(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】対象物を操作するための装置、対象物を充填するための方法および対応する使用
(51)【国際特許分類】
H02K 35/00 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H02K35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578699
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2022066602
(87)【国際公開番号】W WO2022263651
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522490734
【氏名又は名称】ティー・ティー イノヴェイション アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TT Innovation AG
【住所又は居所原語表記】Grafenauweg 11, 6300 Zug, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク トンデラ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヤン シュナイドラー
(72)【発明者】
【氏名】ユリア アネッテ カーリ
(72)【発明者】
【氏名】マチュー ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ロイエンベアガー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ レトレ
(72)【発明者】
【氏名】ミーケ ツェラー
(57)【要約】
本発明は、対象物(3)を操作するための装置(1)であって、対象物(3)は、ステータアセンブリ(5)に磁気的に連結されている少なくとも1つのムーバ(4)によって駆動面に沿って非接触式に可動であり、駆動面(7)は、防護された内室(9)の密な画定体として、特に画定壁(8)として形成されている、装置(1)を提案する。このような柔軟性に富む装置(1)の使用は、好ましくは、食品産業または製薬産業において関心を持たれるが、しかしながら、これらの分野に限定されるものではない(
図1参照)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(3)を操作するための装置(1)であって、前記対象物(3)は、ステータアセンブリ(5)に磁気的に連結されている少なくとも1つのムーバ(4)によって駆動面(7)に沿って非接触式に可動である、装置(1)において、
前記駆動面(7)は、防護された内室(9)の密な画定体として、特に画定壁(8)として形成されていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ステータアセンブリ(5)は、防護された内室(9)の外側に配置されており、特に、好ましくは鉛直なかつ/または水平なかつ/または傾斜した画定壁(8)に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つのムーバ(4)は、前記防護された内室(9)内にまたは前記防護された内室(9)の外側に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記防護された内室(9)の前記画定壁(8)は、前記ステータアセンブリ(5)と前記少なくとも1つのムーバ(4)とから成る連結領域(10)を有し、特に、前記連結領域(10)の内側の面積は、前記画定壁(8)の面積よりも小さくてよいことを特徴とする、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記画定壁(8)および/または前記連結領域(10)または連結領域(10)は、磁気的に中立の分離層(11)から、特に特殊鋼層および/またはガラス層および/またはガス密なプラスチックおよび/または複合材料から製造されており、前記分離層(11)は、好ましくは2mm未満の厚さを有し、かつ/または前記画定壁(8)および/または前記連結領域(10)または連結領域(10)は、好ましくは磁気的に中立の材料から成る支持構成要素(12)によって安定させられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ステータアセンブリ(5)は、少なくとも1つのラック(13)に構成されており、前記少なくとも1つのラック(13)は、前記画定壁(8)にかつ/または前記連結領域(10)または連結領域(10)に直接支持されており、かつ/または使用箇所に対して可動であり、かつ/または使用箇所で前記画定壁(8)に接近した作業位置と前記画定壁(8)から離れた位置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記画定壁(8)または画定壁(8)および/または前記分離層(11)または分離層(11)は、前記装置(1)から取外し可能であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記防護された内室(9)は、少なくとも2つの室(16,23)を有し、特に、前記少なくとも2つの室(16,23)は、中間壁(17)によって形成されており、前記中間壁(17)は、好ましくは少なくとも1つの小さなアクセス開口(18)を有し、かつ/または好ましくは前記画定壁(8)を形成していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの処理ステーション(15)、例えば充填装置(14)が、不動にまたは解離可能に位置決めされているか、または前記防護された内室(9)内でムーバ(4)に対して前記画定壁(8)に、かつ/または前記連結領域(10)または連結領域(10)に、かつ/または室(16)内に配置されていて、第2の室(23)内に固定されて位置していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記ステータアセンブリ(5)は、少なくとも1つの画定壁(8)にかつ/または少なくとも1つの連結領域(10)にかつ/または前記防護された内室(9)の互いに隣接した2つの壁に、前記少なくとも1つのムーバ(4)が、前記少なくとも1つの対象物(3)を前記少なくとも2つの室(16,23)の内部でかつ/または前記中間壁(17)の前記少なくとも1つの小さなアクセス開口(18)を通して前記少なくとも2つの室(16,23)の間で搬送することができるように配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ステータアセンブリ(5)は、前記少なくとも2つの室(16,23)の間の前記少なくとも1つの中間壁(17)の内部に、好ましくは鉛直に配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項11】
前記ステータアセンブリ(5)は、前記少なくとも1つの中間壁(17)内で少なくとも1つのラック(13)に構成されていることを特徴とする、請求項7から10記載の装置(1)。
【請求項12】
前記防護された内室(9)は、少なくとも1つの通流される領域(21)を有し、特に、前記駆動面(7)は、前記少なくとも1つのムーバ(4)が前記領域(21)内にかつ/または前記領域(21)内で走行可能であるようにアライメントされていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項13】
前記ステータアセンブリ(5)は、前記内室(9)に対して密なトンネル(22)によって取り囲まれており、前記駆動面(7)は、前記トンネル(22)の包囲体(19)によって形成されているか、または前記駆動面(7)は、前記防護された内室(9)の内側に包囲体(19)から独立して形成されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項14】
前記トンネル(22)は、片側または両側で、前記防護された内室(9)の外側からアクセス可能であり、かつ/または前記トンネル(22)は、その長手方向延在長さを取り囲むように延びている全周に沿って、前記防護された内室(9)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項15】
前記防護された内室(9)は、異形体(24)を有し、前記異形体(24)は、前記ステータアセンブリ(5)と前記分離層(11)とを有し、特に、好ましくはシート状の前記分離層(11)は、好ましくは交換可能に前記異形体(24)に固定されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項16】
前記トンネル(22)および/または前記異形体(24)は、前記防護された内室(9)の外側に出入り口(25)を形成していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の装置(1)によって、少なくとも1つの対象物(3)を充填するための方法において、
前記少なくとも1つの対象物(3)をムーバ(4)によって、前記防護された内室(9)の駆動面(7)に沿って処理ステーション(15)、例えば充填装置(14)に運動させて、前記充填装置(14)によって充填し、前記充填装置(14)は、前記防護された内室(9)内で、特に前記駆動面(7)に位置決めされているか、または別のムーバ(4)に位置決めされていることを特徴とする、方法。
【請求項18】
ステータアセンブリ(5)に連結されている少なくとも1つのムーバ(4)の駆動面(7)としての、防護された内室(9)の画定壁(8)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を操作するための装置であって、対象物は、ステータアセンブリに磁気的に連結されている少なくとも1つのムーバによって駆動面に沿って非接触式に可動である、装置に関する。
【0002】
通常、コントロールされたかつ/または無菌の環境を必要とする特殊な製造方法は、防護された内室内で実施される。このような防護された内室は、特に、例えばアイソレータのようなクリーンルーム、格納容器または放射性物質を帯びる空間である。防護された内室は、特に半導体の製造時に、航空宇宙技術においてかつ食品や医薬品または化粧品の無菌製造または包装時に、様々に使用されている。半自動化または全自動化された処理ステップが、特殊な製造方法を最適化するために広く使用される。しかしながら、極めて様々な方法ステップが人間の手によって行われることが多く、このことは、たとえ方法が防護された内室の内部で実施されるとしても、製造すべき製品を汚染してしまう可能性がある。
【0003】
産業界で対象物を操作するための装置が公知である。操作というのは、本明細書では例えば、1つの装置内で製品を加工および/または製造するために行われ得る各々の処理であると見なすことができる。例えば製薬業界では、注射用バイアルは、従来のコンベヤベルト、コンベヤスターまたはコンベヤレーキを介して、まず充填装置に導かれ、そこで充填され、これによって次にコンベヤベルトを介して後続の処理ステーションに搬送することができる。このようなシステムは、比較的柔軟性に欠け、故障しやすく、かつ保守に手間がかかることがある。
【0004】
近年現れた、対象物を操作するための装置では、ムーバと呼ばれる搬送体が、電磁界内で少なくとも2の自由度をもって、好ましくは非接触式に可動でありかつ/または回転可能である。ムーバは、ステータアセンブリ(平面モータシステム)に磁気的に連結され、ステータアセンブリの数ミリメートル上方のところで非接触式に浮いている。ステータアセンブリは、少なくとも1つのタイルから成っていて、所与の空間条件に合わせてモジュール式に位置決めしかつ変更することができる。
【0005】
本発明はさらに、ムーバによって防護された内室の画定壁に沿って充填装置に搬送されて、充填装置によって充填される、対象物を充填するための方法に関する。
【0006】
本発明はさらに、駆動面としての、防護された内室の画定壁の使用に関する。
【0007】
本発明の根底にある課題は、防護された内室の利用形態を拡大し、より柔軟性に富むように構成することである。
【0008】
この課題を解決するために、本発明によれば請求項1の特徴が特定されている。この特徴によれば特に、冒頭に記載した形式の装置において、上に挙げた課題を解決するために、駆動面は、防護された内室の密な画定体(Begrenzung)として、特に画定壁(Begrenzungswand)として形成されていることが特定されている。このことは、本発明によれば、画定壁の全体または画定壁の一部を含むことができる。したがって、駆動面を、防護された内室の内部における、場合によっては水平でない別の面にも拡大することができ、これによって、拡大された機能性および/または作業能力ならびにより大きな柔軟性を得ることができる。したがって、ステータアセンブリを、防護された内室の画定壁に形成することができ、これによって、同時に空間および材料を節約することができる。
【0009】
本発明に係る装置には、防護された内室内における搬送を摩耗なしで行えるという利点がある。これによって、クリーニングのために必要な手間を少なくすることができる。これによって、また、例えば充填時における汚染の原因となり得るパーティクルを、製造中に放出させないということも達成することができる。
【0010】
本発明の別の有利な構成では、ステータアセンブリは、防護された内室の外側に配置されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、ステータアセンブリを、内室内における条件から切り離すことができる。例えば、ステータアセンブリは、画定壁に固定されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、特にスペースを節約した変化形態が得られる。また、画定壁は、鉛直にかつ/または水平にかつ/または傾斜して配置されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、様々な方向に向けられた画定壁を使用することができる。
【0011】
本発明の1つの構成では、少なくとも1つのムーバは、防護された内室内に配置されていることが特定されていてよい。この配置形態には、多くの処理、特に運搬処理および/または搬送処理を、防護された内室内で人による係わりなしに実施することができるという利点がある。これによって、例えば内室と周囲との間の空気のコントロールされた交換を行うことができる。このようなコントロールされた交換は、アイソレータを用いた無菌用途またはコンテナ内での毒性プロセスの場合に大きな意味がある。さらに場合によっては、例えば微生物の複製プレートの形態の、コストと時間がかかるクリーンルームテストを減じることができる。この構成は例えば、少なくとも1つのムーバを、物質が外部からコントロールされずに進入することおよび/または物質が外部に向かってコントロールされずに進出することができない内室内で運転することを可能にすることができる。
【0012】
さらに、少なくとも1つのムーバは、防護された内室の外側に配置されていることが特定されていてよい。このように構成されている場合には、機能的な配置形態のために、対応するステータアセンブリを防護された内室の内側で取り囲むことができる。これによって、防護された内室の外側における処理を有利に実施することができる。これによって、ステータアセンブリによってまたはステータアセンブリで発生しかつ/または放出されるパーティクルおよび/または汚染物質が、内室からコントロールされずに進出することを阻止することができる。
【0013】
本発明の別の有利な構成では、防護された内室の画定壁は、ステータアセンブリと少なくとも1つのムーバとから成る連結領域(Kopplungsbereich)を含んでおり、特に、連結領域の内側の面積は、画定壁の面積よりも小さくてよいことが特定されていてよい。このような構成には、連結領域外にかつ/または防護された内室内に別の装置、例えば、ムーバの磁界または運動空間に影響を及ぼしかつ不都合に作用するおそれがある磁気的に中立でない装置および/または構造体を取り付けることができるという利点がある。
【0014】
例えば、グリップ装置、計量器、閉鎖システム、充填装置、または容器を操作するための従来の搬送システムを、連結領域の外側に取り付けることができる。
【0015】
本発明の別の有利な構成では、画定壁および/または連結領域、特に既に述べた連結領域は、磁気的に中立の分離層から製造されていることが特定されていてよい。本発明の範囲内での磁気的に中立とは、使用される材料によって、ムーバとステータアセンブリとの間の磁気的な連結の故障または損傷を減じることができるかまたは回避することができることを意味している。
【0016】
例えば分離層は、特殊鋼層および/またはガラス層から製造されているまたはこのような層を含んでいることができる。代替的にまたは付加的に、分離層は、ガス密なプラスチックおよび/または複合材料から製造されていてもよい。このように構成されていると、防護された内室のために特に適した材料を使用することができる。
【0017】
好ましくは、分離層は、2mm未満の厚さを有している。このようになっていると、ムーバを磁気的な強い連結のために、ステータアセンブリの極めて近くに接近させることができる。
【0018】
本発明の1つの構成では、画定壁および/または連結領域、例えば既に述べた連結領域は、支持構成要素によって安定させられていることが特定されていてよい。支持構成要素の使用は、装置を静止状態に保つために有利である。
【0019】
この構成において好ましくは、支持構成要素は、磁気的に中立の材料から成っている。このようになっていると、連結の故障および/または磁界の変形を減じること、またはそれどころか回避することができる。このことは、磁気的に中立の分離層との関連において特に有利である。
【0020】
本発明の別の有利な構成では、ステータアセンブリは、少なくとも1つのラックに構成されていることが特定されていてよい。この構成には、ステータアセンブリを少なくとも1つのラックにおいて安定させることができるという利点がある。
【0021】
この構成において好ましくは、少なくとも1つのラックは、画定壁にかつ/または連結領域に、例えば既に述べた連結領域に直接支持されている。このように構成されていると、ステータアセンブリを、磁気的な連結のためにムーバの極めて近くで提供することができる。
【0022】
代替的に、ラックは、画定壁および/または連結領域に自由に位置決めされていてもよく、これによって、ラックのより柔軟性に富んだ運動を可能にすることができる。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つのラックは、使用箇所に対して可動であり、かつ/または使用箇所で画定壁に接近した作業位置と画定壁から離れた位置との間で移動可能である。ステータアセンブリは、例えば保守作業および/または修理作業のためにアクセス可能でなくてはならないので、走行可能なラックにおけるステータアセンブリの構成は有利である。さらにラックは、有利には、画定壁から離れた位置に走行することができ、これによって、ステータアセンブリを、それ自体損傷を受けることなしにまたは画定壁における損傷を惹起することなしに、取り外すことができる。
【0024】
本発明の別の有利な構成では、画定壁および/または分離層は、装置から取外し可能であることが特定されていてよい。この構成には、画定壁および/または分離層を内室から取り外すことができ、これによって、安価な保守のためのステータアセンブリを得ることができるという利点がある。
【0025】
本発明の次の有利な構成では、防護された内室は、少なくとも2つの室を有しており、特に、少なくとも2つの室は、中間壁によって切り離されており、この中間壁は、好ましくは少なくとも1つの小さなアクセス開口を有していることが特定されていてよい。この構成には、方法の様々な処理ステップを互いに切り離すことができ、これによって、さらなる汚染源および/またはパーティクル源を排除することができるという利点がある。少なくとも1つの小さなアクセス開口は、本発明によれば例えば1つの室の開放した容器から別の室への搬送を可能にし、これによって、別の室で充填および/または閉鎖をすることができる。
【0026】
好ましくは、中間壁は画定壁として形成されていて、この画定壁で別の処理を互いに別個に実施することができる。
【0027】
代替的にまたは付加的に、室のうちの1つの室内で正圧を発生させることができ、このようにすると、この室内に汚染物質またはパーティクルが、他の室から少なくとも1つの小さなアクセス開口を通して達することが不可能になる。
【0028】
本発明の別の有利な構成では、少なくとも1つの処理ステーションが、不動に取り付けられているか、または防護された内室のムーバに位置していることが特定されていてよい。このように構成されていると、対象物を全操作処理中に、防護された内室内で柔軟に処理することができる。
【0029】
例えば充填装置は、不動に取り付けられていてもよいし、ムーバに位置決めされていてもよい。充填装置は、対象物の充填レベルの調整を可能にする。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの処理ステーションは、画定壁にかつ/または連結領域、例えば既に述べた連結領域に位置している。このように構成されていると、極めて有利に、多段の製造方法をモジュール式にかつ動的に実現することができる。それというのは、ムーバが、実質的に自由に駆動面に沿って走行可能であり、特に閉鎖された内室においてかつ/または可動の部分なしに、走路を容易に変更することができるからである。本発明に係るモジュール方式および動特性によって、防護されたクリーンルームに危険を及ぼすことなしに、方法および/または処理を迅速に適合させかつ変更することができる。
【0031】
さらに、処理ステーションが1つの室内に配置されていて、第2の室内に固定されて位置していることが可能である。この構成には、処理ステーションを、汚染を防止して1つの室内に固定して位置決めすることができ、処理のために第2の室内にもたらすことができるという利点がある。例えば処理ステーションは、開口を通して、例えばロックゲートを通して、1つの室から第2の室内にもたらすことができる。
【0032】
本発明の次の有利な構成では、ステータアセンブリは、画定壁にかつ/または連結領域に、特に既に述べた連結領域にかつ/または防護された内室の互いに隣接した2つの壁に、少なくとも1つのムーバが、少なくとも1つの対象物を少なくとも2つの室の内部でかつ/または中間壁の少なくとも1つの小さなアクセス開口を通して少なくとも2つの室の間で搬送することができるように固定されていることが特定されていてよい。このような構成には、パーティクルまたは汚染物質を放出するおそれがある作業ステップを後続の作業ステップから切り離すことができるという利点がある。これによって、汚染の拡散を低減すること、またはそれどころか阻止することができる。
【0033】
本発明の次の有利な構成では、ステータアセンブリは、少なくとも2つの室の間の少なくとも1つの中間壁の内部に、好ましくは鉛直に配置されていることが特定されていてよい。この構成には、少なくとも1つの中間壁が、昇降運動のためのムーバ用の駆動面を提供するという利点がある。
【0034】
代替的にまたは付加的に、少なくとも1つの中間壁は、連結領域として形成されていてよく、この連結領域は、グリップ装置、台車、閉鎖システム、充填装置または容器を操作するための他の処理ステーションを固定するための、少なくとも1つの磁気的に中立の領域を有していてよい。
【0035】
本発明の別の有利な構成では、ステータアセンブリは、少なくとも1つの中間壁の内部で少なくとも1つのラックに構成されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、ステータアセンブリを保守作業および/または修理作業のために中間壁から極めて簡単に移動させることができる。
【0036】
本発明の代替的なまたは付加的な構成では、上記画定壁または画定壁および/または一方の中間壁の上記分離層または分離層が、取外し可能であることが特定されていてよい。このように構成されていると、前記ステータアセンブリまたはステータアセンブリを保守作業のために内室からアクセス可能にすることができ、このことは、特に前記ステータアセンブリまたはステータアセンブリが、中間壁内で定置に、例えば定置のラックに固定されている場合に有利である。
【0037】
本発明の別の有利な構成では、防護された内室は、少なくとも1つの通流される領域を有していることが特定されていてよい。通流される領域では、空気中のパーティクル濃度を好適に低減することができ、このことは、処理すべき製品、特に充填すべき製品の純度のために有利である。
【0038】
特に駆動面は、少なくとも1つのムーバが領域内にかつ/または領域内で走行可能であるようにアライメントされていてよい。このように構成されていると、面積が、防護された内室の底面よりも小さく、しかも、ムーバによってアクセス可能でありかつ走行可能である通流される領域を実現することができる。このような通流される領域では、空気流のために必要なエネルギが僅かであり、これにより、コストを節約することができることが有利である。代替的にまたは付加的に、作業領域内への汚染物質の侵入を阻止することができる別の手段が提供されていることが有利である。
【0039】
本発明の別の有利な構成では、ステータアセンブリは、密なトンネルによって取り囲まれており、駆動面は、トンネルの包囲体によって形成されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、駆動面を防護された内室の内側でトンネルに有利に形成することができ、駆動面およびムーバを装置内にスペースを節約して設けることができる。
【0040】
代替的に、駆動面は、防護された内室の内側に包囲体から独立して形成されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、特に上記ムーバまたはムーバの運動を包囲体もしくはトンネルとは別個に行うことができ、これによって、上記ムーバまたはムーバを、防護された内室内で柔軟に移動させることができ、かつ使用することができる。
【0041】
本発明の別の有利な構成では、トンネルは、片側または両側で、防護された内室の外側からアクセス可能であることが特定されていてよい。このことは、例えば、本明細書に記載された出入り口によって可能にすることができる。このように構成されていると、防護された内室の外側からステータアセンブリのステータに、特に保守時および/または修理時にアクセスすることができ、有利である。
【0042】
代替的にまたは付加的に、トンネルは、その長手方向延在長さを取り囲むように延びている全周に沿って、防護された内室によって取り囲まれていることが特定されていてよい。このように構成されていると、トンネルを防護された内室内に完全に組み込むことができ、これによって、防護された内室の一体化を特に高次元で行うことができる。さらに、防護された内室の外側におけるスペースを節約することができ、有利である。
【0043】
本発明の別の有利な構成では、防護された内室は、異形体(Profilkoerper)を有しており、この異形体は、ステータアセンブリと分離層とを有していることが特定されていてよい。このように構成されていると、ムーバのための駆動面を、防護された内室の底部に対してレベル差をもって形成することができ、これによって、底部に堆積する汚染物質を減じることができる。異形体は、防護された内室内に挿入されているもしくは設置されていることができ、異形体は、特に少なくとも1つの脚を有していて、この脚は、それ自体防護された内室の外室に対する結合部を形成しているので、例えば電気を異形体に、特にステータアセンブリに供給することができ、有利である。少なくとも1つの脚はまた、好ましくは、ステータアセンブリの廃熱を排出するために働くことができ、これによって、装置の過熱を回避することができる。
【0044】
特に、分離層は、異形体に交換可能に固定されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、異形体を閉鎖することができるので、ステータアセンブリと防護された内室との間における物質交換が行われない。分離層は交換可能であり、これによって、故障したかつ/または保守すべきステータアセンブリを簡単に交換することができ、有利である。
【0045】
特に、分離層は、異形体に接着によって固定されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、特に簡単に異形体を閉鎖することができる。それどころか、異形体は分離層のための接着面を有していることができるので、分離層は、ステータアセンブリに接着されない。分離層は、特にこの実施形態ではステータアセンブリに載置されているので、分離層とステータアセンブリとの間には空隙が存在しない。これによって、ムーバとステータアセンブリとの間の磁気的な連結を、特に効果的にかつ故障なしに形成することができる。
【0046】
好ましくは、分離層はシート状に形成されている。シートとして形成された分離層は、特に分離層が、上に記載したように異形体に接着される場合には、取扱いが特に簡単である。
【0047】
シートとして形成された分離層は、好適かつ有利な実施形態では、ガラス繊維複合材であってよい。磁気的に中立の別の材料を、代替的にかつ使用者の希望に応じて、分離層を形成するために使用することができる。
【0048】
本発明の別の有利な構成では、トンネルおよび/または異形体は、防護された内室の外側に出入り口を形成していることが特定されていてよい。このような構成では、出入り口は、有利には、トンネルおよび/または異形体の端部に形成される。特にこの実施形態によって、例えば保守時におけるステータアセンブリの取出しを簡単にすることができ、このとき、防護された内室内に進入する必要はなく、もしくは防護された内室を操作によって汚染することもない。これによって、装置における運転の開始もしくは再開を、特に迅速に実施することができる。
【0049】
代替的にまたは付加的に、上に述べた課題を解決するために、本発明によれば、方法に関する独立請求項の特徴が特定されている。したがって、特に冒頭に述べた形式の方法において、本発明によれば、少なくとも1つの対象物をムーバによって、防護された内室の駆動面に沿って処理ステーション、例えば充填装置に運動させて、充填装置によって充填し、充填装置は、防護された内室内で、特に駆動面に位置決めされているか、または別のムーバに固定されていることが提案される。好ましくは、ムーバは少なくとも1つの対象物と共に充填装置に対して昇降運動を行い、充填装置は、装置の水平な底部平面の上に位置していることが特定される。このようにすると、鉛直に配置された充填装置は、装置の搬送路に影響を及ぼさなくなり、これによって、別のムーバを別の処理ステーションに柔軟にガイドすることができる。
【0050】
代替的にまた、少なくとも1つの対象物を備えたムーバに対する充填装置の運動も考えることができる。
【0051】
代替的にまたは付加的に、上に述べた課題を解決するために、本発明によれば、使用に関する独立請求項の特徴が特定されている。したがって、特に冒頭に述べた形式の使用において、本発明によれば、防護された内室の画定壁が、ステータアセンブリに連結された少なくとも1つのムーバの駆動面として使用されることが提案される。好ましくは、ステータアセンブリは、防護された内室の外側に位置決めされていることが特定される。このようになっていると、通常1つの室内では分離されていないムーバとステータアセンブリとの空間的な分離が可能になる。このようになっていると、防護された内室、例えばアイソレータまたは格納容器のステータアセンブリの保守および/または改修を柔軟に実施することができ、有利である。
【0052】
次に実施例を参照しながら本発明を詳説するが、本発明は図示の実施例に限定されるものではない。さらなる実施例が、個々のまたは複数の請求項の特徴を、互いに組み合わせることによって、かつ/または実施例の個々のまたは複数の特徴と組み合わせることによってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】異なる向きに方向付けられたステータアセンブリとムーバとを備えた装置を示す側面図である。
【
図4】鉛直に配置された処理ステーションを備えた装置を示す側面図である。
【
図6】2つの室と中間壁におけるステータアセンブリとを備えた装置を示す側面図である。
【
図7】2つの室と、1つの室内に固定されていて第2の室に進入している処理ステーションとを備えた装置を示す側面図である。
【
図8】防護された内室内に位置しているムーバ・ステータアセンブリを備えた装置を示す正面図である。
【
図9】トンネル内に取り囲まれたステータアセンブリを備えた装置を示す側面図である。
【
図10】トンネル内に取り囲まれたステータアセンブリを備えた装置を示す正面図である。
【
図11】異形体内に取り囲まれたステータアセンブリを備えた装置を示す正面図である。
【
図12】異形体内に取り囲まれたステータアセンブリを備えた、
図11に示した装置を示す側面図である。
【
図13】
図11に対する1つの変化形態を詳細に示す側面図である。
【
図14】
図11に対する別の変化形態を詳細に示す側面図である。
【0054】
図1には、全体を1で示した本発明に係る装置1が示してある。装置1は、防護された内室9を有するハウジング2を有している。防護された内室9に対して少なくとも1つの対象物3を搬入搬出するために、本発明に係る装置1は、アイソレータまたは格納容器のために従来のロックゲートおよび/または汚染除去領域を有している。
【0055】
代替的にまたは付加的に、装置1および/またはハウジング2は可動であってよい。
【0056】
防護された内室9には、底部、カバー、鉛直壁および傾斜壁に、少なくとも1つの対象物3が位置しており、少なくとも1つの対象物3は、ムーバ4の受け器6に位置決めされている。少なくとも1つのムーバ4は、ステータアセンブリ5に磁気的に連結されている。
【0057】
図1に示すように、それぞれ1つのステータまたは複数のステータから構成された4つのステータアセンブリ5が、防護された内室9の外側で鉛直壁、水平壁または傾斜壁に位置決めされている。ステータアセンブリ5は、代替的にハウジング2内にかつ/または画定壁8内にかつ/またはハウジング2と画定壁8との間に位置決めされてもよい。
【0058】
少なくとも1つのムーバ4は、受動的に、例えば組み込まれた永久磁石(図示せず)によって、または能動的に、例えば組み込まれたコイルパッケージ(図示せず)によって、駆動面7に沿って動作させることができる。少なくとも1つのムーバ4の能動的な動作は、好ましくは非接触式の運動、特に駆動面に沿った運動によって、または駆動面に対して横方向の成分を有する運動、回転および/または傾倒によって、駆動面7に対して相対的に実現されていてよい。ここに示した実施形態では駆動面7が、装置1の画定壁8を形成している。本発明に係る装置1は、少なくとも1つの対象物3を運動させるために、付加的に、コンベヤベルト、スターホイールおよび/またはレーキシステムのような従来の搬送装置を有していてよい。
【0059】
図2に示した実施形態では、装置1は、ハウジング2の鉛直の画定壁8に一体加工された連結領域10を有している。この実施形態では連結領域10の面積は、鉛直の画定壁8の面積よりも小さい。鉛直の画定壁8は、連結領域10の内側または外側にかつ防護された内室9の側に、様々な処理ステーション15を位置決めされて有していてよい(図示せず)。これらの処理ステーション15には、少なくとも1つの対象物3を操作するための少なくとも1つのムーバ4が接近走行することができる。
図2では駆動面7は、磁気的に中立の分離層11として、例えばガラス、特殊鋼、ガス密なプラスチックから、または複合材料から製造された分離層11として実現されている。さらに連結領域10は、磁気的に中立の支持構成要素12、例えばラッチおよび/またはアングルおよび/または異形材レールおよび/またはリブおよび/またはその他の補強材によって、ハウジング2および/または画定壁8に位置決めされかつ安定させられている。
【0060】
代替的にまたは付加的に、ステータアセンブリ5もまた支持構成要素12によって、ハウジング2および/または分離層11に結合されてよい。
【0061】
図3に示した実施形態では、ステータアセンブリ5は、防護された内室9の外側に設けられたラック13に構成されている。例えば修理作業および/または保守作業のために、ステータアセンブリ5はラック13によって、画定壁8に接近させられた接触位置から離反走行させられることができ、これによってステータアセンブリ5はアクセス可能になる。
【0062】
付加的にラック13は、ステータアセンブリ5の個々のタイルおよび/またはステータアセンブリ5を1つの駆動面7内でまたは複数の駆動面7の間で運動させるために、駆動装置を有していてよい(図示せず)。
【0063】
図4に示した実施形態では、ステータアセンブリ5は鉛直壁に配置されている。装置1の防護された内室9内には、少なくとも1つの対象物3を受け器6で保持するムーバ4が配置されている。鉛直壁にはムーバ4の上方に充填装置14が不動に取り付けられていて、ムーバ4の下方には別の処理ステーション15が不動に取り付けられている。ムーバ4は、少なくとも1つの対象物3を充填するために、充填装置14に向かって走行することができる。充填が行われた後でムーバ4は、少なくとも1つの対象物3と共に、処理ステーション15に向かって走行することができ、この処理ステーション15は、少なくとも1つの対象物3の充填レベルを測定するために、好ましくは計量器であってよい。
【0064】
代替的に、充填装置14および/または処理ステーション15はムーバ4に位置決めされていてよい(図示せず)。これによってムーバ4は、充填装置14および/または処理ステーション15に対して相対的に運動することができる。
【0065】
別の実施例では処理ステーション15および/または充填装置14は、特に既に述べたような従来の運動システムに配置されていてよい。
【0066】
このように構成されていると、本発明に係る装置1によって、対象物、好ましくはバイアル、シリンジ、カートリッジおよび/またはアンプルまたは注射用バイアルを充填するための方法を実施することができ、この方法は以下のように実行することができる。
【0067】
ムーバ4は、まったくまたは部分的にしか充填されていない少なくとも1つの対象物3を、計量器に向かって運動させ、これによって、まったくまたは部分的にしか充填されていない少なくとも1つの対象物3の空重量を測定することができる。その後でムーバ4は、まったくまたは部分的にしか充填されていない少なくとも1つの対象物3を、鉛直の駆動面7に沿って充填装置14に向かって運動させ、この充填装置14によって、まったくまたは部分的にしか充填されていない少なくとも1つの対象物3が充填される。充填後にムーバ4は、少なくとも1つの充填された対象物3と共に、さらなる方法ステップのために別の処理ステーション15に、例えば別の計量器に戻し運動させることができる。
【0068】
図5には、2つの室16,23を備えた装置1が示してある。この2つの室16,23は、中間壁17によって形成されていて、少なくとも1つの小さなアクセス開口18を介して互いに接続されている。ここに示したステータアセンブリ5は、装置1の底部に形成されている。少なくとも1つのムーバ4は、水平運動によって少なくとも1つの小さなアクセス開口18を通して両室16,23の間で運動させることができる。
【0069】
代替的にまたは付加的に、ステータアセンブリ5は、少なくとも1つのムーバ4を少なくとも2つの室16,23の間で運動させるために、鉛直壁および/または傾斜壁に配置されていてもよい。
【0070】
図6に示した実施形態では、少なくとも1つのステータアセンブリ5を備えた少なくとも1つのラック13が、2つの室16,23の中間壁17に位置決めされている。少なくとも1つのムーバ4は、鉛直方向および/または水平方向で中間壁17に沿って運動することができる。別のステータアセンブリ5(図示せず)によって、少なくとも1つのムーバ4は、少なくとも2つの室16,23の内部でまたは少なくとも2つの室16,23の間で運動することができる。
【0071】
図7には、2つの室16,23を備えた装置1であって、処理ステーション15が第1の室16の鉛直壁に位置決めされている装置1が示してある。ここに示した処理ステーション15は、アクセス開口18を貫いて第2の室23内に進入しているが、しかしながら代替的な実施形態では複数の室16,23内に進入することができる。ステータアセンブリ5は、中間壁17内に取り囲まれている。第2の室23内に位置しているムーバ4は、ステータアセンブリ5との磁気的な連結によって、処理ステーション15に向かって運動することができ、処理ステーション15で対象物3の処理を実施することができる。
【0072】
代替的にまたは付加的に、処理ステーション15または処理ステーション15の一部は走行可能であってよく、例えば1つの室16,23の内部でまたは少なくとも2つの室16,23の間で走行可能であってよい。
【0073】
図8に示した実施形態では、装置1の防護された内室9の内部に、対応するステータアセンブリ5を備えたムーバ4が位置しており、ステータアセンブリ5は、密で磁気的に中立の包囲体19によって全面的に取り囲まれている。包囲体19は、ステータアセンブリ5と一緒に、2つのアンカ20によって防護された内室9内に堅固に位置決めされている。支持するアンカ20の数は、代替的に形成されていてよい。なぜならば包囲体19は、アンカ20なしで、1つのアンカ20によって、または2つよりも多くのアンカ20によって、防護された内室9内に位置決めされていることができるからである。
【0074】
代替的にまたは付加的に、包囲体19は、ムーバ4およびステータアセンブリ5と一緒に、防護された内室9内に懸吊されていて、かつ/または緊締されていてよい。
【0075】
図9に側面図で示した装置1内において、対象物3が通流される領域21の内部でムーバ4に位置している。ここでは、クリーンルームのために公知であるように、濾過された空気がカバーから防護された内室9内に流入し、これによって内室9内に存在する空気を押し退けることができる。さらに
図9から分かるように、ムーバ4は、トンネル22によって密に取り囲まれているステータアセンブリ5に磁気的に連結されている。トンネル22を形成する包囲体19は、ムーバ・ステータ使用の故障のない利用のために、磁気的に中立の材料から製造されている。トンネル22からのステータアセンブリ5の走出を可能にするラック13またはその他の搬送手段は、この図では図示されていない。
【0076】
図10には、特に
図9に示されたトンネル22が正面図で示してある。ここでは駆動面2,7,8は、トンネル22の包囲体19によって形成されている。
【0077】
図示されていない実施形態では、駆動面2,7,8は、トンネル22もしくはトンネル22の包囲体19とは別個にもしくは包囲体19から独立して、防護された内室9の内部に形成されていてよく、このように構成されていると、装置1を柔軟に構成することができる。
【0078】
図11および
図12に示したトンネル22は、2つの側で、防護された内室9の外側からアクセス可能である。これによって例えば保守時に、特に
図9に関して既に記載したように、ステータアセンブリ5のステータを、出入り口25を介して外室A内にもたらすことができる。これによってステータアセンブリ5のステータを、防護された内室9内に進入する必要なしにもしくは操作によって汚染することなしに、保守することができる。
【0079】
このような出入り口25は、以下に記載する異形体24においても形成されていてよい。
【0080】
トンネル22は、その長手方向延在長さを取り囲むように延びている全周に沿って、防護された内室9によって取り囲まれている。
【0081】
さらに
図10で認識できるように、ステータアセンブリ5は、必要な場合にアライメントを行うことができるようにするために、位置調整装置26(
図13および
図14参照)を備えている。
図11(正面図)および
図12(側面図)には、防護された内室9内にある異形体24を備えた装置1が示してあり、異形体24は、ステータアセンブリ5と分離層11とを有しており、特にシート状の分離層11は、異形体24に交換可能に固定されている。シート状の分離層11は、異形体24の接着面に接着によって取り付けられていて、異形体24を閉鎖している。
【0082】
【0083】
図13に示した第1の変化形態では、シート状に形成されていてよい分離層11は、異形体24の、例えば金属薄板製の外側異形材29に載置されていて、外側異形材29に接着されている。脚27を介して外室Aに接続されている、このように形成された室31内には、例えばアルミニウムまたはプラスチック(例えばガラス繊維強化プラスチック)製の内側異形材が配置されている。この内側異形材28は、ステータアセンブリ5を収容していて、位置調整装置26に設置されており、これによってステータアセンブリ5の上側を外側異形材29の終端にアライメントすることができる。
【0084】
図14に示した配置形態では、同様に例えばシート状の分離層11は、異形体24の、好ましくはアルミニウムまたはガラス繊維強化プラスチックのようなプラスチックからまたは他の磁気的に中立の材料から成っている内側異形材28によって画定されている。異形体24の、好ましくは金属薄板から成っている外側異形材29は、内側異形材28を取り囲んでいて、例えばシリコーンのようなシール材料から成る、またはシールリップまたはシール異形材の形態のシール要素30によって、内側異形材28に対してシールされており、これによって汚染物質が防護された内室9内に達することができないようになっている。
【0085】
分離層11はステータアセンブリ5に載置されているので、分離層11とステータアセンブリ5との間には空隙は存在しない。これによってムーバ4とステータアセンブリ5との磁気的な連結が、特に効果的にかつ故障なしに形成される。
【0086】
図11および
図12に示した異形体24は、防護された内室9内に挿入もしくは設置されていて、2つの脚27(
図11参照)を有しており、両脚27はそれ自体が、防護された内室9の外室Aへの接続部を形成しているので、例えば電気が異形体24、特にステータアセンブリ5に有利に供給排出される。両脚27は、ステータアセンブリ5によって生じる廃熱を排出するために有利に働く。これによって装置1の過熱が回避される。脚27を介して、例えばステータアセンブリ5の接続導線を外室Aに導くことができる。
【0087】
別の実施例では、異形体24は、1つの脚27だけによって、または2つよりも多くの脚27によって支持されている。
【0088】
したがって本発明は、全般的に、対象物3を操作するための装置1であって、対象物3が、ステータアセンブリ5に磁気的に連結されている少なくとも1つのムーバ4によって、駆動面7に沿って非接触式に可動であり、駆動面7が、防護された内室9の画定壁8として形成されている、装置1を提案する。このような柔軟な装置1の使用は、好ましくは食品産業または製薬産業において関心を持たれるが、しかしながらこれらの分野に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
1 装置
2 ハウジング
3 対象物
4 ムーバ
5 ステータアセンブリ
6 受け器
7 駆動面
8 画定壁
9 防護された内室
10 連結領域
11 分離層
12 支持構成要素
13 ラック
14 充填装置
15 処理ステーション
16 (第1の)室
17 中間壁
18 アクセス開口
19 包囲体
20 アンカ
21 領域
22 トンネル
23 (第2の)室
24 異形体
25 出入り口
26 位置調整装置
27 24の脚
28 内側異形材
29 外側異形材
30 シール要素
A 外室
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(3)を操作するための装置(1)であって、前記対象物(3)は、ステータアセンブリ(5)に磁気的に連結されている少なくとも1つのムーバ(4)によって駆動面(7)に沿って非接触式に可動である、装置(1)において、
前記駆動面(7)は、防護された内室(9)の密な画定体として、特に画定壁(8)として形成されていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ステータアセンブリ(5)は、防護された内室(9)の外側に配置されており、特に、好ましくは鉛直なかつ/または水平なかつ/または傾斜した画定壁(8)に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つのムーバ(4)は、前記防護された内室(9)内にまたは前記防護された内室(9)の外側に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記防護された内室(9)の前記画定壁(8)は、前記ステータアセンブリ(5)と前記少なくとも1つのムーバ(4)とから成る連結領域(10)を有し、特に、前記連結領域(10)の内側の面積は、前記画定壁(8)の面積よりも小さくてよいことを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項4】
前記画定壁(8)および/または前記連結領域(10)または連結領域(10)は、磁気的に中立の分離層(11)から、特に特殊鋼層および/またはガラス層および/またはガス密なプラスチックおよび/または複合材料から製造されており、前記分離層(11)は、好ましくは2mm未満の厚さを有し、かつ/または前記画定壁(8)および/または前記連結領域(10)または連結領域(10)は、好ましくは磁気的に中立の材料から成る支持構成要素(12)によって安定させられていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ステータアセンブリ(5)は、少なくとも1つのラック(13)に構成されており、前記少なくとも1つのラック(13)は、前記画定壁(8)にかつ/または前記連結領域(10)または連結領域(10)に直接支持されており、かつ/または使用箇所に対して可動であり、かつ/または使用箇所で前記画定壁(8)に接近した作業位置と前記画定壁(8)から離れた位置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項6】
前記画定壁(8)または画定壁(8)および/または前記分離層(11)または分離層(11)は、前記装置(1)から取外し可能であることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項7】
前記防護された内室(9)は、少なくとも2つの室(16,23)を有し、特に、前記少なくとも2つの室(16,23)は、中間壁(17)によって形成されており、前記中間壁(17)は、好ましくは少なくとも1つの小さなアクセス開口(18)を有し、かつ/または好ましくは前記画定壁(8)を形成していることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの処理ステーション(15)、例えば充填装置(14)が、不動にまたは解離可能に位置決めされているか、または前記防護された内室(9)内でムーバ(4)に対して前記画定壁(8)に、かつ/または前記連結領域(10)または連結領域(10)に、かつ/または室(16)内に配置されていて、第2の室(23)内に固定されて位置していることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項9】
前記ステータアセンブリ(5)は、少なくとも1つの画定壁(8)にかつ/または少なくとも1つの連結領域(10)にかつ/または前記防護された内室(9)の互いに隣接した2つの壁に、前記少なくとも1つのムーバ(4)が、前記少なくとも1つの対象物(3)を前記少なくとも2つの室(16,23)の内部でかつ/または前記中間壁(17)の前記少なくとも1つの小さなアクセス開口(18)を通して前記少なくとも2つの室(16,23)の間で搬送することができるように配置されていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ステータアセンブリ(5)は、前記少なくとも2つの室(16,23)の間の前記少なくとも1つの中間壁(17)の内部に、好ましくは鉛直に配置されていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項11】
前記ステータアセンブリ(5)は、前記少なくとも1つの中間壁(17)内で少なくとも1つのラック(13)に構成されていることを特徴とする、請求項
7記載の装置(1)。
【請求項12】
前記防護された内室(9)は、少なくとも1つの通流される領域(21)を有し、特に、前記駆動面(7)は、前記少なくとも1つのムーバ(4)が前記領域(21)内にかつ/または前記領域(21)内で走行可能であるようにアライメントされていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項13】
前記ステータアセンブリ(5)は、前記内室(9)に対して密なトンネル(22)によって取り囲まれており、前記駆動面(7)は、前記トンネル(22)の包囲体(19)によって形成されているか、または前記駆動面(7)は、前記防護された内室(9)の内側に包囲体(19)から独立して形成されていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項14】
前記トンネル(22)は、片側または両側で、前記防護された内室(9)の外側からアクセス可能であり、かつ/または前記トンネル(22)は、その長手方向延在長さを取り囲むように延びている全周に沿って、前記防護された内室(9)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項15】
前記防護された内室(9)は、異形体(24)を有し、前記異形体(24)は、前記ステータアセンブリ(5)と前記分離層(11)とを有し、特に、好ましくはシート状の前記分離層(11)は、好ましくは交換可能に前記異形体(24)に固定されていることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項16】
前記トンネル(22)および/または前記異形体(24)は、前記防護された内室(9)の外側に出入り口(25)を形成していることを特徴とする、請求項
1記載の装置(1)。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の装置(1)によって、少なくとも1つの対象物(3)を充填するための方法において、
前記少なくとも1つの対象物(3)をムーバ(4)によって、前記防護された内室(9)の駆動面(7)に沿って処理ステーション(15)、例えば充填装置(14)に運動させて、前記充填装置(14)によって充填し、前記充填装置(14)は、前記防護された内室(9)内で、特に前記駆動面(7)に位置決めされているか、または別のムーバ(4)に位置決めされていることを特徴とする、方法。
【請求項18】
ステータアセンブリ(5)に連結されている少なくとも1つのムーバ(4)の駆動面(7)としての、防護された内室(9)の画定壁(8)の使用。
【国際調査報告】