IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アジレント・テクノロジーズ・インクの特許一覧

<>
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図1A
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図1B
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図2
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図3
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図4
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図5
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図6
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図7
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図8A
  • 特表-ピペットチップデバイスおよび方法 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ピペットチップデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G01N35/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501494
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021032413
(87)【国際公開番号】W WO2022015406
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/050,970
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】アヴィダノ,リチャード
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED36
(57)【要約】
ピペッタに対するピペットチップの取り付けおよび取り外しのための、ならびにピペットチップを保管するための方法および装置が提供される。ピペットは、吸引ブロックと、吸引ブロック面に固定されている1つまたは複数の磁石とを備える。再利用可能なピペットチップは、磁気吸着材料を備えるピペットアダプタを有する。ピペットチップに磁力で取り付けられるピペッタを備えるピペッティングデバイスが提供される。上記した装置を使用する方法も提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引チャネルおよび吸引ブロック端部を備える吸引ブロックであって、前記吸引チャネルは前記吸引ブロック端部に開口部を備える吸引ブロックと、
前記吸引ブロック端部において前記吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石と
を備える、ピペッタ。
【請求項2】
前記吸引ブロック端部は、ピペットチップに磁力で取り付けられるように構成されている吸引ブロック面を備える、請求項1に記載のピペッタ。
【請求項3】
前記1つまたは複数の磁石は前記吸引ブロック面から凹んだ位置にある、請求項2に記載のピペッタ。
【請求項4】
前記1つまたは複数の磁石はネオジム鉄ホウ素磁石を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のピペッタ。
【請求項5】
前記1つまたは複数の磁石は、前記吸引チャネルを中心にして円状に配置されている4つ以上の磁石を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のピペッタ。
【請求項6】
前記吸引ブロック端部は前記吸引チャネルが貫通して延びている延長部を備え、
前記延長部はピペットチップの開口部内に嵌合するように適合され、前記ピペットチップの前記開口部は前記吸引チャネルと流体連通するようになっている、請求項1から5のいずれか1項に記載のピペッタ。
【請求項7】
前記延長部は前記吸引ブロック面から延在するテーパ状コーンを備え、前記吸引チャネルは前記テーパ状コーンを貫通して延びている、請求項6に記載のピペッタ。
【請求項8】
前記吸引ブロック端部内に、ピペットチップが前記ピペッタに取り付けられているかどうかを検知するように構成されているピペットチップセンサを更に備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のピペッタ。
【請求項9】
アダプタ近位端、アダプタ遠位端、アダプタ側部、ならびに前記アダプタ近位端および前記アダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔を備えるピペットアダプタであって、
前記アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備え、
前記ピペットアダプタは磁気吸着材料を備えるピペットアダプタと、
ピペットチューブ近位端およびピペットチューブ遠位端を備えるピペットチューブと
を備え、
前記ピペットチューブ近位端は前記アダプタ遠位端にある中央の前記内腔開口部内に固定される、再利用可能なピペットチップ。
【請求項10】
前記ピペットアダプタは円筒形であり、前記アダプタラジアル溝は前記アダプタ側部の全体を取り囲んでいる、請求項9に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項11】
前記アダプタラジアル溝は、6.10mmから5.90mmの間の直径、1.60mmから1.40mmの間の高さ、および16.89mmから16.87mmの間の前記ピペットアダプタの頂面からの距離を有する、請求項9または10に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項12】
前記アダプタラジアル溝内に伸展性材料を更に備える、請求項9から11のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項13】
前記アダプタラジアル溝は、前記伸展性材料の一部を受け入れるように構成されているアダプタ補助溝を備える、請求項12に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項14】
前記磁気吸着材料は、ステンレス鋼、17-4 PH(熱処理条件H900)、およびこれらの組合せから選択される、請求項9から13のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項15】
前記アダプタ近位端は丸められたまたは面取りされた縁部を備える、請求項9から14のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項16】
前記ピペットアダプタは、前記アダプタ近位端と前記アダプタ近位端から延在するアダプタカップ壁とによって形成されているアダプタカップを更に備える、請求項9から15のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項17】
前記アダプタカップ壁は前記アダプタ近位端を部分的にまたは完全に取り囲んでいる、請求項16に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項18】
前記アダプタカップ壁は前記アダプタ近位端の反対側にカップ壁ガイドを備え、前記カップ壁ガイドは傾斜した表面を備える、請求項9から17のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項19】
前記アダプタカップ壁は、内側表面と、中心を向いた前記内側表面上のラジアルリングとを備える、請求項9から18のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項20】
前記アダプタカップ壁はただ1つのラジアルリングを備える、請求項19に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項21】
前記アダプタカップ壁は4.01mmから3.99mmの間の高さを有する、請求項19または20に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項22】
前記アダプタ近位端は前記中央内腔を包囲するテーパ状開口を備える、請求項9から21のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項23】
前記テーパ状開口は開口溝と前記開口溝内の伸展性封止材とを備える、請求項22に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項24】
前記アダプタ近位端はアダプタ近位端溝と前記アダプタ近位端溝内の伸展性封止材とを備える、請求項9から23のいずれか1項に記載の再利用可能なピペットチップ。
【請求項25】
(a)ピペッタであって、
吸引チャネルおよび吸引ブロック端部を備え、前記吸引チャネルは前記吸引ブロック端部に開口部を備える吸引ブロック、ならびに
前記吸引ブロック端部において前記吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石を備えるピペッタと、
(b)再利用可能なピペットチップであって、
アダプタ近位端、アダプタ遠位端、アダプタ側部、ならびに前記アダプタ近位端および前記アダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔を備えるピペットアダプタを備える再利用可能なピペットチップと
を備え、
前記アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備え、
前記ピペットアダプタは磁気吸着材料を備え、
ピペットチューブはピペットチューブ近位端およびピペットチューブ遠位端を備え、
前記ピペットチューブ近位端は前記アダプタ遠位端にある中央の前記内腔開口部内に固定され、
前記ピペットチップは前記ピペッタに磁力で取り付けられて、前記吸引チャネルと前記ピペットチップのチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する、
ピペッティングデバイス。
【請求項26】
前記吸引ブロック端部は実質的に平坦である、請求項25に記載のピペッティングデバイス。
【請求項27】
前記1つまたは複数の磁石は前記吸引ブロック面から僅かに凹んだ位置にあり、前記1つまたは複数の磁石が前記ピペットアダプタに物理的に接触しないようになっている、請求項25または26に記載のピペッティングデバイス。
【請求項28】
前記ピペットアダプタは、前記アダプタ近位端と前記アダプタ近位端から延在するアダプタカップ壁とによって形成されているアダプタカップを更に備える、請求項25から27のいずれか1項に記載のピペッティングデバイス。
【請求項29】
前記アダプタカップ壁は、前記ピペットアダプタを前記吸引チャネルと接触させ位置合わせするように構成されているラジアルリングを有する、請求項28に記載のピペッティングデバイス。
【請求項30】
前記アダプタカップ壁は前記アダプタ近位端の反対側にカップ壁ガイドを備え、前記カップ壁ガイドは前記吸引チャネルを前記アダプタカップ内に案内するための傾斜した表面を備える、請求項28または29に記載のピペッティングデバイス。
【請求項31】
前記アダプタ近位端は前記吸引ブロック端部と等しいかまたはそれよりも小さいサイズを有する、請求項25から27のいずれか1項に記載のピペッティングデバイス。
【請求項32】
前記アダプタ近位端および前記吸引ブロック面は各々が外周を有し、前記アダプタ近位端の外周は前記吸引ブロック面と等しいかまたはそれよりも小さい、請求項25から27または請求項31のいずれか1項に記載のピペッティングデバイス。
【請求項33】
請求項25から32のいずれか1項に記載のピペッティングデバイスと、
前記ピペットチップの前記アダプタラジアル溝に係合することによって前記ピペットチップのうちの1つまたは複数を保持するように構成されている保管デバイスと
を備える、再利用可能なピペットチップのシステム。
【請求項34】
前記保管デバイスは複数の保管フォークを備え、前記保管フォークの各々は保管フォーク口部によって分離されている保管フォーク刃部を備え、
前記保管フォークは、前記アダプタラジアル溝を前記保管フォーク刃部と実質的に平行な方向において前記保管フォーク口部の中に受け入れるように、および、挿入された前記アダプタが前記保管フォークから前記保管フォーク刃部に対して実質的に垂直な方向に脱離するのを防止するように構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記保管フォーク口部は、前記アダプタよりも前記アダプタラジアル溝において広く、前記アダプタラジアル溝と隣り合う前記アダプタ側部よりも狭い、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記保管デバイスは前記保管フォークが装着されている保管部本体を備える、請求項33から35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記保管フォークは保管ブロック上に枢動可能に装着されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記保管フォークの各々は、前記保管フォーク内に挿入されたピペットアダプタの前記アダプタラジアル溝を押すように配置されている1つまたは複数のばねプランジャを備える、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記保管フォークは保管ブロック上に固定的に装着されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
前記保管フォークは、前記ピペットデバイスを磁力で吸着するように配置されている1つまたは複数の磁石を備える、請求項34から39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記保管デバイスは、前記保管フォーク内の前記1つまたは複数の磁石の反対の磁極と位置合わせされている1つまたは複数の磁石を備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
再利用可能なピペットチップを使用する方法であって、
吸引チャネルおよび吸引ブロック端部を備え、前記吸引チャネルは前記吸引ブロック端部に開口部を備える吸引ブロック、ならびに、前記吸引ブロック端部において前記吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石を備えるピペッタを提供することと、
前記吸引ブロック端部を、再利用可能なピペットチップから磁気取り付け部を形成するのに十分な近さのところに設置することと
を含み、
前記再利用可能なピペットチップは、
磁気吸着材料、アダプタ近位端、アダプタ遠位端、ならびに前記アダプタ近位端および前記アダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔を備えるピペットアダプタと、
ピペットチューブ近位端およびピペットチューブ遠位端を備えるピペットチューブとを備え、
前記ピペットチューブ近位端は前記アダプタ遠位端の中央の前記内腔開口部内に固定され、
前記ピペットチップは前記ピペッタに磁力で取り付けられて、前記吸引チャネルと前記ピペットチップのチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する、
方法。
【請求項43】
前記ピペットアダプタはアダプタ側部を更に備え、前記アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備え、
前記ピペッタおよび前記磁力で取り付けられたピペットチップを、前記ピペットアダプタを受け入れるように適合されている保管デバイスまで移動させることと、
前記ピペットアダプタを前記保管デバイスまで移送することとを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記保管デバイスは、保管フォーク口部によって分離されている保管フォーク刃部を備える空の保管フォークを備え、
前記ピペッタは、前記磁力で取り付けられたピペットチップが前記保管フォーク刃部と実質的に平行な方向において前記保管フォーク口部に挿入されるように移動され、
前記ピペッタを前記係合されたピペットから前記保管フォーク刃部に対して実質的に垂直な方向へと離れるように移動させ、これにより前記保管フォーク刃部が前記保管フォークからの前記挿入されたアダプタの脱離を防止している間に、吸引本体内の前記1つまたは複数の磁石と前記ピペットアダプタとの間の磁気引力が克服される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記保管デバイスは第2のピペットチップを保持する第2の保管フォークを更に備え、
前記ピペッタを、前記吸引チャネルが前記保管フォークによって保持されている前記第2のピペットチップの上方に配置されるように移動させることと、
前記ピペッタを前記第2のピペットチップに向かって移動させて前記ピペッタを前記第2のピペットチップに磁力で取り付けることと、
前記ピペッタを前記保管フォーク刃部と実質的に平行な方向に移動させ、これにより前記保管デバイスから前記第2のピペットチップを取り外すこととを更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記保管デバイスから前記第2のピペットチップを取り外す前に、前記第2のピペットチップが前記吸引チャネルに取り付けられているかどうかを検知することを更に含む、請求項45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年7月13日に出願された米国仮出願第63/050,970号の利益を主張し、その内容は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般にピペッタおよびピペットチップに関する。本開示はまた、ピペットチップを取り付ける、使用する、および取り外すための、ならびに、ピペットチップを保管するための、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
研究施設および他の環境において、精確な体積の液体を吸引および分注するためにピペッタが利用されており、空気置換式が一般的である。多種多様なピペッタが利用可能であり、それらは多種多様な液体ハンドリング機能を備えている。ピペッタは、ピペットチップと結合されるシリンジまたは他の吸引ブロックを含む。シリンジはバレルの中を移動するピストンを含む。ピペットチップは、バレルとピペットチップとの間に流路が確立されるようにシリンジと結合される。ピストンは、手操作でまたはモータによって、バレル内で順方向ストロークと逆方向ストロークを交互に実行するように駆動される。順方向ストロークはピペットチップから液体を分注するのに利用することができ、逆方向ストロークは吸引力を生み、このため液体をピペットチップ内に吸引するのに利用することができる。自動式ピペッティングデバイスには1つまたは複数のピペッタが含まれる場合があるが、これは様々な異なる液体を有する液体容器を含む液体ハンドリング装置の一部であり得る。
【0004】
ピペッタにおいて使い捨てピペットチップが数十年にわたり使用されてきた。研究施設では、その様々な分析手順においてサンプルおよび試薬を吸引および/または分注するために、何千というピペットチップが使用され得る。研究施設においてピペットチップの再利用が不可能であるかまたは再利用を望まない場合、ピペットチップは使用される都度廃棄される。使い捨てピペットチップの使用はそのような研究施設のコストおよび労力を増大させるが、その理由は、研究施設においてピペットチップを絶えず購入および補充する必要があり、また廃棄されるピペットチップによって廃棄物の発生量が増大するからである。研究施設が処理および分析されるサンプルの数を増やそうとするほど、ピペットチップの処分に起因するコストおよび廃棄物は無視できないものとなり得る。また、成形プラスチック製の使い捨てピペットチップがその用途にとって十分な特性を有さないような用途が多く存在する。この場合、金属、セラミック等から製作される使い捨て式ではないより高価なチップを使用する必要性が高まる。非使い捨て式のチップの場合、異なるサンプルのハンドリングごとにそれらを洗浄する必要が生じる。
【0005】
ピペットチップは多くの異なるサイズ(例えば、10μL、50μL、300μL、1mL、5mL、等)および異なる幾何形状において利用可能であり、使い捨て式および非使い捨て式の両方のタイプが含まれる。手順またはプロトコルが異なれば(サイズおよび/またはタイプが)異なるピペットチップが必要になる場合があり、場合によっては同じ手順またはプロトコルで異なるピペットチップを使用する必要のある場合がある。一部の既存のピペッティングデバイスは、ピペットチップの様式の違いに対処する能力を有するが、自動化された手順と手順またはプロトコルとプロトコルの間に使用者が手操作でピペットチップを取り替える必要がある。一部の既存のピペッティングデバイスは、手順またはプロトコルの最中に使い捨て式のチップおよび非使い捨て式のチップを自動的に取り替える能力を有するが、(シリンジと結合されることになる)それらピペットチップの端部は、接続部分の幾何形状が同じである必要がある。大きな容積(例えば1000μL)を保持するようなサイズの使い捨てピペットチップに対処するために、接続部分面の幾何形状は、それら大きなチップを中心にして設計され得る。この場合、より小さい容積の使い捨て式のチップ(例えば10μL)によって使用されるピペッタとの接続部分は、はるかに大きいチップが使用するものと必然的に同じものとなり、これにより例えば、より小さい容積のチップが、その小さい容積および使用または用途にとって最適に設計されないという結果が生じる。例えば、より小さい容積のチップの接続部分は、望ましいものよりもはるかに大きくなり得る。また更に、より小さい容積のチップの接続部分は、(ここでも、同じピペッタと連結されるより大きい容積のチップと入れ替え可能となるように)大きくならざるを得ないので、それらより小さい容積のチップは、標準的なサイズの多ウェル(例えば384ウェル)プレートの隣接するウェルにアクセスするのに必要な比較的小さい間隔(例えば4.5mm)で、グリッド内に互いに隣り合わせて設置することができない。更に、様々な手順またはプロトコルが、多チャネルピペッティングデバイスおよび/または単一チャネルピペッティングデバイスの使用を必要とし得る。これら2つのタイプのピペッティングデバイスは多くの場合異なる接合面を有し、このため、多チャネルピペッティングデバイスおよび単一チャネルピペッティングデバイスの両方で同じサイズまたはタイプのピペットチップが使用できるようにはならない場合がある。
【0006】
一般に、液体ハンドリングおよびピペッティングデバイスがもたらす自動化のレベルを向上させて、そのような機器のスループットおよび使用者が使える「その場を離れる(walk away)」時間を大きくすることが、以前から要望されている。特に、タイプおよびサイズの異なるピペットチップ間の互換性のレベルを高めること、ならびに、ピペットチップをシリンジに結合する、ピペットチップをシリンジから結合解除する、および異なるピペットチップ間での交換というタスクを自動化された様式で行うように自動化することが必要とされている。研究プロセスにおいて再利用できるようにピペットチップを取り付ける、取り外す、および保管するための、自動化された非常に信頼性の高い方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様として、ピペッタが提供される。ピペッタは、吸引チャネルと吸引ブロック端部とを備える吸引ブロックを備え、吸引チャネルは吸引ブロック端部に開口部を備える。ピペッタはまた、吸引ブロック端部において吸引ブロッ内に固定されている1つまたは複数の磁石も備える。
【0008】
本発明の別の態様として、再利用可能なピペットチップが提供される。ピペットチップは、アダプタ近位端と、アダプタ遠位端と、アダプタ側部と、アダプタ近位端およびアダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔とを有するピペットアダプタを備える。アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備える。ピペットアダプタは磁気吸着材料も含む。再利用可能なピペットチップは、ピペットチューブ近位端とピペットチューブ遠位端とを有するピペットチューブも備える。ピペットチューブ近位端は、アダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される。
【0009】
本発明の別の態様として、ピペッティングデバイスが提供される。ピペッティングデバイスは、ピペッタと再利用可能なピペットチップとを備える。ピペッタは、吸引チャネルと吸引ブロック端部とを備える吸引ブロックを備え、吸引チャネルは吸引ブロック端部に開口部を備える。ピペッタはまた、吸引ブロック端部において吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石も備える。再利用可能なピペットチップは、アダプタ近位端と、アダプタ遠位端と、アダプタ側部と、アダプタ近位端およびアダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔とを有するピペットアダプタを備える。アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備える。ピペットアダプタは磁気吸着材料を含む。再利用可能なピペットチップはまた、ピペットチューブ近位端とピペットチューブ遠位端とを備えるピペットチューブも備える。ピペットチューブ近位端は、アダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される。ピペットチップはピペッタに磁力で取り付けられて、吸引チャネルとピペットチップチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する。
【0010】
本発明の別の態様として、ピペッタにおいて再利用可能なピペットチップを使用する方法が提供される。方法は、吸引チャネルと吸引ブロック端部とを有する吸引ブロックを有するピペッタを提供することを含む。吸引ブロックはまた、吸引ブロック端部において吸引ブロッ内に固定されている1つまたは複数の磁石も備える。方法はまた、吸引ブロック端部を、再利用可能なピペットチップから磁気取り付け部を形成するのに十分な近さのところに設置することも含む。再利用可能なピペットチップは、磁気吸着材料、ならびにアダプタ近位端、アダプタ遠位端、およびアダプタ内腔を有するピペットアダプタを備える。再利用可能なピペットチップはまた、ピペットチューブ近位端とピペットチューブ遠位端とを備えるピペットチューブも備える。ピペットチューブ近位端は、アダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される。ピペットチップはピペッタに磁力で取り付けられて、吸引チャネルとピペットチップチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する。
【0011】
本装置および方法のこれらのおよび他の利点および特徴が、以下の詳細な説明、ならびに付属の特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】ピペッタの例示的な実施形態を示す図である。
図1B】ピペッタの例示的な実施形態を示す図である。
図2】ピペッタと再利用可能なピペットチップとを備えるピペッティングデバイスの例示的な実施形態を示す図である。
図3】ピペッタに磁力で取り付けられているピペットチップの例示的な実施形態の図である。
図4】ピペッタの吸引ブロックに磁力で取り付けられているピペットチップの別の例示的な実施形態の図である。
図5】吸引ブロックに磁力で取り付けられているピペットチップの例示的な実施形態の図である。
図6】ピペッタの吸引ブロックに磁力で取り付けられているピペットチップの別の例示的な実施形態の図である。
図7】ピペッタの吸引ブロックに磁力で取り付けられているピペットチップの例示的な実施形態の図である。
図8A】1つまたは複数のピペットチップを保持するように構成されているピペットチップ保管部デバイスを備えるピペッティングシステムを示す図である。
図8B】1つまたは複数のピペットチップを保持するように構成されているピペットチップ保管部デバイスを備えるピペッティングシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本教示は添付の図面の図と一緒に読まれるときに以下の詳細な説明から最もよく理解される。特徴は必ずしも実際の縮尺で描かれていない。
【0014】
本装置および方法のいくつかの実施形態は、ピペッタに対する再利用可能なピペットの容易かつ迅速な取り付けおよび取り外しを実現する。いくつかの実施形態では、複数の利点の中でもとりわけ、ピペットチップが使用中に所定位置にしっかりと保持され、ピペットアダプタとピペッタの吸引ブロックとの間のシールが実質的に気密かつ液密であり、死容積が最小限となっている。ピペッティングシステムのいくつかの実施形態では、ピペットチップをピペットチップ保管場所から取り出し、同じ場所にまたは所望であれば異なる場所に戻すことができる。いくつかの実施形態では、本装置で採用される磁気取り付け機構は、ピペットチップ保管デバイスに対するピペットチップの場所のあり得る誤差に対処することができ、これには例えば、ピペットチップが保管デバイス内に設置されるときのXおよびY方向における+/-0.75mmの誤差が含まれる。
【0015】
1つの態様として、新規なピペッタは、吸引ブロックと1つまたは複数の磁石とを備える。磁石は吸引ブロックの吸引ブロック端部に固定されている。いくつかの実施形態では、磁石は吸引ブロック面から凹んだ位置にあり、このためピペットチップがピペッタに磁力で取り付けられるとき、磁石がピペットチップに物理的に接触しない。小型だが強力なネオジム鉄ホウ素磁石を含め、任意の好適な磁石を使用することができ、それらを吸引ブロック面内に位置付けることができる。吸引ブロックは、全体または一部にステンレス鋼または他の材料を含んでもよく、またチューブまたは他の吸引チャネルを含み得る。磁石はピペットチップを拾い上げしっかりと保持するのに十分な強さを有するべきである。いくつかの実施形態では、磁石は、吸引ブロックとピペットチップとの間にシールを形成するように配置された伸展性材料を圧縮するのに十分な強さを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ピペッタはピペッティングによって流体を移送するように適合されており、このことには例えば、10μlから500μlまでの体積の流体を吸引または分注することが含まれる。ピペッタを、混合ストリップにおいて流体を混合する、ピペットチップを取り替える、液体レベルを検出する、および湿潤度を調節するために水または溶媒をスライド処理モジュール、加湿器パッド、または混合ストリップに送達するように適合させることもできる。いくつかの実施形態では、ピペッタは、ピペットチップの内側を洗浄するように適合されている1つまたは複数の特徴を備える。ピペッタは、処理モジュール、洗浄ステーション、ピペットチップ保管ステーション、試薬バイアル保管部、およびガントリのうちの、1つもしくは複数、または全部と接続し得る。
【0017】
本方法および装置はピペットチップを有するピペッタを含み得る。いくつかの実施形態では、ピペットチップは使い捨て式のまたは再利用可能なピペットチップである。再利用可能なピペットチップは汚染を回避するために使用と使用の間に洗浄を必要とする。本方法および装置を場合によっては使い捨てピペットチップと共に使用し、これによりピペットチップを1回使用して交換することによるコストおよび廃棄物を低減することも企図される。
【0018】
図1Aはピペッタの例示的な実施形態を示す。ピペッタ100は、吸引ブロック102と、吸引ブロック102を出入りする流体の移動を制御するピストン104とを備える。ピストン104は任意の好適な機構によって作動され得る。図1Aでは、これはリードスクリュー108を回転させるモータ106によって作動され、リードスクリュー108はステージ112を移動させ、これによりピストン104を上下に移動させる。ピストン104は、流体を吸引ブロック内へと吸引するために上に、およびピペッタから流体を分注するために下に移動される。ピペッタ100はまた、吸引ブロック102にどの流体を供給するべきかを制御するためのバルブパック110も備える。いくつかの実施形態では、ピペッタは、ピペットチップに少なくとも2つのタイプの液体を送達するように構成される。例えばピペッタは、1つまたは複数の試薬または洗浄流体を送達するように構成され得る。吸引ブロックによって、加圧された空気または他の気体をチップの内部に送達することができる。異なるステップまたは機能を実行するために、加圧ガスを2つの異なる流量(低および高)で供給することができる。
【0019】
図1Bは吸引ブロック102の別の図を提供する。1つもしくは複数の液体および/または1つもしくは複数の加圧ガスが、導管、バルブ、または他の経路から、吸引ブロック102に進入し得る。図1Bでは、バルブパック110は、吸引ブロック102への試薬、洗浄流体、加圧ガス、ならびに他の流体(例えば溶媒および緩衝液)の送達を制御する。吸引ブロック102を通して流体が送達されるとき、それらはその出口114を通過し、取り付けられたピペットチップへと至る。吸引ブロック102の出口114は、ピペットチップの取り付けを容易にするためのテーパ状コーン116を備え得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、接着剤などによって吸引ブロックに固着されている1つまたは複数の磁石120、例えば円状に配された6つの磁石を使用することによって、ピペッタにピペットチップが取り付けられる。装置は、ピペットチップとピペッタの吸引ブロックのニップルとの間に封止材(例えばOリングシール)を含み得る。テーパ状コーン116は、Oリングまたは他の封止材用の凹部を有し得る。ピペットチップセンサ118は、ピペットチップが存在するまたは吸引ブロック102に取り付けられているかどうかを検知し、ピペッタから出口114への流体の流れを可能にするまたは停止するための信号を制御装置に提供するように配置され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ガントリまたは他のロボット式デバイスの操作によって、1つまたは複数の軸(X、Y、および/またはZ軸)に沿ってピペッタを自動的に移動させることができる。ガントリおよび他のデバイスは、上下に移動することによって第1のピペットチップを分離し第2のピペットチップを取り付けることなどによって、ピペッタを水平方向および垂直方向に移動させてピペットチップを取り替えることができるように配置することができる。
【0022】
図2は、ピペッタ200と再利用可能なピペットチップ201とを備えるピペッティングデバイスの例示的な実施形態の内部を示す図である。ピペッタ200は、吸引チャネル222と吸引ブロック端部224とを備える吸引ブロック202を備え、吸引ブロック端部224には開口部(出口214)がある。ピペッタ200はまた、吸引ブロック端部224において吸引ブロック202内に固定されている1つまたは複数の磁石220も備える。
【0023】
ピペッティングデバイスはまた、ピペットアダプタ203とピペットチューブ215とを備える再利用可能なピペットチップ201も備える。ピペットアダプタ203は、アダプタ近位端205と、アダプタ遠位端207と、アダプタ側部209とを備える。ピペットアダプタ203はまた、アダプタ近位端205およびアダプタ遠位端207に開口部を有する、アダプタ内腔211も備える。ピペットアダプタ203のアダプタ側部209は、アダプタラジアル溝213を備える。ピペットアダプタ203は、磁気吸着材料を含み、例えば、そのような材料から形成され、またはそのような材料をある量だけ含有する。再利用可能なピペットチップ201のピペットチューブ215は、ピペットチューブ近位端217とピペットチューブ遠位端219とを備える。ピペットチューブ近位端215は、アダプタ遠位端207に開口しているアダプタ内腔211内に固定される。ピペットチップ201はピペッタ200に磁力で取り付けられて、吸引チャネル222とピペットチップチャネル221との間に実質的に液密な流路を提供する。
【0024】
別の態様として、磁気吸着材料を含むピペットアダプタを有する再利用可能なピペットチップが提供される。ピペットアダプタは更に、アダプタ近位端と、アダプタ遠位端と、アダプタ側部と、アダプタ内腔とを備える。いくつかの実施形態では、アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備える。再利用可能なピペットチップはまた、ピペットチューブ近位端とピペットチューブ遠位端とを備えるピペットチューブも備える。ピペットチューブ近位端は、アダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される。
【0025】
図3は、ピペッタの吸引ブロック302に磁力で取り付けられているピペットチップ301の一部の断面図である。再利用可能なピペットチップ301は、アダプタ近位端305と、アダプタ遠位端307と、アダプタ側部309とを備えるピペットアダプタ303を備える。アダプタラジアル溝313は、保管デバイスに係合し得る特徴を提供することによって、ピペットチップ301の保管を容易にし得る。伸展性材料(compliant material)323は、保管デバイス内へのピペットチップ301の設置を容易にすることができ、アダプタラジアル溝313が保管デバイス内への係合時に期待される位置から僅かにずれるのを補償し、その融通性を実現する。ピペットアダプタ303はまた、アダプタ近位端305およびアダプタ遠位端307に開口部を有するアダプタ内腔311も備える。アダプタ側部309は、アダプタ補助溝325内に伸展性材料323を有するアダプタラジアル溝313を備える。ピペットアダプタ303は磁気吸着材料を含み、吸引ブロック302は、アダプタ近位端305に面する吸引ブロック面324から凹んだ位置にある磁石320を備える。
【0026】
いくつかの実施形態では、吸引ブロック302はまた、吸引チャネル322が貫通して延びている延長部326を備え、これにより延長された出口を提供する。延長部326はピペットチップ301の開口部327内に嵌合するように適合されており、このときピペットチップ301の開口部327は、吸引チャネル322と流体連通するようになっている。いくつかの実施形態では、延長部326は吸引ブロック面324から延在するテーパ状コーン328を備え、吸引チャネル322はテーパ状コーン328を貫通して延びている。
【0027】
いくつかの実施形態では、ピペットアダプタ303のアダプタ内腔311は、アダプタ遠位端307に、ピペットチューブを受け入れるように構成されている開口部を備え、ピペットチューブはその中に固定され得る。ピペットチップ301は吸引チューブ302に磁力で取り付けられて、吸引チャネル322とアダプタ内腔311内のピペットチューブとの間に実質的に液密な流路を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、ピペットアダプタ303は、アダプタ近位端305とアダプタ近位端305から延在するアダプタカップ壁337とによって形成されているアダプタカップを更に備える。アダプタカップ壁は、アダプタ近位端305の一部または全体を取り囲み得る。アダプタカップ壁337はまた、アダプタ近位端305の反対側にカップ壁ガイド339も備え得る。例えば、カップ壁ガイド339は傾斜した表面であり得る。アダプタカップ壁337は更に、内側表面341と、中心に向いた内側表面341上の1つまたは複数のラジアルリング343とを備え得る。
【0029】
図4は、ピペッタの吸引ブロック402に磁力で取り付けられているピペットチップ401の別の実施形態の内部の図である。再利用可能なピペットチップ401は、アダプタ近位端405と、アダプタ遠位端407と、アダプタ側部409とを有するピペットアダプタ403を備える。ピペットアダプタ403はまた、アダプタ近位端405およびアダプタ遠位端407に開口部を有するアダプタ内腔411も備える。アダプタ側部409はアダプタラジアル溝413を備える。図3のピペットチップ301とは異なり、ピペットアダプタ403は、ラジアル溝413内に伸展性材料を含まない。そのような実施形態は、保管デバイスが、保管中にピペットチップがその期待される位置から僅かに外れるのを補償できれば、有用である。ピペットアダプタ403は磁気吸着材料を含み、吸引ブロック402は、アダプタ近位端405に面する吸引ブロック面424から凹んだ位置にある磁石420を備える。
【0030】
吸引ブロック402はまた、ピペットアダプタ403の開口部427内へと延びる延長部426も備える。延長部426は、吸引ブロック面424から延在するテーパ状コーン428を備える。開口部427は、テーパ状コーン428を受け入れるように構成されているテーパ状開口429を備える。ピペットアダプタ403は更に、テーパ状開口429の底部にある開口溝431と、開口溝431内の伸展性封止材433、例えばOリングとを備える。伸展性封止材433を含むことによって、吸引チューブ402とピペットアダプタ403との間にラジアルタイプのシールが提供される。ラジアルシールは実質的に液密であるべきである。
【0031】
図5は、ピペッタの吸引ブロック502に磁力で取り付けられているピペットチップ501の更に別の実施形態の断面図である。再利用可能なピペットチップ501は、アダプタ近位端505と、アダプタ遠位端507と、アダプタ側部509とを有するピペットアダプタ503を備える。ピペットアダプタ503はまた、アダプタ近位端505およびアダプタ遠位端507に開口部を有するアダプタ内腔511も備える。ピペットチップ501は吸引チューブ502に磁力で取り付けられて、吸引チャネル522とアダプタ内腔511内のピペットチューブとの間に実質的に液密な流路を提供する。
【0032】
アダプタ側部509は、アダプタ補助溝525内に伸展性材料523を有するアダプタラジアル溝513を備える。ピペットアダプタ503は磁気吸着材料を含み、吸引ブロック502は、アダプタ近位端505に面する吸引ブロック面524から凹んだ位置にある磁石520を備える。図5の吸引チューブ502およびピペットアダプタ503は、吸引チューブ502がテーパ状コーンを含まず、ピペットアダプタ503がテーパ状開口を含まないという点で、図3および図4に示すものとは異なっている。吸引ブロック502の端部、すなわち吸引ブロック面524は実質的に平坦であり、実質的に平坦なアダプタ近位端505に面している。磁石520は吸引ブロック面524から僅かに凹んだ位置にあり、磁石がピペットアダプタ503に物理的に接触しないようになっている。
【0033】
アダプタ近位端505は、アダプタ近位端溝535と、アダプタ近位端溝535内の伸展性封止材533(例えばOリング)とを備え、伸展性封止材は、吸引チューブ502とピペットアダプタ503との間の固定用(static)面シールを提供する。いくつかの実施形態では、ピペットアダプタ503は、アダプタ近位端505とアダプタ近位端505から延在するアダプタカップ壁537とによって形成されているアダプタカップを更に備える。アダプタカップ壁537はまた、アダプタ近位端505の反対側にカップ壁ガイド539を備える。図5のアダプタカップ壁537は、内側表面541上に、吸引ブロック502に係合する2つのラジアルリング543を備える。この実施形態では、ピペットアダプタ503を位置合わせするために、アダプタカップの頂部および底部において厳密な公差のラジアルリング543が使用される。例えば約15mmだけ離間され得る2つのラジアルリング543は、同心度および傾斜度を制御するのに有利である。
【0034】
図6は、ピペッタの吸引ブロック602に磁力で取り付けられているピペットチップ601の更に別の実施形態の断面図を示す。再利用可能なピペットチップ601は、アダプタ近位端605と、アダプタ遠位端607と、アダプタ側部609とを備えるピペットアダプタ603を備える。アダプタ側部609は、伸展性材料623を有するアダプタラジアル溝613を備える。ピペットアダプタ603は磁気吸着材料を含み、吸引ブロック602は、アダプタ近位端605に面する吸引ブロック面624から凹んだ位置にある磁石620を備える。アダプタ近位端605は、アダプタ近位端溝635内に、伸展性封止材633(例えばOリング)を備える。
【0035】
図6のピペットアダプタ603は、アダプタ近位端605とアダプタ近位端605から延在するアダプタカップ壁637とによって形成されているアダプタカップを更に備える。図6のピペットアダプタ603は、アダプタカップ壁637がただ1つのラジアルリング643を備え、アダプタカップ壁637が比較的低い高さを有するという点が、図5に示すものとは異なる。アダプタ近位端605はまた、丸められたまたは面取りされた縁部も備える。
【0036】
図7は、ピペッタの吸引ブロック702に磁力で取り付けられているピペットチップ701の例示的な実施形態の断面図である。再利用可能なピペットチップ701は、アダプタ近位端705と、アダプタ遠位端707と、アダプタ側部709とを備えるピペットアダプタ703を備える。ピペットアダプタ703はまた、アダプタ近位端705およびアダプタ遠位端707に開口部を有するアダプタ内腔711も備える。アダプタ側部709は、伸展性材料とアダプタ補助溝とを含んでも(または含まなくても)よいアダプタラジアル溝713を備える。ピペットアダプタ703は磁気吸着材料を含み、吸引ブロック702は、アダプタ近位端705に面する吸引ブロック面724から凹んだ位置にある磁石720を備える。
【0037】
いくつかの実施形態では、吸引ブロック702はまた、吸引チャネル722が貫通して延びている延長部726も備える。延長部726はピペットチップ701の開口部727内に嵌合するように適合されており、このときピペットチップ701の開口部727は、吸引チャネル722と流体連通するようになっている。いくつかの実施形態では、延長部726は吸引ブロック面724から延在するテーパ状コーン728を備え、開口部727はテーパ状開口729を備え、吸引チャネル722はテーパ状コーン728を貫通して延びている。
【0038】
いくつかの実施形態では、ピペットアダプタ703のアダプタ内腔711は、アダプタ遠位端707に、ピペットチューブ715を受け入れるように構成されている開口部を備え、ピペットチューブ715はその中に固定され得る。ピペットチップ701は吸引チューブ702に磁力で取り付けられて、吸引チャネル722とアダプタ内腔711内のピペットチューブ715との間に実質的に液密な流路を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ピペットアダプタ703は、アダプタ近位端705とアダプタ近位端705から延在するアダプタカップ壁737とによって形成されているアダプタカップを更に備える。アダプタカップ壁737は吸引ブロック面724を取り囲みも包囲もしない。代わりに、アダプタ近位端705は、吸引ブロック面724の外周と等しいかまたはそれよりも小さいサイズを有する。例えば、アダプタ近位端705および吸引ブロック面724は、各々が外周、例えば円周を有し、アダプタ近位端705の外周は吸引ブロック面724と等しいかまたはそれよりも小さい。アダプタカップ壁737はまた、吸引ブロック面724に面するカップ壁頂部745も備え得る。
【0040】
別の態様として、再利用可能なピペットチップをピペッタと共に使用するための方法が提供される。方法は、吸引チャネルと吸引ブロック端部とを有する吸引ブロックを有するピペッタを提供することを含み得る。吸引チャネルは吸引ブロック端部に開口部を備える。吸引ブロックはまた、吸引ブロック端部において吸引ブロッ内に固定されている1つまたは複数の磁石も備える。方法はまた、吸引ブロック端部を、再利用可能なピペットチップから磁気取り付け部を形成するのに十分な近さのところに設置することも含み得る。再利用可能なピペットチップは、磁気吸着材料と、アダプタ近位端と、アダプタ遠位端と、アダプタ内腔とを備えるピペットアダプタを備える。再利用可能なピペットチップはまた、ピペットチューブ近位端とピペットチューブ遠位端とを有するピペットチューブも備える。ピペットチューブ近位端は、アダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される。ピペットチップはピペッタに磁力で取り付けられて、吸引チャネルとピペットチップチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する。
【0041】
ピペットアダプタがアダプタ側部を更に備え、アダプタ側部がアダプタラジアル溝を備えるいくつかの実施形態では、方法はまた、ピペッタおよび磁力で取り付けられたピペットチップを、ピペットアダプタを受け入れるように適合されている保管デバイスまで移動させることと、ピペットアダプタを保管デバイスまで移送することとを更に含み得る。保管デバイスが保管フォーク口部(storage fork mouth)によって分離されている保管フォーク刃部(storage fork prongs)を有する空の保管フォークを備えるいくつかの実施形態では、ピペッタは、磁力で取り付けられたピペットチップが保管フォーク刃部と実質的に平行な方向において保管フォーク口部に挿入されるように移動される。方法はまた、ピペッタを、係合されたピペットから保管フォーク刃部に対して実質的に垂直な方向へと離れるように移動させることを含むことができ、これにより保管フォーク刃部が挿入されたアダプタの保管フォークからの脱離を防止している間に、吸引本体内の磁石とピペットアダプタとの間の磁気引力が克服される。
【0042】
保管デバイスが第2のピペットチップを保持する第2の保管フォークを更に備えるいくつかの実施形態では、方法は、ピペッタを、吸引チャネルが保管フォークによって保持されている第2のピペットチップの上方に配置されるように移動させることと、ピペッタを第2のピペットチップに向かって移動させてピペッタを第2のピペットチップに磁力で取り付けることと、ピペッタを保管フォーク刃部と実質的に平行な方向に移動させ、これにより保管デバイスから第2のピペットチップを取り外すこととを更に含む。方法はまた、保管デバイスから第2のピペットチップを取り外す前に、第2のピペットチップが吸引チャネルに取り付けられているかどうかを検知することも含み得る。
【0043】
本方法および装置は更に、分析用のサンプルを調製するための方法またはシステムを含み得るか、またはその一部であり得る。そのようなシステムは、他の機能を実行するための他の装置を含み得る。例えば、ピペッタを、様々な場所の間(例えば、ピペットチップ保管場所とピペット使用の場所(例えばサンプル処理場所、試薬吸引場所等)との間)の移動を自動化するためのガントリに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、本方法および装置は、試薬源、サンプル処理モジュール、ピペット洗浄デバイス、または他の装置のうちの1つまたは複数を更に備える液体ハンドリング装置に含まれている。
【0044】
図8Aおよび図8Bは、1つまたは複数のピペットチップを保持するように構成されているピペットチップ保管デバイス801を備えるピペッティングシステム800を示す。保管デバイス800は、ピペットアダプタ803、805、807に係合しこれを保持するように構成されている複数の保管フォーク802、804を備える。いくつかの実施形態では、保管フォーク802、804は、ピペットアダプタ803、805をそれらのアダプタラジアル溝において受け入れるように構成されている。保管フォーク802、804は保管ブロック806上に装着されている。ピペットアダプタ807は、システム800における基部812上の吸引装着ブロック810によって保持されている吸引ブロック接続部808において、磁力で取り付けられている。システム800はまた、吸引装着ブロック810をピペットチップ保管デバイス801へとおよび/またはシステム800におけるピペット使用の他のデバイスまたは場所(例えば、サンプル処理場所またはデバイス、試薬吸引場所またはデバイス等)へと移動させることのできるガントリ814も備え得る。
【0045】
図8Bは、1つまたは複数のピペットチップを保持するための保管フォーク802、804の拡大図を提供する。保管フォーク802、804は、再利用可能なピペットチップのピペットアダプタのアダプタラジアル溝に係合し、これを保持するように構成されている。保管フォークの各々は、保管フォーク口部によって分離されている保管フォーク刃部を備え、保管フォークは、保管フォークと保管フォーク口部の組を2つ備え得る。例えば、保管フォーク802は、保管フォーク口部821によって分離されている1対の保管フォーク刃部820、822と、保管フォーク口部831によって分離されているもう1対の保管フォーク刃部830、832とを備える。保管フォーク刃部830、832は、アダプタラジアル溝813を保管フォーク刃部830、832と実質的に平行な方向において保管フォーク口部831の中に受け入れるように、および、挿入されたピペットアダプタ803が保管フォーク802から保管フォーク刃部830、832に対して実質的に垂直な方向に脱離するのを防止するように構成されている。保管フォーク口部831は、ピペットアダプタよりもアダプタラジアル溝813において広く、アダプタラジアル溝813と隣り合うアダプタ側部809よりも狭い。
【0046】
保管フォークは保管ブロック上に固定的にまたは枢動可能に装着され得る。例えば、保管フォーク802は固定具836によって保管ブロック806上に固定的に装着される。ピペットアダプタ803の位置を、剛性の保管フォーク口部831内で、アダプタラジアル溝813内のOリングによって確立および補償することができる。ピペットアダプタの設置径はOリングの外径よりも小さい。別の例として、保管フォーク804は、保管フォーク804の中央の単一の固定具834によって、保管ブロック806上に枢動可能に装着される。ピペットアダプタ805は保管フォーク804内に入っていくが、そこにはOリングはなく、その設置径はフォークと密に嵌合するものである。保管フォーク804が枢動できることによって、システムは、ピペットチップのXまたはY方向における位置の不整合に対処できる。保管フォーク804は、ピペットアダプタ805を保管フォーク804内へと吸着するための磁石837を備える。保管フォーク804はまた、水平方向磁石837に抵抗しピペットアダプタ804をその公称位置に保持するためのばねプランジャ838も備える。いくつかの実施形態では、保管デバイスは、保管フォーク内の磁石の反対の磁極と位置合わせされている1つまたは複数の磁石を備える。
【0047】
本明細書において使用される専門用語は特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定となることは意図していないことが理解されるべきである。定義される用語は、定義される用語の本教示の技術分野において一般に理解され受け入れられるような技術的および科学的な意味に付加されるものである。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「ブロック」または「本体」には一般に、ブロックまたは本体に形成されたチャネルによるものなどの1つまたは複数のチャネルを備える任意の構造が含まれる。いくつかの実施形態では、ブロックまたは本体は複数のチャネルを備え、この場合ブロックまたは本体の中を別個の流体が流れることができる。いくつかの実施形態では、ブロックまたは本体は、1つもしくは複数の内部流路および/または1つもしくは複数の外部流路と連通しているマニホールドを備える。
【0049】
本装置のいくつかの実施形態では、吸引ブロック、ピペットアダプタ、または他の構成要素は、チャネルまたはチューブを備える。用語「チャネル」および「チューブ」には一般に、流体が移動するための流路を画定するように構成されている任意の構造が含まれる。チャネルおよびチューブは通常、第1および第2の端部に開口部を有するが、これらは企図する流れの方向の文脈において、入口および出口と呼ばれる場合もある。チャネルまたはチューブは2つ以上の入口および/または2つ以上の出口を有し得る。いくつかの実施形態では、チャネルはより大きい本体またはブロックに形成される。いくつかの実施形態では、チューブは別の構成要素の内部または外部にある導管である。チャネルまたはチューブの幾何形状は多種多様であり得、円形、長方形、正方形、D形状、台形、または他の多角形の断面を含む。
【0050】
上記したいくつかの実施形態では、表面または接続部分は伸展性材料、例えば実質的に流体不透過性の伸展性材料を有する。いくつかの実施形態では、伸展性材料はOリングの形態である。伸展性材料は任意の好適な形状または組成であり得る。いくつかの実施形態では、伸展性材料はフルオロエラストマー材料であり得る。伸展性材料は、デバイスにおいて使用される流体に応じて、様々なゴム、例えば、フルオロポリマー、ブナ-n、またはEPDMであり得る。吸引ブロック、ピペットアダプタ、または他の構造における溝または他の特徴を、伸展性材料と位置合わせし、本体上での伸展性材料の保持を助けることができる。溝深さは、流体密封シールの形成などの所望の機能を実行するために、伸展性材料がどの程度圧縮されることになるかを決定するように指定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本装置および方法は、ピペッタまたは吸引ブロックを2つ以上のピペッタ位置の間で移動させるように構成され得る。ピペッタは、直線もしくは並進移動、回転移動、またはこれらの組合せを含む、手動操作での移動によって、あるピペッタ位置から別のピペッタ位置へと変更するまたは切り換えることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本装置および方法は、データ処理ユニット、従来のPCまたはワークステーションなどの制御装置を含み得る。制御装置は、情報を受信するおよび/または動作を制御するために本デバイスのうちの1つまたは複数に接続され得る。例えば、制御装置はピペッタの動作を制御し、そこから実際の動作状況に関する情報を受信することができる。制御装置はまた、ガントリの動作を制御することができ、そこから実際の動作状況に関する情報(流量、真空レベル等)を受信することができる。制御装置は他のデバイスの動作を更に制御し得る。
【0053】
本開示において、用語「実質的な(substantial)」または「実質的に(substantially)」は、当業者の許容できる限度または程度の範囲内にあることを意味する。用語「ほぼ(approximately)」および「約(about)」は、当業者にとって許容できる限度または量の範囲内にあることを意味する。用語「約」は一般に、指示されている数からプラスまたはマイナス15%を指す。例えば、「約10」は8.5から11.5の範囲を示し得る。例えば、「ほぼ同じ」とは、比較されている事項を当業者が同じであると見なすことを意味する。本開示において値の範囲が記載されている場合、その範囲の上限と下限との間の中間の各値もまた、そうではないと文脈が明確に規定しない限り下限の単位の10分の1まで、明示的に開示されていることを理解すべきである。述べられている範囲が限度の一方または両方を含む場合、本発明にはそれらのいずれかまたは両方を除いた範囲もまた含まれる。
【0054】
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用するとき、用語「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、そうではないと文脈が明確に規定しない限り、単数および複数の両方の言及対象を含む。この場合例えば、「1つの(a)導管」は、1つの導管および複数の導管を含む。そうではないと示されていない限りは、本明細書では本デバイスおよび方法の異なる要素を区別するために、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、および他の序数が使用されるが、これらは数値限定を与えることは意図していない。第1および第2のピペッタ位置への言及は、装置が2つのピペッタ位置しか有さないことを意味するものと解釈されるべきではない。第1および第2の要素を有するデバイスはまた、そうではないと示唆されていない限りは、第3のもの、第4のもの、第5のものなども含み得る。
【0055】
本教示の実施または試験においては、本明細書に記載するものと類似のまたは等価な任意の方法および材料を使用することもできるが、いくつかの例示的な方法および材料について以下に記載する。本明細書で言及される全ての特許および公報は、それらの全体が参照によって明示的に組み込まれている。
【0056】
参照文献
Powellら 米国特許第8,168,137号
Sheldon 米国特許第9,079,178号
【0057】
例示的な実施形態
ここに開示されている主題に従って提供される例示的な実施形態は以下を含むが、これらに限定されない。
【0058】
実施形態1
吸引チャネルおよび吸引ブロック端部を備える吸引ブロックであって、吸引チャネルは吸引ブロック端部に開口部を備える吸引ブロックと、吸引ブロック端部において吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石とを備えるピペッタ。
【0059】
実施形態2
吸引ブロック端部はピペットチップに磁力で取り付けられるように構成されている吸引ブロック面を備える、実施形態1に記載のピペッタ。
【0060】
実施形態3
1つまたは複数の磁石は吸引ブロック面から凹んだ位置にある、実施形態2に記載のピペッタ。
【0061】
実施形態4
1つまたは複数の磁石はネオジム鉄ホウ素磁石を備える、実施形態1から3のいずれか1つに記載のピペッタ。
【0062】
実施形態5
1つまたは複数の磁石は、吸引チャネルを中心にして円状に配置されている4つ以上の磁石を備える、実施形態1から4のいずれか1つに記載のピペッタ。
【0063】
実施形態6
吸引ブロック端部は吸引チャネルが貫通して延びている延長部を備え、延長部はピペットチップの開口部内に嵌合するように適合されており、このときピペットチップの開口部は吸引チャネルと流体連通するようになっている、実施形態1から5のいずれか1つに記載のピペッタ。
【0064】
実施形態7
延長部は吸引ブロック面から延在するテーパ状コーンを備え、吸引チャネルはテーパ状コーンを貫通して延びている、実施形態6に記載のピペッタ。
【0065】
実施形態8
吸引ブロック端部内に、ピペットチップがピペッタに取り付けられているかどうかを検知するように構成されているピペットチップセンサを更に備える、実施形態1から7のいずれか1つに記載のピペッタ。
【0066】
実施形態9
アダプタ近位端、アダプタ遠位端、アダプタ側部、ならびにアダプタ近位端およびアダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔を備えるピペットアダプタであって、
アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備え、
ピペットアダプタは磁気吸着材料を備えるピペットアダプタと、
ピペットチューブ近位端およびピペットチューブ遠位端を備えるピペットチューブとを備え、
ピペットチューブ近位端はアダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される、
再利用可能なピペットチップ。
【0067】
実施形態10
ピペットアダプタは円筒形であり、アダプタラジアル溝はアダプタ側部を完全に取り囲んでいる、実施形態9に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0068】
実施形態11
アダプタラジアル溝は、6.10mmから5.90mmの間の直径、1.60mmから1.40mmの間の高さ、および16.89mmから16.87mmの間のピペットアダプタの頂面からの距離を有する、実施形態9または10に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0069】
実施形態12
アダプタラジアル溝内に伸展性材料を更に備える、実施形態9から11のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0070】
実施形態13
アダプタラジアル溝は伸展性材料の一部を受け入れるように構成されているアダプタ補助溝を備える、実施形態12に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0071】
実施形態14
磁気吸着材料は、ステンレス鋼、17-4 PH(熱処理条件H900)、およびこれらの組合せから選択される、実施形態9から13のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0072】
実施形態15
アダプタ近位端は丸められたまたは面取りされた縁部を備える、実施形態9から14のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0073】
実施形態16
ピペットアダプタは、アダプタ近位端とアダプタ近位端から延在するアダプタカップ壁とによって形成されているアダプタカップを更に備える、実施形態9から15のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0074】
実施形態17
アダプタカップ壁はアダプタ近位端を部分的にまたは完全に取り囲んでいる、実施形態16に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0075】
実施形態18
アダプタカップ壁はアダプタ近位端の反対側にカップ壁ガイドを備え、カップ壁ガイドは傾斜した表面を備える、実施形態9から17のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0076】
実施形態19
アダプタカップ壁は、内側表面と、中心を向いた内側表面上のラジアルリングとを備える、実施形態9から18のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0077】
実施形態20
アダプタカップ壁はただ1つのラジアルリングを備える、実施形態19に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0078】
実施形態21
アダプタカップ壁は4.01mmから3.99mmの間の高さを有する、実施形態19または20に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0079】
実施形態22
アダプタ近位端は中央内腔を包囲するテーパ状開口を備える、実施形態9から21のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0080】
実施形態23
テーパ状開口は開口溝と開口溝内の伸展性封止材とを備える、実施形態22に記載の再利用可能なピペットチップ。
【0081】
実施形態24
アダプタ近位端はアダプタ近位端溝とアダプタ近位端溝内の伸展性封止材とを備える、実施形態9から23のいずれか1つに記載の再利用可能なピペットチップ。
【0082】
実施形態25
(a)ピペッタであって、
吸引チャネルおよび吸引ブロック端部を備える吸引ブロックであり、吸引チャネルは吸引ブロック端部に開口部を備える吸引ブロック、ならびに
吸引ブロック端部において吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石を備えるピペッタと、
(b)再利用可能なピペットチップであって、
アダプタ近位端、アダプタ遠位端、アダプタ側部、ならびにアダプタ近位端およびアダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔を備えるピペットアダプタであり、
アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備え、
ピペットアダプタは磁気吸着材料を備えるピペットアダプタ、ならびに
ピペットチューブ近位端およびピペットチューブ遠位端を備えるピペットチューブを備え、
ピペットチューブ近位端はアダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定される再利用可能なピペットチップと
を備え、
ピペットチップはピペッタに磁力で取り付けられて、吸引チャネルとピペットチップのチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する、
ピペッティングデバイス。
【0083】
実施形態26
吸引ブロック端部は実質的に平坦である、実施形態25に記載のピペッティングデバイス。
【0084】
実施形態27
1つまたは複数の磁石は吸引ブロック面から僅かに凹んだ位置にあり、1つまたは複数の磁石がピペットアダプタに物理的に接触しないようになっている、実施形態25または26に記載のピペッティングデバイス。
【0085】
実施形態28
ピペットアダプタは、アダプタ近位端とアダプタ近位端から延在するアダプタカップ壁とによって形成されているアダプタカップを更に備える、実施形態25から27のいずれか1つに記載のピペッティングデバイス。
【0086】
実施形態29
アダプタカップ壁は、ピペットアダプタを吸引チャネルと接触し位置合わせするように構成されているラジアルリングを有する、実施形態28に記載のピペッティングデバイス。
【0087】
実施形態30
アダプタカップ壁はアダプタ近位端の反対側にカップ壁ガイドを備え、カップ壁ガイドは吸引チャネルをアダプタカップ内に案内するための傾斜した表面を備える、実施形態28または29に記載のピペッティングデバイス。
【0088】
実施形態31
アダプタ近位端は吸引ブロック端部と等しいかまたはそれよりも小さいサイズを有する、実施形態25から27のいずれか1つに記載のピペッティングデバイス。
【0089】
実施形態32
アダプタ近位端および吸引ブロック面は各々が外周を有し、アダプタ近位端の外周は吸引ブロック面と等しいかまたはそれよりも小さい、実施形態25から27または実施形態31のいずれか1つに記載のピペッティングデバイス。
【0090】
実施形態33
実施形態25から32のいずれか1つに記載のピペッティングデバイスと、
ピペットチップのアダプタラジアル溝に係合することによってピペットチップのうちの1つまたは複数を保持するように構成されている保管デバイスと
を備える、再利用可能なピペットチップのシステム。
【0091】
実施形態34
保管デバイスは複数の保管フォークを備え、保管フォークの各々は保管フォーク口部によって分離されている保管フォーク刃部を備え、
保管フォークは、アダプタラジアル溝を保管フォーク刃部と実質的に平行な方向において保管フォーク口部の中に受け入れるように、および、挿入されたアダプタが保管フォークから保管フォーク刃部に対して実質的に垂直な方向に脱離するのを防止するように構成されている、実施形態33に記載のシステム。
【0092】
実施形態35
保管フォーク口部は、アダプタよりもアダプタラジアル溝において広く、アダプタラジアル溝と隣り合うアダプタ側部よりも狭い、実施形態34に記載のシステム。
【0093】
実施形態36
保管デバイスは保管フォークが装着されている保管部本体を備える、実施形態33から35のいずれか1つに記載のシステム。
【0094】
実施形態37
保管フォークは保管ブロック上に固定的に装着されている、実施形態36に記載のシステム。
【0095】
実施形態38
保管フォークの各々は、保管フォーク内に挿入されたピペットアダプタのアダプタラジアル溝を押すように配置されている1つまたは複数のばねプランジャを備える、実施形態37に記載のシステム。
【0096】
実施形態39
保管フォークは保管ブロック上に固定的に装着されている、実施形態36に記載のシステム。
【0097】
実施形態40
保管フォークは、ピペットデバイスを磁力で吸着するように配置されている1つまたは複数の磁石を備える、実施形態34から39のいずれか1つに記載のシステム。
【0098】
実施形態41
保管デバイスは、保管フォーク内の1つまたは複数の磁石の反対の磁極と位置合わせされている1つまたは複数の磁石を備える、実施形態40に記載のシステム。
【0099】
実施形態42
ピペッタにおいて再利用可能なピペットチップを使用する方法であって、
吸引チャネルおよび吸引ブロック端部を備え、吸引チャネルは吸引ブロック端部に開口部を備える吸引ブロック、ならびに、吸引ブロック端部において吸引ブロック内に固定されている1つまたは複数の磁石を備えるピペッタを提供することと、
吸引ブロック端部を、再利用可能なピペットチップから磁気取り付け部を形成するのに十分な近さのところに設置することと
を含み、
再利用可能なピペットチップは、
磁気吸着材料、アダプタ近位端、アダプタ遠位端、ならびにアダプタ近位端およびアダプタ遠位端に開口部を有するアダプタ内腔を備えるピペットアダプタと、
ピペットチューブ近位端およびピペットチューブ遠位端を備えるピペットチューブとを備え、
ピペットチューブ近位端はアダプタ遠位端にある中央の内腔開口部内に固定され、
ピペットチップはピペッタに磁力で取り付けられて、吸引チャネルとピペットチップのチャネルとの間に実質的に液密な流路を提供する、方法。
【0100】
実施形態43
ピペットアダプタはアダプタ側部を更に備え、アダプタ側部はアダプタラジアル溝を備え、
ピペッタおよび磁力で取り付けられたピペットチップを、ピペットアダプタを受け入れるように適合されている保管デバイスまで移動させることと、
ピペットアダプタを保管デバイスまで移送することとを更に含む、実施形態42に記載の方法。
【0101】
実施形態44
保管デバイスは、保管フォーク口部によって分離されている保管フォーク刃部を備える空の保管フォークを備え、ピペッタは、磁力で取り付けられたピペットチップが保管フォーク刃部と実質的に平行な方向において保管フォーク口部に挿入されるように移動され、
ピペッタを、係合されたピペットから保管フォーク刃部に対して実質的に垂直な方向へと離れるように移動させ、保管フォーク刃部が、挿入されたアダプタの保管フォークからの脱離を防止している間に、吸引本体内の1つまたは複数の磁石とピペットアダプタとの間の磁気引力が克服される、実施形態43に記載の方法。
【0102】
実施形態45
保管デバイスは第2のピペットチップを保持する第2の保管フォークを更に備え、
ピペッタを、吸引チャネルが保管フォークによって保持されている第2のピペットチップの上方に配置されるように移動させることと、
ピペッタを第2のピペットチップに向かって移動させてピペッタを第2のピペットチップに磁力で取り付けることと、
ピペッタを保管フォーク刃部と実質的に平行な方向に移動させ、これにより保管デバイスから第2のピペットチップを取り外すこととを更に含む、実施形態43に記載の方法。
【0103】
実施形態46
保管デバイスから第2のピペットチップを取り外す前に、第2のピペットチップが吸引チャネルに取り付けられているかどうかを検知すること、を更に含む、実施形態45に記載の方法。
【0104】
例示的なまたは好ましい実施形態の上記の説明は、本発明をそれらの実施形態によって規定されているものとして限定するのではなく、例示するものとして解釈されるべきである。容易に諒解されるであろうが、実施形態に記載されているような本発明から逸脱することなく、上に記載した特徴の多数の変形および組合せを利用することができる。そのような変形は本発明の範囲からの逸脱と見なされるものではなく、そのような変形は全て、以下の実施形態の範囲内に含まれることが意図されている。本明細書に引用される全ての参照文献はそれらの全体が参照により組み込まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】