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特表2023-535296濾過及び細胞増殖のための濾過アセンブリ、カセット、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】濾過及び細胞増殖のための濾過アセンブリ、カセット、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230809BHJP
   C12M 3/06 20060101ALI20230809BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20230809BHJP
   C12Q 1/24 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12M3/06
C12Q1/04
C12Q1/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501191
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 US2021040935
(87)【国際公開番号】W WO2022011169
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,513
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508087099
【氏名又は名称】ラピッド マイクロ バイオシステムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッペス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーブリンク,マックス
(72)【発明者】
【氏名】ティルズリー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】スミス,リチャード
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029BB01
4B029CC10
4B029CC11
4B029FA01
4B029FA09
4B029GB01
4B029GB09
4B029HA02
4B029HA04
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ05
4B063QS10
4B063QS12
4B063QS39
(57)【要約】
本発明は、サンプル溶液から細胞を濾過し、次いで捕捉された細胞をインキュベートするための濾過アセンブリ、カセット、システム、及び方法を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下、
a)漏斗、
b)多孔質膜を含む膜フレーム、
c)膜支持体及び排出口を含む基部
を含む、濾過アセンブリであって、
膜フレームは漏斗に解放可能に取り付けられ、基部は漏斗に解放可能に取り付けられ、濾過中、液体は漏斗から膜及び膜支持体を通って排出口へ流れ、膜支持体は濾過中に膜を平らに保つ、濾過アセンブリ。
【請求項2】
漏斗が、基部の外壁の一部が押されると解除されるロック機構によって基部に取り付けられている、請求項1に記載の濾過アセンブリ。
【請求項3】
多孔質膜が、膜フレームに超音波結合又はヒートステークされる、請求項1~2のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項4】
膜フレームが、漏斗上の立ち上がった縁及び膜フレーム中の凹部の噛み合い配置によって、漏斗に解放可能に取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項5】
膜フレームが、カセット基部上のタブと噛み合う突出したリングを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項6】
膜が、黒色及び/又は非蛍光性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項7】
膜が、黒色の混合セルロースエステル膜を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項8】
漏斗が、透明であり、且つ/又は容積測定マーキングを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項9】
漏斗への開口部を覆う漏斗蓋をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項10】
漏斗蓋が、漏斗上にヒンジで取り付けられている、請求項9に記載の濾過アセンブリ。
【請求項11】
膜支持体が、フィルター基部に取り付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項12】
フィルター基部が、排出口への流体の流れを促進するように、且つ/又は膜支持体を支持するように構成された複数の支持体を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項13】
膜フレームが、基準マーキングをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項14】
濾過アセンブリが、ワッシャーをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項15】
ワッシャーが、膜支持体に取り付けられ、且つ/又は薄膜である、請求項14に記載の濾過アセンブリ。
【請求項16】
ワッシャー及び膜支持体が、単一のモールドされた部品である、請求項14又は15に記載の濾過アセンブリ。
【請求項17】
ワッシャーが、ばねを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項18】
ワッシャー及び膜支持体が、単一のモールドされた部品である、請求項14又は15に記載の濾過アセンブリ。
【請求項19】
膜と膜支持体との間に空洞及び/又はシムをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項20】
膜支持体及び/又は基部が、空洞を作り出すように形作られる、請求項17に記載の濾過アセンブリ。
【請求項21】
以下、
a)カセット基部であって、
i. 外壁と、放射状に配置された複数のギャップを含む第1の内壁と、外側のレッジを含み、且つウェルを画定する第2の内壁とを含む基部層であって、第1の内壁は、外壁と第2の内壁との間に配置される、基部層、
ii. ウェル中に配置され、且つ平らな増殖領域を有する固体又は半固体の栄養培地であって、増殖領域は、第2の内壁よりも高さが高い、栄養培地
を含む、カセット基部、及び
b)基部に対して解放可能に密封可能なカセット蓋
を含む、カセット。
【請求項22】
カセット蓋が、光学的に透明であり、且つ非蛍光性である、請求項21に記載のカセット。
【請求項23】
カセット基部が、非蛍光性である、請求項21~22のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項24】
第1の内壁と外壁との間に配置された第3の内壁をさらに含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項25】
第3の内壁と外壁との間に第4の内壁をさらに含む、請求項24に記載のカセット。
【請求項26】
第2の内壁が、第1の内壁に向かって放射状に突出した複数の支持体を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項27】
ワッシャーをさらに含む、請求項21~26のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項28】
ワッシャーが、カセット基部に取り付けられ、且つ/又は薄膜である、請求項27に記載のカセット。
【請求項29】
ワッシャー及びカセット基部が、単一のモールドされた部品である、請求項25又は16に記載のカセット。
【請求項30】
ワッシャーが、ばねを含む、請求項27~29のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項31】
カセット基部が、平らな増殖領域に対して1°~75°の角度で基部上に降ろされた膜を受けるように配置される、請求項27~30のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項32】
カセット基部が、環状に配置された複数のばねによって支持されたリングを含み、複数のばねのうち最も高さの高いばねは、複数のうち最も高さの低いばねと対蹠的であり、それらの間に配置された複数のばねは、高さが漸減している、請求項31に記載のカセット。
【請求項33】
膜と平らな増殖領域との間の1°~75°の初期角度をもたらすように膜フレームと係合する特徴部をさらに含む、請求項21~32のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項34】
以下、
a)請求項1~20のいずれか一項に記載の濾過アセンブリ、及び
b)請求項21~33のいずれか一項に記載のカセット
を含む、細胞を濾過及び培養するためのシステムであって、
膜フレームは、漏斗とともにフィルター基部から外れ、カセット基部に付き、カセット基部に取り付けられると漏斗から外れるように構成される、システム。
【請求項35】
膜フレームが、突出したリングを含み、カセット基部が、突出したリングと噛み合うタブを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
膜フレームをカセット基部に取り付けると、膜が、平らな増殖領域とコンフォーマル接触に配置される、請求項34~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
以下、
a)請求項1~20のいずれか一項に記載の濾過アセンブリを真空源に取り付けるステップ、
b)サンプル流体を濾過アセンブリを通して流すステップであって、流体中のあらゆる細胞が膜上に保持される、ステップ、
c)膜フレームに取り付けられた漏斗を基部から取り外すステップ、
d)膜フレームを、請求項21~33のいずれか一項に記載のカセット基部に取り付けるステップ、
e)漏斗を膜フレームから取り外すステップ、及び
f)カセットをインキュベートするステップ
を含む、微生物の存在を決定する方法。
【請求項38】
保持された細胞から形成されたあらゆるコロニーを検出するために膜を画像化するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
濾過アセンブリが、空洞を含み、ステップ(a)が、圧力を加えて、膜を空洞の形状に適合させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
漏斗を基部から取り外した後、膜が、空洞の形状を維持する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
形作られた膜が、カセットと相互作用して、ステップ(d)中の気泡トラップを防止する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(d)中に、膜が、その円周上の第1の点で平らな増殖領域と最初に接触し、第1の点と対蹠的である円周上の第2の点で最後に接触する、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(d)中に、膜フレームが、最初に、平らな増殖領域に対して1°~75°の角度で基部上に降ろされる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
カセットが、膜フレームがカセット基部上に降ろされるときに、平らな増殖領域に対して1°~75°の角度で平らな増殖領域に接触するように膜を配置するように膜フレームと係合する特徴部を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
特徴部が、環状に配置された複数のばねによって支持されたリングを含み、複数のばねのうち最も高さの高いばねは、複数のうち最も高さの低いばねと対蹠的であり、それらの間に配置された複数のばねは、高さが漸減している、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの産業は、サンプル中の微生物の数の決定を必要とする。サンプル中の微生物の数を決定する1つの方法は、膜上に微生物を捕捉し、膜上で微生物を培養し、形成されたコロニーの数を数えることを含む。膜の操作は、非サンプルの微生物混入物又は微生物片をもたらすか、膜を損傷するか、又は欠陥を生じる可能性があり、これらはすべて計数を妨げる可能性がある。
【0002】
したがって、微生物計数のための新しい濾過及び培養デバイスに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、サンプル溶液から細胞を濾過し、次いで、例えば画像化及びコロニー形成単位(CFU)の計数のために、捕捉された細胞を培養するためのデバイス、システム、及びキットを提供する。本発明の濾過アセンブリ、カセット、システム、及び方法は、自動化計数システム及びプロセスへの組み込みに特に適している。
【0004】
第1の態様では、本発明は、漏斗と、多孔質膜を含む膜フレームと、膜支持体及び排出口を有する基部とを含む、濾過アセンブリを提供する。膜フレームは、漏斗に解放可能に取り付けられ、基部は、漏斗に解放可能に取り付けられる。濾過中、液体は、漏斗から膜及び膜支持体を通って排出口へ流れる。いくつかの実施形態では、膜支持体は、濾過中に膜を平らに保つ。
【0005】
いくつかの実施形態では、漏斗は、基部の外壁の一部が押されると解除するロック機構によって基部に取り付けられる。特定の実施形態では、多孔質膜は、膜フレームに超音波結合又はヒートステーク(heat stake)される。他の実施形態では、膜フレームは、漏斗上の立ち上がった縁及び膜フレーム中の凹部の噛み合い配置によって、漏斗に解放可能に取り付けられる。特定の実施形態では、膜フレームは、カセット基部上のタブと噛み合う突出したリングを含む。いくつかの実施形態では、膜は、黒色及び/又は非蛍光性である。特定の実施形態では、膜は、黒色の混合セルロースエステル膜である。
【0006】
いくつかの実施形態では、漏斗は、透明であり、且つ/又は容積測定マーキングを含む。特定の実施形態では、濾過アセンブリはまた、漏斗への開口部を覆う漏斗蓋を含む。いくつかの実施形態では、漏斗蓋は、漏斗上にヒンジで取り付けられる。いくつかの実施形態では、膜支持体は、フィルター基部に取り付けられる。特定の実施形態では、フィルター基部は、排出口への流体の流れを促進するように、且つ/又は膜支持体を支持するように構成された複数の支持体を含む。いくつかの実施形態では、膜フレームはまた、基準マーキングを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、濾過アセンブリは、ワッシャーをさらに含む。特定の実施形態では、ワッシャーは、膜支持体に取り付けられ、且つ/又は薄膜である。特定の実施形態では、ワッシャー及び膜支持体は、単一のモールドされた部品である。いくつかの実施形態では、ワッシャーは、ばねを含む。いくつかの実施形態では、ワッシャー及び膜支持体は、単一のモールドされた部品である。
【0008】
特定の実施形態では、濾過アセンブリは、膜と膜支持体との間に空洞及び/又はシム(shim)を含む。特定の実施形態では、膜支持体及び/又は基部は、空洞を作り出すように形作られる。
【0009】
本発明の第2の態様は、外壁と、放射状に配置された複数のギャップを含む第1の内壁と、第2の内壁とを含む基部層を有する、カセット基部を提供する。第2の内壁は、外側のレッジを有し、且つウェルを画定し、第1の内壁は、外壁と第2の内壁との間に配置される。カセットはまた、ウェル中に固体又は半固体の栄養培地を含む。培地は、第2の内壁よりも高さが高い、平らな増殖領域を有する。カセットはまた、基部に対して解放可能に密封可能なカセット蓋を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、カセット蓋は、光学的に透明であり、且つ非蛍光性である。いくつかの実施形態では、カセット基部は、非蛍光性である。特定の実施形態では、カセットは、第1の内壁と外壁との間に配置された第3の内壁をさらに含む。特定の実施形態では、カセットはまた、第3の内壁と外壁との間に第4の内壁を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2の内壁は、第1の内壁に向かって放射状に突出した複数の支持体を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、カセットは、ワッシャーを含む。特定の実施形態では、ワッシャーは、カセット基部に取り付けられ、且つ/又は薄膜である。特定の実施形態では、ワッシャー及びカセット基部は、単一のモールドされた部品である。いくつかの実施形態では、ワッシャーは、ばねを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、カセット基部は、平らな増殖領域に対して1°~75°の角度で基部上に降ろされた膜を受けるように配置される。特定の実施形態では、カセット基部は、環状に配置された複数のばねによって支持されたリングを含み、複数のばねのうち最も高さの高いばねは、複数のうち最も高さの低いばねと対蹠的であり、それらの間に配置された複数のばねは、高さが漸減している(tapered)。いくつかの実施形態では、カセット基部は、膜と平らな増殖領域との間の1°~75°の初期角度をもたらすように膜フレームと係合する特徴(特徴部)を含む。
【0014】
本発明の別の態様は、細胞を濾過及び培養するためのシステムを提供する。システムは、第1の態様の濾過アセンブリの実施形態、及び第2の態様のカセットの実施形態を含むことができる。膜フレームは、漏斗とともにフィルター基部から外れ、カセット基部に付き、カセット基部に取り付けられると漏斗から外れるように構成される。
【0015】
システムのいくつかの実施形態では、膜フレームは、突出したリングを含み、カセット基部は、突出したリングと噛み合うタブを含む。いくつかの実施形態では、膜フレームをカセット基部に取り付けると、膜は、平らな増殖領域とコンフォーマル接触に配置される。
【0016】
本発明のさらなる態様は、微生物の存在を決定する方法を提供する。本方法は、第1の態様の任意の実施形態の濾過アセンブリを真空源に取り付けるステップを含む。本方法は、流体中のあらゆる細胞が膜上に保持されるように、サンプル流体を濾過アセンブリを通して流すステップ、膜フレームに取り付けられた漏斗を基部から取り外すステップ、膜フレームを第2の態様のカセット基部に取り付けるステップ、及び漏斗を膜フレームから取り外すステップをさらに含む。次いで、膜は、インキュベートされてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、保持された細胞から形成されたあらゆるコロニーを検出するために膜を画像化するステップをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、濾過アセンブリは、空洞を含み、本方法は、例えば真空から、圧力を加えて、膜を膜支持体及び/又は空洞の形状に適合させることを含む。特定の実施形態では、漏斗を基部から取り外した後、膜は、膜支持体及び/又は空洞の形状を維持する。特定の実施形態では、形作られた膜は、カセットと相互作用して、膜のカセット基部への取り付け中の気泡トラップを防止する。
【0019】
いくつかの実施形態では、膜は、その円周上の第1の点で平らな増殖領域と最初に接触し、第1の点と対蹠的である円周上の第2の点で最後に接触する。いくつかの実施形態では、膜フレームは、最初に、平らな増殖領域に対して1°~75°の角度で基部上に降ろされる。特定の実施形態では、カセットは、膜フレームがカセット基部上に降ろされるときに、平らな増殖領域に対して1°~75°の角度で平らな増殖領域に接触するように膜を配置するように膜フレームと係合する特徴(構成)を含む。特定の実施形態では、この特徴は、環状に配置された複数のばねによって支持された漸減リングを含み、複数のばねのうち最も高さの高いばねは、複数のうち最も高さの低いばねと対蹠的であり、それらの間に配置された複数のばねは、高さが漸減している。
【0020】
本明細書に記載の濾過アセンブリ、カセット、システム、及び方法は、基本となる濾過アセンブリ、カセット、システム、又は方法の構造と矛盾しない任意のものを含む、本明細書で指定されたものを超える追加の特徴を含み得ることが理解される。
【0021】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、列挙された値の±10%を指す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、サンプルの濾過、次いで細胞増殖のための膜のカセット基部への移動を示す図である。
図2図2Aは、蓋を有する本発明の漏斗を示す模式図である。図2Bは、漏斗蓋を有する漏斗、膜を有する膜フレーム、及び基部を特徴とする、本発明の濾過アセンブリの分解図を示す模式図である。
図3図3は、(左から右へ)膜の無い膜フレーム、濾過アセンブリ基部及び膜支持体(例えば、平らな焼結された熱可塑性ポリマーディスク、例えばPorex(登録商標))、並びにカセット基部の例を示す模式図である。
図4図4は、取り付けられたときの、本発明の漏斗、膜フレーム、及び基部の断面を示す模式図である。
図5図5は、漏斗、膜フレーム、及び基部のクローズアップを示す模式図である。
図6図6は、容積測定マーキングを有する透明な漏斗と、漏斗を基部から解放するための基部の外壁における押しボタンを特徴とする基部とを特徴とする本発明の実施形態の模式図である。
図7図7Aは、蓋の無い積み重ねられた本発明の濾過アセンブリの模式図である。図7Bは、蓋を有する積み重ねられた本発明の濾過アセンブリの模式図である。
図8図8Aは、射出成形された蓋を特徴とする本発明の濾過アセンブリの模式図である。図8Bは、熱成形された蓋を特徴とする本発明のフィルターの模式図である。
図9図9は、3種の異なる蓋を有する本発明の濾過アセンブリを示す図である。
図10図10は、ヒンジで取り付けられた蓋を有する本発明の濾過アセンブリを示す模式図である。
図11図11A~11Bは、本発明の濾過アセンブリのずらした配置を示す模式図である。
図12図12A~12Bは、長方形の配置と比較した、本発明の濾過アセンブリのずらした配置を示す模式図である。
図13図13A~13Bは、本発明のトレイ上の本発明の濾過アセンブリのずらした配置を示す模式図である。
図14図14は、取り付けられたときの、漏斗、膜フレーム、及び基部を有する濾過アセンブリの断面を示す模式図である。
図15図15Aは、本発明の漏斗の平面図及び底面図を示す模式図である。図15Bは、本発明の基部の平面図及び底面図を示す模式図である。図15Cは、本発明の膜フレーム(膜無し)の平面図及び底面図を示す模式図である。
図16図16Aは、本発明のカセット基部の平面図及び底面図を示す模式図である。図16Bは、取り付けられたときの、本発明の漏斗、膜フレーム、及びカセット基部の断面を示す模式図である。
図17図17は、取り付けられたときの、漏斗、膜フレーム、及び基部を有する濾過アセンブリの断面を示す模式図である。
図18図18Aは、本発明の漏斗の平面図及び底面図を示す模式図である。図18Bは、本発明の基部の平面図及び底面図を示す模式図である。図18Cは、本発明の膜フレーム(膜無し)の平面図及び底面図を示す模式図である。
図19図19Aは、本発明のカセット基部の平面図及び底面図を示す模式図である。図19Bは、取り付けられたときの、漏斗、膜フレーム、及びカセット基部の断面を示す模式図である。
図20図20は、取り付けられたときの、漏斗、膜フレーム、及びカセット基部のクローズアップ断面を示す模式図である。
図21図21は、取り付けられたときの、漏斗、膜フレーム、及び基部の図を含む、濾過アセンブリの一部のクローズアップ断面を示し、且つシール及び様々なタブを示す模式図である。
図22図22は、膜フレーム上のタブを外すためのカセット基部上の特徴を含む、本発明の漏斗、膜フレーム、及びカセット基部のクローズアップ断面を示す模式図である。
図23図23は、膜フレーム中の膜が、ある角度で固体又は半固体の栄養培地上に配置されていることを示す(上から下へ)、固体又は半固体の栄養培地を有する本発明のカセット基部及び膜フレーム中の膜の図である。
図24図24は、本発明の濾過アセンブリの断面を示す模式図である。
図25図25は、固体又は半固体の栄養培地及びワッシャーを有する本発明のカセット基部を示す図である。
図26図26Aは、本発明の方法の濾過ステップ中の本発明の部分断面を示す図である。図26Bは、膜フレーム中の膜のカセット基部への取り付けを示す図である。
図27図27は、本発明の様々な有利な特徴を示す図である。
図28図28A~28Dは、本発明の様々なワッシャーを示す図である。図28Aは、膜リングに(例えば、機械的相互係合によって)取り付けられた部品としてワッシャーを示す。図28Bは、膜フレームに(例えば、機械的相互係合によって)取り付けられた薄膜としてワッシャーを示す。図28Cは、単一のモールドされた部品としてワッシャー及び膜フレームを示す。図28Dは、膜フレームに(例えば、熱的に)接合された薄膜としてワッシャーを示す。
図29図29A~29Cは、カセット基部に取り付けられた本発明のワッシャーの図である。図29Aは、固体又は半固体の栄養培地と接触する取り付けられた部品としてワッシャーを示す。図29Bは、カセットに取り付けられ、且つ固体又は半固体の栄養培地と接触する薄膜としてワッシャーを示す。図29Cは、カセットに取り付けられたばねとしてワッシャーを示す。
図30図30A及び30Bは、角度を付けたシムを有する本発明の濾過アセンブリ基部上の本発明の膜の写真である。
図31図31は、膜のカセット基部への移動中に膜の敷設を制御するための角度を付けたばね付き要素を含む本発明のカセット基部の写真である。
図32図32は、本発明のワッシャーを含む、本発明の濾過アセンブリの部分切り取り図を示す模式図である。
図33図33は、カセット基部中の固体又は半固体の栄養培地上の膜の敷設前後の、本発明の薄膜(例えば、0.1mm)及びより厚い(例えば、0.45mm)ワッシャーを有する本発明の膜フレーム中の膜を有する本発明のカセット基部の断面を示す模式図である。薄膜(例えば、厚さ0.1mm)は、膜の圧力に適合する。より厚い(例えば、0.45mm)ワッシャーは、膜の圧力に適合し、ベルビル(Belleville)ワッシャーの形状を取り、固体又は半固体の栄養培地に食い込む。さらに厚いもの(例えば、0.80のワッシャー)は硬く、余分な伸びをもたらす圧力下での膜への適合性が低下し、固体又は半固体の栄養培地に食い込む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、例えば細菌、菌類、及び古細菌などの微生物学的増殖計数のための濾過アセンブリ、カセット、システム、及び方法を提供する。本発明のデバイス、システム、及び方法は、自動化計数に特に適しており、膜への損傷又は膜の汚染の可能性を低減する方法で、細胞を保持する膜の構成要素間の移動を可能にする。
【0024】
濾過アセンブリ
本発明の1つのデバイスは、サンプルを濾過し、その中に見出され得るあらゆる微生物を保持するための濾過アセンブリである(例えば、図2B図14、又は図17参照)。本発明の濾過アセンブリは、漏斗(例えば、図2A図15A、又は図18A)、多孔質膜(例えば、混合セルロースエステル膜)を含む膜フレーム(例えば、図3図15C、又は図18Cに示されるリング)、並びに膜支持体(例えば、焼結された熱可塑性ポリマーの平らなディスク又は平らな部分を有する形作られたディスク)及び排出口(例えば、真空源への接続のため)を有する基部(例えば、図3図15B、又は図18B)を特徴とする。膜フレームは、漏斗に解放可能に取り付けられ(例えば、噛み合い若しくは重なり合い特徴又は摩擦又は押し込んではめること(jam fit)によって、例えば、図4又は図21参照)、基部は、漏斗に解放可能に取り付けられる(例えば、ロック機構で)。濾過中、液体は、漏斗から膜及び膜支持体を通って排出口へ流れる。アセンブリの構造により、膜又は膜フレームを直接取り扱うことを回避する方法で、カセット基部への移動のために漏斗に取り付けられたまま膜フレームを基部から取り外すことが可能となる。
【0025】
いくつかの実施形態では、膜支持体は、例えば膜支持体及び膜をコンフォーマル接触に保つ高さを有することによって、濾過中に膜を平らに保つ。膜支持体を製造するために焼結することができる適切な材料としては、例えば、高密度又は超高分子量ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。当技術分野で公知の他の熱可塑性ポリマーも使用してもよい。いくつかの実施形態では、膜支持体は、フィルター基部に取り付けられ(例えば、接着又は噛み合い特徴によって)、これは、膜支持体が漏斗及び膜フレームとともに取り去られるのを防止する。膜支持体はまた、例えば基部の製造中に、基部に直接組み込まれてもよい。あるいは、膜支持体は、例えば膜支持体中の空洞に適合するように、濾過中に膜が変形することを可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、漏斗は、基部の外壁の一部(例えば、ラッチを外すボタン、例えば、図6)が押されると解除するロック機構によって基部に取り付けられる。一例では、基部の壁の外側の一部は、内側の突出(例えば、タブ)を有するフレキシブルヒンジを含んでもよく、これは、漏斗の外壁の一部上の外側に突出した特徴(例えば、リング又はレッジ)をラッチし、ヒンジを押すとラッチが引き込まれて、漏斗が基部から解放される。ヒンジはまた、支柱を特徴としてもよい。他の適切なロック機構としては、漏斗及び基部を引き離すことによって分離することができる変形可能なタブ又はキャッチが挙げられる。
【0027】
特定の実施形態では、多孔質膜は、膜フレームに超音波結合又はヒートステークされる。他の適切な結合方法としては、接着結合、機械的保持などが挙げられる。膜フレームは、例えば漏斗上の立ち上がった縁及び膜フレームの外壁中の凹部の噛み合い配置によって、漏斗に解放可能に取り付けられてもよい(例えば、図4)。特定の実施形態では、膜フレームは、カセット基部上のタブと噛み合う突出したリングを含むことができる。あるいは、タブは、膜フレーム上にあってもよく(例えば、図15C、又は図18C)、リングは、カセット基部上にあってもよい(例えば、図20)。膜フレーム上のロック特徴(例えば、タブ又はリング)は、膜フレームを、濾過アセンブリの基部に対するよりも漏斗に対して強く保持するように構成することができる。膜フレーム上のロック特徴(ロックする構成)は、濾過アセンブリの基部への取り付けに対してカセット基部と同じ特徴であってもよいが、濾過アセンブリ基部の相補的な特徴(単数又は複数)は、カセット基部上の対応する特徴(単数又は複数)よりも弱い相互作用を提供してもよい。膜フレーム上のロック特徴(例えば、タブ)はまた、漏斗からロック特徴を外すように作用するカセット基部上の特徴と相互作用するように構成されてもよい。膜フレーム上のロック特徴は、対蹠的に非対称であってもよく、例えば、最初に1つのロック特徴でカセット基部と係合し、最後に第1のロック特徴と対蹠的であるロック特徴で係合するように構成されてもよい。
【0028】
膜フレームは、細胞が濾過中にその上に保持される多孔質膜を含む(例えば、図2B参照)。膜は、画像化及び計数を妨げないように、黒色及び/又は非蛍光性であってもよい。例示的な膜は、黒色の混合セルロースエステル膜である。他の適切な膜材料としては、例えば、セルロース、酢酸セルロース、エチレン酢酸ビニル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン、トラックエッチド(track-etched)ポリエステル又はポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、及びシリコーンコポリマーなどが挙げられる。膜はまた、例えば細胞付着又はコロニー増殖を可能にする又は促進するために、表面コーティングを特徴としてもよい。材料及び/又はコーティングの選択は、保持されると予測される細胞の種類に依存し得る。本発明の膜は、細菌又は酵母などの微生物の通過を防止するようにサイズ設定された孔径、例えば、約0.45μm、例えば、約0.1~1μm(例えば、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、又は1μm)(用途に応じて)を有する。膜の外側の膜フレームは、フィルター及び基部への取り付けを可能にする任意の適切な材料、例えば、プラスチック又は金属でできていてもよい。
【0029】
漏斗は、透明であってもよく、且つ/又はユーザーが正確な量のサンプル流体を添加するのに役立ち、且つ容積測定データ生成(すなわち、サンプル流体の単位容積当たりのCFU数)を可能にするための容積測定マーキングを含んでもよい。漏斗はまた、膜に押し付け、関心領域を画定する(例えば、図5)、内側におけるシールを含んでもよく(例えば、図2A)、これは、細胞が見出され得る領域を画定する。例えば膜フレームがカセット基部に取り付けられるときにシールが栄養培地と相互作用するのを防止するために、漏斗及び膜フレームが基部から取り去られるとき、膜はシールから分離してもよい。濾過アセンブリはまた、漏斗への開口部を覆う漏斗蓋を含んでもよく、これは、漏斗自体の上にヒンジで取り付けられてもよい。漏斗蓋は、保管又は使用中に膜表面を汚染から保護する役割を果たし得る。ヒンジで取り付けられた蓋は、例えばヒンジを形成するように一緒にクリップする特徴を有する蓋及び漏斗のそれぞれによって、別個の蓋及び漏斗から形成されてもよい(例えば、図10参照)。このような構成は、カバー位置に蓋無しでより効率的に積み重ねることができるため、複数の濾過アセンブリの保管及び輸送に利点を有する(例えば、図7A図7C参照)。本発明の蓋は、(例えば、図8B又は図9)熱成形又は射出成形(例えば、図8A又は図9)されてもよく、漏斗と同じ材料又は別の適切な材料のものであってもよい。漏斗及び蓋は、プラスチック又は金属などの任意の適切な材料で形成されてもよい。
【0030】
基部は、例えばチューリップを介して、濾過アセンブリを真空源に接続する。本発明の基部は、例えばチューリップ弁に接続するように形作られてもよく、これは排出口の真空源への流体連通を可能にする。特定の実施形態では、フィルター基部は、排出口への流体の流れを促進するように、且つ/又は膜支持体を支持するように構成された複数の支持体を含む。濾過基部は、真空源と接続するための特徴、例えば、チューリップ弁の縁を受け入れる溝、又は別のシール部材を含んでもよい。
【0031】
膜フレームの最終用途はコロニー増殖の画像化用であり得るため、膜フレーム又は膜はまた、例えばインキュベーション時系列にわたって、複数の画像のアラインメントを維持するのを助けるために基準マーキングを含んでもよい。基準マーキングはまた、ロボット取り扱いシステムを用いたアラインメントに役立ち得る。
【0032】
膜フレームは、1°~75°(例えば、約1°~5°、約1°~10°、約1°~15°、約10°~15°、約15°~25°、約20°~30°、約25°~35°、約30°~40°、約35°~45°、約40°~50°、約45°~55°、約50°~60°、約55°~65°、約60°~70°、又は約65°~75°)、例えば、約1°~37.5°、約10°~40°、約15°~45°、約22.5°~67.5°、約40°~70°、約25°~75°、又は約35°~75°、例えば、少なくとも5°、10°、15°、20°、25°、又は30°、例えば、約22.5°、約30°、約45°、約60°、又は約67.5°の角度で基部上に最初に降ろされるように構成されてもよい(例えば、位置決め特徴を有することによって)。
【0033】
濾過アセンブリは、例えば膜フレームの内側の縁の周囲に、膜の下に配置されたワッシャーを含有してもよい(例えば、図28A~28D及び図32参照)。ワッシャーは、単一の要素、例えば、環状リング若しくは部分的なリング(例えば、C字形)、又は例えば不連続リングとして環状に配置された、複数の要素であってもよい。ワッシャーは、例えば、プラスチック、例えば、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネートなどであってもよい。濾過アセンブリ中のワッシャーは、膜フレームの一部であってもよく、例えば、膜フレームに取り付けられてもよく(例えば、機械的係合又はシーリングによって、例えば、接着又は熱結合によって)、又は膜フレームとともに形成されてもよい(例えば、モールドされてもよい、例えば、単一の部品として)。ワッシャーは、膜の下の気泡トラップを低減し得る(例えば、カセットへの移動時)。膜支持体の一部であるワッシャーは、膜の平坦性を改善し得る(例えば、固体又は半固体の栄養培地上に伸ばされたとき)。本発明のワッシャーは、例えば膜又は膜フレーム中の穴を介して、基準マーキングとして透けて見えるために蛍光性材料を含んでもよい。ワッシャーは、薄膜、例えば、約0.2mm未満の厚さ、例えば、0.1~0.2mm、0.5~0.15mm、0.01~0.05mm、又は約0.05mm、0.07mm、0.1mm、0.11mm、0.12mm、0.13mm、0.14mm、又は約0.15mmの厚さであってもよい。ワッシャーは、より厚く、より硬いリング、例えば、0.2mmより厚く、例えば、約0.2~0.3mm、0.25~0.35mm、0.3~0.4mm、0.35~0.45mm、0.4~0.5mm、0.45~0.55mm、0.5~0.6mm、0.55~0.65mm、0.6~0.7mm、0.65~0.75mm、0.7~0.8mm、0.75~0.85mm、0.8~0.9mm、0.85~0.95mm、又は0.9~1mmの厚さであってもよい。ワッシャーは、平らであってよい。ワッシャーは、滑らかであってよい。ワッシャーは、膜がカセット基部上に設置されるとき、摩擦の低減を可能にし得る。
【0034】
本発明の濾過アセンブリは、膜が平らな表面(例えば、膜支持体の表面)に適合するように膜を伸ばすように構成されてもよい(例えば、図24及び26A参照)。濾過アセンブリは、膜支持体と膜との間に空洞を含んでもよく、濾過が行われるときに膜がその中に引き込まれる。膜支持体は、例えば中央の平らなディスク領域の周囲で上向きに先細りになる縁を有する、空洞を作り出すように形作られてもよい。基部の内側は、空洞を収容する又は作り出すように、同様に先細りになっていてもよい。基部中のシムは、空洞を形作ってもよい。濾過後の膜の形状は、シムによって全体的又は部分的に決定され得る(例えば、図30A及び30B参照)。シムは、濾過基部への付加物であってもよく(例えば、濾過基部上に載っていても又は濾過基部に取り付けられてもよい、例えば、機械的係合又はシーリングによって、例えば、接着又は熱結合によって)、又は濾過基部の一部であってもよい(例えば、濾過基部とともにモールドされてもよい)。
【0035】
カセット
本発明は、例えば本明細書に記載の膜上での、細胞増殖のためのカセットを提供する。本発明のカセットは、外壁、複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個又はそれを超える)の放射状に配置されたギャップを含む第1の内壁、及び第2の内壁を含む基部層を有する、カセット基部を含む(例えば、図3図16A、又は図19A参照)。第1の内壁は、第2の内壁と外壁との間に位置する。第2の内壁は、固体又は半固体の栄養培地を保持するためのウェルを画定する。第2の内壁はまた、外側のレッジを含み、これは、ウェルが栄養培地でいっぱいに満たされることを可能にし得る。第2の内壁よりも高さの高い平らな増殖領域を有する固体又は半固体の培地は、フレームが基部に取り付けられるときに、膜を培地に対してコンフォーマルに押し付けることによって、画像化のために膜が平らに保たれることを保証する。カセット基部層はまた、第1の内壁と外壁との間に1つ又は複数の穴(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個又はそれを超える)を有することができる(例えば、図3又は図19A)。これらの穴は、膜がカセット基部に取り付けられるときに、膜の下に気泡がトラップされるのを防止するのに役立ち得る。膜と培地との間にトラップされた気泡は、膜の領域が栄養素を受けるのを妨げる可能性があるだけでなく、膜を歪め、画像化を混乱させる可能性がある。穴はまた、膜フレームとカセット基部との間のロック機構(例えば、図19B参照)の一部として、膜フレーム上の1つ又は複数のタブを受けてもよい。カセット基部は、漏斗及び膜フレームがカセット基部上に押し付けられたときに、膜フレーム及び漏斗の噛み合い特徴を外すように作用する特徴を含んでもよい(例えば、図21及び図22参照)。カセットはまた、基部に対して解放可能に密封可能なカセット蓋を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第2の内壁は、第1の内壁に向かって放射状に突出した複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個又はそれを超える)の支持体を含むことができる。このような放射状の支持体は、レッジまでいっぱいに満たされた培地を保持するのに役立ち、平らな増殖領域の直径を増加させることができる。他の内壁はまた、例えば膜フレームを支持するために、外壁に向かって放射状に突出する複数の支持体を特徴としてもよい。
【0037】
カセットはまた、第1の内壁と外壁との間に配置された第3の内壁を有してもよく、第3の内壁と外壁との間に第4の内壁をさらに有してもよい(例えば、図3参照)。カセットは、さらなる内壁(例えば、5、6、7、9、又は10個又はそれを超える)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、内壁の1つ又は複数は、ロック機構を外し、且つ漏斗を解放するために、膜フレームと漏斗との間のロック機構(例えば、タブ)と相互作用するように構成される。
【0038】
固体又は半固体の栄養培地は、任意の適切な培地であってよい。例としては、サブロー(Sabouraud)デキストロース寒天(SDA)、R2A寒天、トリプシンソイ寒天(tryptic soy agar、TSA)レシーン(letheen)、及びプレートカウント寒天(PCA)が挙げられる。他の培地は当技術分野で公知である。平らな増殖領域は、典型的には、直径が少なくとも5mm、例えば、5~200mm、例えば、10~80mmである。
【0039】
カセット蓋は、熱成形又は射出成形されてもよい。カセット蓋は、好ましくは、光学的に透明であってもよく(例えば、光によって細胞を検出するため)、且つ/又は非蛍光性であってもよく(例えば、自己蛍光による細胞の検出を可能にするため)、例えば、環状オレフィンポリマーの蓋であってもよい。他の適切な透明な蓋材料としては、PET、ポリメチルメタクリレート、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリスチレンなどが挙げられる。カセットは、輸送中にカセットを保護するためのカバー蓋、例えば、可撓性ポリマー(例えば、ゴム)の蓋を含んでもよい。
【0040】
カセット基部は、好ましくは、画像化との干渉を防止するために、非蛍光性材料、例えば、黒色のスチレン-ブタジエン-コポリマーでできていてもよい。
【0041】
カセットは、第2の内壁の上に又は第2の内壁に接続されたワッシャー(例えば、図29A~29C及び図33参照)(例えば、膜と第2の内壁及び/又は固体若しくは半固体の栄養培地との間にあるように配置された)を含んでもよい。カセット中のワッシャーは、単一の要素、例えば、環状リング若しくは部分的なリング(例えば、C字形)、又は例えば不連続リングとして環状に配置された、複数の要素であってもよい。ワッシャーは、例えば、プラスチック、例えば、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネートなどであってもよい。カセット中のワッシャーは、カセット基部の一部であってもよく、例えば、カセット基部に取り付けられてもよく(例えば、機械的係合又はシーリングによって、例えば、接着又は熱結合によって)、又はカセット基部とともに形成されてもよい(例えば、モールドされてもよい、例えば、単一の部品として)。ワッシャーは、膜と固体又は半固体の栄養培地との間の気泡トラップを低減し得る。ワッシャーは、膜の平坦性を改善し得る(例えば、固体又は半固体の栄養培地上に伸ばされたとき)。カセット基部の一部であるワッシャーは、膜の平坦性を改善し得る(例えば、固体又は半固体の栄養培地上に伸ばされたとき)。本発明のワッシャーは、例えば膜又は膜フレーム中の穴を介して、基準マーキングとして透けて見えるために蛍光性材料を含んでもよい。ワッシャーは、薄膜(例えば、図29B参照)、例えば、約0.2mm未満の厚さ、例えば、0.1~0.2mm、0.5~0.15mm、0.01~0.05mm、又は約0.05mm、0.07mm、0.1mm、0.11mm、0.12mm、0.13mm、0.14mm、又は約0.15mmの厚さであってもよい。ワッシャーは、より厚く(例えば、図29A参照)、より硬いリング、例えば、0.2mmより厚く、例えば、約0.2~0.3mm、0.25~0.35mm、0.3~0.4mm、0.35~0.45mm、0.4~0.5mm、0.45~0.55mm、0.5~0.6mm、0.55~0.65mm、0.6~0.7mm、0.65~0.75mm、0.7~0.8mm、0.75~0.85mm、0.8~0.9mm、0.85~0.95mm、又は0.9~1mmの厚さであってもよい。ワッシャーは、平らであってよい。ワッシャーは、滑らかであってよい。ワッシャーは、ばね付きの取り付けられた部品(例えば、図29C参照)(例えば、押し下げられた膜の圧力下で栄養培地に向かって下方へ曲がるように配置された)であってもよい。ワッシャーが薄膜(例えば、約0.1mmの厚さ)である場合、それは、膜及び/又は栄養培地の形状に適合し得る。より厚い、例えば、約0.45mmの厚さの場合、ワッシャーは、ワッシャーの圧力に適合し、ベルビル(Belleville)ワッシャーの形状を取り、栄養培地に食い込み得る。ワッシャーがより厚い、例えば、約0.8mmの場合、それは、膜の圧力への適合性が低下する可能性があり、栄養培地に食い込む。ワッシャーは、膜がカセット基部上に設置されるときに、摩擦の低減を可能にし得る。
【0042】
カセット基部は、膜が固体又は半固体の栄養培地と接触するときに、膜フレーム及び膜が角度を付けられるように(例えば、1°~75°)膜フレームと係合するように構成されてもよい。例えば、カセット基部は、培地の表面に対してある角度で膜フレームと係合する、角度を付けたスロット、タブ、キャッチ、カム、ラッチ、又はフックなどの角度を付けた特徴を含んでもよい。
【0043】
カセット基部は、1°~75°(例えば、約1°~5°、約1°~10°、約1°~15°、約10°~15°、約15°~25°、約20°~30°、約25°~35°、約30°~40°、約35°~45°、約40°~50°、約45°~55°、約50°~60°、約55°~65°、約60°~70°、又は約65°~75°)、例えば、約1°~37.5°、約10°~40°、約15°~45°、約22.5°~67.5°、約40°~70°、約25°~75°、又は約35°~75°、例えば、少なくとも5°、10°、15°、20°、25°、又は30°、例えば、約22.5°、約30°、約45°、約60°、又は約67.5°の角度で、膜フレームが基部上に最初に降ろされ得るように構成されてもよい(例えば、位置決め特徴を有することによって)。
【0044】
いくつかの実施形態では、カセット基部は、様々な高さのばねを有するリング(例えば、図31参照)(例えば、リングの一方の側がその対蹠点の前に膜又は膜フレームに接触し、それによって、膜の反対側を最初に栄養培地に接触させるように配置された)を含んでもよい。
【0045】
カセット基部は、膜フレーム並びに固体若しくは半固体の培地とともに、膜フレームがカセット基部に取り付けられるときに、膜を伸ばすように作用し得る。本発明のワッシャーはまた、膜を伸ばすのに役立ち得る。
【0046】
システム及びキット
本発明は、例えば微生物学的計数のために、細胞を濾過及び培養するためのシステムを提供する。本発明のシステムは、本発明の濾過アセンブリ及びカセットを含む。本発明のシステムにおいて、濾過アセンブリの膜フレームは、濾過アセンブリの基部から外れ、カセット基部に付き、カセット基部に取り付けられると漏斗から外れるように構成される。カセット基部にしっかりと取り付けられるまで膜フレームを漏斗に取り付けたままにしておくことによって、膜は、移動プロセス中の汚染及び損傷から保護される。
【0047】
本発明のシステムは、膜フレームの漏斗への取り付けよりも強力な取り付けを作り出す方法で、膜フレームがカセット基部に取り付け可能であることを必要とする。これを達成するために、膜フレームは、突出したリングを含んでもよく、カセット基部は、膜フレームをカセット基部に取り付けるために突出したリングと噛み合うタブを含んでもよい。あるいは、特徴を逆にしてもよく、カセットは、例えば内壁の1つからの、突出したリングを特徴としてもよく、膜リングは、タブを含んでもよい。あるいは、又はさらに、カセットは、膜フレーム又は漏斗上のタブに押し付け(例えば、図21参照)、噛み合い特徴を外す特徴(例えば、図22に示される内側のリング)を含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、膜フレームをカセット基部に取り付けると、膜は、増殖領域とコンフォーマル接触に配置され、すなわち、膜及び培地は、一緒に押され続ける。例えば培地に押し付けることによって、膜増殖領域の平坦性を維持することは、画像化中に有利である。
【0049】
キットは、本明細書に記載のデバイスの1つ又は複数を含んでよい。例えば、漏斗及び/又はカセットが蓋を含まない場合、本発明のキットは、漏斗及び/又はカセットを覆うための1つ又は複数の別個の蓋を含むことができる。蓋は、濾過アセンブリ及びカセットとともにキットに含まれてもよく、又は別々にパッケージングされてもよい。キットは、濾過アセンブリ及びカセットの両方、又は複数の濾過アセンブリ、又は複数のカセットを含んでもよいため、例えば、微生物に依存しない濾過アセンブリが、ユーザーによって微生物特異的カセットと組み合わされてもよい。あるいは、濾過アセンブリは、微生物特異的であってもよい。キットは、輸送中にカセット基部を保護するための可撓性ポリマーカバー、並びにインキュベーション及び画像化のために透明及び/又は非蛍光性である別個の蓋を含んでもよい。キットはまた、本明細書に記載のワッシャーを別個の構成要素として含んでもよい。
【0050】
本発明のシステム又はキットはまた、複数の濾過アセンブリ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個又はそれを超える)を保持するためのトレイを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システムはまた、例えば図13A及び図13に示されるように、6個の濾過アセンブリを保持するように配置された基部を含む。トレイは、濾過アセンブリの有無にかかわらず積み重ね可能であり得る。トレイは、濾過アセンブリをずらしたレイアウト(例えば、図13A、及び図13B参照)又は長方形のレイアウト(例えば、図12B)で保持し得る。ずらした配置は、濾過アセンブリの積み重ねられたトレイが、例えば輸送中に、長方形の配置よりも少ない体積を占めることを可能にし得る(例えば、図12A参照)。トレイは、熱成形されても、又は射出成形されてもよい。
【0051】
本発明の濾過アセンブリ及びカセットは、キット及びシステムの一部として、様々な外部構成要素、例えば、真空ポンプ、吸引器、液体取り扱いロボット、ロボットアーム、光源(例えば、レーザー)、検出器、ヒーター(例えば、インキュベーション用)、クーラー(例えば、保管用)、試薬(例えば、細胞染色用)などと組み合わされてもよい。
【0052】
方法
本発明は、サンプル、例えば、水サンプル中の微生物(例えば、細菌又は酵母)の存在を決定する方法を提供する。例示的な方法は、例えば真空ポンプ又は吸引器に接続されたチューリップ弁に基部を接続することによって、最初に濾過アセンブリを真空源に取り付けるステップを含む。次いで、本方法は、流体中のあらゆる細胞が膜上に保持されるように、サンプル流体を濾過アセンブリを通して流すステップを含む。次いで、(例えば、図16B又は図19Bに示されるように)膜フレームを本発明のカセット基部に取り付ける前に、膜フレームに取り付けられた漏斗は、基部から取り外される(例えば、ラッチを解除するボタンを押すことによって)。次いで、漏斗は、膜フレームから取り外され、カセットは、あらゆる保持された細胞が増殖することを可能にするためにインキュベートされる。本方法は、有利には、損傷又は汚染を取り扱うことなく、且つ損傷又は汚染の危険を冒すことなく、膜の移動を可能にする。本方法は、自動化試験システムに組み込むのに特に有利である。本発明の方法の一例を図1に示す。
【0053】
本発明の方法は、例えば真空からの、圧力を使用して、膜に膜と膜支持体との間の空洞の形状を取らせることを含んでもよい(例えば、図24、26A、及び27参照)。膜フレームを基部から取り外した後、且つ膜フレームがカセット基部に取り付けられるまで、膜はこの形状を維持し得る(例えば、図27参照)。形作られた膜は、カセット(例えば、固体又は半固体の培地)と相互作用して、膜のカセット基部への取り付け中の気泡トラップを防止し得る(例えば、図27参照)。
【0054】
本発明の方法では、膜は、その円周上の第1の点で平らな増殖領域と最初に接触し、第1の点と対蹠的である円周上の第2の点で最後に接触し得る(例えば、図26B参照)。連続的に減少する接触角度での最初の接触点と最終点との間の接触の伝播は、例えば、気泡トラップ及びしわを最小化又は排除するように作用することができる。膜フレームは、平らな増殖領域に対して、1°~75°(例えば、約1°~5°、約1°~10°、約1°~15°、約10°~15°、約15°~25°、約20°~30°、約25°~35°、約30°~40°、約35°~45°、約40°~50°、約45°~55°、約50°~60°、約55°~65°、約60°~70°、又は約65°~75°)、例えば、約1°~37.5°、約10°~40°、約15°~45°、約22.5°~67.5°、約40°~70°、約25°~75°、又は約35°~75°、例えば、少なくとも5°、10°、15°、20°、25°、又は30°、例えば、約22.5°、約30°、約45°、約60°、又は約67.5°の角度で基部上に最初に降ろされてもよい。非対称的に配置されたロック特徴(例えば、異なる高さで配置された、又は異なる抵抗を用いた)を使用して、膜フレームのカセット基部への取り付け中に、膜フレーム(及び膜)の接近角度を方向付けてもよい。カセット及び/又は膜フレームは、膜フレームがカセット基部上に降ろされたときに、接触が最初の点から最後の対蹠点まで(例えば、約1°~75°の初期角度で、例えば、減少する角度で)伝播するように、平らな増殖領域に接触するように膜を配置する特徴(例えば、角度を付けたスロット、タブ、キャッチ、カム、ラッチ、フックなど、又は取り付けられた若しくは挿入された非対称的にばねを付けたリング)を含んでもよい。ばねを付けたリングは、環状に配置された複数のばねによって支持されたリングであってもよく、複数のばねのうち最も高さの高いばねは、複数のうち最も高さの低いばねと対蹠的であり、それらの間に配置された複数のばねは、高さが漸減している。
【0055】
本方法は、保持された細胞から形成されたあらゆるコロニーを検出するために膜を画像化するステップをさらに含んでもよい。例えば、わずか数百個の細胞の小さなコロニーを含む、特定の微生物の自己蛍光を検出することによる。画像化はまた、画像の時系列を撮影することによってコロニーの増殖をモニターすることを含んでもよく、このために、基準マーキングを特徴とする本発明の実施形態は特に適している。カセットは、Growth Direct(登録商標)自動化微生物検出システム(Rapid Micro Biosystems)で有利に画像化され得る。
【0056】
他の実施形態は特許請求の範囲にある。
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【国際調査報告】