(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】好中球セリンプロテアーゼを抽出するおよびジペプチジルペプチダーゼ1媒介性病態を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 9/64 20060101AFI20230809BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230809BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230809BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230809BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230809BHJP
A61P 11/08 20060101ALI20230809BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230809BHJP
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A61P 11/16 20060101ALI20230809BHJP
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A61P 31/16 20060101ALI20230809BHJP
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A61P 31/20 20060101ALI20230809BHJP
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A61P 25/28 20060101ALI20230809BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20230809BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230809BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230809BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230809BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230809BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230809BHJP
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A61P 1/02 20060101ALI20230809BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230809BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230809BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230809BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230809BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20230809BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230809BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230809BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230809BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230809BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230809BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230809BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230809BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230809BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230809BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230809BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20230809BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20230809BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20230809BHJP
【FI】
C12N9/64 Z
A61P43/00 111
A61P11/04
A61P11/06
A61P11/00
A61P11/08
A61P43/00 105
A61P37/08
A61P11/02
A61P11/16
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/14
A61P31/20
A61P9/00
A61P35/00
A61P35/04
A61P15/14
A61P13/10
A61P25/28
A61P15/08
A61P1/18
A61P1/04
A61P13/08
A61P1/16
A61P13/12
A61P17/02
A61P1/02
A61P5/14
A61P19/08
A61P35/02
A61P3/04
A61K31/553
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/70
A61K9/08
A61K9/10
A61K47/14
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/04
A61K9/28
G01N33/68
C12N5/078
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502630
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021042199
(87)【国際公開番号】W WO2022020245
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513204012
【氏名又は名称】インスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バッソ,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジミン
(72)【発明者】
【氏名】シポラ,デビッド
【テーマコード(参考)】
2G045
4B065
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA20
4B065AA90X
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4B065BD16
4B065CA08
4B065CA44
4C076AA11
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4C086ZB33
4C086ZC02
4C086ZC06
4C086ZC51
(57)【要約】
対象から獲得された白血球(WBC)を含むサンプルから、1種または複数の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)、例えば好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)、またはその組み合わせを抽出するための方法が提供される。抽出方法は、非イオン性界面活性剤の使用、ならびにWBCおよびそれらの残留物の2回以上のサイクルの繰り返しの溶解を特色とする。ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)活性を可逆的に阻害する、その薬学的に許容される塩を含めた式(I)のある特定のN-(1-シアノ-2-フェニルエチル)-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド化合物を含む組成物を用いて、患者におけるDPP1媒介性病態を治療するための方法も提供される。本明細書において提供される治療方法は、患者のWBCサンプルから抽出された活性NSPの濃度をバイオマーカーとして使用して、式(I)の化合物の有効投薬量の選択またはその調整をガイドする。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から獲得されたWBCを含むサンプルから1種または複数のNSPを抽出する方法であって、
サンプルと、少なくとも0.01%(v/v)の第1の非イオン性界面活性剤を含む第1の水性媒体とを接触させて、第1の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)抽出物を含む第1の細胞溶解物および第1の白血球(WBC)残留物を獲得する工程であって、第1のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、
第1のWBC残留物から第1の細胞溶解物を分離して、第1のNSP抽出物を含む第1の分離された細胞溶解物を提供する工程、
第1のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第2の非イオン性界面活性剤を含む第2の水性媒体とを接触させて、第2のNSP抽出物を含む第2の細胞溶解物および第2のWBC残留物を獲得する工程であって、第2のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第2のWBC残留物から第2の細胞溶解物を分離して、第2のNSP抽出物を含む第2の分離された細胞溶解物を提供する工程
を含む、方法。
【請求項2】
サンプルと第1の水性媒体とを接触させる工程、および第1のWBC残留物と第2の水性媒体とを接触させる工程それぞれが、約0℃~約10℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サンプルと第1の水性媒体とを接触させる工程が、サンプルと第1の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
サンプルと第1の水性媒体とを混合する工程が、サンプルと第1の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
パドルがUSP装置2である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1のWBC残留物と第2の水性媒体とを接触させる工程が、第1のWBC残留物と第2の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
第1のWBC残留物と第2の水性媒体とを混合する工程が、第1のWBC残留物と第2の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
パドルがUSP装置2である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の非イオン性界面活性剤および第2の非イオン性界面活性剤が同じである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
第1の非イオン性界面活性剤および第2の非イオン性界面活性剤が、異なる非イオン性界面活性剤である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第1の非イオン性界面活性剤および第2の非イオン性界面活性剤が、同じ濃度で存在する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1の非イオン性界面活性剤および第2の非イオン性界面活性剤が、異なる濃度で存在する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
第1または第2の分離された細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
第1および第2の分離された細胞溶解物を組み合わせて、第1のプールされたNSP抽出物を含む第1のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第1のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
第1のプールされたNSP抽出物を含む第1のプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第2のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第3の非イオン性界面活性剤を含む第3の水性媒体とを接触させて、第3のNSP抽出物を含む第3の細胞溶解物および第3のWBC残留物を獲得する工程であって、第3のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第3のWBC残留物から第3の細胞溶解物を分離して、第3のNSP抽出物を含む第3の分離された細胞溶解物を提供する工程
をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
第2のWBC残留物と第3の水性媒体とを接触させる工程が、約0℃~約10℃の温度で実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第2のWBC残留物と第3の水性媒体とを接触させる工程が、第2のWBC残留物と第3の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
第2のWBC残留物と第3の水性媒体とを混合する工程が、第2のWBC残留物と第3の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
パドルがUSP装置2である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第1、第2、および第3の非イオン性界面活性剤が同じである、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
第1、第2、および第3の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる非イオン性界面活性剤である、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
第1、第2、および第3の非イオン性界面活性剤が、同じ濃度で存在する、請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
第1、第2、および第3の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる濃度で存在する、請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
第1、第2、または第3の分離された細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項24~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
第3の分離された細胞溶解物と、第1の分離された細胞溶解物、第2の分離された細胞溶解物、または第1および第2の分離された細胞溶解物とを組み合わせて、第2のプールされたNSP抽出物を含む第2のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第2のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項24~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
第3の分離された細胞溶解物と第1および第2の分離された細胞溶解物とを組み合わせて、第2のプールされたNSP抽出物を含む第2のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第2のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項24~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
第2のプールされたNSP抽出物を含む第2のプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
第3のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第4の非イオン性界面活性剤を含む第4の水性媒体とを接触させて、第4のNSP抽出物を含む第4の細胞溶解物および第4のWBC残留物を獲得する工程であって、第4のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第4のWBC残留物から第4の細胞溶解物を分離して、第4のNSP抽出物を含む第4の分離された細胞溶解物を提供する工程
をさらに含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
第3のWBC残留物と第4の水性媒体とを接触させる工程が、約0℃~約10℃の温度で実施される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
第3のWBC残留物と第4の水性媒体とを接触させる工程が、第3のWBC残留物と第4の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
第3のWBC残留物と第4の水性媒体とを混合する工程が、第3のWBC残留物と第4の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
パドルがUSP装置2である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
第1、第2、第3、および第4の非イオン性界面活性剤が同じである、請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
第1、第2、第3、および第4の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる非イオン性界面活性剤である、請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
第1、第2、第3、および第4の非イオン性界面活性剤が、同じ濃度で存在する、請求項41~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
第1、第2、第3、および第4の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる濃度で存在する、請求項41~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
第1、第2、第3、または第4の分離された細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項41~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
第4の分離された細胞溶解物と、第1の分離された細胞溶解物、第2の分離された細胞溶解物、第3の分離された細胞溶解物、またはその組み合わせとを組み合わせて、第3のプールされたNSP抽出物を含む第3のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第3のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項41~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
第4の分離された細胞溶解物と第1、第2、および第3の分離された細胞溶解物とを組み合わせて、第3のプールされたNSP抽出物を含む第3のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第3のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項41~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
第3のプールされたNSP抽出物を含む第3のプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
第4のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第5の非イオン性界面活性剤を含む第5の水性媒体とを接触させて、第5のNSP抽出物を含む第5の細胞溶解物および第5のWBC残留物を獲得する工程であって、第5のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第5のWBC残留物から第5の細胞溶解物を分離して、第5のNSP抽出物を含む第5の分離された細胞溶解物を提供する工程
をさらに含む、請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
第4のWBC残留物と第5の水性媒体とを接触させる工程が、約0℃~約10℃の温度で実施される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
第4のWBC残留物と第5の水性媒体とを接触させる工程が、第4のWBC残留物と第5の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
第4のWBC残留物と第5の水性媒体とを混合する工程が、第4のWBC残留物と第5の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
パドルがUSP装置2である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
第1、第2、第3、第4、および第5の非イオン性界面活性剤が同じである、請求項58~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
第1、第2、第3、第4、および第5の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる非イオン性界面活性剤である、請求項58~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
第1、第2、第3、第4、および第5の非イオン性界面活性剤が、同じ濃度で存在する、請求項58~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
第1、第2、第3、第4、および第5の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる濃度で存在する、請求項58~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
第1、第2、第3、第4、または第5の分離された細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項58~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
第5の分離された細胞溶解物と、第1の分離された細胞溶解物、第2の分離された細胞溶解物、第3の分離された細胞溶解物、第4の分離された細胞溶解物、またはその組み合わせとを組み合わせて、第4のプールされたNSP抽出物を含む第4のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第4のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項58~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
第5の分離された細胞溶解物と第1、第2、第3、および第4の分離された細胞溶解物とを組み合わせて、第4のプールされたNSP抽出物を含む第4のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第4のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項58~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
第4のプールされたNSP抽出物を含む第4のプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
第5のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第6の非イオン性界面活性剤を含む第6の水性媒体とを接触させて、第6のNSP抽出物を含む第6の細胞溶解物および第6のWBC残留物を獲得する工程であって、第6のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第6のWBC残留物から第6の細胞溶解物を分離して、第6のNSP抽出物を含む第6の分離された細胞溶解物を提供する工程
をさらに含む、請求項58~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
第5のWBC残留物と第6の水性媒体とを接触させる工程が、約0℃~約10℃の温度で実施される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
第5のWBC残留物と第6の水性媒体とを接触させる工程が、第5のWBC残留物と第6の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
第5のWBC残留物と第6の水性媒体とを混合する工程が、第5のWBC残留物と第6の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
パドルがUSP装置2である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
第1、第2、第3、第4、第5、および第6の非イオン性界面活性剤が同じである、請求項75~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
第1、第2、第3、第4、第5、および第6の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる非イオン性界面活性剤である、請求項75~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
第1、第2、第3、第4、第5、および第6の非イオン性界面活性剤が、同じ濃度で存在する、請求項75~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
第1、第2、第3、第4、第5、および第6の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2種が、異なる濃度で存在する、請求項75~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
第1、第2、第3、第4、第5、または第6の分離された細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項75~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
第6の分離された細胞溶解物と、第1の分離された細胞溶解物、第2の分離された細胞溶解物、第3の分離された細胞溶解物、第4の分離された細胞溶解物、第5の分離された細胞溶解物、またはその組み合わせとを組み合わせて、第5のプールされたNSP抽出物を含む第5のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第5のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項75~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
第6の分離された細胞溶解物と第1、第2、第3、第4、および第5の分離された細胞溶解物とを組み合わせて、第5のプールされたNSP抽出物を含む第5のプールされた細胞溶解物を提供する工程であって、第5のプールされたNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程をさらに含む、請求項75~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
第5のプールされたNSP抽出物を含む第5のプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項89または90に記載の方法。
【請求項92】
サンプルと第1の水性媒体とを接触させる工程が、サンプルに水性洗浄溶液を添加して、水性洗浄溶液とサンプルとの混合物を形成する工程、水性洗浄溶液とサンプルとの混合物を遠心分離して、上清とWBCを含むペレットとを提供する工程、上清を収集する工程、およびペレットと第1の水性媒体とを接触させる工程を含む、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
ペレットと第1の水性媒体とを接触させる工程が、ペレットと第1の水性媒体とを混合する工程を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
ペレットと第1の水性媒体とを混合する工程が、ペレットと第1の水性媒体とを撹拌する工程を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
撹拌する工程が、ピペッティングすることによって行われる、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
撹拌する工程が、ボルテックスするまたは振とうすることによって行われる、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
撹拌する工程が、かき混ぜることによって行われる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
撹拌する工程が、パドルを用いて行われる、請求項94に記載の方法。
【請求項99】
パドルがUSP装置2である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
水性洗浄溶液が、リン酸緩衝生理食塩溶液、または約0.9%NaClを含む生理食塩溶液である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
水性洗浄溶液が、Trisベースのアルカリ性緩衝液およびNaClを含む、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
水性洗浄溶液が、約100mM Trisおよび約100mM NaClを含み、約7.5のpHを有する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
上清が1種または複数のNSPを含み、方法が、上清の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項92~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、少なくとも0.02%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、少なくとも0.02%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、少なくとも0.05%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、少なくとも0.05%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.02%(v/v)~約1.5%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.02%(v/v)~約1.5%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.03%(v/v)~約1%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.03%(v/v)~約1%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.04%(v/v)~約0.8%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.04%(v/v)~約0.8%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.05%(v/v)~約0.6%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.05%(v/v)~約0.6%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.05%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.05%(v/v)のそれぞれの第1または第2の非イオン性界面活性剤を含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の非イオン性界面活性剤、またはその組み合わせが、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項1~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
第1の非イオン性界面活性剤が、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項1~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
第2の非イオン性界面活性剤が、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項1~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
第3の非イオン性界面活性剤が、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項24~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
第4の非イオン性界面活性剤が、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項41~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
第5の非イオン性界面活性剤が、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項58~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
第6の非イオン性界面活性剤が、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項75~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の非イオン性界面活性剤、またはその組み合わせが、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(分岐)、およびポリエチレングリコールソルビタンモノラウレートからなる群から選択される非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である、請求項118~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の非イオン性界面活性剤、またはその組み合わせが、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
第1の非イオン性界面活性剤が、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125または126に記載の方法。
【請求項128】
第2の非イオン性界面活性剤が、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125または126に記載の方法。
【請求項129】
第3の非イオン性界面活性剤が、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125または126に記載の方法。
【請求項130】
第4の非イオン性界面活性剤が、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125または126に記載の方法。
【請求項131】
第5の非イオン性界面活性剤が、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125または126に記載の方法。
【請求項132】
第6の非イオン性界面活性剤が、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである、請求項125または126に記載の方法。
【請求項133】
第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.05%(v/v)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、約0.75M NaCl、および約50mM HEPESを含む、請求項126~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
第1もしくは第2の水性媒体、またはその組み合わせが、約0.05%(v/v)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、約0.75M NaCl、および約50mM HEPESを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
1種または複数のNSPが、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)、またはその組み合わせを含む、請求項1~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
1種または複数のNSPが、NEを含む、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
1種または複数のNSPが、PR3を含む、請求項135または136に記載の方法。
【請求項138】
1種または複数のNSPが、CatGを含む、請求項135~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
1種または複数のNSPが、NSP4を含む、請求項135~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
対象が、ヒト対象である、請求項1~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
それを必要とする患者におけるDPP1媒介性病態を治療する方法であって、
(a)患者から獲得された白血球を含む第1のサンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態のベースライン濃度を測定する工程、
(b)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の約10mg~約40mgの第1の1日投薬量を含む薬学的組成物を、約2週間~約16週間の第1の投与期間毎日患者に経口投与する工程、
【化1】
(式中、R
1は、
【化2】
であり;
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1~3アルキル、またはC
1~3アルキルであり;
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1~3アルキル、CONH
2、またはSO
2NR
4R
5(式中、R
4およびR
5は、それらが付着される窒素原子とともにアゼチジン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成する)であり;
Xは、O、S、またはCF
2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNであり;
R
6はC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランから選択される1種の置換基によって置換されており;
R
7は、水素、F、Cl、またはCH
3である);
(c)白血球を含む第2のサンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程であって、第2のサンプルは、第1の投与期間の間または第1の投与期間の約1週間以下後に患者から獲得される、工程、
(d)第2のサンプルからの濃度と、第1のサンプルからのベースライン濃度とを比較し;
第2のサンプルからの濃度が、第1のサンプルからのベースライン濃度と比較して約10%以上低下した場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量と同じ1日投薬量を、第2の投与期間毎日患者に経口投与する工程、または
第2のサンプルからの濃度が、第1のサンプルからのベースライン濃度と比較して約10%以上低下しなかった場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第2の1日投薬量を、第2の投与期間毎日患者に経口投与する工程であって、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約7倍である、工程
を含む、方法。
【請求項142】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、S,Sジアステレオマー:
【化3】
である、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、S,Rジアステレオマー:
【化4】
である、請求項141に記載の方法。
【請求項144】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、R,Sジアステレオマー:
【化5】
である、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、R,Rジアステレオマー:
【化6】
である、請求項141に記載の方法。
【請求項146】
組成物が、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと式(I)の化合物のS,Rジアステレオマーとの混合物を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項147】
組成物が、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと式(I)の化合物のR,Sジアステレオマーとの混合物を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項148】
組成物が、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと式(I)の化合物のR,Rジアステレオマーとの混合物を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項149】
R
1が、
【化7】
であり;
Xが、O、S、またはCF
2であり;
Yが、OまたはSであり;
Qが、CHまたはNであり;
R
6がC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランから選択される1種の置換基によって置換されており;
R
7が、水素、F、Cl、またはCH
3である、請求項141~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
R
1が、
【化8】
であり;
Xが、O、S、またはCF
2であり;
Yが、OまたはSであり;
R
6がC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランから選択される1種の置換基によって置換されており;
R
7が、水素、F、Cl、またはCH
3である、請求項141~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
R
1が、
【化9】
である、請求項141~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
Xが、O、S、またはCF
2であり;R
6がC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって置換されており;R
7が、水素、F、Cl、またはCH
3である、請求項141~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
XがOであり;R
6がC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって置換されており;R
7が水素である、請求項141~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
XがOであり;R
6がC
1~3アルキルであり;R
7が水素である、請求項141~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
式(I)の化合物が、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
4’-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3’,4’-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-2-(4’-カルバモイル-3’-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4’-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項141または142に記載の方法。
【請求項156】
式(I)の化合物が、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項141または142に記載の方法。
【請求項157】
式(I)の化合物が、ブレンソカチブである、請求項141または142に記載の方法。
【請求項158】
式(I)の化合物が、(2S)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化10】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項141または143に記載の方法。
【請求項159】
式(I)の化合物が、(2S)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化11】
である、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
式(I)の化合物が、(2R)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化12】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項141または144に記載の方法。
【請求項161】
式(I)の化合物が、(2R)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化13】
である、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
式(I)の化合物が、(2R)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化14】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項141または145に記載の方法。
【請求項163】
式(I)の化合物が、(2R)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化15】
である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
組成物が、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩と、(2S)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化16】
またはその薬学的に許容される塩との混合物を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項165】
組成物が、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩と、(2R)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化17】
またはその薬学的に許容される塩との混合物を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項166】
組成物が、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩と、(2R)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化18】
またはその薬学的に許容される塩との混合物を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項167】
組成物が、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む、請求項141~166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
組成物が、
(a)約1~約30wt%の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
(b)約55~約75wt%の薬学的希釈剤、
(c)約15~約25wt%の圧縮補助剤、
(d)約3~約5wt%の薬学的崩壊剤、
(e)約0.00~約1wt%の薬学的滑剤;および
(f)約2~約6wt%の薬学的潤滑剤、
を含み、構成要素重量は合計すると100wt%になる、請求項141~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
薬学的潤滑剤が、ベヘン酸グリセロールである、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
薬学的希釈剤が、微結晶セルロースである、請求項168または169に記載の方法。
【請求項171】
圧縮補助剤が、第二リン酸カルシウム二水和物である、請求項168~170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
薬学的崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウムである、請求項168~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
薬学的滑剤が、二酸化ケイ素である、請求項168~172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
組成物が、錠剤形態にある、請求項168~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
組成物が、錠剤コーティングをさらに含む、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
式(I)の化合物が、薬学的組成物の総重量の約3~約10wt%で存在する、請求項168~175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
薬学的潤滑剤が、ベヘン酸グリセロールであり、ベヘン酸グリセロールは、組成物の総重量の約2.5~約4.5wt%で存在する、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
薬学的滑剤が、二酸化ケイ素であり、二酸化ケイ素は、組成物の総重量の約0.05~約0.25wt%で存在する、請求項176または177に記載の方法。
【請求項179】
薬学的崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウムであり、デンプングリコール酸ナトリウムは、組成物の総重量の約3.5~約4.5wt%で存在する、請求項176~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
圧縮補助剤が、第二リン酸カルシウム二水和物であり、第二リン酸カルシウム二水和物は、組成物の総重量の約18~約22wt%で存在する、請求項176~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
薬学的希釈剤が、微結晶セルロースであり、微結晶セルロースは、組成物の総重量の約55~約70wt%で存在する、請求項176~180のいずれか一項に記載の方法。
【請求項182】
第2の1日投薬量が、第1の1日投薬量の約1.5倍~約6倍である、請求項141~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項183】
第2の1日投薬量が、第1の1日投薬量の約1.5倍~約5倍である、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
第2の1日投薬量が、第1の1日投薬量の約1.5倍~約4倍である、請求項182に記載の方法。
【請求項185】
第2の1日投薬量が、第1の1日投薬量の約1.5倍~約3倍である、請求項182に記載の方法。
【請求項186】
第2の1日投薬量が、第1の1日投薬量の約1.5倍~約2倍である、請求項182に記載の方法。
【請求項187】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約10mg~約25mgである、請求項141~186のいずれか一項に記載の方法。
【請求項188】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約10mg~約15mgである、請求項141~187のいずれか一項に記載の方法。
【請求項189】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約10mg~約12mgである、請求項141~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約16mg~約25mgである、請求項184~186のいずれか一項に記載の方法。
【請求項191】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約20mg~約25mgである、請求項185または186に記載の方法。
【請求項192】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約25mg~約40mgである、請求項185または186に記載の方法。
【請求項193】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約10mgであり、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約2倍~約6.5倍である、請求項141~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量が、約25mgであり、第2の1日投薬量が、第1の1日投薬量の約1.6倍~約2.6倍である、請求項141~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
第2のサンプルが、第1の投与期間の間に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項196】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了時に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約7日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項198】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約6日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項199】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約5日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項200】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約4日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項201】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約3日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項202】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約2日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項203】
第2のサンプルが、第1の投与期間の終了の約1日前に患者から獲得される、請求項195に記載の方法。
【請求項204】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約1週間後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項205】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約1日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項206】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約2日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項207】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約3日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項208】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約4日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項209】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約5日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項210】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約6日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項211】
第2のサンプルが、第1の投与期間の約7日後に患者から獲得される、請求項141~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項212】
第1の投与期間が、約2週間~約12週間である、請求項141~211のいずれか一項に記載の方法。
【請求項213】
第1の投与期間が、約2週間~約8週間である、請求項141~212のいずれか一項に記載の方法。
【請求項214】
第1の投与期間が、約3週間~約6週間である、請求項141~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項215】
第1の投与期間が、約3週間~約5週間である、請求項141~214のいずれか一項に記載の方法。
【請求項216】
第1の投与期間が、約3週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項217】
第1の投与期間が、約4週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項218】
第1の投与期間が、約5週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項219】
第1の投与期間が、約6週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項220】
第1の投与期間が、約7週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項221】
第1の投与期間が、約8週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項222】
第1の投与期間が、約9週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項223】
第1の投与期間が、約10週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項224】
第1の投与期間が、約11週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項225】
第1の投与期間が、約12週間である、請求項212に記載の方法。
【請求項226】
第1の投与期間が、約4週間であり、第2のサンプルが、第1の投与期間の間の約4週間の時点で患者から獲得される、請求項141~195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項227】
1種または複数のNSPが、NEを含む、請求項141~226のいずれか一項に記載の方法。
【請求項228】
第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度が、第1のサンプル由来のNEの活性形態のベースライン濃度と比較して約19%以上低下した場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量と同じ1日投薬量を、第2の投与期間毎日経口投与する、または第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度が、第1のサンプル由来のNEの活性形態のベースライン濃度と比較して約19%以上低下しなかった場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第2の1日投薬量を、第2の投与期間毎日経口投与する、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
1種または複数のNSPが、PR3を含む、請求項141~228のいずれか一項に記載の方法。
【請求項230】
1種または複数のNSPが、CatGを含む、請求項141~229のいずれか一項に記載の方法。
【請求項231】
1種または複数のNSPが、NSP4を含む、請求項141~230のいずれか一項に記載の方法。
【請求項232】
第2の投与期間が、少なくとも1カ月間である、請求項141~231のいずれか一項に記載の方法。
【請求項233】
第2の投与期間が、約1カ月間~約12カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項234】
第2の投与期間が、約5カ月間~約24カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項235】
第2の投与期間が、約5カ月間~約18カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項236】
第2の投与期間が、約5カ月間~約15カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項237】
第2の投与期間が、約3カ月間~約6カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項238】
第2の投与期間が、約6カ月間~約12カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項239】
第2の投与期間が、約12カ月間~約18カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項240】
第2の投与期間が、約12カ月間~約24カ月間である、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項241】
第1および第2の投与期間の間毎日患者に経口投与する工程が、1日1回行われる、請求項141~240のいずれか一項に記載の方法。
【請求項242】
第1および第2の投与期間の間毎日患者に経口投与する工程が、1日2回行われる、請求項141~240のいずれか一項に記載の方法。
【請求項243】
1種または複数のNSPが、請求項1~140のいずれか一項に記載の方法によって第1のサンプルから抽出される、請求項141~242のいずれか一項に記載の方法。
【請求項244】
1種または複数のNSPが、請求項1~140のいずれか一項に記載の方法によって第2のサンプルから抽出される、請求項141~243のいずれか一項に記載の方法。
【請求項245】
DPP1媒介性病態が、気道の閉塞性疾患である、請求項141~244のいずれか一項に記載の方法。
【請求項246】
気道の閉塞性疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症、サルコイドーシス、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症、農夫肺もしくは関連疾患、過敏性肺臓炎、肺線維症、急性もしくは慢性鼻炎、通年性および季節性アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、または呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス、もしくはアデノウイルス感染症に起因した気道の閉塞性疾患である、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
気道の閉塞性疾患が、気管支拡張症である、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
気管支拡張症が、非嚢胞性線維症気管支拡張症である、請求項247に記載の方法。
【請求項249】
気道の閉塞性疾患が、嚢胞性線維症である、請求項246に記載の方法。
【請求項250】
気道の閉塞性疾患が、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症である、請求項246に記載の方法。
【請求項251】
気道の閉塞性疾患が、COPDである、請求項246に記載の方法。
【請求項252】
気道の閉塞性疾患が、喘息である、請求項246に記載の方法。
【請求項253】
喘息が、気管支性、アレルギー性、内因性、外因性、またはダスト喘息である、請求項252に記載の方法。
【請求項254】
気道の閉塞性疾患が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である、請求項246に記載の方法。
【請求項255】
DPP1媒介性病態が、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)関連血管炎である、請求項141~244のいずれか一項に記載の方法。
【請求項256】
ANCA関連血管炎が、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)である、請求項255に記載の方法。
【請求項257】
ANCA関連血管炎が、顕微鏡的多発血管炎(MPA)である、請求項255に記載の方法。
【請求項258】
DPP1媒介性病態が、癌である、請求項141~244のいずれか一項に記載の方法。
【請求項259】
癌が、原発性固形腫瘍、液性腫瘍、または転移性癌である、請求項258に記載の方法。
【請求項260】
DPP1が、癌性細胞、好中球、マクロファージ、単球、または肥満細胞によって発現される、請求項259に記載の方法。
【請求項261】
癌が、転移性癌である、請求項259または260に記載の方法。
【請求項262】
転移性癌が、転移性乳癌を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項263】
転移性乳癌が、肺、脳、骨、膵臓、リンパ節、および/または肝臓への乳癌の転移を含む、請求項262に記載の方法。
【請求項264】
転移性乳癌が、肺への乳癌の転移を含む、請求項263に記載の方法。
【請求項265】
転移性乳癌が、脳への乳癌の転移を含む、請求項263に記載の方法。
【請求項266】
転移性乳癌が、骨への乳癌の転移を含む、請求項263に記載の方法。
【請求項267】
転移性乳癌が、膵臓への乳癌の転移を含む、請求項263に記載の方法。
【請求項268】
転移性乳癌が、リンパ節への乳癌の転移を含む、請求項263に記載の方法。
【請求項269】
転移性乳癌が、肝臓への乳癌の転移を含む、請求項263に記載の方法。
【請求項270】
転移性癌が、肺への骨癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項271】
転移性癌が、腹膜、膵臓、胃、肺、肝臓、腎臓、および/または脾臓への結腸直腸癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項272】
転移性癌が、腸間膜、脾臓、膵臓、肺、肝臓、副腎、および/または卵巣への胃癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項273】
転移性癌が、リンパ節、肺、肝臓、後肢、脳、腎臓、および/または脾臓への白血病の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項274】
転移性癌が、腸、脾臓、膵臓、胃、肺、および/または腎臓への肝臓癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項275】
転移性癌が、腎臓、卵巣、肝臓、膀胱、および/または脾臓へのリンパ腫の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項276】
転移性癌が、腸、肺、肝臓、脾臓、腎臓、および/または胃への造血性癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項277】
転移性癌が、リンパ節および/または肺への黒色腫の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項278】
転移性癌が、腸間膜、卵巣、腎臓、脾臓、リンパ節、胃、および/または肝臓への膵臓癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項279】
転移性癌が、肺、膵臓、腎臓、脾臓、腸、肝臓、骨、および/またはリンパ節への前立腺癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項280】
転移性癌が、横隔膜、肝臓、腸、胃、肺、膵臓、脾臓、腎臓、リンパ節、および/または子宮への卵巣癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項281】
転移性癌が、骨への骨髄腫の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項282】
転移性癌が、骨、脳、リンパ節、肝臓、卵巣、および/または腸への肺癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項283】
転移性癌が、肝臓、肺、膵臓、胃、脳、および/または脾臓への腎臓癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項284】
転移性癌が、骨、肝臓、および/または肺への膀胱癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項285】
転移性癌が、骨、肝臓、および/または肺への甲状腺癌の転移を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項286】
癌が、原発性固形腫瘍である、請求項259または260に記載の方法。
【請求項287】
癌が、乳癌、膀胱癌、肺癌、脳腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肝臓癌、肝細胞癌腫、腎臓癌、胃癌、皮膚癌、線維性癌、リンパ腫、ウイルス誘導性癌、口腔咽頭癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、黒色腫、および骨癌からなる群から選択される、請求項286に記載の方法。
【請求項288】
癌が、膀胱癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項289】
癌が、肺癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項290】
癌が、脳腫瘍である、請求項287に記載の方法。
【請求項291】
脳腫瘍が、星細胞腫、退形成性星細胞腫、多形性膠芽細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、髄膜腫、神経鞘腫、または髄芽腫である、請求項290に記載の方法。
【請求項292】
脳腫瘍が、星細胞腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項293】
脳腫瘍が、退形成性星細胞腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項294】
脳腫瘍が、多形性膠芽細胞腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項295】
脳腫瘍が、乏突起膠腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項296】
脳腫瘍が、上衣腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項297】
脳腫瘍が、髄膜腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項298】
脳腫瘍が、神経鞘腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項299】
脳腫瘍が、髄芽腫である、請求項291に記載の方法。
【請求項300】
癌が、卵巣癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項301】
癌が、膵臓癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項302】
癌が、結腸直腸癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項303】
癌が、前立腺癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項304】
癌が、肝臓癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項305】
癌が、肝細胞癌腫である、請求項287に記載の方法。
【請求項306】
癌が、腎臓癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項307】
癌が、胃癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項308】
癌が、皮膚癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項309】
癌が、線維性癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項310】
線維性癌が、平滑筋肉腫である、請求項309に記載の方法。
【請求項311】
癌が、リンパ腫である、請求項287に記載の方法。
【請求項312】
リンパ腫が、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、またはカポジ肉腫である、請求項311に記載の方法。
【請求項313】
リンパ腫が、ホジキンリンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項314】
リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項315】
リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項316】
リンパ腫が、B細胞免疫芽球性リンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項317】
リンパ腫が、ナチュラルキラー細胞リンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項318】
リンパ腫が、T細胞リンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項319】
リンパ腫が、バーキットリンパ腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項320】
リンパ腫が、カポジ肉腫である、請求項312に記載の方法。
【請求項321】
癌が、ウイルス誘導性癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項322】
癌が、口腔咽頭癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項323】
癌が、精巣癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項324】
癌が、胸腺癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項325】
癌が、甲状腺癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項326】
癌が、黒色腫である、請求項287に記載の方法。
【請求項327】
癌が、骨癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項328】
癌が、乳癌である、請求項287に記載の方法。
【請求項329】
乳癌が、腺管癌腫、小葉癌腫、髄様癌腫、膠様癌腫、管状癌腫、または炎症性乳癌を含む、請求項328に記載の方法。
【請求項330】
乳癌が、腺管癌腫を含む、請求項329に記載の方法。
【請求項331】
乳癌が、小葉癌腫を含む、請求項329に記載の方法。
【請求項332】
乳癌が、髄様癌腫を含む、請求項329に記載の方法。
【請求項333】
乳癌が、膠様癌腫を含む、請求項329に記載の方法。
【請求項334】
乳癌が、管状癌腫を含む、請求項329に記載の方法。
【請求項335】
乳癌が、炎症性乳癌を含む、請求項329に記載の方法。
【請求項336】
癌が、液性腫瘍である、請求項259または260に記載の方法。
【請求項337】
液性腫瘍が、急性骨髄白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄白血病、有毛細胞白血病、骨髄増殖性障害、ナチュラルキラー細胞白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、および骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される、請求項336に記載の方法。
【請求項338】
液性腫瘍が、急性骨髄白血病(AML)である、請求項337に記載の方法。
【請求項339】
液性腫瘍が、急性リンパ芽球性白血病である、請求項337に記載の方法。
【請求項340】
液性腫瘍が、急性リンパ球性白血病である、請求項337に記載の方法。
【請求項341】
液性腫瘍が、急性前骨髄球性白血病である、請求項337に記載の方法。
【請求項342】
液性腫瘍が、慢性骨髄白血病である、請求項337に記載の方法。
【請求項343】
液性腫瘍が、有毛細胞白血病である、請求項337に記載の方法。
【請求項344】
液性腫瘍が、骨髄増殖性障害である、請求項337に記載の方法。
【請求項345】
液性腫瘍が、ナチュラルキラー細胞白血病である、請求項337に記載の方法。
【請求項346】
液性腫瘍が、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物である、請求項337に記載の方法。
【請求項347】
液性腫瘍が、慢性骨髄性白血病(CML)である、請求項337に記載の方法。
【請求項348】
液性腫瘍が、肥満細胞症である、請求項337に記載の方法。
【請求項349】
液性腫瘍が、慢性リンパ球性白血病(CLL)である、請求項337に記載の方法。
【請求項350】
液性腫瘍が、多発性骨髄腫(MM)である、請求項337に記載の方法。
【請求項351】
液性腫瘍が、骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項337に記載の方法。
【請求項352】
癌が、小児癌である、請求項258に記載の方法。
【請求項353】
小児癌が、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、骨肉腫、またはユーイング肉腫である、請求項352に記載の方法。
【請求項354】
小児癌が、神経芽細胞腫である、請求項353に記載の方法。
【請求項355】
小児癌が、ウィルムス腫瘍である、請求項353に記載の方法。
【請求項356】
小児癌が、横紋筋肉腫である、請求項353に記載の方法。
【請求項357】
小児癌が、網膜芽細胞腫である、請求項353に記載の方法。
【請求項358】
小児癌が、骨肉腫である、請求項353に記載の方法。
【請求項359】
小児癌が、ユーイング肉腫である、請求項353に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月20日に出願された米国仮出願第63/053,939号、および2021年6月28日に出願された米国仮出願第63/215,599号からの優先権を主張するものであり、そのそれぞれの開示は本明細書における参照によりその全体として組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 好中球セリンプロテアーゼ(NSP)は、好中球のアズール顆粒の内側に存在する。広範な基質特異性を有して、NSPは好中球の機能に重要であり、細菌感染からの免疫保護においておよび炎症性病態の調節において主要な役割を果たす。公知のNSPは、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、および好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)を含む。古典的NSP、すなわちNE、PR3、およびCatGは、好中球分化の前骨髄球段階の間に不活性チモーゲンとして合成され、それは、アミノ末端におけるタンパク質分解的プロセシングを介して、システインプロテアーゼのジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1;カテプシンCとしても知られる)によって活性化される。最近発見されたが、NSP4は、NEおよびPR3と39%の同一性を有し、好中性顆粒球および骨髄前駆細胞において制限された発現を呈する。NE、PR3、およびCatGのように、NSP4は、アミノ末端におけるタンパク質分解的プロセシングを介して、DPP1によって活性プロテアーゼに変換される。Phamら、Nature Reviews Immunology、6:541-550(2006);Pereraら、PNAS、109:6229-6234(2012)を参照されたく、そのそれぞれはすべての目的上参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。
【0003】
[0003] NSPは、様々な疾患経路に関わるため、血液サンプル由来の活性NSPの濃度を有効に測定する能力は、疾患進行についての洞察を提供し得、バイオマーカーとして働き得る。本発明は、このおよび他の必要性に取り組む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 1つの態様において、本出願は、対象から獲得された白血球(WBC)を含むサンプルから1種または複数の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)を抽出する方法に関する。方法は、
サンプルと、少なくとも0.01%(v/v)の第1の非イオン性界面活性剤を含む第1の水性媒体とを接触させて、第1のNSP抽出物を含む第1の細胞溶解物および第1のWBC残留物を獲得する工程であって、第1のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、
第1のWBC残留物から第1の細胞溶解物を分離して、第1のNSP抽出物を含む第1の分離された細胞溶解物を提供する工程、
第1のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第2の非イオン性界面活性剤を含む第2の水性媒体とを接触させて、第2のNSP抽出物を含む第2の細胞溶解物および第2のWBC残留物を獲得する工程であって、第2のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第2のWBC残留物から第2の細胞溶解物を分離して、第2のNSP抽出物を含む第2の分離された細胞溶解物を提供する工程
を含む。
【0005】
[0005] 方法の一部の実施形態において、付加的な繰り返しの溶解工程が行われる。1つの実施形態において、方法は、第2のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第3の非イオン性界面活性剤を含む第3の水性媒体とを接触させて、第3のNSP抽出物を含む第3の細胞溶解物および第3のWBC残留物を獲得する工程であって、第3のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに第3のWBC残留物から第3の細胞溶解物を分離して、第3のNSP抽出物を含む第3の分離された細胞溶解物を提供する工程、をさらに含む。さらなる実施形態において、方法は、第3のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第4の非イオン性界面活性剤を含む第4の水性媒体とを接触させて、第4のNSP抽出物を含む第4の細胞溶解物および第4のWBC残留物を獲得する工程であって、第4のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに第4のWBC残留物から第4の細胞溶解物を分離して、第4のNSP抽出物を含む第4の分離された細胞溶解物を提供する工程、を含む。さらにさらなる実施形態において、方法は、第4のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第5の非イオン性界面活性剤を含む第5の水性媒体とを接触させて、第5のNSP抽出物を含む第5の細胞溶解物および第5のWBC残留物を獲得する工程であって、第5のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに第5のWBC残留物から第5の細胞溶解物を分離して、第5のNSP抽出物を含む第5の分離された細胞溶解物を提供する工程、を含む。なおさらなる実施形態において、方法は、第5のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第6の非イオン性界面活性剤を含む第6の水性媒体とを接触させて、第6のNSP抽出物を含む第6の細胞溶解物および第6のWBC残留物を獲得する工程であって、第6のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに第6のWBC残留物から第6の細胞溶解物を分離して、第6のNSP抽出物を含む第6の分離された細胞溶解物を提供する工程、を含む。
【0006】
[0006] 方法の1つの実施形態において、水性媒体のいずれか1種に存在する非イオン界面活性剤は、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(分岐)、またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートである。さらなる実施形態において、水性媒体のいずれか1種に存在する界面活性剤はオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。
【0007】
[0007] 2回以上の繰り返しの溶解工程が行われる方法の1つの実施形態において、各溶解工程に使用される水性媒体に存在する非イオン性界面活性剤は同じである。別の実施形態において、使用される水性媒体の少なくとも2種に存在する非イオン性界面活性剤は異なる。水性媒体に存在する界面活性剤の同一性にかかわらず、1つの実施形態において、各溶解工程に使用される水性媒体に存在する非イオン性界面活性剤の濃度は同じである。別の実施形態において、使用される水性媒体の少なくとも2種における非イオン性界面活性剤の濃度は異なる。
【0008】
[0008] 方法の1つの実施形態において、使用される水性媒体のすべて(例えば、実施される繰り返しの溶解工程の数に応じて、第1の水性媒体、第2の水性媒体、第3の水性媒体等のすべて)は、同じ水性媒体である。別の実施形態において、水性媒体の少なくとも2種は異なる。
【0009】
[0009] 方法の1つの実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、少なくとも0.02%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、少なくとも0.05%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.02%(v/v)~約1.5%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.03%(v/v)~約1%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.04%(v/v)~約0.8%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.05%(v/v)~約0.6%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.05%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の非イオン性界面活性剤を含む。さらなる実施形態において、それぞれの第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の非イオン性界面活性剤、またはその組み合わせは、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である。さらなる実施形態において、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤はオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。さらなる実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.05%(v/v)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、約0.75M NaCl、および約50mM HEPESを含む。
【0010】
[0010] 方法の1つの実施形態において、WBCを含むサンプルを、約0℃~約10℃の温度で第1の水性媒体と接触させる。別の実施形態において、WBC残留物(例えば、第1、第2、第3、第4、または第5のWBC残留物)を、約0℃~約10℃の温度で相当する水性媒体と接触させる。
【0011】
[0011] 方法の1つの実施形態において、WBCを含むサンプルと第1の水性媒体とを接触させる工程は、サンプルと第1の水性媒体とを混合する工程を含む。さらなる実施形態において、サンプルと第1の水性媒体とを混合する工程は、サンプルと第1の水性媒体とを撹拌する工程を含む。別の実施形態において、WBC残留物(例えば、第1、第2、第3、第4、または第5のWBC残留物)と相当する水性媒体とを接触させる工程は、WBC残留物と相当する水性媒体とを混合する工程を含む。さらなる実施形態において、WBC残留物と相当する水性媒体とを混合する工程は、WBC残留物と相当する水性媒体とを撹拌する工程を含む。上で述べられる撹拌する工程は、ピペッティングする、ボルテックスする、振とうする、かき混ぜることによって、または米国薬局方(USP)装置2等のパドルを使用して行われ得る。
【0012】
[0012] 方法の1つの実施形態において、サンプルと第1の水性媒体とを接触させる工程は、サンプルに水性洗浄溶液を添加して、水性洗浄溶液とサンプルとの混合物を形成する工程、水性洗浄溶液とサンプルとの混合物を遠心分離して、上清(すなわち、洗浄画分)とWBCを含むペレットとを提供する工程、上清を収集する工程、およびペレットと第1の水性媒体とを接触させる工程を含む。1つの実施形態において、水性洗浄溶液はリン酸緩衝生理食塩溶液である。別の実施形態において、水性洗浄溶液は、約0.9%NaClを含む生理食塩溶液である。別の実施形態において、水性洗浄溶液は、Trisベースのアルカリ性緩衝液およびNaClを含む。さらなる実施形態において、水性洗浄溶液は、約100mM Trisおよび約100mM NaClを含み、約7.5のpHを有する。さらなる実施形態において、上清(すなわち、洗浄画分)は1種または複数のNSPを含み、方法は、上清の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む。
【0013】
[0013] 方法の1つの実施形態において、方法は、個々の分離された細胞溶解物(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、または第6の分離された細胞溶解物)の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程をさらに含む。代替的にまたは付加的に、方法は、2種以上の分離された細胞溶解物を組み合わせて、1種または複数のNSPを含有するプールされたNSP抽出物を含むプールされた細胞溶解物を提供する工程、任意選択によりそれに続く、プールされたNSP抽出物を含むプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程を含む。例示的な実施形態において、方法は、分離された細胞溶解物のすべてを組み合わせて、単一のプールされた細胞溶解物を提供する工程を含む。さらなる実施形態において、単一のプールされた細胞溶解物の1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する。
【0014】
[0014] 方法の1つの実施形態において、1種または複数のNSPは、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)、またはその組み合わせを含む。別の実施形態において、1種または複数のNSPはNEを含む。別の実施形態において、1種または複数のNSPはPR3を含む。別の実施形態において、1種または複数のNSPはCatGを含む。別の実施形態において、1種または複数のNSPはNSP4を含む。
【0015】
[0015] 方法の1つの実施形態において、対象はヒト対象である。
【0016】
[0016] 別の態様において、本開示は、それを必要とする患者におけるDPP1媒介性病態を治療する方法に関する。方法は、
(a)患者から獲得された白血球を含む第1のサンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態のベースライン濃度を測定する工程、
(b)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の約10mg~約40mgの第1の1日投薬量を含む薬学的組成物を、約2週間~約16週間の第1の投与期間毎日患者に経口投与する工程、
【0017】
【0018】
【化2】
であり;
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1~3アルキル、またはC
1~3アルキルであり;
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1~3アルキル、CONH
2、またはSO
2NR
4R
5(式中、R
4およびR
5は、それらが付着される窒素原子とともにアゼチジン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成する)であり;
Xは、O、S、またはCF
2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNであり;
R
6はC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランから選択される1種の置換基によって置換されており;
R
7は、水素、F、Cl、またはCH
3である);
(c)白血球を含む第2のサンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程であって、第2のサンプルは、第1の投与期間の間または第1の投与期間の約1週間以下後に患者から獲得される、工程、
(d)第2のサンプルからの濃度と、第1のサンプルからのベースライン濃度とを比較し;
第2のサンプルからの濃度が、第1のサンプルからのベースライン濃度と比較して約10%以上低下した場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量と同じ1日投薬量を、第2の投与期間毎日患者に経口投与する工程、または
第2のサンプルからの濃度が、第1のサンプルからのベースライン濃度と比較して約10%以上低下しなかった場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第2の1日投薬量を、第2の投与期間毎日患者に経口投与する工程であって、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約7倍である、工程
を含む。
【0019】
[0017] 方法の一部の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は、約10mg~約25mg、約10mg~約15mg、約10mg~約12mg、約16mg~約25mg、または約20mg~約25mgである。
【0020】
[0018] 方法の一部の実施形態において、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約6倍、約1.5倍~約5倍、約1.5倍~約4倍、約1.5倍~約3倍、または約1.5倍~約2倍である。
【0021】
[0019] 方法の一部の実施形態において、第1の投与期間は、約2週間~約12週間、約2週間~約8週間、約3週間~約6週間、約3週間~約5週間、例えば約3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間である。
【0022】
[0020] 方法の一部の実施形態において、第2のサンプルは、第1の投与期間の間に患者から獲得される。例えば、第2のサンプルは、第1の投与期間の終了時に、または第1の投与期間の終了の約1、2、3、4、5、6、もしくは7日前に患者から獲得され得る。1つの実施形態において、第1の投与期間は約4週間であり、第2のサンプルは、第1の投与期間の間の約4週間の時点で患者から獲得される。
【0023】
[0021] 方法の一部の実施形態において、第2のサンプルは、第1の投与期間の約1週間後に患者から獲得される。他の実施形態において、第2のサンプルは、第1の投与期間の約1、2、3、4、5、6、または7日後に患者から獲得される。
【0024】
[0022] 方法の1つの実施形態において、1種または複数のNSPはNEを含む。さらなる実施形態において、第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度が、第1のサンプル由来のNEの活性形態のベースライン濃度と比較して約19%以上低下した場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量と同じ1日投薬量を、第2の投与期間毎日経口投与する、または第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度が、第1のサンプル由来のNEの活性形態のベースライン濃度と比較して約19%以上低下しなかった場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第2の1日投薬量を、第2の投与期間毎日経口投与する。
【0025】
[0023] 方法の一部の実施形態において、第2の投与期間は、少なくとも1カ月間、例えば約1カ月間~約24カ月間、約1カ月間~約12カ月間、約5カ月間~約24カ月間、約5カ月間~約18カ月間、または約5カ月間~約15カ月間、約3カ月間~約6カ月間、約6カ月間~約12カ月間、約12カ月間~約18カ月間、または約12カ月間~約24カ月間である。
【0026】
[0024] 方法の1つの実施形態において、式(I)の化合物は、本明細書においてその国際一般名(INN)のブレンソカチブ(以前はINS1007およびAZD7986として知られていた)によって称される(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
【0027】
【0028】
[0025] 方法の1つの実施形態において、DPP1媒介性病態は気道の閉塞性疾患である。1つの実施形態において、気道の閉塞性疾患は気管支拡張症である。さらなる実施形態において、気管支拡張症は非嚢胞性線維症気管支拡張症である。別の実施形態において、気道の閉塞性疾患は嚢胞性線維症である。別の実施形態において、気道の閉塞性疾患はアルファ-1アンチトリプシン欠乏症である。
【0029】
[0026] 方法の1つの実施形態において、DPP1媒介性病態は、癌、例えば乳癌、膀胱癌、肺癌、脳腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肝臓癌、肝細胞癌腫、腎臓癌、胃癌、皮膚癌、線維性癌(fibroid cancer)、リンパ腫、ウイルス誘導性癌、口腔咽頭癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、黒色腫、および骨癌である。さらなる実施形態において、癌は、転移性癌、例えば転移性乳癌である。さらなる実施形態において、癌は、肺、脳、骨、膵臓、リンパ節、および/または肝臓への乳癌の転移を含む転移性乳癌である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】[0027]0.02%Triton(登録商標)X-100(IUPAC名:2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール)溶解緩衝液(0.02%Triton)、1%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(1%Triton)、Abcam溶解緩衝液(Abcam)、第1の溶解工程の間のAbcam溶解緩衝液の後、第2の溶解工程の間の10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(Abcam後に10%Triton)を用いたWBCペレットの溶解後、NE反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された活性NEの濃度として表現された、活性NEの回収、または第1の溶解工程の間のAbcam溶解緩衝液および第2の溶解工程の間の10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた活性NEの組み合わせ回収(組み合わせ)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されている。
【
図1B】[0028]0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(0.02%Triton)、1%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(1%Triton)、Abcam溶解緩衝液(Abcam)、第1の溶解工程の間のAbcam溶解緩衝液の後、第2の溶解工程の間の10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(Abcam後に10%Triton)を用いたWBCペレットの溶解後、PR3反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された活性PR3の濃度として表現された、活性PR3の回収、または第1の溶解工程の間のAbcam溶解緩衝液および第2の溶解工程の間の10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた活性PR3の組み合わせ回収(組み合わせ)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されている。
【
図2A】[0029]サンプル群A~CのWBCペレットからのNEの多抽出、またはサンプル群DおよびEのWBCペレットからのNEの単一抽出の後、NE反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された、細胞溶解物において回収された活性NEの濃度を示したグラフである。サンプル群A~Cの各データセットにおいて、左から右への5本の棒は、それぞれ、1°、2°、3°、1°+2°、および1°+2°+3°細胞溶解物における活性NE濃度を表す。サンプル群DおよびEの単一の棒は、1°細胞溶解物における活性NE濃度を表す。
【
図2B】[0030]サンプル群A~CのWBCペレットからのPR3の多抽出、またはサンプル群DおよびEのWBCペレットからのPR3の単一抽出の後、PR3反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された、細胞溶解物において回収された活性PR3の濃度を示したグラフである。サンプル群A~Cの各データセットにおいて、左から右への5本の棒は、それぞれ、1°、2°、3°、1°+2°、および1°+2°+3°細胞溶解物における活性PR3濃度を表す。サンプル群DおよびEの単一の棒は、1°細胞溶解物における活性PR3濃度を表す。
【
図2C】[0031]0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(0.02%Triton)、Abcam溶解緩衝液(Abcam)、10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(10%Triton)を用いたWBCペレットの単一溶解の後、またはNP-40溶解緩衝液を用いた溶解前洗浄WBCペレットの単一溶解の後(NP-40(洗浄))、NE反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された、1°細胞溶解物において回収された活性NEの濃度を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40(IUPAC名:オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)を含有する。
【
図2D】[0032]0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(0.02%Triton)、Abcam溶解緩衝液(Abcam)、10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(10%Triton)を用いたWBCペレットの単一溶解の後、またはNP-40溶解緩衝液を用いた溶解前洗浄WBCペレットの単一溶解の後(NP-40(洗浄))、PR3反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された、1°細胞溶解物において回収された活性PR3の濃度を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図2E】[0033]50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有するNP-40溶解緩衝液を使用した単一溶解の後、非洗浄WBCペレットおよび溶解前洗浄WBCペレットから回収された活性NEの濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。
【
図2F】[0034]50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有するNP-40溶解緩衝液を使用した単一溶解の後、非洗浄WBCペレットおよび溶解前洗浄WBCペレットから回収された活性PR3の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。
【
図3A】[0035]溶解前洗浄、ならびにNP-40溶解緩衝液(溶解工程1において)、それに続く10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(溶解工程2において)、溶解工程1および2の両方においてNP-40溶解緩衝液、または溶解工程1および2の両方において10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた洗浄WBCペレットの二重抽出の後、洗浄画分、1°細胞溶解物、および2°細胞溶解物において回収された活性NEの総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図3B】[0036]溶解前洗浄、ならびにNP-40溶解緩衝液(溶解工程1において)、それに続く10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液(溶解工程2において)、溶解工程1および2の両方においてNP-40溶解緩衝液、または溶解工程1および2の両方において10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた洗浄WBCペレットの二重抽出の後、洗浄画分、1°細胞溶解物、および2°細胞溶解物において回収された活性PR3の総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図4A】[0037]4人の異なるドナーB01~B04の対照半WBCペレットから回収された洗浄画分(洗浄)、ならびに1°、2°、および3°細胞溶解物における活性NEの個々のおよび総計の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各ドナーデータセットにおいて、左から右への5本の棒は、それぞれ、洗浄、1°、2°、および3°細胞溶解物における個々の活性NE濃度、ならびに総活性NE濃度を表す。
【
図4B】[0038]4人の異なるドナーB01~B04の対照半WBCペレットから回収された洗浄画分(洗浄)、ならびに1°、2°、および3°細胞溶解物における活性PR3の個々のおよび総計の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各ドナーデータセットにおいて、左から右への5本の棒は、それぞれ、洗浄、1°、2°、および3°細胞溶解物における個々の活性PR3濃度、ならびに総活性PR3濃度を表す。
【
図4C】[0039]4人の異なるドナーB01~B04の増強した撹拌を有する半WBCペレットから回収された洗浄画分(洗浄)、ならびに1°および2°細胞溶解物における活性NEの個々のおよび総計の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各ドナーデータセットにおいて、左から右への4本の棒は、それぞれ、洗浄、1°、2°細胞溶解物における個々の活性NE濃度、および総活性NE濃度を表す。
【
図4D】[0040]4人の異なるドナーB01~B04の増強した撹拌を有する半WBCペレットから回収された洗浄画分(洗浄)、ならびに1°および2°細胞溶解物における活性PR3の個々のおよび総計の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各ドナーデータセットにおいて、左から右への4本の棒は、それぞれ、洗浄、1°、2°細胞溶解物における個々の活性PR3濃度、および総活性PR3濃度を表す。
【
図4E】[0041]
図4Aにおいて以前に示される、4人の異なるドナーB01~B04の対照半WBCペレットから回収された活性NEの総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)と、
図4Cにおいて以前に示される、同じドナーの増強した撹拌を有する半WBCペレットから回収された活性NEの総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)との対照比較を示したグラフである。各ドナーデータセットにおいて、左および右の棒は、それぞれ、対照半ペレット(対照)および増強した撹拌を有する半ペレット(増強した撹拌)から回収された総活性NE濃度を表す。
【
図4F】[0042]
図4Bにおいて以前に示される、4人の異なるドナーB01~B04の対照半WBCペレットから回収された活性PR3の総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)と、
図4Dにおいて以前に示される、同じドナーの増強した撹拌を有する半WBCペレットから回収された活性PR3の総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)との対照比較を示したグラフである。各ドナーデータセットにおいて、左および右の棒は、それぞれ、対照半ペレット(対照)および増強した撹拌を有する半ペレット(増強した撹拌)から回収された総活性PR3濃度を表す。
【
図5A】[0043]半分の量の撹拌を有する0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を使用した、同じドナー由来の非洗浄WBCペレットの単一工程溶解後に1°細胞溶解物において回収された活性NEの濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(各ドナーデータセットにおける右の棒)と比較した、増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を使用した、2人の異なるドナーB05およびB04由来の溶解前洗浄WBCペレットの溶解の第1の工程後に1°細胞溶解物において回収された活性NEの濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(各ドナーデータセットにおける左の棒)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図5B】[0044]半分の量の撹拌を有する0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を使用した、同じドナー由来の非洗浄WBCペレットの単一工程溶解後に1°細胞溶解物において回収された活性PR3の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(各ドナーデータセットにおける右の棒)と比較した、増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を使用した、2人の異なるドナーB05およびB04由来の溶解前洗浄WBCペレットの溶解の第1の工程後に1°細胞溶解物において回収された活性PR3の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(各ドナーデータセットにおける左の棒)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図5C】[0045]溶解前洗浄、および増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、複製ドナーWBCペレットサンプル(B05aおよびB05b)から回収された、洗浄画分(洗浄)、1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物における活性NEの個々の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)、ならびに洗浄+1°、2°、3°、4°、5°細胞溶解物の総活性NE濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)、ならびに洗浄+1°、2°、3°細胞溶解物の小計活性NE濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各データセットにおいて、左の棒は、ドナーペレットサンプルB05aから回収された活性NE濃度、および右の棒は、ドナーペレットサンプルB05bから回収された活性NE濃度を表す。
【
図5D】[0046]溶解前洗浄、および増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、複製ドナーWBCペレットサンプル(B05aおよびB05b)から回収された、洗浄画分(洗浄)、1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物における活性PR3の個々の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)、ならびに洗浄+1°、2°、3°、4°、5°細胞溶解物の総活性PR3濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)、ならびに洗浄+1°、2°、3°細胞溶解物の小計活性PR3濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各データセットにおいて、左の棒は、ドナーペレットサンプルB05aから回収された活性PR3濃度、および右の棒は、ドナーペレットサンプルB05bから回収された活性PR3濃度を表す。
【
図5E】[0047]溶解前洗浄、および増強した(2倍の量の)撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、同じドナーのWBCペレットから回収された、洗浄+1°、2°、3°細胞溶解物の小計活性NE濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(「NP40(3抽出物)」とラベルされた、各ドナーデータセットにおける中央の棒)、および洗浄+1°、2°、3°、4°、5°細胞溶解物の総活性NE濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(「NP40(5抽出物)とラベルされた、各ドナーデータセットにおける右の棒)と比較した、撹拌を有する0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を使用した単一工程溶解により、2人の異なるドナー(B05およびB04)の非洗浄WBCペレットから回収された活性NEの総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(各ドナーデータセットにおける左の棒)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図5F】[0048]溶解前洗浄、および増強した(2倍の量の)撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、同じドナーのWBCペレットから回収された、洗浄+1°、2°、3°細胞溶解物の小計活性PR3濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(「NP40(3抽出物)」とラベルされた、各ドナーデータセットにおける中央の棒)、および洗浄+1°、2°、3°、4°、5°細胞溶解物の総活性PR3濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(「NP40(5抽出物)とラベルされた、各ドナーデータセットにおける右の棒)と比較した、撹拌を有する0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を使用した単一工程溶解により、2人の異なるドナー(B05およびB04)の非洗浄WBCペレットから回収された活性PR3の総濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)(各ドナーデータセットにおける左の棒)を示したグラフである。上述の溶解緩衝液の処方は表1Aに示されており、NP-40溶解緩衝液は、50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する。
【
図6A】[0049]溶解前洗浄、および増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、ドナーB04 WBCペレットから回収された、洗浄画分(洗浄)、1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物における活性NEの個々の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各データセットにおいて、左の棒および右の棒は、それぞれ、消泡剤なし(AFなし)および消泡剤あり(AF)でNE反応速度論アッセイによって判定された活性NE濃度を表す。
【
図6B】[0050]溶解前洗浄、および増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、ドナーB04 WBCペレットから回収された、洗浄画分(洗浄)、1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物における活性PR3の個々の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各データセットにおいて、左の棒および右の棒は、それぞれ、消泡剤なし(AFなし)および消泡剤あり(AF)でPR3反応速度論アッセイによって判定された活性PR3濃度を表す。
【
図6C】[0051]溶解前洗浄、および増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、ドナーB05 WBCペレットから回収された、洗浄画分(洗浄)、1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物における活性NEの個々の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各データセットにおいて、左の棒および右の棒は、それぞれ、消泡剤なし(AFなし)および消泡剤あり(AF)でNE反応速度論アッセイによって判定された活性NE濃度を表す。
【
図6D】[0052]溶解前洗浄、および増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程により、ドナーB05 WBCペレットから回収された、洗浄画分(洗浄)、1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物における活性PR3の個々の濃度(起源となる全血の容積に対して正規化された)を示したグラフである。各データセットにおいて、左の棒および右の棒は、それぞれ、消泡剤なし(AFなし)および消泡剤あり(AF)でPR3反応速度論アッセイによって判定された活性PR3濃度を表す。
【
図7A】[0053]増強した撹拌を有するNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した3工程の繰り返しのペレット溶解過程に供された溶解前洗浄WBCペレットから調製された細胞溶解物における、NE反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された活性NEの濃度として表現された、活性NEの様々なサンプル時点における回収を示したグラフである。各サンプル時点において、左の棒(個々のサンプル)は、NE活性について個々の細胞溶解物サンプルをアッセイし、個々の活性を総和することによって判定された活性NEの回収を表し、一方で右の棒(プールされたサンプル)は、等容積の個々の細胞溶解物をプールしてプールされたサンプルを獲得し、プールされたサンプルのNE活性をアッセイすることによって判定された活性NEの回収を表す。
【
図7B】[0054]増強した撹拌を有するNP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用した3工程の繰り返しのペレット溶解過程に供された溶解前洗浄WBCペレットから調製された細胞溶解物における、PR3反応速度論アッセイによって測定され、起源となる全血の容積に対して正規化された活性PR3の濃度として表現された、活性PR3の様々なサンプル時点における回収を示したグラフである。各サンプル時点において、左の棒(個々のサンプル)は、PR3活性について個々の細胞溶解物サンプルをアッセイし、個々の活性を総和することによって判定された活性PR3の回収を表し、一方で右の棒(プールされたサンプル)は、等容積の個々の細胞溶解物をプールしてプールされたサンプルを獲得し、プールされたサンプルのPR3活性をアッセイすることによって判定された活性PR3の回収を表す。
【
図8】[0055]5人の異なるドナー(ドナー1~5)から獲得され、様々な条件下で処理され、溶解された、群A~G WBCペレットから回収された活性CatGの総濃度(棒によって表される)を示したグラフであり、折れ線グラフは、各群における5人のドナーの間の活性CatGの総濃度の平均を示している。活性CatGの濃度を、Sigma製のSuc-AAPF-pNAペプチドを基質として用いた反応速度論CatGアッセイを使用して定量し、起源となる全血の容積に対して正規化した。
【
図9】[0056]NP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用して、5人の異なるドナー(ドナー1~5)から獲得された群E WBCペレットから回収された1°、2°、および3°細胞溶解物における活性CatGの個々の濃度およびそれらの数学的総和(積み上げ棒によって表される)、ならびに各ドナーWBCペレットに由来する等容積の1°、2°、および3°細胞溶解物を組み合わせることによって獲得された、プールされた溶解物の活性CatG濃度(折れ線グラフによって表される)を示したグラフである。「平均」は、5人のドナーの相当する平均値を有する仮説的ドナーを表す。活性CatGの濃度を、Sigma製のSuc-AAPF-pNAペプチドを基質として用いた反応速度論CatGアッセイを使用して定量し、起源となる全血の容積に対して正規化した。
【
図10】[0057]5人の異なるドナー(ドナー1~5)から獲得され、様々な条件下で処理され、溶解された、群A~G WBCペレットから回収された活性CatGの総濃度(棒によって表される)を示したグラフであり、折れ線グラフは、各群における5人のドナーの間の活性CatGの総濃度の平均を示している。活性CatGの濃度を、ProAxsis製のELISAベースのProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイを使用して定量し、起源となる全血の容積に対して正規化した。
【
図11】[0058]NP-40溶解緩衝液(50mM HEPES緩衝液、0.75M NaCl、および0.05%(v/v)Nonidet(登録商標)P-40を含有する)を使用して、5人の異なるドナー(ドナー1~5)から獲得された群E WBCペレットから回収された1°、2°、および3°細胞溶解物における活性CatGの個々の濃度およびそれらの数学的総和(積み上げ棒によって表される)、ならびに各ドナーWBCペレットに由来する等容積の1°、2°、および3°細胞溶解物を組み合わせることによって獲得された、プールされた溶解物の活性CatG濃度(折れ線グラフによって表される)を示したグラフである。「平均」は、5人のドナーの相当する平均値を有する仮説的ドナーを表す。活性CatGの濃度を、ProAxsis製のELISAベースのProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイを使用して定量し、起源となる全血の容積に対して正規化した。
【
図12】[0059]全血サンプルからNSPを抽出するための例示的な方法についての図式的概要である。
【
図13A】[0060]3種の治療アームの患者から獲得された痰サンプルにおける活性NEの濃度のベースラインからの変化を示したグラフである。*、プラセボに対してp<0.05。
【
図13B】[0061]3種の治療アームの患者から獲得された痰サンプルにおける活性PR3の濃度のベースラインからの変化を示したグラフである。*、プラセボに対してp<0.05。
【
図13C】[0062]3種の治療アームの患者から獲得された痰サンプルにおける活性CatGの濃度のベースラインからの変化を示したグラフである。*、プラセボに対してp<0.05。
【
図14A】[0063]3種の治療アームの患者の全血サンプルに由来するWBCにおける活性NEの濃度のベースラインからの変化を示したグラフである。活性NEの濃度を、反応速度論NEアッセイによって判定し、起源となる全血の容積に対して正規化した。*、プラセボに対してp<0.05。
【
図14B】[0064]3種の治療アームの患者の全血サンプルに由来するWBCにおける活性PR3の濃度のベースラインからの変化を示したグラフである。活性PR3の濃度を、反応速度論PR3アッセイによって判定し、起源となる全血の容積に対して正規化した。*、プラセボに対してp<0.05。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0065] 発明の詳細な説明
本開示を通して、「約」という用語は、数値および/または数域と合わせて使用され得る。「約」という用語は、挙げられた値に近いそうした値を意味すると理解される。例えば、「約40[単位]」は、40の±25%以内(例えば、30~50)、±20%、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%以内、±1%未満、またはその中のもしくはそれを下回る任意の他の値もしくは値の域を意味し得る。
【0032】
[0066] 本開示を通して、数域は、ある特定の分量に対して提供される。これらの域は、その中のすべての部分域を含むと理解されるべきである。ゆえに、「50~80」という域は、その中のすべての考え得る域(例えば、51~79、52~78、53~77、54~76、55~75、60~70等)を含む。さらに、所与の域内のすべての値は、それによって包含される域に対する終点であり得る(例えば、50~80という域は、55~80、50~75等、終点を有する域を含む)。
【0033】
[0067] NSPの成熟した活性形態の量または濃度に比例した1種または複数のNSPの活性は、ある特定の疾患状態または治療の根底にあり得るまたはそれと相関し得る。そのため、患者血液サンプルからのNSPの抽出、およびNSPの活性形態の濃度の判定は、DPP1/NSPカスケードが関わるある特定の疾患の診断および治療に重大であり得る。本出願は、対象から獲得された白血球を含むサンプルからNSPを抽出するための効率的で、再現性のある方法を提供する。付加的に、本出願は、可逆的DPP1阻害剤を用いて、患者におけるDPP1媒介性病態を治療する方法を提供する。本明細書において提供される治療方法は、患者の白血球サンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態の濃度をバイオマーカーとして利用して、本明細書において提供される可逆的DPP1阻害剤の1種または複数についての有効投薬量の選択またはその調整をガイドする。
【0034】
[0068] 1つの態様において、本開示は、対象から獲得されたサンプルから1種または複数のNSPを抽出するための効率的で、再現性のある方法であって、サンプルは白血球を含む、方法を提供する。方法は、
サンプルと、少なくとも0.01%(v/v)の第1の界面活性剤を含む第1の水性媒体とを接触させて、第1のNSP抽出物を含む第1の細胞溶解物および第1のWBC残留物を獲得する工程であって、第1のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程
第1のWBC残留物から第1の細胞溶解物を分離して、第1のNSP抽出物を含む第1の分離された細胞溶解物を提供する工程
第1のWBC残留物と、少なくとも0.01%(v/v)の第2の界面活性剤を含む第2の水性媒体とを接触させて、第2のNSP抽出物を含む第2の細胞溶解物および第2のWBC残留物を獲得する工程であって、第2のNSP抽出物は1種または複数のNSPを含む、工程、ならびに
第2のWBC残留物から第2の細胞溶解物を分離して、第2のNSP抽出物を含む第2の分離された細胞溶解物を提供する工程
を含む。
【0035】
[0069] 1つの実施形態におけるサンプルは、対象から獲得される。さらなる実施形態において、対象はヒト対象である。別の実施形態において、対象は哺乳類である。さらなる実施形態において、哺乳類は、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、または齧歯類(例えば、マウス、ラット)から選択される。
【0036】
[0070] NSPは、好中球のアズール顆粒の内側に存在し、炎症性病態の調節に関わる。非限定的な例示的なNSPは、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、およびNSP4を含む。1つの実施形態において、本明細書に開示される方法を実施して、NE、PR3、CatG、NSP4、またはその組み合わせを抽出する。別の実施形態において、本明細書に開示される方法を実施してNEを抽出する。別の実施形態において、本明細書に開示される方法を実施してPR3を抽出する。別の実施形態において、本明細書に開示される方法を実施して、NEおよびPR3を抽出する。別の実施形態において、本明細書に開示される方法を実施してCatGを抽出する。別の実施形態において、本明細書に開示される方法を実施して、NE、PR3、およびCatGを抽出する。別の実施形態において、本明細書に開示される方法を実施してNSP4を抽出する。開示される方法に従ってサンプルから抽出された1種または複数のNSPは、活性ならびに非活性形態を含めた、サンプルに存在するNSPのすべての形態を含む。
【0037】
[0071] 本明細書において提供される抽出方法の1つの実施形態において、白血球(WBC)を含むサンプルは、WBCを含む細胞懸濁液を含む。別の実施形態において、WBCを含むサンプルはWBCペレットを含む。1つの実施形態において、WBCを含むサンプルは、全血サンプルに由来し、例えば赤血球の選択的溶解により、赤血球を実質的に欠いている。
【0038】
[0072] 本明細書において提供される抽出方法の1つの実施形態において、サンプルにおけるWBCは、サンプルを第1の水性媒体と接触させてWBCを溶解する前に、水性洗浄溶液で洗浄される。1つの実施形態において、水性洗浄溶液はリン酸緩衝生理食塩(PBS)溶液である。別の実施形態において、水性洗浄溶液は、約0.9%NaClを含む生理食塩溶液である。別の実施形態において、水性洗浄溶液は、Trisベースのアルカリ性緩衝液およびNaClを含み、例えば、約100mM Trisおよび約100mM NaClを含み、約7.5のpHを有する水性溶液である。WBCの溶解前洗浄は、サンプル、例えばWBC懸濁液またはペレットを含むサンプルに水性洗浄溶液を添加し、任意選択によりそれに続いて、穏やかに混合して洗浄を促すことによって成し遂げられ得る。洗浄のために穏やかに混合する工程は、水性洗浄溶液とサンプルとの混合物の低強度のピペッティング、ボルテックス、振とう、かき混ぜによって、例えばかき混ぜロッドを使用して、もしくはかき混ぜ棒を用いたかき混ぜプレート上で、または米国薬局方(USP)装置2(パドル)等のパドルを用いて行われ得る。次いで、水性洗浄溶液とサンプルとの混合物を遠心分離して、上清(「洗浄画分」とも称される)とWBCを含むペレットとを提供し得る。一部の実施形態において、上清(洗浄画分)は、1種または複数のNSPを含み、ゆえに、NSP活性を指し示す1種または複数のNSPの活性形態の濃度の判定のために収集される。上清を収集するとともに、WBCを含むペレットを第1の水性媒体と接触させる。
【0039】
[0073] 本明細書に開示される任意の水性媒体、例えば上で記載されるそれぞれ第1および第2の界面活性剤を含む第1および第2の水性媒体、ならびに下で記載されるそれぞれの第3、第4、第5、および第6の界面活性剤を含む第3、第4、第5、および第6の水性媒体は、緩衝液および界面活性剤を含有し、界面活性剤は緩衝液に溶けている。適切な緩衝液は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、Tris緩衝液、Tris緩衝生理食塩(TBS)溶液、およびHEPES緩衝液等のリン酸緩衝生理食塩水を含むが、それらに限定されるわけではない。1つの実施形態において、緩衝液はHEPES緩衝液である。さらなる実施形態において、HEPES緩衝液は、約50mM HEPESおよび約0.75M NaClを含有する。水性媒体は、例えばエタノール等のアルコールを不含であり得るまたは実質的に不含であり得る(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、約0.05%未満、または約0.01%v/v未満等、約5%未満含有する)。
【0040】
[0074] 本明細書に開示される水性媒体のいずれかに存在する界面活性剤は、イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤等、任意のタイプの界面活性剤であり得る。界面活性剤は、1つの実施形態において、非イオン性界面活性剤である。本明細書に開示される水性媒体における使用のための適切な非イオン性界面活性剤の非限定的な例は、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシ化エステル等の非イオン性エステル、脂肪族アルコールエトキシレート、プロポキシ化(propoxylated)アルコール、エトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマー、およびポリオキシエチレン界面活性剤等の非イオン性アルカノールアミドおよびエーテルを含む。さらなる実施形態において、本明細書に開示される水性媒体において使用される界面活性剤は、親水性ポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である。さらにさらなる実施形態において、親水性ポリエチレンオキシド鎖を含む界面活性剤は、親油性または疎水性である芳香族炭化水素基をさらに含む。
【0041】
[0075] 1つの実施形態において、本明細書に開示される水性媒体のいずれかにおける非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Nonidet(登録商標)P-40、またはSt. Louis、MOのSigma Aldrichから入手可能なIGEPAL(登録商標)CA-630という商標名の下で販売される)を含む。さらなる実施形態において、本明細書に開示される水性媒体の1種または複数、例えば第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.05%(v/v)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、約0.75M NaCl、および約50mM HEPESを含む。
【0042】
[0076] 別の実施形態において、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤は、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール(オクチルフェノールエトキシレートとしても知られる、St.Louis、MOのSigma AldrichからTriton(登録商標)X-100として入手可能)を含む。
【0043】
[0077] 別の実施形態において、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤は、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(分岐)(ThermoFisher ScientificからNP-40として、またはSigmaからIGEPAL(登録商標)CO-630として入手可能)を含む。
【0044】
[0078] 別の実施形態において、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20という商標名の下で入手可能)を含む。
【0045】
[0079] 1つの実施形態において、界面活性剤は、約5mM未満、約2mM未満、または約1mM未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。例えば、界面活性剤は、約0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、もしくは0.5mMのCMC、または約0.1~約0.5mM等の約0.1~約1mMに及ぶCMCを有し得る。
【0046】
[0080] 本明細書に開示されるNSP抽出方法によれば、第1の溶解工程で、WBCを含むサンプルを、第1の界面活性剤を含む第1の水性媒体と接触させ、その時点で、サンプルにおけるWBCまたはその一部分は第1の界面活性剤によって溶解され、WBCからの1種または複数のNSPの抽出、および抽出されたNSPと第1の水性媒体に可溶性のWBCの他の構成要素とを含有する第1の細胞溶解物(本明細書において、1種または複数のNSPを含む「第1のNSP抽出物」と称される)の形成をもたらす。第1のWBC残留物も、第1の溶解工程の後に形成する。第1のWBC残留物は、1つの実施形態において、第1の溶解工程において第1の界面活性剤によって可溶化され得ないWBCの構成要素、例えば細胞骨格、ならびにまだ抽出されない残留NSPを含有する。第1のWBC残留物は、第1の溶解工程の後に、まだ溶解されないWBCの一部分も含有し得る。NSPのより完全な抽出を達成するために、第1の細胞溶解物を、例えば沈降または遠心分離によって、第1のWBC残留物から分離して、第1のNSP抽出物を含む第1の分離された細胞溶解物を提供する。
【0047】
[0081] 第1の分離された細胞溶解物は、1つの実施形態において、NSP活性を指し示す1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定し、かつ/または本明細書において提供される方法によって生成される後続の細胞溶解物とともにプールするために収集される。第1のWBC残留物を、1つの実施形態において、第1のWBC残留物と第2の水性媒体とを接触させることによってさらなる(第2の)溶解工程に供して、抽出された付加的なNSP(すなわち、1種または複数のNSPを含む第2のNSP抽出物)を含有する第2の細胞溶解物および第2のWBC残留物を獲得する。1つの実施形態において、第2のWBC残留物は、第1のWBC残留物と同様に、第2の界面活性剤によって可溶化され得ない、サンプルにおけるWBCの構成要素、ならびにこれまでのところまだ溶解されないWBCおよび/または依然として残存し得るNSPを含有する。
【0048】
[0082] NSPのさらなる抽出が、本明細書において提供される方法によって企図される。例えば、NSPのさらにさらなる抽出を達成するために、第2のWBC残留物から第2の細胞溶解物を分離して、第2のNSP抽出物を含む第2の分離された細胞溶解物を獲得し次第、第2のWBC残留物を、1つの実施形態において、少なくとも0.01%(v/v)の第3の界面活性剤を含む第3の水性媒体と接触させることにより、付加的な溶解工程(すなわち、第3の溶解工程)に供して、さらに抽出されたNSP(すなわち、1種または複数のNSPを含む第3のNSP抽出物)を含有する第3の細胞溶解物および後継(第3の)WBC残留物を獲得し、その後に、第3のWBC残留物からの第3の細胞溶解物の分離が続いて、第3のNSP抽出物を含む第3の分離された細胞溶解物を提供する。第3のWBC残留物は、まだ抽出されないNSPおよび/またはまだ溶解されないWBCを依然として含有し得ることから、1、2、3回、またはそれを上回る付加的な繰り返しの溶解工程(すなわち、少なくとも0.01%(v/v)の第4の界面活性剤を含む第4の水性媒体を用いた第4の溶解工程、少なくとも0.01%(v/v)の第5の界面活性剤を含む第5の水性媒体を用いた第5の溶解工程、少なくとも0.01%(v/v)の第6の界面活性剤を含む第6の水性媒体を用いた第6の溶解工程、またはそれを超える)が実施され得、付加的な各溶解工程は、後継のWBC残留物(例えば、第4、第5、および第6の残留物)およびさらに抽出されたNSPを含有する新しい細胞溶解物(例えば、第4、第5、および第6の細胞溶解物は、それぞれの第4、第5、および第6のNSP抽出物を含み、各NSP抽出物は1種または複数のNSPを含む)を生成する。次いで、新しい細胞溶解物を相当するWBC残留物から分離して、新しい分離された細胞溶解物(例えば、第4、第5、および第6の分離された細胞溶解物は、それぞれの第4、第5、および第6のNSP抽出物を含み、各NSP抽出物は1種または複数のNSPを含む)を提供する。1つの実施形態において、第3のWBC残留物を第4の水性媒体と接触させて、第4のNSP抽出物を含む第4の細胞溶解物および第4のWBC残留物を獲得し、その後に、第4のWBC残留物からの第4の細胞溶解物の分離が続いて、第4のNSP抽出物を含む第4の分離された細胞溶解物を提供する。さらなる実施形態において、第4のWBC残留物を第5の水性媒体と接触させて、第5のNSP抽出物を含む第5の細胞溶解物および第5のWBC残留物を獲得し、その後に、第5のWBC残留物からの第5の細胞溶解物の分離が続いて、第5のNSP抽出物を含む第5の分離された細胞溶解物を提供する。さらなる実施形態において、第5のWBC残留物を第6の水性媒体と接触させて、第6のNSP抽出物を含む第6の細胞溶解物および第6のWBC残留物を獲得し、その後に、第6のWBC残留物からの第6の細胞溶解物の分離が続いて、第6のNSP抽出物を含む第6の分離された細胞溶解物を提供する。
【0049】
[0083] 多重の繰り返しの溶解工程が行われる場合、1つの実施形態において、各溶解工程に使用される水性媒体に存在する界面活性剤は、同じであり得るまたは異なり得る。付加的に、各溶解工程に使用される水性媒体に存在する界面活性剤の濃度は、界面活性剤の同一性にかかわらず、同じであり得るまたは異なり得る。例えば、WBCサンプルが6工程の繰り返しの溶解に供される場合、1つの実施形態において、それらそれぞれの水性媒体における第1、第2、第3、第4、第5、および第6の界面活性剤は、同じ界面活性剤であり、6種すべての水性媒体において同じ濃度で存在する、または6種の水性媒体のうちの少なくとも2種において異なる濃度で存在する。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、および第6の界面活性剤のうちの少なくとも2種は、異なる界面活性剤である。各水性媒体における界面活性剤の同一性にかかわらず、6種の水性媒体の間の界面活性剤の濃度は同じであり得る。代替的に、6種の水性媒体のうちの少なくとも2種における界面活性剤の濃度は異なる。
【0050】
[0084] 多重の繰り返しの溶解工程が行われる別の実施形態において、各溶解工程に使用される水性媒体は、同じであり得るまたは異なり得る。1つの実施形態において、使用される水性媒体のすべては、同じ水性媒体である。別の実施形態において、使用される水性媒体のうちの少なくとも2種は、異なる水性媒体である。例えば、WBCサンプルが6工程の繰り返しの溶解に供される場合、1つの実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、および第6の水性媒体は、同じ水性媒体である。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、および第6の水性媒体のうちの少なくとも2種は、異なる水性媒体である。例えば、第1の水性媒体および第6の水性媒体は異なる水性媒体であり得、残りの水性媒体は、第1または第6の水性媒体と同じである。代替的に、第1、第3、および第6の水性媒体は互いに異なり得、残りの水性媒体は、第1、第3、および第6の水性媒体のいずれか1種と同じである。
【0051】
[0085] WBC、その一部分、および/またはWBC残留物(またはその一部分)を溶解して、1種または複数の抽出されたNSPを含有する細胞溶解物を生成するために、水性媒体のそれぞれ、例えば本出願に記載される第1、第2、第3、第4、第5、および第6の水性媒体は、少なくとも0.01%(v/v)のその相当する界面活性剤を含む。1つの実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、少なくとも0.02%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、少なくとも0.05%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.02%(v/v)~約1.5%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.03%(v/v)~約1%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.04%(v/v)~約0.8%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.05%(v/v)~約0.6%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、約0.05%(v/v)のそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。別の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせは、その臨界ミセル濃度(CMC)を上回る濃度でそれぞれの第1、第2、第3、第4、第5、または第6の界面活性剤を含む。第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の水性媒体、またはその組み合わせにおいて上述の濃度のそれぞれで存在する場合、1つの実施形態において、それぞれの第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の界面活性剤、またはその組み合わせは、非イオン性界面活性剤である。さらなる実施形態において、それぞれの第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の界面活性剤、またはその組み合わせは、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤である。なおさらなる実施形態において、それぞれの第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の界面活性剤、またはその組み合わせは、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。
【0052】
[0086] 一部の実施形態において、各溶解工程を比較的低い温度で行って、WBCまたはWBC残留物から抽出されるNSPを安定化する。1つの実施形態において、WBCを含むサンプルを、約0℃~約10℃、約2℃~約8℃、約3℃~約6℃、または約4℃の温度で第1の水性媒体と接触させる。別の実施形態において、WBC残留物(例えば、第1、第2、第3、第4、または第5のWBC残留物)を、約0℃~約10℃、約2℃~約8℃、約3℃~約6℃、または約4℃の温度で相当する水性媒体と接触させる。
【0053】
[0087] 1つの実施形態において、第1の溶解工程でサンプルと第1の水性媒体とを接触させる工程は、サンプルと第1の水性媒体とを混合する工程を含む。WBCペレットを含むサンプルを第1の水性媒体と接触させる前に、サンプルにおけるWBCを水性洗浄溶液で洗浄する別の実施形態において、洗浄WBCを含むWBCペレットと第1の水性媒体とを接触させる工程は、WBCペレットと第1の水性媒体とを混合する工程を含む。さらなる実施形態において、サンプルまたはWBCペレットと第1の水性媒体とを混合する工程は、サンプルまたはWBCペレットと第1の水性媒体とを撹拌する工程を含む。同じように、後続の付加的な溶解工程のそれぞれにおいて、WBC残留物(例えば、第1、第2、第3、第4、または第5のWBC残留物)と相当する水性媒体とを接触させる工程は、WBC残留物と相当する水性媒体とを混合する工程を含み得る。さらなる実施形態において、WBC残留物と相当する水性媒体とを混合する工程は、WBC残留物と相当する水性媒体とを撹拌する工程を含む。上で述べられる撹拌は、例えばピペッティング、ボルテックス、振とう、種々の手段によるかき混ぜ(例えば、かき混ぜロッド、またはかき混ぜ棒を用いたかき混ぜプレートを使用することによる)によって、またはUSP装置2(パドル)等のパドルを使用することによってもたらされ得る。1つの実施形態において、撹拌は、各溶解工程の間に、例えば約10~約30回、約15~約25回、または約20回ピペッティングすることによってもたらされる。
【0054】
[0088] 洗浄画分におよび個々の分離された細胞溶解物に存在するNSPは、抗NSP抗体を使用したウェスタンブロッティング、ELISAアッセイ、および酵素活性アッセイを含めた様々な方法によって検出および定量され得る。例示的なELISAアッセイは、本明細書に明記される実施例に記載されるProAxsis(Belfast、Northern Ireland)製のProteaseTag(登録商標)活性NEイムノアッセイ、ProteaseTag(登録商標)活性PR3イムノアッセイ、およびProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイを含む。例示的な酵素活性アッセイは、また実施例に記載されるNE、PR3、およびCatG酵素反応速度論アッセイを含む。
【0055】
[0089] 1つの実施形態において、洗浄画分におよび/または個々の分離された細胞溶解物(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、または第6の分離された細胞溶解物)に存在するNSPの活性形態は、NSPの酵素活性またはNSPの活性形態の濃度を測定することによって検出される。実施例に記載されるように、NSPの酵素活性は、標準曲線を使用してNSPの活性形態の濃度に変換され得るため、NSP活性への言及およびNSPの活性形態の濃度への言及は、本出願において互換可能である。別の実施形態において、分離された各細胞溶解物(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、または第6の分離された細胞溶解物)におけるNSPの酵素活性またはNSPの活性形態の濃度は、個々に測定される。すべての分離された細胞溶解物の総NSP活性またはNSPの活性形態の総濃度は、1つの実施形態において、個々の活性または濃度の数学的総和として算出され得る。別の実施形態において、2種以上の分離された細胞溶解物を組み合わせて、プールされたNSP抽出物を含むプールされた細胞溶解物を提供する。すべての分離された細胞溶解物の総NSP活性またはNSPの活性形態の総濃度は、(1)プールされた細胞溶解物を用いて測定される、NSP活性またはNSPの活性形態の濃度、および(2)残りのプールされない分離された細胞溶解物を用いて個々に測定される、NSP活性またはNSPの活性形態の濃度、に基づいて算出され得る。なお別の実施形態において、分離された細胞溶解物のすべてを組み合わせて、単一のプールされた細胞溶解物を提供し、すべての分離された細胞溶解物の総NSP活性またはNSPの活性形態の総濃度は、単一のプールされた細胞溶解物のNSP活性またはNSPの活性形態の濃度の測定に基づいて獲得される。1つの実施形態において、等容積の2種以上の分離された細胞溶解物を組み合わせて、プールされた細胞溶解物を提供する。
【0056】
[0090] 別の態様において、本開示は、それを必要とする患者におけるDPP1媒介性病態を治療する方法に関する。方法は、
(a)患者から獲得された白血球を含む第1のサンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態のベースライン濃度を測定する工程、
(b)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の約10mg~約40mgの第1の1日投薬量を含む薬学的組成物を、約2週間~約16週間の第1の投与期間毎日患者に経口投与する工程、
【0057】
【0058】
【化5】
であり;
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1~3アルキル、またはC
1~3アルキルであり;
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1~3アルキル、CONH
2、またはSO
2NR
4R
5(式中、R
4およびR
5は、それらが付着される窒素原子とともにアゼチジン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成する)であり;
Xは、O、S、またはCF
2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNであり;
R
6はC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランから選択される1種の置換基によって置換されており;
R
7は、水素、F、Cl、またはCH
3である);
(c)白血球を含む第2のサンプルから抽出された1種または複数のNSPの活性形態の濃度を測定する工程であって、第2のサンプルは、第1の投与期間の間または第1の投与期間の約1週間以下後に患者から獲得される、工程、
(d)第2のサンプルからの濃度と、第1のサンプルからのベースライン濃度とを比較し;
第2のサンプルからの濃度が、第1のサンプルからのベースライン濃度と比較して約10%以上低下した場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量と同じ1日投薬量を、第2の投与期間毎日患者に経口投与する工程、または
第2のサンプルからの濃度が、第1のサンプルからのベースライン濃度と比較して約10%以上低下しなかった場合には、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の第2の1日投薬量を、第2の投与期間毎日患者に経口投与する工程であって、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約7倍である、工程
を含む。
【0059】
[0091] リソソームシステインジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)は、アズール顆粒会合の間のそれらの前駆体からのN末端ジペプチド配列の除去によって、NE、PR3、CatG、およびNSP4を含めたNSPを活性化するプロテイナーゼである。Phamら、J Immunol.173:7277-7281(2004);Phamら、Nature Reviews Immunology、6:541-550(2006);Pereraら、PNAS、109:6229-6234(2012)を参照されたく、そのそれぞれはすべての目的上参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、DPP1活性の可逆的阻害剤である。本明細書において別様に提供されない限り、本明細書において提供される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1日投薬量の量は、式(I)の化合物のそれぞれの遊離塩基形態に対するものである。
【0060】
[0092] 本明細書において使用するとき、「C1~3」とは、1、2、または3個の炭素原子を有する炭素基を意味する。
【0061】
[0093] 「アルキル」という用語は、別様に記されない限り、直鎖および分岐鎖アルキル基の両方を含み、置換されていても置換されていなくてもよい。「アルキル」基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、ペンチルを含むが、それらに限定されるわけではない。
【0062】
[0094] 「薬学的に許容される」という用語は、別様に記されない限り、正しい医学的判断に従った使用に適当であると部分(例えば、塩、剤形、または賦形剤)を特徴付けるために使用される。一般的に、薬学的に許容される部分は、部分が有し得る任意の有害な効果をしのぐ1つまたは複数の有益性を有する。有害な効果は、例えば過度の毒性、刺激、アレルギー応答、および他の問題、ならびに合併症を含み得る。
【0063】
[0095] 1つの実施形態における「治療すること」という用語は、(1)状態、障害、または病態に罹患するまたはかかりやすい可能性があるが、状態、障害、または病態の臨床的または亜臨床的な症状をまだ経験していないまたは呈示していない患者において発症する状態、障害、または病態の臨床的症状の出現を阻止することまたは遅延させること;(2)状態、障害、または病態を阻害すること(すなわち、疾患の発症を、またはその少なくとも1つの臨床的もしくは亜臨床的症状の維持治療の場合にはその再発を食い止めること、低下させること、または遅延させること);(3)病態を緩和すること(すなわち、状態、障害、もしくは病態、またはその臨床的もしくは亜臨床的症状の少なくとも1つの退縮を引き起こすこと);および(4)疾患状態、障害、または病態の予防、を含む。
【0064】
[0096] 本明細書に開示される治療方法において、1種または複数のNSPは、本出願に開示されるNSP抽出方法に従って第1のサンプルおよび/または第2のサンプルから抽出され得る。NSPは、他の公知の方法を使用しても抽出され得る。
【0065】
[0097] 本明細書に開示される治療方法において、それを用いて1種または複数のNSPの活性形態のベースライン濃度が測定される第1のサンプルは、患者が初めて薬学的組成物を投与される前に、すなわち第1の投与期間の前に、患者から獲得される。
【0066】
[0098] 方法の1つの実施形態において、第1の投与期間は約2週間~約12週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約2週間~約8週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約3週間~約6週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約3週間~約5週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約3週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約4週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約5週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約6週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約7週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約8週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約9週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約10週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約11週間である。別の実施形態において、第1の投与期間は約12週間である。
【0067】
[0099] 方法の1つの実施形態において、第2のサンプルは、第1の投与期間の間に患者から獲得される。例えば、第2のサンプルは、第1の投与期間の終了時に、または第1の投与期間の終了の約1、2、3、4、5、6、もしくは7日前に患者から獲得され得る。さらなる実施形態において、第1の投与期間は約4週間である。
【0068】
[00100] 方法の1つの実施形態において、第2のサンプルは、第1の投与期間の約1週間後に患者から獲得される。他の実施形態において、第2のサンプルは、第1の投与期間の約1、2、3、4、5、6、または7日後に患者から獲得される。さらなる実施形態において、第1の投与期間は約4週間である。
【0069】
[00101] 方法の1つの実施形態において、第1の投与期間は約4週間であり、第2のサンプルは、第1の投与期間の間の約4週間の時点で患者から獲得される。
【0070】
[00102] 方法の1つの実施形態において、1種または複数のNSPはPR3を含み、第1および第2のサンプル由来のPR3の活性形態の濃度を測定し、比較する。
【0071】
[00103] 1つの実施形態において、1種または複数のNSPはCatGを含み、第1および第2のサンプル由来のCatGの活性形態の濃度を測定し、比較する。
【0072】
[00104] 1つの実施形態において、1種または複数のNSPはNSP4を含み、第1および第2のサンプル由来のNSP4の活性形態の濃度を測定し、比較する。
【0073】
[00105] 方法の1つの実施形態において、1種または複数のNSPはNEを含み、第1および第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度を測定し、比較する。さらなる実施形態において、第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度が、第1のサンプル由来のNEの活性形態のベースライン濃度と比較して約19%以上低下した場合には、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、第2の投与期間の間、第1の1日投薬量と同じ1日投薬量で毎日および経口で投与され、第2のサンプル由来のNEの活性形態の濃度が、第1のサンプル由来のNEの活性形態のベースライン濃度と比較して約19%以上低下しなかった場合には、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、第2の投与期間の間、第2の1日投薬量で毎日および経口で投与される。
【0074】
[00106] 本明細書に開示される治療方法は、第1の投与期間の間または後に獲得された患者の白血球(WBC)サンプルから抽出されたNSPの活性形態の濃度の低下をバイオマーカーとして使用する。このバイオマーカーは、第2の投与期間に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1日投薬量の判定をガイドする。バイオマーカー、すなわち、患者のWBCサンプルから抽出された活性NSPの濃度の低下が、上で規定されるある特定の閾値に達したまたはそれを超えた場合、患者は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、第1の投与期間の間のもの、すなわち第1の1日投薬量と同じ1日投薬量で、第2の投与期間に投与される。そうでなければ、患者は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、上で規定される第1の1日投薬量よりも高い第2の1日投薬量で、第2の投与期間に投与される。
【0075】
[00107] 1つの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約10mg~約25mgである。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約10mg~約15mgである。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約10mg~約12mgである。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約16mg~約25mgである。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約20mg~約25mgである。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約25mg~約40mgである。
【0076】
[00108] 1つの実施形態において、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約6倍である。さらなる実施形態において、第1の1日投薬量は、約10mg~約15mgまたは約10mg~約12mgである。
【0077】
[00109] 別の実施形態において、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約5倍である。さらなる実施形態において、第1の1日投薬量は、約10mg~約15mgまたは約10mg~約12mgである。
【0078】
[00110] 別の実施形態において、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約4倍である。さらなる実施形態において、第1の1日投薬量は、約10mg~約15mg、約10mg~約12mg、または約16mg~約25mgである。
【0079】
[00111] 別の実施形態において、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約3倍である。さらなる実施形態において、第1の1日投薬量は、約16mg~約25mg、約20mg~約25mg、または約25mg~約40mgである。
【0080】
[00112] 別の実施形態において、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.5倍~約2倍である。さらなる実施形態において、第1の1日投薬量は、約16mg~約25mg、約20mg~約25mg、または約25mg~約40mgである。
【0081】
[00113] 1つの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約10mgであり、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約2倍~約6.5倍である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1の1日投薬量は約25mgであり、第2の1日投薬量は、第1の1日投薬量の約1.6倍~約2.6倍である。
【0082】
[00114] 治療方法の1つの実施形態において、第2の投与期間は、少なくとも1カ月間、例えば約1カ月間~約24カ月間、約1カ月間~約12カ月間、約5カ月間~約24カ月間、約5カ月間~約18カ月間、または約5カ月間~約15カ月間である。別の実施形態において、第2の投与期間は約3カ月間~約6カ月間である。別の実施形態において、第2の投与期間は約6カ月間~約12カ月間である。別の実施形態において、第2の投与期間は約12カ月間~約18カ月間である。さらに別の実施形態において、第2の投与期間は約12カ月間~約24カ月間である。
【0083】
[00115] 1つの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1および第2の1日投薬量にそれぞれ達するように、薬学的組成物は、第1および第2の投与期間の間に1日1回患者に経口投与される。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の第1および第2の1日投薬量にそれぞれ達するように、薬学的組成物は、第1および第2の投与期間の間に1日2回患者に経口投与される。
【0084】
[00116] 本明細書に開示されるDPP1媒介性病態を治療するための方法に従って使用され得る式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の実施形態が下で記載される。式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外の1種または複数のDPP1阻害剤も、開示される治療方法に従って、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の代わりにまたはそれとの組み合わせで使用され得る。使用に企図される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外のDPP1阻害剤の非限定的な例は、Millerら、「Epithelial desquamation observed in a phase I study of an oral cathepsin C inhibitor(GSK2793660)」、Br J Clin Pharmacol.83:2813-2820(2017);Methot Nら、「Inhibition of the activation of multiple serine proteases with a cathepsin C inhibitor requires sustained exposure to prevent proenzyme processing」、J.Biol Chem.282:20836-20846(2007);Guay Dら、「Design and synthesis of dipeptidyl nitriles as potent,selective,and reversible inhibitors of cathepsin C」、Bioorg Med Chem Lett.19:5392-5396(2009);Methot Nら、「In Vivo Inhibition of Serine Proteases Processing Requires a High Fractional Inhibition of Cathepsin C」、Mol.Pharm.73:1857-1865(2008);Guay Dら、「Therapeutic Utility and Medicinal chemistry of Cathepsin C Inhibitors」、Curr Top Med Chem.10:708-716(2010);Bondebjerg Jら、「Novel semicarbazide-derived inhibitors of human dipeptidyl peptidase I(hDPPI)」、Bioorg Med Chem.13:4408-4424(2005);Bondejberg Jら、「Dipeptidyl Nitriles as Human Dipeptidyl Peptidase 1 Inhibitors」、Bioorg Med Chem Lett.16:3614-3617(2006);Guarino Cら、「Prolonged pharmacological inhibition of cathepsin C results in elimination of neutrophil serine proteases」、Biochem Pharmacol.131:52-67(2017);米国特許第8,871,783号、第8,877,775号、第8,889,708号、第8,987,249号、第8,999,975号、第9,073,869号、第9,440,960号、第9,713,606号、第9,879,026号、RE47,636E1、第10,238,633号、第9,856,228号、および第10,479,781号に開示されるものを含み、そのそれぞれはすべての目的上参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。
【0085】
式(I)の化合物
[00117] 本明細書に開示される治療方法の1つの実施形態において、式(I)の化合物はS,Sジアステレオマーである。言い換えれば、式(I)の化合物は、以下の立体化学を有する:
【0086】
【0087】
[00118] 他のジアステレオマー形態も企図される。例えば、1つの実施形態において、式(I)の化合物はR,Rジアステレオマーである:
【0088】
【0089】
[00119] 別の実施形態において、式(I)の化合物はR,Sジアステレオマーである:
【0090】
【0091】
[00120] さらに別の実施形態において、式(I)の化合物はS,Rジアステレオマーである:
【0092】
【0093】
[00121] 1つの実施形態において、組成物は、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと式(I)の化合物のS,Rジアステレオマーとの混合物を含む。
【0094】
[00122] 1つの実施形態において、組成物は、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと式(I)の化合物のR,Sジアステレオマーとの混合物を含む。
【0095】
[00123] 1つの実施形態において、組成物は、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと式(I)の化合物のR,Rジアステレオマーとの混合物を含む。
【0096】
[00124] 1つの実施形態において、R1は、
【0097】
【化10】
であり;R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1~3アルキル、またはC
1~3アルキルであり;R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1~3アルキル、CONH
2、またはSO
2NR
4R
5(式中、R
4およびR
5は、それらが付着される窒素原子とともにアゼチジン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成する)である。さらなる実施形態において、R
2は、水素、F、Cl、またはC
1~3アルキルであり;R
3は、水素、F、Cl、CN、またはSO
2C
1~3アルキルである。さらなる実施形態において、R
3は、水素、F、またはCNである。
【0098】
[00125] 別の実施形態において、R1は、
【0099】
【化11】
であり;Xは、O、S、またはCF
2であり;Yは、OまたはSであり;Qは、CHまたはNであり;R
6はC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって置換されており、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランによって置換されており;R
7は、水素、F、Cl、またはCH
3である。さらなる実施形態において、R
1は、
【0100】
【0101】
[00126] 別の実施形態において、R1は、
【0102】
【化13】
であり;Xは、O、S、またはCF
2であり;Yは、OまたはSであり;R
6は、任意選択により1、2、または3個のFによって置換され、任意選択によりOH、OC
1~3アルキル、N(C
1~3アルキル)
2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランによって置換されたC
1~3アルキルであり;R
7は、水素、F、Cl、またはCH
3である。さらなる実施形態において、R
1は、
【0103】
【0104】
[00127] 別の実施形態において、R1は、
【0105】
【化15】
であり;Xは、O、S、またはCF
2であり;R
6はC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって置換されており;R
7は、水素、F、Cl、またはCH
3である。
【0106】
[00128] 別の実施形態において、R1は、
【0107】
【化16】
であり;XはOであり;R
6はC
1~3アルキルであり、C
1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって置換されており;R
7は水素である。さらなる実施形態において、R
6は、C
1~3アルキル、すなわちメチル、エチル、またはプロピルである。なおさらなる実施形態において、R
6はメチルである。
【0108】
[00129] 1つの実施形態において、R2は、水素、F、Cl、Br、OSO2C1~3アルキル、またはC1~3アルキルである。
【0109】
[00130] さらなる実施形態において、R2は、水素、F、Cl、またはC1~3アルキルである。
【0110】
[00131] なおさらなる実施形態において、R2は、水素、F、またはC1~3アルキルである。
【0111】
[00132] 1つの実施形態において、R3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO2C1~3アルキル、CONH2、またはSO2NR4R5(式中、R4およびR5は、それらが付着される窒素原子とともにアゼチジン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成する)である。
【0112】
[00133] さらなる実施形態において、R3は、水素、F、Cl、CN、またはSO2C1~3アルキルである。
【0113】
[00134] なおさらなる実施形態において、R3は、水素、F、またはCNである。
【0114】
[00135] 1つの実施形態において、R6はC1~3アルキルであり、C1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって、任意選択によりOH、OC1~3アルキル、N(C1~3アルキル)2、シクロプロピル、またはテトラヒドロピランから選択される1種の置換基によって置換されている。
【0115】
[00136] さらなる実施形態において、R6はC1~3アルキルであり、C1~3アルキルは、任意選択により1、2、または3個のFによって置換されている。なおさらなる実施形態において、R6は、メチルまたはエチルである。なおさらなる実施形態において、R6はメチルである。
【0116】
[00137] 1つの実施形態において、R7は、水素、F、Cl、またはCH3である。さらなる実施形態において、R7は水素である。
【0117】
[00138] 1つの実施形態において、式(I)の化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(ブレンソカチブ):
【0118】
【化17】
;またはその薬学的に許容される塩である。さらなる実施形態において、式(I)の化合物はブレンソカチブである。
【0119】
[00139] 1つの実施形態において、式(I)の化合物は、
[00140] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00141] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00142] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00143] 4’-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート、
[00144] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00145] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00146] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3’,4’-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00147] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00148] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00149] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00150] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00151] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00152] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00153] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00154] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00155] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00156] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00157] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00158] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00159] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00160] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00161] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00162] (2S)-N-[(1S)-2-(4’-カルバモイル-3’-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00163] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00164] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00165] (2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00166] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00167] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00168] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00169] (2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00170] (2S)-N-{(1S)-2-[4’-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00171] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
[00172] (2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、または
[00173] (2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0120】
[00174] または前述の化合物のうちの1種の薬学的に許容される塩である。
【0121】
[00175] 1つの実施形態において、式(I)の化合物はブレンソカチブである。一部の実施形態において、ブレンソカチブは、米国特許第9,522,894号に開示される多形形態Aにあり、その開示はすべての目的上参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。一部の実施形態において、ブレンソカチブは、CuKα放射を使用して測定される、約12.2±0.2(°2-シータ)にピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、ブレンソカチブは、CuKα放射を使用して測定される、約20.6±0.2(°2-シータ)にピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、ブレンソカチブは、CuKα放射を使用して測定される、約12.2±0.2および約20.6±0.2(°2-シータ)にピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、ブレンソカチブは、CuKα放射を使用して測定される、約12.2±0.2、約14.3±0.2、約16.2±0.2、約19.1±0.2、および約20.6±0.2(°2-シータ)にピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0122】
[00176] 全体を通して提供されるように、本明細書において提供される方法によれば、式(I)の化合物は、薬学的に許容される塩として投与され得る。式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、種々の温度および湿度における安定性、またはH2O、油、もしくは他の溶媒における望ましい溶解度等、その化学的または物理的特性の1つまたは複数に起因して有利であり得る。一部の場合には、塩を使用して、式(I)の化合物の単離または精製を支援し得る。
【0123】
[00177] 式(I)の化合物が十分に酸性である場合、薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えばNaもしくはK、アルカリ土類金属塩、例えばCaもしくはMg、または有機アミン塩を含むが、それらに限定されるわけではない。式(I)の化合物が十分に塩基性である場合、薬学的に許容される塩は、無機または有機酸付加塩を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0124】
[00178] 帯電した官能基の数およびカチオンまたはアニオンの価数に応じて、1つを上回るカチオンまたはアニオンが存在し得る。
【0125】
[00179] 本明細書における使用に適した適切な塩および薬学的に許容される塩に関する概説に関しては、すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、Bergeら、J.Pharm.Sci.、1977、66、1-19または「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,selection and use」、P.H.Stahl、P.G.Vermuth、IUPAC、Wiley-VCH、2002を参照されたい。
【0126】
[00180] 式(I)の化合物は、その塩と共結晶形態との混合物を形成し得る。本明細書において提供される方法は、式(I)の化合物のそのような塩/共結晶混合物を採用し得ることも理解されるべきである。
【0127】
[00181] 塩および共結晶は、周知の技法、例えばX線粉末回折、単結晶X線回折(例えば、プロトン位置、結合長、または結合角を評価する)、固体NMR(例えばC、N、またはP化学シフトを評価する)、または分光学的技法(例えばO-H、N-H、またはCOOHシグナル、および水素結合により生じるIRピークシフトを測定する)を使用して特徴付けされ得る。
【0128】
[00182] 式(I)の化合物は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含めた、溶媒和形態、例えば水和物で存在し得ることも理解されるべきである。
【0129】
[00183] 1つの実施形態において、式(I)の化合物は、ラセミ体およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、個々のジアステレオマー、ならびにジアステレオマー混合物として存在し得る。本開示は、すべてのそのような異性体形態、例えば本明細書に開示されるS,Sジアステレオマー、S,Rジアステレオマー、R,Sジアステレオマー、およびR,Rジアステレオマー、ならびに前述のジアステレオマーの任意の2種以上の混合物を包含することが理解されるべきである。したがって、1つの実施形態において、式(I)の化合物は、下で示される(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、ブレンソカチブ、S,S異性体)である。
【0130】
【0131】
[00184] 1つの実施形態において、式(I)の化合物は、下で示される(2R)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、R,R異性体)である。
【0132】
【0133】
[00185] 1つの実施形態において、式(I)の化合物は、下で示される(2S)-N-{(1R)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、S,R異性体)である。
【0134】
【0135】
[00186] 1つの実施形態において、式(I)の化合物は、下で示される(2R)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、R,S異性体)である。
【0136】
【0137】
[00187] 1つの実施形態において、組成物は、前述の立体異性体の2種以上の混合物を含む。1つの実施形態における混合物は、式(I)の化合物のS,S異性体(ブレンソカチブ)およびS,R異性体を含む。別の実施形態において、組成物は、S,S異性体(ブレンソカチブ)とR,S異性体との混合物を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、S,S異性体(ブレンソカチブ)とR,R異性体との混合物を含む。
【0138】
[00188] 式(I)のある特定の化合物は、連結(例えば、炭素-炭素結合、アミド結合等の炭素-窒素結合)も含有し得、結合回転は、その特定の連結について制限される、例えば制限は環結合または二重結合の存在により生じる。したがって、本開示は、すべてのそのような異性体を包含することが理解されるべきである。式(I)のある特定の化合物は、複数の互変異性形態も含有し得る。本開示は、すべてのそのような互変異性形態を包含することが理解されるべきである。立体異性体は、従来の技法、例えばクロマトグラフィーもしくは分別結晶を使用して分離され得る、または立体異性体は、立体選択的合成によって作製され得る。
【0139】
[00189] さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、式(I)の化合物の任意の同位体標識された(または「放射性標識された」)誘導体を包含する。そのような誘導体は、1つまたは複数の原子が、天然に典型的に見い出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられている、式(I)の化合物の誘導体である。組み入れられ得る放射性核種の例は、2H(デューテリウムに対する「D」とも書かれる)を含む。そのため、1つの実施形態において、1つまたは複数の水素原子が、1つまたは複数のデューテリウム原子によって置き換えられている式(I)の化合物が提供され;重水素化化合物は、DPP1媒介性病態を治療するための本明細書において提供される方法の1つにおいて使用される。
【0140】
[00190] 当業者であれば、式(I)の化合物が、公知の様式で様々なやり方で調製され得ることを認識するであろう。例えば、1つの実施形態において、式(I)の化合物は、すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、米国特許第9,522,894号に明記される方法に従って調製される。
【0141】
薬学的組成物
[00191] 式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、単独で使用され得るが、一般的に、式(I)化合物/塩(活性薬学的成分(API))が、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、および/または担体を含む組成物中にある、薬学的組成物の形態で投与されるであろう。適切な薬学的製剤の選択および調製のための従来の手順は、すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、例えば「Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs」、M.E.Aulton、Churchill Livingstone、第2編、2002に記載される。
【0142】
[00192] 投与の様態に応じて、薬学的組成物は、約0.05~約99wt%、例えば約0.05~約80wt%、または約0.10~約70wt%、または約0.10~約50wt%のAPIを含み得、すべての重量パーセンテージは薬学的組成物の総重量に基づく。本明細書において別様に提供されない限り、本明細書において提供されるAPI重量パーセンテージは、式(I)の化合物のそれぞれの遊離塩基形態に対するものである。
【0143】
[00193] 1つの実施形態において、薬学的組成物は、フィルムコートされた経口錠剤の経口剤形にある。別の実施形態において、経口剤形は、インビトロの試験条件下で迅速に溶ける特徴を有する即時放出剤形である。1つの実施形態において、経口剤形は、本明細書に開示される第1および/または第2の1日投薬量に達するように1日1回投与される。さらなる実施形態において、経口剤形は、毎日のおよそ同じ時間に、例えば朝食前に、投与される。別の実施形態において、経口剤形は、本明細書に開示される第1および/または第2の1日投薬量に達するように1日2×投与される。
【0144】
[00194] 経口剤形において、式(I)の化合物は、アジュバント、希釈剤、または担体、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えばジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、もしくはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えばゼラチンもしくはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばセルロース誘導体;および/または潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックス、パラフィン等と混和され得、次いで錠剤に圧縮され得る。コートされた錠剤が要される場合、上で記載されるように調製されたコアは、水または易揮発性有機溶媒に溶けるまたは分散する適切なポリマーでコートされ得る。代替的に、錠剤は、例えばアラビアガム、ゼラチン、タルカム、および二酸化チタンを含有し得る濃縮された糖溶液でコートされ得る。
【0145】
[00195] 経口投与のための軟ゼラチンカプセルの調製に関して、式(I)の化合物は、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混和され得る。硬ゼラチンカプセルは、錠剤に対する上述の賦形剤のような薬学的賦形剤を使用して、化合物の顆粒を含有し得る。また、式(I)の化合物の液体または半固体製剤は、硬ゼラチンカプセルに充填され得る。
【0146】
[00196] 1つの実施形態において、組成物は口腔内崩壊錠(ODT)である。ODTは、それらが、丸飲みされるよりはむしろ舌の上で溶けるように設計されるという点で伝統的な錠剤とは異なる。
【0147】
[00197] 1つの実施形態において、組成物は、口腔内薄フィルムまたは口腔内崩壊フィルム(ODF)である。そのような製剤は、舌の上に置かれた場合、唾液との相互作用により水和し、剤形から活性化合物を放出する。ODFは、1つの実施形態において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、デンプン、ポリ酢酸ビニル(PVA)、またはアルギン酸ナトリウム等のフィルム形成ポリマーを含有する。
【0148】
[00198] 経口投与のための液体調製物は、シロップ、溶液、または懸濁液の形態にあり得る。溶液は、例えば、式(I)の化合物を含有し得、残部は、糖類、ならびにエタノール、水、グリセロール、およびプロピレングリコールの混合物である。任意選択により、そのような液体調製物は、着色剤、香味剤、増粘剤としてのサッカリンおよび/またはカルボキシメチルセルロースを含有し得る。さらに、経口使用のための製剤を作製する場合、当業者に公知の他の賦形剤が使用され得る。
【0149】
[00199] 方法の1つの実施形態において、薬学的組成物は、国際出願公開第WO2019/166626号に記載される組成物の1種であり、その開示はすべての目的上参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。
【0150】
[00200] 方法の別の実施形態において、患者に投与される薬学的組成物は、
(a)約1~約30wt%の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩;
(b)約45~約85wt%の薬学的希釈剤;
(c)約6~約30wt%の圧縮補助剤(compression aid);
(d)約1~約15wt%の薬学的崩壊剤;
(e)約0.00~約2wt%の薬学的滑剤;および
(f)約1~約10wt%の薬学的潤滑剤;
を含む組成物(A)であり、構成要素は合計すると100wt%になる。
【0151】
[00201] さらなる実施形態において、式(I)の化合物はブレンソカチブである。1つの実施形態において、ブレンソカチブは多形形態Aにある。別の実施形態において、ブレンソカチブは、上で記載されるX線粉末回折パターンの1つによって特徴付けられる。
【0152】
[00202] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約1~約25wt%;約1~約20wt%;約1~約15wt%;約1~約10wt%;約1~約5wt%;または約1~約3wt%の量で、式(I)の化合物、例えばブレンソカチブを含む。
【0153】
[00203] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約1.5~約30wt%;約1.5~約25wt%;約1.5~約20wt%;約1.5~約15wt%;約1.5~約10wt%;または約1.5~約5wt%の量で、式(I)の化合物、例えばブレンソカチブを含む。
【0154】
[00204] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約3~約30wt%;約3~約25wt%;約3~約20wt%;約3~約15wt%;約3~約10wt%;または約3~約5wt%の量で、式(I)の化合物、例えばブレンソカチブを含む。さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、組成物の総重量の約3~約10wt%で存在する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0155】
[00205] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、または約30wt%の量で、式(I)の化合物、例えばブレンソカチブを含む。
【0156】
[00206] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリトリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、トレハロース、キシリトール、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される1種または複数の薬学的希釈剤を含む。1つの実施形態において、組成物(A)は、2種以上の薬学的希釈剤を含む。別の実施形態において、組成物(A)は、1種の薬学的希釈剤を含む。さらなる実施形態において、薬学的希釈剤は微結晶セルロースである。微結晶セルロースは、経口錠剤およびカプセル製剤における結合剤/希釈剤であり、乾式造粒、湿式造粒、および直接圧縮過程において使用され得る。
【0157】
[00207] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約45~約80wt%、約45~約75wt%、約45~約70wt%、約45~約65wt%、約45~約60wt%、または約45~約55wt%の量で、1種または複数の薬学的希釈剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0158】
[00208] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約50~約85wt%、約50~約75wt%、約55~約85wt%、約55~約70wt%、約60~約85wt%、約65~約85wt%、約70~約85wt%、または約75~約85wt%の量で、1種または複数の薬学的希釈剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は、組成物の総重量の約55~約70wt%で存在する。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0159】
[00209] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、または約85wt%の量で、1種または複数の薬学的希釈剤を含む。
【0160】
[00210] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースである。他の実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリトリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、トレハロース、およびキシリトールを含む。
【0161】
[00211] 本開示において、「崩壊剤(disintegrant)」および「崩壊剤(disintegrants)」という用語は、薬学的製剤科学の文脈において解釈されることを意図される。したがって、組成物(A)における崩壊剤は、例えばアルギン酸、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、キトサン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリシン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、またはその組み合わせであり得る。
【0162】
[00212] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。1つの実施形態において、組成物(A)に存在する崩壊剤の量は、組成物の総重量の2%~8%である。さらなる実施形態において、崩壊剤の量は、組成物の総重量の約2wt%、約2.5wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%、または約4.5wt%である。デンプングリコール酸ナトリウムの物理的特性、それゆえ崩壊剤としてのその有効性は、架橋の度合い、カルボキシメチル化の程度、および純度の影響を受ける。
【0163】
[00213] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0164】
[00214] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約2~約14wt%、約2~約13wt%、約2~約12wt%、約2~約11wt%、約2~約10wt%、約2~約9wt%、約2~約8wt%、約2~約7wt%、約2~約6wt%、約2~約5wt%、約3.5~約4.5wt%の量で、1種または複数の薬学的崩壊剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的崩壊剤は、薬学的組成物の総重量の約3.5~約4.5wt%で存在する。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0165】
[00215] 本開示において、「滑剤」および「滑化剤」という用語は、薬学的製剤科学の文脈において解釈されることを意図される。したがって、組成物(A)における滑剤は、例えば二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、およびタルクであり得る。
【0166】
[00216] したがって、方法の一部の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的滑剤は、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、タルク、または前述のものの組み合わせから選択される。1つの実施形態において、滑剤は二酸化ケイ素である。その小さな粒子サイズおよび大きな特異的表面積は、錠剤化およびカプセル充填等のいくつかの過程における乾燥粉末の流動特性を向上させるために活用される望ましい流動特徴をそれに与える。本明細書における使用のための典型的な二酸化ケイ素濃度は約0.05~約1.0wt%に及ぶ。多孔質シリカゲル粒子も滑剤として使用され得、それは、0.25~1%の典型的濃度を有して、一部の製剤にとって利点であり得る。
【0167】
[00217] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約0.00~約1.75wt%;約0.00~約1.50wt%;約0.00~約1.25wt%;約0.00~約1.00wt%;約0.00~約0.75wt%;約0.00~約0.50wt%;約0.00~約0.25wt%;約0.00~約0.20wt%の量で、1種または複数の薬学的滑剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的滑剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、組成物(A)における式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0168】
[00218] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約0.05~約2wt%;約0.05~約1.75wt%;約0.05~約1.50wt%;約0.05~約1.25wt%;約0.05~約1.00wt%;約0.05~約0.75wt%;約0.05~約0.50wt%;約0.05~約0.25wt%;または約0.05~約0.20wt%の量で、1種または複数の薬学的滑剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的滑剤は、組成物の総重量の約0.05~約0.25wt%で存在する。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的滑剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、組成物(A)における式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0169】
[00219] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約0.05~約2wt%;約0.10~約2wt%;約0.2~約2wt%;約0.3~約2wt%;または約0.40~約2wt%の量で、1種または複数の薬学的滑剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的滑剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、組成物(A)における式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0170】
[00220] 本開示において、本明細書において使用される「潤滑剤(lubricant)」および「潤滑剤(lubricants)」という用語は、薬学的製剤科学の文脈において解釈されることを意図される。したがって、潤滑剤は、例えばステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ジベヘン酸グリセリル(glyceryl bihenehate)、トリベヘニン、およびベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、およびステアリン酸亜鉛であり得る。
【0171】
[00221] したがって、方法の一部の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、およびベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される。他の実施形態において、1種または複数の薬学的潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、およびベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される。
【0172】
[00222] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、1種または複数の薬学的潤滑剤を含み、潤滑剤はフマル酸ステアリルナトリウムではない。さらなる実施形態において、組成物(A)における式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0173】
[00223] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)は、潤滑剤としてベヘン酸グリセロールを含む。
【0174】
[00224] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤は、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはその組み合わせを含む。
【0175】
[00225] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)における潤滑剤は、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、またはその組み合わせである。
【0176】
[00226] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはグリセリンの1種もしくは複数のベヘン酸エステルを含む。
【0177】
[00227] 方法の一部の実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約1wt%~約9wt%、約1wt%~約8wt%、約1wt%~約7wt%、約1wt%~約6wt%、約1wt%~約5wt%、約2wt%~約10wt%、約2.5wt%~約10wt%、約2wt%~約8wt%、約2wt%~約7wt%、約2wt%~約6wt%、約2wt%~約5wt%、約2wt%~約4.5wt%、または約2.5wt%~約4.5wt%の量で、1種または複数の薬学的潤滑剤を含む。さらなる実施形態において、1種または複数の薬学的潤滑剤は、組成物の総重量の約2.5~約4.5wt%で存在する。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤はベヘン酸グリセロールである。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的滑剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、組成物(A)における式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0178】
[00228] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはグリセリンの1種もしくは複数のベヘン酸エステル、あるいはその混合物からなる。
【0179】
[00229] 方法の別の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ジベヘン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、またはその任意の混合物からなる。
【0180】
[00230] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤はフマル酸ステアリルナトリウムを含む。別の実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤はフマル酸ステアリルナトリウムからなる。
【0181】
[00231] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤は、グリセリンの1種または複数のベヘン酸エステル(すなわち、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、およびベヘン酸グリセリルのうちの1種または複数)を含む。
【0182】
[00232] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)における圧縮補助剤はリン酸二カルシウム二水和物(第二リン酸カルシウム二水和物(dibasic calcium phosphate dihydrate)としても知られる)(DCPD)である。DCPDは、賦形剤としても、栄養補給剤におけるカルシウムおよびリンの供給源としても、錠剤製剤において使用される。
【0183】
[00233] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、または約24wt%を含めた約10~約30wt%の量で、圧縮補助剤、例えばDCPDを含む。さらなる実施形態において、圧縮補助剤は、組成物の総重量の約20wt%で存在する。
【0184】
[00234] 方法の1つの実施形態において、組成物(A)は、組成物の総重量の約10~約25wt%、約10~約20wt%、約10~約15wt%、約15~約25wt%、または約20~約25wt%、または約18~約22wt%の量で、圧縮補助剤、例えばDCPDを含む。さらなる実施形態において、圧縮補助剤は、組成物の総重量の約18~約22wt%で存在する。さらなる実施形態において、圧縮補助剤はDCPDである。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的潤滑剤はベヘン酸グリセロールである。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的滑剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、組成物(A)における1種または複数の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施形態において、例示的な組成物における式(I)の化合物は、ブレンソカチブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0185】
[00235] 方法の1つの実施形態において、患者に投与される薬学的組成物は、
(a)約1~約30wt%の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩;
(b)約55~約75wt%の薬学的希釈剤;
(c)約15~約25wt%の圧縮補助剤;
(d)約3~約5wt%の薬学的崩壊剤;
(e)約0.00~約1wt%の薬学的滑剤;および
(f)約2~約6wt%の薬学的潤滑剤;
を含む組成物(B)であり、構成要素は合計すると100wt%になる。
【0186】
[00236] 組成物(B)が患者に投与される方法の一部の実施形態において、組成物における薬学的希釈剤、圧縮補助剤、薬学的崩壊剤、薬学的滑剤、および薬学的潤滑剤の正体は、組成物(A)に関して上で記載されるものの1種であり得る。他の実施形態において、組成物(B)における薬学的希釈剤、圧縮補助剤、薬学的崩壊剤、薬学的滑剤、および薬学的潤滑剤の量も、量が、組成物(B)に関して上で挙げられる相当するより広い域内にある限りにおいて、組成物(A)に関して上で記載されるものの1つであり得る。
【0187】
[00237] 組成物(A)および(B)を含めた、本明細書に開示される薬学的組成物は、人間への経口投与に適切な固体剤形にあり得る。例えば、薬学的組成物は薬学的錠剤である。薬学的錠剤は、例えば国際出願公開第WO2019/166626号に記載される乾式混合/直接圧縮過程を含めた、当業者に公知の方法を使用して調製され得る。一部の実施形態において、薬学的錠剤は錠剤コアを含み、錠剤コアは本明細書に開示される薬学的組成物を含み、錠剤コアはコーティングを有する。一部の実施形態において、コーティングはフィルムコーティングである。フィルムコーティングは、当業者に公知の従来の方法を使用して適用され得る。機能的コーティングを使用して、例えば湿気侵入または光による分解からの保護を提供し得る。付加的に、機能的コーティングを使用して、組成物からの式(I)の化合物、例えばブレンソカチブの放出を改変し得るまたは制御し得る。コーティングは、例えば薬学的組成物の総重量の約0.2~約10wt%、例えば薬学的組成物の総重量の約0.2~約4wt%、約0.2~約3wt%、約1~約6wt%、または約2~約5wt%を構成し得る。
【0188】
DPP1媒介性病態
[00238] 一部の実施形態において、本明細書において提供される治療方法に適したDPP1媒介性病態は気道の閉塞性疾患である。気道の閉塞性疾患の非限定的な例は、間欠性でも持続性でも、およびすべての重症度の、気管支性、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘導性、薬物誘導性(アスピリンおよびNSAID誘導性を含む)、およびダスト誘導性喘息を含めた喘息、ならびに気道過敏症の他の原因;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含めた気管支炎;肺気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;アルファ-1アンチトリプシン欠乏症;農夫肺および関連疾患;過敏性肺臓炎;原因不明の線維化性肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物療法を複雑にする線維症を含めた肺線維症、ならびに結核およびアスペルギルス症、ならびに他の真菌感染症を含めた慢性感染症;肺移植の合併症;肺血管系の血管炎性および血栓性障害、ならびに肺高血圧症;気道の炎症性および分泌性病態と関連した慢性の咳、ならびに医原性の咳の治療を含めた鎮咳作用;薬物性鼻炎および血管運動性鼻炎を含めた急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎を含めた通年性および季節性アレルギー性鼻炎(花粉症);鼻ポリープ;感冒を含めた急性ウイルス性感染症、ならびに呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)、およびアデノウイルスに起因した感染症に起因した気道の閉塞性疾患、急性肺傷害、ならびに急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ならびに前述の呼吸器疾患状態のそれぞれの増悪を含む。
【0189】
[00239] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は喘息(気管支性、アレルギー性、内因性、外因性、またはダスト喘息、特に慢性または常習性喘息(例えば、遅発型喘息または気道過敏症)等)である。
【0190】
[00240] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0191】
[00241] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態はアレルギー性鼻炎である。
【0192】
[00242] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態はアルファ-1アンチトリプシン欠乏症である。
【0193】
[00243] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。
【0194】
[00244] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は気管支拡張症である。気管支拡張症は、嚢胞性線維症を有する患者における、または嚢胞性線維症を有しない患者における(「嚢胞性線維症と無関係の気管支拡張症」または「非嚢胞性線維症(CF)気管支拡張症」と称されることもある)ものであり得る。式(I)の化合物を使用して気管支拡張症を治療する方法は、すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、米国出願公開第2018/0028541号に記載される。
【0195】
[00245] 気管支拡張症は、多くの疾患過程により生じる病理学的終点と見なされ、拡張した壁の厚い気管支によって特徴付けられる持続性または進行性病態である。症状は、喀出の間欠的発作、およびしばしば大量の膿性痰の持続的な毎日の喀出の影響を受ける肺の領域に限局された感染症から様々である。気管支拡張症は、他の非特異的な呼吸器症状と関連し得る。理論によって拘束されることを望むことなく、気管支拡張症の根底にある病理学的過程は、炎症が過程の中心となる事象または一連の事象により生じる気道への損傷として報告されている(すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、Guideline for non-CF Bronchiectasis、Thorax、2010年7月、第65巻(補足1))。非CF気管支拡張症は、遺伝病から気道異物の保持に及ぶ数々の病因によって引き起こされるまたはそれと関連すると報告されており、全身性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)等のよく見られる呼吸器疾患、ならびにサルコイドーシス等の稀少な疾患を有する患者に存在すると報告されている(すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、ChangおよびBilton(2008)、Thorax 63、269~276頁)。
【0196】
[00246] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)または顕微鏡的多発血管炎(MPA)を含むがそれらに限定されない、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)関連血管炎である。式(I)の化合物を使用してANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)を治療する方法は、すべての目的上本明細書における参照によりその全体として組み入れられる、米国出願公開第2019/0247400号に記載される。
【0197】
[00247] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は嚢胞性線維症である。嚢胞性線維症(CF)は、CF膜コンダクタンス調節タンパク質の異常によって引き起こされ、慢性肺感染症(特に、Pseudomonas aeruginosaによる)および過度の炎症を引き起こし、気管支拡張症、衰退する肺機能、呼吸不全、および生活の質につながる。炎症過程は、細胞外マトリックスタンパク質に直接作用し、炎症および感染症への宿主応答において役割を果たす、NE、ならびにCatGおよびPR3を含めた他の破壊的NSPを産生する好中球によって支配される(Dittrichら、Eur Respir J.2018;51(3))。理論によって拘束されることを望むことなく、本明細書において提供される方法により投与される、DPP1の可逆的阻害剤である式(I)の化合物は、NSPの活性化の有効な阻害および炎症を減少させることにより有益な効果を有し、それは今度は、CF患者における肺の増悪の減少、肺の増悪の速度の減少、および/または肺機能(例えば、1秒間における努力呼気肺活量(forced expiratory volume)[FEV1])の向上につながると考えられる。
【0198】
[00248] 一部の実施形態において、本明細書において提供される治療方法に適したDPP1媒介性病態は、原発性固形腫瘍、液性腫瘍、または転移性癌を含めた癌である。1つの実施形態において、DPP1は、癌患者の癌性細胞、好中球、マクロファージ、単球、または肥満細胞によって発現される。
【0199】
[00249] DPP1によって活性化される好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、および好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)を含めたNSPは、腫瘍開始、腫瘍進行、および/または腫瘍転移を媒介し得る。さらに、好中球は、血管内播種、溢出、および転移成長等、転移のステージにおいて重要な役割を果たす。好中球は、セレクチンおよびインテグリンのそれらの表面発現により、転移部位における内皮への癌細胞接着を支援し得る。好中球由来IL-1βは、腫瘍細胞溢出を促進し得る。さらに、好中球細胞外トラップ(NET)は、腫瘍細胞の侵襲性および遊走性挙動を誘導し得る。NETは、トロンボスポンジン-1の分解ももたらし得、それは今度は、転移性癌成長を促す。理論によって拘束されることを望むことなく、式(I)の化合物によるDPP1機能の阻害は、NSPおよび/または好中球の癌促進性機能の阻害、それゆえ多様な癌の発症、成長、および進行、ならびに様々なステージにおける癌転移(血管内播種、溢出等)の阻害をもたらし得ると考えられる。
【0200】
[00250] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は、原発性固形腫瘍を含む癌である。一部の実施形態において、癌は、乳癌、膀胱癌、肺癌、脳腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肝臓癌、肝細胞癌腫、腎臓癌、胃癌、皮膚癌、線維性癌、リンパ腫、ウイルス誘導性癌、口腔咽頭癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、黒色腫、および骨癌からなる群から選択される。
【0201】
[00251] 1つの実施形態において、癌は膀胱癌である。
【0202】
[00252] 1つの実施形態において、癌は肺癌である。
【0203】
[00253] 1つの実施形態において、癌は脳腫瘍である。一部の実施形態において、脳腫瘍は、星細胞腫、退形成性星細胞腫、多形性膠芽細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、髄膜腫、神経鞘腫、または髄芽腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は星細胞腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は退形成性星細胞腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は多形性膠芽細胞腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は乏突起膠腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は上衣腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は髄膜腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は神経鞘腫である。一部の実施形態において、脳腫瘍は髄芽腫である。
【0204】
[00254] 1つの実施形態において、癌は卵巣癌である。
【0205】
[00255] 1つの実施形態において、癌は膵臓癌である。
【0206】
[00256] 1つの実施形態において、癌は結腸直腸癌である。
【0207】
[00257] 1つの実施形態において、癌は前立腺癌である。
【0208】
[00258] 1つの実施形態において、癌は肝臓癌である。
【0209】
[00259] 1つの実施形態において、癌は肝細胞癌腫である。
【0210】
[00260] 1つの実施形態において、癌は腎臓癌である。
【0211】
[00261] 1つの実施形態において、癌は胃癌である。
【0212】
[00262] 1つの実施形態において、癌は皮膚癌である。
【0213】
[00263] 1つの実施形態において、癌は線維性癌である。さらなる実施形態において、線維性癌は平滑筋肉腫である。
【0214】
[00264] 1つの実施形態において、癌はリンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、またはカポジ肉腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はホジキンリンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫は非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はB細胞免疫芽球性リンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はナチュラルキラー細胞リンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はT細胞リンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はバーキットリンパ腫である。一部の実施形態において、リンパ腫はカポジ肉腫である。
【0215】
[00265] 1つの実施形態において、癌はウイルス誘導性癌である。
【0216】
[00266] 1つの実施形態において、癌は口腔咽頭癌である。
【0217】
[00267] 1つの実施形態において、癌は精巣癌である。
【0218】
[00268] 1つの実施形態において、癌は胸腺癌である。
【0219】
[00269] 1つの実施形態において、癌は甲状腺癌である。
【0220】
[00270] 1つの実施形態において、癌は黒色腫である。
【0221】
[00271] 1つの実施形態において、癌は骨癌である。
【0222】
[00272] 1つの実施形態において、癌は乳癌である。一部の実施形態において、乳癌は、腺管癌腫、小葉癌腫、髄様癌腫、膠様癌腫、管状癌腫、または炎症性乳癌を含む。一部の実施形態において、乳癌は腺管癌腫を含む。一部の実施形態において、乳癌は小葉癌腫を含む。一部の実施形態において、乳癌は髄様癌腫を含む。一部の実施形態において、乳癌は膠様癌腫を含む。一部の実施形態において、乳癌は管状癌腫を含む。一部の実施形態において、乳癌は炎症性乳癌を含む。
【0223】
[00273] 一部の実施形態において、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。一部の実施形態において、乳癌は、ホルモン療法またはHER2タンパク質受容体を標的にする治療法に応答しない。
【0224】
[00274] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は、液性腫瘍を含む癌である。一部の実施形態において、液性腫瘍は、急性骨髄白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄白血病、有毛細胞白血病、骨髄増殖性障害、ナチュラルキラー細胞白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、および骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される。一部の実施形態において、液性腫瘍は急性骨髄白血病(AML)である。一部の実施形態において、液性腫瘍は急性リンパ芽球性白血病である。一部の実施形態において、液性腫瘍は急性リンパ球性白血病である。一部の実施形態において、液性腫瘍は急性前骨髄球性白血病である。一部の実施形態において、液性腫瘍は慢性骨髄白血病である。一部の実施形態において、液性腫瘍は有毛細胞白血病である。一部の実施形態において、液性腫瘍は骨髄増殖性障害である。一部の実施形態において、液性腫瘍はナチュラルキラー細胞白血病である。一部の実施形態において、液性腫瘍は芽球性形質細胞様樹状細胞新生物である。一部の実施形態において、液性腫瘍は慢性骨髄性白血病(CML)である。一部の実施形態において、液性腫瘍は肥満細胞症である。一部の実施形態において、液性腫瘍は慢性リンパ球性白血病(CLL)である。一部の実施形態において、液性腫瘍は多発性骨髄腫(MM)である。一部の実施形態において、液性腫瘍は骨髄異形成症候群(MDS)である。
【0225】
[00275] 1つの実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は小児癌である。一部の実施形態において、小児癌は、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、骨肉腫、またはユーイング肉腫である。一部の実施形態において、小児癌は神経芽細胞腫である。一部の実施形態において、小児癌はウィルムス腫瘍である。一部の実施形態において、小児癌は横紋筋肉腫である。一部の実施形態において、小児癌は網膜芽細胞腫である。一部の実施形態において、小児癌は骨肉腫である。一部の実施形態において、小児癌はユーイング肉腫である。
【0226】
[00276] 一部の実施形態において、方法によって治療されるDPP1媒介性病態は転移性癌である。一部の実施形態において、患者は、転移性癌を発症するリスクがある。一部の実施形態において、転移性癌は転移性乳癌を含む。さらなる実施形態において、転移性乳癌は、肺、脳、骨、膵臓、リンパ節、および/または肝臓への乳癌の転移を含む。なおさらなる実施形態において、転移性乳癌は、肺への乳癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、肺への骨癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、腹膜、膵臓、胃、肺、肝臓、腎臓、および/または脾臓への結腸直腸癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、腸間膜、脾臓、膵臓、肺、肝臓、副腎、および/または卵巣への胃癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、リンパ節、肺、肝臓、後肢、脳、腎臓、および/または脾臓への白血病の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、腸、脾臓、膵臓、胃、肺、および/または腎臓への肝臓癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、腎臓、卵巣、肝臓、膀胱、および/または脾臓へのリンパ腫の転移を含む。
【0227】
[00277] 他の実施形態において、転移性癌は、腸、肺、肝臓、脾臓、腎臓、および/または胃への造血性癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、リンパ節および/または肺への黒色腫の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、腸間膜、卵巣、腎臓、脾臓、リンパ節、胃、および/または肝臓への膵臓癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、肺、膵臓、腎臓、脾臓、腸、肝臓、骨、および/またはリンパ節への前立腺癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、横隔膜、肝臓、腸、胃、肺、膵臓、脾臓、腎臓、リンパ節、および/または子宮への卵巣癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、骨への骨髄腫の転移を含む。
【0228】
[00278] 他の実施形態において、転移性癌は、骨、脳、リンパ節、肝臓、卵巣、および/または腸への肺癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、肝臓、肺、膵臓、胃、脳、および/または脾臓への腎臓癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、骨、肝臓、および/または肺への膀胱癌の転移を含む。他の実施形態において、転移性癌は、骨、肝臓、および/または肺への甲状腺癌の転移を含む。
【実施例】
【0229】
[00279] 本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに解説される。しかしながら、これらの実施例は、上で記載される実施形態のように、例示であり、決して本発明の範囲を制限するものとして捉えられるべきではないことに留意すべきである。
【0230】
[00280] 下の実施例1~8は、白血球(WBC)を含む患者サンプルからのNE、PR3、およびCatGの抽出および活性アッセイの向上のための条件および手順を検討する。
【0231】
材料
[00281] 表1Aは、ヒトWBCサンプルからNE、PR3、およびCatGを抽出するために試験された様々な溶解緩衝液の組成、ならびに洗浄画分においてならびに抽出されたNE、PR3、およびCatGを含有する細胞溶解物において、それぞれ、NE、PR3、およびCatGの酵素活性を測定するための試薬および緩衝液の組成を示している。
【0232】
【0233】
方法
1.サンプル処理
[00282] NE、PR3、およびCatG抽出を実施する前に、全血サンプル2mLを1×赤血球(RBC)溶解緩衝液(Abcam、カタログ番号Ab204733)40mLで溶解し、5回反転させ、室温で20分間インキュベートすることによって、全血サンプルを白血球(WBC)ペレットに処理した。次いで、サンプルを400gで5分間および4℃でスピンダウンし、それに続いて、WBCペレットを乱すことなく液体を慎重にデカントした。NEおよびPR3抽出を意図されるWBCペレットを凍結し、-80℃で保管した。NEおよびPR3抽出のためのWBCペレットを用意するために、ペレットを融解し、溶解緩衝液を用いたペレット溶解に供した。NEおよびPR3抽出にNP-40溶解緩衝液を使用したある特定の調査では、融解されたペレットを、ペレット溶解の前に洗浄した(すなわち、下で記載される溶解前洗浄)。CatG抽出を意図されるWBCペレットに関しては、それらの一部を同じように凍結し、-80℃で保管し、後に融解し、NP-40溶解緩衝液を用いたペレット溶解の前に洗浄した。CatG抽出を意図されるWBCペレットの一部を、凍結および-80℃での保管の前にRBC溶解後洗浄に供した。つまり、RBC溶解後に獲得されたWBCペレットを、アッセイ緩衝液40mLまたは0.9%生理食塩水40mLのいずれかを用いて洗浄し、5回反転させて混合し、遠心分離し(4℃で5分間の400×g)、それに続いて、WBCペレットを乱すことなく液体を慎重にデカントした。次いで、洗浄されたペレットを凍結し、-80℃で保管した。CatGを抽出するために、凍結されたRBC溶解後洗浄WBCペレットを融解し、NP-40溶解緩衝液を使用した場合でさえ溶解前洗浄を受けることなく、NP-40溶解緩衝液または0.02%Triton X-100溶解緩衝液を用いたペレット溶解に供した。WBCペレットからのCatG抽出に関係した実施例8における細胞ペレット処理および溶解条件の概要に関しては表7を参照されたい。種々の溶解条件を比較した実験に関しては、複数のWBCペレットを各ドナー全血サンプルから生成した。
【0234】
2.WBCペレットの溶解前洗浄
[00283] NP-40溶解緩衝液を使用して、WBCペレットからNE、PR3、およびCatGを抽出した一部の実験では、NP-40溶解緩衝液を用いたペレット溶解の前に、凍結されたWBCペレットを室温で融解し、ペレットとアッセイ緩衝液との混合物を穏やかにピペッティングすることによって、氷冷アッセイ緩衝液1mLで洗浄した。混合物を4℃で3分間16,000gで遠心分離して、洗浄されたペレットおよび上清(すなわち、洗浄画分)を獲得した。洗浄されたペレットを溶解に供して、NE、PR3、およびCatGを抽出した。洗浄画分を収集し、NE、PR3、およびCatG活性アッセイのための空の微量遠心(microfuge)チューブに移した。洗浄前にWBCペレットサンプルに存在し得る様々な容積の残留RBC溶解緩衝液を説明するために、洗浄画分を移す前および後に微量遠心分離チューブを計量し、重量差を算出した。洗浄画分の容積を重量差に基づいて獲得し、それを、1g/mLの密度(水の密度)を使用して容積に変換した。上で記されるように、溶解前洗浄は、CatG抽出のためにRBC溶解後に前もって洗浄されているWBCペレットに関しては実施されなかった。
【0235】
3.WBCペレット溶解
[00284] 前もって凍結され、室温で融解されている非洗浄WBCペレット、または溶解前洗浄WBCペレット、またはRBC溶解後洗浄WBCペレットに溶解緩衝液1mLを添加し、その後にピペッティングを用いた撹拌が続くことによって、WBCペレット溶解を実施した。残屑を4℃で3~10分間16,000gでの遠心分離によりペレットにし、NE、PR3、およびCatG活性アッセイのために上清(「1°細胞溶解物」と称される)を収集し、-80℃で保管した。WBCペレットを多工程の繰り返しのペレット溶解過程に供した多抽出実験では、残屑を溶解の付加的な工程(ラウンドまたはサイクル)に供した。各付加的な溶解工程の間、前の溶解工程からの残屑を、撹拌しながら同じまたは異なる溶解緩衝液によって溶解した。その後、残りの残屑を遠心分離により同じようにペレットにし、次の溶解工程に供し、一方で上清を、同じように2°、3°、4°、5°細胞溶解物等と称される付加的な細胞溶解物として収集し、命名における番号は、起源となる溶解工程の番号と合致した。溶解工程の間に適用された機械的撹拌の量、および繰り返しのペレット溶解過程における溶解工程の数を変えて、NEおよびPR3回収に対するそれらの効果を査定した。CatG抽出および活性判定に関しては、各WBCペレットを、各溶解サイクルの間に20回の機械的ピペッティングが適用される総計3回の溶解サイクルに供し、結果として生じた1°、2°、および3°細胞溶解物をプールした(細胞ペレット処理および溶解条件の概要に関しては実施例8における表7を参照されたい)。変動を最小限に抑えならびに総抽出回数を低下させるために、マルチチャネルピペットを使用することによって同時に、実質的に同じ条件、例えば同じ継続時間の溶解および同じ量の機械的撹拌の下で、各ドナー由来の複数のWBCペレットを処理した。
【0236】
4.NE、PR3、およびCatGアッセイ
[00285] NE、PR3、およびCatGの活性を、2種のやり方の一方で測定した:(1)ELISAベースのアッセイ、すなわちProAxsis(Belfast、Northern Ireland)製のProteaseTag(登録商標)活性NEイムノアッセイ、ProteaseTag(登録商標)活性PR3イムノアッセイ、およびProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイ、または(2)そのそれぞれが、NE、PR3、もしくはCatGに特異的な外来性ペプチド基質を使用する、酵素反応速度論アッセイ。比較のために、生物学的サンプルにおけるCatG活性を検出し、定量する蛍光分析酵素アッセイであるSensoLyte(登録商標)Rh110カテプシンGアッセイキット(AnaSpec、Fremont、CA)を使用することによって、CatG活性も測定した。
【0237】
[00286] そのそれぞれが、潜在的なまたは阻害剤が結合している対応物ではなく、活性NE、PR3、またはCatGを検出し、定量するELISAベースのアッセイを、メーカーの使用説明書に従って実施した。
【0238】
[00287] NE反応速度論アッセイにおいて、NEに対する高い特異性を有する外来性ペプチド基質(表1Aに示される)は、サンプルに存在するNEによって切断され、フルオロフォア反応産物の7-アミノ4-メチルクマリン(AMC)を生成した。サンプルにおける活性NEの量に比例するこの反応の初速度を、相対蛍光単位(RFU)で測定し、サンプルにおける活性NEの濃度に変換した。具体的には、マルチウェルプレート上のサンプル希釈物の酵素緩衝液(サンプル希釈剤)に対する溶解緩衝液の比と合致する、標準物質希釈剤におけるヒトNEストックタンパク質(Sigma、カタログ番号E8140-1UN、表1Aを参照されたい)の連続希釈により標準物質を創出した。酵素緩衝液を希釈剤として使用して、サンプル希釈物をプレート上に創出した。アッセイ緩衝液におけるDMSOまたはNE阻害剤(Abcam、カタログ番号ab142154、最終濃度80μM)のいずれかの1:25希釈物をすべてのウェルに添加し、37℃で15分間インキュベートさせた。DMSOの添加を、将来的な試験が、非特異的活性により誘導される切断の差し引きのために阻害剤の添加を要する場合のプレースホルダーとして使用した。インキュベーションの後、NE基質希釈剤に希釈されたNE基質(メトキシスクシニル-ala-ala-pro-val-AMC、Sigma、カタログ番号M9771、最終濃度100μM)をサンプルおよび対照ウェルにその順序で添加し、2~3回ピペッティングすることにより簡単に混合した。プレートを、BioTek Gen5プレートリーダーで37℃にて最高3時間(最小30分間)5分ごとに反応速度論モードで、基質添加後に350/450nm(励起/発光)で直ちに読み取った。読み取りの生データを、下で記載されるデータ分析のためにエクセルファイルにエクスポートした。
【0239】
[00288] NEの代わりにPR3に特異的な外来性ペプチド基質を使用することを除いて、PR3反応速度論アッセイは、上で記載されるNE反応速度論アッセイと同じ原理に基づく。サンプルに存在するPR3によるPR3基質の切断は、フルオロフォア反応産物の2-アミノベンゾイルまたはアントラニロイル(Abz)を生成した。サンプルにおける活性PR3の量に比例するこの反応の初速度を、RFUで測定し、サンプルにおける活性PR3の濃度に変換した。具体的には、マルチウェルプレート上のサンプル希釈物の酵素緩衝液(サンプル希釈剤)に対する溶解緩衝液の比と合致する、標準物質希釈剤におけるヒトPR3ストックタンパク質(Sigma、カタログ番号SRP6309-25UG、表1Aを参照されたい)の連続希釈により標準物質を創出した。酵素緩衝液を希釈剤として使用して、サンプル希釈物をプレート上に創出した。アッセイ緩衝液におけるDMSOまたはPR3阻害剤(Abcam、カタログ番号ab146184、最終濃度500μM)のいずれかの1:20希釈物をすべてのウェルに添加し、37℃で15分間インキュベートさせた。DMSOの添加を、将来的な試験が、非特異的活性により誘導される切断の差し引きのために阻害剤の添加を要する場合のプレースホルダーとして使用した。インキュベーションの後、アッセイ緩衝液に希釈されたPR3基質(Abz-VADCADQ-Lys(DNP)、最終濃度100μM)をサンプルおよび対照ウェルにその順序で添加し、2~3回ピペッティングすることにより簡単に混合した。プレートを、BioTek Gen5プレートリーダーで37℃にて最高3時間(最小30分間)5分ごとに反応速度論モードで、基質添加後に340/430nm(励起/発光)で直ちに読み取った。読み取りの生データを、下で記載されるデータ分析のためにエクセルファイルにエクスポートした。
【0240】
[00289] CatG活性を、外来性ペプチド基質を使用して酵素アッセイにおいて測定した。基質の切断は、クロモフォアまたはフルオロフォア反応産物のp-ニトロアニリン(pNA)、6-カルボキシテトラメチルローダミン(6-TAMRA)、または7-メトキシクマリン-4-酢酸(MCA)を生成した。この反応の初速度は、サンプルにおける活性CatGの量に比例し、基質に応じて吸光度(ABS)または蛍光(RFU)で測定し、サンプルにおける活性CatGの濃度に変換した。具体的には、プレート上のサンプル希釈物の酵素緩衝液(サンプル希釈剤)に対する溶解緩衝液の比と合致する、標準物質希釈剤におけるストックヒトCatGタンパク質(Sigma、カタログ番号C4428-.25UN)の連続希釈により標準物質を創出した。酵素緩衝液を希釈剤として使用して、サンプル希釈物をプレート上に創出し、かつ/または整然とランした。アッセイ緩衝液におけるDMSOまたはCatG阻害剤(Cayman Chemical、カタログ番号14928、最終濃度200μM)のいずれかの1:10希釈物をすべてのウェルに添加し、37℃で15分間インキュベートさせた。DMSOの添加を、将来的な試験が、非特異的活性切断の差し引きのために阻害剤の添加を要する場合のプレースホルダーとして使用した。インキュベーションの後、アッセイ緩衝液に希釈されたCatG基質をサンプルおよび対照ウェルにその順序で添加し、2~3回ピペッティングすることにより簡単に混合した(試験された基質のリストに関しては表1Bを参照されたい)。プレートを、Gen5ソフトウェアを用いたBioTek’s Synergy NeoまたはBioTek’s Synergy H1Mプレートリーダーで37℃にて1.5時間5分ごとに反応速度論モードで、基質添加後に表1Bに従った適当な波長で直ちに読み取った。実験を保存し、生データを、データ分析のためにエクセルファイルにエクスポートした(下のデータ分析方法を参照されたい)。
【0241】
【0242】
5.データ分析
[00290] ELISAベースのアッセイからのデータを分析するために、標準物質吸光度値およびそれらそれぞれの既知の濃度を使用して、標準曲線を創出した。複数の標準物質希釈剤をアッセイにおいて使用した場合には、複数の標準曲線を創出した。次いで、適当な標準曲線(使用可能な場合)からの最良適合式の二次多項式直線を使用して、未知のサンプル濃度を算出した。サンプル濃度を希釈に対して補正し、複製物を平均化した。
【0243】
[00291] NEおよびPR3反応速度論アッセイからのデータを分析するために、2種の方法を使用し、結果を比較して一貫性を確保した。具体的には、反応速度論的傾きの線形部分を、(1)視覚的に判定し、エクセルのslope式を使用して算出した、または(2)自動的に判定し、社内で開発されたマクロエクセルプログラムを使用して算出した。標準物質傾き値およびそれらそれぞれの既知の濃度を使用して、標準曲線を創出した。複数の標準物質希釈剤をアッセイにおいて使用した場合には、複数の標準曲線を創出した。次いで、適当な標準曲線(使用可能な場合)からの最良適合式の二次多項式直線を使用して、未知のサンプル濃度を算出した。サンプル濃度を希釈に対して補正し、複製物を平均化した。
【0244】
[00292] CatG反応速度論アッセイからのデータを分析するために、Gen5ソフトウェアおよびImagerソフトウェアを用いたBioTek’s Synergy NeoおよびH1プレートリーダーからの読み取りを、生データを含有するエクセルファイルに直接エクスポートした。次いで、各プレートからのこれら生データ読み取りを、データ分析のために第2のエクセルファイルにコピーした。反応速度論的傾きの線形部分を視覚的に判定し、エクセルのslope式を使用して算出した。標準物質傾き値およびそれらそれぞれの既知の濃度を使用して、標準曲線を創出した。複数の標準物質希釈剤をアッセイにおいて使用した場合には、複数の標準曲線を創出した。次いで、適当な標準曲線(使用可能な場合)からの最良適合式の二次多項式直線を使用して、未知のサンプル濃度を算出した。サンプル濃度を希釈に対して補正し、複製物を平均化した。
【0245】
[00293] 別様に記されない限り、実施例において提示される活性NE、PR3、およびCatGのWBCサンプル濃度のすべては、WBCサンプルが由来する全血の容積に対して正規化され、全血のmLあたりの活性NE、PR3、またはCatGの質量として表現される(例えば、ngまたはμg単位で)。
【0246】
6.統計分析
[00294] WBCペレット抽出結果についての統計分析を、ダネットの多重比較検定を使用して実施した。アルファ値を0.05に設定した。
【0247】
実施例1-ヒトWBCサンプルからのNEおよびPR3の抽出のための溶解緩衝液スクリーニング
[00295] NEおよびPR3等の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)は、好中球のアズール顆粒の内側にカプセル化され、放出されて迅速な免疫応答を提供し得る。NSPの一部分は、一般的に好中球内にも存在し得る。定量化のためにこれらの酵素を抽出するために、細胞および顆粒の両方が溶解されなければならない。溶解の伝統的な方法は、細胞膜を破壊して開き、NSPを曝露する物理的分断(例えば、撹拌)および化学的手段(例えば、洗浄剤を使用することによる)を含む。洗浄剤およびその濃度の選定は、NSPの回収に影響を及ぼし得るだけでなく、下流のNSP定量または活性アッセイを妨害もし得ることから、NSPの抽出に対する種々の濃度の種々の洗浄剤の適性は予測不可能である。種々の洗浄剤条件下でのNEおよびPR3回収を比較するために、複数の血液ドナーサンプル(n=5)を使用して、0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液、1%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液、および市販のAbcam溶解緩衝液を試験した。付加的に、2工程の繰り返しのペレット溶解過程において、WBCペレットを最初にAbcam溶解緩衝液で、次いで第2の溶解工程の間に10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液で溶解した。表1Aは、スクリーニングにおいて使用された溶解緩衝液の処方を示している。ペレット溶解の後、細胞溶解物を獲得し、細胞溶解物におけるそれぞれ活性NEおよびPR3の濃度として表現されるNEおよびPR3活性を、ProAxsis ELISAベースのアッセイおよび反応速度論アッセイを使用して定量した。
【0248】
[00296] ELISAベースのアッセイと比較して、反応速度論アッセイは、NEおよびPR3活性に対するより大きな感度、ならびに洗浄剤、および溶解緩衝液から持ち込まれた他の作用物質によるより低い妨害を呈した。結果として、反応速度論アッセイを実施し、それらの結果を実施例を通して示した。
図1Aに示されるように、0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液および1%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液は、同様の量の活性NEを回収し、一方でAbcam溶解緩衝液は、3倍を上回るほど多くの活性NEを回収した。
図1Bに示されるように、1%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液およびAbcam溶解緩衝液は、活性PR3の等価の回収、および0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液よりも5倍多い活性PR3回収を達成した。Abcam溶解緩衝液の後に10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた付加的な(第2の)溶解工程は、活性NEまたは活性PR3の付加的な回収をもたらした(
図1Aおよび1B)。
【0249】
実施例2-溶解緩衝液の組み合わせを用いた、ヒトWBCサンプルからのNEおよびPR3の多抽出
[00297] 溶解緩衝液スクリーニング調査において、一部の緩衝液は、NEを抽出することにおいてよく働いたが、異なるNSPを抽出することにおいては上手く働かなかった、またはその活性を定量するのを妨害した。例えば、Abcam溶解緩衝液は、活性NEの最良の回収を示したが、活性PR3に対しては最悪の回収を示した(
図2Cおよび2D)。逆に、10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液は、最大量の活性PR3を回収したが、最少量の活性NEを回収した(
図2Cおよび2D)。妨害に起因したアッセイデータの品質を犠牲にせずに、NSPの回収を増加させるために、抽出のために溶解緩衝液の種々の組み合わせを使用する多抽出過程を検証した。溶解緩衝液の3種の異なる組み合わせを、サンプル群A、B、およびCにおいてそれぞれ試験した。各組み合わせのうち、3工程の繰り返しのWBCペレット溶解過程において使用された溶解緩衝液の順序が表2に示されている。
【0250】
【0251】
[00298] 付加的に、10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた単一(工程)抽出を、対照として使用した(サンプル群D)。最後に、以前に評価されていないNP-40溶解緩衝液を、単一(工程)抽出条件下で試験した(サンプル群E)。異なるドナー由来の2種のペレットを、各サンプル群において溶解した。NP-40溶解緩衝液を使用したサンプル群Eを除いて、WBCペレットは洗浄されなかった。NP-40溶解緩衝液を使用したサンプル群Eに関しては、2種のペレットの一方を、サンプル処理の間のRBC溶解の直後にPBSで洗浄した。サンプル群に応じて、1°、2°、および3°細胞溶解物または1°細胞溶解物のみを、ペレット溶解の後に獲得し、細胞溶解物におけるNEおよびPR3活性を、NEおよびPR3反応速度論アッセイを使用して定量した。
図2Aおよび2B、ならびに表3Aおよび3Bに、反応速度論アッセイ結果に基づくサンプル群A~Eからの、それぞれ活性NEおよび活性PR3の回収に関するデータが示されている。
図2Aおよび2Bは、異なるドナーWBCペレットからの活性NEおよび活性PR3の回収が、通常の変動を呈したことも示している。
【0252】
【0253】
【0254】
[00299]
図2Aおよび表3Aからのデータは、Abcam溶解緩衝液を第1のペレット溶解工程において使用した、緩衝液組み合わせを用いたサンプル群AおよびBの多抽出が、活性NEの匹敵する回収を達成し、最初の2つの溶解工程の後、回収可能な総活性NEのおよそ90~100%を獲得したことを示している(1°+2°細胞溶解物において回収された活性NEを参照されたい)。
【0255】
[00300]
図2Bおよび表3Bからのデータは、緩衝液組み合わせを用いたサンプル群A~Cの多抽出が、最初の2つの溶解工程の後、回収可能な総活性PR3のおよそ75~90%を回収したことを示している(1°+2°細胞溶解物において回収された活性PR3を参照されたい)。活性PR3の総回収に関して、その溶解緩衝液組み合わせを用いたサンプル群Cの多抽出は、それらそれぞれの溶解緩衝液組み合わせを用いたサンプル群AまたはBの多抽出よりもおよそ1.5倍良好であった。サンプル群A~Eにおいて試験された抽出過程のすべての中で、10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた群Dの単一抽出は、最大量の活性PR3を回収した。比較すると、群A~Cの多抽出は、群Dの単一抽出から回収された活性PR3のおよそ40~80%を回収した。
【0256】
[00301] NP-40溶解緩衝液を使用した群Eの単一抽出を実施した場合、ゲル様物質が形成され、細胞残屑およびゲル様物質をペレットにすることに、ならびに非粘性の上清を完全に単離し、回収することに困難を引き起こした。非洗浄WBCペレットを用いると、困難はより深刻であった。したがって、
図2Eおよび2Fに示されるように、NP-40溶解緩衝液で溶解された洗浄WBCペレットは、非洗浄ペレット対応物よりも、活性NEの4倍多い回収および活性PR3の8倍多い回収を生じさせた。理論によって拘束されることを望むことなく、WBCペレットの溶解前洗浄は、RBC溶解からの妨害もしくはバックグラウンドを除去している可能性があり、かつ/またはゲル様物質の形成を低下させている可能性があり、ゆえにNEおよびPR3の回収の増加に寄与する。
図2Cおよび2Dに示されるように、NP-40溶解緩衝液を使用した洗浄WBCペレットの単一抽出(単一の第1の溶解工程を用いた)は、Abcam溶解緩衝液を用いた非洗浄WBCペレットの単一抽出と比較して、回収される匹敵する量の活性NEおよびより多くのPR3をもたらした。以前に
図1Aに示されるように、Abcam溶解緩衝液を用いた単一抽出は、0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液または1%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた単一抽出と比較して、活性NEのより良好な回収を生じさせた。
【0257】
実施例3-NP-40溶解緩衝液を用いた、またはNP-40溶解緩衝液、それに続く10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた、ヒトWBCサンプルからのNEおよびPR3の二重抽出
[00302] 以前に
図1Bに示されるように、Abcam溶解緩衝液、それに続く10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた2工程のWBCペレット溶解は、Abcam溶解緩衝液を用いた単一工程溶解と比較して、活性PR3のはるかに向上した回収を生じさせた。2工程のペレット溶解過程において単独でまたは組み合わせで使用されるNP-40溶解緩衝液および10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を評価するために、本発明者らは、溶解工程1および2の両方においてNP-40溶解緩衝液を用いた、溶解工程1においてNP-40溶解緩衝液、それに続く溶解工程2において10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた、または溶解工程1および2の両方において10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた二重抽出に供されたWBCペレットからの活性NEおよび活性PR3の回収を判定した。溶解工程1および2の後、それぞれ1°および2°細胞溶解物を獲得し、細胞溶解物における活性NEおよび活性PR3の濃度として表現されるNEおよびPR3活性を、NEおよびPR3反応速度論アッセイを使用して定量した。以前の実験は、洗浄ペレットをNP-40溶解緩衝液で溶解した場合にNSPの回収がより高いことを示したことから(
図2Eおよび2F)、二重抽出の前にWBCペレットをアッセイ緩衝液で洗浄した。WBCは、凍結融解過程の間に破裂し得、細胞質材料を放出し得ることから、洗浄画分もNEおよびPR3反応速度論アッセイのために保存した。
【0258】
[00303] 活性NEの回収に関して、洗浄画分は、回収可能な総NE活性のおよそ10~25%を示した(表4A)。ペレット溶解工程1の間にNP-40溶解緩衝液を用いて、次いでペレット溶解工程2の間に10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いて溶解されたサンプルに関して、溶解工程2由来の2°細胞溶解物は、5%未満の付加的なNE活性をもたらした。10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた2工程のペレット溶解を受けたサンプルに関して、溶解工程2由来の2°細胞溶解物は、10%未満の付加的なNE活性をもたらした。NP-40溶解緩衝液を用いた2工程のペレット溶解を受けたサンプルに関して、溶解工程2由来の2°細胞溶解物は、およそ30%の付加的なNE活性をもたらした(表4A)。全体として、NP-40溶解緩衝液、それに続く10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた二重抽出によるもの、および10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた二重抽出によるものよりも、NP-40溶解緩衝液を用いた二重抽出による活性NEのそれぞれおよそ1.4倍および5.4倍多くの回収があった(
図3A、表4A)。
【0259】
【0260】
【0261】
[00304] 活性PR3の回収に関して、洗浄画分は、総PR3活性のおよそ10~25%を示した(表4B)。ペレット溶解工程1の間にNP-40溶解緩衝液を用いて、次いでペレット溶解工程2の間に10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いて溶解されたサンプルに関して、溶解工程2由来の2°細胞溶解物は、およそ35%の付加的なPR3活性をもたらした。10%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いた二重抽出に供されたサンプルに関して、溶解工程2由来の2°細胞溶解物は、およそ25%の付加的なPR3活性をもたらした。NP-40溶解緩衝液を用いて二重抽出されたサンプルに関して、溶解工程2由来の2°細胞溶解物は、20%の付加的なPR3活性をもたらした(表4B)。3種すべての二重抽出設計は、活性PR3の匹敵する回収を呈した(
図3B、表4B)。まとめると、本発明者らのデータは、WBCペレットの溶解前洗浄、NEおよびPR3活性アッセイのための結果として生じた洗浄画分の収集、ならびにNP-40溶解緩衝液を用いた洗浄WBCペレットの二重抽出は、ヒトWBCサンプルからの予想外の優れたNEおよびPR3回収を生じさせることを示している。
【0262】
実施例4-ヒトWBCサンプルからのNEおよびPR3回収に対する、増強した撹拌対NP-40溶解緩衝液を用いた付加的な溶解工程の効果についての評価
[00305] WBCの物理的分断(例えば、撹拌)は、NSP回収にも影響を及ぼし得ることから、本発明者らは、4人の異なるドナーWBCペレットサンプル(B01~B04)からのNSP回収に対する、手動のピペッティングによる増強した撹拌の効果を判定した。以前の実施例では、各ペレット溶解工程の間に溶解緩衝液/ペレット混合物を10回ピペッティングすることによって、WBCペレットを物理的に撹拌した。本実施例では、各ドナーサンプル由来のペレットの半分を、10回の手動のピペット撹拌で溶解し(「対照半ペレット」と称される)、もう半分を、20回の手動のピペット撹拌で溶解した(「増強した撹拌を有する半ペレット」と称される)。対照半ペレットを、NP-40溶解緩衝液を使用した3工程の繰り返しのペレット溶解過程に供し、溶解工程1、2、および3の後にそれぞれ1°、2°、および3°細胞溶解物を収集した。増強した撹拌を有する半ペレットを、またNP-40溶解緩衝液を使用した2工程の繰り返しのペレット溶解過程に供し、溶解工程1および2の後にそれぞれ1°および2°細胞溶解物を収集した。NP-40溶解緩衝液を用いた溶解工程1の前に、対照半ペレットおよび増強した撹拌を有する半ペレットの両方をアッセイ緩衝液で洗浄し、洗浄画分を収集した。細胞溶解物および洗浄画分をNEおよびPR3活性についてアッセイして、活性NEおよびPR3の回収を判定した。
【0263】
[00306] 対照半ペレットに関して、洗浄画分は、回収可能な総活性NEのおよそ10%を含有した(表5A)。1°、2°、および3°細胞溶解物は、回収された総活性NEのそれぞれおよそ60%、16%、および17%を含有した(
図4A、表5A)。増強した撹拌を有する半ペレットに関して、洗浄画分は、回収された総活性NEの5%未満を含有した。1°および2°細胞溶解物は、回収された総活性NEのそれぞれおよそ30%および70%を含有した(
図4C、表5A)。組み合わされた洗浄画分および1°細胞溶解物において回収された活性NEの量に関して、第1の溶解工程の間に2倍の量のピペッティングを有する増強した撹拌は、4人のドナーのうちの3人(すなわち、B02、B03、およびB04)に関して活性NEの平均55%多い回収、および残りのドナー(B01、表5A)に関して活性NEのおよそ8%多い回収につながった。増強した撹拌を有する2工程のペレット溶解は、各溶解工程において半分の量の撹拌を有する3工程のペレット溶解よりも、活性NEのおよそ3倍多い総回収をもたらした(
図4E、表5A)。
【0264】
【0265】
[00307] 同様の結果が、活性PR3の回収に対して獲得された。具体的には、対照半ペレットに関して、洗浄画分は、回収された総活性PR3のおよそ20%を含有した(表5B)。1°、2°、および3°細胞溶解物は、回収された総活性PR3のそれぞれおよそ60%、14%、および10%を含有した(
図4B、表5B)。増強した撹拌を有する半ペレットに関して、洗浄画分は、回収された総活性PR3のおよそ10%を含有し、1°および2°細胞溶解物は、回収された総活性PR3のそれぞれおよそ55%および35%を含有した(
図4D、表5B)。組み合わされた洗浄画分および1°細胞溶解物において回収された活性PR3の量に関して、第1の溶解工程の間に2倍の量のピペッティングを有する増強した撹拌は、4人のドナーのうちの3人(すなわち、B02、B03、およびB04)に関して平均して活性PR3のおよそ40%多い回収、および残りのドナー(B01、表5B)に関して活性PR3のおよそ7%多い回収につながった。増強した撹拌を有する2工程のペレット溶解は、各溶解工程において半分の量の撹拌を有する3工程のペレット溶解よりも、回収される1.5倍多い総活性PR3をもたらした(
図4F、表5B)。
【0266】
【0267】
実施例5-増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を用いた5工程の繰り返しのWBCペレット溶解による、ヒトWBCサンプルからのNEおよびPR3回収についての評価
[00308] 本実施例では、溶解前洗浄WBCペレットを、増強した撹拌(すなわち、各溶解工程の間に20回のピペット撹拌)の下でNP-40溶解緩衝液を使用した5工程繰り返しのペレット溶解過程に供した。洗浄画分、ならびに1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物を収集し、NEおよびPR3活性についてアッセイして、活性NEおよび活性PR3の回収を判定した。付加的に、委託研究産業によって現在実践される参照抽出方法に従って、同じドナー由来の非洗浄WBCペレットを、半分の量の撹拌(すなわち、単一溶解工程の間に10回のピペット撹拌)の下で0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を使用した単一(工程)溶解に供した。1°細胞溶解物を収集し、NEおよびPR3活性について同じようにアッセイして、活性NEおよび活性PR3の回収を判定した。
【0268】
[00309]
図5Aおよび5Bに示されるように、増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を用いた繰り返しのペレット溶解過程の第1の溶解工程の後に獲得された1°細胞溶解物は、参照抽出方法に従った0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液および低下した撹拌を用いた単一ペレット溶解により獲得された1°細胞溶解物と比較して、40倍超もの量の活性NEおよび15倍超の量の活性PR3を含有した。さらに、NP-40溶解緩衝液を用いた繰り返しのペレット溶解過程の間、付加的な活性NEが、各連続的溶解工程の後に回収され、洗浄画分、ならびに最初の3つの溶解工程からの1°、2°、および3°細胞溶解物は、回収可能な総活性NEの70~80%を回収した(
図5C)。回収可能な総活性NEは、洗浄画分、ならびに1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物に存在する個々の活性NE量の総和であった。
【0269】
[00310] 増強した撹拌の下で溶解前洗浄WBCペレットおよびNP-40溶解緩衝液を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程を用いたPR3回収に関して、洗浄画分は、回収可能な総活性PR3のおよそ30%を回収した(
図5D)。付加的に、最初の3つの溶解工程から獲得された1°、2°、および3°細胞溶解物と組み合わされた洗浄画分は、回収可能な総活性PR3の90%を上回る割合を回収した(
図5D)。回収可能な総活性PR3は、洗浄画分、ならびに1°、2°、3°、4°、および5°細胞溶解物に存在する個々の活性PR3量の総和であった。
【0270】
[00311] 本発明者らは、非洗浄WBCペレットを、50%未満の撹拌の下で0.02%Triton(登録商標)X-100溶解緩衝液を用いて1回のみ溶解する、参照抽出方法を用いた活性NEおよび活性PR3の回収と比較して、洗浄WBCペレットを、増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を用いた3回または5回の繰り返しの溶解工程に供した場合に、それぞれ100倍および20倍もの活性NEおよび活性PR3の回収の全体的増加を観察した(
図5Eおよび5F)。付加的に、溶解前洗浄および多工程の繰り返しのペレット溶解過程は、複製ドナーペレットサンプル(B05aおよびB05b)に対して実行された場合、活性NEおよび活性PR3の回収に関して非常に一貫した結果をもたらし、NEおよびPR3抽出方法が堅牢であり、再現性があることを示した(
図5Cおよび5D)。まとめると、本発明者らのデータは、WBCペレットの溶解前洗浄、ならびにNP-40溶解緩衝液および増強した撹拌を用いた多工程の繰り返しのペレット溶解過程が、ヒトWBCサンプルからのNEおよびPR3の優れた回収に寄与することを示している。
【0271】
実施例6-反応速度論NEおよびPR3アッセイに対する消泡剤の効果についての評価
[00312] 洗浄剤(例えば、NP-40)を使用してWBCペレットを溶解することから、洗浄剤は細胞溶解物に存在し、それゆえ反応速度論NEおよびPR3アッセイに持ち込まれ、洗浄剤は、プレートリーダーによる蛍光読み取りを変更させ得る泡を形成し得る。そのリスクを軽減するために、本発明者らは、消泡剤の使用が、プレートのウェルにおける泡形成を減少させ得るかどうか、および消泡剤がアッセイを妨害するであろうかどうかを判定した。その目標に向けて、2人の異なるドナー(B04およびB05)由来のWBCペレットを洗浄し、洗浄画分を収集し、実施例5に記載されるように、増強した撹拌の下でNP-40溶解緩衝液を使用した5工程の繰り返しのペレット溶解過程に従って、細胞溶解物を洗浄ペレットを用いて作製した。反応速度論NEおよびPR3アッセイのために、標準物質およびサンプルを、洗浄画分および細胞溶解物を用いて調製する際、サンプルおよび標準物質の半分に対するDMSO希釈剤に消泡剤を添加した。消泡剤を有するサンプルおよび標準物質を、消泡剤を有しないそれらの対応物と比較した。1°細胞溶解物(第1の溶解工程から獲得された)を用いた反応速度論NEアッセイを除いて、消泡剤の存在は、NEおよびPR3反応速度論アッセイの妨害を呈しなかった(
図6A~6D)。ゆえに、泡形成を阻止するための消泡剤の添加は、NEおよびPR3反応速度論アッセイの信頼性を向上させる。
【0272】
実施例7-NEおよびPR3活性の判定のための細胞溶解物プールについての評価
[00313] NEおよびPR3を、多工程の繰り返しのペレット溶解過程を使用してWBCペレットから抽出した後、各溶解工程からの各細胞溶解物を酵素活性について個々にアッセイし、総活性を算出することによって、細胞溶解物における総NEおよびPR3活性を判定し得る。代替的に、単一のNEまたはPR3活性アッセイのために細胞溶解物をプールすることによって、総活性を判定し得る。個々の細胞溶解物をアッセイすることは、必要とされるアッセイの数を増加させ、ゆえにより多くの材料、試薬、および時間を要するであろうことから、本発明者らは、細胞溶解物プール手法が、匹敵する結果をもたらすであろうかどうかを判定した。WBCペレットを洗浄し、次いで、増強した撹拌を有するNP-40溶解緩衝液を使用した3工程の繰り返しのペレット溶解過程に供した。各溶解工程からの細胞溶解物を収集し、NEおよびPR3活性について個々にアッセイした。付加的に、等容積の個々の細胞溶解物を組み合わせて、単一のNEまたはPR3活性アッセイのためのプールされた細胞溶解物を産出した。
図7Aおよび7Bに示されるように、個々の細胞溶解物のNEもしくはPR3活性をアッセイし、活性を総和することによって、または個々の細胞溶解物をプールし、プールされた細胞溶解物のNEもしくはPR3活性をアッセイすることによって、活性NEおよび活性PR3の回収に関する同様のデータ、ならびにサンプル時点のすべてにわたる同様の回収傾向が獲得された。
図7Aおよび7Bにおいて、各サンプル時点(T1~T8)は、全血サンプルがヒト対象から収集された、臨床試験のコースにおける異なる日に相当する。
【0273】
実施例8-反応速度論CatGアッセイ開発
[00314] 本実施例は、表1Bに示される様々なCatG基質、ならびに活性CatGを含むマウス骨髄溶解物サンプルおよびヒトWBC溶解物サンプルの両方を使用した、反応速度論CatGアッセイの開発を記載する。本実施例は、特異性、感度、および精度に関して、市販のAnaSpec’s SensoLyte(登録商標)Rh110カテプシンGアッセイおよびProAxsis製のProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイを用いて、開発されている反応速度論CatGアッセイを比較もする。純粋なNEタンパク質(Sigma、カタログ番号E8140-1UN)および純粋なPR3タンパク質(Sigma、カタログ番号SRP6309-25UG)を含めた、他のNSP酵素によって切断される基質の能力を試験することによって、特異性を判定した。CatG以外の酵素によって切断される能力は、低い特異性を示唆する。感度を、標準物質の傾きの微分により査定し、次のより高い濃度標準物質の傾きのパーセンテージとして、1種の標準物質の傾きとして表現した。それゆえ、より大きな値は、標準物質濃度間の傾きの小さな変化を示し、低い感度を示し、一方でより小さな値は、傾き値の間のより大きな微分、および潜在的により高い感度を示す。付加的に、標準物質を、1μg/mLから始まる2倍連続希釈により創出し;それゆえ、線形曲線は、標準物質傾きの50%微分を示すと予想されるであろう。最後に、サンプルに純粋なCatGを混ぜることによって、アッセイ精度を査定した。
【0274】
1.反応速度論CatGアッセイの開発のための、Sigma反応速度論CatG基質(比色分析)、Discovery Peptides反応速度論CatG基質(蛍光分析)、およびMillipore Sigma反応速度論CatG基質(蛍光分析)の間でのCatG基質の試験
Sigma反応速度論CatG基質(比色分析)
[00315] 標準曲線は、標準物質傾きの間で一貫した微分を有して比較的線形であると観察された(49.9±3%、表6)。このことは、アッセイが、0.015625~1μg/mLの域にわたる種々のサンプル濃度を区別することに高感度であることを示唆する。Sigma製のCatG基質は、また、算出された活性が陰性対照ブランクに近かったことから、NEおよびPR3による最小限の切断を示したまたは切断を示さなかった。付加的に、洗浄画分は活性を示さなかった。洗浄画分においてCatG活性を検出し得なかったにもかかわらず、ヒト溶解物サンプルからの測定可能な活性があった。CatG阻害剤を用いて試験されたサンプルは、5%未満の残留CatG活性を示し、基質の最小限の非特異的切断をさらに示した。
【0275】
【0276】
[00316] サンプルに250ng/mLのCatGタンパク質を混ぜることによって、アッセイ精度を査定した。CatG活性を呈しない、混ぜられていない洗浄画分とは対照的に、混ぜられた洗浄画分は、混ぜられたCatGタンパク質の標的濃度と同様に、およそ270ng/mLで測定可能な活性を示した。
【0277】
Discovery Peptides反応速度論CatG基質(蛍光分析)
[00317] 標準曲線は、標準物質間であまり一貫しない微分を示し、それゆえあまり線形ではなかった(38.4±15.8%、表6)。Discovery Peptides製のCatG基質は、また、算出された活性が陰性対照ブランクに近かったことから、NEおよびPR3による最小限の切断を示したまたは切断を示さなかった。付加的に、洗浄画分、ならびに長期保管および複数回の凍結融解サイクルに供されている溶解物サンプルは、測定可能な活性を示した。CatG阻害剤を用いて試験されたサンプルは、10%未満の残留CatG活性を示し、基質の最小限の非特異的切断を示した。
【0278】
[00318] サンプルに250ng/mLのCatGタンパク質を混ぜることによって、アッセイ精度を査定した。混ぜられたサンプルは、混ぜられたCatGタンパク質の標的濃度と同様に、およそ260ng/mLで測定可能な活性を示した。
【0279】
Millipore Sigma反応速度論CatG基質(蛍光分析)
[00319] 標準曲線は様々な傾きの傾向を示し、基質は、希釈された場合にわずかに溶液から沈殿し、それが要因であり得ることが留意された。付加的に、標準曲線R-2乗値は、一般的に予想される0.995を上回る代わりに、0.985未満であった。低いR-2乗値は、標準物質濃度の間の最小の微分に起因する可能性が最も高く、低いアッセイ感度をさらに示した(70.8±14.3%、表6)。PR3はこの基質を切断しないように見えた一方で、基質はNEによって切断可能であった。このことは、CatG阻害剤を含有するサンプルにおいてほんの80%の阻害が観察されたように、基質がCatGに特異的でないことを示唆する。それゆえ、20%の残留活性は、基質のNE切断に起因し得る。基質が高い特異性または高い感度を示さなかったことから、サンプルにCatGタンパク質を混ぜることによる、精度を試験しなかった。
【0280】
[00320] 上記の知見に基づいて、Sigma基質およびDiscovery Peptide基質は、特異的でもあり高感度でもあることが示された唯一の基質であった。加えて、両方とも、混ぜられたサンプルを測定することにおいて高い精度を示した。Discovery Peptide基質と比較してSigma基質に関して、より高い感度(すなわち、より一貫した傾き微分)および標準曲線のより大きな線形性が観察されたため、さらなる調査において使用されるCatG反応速度論アッセイにSigma基質を選定した。
【0281】
2.SensoLyte(登録商標)Rh110カテプシンGアッセイキット(蛍光分析)についての評価
[00321] 標準曲線準備のためにキットの使用説明書に従ったにもかかわらず、オーバーフローエラーが観察された。付加的に、NE含有サンプルは、高すぎる蛍光読み取りに起因してオーバーフローエラーを示し、キットのCatG基質がNEによって切断され得、それゆえCatGに特異的でないことを示した。さらに、PR3は基質の最小限の切断を示し、キットの基質が低い特異性を有し、サンプルにおけるアッセイキットによって検出された活性が、CatGだけに由来しない可能性があることをさらに示した。実際、CatG阻害剤含有サンプルは、活性の低下を示さず、検出された活性が、サンプルに存在する主にNEおよびPR3のものであることを示した。キットが高い特異性を示さなかったことから、サンプルにCatGタンパク質を混ぜることによる、精度を試験しなかった。
【0282】
3.反応速度論CatGアッセイ対ProAxsis製のELISAベースのProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイについての評価
[00322] 表7に要約されるように、WBCペレットを、CatG抽出、ならびに反応速度論CatGアッセイおよびProAxsis製のELISAベースのアッセイを使用した活性判定のために処理した。
【0283】
【0284】
[00323] 以前の実施例に記載される、NP-40溶解緩衝液を抽出に使用した場合のNEおよびPR3活性を判定するためのものと同様に、群AおよびBにおけるWBCペレットを、洗浄画分活性アッセイおよび溶解物画分活性アッセイを含むデュアルアッセイ設計に供した。
【0285】
[00324] NSP抽出あたりのアッセイの数を減少させるために、単一アッセイ処理手順を、群C~Gにおけるペレットを用いて試験した。この過程は、RBC溶解直後にWBCペレットを洗浄して、妨害を引き起こし得る過度のRBC溶解物残留物を除去する工程を伴った。群Cにおけるペレットを、アッセイ緩衝液を用いてRBC溶解後に洗浄した。群Dにおけるペレットを、0.9%生理食塩水を用いてRBC溶解後に洗浄した。群Eにおけるペレットを、各溶解サイクル後の酵素回収についての付加的な評価を有して、群Dにおけるペレットと同様に処理した。これは、細胞溶解物をプールする前に、活性分析のために各溶解サイクルから細胞溶解物のごく一部を保存することによって成し遂げられた。臨床現場で生じ得る洗浄緩衝液の不完全なデカントの効果を、群Fにおけるペレットを用いて評価し、洗浄し、上清をデカントした後に、生理食塩水500μLを各ペレットに戻し添加した。群Gにおけるペレットに関しては、NP-40溶解緩衝液の代わりに0.02%Triton X-100溶解緩衝液をCatG抽出に使用した。0.02%Triton X-100溶解緩衝液は、様々なタイプの生物学的サンプルからNSPを抽出するために、委託研究産業において広く使用されている。5人の異なるドナー(ドナー1~5)由来の5種のWBCペレット一式を、組み合わされた群AおよびBにおいて、ならびに群C~Gのそれぞれにおいて使用した。
【0286】
[00325]
図8は、Sigma製のSuc-AAPF-pNAペプチドを基質として使用した反応速度論CatGアッセイによって判定され、活性CatG濃度として表現された、群A~GにおけるWBCペレットの総CatG活性を示している。群AおよびBのペレットに関して、洗浄画分は、総CatG活性の15%未満を占めた(データ示されず)。様々なペレット群に適用された種々のペレット処理手順は、一貫したドナー間CatG活性結果を生んだ。付加的に、群AおよびBにおけるペレットに適用されたデュアルアッセイ手順と、群C、D、およびEにおけるペレットに適用された単一アッセイ手順とを比較した場合、RBC溶解直後に洗浄することは、「デュアルアッセイ」アーチファクト、すなわち異なるサンプル母材(洗浄溶液対細胞溶解物)を使用した2種のアッセイの遂行によって引き起こされる一方向性システムエラーにおそらく起因した、CatG活性のおよそ25%の喪失をもたらした。活性のこの喪失は、群Cペレット(P=0.0066)および群Dペレット(P=0.0250)に関して有意であったが;しかしながら、群Eペレットの活性は、群A/Bペレットのものよりも有意に低いことが見い出されなかった(P=0.0554)。
【0287】
[00326] 処理手順が、臨床現場における潜在的なサンプル取り扱いミスである、洗浄緩衝液の不完全なデカントを模倣した群Fにおけるペレットは、群Dのその適正に取り扱われた対応物ペレットと比較して、20%の有意に減退したCatG活性を呈した(P=0.0423)。最後に、NP-40溶解緩衝液で溶解された群Dペレットは、0.02%Triton X-100溶解緩衝液で溶解された群Gペレットと比較して、活性CatGの3.5倍良好な回収を示した。
【0288】
[00327] プールされた細胞溶解物画分を用いてCatG活性を測定することに加えて、群Eペレットの一次、二次、および三次溶解からの個々の細胞溶解物画分におけるCatG活性を、反応速度論CatGアッセイを使用して測定した。目的は二元的であった:(1)個々の溶解物画分のCatG活性の総和と、プールされた溶解物画分のCatG活性とを比較して、プール手法の妥当性を判定すること;および(2)活性CatGの大部分を抽出するために付加的な溶解工程が必要であるかどうかを判定すること。
図9は、積み上げ棒が、総和された個々の溶解物画分における活性CatGの濃度を表し、折れ線グラフが、WBCドナー1~5の間のプールされた溶解物画分における活性CatGの濃度の傾向(プール希釈に対して補正された)、ならびに5人のドナーの相当する平均値を有する仮説的「平均」ドナーを描写する、結果を示している。
【0289】
[00328] 総和されたおよびプールされた活性CatG濃度は互いに比較的近く、
図8におけるものと同じドナー間傾向に従い、溶解物画分をプールすることが、反応速度論CatGアッセイに対する妥当な手法であることを示唆する(
図9)。一次細胞溶解物は、総活性CatGのおよそ81%を含有した。二次および三次細胞溶解物は、抽出された総活性CatGのそれぞれおよそ13%および6%を含有し、2回の溶解サイクルの後、完全に近い抽出が達成されることを示した。
【0290】
[00329] 反応速度論CatGアッセイと、ProAxsis製のELISAベースのProteaseTag(登録商標)活性CatGイムノアッセイとを比較するために、群A~Gの複製WBCペレットを、表7において指示される条件下で処理し、溶解し、活性CatG濃度としても表現されるそれらのCatG活性をProAxsis製のCatGアッセイによって判定した。
図10は、総CatG活性データを示している。群AおよびBにおけるペレットに関して、洗浄画分は、総CatG活性の20%未満を占めた(データ示されず)。付加的に、群AおよびBのペレットに適用されたデュアルアッセイ手順と、群C、D、およびEのペレットに適用された単一アッセイ手順とを比較した場合、RBC溶解直後に洗浄することは、上で論じられた「デュアルアッセイ」アーチファクトにおそらく起因した、CatG活性のおよそ35%の喪失をもたらした。しかしながら、ドナー間CatG活性結果の一貫性の低下が、種々のペレット処理手順に供された様々なペレット群の間で観察された。群DおよびEのペレットは、他の条件下で処理され、溶解された他の群のペレットとは異なるドナー間の傾向を示した。このことは、ProAxsis製のCatGアッセイが、反応速度論CatGアッセイよりも、種々のペレット処理手順の下で信頼性が低いことを示す。
【0291】
[00330] 群Fのペレットは、群Dのペレットと比較してCatG活性の減退を示さず、洗浄緩衝液の不完全なデカントが、ProAxsis製のCatGアッセイを使用した活性CatGの定量に影響を及ぼさないであろうことを示した。
【0292】
[00331] 最後に、NP-40溶解緩衝液で溶解された群Dペレットは、0.02%Triton X-100溶解緩衝液で溶解された群Gペレットと比較して、活性CatGの3.5倍良好な回収を同じように示した。
【0293】
[00332] プールされた細胞溶解物画分を用いてCatG活性を測定することに加えて、ペレットEの一次、二次、および三次溶解からの個々の細胞溶解物画分におけるCatG活性を、ProAxsis製のCatGアッセイを使用して測定した。
図11は、積み上げ棒が、総和された個々の溶解物画分における活性CatGの濃度を表し、折れ線グラフが、WBCドナー1~5の間のプールされた溶解物画分における活性CatGの濃度の傾向(プール希釈に対して補正された)、ならびに5人のドナーの相当する平均値を有する「平均」ドナーを描写する、結果を示している。
【0294】
[00333] 総和されたおよびプールされた活性CatG濃度は互いに比較的近く、溶解物画分をプールすることが、ProAxsis製のCatGアッセイに対する妥当な手法であることを示唆する(
図11)。一次細胞溶解物は、回収された総活性CatGのおよそ62%を含有した。二次および三次細胞溶解物は、抽出された総活性CatGのそれぞれおよそ27および12%を含有した。一次細胞溶解物は、それらのサンプルはオーバーフローをもたらし、それゆえ最も高い標準物質濃度のものであると近似されたことから、総活性CatGの62%を上回る割合を実際には含有している可能性がある。
【0295】
[00334] 要約すると、ProAxsis製のCatGアッセイおよび反応速度論CatGアッセイは、同一のサンプルから同様の結果をもたらした。しかしながら、ProAxsis製のCatGアッセイは、使用された種々のペレット処理手順が、より一貫性の低いドナー間のCatG活性結果につながったことから、より低いアッセイ感度を有するように見えた。付加的に、ProAxsis製のアッセイは、サンプルが標準物質域に入ることを確保するために複数の希釈を要し、ゆえに調製するためにより多くの時間を要する、S字状の標準曲線を生んだ。対照的に、反応速度論CatGアッセイの標準曲線は、サンプル希釈および標準曲線域のより高い柔軟性を可能にする、ほぼ線形であった。ゆえに、反応速度論CatGアッセイは、WBCサンプルにおける活性CatGの定量に対して、ProAxsis製のCatGアッセイと比べて、感度、一貫性、および信頼性の向上を提供する。
【0296】
[00335] まとめると、上の実施例は、
図12に図解されるように、WBCペレットからNSPを抽出するための効率的で、再現性のある方法を実証する。合理化され、下流のNSP活性アッセイと適合して、方法は、ゲル化および活性アッセイの妨害を減少させるための、NSP緩衝液(すなわち、アッセイ緩衝液)または0.9%生理食塩水を用いたペレットの溶解前またはRBC溶解(直)後の洗浄、NSP活性アッセイのための洗浄画分の収集および内包、抽出されたNSPを含有する細胞溶解物を生成するための、NP-40溶解緩衝液を使用した洗浄ペレットの多工程(例えば、3、4、または5工程)の繰り返しの溶解、各溶解工程の間の増強した機械的撹拌、ならびにゲル化をさらに低下させ、スピンダウン後に細胞溶解物の収集を容易にするための、各細胞溶解物へのNSP緩衝液の添加、ならびにNSP活性アッセイのために細胞溶解物をプールすることを特色とする。
【0297】
実施例9-ブレンソカチブ治療を受けた非嚢胞性線維症気管支拡張症を有する患者から獲得されたWBCサンプルにおける活性NSP濃度の低下は、気管支拡張症臨床転帰の向上と関連付けられた
[00336] 本発明者らは、非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFBE)を有する患者において24週間1日1回投与される(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(ブレンソカチブ)の効力、安全性および忍容性、ならびに薬物動態を査定するために、第2相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の治験を行っている。すべての目的上本参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、N Engl J Med.383(22):2127-2137(2020)における治験の詳細および結果を参照されたい。
【0298】
[00337] 治験において、対象を、(i)1日1回のブレンソカチブ10mg;(ii)1日1回のブレンソカチブ25mg;または(iii)1日1回の合致するプラセボ、のいずれかを受ける3種の治療アームに1:1:1比で無作為化した。スクリーニング来院(来院1)および最高6週間のスクリーニング期間の後、対象は、来院2(1日目、「ベースライン」)時に無作為化され、その後、2週目(来院3)、4週目(来院4)、8週目(来院5)、12週目(来院6)、16週目(来院7)、20週目(来院8)、24週目(来院9、治療の終了)、および28週目(来院10、調査の終了)の時点の調査来院のために訪れた。各来院の間、バイオマーカー査定のために、ベースライン、ならびに2、4、12、24、および28週目の時点の血液および痰サンプルの収集を含めた、査定および手順を実施した。調査治療は、来院2~9に存在した。最初の肺の増悪までの時間(主要評価項目)、肺の増悪の速度(副次的評価項目)、痰における活性NEの濃度の変化、および安全性を査定した。両投薬量でのブレンソカチブ治療は、プラセボと比較して最初の増悪までの時間を引き延ばした(ブレンソカチブ10-mg対プラセボに関してp=0.03;ブレンソカチブ25-mg対プラセボに関してp=0.04)。加えて、ブレンソカチブ治療は、プラセボと比較して、肺の増悪の頻度の低下をもたらした。具体的には、ブレンソカチブで治療された患者は、10mgアームにおいて36%の低下(p=0.04)、および25mgアームにおいて25%の低下(p=0.17)を経験した。ベースラインから治療期間の終了までの、プラセボに対する痰における活性NEの濃度の変化も統計的に有意であり(10mgに関してp=0.034、25mgに関してp=0.021)、痰におけるNSP活性の低下と気管支拡張症臨床転帰の向上との間の関連性を示した。
【0299】
[00338] 本実施例において、本発明者らは、以前の実施例に記載される反応速度論PR3およびCatGアッセイを使用して、3種の治療アームにおける患者から獲得された同じ痰サンプルにおける活性PR3およびCatGの濃度のベースラインからの変化をさらに判定し、活性NEのものと変化を比較した。付加的に、本発明者らは、患者の血液サンプルに由来する白血球(WBC)からNEおよびPR3を抽出し、実施例7に記載される方法を使用して、WBCサンプルにおける活性NEおよびPR3の濃度のベースラインからの変化を判定した。本発明者らは、同じサンプルタイプ由来または異なるサンプルタイプ由来の活性NSPレベルの変化の間の関係性をさらに調査した。
【0300】
[00339]
図13A、13B、および13Cは、それぞれ活性NE、PR3、およびCatGの痰中濃度のベースライン(0週目)からの変化を示している。活性NE、PR3、およびCatGのベースライン痰中濃度のそれぞれは、スクリーニングおよび1日目の間に観察された平均値に由来した。3種の活性NSPは、痰中濃度の変化の同様のパターンを呈した。各活性NSPの痰中濃度は、ブレンソカチブ10mgアームにおいてよりもブレンソカチブ25mgアームにおいてより大きな低下を有して、用量依存的様式で4週目までにブレンソカチブ治療によって低下し、治療期間の終了後4週間を通じて回復した。3種の活性NSPの間で、活性PR3の濃度は、ブレンソカチブ治療による低下が最も小さかった。
【0301】
[00340]
図14Aおよび14Bは、患者のWBCサンプルにおけるそれぞれ活性NEおよびPR3の濃度のベースライン(0週目)からの変化を示している。WBCサンプルにおける活性NE濃度は、用量依存的様式で4週目までにブレンソカチブ治療によって低下し、低下は24週間の治療期間にわたって持続した。低下した活性NE濃度は、治療期間の終了の約4週間後にベースラインまで回復した(
図14A)。活性PR3濃度に関して、それらが活性NE濃度よりも低い程度にブレンソカチブ治療によって低下したことを除いて、同様の傾向が観察された(
図14B)。
【0302】
[00341] まとめると、ブレンソカチブ治療は、活性NE、PR3、およびCatGがNCFBEにおける慢性炎症の主要な推進因子である、肺を起源とする痰サンプルにおける活性NE、PR3、およびCatGレベルを低下させた。ブレンソカチブ治療は、同様の時間経過および継続期間を有して、WBCにおける活性NEおよびPR3レベルも低下させたが、とはいえWBCにおける低下は、痰サンプルにおける相当する低下よりも小さかった。
【0303】
[00342] 表8は、ブレンソカチブ治療期間の4週目までの、WBCサンプルにおけるおよび痰における活性NSP濃度のベースラインからの低下パーセンテージを示している。
【0304】
【0305】
[00343] 4週目は、本発明者らが、NSP活性に対するブレンソカチブの十分な影響が見えると予想する最初の時点であることから選定された。WBCおよび痰サンプルの両方において、より高用量(25mg)のブレンソカチブは、活性NSPレベルのより大きな低下をもたらした。付加的に、痰における活性NSP濃度は、WBCにおけるものよりも大きな程度に低下した。例えば、ブレンソカチブ10mgアームの患者において、活性NEレベルは、痰における86%の低下と比較して、WBCにおいて19%低下した。ブレンソカチブ25mgアームにおいて、WBCにおいておよび痰において、それぞれ54%および91%のより大きな低下が観察された。
【0306】
[00344] 表9は、同じサンプルタイプ由来(すなわち、WBCサンプル由来または痰サンプル由来)の活性NSPのレベルの間の、ならびに異なるサンプルタイプ由来の活性NSPのレベルの間の正の相関関係を示している。
【0307】
【0308】
[00345] 表9では、5種のバイオマーカー(すなわち、痰中NE、PR3、およびCatG、ならびに血中NEおよびPR3)のそれぞれが、上部および左側の両方に列挙されており、対角線に沿って1の完全な相関関係を有する。痰サンプル由来の2種の異なるNSPの間で、0.61~0.87に及ぶ強い正の相関関係が見られた。最も強い相関関係は、活性CatGおよび活性NEの痰中レベルの間であった。本発明者らは、血中NEおよび血中PR3のレベルの間にも正の相関関係を観察した。付加的に、本発明者らは、0.18~0.36に及ぶ、血中および痰中NSPレベルの間のわずかにより低い正の相関関係を観察した。
【0309】
[00346] 痰およびWBCサンプル内および間の両方における活性NSPレベルの間の正の相関関係が理由で、気管支拡張症を有する患者におけるブレンソカチブ治療によるWBCサンプルにおける活性NSP濃度の低下は、痰における相当する低下のように、気管支拡張症臨床転帰の向上と関連付けられる。それゆえ、WBCにおける活性NSP(例えば、NE、PR3、CatG、およびNSP4)の濃度の低下および低下の程度は、有効なブレンソカチブ投薬量を判定するための、ならびに/またはNCFBEおよび本明細書に開示される他のDPP1媒介性疾患のブレンソカチブ治療の効力を評価するための有用なバイオマーカーとして働き得る。
【0310】
[00347] 記載される発明は、その具体的な実施形態を参照して記載されているものの、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変化が加えられ得、等価物が置換され得ることは、当業者によって理解されるべきである。加えて、記載される発明の客観的な精神および範囲に、特定の状況、材料、物質の組成、過程、過程の1つまたは複数の工程を取り入れるために、多くの改変が加えられ得る。すべてのそのような改変は、本明細書に添付される特許請求の範囲の内にあることが意図される。
【0311】
[00348] 本明細書において参照される特許、特許出願、特許出願公開、論文、およびプロトコールは、すべての目的上、参照によりそれらの全体として組み入れられる。
【国際調査報告】