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特表2023-535178ラテラルフロー・ベースの生体サンプル収集と診断のためのデバイス及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ラテラルフロー・ベースの生体サンプル収集と診断のためのデバイス及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230808BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20230808BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230808BHJP
   G01N 1/12 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G01N1/00 101H
G01N1/10 V
G01N33/543 521
G01N1/12 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504209
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 IB2021000515
(87)【国際公開番号】W WO2022018519
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/053,819
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517287660
【氏名又は名称】バイオ-マーケティング-ティ・リミテッド(ビーエムティ)
【氏名又は名称原語表記】Bio-Marketing-T,Ltd.(BMT)
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】タミール,イダン
(72)【発明者】
【氏名】タミール,ニリ
(72)【発明者】
【氏名】パールバーグ,ギル
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AD06
2G052AD46
2G052CA39
2G052DA08
2G052GA11
(57)【要約】
デバイスは、ケーシングの第1部分、ケーシングの第2部分、サンプル・パッドを有する検査ストリップ、及び毛細管サンプル収集器を含み、毛細管サンプル収集器は、毛細管現象によって流体サンプルを収集するように構成された開口遠位端と、該遠位端から流体サンプルを分配するように構成された開口近位端とを有し、デバイスは、ケーシングの第1部分とケーシングの第2部分とが接合されるように組み立てられ、ケーシングの第1部分の遠位端とケーシングの第2部分の遠位端とが共に流体密に密封され、サンプル・パッドは、毛細管の分注端の近傍に配置され、分注端は、分注された流体サンプルがサンプル・パッド上に分注されるように配置され、さらに、分注端と検査ストリップのサンプル・パッドとの間の分注角度は10度未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
ケーシングの第1部分、
ケーシングの第2部分、
サンプル・パッドを有する検査ストリップ、及び
毛細管サンプル収集器を備え、
前記毛細管サンプル収集器は、(a)毛細管現象によって流体サンプルを収集するように構成された開口遠位端と、(b)該遠位端から前記流体サンプルを分注するように構成された開放近位端と、を有し、
前記デバイスは、前記ケーシングの第1部分と前記ケーシングの第2部分とが接合されるように組み立てられ、
前記ケーシングの第1部分の遠位端と前記ケーシングの第2部分の遠位端とが共に流体密に密封され、
前記検査ストリップのサンプル・パッドは、前記毛細管の分注端の近傍に配置され、
前記毛細管サンプル収集器の分注端は、分注された流体サンプルが検査ストリップのサンプル・パッド上に分注されるように配置され、さらに、
毛細管サンプル収集器の分注端と検査ストリップのサンプル・パッドとの間の分注角度は10度未満である、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器は、少なくとも2つの長さのセグメントに分割される、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器の第1の長さのセグメントは、親水性の内壁を含み、前記毛細管サンプル収集器の第2の長さのセグメントは、疎水性の内壁を含む、デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器の前記第1の長さセグメントは、毛細管力による流体サンプルの取り込みを可能にするように遠位に配置され、前記毛細管サンプル収集器の前記第2の長さセグメントは、前記毛細管サンプル収集器によって収集される流体の量を制限するように近位に配置される、デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器の前記第1の長さセグメントの長さは、所定の容積の流体の収集を可能にするように設定される、デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスであって、前記所定の容積が100マイクロリットル未満である、デバイス。
【請求項7】
請求項2に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器の前記第1の長さのセグメントは、親水性の内壁を含み、さらに前記毛細管サンプル収集器の前記第2の長さのセグメントは、親水性の内壁を含み、さらに前記毛細管サンプル収集器は、前記第1の長さ部分と前記第2の長さ部分との間に配置された空隙をさらに含む、デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器は親水性の内壁を有し、前記毛細管サンプル収集器は開口近位端で90°の角度を形成し、前記デバイスは、前記毛細管サンプル収集器の前記開口近位端と前記検査ストリップの前記サンプル・パッドとの間に空隙を含み、さらに前記毛細管サンプル収集器の前記開口近位端と前記空隙とが協働して、前記毛細管サンプル収集器の前記開口近位端で開裂弁として機能する、デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器が少なくとも2つの長さセグメントに分割され、前記毛細管サンプル収集器の第1の長さセグメントが親水性の内壁を含み、前記毛細管サンプル収集器の第2の長さのセグメントは疎水性の内壁を含み、前記開口近位端の容積は、前記毛細管サンプル収集器の前記第1の長さセグメントの容積よりも小さく、それにより、前記デバイスは、サンプルが前記サンプル・パッドに到達する前に前記サンプルを希釈しないように構成される、デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスが前記検査ストリップ上に分注されるサンプル流体の一部分が希釈されないように構成される、デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスであって、前記部分が50%未満である、デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器は前記ケーシングの第1の部分とは異なる材料で作られる、デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器はガラス製である、デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、前記毛細管サンプル収集器はポリマー製である、デバイス。
【請求項15】
請求項12に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器の開口部によって画定される平面は、前記毛細管サンプル収集器の軸に対して垂直である、デバイス。
【請求項16】
請求項12に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器開口部によって画定される平面は、前記毛細管サンプル収集器の軸に対して90°未満の角度で配向される、デバイス。
【請求項17】
請求項1に記載のデバイスであって、前記ケーシングの第1の部分は溝を含み、さらに該溝の中に前記毛細管サンプル収集器が配置される、デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル収集器の開口近位端と前記溝の端との間に間隙が配置され、該間隙には一定の長さがあり、さらに前記間隙の長さは、前記毛細管サンプル収集器の外径よりも小さい、デバイス。
【請求項19】
請求項17に記載のデバイスであって、前記溝の端にあるケーシング壁は、前記検査ストリップ・サンプル・パッドと一定の角度を形成し、さらに該角度は90度未満である、デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のデバイスであって、前記角度が60°未満である、デバイス。
【請求項21】
請求項1に記載のデバイスであって、前記ケーシングの第1の部分と前記ケーシングの第2の部分との間に配置されたガスケットをさらに含み、前記毛細管サンプル収集器が前記ガスケットを介して延在する、デバイス。
【請求項22】
請求項1に記載のデバイスであって、前記デバイスは、0.5マイクロリットルと100マイクロリットルとの間の容積を有する流体サンプルを収集するように構成される、デバイス。
【請求項23】
請求項1に記載のデバイスであって、前記検査ストリップが、前記検査ストリップは、前記サンプル・パッドに隣接して配置されたコンジュゲート・パッドをさらに備え、前記サンプル・パッドの近位端は、前記サンプル・パッドが屈曲角度を有するように前記コンジュゲート・パッドの遠位端の上に配置され、さらに屈曲角度は30°未満である、デバイス。
【請求項24】
請求項1に記載のデバイスであって、前記毛細管サンプル管に収集された液体は、デバイスの外側から視認可能な、デバイス。
【請求項25】
請求項1に記載のデバイスであって、前記検査ストリップの診断ラインは、デバイスの外側から視認可能な、デバイス。
【請求項26】
請求項1に記載のデバイスであって、前記ケーシングの第1の部分及び前記ケーシングの第2の部分は、互いに接合されて円筒形のケーシングを形成する、デバイス。
【請求項27】
請求項26に記載のデバイスであって、前記円筒形のケーシングは、デバイスが液体試薬を収容する管に挿入されたときに気密シールを形成するように成形される、デバイス。
【請求項28】
方法であって、
遠位端及び近位端を有する毛細管サンプル収集器であり、該近位端が分注開口部を有する該毛細管サンプル収集器を提供すること、
前記毛細管サンプル収集器の遠位端で流体サンプルを収集することであり、前記毛細管サンプル収集器は親水性部分を含み、かつ前記毛細管サンプル収集器は、前記流体サンプルの量を制限するように構成されるもので、前記毛細管サンプル収集器の遠位端で前記流体サンプルを収集すること、
前記試薬流体が前記流体サンプルを分注開口部に向かって送達されるように、前記試薬流体を送り込むこと、
前記流体サンプル及び前記試薬流体の少なくとも一部を、前記分注開口部を介して検査ストリップ・サンプル・パッド上に分配すること、を含み、
コンジュゲート・パッドに向かう方向の前記検査ストリップ・サンプル・パッド内のサンプル流体の流速は、前記コンジュゲート・パッドから離れる方向の前記検査ストリップ・サンプル・パッド内の前記サンプル流体の流速よりも大きい、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法に記載の方法であって、
前記毛細管サンプル収集器は、前記近位端と前記遠位端との間に開裂弁を含み、該開裂弁は、前記流体サンプルの量を制限するように構成される、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、
前記毛細管サンプル収集器が、前記親水性部分と前記近位端との間に配置された疎水性部分をさらに含み、前記親水性部分のサイズが前記流体サンプルの量を制限するように構成される、方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法であって、
前記試薬流体による前記流体サンプルの希釈が10%未満である、方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法であって、
前記流体サンプルが10°未満の傾斜角で前記サンプル・パッド上に分注される、方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法であって。
前記検査ストリップに沿う前記流体サンプルの流速は、0.1mm/sから1mm/sの範囲である、請求項28に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年7月20日に出願され、かつ「ラテラルフロー・ベースの生体サンプル収集と診断のためのデバイス及びその使用方法(DEVICES FOR LATERAL FLOW-BASED BIOLOGICAL SAMPLE COLLECTION AND DIAGNOSIS AND METHODS OF USE THEREOF)」と題された共同所有、同時係属の米国特許仮出願第63/053、819号の優先権を主張し、その内容を全体として本明細書の一部を構成するものとして参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
例示的な実施形態は、生体サンプル収集のためのデバイスに関する。より具体的には、例示的な実施形態はラテラルフロー(lateral flow)を使用する生体サンプルの収集と診断のためのデバイスに関し、かつ関連する収集及び試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
検査ストリップは、該検査ストリップに存在する検出分子との相互作用に基づいて、生体サンプル内のバイオマーカーの存在について、生体サンプルを試験するために使用される。このような試験の感度は、検出分子が配置されている検査ストリップの部分に到達する検査サンプルの量と濃度を増加させることによって改善され得る。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、デバイスはケーシングの第1部分、ケーシングの第2部分、サンプル・パッドを有する検査ストリップ、及び毛細管サンプル収集器を含み、該毛細管サンプル収集器は、(a)毛細管現象によって流体サンプルを収集するように構成された開口遠位端と、(b)該遠位端から流体サンプルを分配するように構成された開口近位端と、を有し、該デバイスは、ケーシングの第1部分とケーシングの第2部分とが接合されるように組み立てられ、ケーシングの第1部分の遠位端とケーシングの第2部分の遠位端とが、流体が漏れ出ないように共に密封され、検査ストリップのサンプル・パッドは、毛細管の分注端の近傍に配置され、毛細管サンプル収集器の分注端は、分注された流体サンプルが検査ストリップのサンプル・パッド上に分注されるように配置され、ここで毛細管サンプル収集器の分注端と検査ストリップのサンプル・パッドとの間の分注角度は10度未満である。
【0005】
一実施形態では、毛細管サンプル収集器は、少なくとも2つの長さのセグメントに分割される。一実施形態では、毛細管サンプル収集器の第1の長さのセグメントは、親水性の内壁を含み、毛細管サンプル収集器の第2の長さのセグメントは、疎水性の内壁を含む。一実施形態では、毛細管サンプル収集器の第1の長さのセグメントは、毛細管力による流体サンプルの取り込みを可能にするように遠位に配置され、毛細管サンプル収集器の第2の長さのセグメントは、毛細管サンプル収集器によって収集される流体の量を制限するように近位に配置される。一実施形態では、毛細管サンプル収集器の第1の長さのセグメントの長さは、所定の容積の流体の収集を可能にするように設定される。一実施形態では、所定の容積は100マイクロリットル未満である。一実施形態では、毛細管サンプルの収集器の第1の長さのセグメントは、親水性の内壁を含み、さらに毛細管サンプル収集器の第2の長さのセグメントは、親水性の内壁を含み、さらに毛細管サンプル収集器は、第1の長さのセグメントと第2の長さのセグメントとの間に配置された空隙をさらに含む。
【0006】
一実施形態では、毛細管サンプル収集器は親水性の内壁を有し、毛細管サンプル収集器は開口近位端で90°の角度を形成し、デバイスは、毛細管サンプル収集器の開口近位端と検査ストリップのサンプル・パッドとの間に空隙を含み、さらに毛細管サンプル収集器の開口近位端と空隙とが協働して、毛細管サンプル収集器の開口近位端で開裂弁として機能する。
【0007】
一実施形態(embodiment)では、毛細管サンプル収集器は少なくとも2つの長さのセグメントに分割され、毛細管サンプル収集器の第1の長さのセグメントは親水性の内壁を含み、毛細管サンプル収集器の第2の長さのセグメントは疎水性の内壁を含み、開口近位端の容積は、毛細管サンプル収集器の第1の長さセグメントの容積よりも小さく、それにより、デバイスは、サンプルがサンプル・パッドに到達する前にサンプルを希釈しないように構成される。
【0008】
一実施形態では、デバイスは、検査ストリップ上に分注されるサンプル流体の一部が希釈されないように構成される。一実施形態では、この部分は50%未満である。
【0009】
一実施形態では、毛細管サンプル収集器は、ケーシングの第1部分とは異なる材料で作製される。一実施形態では、毛細管サンプル収集器はガラス製である。一実施形態では、毛細管サンプル収集器はポリマー製である。一実施形態では、毛細管サンプル収集器の開口部によって画定される平面は、毛細管サンプル収集器の軸に対して垂直である。一実施形態では、毛細管サンプル収集器の開口部によって画定される平面は、毛細管サンプル収集器の軸に対して90°未満の角度で配向される。
【0010】
一実施形態では、ケーシングの第1部分は溝を含み、該溝の中に毛細管サンプル収集器が配置される。一実施形態では、毛細管サンプル収集器の開口近位端と溝の端との間に間隙が配置され、間隙には一定の長さがあり、ここで間隙の長さは、毛細管サンプル収集器の外径よりも小さく、一実施形態では、溝の端にあるケーシング壁は、検査ストリップ・サンプル・パッドと角度を形成し、さらに角度は90°未満である。一実施形態では、角度は60°未満である。
【0011】
一実施形態では、デバイスは、ケーシングの第1部分とケーシングの第2部分との間に配置されたガスケットも含み、毛細管サンプル収集器は、ガスケットを介して延長される。
【0012】
一実施形態では、デバイスは、0.5マイクロリットルから100マイクロリットルの範囲である容積を有する流体サンプルを収集するように構成される。
【0013】
一実施形態では、検査ストリップは、サンプル・パッドに隣接して配置されたコンジュゲート・パッドも含み、サンプル・パッドの近位端は、サンプル・パッドが屈曲角度を有するようにコンジュゲート・パッドの遠位端の上に配置され、さらに、屈曲角度は30°未満である。
【0014】
一実施形態では、毛細管状のサンプル管に収集された液体は、デバイスの外側から目視可能である。一実施形態では、検査ストリップの診断ラインは、デバイスの外側から目視可能である。
【0015】
一実施形態では、ケーシングの第1部分及びケーシングの第2部分は、互いに接合されて円筒形のケーシングを形成する。一実施形態では、円筒形のケーシングは、デバイスが液体試薬を収容する管に挿入されたときに気密シールを形成するように成形される。
【0016】
一実施形態では、方法は、遠位端及び近位端を有する毛細管サンプル収集器であり、該近位端が分注開口部を有する毛細管サンプル収集器を提供すること、毛細管サンプル収集器が親水性部分を含み、かつ毛細管サンプル収集器が流体サンプルの量を制限するように構成されるものであって、毛細管サンプル収集器の遠位端で流体サンプルを収集すること、試薬流体によって流体サンプルを分注開口部に向かって送達するように、毛細管サンプル収集器の遠位端に試薬流体を送り込むこと、並びに、流体サンプル及び試薬流体の少なくとも一部を、分注開口部を介して検査ストリップ・サンプル・パッド上に分配すること、を含み、コンジュゲート・パッドに向かう方向の検査ストリップ・サンプル・パッド内のサンプル流体の流速は、コンジュゲート・パッドから離れる方向の検査ストリップ・サンプル・パッド内のサンプル流体の流速よりも大きい。
【0017】
一実施形態では、毛細管サンプル収集器は、近位端と遠位端との間に開裂弁を含み、開裂弁は、流体サンプルの量を制限するように構成される。
【0018】
一実施形態では、毛細管サンプル収集器は、親水性部分と近位端との間に配置された疎水性部分をさらに含み、親水性部分のサイズは、流体サンプルの量を制限するように構成される。
【0019】
一実施形態では、試薬流体による流体サンプルの希釈が10%未満である。
【0020】
一実施形態では、流体サンプルは、10°未満の傾斜角でサンプル・パッド上に分注される。
【0021】
一実施形態では、検査ストリップに沿う流体サンプルの流速は、0.1mm/sから1mm/sの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1A~1Dは、例示的な毛細管サンプル収集器の動作を概略的に示す。
【0023】
図2図2A~2Eは、毛細管サンプル収集器の例示的な一実施形態を示す。
【0024】
図3図3は、毛細管サンプル収集器の例示的な一実施形態の縦断面及び上面図を示す。
【0025】
図4図4A~4Eは、毛細管サンプル収集器の例示的な一実施形態を示す。
【0026】
図5図5A~5Dは、毛細管サンプル収集器の例示的な一実施形態の、ケーシング部品の実施形態を示す。
【0027】
図6図6A及び6Bは、毛細管サンプル収集器のケーシングの一実施形態の断面図を示す。
【0028】
図7図7A~7Dは、試薬管及びその使用の例示的な実施形態を示す。
【0029】
図8図8A及び8Bは、多孔質要素に吸収された試薬を有する試薬管の一実施形態と関連して使用される毛細管サンプル収集器の一実施形態の動作を示す。
【0030】
図9図9A~9Fは、毛細管サンプル収集器及び試薬管の実施形態を示す。
【0031】
図10図10A~10Dは、例示的な毛細管サンプル収集器及び試薬管の動作を示す。
【0032】
図11図11は、例示的なサンプリング方法のフローチャートを示す。
【0033】
図12図12は、例示的なサンプリング方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付の図面を参照して、本発明をさらに説明する。いくつかの図を通して同様の構造は、同様の数字で参照される。示された図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに一般に本発明の原理を説明することに重点が置かれている。さらに、いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張されている場合がある。
【0035】
図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を含み、その様々な目的及び特徴を示す。さらに、図は必ずしも縮尺どおりではなく、特定の構成要素の詳細を示すために一部の機能が誇張されている場合がある。また、図に示されている測定値、仕様などは、例示を目的としたものであり、限定するものとして解釈されるものではない。従って、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な根拠としてのみ解釈されるべきである。
【0036】
開示されたこれらの利点及び改良のうち、本発明の他の目的及び利点は、添付の図面と併せて解釈される下述の説明から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して与えられる実施例のそれぞれは、例示を意図しており、限定を意図するものではない。
【0037】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下に示す用語は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、本明細書に明示的に関連する意味を取る。本明細書で使用される「一実施形態において(in one embodiment)」及び「いくつかの実施形態において(in some embodiments」という語句は、同じ実施形態(複数可)を指す場合もあるが、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態において(in another embodiment)」及び「いくつかの他の実施形態において(in some other embodiments)」という語句は、異なる実施形態を指す場合もあるが、必ずしも指すとは限らない。したがって、以下に説明するように、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明のさまざまな実施形態を容易に組み合わせることができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「に基づく(based on」は排他的ではなく、文脈が明確に指示しない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを許容する。また、本明細書中、「a」、「an」、及び「the」に相当する語の意味は、複数の参照を含む。「in」に相当する語の意味は、「in」及び「on」を含む。「左(left)」、「右(right)」、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「上(above)」、「下(below)」、及びその他の空間的又は方向的な用語は、本発明がさまざまな代替の向きを想定できるため、限定と見なされるべきではない。本明細書で使用されるすべての数値は、用語「約(about)」によってすべての場合において変更されると理解されるべきである。「約(about)」という用語は、記載された数値のプラス又はマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0039】
別段の指示がない限り、本明細書に開示されるすべての範囲又は比率は、そこに包含されるあらゆる部分範囲又は部分比率を包含すると理解されるべきである。例えば、「1から10(1 to 10)」の範囲又は比率は、最小値1と最大値10との間(及びそれらの値を含む)のすべての部分範囲又は部分比率を含む見なされる。すなわち、1以上の最小値で始まり、例えば、限定されるものではないが、1~6.1、3.5~7.8、及び5.5~10など、10以下の最大値で終わるすべての部分範囲又は部分比率である。
【0040】
例示的な実施形態は、試薬を貯蔵する試薬管と共に、単一のケーシングに一体化された毛細管サンプル収集器及び検査ストリップを含む試験システムに関する。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、規定量の生体サンプルを収集するように構成される。いくつかの実施形態において、ケーシングは、試薬管に挿入されると生体サンプルがほぼ直線的に移動するように、試薬が生体サンプルを毛細管サンプル収集器から押し出すように構成される。
【0041】
いくつかの実施形態において、所定量の体液を収集するために、例示的なデバイスは毛細管収集器を使用する。図1A~1Dは、例示的な毛細管サンプル収集器の動作を概略的に示す。いくつかの実施形態において、この毛細管サンプル収集器は、管形状であり、その内壁が親水性物質でコーティングされていることで、管の長さ方向に沿った毛細管流動を容易にする。いくつかの実施形態において、これは、毛細管サンプル収集器用のガラスなどの親水性構築材料から始めることによって、達成される。いくつかの実施形態において、これは、ポリスチレンなどの疎水性構築材料から始めて、洗剤などの界面活性化合物の層で表面をコーティングすることによって達成される。
【0042】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器によって所定の生体サンプル量を収集するためには、生体液が特定の所定位置点を超えて毛細管サンプル収集器管内にさらに流入するのを防ぐ必要がある。いくつかの実施形態において、これを達成するために、さらなる毛細管流動が防止されるべき位置点を超えて、毛細管サンプル収集器の内壁に疎水性コーティングが施される。いくつかの実施形態において、そのような疎水性コーティングは、有機溶媒中の疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレン)の溶液といった疎水性材料の溶液にコーティングされるべき部分を浸漬することによって、親水性表面に塗布される、又はアルキルトリクロロシランなどの疎水性表面レンダリング試薬を使用することによって形成される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、サンプル収集用の親水性部分と毛細管流動を遮断するための疎水性部分の2つの連続した部分で構成されており、それらの端部は互いに流体連通している。
【0043】
いくつかの実施形態において、このような親水性物質及び疎水性物質による毛細管サンプル収集器壁の特定のセクションの差別的なコーティングは、生体液サンプル(血液など)が毛細管サンプル収集器を通って上昇する速度と距離を制御することを可能にすることで、毛細管サンプル収集器内の所定量の体液サンプルの捕捉をさらに可能にして、その容量をそのような所定の体液量に制限する。
【0044】
図2Aは、毛細管サンプル収集器の例示的な実施形態を示す。図2Aに示される実施形態では、疎水性壁材料で作製された管状形態の毛細管サンプル収集器は、親水性材料によって内部がさらに部分的にコーティングされているか、又はそのような親水性構築材料である第1内面から構成されている。いくつかの実施形態において、生体液がサンプル収集器の親水性コーティングされた側に導入されると、生体液は毛細管力によって、管の壁との接触角が<90°であるサンプルコレクターに沿って流れ(A)、疎水性壁セクションである第2内面に到達し、流体と疎水性のサンプルコレクター壁との間の接触角が90°以上に増加し、それ以上の毛細管流動が妨げられる(B)。
【0045】
いくつかの実施形態において、毛細管内での制限を使用して、毛細管内の流体の流れを阻止する。いくつかの実施形態において、そのような制限を超えた毛細管の開放は、体液との接触角が90°を超える可能性があり、そのような位置点を超える毛細管内流動が防止される(毛細管開裂弁とも知られている)。いくつかの実施形態において、毛細管分注端は鈍い縁として構成され、その結果、毛細管壁とそのような分配端の小面との間に形成される角度は90°となる。上述のように、いくつかの実施形態において、図2A~Cに見られるように、毛細管壁のそのような不連続は、毛細管破裂弁として働き、さらなる毛細管の上昇を防止し得る。さらに、いくつかの実施形態において、2本の毛細管が、それらの端部間に間隙を有して接合され、毛細管内流動を停止させる壁の不連続性を作り出す。これらの例示的な実施形態を提供することで、毛細管弁の目的を達成する異なる毛細管サンプル収集器の設計を示す。しかし、当業者には自明なように、異なる毛細管媒体中の自発的な流体の流れを停止するための他の毛細管の設計及び技術が当該技術分野で公知であり、本発明はそのような設計及び技術のすべてを利用することが可能である。
【0046】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の内壁の親水性表面は、少なくとも1つの遮断材料でコーティングされ、非特異的な標的分析物が親水性の壁に結合するのを防ぐ。そのような遮断材料は、当技術分野で公知であり、例えば、数ある成分の中で、タンパク質(ウシ血清アルブミンなど)と界面活性剤(ポリソルベート20など)が挙げられる。いくつかの実施形態において、親水性表面は抗凝固剤(例えば、ヘパリン、EDTA、クエン酸など)によって覆われて、毛細管サンプル収集器内での血液凝固を防ぐ。
【0047】
いくつかの実施形態において、サンプル収集プロセスは、毛細管サンプル収集器を流体サンプルと接触させること、並びに、毛細管力が流体を毛細管に押し上げている間、それをこの位置に保持することを含む。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の傾斜角は、10°未満、又は30°未満、又は45°未満、又は90°未満、又は135°未満、又は180°未満であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、一旦毛細管のサンプルの収集器に取り込まれると、より高いエネルギー及び/又は領域を有する表面が毛細管のサンプルの収集器のサンプル受け取り端と接触しない限り、生体サンプル流体は毛細管から逆流することはない。いくつかの実施形態において、これにより、毛細管サンプル収集器からの逆流による試薬流体へのサンプル損失の恐れがなく、毛細管サンプルの捕捉端を試薬管内の試薬と接触させることが可能となる。さらに、いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器に保持されたサンプルと試薬管内の液体試薬との間の接触領域が比較的小さいため、該試薬へのサンプルの共拡散及びその逆によるサンプルの希釈が最小限に抑えられる。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器内のサンプルと試薬管内の試薬との間の流体接触領域を最小限に抑えるこの機能によって、次のセクションでさらに詳しく説明するように、単純なデバイス操作と分析用の検査ストリップ・サンプル・パッドへの非希釈サンプル転送の両機能が確実に作動する。
【0049】
いくつかの実施形態において、図2B及び2Cを参照して本明細書中に説明されるように、ラテラルフロー迅速診断検査ストリップは、以下の順序で積層された構成要素を含む。
【0050】
1.流体サンプル収集用のサンプル・パッド(A)。いくつかの実施形態において、サンプル・パッドは、セルロースベースの材料、ガラス繊維、又はその他の不活性材料で構成される。いくつかの実施形態において、サンプル・パッドは、サンプルを均等に分配し、コンジュゲート・パッドに送達させるなどの、複数の役割を有する。いくつかの実施形態において、サンプル・パッドは、緩衝塩、タンパク質、界面活性剤、及びその他の材料を含浸することで、サンプルの流量を制御し、かつ検出システムとの相互作用に適したものにする。いくつかの実施形態において、サンプル・パッドは多孔質材料を含み、サンプル・パッドの細孔はフィルタとして機能して、余分な又は干渉する材料及び粒子、例えば、赤血球を除去する。
【0051】
2.コンジュゲート・パッド。いくつかの実施形態において、コンジュゲート・パッドは、標識された検出分子が吸着されたメンブレンを含む。いくつかの実施形態において、コンジュゲート・パッドは、標識粒子の表面に抱合された検出分子(抗体など)と標的分析物(抗原など)との間の相互作用を最適化するために必要なすべての試薬を含む。いくつかの実施形態において、コンジュゲート・パッドの主な役割は、標識された検出分子を送達することと、検査が実行されるまで該検出分子を機能的に安定に保つことである。いくつかの実施形態において、このことは、共役緩衝液の選択によって実現される。いくつかの実施形態において、共役緩衝液は、標識された検出分子の防腐剤及び再可溶化剤として機能する炭水化物(スクロースなど)を含む。いくつかの実施形態において、粒子結合検出分子を糖の存在下で乾燥させると、複数の糖分子が周囲に層を形成し、生物学的構造を安定化させる。いくつかの実施形態において、サンプルがコンジュゲート・パッドに入ると、これらの糖分子は急速に溶解し、標的分析物付きの検出分子複合体を流体中に移送する。
【0052】
3.ラテラルフロー・メンブレン。いくつかの実施形態において、ラテラルフロー・メンブレンはニトロセルロース製である。いくつかの実施形態において、ラテラルフロー・メンブレンは、ラテラルフロー・メンブレンに沿って特定の位置(T1)に捕捉分子がプリントされ、かつ(T2)に対照捕捉分子がプリントされる。
【0053】
4.吸収パッド又は流体ウィック(fluid wick)。いくつかの実施形態において、吸収パッド又は流体ウィックは、セルロースなどの高吸収性材料から構成される。
【0054】
いくつかの実施形態において、これらのメンブレンは連続的に接合され、毛細管力によって液体がサンプル・パッドから吸収パッドに移動可能である。いくつかの実施形態において、診断されるべき標的分析物を含む流体サンプルがサンプル・パッド上にスポットされ、続いて、分析物が検出分子(複数可)を含むコンジュゲート・パッドを介して毛細管力によって移動できるようにするサンプル・パッドに対して流体試薬が曝露(fluid reagent challenge)され、その結果、標識された検出分子によってサンプル中の標的分析物が結合する。いくつかの実施形態において、得られた分析対象物-検出器分子複合体は、毛細管流動を介してラテラルフロー・メンブレンに沿って移動し、分析対象物-検出器分子複合体が分析対象物特異的捕捉ゾーンに結合する。いくつかの実施形態において、捕捉ゾーンは、それぞれが異なる分析物に特異的な複数の分析物固有の検査ライン(Ti、例えば、T1、T2など)を含み得る。いくつかの実施形態において、ラテラルフロー・メンブレンのコントロール・ラインでの標識コントロール分子の結合を用いて、試験の完全性が示される。いくつかの実施形態において、余分な液体が吸着性液体ウィックに到達し、この全体的な一方向の流体の流れを駆動する。
【0055】
いくつかの実施形態において、検査領域(T1、例えば、位置T1、位置T2など)に可視着色線(visible colored line)が形成されることは、分析物(i)の検査結果が陽性であることを示す。いくつかの実施形態において、検査領域に着色線がない場合は、検査結果が陰性であることを示す。いくつかの実施形態において、メンブレンの対照ゾーンでは、固定化された捕捉分子が、検査片の組成に関係なく、標識された対照分子に結合する。いくつかの実施形態において、結果として可視化された着色バンドがT2で生じることで、検査の完全性が確認される。
【0056】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の分注端は、ラテラルフロー検査ストリップのサンプル・パッドと流体接触し、かつ略同一平面上に配置される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器とサンプル・パッドとがこのように一平面上に配置されることで、サンプル・パッドに入る流体サンプルがコンジュゲート・パッドへと導かれる。いくつかの実施形態において、サンプルに続く試薬曝露により、サンプルをラテラルフロー検査ストリップのメンブレンに向かってさらに伝播させ、サンプル・パッドによるそれの「逆」収着(“backward” sorption)を減少させる(図2D及び2Eを参照)。いくつかの実施形態において、このような「後方」収着の減少により、検査ストリップでのサンプルの損失と分析物の希釈とが最小限に抑えらる。
【0057】
いくつかの実施形態において、略同一平面内の配置は、図2Cに示すように、ラテラルフロー検査ストリップのサンプル・パッドに対する毛細管サンプル収集器の分注端を少し傾斜させることが含まれる。いくつかの実施形態において、傾斜角度は1°未満、3°未満、5°未満、10°未満、30°未満、又は45°未満である。いくつかの実施形態において、サンプル・パッドは重なり合って検査ストリップのコンジュゲート・パッドを部分的に覆うため、サンプル・パッドの表面はコンジュゲート・パッドと重なるときに上向きに湾曲し(図2Eを参照)、毛細管サンプル収集器の分注端と組み合わされ得る上向きの傾斜角をもたらし、両者の間に上向きの傾斜角が得られる。いくつかの実施形態において、そのような傾斜角により、検査ストリップに沿うサンプル及び試薬の流れの方向性が改善される。
【0058】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器から検査ストリップへの流体の流れの速度は、パラメータを制御することによって制御される。いくつかの実施形態において、制御パラメータとして、試薬管の背圧、毛細管の直径、毛細管壁の表面エネルギー、又はこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、試薬管の背圧は、外気圧の違い、又はデバイス・ケーシングを試薬管に導入する際に圧縮される空気の量によって変化し得るので、毛細管サンプル収集器は、ラテラルフロー律速要素(lateral flow limiting rate element)として機能するように構成される。いくつかの実施形態においていくつかの実施形態において、ラテラルフロー律速要素として機能する毛細管サンプル収集器の構成は、毛細管の直径を小さくすること、又は毛細管壁の表面エネルギーを小さくすること(例えば、より疎水性の高いコーティングを採用すること)によって達成され、毛細管末端からの流体の流れを、最大毛細管流動より低い、等しい、又は大きいように設定することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、流体の流速を低下させるために、毛細管サンプル収集器の近位端に、毛細管サンプル収集器の内径よりも小さい内径を有する中空針が接続される。いくつかの実施形態において、中空針は、毛細管サンプル収集器の近位端に接続された第1の端(例えば、受取端)と、検査ストリップのサンプル・パッドに接触するように配置される反対側の第2の端とを有する。いくつかの実施形態において、試薬が毛細管サンプル収集器の遠位端に送り入れられると、流体サンプルが中空針を通って検査ストリップのサンプル・パッドに送り出される。
【0060】
ラテラルフロー・メンブレンに沿ったラテラルフロー速度を減少させると、ラテラルフロー・メンブレン上の捕捉部位(複数可)での捕捉分子と検出器-分析物複合体との相互作用時間が増加するため、検査感度が向上することは当業者には既知であるだろう。例示的な実施形態は、メンブレンの多孔度を最適化してラテラルフロー・メンブレンに沿った流体流速を制御するだけでなく、毛細管サンプル収集器を通過してサンプル・パッドに入るサンプル及び試薬の流速を制御することによっても、メンブレンのラテラルフロー速度を制御することを可能にする。
【0061】
図2D及び図2Eは、「サンプル・パッド屈曲角度」を示す。いくつかの実施形態において、サンプル・パッド屈曲角度は、コンジュゲート・パッドの上にサンプル・パッドの近位側を重ねることによって生ずる。いくつかの実施形態において、サンプル・パッド屈曲角度は、(1)コンジュゲート・パッド遠位端上部のサンプル・パッドの中心にある平面と(2)検査ストリップ基部の平面とがなす角度として、定義される。
【0062】
いくつかの実施形態において、サンプル・パッド構成への横流毛細管の場合、サンプル流体は、サンプル・パッドの屈曲部分によって生じる重力流制限を克服できるように、コンジュゲート・パッドに向けられる。いくつかの実施形態において、サンプル・パッド内のサンプル流体のフローパターンは、コンジュゲート・パッドに向けられる。その結果、そのような実施形態では、サンプル流体のほとんどがコンジュゲート・パッドに到達する。いくつかの実施形態において、サンプル液の少なくとも35%がコンジュゲート・パッドに到達する。いくつかの実施形態において、サンプル液の少なくとも40%がコンジュゲート・パッドに到達する。いくつかの実施形態において、サンプル液の少なくとも45%がコンジュゲート・パッドに到達する。いくつかの実施形態において、サンプル液の少なくとも50%がコンジュゲート・パッドに到達する。
【0063】
いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、生体サンプルを採取し、それを診断用検査ストリップに移動させるための横流検査ストリップ用ケーシング・デバイスは、図3に示されるようなものである。図3は、毛細管サンプル収集器を有し、かつ診断検査ストリップが含まれるケーシング・デバイスの縦断面図及び上面図を示す。
【0064】
いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイスは、検査ストリップを収容し、流体サンプルを収集し、試薬流体を含む管でシールを形成し、加圧下で試薬流体によってサンプル流体を検査ストリップに送り込み、さらに、診断検査結果を可視表示するよう構成される。いくつかの実施形態においてケーシング・デバイスは2つの部分を含む。下部ケーシングとも呼ばれるケーシング部品#1には、診断用検査ストリップが収納されている。上部ケーシングとも呼ばれるケーシング部品#2には、検査ストリップの一部を目視できる部分を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイスの前方遠位端は、サンプル収集用の毛細管開口部を含む。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の近位サンプル分注端は、検査ストリップのサンプル・パッドに流体接続される。
【0066】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、試験ストリップのサンプル・パッドAの近傍に配置されるサンプル分注用開口部を含む。いくつかの実施形態において、上面図では、毛細管サンプル収集器がサンプル・パッドAの領域を覆っている。毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部は、サンプル・パッドAの前端の遠位端から距離L(例えば、0mmから10mm)離れたサンプル・パッドAの上に配置される。他の実施形態では、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部は、サンプル・パッドAの前端の遠位端から距離L((-)10から0mm)に配置される。そのような実施形態では、毛細管サンプル収集器の分注端に到達するサンプル流体は、ケーシング溝内の検査ストリップのサンプル・パッドに向かって残りの距離を流れる。いくつかの実施形態において、ケーシング部品の表面は疎水性であり、溝内を流れる流体に対して「疎水性閉じ込め(hydrophobic confinement)」を形成する。いくつかの実施形態において、疎水性閉じ込めにより、ケーシングの2つの部分の間の間隙を通る流体の流れが防止される。
【0067】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開孔部は、端部が略平滑(例えば、90°)である円筒形状の管であり、d1は矩形開口の小さい方の寸法であり、d2は矩形開口の大きい方の寸法である。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部は略楕円形であり、d1は楕円形開口部の小さい方の寸法であり、d2は楕円形開口部の大きい方の寸法である。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部とサンプル・パッドAとが重なる面積は、サンプル分注楕円形開口部の面積に等しい。
【0068】
いくつかの実施形態において、図4Aに示されるように、デバイスは、「デバイス分注開口部容積」を有する「デバイス分注開口部」を含む。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、デバイスの分注開口部を介して検査ストリップ・サンプル・パッド上に流体を分注する。いくつかの実施形態において、デバイスが組み立てられると、デバイス分配開口部容積は、毛細管分注開口部の端部の平面、検査ストリップ・サンプル・パッドの平面、及びケーシング部品で囲まれた部分がデバイス分配開口部の容積となる。
【0069】
いくつかの実施形態において、デバイス分配開口部の容積は、毛細管サンプル収集器の親水性長手方向部分(hydrophilic length segment)の容積よりも小さい。いくつかの実施形態において、デバイス分注開口部の容積は、試薬液がデバイス吐出口の容積に達する前に親水性長セグメント内のサンプル流体の一部が検査ストリップ・サンプル・パッドに吸収されるように、毛細管サンプル収集器の親水性長手方向セグメント内の容積より小さい。
【0070】
いくつかの実施形態において毛細管分注開口部は、分注される流体が検査ストリップ・サンプル・パッドによって直接吸収されるように、試験片サンプル・パッドに隣接されている。
【0071】
図4Bは、分注開口部並びに親水性セグメント及び疎水性セグメントの容積と、親水性容積と、疎水性容積と、毛細管分注開口部の端部にある平面と、デバイス分注開口部(この開口部を通して流体が検査ストリップ・サンプル・パッド上に分注される)と、デバイス分注開口部の容積(毛細管分注開口部の端部の平面、検査ストリップ・サンプル・パッドの平面、及びケーシング部品で囲まれた部分で囲まれた部分である)と、検査ストリップ・サンプル・パッドの平面と、を示す。
【0072】
いくつかの実施形態において、診断用検査ストリップの一部を視認することができるセクションは、透明な材料で作製されている。いくつかの実施形態において、診断用検査ストリップの一部を視認可能にするセクションは、開口部である。いくつかの実施形態において、診断検査ストリップの一部を視認可能にする部分は、気体(例えば、空気)の流れを可能にするベントを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、検査ストリップの視認可能な部分は、ラテラルフロー・メンブレンCの一部を含む。いくつかの実施形態において、検査ストリップの視認可能な部分は、着色された線Tiを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、上部ケーシング部品は、毛細管サンプル収集器を含む。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、上部ケーシング部品と一体化されている。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、上部ケーシング部品に取り付けられている。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器と上部ケーシング部品は、異なる材料から構成される。
【0075】
様々な実施形態において、毛細管サンプル収集器は、開放管状、多孔質、又は毛細管力による液体の流れを可能にする任意の形状を含む、種々の幾何学的形状及び断面を有してもよい。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、毛細管力によって、全血、血清、血漿、又は唾液を含む体液のサンプルを収集するべく、使用され得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の寸法、長さ、及び直径は、収集される体液の量に依存し、さらに、体液サンプル中の分析物の濃度とその分析物に対する検査感度との両方に依存する。例えば、25μLの全血(約1滴)を採取するには、長さが32mm超(である直径1mmの円管(round tube)を使用する。
【0077】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、ケーシング・デバイスの少なくとも2つの部分を統合することによって形成される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、ケーシングの上部部品と下部部品とを一体化することによって形成される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、ケーシングの上部の部品及び下部の部品と、シール、ガスケット、接着剤、及びデバイス内に統合された第3の部品を含む追加の部品とを統合することによって、形成される。
【0078】
いくつかの実施形態において、ケーシング先端と呼ばれるデバイスの前方遠位端は、ケーシングの最も遠位の前方端から検査ストリップの前方端までの長さに及ぶ。いくつかの実施形態において、デバイスの前端は、ケーシングの第1部分の遠位端とケーシングの第2部分の遠位端とを含む。いくつかの実施形態において、デバイスの前方遠位端は、試薬試験管との接続時にシールが形成できるように形作られている。いくつかの実施形態において、デバイス前方端のデザイン及び材料の選択は、デバイス前方端がフォイルで覆われた管を貫通できるように設計される。
【0079】
いくつかの実施形態において、ケーシング先端の一部は、毛細管サンプル収集器内の流体が視認可能なように透明である。いくつかの実施形態において、ケーシング先端の一部は透明であり、かつ定規状のハッチマークを含む(図10B参照)。いくつかの実施形態において、ケーシング先端の一部は透明であり、毛細管サンプル収集器内に流体を正確な容量で収集することを確実する。いくつかの実施形態において、ケーシング先端の一部が透明であり、毛細管サンプル収集器内の液体の容量を推定することを可能にする。
【0080】
再び図4Aを参照すると、診断用検査ストリップを有する、ケーシング・デバイス部品の縦断面図及び上面図を示す。いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイス部品には、アライメント・ピンとソケットを含む。いくつかの実施形態において、ケーシング部品の1つは、少なくとも1つのピンを含み、別の部品は、ピンと嵌合するように構成された少なくとも1つのソケットを含む。いくつかの実施形態において、ケーシング部品の1つは複数のピンを含み、第2の部品は第1の部品のピン群と嵌合するように構成された複数のソケットを含む。いくつかの実施形態において、ピンは、ソケットに圧入される成形スタッドとして機能し、メカニカルファスナーの機能を提供する。いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイス部品は、ノックピンなどのピンが嵌め込まれて圧入されるソケットを含む。いくつかの実施形態において、ピンインスロット・アセンブリは、熱源を含む。いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイス部品は超音波溶接によって接合される。
【0081】
いくつかの実施形態において、ケーシング部品は、スナップフィット・アセンブリを提供するスナップ・ジョイントを含む。いくつかの実施形態において、一方のケーシング部品はスロットを含み、他方のケーシング部品は対応するウェッジを含み、これにより、ケーシングの第2部分のウェッジをケーシングの第1部分のスロットに滑り込ませることによって部品を接合することができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、ケーシング部品は接着剤で組み立てられる。いくつかの実施形態において、ケーシング部品は、ケーシング部品間の接触領域のすべて又は実質的にすべてに塗布される接着剤で組み立てられる。いくつかの実施形態において、ケーシング部品は、ケーシング部品間の接触領域の一部に塗布される接着剤で組み立てられる。いくつかの実施形態において、接着剤は、ケーシング部品が互いに対して組み立てられた関係で保持されるように、構成される。いくつかの実施形態において、接着剤は、ケーシング部品間に流体密封シールを設けるように構成される。いくつかの実施形態において、適合シール要素(例えば、ガスケット)は、ケーシング部品間の接触領域の少なくとも一部に沿って配置され、接着剤を利用してケーシング部品間に流体密封シールを設ける。
【0083】
いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイス部品の1つは、ネジ山を含む。いくつかの実施形態において、ケーシング部品の1つが、ネジ部品が挿入され得るソケットを含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイス部品の組立は、複数の組立方法を含む。いくつかの実施形態において、ケーシング・デバイス部品の組み立ては、複数の組み立て方法、例えば、スロット内のアライメント・ピン及び接着剤、スロットのアライメント・ピン及び熱源、スライド・スロット及びウェッジ並びに接着剤、スライド・スロット及びウェッジ並びにスナップ・ジョイントを含む。
【0085】
図4Cは、診断検査ストリップと外部毛細管サンプル収集器を備えたケーシング・デバイスの縦断面図を示す。いくつかの実施形態において、検査ストリップのケーシング・デバイスの毛細管サンプル収集器は、外部毛細管サンプル収集器である。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、ケーシング部品の一体化された部品ではない、少なくとも1つの構成要素を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、ガラス製の毛細管である。本実施例では、外部毛細管サンプル収集器は、高分子材料で作製された毛細管である。
【0087】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、均一な直径のものである。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は直線状の管(例えば、円筒形)である。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器の少なくとも1つのセクションが湾曲している。
【0088】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器の開口部によって画定される平面は、図4Cの挿入図3に見られるように、毛細管サンプル収集器の軸に対して角度αをなす。いくつかの実施形態において、αは30°超、又は40°超、又は45°超、又は60°超、又は75°超、又は80°超である。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器の開口部によって画定される平面は、毛細管サンプル収集器の軸に対して垂直であり、αは90°に等しい。
【0089】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部.を含む。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器のサンプル分注端は、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部である。
【0090】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器・サンプル分注開口部は、管の表面にあるスロットである。いくつかの実施形態において、図4Cの挿入図1に見られるように、外部毛細管サンプル収集器・サンプル分注開口部は、毛細管サンプル収集器・サンプル分注端に近接する管の表面にある囲まれたスロットである。いくつかの実施形態において、図4Cの挿入図2に見られるように、外部毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部は、管の表面にある開放端のスロットであり、スロットの開放端は、毛細管サンプル収集器の分注端で開口部に結合している。
【0091】
いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング部品の少なくとも1つは、外部毛細管サンプル収集器が位置決めされる溝を含む。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング部品のうちの2つが組み合わされて溝を形成し、その中に、検査ストリップのケーシング・デバイスの組み立て後に外部毛細管サンプル収集器が配置される。
【0092】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部が検査ストリップ・サンプル・パッドAに近接するように配置される。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部が検査ストリップ・サンプル・パッドAの上方にあるように配置される。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部が検査ストリップ・サンプル・パッドAの上方にあり、検査ストリップ・サンプル・パッドAに面するように配置される。
【0093】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部が検査ストリップ・サンプル・パッドAに接触するように配置される。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部の領域のすべてが検査ストリップ・サンプル・パッドAの上にあるように配置される。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部遠位端が検査ストリップの前方端から距離Lにあるように位置決めされる。いくつかの実施形態において、Lは、1.0mm未満、又は2.0mm未満、又は3.0mm未満、又は5.0mm未満、又は7.0mm未満、又は10.0mm未満、又は15.0mm未満である。
【0094】
いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、サンプル分注開口部が毛細管サンプル収集器のサンプル採取口と検査ストリップのサンプル・パッドAとの間に流体接続性を与えるように配置される。
【0095】
図4Dは、診断検査ストリップ及び外部毛細管サンプル収集器を有するケーシング・デバイス部品の長手方向断面を示す。いくつかの実施形態において、検査ストリップのケーシング・デバイスの毛細管サンプル収集器は、外部毛細管サンプル収集器である。いくつかの実施形態において、外部毛細管サンプル収集器は、ケーシング・デバイス部品の一体型部品ではない少なくとも1つの部品を含む。いくつかの実施形態において、第1ケーシング・デバイス(例えば、上側ケーシング半分)は、外部毛細管サンプル収集器が配置されるニッチ又は溝を含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、図4Dの挿入図1に示すように、例示的なデバイスは、ニッチの端と外部毛細管サンプル収集器の分注開口部の端との間に幅eの間隙を含む。いくつかの実施形態において、幅eは、外部毛細管サンプル収集器の直径の倍数Nである。いくつかの実施形態において、Nは0.5未満、又は0.75未満、又は1.0未満、又は1.5未満、又は2.0未満、又は2.5未満、又は3.0未満、又は4.0未満、又は5.0未満である。
【0097】
いくつかの実施形態において、図4Dの挿入図2に示すように、ニッチの深さはDeと定義され、ニッチの深さは、毛細管サンプル収集器の断面に沿って、ニッチの根元(niche root)からその上側口元(upper lip)まで測定される。いくつかの実施形態において、ニッチの深さDeは、外部毛細管サンプル収集器の直径の倍数Mである。いくつかの実施形態において、Mは0.1未満、又は0.25未満、又は0.5未満、又は0.75未満、又は1.0未満、又は1.5未満、又は2.0未満、又は3.0未満のいずれかである。一例では、図4Dの挿入図1に示すように、M=1であり、ニッチ深さDe1は外部毛細血管の直径に等しい。別の例では、図4Dの挿入図2に示すように、M=0.5であり、ニッチ深さDe2は、外部毛細管の直径の半分に等しい。
【0098】
いくつかの実施形態において、「ニッチ端部(niche end)」とも呼ばれるニッチの端部の壁は、角度を有している。いくつかの実施形態において、図4Dの挿入図2に示される角度e-αは、αは30°超、又は40°超、又は45°超、又は60°超、又は75°超、又は80°超である。いくつかの実施形態において、角度e-αは、約90゜である。
【0099】
いくつかの実施形態において、角度の付いた壁は、外部毛細管サンプル収集器の分注開口部から出るサンプル流体の流れをサンプル・パッドA上に配向する。いくつかの実施形態において、角度e-αの大きさは、外部毛細管サンプル収集器の分注開口部を出るサンプル流体の流れを、サンプル・パッドAに配向するように構成されるパラメータである。いくつかの実施形態において、角度e-αの大きさは、外部毛細管サンプル収集器の分注開口部を出る流体の流れの乱れを低減させるように構成されたパラメータである。いくつかの実施形態において、より低い角度e-αは、外部毛細管サンプル収集器の分注開口部を出る流体の乱流を低減させることができる。例えば、45゜の角度e-αは、90゜の角度e-αと比較して、外部毛細管サンプル収集器の分注開口部から出る流体の乱流を減少させることができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、「ニッチ端」とも呼ばれるニッチの端の壁は凹状であり、「ニッチ端カップ」とも呼ばれるカップ状の形状を形成する。いくつかの実施形態において、図4Dの挿入図3に示されるように、凹みの深さはpである。いくつかの実施形態において、深さpは、外部毛細管サンプル収集器の直径の倍数Qである。いくつかの実施形態において、Qは0.1未満、又は0.2未満、又は0.3未満、又は0.4未満、又は0.5未満、又は0.75未満、又は1.0未満、又は1.5未満、又は2.0未満、又は2.5未満、又は3.0未満、又は4.0未満、又は5.0未満である。
【0101】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の分注開口部から分注されるサンプル流体の一部が「ニッチ端カップ」を満たし、残りはサンプル・パッドA上に分注される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器の分注開口部から分注されて「ニッチ端カップ」を満たすサンプル流体の最初の部分は、収集されたサンプル流体の最初の部分である。場合によっては、サンプル液の最初の1滴に分析物の代表サンプルが含まれていないことがある。いくつかの実施形態において、ニッチ端カップをサンプル液の最初の一滴で満たすことにより、最初の一滴はサンプル・パッドに移らず、ラテラルフロー検査は最初の一滴の後のサンプル液の一部から始まり、それによって検査結果の精度が向上する。
【0102】
図4Eは、検査ストリップ及び毛細管サンプル収集器を支持するケーシング部、並びにケーシング部遠位先端からサンプル・パッドの遠位側面までのケーシング部内のニッチを示す。図4Eに示すように、ニッチは、ニッチ根元とニッチ口元とを含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器はケーシング部品内のニッチに配置され、毛細管サンプル収集器の一部は検査ストリップのサンプル・パッドの上に配置される。
【0104】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器はケーシング部品のニッチに配置され、毛細管サンプル収集器の一部は検査ストリップ・サンプル・パッドの上に配置され、デバイスが組み立てられる際に検査ストリップ・サンプル・パッドに凹部を形成する。
【0105】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器がケーシング部品のニッチに配置され、毛細管サンプル収集器の近位端が検査ストリップ・サンプル・パッドの遠位側面に隣接して配置される。
【0106】
いくつかの実施形態において、ニッチ深さDeは毛細管サンプル収集器の直径よりも小さい。いくつかの実施形態において、ニッチ深さDeは、毛細管サンプル収集器の直径とほぼ等しい。いくつかの実施形態において、ニッチの深さDeは、毛細管サンプル収集器の直径よりも大きい。
【0107】
図5A~5Dは、診断検査ストリップを含むケーシング・デバイス部品の実施形態の断面を示す。図5Aは、ケーシング・デバイスのすべての要素のラベルを含むが、図5Aのラベルと同一のケーシング・デバイスの要素は、図5B~5Dでは再度ラベル付けされていない。
【0108】
図5Aは、下部ケーシング部品#1と上部ケーシング部品#2とを含むケーシングの縦断面図を示す。毛細管サンプル収集器は、ケーシング部品が組み立てられる際に形成される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は線形である。
【0109】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は上部ケーシング部品#2にある溝又はニッチから形成されており、下部ケーシング部品#1は基本的に平坦である。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、上部ケーシング部品#2と下部ケーシング部品#1との両方にある溝又はニッチから形成される。
【0110】
いくつかの実施形態において、検査ストリップの上端は、毛細管サンプル収集器において、第1ケーシング部品の上端と同じ高さを有する。いくつかの実施形態において、図5Bに示すように、検査ストリップの上端は、毛細管サンプル収集器にあるケーシングの第1部分の上端よりも高い。いくつかの実施形態において、検査ストリップの上部は、毛細管サンプル収集器にあるケーシングの第1部分の上端よりも0.01mm未満、又は0.05mm未満、又は0.1mm未満、又は0.25mm未満、又は0.5mm未満、又は0.75mm未満、又は1.0mm未満、又は1.5mm未満、又は2.0mm未満、又は3.0mm未満まで、高い位置にある。
【0111】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部の前方端は、ストリップの前方端と一直線上にある。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部の前方端は、ストリップの前方端より後方のサンプル・パッドA内にある。
【0112】
いくつかの実施形態において、ケーシングの第1部分の遠位端とケーシングの第2部分の遠位端とがほぼ上下にある。いくつかの実施形態において、ケーシングの第1部分の遠位端は、ケーシングの第2部分の遠位端から1.0mm未満、又は2.0mm未満、又は3.0mm未満、又は4.0mm未満、又は5.0mm未満だけ前方にある。いくつかの実施形態において、ケーシングの第1部分の遠位端は、ケーシングの第2部分の遠位端より5.0mm未満、又は4.0mm未満、又は3.0mm未満、又は2.0mm未満、又は1.0mm未満だけ後方にある。
【0113】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル採取口が上向きである。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル採取口は、下向きである。.
【0114】
図5Cは、下部ケーシング部品#1と上部ケーシング部品#2とを含むケーシングの縦断面図を示す。毛細管サンプル収集器は、ケーシング部品が組み立てられる際に形成される。一実施形態では、毛細管サンプル収集器が湾曲する。
【0115】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は上部ケーシング部品#2内に形成される一方、下部ケーシング部品#1は基本的に平坦である。いくつかの実施形態において、検査ストリップの上端は、毛細管サンプル収集器にあるケーシングの第1部分の上端と同じ高さである。
【0116】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部の前方端は、ストリップの前方端と一直線上にある。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部の前方端は、ストリップの前方端の後ろにあるサンプル・パッドA内にある。
【0117】
いくつかの実施形態において、上部ケーシング部品#2の遠位端は、下部ケーシング部品#1の遠位端の前方に、0.1mm未満、又は0.5mm未満、又は1mm未満、又は2mm未満、又は3mm未満、又は4mm未満、又は5mm未満だけ前方に位置する。
【0118】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル採取口は、下向きである。.
【0119】
図5Dは、下部ケーシング部品#1と上部ケーシング部品#2とを含むケーシングの縦断面図を示す。毛細管サンプル収集器は、ケーシング部品が組み立てられる際に形成される。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器が湾曲する。
【0120】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、上部ケーシング部品#2の溝又はニッチ、及びケーシングの第1部品の先端遠位端の突起から形成される。
【0121】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は上部ケーシング部品#2内に形成される一方、下部ケーシング部品#1は基本的に平坦である。いくつかの実施形態において、検査ストリップの上端は、毛細管サンプル収集器にあるケーシングの第1部分の上端と同じ高さである。
【0122】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部の前方端は、ストリップの前方端と一直線上にある。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部の前方端は、ストリップの前方端の背後にあるサンプル・パッドA内にある。いくつかの実施形態において、上部ケーシング部品#2の遠位端は、下部ケーシング部品#1の遠位端より0.1mm未満、又は0.5mm未満、又は1.0mm未満、又は2.0mm未満、又は3.0mm未満、又は4.0mm未満、又は5.0mm未満だけ前方にある。
【0123】
図6A及び6Bは、ケーシング・デバイス及び診断検査ストリップの一部を含む、ケーシング・デバイスの実施形態の断面図を示す。図6Aは、下部ケーシング部品#1と上部ケーシング部品#2とを含むケーシングの縦断面図を示す。図6Aに示される実施形態などのいくつかの実施形態において、ケーシング部品間にガスケットが配置される。いくつかの実施形態において、ガスケットは、それが接触している上部及び下部ケーシングのセクションと適合する。いくつかの実施形態において、ガスケットは、組み立てられたケーシング部品の間の亀裂及び空隙を埋める。当業者は、ケーシング部品の公差及び表面仕上げに起因して、又は設計上の理由により、機械部品を組み立てる際にそのような亀裂及び空隙が現れる可能性があることが分かるであろう。場合によっては、流体と接触すると、亀裂及び又は空隙は、流体が空隙に強制的に浸透させる毛細管効果を引き起こすことになる。
【0124】
いくつかの実施形態において、ガスケットは、毛細管サンプル収集器を収容するためのスロットを含む。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、ケーシング部品とガスケットとによって形成される。いくつかの実施形態において、ガスケット材料は、毛細管サンプル収集器内を流れる流体と接触状態にある。
【0125】
いくつかの実施形態において、ガスケットは、コンプライアント材料(compliant material)で作製される。いくつかの実施形態において、ガスケット材料は、紙、ゴム、シリコン、金属、コルク、フェルト、ネオプレン、ニトリルゴム、ガラス繊維、ポリテトラフルオロエチレン(別称PTFE、例えば米国デラウェア州ウィルミントン所在のケマーズ社により商品名テフロン(TEFLON)として市販されている材料)、又はプラスチックポリマー(ポリクロロトリフルオロエチレンなど)のうちの少なくとも1つを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、ガスケットの厚さは、0.01mm超、又は0.05mm超、又は0.1mm超、又は0.5mm超、又は1mm超、又は2mm超、又は3mm超、又は4mm超、又は5mm超である。いくつかの実施形態において、ガスケットの厚さは、組み立て後に1%超、又は5%超、又は10%超、又は15%超、又は20%超、又は25%超、又は35%超、又は50%超、又は60%超、又は75%超まで減少する(例えば、ガスケットが圧縮される)。いくつかの実施形態において、ガスケットの一部の厚みが、組み立て後に1%超、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、35%超、50%超、60%超、75%超まで減少する。
【0127】
いくつかの実施形態において、ガスケットの一部がケーシング先端領域のケーシング部品間に配置され、ケーシング先端領域とは、ストリップの前方端からケーシング・デバイスの遠位端までの領域を指す。
【0128】
いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、下部ケーシング部品#1の空洞に配置される。いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、その外側に向いた表面が下部ケーシングの最高点と同一平面になるように、下部ケーシング内の空洞に配置される。いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、その外側に向いた表面が下部ケーシングの最高点よりも上になるように、下部ケーシング部品#1内の空洞に配置される。
【0129】
いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、上部ケーシング部品#2内の空洞に配置される。いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、その外側に向いた表面が上部ケーシングの最高点と同一平面上にあるように、上部ケーシング内の空洞に配置される。いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、その外側に向いた表面が下部ケーシングの最高点よりも上になるように、上部ケーシング部品#2内の空洞に配置され、上記のことは、厚さが増加することを意味する。
【0130】
いくつかの実施形態において、ガスケットの一部は、下部ケーシング部品#1の空洞に配置され、一方でガスケットの一部は、上部ケーシング部品#2内の空洞に配置される。
【0131】
いくつかの実施形態において、空洞の深さは0.01mm未満、又は0.02mm未満、又は0.03mm未満、又は0.05mm未満、又は0.10mm未満、又は0.15mm未満、又は0.25mm未満、又は0.40mm未満、又は0.50mm未満、又は0.75mm未満、又は1.00mm未満、又は1.50mm未満である。いくつかの実施形態において、空洞は、ガスケットが配置される位置を画定する。いくつかの実施形態において、空洞の深さは0.00mm(製造公差内)である。
【0132】
図6Bは、下部ケーシング部品#1と上部ケーシング部品#2とを含むケーシングの縦断面図を示す。図6Bに示される実施形態などのいくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットがケーシング部品間に配置される。
【0133】
いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの長さ寸法は、その幅又は直径よりも有意に大きい。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットは、マスキングテープのように、その幅がその厚さよりも有意に大きいストリップである。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットは、予めプレスされたストリップ・ガスケットである。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットは、管から吐出されるシール材のように、丸い輪郭を有するプレプレスされたストリップ・ガスケットである。
【0134】
いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は、ケーシング先端領域においてケーシング部品間に配置され、「ケーシング先端領域」という用語は、ストリップの前方端からケーシング・デバイスの遠位端までの領域を指す。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は、流体と接触する可能性があるケーシング先端領域に配置される。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は、サンプル流体又は試薬流体と接触する可能性のあるケーシング先端領域に配置される。
【0135】
いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は、上部ケーシング部品のリムの一部に配置される。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は、上部ケーシング部品のケーシング先端の一部上に配置される。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は、下部ケーシング部品のリムの一部に配置される。いくつかの実施形態において、ストリップ・ガスケットの一部は下部ケーシング部品のケーシング先端の一部に配置される。
【0136】
いくつかの実施形態において、ガスケットは接着剤としても機能する。いくつかの実施形態において、ガスケットは、ケーシング部品を接続する接着剤としても機能し、また、亀裂及び空隙を密閉する。
【0137】
いくつかの実施形態において、上述のような例示的なサンプル収集器が、例示的な試薬管と関連して使用される。いくつかの実施形態において、該管は、分析のためにサンプルをラテラルフロー検査ストリップに送り込む試薬のリザーバとして機能する。いくつかの実施形態において、試薬の入った管は、試薬の蒸発を防ぐフォイルによって密封される。いくつかの実施形態において、試薬の入った管はキャップで密封され、試薬の蒸発を防ぐ。いくつかの実施形態において、試薬はサンプルを可溶化するのに役立つ緩衝液で構成されており、ラテラルフロー・メンブレンに沿って均一な毛細管流動を促進させる。
【0138】
いくつかの実施形態において、試薬管は、デバイス・ケーシングと気密シールを形成するように構成され、該管内の空気圧の上昇が可能になる。いくつかの実施形態において、試薬管は、毛細管サンプル収集器と試薬との間の液体接触後に気圧が高まるように構成されており、これにより、検査ストリップのサンプル・パッドへのサンプル移動を妨害する可能性のある気泡を毛細管サンプル収集器に確実に導入させる。
【0139】
いくつかの実施形態において、試薬管には、管の底部に配置され、かつ内側に試薬を吸収させた多孔質要素(例えば、スポンジ)が含まれる。いくつかの実施形態において、多孔質要素に吸収される試薬を提供することで、試薬が管の底部に確実に閉じ込められ、さらに、重力に関係なく毛細管サンプル収集器と試薬との間の流体接触を確実に達成する。その結果、このような実施形態では、迅速診断検査は、垂直方向又は水平方向のいずれの位置でも実施され得る。
【0140】
図7A~7Dは、試薬管の実施形態とその使用を示す図である。いくつかの実施形態において、試薬管は試薬のリザーバとして機能し、分析用にサンプルをラテラルフロー検査ストリップに送り込むように構成される。図7B及び図7Dに示されるようないくつかの実施形態において、試薬の入った管はフォイルによって密封される。図7Aに示されるようないくつかの実施形態においては、試薬管はキャップによって密閉される。いくつかの実施形態において、試薬管は、別種類のシールによって密閉される。いくつかの実施形態において、フォイル、キャップ、又はその他のシールは、試薬の蒸発を防止するように構成される。いくつかの実施形態において、試薬はサンプルを可溶化し、かつラテラルフロー・メンブレンに沿って均一な毛細管流動を可能にする緩衝液で構成される。
【0141】
図7Aは、キャップによって密封された例示的な試薬管の要素を示す。いくつかの実施形態において、要素には、管の外面、内面、及び該内面の底を含む。
【0142】
図7Bは、試薬管に挿入される前のデバイス・ケーシングを示し、該試薬管の開口部がフォイルで覆われている。図7Cは、試薬管に挿入されたデバイス・ケーシングを示す。いくつかの実施形態において、試薬管はデバイス・ケーシングと気密シールを形成し、管内の空気圧の上昇が可能になる。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングと試薬管は、毛細管サンプル収集器と試薬との間の液体接触が生じた後に空気圧の上昇が起こるように構成されており、それによって毛細管サンプル収集器に気泡が導入されないことが保証される。毛細管サンプル収集器内の気泡が検査ストリップのサンプル・パッド(A)へのサンプル移行を妨害する可能性があることは、当業者には自明であろう。
【0143】
いくつかの実施形態において、ケーシング先端遠位端とも呼ばれるケーシング・デバイスのサンプル取得端は、試薬の入った管の開口部を覆うフォイルを貫通することができる鋭い先端を有する。いくつかの実施形態において、デバイスの先端は、フォイルを貫通した後に液体試薬に接触し、該試薬が毛細管サンプル収集器のサンプル取得端に入ることを可能にする。
【0144】
図7Dは、管内の液体をフォイルで覆った試薬管を示している。いくつかの実施形態において、フォイルは、液体の上に少量の気体が存在するように、試薬液体の上に位置付けられる。いくつかの実施形態において、フォイルは、液体の上方かつ管の開口部の下方に配置される。いくつかの実施形態において、フォイルはドーム状である。いくつかの実施形態において、フォイルは、ドーム状であり、加圧された(例えば、大気圧を超える)容積の空気を封入する。いくつかの実施形態において、フォイルがブリスター・パウチのカバーとなるように、液体貯蔵用ブリスター・パウチが管の底に配置される。
【0145】
図8A及び図8Bは、試薬管の底部、すなわち該管の開放端から遠い端部に配置される多孔質要素(例えば、スポンジ)に液体試薬が吸収される実施形態を示す。図8Aは、その組み合わせ前のサンプル収集器と試薬管とを示し、図8Bは、使用中のサンプル収集器と試薬管とを示す。いくつかの実施形態において、該管の底部に配置される多孔質要素に吸収された試薬を配置することで、試薬が該管の底部に閉じ込められることを保証し、さらに、重力に関係なく毛細管サンプル収集器と試薬との間の流体接触を確実に達成することで、すなわち、任意の位置、垂直、水平(図8Bに示すように)、又は任意の角度で、迅速診断検査を実施することが可能である。
【0146】
図9A~9Fは、試薬管へのデバイス・ケーシングの挿入時にシールを形成するように構成された試薬管及びデバイス・ケーシングの実施形態を示す。
【0147】
図9Aは、試薬流体のためのリザーバとして使用される管を示す。図9Aに示すように、管は、底面、側壁/表面、及び開口部を有する。いくつかの実施形態において、開口部は密閉される。いくつかの実施形態において、開口部はフォイルで封止される。いくつかの実施形態において、開口部は、キャップで密閉される。いくつかの実施形態において、開口部は、フォイル又はキャップで閉鎖される。いくつかの実施形態において、試薬流体はスポンジに浸される。いくつかの実施形態において、試薬流体は、管の底部に配置されるスポンジに浸される。
【0148】
本明細書で使用される場合、デバイス・ケーシング先端とは、ストリップの前方端からデバイス・ケーシングの遠位端までのケーシングの部分を指す。
【0149】
いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング先端の直径は、該管の直径よりもわずかに大きい。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング先端の直径は、デバイス・ケーシング先端の管への挿入が境界面嵌合するように、該管の直径よりわずかに大きい。いくつかの実施形態において、管材料は、界面嵌合がデバイス・ケーシング又は管を損傷することなく、シールを形成するように、コンプライアンス(例えば、弾性、変形可能など)を遵守する。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング材料は、デバイス・ケーシング又は管を損傷することなく、界面嵌合によって密閉が形成されるように、コンプライアンスを遵守する。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング先端は、デバイス・ケーシング又は管を損傷することなく、境界面嵌合によってシールが形成されるように、コンプライアント材料で製造される。
【0150】
図9Bは、試薬流体のリザーバとして使用される管を示し、該管の開口部に近接する管壁のセクションは、外側に角度が付けられる。いくつかの実施形態において、外側に角度が付けられた管壁のセクションを含めることにより、管の開口部の直径が増加する。いくつかの実施形態において、増大した直径は、挿入中にデバイス・ケーシング先端へのガイドとして機能する。
【0151】
いくつかの実施形態において、管側壁は、直線セクションと、角度αのセクションとを含む。いくつかの実施形態において、角度αは、45°未満、又は40°未満、又は30°未満、又は20°未満、又は10°未満、又は5°未満、又は3°未満である。いくつかの実施形態において、開口部の直径は、直線セクションの直径よりも、1%未満、又は2%未満、又は4%未満、又は7%未満、又は10%未満、又は15%未満、又は20%未満、又は30%未満、又は40%未満だけ大きい。
【0152】
図9Cは、試薬流体のリザーバとして使用される管を示し、該管の開口部に近接する管壁のセクションは、コンプライアントであり、従って、挿入されるデバイス・ケーシングの形状に適合する。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング先端の形状に適合するコンプライアントセクションを含むことにより、シールを形成する接触領域を増加する。
【0153】
いくつかの実施形態において、該管の開口部に近接する管壁のセクションは、材料特性によりコンプライアンスが遵守される。いくつかの実施形態において、管の開口部に近接する管壁のセクションは、それがコンプライアンスを遵守するような設計特徴を含む。いくつかの実施形態において、管の開口部の直径は、デバイス先端の直径よりもわずかに小さい。
【0154】
図9Dは、試薬流体のリザーバとして使用される管を示し、管の開口部に近接する管壁のセクションは、デバイス・ケーシング先端の形状に類似する形状を有する。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシング先端と同様な形状の管の開口部に近接する管壁のセクションを含めることにより、シールを形成する接触領域が増加する。
【0155】
図9Eは、試薬流体のリザーバとして使用される管を示し、Oリングが、該管の開口部に近接して管壁に配置される。いくつかの実施形態において、該管の開口部に近接する管壁のセクションにOリングを含めることにより、デバイス・ケーシング先端との接触領域が得られ、気密シールの形成が促進される。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングの管内挿入中に、Oリングとデバイス・ケーシング先端との間の接触領域が増加するように、Oリングが変形する。
【0156】
一実施形態では、Oリングの断面は円形である。一実施形態では、Oリングの断面は円形でない。一実施形態では、Oリングの断面は、正方形、長方形、台形、楕円形、又は他の形状を有する。
【0157】
図9Fは、試薬流体のリザーバとして使用される管を示し、該管の開口部に近接する管の内部表面は、雌螺子を含む。図9Fに示される実施形態などのいくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングは、該管の雌螺子と噛み合うように構成された相互の雄螺子を含む。いくつかの実施形態において、該管は、雌螺子及び雄螺子を位置合わせして、該管及びデバイス・ケーシングを互いに対して回転させることによって、デバイス・ケーシングに接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングを該管に接続するために使用される螺子山は、シールを形成する接触領域を形成する。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングを該管に接続するために使用される螺子山は、該管内でのデバイス・ケーシングの動きを制限し、螺子山の長さを超えることができないようにする。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングを管に接続するために使用される螺子山は、所定の挿入深さを提供する。いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングを管に接続するために使用される螺子山は、試薬が試薬管から毛細管に送られる速度を減少させ、それによって毛細管サンプル収集器内の流体の流速を減少させて、試薬の流れを制御し、検査ストリップへの試薬オーバーフローをさらに防止できるように構成される。いくつかの実施形態において、螺子山は、試薬を保持する多孔質要素への毛細管の横方向の前進を遅延させ、それによって、毛細管の中への、及びそこから検査ストリップのサンプル・パッドへの試薬の流速を減速する。
【0158】
いくつかの実施形態において、デバイス端部はルアー・コネクタを含む。いくつかの実施形態において、ルアー・コネクタがデバイス端部に一体化される。いくつかの実施形態において、該管の開口部はルアー・コネクタを含む。いくつかの実施形態において、ルアー・コネクタが該管に一体化される。
【0159】
一実施形態では、該管の底部には、液体貯蔵ブリスター・パウチが含まれる。一実施形態では、液体貯蔵ブリスター・パウチが管の底部に配置される。いくつかの実施形態において、液体貯蔵ブリスター・パウチが管の底部に一体化される。
【0160】
いくつかの実施形態において、必要な生体サンプル量による毛細管サンプル収集器の充填に続いて、試薬曝露が毛細管サンプル収集器のサンプル装填端に導入される。いくつかの実施形態において、試薬曝露は、捕捉された体液の全量を毛細管サンプル収集器の未充填部分を通して流し、さらにラテラルフロー検査ストリップのサンプル・パッドに流入させる。
【0161】
いくつかの実施形態において、試薬曝露は、デバイスの先端が試薬を運ぶ管に挿入されるときに発生する陽圧によって促進され、図10A~10Dを参照して以下に説明するように、それにより、デバイスの先端と試薬管の縁との間に気密シールが形成される。いくつかの実施形態において、この陽圧は、その容器から生体液サンプルを運ぶ毛細管サンプル収集器への試薬の流れを誘導するように作用する。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器内へ試薬が移動することで、それにより、生体サンプルがサンプル収集器領域内の疎水性ブロックを通過して、検査ストリップのサンプル・パッド上に押しやられる。いくつかの実施形態において、生体サンプルは試薬によって希釈されないので、サンプル・パッドへのサンプル装填及び検査ストリップに沿ったそのクロマトグラフィーのフローが最適化される。
【0162】
いくつかの実施形態において、試薬容器及びデバイス・ケーシングは、気密シールが形成される前に、デバイスチップ(サンプルが充填された毛細管サンプル収集器を担持)と該管内の試薬との間で最初に流体接触がなされるように構成される。いくつかの実施形態において、この順序により、検査ストリップへの適切なサンプル装填を妨げる可能性のある気泡が、毛細管サンプル収集器の開口部に形成されないことが保証される。
【0163】
図10A~10Dは、サンプルを収集し、サンプルを検査ストリップのサンプル・パッドに移送するための例示的なデバイスの使用を示す図である。図10Aは、直接サンプル収集のための例示的なデバイスの使用を示す。いくつかの実施形態において、デバイスは、検査ストリップ及び毛細管サンプル収集器を含む。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、その内面が親水性を有するセクションを含む。いくつかの実施形態において、親水性を有するセクションの遠位端は、ケーシング遠位端と一致する。いくつかの実施形態において、親水性を有するセクションの遠位端は、毛細管サンプル収集器遠位端に近接する。
【0164】
いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器は、その内面が疎水性特性を有するセクションを含む。いくつかの実施形態において、疎水性セクションは、親水性セクションに隣接し、親水性を有する毛細管サンプル収集器の部分と比較して、毛細管サンプル収集器・サンプル分注開口部に向かって位置決めされている。いくつかの実施形態において、疎水性表面と親水性表面との間に界面が存在する。
【0165】
いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングは、窓のように機能する透明セクションを含み、毛細管サンプル収集器を視認することができる。いくつかの実施形態において、透明セクションは、ユーザが毛細管サンプル収集器内の流体の視認を可能にする。いくつかの実施形態において、透明セクションに定規状のハッチマークがある。いくつかの実施形態において、ハッチマークのある透明セクションを通して毛細管サンプル収集器内の流体を視認するユーザは、サンプル収集器内の流体の容積を測定することができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、デバイスは、毛細管サンプル収集器のサンプル分注開口部が検査ストリップ・サンプル・パッドAと重なるように設計される。
【0167】
いくつかの実施形態において、デバイス・ケーシングは、デバイス・ケーシング先端に配置されたガスケットを含む。いくつかの実施形態において、先端は、試薬流体で管を密封する箔を破るのに十分鋭利である。
【0168】
図10Bは、サンプル流体の量が収集された後に、直接、サンプル収集に使用されるデバイスを示す。いくつかの実施形態において、親水性部分と疎水性部分との組み合わせにより、正確な量のサンプル流体を収集することが可能になる。いくつかの実施形態において、収集された流体は、親水性表面の毛細管力によって毛細管サンプル収集器に押し上げられる。
【0169】
いくつかの実施形態において、流体が疎水性表面に到達すると、流体は毛細管サンプル収集器の充填が停止する。いくつかの実施形態において、流体は、疎水性表面と親水性表面との界面に到達すると、毛細管サンプル収集器の充填が停止する。いくつかの実施形態において、親水性セクションの長さは、所望の容積のサンプル流体を収集できるように設計される。いくつかの実施形態において、疎水性表面と親水性表面との間の界面は、所望の容積のサンプル流体を収集できるように設計される。
【0170】
図10Cは、試薬液を含む管に挿入されるサンプル収集デバイスを示す。図10Cに示すように、デバイス・ケーシング先端は試薬流体と接触しており、デバイス・ケーシングと管との間にシールが形成される。
【0171】
いくつかの実施形態において、力Fは、デバイスを該管へさらに挿入するように、デバイスと管との間に印加される。いくつかの実施形態において、デバイスが該管を封止した位置点を過ぎて挿入を続けると、管内に陽圧が発生する。いくつかの実施形態において、挿入長さが圧力の大きさを規定する。
【0172】
図10Dは、試薬流体を毛細管サンプル収集器に押し込むべく、流体の上方及びデバイスチップの下方にある管内の陽圧が動作することを示す。いくつかの実施形態において、毛細管サンプル収集器に押し上げられる試薬流体により、サンプル液が疎水性セクションを通過して検査デバイスのサンプル領域Aに入る。
【0173】
図11は、流体サンプルを収集し診断するための例示的な方法を示す。図11の方法は、以下のステップを含む。
【0174】
1.一体型ラテラルフロー・ベース・デバイスを用いて流体サンプルを収集すること。
【0175】
2.試薬流体の入った管に、一体型ラテラルフロー・ベース・デバイスを接続すること。
【0176】
3.デバイスの先端が試薬液に触れた後、デバイスの先端と管の開口部との間にシールを形成すること。
【0177】
4.デバイスを管内に押し込むことで、管の密閉容積内の圧力を高めること。
【0178】
5.試薬液を毛細管サンプル収集器に上昇させること。
【0179】
6.流体サンプルを、疎水性コーティング・ブロックを通過させ、検査ストリップの上に送ること。
【0180】
図12は、流体サンプルを収集及び診断するための例示的な方法を示す。図12の方法は、以下のステップを含む。
【0181】
1.一体型ラテラルフロー・ベース・デバイスを用いて流体サンプルを収集すること。
【0182】
2.試薬流体の入った管に、一体型ラテラルフロー・ベース・デバイスを接続すること。
【0183】
3.デバイスの先端が試薬液に触れた時点で、デバイスの先端と管の開口部との間にシールを形成すること。
【0184】
4.デバイスをさらに管内に押し込んで、管の密閉容積内の圧力を高めること。
【0185】
いくつかの実施形態において、図12の方法は、増加した圧力が試薬流体を毛細管サンプル収集器に押し上げるような方法で実行される。いくつかの実施形態において、図12の方法は、毛細管サンプル収集器に押し上げられる試薬流体が、サンプル流体を親水性コーティング・ブロックに通過させて分析用の試験片に送り込むようなやり方で実行される。
【0186】
本明細書で使用される場合、用語「吸収パッド(absorbent pad)」(又は「流体ウィック(fluid wick)」とも呼ばれる)は、ラテラルフロー・メンブレンの遠位端から流体を吸収する役割を果たす高吸収性材料のことを指し、それによってラテラルフロー・メンブレンに沿って流体が流れるのを補助する。吸収性パッドの役割は、メンブレンを通して液体を吸い上げ、処理された液体を回収することである。一般的な吸収パッドの一例は、セルロース・フィルターである。
【0187】
本明細書で使用される場合、「バッキング要素(backing element)」という用語は、通常、ポリエステル又は他の耐久性のあるプラスチック材料で作られた無孔性プラスチック・ストリップを指す。一般的なバッキングの例としては、2ミル及び4ミルのポリエステル・フィルムが挙げられる。
【0188】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「毛細管サンプル収集器(capillary sample collector)」という用語は、1~100マイクロリットルの範囲で一定量の生体サンプルを収集するのに役立つ管又は多孔質要素を指す。毛細管力の制御は、毛細管流体の上昇が高表面エネルギー(親水性)セグメントでのみ発生し、かつ低表面エネルギー(疎水性)セグメントでは防止されるように、この要素の表面エネルギーを調整することによって達成され得る。
【0189】
本明細書で使用する場合、「捕捉分子(capture molecule)」という用語は、ラテラルフロー・メンブレン上にプリントされて固定化され、検出分子との複合体の形で標的分析物を捕捉する役割を果たす分子(通常は抗体又は抗原)を指す。
【0190】
本明細書で使用される場合、用語「ケーシング(casing)」は、検査ストリップ及び毛細管サンプル収集器を収容し、それらを流体接触させるデバイス部品を指し、毛細管サンプル収集器によって収集されたサンプルが検査ストリップのサンプル・パッドに流入することを可能にし、さらに試薬液がサンプル及びその成分(標的分析物を含む)をコンジュゲート・パッドを通して送達され、さらにラテラルフロー検査ストリップに流入させることができる。
【0191】
本明細書で使用する「コンジュゲート・パッド(conjugate pad)」という用語は、検出分子を洗剤、炭水化物などの他の成分とともに可逆的に吸収し、検査が実行されるまでそれらを機能的に安定に保つために使用される要素を指す。検出分子の標識に使用されるコンジュゲート粒子を糖の存在下で乾燥させると、糖分子が該粒子の周囲に層を形成し、生体構造を安定化させる。サンプルがコンジュゲート・パッドに入ると、糖分子が急速に溶解して検出分子結合体を液体に運び、検出分子結合体がサンプル中の分析物を結合させる。
【0192】
本明細書で使用される場合、「対照ライン(control lines)」及び「検査ライン(test lines)」という用語は、検査ストリップの両端の位置に印刷される、それぞれ非特異的捕捉分子及び分析物特異的捕捉分子のラインを指す。検査ラインでは標的分析物-検出分子複合体を、対照ラインでは標識試薬の非特異的結合を捕らえ、それに応じて、非特異的(対照)及び特異的(検査)分析物の結合が明確に可視化される。
【0193】
本明細書で使用される場合、用語「検出器分子(detector molecules)」は、信号を可視化するために使用される様々な種類の検出試薬を指す。市販の検査器で最も使用されている標識は、ラテックス・ビーズとコロイド金粒子である。その他、酵素結合体、他のコロイド金属、蛍光粒子、磁性粒子などが考えられる。これらの標識抗原又は抗体分子は、十分な感度(親和性)と特異性で標的分析物と結合し、検査ストリップ上の捕捉分子に捕捉されると標的分析物の可視化を可能にする。標識に使用される粒子の最も重要な特徴の一つは、その集団が大きさ及び球形が一貫性を持つ単分散であることである。
【0194】
本明細書で使用される場合、用語「ラテラルフロー・メンブレン」は、ニトロセルロース又は他の不活性多孔質材料から構成されるメンブレンを指し、その孔径が数ミクロンの範囲であり、流体の毛細管流動を可能にする。このメンブレンは、例えば、幅3~5mm、長さ60~80mm、厚さ0.2mm程度とすることができる。それは、メンブレン上の横方向の流れの方向に垂直な特定の位置に印刷された0.1~1.0mm幅のストライプの形態の捕捉分子を固定化し、検査ラインでは分析物-検出分子複合体を、コントロール・ラインでは標識非特異分子を捕捉できるようにしたものである。
【0195】
本明細書で使用される場合、用語「観察窓」は、ラテラルフロー・メンブレン上の対照ライン及び検査ラインの直上にあるケーシングの透明窓又は開口を指し、それらの視認を可能にする。
【0196】
本明細書で使用される場合、用語「空隙率(porosity)」は、材料中の空隙の測定値を指し、材料の総容積に対する空隙の容積の割合である。場合によっては、空隙率は0と1の間の数値範囲で表される。いくつかの実施形態において、空隙率は0%と100%の間のパーセント割合として表される。場合によっては、空隙率は、材料の表面からアクセス可能な空隙の総量である「アクセス可能な空隙(accessible void)」に基づいて測定される。
【0197】
本明細書で使用される場合、「試薬」という用語は、毛細管流動によって分析物が検査ストリップに沿って移動し、サンプル・パッド内の検出分子を溶解して反応して、複合体を形成し、さらに該複合体はラテラルフロー・メンブレン上の検査ライン及び対照ライン中の捕捉分子(複数可)に到達して相互作用する。
【0198】
本明細書で使用される場合、用語「試薬管」」という用語は、試薬の入った管又は他の容器を指す。
【0199】
本明細書で使用される場合、用語「サンプル」は、血液(例えば、血清、血漿など)、尿、唾液、粘膜液などを含む任意の液体生物学的物質を指すが、これらに限定されない。また、分析を目的として液体に懸濁又は溶解させることができる糞便などの他の生物学的物質も含まれる。
【0200】
本明細書で使用される場合、用語「サンプル・パッド」(A)という用語は、生体液サンプルが、ラテラルフロー・メンブレンでのクロマトグラフィーのために準備する検査ストリップに吸着される場所を指す。通常、セルロース又はガラス繊維などの非結合性の繊維材料でできており、検査ストリップの性能に影響を与える可能性のあるデブリ、脂肪、その他の汚染物質をろ過するために使用される。サンプル・パッドは、複数のタスクを実行するために使用され、その筆頭は、コンジュゲート・パッド上へのサンプルの均一かつ制御された分配の促進に使用されることである。また、液体がパッドに入る速度を制御し、デバイスへの浸水を防ぐことも可能である。タンパク質、界面活性剤、増粘剤、緩衝塩などの成分を含浸させた場合、サンプル・パッドは次のような用途にも使用され得る。すなわち、1.サンプルの粘度を上げること(流動性を調整すること)、2.検出試薬を可溶化するサンプルの能力を高めること、3.コンジュゲート及び分析物が下流の材料のいずれかに非特異的に結合するのを防ぐこと、4.検査ラインでの免疫複合体形成に適合するように、サンプルの化学的性質を変えること、並びに、5.メンブレンに沿ってサンプルが均一に流れるように促進すること、である。
【0201】
本明細書で使用される場合、用語「収着性」は、多孔質媒体を通る横方向の流量の尺度を指し、これは、細孔のサイズと構造、構築材料の表面エネルギーなどを含むいくつかの要因に依存する。
【0202】
本明細書で使用される場合、用語「標的分析物(target analyte)」は、十分な感度及び特異性で検査ストリップによって検出されるサンプル中に存在する分析物又はバイオマーカーを指す。
【0203】
本明細書で使用される場合、用語「検査ストリップ(test strip)」は、サンプル・パッド(A)、コンジュゲート・パッド(B)、ラテラルフロー・メンブレン(C)、及び流体ウィックを、通常この順序で積層してプラスチック裏打ち要素の上に接着した、迅速診断検査に一般に使用されるラテラルフロー検査ストリップを指す。
【0204】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、1マイクロリットル/分未満、又は2マイクロリットル/分未満、又は5マイクロリットル/分未満、又は10マイクロリットル/分未満、又は20マイクロリットル/分未満、又は25マイクロリットル/分未満、又は30マイクロリットル/分未満、又は35マイクロリットル/分未満、又は40マイクロリットル/分未満、又は45マイクロリットル/分未満、又は50マイクロリットル/分未満の流体流量を生成するように構成される。
【0205】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、5μLから75μL、又は5μLから65μL、又は5μLから55μL、又は5μLから45μL、又は5μLから35μL、又は5μLから25μL、又は5μLから15μL、又は15μLから75μL、又は15μLから65μL、又は15μLから55μL、又は15μLから45μL、又は15μLから35μL、又は15μLから25μL、又は25μLから75μL、又は25μLから65μL、又は25μLから55μL、又は25μLから45μL、又は25μLから35μL、又は35μLから75μL、又は35μLから65μL、又は35μLから55μL、又は35μLから45μL、又は45μLから75μL、又は45μLから65μL、又は45μLから5μL、又は55μLから75μL、又は55μLから65μL、又は65μLから75μLまでの容積の試料を採取するように構成される。
【0206】
いくつかの実施形態において、ラテラルフロー・メンブレンに沿って流れる流体の線速度は、毎分5ミリメートル未満、又は毎分6ミリメートル未満、又は毎分7ミリメートル未満、又は8ミリメートル未満、又は毎分9ミリメートル未満、又は毎分10ミリメートル未満である。
【0207】
いくつかの実施形態において、本明細書に構成されるデバイスは、室温、又は5℃未満の温度、又は10℃未満の温度、又は15℃未満の温度、又は20℃未満の温度、又は25℃未満の温度、又は30℃未満の温度、又は35℃未満の温度、又は40℃未満の温度で動作するように構成される。
【0208】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、サンプル調製の完了から結果の測定まで、15分以内に検査結果を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、この持続時間は、血液サンプルを収集するための1~2分(ランセット及び患者/医師のスキルに依存する)、試薬曝露を含む試験開始のための1~2分間、及びラテラルフローの結果のための5~10分間を含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、少なくとも10分間、目視可能である検査結果を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、10分から2日間、目視可能である検査結果を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、結果は通常、検査実施から20分以内に読み取ることができるべきである。いくつかの実施形態において、検査結果は、数時間にわたって安定しており、かつ視認可能なままである。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、ラテラルフロー・メンブレンに沿って毎分5~10ミリメートルの範囲の側方流動速度を提供するように構成される。流速が感度を決定し、流速が高いほど感度が低い検査がもたらされることは、当業者にはわかるであろう。さらに、検査速度が少なくともラテラルフロー・メンブレン収着性によって決定されることが当業者には自明であろう。
【0211】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、4℃から30℃の間で保存される場合、少なくとも24ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0212】
本発明の多くの実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示的なものであり、かつ制限的なものではなく、当業者には多くの変更が自明となり得ることが理解される。さらに、様々なステップは、任意の所望の順序で実施さてもよく(任意の所望のステップが追加されてもよく、及び/又は任意の所望のステップが取り除かれてもよい)。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A-5B】
図5C-5D】
図6A-6B】
図7A-7D】
図8A-8B】
図9A-9C】
図9D-9F】
図10A-10B】
図10C-10D】
図11
図12
【国際調査報告】