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特表2023-535306流体特性測定値を補償するための剛性測定値の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】流体特性測定値を補償するための剛性測定値の使用
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G01F1/84
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501532
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2020041888
(87)【国際公開番号】W WO2022015286
(87)【国際公開日】2022-01-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーレンベルガー, フレデリック スコット
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035JA02
(57)【要約】
剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器(20)が提供される。メータ電子機器(20)は、センサアセンブリ(10)に通信可能に結合し、センサアセンブリ(10)からセンサ信号を受信するように構成されたインターフェース(601)と、インターフェース(601)に通信可能に結合された処理システム(602)とを備える。処理システム(602)は、センサ信号に基づいて流体特性値を決定し、流体特性値を流体特性補正値で補正するように構成され、流体特性補正値は、センサアセンブリの現在の剛性値と相関する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器(20)であって、
前記メータ電子機器(20)がセンサアセンブリ(10)に通信可能に結合し、前記センサアセンブリ(10)からセンサ信号を受信するように構成されたインターフェース(601)と、
前記インターフェース(601)に通信可能に結合された処理システム(602)と
を備え、
前記処理システム(602)が前記センサ信号に基づいて流体特性値を決定し、前記流体特性値を流体特性補正値で補正するように構成され、前記流体特性補正値が前記センサアセンブリの現在の剛性値と相関する、メータ電子機器(20)。
【請求項2】
前記処理システム(602)が前記センサアセンブリ(10)の前記現在の剛性値を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項3】
前記処理システム(602)が前記センサアセンブリの以前に決定された剛性値を使用して、前記現在の剛性値を前記流体特性補正値と相関させるようにさらに構成されている、請求項1または2に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項4】
前記以前に決定された剛性値が前記流体特性補正値と相関する、請求項3に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項5】
前記以前に決定された剛性値が前記センサアセンブリの経験的分析およびコンピュータモデルのうちの少なくとも1つを使用することによって、前記流体特性補正値と相関させる、請求項4に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項6】
前記流体特性補正値が以前に決定された剛性対流体特性の関係を使用することによって、前記現在の剛性値と相関させる、請求項1から5のいずれか一項に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項7】
前記流体特性値が質量流量値、密度値、時間遅延値、位相差値、共振周波数値、および振動周期値のうちの1つである、請求項1から6のいずれか一項に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項8】
前記流体特性補正値がパーセンテージ誤差値である、請求項1から7のいずれか一項に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項9】
前記現在の剛性値がモード関係の一部であり、前記モード関係が2つの振動モードの特性間の関係である、請求項1から8のいずれか一項に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項10】
剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための方法であって、流体を含むセンサアセンブリによって提供されるセンサ信号に基づいて前記流体の流体特性値を決定することと、前記流体特性値を流体特性補正値で補正することと、を含み、前記流体特性補正値が前記センサアセンブリの現在の剛性値と相関する、方法。
【請求項11】
前記センサアセンブリの前記現在の剛性値を決定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記センサアセンブリの以前に決定された剛性値を使用して前記現在の剛性値を前記流体特性補正値と相関させることをさらに含む、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記以前に決定された剛性値が前記流体特性補正値と相関する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記以前に決定された剛性値が前記センサアセンブリの経験的分析およびコンピュータモデルのうちの少なくとも1つを使用することによって、前記流体特性補正値と相関させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以前に決定された剛性対流体特性の関係を使用することによって、前記流体特性補正値を前記現在の剛性値と相関させることをさらに含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記流体特性値が質量流量値、密度値、時間遅延値、位相差値、共振周波数値、および振動周期値のうちの1つである、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記流体特性補正値がパーセンテージ誤差値である、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記現在の剛性値がモード関係の一部であり、前記モード関係が2つの振動モードの特性間の関係である、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される実施形態は、流体特性測定に関し、より詳細には、流体特性測定を補償するために剛性を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コリオリ質量流量計、液体密度計、気体密度計、液体粘度計、気体/液体比重計、気体/液体相対密度計、および気体分子量計などの振動計が一般に知られており、流体の特性を測定するために使用される。一般に、振動計は、センサアセンブリとメータ電子機器とを備える。センサアセンブリ内の材料は、流動していることも、静止していることもある。振動計を使用してセンサアセンブリ内の材料の質量流量、密度、または他の特性を測定することができる。
【0003】
材料は、振動計の入口側に接続されたパイプラインから振動計に流入し、測定導管を通って導かれ、振動計の出口側を通って振動計を出る。パイプラインは、フランジ荷重と呼ばれる力を振動計の入口および出口に及ぼすことがあり、これによって、センサアセンブリの剛性が影響を受けることがある。動作中、振動システムの固有振動モードは、測定導管と測定導管内を流れる材料との合計質量によって部分的に定義される。
【0004】
振動計を通る流れがない場合、測定導管に印加される駆動力は、測定導管に沿ったすべて点を、同一の位相または小さな「ゼロオフセット」で振動させ、このゼロオフセットは、ゼロ流量で測定される時間遅延である。材料が振動計を通って流れ始めると、コリオリの力によって、測定導管に沿った各点が異なる位相を有するようになる。例えば、振動計の入口端部の位相は、中央ドライバ位置の位相よりも遅れ、一方、出口の位相は、中央ドライバ位置の位相よりも進む。測定導管上のピックオフは、測定導管の動きを表す正弦波信号を生成する。ピックオフから出力された信号は、ピックオフ間の時間遅延を決定するために処理される。2つ以上のピックオフ間の時間遅延は、測定導管を流れる材料の質量流量に比例する。ドライバに接続されたメータ電子機器は、ドライバを動作させるための駆動信号を生成し、ピックオフから受信した信号から材料の質量流量および他の特性を決定する。
【0005】
質量流量および他の特性は、温度測定値、圧力測定値、および/またはセンサアセンブリにかかるフランジ荷重の推定値を使用することによって補正されることがある。例えば、質量流量は、管、ケース、および流体の温度値に定数を乗算し、合計し、次いで未補正質量流量値を乗算する質量流量方程式を用いて計算することができる。しかしながら、これには、温度および圧力センサが必要であり、質量流量測定に影響を与える可能性があるフランジ荷重などの他の条件を考慮していない場合がある。同様の問題が、他の流体特性と同様に、密度の測定にも影響を与えることがある。したがって、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器が提供される。一実施形態によると、メータ電子機器は、センサアセンブリに通信可能に結合し、センサアセンブリからセンサ信号を受信するように構成されたインターフェースと、インターフェースに通信可能に結合された処理システムとを備える。処理システムは、センサ信号に基づいて流体特性値を決定し、流体特性値を流体特性補正値で補正するように構成され、流体特性補正値は、センサアセンブリの現在の剛性値と相関する。
【0007】
剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための方法が提供される。一実施形態によると、本方法は、流体を含むセンサアセンブリによって提供されるセンサ信号に基づいて流体の流体特性値を決定することと、流体特性値を流体特性補正値で補正することとを含み、流体特性補正値は、センサアセンブリの現在の剛性値と相関する。
【0008】
[態様]
一態様によると、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器(20)は、センサアセンブリ(10)に通信可能に結合し、センサアセンブリ(10)からセンサ信号を受信するように構成されたインターフェース(601)と、インターフェース(601)に通信可能に結合された処理システム(602)とを備える。処理システム(602)は、センサ信号に基づいて流体特性値を決定し、流体特性値を流体特性補正値で補正するように構成され、流体特性補正値は、センサアセンブリの現在の剛性値と相関する。
【0009】
好ましくは、処理システム(602)は、センサアセンブリ(10)の現在の剛性値を決定するようにさらに構成される。
【0010】
好ましくは、処理システム(602)は、センサアセンブリの以前に決定された剛性値を使用して、現在の剛性値を流体特性補正値と相関させるようにさらに構成される。
【0011】
好ましくは、以前に決定された剛性値は、流体特性補正値と相関する。
【0012】
好ましくは、以前に決定された剛性値は、センサアセンブリの経験的分析およびコンピュータモデルのうちの少なくとも1つを使用することによって、流体特性補正値と相関させる。
【0013】
好ましくは、流体特性補正値は、以前に決定された剛性対流体特性の関係を使用することによって、現在の剛性値と相関させる。
【0014】
好ましくは、流体特性値は、質量流量値、密度値、時間遅延値、位相差値、共振周波数値、および振動周期値のうちの1つである。
【0015】
好ましくは、流体特性補正値はパーセント誤差値である。
【0016】
好ましくは、現在の剛性値は、モード関係の一部であり、モード関係は、2つの振動モードの特性間の関係である。
【0017】
一態様によると、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための方法は、流体を含むセンサアセンブリによって提供されるセンサ信号に基づいて流体の流体特性値を決定することと、流体特性値を流体特性補正値で補正することとを含み、流体特性補正値は、センサアセンブリの現在の剛性値と相関する。
【0018】
好ましくは、本方法は、センサアセンブリの現在の剛性値を決定することをさらに含む。
【0019】
好ましくは、本方法は、センサアセンブリの以前に決定された剛性値を使用して、現在の剛性値を流体特性補正値と相関させることをさらに含む。
【0020】
好ましくは、以前に決定された剛性値は、流体特性補正値と相関する。
【0021】
好ましくは、以前に決定された剛性値は、センサアセンブリの経験的分析およびコンピュータモデルのうちの少なくとも1つを使用することによって、流体特性補正値と相関させる。
【0022】
好ましくは、本方法は、以前に決定された剛性対流体の特性関係を使用することによって、流体特性補正値を現在の剛性値と相関させることをさらに含む。
【0023】
好ましくは、流体特性値は、質量流量値、密度値、時間遅延値、位相差値、共振周波数値、および振動周期値のうちの1つである。
【0024】
好ましくは、流体特性補正値はパーセント誤差値である。
【0025】
好ましくは、現在の剛性値は、モード関係の一部であり、モード関係は、2つの振動モードの特性間の関係である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
すべて図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
図1】剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための振動計5である。
図2】メータ電子機器20のブロック図表現を含む、振動計5のブロック図である。
図3】一実施形態によるノッチフィルタを有する振動計5のブロック図である。
図4A】上述した導管130、130’などの導管の振動モードを示すための導管のワイヤライン図である。
図4B】上述した導管130、130’などの導管の振動モードを示すための導管のワイヤライン図である。
図5A】誤差値と剛性値との間の相関関係を示すグラフである。
図5B】誤差値と剛性値との間の相関関係を示すグラフである。
図6】流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器20である。
図7】剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための方法700である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図7および以下の説明は、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための実施形態の最良の形態をどのように作成および使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様は、簡略化または省略されている。当業者は、本明細書の範囲内にあるこれらの例からの変形形態を理解するであろう。当業者は、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償する複数の変形形態を形成することができることを理解するであろう。結果として、以下に記載される実施形態は、以下に記載される特定の例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ限定される。
【0028】
図1は、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための振動計5を示す。図1に示すように、振動計5は、センサアセンブリ10とメータ電子機器20とを備える。センサアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量および密度に応答する。メータ電子機器20は、リード線100を介してセンサアセンブリ10に接続され、ポート26を介して密度、質量流量、および温度情報、ならびに他の情報を提供する。
【0029】
センサアセンブリ10は、一対のマニホールド150および150’、フランジネック110および110’を有するフランジ103および103’、一対の平行な導管130および130’、ドライバ180、抵抗温度検出器(RTD)190、ならびに一対のピックオフセンサ170lおよび170rを含む。導管130および130’は、2つの本質的に真っ直ぐな入口区間131、131’および出口区間134、134’を有し、これらは、導管取付けブロック120および120’において互いに向かって収束する。導管130、130’は、その長さに沿って2つの対称的な位置で曲がり、その長さ全体にわたって本質的に平行である。ブレースバー140および140’は、軸WおよびW’を規定する役割を果たし、各導管130、130’はこれらの軸を中心に振動する。導管130、130’の区間131、131’および134、134’は、導管取付けブロック120および120’に固定的に取り付けられ、これらのブロックは、マニホールド150および150’に固定的に取り付けられている。これにより、センサアセンブリ10を通る連続的な閉じた材料経路が提供される。
【0030】
孔102および102’を有するフランジ103および103’が、入口端部104および出口端部104’を介して、測定されているプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ103のオリフィス101を通ってメータの入口端部104に入り、マニホールド150を通って、表面121を有する導管取付けブロック120に導かれる。マニホールド150内で、材料は分割され、導管130、130’を通って送られる。導管130、130’を出ると、プロセス材料は、表面121’を有するブロック120’およびマニホールド150’内で単一の流れに再結合され、その後、孔102’を有するフランジ103’によってプロセスライン(図示せず)に接続された出口端部104’に送られる。
【0031】
導管130、130’は、それぞれ曲げ軸W-WおよびW’-W’に関して実質的に同じ質量分布、慣性モーメントおよびヤング率を有するように選択され、導管取付けブロック120、120’に適切に取り付けられている。これらの曲げ軸は、ブレースバー140、140’を貫通する。導管のヤング率が温度とともに変化し、この変化が流量および密度の計算に影響を与えることから、RTD190を導管130’に取り付けて、導管130’の温度を連続的に測定する。導管130’の温度、したがって、RTD190を通過する所与の電流に対してRTD190の両端に現れる電圧は、導管130’を通過する材料の温度によって支配される。RTD190の両端に現れる温度依存性電圧は、導管温度の変化に起因する導管130、130’の弾性率の変化を補償するために、メータ電子機器20によって周知の方法で使用される。RTD190は、RTD信号195を運ぶリード線によってメータ電子機器20に接続されている。
【0032】
導管130、130’は両方とも、それぞれの曲げ軸WおよびW’を中心として反対方向に、流量計の第1の位相外れ曲げモードと呼ばれるモードで、ドライバ180によって駆動される。このドライバ180は、導管130’に取り付けられた磁石、および導管130に取り付けられ、両方の導管130、130’を振動させるための交流電流が流される対向コイルなど、多くの周知の装置のうちのいずれか1つを備えることができる。適切な駆動信号185が、メータ電子機器20によってリード線を介してドライバ180に印加される。
【0033】
メータ電子機器20は、リード線上のRTD信号195と、左右のセンサ信号165l、165rをそれぞれ運ぶリード線100上に現れるセンサ信号165とを受信する。メータ電子機器20は、ドライバ180へのリード線上に現れる駆動信号185を生成し、導管130、130’を振動させる。メータ電子機器20は、左右のセンサ信号165l、165rおよびRTD信号195を処理して、センサアセンブリ10を通過する材料の質量流量および密度を計算する。この情報は、他の情報とともに、メータ電子機器20によって経路26上に信号として印加される。メータ電子機器20のより詳細な説明は以下の通りである。
【0034】
図2は、メータ電子機器20のブロック図表現を含む、振動計5のブロック図を示す。図2に示すように、メータ電子機器20は、センサアセンブリ10に通信可能に結合されている。図1を参照して前述したように、センサアセンブリ10は、左右のピックオフセンサ170l、170rと、ドライバ180と、RTD190とを含み、これらは、通信チャネル112を介して一組のリード線100を介してメータ電子機器20に通信可能に結合されている。
【0035】
メータ電子機器20は、リード線100を介して駆動信号185を供給する。より具体的には、メータ電子機器20は、センサアセンブリ10内のドライバ180に駆動信号185を供給する。加えて、左センサ信号165lおよび右センサ信号165rを含むセンサ信号165が、センサアセンブリ10によって供給される。より具体的には、図示する実施形態では、センサ信号165は、センサアセンブリ10内の左右のピックオフセンサ170l、170rによって供給される。理解できるように、センサ信号165は、通信チャネル112を介してメータ電子機器20にそれぞれ供給される。
【0036】
メータ電子機器20は、1つまたは複数の信号プロセッサ220および1つまたは複数のメモリ230に通信可能に結合されたプロセッサ210を含む。プロセッサ210は、ユーザインターフェース30にも通信可能に結合されている。プロセッサ210は、ポート26上の通信ポートを介してホストと通信可能に結合され、電力ポート250を介して電力を受け取る。プロセッサ210は、マイクロプロセッサであってもよいが、任意の適切なプロセッサが用いられてもよい。例えば、プロセッサ210は、マルチコアプロセッサなどのサブプロセッサ、シリアル通信ポート、周辺インターフェース(例えば、シリアル周辺インターフェース)、オンチップメモリ、I/Oポートなどで構成されてもよい。これらおよび他の実施形態では、プロセッサ210は、デジタル化された信号などの、受信され処理された信号に対して演算を実行するように構成される。
【0037】
プロセッサ210は、1つまたは複数の信号プロセッサ220からデジタル化されたセンサ信号を受信することができる。プロセッサ210は、位相差、センサアセンブリ10内の流体の特性などの情報を提供するようにも構成されている。プロセッサ210は、通信ポートを介してホストに情報を提供することができる。プロセッサ210はまた、1つまたは複数のメモリ230と通信して、1つまたは複数のメモリ230の情報を受信および/または記憶するように構成されてもよい。例えば、プロセッサ210は、1つまたは複数のメモリ230から較正係数および/またはセンサアセンブリゼロ(例えば、流量がゼロの場合の位相差)を受信することができる。較正係数および/またはセンサアセンブリゼロのそれぞれは、振動計5および/またはセンサアセンブリ10にそれぞれ関連付けられていてもよい。プロセッサ210は、較正係数を使用して、1つまたは複数の信号プロセッサ220から受信したデジタル化されたセンサ信号を処理することができる。
【0038】
1つまたは複数の信号プロセッサ220は、エンコーダ/デコーダ(CODEC)222およびアナログ-デジタル変換器(ADC)226で構成されているものとして示されている。1つまたは複数の信号プロセッサ220は、アナログ信号を調整し、調整されたアナログ信号をデジタル化し、および/またはデジタル化された信号を提供することができる。CODEC222は、左右のピックオフセンサ170l、170rからセンサ信号165を受信するように構成されている。CODEC222は、駆動信号185をドライバ180に提供するようにも構成されている。代替の実施形態では、より多くのまたはより少ない信号プロセッサが用いられてもよい。
【0039】
図示するように、センサ信号165は、信号調整器240を介してCODEC222に供給される。駆動信号185は、信号調整器240を介してドライバ180に供給される。信号調整器240は、単一のブロックとして示されているが、信号調整器240は、2つ以上のオペアンプ、ローパスフィルタなどのフィルタ、電圧-電流増幅器などの信号調整部品で構成されていてもよい。例えば、センサ信号165は、第1の増幅器によって増幅されてもよく、駆動信号185は、電圧-電流増幅器によって増幅されてもよい。増幅により、センサ信号165の大きさをCODEC222のフルスケール範囲に確実に近づけることができる。
【0040】
図示する実施形態では、1つまたは複数のメモリ230は、読み取り専用メモリ(ROM)232、ランダムアクセスメモリ(RAM)234、および強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM(登録商標))236で構成されている。しかしながら、代替の実施形態では、1つまたは複数のメモリ230は、より多くのまたはより少ないメモリで構成されてもよい。加えてまたは代替として、1つまたは複数のメモリ230は、異なるタイプのメモリ(例えば、揮発性、不揮発性など)で構成されていてもよい。例えば、FRAM236の代わりに、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)などの異なるタイプの不揮発性メモリが用いられてもよい。1つまたは複数のメモリ230は、駆動信号またはセンサ信号、質量流量または密度測定値などのプロセスデータを記憶するように構成されたストレージであってもよい。
【0041】
質量流量m’値は、次式に従って決定することができる。
【数1】
時間遅延Δt項は、ピックオフセンサ信号間に存在する時間遅延を含む動作上導出された(すなわち、測定された)時間遅延値を含み、時間遅延は、振動計5を通る質量流量に関連するコリオリ効果などによるものである。時間遅延Δtの測定により、最終的に振動計5を流れる際の流動材料の質量流量m’値が決定される。ゼロ流量のΔt0項は、ゼロ流量較正定数における時間遅延/位相差を含む。ゼロ流量のΔt0項は、典型的には工場で決定され、振動計5にプログラムされている。ゼロ流量での時間遅延/位相差のΔt0項は、センサアセンブリに変化が生じない限り、流量条件が変化している場合であっても変化しなくてもよい。振動計を流れる材料の質量流量は、測定された時間遅延(または位相差/周波数)に流量較正係数FCFを乗じることによって決定される。流量較正係数FCFは、流量計の物理的な剛性に比例する。
【0042】
密度測定値ρに関して、各導管130、130’が振動する共振周波数は、導管130、130’のばね定数の平方根を、材料を有する導管130、130’の総質量で除した関数であってもよい。材料を有する導管130、130’の総質量は、導管130、130’の質量に導管130、130’内部の材料の質量を加えたものであってもよい。導管130、130’内の材料の質量は、材料の密度に正比例する。したがって、この材料の密度は、材料を含む導管130、130’が振動する周期の二乗に導管130、130’のばね定数を乗じたものに比例してもよい。したがって、本明細書では振動周期と呼ばれる、導管130、130’が振動する周期を決定し、その結果を適切にスケーリングすることによって、導管130、130’に含まれる材料の密度の正確な測定値を得ることができる。メータ電子機器20は、センサ信号165および/または駆動信号185を用いて、周期または共振周波数を決定することができる。導管130、130’は、2つ以上の振動モードで振動してもよい。
【0043】
上述の導管130、130’などの導管の剛性の変化に起因して、質量流量m’の測定値および密度ρの測定値は、材料の質量流量m’および密度ρが一定のままである場合であっても、経時的に変化することがある。例えば、導管の温度が上昇すると、それに応じて導管の剛性が増加する可能性がある。この剛性の増加により、左右のピックオフセンサによって供給されるセンサ信号間の時間遅延Δt(または位相差)が変化する可能性がある。この剛性の増加により、導管の共振周波数も変化する可能性がある。
【0044】
上記の式[1]から理解できるように、質量流量m’は、左右のセンサ信号間の時間遅延Δtの測定値(または位相差)を補償することによって、または質量流量m’の測定値を補償することによって、より正確に測定することができる。同様に、密度ρは、例えば、センサ信号のうちの1つの共振周波数測定値(または振動周期値)を補償することによって、または密度ρの測定値を補償することによって、より正確に測定することができる。前述では、時間遅延Δt、位相差、質量流量m’、共振周波数、振動周期、および密度を測定することについて説明したが、例えば、粘度、流速などの他の流体特性の測定値を補償することができる。
【0045】
流体特性の測定値は、センサアセンブリの剛性を測定することによって補償することができる。センサアセンブリの剛性は、予め流体特性と相関させることができる。例えば、センサアセンブリの導管などのセンサアセンブリの1つまたは複数の剛性値は、流体特性と関連付けられた1つまたは複数の補正値と予め相関させることができる。より具体的な例では、図5Aおよび図5Bを参照して以下でより詳細に説明するように、複数の剛性値は、複数の質量流量m’誤差値または密度ρ誤差値と予め相関させることができる。相関は、センサアセンブリの現在の剛性値を決定することによって流体特性の測定値を補償するために使用することができ、現在の剛性値は、任意の適切な技術によって決定することができる。
【0046】
1つの例示的な技術では、センサアセンブリの現在の剛性値は、流体特性値を決定するために使用されるセンサ信号を使用して決定されてもよい。例えば、密度値および現在の剛性値ならびに剛性値を決定するために、センサ信号が使用されてもよい。これは、共振周波数成分およびいくつかの非共振周波数成分を有する駆動信号を供給することによって達成することができる。センサアセンブリは、これらの共振および非共振周波数に応答して振動することができる。したがって、ピックオフセンサは、駆動信号の共振および非共振成分にそれぞれ対応する共振および非共振周波数成分で構成されたセンサ信号を提供することができる。これらの共振および非共振成分は、図3を参照して以下でより詳細に説明されるように、処理システムによってフィルタされ、流体特性値(例えば、密度値)および現在の剛性値を決定することができる。
【0047】
図3は、一実施形態によるノッチフィルタを有する振動計5のブロック図を示す。図2に示すように、振動計5は、センサアセンブリ10と、センサアセンブリ10に通信可能に結合されたメータ電子機器20と、を含む。メータ電子機器20は、センサアセンブリ10にマルチトーン駆動信号を供給するように構成されている。センサアセンブリ10は、メータ電子機器20にセンサ信号を供給する。メータ電子機器20は、センサアセンブリ10に通信可能に結合された駆動回路322および復調フィルタ324を含む。復調フィルタ324は、FRF推定ユニット325に通信可能に結合されている。ノッチフィルタ326は、駆動回路322ならびに流量および密度測定モジュール327に通信可能に結合されている。ノッチフィルタ信号は、流量および密度測定モジュール327に供給され、振動計5において流体の流量および/または密度を決定する。
【0048】
駆動回路322は、ノッチフィルタ326からセンサ信号の共振成分を受信する。駆動回路322は、センサアセンブリ10のためのマルチトーン駆動信号を生成するように構成されている。マルチトーン駆動信号は、駆動トーンとテストトーンとで構成されている。駆動トーンは、ノッチフィルタ326によって提供される共振成分に基づく。例えば、駆動回路322は、共振成分を受信し、共振成分を増幅することによって駆動トーンを生成するフィードバック回路を含むことができる。他の方法が用いられてもよい。駆動回路322は、共振周波数から離間した所定の周波数でテストトーンを生成することもできる。
【0049】
復調フィルタ324は、センサアセンブリ10からセンサ信号を受信し、センサ信号内に存在する可能性がある相互変調歪み信号をフィルタ除去する。例えば、マルチトーン駆動信号中の駆動トーンおよびテストトーンは、センサアセンブリ10によって提供されるセンサ信号中に相互変調ひずみ信号を誘発する可能性がある。相互変調ひずみ信号をフィルタ除去するために、復調フィルタ324は、駆動トーンおよびテストトーンの周波数を含む復調ウィンドウまたはパスバンドを含むことができる。したがって、復調フィルタ324は、相互変調歪み信号がセンサアセンブリ10のメータ検証を損なうことを防止しながら、テストトーンに対応する共振成分および非共振成分で構成されたセンサ信号を提供する。メータ検証は、FRF推定ユニット325を用いて行われ、FRF推定ユニットは、テストトーンに対応する成分とテストトーンとを比較して、センサアセンブリの周波数応答を特徴付ける。
【0050】
ノッチフィルタ326は、メータ検証中に使用される。したがって、通常の流量および密度の測定中、ノッチフィルタ326は、スイッチインされなくてもよい。通常の動作ではかなり大きな周波数変化があるため、ノッチフィルタ326の係数を頻繁に計算して更新する必要がある場合があり、その結果、追加の計算負荷および望ましくない過渡現象が生じる可能性がある。代わりに、メータ検証を利用する場合、駆動トーンをサンプリングして搬送周波数を決定し、決定された搬送周波数に基づいてノッチフィルタ326の係数を計算する。次いで、ノッチフィルタ326をスイッチインし、テストトーンを所望の振幅まで増加させる。メータ検証中、搬送周波数がモニタされてもよく、決定された搬送周波数(上述したように駆動トーンのサンプリング中に決定される)とメータ検証中の搬送周波数との差がしきい値よりも大きい場合、メータ検証は、例えば、ノッチフィルタ326をスイッチアウトして、テストトーンをオフにすることによって終了させることができる。
【0051】
センサ信号成分をフィルタ除去するために、ノッチフィルタ326は、テストトーンの周波数またはその付近を中心とする複数の阻止帯域を含む。センサ信号成分は、阻止帯域の周波数またはその付近に集中しているため、減衰またはフィルタ除去される。共振信号は、ノッチフィルタ326の通過帯域内にあるため、通過する。しかしながら、共振信号は、ノッチフィルタに起因して位相がシフトすることがある。この位相シフトは、駆動フィードバックの全体的な位相遅延を増加させる可能性があり、駆動トーンを生成する駆動アルゴリズムまたは回路の全体的な複雑さを増加させる可能性がある一方で、メータ検証のためにノッチフィルタ326をスイッチインしたときの位相シフトも補償しなければならない。
【0052】
あるいは、剛性値は、流体特性測定のためにセンサ信号が提供される前に決定されてもよい。例えば、センサアセンブリで材料を測定する前に、メータ検証ルーチンを実行することができる。これは、センサ信号の共振成分をフィルタリング除去することを必要としない場合がある。
【0053】
上記の技術のいずれにおいても、剛性値は、1つまたは複数の振動モードを使用して決定することができる。すなわち、剛性値は、特定の振動モードまたは2つ以上の振動モードの組合せと関連付けられてもよい。以下、図4Aおよび図4Bを参照して様々な振動モードについて説明する。
【0054】
[振動モード]
図4Aおよび図4Bは、上述した導管130、130’などの導管の振動モードを示すための導管のワイヤライン図を示す。図4Aおよび図4Bに示すように、導管は、ワイヤライン410によって描かれている。ワイヤライン410は、左導管および右導管で構成されてもよいU字形導管を表すU字形を有する。図4Aおよび図4Bに示すように、ワイヤライン410は、左静止ワイヤライン412aおよび右静止ワイヤライン412bを含む。図4Aおよび図4Bには、ワイヤライン410の振動ノードと同じ位置にある曲げ軸W-W、W’-W’も示されている。図4Aでは、ワイヤライン410は、左1次曲げモードワイヤライン414aおよび右1次曲げモードワイヤライン414bも含む。また、左2次曲げモードワイヤライン416aおよび右2次曲げモードワイヤライン416bも示されている。図4Bでは、ワイヤライン410は、左1次ねじれモード418aおよび右1次ねじれモード418bを含む。
【0055】
左右の1次曲げモードワイヤライン414a、414bは、180度位相がずれていることが矢印によって示されている。すなわち、これらのワイヤラインは、反対方向に移動する。これは、導管の不均衡な変位に起因する振動計の振動を低減するなど、様々な点で有益である場合がある。左右の1次曲げモードワイヤライン414a、414bはまた、曲げ軸W-W、W-W’と同じ位置にある単一のノードを有するものとして示されている。左右の2次曲げモードワイヤライン416a、416bはまた、互いに180°位相がずれていることが矢印によって示されている。しかしながら、左右の2次曲げモードワイヤライン416a、416bは、2つの振動ノードを有し、したがって用語「2次」を有する。左右の2次曲げモードワイヤライン416a、416bの固有振動数は、左右の1次曲げモードワイヤライン414a、414bの固有振動数よりも高くてもよい。左1次ねじれモード418aおよび右1次ねじれモード418bは、それぞれの長さに沿って左右の静止ワイヤライン412a、412bに対して非対称変位を有するものとして示されている。矢印は、左右の1次ねじれモード418a、418bが互いに位相がずれていることを示す。
【0056】
ワイヤライン410によって示される振動モードは、別個のものとして示されているが、ワイヤライン410によってモデル化された導管上に重ね合わせることができる。すなわち、ワイヤライン410によってモデル化された導管は、複数の振動モードを有することができる。例えば、導管のうちの左側の導管は、1次曲げモード、2次曲げモード、およびねじれモードを有することができる。したがって、導管は、1次位相外れ曲げモード、2次位相外れ曲げモード、および1次ねじれモードを有することができる。導管は、高次曲げモード(例えば、第3、第4、第5など)、同相曲げモード、および高次ねじれモード(例えば、第2、第3、第4など)などの追加のモードを有することができる。
【0057】
上記が示すように、振動モードは、形状、振幅、および固有振動数を有することができる。振動モードの形状は、センサ信号165などのセンサ信号を互いに比較することによって検出することができる。左ピックオフセンサ170lによって提供されるセンサ信号と右ピックオフセンサ170rによって提供されるセンサ信号との間の位相差は、管が曲げモードまたは他のモードで振動する際に振動計を通る流れに起因するコリオリの力によって引き起こされるねじれモード励振を示すことができ、導管130、130’の間の位相差に比例してもよい。振動モードの振幅は、センサ信号165の振幅に比例してもよい。
【0058】
振動モードの振動数は、センサ信号165および/または駆動信号185から決定することができる。より具体的には、各振動モードが固有モード振動数を有することに起因して、センサ信号165は、導管130、130’の振動モードに対応する成分を有することができる。したがって、フィルタリングを使用して成分を分離し、各成分の周波数を決定することができる。各成分の周波数は、振動モードの振動数に対応する。振動モードの振動数は、個々にモード振動数と呼ばれることがある。すなわち、モード振動数は、振動モードの固有振動数であり、それぞれが、センサ信号165および/または駆動信号185の成分に対応する。
【0059】
上述したように、振動モードを使用して剛性値を決定することができる。例えば、1次曲げモードを使用して剛性値を決定することができる。1次曲げモードに関連付けられたセンサ信号の成分(すなわち、曲げモード応答成分)を、駆動信号の対応する非共振成分とともに使用して、剛性値を決定することができる。しかしながら、2つ以上のモードを使用して剛性値を決定してもよい。
【0060】
例えば、1次ねじれモードに関連付けられたセンサ信号の成分を曲げモード応答成分とともに使用して、現在の剛性値を決定することができる。これは、時間遅延Δtの値が、質量流量m’を決定するために使用される両方のモードによって影響を受ける可能性があるため、有用である場合がある。したがって、例えば、1次曲げモード剛性と1次ねじりモード剛性との比を使用して質量流量m’の測定値を補償することは、1次曲げモード剛性のみを用いて補償する質量流量の測定値よりも正確である可能性がある。
【0061】
加えてまたは代替として、振動モードのうちの1つの剛性値を、振動モードのうちの別のものの振動数とともに使用して、流体測定値を補償することができる。例えば、剛性値は、1次曲げモードから決定することができ、振動数値は、1次ねじれモードから決定することができる。これは、ねじれモードを使用して剛性を決定すると、計算要件などの点で法外に費用がかかる可能性があるため、有益である場合がある。
【0062】
ピックオフセンサによって供給されるセンサ信号は、モードフィルタに提供され、1次曲げモード剛性値、1次ねじりモード共振周波数などを決定することができる。より具体的には、モードフィルタは、モード形状に関連付けられたセンサ信号を強調するまたは強調しないことがあり、それによって、モード形状に関連付けられた振動数、振幅、および/または位相を定量化することが可能になる。例えば、モードフィルタは、LPOセンサ信号が0.5で重み付けされ、RPOセンサ信号が0.5で重み付けされた加重平均フィルタであってもよい。重み付けされたLPOおよびRPOセンサ信号は、加算されてもよい。LPOおよびRPOセンサ信号の加重平均信号である結果として得られる信号は、1次の位相外れ曲げモードが同相のLPOおよびRPOセンサ信号を誘発するため、1次の位相外れ曲げモードを強調する傾向がある。1次ねじれモードは、位相が180°ずれたLPOおよびRPOセンサ信号を誘発するため、結果として得られる信号は、1次ねじれモードを強調しない傾向もある。
【0063】
対照的に、1次の位相ずれねじれモードを強調するために、LPOまたはRPOセンサ信号のうちの1つは、加算される前に180°位相シフトされてもよい。一例として、LPOセンサ信号およびRPOセンサ信号にそれぞれ0.5を乗じて、重み付けされたLPOセンサ信号およびRPOセンサ信号を提供することができる。重み付けされたLPOセンサ信号は、180°位相シフトされてもよい。この位相シフトされ、重み付けされたLPOセンサ信号が重み付けされたRPOセンサ信号と加算されてもよい。相対的に位相シフトされたLPOおよびRPOセンサ信号の加重平均信号である、結果として得られる信号は、理解できるように、1次位相ずれねじれモードを強調し、1次位相ずれ曲げモードを強調しない傾向がある。
【0064】
したがって、例えば、ねじれモード振動数を決定するために、相対的に位相シフトされたLPOおよびRPOセンサ信号の加重平均フィルタリングを使用して、相対的に位相シフトされたLPOおよびRPOセンサ信号の加重平均信号を提供することができる。相対的に位相シフトされたLPOおよびRPOセンサ信号の加重平均信号の周波数を測定して、1次ねじれモード振動数を決定することができる。1次曲げモードの剛性は、上述したように決定することができる。例えば、LPOおよびRPOセンサ信号の加重平均は、図3を参照して説明した復調フィルタ324に提供されてもよい。
【0065】
前述の議論から理解できるように、振動モードには、関係がある場合がある。例えば、本明細書でモード関係と呼ばれる2つの振動モード間の関係は、2つの振動モードの特性であってもよい2つの振動モードの位相、振幅、および/または振動数に基づくことができる。一例では、モード関係は、左右の2次曲げモードワイヤライン416a、416bの振動数と左右の1次曲げモードワイヤライン414a、414bの振動数との差であってもよい。モード関係は、モード差、比、または任意の他の適切な値として定量化することができる。例えば、モード関係は、左右の2次曲げモードワイヤライン416a、416bの時間周期と、左右の1次曲げモードワイヤライン414a、414bの時間周期との差であってもよい。
【0066】
現在の剛性値は、単独で、または、例えば、第1の位相外れねじれモード振動数と第1の位相外れ曲げモードの剛性との間の関係の一部として使用されてもよく、現在の剛性値は、第1の位相外れ曲げモードの剛性である。すなわち、現在の剛性値は、1次ねじれモード振動数と1次位相外れ曲げモード剛性との比、差などのモード関係の一部であってもよい。以下は、1次位相外れ曲げモードに関連付けられてもよく、モード関係の一部であってもなくてもよい現在の剛性値が、1つまたは複数の剛性値と1つまたは複数の流体特性値との間の以前に決定された相関関係とともに使用されて、流体測定値を補償することを示す。
【0067】
[剛性と流体特性との相関関係]
図5Aおよび図5Bは、誤差値と剛性値との間の相関関係を示すグラフである。図5Aに示すように、誤差値は質量流量誤差値であり、図5Bでは、誤差値は密度誤差値である。図5Aおよび図5Bのグラフは、それぞれ、質量流量誤差グラフ500Aおよび密度誤差グラフ500Bである。質量流量誤差グラフ500Aおよび密度誤差グラフ500Bは、剛性シフト軸510A、510Bと、質量流量誤差軸520Aおよび密度誤差軸520Bとをそれぞれ含み、これらは無単位であり、パーセンテージとして表される。パーセンテージが示されているが、パーセンテージでない値など、任意の適切な値および単位が用いられてもよい。
【0068】
図示するように、剛性シフトは、駆動モード剛性のものであってもよい。すなわち、剛性値は、図4Aを参照して上述した駆動モードまたは1次位相外れ曲げモードを使用して決定することができる。しかしながら、任意の適切な振動モードまたは剛性が用いられてもよい。また、パーセンテージは、例えば、公称温度、流体圧力、およびフランジ荷重などの、公称条件で決定される値に対応するものであってもよい。公称条件は、振動計の較正時のものであってもよい。
【0069】
例えば、図5Aおよび図5Bの剛性シフトは、式[2]によって定義することができる。
【数2】

式[2]において、Stiffness Shiftは、剛性シフトであり、StiffnessMeasuredは、例えばプロセス条件における振動計5の剛性であり、StiffnessPredeterminedは、振動計の所定の剛性である。所定の剛性は、公称条件での較正中に決定することができる。剛性シフトは、剛性シフト関係において、パーセンテージ(例えば、式[2]の結果に100を掛けた場合)、比、分数、または小数倍によって表すことができる。
【0070】
質量流量誤差グラフ500Aおよび密度誤差グラフ500Bはまた、両方とも剛性シフト軸510A、510Bに沿って約-15%~約7%の範囲にある質量流量誤差プロット530Aおよび密度誤差プロット530Bをそれぞれ含む。質量流量誤差プロット530Aは、質量流量誤差軸520Aに沿って約15%~-6%の範囲にある。密度誤差プロット530Bは、密度誤差軸520Bに沿って約0.9%~約-0.4%の範囲にある。しかしながら、他の流体特性軸についての任意の適切な範囲、単位、および比率が用いられてもよい。質量流量誤差プロット530Aおよび密度誤差プロット530Bは、剛性シフト値として示される様々な剛性値に対して決定された質量流量誤差値および密度誤差値の線形補間によって決定することができる。すなわち、質量流量誤差プロット530Aおよび密度誤差プロット530Bは、センサアセンブリの流体特性値と剛性値との間の相関関係である。
【0071】
流体特性値と剛性値との間の相関関係は、例えば線形関係などの剛性対流体特性の関係であってもよい。例えば、流体特性値と剛性値との間の相関関係は、勾配および切片を有する線形関係によって表すことができ、線形関係が流体特性値と剛性値との間にある。例えば、線形関係は、式[3]によって記述することができる。
【数3】

ここで、ErrorFMは流体特性誤差(例えば、質量流量誤差、濃度誤差、または粘度)であり、Aは線形関係の定数勾配であり、Stiffness Shiftは剛性シフトである。Stiffness Shiftは、式[2]を使用して決定することができ、Bは、この関係の定数切片である。一実施形態では、流体特性誤差は、例えば、パーセンテージ(例えば、式[3]の結果に100を掛けた場合)、比、分数、または小数で表すことができる。
【0072】
図5Aおよび図5Bに示すように、流体特性測定値は、離散プロットとして示される質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bによって示される。質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bは、例えば、センサアセンブリの温度、圧力、および/またはフランジ荷重を変化させる効果をシミュレートする有限要素法(FEM)を介してシミュレートすることによって決定されてもよい。質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bはまた、剛性値が質量流量および密度の測定値と同時に測定される経験的方法によって決定されてもよい。
【0073】
質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bは、公称質量流量値および密度値にそれぞれ対応するものであってもよい。すなわち、センサアセンブリの剛性を変化させる様々なプロセス条件下で決定された質量流量値および密度値である。質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bは、公称条件で決定された質量流量値および密度値を公称条件で決定された質量流量値および密度値で減算し、その結果を公称条件で決定された質量流量値および密度値でそれぞれ除算することによって決定することができる。
【0074】
上述したように、質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bとそれらの対応する剛性値との間には線形関係がある。質量流量誤差プロット530Aおよび密度誤差プロット530Bは質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bからの線形補間によってそれぞれ生成されてもよい。しかしながら、任意の適切なプロットが、例えば、外挿、非線形フィッティングの使用など、任意の適切な手段によって生成されてもよい。
【0075】
上記の議論から理解できるように、剛性値は、振動計の剛性を変化させる原因に関係なく、流体特性値と相関させることができる。その結果、以下でより詳細に説明するように、流体特性測定値を不正確にする可能性があるプロセス条件に関係なく流体特性測定値を補償することができる。
【0076】
質量流量誤差プロット530A、密度誤差プロット530B、質量流量誤差値540A、および密度誤差値540Bは、センサアセンブリの1つまたは複数の剛性値と対応する1つまたは複数の流体特性値との間の以前に決定された相関関係であってもよい。例えば、質量流量誤差値540Aを剛性値に関連付けるテーブルが、例えば上述のメータ電子機器20に記憶されていてもよい。同様に、密度誤差値540Bを対応する剛性値に関連付けるテーブルが、上述のメータ電子機器20に記憶されていてもよい。加えてまたは代替として、質量流量誤差プロット530Aおよび密度誤差プロット530Bは、例えば、現在の剛性値から質量流量誤差値または密度誤差値を決定するために使用することができる式の形態で、メータ電子機器に記憶されていてもよい。
【0077】
したがって、プロセス材料がその後センサアセンブリによって測定され、センサアセンブリの現在の剛性値も決定されると、相関関係を使用することによって質量流量測定値および/または密度測定値を補償することができる。例えば、現在の剛性値を、質量流量誤差プロット530Aを表す式に入力して、対応する質量流量誤差値を決定することができ、この質量流量誤差値を使用して、センサアセンブリによって提供されるセンサ信号から決定される質量流量値を補償することができる。
【0078】
したがって、質量流量誤差プロット530A、密度誤差プロット530B、質量流量誤差値540A、および密度誤差値540Bは、1つまたは複数の剛性値を流体特性補正値と相関させる。上述したように、流体特性補正値は、パーセント誤差値である。すなわち、流体特性補正値は、公称値に対する誤差として表される。パーセンテージ誤差値は、質量流量誤差値540Aおよび密度誤差値540Bから直接、または質量流量誤差プロット530Aおよび密度誤差プロット530Bなど、補間によって間接的に決定することができる質量流量誤差値および密度誤差値である。
【0079】
現在の剛性値は、流体特性測定と同時に決定することができ、または以前に決定されていてもよい。すなわち、現在の剛性値は、流体特性測定と同じセンサ信号から決定されてもよく、または流体特性測定の前に決定されてもよい。後者のシナリオでは、現在の剛性値は、センサアセンブリが温度、圧力、およびフランジ荷重などの既知のプロセス条件を受けている間に、センサ信号から決定することができる。これらの値は、例えば、流体特性を測定する際に同じであると仮定することができる。例えば、温度、圧力、および/またはフランジ荷重は、一連の流体特性測定を通して一定であると仮定することができる。
【0080】
質量流量誤差プロット530A、密度誤差プロット530B、質量流量誤差値540A、および/または密度誤差値540Bは、以前に決定された剛性値と流体特性補正値との間の相関関係であってもよい。例えば、現在の剛性値を以前に決定された質量流量誤差プロット530Aの剛性値と比較し、対応する質量流量誤差値を決定することによって、現在の剛性値を質量流量誤差プロット530Aの質量流量誤差値と相関させることができる。流体特性補正値として質量流量誤差値を使用して、上記の式[1]に従って計算された質量流量値を補正することができる。密度誤差プロット530Bを使用して同様の補正を行うことができる。これらおよび他の値は、以下でより詳細に説明するように、流体測定値を補償するためのメータ電子機器20に記憶されてもよい。
【0081】
[流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器]
図6は、流体特性測定値を補償するためのメータ電子機器20を示す。図4に示すように、メータ電子機器20は、インターフェース601および処理システム602を含む。メータ電子機器20は、例えば、センサアセンブリ10などから振動応答を受信する。メータ電子機器20は、センサアセンブリ10を流れる流動材料の流動特性を得るために振動応答を処理する。
【0082】
インターフェース601は、図1および図2に示すピックオフセンサ170l、170rのうちの1つからセンサ信号165を受信することができる。インターフェース601は、任意の様式のフォーマッティング、増幅、バッファリングなどの任意の必要なまたは所望の信号調整を実行することができる。あるいは、信号調整の一部または全部を処理システム602で実行することができる。加えて、インターフェース601は、メータ電子機器20と外部装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェース601は、任意の様式の電子通信、光通信、または無線通信を可能にすることができる。インターフェース601は、振動応答に基づいて情報を提供することができる。インターフェース601は、図2に示すCODEC222などのデジタイザと結合されてもよく、センサ信号はアナログセンサ信号を含む。デジタイザは、アナログセンサ信号をサンプリングしてデジタル化し、デジタル化されたセンサ信号を生成する。
【0083】
処理システム602は、メータ電子機器20の動作を行い、センサアセンブリ10からの流量測定値を処理する。処理システム602は、1つまたは複数の処理ルーチンを実行し、それによって、1つまたは複数の流動特性を生成するために流動測定値を処理する。処理システム602は、インターフェース601に通信可能に結合され、インターフェース601から情報を受信するように構成されている。
【0084】
処理システム602は、汎用コンピュータ、マイクロ処理システム、論理回路、または何らかの他の汎用もしくはカスタマイズされた処理装置を備えることができる。加えてまたは代替として、処理システム602は、複数の処理装置間に分散させることができる。処理システム602は、ストレージシステム604などの任意の様式の一体型または独立型電子ストレージ媒体を含むこともできる。
【0085】
ストレージシステム604は、流量計のパラメータおよびデータ、ソフトウェアルーチン、定数値、ならびに変数値を記憶することができる。一実施形態では、ストレージシステム604は、振動計5の動作ルーチン610および補償ルーチン620などの、処理システム602によって実行されるルーチンを含む。ストレージシステムは、標準偏差、信頼区間などの統計値を記憶することもできる。
【0086】
動作ルーチン610は、流体の流体特性を測定し、上述したセンサアセンブリ10などのセンサアセンブリの現在の剛性値を決定するのに必要な機能を実行することができる。例えば、動作ルーチン610は、LPOセンサ信号とRPOセンサ信号との間の時間遅延を決定し、LPOまたはRPOセンサ信号の周波数の測定などをすることができる。
【0087】
したがって、動作ルーチン610は、時間遅延または位相差、共振周波数などの流体特性値612を決定することができる。流体特性値はまた、質量流量値、密度値などであってもよい。動作ルーチン610は、流体特性値を流体特性値612に記憶することができる。動作ルーチン610は、センサアセンブリの現在の剛性値614を決定することもできる。例えば、動作ルーチン610は、図3を参照して上述したように、現在の剛性値614および流体特性値612を同時に決定することができる。
【0088】
補償ルーチン620は、例えば、現在の剛性値から質量流量誤差値を決定することによって、質量流量値などの流体特性値を補正することができる。すなわち、質量流量誤差値は、流体特性補正値であってもよい。他の補正値が用いられてもよく、パーセンテージ誤差値ではなく単位を持っていてもよい。したがって、補償ルーチン620は、流体特性補正値と現在の剛性値との間の相関関係を使用して、流体特性値を補正することができる。例として、質量流量値は、質量流量誤差値を使用して質量流量値を調整することによって補正されてもよい。
【0089】
処理システム602は、したがって、相関関係630を記憶することができる。図6に示すように、相関関係630は、剛性値632、補正値634、および関係636を含む。相関関係630は、任意の適切な方法で剛性値632と補正値634とを相関させることができる。現在の剛性値は、剛性値632の剛性値または剛性値632から決定された剛性値を使用することによって、記憶されたまたは補正値634から決定された流体特性補正値と相関させることができる。したがって、剛性値632は、所定の剛性値であってもよい。剛性値632は、例えば、1次ねじれモードの剛性と1次曲げモードの振動数との間の関係などの、モード関係の一部であってもよい。現在の剛性値は、例えば、関係636における以前に決定された剛性対流体特性の関係を使用することによって、流体特性補正値と相関させることができる。例示的な剛性対流体特性の関係は、上述した式[3]の剛性シフト対流体特性誤差であってもよいが、任意の適切な剛性対流体特性の関係が用いられてもよい。
【0090】
[方法]
図7は、剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための方法700を示す。図7に示すように、方法700は、ステップ710において、センサ信号に基づいて流体特性値を決定することによって開始する。センサ信号は、上述したセンサアセンブリ10によって提供されてもよいが、任意の適切なセンサアセンブリが用いられてもよい。流体特性値は、質量流量値、密度値、時間遅延または位相差、センサアセンブリの共振周波数などであってもよい。ステップ720において、方法700は、流体特性値を流体特性補正値で補正する。流体特性補正値は、センサアセンブリの現在の剛性値と相関させることができる。
【0091】
方法700は、センサアセンブリの現在の剛性値を決定することもできる。すなわち、方法700は、例えば、センサアセンブリによって提供されるセンサ信号を使用し、現在の剛性値を決定することができる。現在の剛性値は、モード関係の一部であってもよい。加えてまたは代替として、方法700は、流体特性値が決定される前に決定され記憶されたものであるが、それにもかかわらず、センサアセンブリの剛性の正確な測定値である記憶された現在の剛性値を取得することによって、現在の剛性値を決定してもよい。例えば、流体特性値を決定するために流体が測定される直前に、現在の剛性値が、プロセス条件下でセンサアセンブリの剛性値を決定することによって決定されてもよい。その後、温度、圧力などのプロセス条件は一定のままであり、それによって現在の剛性値が正確であることを確実にすることができる。
【0092】
方法700は、センサアセンブリの以前に決定された剛性値を使用して、現在の剛性値を流体特性補正値と相関させることもできる。例えば、方法700は、剛性値632および補正値634から、以前に決定された剛性値および流体特性補正値を読み取るかまたは計算することができる。以前に決定された剛性値と流体特性補正値は、例えば、図5Aおよび図5Bを参照して上述したように、相関していてもよい。現在の剛性値を以前に決定された剛性値と比較して、流体特性補正値を使用して流体特性値を補正することができるかどうかを判断することができる。例えば、現在の剛性値が以前に決定された剛性値の範囲内にある場合、以前に決定された剛性値と相関する流体特性補正値が使用されてもよい。したがって、現在の剛性値は、流体特性補正値と相関している場合がある。
【0093】
上述したように、センサアセンブリの以前に決定された剛性値、流体特性補正値、および以前に決定された剛性値と流体特性補正値との間の相関関係は、ステップ710においてセンサ信号を提供するセンサアセンブリと同じセンサアセンブリ、同一または同様の設計を有する同様のセンサアセンブリなどの経験的分析またはコンピュータモデルを使用することによって決定されてもよい。現在の剛性値は、補正すべき流体特性値を決定するために、流体を測定するセンサアセンブリに対して決定される。以前に決定された剛性値と流体特性補正値との間の相関関係は、値の表、式などによるものであってもよい。
【0094】
上述した振動計5、メータ電子機器20、および方法700は、流体特性測定値を補償するために剛性測定値を使用することができる。したがって、温度センサ、圧力センサなどの少数のセンサが用いられてもよい。より具体的には、センサアセンブリの現在の剛性値は、センサアセンブリの温度、センサアセンブリによって測定される流体の圧力などに依存するため、現在の剛性値は、流体および/またはセンサアセンブリの温度値、圧力値、もしくは他の非剛性値を使用せずに、流体特性値を補正してもよい。
【0095】
さらに、現在の剛性値は、様々なプロセス条件に依存するため、以前に決定された剛性値と流体特性補正値との間の単一の相関関係が用いられてもよい。すなわち、温度、圧力、および他のプロセス条件と流体特性補正値との間の複数の相関関係の代わりに、1つの相関関係のみが必要であってもよい。これは、流体特性測定値を補償するために必要とされる計算を簡略化し、軽減することができる。したがって、処理システム602は、より効率的に動作し、より多くのコンピューティングリソースを他のタスクに充当し、それによって処理システム602の機能を向上させることができる。
【0096】
さらに、流体特性値を現在の剛性値で補正することで、温度センサおよび/または圧力センサを使用するものよりもより正確になる場合もある。例えば、現在の剛性値は、センサアセンブリに印加されるフランジ荷重に依存することがある。フランジ荷重は、正確に測定されない場合があり、経時的に著しく変化する場合がある。現在の剛性値はフランジ荷重に依存するため、現在の剛性値と流体特性補正値との相関関係は、例えば、フランジ荷重の推定値およびその推定値の流体特性補正値に対する相関関係よりも正確である場合がある。したがって、振動計5の動作は、より正確な流体特性測定を提供することによって改善される。
【0097】
上記の実施形態の詳細な説明は、本説明の範囲内にあると本発明者らによって企図されるすべて実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上述した実施形態の特定の要素を様々に組み合わせて、または排除して、さらなる実施形態を作成することができ、そのようなさらなる実施形態が、本明細書の範囲および教示の範囲内にあることを認識するであろう。また、当業者であれば、上述した実施形態を全体的または部分的に組み合わせて、本説明の範囲および教示の範囲内の追加の実施形態を作成することができることは明らかであろう。
【0098】
したがって、特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本明細書の範囲内で様々な等価な変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上記で説明され、添付の図に示された実施形態だけでなく、他のメータ電子機器、振動計、および剛性測定値を使用して流体特性測定値を補償するための方法に適用することができる。したがって、上述した実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】