(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】カテーテルのユニバーサルペーシング
(51)【国際特許分類】
A61B 5/33 20210101AFI20230808BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20230808BHJP
A61N 1/365 20060101ALI20230808BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20230808BHJP
A61B 5/367 20210101ALI20230808BHJP
【FI】
A61B5/33 110
A61B5/287 100
A61N1/365
A61N1/05
A61B5/287 300
A61B5/367
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504585
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 IB2021055474
(87)【国際公開番号】W WO2022018542
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ボッツァー・リオル
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053CC03
4C053KK02
4C053KK07
4C053KK08
4C127AA02
4C127DD04
4C127HH13
4C127KK03
4C127KK05
4C127LL08
(57)【要約】
方法が提供される。本方法は、カテーテルの電極によって、パルスで心臓組織をペーシングすることを含む。本方法は、電極によって、心臓組織の電気生理学的再分極の期間を観察することを含む。電気生理学的再分極の期間は、ペーシングによって引き起こされる。本方法はまた、電気生理学的再分極の期間後に、電極によって心臓組織内の電気信号を測定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
複数の電極を含むカテーテルと、
心臓ペーシング及び診断デバイスであって、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアのプロセッサ実行可能命令を記憶するメモリ、及び前記心臓ペーシング及び診断ソフトウェアの前記プロセッサ実行可能命令を実行して、前記装置に、
前記カテーテルの前記複数の電極によって、複数のパルスにより心臓組織をペーシングさせ、
前記ペーシングによって引き起こされた前記心臓組織に対する電気生理学的再分極の期間を、前記カテーテルの前記複数の電極によって観察させ、
前記電気生理学的再分極の期間後に、前記カテーテルの前記複数の電極によって、前記心臓組織内の電気信号を測定させる、
ように構成されたプロセッサを含む、心臓ペーシング及び診断デバイスと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記複数の電極の各々は、前記心臓組織の1つの特定の孤立領域に、前記複数のパルスのうちの1つのパルスを供給する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気生理学的再分極の期間は、前記心臓組織が不応期にある期間を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記心臓ペーシング及び診断ソフトウェアの前記プロセッサ実行可能命令を実行して、前記装置に、
前記電気信号が前記心臓組織内で測定された後に、戻り活動パターンの進行を測定させる、
ように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記心臓ペーシング及び診断ソフトウェアの前記プロセッサ実行可能命令を実行して、前記装置に、
前記戻り活動パターンの前記進行に基づいて、前記心臓組織内の対象病巣点を隔離及び分析させる、
ように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カテーテルは、メッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の電極は少なくとも40個の電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のパルスの各々は、一緒にかつ同時にペーシングされる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のパルスは、各ペーシング間の時間を制御するようにペーシングされる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
方法であって、
カテーテルの複数の電極によって、複数のパルスにより心臓組織をペーシングすることと、
前記ペーシングによって引き起こされた前記心臓組織に対する電気生理学的再分極の期間を、前記カテーテルの前記複数の電極によって観察することと、
前記電気生理学的再分極の期間後に、前記カテーテルの前記複数の電極によって、前記心臓組織内の電気信号を測定することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記複数の電極の各々は、前記心臓組織の1つの特定の孤立領域に、前記複数のパルスのうちの1つのパルスを供給する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電気生理学的再分極の期間は、前記心臓組織が不応期にある期間を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記電気信号が前記心臓組織内で測定された後に、戻り活動パターンの進行を測定することを更に含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記戻り活動パターンの前記進行に基づいて、前記心臓組織内の対象病巣点を隔離及び分析することを更に含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カテーテルは、メッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の電極は少なくとも40個の電極を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のパルスの各々は、一緒にかつ同時にペーシングされる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のパルスは、各ペーシング間の時間を制御するようにペーシングされる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のパルスの数又は位置の各々は、前記電気生理学的再分極の期間を操作するために変更される、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記心臓組織の隔離された部分がペーシングされる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理に関し、より詳細には、改善された心臓信号分析を可能にするためのカテーテルによるユニバーサルペーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
心不整脈などの心疾患の治療は多くの場合、ペーシングを介して心臓組織の特定の領域又は病巣点を分析することを必要とする。ペーシングは、重要な伝導経路の識別、組織のバイアビリティの調査、心調律の制御及び追い越し、ブロックの確認、ギャップの検出、及び可能性のある不整脈源の識別などの様々な理由で電気生理学で使用される技術である。ペーシングは、非常に短い電流パルスを提供し、所与の領域内の組織を活性化し、特定の点から電気波を発生させるために、カテーテル電極を使用して実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、ペーシングは、単極ペーシング(1つのソース電極及び1つの遠位のより大きな戻り電極)として、又はより多くの場合には、(2つの隣接する電極間の)双極ペーシングのいずれかとして行われている。しかしながら、現在、ペーシングのために複数の電極を同時に使用する技術は、(複数の電極からの同時双極ペーシングであろうと、複数の電極から単一のより大きな電極への同時双極ペーシングであろうと)存在しない。このような操作に続いて、(ペーシング電極下の)大きな組織領域を同期させ、その組織の不応期に続いて電極下に伝導パターンを確立することが可能であろう。例えば、そのような技術は、この領域内の病巣を識別するのに有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、方法が提供される。本方法は、カテーテルの電極によって、パルスで心臓組織をペーシングすることを含む。本方法は、電極によって、心臓組織の電気生理学的再分極の期間を観察することを含む。電気生理学的再分極の期間は、ペーシングによって引き起こされる。本方法はまた、電気生理学的再分極の期間後に、電極によって心臓組織内の電気信号を測定することを含む。
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、上記の方法の実施形態は、装置、システム、及び/又はコンピュータプログラム製品として実装され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて例として示される以下の説明より得ることができ、図中の同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【
図1】1つ以上の実施形態による、本開示の主題の1つ以上の特徴を実現することができる心臓ペーシング及び診断装置の図を示す。
【
図2】1つ以上の実施形態による、本開示の主題の1つ以上の特徴を実現することができる心臓ペーシング及び診断システムの図を示す。
【
図4】1つ以上の実施形態のカテーテルの例を示す。
【
図6】1つ以上の実施形態によるカテーテル及び方法の例示的な動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
カテーテル(例えば、マッピングカテーテル)の全ての電極による同時ペーシングを利用して、カテーテルの電極と直接接触している組織のパッチの同時活性化の期間を発生させる心臓ペーシング及び診断装置を本明細書で開示する。一実施形態では、心房細動(atrial fibrillation、AFIB)において、ペーシングを使用して、ペーシングアーチファクト(例えば、電流が使用されるまでの20ms~30msの間)の終了直後に、心電図(electrocardiograph、ECG)の心内信号を観察する。別の実施形態では、ペーシングは、ペーシングが行われた領域内に病巣が存在するか否かを理解するために使用される。心臓ペーシング及び診断装置は、ペーシングに応答して心臓組織の特定の領域又は病巣点を分析するための方法を提供するための、医療デバイス機器による処理動作及びその処理ハードウェアに必然的に根ざしたプロセッサ実行可能なコード又はソフトウェアを含む。一実施形態によれば、心臓ペーシング及び診断装置は、心臓組織の電気生理をより正確に理解するために、心臓組織に対する電気信号の多工程操作を伴う特定のペーシング及び捕捉動作を提供する。
【0008】
これに関して、及び動作中に、心臓ペーシング及び診断装置は、カテーテルの複数の電極からの心臓組織領域のペーシングを制御する。例えば、電極の各々が、1つの特定の孤立領域に同時にパルスを提供する。このペーシングは、心臓組織領域の電気生理学的再分極の期間と、心臓組織領域下の組織の不応期とを発生される。電気生理学的再分極のこの期間の後、心臓ペーシング及び診断装置は、複数の電極を利用して、心臓組織領域内のどこで第1の電気信号が開始するかを測定する。心臓ペーシング及び診断装置は更に、複数の電極を利用して、心臓組織領域内の(例えば、電極内、若しくは境界、又はその両方を源とする)戻り活動パターンの進行を測定し、可能性のある対象病巣点を隔離及び分析する。
【0009】
例えば、心臓が頻脈(例えば、心拍数が毎分100回を超える状態)にある場合、医師は、特定の領域を頻脈源の存在について検査したいと考える。(AFIBに関して)医師が直面する問題は、この領域が様々な方向を源とする活動に絶えず曝されることである。電極からペーシングする場合、捕捉された組織(ペーシングが成功した場合)は心臓全体に伝播する。健常組織の正常伝導速度は約0.7mm/msであり、不健康な心臓の場合ははるかに遅い。これは、差し渡し15mmのカテーテルでは、信号を拡散させる時間が一端から他端まで20msであることを意味する。重要な点として、組織は徐々に活性化され、これは洞調律についても病巣についても同様である。あるいは、同時ペーシングが組織を捕捉し、この組織が一緒に活性化されれば、カテーテルに沿ったこの余分な20msの伝播が節約される。ペーシングが終了し、組織が脱分極すると、各細胞は自身のペースで再分極し始めることに留意されたい。20msのウィンドウは、頻脈源が電極範囲内を源とするものであるか、又は電極範囲外を源とするものであるかにかかわらず、より長い検査時間を提供する。AFIBでは、回復時間は75msから200msの間であり得る。したがって、検査時間を少なくとも20ms長くすることは重要である。頻脈源が境界内を源とするものであり、境界を源とするものではない場合、これは、電極下の組織が治療され得る病巣を生じていることを示すものと解釈される。そうでない場合であっても、外部を源とする波が電極下の組織の活性化を妨げた可能性があるかどうかは未確定である。
【0010】
心臓ペーシング及び診断装置の技術的効果及び利益は、心臓組織の特定の病巣点がペーシング後にどのように応答するかを観察する方法を心臓医及び医療従事者に提供することを含む。したがって、心臓ペーシング及び診断装置は、特に、カテーテル及び医療デバイス機器を利用及び変形して、心臓医及び医療従事者が現在利用できない、又は現在行っていないペーシング処置及び信号分析を可能にする/実施する。
【0011】
図1は、1つ以上の実施形態による、本開示の主題の1つ以上の特徴を実装することができる心臓ペーシング及び診断装置100の図を示す。心臓ペーシング及び診断装置100は、一般に医療デバイス機器と呼ぶことができる。心臓ペーシング及び診断装置100の全て又は一部を、ユニバーサルペーシング動作によって生体情報データを収集するために使用してもよく、及び/又はシステム100の全て又は一部を、本明細書に記載の心臓ペーシング及び診断ソフトウェアを実装するために使用してもよい。
【0012】
心臓ペーシング及び診断装置100は、差し込み
図139に示すように、医師又は医療専門家115がベッド(又はテーブル)130上に横たわっている患者125の心臓120などの身体部分の中にナビゲートすることができるシャフトを有するプローブ110を含む。例示的な実施形態によれば、複数のプローブを提供してもよいが、簡潔にするため、本明細書には単一のプローブ110が記載されている。しかしながら、プローブ110は、複数のプローブを表し得ることが理解される。差し込み
図140は、心臓120の心腔内のプローブの第1の端部の拡大図を示している。差し込み
図140に示すように、プローブ110は、カテーテル141(例えば、マッピングカテーテル)、シャフト143、及びシース146を含む。プローブ110はまた、マニピュレータ148を含み、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアをその中に記憶し、実行するコンソール160に接続されている(と通信を行う)。
【0013】
実施形態によれば、医療専門家115は、カテーテル141の近位端の近くのマニピュレータ148及び/又はシース146からの偏向を用いてシャフト143の遠位端を操作しながら、シース146を通してシャフト143を挿入することができる。差し込み
図140に示すように、カテーテル141は、シャフト143の遠位端に取り付けられてもよい。カテーテル141は、折り畳まれた状態でシース146を通して挿入してもよく、次いで、心臓120内で拡張してもよい。カテーテル141は、1つ以上の要素(例えば、少なくとも1つの電極151)を含む。
【0014】
1つ以上の実施形態によれば、カテーテル141は、本明細書に開示される実施形態を実装するために使用される1つ以上の要素を含む任意の形状又はタイプのカテーテルとすることができる。1つ以上の要素は、生体情報データをペーシング、アブレーション、及び/又は収集するように構成されたいかなる要素であってもよいことに留意されたい。より具体的には、一実施形態では、1つ以上の要素は、電極(例えば、少なくとも1つの電極151)、トランスデューサ、又は1つ以上の他の要素であってもよい。更に、カテーテル141は(少なくとも1つの電極151及びカテーテル針を含む)ポイントカテーテルであるように図示されているが、カテーテル141は1つ以上のカテーテルを代表するものであることが理解されよう。他の実施形態によれば、カテーテル141の形状を形成するスプラインを介して複数の要素を接続してもよい。
【0015】
カテーテル141の他の例としては、複数の電極を有する線状カテーテル、バルーンを形成する複数のスパイン上に分散した電極を含むバルーンカテーテル、複数の電極を有するラッソーカテーテル若しくはループカテーテル、又は他の任意の適用可能な形状が挙げられる。線形カテーテルは、全体的に又は部分的に弾力性があり得、その結果、それは、受信した信号に基づいて、かつ/又は線形カテーテルへの外力(例えば、心組織)の印加に基づいて、ねじること、屈曲させること、又はその形状を変化させることができる。バルーンカテーテルは、患者の身体内に展開されたときに、その電極が心内膜表面に対して密着して保持され得るように設計してもよい。例として、バルーンカテーテルは、肺静脈(pulmonary vein、PV)などの管腔内に挿入されることができる。バルーンカテーテルは、収縮した状態でPV内に挿入されることができ、その結果、バルーンカテーテルは、PV内に挿入されている間、PVの最大容量を占有しない。バルーンカテーテルは、PVの内側でバルーンカテーテル上のそのようなそれらの電極がPVの円形領域全体と接触している状態で膨張することができる。PVの円形部分全体、又は任意の他の管腔とのこのような接触は、効率的なペーシング、マッピング及び/又はアブレーションを可能にする。
【0016】
1つ以上の実施形態によれば、カテーテル141は、複数の電極を有するメッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルを含む。例えば、メッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルは、少なくとも40個の電極、又は場合によっては、正確に48個の電極を有することができる。
【0017】
カテーテル141は、心臓120の心室の組織領域をアブレーションすることなどによって、体内器官の組織領域を損傷するように構成してもよい。カテーテル141はまた、パルスでペーシングし、それらのパルスに応答して、生体情報データを観察/取得するように更に構成してもよい。これに関して、カテーテル141は、患者125の身体内(例えば、心臓120内)に配置してもよく、カテーテル141の位置は、身体パッチ及び/又は身体表面電極と共に、カテーテルの1つ以上の電極151の間で送信及び受信される信号に基づいて、コンソール160によって決定してもよい。電極151は更に、患者125の身体内(例えば、心臓120内)からの生体情報データ(例えば、洞心調律又は洞調律などの心臓の電気信号)を感知することができる。生体情報データは、決定されたカテーテルの位置に関連付けることができ、その結果、患者の身体部分(例えば、心臓120)のレンダリングが表示され、身体の形状上に重ね合わされた生体情報データを示すことができる。洞調律は、心筋の脱分極が洞結節で始まるいかなる心調律であってもよいことに留意されたい。例えば、洞調律は、心拍数及びリズムが正常である心拍を含むことができる(例えば、人間の心拍数は一般に、毎分60拍から100拍の間である)。
【0018】
動作中、心臓ペーシング及び診断装置100は、心臓の状態を検出、診断、及び治療するために利用することができる。心不整脈(特に、心房細動)などの心臓疾患は、特に老年人口において一般的かつ危険な医療疾患として存在している。正常な洞調律を有する患者(例えば、患者125)では、心臓(例えば、心臓120)は、心房、心室、及び興奮伝導組織で構成され、電気的に刺激されて、同期的にパターン化された様式で拍動する(この電気的な興奮が、心内信号として検出され得ることに留意されたい)。
【0019】
心不整脈を有する患者(例えば、患者125)において、心組織の異常領域は、正常な洞調律を有する患者内におけるような、正常な導電性組織に関連した同期鼓動周期には従わない。逆に、心組織の異常領域は、隣接組織に異常に伝わり、それによって、心サイクルを非同期心臓リズムへと混乱させる(この非同期心臓リズムもまた、心内信号として検出され得ることに留意されたい)。このような異常な伝導は、以前から知られており、房室(atrioventricular、AV)ノードの伝導路に沿った、例えば、洞房(sino-atrial、SA)ノードの領域内において、又は心室及び心房の心腔の壁を形成する心筋組織内において、心臓(例えば、心臓120)の様々な領域で起こる。
【0020】
更に、心房不整脈を含む心不整脈は、多重小波リエントラント型である場合があり、心房の周りで散乱され、また多くの場合、自己伝播する電気インパルスの複数の非同期ループによって特徴付けられる(例えば、心内信号の別の例)。代替的に、又は多重小波リエントラント型に加えて、心不整脈はまた、心房内の組織の孤立領域が急速に反復する形で自律的に興奮する場合などの、(例えば、心臓ペーシング及び診断装置100の対象病巣点であり得る)巣状興奮源を有する場合もある。心室性頻脈症(V-tach又はVT)は、心室のうちの1つから発生する頻脈症又は高速な心律動である。これは、心室細動及び突然死につながり得るため、潜在的に致死性の不整脈である。
【0021】
不整脈の一種である心房細動は、洞房結節によって生成される通常の電気インパルス(例えば、洞調律)が、心房及び肺静脈内で生じる無秩序な電気インパルスによって圧倒され、不規則なインパルスが心室に伝導する場合に発生する。その結果、不規則な心拍が生じ、数分~数週間、又は更には数年間持続する場合がある。心房細動(AF)は、多くの場合、脳卒中が原因である場合が多い死亡のリスクのわずかな増加を招く、慢性的な症状である。AFに関する第一選択の治療法は、心拍数を減らすか、又は心拍リズムを正常に戻す投薬治療である。更には、AFを有する患者は、脳卒中のリスクから自身を守るために、抗凝血剤を与えられる場合が多い。そのような抗凝血剤の使用は、それ自体のリスクである内出血を伴う。一部の患者では、投薬治療は十分ではなく、それら患者のAFは、薬剤不応、すなわち、標準的な薬理学的介入では治療不可能であると判断される。同期電気的除細動は、電流を使用して心臓の律動を正常な洞調律にリセットする手順であり、AFを正常な心調律に変換するために使用してもよい。
【0022】
本明細書では、心臓ペーシング及び診断装置100は、心臓組織の特定の病巣点がペーシング後にどのように応答するかを観察する方法を心臓医及び医療従事者に提供する。したがって、心臓ペーシング及び診断装置100は、特に、カテーテル141及びコンソール160を利用及び変形して、心臓医及び医療従事者が現在利用できない、又は現在行っていないペーシング処置及び信号分析を可能にする/実施する。
【0023】
より具体的には、コンソール160は、プローブ110及びカテーテル141に接続され、それらと通信を行う。コンソール160は、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアを格納及び実行することができる。一実施形態によれば、コンソール160は、少なくともプロセッサ及びメモリを含み、プロセッサは、本明細書に記載される心臓ペーシング及び診断ソフトウェアに関するコンピュータ命令を実行し、メモリは、プロセッサで実行するための命令を格納する。
【0024】
コンソール160は、汎用コンピュータなどの、ソフトウェア及び/又はハードウェアを含む任意のコンピューティングデバイスとすることができ、カテーテル141との間で信号を送信及び受信するため、並びにシステム100の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路を備える。フロントエンド回路及びインターフェース回路は、コンソール160が少なくとも1つの電極151から信号を受信及び/又は少なくとも1つの電極151に信号を転送することを可能にする入出力(I/O)通信インターフェースを含む。いくつかの実施形態では、コンソール160は、電気活動などの生体情報データを受信し、所与の組織領域が電気を伝導するかどうかを判定するように更に構成され得る。一実施形態によれば、コンソール160は、例えば、カテーテル151内、外部デバイス内、モバイルデバイス内、クラウドベースのデバイス内に配置してもよく、又はスタンドアロン型プロセッサ/コンピュータであってもよい。
【0025】
上述のように、コンソール160は汎用コンピュータを含んでもよく、この汎用コンピュータは、本明細書に記載の心臓ペーシング及び診断装置100の機能を実行するためにソフトウェア(例えば、心臓ペーシング及び診断ソフトウェア)でプログラムすることができる。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、電子形式で汎用コンピュータにダウンロードされてもよく、あるいは代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの非一時的有形媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の適切な揮発性及び/又は不揮発性メモリ)上に提供及び/又は記憶してもよい。
図1に示す例示的な構成は、本明細書に開示される実施形態を実施するように改変されてもよい。本開示の実施形態は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。更に、心臓ペーシング及び診断装置100は、電気活動を検知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及びディスプレイデバイスなどの追加の構成要素を含み得る。
【0026】
一実施形態によれば、ディスプレイがコンソール160に接続される。処置中、コンソール160は、ディスプレイ上での医療専門家115に対する身体部分レンダリングの提示を容易にし、身体部分レンダリングを表すデータをメモリ内に記憶することができる。いくつかの実施形態では、医療専門家115は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ以上の入力デバイスを使用して身体部分レンダリングを操作することが可能であってもよい。例えば、入力デバイスを使用して、レンダリングが更新されるようにカテーテル141の位置を変更してもよい。代替的な実施形態では、ディスプレイは、身体部分レンダリングを提示することに加えて、医療専門家115からの入力を受け取るように構成することのできるタッチスクリーンを含んでもよい。ディスプレイは、同じ場所、又は別個の病院若しくは別個の健康管理提供業者ネットワーク内などの遠隔地に設置されてもよいことに留意されたい。更に、心臓ペーシング及び診断装置100は、心臓120などの患者の器官の解剖学的及び電気的測定値を取得し、心臓アブレーション処置を実行するように構成された外科システムの一部であってもよい。かかる外科用システムの一例は、Biosense Websterにより販売されているCarto(登録商標)システムである。
【0027】
コンソール160は、ケーブルによって、身体表面電極に接続することができ、その身体表面電極は、患者125に貼り付けられる粘着性皮膚パッチを含むことができる。コンソール160のプロセッサは、電流追跡モジュールと共に、患者125の身体部分(例えば、心臓120)内のカテーテル141の位置座標を決定することができる。位置座標は、身体表面電極と、カテーテル141の電極又は他の電磁部品(例えば、少なくとも1つの電極151)との間で測定されるインピーダンス又は電磁場に基づいたものであってもよい。追加的に、又は代替的に、位置パッドがベッド130の表面上に配置されてもよく、またベッド130とは別個であってもよい。
【0028】
心臓ペーシング及び診断装置100はまた、及び任意選択的に、超音波、コンピュータ断層撮影法(computed tomography、CT)、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、又は当技術分野において既知の他の医療撮像技術を使用して、心臓120の解剖学的測定値などの生体情報データを取得することができる。心臓ペーシング及び診断装置100は、カテーテル(例えば、カテーテル141)、又は心臓120の電気的特性を測定する他のセンサを使用して、ECG又は電気的測定値を取得することができる。次いで、解剖学的及び電気的測定値を含む生体情報データは、コンソール160の非一時的有形媒体内に記憶することができる。生体情報データは、本明細書で更に説明されるように、ネットワークを使用して、非一時的有形媒体からローカルであってもリモートであってもよいサーバに送信することができる。
【0029】
1つ以上の実施形態によれば、位置センサを含むカテーテル(例えば、カテーテル141)を使用して、心臓表面上の点の軌跡を決定することができる。これらの軌跡を使用して、組織の収縮力などの運動特性を推測することができる。このような運動特性を示すマップは、軌跡情報が心臓内の十分な数のポイントでサンプリングされるときに構築することができる。
【0030】
ここで
図2を参照すると、本開示の主題の1つ以上の特徴を実装することができる心臓ペーシング及び診断システム200が、1つ以上の実施形態に従って示されている。心臓ペーシング及び診断システム200は、患者201(例えば、
図1の患者125の一例)に対して、ローカルコンピューティングデバイス206、リモートコンピューティングシステム208、第1のネットワーク210、及び第2のネットワーク211を含む。更に、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、患者生体情報センサ221、プロセッサ222、ユーザ入力(user input、UI)センサ223、メモリ224、及び送信器-受信器(すなわち、送受信器)225を含むことができる。患者生体情報センサ221は、
図1のカテーテル141の一例であってもよく、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、
図1のコンソール160の一例であってもよいことに留意されたい。
【0031】
ローカルコンピューティングデバイス206及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、心臓ペーシング及び診断デバイス220と共に、心臓ペーシング及び診断ソフトウェア及びその機能を個別に若しくは集合的に記憶、実行、及び実装するソフトウェア及び/又はハードウェアの任意の組み合わせであり得る。更に、本明細書に記載されるように、ローカルコンピューティングデバイス206及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、心臓ペーシング及び診断デバイス220と共に、様々な通信技術を利用するコンピューティングデバイス及びネットワークの任意の数及び組み合わせを備え、かつ/又は使用する電子的なコンピュータの枠組みであり得る。ローカルコンピューティングデバイス206及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、心臓ペーシング及び診断デバイス220と共に、容易に拡大縮小可能、拡張可能であることができ、またモジュール式であることができ、異なるサービスに変更する能力、又は他の特徴とは独立に一部の特徴を再構成する能力を有する。
【0032】
一実施形態によれば、ローカルコンピューティングデバイス206及びリモートコンピューティングシステム208は、心臓ペーシング及び診断デバイス220と共に、少なくともプロセッサ(例えば、本明細書に記載のプロセッサ222)及びメモリ(例えば、本明細書に記載のメモリ224)を含み、プロセッサは、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアに関するコンピュータ命令を実行し、メモリは、プロセッサで実行するためのコンピュータ命令を格納する。
【0033】
心臓ペーシング及び診断システム200のローカルコンピューティングデバイス206は、心臓ペーシング及び診断デバイス220と通信し、第2のネットワーク211を通じてリモートコンピューティングシステム208へのゲートウェイとして機能するように構成してもよい。ローカルコンピューティングデバイス206は、例えば、ネットワーク211を介して他のデバイスと通信するように構成されたスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又は他のポータブルスマートデバイスであり得る。あるいは、ローカルコンピューティングデバイス206は、例えば、モデム、ルータ、無線モジュール、及び/又はUSBドングルを介して、心臓ペーシング及び診断デバイス220とリモートコンピューティングシステム208との間で情報を通信するための実行可能プログラムを使用する、例えば、モデム及び/又はルータ能力を含む固定基地局、デスクトップ又はラップトップコンピュータなどの固定式の又はスタンドアロン型のデバイスであってもよい。生体情報データは、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)(例えば、パーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN))などの短距離無線ネットワーク210を介する短距離無線技術標準規格(例えば、ブルートゥース、Wi-Fi、ZigBee、Z-wave、及び他の短距離無線標準規格)を使用して、ローカルコンピューティングデバイス206と心臓ペーシング及び診断デバイス220との間で通信することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に更に詳細に説明されるように、ローカルコンピューティングデバイス206はまた、観察/取得された患者電気信号、及び入手された患者電気信号に関連付けられる情報を表示するように構成することもできる。
【0034】
いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングシステム208は、監視された患者の生体情報、及び長距離ネットワークであるネットワーク211を介して監視された患者に関連付けられる情報のうちの少なくとも一方を受信するように構成することができる。例えば、ローカルコンピューティングデバイス206が携帯電話である場合、ネットワーク211は、無線セルラーネットワークであってもよく、情報は、上記の無線技術のいずれかなどの無線技術規格を介して、ローカルコンピューティングデバイス206とリモートコンピューティングシステム208との間で通信してもよい。本明細書に更に詳細に説明されるように、リモートコンピューティングシステム208は、患者の生体情報及びその関連する情報のうちの少なくとも一方を、医療専門家、医師、健康管理専門家などに提供する(例えば、視覚的に表示し、かつ/又は音声で提供する)ように構成することができる。
【0035】
図2において、ネットワーク210は、短距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はパーソナルエリアネットワーク(PAN))の一例である。情報は、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee、Z-Wave、近接場通信(near field communications:NFC)、ウルトラバンド、ZigBee、又は赤外線(infrared:IR)などの様々な近距離無線通信プロトコルのうちのいずれか1つを使用して、心臓ペーシング及び診断デバイス220とローカルコンピューティングデバイス206との間で短距離ネットワーク210を介して送信してもよい。
【0036】
ネットワーク211は、有線ネットワーク、無線ネットワークであってもよく、又はイントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(metropolitan area network、MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、若しくはローカルコンピューティングデバイス206とリモートコンピューティングシステム208との間の通信を容易にすることが可能な任意の他のネットワーク若しくは媒体などの1つ以上の有線及び無線ネットワークを含むことができる。情報は、様々な長距離無線通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radio)のいずれか1つを使用するネットワーク211を介して送信することができる。有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、RJ-11、又は当該技術分野において一般的に知られている任意の他の有線接続を使用して実装することができる。無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、及びブルートゥース、赤外線、セルラー式ネットワーク、衛星、又は任意の他の無線接続技法を使用して、実装することができる。更に、いくつかのネットワークは、ネットワーク211内の通信を容易にするために、単独で又は互いに通信して動作することができる。いくつかの事例では、リモートコンピューティングシステム208は、ネットワーク211上の物理的なサーバとして、実装することができる。他の事例では、リモートコンピューティングシステム208は、ネットワーク211のパブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))の仮想サーバとして実装することができる。
【0037】
動作中、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアを利用して、患者生体情報センサ221から患者201の生体情報データ(例えば、電気信号、血圧、体温、血糖値、又は他の生体情報データ)を観察/取得し、並びに/あるいは、任意の入手された患者生体情報を表す生体情報データの少なくとも一部と、1つ以上の他の患者生体情報診断デバイスからの任意の入手された患者生体情報に関連付けられた追加情報(例えば、診断情報)とを受信する。心臓ペーシング及び診断ソフトウェアは、ペーシングに応答して心臓組織の特定の領域又は病巣点を分析するための方法を提供する心臓ペーシング及び診断デバイス220による処理動作に、またそのような心臓ペーシング及び診断デバイス220の処理ハードウェアに必然的に根ざした、プロセッサ実行可能なコード又はソフトウェアである。一実施形態によれば、心臓ペーシング及び診断デバイス220の心臓ペーシング及び診断ソフトウェアは、心臓組織の電気生理をより正確に理解するために、心臓組織に対する電気信号の多工程操作を伴う特定のペーシング及び捕捉動作を提供する。心臓ペーシング及び診断デバイス220は、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアを使用して、取得/観察/入手された生体情報データと、1つ以上の他の患者生体情報診断デバイスから受信された任意の生体情報データとを含むデータを処理することができる。例えば、これに関してデータを処理する場合、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアは、生体情報データから教師なし方法で潜在表現(又はデータ符号化)を学習するために使用されるニューラルネットワークを含む。更に、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアは、ニューラルネットワークを訓練することによって特定のデータを検出するように学習する。
【0038】
心臓ペーシング及び診断デバイス220は、ネットワーク210を介して、任意の数の様々な患者の生体情報(例えば、入手された生体情報データ)を継続的又は定期的に監視、記憶、処理、及び通信することができる。本明細書に記載されるように、患者の生体情報の例には、電気信号(例えば、ECG信号及び脳生体情報)、血圧データ、血糖データ、及び温度データが含まれる。患者の生体指標は、心臓血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)及び自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの任意の数の様々な疾患にわたって治療するために監視及び通信することができる。
【0039】
患者生体情報センサ221は、例えば、1つ以上の環境条件を電気信号に変換するように構成された1つ以上のトランスデューサを含むことができ、その結果、異なる種類の生体情報データが観察、取得、又は入手される。例えば、患者生体情報センサ221は、電極(例えば、
図1の電極151)、温度センサ(例えば、熱電対)、血圧センサ、血糖センサ、血中酸素センサ、pHセンサ、加速度計、及びマイクロフォンのうちの1つ以上を含むことができる。
【0040】
プロセッサ222は、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアを実行する際に、患者生体情報センサ221によって入手された生体情報データを受信、処理、及び管理し、生体情報データを格納のためにメモリ224に通信し、かつ/又は、送受信器225を介してネットワーク210全体に通信するように構成してもよい。本明細書に更に詳細に説明されるように、1つ以上の他の心臓ペーシング及び診断デバイス220からのデータはまた、送受信器225を通じてプロセッサ222によって受信してもよい。また、本明細書に更に詳細に説明されるように、プロセッサ222は、UIセンサ223(例えば、内部の静電容量センサ)から受信した異なるタッピングパターン(例えば、シングルタップ又はダブルタップ)に選択的に応答するように構成することができ、その結果、パッチの異なるタスク(例えば、データの取得、記憶、又は送信)を、検出されたパターンに基づいて起動することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ222は、ジェスチャの検出に関して可聴フィードバックを生成することができる。
【0041】
UIセンサ223は、例えば、タップ又はタッチなどのユーザ入力を受信するように構成された圧電センサ又は静電容量センサを含む。例えば、UIセンサ223は、患者201が心臓ペーシング及び診断デバイス220の表面をタップ又はタッチすることに応答して、容量性結合を実現するように制御することができる。ジェスチャ認識は、抵抗容量性、表面容量性、投影容量性、表面超音波、圧電及び赤外線タッチなどの、様々な容量型のうちのいずれか1つを介して実現することができる。静電容量センサは、表面のタップ又はタッチが監視デバイスを起動させるように、表面の小さい領域又は長さにわたって配置してもよい。
【0042】
メモリ224は、磁気、光学、又は電子メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の適当な揮発性及び/又は不揮発性メモリ)などの任意の非一時的有形媒体である。メモリ224は、プロセッサ222で実行するための心臓ペーシング及び診断ソフトウェアを格納する。
【0043】
送受信器225は、別個の送信器及び別個の受信器を含み得る。あるいは、送受信器225は、単一のデバイスに一体化された送信器及び受信器を含み得る。
【0044】
一実施形態によれば、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、患者201の身体の内部にある(例えば、皮下に埋め込み可能な)装置であってもよい。心臓ペーシング及び診断デバイス220は、経口注入、静脈若しくは動脈を介した外科手術挿入、内視鏡手技、又は腹腔鏡手技を含む任意の適用可能な方法によって患者201に挿入することができる。一実施形態によれば、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、患者201の外部にある装置であってもよい。例えば、本明細書で更に詳細に説明するように、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、(例えば患者の皮膚に取り付けられる)取り付け可能なパッチを含んでもよい。一実施形態によれば、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、患者の内部にある構成要素及び患者の外部にある構成要素の両方を含んでもよい。
図2には単一の心臓ペーシング及び診断デバイス220が示されているが、例示的なシステムは、複数の患者生体情報診断デバイスを含んでもよい。例えば、心臓ペーシング及び診断デバイス220は、1つ以上の他の患者生体情報診断デバイスと通信を行ってもよい。追加的に、又は代替的に、1つ以上の他の患者生体情報診断デバイスは、ネットワーク210並びに心臓ペーシング及び診断システム200の他の構成要素と通信を行ってもよい。
【0045】
図3は、1つ以上の実施形態による方法300(
図1の心臓ペーシング及び診断装置100並びに/又は
図2の心臓ペーシング及び診断システム200で実行される)の図を示す。方法300は、病巣を理解することができるように、心臓組織の大きな病巣点を観察する必要性に対処する。
【0046】
方法は、カテーテルの複数の電極(例えば、カテーテル141の電極151)が複数のパルスにより心臓組織をペーシングするブロック又はステップ320で始まる。複数の電極の各々が、心臓組織の1つの特定の孤立領域に、複数のパルスのうちの1つのパルスを供給することに留意されたい。複数のパルスの各々は、心臓組織の隔離された部分で(例えば、同じ特定の病巣点で)一緒にかつ同時に(例えば、一斉に)ペーシングすることができる。例えば、ペーシングは、電極下の組織の同期を試み、その後に傾聴することによって、全ての電極で同時に組織を捕捉するための、一連の刺激又は電流の(ペースごとの)増加を含んでもよい。カテーテルは、本明細書に記載のメッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルであり得る。
【0047】
ブロック又はステップ340において、カテーテルの複数の電極は、ペーシングによって引き起こされた心臓組織に対する電気生理学的再分極の期間(又は心房組織の非活動の期間であって再活性化が不可能である期間)を観察する。すなわち、1つの病巣点での複数の電極によるペーシング自体が、心房組織の非活動期間を発生させる。電気生理学的再分極の期間は、心臓組織が活動パターンを発生しない期間を含むことができる。
【0048】
ブロック又はステップ360において、カテーテルの複数の電極は、電気生理学的再分極の期間後に心臓組織内の電気信号を測定する。心臓組織の同じ特定の病巣点でのペーシングが一斉に行われ、ペーシングの後に非活動期間が続くので、測定された電気信号は、心臓組織のうちの応答する第1の部分を示す。このようにして、心臓組織又は心臓組織の病巣点を分析及び評価することができる。1つ以上の実施形態によれば、カテーテルの複数の電極は、電気信号が心臓組織内で測定された後に、戻り活動パターンの進行を更に測定することができる。次に、心臓ペーシング及び診断ソフトウェア(例えば、
図2の心臓ペーシング及び診断デバイス220の心臓ペーシング及び診断ソフトウェア)は、戻り活動パターンの進行に基づいて、電極下の心臓組織内の対象病巣点を隔離及び分析することができる。
【0049】
方法300の技術的効果及び利益は、心臓組織の電気生理をより正確に理解することが可能となるように、心臓医が(
図1の心臓120の)広い領域を一度に捕捉することを可能にすることを含む。
【0050】
図4は、1つ以上の実施形態のカテーテル400の例を示す。カテーテル400は、少なくとも40個の電極などの複数の電極434を有するメッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルであり得る。図示のように、複数の電極は、複数のスパイン437にわたって配置された、又はその上に分散された正確に48個の電極を含むことができる。このように多数の電極434をスパイン437によって広い領域に分散させて用いることで、広い領域を一度に捕捉することができる。実施形態によれば、複数のスパイン437は、折り畳まれた状態でシース439を通って移動し、次いで、患者(例えば、
図1の患者125)内で一回で拡張されてもよい。
【0051】
心臓内の任意の病巣点における電気的活動は、典型的には、カテーテル400を前進させ、心臓組織をカテーテル400と接触させ、その時点でデータを入手することによって測定することができる。心臓組織を接触させることは、関心領域で同時に各電極434を一斉にペーシングして所与の領域で非活動期間を生成することによって、電極434を信号分析に利用することを含む。
【0052】
1つ以上の実施形態によれば、電極434の活性化は、例えば任意の電極から任意の電極へのペーシング、又は全ての電極から更に離れたより大きな電極へのペーシングなど、数及び位置が多様であってもよい。一実施形態では、以前のペーシングからの結果を使用して、より少ない数の電極を同時に作動させて、より小さい領域を捕捉することができる。一実施形態では、以前のペーシングからの結果を使用して、特定の位置の周りの選択された数の電極を同時に作動させて、心室活動の相関を測定することができる。すなわち、所望の数及び/又は位置に基づき、パルスの特定のグループ化を使用して、電気生理学的再分極の期間を操作することができる。例えば、
図4に示すように、電極サブセット450を心臓ペーシング及び診断ソフトウェアによって選択して、パルスの特定のグループ化を実施することができる。これに関して、残りの電極460は、ペーシングに使用されないままである。
【0053】
図5は、1つ以上の実施形態による方法500(
図1の心臓ペーシング及び診断装置100並びに/又は
図2の心臓ペーシング及び診断システム200で実行される)のブロック図を示す。方法500は、病巣を理解することができるように、心臓組織の大きな病巣点を観察する必要性に対処する。
【0054】
一般に、AFの間、波面活性化の反復可能なパターンは存在しない。AFは、依然として議論されている多くの原因の結果であることに留意されたい。すなわち、一部の研究者はロータを原因として特定しているが、他の研究者はそうではない(例えば、異なる病巣を特定している)。ロータと病巣とが異なる方法で治療されてもよい。いずれの場合でも、最良の治療を提供し、処置結果を積極的に変更するために、AFの原因及び、どの心臓組織領域が関与しているのかを理解することが重要である。方法500は、いくつかの心臓領域が病巣を有するかどうかを複数の電極からのペーシングを使用して理解するための機構を提供する。画像510は、一般に、患者の背中から予測される左心房511の輪郭を示す。画像510は、瘢痕又は不活性であり得る領域512を示す。
【0055】
医師(例えば、
図1の医療専門家115)が、この領域512が頻脈に関して重要であり、その領域内を源とする病巣が存在する可能性があると考えていると仮定すると、医師は、衝突波514が領域512に入り、心臓組織の無秩序な再分極を生成しているために、この病巣を正しく観察することができないという問題に依然として直面している。この無秩序な再分極は、本明細書に記載の理由にかかわらずAFを持続させる既知の状態である。従来、医師は、心臓にショックを与えて、心臓をAF状態から脱出させ、心臓細胞を「リセット」し、洞調律が制御を行う機会を提供することを検討する(多くの場合、これは実現不可能であり、例えばAFIBでは、患者はすぐにAFIBに戻ってしまう)。
【0056】
あるいは、画像520に示すように、カテーテル521がこの領域512上に配置される。カテーテル521は、本明細書に記載のメッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルであってもよい。
【0057】
ブロック530において、カテーテル421の電極(例えば、カテーテル141の電極151)が、複数のパルスにより領域512をペーシングする。複数の電極の各々が左心房511の領域512にパルスを提供することに留意されたい。複数のパルスの各々は、左心房511の領域512(例えば、同じ特定の病巣点)に一緒にかつ同時に(例えば、一斉に)ペーシングすることができる。診断システムが複数の電極をどのように選択してグループ化するかに基づいて、左心房511の領域512の全ての位置をペーシングするか、又は左心房511の領域512の隔離された部分だけをペーシングすることが可能である。
【0058】
ブロック540において、カテーテル521の複数の電極は、ペーシングによって引き起こされた左心房511の領域512の電気生理学的再分極の期間(又は心房組織の非活動の期間であって再活性化が不可能である期間)を観察する。すなわち、1つの病巣点での複数の電極によるペーシング自体が、心房組織の非活動期間を発生させる。
【0059】
画像560に示すように、方法500は、全ての電極から一度にペーシングすることによって、波面565が(ほぼ)揃った特定の領域を本質的に生成し、重要な点として、この領域の不応期が戻るまでは他の波がこの領域に入らないようにする。この時間は、診断システムに、この領域内を源とするものの有無(すなわち、電極下のこの組織パッチ内の細胞が病巣として挙動するかどうか)をリッスンする時間を与える。次に、ブロック570において、カテーテル521の複数の電極は、左心房511の領域512内の電気信号(mV単位)を測定する(例えば、診断システムが、対象病巣点、及び波が領域にわたってどのように伝播するかを識別及び分析する)。領域512内を源とする任意の活動を、アブレーションの標的として更に使用することができることに留意されたい。
【0060】
図6は、1つ以上の実施形態によるカテーテル(例えば、カテーテル400)及び方法(例えば、方法500)の例示的な動作600を示す。例示的な動作600に示すように、電極601は、第1の方向が文字A~Fによって指定され、第2の方向が番号1~8によって指定されるグリッドに従って配置される。グリッドは、病巣605を含むことが疑われる組織領域と位置合わせされる。次に、電気生理学的再分極の期間の後、波面610が病巣605から伝播し、各電極601によって検出される。並行して、外部波615が組織の領域内に入り、これも電極601によって検出される。
【0061】
測定結果650に示すように、電極D4、D3、及びD5は、異なる時点で波面610を検出する。形態651は病巣605を表すことに留意されたい。更に、電極F4は、外部波615(すなわち形態652)を検出し、電極E4は、形態651と形態652との組み合わせ(すなわち形態653)を検出する。グリッドによるユニバーサルペーシングのために、外部波615は無視され、かつ/又は測定値から減算され得る。重要な点として、電極の信号伝播シーケンス(及び場合によってはそれらの形態)に従って、電極パッチの下に病巣源が存在することを理解することが可能であろう。
【0062】
方法500の技術的効果及び利益は、心臓組織の電気生理をより正確に理解することが可能となるように、心臓医が(
図1の心臓120の)広い領域を一度に捕捉することを可能にすることを含む。例えば、カテーテルのサイズ及び電極のカバレッジに応じて、大きな領域(単一のペーシングよりも大きい)が約2.5×2.5cmのサイズと同等であってもよい。対照的に、1つの電極からの単一のペーシングの領域サイズ(電極のサイズ及び位置に関連する)の場合は、領域は同時に同期されず、AFに起因する組織外への進行波が混入することになる。
【0063】
図中の流れ図及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の考えられる実装形態の構造、機能性、及び動作を示すものである。この点に関して、流れ図又はブロック図における各ブロックは、示された論理機能を実施するための1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得るものである。いくつかの代替的な実装形態において、ブロックに示される機能は、図に示される順序以外の順序で行われてもよい。例えば、連続して示す2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはそれらのブロックは、時には、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また留意されたい点として、ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースシステムによって実施してもよく、あるいは、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを動作させること又は実行することもできる。
【0064】
特徴及び要素が特定の組み合わせにて上記で説明されたが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で使用することもでき、又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することもできることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載される方法は、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装され得る。本明細書で使用するコンピュータ可読媒体とは、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は動線を通って伝送される電気信号などの、それ自体が一過性の信号であるものとして解釈されるべきではない。
【0065】
コンピュータ可読媒体の例としては、電気信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、これらに限定されるものではないが、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、コンパクトディスク(compact disk、CD)及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)などの光学媒体、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)、及びメモリスティックなどが挙げられる。プロセッサをソフトウェアと共に使用して、端末、基地局、又は任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数送受信器を実装することができる。
【0066】
本明細書で使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定を目的としたものではない。本明細書で使用する時、文脈上特に明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の形態をも含むものとする。用語「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、本明細書で用いられる場合、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を示すものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を除外するものではない点を理解されたい。
【0067】
本明細書の異なる実施形態の説明は例示の目的で示されたものであるが、網羅的であることも開示される実施形態に限定されることも意図していない。多くの改変及び変形が、記載される実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な用途、又は市場に見られる技術と比較した技術的改良点を最も良く説明するため、又は当業者による本明細書に開示される実施形態の理解を可能とするために選択されたものである。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
カテーテルの複数の電極によって、複数のパルスにより心臓組織をペーシングすることと、
前記ペーシングによって引き起こされた前記心臓組織に対する電気生理学的再分極の期間を、前記カテーテルの前記複数の電極によって観察することと、
前記電気生理学的再分極の期間後に、前記カテーテルの前記複数の電極によって、前記心臓組織内の電気信号を測定することと、
を含む、方法。
(2) 前記複数の電極の各々は、前記心臓組織の1つの特定の孤立領域に、前記複数のパルスのうちの1つのパルスを供給する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記電気生理学的再分極の期間は、前記心臓組織が不応期にある期間を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記電気信号が前記心臓組織内で測定された後に、戻り活動パターンの進行を測定することを更に含む、
実施態様1に記載の方法。
(5) 前記戻り活動パターンの前記進行に基づいて、前記心臓組織内の対象病巣点を隔離及び分析することを更に含む、
実施態様4に記載の方法。
【0069】
(6) 前記カテーテルは、メッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記複数の電極は少なくとも40個の電極を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記複数のパルスの各々は、一緒にかつ同時にペーシングされる、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記複数のパルスは、各ペーシング間の時間を制御するようにペーシングされる、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記複数のパルスの数又は位置の各々は、前記電気生理学的再分極の期間を操作するために変更される、実施態様1に記載の方法。
【0070】
(11) 前記心臓組織の隔離された部分がペーシングされる、実施態様1に記載の方法。
(12) 装置であって、
複数の電極を含むカテーテルと、
心臓ペーシング及び診断デバイスであって、心臓ペーシング及び診断ソフトウェアのプロセッサ実行可能命令を記憶するメモリ、及び前記心臓ペーシング及び診断ソフトウェアの前記プロセッサ実行可能命令を実行して、前記装置に、
前記カテーテルの前記複数の電極によって、複数のパルスにより心臓組織をペーシングさせ、
前記ペーシングによって引き起こされた前記心臓組織に対する電気生理学的再分極の期間を、前記カテーテルの前記複数の電極によって観察させ、
前記電気生理学的再分極の期間後に、前記カテーテルの前記複数の電極によって、前記心臓組織内の電気信号を測定させる、
ように構成されたプロセッサを含む、心臓ペーシング及び診断デバイスと、
を備える、装置。
(13) 前記複数の電極の各々は、前記心臓組織の1つの特定の孤立領域に、前記複数のパルスのうちの1つのパルスを供給する、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記電気生理学的再分極の期間は、前記心臓組織が不応期にある期間を含む、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記プロセッサは、前記心臓ペーシング及び診断ソフトウェアの前記プロセッサ実行可能命令を実行して、前記装置に、
前記電気信号が前記心臓組織内で測定された後に、戻り活動パターンの進行を測定させる、
ように構成されている、実施態様12に記載の装置。
【0071】
(16) 前記プロセッサは、前記心臓ペーシング及び診断ソフトウェアの前記プロセッサ実行可能命令を実行して、前記装置に、
前記戻り活動パターンの前記進行に基づいて、前記心臓組織内の対象病巣点を隔離及び分析させる、
ように構成されている、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記カテーテルは、メッシュカテーテル、バルーンカテーテル、又はスプーンカテーテルを含む、実施態様12に記載の装置。
(18) 前記複数の電極は少なくとも40個の電極を含む、実施態様12に記載の装置。
(19) 前記複数のパルスの各々は、一緒にかつ同時にペーシングされる、実施態様12に記載の装置。
(20) 前記複数のパルスは、各ペーシング間の時間を制御するようにペーシングされる、実施態様12に記載の装置。
【国際調査報告】