一部がフィルタを通過し濾液の一部になることに依存しており、したがって供給流体の量がフィルタを通過するときに常に減少する状況を作り出す。製造される濾液の割合が高いほど、フィルタを通過し続ける供給/濃縮流体の割合は低くなる。流体が要素を通過する際、流体の一部が膜を通過する。単純にモデル化すると、膜を通る一定の流速は、供給溶液が要素を通って流れる際に供給溶液の徐々に減少するフローを生成する。実際は、通過する流体の量は、局所的フロー状態及び溶質又は懸濁した材料の局所的濃度、並びに局所的圧力に依存し、局所的圧力はまた局所的に要素の透過側からの背圧に依存する。
【0009】
多くのクロスフロー濾過システム、例えばスパイラル型要素及びスタックフィルタは、供給流体が通って流れる膜材料の平行な平らなシートに依存する。供給液チャネルが固定された体積を占めるようなシステムにおいて、濾液流への供給流体の損失は、供給液入口から濃縮液出口へ流れる流体流が、フィルタの長さに沿ったクロスフロー速度を低下させる状況を作り出す。クロスフロー速度並びにフィルタ形状及び供給液スペーサを含むフィルタの流体力学的状態は、流体フローのいくつかの重要な特徴、例えば流体せん断、境界層厚さ、及び濃度分極に影響を及ぼし、これらは今度は膜流速、摩擦圧力損失、生物汚損、及びスケーリングを含むフィルタ性能特徴に影響を及ぼす。したがって、固定されたフィルタ形状及び供給液スペーサを備えたシステムについて、変化するクロスフロー速度は、システム全体を通じてこれらの特徴を変え、このことは性能を制限し得る。
【0010】
これを説明するための1つのアプローチは、システムの形状を変えることである。供給液空間の他のアスペクトを同一に保ちつつクロスフローの方向において供給液スペーサ高さを低くすることにより、より一定の供給液速度が達成され得る。そのようなシステムは、PCT特許出願国際公開第2018190937A1号、GRADED SPACERS IN SPIRAL ELEMENTSにおいて説明されている。クロスフロー速度を制御するための別のアプローチは、供給液空間内では同じ形状を維持するが、供給液スペーサを変えることであり、これは、供給液空間内の平均速度を変えるような方法で膜シートを互いから離す働きをする。本発明は、要素内の様々な領域において流動特性を変えるために空間密度が変わる供給液スペーサを用いることにより供給液チャネル内の流速を制御し得る方法及び装置を提供する。
【0011】
用いられる供給液離隔特徴は、円形ドット、卵形、丸い形の端を備えた棒、レンズ形、伸長された多角形、直線又は他の幾何学的形を含む多くの形のいずれかであり得る。供給液離隔特徴の形状及び流体は供給液離隔特徴の外側の周りを横断しなければならないという事実を原因として、流体流速は供給液離隔特徴間の領域において局所的に変化するが、供給液離隔特徴のサイズ及びパターンが均一の場合は、バルク流速は膜を通って流れる濾液により引き起こされた流体体積の減少の影響のみを受ける。結果は流体体積、したがって入口から要素の排除流への流速の純減少である。
【0012】
本発明の実施形態において、供給液離隔特徴は、要素における供給液/濃縮液フローの流体経路に沿ってサイズ、数又は形状が変わり、ある領域から次の領域へ平均流速が変わることを可能にする。供給液離隔特徴は断面積の、水が流れる部分を占め、この断面積を変えることにより、バルク流速は、要素を通過する濾液により引き起こされる速度変化とは無関係に変えられ得る。例えば、供給液離隔特徴は、流路におけるそれらの断面積が、流体流速が要素を通じた流体フローの長さ全体にわたって一定のままであるように濾液流まで膜を通過する水の体積に比例して増加するように供給液入口から要素の排除端へ一定の高さを維持しつつ、サイズが増大し得る。
【0013】
流体分離システム及び要素において、供給溶液から除去される透過液の割合は回収率と呼ばれ、この値は用途に依存してシステムごと要素ごとに変わる。システム回収率は極めて高くなり得、例えばゼロ液体排出システムについては100%に近づく。しかしながらクロスフロー濾過において、個々の要素の回収率は典型的には著しくより低い。いくつかの逆浸透水濾過用途においては、50%以上もの回収率が達成される。多くの逆浸透水濾過要素は、例えば、20%などより低い値の要素ごとの最大回収率を規定し、実際には、要素は、要素ごとにさらにより低い、例えば10~15%の範囲の回収率を生じ得る。回収率の制限は、概して、クロスフローにおける残りの材料が問題を含むようになる流体濃度のレベルにより設定される。これらの濃度が十分に高くなると、沈殿及びスケール形成、ゲル層形成、固化又は高い浸透圧などの問題が濾過プロセスを妨げる。また、流速が低下するにつれ、要素内の混合及び拡散特徴が変わり、これは概して膜流速に有害な影響がある。これらの問題は、濃度が上昇する際であっても透過液が除去される際に供給液流における流体フローが減速するという事実により悪化することが多い。
【0014】
平均流速を変えるような方法で供給液離隔特徴の形状を変えることにより、濃度変化の有害な影響の一部は相殺され得る。例えば、要素の出口で供給液空間の15%より多くを占めるように供給液離隔特徴の数、サイズ又は形状が増加した場合に15%の回収率で作動する要素において、平均クロスフロー速度は要素の全体にわたって一定に保たれ得る。供給液空間のより多くを占めるために離隔特徴が変えられる場合、供給液空間内の平均流速が実際には要素にわたって上昇する要素が作り出される。供給液離隔特徴の数、サイズ又は形状を増加させることの1つの欠点は、それらが膜表面の一部を塞ぎ、したがって膜シートの活性表面積を小さくすることである。多くの場合において、変更された流動特性により提供される利点は、依然として、固定された供給液スペーサを備えた従来の要素よりも、膜流速、総透過フロー、又は減少した汚染又はスケーリングに関してより良好な要素性能を生じる。内部フローが特定の用途における性能を最適化するようにカスタマイズされ得る濾過要素を製造する能力もまた有利である。
【0015】
図1は、巻く前の従来のスパイラル型膜要素の概略図であり、従来のスパイラル型膜要素100の重要な要素を示す。透過液取集チューブ12は、透過流体が透過液キャリア22から集められる取集チューブ12における穴14を有する。製造において、膜シート36は中心線30で折り畳まれる単一の連続的なシートであり、一方の面28の非活性多孔質支持層、例えばポリスルホン及び、支持層に接合又は成型された他方の面24の活性ポリマー膜層からなる。組み立てられた要素において、活性ポリマー膜表面24は供給液スペーサメッシュ26に隣接しており、非活性支持層28は透過液キャリア22に隣接している。供給溶液16は活性ポリマー膜表面24間に入るとともに供給液スペーサメッシュ26におけるオープンスペースを通って流れる。供給溶液16が供給液スペーサメッシュ26を通って流れる際、膜により除外される粒子、イオン、又は化学種が活性ポリマー膜表面24で排除され、透過流体の分子、例えば水分子が活性ポリマー膜表面24を通過し多孔質透過液キャリア22に入る。供給溶液16が活性ポリマー膜表面24に沿って通過するにつれて、バルク供給溶液16における透過流体の損失を原因として膜により除外される材料の濃度は上昇し、この濃縮された流体は、排除溶液18として活性ポリマー膜シート24の排除端を出る。透過液キャリア22における透過流体は、透過液キャリア22の先端34から中心チューブ12の方向において流れ、中心チューブ12では、透過流体が中心チューブ入口穴14を通って中心チューブ12に入り、透過溶液20として中心チューブ12を出る。透過流体の供給溶液16での汚染を回避するため、非活性ポリマー膜層28は、透過液キャリア22を通じて接着線32に沿って接着剤で密封され、それにより、透過溶液20のための唯一の出口経路が中心チューブ12を通じてである密封された膜エンベロープを作り出す。典型的には、接着線32の幅は、接着剤が巻くプロセス中に圧縮された後1~3インチである。
【0016】
部分的に組み立てられたスパイラル型膜要素200が図2に示されている。膜エンベロープ40は、図1との関連において説明されたとおり、膜シートの折り目の間に配置され好適な接着剤で縁に沿って密封されたキャリア22を備えた一端で折り畳まれた膜シート36を含む。膜シートの、取集チューブの隣の境界は「端」と呼ばれ得、当該端の反対側の境界も同様である。膜シートの他の2つの境界は「縁」と呼ばれ得る。膜要素の従来の設計において、巻かれると、供給流体16のフローが膜エンベロープ40の層間を流れ、膜シートの活性ポリマー表面24の全てが供給流体にさらされることを可能にするために供給液スペーサメッシュ26は、エンベロープ40に隣接して位置付けられる。透過液又は製品流体は、膜エンベロープ40内部の透過液キャリア22において取集されるとともに中心チューブ12へとスパイラル状に進み、中心チューブ12で排除流18が要素を出る一方で製品又は透過流体は取集される。単一のスパイラル型要素は単一の膜エンベロープと供給液スペーサ層とを含むことも、又は一緒に積み重ねられ巻かれて要素を形成する複数の膜エンベロープと供給液スペーサ層とを含むこともできる。
【0017】
本発明の例示的実施形態、膜エンベロープが中心チューブ12から延在するスパイラル型要素の単一の広げられた箔が図3に示されている。膜エンベロープの活性表面24の半分には、高さは固定されているが幅は供給液入口16から濃縮液出口18へ連続的に増加する一連のスペーサ特徴42が印刷又は積層されている。スペーサ高さは固定されているため、スペーサ幅が徐々に増加すると流体が流れる断面積は小さくなる。断面積の減少を理由として、透過液が膜表面を通じて供給液フロー流から除去されたときでさえも、平均流速はより一定のままとなる。図3の場合において、スペーサ特徴42は供給液入口で断面積の約4%を、濃縮液出口で断面積の約24%を塞ぐ。この構成を用いるとともに20%の回収率で動作するスパイラル型膜モジュールは、要素全体にわたって略一定の平均クロスフロー速度を維持する。
【0018】
図4は、スパイラル型要素の単一の広げられた箔が、幅が供給液入口16から濃縮液出口18へ連続的に増加する膜エンベロープの活性表面24に印刷又は積層されたスペーサ特徴44を用いる例示的実施形態を示すが、この場合において、スペーサは出口の断面積のはるかにより大きい部分、50%を占める。そのような構成は、50%の回収率で要素における均一な平均流速を提供する。より低い回収率では、クロスフロー速度は供給液から濃縮液へ増加する一方、より高い回収率では、クロスフロー速度は減少するが、均一な供給液スペーサを備えた要素におけるほどは減少しない。
【0019】
図5に示された例示的実施形態は、供給液スペーサ特徴46が供給液入口16から濃縮液出口18へ幅を一様に増加させるのではなく段階的に増加させる変形形態を示す。図は3つの異なる幅を示すが、断面フロー面積を別々の増分で減少させるために同じやり方で任意の数の様々な異なる幅が用いられ得る。
【0020】
他の例示的実施形態において、スペーサ特徴の面積は、特徴の形状を変えることによるよりもむしろ入口から出口への特徴の数を増やすことにより増やされる。図6に示された例示的実施形態は、供給液入口16の近くで膜エンベロープの活性表面24に印刷又は積層された当初はより少ない数のスペーサ特徴48を示す。スペーサ特徴48の数は中央セクションで倍になり、濃縮液出口18の近くで再び倍になる。このような方法で特徴の数を増やすことは、入口から出口へクロスフロー面積を減少させる。この図において、面積の減少は線形ではなく指数関数的であるが、特徴の数を増加させる原理は、平均断面積を相応して増加又は減少させるために線形であることも、又は他の任意の式に従うこともできる。線分に加えて、他の形、例えば円形、卵形、多角形、涙滴形、又は他の複雑な形が同様のやり方で用いられることができ、要素の様々な領域におけるフローを調整するために入口から出口へ数を変える。
【0021】
断面フロー面積を変えるためにサイズ、形状、又は数が変わる供給液離隔特徴は、膜エンベロープ40の活性表面24に印刷又は積層された追加的な一様に分布する供給液離隔特徴と、そのような特徴がフローチャネルの高さを維持するために必要である場合、組み合わされ得る。図7に示される実施形態は、一様に離隔した円形スペーサ特徴50の配列を、供給液入口16から濃縮液出口18へ幅42が増加する離隔特徴と併せて示す。
【0022】
図3~5が要素の入口から出口へ連続的な離隔特徴を示す一方で、供給液/濃縮液フローチャネル内の流動特性を変えるためにサイズを変えながら、分離した特徴の配列が供給液空間を維持するために用いられてもよい。図8における例示的実施形態は、供給液入口16から濃縮液出口18へサイズが増加する膜エンベロープの活性表面24に印刷又は積層された円形特徴52の配列を有する。この図において、特徴のサイズは3つの異なる増分で増加するが、サイズの増加は、入口から出口への各連続的な列が先行する列よりも大きいようになど任意の数の増分で生じ得る。分離した特徴の場合、局所的流速は、流体が特徴間及びそれらの間の空隙内へ流れる際に変わる。しかしながら平均断面積、したがって流速は、説明されたとおり様々な特徴サイズにより依然として操作され得る。この図において、特徴52のサイズは3つの異なる増分で増加するが、サイズの増大は、例えば2つの増分から各連続的な列が先行する列よりも大きい実施形態まで任意の数の増分で生じ得る。
【0023】
多孔質透過液キャリア22内の背圧もまた、いくつかの用途における膜エンベロープ内の局所的透過に影響を及ぼし得る。このような状況において、典型的には、膜シートを通る流速は、中心チューブ12近くではより高く、その理由は透過液が移動する距離、したがって透過液キャリア内のフローに対する抵抗がこの位置において最低であるためである。逆浸透膜要素において、供給液入口16から要素の先端の角で及び中心チューブ12の最も近くでスケールの沈殿が生じるのは一般的である。これは、濃縮液出口18に向かって供給液から要素の先端が最高濃度及び最低速度の流体を含むため、及び中心チューブの近くではこの領域が中心チューブからさらに離れた領域と比べるとより高い流速を有するため生じる。このような場合、濃縮液フローへの供給の方向に沿ってのみクロスフロー速度を増加させることだけでなく、中心取集チューブのより近くでより高い速度を有することが有利となり得る。供給液入口16から濃縮液出口18へサイズが増加する丸い離隔特徴52、中心チューブ12のより近くでサイズが増加する離隔特徴54の両方を含むこの構成の例示的実施形態が図9に示される。この図において、特徴54が2つの異なる増分で増加すると同時に特徴52のサイズは3つの異なる増分で増加するが、サイズは、例えば2つの増分から各寸法の各連続的な列が先行する列よりも大きい実装形態まで任意の数の増分で生じ得る。
【0024】
ほとんどの用途において、断面積の平均的な減少は、使用中の要素の望ましい回収率と相関しており、したがって流体が要素を通って流れる際に平均流速を一定に保ち、例えば、15%の回収率で動作するように設計された要素は入口から出口へ直線的に15%減少する平均断面フロー面積を有する。他の用途は、要素の出口のフローが、例えば、供給液入口より10%速い又は5%のみ遅いように流速が直線的にしかし回収率とは直接相関せずに変化するように設計されたスペーサの漸次的変化を用いることができ、これらの流速の変化は要素の性能にとって有益である。他の実施形態において、断面積の変化はいずれの方向においても進む際に非線形であり得、例えば断面積は要素の長さの4分の3はほぼ一定のままであることができ、次いでそこから要素の端へ直線的に又はさらには指数関数的に増加することができる。スペーサ特徴の被覆領域を変えることの使用はまた、供給液チャネル内の断面積及びフロー速度追加的な制御を得るために、同時に特徴の高さを変えることと併せて使用され得る。
【0025】
本発明は様々な例示的実施形態との関連において説明された。上記は本発明の原理の適用の説明のためだけのものであり、その範囲は明細書に照らした特許請求の範囲によって定義される。本発明の他の変形形態及び修正形態も当業者には明らかであることが理解される。
図1
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図9
【国際調査報告】