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▶ ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピックの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】手消毒のための水アルコール組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230809BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/133 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20230809BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20230809BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20230809BHJP
   C08L 33/26 20060101ALI20230809BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20230809BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20230809BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20230809BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230809BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/06
A61K8/81
A61K8/40
A61K8/365
A61K8/41
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/86
A61K31/045
A61P17/00 101
A61K9/107
A61K47/32
A61P17/16
A61K31/17
A61K31/19
A61K31/133
A61K31/047
A61Q17/00
C08K5/05
C08L33/26
C08K5/00
C08K5/01
C08L23/26
C08L71/02
C08L91/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501660
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2021068173
(87)【国際公開番号】W WO2022012948
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】2007396
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ラルティーグ、マルレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ソードン、シンディ
(72)【発明者】
【氏名】チン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】フェクラット、ハリソン
(72)【発明者】
【氏名】ペレス、カーラ
(72)【発明者】
【氏名】サン、グレース
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
4J002
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC31
4C076DD46
4C076EE13
4C083AC011
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC182
4C083AC301
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC541
4C083AC681
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD202
4C083BB11
4C083BB51
4C083CC22
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE11
4C206AA01
4C206CA03
4C206CA05
4C206DA07
4C206FA03
4C206HA26
4C206HA27
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA42
4C206NA03
4C206ZA90
4C206ZA91
4J002AE05U
4J002BB20X
4J002BG13W
4J002CH02Y
4J002CH02Z
4J002EA017
4J002EC036
4J002ED039
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4J002EH049
4J002EP018
4J002FD186
4J002FD318
4J002FD319
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4J002FD31Z
4J002GB00
4J002GC00
4J002HA06
(57)【要約】

a)1~4個の炭素原子を含む少なくとも1種のアルコールと、b)- 架橋アニオン性高分子電解質(P);- 少なくとも1種の油(H)からなる脂肪相、- 水、- 油中水乳化系(S)、及び- 水中油乳化系(S)を含有する少なくとも1種の油中水エマルジョン(E)と;c)式(II):R-(C=O)-O-(CH-CH-O)-CH-CH[(O-CH-CH-O-(C=O)-R]-CH-(O-CH-CH-O-(C=O)-R(II)(式中、同一であるか或いは異なる、R-(C=O)、R-(C=O)及びR-(C=O)は、16~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状のアシル基を表し、及び式中、合計x+y+zは、30以上及び100以下である)の少なくとも1種の化合物と;d)水とを含む、手を消毒するための組成物(C1)が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式(I):
-OH (I)
(式中、Rはエチル基を表す)
の少なくとも1種のアルコールと;
b)油中水型の少なくとも1種のエマルジョン(E)であって、
- 下記:
○ 遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化した形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する少なくとも1つのモノマー単位;
○ アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド及びN-(tert-ブチル)アクリルアミドからなる群の要素から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する少なくとも1つのモノマー単位;
○ ポリエチレン架橋モノマー(CA)に由来する少なくとも1つのモノマー単位
からなる架橋アニオン性高分子電解質(P);
- 少なくとも1種の油(O)からなる脂肪相、
- 水、
- 油中水型乳化系(S)、並びに
- 水中油型乳化系(S
を含むエマルジョン(E)と;
c)式(II):
-(C=O)-O-(CH-CH-O)-CH-CH[(O-CH-CH-O-(C=O)-R]-CH-(O-CH-CH-O-(C=O)-R (II)
(式中、同一であるか或いは異なる、R-(C=O)、R-(C=O)及びR-(C=O)は、16~24個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表し、並びに式中、合計x+y+zは、30以上及び100以下である)
の少なくとも1種の化合物と;
d)水と
を含む手消毒のための組成物(C)。
【請求項2】
油中水型の前記エマルジョン(E)は、その重量の100%当たり:
- 10重量%~90重量%の前記架橋アニオン性高分子電解質(P)と;
- 5重量%~50重量%の、少なくとも1種の油(O)からなる前記脂肪相と;
- 1重量%~50重量%の水と;
- 0.5重量%~10重量%の油中水型の乳化系(S)と;
- 2重量%~10重量%の水中油型の乳化系(S)と
を含み;
化合物の重量割合の合計は100重量%に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
a)55重量%~85重量%の1~4個の炭素原子を含むアルコールと、
b)0.5重量%~3重量%の前記エマルジョン(E)と、
c)0.5重量%~5重量%の式(II)の前記化合物と、
d)14重量%~37重量%の水と
を含むことを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項4】
皮膚軟化剤及び/又は保湿剤を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項5】
前記皮膚軟化剤及び/又は保湿剤は、尿素、乳酸、ヒドロキシ尿素、トリエタノールアミン、プロパン-1,2-ジオール、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、グリセロール、式(III):
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]-H (III)
(その式(III)において、pは、2以上及び6以下の整数を表す)の化合物、式(IV):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV)
(その式(IV)において、Gは、還元糖の残基を表し、mは、2、3又は4に等しい整数を表し、前記残基Gの平均重合度を示す、xは、1超及び5以下の10進数を表す)の組成物(C)からなる群の要素から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物(C)。
【請求項6】
前記ポリエチレン架橋モノマー(CA)は、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルオキシ酢酸若しくはその塩の1つ、例えばジアリルオキシ酢酸ナトリウムなど、又はこれらの化合物の混合物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物(C)。
【請求項7】
前記架橋アニオン性高分子電解質(P)は、100モル%当たり:
- 遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化した形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する20%~90%のモノマー単位と;
- アクリルアミド及びN,N-ジメチルアクリルアミドからなる群の要素から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する10%~80%のモノマー単位と;
- メチレンビス(アクリルアミド)及びトリアリルアミンから選択される少なくとも1種のポリエチレン架橋モノマー(CA)に由来する0モル%超の及び1モル%以下の割合のモノマー単位と
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項8】
前記油(O)は、ウンデカン、トリデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン、C13~14イソパラフィン混合物、スクアラン、水素化ポリイソブテン又は水素化ポリデセンからなる群の要素から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
油中水型の前記乳化系(S)は、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンイソラウレート、ソルビタンイソステアレート、オレオイルアルカノールアミド、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート及びトリメチロールプロパン-30トリポリヒドロキシステアレートからなる群の少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項10】
水中油型の前記乳化系(S)は、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンオレエート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンラウレート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンパルミテート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンステアレート、6モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたトリデシルアルコール、7モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたラウリルアルコール、アルキルポリグリコシド、脂肪アルコールの及びアルキルポリグリコシドの組成物、ポリグリセロールエステル、並びにポリグリセロールエステルの及びポリグリセロールの組成物からなる群の少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項11】
前記式(II)において、R-(C=O)、R-(C=O)及びR-(C=O)は、同一であるか或いは異なり、リシノレオイル(又は12-ヒドロキシ-9-シス-オクタデセノイル)、パルミトイル(又はヘキサデカノイル)、ステアロイル(又はオクタデカノイル)、オレオイル(又は(9Z)-オクタデセノイル)、リノレオイル(又は(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)、α-リノレノイル(又は(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエノイル)及び9,10-ジヒドロキシオクタデカノイル(又は9,10-ジヒドロキシステアロイル)基、又はそれらの混合物からなる群の要素から選択される、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表すことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物(C)の、前記手の皮膚への適用の少なくとも1つの段階Aを含むことを特徴とする、手の消毒方法。
【請求項13】
段階Aの実施の後に前記手を擦り合わせる段階Bを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
手動ポンプ送液手段及びパッケージング手段を含む、並びに請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物(C)を含有する容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、安定した及び透明な水アルコール組成物、並びにまた、これらの新規水アルコール組成物及び前記の新規水アルコール組成物を含む容器を用いる手消毒方法である。
【背景技術】
【0002】
院内感染の制御及び感染病への暴露は、病院で及び外来条件での両方で働く、全ての医療関係者、医者、外科医、看護師、清掃スタッフにとって懸念事項である。
【0003】
集団、国及び全世界の規模で流行病及びパンデミックが発生するにつれて、この懸念はまた、公共輸送(鉄道、河川、海又は空)の手段の運転者によって、一般大衆に公開される施設の管理者によって、並びに世界の全ての利用者及び居住者によって共有される。
【0004】
消毒効果のある手洗いは、ウイルス、細菌及び微生物感染症の予防の最も有効な手段の1つである。それは、患者との、又は感染症所持者との、又は汚染された固体表面との接触の前後に実施される。
【0005】
消毒効果のある手洗いは、消毒石鹸及び水を使用して実施される。これらの石鹸は、固体形態又は液体形態で提供することができ、一般に抗菌剤、界面活性剤及びヒト皮膚保湿成分を含む。
【0006】
用語「抗菌剤」は、本発明の意味内では、細菌(抗菌活性)、真菌(抗真菌活性)、ウイルス(抗ウイルス活性)又は寄生生物(抗寄生虫活性)などの、微生物を殺す(殺微生物剤)又は微生物の増殖を遅くする(微生物静力学的剤)物質の系統を意味する。
【0007】
用語「防腐剤」は、本発明の意味内では、身体の外部表面上に、より具体的には皮膚の表面上に作用する抗菌剤を意味する。
【0008】
用語「消毒」は、本発明の意味内では、微生物感染を停止させる又は防ぐために、ある種の細菌の意図された及び長続きしない排除の操作を意味する。
【0009】
最も一般的に使用される防腐剤の中で、例えば、クロルヘキシジンなどの、ビグアニド系統、例えば、ポビドン-ヨウ素などの、ヨウ素誘導体、例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどの、塩素化誘導体、又は、例えば、エタノールなどの、アルコールに言及され得る。
【0010】
医学的研究は、病院において、簡単な又は殺菌の手洗いの遵守が、研究に応じて30%~50%を超えないこと、遵守の欠如の主な理由が特に、作業負荷による時間の欠如、アクセス可能性の欠如及び他の実施上の障害、並びに繰り返し洗浄操作に対する寛容性であることを実証している。
【0011】
汚れの目に見えるサインなしの乾燥した手へのすすぎなしの擦りによる水アルコール溶液の適用は、消毒石鹸での手洗いの代替案を構成する。その特徴、すなわち、適用の速度、すすぎの不在、及び速い乾燥は、消毒石鹸での洗浄に関する非遵守理由を克服することを可能にする。
【0012】
水アルコール溶液が手に容易に及び迅速に擦り合わせられるために、それらは、油っぽくない手触りを示し、且つ、迅速に適用される及び手の表面で擦り合わせられるのに十分に流動的である流れ特性と、適用時に流れることを回避するのに十分にゲル化する流れ特性との間のバランスを示さなければならない。加えて、水アルコール溶液が、半透明である、全く透明でさえあることが好ましい、その理由は、この態様が、使用者及び消費者による純度の概念と関連しているからである。
【0013】
その結果として、消毒水アルコール溶液の調製は、容器のタイプにとって適切なレベルの粘度で及び半透明な若しくは透明な外観で特徴付けられる、経時的に均一であり、且つ安定している水アルコール溶液を利用可能にすることに存する多種多様の問題に直面する。
【0014】
合成ポリマー及び天然起源のポリマーは、当業者に周知である並びに化粧品及び医薬品分野での局所使用のための水性ゲルを調製することを可能にする、化粧品水相のための増粘剤である。
【0015】
この分野で現在使用されている合成増粘ポリマーは、粉末形態で、又は界面活性剤を使用して、逆エマルジョンで、親水性モノマーのラジカル重合によって調製されるポリマーの油中水エマルジョンのような液体形態で提供され、前記逆エマルジョンは、一般に逆ラテックスと呼ばれる。
【0016】
最もよく知られている粉末形態での合成増粘ポリマーの中で、CarbopolTM又はPemulenTM名称で販売されるものなどの、アクリル酸を及び/又はそのエステルをベースとするポリマーに言及され得る。それらは、特に米国特許第5 373 044号明細書及び米国特許第2 798 053号明細書に並びにまた欧州特許出願公開第0 301 532 A2号明細書に記載されている。名称AristoflexTMで販売されるものなどの、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を及び/又はその塩をベースとするポリマーがまた存在する。それらは、特に欧州特許第0 816 403号明細書、欧州特許第1 116 733号明細書及び欧州特許第1 069 142号明細書に記載されている。これらの粉末は、一般に、ベンゼン、酢酸エチル、シクロヘキサン又はtert-ブタノール型の有機溶媒中の溶液でのモノマーの重合を沈澱させることによって得られ;この方法は、したがって、任意の痕跡の残留溶媒を除去するために、最終生成物の多数の連続的な精製段階を必要とする。
【0017】
特に、より淡色の水性ゲルをもたらすことができるいかなる油相も存在しない結果として、使用のより汎用可能性を示す合成増粘剤がまた存在する。それらは、粉末の形態にあるが、液体の形態で存在する製品のそれらに匹敵する、溶解時間、及びしたがって使用の容易さを有する。それらは、番号欧州特許出願公開第1 496 081 A2号明細書の下で公開された欧州特許出願に記載されている。それらは、分散相ラジカル重合、逆懸濁ラジカル重合、組み合わせられた逆相乳化重合又は逆相マイクロエマルジョンラジカル重合などの、従来の重合技術、引き続く第3の溶媒からの沈澱、第3の溶媒からの沈澱、次いで任意選択的に洗浄によるなとの、様々な技法による分離、噴霧化による又は共沸脱水による乾燥、任意選択的に引き続く巧妙に選択された溶媒での洗浄によって得られる。これらの合成増粘剤は、したがって、従来の粉末の形態で提供される合成増粘剤の利点(油の不在、より淡色の水性ゲルの産生)のいくつかと、逆ラテックスの形態で提供される合成増粘剤の利点(事前中和、高比率の溶解、増粘力及び注目に値する安定化特性)とを組み合わせている。しかしながら、上記のような水アルコール溶液を調製することを意図する使用のために、そのような合成増粘系を使用する顧客は、今日得られるものよりも更に無色透明の溶液を製造できることを願っている。
【0018】
遊離の強酸、部分的に塩化された若しくは完全に塩化された官能基を有する少なくとも1種のモノマーと、式(A):
【化1】
(式中、Rは、8~20個の炭素原子を含む線状若しくは分岐状のアルキル基を表し、nは、1以上及び30以下の数を表す)
の少なくとも1種のモノマーとの線状、分岐状若しくは架橋ターポリマーは、番号国際公開第2011/030044号パンフレットの下で公開された国際出願に記載されており、経時的に安定な、透明な及び均一である水アルコール溶液を調製するための良好な増粘剤を構成する。
【0019】
しかしながら、粉末と水アルコール溶液を調製するためのアルコールとの共同使用は、使用される装置の各アイテムを安全な場所に置くことを必要とし、高い産業資本コストをもたらすか、或いは、もしそうでないなら、低い生産性をもたらし、且つ関係市場に不適切である原価が得られるという結果になる。
【0020】
液体形態で提供される増粘剤は、したがって、上述の技術的及び経済的困難性を克服するための解決策のように思われる。
【0021】
界面活性剤を使用して安定化された、逆エマルジョンでのラジカル重合によって調製される、及び液体形態で提供される逆ラテックスは、解決策を構成する。
【0022】
最もよく知られている逆ラテックの中で、SepigelTM、SimulgelTM及びSepiplusTM名称で販売されるものに言及され得る。これらの増粘剤は、逆エマルジョンラジカル重合によって得られる。それらは、特に周囲温度で、より容易に取り扱うことができ、水中に非常に迅速に分散する。更に、それらは、際立って高められた増粘性能品質を発現する。しかしながら、それらは油を含有するので、これは、それらを、半透明な又は透明な水性ゲルを調製するのに潜在的にあまり適切ではないものにする。
【0023】
番号米国特許第4 956 170号明細書の下で公表された米国特許は、エタノール又はイソプロパノールと、アミノアルコールにより中和された粉末形態のポリアクリル酸である増粘剤と、炭化水素皮膚軟化剤と、脂肪酸エステル型の皮膚軟化剤と、水及びアルコール間の相分離を防ぐ安定化界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エチレングリコールの脂肪モノ及びジエステル、エトキシル化ソルビタンエステルなどとを含む、抗菌剤使用に好適な水アルコールゲルを開示している。
【0024】
本発明者らは、したがって、ポンプ装置を備えたボトルに入れられるために、1500mPa.s以上及び10 000mPa.s以下の、Brookfield LVT型の粘度計で測定される、動的粘度で特徴付けられる、及び透明な外観を示す新規な、貯蔵時に安定した、水アルコール組成物を開発しようと努力してきた。
【0025】
用語「透明な外観」は、本発明の意味内では、25℃の温度で及びホルムアミジンの溶液(0.9NTU)で事前較正された、HF Scientificによって販売されるDRT 100Bモデルの光学濁度計を用いて測定される、25NTU以下である前記組成物の曇り度について得られる値で反映される、前記水アルコール組成物の外観の視覚的側面を意味すると理解される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明による解決策は、
a)1~4個の炭素原子を含有する少なくとも1種のアルコールと;
b)油中水型の少なくとも1種のエマルジョン(E)であって、
- 架橋アニオン性高分子電解質(P);
- 少なくとも1種の油(O)からなる脂肪相、
- 水、
- 油中水型の乳化系(S)、及び
- 水中油型の乳化系(S
を含むエマルジョン(E)と;
c)式(II):
-(C=O)-O-(CH-CH-O)-CH-CH[(O-CH-CH-O-(C=O)-R]-CH-(O-CH-CH-O-(C=O)-R (II)
(式中、同一であるか或いは異なる、R-(C=O)、R-(C=O)及びR-(C=O)は、16~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表し、式中、合計x+y+zは、30以上及び100以下である)
の少なくとも1種の化合物と;
d)水と
を含む、手消毒のための組成物(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
場合によっては、本発明による組成物は、下記の特徴の1つ以上を示すことができる:
- 油中水型のエマルジョン(E)は、その重量の100%当たり:10重量%~90重量%の架橋アニオン性高分子電解質(P)と、5重量%~50重量%の、少なくとも1種の油(O)からなる脂肪相と、1重量%~50重量%の水と、0.5重量%~10重量%の油中水型の乳化系(S)と、2重量%~10重量%の水中油型の乳化系(S)とを含み;化合物の重量割合の合計は100重量%に等しい、
- 組成物(C)は、
a)55重量%~85重量%の1~4個の炭素原子を含むアルコール、
b)0.5重量%~3重量%のエマルジョン(E)、
c)0.5重量%~5重量%の式(II)の化合物、
d)14重量%~37重量%の水
を含む、
- アルコールは、式(I)
-OH (I)
(式中、Rは、メチル、エチル、1-プロピル及び2-プロピル基からなる群の要素の中に含まれる基を表す)
のものである。好ましくは、エチル及び2-プロピル基が選ばれるであろう、
- 式(I)のアルコールはエタノールである。エタノールは、その作用の速度、その速い蒸発の力並びに細菌に対する及び真菌に対するその活性で知られており、殺菌洗浄のために使用されるポビドン又はクロルヘキシジンよりもウイルスに対して活性であることが分かっている、
- 組成物(C)は、皮膚軟化剤及び/又は保湿剤を含む、
- 皮膚軟化剤及び/又は保湿剤は、尿素、乳酸、ヒドロキシ尿素、トリエタノールアミン、プロパン-1,2-ジオール、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、グリセロール、式(III):
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]-H (III)
(その式(III)において、pは、2以上及び6以下の整数を表す)
の化合物、式(IV):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV)
(その式(IV)において、Gは、還元糖の残基を表し、mは、2、3又は4に等しい整数を表し、前記残基Gの平均重合度を示す、xは、1超及び5以下の10進数を表す)
で表される組成物(C)からなる群の要素から選択される、
- 還元糖の前記残基Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドーズ、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオーズ、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストラン又はタロースの残基から選択され、好ましくは還元糖の前記残基Gは、グルコース、キシロース及びアラビノースの残基から選択され、より優先的には更にGは、式(IV)においてグルコースの残基を表す、
- Gは、式(IV)において、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の欠失から得られる、グルコシル若しくはα,β-D-グルコピラノシル基、又はα,β-D-キシロピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の欠失から得られる、キシロシル若しくはα,β-D-キシロピラノシル基を表す、
- 前記組成物(C)は、式(IV)、(IV)、(IV)、(IV)及び(IV):
- HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV)、
- HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV)、
- HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV)、
- HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV)、
- HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (IV
で表される化合物の混合物から本質的になり、
それぞれのモル割合a、a、a、a及びaにおいて、合計a+a+a+a+aは1に等しいようなもの、及び合計a+2a+3a+4a+5aはxに等しいようなものである。
先行定義において、用語「本質的に」は、wが5超である式(IV)の1つ以上の化合物の存在が組成物(C)内で排除されないこと、しかしそれが存在する場合に、それが、前記組成物(C)の特性のいかなる実質的な変更ももたらさない最小限の割合で存在することを示す。
上で定義されたような式(IV)において、HO-CH-(CHOH)-CH-O-基は、アセタール官能基を形成するように、サッカリド残基のアノマー炭素によって(G)に結合している、
- 式(IV)において、xは、1.05以上及び3以下、非常に特に1.15以上及び2.5以下の10進数を表す、
- 式(IV)において、mは、2に又は3に又は4に等しい、
- 皮膚軟化剤及び/又は保湿剤は、グリセロールである、
- 皮膚軟化剤及び/又は保湿剤の濃度は、5重量%以下である、
- 架橋アニオン性高分子電解質(P)は、遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化された形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する少なくとも1つのモノマー単位と;アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-(tert-ブチル)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、若しくはビニルピロリドン;アクリル酸、メタクリル酸、2-(カルボキシエチル)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、3-メチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]ブタン酸からなる群の要素であって、前記モノマーのカルボキシル官能基が、遊離酸、部分的に塩化された若しくは完全に塩化された形態にある要素、好ましくはアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-(tert-ブチル)アクリルアミドからなる群の要素から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する少なくとも1つのモノマー単位と;ポリエチレン架橋モノマー(CA)に由来する少なくとも1つのモノマー単位とからなる。
- ポリエチレン架橋モノマー(CA)は、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルオキシ酢酸若しくはジアリルオキシ酢酸ナトリウムなどの、その塩の1つ、又はこれらの化合物の混合物から選択される。好ましくは、ポリエチレン架橋モノマー(CA)は、トリアリルアミン若しくはメチレンビス(アクリルアミド)又はこれらの化合物の混合物から選択される、
- 架橋アニオン性高分子電解質(P)は、100モル%当たり、遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化された形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する20モル%以上及び100モル%以下のモノマー単位を含む、
- 架橋アニオン性高分子電解質(P)は、100モル%当たり、遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化された形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する20%~90%のモノマー単位と;アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸及び2-(カルボキシエチル)アクリル酸からなる群の要素から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する10%~80%のモノマー単位と、メチレンビス(アクリルアミド)及びトリアリルアミンから選択される少なくとも1種のポリエチレン架橋モノマー(CA)に由来する0モル%超及び1モル%以下の割合のモノマー単位を含む、
- 架橋アニオン性高分子電解質(P)は、遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化された形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する少なくとも1つのモノマー単位と、ポリエチレン架橋モノマー(CA)に由来する少なくとも1つのモノマー単位とを含む。用語「塩化された」は、モノマー中に存在する酸官能基が、ナトリウム若しくはカリウムカチオンなどの、カチオンとの塩、特にアルカリ金属の塩、又はアンモニウム塩、リジン塩若しくはモノエタノールアミン塩(HO-CH-CH-NH )などの、窒素塩基のカチオンなどとの塩形態で組み合わせられたアニオン型で存在することを示す。それらは好ましくはナトリウム又はアンモニウム塩である、
- 油(O)は、ウンデカン、トリデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン、C13~14イソパラフィン混合物、スクアラン、水素化ポリイソブテン又は水素化ポリデセンからなる群の要素から選択される、
- 油中水型の乳化系(S)は、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンイソラウレート、ソルビタンイソステアレート、オレオイルアルカノールアミド、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート及びトリメチロールプロパン-30トリポリヒドロキシステアレートからなる群の少なくとも1つの要素を含む、
- 水中油型の乳化系(S)は、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンオレエート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンラウレート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンパルミテート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンステアレート、6モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたトリデシルアルコール、7モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたラウリルアルコール、アルキルポリグリコシド、脂肪アルコールの及びアルキルポリグリコシドの組成物、ポリグリセロールエステル、並びにポリグリセロールエステルの及びポリグリセロールの組成物からなる群の少なくとも1つの要素を含む、
- 水中油型の乳化系(S)は、ただ一つの乳化界面活性剤からか、又は乳化界面活性剤の混合物かのどちらかからなる、但し、前記結果として生じる乳化性(S)が、水中油型の安定したエマルジョンの形成を誘導するのに十分に高い、一般に9超及び16以下のHLB(「親水性疎水性バランス」)を有することを条件とする、
- 油中水形のエマルジョンは、それ自体の重量の100%当たり:
i)100モル%当たり:遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化された形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する20モル%~90モル%のモノマー単位と;アクリルアミドに由来する10モル%~80モル%のモノマー単位と、メチレンビス(アクリルアミド)に若しくはトリアリルアミンに由来する0モル%超及び1モル%以下のモノマー単位とを含む10重量%~90重量%の架橋アニオン高分子電解質(P)と、
ii)イソヘキサデカン及びC13~14イソパラフィン混合物からなる群の要素から選択される少なくとも1種の油(O)からなる5重量%~50重量%の脂肪相と、
iii)1重量%~50重量%の水と、
iv)ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、オレオイルアルカノールアミド及びPEG-30ジポリヒドロキシステアレートからなる群の少なくとも1つの要素を含む0.5重量%~10重量%の油中水型の乳化系(S)と、
v)20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されソルビタンオレエート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンラウレート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されソルビタンステアレート、6モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたトリデシルアルコール、7モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたラウリルアルコール、ポリグリセリル-10ラウレート、ポリグリセリル-6ラウレート、並びにポリグリセリル-6ラウレートの及びポリグリセリル-6の混合物からなる群の少なくとも1つの要素を含む2重量%~10重量%の水中油型の乳化系(S)と
を含み、c)、c)、c)、c)及びc)に従う化合物の重量割合の合計は100重量%に等しく、
- 式(II)において、R-(C=O)、R-(C=O)及びR-(C=O)は、同一であるか或いは異なり、リシノレオイル(つまり12-ヒドロキシ-9-シス-オクタデセノイル)、パルミトイル(つまりヘキサデカノイル)、ステアロイル(つまりオクタデカノイル)、オレオイル(つまり(9Z)-オクタデセノイル)、リノレオイル(つまり(9Z,12Z)-オクタデカ-9、12-ジエノイル)、α-リノレノイル(つまり(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9、12、15-トリエノイル)及び9,10-ジヒドロキシオクタデカノイル(つまり9,10-ジヒドロキシステアロイル)基、又はそれらの混合物からなる群の要素から選択される飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表す、
- 合計x+y+zは、30以上及び50以下である、
- 式(II)の化合物は、30~100モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化された水素化ヒマシ油、例えば30モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化された水素化ヒマシ油、40モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化された水素化ヒマシ油又は50モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化された水素化ヒマシ油から選択される、
- 組成物(C)は、その重量の100%当たり:
i)55%~85%のエタノール
ii)0重量%~5重量%のグリセロール
iii)それ自体の重量の100%当たり:
○ 100モル%当たり:遊離酸又は部分的に若しくは完全に塩化された形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来する20モル%~90モル%のモノマー単位と;アクリルアミドに由来する10モル%~80モル%のモノマー単位と;メチレンビス(アクリルアミド)に又はトリアリルアミンに由来する0モル%超及び1モル%以下の割合のモノマー単位とを含む10重量%~90重量%の架橋アニオン性高分子電解質(P)、
○ イソヘキサデカン及びC13~14イソパラフィン混合物からなる群の要素から選択される少なくとも1種の油(O)からなる5重量%~50重量%の脂肪相、
○ 1重量%~50重量%の水、
○ ソルビタンオレエート、オレオイルアルカノールアミド及びPEG-30ジポリヒドロキシステアレートからなる群の少なくとも1つの要素を含む0.5重量%~10重量%の油中水型の乳化系(S)、並びに
○ 20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンオレエート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンラウレート、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンステアレート、6モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたトリデシルアルコール、7モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたラウリルアルコール、ポリグリセリル-10ラウレート、ポリグリセリル-6ラウレート、並びにポリグリセリル-6ラウレートの及びポリグリセリル-6の混合物からなる群の少なくとも1つの要素を含む2重量%~10重量%の油中水型の乳化系
を含む0.5重量%~3重量%の油中水型の少なくとも1つのエマルジョン(E)であって;
これらの4つの化合物の重量割合の合計が100重量%に等しいエマルジョン(E)、
iv)40モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたヒマシ油である式(II)の0.5重量%~5重量%の少なくとも1種の化合物
を含む。
【0028】
用語「皮膚軟化剤」は、本特許出願の意味内では、皮膚と接触すると、角質細胞(表皮の角質層の細胞)間に存在する細胞間隙を埋めるそれらの能力で特徴付けられる化合物を意味すると理解され;それらはまた、表皮からの水の蒸発を制限するが、閉塞剤よりも少ない程度で制限する。
【0029】
用語「保湿剤」は、本特許出願の意味内では、皮膚と接触させられる場合に、「保湿効果」を有する化合物を意味すると理解される。
【0030】
用語「保湿効果」は、本特許出願の意味内では、処理される皮膚の表面への化学物質の又は化学組成物の局所適用に起因する角質層の湿潤の程度の増加を意味すると理解される。
【0031】
上で定義されたような式(III)の化合物は、pが2に等しい場合はジグリセロール、pが3に等しい場合はトリグリセロール、pが4に等しい場合はテトラグリセロール、pが5に等しい場合はペンタグリセロール及びpが6に等しい場合はヘキサグリセロールを意味する。
【0032】
還元糖は、上で定義されたような式(IV)において、参考刊行物:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,p.250,John Wiley & Sons,1990に定義されているように、アノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立されたグリコシド結合を、それらの構造において、示さないサッカリド誘導体を意味する。オリゴマー構造(G)は、光学異性であろうと、幾何異性であろうと、位置異性であろうと、異性の全ての形態で存在することができ;それはまた、異性体の混合物を表すことができる。
【0033】
架橋アニオン性高分子電解質(P)は、本発明の主題である組成物(C)中に存在する油中水型のエマルジョン(E)の定義において、三次元ネットワークの状態で存在する、水に不溶性であるが水中で膨潤性である、及び得られつつある化学ゲルをもたらす非線状の架橋アニオン性高分子電解質を意味する。
【0034】
本発明の別の特定の態様によれば、前記架橋アニオン高分子電解質(P)は、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸のホモポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸の及びナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化されたアクリル酸のコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)の及びナトリウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化されたアクリル酸(δ)の、30/70以上及び90/10以下のモル比(γ)/(δ)でのコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)の及びナトリウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化されたアクリル酸(δ)の、40/60以上及び90/10以下のモル比(γ)/(δ)でのコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)の及びアクリルアミド(ε)の、30/70以上及び90/10以下のモル比(γ)/(ε)でのコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)の及びヒドロキシエチルアクリレート(ζ)の、30/70以上及び90/10以下のモル比(γ)/(ζ)でのコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋された、ナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸の、アクリルアミドの及びナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化されたアクリル酸のターポリマー;30%以上及び45%以下のモル割合でのナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸の、45%以上及び68%以下のモル割合でのアクリルアミドの及び2%以上及び10%以下のモル割合でのナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化されたアクリル酸のトリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋されたターポリマー;30%以上及び45%以下のモル割合でのナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化された2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸の、47%以上及び68%以下のモル割合でのアクリルアミドの及び2%以上及び8%以下のモル割合でのナトリウム塩若しくはアンモニウム塩形態で部分的に若しくは完全に塩化されたアクリル酸のトリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)で架橋されたターポリマーからなる群の要素である。
【0035】
油(O)は、本発明の主題である組成物(C)中に存在するエマルジョン(E)の定義において、特に:
- 11~19個の炭素原子を含む線状アルカン;
- 7~40個の炭素原子を含む分岐状アルカン、例えばイソドデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソノナデカン若しくはイソエイコサン、又はそれらのいくつかの混合物、例えば以下に述べられる及びそれらのINCI名:C7~8イソパラフィン、C8~9イソパラフィン、C9~11イソパラフィン、C9~12イソパラフィン、C9~13イソパラフィン、C9~14イソパラフィン、C9~16イソパラフィン、C10~11イソパラフィン、C10~12イソパラフィン、C10~13イソパラフィン、C11~12イソパラフィン、C11~13イソパラフィン、C11~14イソパラフィン、C12~14イソパラフィン、C12~20イソパラフィン、C13~14イソパラフィン、C13~16イソパラフィンで特定されるものなど;
- 1つ以上の線状若しくは分岐状のアルキル基で任意選択的に置換されたシクロアルカン;
- 白色鉱油、例えば以下の名称:MarcolTM 52、MarcolTM 82、DrakeolTM 6VR、EolaneTM 130、EolaneTM 150で販売されるものなど;
- ヘミスクアラン(つまり2,6,10-トリメチルドデカン;CAS番号:3891-98-3)、スクアラン(つまり2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン)、水素化ポリイソブテン又は水素化ポリデセン;
- 15~19個の炭素原子を含むアルカンの混合物であって、前記アルカンが線状アルカン、分岐状アルカン及びシクロアルカンである混合物、より特に、その重量の100%当たり、90%以上及び100%以下の重量割合の分岐状アルカンと;0%以上及び9%以下、より特に5%未満の重量割合の線状アルカンと;0%以上の及び1%以下の重量割合のシクロアルカンを含む混合物(M)、例えば名称EmogreenTM L15又はEmogreenTM L19で販売される混合物;
- 式(V):
- Z-O-Z (V)
(式中、同一であるか或いは異なる、Z及びZは、5~18個の炭素原子を含む線状若しくは分岐状のアルキル基を表す)
の脂肪アルコールエーテル、例えばジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、1,3-ジメチルブチルテトラデシルエーテル、1,3-ジメチルブチルヘキサデシルエーテル、ビス(1,3-ジメチルブチル)エーテル又はジヘキシルエーテル;
- 式(VI):
- R’-(C=O)-O-R’ (VI)
(式中、R’-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表し、R’は、R’から独立して、1~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、炭化水素鎖を表す)
の脂肪酸の及びアルコールのモノエステル、例えばメチルラウレート、エチルラウレート、プロピルラウレート、イソプロピルラウレート、ブチルラウレート、2-ブチルラウレート、ヘキシルラウレート、メチルココエート、エチルココエート、プロピルココエート、イソプロピルココエート、ブチルココエート、2-ブチルココエート、ヘキシルココエート、メチルミリステート、エチルミリステート、プロピルミリステート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、2-ブチルミリステート、ヘキシルミリステート、オクチルミリステート、メチルパルミテート、エチルパルミテート、プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ブチルパルミテート、2-ブチルパルミテート、ヘキシルパルミテート、オクチルパルミテート、メチルオレエート、エチルオレエート、プロピルオレエート、イソプロピルオレエート、ブチルオレエート、2-ブチルオレエート、ヘキシルオレエート、オクチルオレエート、メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、2-ブチルステアレート、ヘキシルステアレート、オクチルステアレート、メチルイソステアレート、エチルイソステアレート、プロピルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、ブチルイソステアレート、2-ブチルイソステアレート、ヘキシルイソステアレート又はイソステアリルイソステアレート;
- 式(VII)の及び式(VIII)
R’-(C=O)-O-CH-CH(OH)-CH-O-(C=O)-R’ (VII)
R’-(C=O)-O-CH-CH[O-(C=O)-R’]-CH-OH (VIII)
(その式(VII)及び(VIII)において、同一であるか或いは異なる、R’-(C=O)、R’-(C=O)、R’-(C=O)及びR’-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表す)
の脂肪酸の及びグリセロールのジエステル;
- 式(IX):
R’-(C=O)-O-CH-CH[O-(C=O)-R”]-CH-O-(C=O)-R” (IX)
(式中、同一であるか或いは異なる、R’-(C=O)、R’-(C=O)及びR’-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、アシル基を表す)
の脂肪酸の及びグリセロールのトリエステル
を意味する。
【0036】
本発明の別の特定の態様によれば、前記油(O)は、ウンデカン、トリデカン、イソドデカン又はイソヘキサデカン、イソパラフィンの混合物、例えばC11~13イソパラフィン混合物、C11~14イソパラフィン混合物、C12~14イソパラフィン混合物、C13~14イソパラフィン混合物又は商品名IsoparTM Mで販売される混合物、C13~16イソパラフィン、アルカンとイソアルカンとシクロアルカンとの混合物、例えば上で定義されたような混合物(M)及び名称EmogreenTM L15、EmogreenTM L19、EmosmartTM L15、EmosmartTM L19又はEmosmartTM V21で販売される混合物;名称MarcolTM 52、MarcolTM 82、DrakeolTM 6VR、EolaneTM 130又はEolaneTM 150で販売される白色鉱油;ヘミスクアラン、スクアラン、水素化ポリイソブテン又は水素化ポリデセン;ジオクチルエーテル又はジデシルエーテル;イソプロピルミリステート、ヘキシルパルミテート、オクチルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、オクタノイル/デカノイルトリグリセリド、ヘキサデカノイル/オクタデカノイルトリグリセリド又は菜種油、ひまわり油、アマニ油若しくはヤシ油に由来するトリグリセリドから選択される。
【0037】
本発明の主題である組成物(C)中に存在する前記エマルジョン(E)において、油中水型の乳化系(S)は、ただ一つの乳化界面活性剤からか、又は乳化界面活性剤の混合物からかのどちらかからなる、但し、前記結果として生じる乳化性(S)が、油中水型のエマルジョンの形成をもたらすのに十分に低いHLB(親水性疎水性バランス)値を有することを条件とする。
【0038】
油中水型の系(S)中に存在する乳化界面活性剤の例としては、アンヒドロヘキシトールの及び、1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、12~22個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、脂肪族カルボン酸のエステル、より具体的には、アンヒドロソルビトール及びアンヒドロマンニトールから選択されるアンヒドロヘキシトールの及び、1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、12~22個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、脂肪族カルボン酸のエステルが挙げられる。
【0039】
本発明の別の特定の態様によれば、油中水型の前記乳化系(S)中に存在する少なくとも1種の界面活性剤は、ソルビタンラウレート、例えば名称MontaneTM 20で販売されるもの、ソルビタンパルミテート、例えば名称MontaneTM 40で販売されるもの、ソルビタンステアレート、例えば名称MontaneTM 60で販売されるもの、ソルビタンオレエート、例えば名称MontaneTM 80で販売されるもの、ソルビタンセスキオレエート、例えば名称MontaneTM 85で販売されるもの、ソルビタントリオレエート、例えば名称MontaneTM 83で販売されるもの、ソルビタンイソラウレート、ソルビタンイソステアレート、例えば名称MontaneTM 70で販売されるもの、マンニタンラウレート、マンニタンオレエート、又はこれらのエステルの混合物;オレオイルアルカノールアミド;1000~3000の分子量の及びポリ(イソブテニル)コハク酸若しくはその無水物、例えばHypermerTM 2296、又は商品名SimalineTM IE 501 Aで販売される混合物、式(X):
【化2】
[その式(X)において、yは、2以上及び50以下の整数を表し、Zは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Zは、式(XI):
【化3】
(その式(XI)において、y’は、0以上及び10以下、より特に1以上及び10以下の整数を表す)
の基を表し、Z’は、上で定義されたような式(XI)の基を表し、Z’は、Z、又は水素原子と同一であるか或いは異なる]
のポリグリコールポリヒドロキシステアレートの間の縮合によって生じるポリエステルからなる群の要素から選択される。
【0040】
乳化系(S)を調製するために使用することができる式(X)の油中水型の乳化界面活性剤の例としては、名称SimalineTM WOで販売される、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、或いはPEG-30ジポリヒドロキシステアレートを含み、名称SimalineTM IE 201 A及びSimalineTM IE 201 Bで販売される混合物、或いは名称SimalineTM IE 301 Bで販売されるトリメチロールプロパン-30トリポリヒドロキシステアレートを含む混合物が挙げられる。
【0041】
水中油型の乳化系(S)のこれらの構成成分界面活性剤の中で、
- その脂肪族炭化水素鎖が8~14個の炭素原子を含み、そのエチレンオキシド単位の数が5~40のものである、エトキシル化脂肪アルコール、例えば、7モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化ラウリルアルコール(INCI名:ラウレス-7)又は6モルのエチレンオキシドを有するトリデシルアルコール(INCI名:トリデセス-6);
- その脂肪族炭化水素鎖が12~22個の炭素原子を含み、そのエチレンオキシド単位の数が5~40のものであるエトキシル化ソルビタンエステル、例えば、商品名MontanoxTM 80で販売される、20モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化ソルビタンオレエート、商品名MontanoxTM 20で販売される、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたエトキシル化ソルビタンラウレート、名称MontanoxTM 40でSEPPICによって販売される、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンパルミテート、又は名称MontanoxTM 60でSEPPICによって販売される、20モルのエチレンオキシドでポリエトキシル化されたソルビタンステアレート;
- エトキシル化アルキルフェノール、例えばエトキシル化ノニルフェノール及びエトキシル化オクチルフェノール;又は
- エトキシル化ヒマシ油、例えば、商品名SimulsolTM OL 50で販売される、40モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化ヒマシ油、
- 名称SimalineTM IE 400でSEPPICによって販売される、ポリエトキシル化ソルビタンヘキサオレエート、
- ポリグリセロールエステル、より具体的には式(XII):
R”-(C=O)-[O-CH-CH(OH)-CHp”-OH (XII)
(式中:
p”は、1以上及び15以下、より特に1以上及び10以下、より特に更に4以上及び10以下の整数を表し、
R”-(C=O)-基は、6~22個の炭素原子、より特に8~18個の炭素原子を含む少なくとも1つの飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐状の、脂肪族基を表し、より特に更にR-(C=O)-基は、オクタノイル、デカノイル、ω-ウンデシレノイル、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、9-オクタデセノイル又は9,12-オクタデカジエノイル基からなる群の少なくとも1つの要素から選択される)
のポリグリセロールエステル、
- より特に、その重量の100%当たり:
10重量%~60重量%、より特に15重量%~60重量%、非常に特に15重量%~50重量%の少なくとも1種の式(XIII):
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]n”-H (XIII)
(式中、n”は、1以上及び15以下の整数を表す)
の化合物;
40重量%~90重量%、より特に40重量%~85重量%、非常に特に50重量%~85重量%の上で定義されたような少なくとも1種の式(XII)の化合物
を含む組成物(Ce)で表される、ポリグリセロールエステルとポリグリセロールとの混合物。
【0042】
本発明の別の更により特定の態様によれば、上で定義されたような組成物(Ce)において、n”は10に等しく、p”は10に等しく、R”-(C=O)基はドデカノイル基であり;n”は6に等しく、p”は10に等しく、R”-(C=O)基はドデカノイル基であり;n”は6に等しく、p”は6に等しく、R”-(C=O)基はドデカノイル基であり;n”は1に等しく、p”は10に等しく、R-(C=O)基はドデカノイル基であり、
- より具体的には、式(XIV):
R’-O-(G)x’-H (XIV)
(式中、x’は、1.05~2.5の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の欠失から得られる、グルコシル若しくはα,β-D-グルコピラノシル基を表し、R’は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表す)
で表されるアルキルポリグリコシドの組成物(C’)で表される、アルキルポリグリコシド。
【0043】
より具体的には、R’は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル及びn-ヘキサデシル基からなる群の要素から選択される基を表し、x’は、1.05以上及び2.5以下、より特に1.05以上及び2.0以下、より特に更に1.15以上及び2.0以下の10進数を表し、
- アルキルポリグリコシドの及び脂肪アルコールの混合物、より具体的には、組成物(C’)と式(XV):
R’21-O-H (XV)
(式中、R’と同一であるか或いはそれとは異なる、R’21は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表す)
の脂肪アルコールとの組合せで表されるもの
に言及され得る。
【0044】
より具体的には、水中油型の乳化系(S)を構成する乳化剤は、その重量の100%当たり:
式(XIV)(それについて、R’は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル及びn-ヘキサデシル基からなる群の要素から選択される少なくとも1つの基を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の欠失から得られる、グルコシル若しくはα,β-D-グルコピラノシル基を表し、x’は、1.05以上及び2.0以下の10進数を表す)で表される、10重量%~50重量%、より特に15重量%~40重量%、より特に更に20重量%~30重量%の少なくとも1つの組成物(C’)、
式(XV)(それについて、R’と同一である、R’21は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル及びn-ヘキサデシル基からなる群の要素から選択される少なくとも1つの基を表す)の、90重量%~50重量%、より特に85重量%~60重量%、より特に更に80重量%~70重量%の、少なくとも1種の脂肪アルコール
を含む組成物(C”)である。
【0045】
本発明の主題である組成物(C)中に存在する油中水型の前記エマルジョン(E)は、当業者に周知である及び以下の段階:
- 水、水溶性モノマー及び架橋モノマー(CA)、並びにまた、例えば、金属イオン封鎖剤などの、一般に使用される添加剤を含む水相の調製の段階a);
- 油相(O)を油中水型の乳化系(S)と混合する段階b);
- 先行段階中に調製される、水相と油相との混合の、及び回転子-固定子型の攪拌機を使用する乳化の段階c);
- 窒素で不活性にする段階d);
- c)において形成されたエマルジョン中への、フリーラジカル開始剤の及び任意選択的に共開始剤の導入による重合反応の開始の段階e);次いで反応が起こるに任せられる;
- 50℃以下の温度での上で定義されたような水中油型の乳化系(S)の導入の段階f)
を含む、「逆エマルジョン重合」法を実施することによって調製される。
【0046】
上で定義されたような方法の特定の態様によれば、段階e)の重合反応は、10℃以下の温度で、必要ならば、例えば、アゾビス(イソブチロニトリル)などの、重合共開始剤に同伴されて、クメンヒドロペルオキシド/メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)対又はクメンヒドロペルオキシド/塩化チオニル(SOCl)対などの、亜硫酸水素(HSO )イオンを発生させる酸化還元対によって開始され、次いで最大で50℃以上の温度まで、偽断熱的に又は温度を制御することによるかのどちらかで実施される。
【0047】
上で定義されたような方法の別の特定の態様によれば、段階e)から生じる反応媒体は、段階f)を実施する前に、蒸留によって濃縮される。
【0048】
上で定義されたような方法の別の特定の態様によれば、段階a)において調製された水相は、レオロジー特性を変更するために、形成されるポリマー鎖の長さを低下させること、及びポリマー上の分岐の程度を増加させることを意図する、鎖低下剤を含むことができる。
【0049】
上で定義されたような方法に好適な鎖低下剤の中で、メタノール、イソプロパノール、ブチレングリコール、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、ギ酸又はその塩に言及され得る。
【0050】
本発明の主題である組成物(C)の特定の態様によれば、同一であるか或いは異なる、R-(C=O)、R-(C=O)及びR-(C=O)は、式(II)において、16~24個の炭素原子を含む飽和の線状アシル基、より具体的には、パルミトイル(つまりヘキサデカノイル)、ステアロイル(つまりオクタデカノイル)、12-ヒドロキシオクタデカノイル、9,10-ジヒドロキシオクタデカノイル(つまり9,10-ジヒドロキシステアロイル)、アラキドイル及びベヘノイル基で構成される群の少なくとも1つの要素を表す。
【0051】
ヒマシ油は、本発明の意味内では、その重量の100%当たり、99重量%以上の重量割合の少なくとも1種のトリグリセリドであって、前記トリグリセリドが、同一のR-C(=O)-、R-C(=O)及びR-C(=O)の式(XVI):
-C(=O)-O-CH-CH[O-C(=O)-R]-CH-O-C(=O)-R (XVI)
の化合物であるトリグリセリドを意味すると理解される。
【0052】
特定の態様によれば、ヒマシ油は、本発明の意味内で、式(I)のトリグリセリドの重量の100%当たり:2重量%~3重量%の重量量の式(XVI)(それについて、R-C(=O)-、R-C(=O)-及びR-C(=O)-基は、パルミトイル基を表す)のトリグリセリド、及び/又は8重量%~20重量%の重量量の式(I)(それについて、R-C(=O)-、R-C(=O)-及びR-C(=O)-基は、ステアロイル基を表す)のトリグリセリド、及び/又は80重量%~95重量%の重量量の式(I)(それについて、R-C(=O)-、R-C(=O)-及びR-C(=O)-基は、12-ヒドロキシステアロイル基を表す)のトリグリセリド、及び/又は0重量%~5重量%の重量量の式(I)(それについて、R-C(=O)-、R-C(=O)-及びR-C(=O)-基は、9,10-ジヒドロキシオクタデカノイル基を表す)のトリグリセリドを含む混合物を意味する。
【0053】
別の主題によれば、本発明の主題は、上で定義され、記載されたような組成物(C)の調製方法であって、前記方法が、以下の段階:
- エマルジョン(E)の調製の段階a)、
- 20℃の温度で及び500~1000回転/分の速度で機械撹拌しながら、好適な体積のビーカーにあらかじめ導入された、所望量の水へのエマルジョン(E)の添加の段階b)。撹拌は、水性ゲルが得られるまで続行される、
- ゲルの形態での均一な混合物を得るために、段階b)から生じるゲルの所望量のエタノールの添加であって、前記添加が20℃の温度で及び500~1000回転/分の速度で機械撹拌しながら実施される添加の段階c)、
- 20℃~35℃の温度で及び500~1000回転/分の速度で機械撹拌しながら、段階c)から生じる混合物への式(II)の化合物の添加の段階d)、
- 任意選択的に、20℃~35℃の温度で及び500~1000回転/分の速度で機械撹拌しながら、段階d)から生じる混合物の上で定義されたような少なくとも1種の皮膚軟化剤及び/又は保湿剤の添加の段階e)
を含む方法である。
【0054】
本発明の主題であり、上で記載されたとおりである本方法の代わりの形態によれば、段階b)に、段階b)から生じるゲルの、所望量のエタノールと別々に前もって調製された、式(II)の化合物との混合物の添加からなる段階c’)が続き;前記段階c’)は、20℃~35℃の温度で及び500~1000回転/分の速度で機械撹拌しながら実施される。任意選択の段階e)はそのとき不変のままである。
【0055】
エマルジョン(E)、例えば、商品名SepigelTM 305、SimulgelTM 600、SimulgelTM EG、SimulgelTM NS、SimulgelTM INS100、SimulgelTM FL、SimulgelTM SMS 88、SepiplusTM 400、SepiplusTM 265及びSepiplusTM 800で販売される自己反転性逆エマルジョンなどは、商業的に入手することができる。
【0056】
エマルジョン(E)はまた、当業者に周知の、逆エマルジョンラジカル重合法の使用によって調製することができ、それは、以下の段階:
a’)水を、上で記載されたような水溶性モノマー、架橋モノマー、少なくとも1種の金属イオン封鎖剤及び任意選択的に当業者に公知の添加剤と混合することによる水相の調製と;
b’)少なくとも1種の油(O)及び油中水型の乳化界面活性剤系(S)を含む有機相の調製と、
c’)段階a’)及びb’)において調製された水相と有機相との混合及びエマルジョンを形成するための乳化と、
d’)窒素でのエマルジョンの不活性化と、
e’)不活性化エマルジョンへの、フリーラジカル開始剤の導入による重合反応の開始と、
f’)段階e’)から生じる反応媒体への、30℃~60℃の温度での水中油型の乳化界面活性剤系(S)の導入と
を含む。
【0057】
場合によっては、エマルジョン(E)の調製方法は、下記の特徴:
- 本方法は、段階a’)とb’)との間に、段階a’)において調製された水相への、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化アンモニウム溶液、モノエタノールアミン塩溶液及びリジン塩溶液から選択される溶液の添加の段階を含む;
- 段階e’)において、ラジカル開始剤は、クメンヒドロペルオキシド/メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)対又はクメンヒドロペルオキシド/塩化チオニル(SOCl)対などの、亜硫酸水素(HSO )イオンを発生させる酸化還元対である;
- 段階e’)において、重合共開始剤、好ましくはアゾビス(イソブチロニトリル)が不活性化エマルジョンへ導入される;
- 段階a’)において、水相のpHは、3.0~7.0、より特に3.5~6.5、より特に更に4.0~6.5に調整される;
- 段階e’)から生じる反応媒体は、段階f’)を実施する前に蒸留によって濃縮される
の1つ以上を示すことができる。
【0058】
本発明の別の主題は、本発明による組成物(C)の、手の皮膚への適用の少なくとも1つの工程Aを含むことを特徴とする、前記手の消毒方法である。
【0059】
言い換えれば、本発明の主題は、組成物(C)の、手の皮膚への適用により前記手を消毒するための組成物(C)の使用である。
【0060】
手の消毒方法は、段階Aの実施の後に手を擦り合わせる段階Bを更に含むことができる。
【0061】
本発明による組成物(C)は、ボトル、噴霧ボトル、ポンプアクションスプレー、ロールオン又はチューブの形態で、より特に噴霧ボトル又はポンプアクションスプレーの形態で容器に入れることができる。
【0062】
本発明の別の主題は、したがって、噴霧手段とパッケージング手段とを含む、及び本発明による組成物(C)を含有する、容器、好ましくはボトルである。特定の態様によれば、本発明の主題である容器に含まれる噴霧手段は、手動ポンプである。
【0063】
本発明による組成物(C)は、したがって、手のひらに適用することができ、手のひらは、他の手と擦り合わせられるか、又は他の部分一面にそれを擦り合わせるために、本発明による組成物(C)を身体の別の部分に、特に他の手の前腕に適用するために使用されるかのどちらかであろう。
【0064】
以下の実施例は、本発明を例示するが、それを限定しない。
【実施例
【0065】
I.本発明による組成物の及び比較組成物の調製及び評価
I-1.本発明による組成物の及び比較組成物の調製
これらの組成物についてそれらの構成成分の重量割合がそれぞれ下の表1及び2に示される、(F)~(F)と呼ばれる、本発明による3つの水アルコール組成物、並びに(F’)~(F’10)と呼ばれる、10の比較組成物を調製する。
【0066】
これらの組成物に共通した調製方法は、以下の通りである:
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
(1):SimulgelTM 600は、逆エマルジョンの油中水界面活性剤系中のソルビタンオレエートの存在下に、そのポリマー主鎖がアクリルアミドモノマーとナトリウム塩形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸モノマーとメチレンビスアクリルアミドとを含む、油中水型のエマルジョンの形態で提供される、自己反転性逆ラテックス(INCI名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー&イソヘキサデカン&ポリソルベート80)である。
(2)(IL)は、逆エマルジョンの油中水界面活性剤系中のソルビタンオレエート及び逆エマルジョンの水中油界面活性剤系中の7モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化ラウリルアルコールの存在下に、そのポリマー主鎖が、アクリルアミドモノマーとナトリウム塩形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸モノマーとメチレンビスアクリルアミドとを含む、ポリマーをそれ自体含有する水相を含み、その油相がC13~14イソパラフィンである、油中水型のエマルジョンの形態で提供される、自己反転性逆ラテックスである。
エマルジョン(IL)は、エマルジョン(E)について上で記載された方法に従って調製される。
(3):SimulsolTM P23は、23モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたラウリルアルコールである(MW=1198)。
(4):PEG-25水素化ヒマシ油(INCI名)は、25モルのエチレンオキシドを有する水素化された及びエトキシル化されたヒマシ油である。
(5):PEG-30水素化ヒマシ油(INCI名)は、30モルのエチレンオキシドを有する水素化された及びエトキシル化されたヒマシ油である。
(6):MontanoxTM 80は、20モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化されたソルビタンモノオレエートである。
(7):MontanoxTM 20は、20モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化ソルビタンモノである(MW=1226)。
(8):OramixTM CG 110は、カプリリルグルコシド及びカプリルグルコシドを含む水性組成物である。
(9):SepiclearTM G7は、n-ヘプチルグルコシドを含む水性組成物である。
【0070】
I-2.本発明による組成物の及び比較組成物の評価
このようにして調製された本発明による水アルコール組成物(F)~(F)及び比較水アルコール組成物(F’)~(F’10)を、その後7日間25℃の温度で調節される断熱気候室中に保管する。7日のこの期間の終わりに、各水アルコール組成物を、以下の測定によって評価する:
- 7日間25℃での保管の期間後に、適切なスピンドルを備えた、6回転/分の速度(S6)でのBrookfield LVT型の粘度計を用いる25℃での動的粘度(μ)の測定。
- ホルムアミジン溶液(0.9NTU)で事前に較正された、商品名HF ScienticTM、モデルDRT100Bの光学濁度計を用いる、25℃の温度での得られた水アルコール組成物の曇り度の測定;曇り度測定結果は、NTU単位で表す。
- 7日間25℃での保管の期間後の調製された水アルコール組成物の外観の目視評価;各水アルコール組成物の外観は、実験者によって書き留められ、場合によって、無色透明な(CR)、曇った(CY)又は曇った-不均一な(CY-H)と評される。
【0071】
本発明による水アルコール組成物(F)~(F)及び比較水アルコール組成物(F’)~(F’10)について得られた結果を、それぞれ、下の表3及び4に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
I-3.得られた結果の解析及び結果についての解説
a)例えば、比較組成物(F’)、(F’)、(F’)及び(F’10)中にそれぞれ存在する、ポリソルベート80、ポリソルベート20、カプリリル/カプリルグルコシド又はn-ヘプチルグルコシドなどの、当業者に公知の可溶化剤の使用は、透明である、すなわちその曇り度の測定結果が25NTU未満である、水アルコール組成物を達成することを可能にしないが、その一方で、1.8%の逆ラテックス(IL)及び3%のグリセロール、しかしまた4重量%の式(II)の化合物(PEG-30水素化ヒマシ油)を含む、処方(F)は、25NTU未満の曇り度を得ることを可能にする。
【0075】
b)同様に、本発明による組成物が、増粘成分として、商品名SimulgelTM 600で販売されるエマルジョン(E)(つまり自己反転性逆ラテックス)を含む場合、式(II)の化合物(PEG-30水素化ヒマシ油)の選択は、例えば、PEG-30水素化ヒマシ油又は23モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたラウリルアルコールなどの、当業者に公知の他の可溶化剤と比較して、透明である、すなわち、その曇り度の測定結果が25NTU未満である水アルコール組成物を得ることを可能にする。したがって、水アルコール組成物(F)及び(F)は、いかなる可溶化剤も含有しない、比較組成物(F’)及び(F’)並びに比較組成物(F’)とは違って、無色透明な物理的外観、1500mPa.s以上及び10,000mPa.s以下の粘度、並びに25NTU未満の曇り度で特徴付けられる。
【国際調査報告】