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特表2023-535261抗CTLA4モノクローナル抗体及びキメラ抗原受容体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】抗CTLA4モノクローナル抗体及びキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230809BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230809BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230809BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230809BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230809BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230809BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230809BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C07K19/00
C07K16/28
C12N5/10
C12P21/08
C12P21/02 C
C12N15/12
A61P35/00
A61K48/00
A61K39/395 N
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022576221
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 IB2021055076
(87)【国際公開番号】W WO2021250594
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/038,111
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515258402
【氏名又は名称】ナントバイオ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード、アンダース、オルソン
(72)【発明者】
【氏名】田中 志保
(72)【発明者】
【氏名】カイバン、ニアジ
(72)【発明者】
【氏名】メラニー、ヘルムレック
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、エイチ.キング
(72)【発明者】
【氏名】チーミン、クオ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB50
4C085CC03
4C085CC05
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
選択されたポリペプチド化合物がCTLA-4に結合する組成物及び方法が提示される。最も典型的には、結合は、選択されたVH及び/又はVLドメインによって媒介され、好ましい化合物は、scFv、IgG、又はCARとして調製される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含むVセグメント、並びに/又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含むVセグメント
を含む、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド。
【請求項2】
前記Vセグメント及びVセグメントが、リンカーペプチドと共役される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記リンカーペプチドが、グリシンに富むペプチドである、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドが、薬理学的に許容可能な担体中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
前記ペプチドが、前記Vセグメント及びVセグメントの少なくとも2つの対をさらに含み、前記少なくとも2つの対が連結されて多価のscFvを形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含む重鎖、並びに/又は配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体。
【請求項7】
配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される前記第1のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される前記第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
配列番号68の第1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69の第2のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号70の第1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号71の第2のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、抗体。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体を含み、
前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は前記抗体が、薬理学的に許容可能な担体中に存在する、がんを有する患者を治療するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体を含み、
前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は前記抗体が、検出可能な標識をさらに含む、診断用組成物。
【請求項11】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに/又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含み、
前記第1及び第2のセグメントが、任意選択的に同一読み枠中に存在する、組換え核酸。
【請求項12】
配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに/又は配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含み、
前記第1及び第2のセグメントが、任意選択的にバイシストロン配置中にある、組換え核酸。
【請求項13】
配列番号68の第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント及び配列番号69の第2のアミノ酸配列をコード化する第2の核酸セグメント、又は
配列番号70の第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント及び配列番号71の第2のアミノ酸配列をコード化する第2の核酸セグメントを含む、組換え核酸。
【請求項14】
キメラ抗原受容体(CAR)の少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコード化する第3のセグメントをさらに含み、前記CARが、細胞内で発現されると、前記第1及び/又は第2の核酸セグメントを含む抗原結合細胞外ドメインを有する、請求項11に記載の組換え核酸。
【請求項15】
N-803又はTxMの少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコード化する第3のセグメントをさらに含み、前記N-803又はTxMが、細胞内で発現されると、前記第1及び/又は第2の核酸セグメントを含む抗原結合ドメインを有する、請求項11に記載の組換え核酸。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む、組換え細胞。
【請求項17】
前記細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、単球、マクロファージ、又は樹状細胞である、請求項16に記載の組換え細胞。
【請求項18】
前記細胞が、CHO細胞又はEC7細胞である、請求項16に記載の組換え細胞。
【請求項19】
細胞又は組織を、細胞又は組織におけるCTALA-4媒介効果を減少させる量の請求項1~5のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体に接触させるステップを含む、前記細胞又は組織におけるCTLA-4媒介効果を減少させる方法。
【請求項20】
請求項1~6のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項16若しくは17に記載の組換え細胞を含む医薬組成物を、腫瘍を有する患者に投与するステップを含み、
前記医薬組成物が、前記腫瘍を治療するのに有効な用量及びスケジュールで前記患者に投与される、前記患者を治療する方法。
【請求項21】
請求項1~6のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項16若しくは17に記載の組換え細胞を含む医薬組成物を、腫瘍を有する患者に投与するステップを含み、
前記医薬組成物が、腫瘍微小環境における免疫抑制を低減するのに有効な用量及びスケジュールで前記患者に投与される、前記患者の免疫抑制を低減する方法。
【請求項22】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)の使用。
【請求項23】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項24】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項16又は17に記載の組換え細胞の使用。
【請求項25】
請求項1~6のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項16若しくは17に記載の組換え細胞の医薬における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照として援用される、2020年6月11日に出願された米国仮特許出願第63/038,111号明細書の同時係属中の優先権を主張する。
【0002】
配列表
サイズが110KBであり、ファイル名が102719.0032PCT_REV005_ST25.txtである配列表のASCIIテキストファイルの内容は、2021年6月1日に作成され、本出願と共にEFS-Webを介して電子的に提出され、その全体が参照により援用される。
【0003】
発明の分野
本発明の分野は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)に結合する化合物、特に抗体、抗体断片、scFv、及び本明細書に提示されるVH及びVLドメインを含む融合分子の組成物及び方法である。
【背景技術】
【0004】
背景説明には、本発明の理解に有用であってもよい情報が含まれる。本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であること、又は現在請求されている発明に関連していることを認めるものではなく、又は具体的に又は暗黙的に参照されるいかなる出版物も先行技術であることを認めるものではない。
【0005】
本明細書におけるすべての出版物及び特許出願は、あたかも各個々の出版物又は特許出願が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されたかのように、参照により援用される。援用された参照における用語の定義又は使用が、本明細書で提供されるその用語の定義と矛盾し又は相反する場合、本明細書で提供されるその用語の定義が適用され、参照におけるその用語の定義は適用されない。
【0006】
免疫療法は、様々ながんに対する有望な治療戦略になりつつある。他の選択肢の中でも、典型的には免疫刺激薬と組み合わせられるがんワクチン組成物は、少なくともいくつかのアプローチで有意な治療効果を示している。残念なことに、腫瘍微小環境は、多くの場合、T細胞及びNK細胞の免疫抑制効果を有し、免疫療法の効果を低減することがよくある。細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4、CD152)は、活性化されたエフェクターT細胞(Teff)によって発現される膜糖タンパク質であり、T細胞の増殖、細胞周期の進行、及びサイトカイン(IL-2、IFN-γ)の抑制に関与する。CTLA-4は、抗原提示細胞(APC)上の共通のB7リガンド(CD80/CD86)への結合に対するCD28陽性共刺激との競合、及びシグナル伝達分子と関連する細胞質尾部を介した直接的な阻害効果をはじめとする、複数のメカニズムを通じて阻害機能を発揮すると考えられている。
【0007】
CTLA-4活性による免疫抑制を克服するために、抗CTLA-4抗体を治療エフェクターとして使用することができる。現在知られている抗CTLA-4抗体には、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、肝細胞がん、及び中皮腫をはじめとする、様々ながんの治療において、単独で、又は化学療法、がんワクチン、若しくは他の抗体(抗PD-1若しくは抗OX40)と組み合わせて使用されているイピリムマブ及びトレメリムマブが含まれる。イピリムマブは、黒色腫において10mg/kgの用量で長期生存率を高め、B細胞リンパ腫の患者において抗腫瘍活性を有していた。しかし、イピリムマブは、転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者では効果が示されなかった。イピリムマブと同様の利点は示されなかったが、トレメリムマブの臨床試験では、黒色腫、難治性転移性大腸がん、肝細胞がん、及び悪性中皮腫の患者において許容可能な忍容性と臨床的に意味のある活性が示された。
【0008】
残念ながら、イピリムマブ及びトレメリムマブには重大な有害作用があり、免疫抑制の軽減に常に効果があるわけではない。したがって、CTRLA-4シグナル伝達を妨害する様々なシステム及び方法が当技術分野で知られているにもかかわらず、それらのすべて又はほとんどすべてがいくつかの欠点を抱えている。したがって、CTLA-4に結合する改善された化合物のための組成物及び方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題は、CTLA-4に高い特異性及び親和性で結合するポリペプチドの様々な組成物及び方法に関する。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、scFv、抗体、又はその一部として、又はCAR、N-803、若しくはTxM誘導体などのキメラ分子として構成される。さらに好ましい実施形態では、ポリペプチドは、VH及び/又はVLドメインを含み、配列番号1~59に記載のアミノ酸配列を有し、又は配列番号60~71に記載の抗体の重鎖若しくは軽鎖を含む。容易に理解されるように、これらのポリペプチドは、様々な診断用途及び治療用途、特に免疫抑制の低減及びがんの治療において使用することができる。
【0010】
本発明の主題の一態様では、本発明者らは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含むVセグメント、並びに/又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含むVセグメントを含む一本鎖可変断片(scFv)ペプチドを考察する。最も典型的には、Vセグメント及びVセグメントは、リンカーペプチド(例えば、グリシンに富むペプチド)と共役されている。さらに、一本鎖可変断片(scFv)ペプチドは、Vセグメント及びVセグメントの少なくとも2つの対をさらに含み得ることが考察され、少なくとも2つの対は、連結されて多価scFvを形成する。望ましい場合、ペプチドは、薬理学的に許容可能な担体中に存在し得る。
【0011】
本発明の主題の別の態様では、本発明者らは、配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含む重鎖、並びに/又は配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を考察する。例えば、適切な抗体には、配列番号68の第1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69の第2のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号70の第1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号71の第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を有する抗体が含まれる。
【0012】
本発明の主題のさらなる態様では、本発明者らは、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は本明細書に提示される抗体を含む、がんを有する患者を治療するための医薬組成物を考察し、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は抗体は、薬理学的に許容可能な担体中に存在する。
【0013】
本発明の主題のさらに別の態様では、本発明者らは、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は本明細書に提示される抗体を含む診断用組成物を考察し、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は抗体は、検出可能な標識をさらに含む。
【0014】
さらに、本発明者らは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに/又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む組換え核酸も考察する。好ましくは、必須ではないが、第1及び第2のセグメントは、同一読み枠に存在する。さらに、本発明者らは、配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに/又は配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む組換え核酸を考察する。好ましくは、必須ではないが、第1及び第2のセグメントは、バイシストロン配置である。
【0015】
例えば、考察される組換え核酸は、配列番号68の第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメントと配列番号69の第2のアミノ酸配列をコード化する第2の核酸セグメント、又は配列番号70の第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメントと配列番号71の第2のアミノ酸配列をコード化する第2の核酸セグメントを含み得る。
【0016】
容易に理解されるように、組換え核酸は、キメラ抗原受容体(CAR)の少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコード化する第3のセグメントをさらに含んでもよく、CARは、細胞内で発現されると、第1及び/又は第2の核酸セグメントを含む抗原結合細胞外ドメインを有する。代替として、組換え核酸は、N-803又はTxMの少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコード化する第3のセグメントをさらに含んでもよく、N-803又はTxMは、細胞内で発現されると、第1及び/又は第2の核酸セグメントを含む抗原結合ドメインを有する。
【0017】
したがって、本発明者らはまた、上記の組換え核酸を(例えば、トランスフェクション又は遺伝子工学によって)含む組換え細胞を考察する。他の適切な細胞型の中でも、組換え細胞は、組換えT細胞、組換えNK細胞、組換えNKT細胞、組換え単球、組換えマクロファージ、又は組換え樹状細胞であり得る。代替として、組換え細胞は、CHO細胞又はEC7細胞などの組換えタンパク質を産生するようにエンジニアリングされた産生細胞であってもよい。
【0018】
なおさらに考察される態様では、細胞又は組織におけるCTLA-4媒介効果を低減する方法が提示され、この方法は、細胞又は組織を、細胞又は組織におけるCTALA-4媒介効果を低減する量の本明細書で提示される抗体である一本鎖可変断片(scFv)ペプチドと接触させるステップを含む。
【0019】
そのため、本発明者らはまた、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは本明細書に提示される抗体を含む医薬組成物、又は本明細書に提示される組換え細胞を患者に投与するステップを含む、腫瘍を有する患者を治療する方法を考察する。最も好ましくは、医薬組成物は、腫瘍を治療するのに有効な用量及びスケジュールで患者に投与される。
【0020】
したがって、異なる観点から見ると、本発明者らは、一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは本明細書に提示される抗体を含む医薬組成物、又は本明細書に提示される組換え細胞を患者に投与するステップを含む、腫瘍を有する患者における免疫抑制を低減する方法も考察する。最も好ましくは、医薬組成物は、腫瘍微小環境における免疫抑制を低減するのに有効な用量及びスケジュールで患者に投与される。
【0021】
したがって、本明細書に提示される一本鎖可変断片(scFv)又は抗体又は組換え細胞の使用は、医学における使用のため、特にがんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者における免疫抑制を低減するために考察される。
【0022】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様、及び利点は、同様の数字が同様の構成要素を表す添付の図面と併せて、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本明細書に提示される様々なscFv構築物についての例示的なSPRの結果を示す。
図2A-D】図2A~2Dは、抗CTLA-4抗体及び本明細書に示される対照が投与された、処置された腫瘍の例示的な結果を示す。
図2E図2Eは、図2A~2Dの処置群についてのカプラン・マイヤープロットである。
図3A-D】図3A~3Dは、抗CTLA-4抗体及び本明細書に提示される対照が投与された、処置されていない腫瘍についての例示的な結果を示す。
図3E図3Eは、図3A~3Dの処置群についてのカプラン・マイヤープロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは、CTLA-4、特に抗体のVH及びVLドメイン、又はVH及び/若しくはVLドメイン(及びその中に含まれるCDR)を含む断片又は融合タンパク質に有意に結合する様々なポリペプチドを発見した。最も有利には、VH及び/又はVLドメイン又はその中に含まれるCDRを使用して、CTLA-4に対して高い親和性及び特異性を有する様々な治療剤又は診断剤を生成することができる。
【0025】
本明細書で考察されるVH及びVLドメインに関して、ドメインは一般に周知の命名法に従うことが理解されるべきである。そのため、VHドメインは、典型的にはいくつかの定常ドメインに結合する抗体の重鎖の可変断片(例えば、IgGのCH1、CH2、及びCH3ドメインに結合するVHドメイン)を表す。同様に、VLドメインは、典型的には定常ドメインに結合する抗体の軽鎖の可変断片(例えば、IgG中のCLに結合したVLドメイン)を表す。したがって、容易に理解されるように、VH及びVLドメインのそれぞれは、典型的にはFR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3CDR3-FR4として連続して配置された、それぞれのフレームワーク領域(FR)及び相補性決定領域(CDR)を有する。そのため、VH及びVLドメインの既知のフレームワーク領域に基づいて、当業者は、VH又はVLドメインのそれぞれのCDRを容易に認識するであろう。「ドメイン」及び「セグメント」という用語は、VH又はVLと併せて、本明細書では互換的に使用される。
【0026】
さらに容易に認識されるように、当業者は、VHセグメント及び/又はVLセグメントのアミノ配列を使用して、組換え単離抗体又はその断片を生成することができる。本明細書の用法では、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、抗原と免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。したがって、「抗体及びその断片」には、免疫グロブリン分子全体(例えば、完全サイズ、全IgG、IgAなど)、及びその免疫グロブリン分子全体の抗原結合断片が含まれる。したがって、考察される断片としては、scFv、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2、ジスルフィド連結されたFv(sdFv)、Fv、及びVセグメント及び/又はVセグメントのどちらかを含んでなる任意の断片が挙げられる。抗体が免疫グロブリンである場合、免疫グロブリンは、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、又はIgY)及び任意のクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、又はIgA)の重鎖又は定常ドメインを含んで、異なるタイプの免疫グロブリンを構成し得ることが考察される。さらに、「抗体」としては、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体が特に挙げられるであろう。したがって、配列番号1~59のVH及び/又はVLドメインは、当該技術分野で周知の方法を用いて、任意の既存の(典型的にはヒト又はヒト化)抗体又は抗体断片にグラフト化され得ることが理解されるべきである。
【0027】
本発明者らは、配列番号1~59に示されるVHセグメント及び/又はVLセグメントのアミノ配列を使用して、担体タンパク質と共役させ、CTLA-4がハイブリッドタンパク質によって捕捉され得るか又は妨げられ得るように、その表面上にVHセグメント及び/又はVLセグメントを有するハイブリッドタンパク質を生成させ得ることを(that the that the)さらに考察する。VHセグメント及び/又はVLセグメントを安定に保有し、好ましくは腫瘍微小環境へのアクセスを提供し得る、担体タンパク質の任意の適切な形態が考察される。特に好ましい1つの担体タンパク質としては、1つ又は複数のVHセグメント及び/又はVLセグメントと共役される抗体部分(例えば、タンパク質A、タンパク質G、タンパク質Z)への親和性を有する、アルブミン、再折り畳みアルブミン、及びその他のタンパク質が挙げられる。
【0028】
典型的には、VHセグメント及び/又はVLセグメントは、アンカー分子と共役され、それによってVHセグメント及び/又はVLセグメントは、担体タンパク質と共役され得る。例えば、担体タンパク質がアルブミンである場合、アンカー分子は、アルブミンのSudlow部位I及びII、又はアルブミンのその他の任意の疎水性領域の1つに適合する、任意の適切なサイズの疎水性ペプチド又は糖脂質であり得る。例えば、上記のCTLA-4に対する組換え免疫グロブリンタンパク質は、そのFcドメインを介して担体タンパク質と共役され得る。その他の実施形態では、アンカー分子は、疎水性ペプチド(少なくとも10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、30アミノ酸などの長さ)を含んでもよい。これらの実施形態では、VHセグメント及び/又はVLセグメント(例えば、scFvの形態としての)及び疎水性ペプチドの様々な構成が考察され得る。例えば、一価のscFvドメインは疎水性ペプチドに直接連結され得て、又は多価のscFvは疎水性ペプチドに直接連結され得る。代案としては、1つのscFvドメインは複数の疎水性ペプチドに直接連結され得て、又は複数のscFvドメインは複数の疎水性ペプチドに直接連結され得る。
【0029】
代案としては、又はそれに加えて、1つ又は複数のVHセグメント及び/又はVLセグメントは、担体タンパク質に結合するアンカー部分を有する中間分子と共役され得る。好ましい実施形態では、本発明者らは、複数の標的認識ドメインが、担体タンパク質上の単一結合部位を介して保有され得るように、中間分子が、VHセグメント及び/又はVLセグメントに対する複数の結合部位を提供することを考察する。適切な中間分子は、ナイーブ組織にいかなる有意な毒性も提供しない、任意のタンパク質、糖脂質、有機分子、又は無機分子を含んでもよい。例えば、適切な中間分子は、ナノ粒子(例えば、量子ドット、金ナノ粒子、磁性ナノ粒子、ナノチューブ、高分子ナノ粒子、デンドリマーなど)、又はビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、ダイナビーズなど)を含んでもよい。好ましくは、ナノ粒子及び/又はビーズは、1μm未満、好ましくは100nm未満の寸法を有する。ナノ粒子は、担体タンパク質(例えば、アルブミン)へのアンカーを提供する疎水性尾部に架橋され、又はそれで部分的に被覆されてもよい。1つ又は複数のVHセグメント及び/又はVLセグメントもまた、ナノ粒子上に架橋され又はそれを部分的に被覆し得る(例えば、架橋などのために標的認識ドメインに連結された追加の尾部ドメインを介して)。
【0030】
別の例では、適切な中間分子は、担体タンパク質に対する抗体と共役されたビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、ダイナビーズなど)を含んでもよい。したがって、担体タンパク質がアルブミンである場合、ビーズが高い親和性及び特異性で担体タンパク質に結合し得るように、ビーズはα-アルブミン抗体と共役され得る(例えば、架橋、被覆など)。1つ又は複数のVHセグメント及び/又はVLセグメントもまた、ビーズ上に架橋され又はそれを部分的に被覆し得る(例えば、架橋、チオール媒介架橋などのために標的認識ドメインに連結された追加の尾部ドメインを介して)。
【0031】
いくつかの実施形態では、scFvペプチドは、ALT-803(IL-15スーパーアゴニスト複合体、例えば、Blood 2015 126:1957を参照されたい)又はTxM(標的化ALT-803ベースのスキャフォールドプラットフォーム、例えば、URL、altorbioscience.com/our-science/il-15-protein-superagonist-and-scaffold-technology/を参照されたい)構造を含んでなり又はそれを模倣する、組換え免疫グロブリンタンパク質複合体を形成し得る。好ましくは、本発明者らは、免疫グロブリンタンパク質複合体がTxM構造を模倣する場合、scFvペプチドは、1つ又は複数のインターロイキン-15(IL-15)結合モチーフと、及び/又はIL-15結合モチーフ(例えば、IL-15、IL-15N72Dなど)に対する1つ又は複数のリガンドと、直接(又はリンカーを介して間接的に)共役され得ることを考察する。したがって、組換え免疫グロブリンタンパク質複合体がTxM IgG1構造を模倣する場合、組換え免疫グロブリンタンパク質複合体は、CTLA-4に対する1-4 scFvペプチドを含んでもよい。
【0032】
さらに、IL-15結合モチーフ又はそのリガンドと共役された1つ又は複数のscFvペプチドを有するTxM構造を模倣する、組換え免疫グロブリンタンパク質複合体は、腫瘍特異的抗原又は患者特異的及び腫瘍特異的ネオエピトープに対する結合ドメイン(例えば、ネオエピトープなどに対するscFvペプチドなど)もまた含んでもよい。例えば、組換え免疫グロブリンタンパク質複合体は、2つのIL-15結合モチーフと共役されたCTLA-4に対する2つのscFvペプチド、及び2つのIL-15結合モチーフリガンドと共役されたネオエピトープに対する2つのScFvペプチドを含んでもよい。好ましくは、ネオエピトープは、患者特異的且つ腫瘍特異的であり、例えば、米国特許出願公開第2012/0059670A1号明細書及び米国特許出願公開第2012/0066001A1号明細書で開示されるような配列データのオミクス解析によって同定される。
【0033】
いくつかの実施形態では、scFv又はその断片は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58の中のVHセグメントをコード化する1つの配列を使用して生成することができる。他の実施形態では、scFv、組換え抗体又はその断片は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59の中のVLセグメントをコード化する1つの配列を使用して生成することができる。さらに他の実施形態では、scFv、組換え抗体又はその断片は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58の中のVHセグメントをコード化する1つの配列、並びに配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59の中のVLセグメントをコード化する1つの配列を使用して生成することができる。これらの実施形態では、区別するVH及びVL識別子(例えば、それぞれ配列番号1及び2に示される73-2VH及び73-2VL)を用いて配列表中の共通の指定配列(designator)を有するVHセグメントをコード化する配列及びVLセグメントをコード化する配列を対にすることが好ましい。しかし、以下により詳細に示されるように、配列番号xxから1つのVHセグメントを選択し、配列番号yyから1つのVLセグメントを選択することによって、VHセグメント及びVLセグメントの任意の対を生成して、CTLA-4結合分子を形成できることも考察され、xxは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、36、38、40、42、44、46、48、49、51、54、56、及び58のうちのいずれか1つであり、yyは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59のうちのいずれか1つである。
【0034】
本発明者らはまた、scFv、組換え抗体又はその断片が、配列番号xx又はyyのいずれか1つと少なくとも85%同一、好ましくは少なくとも90%同一、より好ましくは少なくとも95%同一であるVHセグメント及び/又はVLセグメントをコード化するアミノ酸配列を用いて生成できることを考察する。最も典型的には、同一性が100%でない場合、異なるアミノ酸は、配列のフレームワーク領域の1つ又は複数に位置し、所与の配列のCDR領域に影響を与えない。さらなる実施形態では、scFvペプチド、組換え抗体又はその断片の結合親和性は、100nM以下、又は50nM以下、又は20nM以下、又は10nM以下、又は5nM以下、又は2nM以下、又は1nM以下であることが好ましい。例えば、本明細書に提示される特定のVH及び/又はVLドメインを有する任意のscFvを選択し、次にVH及びVLのCDR領域におけるランダム変異誘発を介して、scFvを親和性成熟に供することができる。そのような例では、典型的には、所与の配列のすべてのCDR領域にわたって4個以下、又は3個以下、又は2個以下のアミノ酸が変更されることが考察される。したがって、認識されるように、結合特性が改善される親和性成熟プロセスから複数の結合剤を単離することができる。
【0035】
最も典型的には、scFvペプチド又は同様の構築物中のVHセグメント及びVLセグメントは、典型的には5~40アミノ酸、好ましくは10~30アミノ酸、より好ましく20~30アミノ酸である、リンカー又はスペーサーを介して共役される。いくつかの実施形態では、リンカーは、VHセグメントのN末端及びVLセグメントのC末端に共役し得る。その他の実施形態では、リンカーは、VLセグメントのN末端及びVHセグメントのC末端に共役し得る。本発明者らは、VHセグメントとVLセグメントとの間に構造的可撓性を提供するために、リンカーのためのグリシンに富む配列(例えば、(GS)n、式中、nは1~5であるなど)が好ましいことをさらに考察する。1つ又は複数のセリン又はスレオニン残基をリンカーに含めて、scFvペプチド、組換え抗体又はその断片の溶解度を高めることもまた考察される。当該技術分野で公知の多数のリンカー及びscFvを作製する方法があり、このような既知の方法は、すべて本明細書での使用に適すると見なされる。
【0036】
さらに、scFvペプチドは、複数のVHセグメント及びVLセグメントを含み、二価又は多価のscFvを形成し得る。いくつかの実施形態では、複数のVHセグメント及び/又はVLセグメントは、同一アミノ配列を有してもよい(例えば、3つのVHセグメントと3つのVLセグメントとを有する多価のscFvであって、すべてのVHセグメントが同一VHを有し、すべてのVLセグメントが同一VLドメインを有する。その他の実施形態では、VHセグメント及び/又はVLセグメントの少なくとも2つが、異なるアミノ酸配列を有してもよい(例えば、3つのVHセグメントと3つのVLセグメントとを有する多価のscFvであって、VHセグメントの2つが同一のVHドメインであり、VHセグメントの1つが異なり、VLセグメントの2つが同一のVLドメインであり、VHセグメントの1つが異なる。
【0037】
好ましくは、CTLA-4(72量体及び77量体IL-8の少なくとも1つ)に対するscFv、組換え抗体又はその断片の結合親和性(Kd)は、25℃~37℃の温度での測定、及び5.5~7.5のpH範囲での測定で、少なくとも1×10-7M未満、好ましくは1×10-8M未満、より好ましくは1×10-9M未満である。本発明者らは、Vセグメント及び/又はVセグメントの同一アミノ酸配列を使用して、scFv、組換え抗体、又はその断片が生成されても、構造の違いのために、CTLA-4に対するscFv、組換え抗体、又はその断片の結合親和性が異なってもよいことを考察する。例えば、表1~4は、異なるscFvクローンの異なる親和性(KD値で測定)を提供し、表5は、様々な組換え抗体(IgG1)クローンの様々な親和性(KD値で測定)を示す。
【0038】
scFvペプチド(又は抗体のVHセグメント及びVLセグメント若しくはそれらの断片)は、単一の組換え核酸によってコード化できることがさらに考察される。そのような実施形態では、組換え核酸には、少なくとも2つの核酸セグメント:本発明の主題のVHセグメントをコード化する第1の核酸セグメント及びVLセグメントをコード化する第2の核酸セグメントが含まれる。しかし、それぞれVH及びVLセグメントをコード化する第1及び第2の核酸セグメントが、配列番号1~59のいずれか1つと、少なくとも85%同一、好ましくは少なくとも90%同一、より好ましくは少なくとも95%同一であることもまた考察される。最も好ましくは、2つの核酸セグメントは、2つの核酸セグメントが、2つのペプチドセグメントを有する単一のタンパク質に翻訳され得るように、同一読み枠内にある。
【0039】
さらに、組換え核酸は、リンカーペプチド(好ましくはGに富む又はそうでなければ可撓性のリンカーペプチド)をコード化する、第1の核酸セグメントと第2の核酸セグメントとの間の第3の核酸セグメントを含んでもよく、これは、典型的には5~40アミノ酸、好ましくは10~30アミノ酸、より好ましくは20~30アミノ酸である。この実施形態では、3つの核酸セグメントは、3つの核酸セグメントが、3つのペプチドセグメントを有する単一のタンパク質に翻訳され得るように、同一読み取り枠内にあることが特に好ましい。
【0040】
一方、CTLA-4結合分子が抗体(例えば、IgG)である場合、本明細書に提示されるVHセグメント及びVLセグメントは、単一の組換えバイシストロン構築物上でコード化され得るか、又はこれらのセグメントは、2つの別個の構築物上でコード化され得る。最も典型的には、VHドメインをコード化する核酸は、1つ又は複数のCHドメイン(例えば、IgGの場合はCH1-CH2-CH3)もインフレームでコード化する。同様に、VLドメインをコード化する核酸はまた、1つのCHドメイン(例えば、IgGの場合はCL)をインフレームでコード化する。最も典型的には、重鎖及び軽鎖の定常ドメインは、ヒト化されるが、他の哺乳動物配列も適切であると考えられる。さらに、組換え核酸は、(必ずしも必要ではないが)好ましくは、抗体を発現する細胞に最適化されたコドン使用頻度を有することが認識されるべきである。
【0041】
本発明者らは、scFvペプチド、抗体又はその断片を、腫瘍を有する患者に投与して、CTLA-4によるシグナル伝達及び付随する免疫抑制を低減又は阻害できるように、医薬組成物として処方できることをさらに考察する。したがって、scFvペプチド、抗体又はその断片は、任意の薬学的に許容可能な担体中に(例えば、無菌注射用組成物として)、治療製剤のための投与単位当たり、少なくとも1ml、好ましくは少なくとも5ml、より好ましくは少なくとも20mlの量で配合され得ることが考察される。しかし、代替製剤もまた本明細書での使用に適すると見なされ、すべての既知の投与経路及び投与様式が本明細書で考察される。本明細書の用法では、「投与する」という用語は、本明細書で考察される化合物及び組成物の直接投与及び間接投与の双方を指し、直接投与は、典型的には医療従事者(例えば、医師、看護師など)によって実施される一方で、間接投与は、典型的には、化合物及び組成物を直接投与のために医療専門家に提供するか、又は利用可能にするステップを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、皮下注射、真皮下注射、又は静脈内注射をはじめとする、全身注射によって投与される。他の実施形態では、以下により詳細に示されるように、腫瘍内注射を介して製剤を投与することが考察される。
【0042】
上記のVH及びVLセグメントを含む、scFvペプチド、抗体又はその断片を含む、医薬組成物の1つの例示的な方法及び使用は、標的組織又は標的細胞におけるCTLA-4媒介効果を減少させることである。本明細書の用法では、CTLA-4媒介効果は、組織における又は組織の微小環境におけるCTLA-4の活性によって、直接的又は間接的に誘導される任意の生物学的帰結を指す。最も典型的には、この効果は、T細胞活性(及び特にT細胞とNK細胞による細胞障害性細胞死滅)の減少として観察可能であり、これは、腫瘍微小環境で増強又は観察され得る。別の観点から見ると、インビボでのIL-8媒介効果の減少は、生理学的現象によっても観察することができる。例えば、CTLA-4シグナル伝達の減少は、腫瘍の収縮、腫瘍細胞のアポトーシス、又は壊死によって腫瘍の成長の低減又は阻害を介して観察することができる。同様に、患者、特に腫瘍微小環境におけるCTLA-4シグナル伝達の減少は、腫瘍が局所又は遠隔転移を引き起こす傾向を低減する。
【0043】
患者への医薬組成物の投与の用量及びスケジュールに関して、用量及び/又はスケジュールは、ペプチドのタイプ(例えば、scFv、抗体、抗体断片、これらの任意の2つの組み合わせ、すべての組み合わせなど)、疾患のタイプ及び予後(例えば、腫瘍のタイプ、サイズ、位置)、患者の健康状態(例えば、年齢、性別などをはじめとする)次第で変動してもよいことが考察される。変動してもよいものの、用量及びスケジュールは、製剤が、宿主の正常細胞にいかなる有意な毒性効果ももたらさないが、なおも腫瘍微小環境におけるCTLA-4の効果が、3時間以内、6時間以内、12時間以内、24時間以内、72時間以内、又は1週間以内に、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%減少するのに十分であるように選択及び調整されてもよい。例えば、CTLA-4結合剤が抗体である場合、抗体の適切な用量は、1回の投与につき0.1~1.0mg、又は1.0~5.0mg、又は5.0~10.0mg、又は10~50mg、又は50~100mgであり得る。
【0044】
さらに、本発明者らは、CTLA-4に対するscFv、抗体又はその断片の効果が、1つ又は複数のがん薬物療法の同時投与によって増強され得ることを考察する。がん薬物療法としては、フルベストラント、アルドキソルビシン、ドセタキセル、腫瘍壊死治療剤(例えば、131I-chTNT-3など)、アベルマブ(PD-L1とその受容体との間の相互作用を妨げるヒトモノクローナルIgG抗体)、ブラキュリ標的化ワクチン(例えば、ETBX-051(Ad5[E1-、E2b-]-ブラキュリ))、Her2標的化ワクチン(例えば、ETBX-021など)、MUC-1標的化ワクチン(例えば、ETBX-061(Ad5[E1-、E2b-]-MUC1))、及び酵母ワクチン(例えば、GI-4000(GI-4014、GI-4015、GI-4016、GI-4020)、GI-6207、GI-6301)、及び腫瘍特異的ネオエピトープに対するアデノウイルス又は酵母ベースのワクチンが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらのがん薬物療法の例となる詳細は、その全体が参照として本明細書に援用される、国際公開第PCT/US17/40297号に記載される。
【0045】
望ましい場合は、CTLA-4結合剤を細胞ベースの治療と同時投与することもでき(同時に、又は1日以上間隔をあけて)、特に好ましい細胞ベースの治療には、NK細胞及び/又はT細胞の輸血が含まれる。もちろん、そのような細胞は、標的特異的な腫瘍細胞死滅を増加させるために、1つ又は複数の組換え分子を発現するように遺伝子改変され得ることが理解されるべきである。
【0046】
特に好ましい態様では、そのような改変されたNK細胞又はT細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するようにエンジニアリングすることができる。いくつかの実施形態では、NK細胞又はT細胞のCARは、1つ又は複数のがん又は腫瘍に特異的な抗原を標的とし得るが、特に考察される実施形態では、NK細胞又はT細胞によって発現されるCARは、CTLA-4を標的とする。一般に、適切なCARは、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインに連結された一本鎖可変断片(scFv)を含むことが知られている。scFvは、標的細胞上の抗原(例えば、抗原又はCTLA-4)を認識して結合し、エフェクター細胞の活性化を引き起こす。シグナル伝達ドメインには、ほとんどの場合、受容体による細胞内シグナル伝達に重要な免疫受容体チロシンベースの活性化ドメイン(ITAM)が含まれる。適切なCARには、様々な細胞、特にT細胞及びNK細胞で発現され得る第1世代、第2世代、及び第3世代CARが含まれる。
【0047】
第1世代CARは、典型的には、1つの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。例えば、T細胞の第1世代CARの1つの型には、1つのITAMを含むFcイプシロン受容体ガンマ(FcεRIγ)からのシグナル伝達ドメインが含まれ得、別の型には、3つのITAMを含むCD3ζからのシグナル伝達ドメインが含まれ得る。第2世代CARは、典型的には、CD3ζと並んで最も一般的な細胞内共刺激ドメインとしてCD28を使用する。代替として、第2世代CARは、CD3ζと共に4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインも包含し得る。第3世代CARには、典型的には、CD3ζ、CD28、及び4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。さらなる第3世代CARについては、国際公開第2016/201304号パンフレット及び同第2018/076391号パンフレットも参照されたい。
【実施例
【0048】
選択されたscFv分子のヒトCTLA-4への親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)を介して実施した。より具体的には、Pioneer FE装置を使用して、25℃でのscFvと組換えCTLA-4タンパク質との間の結合親和性を測定した。簡単に言えば、ビオチン化抗FLAG M2抗体を、ニュートラアビジンでコーティングされたPCHバイオセンサー(Molecular Devices/ForteBio)に固定した。3×FLAGタグ付きscFvをセンサー上の抗FLAG M2で捕捉し、組換えヒトCTLA-4タンパク質を用いるワンステップインジェクションを使用して結合親和性を測定した。選択されたscFvの例示的な結果を以下の表1及び2に示す。以下の表1~4のクローンの表示において、scFvのクローンは、示された配列番号を有するVH及びVLドメインの両方を含むことに注意すべきである。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
同様に、選択されたscFv分子のマウスCTLA-4に対する親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。より具体的には、Pioneer FE装置を使用して、25℃でのscFvと組換えCTLA-4タンパク質との間の結合親和性を測定した。簡単に言えば、ビオチン化抗FLAG M2抗体を、ニュートラアビジンでコーティングされたPCHバイオセンサー(Molecular Devices/ForteBio)に固定した。3×FLAGタグ付きscFvをセンサー上の抗FLAG M2で捕捉し、組換えマウスCTLA-4タンパク質を用いるワンステップインジェクションを使用して結合親和性を測定した。選択されたscFvについての例示的な結果を以下の表3及び4に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
なおさらなる実験では、選択されたVH及びVLドメインをヒトIgG足場に移植し、25℃又は37℃でSPR(Pioneer FE)又はOctet(Red96e)によってK測定を行った。表5に示されるすべての値は×10-9Mである。抗ヒトFc抗体(SPR)又はAHCセンサー(Octet)を使用して抗体をチップ表面に捕捉した。表5に示すように、ヒト又はマウスのCTLA-4を分析物とした。
【0055】
【表5】
【0056】
本発明者らは、ヒトCTLA-4/ヒトCD80又はマウスCTLA-4/マウスCD80を用いたBLIによってCD80/CTLA4複合体を遮断する抗体(IgG1)をさらに調べた。ここでは、Octet Red96e装置を使用して、CTLA-4へのCD80の結合を遮断するαCTLA-4抗体の能力を試験した。簡単に説明すると、ビオチン化CTLA-4をSAバイオセンサー(Molecular Devices/ForteBio)に固定した。次に、10μg/mL(67nM)のαCTLA-4を使用して、CTLA-4でコーティングされたバイオセンサーにロードした。最後に、250nMのCD80を使用して、αCTLA-4抗体の存在下でCTLA-4への結合を試験し、例示的な結果を図1に示す。
【0057】
上記のインビトロ試験に続いて、本発明者らは、選択されたIgG構築物の抗腫瘍活性を調べるために、様々なインビボ実験を実施することに着手した。具体的には、本発明者らは、酵母溶解物(pTK170、腫瘍特異的ネオエピトープを発現する酵母)、抗OX40抗体、及び示されている選択された抗CTLA-4抗体を使用して、B16F10マウス腫瘍モデルにおいて腫瘍内免疫化を試験した。4つの群の動物を使用した:1.PBS;2.pTK170+aOX40+a-CTLA4-7(配列番号68、配列番号69);3.pTK170+aOX40+a-CTLA4-8(配列番号70、配列番号71);及び4.pTK170+aOX40+a-CTLA4-9H10。pTK170酵母の投与量は5YU/注射であり、抗OX40及び抗CTLA4は、注射当たりそれぞれ100μgで投与した。
【0058】
腫瘍体積の例示的な結果を図2A~2Dに示し、動物のカプラン・マイヤープロットを図2Eに示す。容易に分かるように、すべての抗CTLA4群(図2B図2D)は、PBS(図2A)と比較して、処置済み及び未処置の両方の腫瘍の腫瘍増殖を有意に減少させる。100μgの用量でのクローン7、8、及び9H10の間には統計的に有意な差はまだない。注射されていない腫瘍体積を図3A~3Dに示し、図3AはPBS対照であり、図3B~3Dは、抗CTLA4化合物での処置を示す。動物の対応するカプラン・マイヤープロットを図3Eに示す。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明及び請求するために使用される、成分、濃度などの特性、及び反応条件などの量を表す数字は、場合によっては「約」という用語によって修正されることを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態では、書面による説明及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書における値の範囲の記載は、単に、範囲内の個々の値を個別に参照する簡単な方法として機能することを意図している。本明細書で別段の指示がない限り、個々の値は、あたかも本明細書で個別に列挙されたかのように本明細書に援用される。
【0060】
本明細書の用法では、医薬組成物又は薬物を「投与する」という用語は、医薬組成物又は薬物の直接投与及び間接投与の両方を指し、ここで、医薬組成物又は薬物の直接投与は、典型的には医療専門家(例えば、医師、看護師など)によって実施され、間接投与には、直接投与(例えば、注射、注入、経口送達、局所送達などを介した)のために医療専門家に医薬組成物又は薬物を提供又は利用可能にするステップを含む。状態、疾患の発症に対する感受性、又は意図した治療に対する反応を「予知する」又は「予測する」という用語は、対象における状態の進行、改善、及び/又は期間をはじめとする、状態、感受性、及び/又は反応を予測する行為又は予測(ただし、治療又は診断は含まれない)を含むことを意味することにさらに留意されたい。
【0061】
本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書の特定の実施形態に関して提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図しており、別の方法で請求される本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の文言は、本発明の実施に不可欠な請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0062】
本明細書の説明、及びそれに続く特許請求の範囲全体にわたる用法では、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の意味は、文脈上例外が明記されていない限り複数への言及を含む。本明細書の説明で使用されるように、文脈上例外が明記されていない限り、「in」の意味は、「in」及び「on」を含む。また、本明細書の用法では、文脈上例外が明記されていない限り、「~に共役された」という用語は、直接結合(互いに共役される2つの要素が互いに接触する)及び間接結合(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素間に位置する)の両方を含むことを意図している。したがって、「~に共役された」及び「~と共役された」という用語は同義的に使用される。
【0063】
本明細書の発明的概念から逸脱することなく、既に記載されたもの以外のより多くの修正が可能であることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲を除き、制限されるものではない。さらに、本明細書と特許請求の範囲の双方の解釈において、すべての用語は、文脈に沿った可能な限り広範な様式で解釈されるべきである。特に、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、非排他的様式で、要素、構成要素、又はステップを指し、参照される要素、構成要素、又はステップが存在しても、又は利用されても、あるいは明示的に参照されないその他の要素、構成要素、又はステップと組み合わされてもよいことを示唆するものと解釈されるべきである。本明細書の請求項が、A、B、C、....及びNからなる群から選択されるものの少なくとも1つを指す場合、本文は、A+N、又はB+Nなどではなく、群からの1つの要素のみを必要とするものと解釈すべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
【配列表】
2023535261000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本鎖可変断片(scFv)ペプチドまたはそれを含む融合タンパク質であって、前記scFvが、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、38、40、42、44、46、48、51、54、56、及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含むVHセグメント、並びに配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含むVLセグメントを含む、前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチドまたはそれを含む融合タンパク質
【請求項2】
前記VHセグメント及びVLセグメントが、リンカーペプチドと共役される、請求項1に記載のペプチドまたは融合タンパク質
【請求項3】
前記リンカーペプチドが、グリシンに富むペプチドである、請求項2に記載のペプチドまたは融合タンパク質
【請求項4】
前記ペプチドが、薬理学的に許容可能な担体中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドまたは融合タンパク質
【請求項5】
前記ペプチドが、前記VHセグメント及びVLセグメントの少なくとも2つの対をさらに含み、前記少なくとも2つの対が連結されて多価のscFvを形成する、請求項1~のいずれか一項に記載のペプチドまたは融合タンパク質
【請求項6】
配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含む重鎖、並びに配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体またはそれを含む融合タンパク質
【請求項7】
配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される前記第1のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される前記第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項6に記載の抗体または融合タンパク質
【請求項8】
配列番号68の第1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69の第2のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号70の第1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号71の第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体を含み、
前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は前記抗体が、薬理学的に許容可能な担体中に存在する、がんを有する患者を治療するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体を含み、
前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又は前記抗体が、検出可能な標識をさらに含む、診断用組成物。
【請求項11】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、38、40、42、44、46、48、51、54、56、及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57、及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含み、
前記第1及び第2のセグメントが、任意選択的に同一読み枠中に存在する、組換え核酸。
【請求項12】
配列番号60、61、62、64、65、66、68、及び70からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに配列番号63、67、69、及び71からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含み、
前記第1及び第2のセグメントが、任意選択的にバイシストロン配置中にある、組換え核酸。
【請求項13】
配列番号68の第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント及び配列番号69の第2のアミノ酸配列をコード化する第2の核酸セグメント、又は
配列番号70の第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント及び配列番号71の第2のアミノ酸配列をコード化する第2の核酸セグメントを含む、組換え核酸。
【請求項14】
キメラ抗原受容体(CAR)の少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコード化する第3のセグメントをさらに含み、前記CARが、細胞内で発現されると、前記第1及び第2の核酸セグメントによってコードされるscFvペプチドを含む抗原結合細胞外ドメインを有する、請求項11に記載の組換え核酸。
【請求項15】
N-803又はTxMの少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコード化する第3のセグメントをさらに含み、前記N-803又はTxMが、細胞内で発現されると、前記第1及び第2の核酸セグメントによってコードされるscFvペプチドを含む抗原結合ドメインを有する、請求項11に記載の組換え核酸。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む、組換え細胞。
【請求項17】
前記細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、単球、マクロファージ、又は樹状細胞である、請求項16に記載の組換え細胞。
【請求項18】
前記細胞が、CHO細胞又はEC7細胞である、請求項16に記載の組換え細胞。
【請求項19】
細胞又は組織を、細胞又は組織におけるCTALA-4媒介効果を減少させる量の請求項1~のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体若しくは融合タンパク質に接触させるステップを含む、前記細胞又は組織におけるCTLA-4媒介効果を減少させる方法。
【請求項20】
請求項1~のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体若しくは融合タンパク質を含む医薬組成物を、腫瘍を有する患者に投与するステップを含み、
前記医薬組成物が、前記腫瘍を治療するのに有効な用量及びスケジュールで前記患者に投与される、前記患者を治療する方法。
【請求項21】
請求項1~のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体若しくは融合タンパク質を含む医薬組成物を、腫瘍を有する患者に投与するステップを含み、
前記医薬組成物が、腫瘍微小環境における免疫抑制を低減するのに有効な用量及びスケジュールで前記患者に投与される、前記患者の免疫抑制を低減する方法。
【請求項22】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項1~のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)若しくは融合タンパク質の使用。
【請求項23】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体若しくは融合タンパク質の使用。
【請求項24】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項16に記載の組換え細胞の使用。
【請求項25】
請求項1~のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の抗体若しくは融合タンパク質の医薬における使用。
【請求項26】
一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又はそれを含む融合タンパク質であって、前記scFvペプチドが、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、38、40、42、44、46、48、51、54、56及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含むVHセグメント、並びに配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含むVLセグメントを含み、それによって、73-2、74-1、78-1、78-2、78-5、78-8、78-13、78-19、78-24、78-28、78-36、78-39、78-8D2、78-8D4、78-8D5、78-8D6、78-8D7,78-8D10、78-8Dl4、78-8D22、78-24D1、78-24D4、78-24D8、78-24D9、78-24Dl2、78-24D14、78-24D17及び78-24D22からなる群から選択されるscFvが生成される、前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド又はそれを含む融合タンパク質。
【請求項27】
前記VHセグメント及びVLセグメントが、リンカーペプチドと共役される、請求項26に記載のscFvペプチド又は融合ペプチド。
【請求項28】
前記リンカーペプチドが、グリシンに富むペプチドである、請求項26に記載のscFvペプチド又は融合ペプチド。
【請求項29】
前記ペプチドが、薬理学的に許容可能な担体中に存在する、請求項26に記載のscFvペプチド又は融合ペプチド。
【請求項30】
前記VHセグメント及びVLセグメントの少なくとも2つの対をさらに含み、前記少なくとも2つの対が連結されて多価のscFvを形成する、請求項26に記載のscFvペプチド又は融合ペプチド。
【請求項31】
配列番号60、61、62、64、65及び66からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含む重鎖、並びに配列番号63及び67からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、それによって、CTLA4-l、CTLA4-2、CTLA4-3、CTLA4-7、CTLA4-8及びCTLA4-9からなる群から選択される抗体が生成される、抗体又はそれを含む融合タンパク質。
【請求項32】
請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項31に記載の抗体又は融合タンパク質を含み、前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド、前記抗体又は前記融合タンパク質が、薬理学的に許容可能な担体中に存在する、がんを有する患者を治療するための医薬組成物。
【請求項33】
請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項31に記載の抗体又は融合タンパク質を含み、前記一本鎖可変断片(scFv)ペプチド、前記抗体又は前記融合タンパク質が、検出可能な標識をさらに含む、診断用組成物。
【請求項34】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、38、40、42、44、46、48、51、54、56及び58からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメント、並びに配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、37、39、41、43、45、47、50、53、55、57及び59からなる群から選択される第2のアミノ酸配列をコード化する第1の核酸セグメントを含む組換え核酸であって、
前記組換え核酸が、配列73-2、74-1、78-1、78-2、78-5、78-8、78-13、78-19、78-24、78-28、78-36、78-39、78-8D2、78-8D4、78-8D5、78-8D6、78-8D7、78-8D10、78-8D14、78-8D22、78-24D1、78-24D4、78-24D8、78-24D9、78-24D12、78-24D14、78-24Dl7及び78-24D22からなる群から選択されるscFvペプチドをコードし、
前記第1及び第2のセグメントが、任意選択的に同一読み枠中に存在する、前記組換え核酸。
【請求項35】
配列番号60、61、62、64、65及び66からなる群から選択される第1のアミノ酸配列をコードする第1の核酸セグメント、並びに配列番号63及び67からなる群から選択される第2のアミノ酸配列をコードする第2の核酸セグメントを含む組換え核酸であって、
前記組換え核酸が、CTLA4-l、CTLA4-2、CTLA4-3、CTLA4-7、CTLA4-8及びCTLA4-9からなる群から選択される抗体を含むペプチドをコードし、
前記第1及び第2のセグメントが、任意選択的にバイシストロン配置中にある、前記組換え核酸。
【請求項36】
キメラ抗原受容体(CAR)の少なくとも一部をコードするポリペプチドをコードする第3のセグメントをさらに含み、前記CARが、細胞内で発現されると、前記第1及び第2の核酸セグメントによってコードされるscFvペプチドを含む抗原結合細胞外ドメインを有する、請求項34に記載の組換え核酸。
【請求項37】
N-803又はTxMの少なくとも一部をコード化するポリペプチドをコードする第3のセグメントをさらに含み、前記N-803又はTxMが、細胞内で発現されると、前記第1及び第2の核酸セグメントによってコードされるscFvを含む抗原結合ドメインを有する、請求項34に記載の組換え核酸。
【請求項38】
請求項34~37のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む、組換え細胞。
【請求項39】
前記細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、単球、マクロファージ又は樹状細胞である、請求項38に記載の組換え細胞。
【請求項40】
前記細胞が、CHO細胞又はEC7細胞である、請求項38に記載の組換え細胞。
【請求項41】
細胞又は組織と、該細胞又は組織におけるCTALA-4媒介効果を減少させる量の請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項31に記載の抗体若しくは融合タンパク質とを接触させるステップを含む、前記細胞又は組織におけるCTLA-4媒介効果を減少させる方法。
【請求項42】
腫瘍を有する患者を治療する方法であって、請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項31に記載の抗体若しくは融合タンパク質を含む医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、
前記医薬組成物が、前記腫瘍を治療するのに有効な用量及びスケジュールで前記患者に投与される、前記方法。
【請求項43】
腫瘍を有する患者の免疫を低減する方法であって、請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項31に記載の抗体若しくは融合タンパク質を含む医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、
前記医薬組成物が、腫瘍微小環境における免疫抑制を低減するのに有効な用量及びスケジュールで前記患者に投与される、前記方法。
【請求項44】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)又は融合タンパク質の使用。
【請求項45】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項31に記載の抗体又は融合タンパク質の使用。
【請求項46】
がんを治療するため、及び/又は腫瘍を有する患者の免疫抑制を低減するための、請求項38に記載の組換え細胞の使用。
【請求項47】
請求項26~30のいずれか一項に記載の一本鎖可変断片(scFv)ペプチド若しくは融合タンパク質、又は請求項31に記載の抗体若しくは融合タンパク質の医薬における使用。
【国際調査報告】