(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】使用後の診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/52 20230101AFI20230808BHJP
B01D 21/00 20060101ALI20230808BHJP
C02F 1/66 20230101ALI20230808BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
C02F1/52 K
B01D21/00 B
C02F1/66 510R
C02F1/66 522A
C02F1/66 522F
G01N33/483 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504264
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2021069923
(87)【国際公開番号】W WO2022017968
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲドルン,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ハインドル,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】パウル,フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】レンプト,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ツァーン,ハンス
【テーマコード(参考)】
2G045
4D015
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045FB05
4D015BA19
4D015BB01
4D015CA20
4D015EA32
4D015FA01
4D015FA28
(57)【要約】
本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法に関する。本発明はさらに、錠剤、精製された液体試料、診断アッセイ試薬、廃水処理システム、並びに前記液体試料を処理するためのキット及びその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法であって、前記方法が、
a)あるpH値を有する前記液体試料を提供することであって、前記少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、前記液体試料を提供することと、
b)少なくとも酸を含む前記液体試料を、前記液体試料の前記pH値が前記マイクロプラスチックの前記少なくとも1つのpKs値よりも小さくなるように処理することであって、特に、前記液体試料の前記pH値の変化が、前記酸自体又は支持酸によって誘導される、前記液体試料を処理することと、を含み、
前記酸が、有機酸又は鉱酸であり、
前記有機酸が、
CH
3-[CH
2]
n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH
2-(SH)-CH
2-(CH
3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF
3、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
m-CH
3(m>1)、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
p-[CH-COOH-CH-COOH]
q-CH
3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO
2-NH
2(CH)
r(CH
2)
s-CH
3(r>1かつs>1)
からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
工程a)において、前記液体試料が、7の又は7を超えるpH値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
c)前記液体試料における前記マイクロプラスチックの集積、
d)前記マイクロプラスチック、特に集積した前記マイクロプラスチックを、前記液体試料から除去すること、
e)前記マイクロプラスチックを除去した後の前記液体試料の前記pH値を、例えば7以上のpH値に上昇させること、
f)前記マイクロプラスチックの前記pKs値を決定することであって、好ましくは、診断のプロセスを通じて粒子を示す既知のタイプのpKsのみが現存する又は存在する場合、所定のpKs値を使用することができる、pKs値を決定すること、
及び工程(c)~(f)の組み合わせ
からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体試料が、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特に濁度ベースのアッセイ及び/又は電気化学発光ベースのアッセイによって生成された診断アッセイ試薬を含む廃水である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロプラスチックが、表面改質ビーズ、特に抗体改質ビーズである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロプラスチックが、負に帯電している、特に負に帯電したラテックス粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特にマイクロプラスチックを、液体試料、特に廃水から分離するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項8】
使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための錠剤であって、前記錠剤が、
前記液体試料のpH値を、マイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に低下させることができる少なくとも酸を含み、
前記酸が粉末状固体酸であり、
前記酸が、有機酸又は鉱酸であり、
前記有機酸が、
CH
3-[CH
2]
n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH
2-(SH)-CH
2-(CH
3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF
3、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
m-CH
3(m>1)、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
p-[CH-COOH-CH-COOH]
q-CH
3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO
2-NH
2(CH)
r(CH
2)
s-CH
3(r>1かつs>1)
からなる群から選択される、錠剤。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる精製された液体試料であって、前記液体試料が、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬から洗浄される廃水であり、特に使用後の前記診断アッセイ試薬がマイクロプラスチックである、精製された液体試料。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる診断アッセイ試薬であって、集積したマイクロプラスチックである、診断アッセイ試薬。
【請求項11】
使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための廃水処理システムであって、前記システムが、
-あるpH値を有する前記液体試料を収集することができる容器であって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、容器、
-前記液体試料の前記pH値を前記マイクロプラスチックの前記少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる少なくとも1つの酸、
-任意に、前記液体試料の前記pH値を前記マイクロプラスチックの前記少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる支持酸、を含み、
前記酸が、有機酸又は鉱酸であり、
前記有機酸が、
CH
3-[CH
2]
n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH
2-(SH)-CH
2-(CH
3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF
3、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
m-CH
3(m>1)、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
p-[CH-COOH-CH-COOH]
q-CH
3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO
2-NH
2(CH)
r(CH
2)
s-CH
3(r>1かつs>1)
からなる群から選択される、廃水処理システム。
【請求項12】
使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための、請求項11に記載の廃水処理システムの使用。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実施するのに適したキットであって、
-請求項8に記載の錠剤、
-前記マイクロプラスチックと前記液体試料とを分離することのできる分離ユニット、及び
-任意に容器を含む、キット。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法における請求項13に記載のキットの使用。
【請求項15】
使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための酸であって、
前記酸が、有機酸又は鉱酸であり、
前記有機酸が、
CH
3-[CH
2]
n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH
2-(SH)-CH
2-(CH
3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF
3、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
m-CH
3(m>1)、
CH
3-[CH
2-CH-COOH]
p-[CH-COOH-CH-COOH]
q-CH
3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO
2-NH
2(CH)
r(CH
2)
s-CH
3(r>1かつs>1)
からなる群から選択され、前記酸が、使用後の前記少なくとも1つの診断アッセイ試薬の少なくとも1つのpKs値に対して前記液体試料のpH値を変化させることができる、酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法に関する。本発明はさらに、錠剤、精製された液体試料、診断アッセイ試薬、廃水処理システム、並びに該液体試料を処理するためのキット及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロプラスチック、例えば有機マイクロプラスチック粒子は、信号を生成又は増強するために診断試験で一般的に使用される。試験が完了した後、マイクロプラスチックを含む液体試料廃棄物は、下水システムを介して処分される。これは、マイクロプラスチックを取り巻く影響、危険及びリスクについてほとんど知られていないため、環境及び健康のリスクを抑制する。したがって、有機で生分解性ではないマイクロプラスチックの量を制御し、可能な限り低く保つ必要がある。さらに、これらの努力は、IVD(インビボ診断)を含むあらゆる種類の消費者及び専門的使用製品におけるマイクロプラスチックの使用を制限することを目的とした、欧州レベルの法的圧力によって推進されている。
【0003】
上述のマイクロプラスチックは、診断試験において粒子懸濁液(ラテックスビーズ)を含むことが多く、粒子懸濁液は、粒子を溶液中で安定にするために、500nm未満のサイズを含む負に帯電したビーズで構成されることが多い。表面上のタンパク質は、それぞれの診断試験にその固有の特異性を与えるために使用することができる。粒子のサイズが小さいため、単純な濾過ステップではこれらの小さな粒子を除去することができない。
【0004】
先行技術として、無機酸、特にFeCl3及びAlCl3のようなフロキュレーション物質は、マイクロプラスチックを枯渇させることが知られている。しかしながら、これらの無機酸は、これらの無機酸の反応生成物、例えばFe2O3又はAl2O3と共にマイクロプラスチックのフロキュレーションをもたらす。フロキュレーション剤もマイクロプラスチックと共に沈殿するため、多くの廃棄物が生成される。さらに、廃水中に残留する添加アルミニウムは、水を汚染し、アルツハイマー病関連アルミニウム神経毒性を有する集団を危険にさらす。
【0005】
したがって、上記の問題を克服することが当技術分野において緊急に必要とされている。
【0006】
本発明の目的は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法を提供することである。さらあに、本発明の目的は、錠剤、精製された液体試料、診断アッセイ試薬、廃水処理システム、並びに該液体試料を処理するためのキット及びその使用を提供することである。
【0007】
この目的(複数可)は、独立請求項の主題によって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項の対象となる。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
以下において、本発明は以下の態様に関する:
第1の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法であって、
a)あるpH値を有する液体試料を提供することであって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、液体試料を提供すること、
b)少なくとも酸を含む液体試料を、液体試料のpH値がマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値よりも小さくなるように処理することであって、特に、液体試料のpH値の変化が、酸自体又は支持酸によって誘導される、液体試料を処理すること、を含み、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、方法に関する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特にマイクロプラスチックを、液体試料、特に廃水から分離するための本発明の第1の態様による方法の使用に関する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための錠剤であって、
液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に低下させることができる少なくとも酸を含み、
酸は、粉末状固体酸であり、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、錠剤に関する。
【0011】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる精製された液体試料に関し、液体試料は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬から洗浄される精製廃水であり、特に使用後の診断アッセイ試薬はマイクロプラスチックである。
【0012】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる診断アッセイ試薬に関し、診断アッセイ試薬は、集積したマイクロプラスチックである。
【0013】
第6の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための排水処理システムであって、
-あるpH値を有する液体試料を収集することができる容器であって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、容器、
-液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる少なくとも1つの酸、
-任意に、液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる支持酸、を含み、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、排水処理システムに関する。
【0014】
第7の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための、本発明の第6の態様の排水処理システムの使用に関する。
【0015】
第8の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法を実施するのに適したキットであって、
-本発明の第3の態様による錠剤、
-マイクロプラスチックと液体試料とを分離することのできる分離ユニット、及び
-任意に容器を含む、キットに関する。
【0016】
第9の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法における本発明の第8の態様のキットの使用に関する。
【0017】
第10の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための酸であって、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択され、酸は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬の少なくとも1つのpKs値に対して液体試料のpH値を変化させることができる、酸に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための排水処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態及び実施例に限定されず、これらは変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0020】
いくつかの文献が本明細書中で引用されている。本明細書に引用されている各文献(全ての特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、説明書等を含む)は、上記であろうと以下であろうと、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。このように組み込まれた参照の定義又は教示と、本明細書に引用された定義又は教示との間に矛盾がある場合には、本明細書の本文が優先する。
【0021】
以下、本発明の各要素について説明する。これらの要素は特定の実施形態と共に列挙されているが、これらは任意の方法及び任意の数で組み合わせて追加の実施形態を作成することができることを理解されたい。種々の説明された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に説明された実施形態のみに限定するように解釈されるべきではない。この記載は、明示的に記載された実施形態を任意の数の開示、及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態を支持し、かつ包含するものと理解されるべきである。さらに、本出願に記載されている全ての要素の任意の順列及び組合せは、文脈が別段の意味を示さない限り、本出願の説明によって開示されていると考えるべきである。
【0022】
定義
単語「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」のような変形は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程のグループの包含を意味するが、いかなる他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程のグループの除外を意味しないことが理解されよう。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0024】
比率、濃度、量、及び他の数値データは、「範囲」の形式で本明細書に表す又は提示することができる。このような範囲の形式は、便宜上及び簡潔にするために単に使用されているに過ぎないことが理解され、したがって、その範囲の境界として明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値及び部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲の全てを含むことを柔軟に解釈するべきである。例示として、「4%~20%」の数値範囲は、4%~20%という明示的に列挙されている値を含むだけではなく、表示されている範囲内の個々の値及び部分範囲を含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、4、5、6、7、8、9、10、...18、19、20%等の個々の値と、4~10%、5~15%、10~20%等のサブレンジとが含まれる。この同じ原理は、最小値又は最大値を列挙する範囲に適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅又は記載されている特性にかかわらず、適用すべきである。
【0025】
用語「約」とは、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
【0026】
本明細書で使用される「処理(treatement)」又は「処理すること(treating)」という用語は、プロセス又はヒトによる液体試料を扱うことを指す。プロセスは、例えば溶液のpH値によって、又は例えば1回の錠剤添加のx時間後に駆動される時間によって、又は例えばx mlの液体の後に駆動される流れによって、センサ駆動され得る。Xは、この文脈において、実数、例えば1、1.5、2などを意味する。
【0027】
本明細書で使用される「試料」又は「液体試料」という用語は、特に室温又は70℃までで液体凝集挙動を有する試料を指す。液体試料は、例えば、業務プロセス又は産業プロセス又は製造プロセスの最終生成物であり、業務又はプロセス又は製造にもはや必要とされず、したがって廃棄される。液体試料は、特に水系であり、水が主成分であることを意味する。主成分は、この文脈において、液体試料が少なくとも90%(v/m又はm/m)の水を含むことを意味し得る。廃水は、人間の使用によって汚染された任意の水である。廃水は、例えば懸濁液として粒子状物質を含むことができ、粒子状物質は沈降性物質又は沈降若しくは沈殿しない物質であり得る。液体試料は、使用後の診断アッセイ試薬/又は処理されたアッセイ試薬を含む。好ましくは、液体試料は、IVD(インビトロ診断)プロセスから生じる最終生成物である。
【0028】
本明細書で使用される「使用後の診断アッセイ試薬」又は「処理された診断アッセイ試薬」という用語は、工業的プロセス又は製造プロセス又は測定プロセスで使用される/使用された薬剤又は試薬を指す。使用後の診断アッセイ試薬は、プロセスにおいてもはや使用されないか、又は必要とされない。使用後の診断アッセイ試薬は、液体試料から分離することができる。好ましくは、使用後の診断アッセイ試薬は、IVD(インビトロ診断)プロセスの診断アッセイ試薬又はIVDプロセスからの廃棄生成物である。精製された液体試料は、例えば、廃水処理プラントに配置される。「精製された」とは、この文脈において、液体試料が使用後の診断アッセイ試薬を含まないことを意味し得る。特に、使用後の診断アッセイ試薬は、この文脈において、診断アッセイで使用される/使用された試薬を指す。
【0029】
本明細書で使用される「pH値」という用語は、液体試料がどの程度酸性又は塩基性であるかを特定するために使用される25℃でのスケールを指す。25℃では、pH値が7未満の液体試料は酸性である。pH値が7を超える液体試料は塩基性である。pH値が7に等しい液体試料は中性である。pH値は、非常に強い酸では0未満、非常に強い塩基では14超であり得る。pH値は、pHメーターによって決定することができる。
【0030】
本明細書で使用される「pKs値」という用語は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特にマイクロプラスチックの酸解離定数(KS)の負の10乗対数を指す。pKs値は、pHメトリック法によって決定することができる。pKsは、水中又は溶媒中のマイクロプラスチック試料の溶液を酸及び塩基で滴定し、滴定曲線の形状からpKsを計算することによって測定することができる。「少なくとも1つのpKs値」という用語は、この文脈において、マイクロプラスチックが、マイクロプラスチックの可能な解離工程に応じて、1つ、2つ、又は2つを超える、例えば3つのpKs値を含むことができることを意味する。例えば、モノプロトン性マイクロプラスチックは1つのpKs値を有することができ、2プロトン性マイクロプラスチックは2つのpKs値を有することができ、3プロトン性マイクロプラスチックは3つのpKs値を有することができる。これは、マイクロプラスチックの可能な解離に依存し得る。本発明の実施形態では、マイクロプラスチックは、1つよりも多く(例えば2つ又は3つ)のpKs値を有する。特に、マイクロプラスチックが1つよりも多くのpKs値を有する場合、最低又は最小のpKs値を意味する。例えば、マイクロプラスチックが3及び4の2つのpKs値を有する場合、マイクロプラスチックの最低pKs値は3である。
【0031】
「酸はREACH適合である」という用語は、この文脈において、酸がREACH規則(EG)1907/2006に準拠していることを意味する。
【0032】
「酸はWGK適合である」という用語は、この文脈において、ドイツの水ハザードクラス(水に有害な物質を取り扱う設備に関する規制(AwSV))に関して、酸が水に有害ではないことを意味する。
【0033】
「支持酸」という用語は、この文脈において、プロトン若しくは水素イオンを供与し、及び/又は電子を受容する化学種を意味する。支持酸は、酸範囲(pH<7)、特にマイクロプラスチックのpKs値未満で、液体試料のpH値を変化させる、特に低下させることができる。
【0034】
「酸自体又は支持酸によって誘導される」という用語は、この文脈において、酸又は支持酸を液体試料に処理又は添加することによって、液体試料のpH値の変化が生じること、特に液体試料のpH値がマイクロプラスチックのpKs値未満に変化することを意味する。
【0035】
「プラスチック」という用語は、有機ポリマーからなる、それを含む、又はそれから作製された、合成材料を示すことができる。本明細書で使用される「マイクロプラスチック」という用語は、5mm(5000ミクロン)未満の直径を有するプラスチック材料、特にプラスチック粒子を指す。より具体的には、マイクロプラスチックは、1nm~5000nmの粒径、例えば100nm~300nmの範囲、又は50nm~500nmの範囲、又は2300nmの粒径を有することができる。特に、マイクロプラスチックは、添加剤又は他の物質を添加してもよく、及び/又は粒子の1%w/w以上が、(i)全ての寸法が1nm≦x≦5mm、又は(ii)繊維については、3nm≦x≦15mmの長さ、及び3を超える長さ対直径比を有する、固体ポリマー含有粒子を含む。特に、マイクロプラスチックは、タンパク質を担持している。マイクロプラスチックは、少なくとも1つ又は1つよりも多くの粒子を形成することができる。粒子集積体又は粒子集合体を形成するための最小値は、2つの粒子である。
【0036】
「粒子」という用語は、この文脈において、定義された物理的境界を有する物質の微小部分を意味する。定義された物理的な境界は界面である。
【0037】
「ポリマー含有粒子」という用語は、(i)任意の厚さの少なくとも部分的に連続した、又は完全に連続したポリマー表面コーティングを有する任意の組成の粒子、及び/又は(ii)1%w/w以上のポリマー含有量を有する任意の組成の粒子を意味する。好ましくは、ポリマーは有機ポリマーである。
【0038】
「固体」という用語は、液体又は気体ではない物質又は混合物を意味する。
【0039】
「ガス」という用語は、(i)50℃で300kPa(絶対)を超える蒸気圧を有するか、又は(ii)20℃で101.3kPaの標準圧力で完全に気体である物質を意味する。
【0040】
「タンパク質担持」という用語は、この文脈において、マイクロプラスチックが、特にその表面及び又は粒子細孔表面上に、あるクラスの窒素有機化合物のいずれかを含むことを意味する。窒素有機化合物は、アミノ酸の1つ又は複数の鎖を含む。特に、それらは、特に筋肉、毛髪などの身体組織の構造成分として、並びに酵素、ポリペプチド及び抗体として、すべての生物の必須部分である。
【0041】
「集積(agglomeration)」という用語は、この文脈において、液体試料中の少なくとも2つのマイクロプラスチック粒子、特に2つよりも多くのマイクロプラスチック粒子、例えば100未満の会合を意味する。集積は、不安定化、凝固、フロキュレーション及び/又は沈殿を含む。一実施形態では、「集積(agglomeration)」及び「凝集(aggregation)」という用語は互換的に使用することができる。別の実施形態では、集積及び凝集という用語は、例えばNichols et al.J.Pharm.Sci,91,10,2002,2103-2109によって開示されているように使用することができる。
【0042】
「ラテックス粒子」又は「ラテックス」という用語は、この文脈において、「ラテックス粒子」又は「ラテックス」が液体中でポリマー粒子のコロイド状分散液を形成することを意味する。合成ラテックスは、エマルジョン、ミニエマルジョン、マイクロエマルジョン、又は分散重合の生成物として得られるラテックスである。好ましくは、「ラテックス粒子」という用語は、この文脈において、100個を超えるスチレン/スチレン関連部分を含む補充単位で重合されることによって、スチレン又はスチレン関連成分から形成されることを意味する。ラテックス自体は、水性媒体中のポリマー微粒子の安定な分散物(エマルジョン)であり得る。これは自然界で見出すことができるが、合成ラテックスは、界面活性剤で乳化されたスチレンなどのモノマーを重合することによって作製することができる。
【0043】
用語「クリック試薬」は、この文脈において、試薬がクリックケミストリーを受けることを意味する。化学合成では、クリックケミストリーは、バイオコンジュゲーションで一般的に使用される生体適合性小分子反応のクラスであり、特定の生体分子と選択された基質の結合を可能にする。クリックケミストリーは当業者に公知であり、例示的な化学として、例えばアジド/アルキン、NHSなどであり得る。
【0044】
「キット」は、少なくとも1つの試薬、例えば障害の処置のための薬品、又は本発明のバイオマーカ遺伝子若しくはタンパク質を特異的に検出するためのプローブを含む、任意の製品(例えば、パッケージ又は容器)である。キットは、好ましくは、本発明の方法を実行するためのユニットとして、奨励、流通、又は販売される。典型的には、キットは、バイアル、チューブ等の1つ以上の容器手段を密接に閉じ込めて受け入れるように区画化された担体手段を更に含むことができる。特に、容器手段の各々は、第1の態様の方法で使用される別個の要素のうちの1つを備える。キットは、反応触媒を含むがこれに限定されない1以上の他の試薬をさらに含み得る。キットは、緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、注射器、及び使用説明を伴う添付文書を含むがこれらに限定されない、更なる材料を含む1つ以上の他の容器を更に含んでもよい。錠剤は、組成物が特定の用途に使用されることを示すために容器上に提示され得、インビボ使用又はインビトロ使用のいずれかに関する指示も示し得る。コンピュータ・プログラム・コードは、光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク)等のデータ記憶媒体若しくは装置上に、又はコンピュータ若しくはデータ処理装置に直接提供されてもよい。その上キットは、較正目的のために、本明細書の別の箇所に記載されるような酸の標準量を含み得る。
【0045】
「錠剤」という用語は、医薬経口剤形(経口固体投薬量又はOSD)又は固体単位剤形である。錠剤は、適切な賦形剤を含む医薬(単数又は複数)の固体単位剤形として定義され得る。錠剤は、成形又は圧縮のいずれかによって調製される。それは、活性物質と賦形剤との混合物を含み、通常は粉末形態であり、粉末から固体用量にプレス又は圧縮される。賦形剤は、効率的な錠剤化を確実にするための、希釈剤、結合剤又は造粒剤、流動促進剤(流動助剤)及び潤滑剤;消化管における錠剤崩壊を促進するための崩壊剤;味を増強するための甘味料又は香味料;及び、錠剤を視覚的に魅力的にし、又は未知の錠剤の視覚的識別を補助するための顔料を含むことができる。ポリマーコーティングを適用して、錠剤をより滑らかにし、嚥下しやすくし、有効成分の放出速度を制御し、環境に対する耐性を高め(貯蔵寿命を延ばす)、又は錠剤の外観を高めることができる。錠剤は、丸剤、カプレット剤又は口腔内崩壊錠(ODT)であり得る。錠剤は、錠剤プレス工程によって製造することができる。適切な量の有効成分が、成分をよく混合することによって各錠剤中に存在しなければならない。湿式造粒及び/又は乾式造粒を使用して、錠剤への圧縮のために粉末を造粒することができる。よく混合することができる粉末は造粒を必要とせず、直接圧縮によって錠剤に圧縮することができる。
【0046】
この文脈における「マイクロプラスチックは集積している」という用語は、特に、マイクロプラスチックが粒子を形成し、これらの粒子が集積構造を形成することを意味する。
【0047】
「高濃度臨床廃水」という用語は、試薬又は試料及び希釈剤を処理した後に臨床分析装置から出る得られた液体流の組み合わせである。測定ユニットの後の試料処理工程の希釈剤処理工程を分割することによって、装置内で廃水をさらに分離して高濃縮画分を得ることができる。
【0048】
「飽和」という用語は、物質、例えば酸の溶液が、その物質をそれ以上溶解することができない点である。最大濃度のこの点(飽和点)は、液体試料の温度、並びに関与する物質、例えば酸の化学的性質に依存する。
【0049】
「粉末状固体酸」という用語は、100nm~10mmの粒径を有する粒状固体である。
【0050】
「pH値の変化」という用語は、この文脈において、例えば液体試料のpH値が変化前のpH値と比較して増加していることを意味し得る。あるいは、「pH値の変化」という用語は、この文脈において、例えば液体試料のpH値が変化前のpH値と比較して低下していることを意味し得る。
【0051】
「清浄な」及び「精製された」という用語は、互換的に使用することができる。
【0052】
「重力」という用語は、2つの成分、懸濁液又は乾燥顆粒混合物のいずれかを分離する工業的方法であり、成分を重力で分離することが十分に実用的である:すなわち、混合物の成分は異なる比重を有する。
【0053】
「濾過」という用語は、流体のみが通過することができる複雑な構造を有する濾過材によって混合物から固形物及び流体を分離する物理的、生物学的又は化学的操作である。濾過材を通過することができない固体粒子はオーバーサイズとして説明され、通過する流体は濾液と呼ばれる。
【0054】
化学における「抽出」という用語は、マトリックスからの物質の分離からなる分離プロセスである。一般的な例には、液液抽出及び固相抽出が含まれる。2つの相間の溶質の分布は、分配理論によって説明される平衡条件である。これは、分析物が初期溶媒から抽出溶媒にどのように移動するかに正確に基づいている。洗浄という用語はまた、所望の化合物を含有する溶媒から不純物が抽出される抽出を指すために使用され得る。
【0055】
「分離」という用語は、組み合わされて、例えば濾過、フロキュレーション又は抽出による分離プロセスの後に分割される、2つの区画を分割するプロセスである。
【0056】
実施形態
第1の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法であって、
a)あるpH値を有する液体試料を提供することであって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、液体試料を提供すること、
b)少なくとも酸を含む液体試料を、液体試料のpH値がマイクロプラスチックのpKs値よりも小さくなるように処理することであって、特に、液体試料のpH値の変化が、酸自体又は支持酸によって誘導される、液体試料を処理すること、を含み、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、排水処理システムに関する。
【0057】
本発明の第1の態様の方法によれば、鉱酸は、H2SO4、H2SO3、HCl、HBr、HI、HF、HClO、HNO3、HNO2、H3PO4、[Fe(H2O)6]3+及び[Al(H2O)6]3+からなる群から選択することができる。
【0058】
本発明の第1の態様の方法によれば、液体試料は、工程(a)で提供される。液体試料は、あるpH値を有する。液体試料は、少なくとも1つ又は1つよりも多くの診断アッセイ試薬を含む。
【0059】
本発明の第1の態様の方法によれば、液体試料は、工程(b)で処理される。液体試料は、少なくとも酸を含む。液体試料は、液体試料のpH値がマイクロプラスチックのpKs値よりも小さくなるように処理される。特に、液体試料のpH値は、酸自体又は支持酸によって低下又は変化する。酸は、有機酸又は鉱酸である。有機酸は、CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、COOH-COOH、COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、COOH-CF3、CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)及びHO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される。好ましくは、酸はWGK及び/又はREACH適合である。
【0060】
本発明の第1の態様の実施形態では、支持酸は酸とは異なる。好ましくは、支持酸は、本開示で言及されるような有機酸及び/又は鉱酸ではない。好ましくは、支持酸は、REACH及び/又はWGK適合である。
【0061】
本発明の第1の態様の実施形態では、支持酸は、以下の群:マレイン酸、アミドスルホン酸、サリチル酸、ポリアクリル酸、FeCl3及びPAA-コ-MAから選択される。好ましくは、支持酸は、以下の群:マレイン酸、アミドスルホン酸、サリチル酸、ポリアクリル酸及びポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸(PAA-コ-MA)から選択される。
【0062】
第1の発明の実施形態では、液体試料は少なくとも1つの酸を含む。少なくとも1つの酸又は1つよりも多くの酸、例えば2つの酸の混合物の含有量は、液体試料を、液体試料中のそれぞれのマイクロプラスチックのpKs値よりも小さいpH値にするための少なくとも濃度値である。
【0063】
第1の発明の実施形態では、液体試料、例えば血清、血漿又は全血試料は液体流である。特に、液体試料は収集された液体流である。「収集された液体流」という用語は、この文脈において、液体流が、例えば容器内に収集されることを意味し得る。
【0064】
本発明者らは、驚くべきことに、上記の酸が、マイクロプラスチック、特に負に帯電したタンパク質担持ラテックス微粒子の不安定化効果を示すことを見出した。これらの酸、特に、濃縮液体酸又は鉱酸の代わりに低いpKsを有する固体(シルスタリン)有機酸を使用する利点は、取り扱い及び投与が容易であり、毒性がより低く、危険潜在性がより低いことである。これらの酸は、正確な重量/量の酸を含む丸剤/錠剤形式で提供することができる。したがって、有機酸のいくつかは使用され、環境損傷の潜在性が低いか又は全くないコーヒーマシン又は水ボイラーの洗浄(脱灰)に適格である。
【0065】
本発明の第1の態様の実施形態では、工程a)において、液体試料は、7の又は7を超えるpH値を有する。
【0066】
本発明の第一の態様の実施形態では、液体試料のpH値はアルカリ性であり、例えば11を超える。液体試料のpH値は、例えば、11又は12又は13又は14である。
【0067】
本発明の第1の態様の実施形態では、本方法は、
c)液体試料におけるマイクロプラスチックの集積、
d)マイクロプラティック(microplatic)、特に集積したマイクロプラスチックを、液体試料から除去すること、
e)マイクロプラスチックを除去した後の液体試料のpH値を、例えば7以上のpH値に上昇させること、
f)マイクロプラスチックのpKs値を決定すること、
又は工程(c)~(f)の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる工程を含む。これは、本方法が以下の工程を含むことを意味し得る:
(a)、(b)及び(c)又は
(a)、(b)及び(d)又は
(a)、(b)及び(e)又は
(a)、(b)及び(f)又は
(a)、(b)、並びに(c)、(d)、(e)及び(f)の組み合わせ。
【0068】
本発明の第1の態様の実施形態では、工程(f)は、工程(a)及び/又は工程(b)の前に実行される。マイクロプラスチックのpKs値は、動的光散乱(DLS)又は他の適切な方法によって決定することができ、又は例えば文献からの既知の値である。診断のプロセスを通じて粒子を示す既知のタイプのpKsのみが現存する又は存在する場合、所定のpKs値を使用することができる。
【0069】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、1mm未満、特に500nm、250nm、200nm、150nm、110nm又は100nm以下の直径を有するナノ粒子である。追加的又は代替的に、マイクロプラスチックは、40nmより大きい、特に50nm又は55nm又は60nm又は65nm又は70nm以上の直径を有するナノ粒子である。
【0070】
本発明の第1の態様の実施形態では、本方法は、工程(c):液体試料におけるマイクロプラスチックの集積を含む。集積は、それぞれの酸によって支持されたプロトン化及び負に帯電した粒子によって行われる分離態様のさらなる消失によって行われる。アミノ酸を補助試薬として使用した場合。したがって、微粒子を単独で不安定化することができない酸、例えば酢酸も、沈殿剤として使用することができる。
【0071】
本発明の第1の態様の実施形態では、本方法は、工程(d):マイクロプラティック(microplatic)、特に集積したマイクロプラスチックを、液体試料から除去することを含む。集合した試料又は集積した試料は、マイクロプラスチック単独よりも大きい複合体全体の直径を含む。得られた集積体が>500nmである場合、精密濾過の領域に高い効率で達することができる。したがって、不安定化/集積したマイクロプラスチックを除去するために、単純な紙及び/又は砂フィルタ又は遠心分離を使用することができる。
【0072】
本発明の第1の態様の実施形態では、本方法は、工程(e):マイクロプラスチックを除去した後の液体試料のpH値を、例えば7以上のpH値に上昇させることを含む。pH値は、酸又は支持酸、例えばマレイン酸、アミドスルホン酸、サリチル酸、ポリアクリル酸、FeCl3及び/又はPAA-コ-MAの添加によって増加又は変化させることができる。
【0073】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料のpH値がマイクロプラスチックのpKs値よりも小さい場合、マイクロプラスチックは工程(c)で集積する。
【0074】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料のpH値がマイクロプラスチックのpKs値よりも大きい場合、マイクロプラスチックは工程(c)で集積しない。言い換えれば、マイクロプラスチックは、工程(c)において安定である。
【0075】
本発明の第1の態様の実施形態では、鉱酸(MA)は、pKs(MA)<3.3、好ましくはpKs(MA)<0を有する無機酸である。特に、鉱酸はプロトン供与体である。特に、鉄塩、例えばFeCl3、又はアルミニウム塩、例えばAlCl3は鉱酸ではない。例えば、FeCl3は、Fe2O3を形成し、水と組み合わせてイオン[Fe(H2O)6]3+を形成するフロキュレーション剤である。
【0076】
酸化鉄は、マイクロプラスチックに結合し、マイクロプラスチックと共に凝結(flocculate)する。これとは対照的に、本発明の酸、特に有機酸及び鉱酸、又はその生成物は、そのそれぞれの酸性形態では、マイクロプラスチックと一緒に凝結しない。したがって、集合したマイクロプラスチック又は集積したマイクロプラスチックは、本発明の酸又はその生成物を含まない。「含まない(Free of)」とは、この文脈において、酸が存在する溶液が、マイクロプラスチックのpKsよりも低いpHを有さないことを可能にする含有量を意味する。
【0077】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料は、使用後の診断アッセイ試薬、特に濁度ベースのアッセイ及び/又は電気化学発光ベースのアッセイによって生成された診断アッセイ試薬を含む廃水である。
【0078】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料は、少なくとも1つの界面活性剤を含む水酸化カリウム含有アルカリ溶液である。界面活性剤は、以下の群から選択することができる:ポリドカノール、Tween、Poloxamer、Trition。
【0079】
本発明の第1の態様の実施形態では、界面活性剤は、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル(ポリドカノール)である。
【0080】
本発明の文脈で使用される界面活性剤は、両親媒性である、すなわち疎水性基と親水性基の両方を含有する化合物である。好ましくは、マイクロプラスチックの表面に結合することができる界面活性剤が選択され、それにより、好ましくはマイクロプラスチック界面活性剤を安定化することができ、用途に応じて、様々な鎖長、親水性-親油性バランス(HLB)値及び表面電荷で使用することができる。好ましくは、本発明による界面活性剤は、第四級アンモニウム塩、アルキルベンゼンスルホネート、リグニンスルホネート、ポリオキシエトキシレート又は硫酸エステルである。界面活性剤の非限定的な例は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ノニルポリエトキシレート(すなわち、NP-4、NP-40及びNP-7)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、硫酸ミレス硫酸ナトリウム、ドキュセート、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート、アル-キル-アリールエーテルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、ステアリン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ペルフルオロノナン酸アンモニウム、ラウレス硫酸マグネシウム、ペルフルオロノナン酸、ペルフルオロオクタン酸、リン脂質、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホネートナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ベヘントリモンクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ブロニドックス、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ラウリルメチルグルセス-10ヒドロキシプロピルジモニウムクロリド、オクテニジンジヒドロクロリド、オラフル、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、塩化ステアラルコニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、臭化トンゾニウム、セトマクロゴール1000、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コカミドDEA、コカミドMEA、デシルポリグルコース、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコールイソセチルエーテル、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ラウリルグルコシド、マルトシド、モノラウリン、ミコサブチリン、ノノキシノール、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、N-オクチルベータ-D-チオグルコピラノシド、オクチルグルコシド、オレイルアルコール、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリドカノール、ポロキサマー、ポリエトキシル化獣脂アミン、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリソルベート、ソルビタン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ステアリルアルコール、サーファクチン、TritonX-100、Tween80、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ヒドロキシスルタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、レシチン、ミリスタミンオキシド、ペプチド剤、ラウロアンホ酢酸ナトリウム及びビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸エステルである。
【0081】
以下の粒子は、100nm~200nm、特に110~140nmの平均粒径を有するポリスチレン系材料からなる。粒子は、溶液pH値7で負電荷を呈するように表面改質される。さらに、表面は、それぞれのポリペプチド、さらには抗体で改質される。保存溶液は、異なる緩衝液、例えば、グリシン(gylcin)、プルロニック(登録商標)P85又は2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)である。
【0082】
ビーズは、それらの表面負荷ポリペプチドに起因して説明することができる。
1)MAK<CRP>M-21F12-IgG
2)MES緩衝液中のCRPLX MVR
3)プルロニックP85溶液中のCRPLX MVR
4)CRPLX MVRグリシン溶液
【0083】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは固相である。好適な固相は、固相抽出(Solid Phase Extraction:SPE)カートリッジ及びビーズを含むが、これらに限定されない。
【0084】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックはビーズ(単数又は複数)である。ビーズは、非磁性、磁性、常磁性又は超磁性であり得る。ビーズは、対象の分析物に特異的であるように、異なってコーティングされてもよい。コーティングは、意図された用途、すなわち意図された捕捉分子によって異なることがある。どのコーティングがどの分析物に適しているかは当業者によく知られている。ビーズは種々の異なる材料で作ることができる。ビーズは様々なサイズを有し得、細孔のある又は細孔のない表面を含み得る。
【0085】
本発明の第1の態様の実施形態では、ビーズは非磁性である。
【0086】
本発明の第一の態様の実施形態では、ビーズ(単数又は複数)は、ISO 13320に従って決定される場合、0.1μm~0.3μm又は50nm~500nmの範囲の粒径を有する。より好ましくは、粒径は、0.15~0.25マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.18~0.22マイクロメートルの範囲である。
【0087】
ビーズを提供する方法は当業者に公知であり、例えばLu,Salabas,Schuth,Angew.Chem Int.Ed.2007,46,1222-1244に記載されており、そのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
本発明の第1の態様の実施形態では、ビーズは、ポリマーマトリックス(P)及び少なくとも1つの磁性又は非磁性コア(M)を含む。好ましくは、少なくとも1つの磁性コア(M)は、金属、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物、金属リン化物、金属酸化物、金属キレート及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される化合物を含む。少なくとも1つの磁性コア(M)はまた、金、銀、白金又は銅などの金属との合金を含んでもよい。
【0089】
各磁性コア(M)は、上記の基のうちの2つ以上、すなわち金属、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物、金属リン化物、金属酸化物、金属キレート及びこれらの2つ以上の混合物のうちの2つ以上の混合物を含んでもよいことを理解されたい。更に、2つ以上の異なる金属、2つ以上の異なる金属酸化物、2つ以上の異なる金属炭化物、2つ以上の異なる金属窒化物、2つ以上の異なる金属硫化物、2つ以上の異なる金属リン化物、2つ以上の異なる金属キレートの混合物が考えられる。
【0090】
好ましくは、粒子は、粒子の総重量に基づいて、40~98重量%の範囲、より好ましくは50~95重量%の範囲、より好ましくは60~90重量%の範囲、最も好ましくは70~85重量%の範囲の量でポリマーマトリックス(P)を含む。
【0091】
ポリマーマトリックス(P)は、好ましくは、スチレン、官能化スチレン、ビニルベンジルクロリド、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、メチルメタアクリレート及びアクリル酸からなる群から選択される少なくとも2つの異なるモノマー構成要素の重合を含む方法によって得られる又は得ることができるコポリマーを含む。好ましくは、以下のモノマーからなる群から選択される少なくとも2つの異なるモノマー構成要素の重合を含む方法によって得られる又は得ることができるコポリマー:
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、互いに独立して、-N
3、-NH
2、-Br、-I、-F、-NR’R’’、-NR’R’’R’’’、-COOH、-CN、-OH、-OR’、-COOR’、-NO2、-SH2、-SO2、-R’(OH)x、-R’(COOH)x、-R’(COOR’’)x、-R’(OR’’)x、-R’(NH2)x、-R’(NHR’’)x、-R’(NR’’R’’’)x、-R’(Cl)x、-R’(I)x、-R’(Br)x、-R’(F)x、R’(CN)x、-R’(N3)x、-R’(NO2)x、-R’(SH2)x、-R’(SO2)x、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、式中、R’、R’’及びR’’’は、互いに独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン化物、水素、スルフィド、ニトレート及びアミンからなる群から選択され、xは、1~3の範囲の整数である)。
【0092】
原則として、当業者に公知の任意のポリマーを使用することができる。好ましくは、ポリマーマトリックスは架橋ポリマーを含み、このポリマーは、より好ましくは、架橋剤である(したがって、得られたポリマーにおいて架橋が達成される薬剤である)少なくとも1つのモノマー構成要素の存在下で適切なモノマー構成要素を共重合することを含む方法によって得られるか又は得ることができる。ポリマーを架橋するための適切な薬剤は当業者に公知であり、ジビニルベンゼン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルベンジルオキシ)ヘキサン、ビス(ビニルベンジルオキシ)ドデカン及びそれらの誘導体などの構成要素を含むが、これらに限定されない。
【0093】
より好ましくは、ポリマーマトリックスPは、上記のような少なくとも2つの異なるモノマー構成要素の重合を含む方法によって得られる又は得ることができる架橋コポリマーを含み、それによって好ましくは架橋ポリマーが得られ、架橋ポリマーはさらに高架橋される。したがって、より好ましくは、ポリマーマトリックスは、高架橋ポリマーを含み、特にそれからなる。より好ましくは、ポリマーマトリックスPは、ポリスチレンラテックスである。
【0094】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、表面改質され、及び/又はコーティングされ、及び/又は官能化され得る。粒子の表面、したがってポリマーマトリックス(P)の表面は、好ましくは、-OH、-COOH、ジエチルアミノエタノール、R-SO2-OH、-NH2、R-SO2-OH、-RNH、-R2N、-R3N+-CH3、-C2H5、-C4H9、-C8H17、-C18H37、-C6H5、-C6H9NO6、フェニルヘキシル、ビ-フェニル、ヒドロキシアパタイト、ボロン酸、ビオチン、アジド、エポキシド、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ酸、-COOR、-COR、-OR、抗体及びその断片、アプタマー、核酸、及び受容体タンパク質又はその結合ドメインからなる群から選択される少なくとも1つの基で官能化される。好ましくは、これらの基は、ポリマーマトリックスの適切な官能基に共有結合している。そのような改変を実施する方法は、当業者に公知である。
【0095】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、抗体又はその抗原結合断片によってコーティングされ、抗体又はその抗原結合断片は、マイクロプラスチックに共有結合又は非共有結合で連結されている。
【0096】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片は、結合対、例えば、第1のパートナーとしてのアビジン及び/又はストレプトアビジン及び第2のパートナーとしてのビオチン又はビオチン類似体を介して連結される。
【0097】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を介して連結されている。
【0098】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片は、クリック試薬を介して連結されている。
【0099】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片は、ジギトキシンを介して連結されている。
【0100】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、表面改質ビーズ、特に抗体改質ビーズである。
【0101】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、負に帯電している、特に負に帯電したラテックス粒子である。特に、酸は、負に帯電したタンパク質担持ラテックス粒子の不安定化効果を示す。
【0102】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、カルボキシレート修飾ポリスチレンである。
【0103】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、ストレプトアビジン被覆ポリスチレン及び/又はマグネタイトである。
【0104】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、磁性若しくは常磁性又は超磁性若しくは非磁性である。特に、マイクロプラスチックは超磁性である。「超磁性(supramagnetic)」及び「超磁性(supermagnetic)」という用語は、互換的に使用することができる。
【0105】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、0.03μm~25μmの範囲、特に0.1μm~5μmの範囲の粒径を有する粒子を形成する。
【0106】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、5又は5未満、例えば4のpKs値を有する。
【0107】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、工程(b)において液体試料に飽和するまで添加される。特に、酸は、液体試料のpH値がマイクロプラスチックのpK未満、例えば4又は5未満になるまで添加される。
【0108】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料は、工程(b)中又はその後にpH<4を有する。
【0109】
本発明の第1の態様の実施形態では、マイクロプラスチックは、工程(d)において、重力、濾過、抽出、分離、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって除去される。好ましくは、マイクロプラスチックは、オクタノールによって抽出することができる。
【0110】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料は、0.01% w/w以上の濃度のマイクロプラスチックを含む。
【0111】
本発明の第1の態様の実施形態では、鉱酸は、塩酸(HCl)又は硫酸(H2SO4)又は硝酸(HNO3)である。
【0112】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸、特に鉱酸は、FeCl3及び/又はAlCl3ではない、又はそれらを含まない。
【0113】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸、特に鉱酸は、Fe2O3及び/又はAl2O3ではない、又はそれらを含まない。
【0114】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は酢酸である。
【0115】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸はプロパン酸である。
【0116】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)である。特に、mは2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10である。
【0117】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1及びq>1)である。特に、pは2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10である。pに加えて又は代替的に、qは2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10である。
【0118】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1及びs>1)である。特に、rは2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10である。rに加えて又は代替的に、sは2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10である。
【0119】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、メルカプトコハク酸又はコハク酸である。
【0120】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、シュウ酸である。
【0121】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、サリチル酸又はマレイン酸である。
【0122】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸である。
【0123】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、ポリアクリル酸である。
【0124】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、ポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)である。
【0125】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、アミドスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸である。
【0126】
本発明の第1の態様の実施形態では、液体試料は、液体試料からのマイクロプラスチックの分離を改善するための吸収体を含む。吸収体は、周囲の水性領域から分離され、したがって1~14のpH範囲内で影響を受けない任意の疎水性材料であり得る。例は、パラフィン系ワックス又はn-オクタノールである。
【0127】
本発明の第1の態様の実施形態では、酸は、上記の少なくとも2つの酸の混合物である。
【0128】
酢酸、マロン酸(酸部分に調整された1×CH2)のような非常に短鎖の有機酸又は二酸、並びにリンゴ酸又はクエン酸のようなα-ヒドロキシル酸は、負に帯電したナノ粒子を不安定化することができない。
【0129】
本発明の第1の態様の実施形態では、ステアリン酸のような、水に不溶性の超長鎖脂肪(アリル鎖>7)酸は、酸、例えば不安定化剤として作用することができない。
【0130】
本発明の第1の態様の実施形態では、双性イオン物質としても説明することができ、したがって緩衝系として作用することができるアミノ酸は、飽和溶液中であっても、マイクロプラスチックのpKよりも低くpH値を低下させるのに十分な酸性として作用することができないという事実のために、負に帯電したナノ粒子を不安定化する能力を有さない。
【0131】
実際、アミノ酸は、単独では効果を及ぼさない酸、例えば低濃度ギ酸及び酢酸と混合された場合でも、負に帯電した粒子の沈殿に効果を及ぼすことができる。
【0132】
それぞれの有機物によって不安定化された有機ナノ粒子の沈殿後に追加の水性塩基を添加することができる場合、沈殿の効果を逆転させることができる。ビーズは、再び急速に濾過不可能な溶液を形成することができる。
【0133】
第2の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特にマイクロプラスチックを、液体試料、特に廃水から分離するための本発明の第1の態様による方法の使用に関する。本発明の第1の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第2の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0134】
本発明の第2の態様の実施形態では、本発明の第1の態様による方法は、液体試料からマイクロプラスチックを分離するために使用され、液体試料は廃水である。特に、廃水は、濁度ベースのアッセイのプロセスから生じる。
【0135】
本発明の第2の態様の実施形態では、濁度ベースのアッセイは、粒子増強濁度免疫アッセイ(PETIA)である。PETIAは当業者に知られているので、ここでは詳細に説明しない。
【0136】
第3の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための錠剤であって、
液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に低下させることができる少なくとも酸を含み、
酸は、粉末状固体酸であり、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、錠剤に関する。
【0137】
本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第3の態様に適用され、その逆も同様である。
【0138】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる精製された液体試料に関し、液体試料は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬から洗浄される廃水であり、特に使用後の診断アッセイ試薬はマイクロプラスチックである。本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第4の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0139】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる診断アッセイ試薬に関し、診断アッセイ試薬は、集積したマイクロプラスチックである。本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様及び/又は本発明の第4の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第5の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0140】
第6の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための排水処理システムであって、
-あるpH値を有する液体試料を収集することができる容器であって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、容器、
-液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる少なくとも1つの酸、
-任意に、液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる支持酸、を含み、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、排水処理システムに関する。本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様及び/又は本発明の第4の態様及び/又は本発明の第5の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第6の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0141】
本発明の第6の態様の実施形態では、容器は、臨床分析装置から連続的又は不連続的な液体流を収集することができる。容器の容積は、容積流に関する。それは、少なくとも、微粒子が不安定化してそれぞれの集積物を形成するのに必要なサイズである必要がある。容器材料は、1~14の範囲のpH値に耐える必要がある。
【0142】
第7の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための、本発明の第6の態様の排水処理システムの使用に関する。本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様及び/又は本発明の第4の態様及び/又は本発明の第5の態様及び/又は本発明の第6の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第7の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0143】
第8の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法を実施するのに適したキットであって、
-本発明の第3の態様による錠剤、
-マイクロプラスチックと液体試料とを分離することのできる分離ユニット、及び
-任意に容器を含む、キットに関する。本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様及び/又は本発明の第4の態様及び/又は本発明の第5の態様及び/又は本発明の第6の態様及び/又は本発明の第7の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第8の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0144】
本発明の第8の態様の実施形態では、キットは容器を含む。
【0145】
本発明の第8の態様の実施形態では、分離ユニットは、連続的又は不連続的な動作挙動で収集容器の後に設置される。分離ユニットは、集積した微粒子をそれらの化学的物理的特性、例えばサイズ(例えば、紙及び/又は砂などによる濾過)又は密度(例えば、遠心分離、重力分離など)によって除去することができる。
【0146】
第9の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法における本発明の第8の態様のキットの使用に関する。本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様及び/又は本発明の第4の態様及び/又は本発明の第5の態様及び/又は本発明の第6の態様及び/又は本発明の第7の態様及び/又は本発明の第8の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第9の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0147】
第10の態様では、本発明は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための酸であって、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択され、酸は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬のpKs値に対して液体試料のpH値を変化させることができる、酸に関する。
【0148】
本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様及び/又は本発明の第4の態様及び/又は本発明の第5の態様及び/又は本発明の第6の態様及び/又は本発明の第7の態様及び/又は本発明の第8の態様及び/又は本発明の第9の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第10の態様に適用され、逆もまた同様である。
【0149】
さらなる実施形態では、本発明は、以下の態様に関する:
1.使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための方法であって、
a)あるpH値を有する液体試料を提供することであって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、液体試料を提供すること、
b)少なくとも酸を含む液体試料を、液体試料のpH値がマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値よりも小さくなるように処理することであって、特に、液体試料のpH値の変化が、酸自体又は支持酸によって誘導される、液体試料を処理すること、を含み、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、方法。
【0150】
2.工程a)において、液体試料が、7の又は7を超えるpH値を有する、態様1に記載の方法。
【0151】
3.液体試料のpH値がアルカリ性、例えば11超である、態様1又は2に記載の方法。
【0152】
4.c)液体試料におけるマイクロプラスチックの集積、
d)マイクロプラティック(microplatic)、特に集積したマイクロプラスチックを、液体試料から除去すること、
e)マイクロプラスチックを除去した後の液体試料のpH値を、例えば7以上のpH値に上昇させること、
及び工程(c)~(e)の組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる工程を含む、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
5.液体試料のpH値がマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値よりも小さい場合、工程(c)においてマイクロプラスチックが集積する、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
6.鉱酸(MA)が、pKs(MA)<0を有する無機酸である、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
7.液体試料が、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特に濁度ベースのアッセイ及び/又は電気化学発光ベースのアッセイによって生成された診断アッセイ試薬を含む廃水である、態様1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
8.液体試料が、少なくとも1つの界面活性剤を含む水酸化カリウム含有アルカリ溶液である、態様1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
9.界面活性剤が、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル(ポリドカノール)である、態様8に記載の方法。
【0158】
10.マイクロプラスチックが固相である、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0159】
11.マイクロプラスチックがビーズである、態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
12.マイクロプラスチックが、抗体又はその抗原結合断片によってコーティングされ、抗体又はその抗原結合断片が、マイクロプラスチックに共有結合又は非共有結合で連結されている、態様1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
13.マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片が、結合対、例えば、第1のパートナーとしてのアビジン及び/又はストレプトアビジン及び第2のパートナーとしてのビオチン又はビオチン類似体を介して連結される、態様12に記載の方法。
【0162】
14.マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片が、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を介して連結されている、態様12に記載の方法。
【0163】
15.マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片が、クリック試薬を介して連結されている、態様12に記載の方法。
【0164】
16.マイクロプラスチック及び抗体又はマイクロプラスチック及び抗体の抗原結合断片が、ジギトキシンを介して連結されている、態様12に記載の方法。
【0165】
17.マイクロプラスチックが、表面改質ビーズ、特に抗体改質ビーズである、態様1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
18.マイクロプラスチックが、負に帯電している、特に負に帯電したラテックス粒子である、態様1~17のいずれか一項に記載方法。
【0167】
19.マイクロプラスチックが、カルボキシレート修飾ポリスチレンである、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
20.マイクロプラスチックが、ストレプトアビジン被覆ポリスチレン及び/又はマグネタイトである、態様1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
21.マイクロプラスチックが、磁性又は常磁性又は超磁性又は非磁性である、態様1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
22.マイクロプラスチックが、0.03μm~25μmの範囲、特に0.1μm~5μmの範囲の粒径を有する粒子を形成する、態様1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
23.マイクロプラスチックが、5又は5未満、例えば4のpKs値を有する、態様1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
24.酸が、工程(b)において液体試料に飽和するまで添加される、態様1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
25.工程(b)において、又はその後に、液体試料が4未満のpHを有する、態様1~24のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
26.マイクロプラスチックが、工程(d)において、重力、濾過、抽出、分離、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって除去される、態様1~25のいずれか一項に記載方法。
【0175】
27.液体試料が、0.01% w/w以上の濃度のマイクロプラスチックを含む、態様1~26のいずれか一項に記載方法。
【0176】
28.鉱酸が、塩酸(HCl)又は硫酸(H2SO4)又は硝酸(HNO3)である、態様1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
29.酸、特に鉱酸が、FeCl3及び/又はAlCl3ではない、又はそれらを含まない、態様1~28のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
30.酸がプロパン酸である、態様1~29のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
31.酸がメルカプトコハク酸又はコハク酸である、態様1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
32.酸がシュウ酸である、態様1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
33.酸がサリチル酸又はマレイン酸である、態様1~2のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
34.酸がトリフルオロ酢酸である、態様1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
35.酸がポリアクリル酸である、態様1~34のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
36.酸がポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)である、態様1~35のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
37.酸がアミドスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸である、態様1~36のいずれか一項に記載の方法。
【0186】
38.使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬、特にマイクロプラスチックを、液体試料、特に廃水から分離するための、態様1~37のいずれか一項に記載の方法の使用。
【0187】
39.使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための錠剤であって、
液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に低下させることができる少なくとも酸を含み、
酸は、粉末状固体酸であり、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、錠剤。
【0188】
40.態様1~37のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる精製された液体試料であって、液体試料が、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬から洗浄される廃水であり、特に使用後の診断アッセイ試薬がマイクロプラスチックである、精製された液体試料。
【0189】
41.態様1~37のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる診断アッセイ試薬であって、集積したマイクロプラスチックである、診断アッセイ試薬。
【0190】
42.使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための排水処理システムであって、
-あるpH値を有する液体試料を収集することができる容器であって、少なくとも1つの診断アッセイ試薬が少なくとも1つのpKs値を有するマイクロプラスチックである、容器、
-液体試料のpH値をマイクロプラスチックのpKs値未満に適合させることができる少なくとも1つの酸、
-任意に、液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる支持酸、を含み、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択される、排水処理システム。
【0191】
43.使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための、態様42に記載の排水処理システムの使用。
【0192】
44.態様1~37のいずれか一項に記載の方法を実施するのに適したキットであって、
-態様34に記載の錠剤、
-マイクロプラスチックと液体試料とを分離することのできる分離ユニット、及び
-任意に容器を含む、キット。
【0193】
45.態様1~37のいずれか一項に記載の方法における態様44に記載のキットの使用。
【0194】
46.使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬を含む液体試料を処理するための酸であって、
酸は、有機酸又は鉱酸であり、
有機酸は、
CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、
COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、
COOH-COOH、
COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、
COOH-CF3、
CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、
CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)、及び
HO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択され、酸は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬のpKs値に対して液体試料のpH値を変化させることができる、酸。
【実施例】
【0195】
以下の実施例は、本明細書で特許請求される発明を例示するために提供されるのであって、限定するものではない。
【0196】
有機酸試験の実験設計:
試験は、以下の工程によって行うことができる。
【0197】
1)液体試料を調製した:マイクロプラスチックとしての蛍光マーカー(0,4% m/v)溶液を有する参照ラテックスビーズを(CellWash(登録商標)、Roche Diagnosticsから購入した)溶液と1:20で混合し、ボルテックスした。液体試料のpHはpH>11であり、総体積10ml中の最終マイクロプラスチックレベル(ビーズ濃度)は0.02%(m/v)であった。マイクロプラスチック、特にラテックスビーズの青色染色は、上清中のマイクロプラスチックの有無について非常に良好な視覚的手がかりを可能にした。マイクロプラスチックは、少なくとも1つ(例えば1又は2又は3)のpKs値を有する。
【0198】
本明細書で使用される参照ラテックスビーズは、JG9(5~6μmol/gラテックス)で染色され、sNHS/EDCを介して抗ジゴキシゲニンAb MAK<Dig>M-19-11-IgG(200mg Ab/gラテックス)のポリマー形態とコンジュゲートしたカルボキシメチルラテックス粒子(直径200nm)であり、グリシン停止保存緩衝液:5mM KP(pH 7,4)、1% RPLA new、0.01% MIT、0.25% CAA希釈/作業緩衝液:TAPS 62.5mM pH8.5/NaCl 1.25M/Tween 20 0.06%/RPLA 4 0.3 5%/NaN3 0.0009%/12.5μg/ml MAK<CK-MM>M 33-IgG、12.5μg/ml MAK<CK-MM>M33-IgG 1/Fab’1-ポリ作用濃度:0.1%洗浄緩衝液10mM Tris/HCl pH8.0、0.1% Triton X-100、0.01% Oxipyrion、0.001% MIT。参照ラテックスビーズは、EP2631007A1に開示されており、本開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
ラテックス試薬又はラテックスビーズは、ポリスチレン粒子(特に110~140nm又は221nm)で構成することができる。検出に使用される抗体は、表面に共有結合することができる。ビーズは、カルボキシレート修飾され得る。ビーズ表面への抗体の共有結合は、スルホ-NHS/EDC化学を用いて確立され得る。抗体は、各アッセイに特異的であり得、例えば抗-CRPであり得る。異なる実施形態では、抗体を抗原で置換することができるが、粒子は前述のものと同様であり得る。粒子はさらに蛍光標識することができ、特にJG9を使用することができる。
【0200】
CM-カルボキシレート修飾、Lx-ラテックス、JG9-色素、MAK-抗体、Dig-Digmarked=リンカーM-19-11-IgG-第2の抗体
2)(1)に記載の液体試料に、選択した酸を、それぞれの溶液が飽和するまで添加した。液体試料のpH値は、マイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値よりも小さい。
【0201】
3)(2)の液体試料を約5分間緩和し、その後、漏斗によって支持されたワットマンペーパーフィルタを通して濾過した。
【0202】
4)(3)の濾過した液体試料のpHを測定し、マイクロプラスチック(青色蛍光ビーズ)について目視検査した。結果は、以下の3つの基準を使用して評価した:
(0)ビーズ沈殿なし、濾過残渣なし;
(1)遅いビーズ沈殿であり、不完全な濾過結果を伴う;
(2)速いビーズ沈殿だが、不完全な濾過;
(3)速いビーズ沈殿であり、100%に近い高いフィルタ収率。遅いとは、この場合、5分~60分を意味する。速いとは、この場合、<5分を意味する。
【0203】
結果を以下の表1に示す。
【0204】
アミノ酸試験のための実験設計:
試験は、以下の工程によって行うことができる。
【0205】
1)液体試料を調製した:マイクロプラスチックとしての蛍光マーカー(0,4% m/v)溶液を有する参照ビーズラテックス(上記実験を参照)を、NaOH(CleanWash、Roche Diagnosticsから購入した)溶液と1:20で混合し、ボルテックスした。液体試料のpHはpH>11であり、総体積10ml中の最終マイクロプラスチックレベル(ビーズ濃度)は0.02%(m/v)であった。マイクロプラスチック、特にラテックスビーズの青色染色は、上清中のマイクロプラスチックの有無について非常に良好な視覚的手がかりを可能にした。マイクロプラスチックは、少なくとも1つのpKs値を有する。
【0206】
2)(1)に記載の液体試料に、選択したアミノ酸を、液体試料が飽和するまで添加した。
【0207】
3)(2)の液体試料を約5分間緩和し、その後、漏斗によって支持されたワットマンペーパーフィルタを通して濾過した。
【0208】
4)(3)の濾過した液体試料のpHを測定し、マイクロプラスチック(青色蛍光ビーズ)について目視検査した。
【0209】
結果は、以下の3つの基準を使用して評価した
(0)ビーズ沈殿なし、濾過残渣なし;
(1)遅いビーズ沈殿であり、不完全な濾過結果を伴う;
(2)速いビーズ沈殿だが、不完全な濾過;
(3)速いビーズ沈殿であり、100%に近い高いフィルタ収率
【0210】
5)濾紙上に残渣が目視できなかった場合、濾液を分割し、ギ酸又は酢酸を添加して、得られた溶液のpHをおよそpH=3に低下させ、工程3)及び4)に従った。
【0211】
結果を以下の表1に示す。
【0212】
マイクロプラスチックサイズ(ビーズサイズ)及びタンパク質負荷試験の実験設計:
試験は、以下の工程によって行うことができる。
【0213】
1)それぞれのマイクロプラスチック(ビーズ、表2参照)をNaOH(CleanWash、Roche Diagnosticsから購入した)溶液と1:20で混合し、ボルテックスする。それぞれの液体試料のpHはpH>11であり、総体積10ml中の最終マイクロプラスチックレベル(ビーズ濃度)は元の溶液(表2参照)の1/20(m/v)であった。
【0214】
2)(1)に記載の液体試料に、それぞれの溶液がpH<3を示すまでマレイン酸を添加した。
【0215】
3)(2)の液体試料を約5分間緩和し、その後、漏斗によって支持されたワットマンペーパーフィルタを通して濾過した。
【0216】
4)(3)の濾過した液体試料のpHを測定し、マイクロプラスチック(青色蛍光ビーズ)について目視検査した。結果は、以下の3つの基準を使用して評価した:
(0)ビーズ沈殿なし、濾過残渣なし;
(1)遅いビーズ沈殿であり、不完全な濾過結果を伴う;
(2)速いビーズ沈殿だが、不完全な濾過;
(3)速いビーズ沈殿であり、100%に近い高いフィルタ収率
【0217】
実験設計ビーズ集合体の回収試験:
沈殿したマイクロプラスチック、例えば有機酸試験用の実験設計のビーズを濾過工程後に使用し、フィルタ上の沈殿したビーズ上に5mlのクリーンウォッシュ溶液(Cell Wash Solution l/ NaOH-D 04880285、Roche Diagnosticsから購入)で覆った。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0218】
表1に示す効果:結果は、以下の基準(0)、(1)、(2)及び(3)を使用して評価したAmeisensaure=ギ酸、Essigsaure=酢酸、Propionsaure=プロピオン酸。
【0219】
表1の結果から分かるように、以下の酸が液体試料中のマイクロプラスチックを沈殿させることができる:無水グルタル酸、メルカプトコハク酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アミドスルホン酸、ポリアクリル酸、サリチル酸、シュウ酸、ポリ(メチルメタクリレート-コ-メタクリル酸)(PMMA-コ-MA)、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、鉱酸、特に強力な無機酸。さらに、脱灰錠剤、例えばJura社の脱灰錠剤は、100%に近い高いフィルタ収率で速いビーズ沈殿を示す。脱灰錠剤は、規制(EG)Nr.648/2004に従って、マレイン酸、スルファミド酸、重炭酸ナトリウム及びベンゾトリアオールを含むことができる。重炭酸塩は錠剤の良好な溶解特性を担い、ベンゾトリアゾールは金属パイプを無傷に保つ役割を担う。
【0220】
好ましくは、マイクロプラスチック、例えばマイクロプラスチック粒子は負に帯電しており、表面タンパク質、例えば抗体を含む。したがって、マイクロプラスチックは良好に不安定化される。
【0221】
ギ酸については、濃度依存性が見出されている。c=0,2Mギ酸を使用した場合、効果は0であった。c>0,5M(pH<2)のより高い濃度のギ酸は、最大2のさらなる濃度依存効果をもたらす。
【0222】
アミノ酸は、アルカリ溶液のpH降下がナノビーズのpKsに未満のpH値に達するのに十分ではないという事実のために、それらの天然形態では活性ではないことが見出されている。pHをビーズのpKs未満に低下させる酢酸又はギ酸のような酸の添加は、ナノビーズの沈殿中のすべてのアミノ酸について2~3の効果をもたらした。
【0223】
酸添加後の不安定化及び沈殿の効果は、例えば塩基性溶液、例えばCleanCell試薬を使用して沈殿物のpH値を上昇させることによって消失させることができる。集合又は集積したマイクロプラスチックビーズは、通常の紙フィルタ材料を通過するより小さな粒子を形成している。
【0224】
マイクロプラスチックの異なるナノ粒子サイズ及びタンパク質負荷を調査する。
【0225】
以下の追加のマイクロプラスチック、特にビーズは、タンパク質負荷なしでスクリーニングされている。
【表2】
【0226】
上記の製品番号を有するマイクロプラスチックは、Sigma-Aldrich及び/又はThermoFisherから購入される。
【0227】
製品番号89904-5ML-F、43302-5ML-F、72986-5ML-F及び90768-5MLのマイクロプラスチックは、ポリスチレン、特にPSからのラテックスビーズに基づく微粒子である。製品番号L5155-1MLのマイクロプラスチックは、ラテックスビーズ、カルボキシレート修飾ポリスチレン、蛍光黄緑色である。製品番号L3280-1ML及びL3030-1MLのマイクロプラスチックは、ラテックスビーズ、カルボキシレート修飾ポリスチレン、蛍光赤である。異なる製品番号を有するマイクロプラスチックは、表2の2列に記載されているように、それらの粒径が異なる。
【0228】
以下の追加のマイクロプラスチック、特にビーズは、タンパク質を負荷させてスクリーニングされている。
【表3】
【0229】
上記の製品番号を有するマイクロプラスチックOpti-Link Core粒子は、Thermofisherから購入され、それに応じて変更することができる。表3は、中間生成物工程及びコアビーズから出発する異なるビーズ充填量も含む。当業者は、記載欄から、どの表面改質が行われたかを理解することができる。
【0230】
タンパク質被覆Thermo Opti-Link Core Beadsは、タンパク質非被覆Thermo Opti-Link Core Beadsと比較して、酸、例えばマレイン酸によって沈殿させることができる。特に、タンパク質はモノクローナル抗体(MAK)である。
【0231】
観察された効果は、2段階プロセスによって説明することができる。
【0232】
1)任意の活性物質は、液体試料のpH値を、それぞれの表面タンパク質を有するマイクロプラスチック、例えばビーズの少なくとも1つのpKs値より低くする必要がある。これは、酸自体の添加によって、又は支持酸、例えばギ酸若しくは酢酸の添加によって行うことができる。
【0233】
2)A)活性物質は、不安定化されたナノ粒子のそれぞれの有機骨格によって近接を支持して、沈殿することができ、及び又は濾過することができる、より大きなクラスタを形成する必要がある。
【0234】
B)活性物質は、それらの有機的性質によって任意のミセル及び界面活性剤形成構造の不安定化を支援する必要がある。任意の洗剤は、溶液中の親油性/親水性特性によってナノ粒子を保持することができる。これは、負に帯電したナノ粒子のための活性物質の添加によって妨害される。
【0235】
図1は、使用後の少なくとも1つの診断アッセイ試薬8、特に500nm未満の粒径を有するマイクロプラスチックを含む液体試料6を処理するための廃水処理システム10を示す。廃水処理システム10は、容器2を備える。容器2は、液体試料6、特に500nm未満の粒径を有するマイクロプラスチックを含む廃水を収集する。液体試料6は、pH値を有する。特に、液体試料6は、酸で処理する前に10を超えるpH値、例えば11以上のpH値を有する。この場合、少なくとも1つの診断アッセイ試薬はマイクロプラスチック8である。マイクロプラスチック8は、5又は5未満のpKs値を有する。システム10は、液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させるための支持酸を含むことができる(ここでは図示せず)。
【0236】
マイクロプラスチック8を含む液体試料6は、容器2内に収集される。さらに、錠剤3の一部である少なくとも1つの酸を含む錠剤3が添加される。錠剤は、さらなる物質、例えば添加剤(ここでは図示せず)を含むことができる。酸は、液体試料のpH値をマイクロプラスチックの少なくとも1つのpKs値未満に適合させることができる。酸は、有機酸又は鉱酸である。有機酸は、CH3-[CH2]n-COOH(1<n<4)、COOH-CH2-(SH)-CH2-(CH3)-COOH、COOH-COOH、COOH-C(CH)=C(CH)-OH(COOH)、COOH-CF3、CH3-[CH2-CH-COOH]m-CH3(m>1)、CH3-[CH2-CH-COOH]p-[CH-COOH-CH-COOH]q-CH3(p>1かつq>1)及びHO-SO2-NH2(CH)r(CH2)s-CH3(r>1かつs>1)からなる群から選択することができる。液体試料6は、少なくとも1つの酸で処理される。液体試料6を少なくとも1つの酸で処理した後、液体試料6のpH値は、マイクロプラスチック8の少なくとも1つのpKs値未満に低下する。
【0237】
そして、マイクロプラスチック8は、集合体又は集積体4を形成する。集合体又は集積体4は、血清を含むことができる。マイクロプラスチック8の集合体又は集積体4は、例えば、重力、濾過、抽出及び/又は分離によって容易に分離することができる。集合体又は集積体4は、500nmを超える粒径を有することができる。マイクロプラスチックを含まない、又はマイクロプラスチックを実質的に含まない精製された液体試料7を再循環させることができ、例えば別の容器、例えば精製された水の収集容器に移すことができる。用語「マイクロプラスチックを実質的に含まない」は、この文脈において、(精製された)液体試料中のマイクロプラスチックの少なくとも80%が除去される/除去されたことを意味し得る(1-液体流、5-分離ユニット、例えば濾過ユニット)。
【0238】
本特許出願は、欧州特許出願20187160.5の優先権を主張し、この欧州特許出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】