(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】デジタル画像を参照した間接目標照準合わせの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
F41G 3/14 20060101AFI20230808BHJP
G01B 11/26 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
F41G3/14
G01B11/26 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504725
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 CA2021050993
(87)【国際公開番号】W WO2022016260
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025078
【氏名又は名称】クウェスト インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】KWESST INC.
【住所又は居所原語表記】155 Terence Matthews Crescent, Ottawa, Ontario K2M 2A8 CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ヒュンジュ リ
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA32
2F065AA39
2F065FF04
2F065FF61
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM25
2F065PP05
2F065QQ33
2F065QQ38
2F065SS13
2F065UU05
(57)【要約】
デジタル画像を参照した間接目標照準合わせの方法及びシステムが提供される。本発明のシステム及び方法は、初期参照画像からの後続する安定画像の回転角を測定し、目標の絶対方位角と共線である照準を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照準方位角を決定するコンピュータ実施方法であって、
a.参照デジタル画像及び後続デジタル画像を受信することであって、前記参照デジタル画像及び前記後続デジタル画像は、既知の固定点から捕捉され、前記参照デジタル画像及び前記後続デジタル画像は重複する、受信することと、
b.前記参照デジタル画像と前記後続デジタル画像との間の正味回転を特定することと、
c.前記参照画像の絶対方位角を受信することと、
d.前記絶対方位角及び前記正味回転から前記後続デジタル画像の方位角を計算することと、
を備える、
方法。
【請求項2】
前記正味回転を特定することは、
前記参照デジタル画像と前記後続デジタル画像との間の複数の共通点を特定することと、
ピクセルオフセット、カメラFOV(視野)を使用してそれらの回転を計算することと、
正確性格付けフィルタを適用することと、
任意選択的に雲等の空における点をフィルタリングして除去することと、
を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
目標方位角は複数の方位角であり、
前記目標は複数の目標である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記デジタル画像を捕捉するカメラ又はビデオレコーダの回転と共にリアルタイムで行われる、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
a.固定点周囲の異なる方位角を覆う複数の参照画像、又は
b.方位角が埋め込まれた複数の参照画像をステッチングすることにより作成される、ステッチングされたワイド画像、
は、後続画像の前記方位角を見つける確率を上げるために使用される、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記カメラ又はビデオカメラが特定の方位角に並ぶように回転したとき、正確性格付けの表示が提供される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
既知の目標方位角を有する目標に照準を定めるコンピュータ実施方法であって、
a.兵器搭載デジタルカメラを用いて参照デジタル画像を捕捉することであって、前記デジタル画像は既知の絶対方位角を有する、捕捉することと、
b.前記既知の絶対方位角と前記既知の目標方位角との間の差を計算することと、
c.前記既知の絶対方位角と前記既知の目標方位角との間の前記差だけ前記兵器搭載デジタルカメラを回転させることであって、それにより、共線ターゲティングを前記目標に提供する、回転させることと、
を備える、
方法。
【請求項8】
システムであって、
a.画像のデータベース、デジタルカメラ、又はデジタルビデオレコーダ等のデジタル画像のソースと、
b.1つ又は複数のプロセッサと、
c.前記1つ又は複数のプロセッサにより実行される1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリであって、前記1つ又は複数のプログラムは、請求項1~7の何れか一項に記載の方法のための命令を含む、メモリと、
を備える、
システム。
【請求項9】
ユーザが既知の方位角を有する物体に照準を定めて、参照画像を作成できるように構成されるユーザインターフェース、
を備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
a.参照点カウントが低いが、それでもなお信頼できる照準方位角を有する場合、新しい参照画像を作成すること、又は、
b.前記参照点カウントが低いが、それでもなお信頼できる方位角を有する場合、新しい参照画像をステッチングされた参照画像にステッチングすること、
を行う自動化機能を有する、
請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には目標照準合わせに関し、より詳細にはデジタル画像を参照した間接目標照準合わせの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
間接射撃とは、直接射撃の場合のように兵器とその目標との間の直接通視線に頼ることをせず、発射体の照準を定めて射撃することである。間接射撃は、敵からの直接射撃を受けることなく敵を射撃する能力を提供する。
【0003】
ユーザが、見えていない目標の照準を定めるために、特定の機器又はセンサに頼る必要があるため、間接射撃の成功達成は、直接射撃よりも難しい。兵器の照準を定めるに当たり2つの主要な変数がある-水平面における角度-以後、方位角と呼ぶ-及び垂直面の角度-以後、高度角と呼ぶ。兵器が照準合わせのために静止している場合、デジタル加速度計は精密で再現可能且つ一貫した値を提供することができるため、精密な高度角は取得が比較的容易である。
【0004】
方位角にデジタル磁気コンパスを使用して兵器の照準を定めることは、コンパスが工具、地面/床/壁/支持構造の磁性材料内容物、弾薬及び兵器を含む軍需品、電池、又はユーザが携帯する磁性金属により導入される磁場の影響下にある場合、精密ではない。磁気コンパスを首尾良く使用するには、照準は磁性環境を厳密に制御する必要があり、これは、軍人レベルでの軍事オペレーションでは非現実的である。
【0005】
方位角にMEMS(微小電気機械システム)ジャイロスコープを使用する照準合わせも、それらの大半はジャイロドリフトに起因して不正確な値を提供し、兵器が発射されるとき、衝撃がジャイロスコープの角測定限界を飽和させることに起因して、精密な角速度測定値を提供することができないため、精密ではない。
【0006】
リングレーザジャイロスコープ(RLG)及び光ファイバジャイロスコープ(FOG:Fiber Option Gyroscope)は全般的に、MEMSジャイロスコープよりも(通常、バイアス安定性については1桁)良好な性能を提供するが、そのコスト(MEMSジャイロスコープよりも高価)、サイズ(大きなジャイロスコープほど精密さを提供する)、電力要件の増大、及びRLG及びFOGであっても、発射体の発射中に直面する衝撃を免れないことにより、軍人レベルでの用途には適切でなかった。
【0007】
磁気コンパス及びジャイロスコープの小型化の進化にも拘わらず、軍人レベルでの発射体照準へのその適用可能性は、上述した理由に起因して制限される。
【0008】
複数のセンサの融合を照準用途に使用することもできるが、上記列挙した個々のセンサが精密でないため、複数のセンサの和又は最良のセンサの何れかに依拠する融合方法も、精密な照準を保証することができない。
【0009】
Umakhanovら(米国特許第9,595,109号明細書)は、慣性センサを用いた光学追跡に特定のマーカ物体又は電子マーカを使用するが、物体の配置又は識別は、野外での適用に実用的ではないことがある。Hartmanら(米国特許第10,605,567号明細書)は、目標に照準を合わせるために機械的組立体を使用するが、目標は見えている必要がある。Houde-Walterら(米国特許第10,495,413号明細書)では、目標を熱放射ビームで照明する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、磁場外乱による影響を受けず、又はジャイロスコープドリフトによって生じる角度誤差による影響を受けない、軍人レベルの間接射撃照準砲撃兵器の実用的でありながら精密なシステムを有することが依然として必要とされている。本発明は、兵器のマウントから撮影されたエリアのデジタル画像を使用することによってそれらの問題に対処する。そうして撮影されたデジタル画像は、いかなる磁性外乱による影響も受けず、発射体射撃の前後に撮影された画像は、衝撃中にカメラが破損しない場合、一貫しており、再現可能であり、信頼できる。可動部がない小型/小さな固体状態デジタルカメラは、発射体射撃中に直面したとき、いかなる破損もなく大きな衝撃から生き残る。
【0011】
背景情報は、本発明に関連する可能性があると出願人が考える既知の情報を公表するために提供される。上記情報の何れかが本発明に対する先行技術をなすことの認可は必ずしも意図されず、そのように解釈されるべきでもない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、デジタル画像を参照した間接目標照準合わせの方法及びシステムを提供することである。本発明の一態様によれば、画像の絶対方位角を表示するコンピュータ実施方法が提供され、方法は、参照デジタル画像及び後続デジタル画像を受信することであって、参照デジタル画像及び後続デジタル画像は、既知の固定点から捕捉され、参照デジタル画像の絶対方位角は既知であり、参照デジタル画像及び後続デジタル画像は重複する、受信することを含み、参照デジタル画像と後続デジタル画像との間の正味回転を特定することは、後続画像の絶対方位角を提供する。後続画像の方位角が目標方位角と同じ場合、目標照準合わせの成功が生じる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、既知の目標方位角を有する目標に照準を定めるコンピュータ実施方法が提供され、方法は、兵器搭載デジタルカメラ又はデジタルビデオレコーダを用いて参照デジタル画像を捕捉することであって、参照デジタル画像は既知の絶対方位角を有さなければならない、捕捉することと、カメラ画像からの既知の絶対方位角と後続方位角との間の差を計算することと、兵器の方位角が目標方位角と一致するまで、兵器搭載デジタルカメラを回転させることであって、それにより、目標への共線ターゲティングを提供する、回転させることを含む。
【0014】
本発明の別の態様によれば、複数のデジタルカメラ又はデジタルビデオレコーダ等のデジタル画像のソースと、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサにより実行される1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリであって、1つ又は複数のプログラムは、本発明の任意の方法の命令を含み、本発明の性能を改善する、メモリとを備えるシステムが提供される。
【0015】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面が参照される以下の詳細な説明においてより明確になろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】固定された視点から撮影された重複するデジタル画像の簡易化された点毎の比較を示す。図示の実施形態では、デジタルカメラは、単一の回転する視点から旋回することにより、2本の木及び背景の山々を有するシーンの2枚の写真を撮影する。カメラの回転(100)は実質的に水平面におけるものである。以下、第1の画像は参照画像(200)と呼ばれ、画像の中心の方位角は既知であり、第2の画像は後続画像(300)と呼ばれる。画像は、サブ画像が重複した状態で風景に示される。
【
図2】重複画像の点毎の比較を使用した角度の簡易化された特定を示す。例示のみを目的として、図は単一点の使用を示す。本発明では、複数の点及び正確性格付けフィルタは、精密性、信頼性、再現性、及び信頼レベルの改善に使用される。参照画像(200)の左縁部と木の根における点により形成される角度、即ち初期角(150)が測定される。後続画像(300)において同じ点が識別される場合(共通のサブ画像(275)の左下隅)、本発明は再び、縁部への角度、即ち後続角(350)を測定する。本発明は次いで、角度の差をカメラの計算された回転として生成する。
図2において、カメラ(100)の回転角度は、後続角から初期角を減じたものである。次いで、その差を参照画像(200)の中心の方位角に加算することにより、後続画像の中心の絶対方位角を計算することができる。同じ方法を使用して高度角を見つけることもできる。回転角は、FOV(カメラの視野)及び画像ピクセル寸法を所与の固定値として用いる基本三角関数を使用して点のピクセル位置から容易に計算される。例示のために、参照画像の中心にある点が水平にxピクセル分移動する場合、その回転角は、xの逆正接をhで除すことにより特定することができる。ここで、hは、画像ピクセル幅を2で除したものをtan(FOV/2)で除したものとして計算することができる、画像からカメラレンズまでのピクセル単位の距離であり、回転角=arctan(x/h)(式中、h=arctan(画像幅/2tan(FOV/2)))である。
【
図3】共線ターゲティングを示す。ユーザは、既知の絶対方位角を有するマーカ(400)(任意の物体又は地理的特徴)への通視線を有する。しかしユーザは、障害物(500)に起因して目標への通視線を有さず、目標方位角(650)が与えられる。見えない目標(600)に照準を定めるために、システムのユーザはカメラをマーカ(400)に照準合わせして、参照画像(200)を取得し、そうしてまず、参照方位角(450)を確立し、次いで、本発明が目標方位角(650)と共線の方位角を表示するまで回転させ、即ち、方位角差と同等の回転をさせる。システムは、回転角をまず計算し、参照方位角(450)を加算することによりカメラの方位角を計算する。真北(800)の方向が示される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、デジタル画像を参照した間接目標照準合わせの方法及びシステムを提供する。本発明は、デジタル画像は磁気外乱による影響を受けず、ショット後の画像は精密な角度測定を可能にするため、磁気外乱又は発射体射撃の衝撃による影響を受けない間接目標照準も提供する。
【0018】
特に、方法及びシステムは、絶対方位角を有する参照画像から、目標の絶対方位角と共線の照準を識別する。方法及びシステムは、少なくとも1つの後続画像を初期参照画像と比較することにより特定されるカメラの回転角の測定値を使用する。特定された回転角及び参照画像の既知の絶対方位角を使用して、後続する重複画像の方位角を計算することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、システム及び方法は、共通の参照点との重複サブ画像を有する後続画像の水平又は垂直角度差、ソースカメラの視野、及びデジタル画像サイズを計算するように構成される。
【0020】
初期参照画像及び後続画像は、固定された視点において異なるビュー方向からデジタル画像を捕捉することにより取得される。初期参照画像と後続画像との重複が査定され、カメラの回転角、任意選択的に並進及びチルトが特定される。幾つかの実施形態では、一連の重複画像が使用される。画像重複を査定する方法は当技術分野で既知であり、重複画像のピクセル毎の比較、特徴検出、及び特徴マッチングを含む。
【0021】
一般に、本発明の方法により使用される画像は、レンズ歪み、ぼやけ、シーンの動き、及び露光差のない明瞭でピントが合った画像である。幾つかの実施形態では、方法及びシステムは、最小の方位角精密基準セットを満たさない一連の画像又は一連中の1つ若しくは複数の画像を拒絶するように構成される。一連の画像が撮影された幾つかの実施形態では、本発明の方法及びシステムは、最適な1つ又は複数の画像を選択するように構成される。
【0022】
任意選択的に、方法及びシステムは、不十分な画質についてユーザに警告し、追加の画像の捕捉を要求する。
【0023】
幾つかの実施形態では、ターゲティングの方法又はシステムで使用される1つ又は複数の画像の記録が維持される。
【0024】
幾つかの実施形態では、画像間のピクセル毎のマッピング関係が計算される。
【0025】
幾つかの実施形態では、本発明は、視差の存在に起因するもの又は風及び水に起因するもの等の一貫しないピクセル測定値をフィルタリングして除去する。
【0026】
幾つかの実施形態では、方法及びシステムは、画像を再配向して、それらの点及び/又は他の変換を見つけて関連付けて、水平面からのずれを補正する確率を上げることを含む前処理を提供する。したがって、幾つかの実施形態では、方法又はシステムの一環として使用されるカメラ又はビデオレコーダは、空間におけるカメラの向きを特定するために1つ又は複数のセンサを含む。
【0027】
幾つかの実施形態では、前処理ステップは、レンズ歪みにより歪んだ画像の画像調整を含む。
【0028】
デジタル画像は写真又は動画を含む。したがって、システムは、画像のデータベース、デジタルカメラ、及び/又はデジタルビデオレコーダを含み得る。任意選択的に、サーマルカメラ、赤外線カメラ、又は紫外線カメラ等の異なる光スペクトル周波数に対する感度を有するカメラを使用して、夜間又は濃霧状況で照準を定めることができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、2台以上のデジタルカメラ又はビデオレコーダが提供され、好ましくは、デジタルカメラ又はビデオレコーダは同一である。任意選択的に、システム及び方法は、それらのカメラから画像を捕捉するように構成することができる。複数のカメラ又はビデオレコーダが存在する場合、システムは、常に一緒に回転するようにデジタルカメラ又はビデオレコーダが固定されることを保証するように構成される。そのような実施形態では、方法及びシステムは、それらのカメラからの画像が複数の参照画像として撮影されて、本発明の有効な水平/垂直カバレッジアーク(coverage arc)を増大させるように構成し得る。
【0030】
システム及び方法は、任意選択的に、ユーザが絶対方位角を有する初期参照画像を識別できるようにするよう構成される。任意選択的に、既知の絶対方位角及び/又は高度角を有する複数の画像を参照画像として設定することができる。そのような実施形態では、計算された方位角は任意選択的に確認され、信頼度又は正確度格付けを提供し得る。任意選択的に、信頼度又は正確度格付けが所定の設定点を下回る場合、ターゲティングシステム又は関連する弾道アプリケーションは、兵器の発射をやめるようにアドバイスする。
【0031】
したがって、幾つかの実施形態では、システムは、ユーザが初期参照画像及び任意選択的にGPS位置、方位角、高度角、及びロール角を有する1つ又は複数の他の参照画像を選択できるようにするユーザインターフェースを提供する。
【0032】
幾つかの実施形態では、後続画像は、複数の参照画像を含むデータベースと比較することができ、データベースは、画像のGPS座標、方位角、高度角、及びロール角を含む。任意選択的に、データベース内の各参照画像は、日時スタンプが付され、現在の画像との重複に影響するであろう参照画像の場所における環境の大きな変化(例えば爆撃、自然災害、及び/又は建設から生じる)があったか否かの尤度の表示を更に含み得る。古い参照画像は任意選択的にデータベースからパージされ、且つ/又は更新された参照画像で置換される。十分な共通点がデータベース画像から識別される場合、画像はシステムにより参照画像として自動的に選択される。
【0033】
そのような実施形態では、データベースは、GPS座標及び/又はデジタル画像サーチにより、適切な参照画像について自動的にサーチされ得る。デジタル画像を使用してデータベースがサーチされる実施形態では、デジタル画像は方法又はシステムのユーザによって捕捉される。方法又はシステムは、当技術分野で既知のコンピュータプログラムを使用して、捕捉された画像を、任意選択的にGPS座標及び/又は地理的場所に基づいて予め選択されたデータベース画像と比較し、十分な共通点を有する1つ又は複数の参照画像を選択する。幾つかの実施形態では、方法及びシステムは、デジタル画像内の固定特徴を比較するように構成され、例えば、アルゴリズムを使用して、デジタル画像内の車又は他の非固定物体を識別し、対応するピクセルを比較において無視し得る。デジタル画像内の物体を識別且つ/又は分類するアルゴリズムは、当技術分野で既知である。幾つかの実施形態では、方法及びシステムは、アルゴリズムを更に使用して、参照画像内の季節で変化し得る要素(例えば積雪、群葉等)を識別し、対応するピクセルを無視し得る。
【0034】
方法及びシステムは、ユーザが重複閾値を設定可能なように構成し得る。
【0035】
任意選択的に、システムは、捕捉された画像と選択された1つ又は複数の参照画像との画像重複を表示するように構成される。
【0036】
幾つかの実施形態では、システムは、参照点の数が下がりつつあるが、それでもなお信頼できる方位角を有し、システムが照準を合わせている方位角で他に良好な参照画像がないことを検出する場合、新しい参照画像を自動的に作成する。新たに作成される参照画像は、システムのカバレッジアークを更に広げるはるかに多くの参照点を含むであろう。
【0037】
任意選択的に、方法及びシステムは、1つ又は複数のデジタルマップを使用し、マップ特徴及びカメラのソースの位置に基づいて参照方位角を取得するように構成し得る。幾つかの実施形態では、参照方位角は、デジタルマップ上の認識可能な地理的ポイントを使用し、マップ特徴又はGPSの何れかを使用してソースカメラの位置を特定することによって取得される。
【0038】
幾つかの実施形態では、システム及び方法は、ユーザが兵器を、既知の方位角を有するマーカに向けたとき、ユーザから参照方位角を取得し、そうして参照画像を確立するように構成される。
【0039】
カメラが兵器に直接搭載されるか、又はカメラが兵器サイト(weapon sight)の構成要素である幾つかの実施形態では、兵器が回転するにつれて、方位角は画像の捕捉とリアルタイムで計算され、任意選択的に、予め設定又は予め決定された方位角に達したとき、アラートが提供され、予め設定又は予め決定される方位角は、目標と共線である。
【0040】
任意選択的に、方法及びシステムは、デジタル画像の中心が兵器サイトの中心からの特定の角度オフセットに対応するように構成され、オフセットを有する計算される方位角は、兵器サイトの中心と共線の方位角である。
【0041】
幾つかの実施形態では、カメラは、砲身の画像がデジタル画像において最小になるように、兵器の砲身と平行して搭載される。
【0042】
幾つかの実施形態では、カメラを有する兵器は、本発明の方法及びシステムによって搭載され、所定の方位角及び高度角への兵器の回転は、本発明の方法及びシステムによって制御される。
【0043】
システムは典型的には、コンピュータシステム、コンピュータ構成要素、若しくはコンピュータネットワークのオペレーティングソフトウェアの形態又は「ハードコード」命令セットの形態であり、兵器搭載のデジタルカメラ又はデジタルビデオレコーダを含むか、又はそれらと動作可能に関連付けられる。幾つかの実施形態では、兵器搭載のデジタルカメラ又はデジタルビデオレコーダは、兵器サイトの構成要素である。このシステムは、多様なハードウェアデバイスを有する多様な形態を取り得、コンピュータネットワーク、ハンドヘルド計算デバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、マイクロプロセッサ、セルラネットワーク、衛星ネットワーク、及び他の通信デバイスを含み得る。幾つかの実施形態では、システム及び方法は、デジタル画像又はビデオを兵器搭載のデジタルカメラ又はデジタルビデオレコーダから受信するように構成されたハンドヘルド計算デバイスアプリケーションを含む。当業者ならば理解できるように、このシステムは、異なる機能を提供する多種多様なデバイスに組み込むことができる。
【0044】
したがって、本発明の一実施形態では、システムは、デジタル通信のために、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、又はマイクロプロセッサ等の処理デバイスに動作可能に結合されたデジタルカメラを含む。カメラと処理デバイスとの間の接続は有線であってもよく、又は無線であってもよい。
【0045】
処理デバイスは、所与のデジタル画像の参照方位角値又は参照方位角値を可能にするのに十分な情報の何れかの入力を可能にするユーザインターフェースを含む。処理ユニットは、カメラからの後続デジタル画像を処理し、参照画像からオフセットする角度を特定し、その計算された絶対方位角を出力する。幾つかの実施形態では、カメラが参照画像の視野(FOV)外にずれるか、又は十分な共通点が見つけられない場合、システムは、角度測定が可能ではないことを示すメッセージを出力する。
【0046】
幾つかの実施形態では、システムは、処理デバイスに接続された、デジタルカメラと、加速度計センサを含む方位センサと、を含む。この実施形態では、システムは、参照画像から方位角を生成し、発射体の照準合わせに必要な3つの直交する角度を提供する加速度計から高度角及びロール角を取得することが可能である。
【0047】
幾つかの実施形態では、システムは、処理デバイスに接続された、デジタルカメラと、加速度計センサ含む方位センサと、ジャイロスコープと、を含む。この実施形態では、システムは、照準を合わせるための方位角、高度角、及びロール角を生成することができる。本発明の方法及びシステムは、ジャイロスコープを同期する手段も同様に提供する。この実施形態では、ユーザが、参照画像によってカバーされないエリア又は十分な共通点が見つけられないエリアに照準を合わせる場合でもなお、システムはジャイロスコープを使用して方位角を生成することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、システムは、各々が異なる方位角に向けられた複数のカメラと、加速度計を含む方位センサとを有する。この実施形態では、各カメラはそれ自体の参照画像及び方位角/高度角を有することができ、したがって、システムの水平及び垂直アークカバレッジ(arc coverage)を広げることができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、システムは、処理デバイスに接続された、デジタルカメラと、加速度計センサ及びジャイロスコープを含む方位センサと、を有し、異なる方位でカメラによって撮影された複数の参照画像を処理するように構成される。システムは次いで、これらの参照画像を使用して、最もよく一致する参照画像を選択することによって最良の方位角/高度角/ロール角を後続画像に提供し、したがって、システムの角度カバレッジを広げる。システムを更に最適化するために、複数の参照画像を一緒にステッチングして、後続画像によりシステムの方位角を計算するのに使用することができる単一のワイドな参照画像を提供することができる。
【0050】
任意選択的に、幾つかの実施形態では、システムは、システムのアークカバレッジを広げるために固定点の回りを手動又は自動的に回転するとき、複数の画像を捕捉するように構成される。そのような実施形態では、システムは、入力画像がシステムアークの縁にあることを検出し、別の参照画像を撮影するように構成し得、それにより、アークカバレッジを広げる。
【0051】
任意選択的に、システム及び方法は、各々が異なる距離にピントを合わせた同じシーンの複数の画像を単一の画像に合成する焦点合成(focus stacking)及び/又は複数の写真を互いに重ねて一緒に平均化する画像平均化を含む、デジタル分野で既知のシステム及び方法を利用して、画質を改善する。
【0052】
幾つかの実施形態では、システムは弾道処理及びマップ表示可能なコンピュータアプリケーションと統合されて、発射体の衝撃範囲(又は距離)及び発射体の衝撃方位角を表示する。
【0053】
雲を有する空が大部分を占める画像は、信頼できる参照点を提供しない。したがって、幾つかの実施形態では、システムは地平線検出アルゴリズムと統合されて、空/雲参照点をフィルタリングして除外し、それにより、方位角計算の信頼性を上げる。地平線検出の方法は当技術分野で既知であり、エッジ検出及び/又は機械学習に依拠する方法を含む。
【0054】
幾つかの実施形態では、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は一般に、光学記憶装置、例えばコンパクトディスク(CD)若しくはデジタル多用途ディスク(DVD)又はフロッピーディスク若しくは磁気テープ等の磁気記憶装置等の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ可読命令手段(命令)を表す。コンピュータ可読媒体の他の非限定的な例には、ハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、及びフラッシュ型メモリがある。
【0055】
「命令」という用語は、本明細書に関して使用される場合、一般に、コンピュータで実行される1組の動作を示し、プログラム全体の複数の個片又は個々の分離可能なソフトウェアモジュールを表し得る。「命令」の非限定的な例には、コンピュータプログラムコード(ソースコード又はオブジェクトコード)及び「ハードコード」電子回路(即ちコンピュータチップにコードされたコンピュータ動作)がある。「命令」は、フロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュドライブ、及びコンピュータのメモリ等の任意の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶し得る。
【0056】
特に、本発明は、デジタル画像を参照した間接目標照準合わせのコンピュータプログラム製品を提供する。幾つかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、本発明の方法により、絶対方位角を有する参照画像からの目標の絶対方位角と共線である照準を識別する。
【0057】
本発明について特定の具体的な実施形態を参照して説明したが、その種々の変更実施形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、当業者に明らかになろう。当業者に明らかであろうそのような全ての変更実施形態は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
【国際調査報告】