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特表2023-535362平面スピーカシステム用の動電型駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】平面スピーカシステム用の動電型駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20230809BHJP
   H04R 9/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
H04R9/02 103Z
H04R9/02 103A
H04R9/04 105A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503104
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 IB2020057720
(87)【国際公開番号】W WO2022023803
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】2020125147
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522058475
【氏名又は名称】ソティス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルガー,ダニーロ
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BA08
5D012BB02
5D012BB03
5D012CA04
(57)【要約】
次の構成要素、すなわち、磁気システム、フレームに固定された円筒形コイル、円筒形コイルフォーマに取り付けられた放音膜、磁気ギャップ内にコイルを保持するシステム、およびコイルに電気信号を供給するための可撓性ワイヤを備えた筐体を有する平面スピーカ用の動電型駆動装置。また、磁気システムは、円筒形永久磁石、前述の円筒形磁石を備えるフェライトリング、およびワッシャとして作成され、それらを1つの構造体に接合したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気システムと、前記フレームに固定された円筒形コイルと、前記円筒形コイルフォーマに取り付けられた放音膜と、磁気ギャップ内に前記コイルを保持するシステムと、前記コイルに電気信号を供給するための可撓性ワイヤと、を備えた筐体を有する平面スピーカシステム用の動電型駆動装置であって、
前記磁気システムは、円筒形永久磁石、円筒形磁石を備えるフェライトリング、およびワッシャとして作成され、それらを1つの構造体に接合し、前記フレームに固定された前記円筒形コイルは、前記円筒形磁石の上方で、前記円筒形磁石と前記フェライトリングとの隙間に位置し、前記磁気ギャップ内に前記コイルを保持する前記システムは、同心波形ディスクの形態で、互いに一定の距離を置いて固定された異なる直径の2つのセンタリングワッシャからなり、前記内孔は、前記フレームに取り付けられた前記円筒形コイルに取り付けられ、かつ、前記外周部は、前記筐体に取り付けられ、前記コイルに電気信号を供給する可撓性ワイヤは、前記センタリングワッシャの1つに縫い込まれ、一方の端部は前記コイル端子にはんだ付けされ、かつ、他方の端部は前記外側接点群にはんだ付けされていることを特徴とする、動電型駆動装置。
【請求項2】
未処理布帛で作られた前記センタリングワッシャを特徴とする、請求項1に記載の平面スピーカシステム用の動電型駆動装置。
【請求項3】
中間リングを用いて前記円筒形コイルフォーマに取り付けられた前記放音膜を特徴とする、請求項1に記載の平面スピーカシステム用の動電型駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提案される技術的解決策は音響に関する。これは、平面型スピーカシステム用の動電型駆動装置である。
【背景技術】
【0002】
平面型音響システム用の工業的に製造された広範囲の動電型駆動装置が、Dayton BST、Monacor、Visatone、Mechakustikなどの様々な企業によって製造されていることが知られている。そのようなスピーカは、通常、中高周波数帯で動作するように設計されている。大抵のスピーカの低域遮断周波数は、100Hz以下になることはほとんどない。内部の完成されたスピーカシステムにおいて、50Hz~10kHzの動作帯域を提供することが可能なスピーカはまれである。工業的に製造された製品の中で、可聴域の音響放射(20Hz~20,000Hz)の全スペクトルを提供するような可振器はなかった。そのため、多くの製造業者から市販されている動電型可振器は、全帯域の平面型スピーカシステムを作成するのには適していない。そのような可振器の周波数帯域は、音響システムの周波数帯域を確実に拡張するための様々な手段を講じる必要性をもたらし、例えば、複雑な音響フィルターシステムを含む追加の音響リンクの使用、または狭い高域または低域の音響帯域で動作するように設計された追加の動電型加振器の使用によって、低域および高域の遮断周波数帯域の拡張が達成されるマルチバンドシステムを作成する必要性が挙げられる。
【0003】
従来の音響可振器を平面型音響システム設計に用いた場合の他の問題点として、低電力であることが挙げられる。その結果、専門的な環境に適した高出力の音響システムを構築するためには、1つの放音膜の領域内に複数の音響可振器を配置するという妥協が必要であり、これにより音信号の変調振幅歪みが発生し、スピーカの音響品質が劣化する。
【0004】
このような技術的課題を複雑で煩雑な手段で解決することは、非現実的であり、材料費、時間、人件費の増大を伴うことは言うまでもない。
【0005】
最も近い類似の技術的解決策の1つは、平面スピーカを記載した、2012年2月10日付けの特許文献1に提示されている。この平面スピーカは、次の構成要素、すなわち、磁気システム、フレームに固定された円筒形コイル、円筒形コイルフォーマに取り付けられた放音膜、磁気ギャップ内にコイルを保持するシステム、およびコイルに電気信号を供給するための可撓性ワイヤを備えた筐体の形態で製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ロシア連邦特許第2456764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この装置の欠点は、動作帯域の広さと電力が十分でないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
技術的成果は、スピーカの動作帯域を拡張することである。
【0009】
技術的成果は、次の構成要素、すなわち、磁気システム、フレームに固定された円筒形コイル、円筒形コイルフォーマに取り付けられた放音膜、磁気ギャップ内にコイルを保持するシステム、およびコイルに電気信号を供給するための可撓性ワイヤを備えた筐体を有する広帯域平面スピーカによって達成される。
【0010】
その他、磁気システムは、円筒形永久磁石、前述の円筒形磁石を備えるフェライトリング、およびワッシャとして作成され、それらを1つの構造体に接合している。フレームに固定された円筒形コイルは、円筒形磁石の上方で、円筒形磁石とフェライトリングとの隙間に位置し、
磁気ギャップ内にコイルを保持するシステムは、同心波形ディスクとして、互いに一定の距離をおいて固定された異なる直径の2つのセンタリングワッシャからなり、その内孔はコイルに取り付けられ、かつ、その外周部は本体に取り付けられ、
コイルに電気信号を供給する可撓性ワイヤは、センタリングワッシャの1つに縫い込まれ、一方の端部はコイル端子にはんだ付けされ、かつ、他方の端部は外側接点群にはんだ付けされている。
センタリングワッシャは、未処理布帛またはこれに適した他の材料で作られている。
本発明は、図によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】提案される動電型駆動装置の概要、および平面スピーカにおけるその適用例を示す図である。
図2】分解された動電型駆動装置を示す図である。
図3】平面スピーカ用の動電型駆動装置を示す図である。
図4】3Dで断面表示した動電型駆動装置を示す図である。
【符号の説明】
【0012】
1.筐体
2.永久円筒形磁石
3.フェライトリング
4.鋼製ワッシャ
5.異なる直径の2つのセンタリングワッシャからなる、磁気ギャップ内にコイルを保持するシステム
6.コイルに電気信号を供給するワイヤ
7.リング
8.接点
9.円筒形コイル
10.放音膜
【発明を実施するための形態】
【0013】
平面スピーカ用の提案される動電型駆動装置は、電力増幅器からの電気信号を、対応する周波数の振動の機械的エネルギーに変換し、共振型放音膜を励起させるための装置である。平面スピーカにおけるその適用を図1に示す。
【0014】
この装置は、図2図4に示されており、
磁気システムが取り付けられる支持体として機能するプラスチック筐体1、磁気ギャップ内にコイルを保持するシステム、および一連のねじ孔として作られた支持フレームへの取り付け部と、
円筒形永久磁石2(NeFeB)、磁気システムの環状空間の外周部を形成するフェライトリング3、およびそれらを共に1つの構造体に接合する鋼製ワッシャ4を含む、磁気システムの部品と、
銅線で巻かれ、テキストライトまたは他の材料で作られた円筒形フレームに固定された円筒形コイル9と、
コイルの自由な往復運動を確実にするために磁気ギャップ5内にコイルを保持するシステムであって、互いに一定の距離(実際には、距離は5mmから15mmである)で固定され、同心波形ディスクの形態で加圧することにより未処理布帛で作られた異なる直径の2つのセンタリングワッシャからなり、その内孔がスプールに固定され、かつ、その外周部が支持フレームに固定されている、システムと、
コイル6に電気信号を供給する可撓性ワイヤであって、センタリングワッシャの1つに縫い込まれ、一方の端部がコイル端子にはんだ付けされ、かつ、他方の端部が増幅器から電気信号を供給するための外側接点群にはんだ付けされている、可撓性ワイヤと、
コイルフォーマを放音膜10の表面に固定するためのリング7と、
電気信号供給のための接点8と、
で構成される。
【0015】
この可振器の際立った特徴は、磁気回路にフェライト材料からなるリング(フェライトリング)を使用していることである。この材料は、その導電率が非常に低いという事実にもかかわらず、高い透磁率を有する。この特性により、可動コイルの磁力線が磁気回路物質の厚み内で交差するときにフーコー電流を誘起させない。この効果によって引き起こされる逆起電力の欠如により、コイル振動振幅がより大きくなると、より低い周波数領域(約数十ヘルツ)における動電型可振器の高効率をもたらす。磁気回路の本体を横切る磁力線の移動速度が高いほど、より有形なフーコー電流がこの速度を発生させる力の印加ベクトルに対抗する。このため、一般的に受け入れられているように、鋼製の磁気回路が使用される場合、可動コイルは磁気ギャップ内での自身の運動の影響を受けて、対向する磁界に「張り付く」ことになる。フェライトを磁気回路材料として使用することで、特に低周波帯域での効率の向上などの有用な音響効果がもたらされ、これにより、可聴下限周波数である20Hzまで、装置の動作帯域を大幅に拡張する可能性がある。
【0016】
提案される動電型駆動装置の磁気回路は複合型であり、3つの部分、すなわち円筒形または他の形状の永久磁石2、鋼製ワッシャ4、およびフェライトリング3を含む。
【0017】
異なる直径の2つのセンタリングワッシャを使用することで、ワッシャ自身の共振周波数と一致する特定の周波数での顕著な機械的共振を減少させるという技術的成果を得ることができる。異なる幾何学的パラメータおよび剛性を有するワッシャは、2種類の異なる周波数の共振励起を有する。この技術的解決策の結果として、このような駆動装置を備えたスピーカの振幅周波数応答グラフは、振幅の大幅な減少を伴って、記載された部品の励起周波数に対応する周波数放出を平滑化する。その結果、音響特性の品質が向上する。
【0018】
その結果、膜を備えたスピーカは広域スペクトルの音響信号を再生し、信号フィルタリングツールは不要であり、マルチチャンネルの電力増幅器のかわりに2チャンネルの電力増幅器を必要とし、消費者品質を維持しながら製品を小型化でき、音響システムの客観的品質管理パラメータ(振幅周波数図、スペクトル周波数振幅の分析グラフ、(スペクトル信号密度)、音響信号放射の方向図、位相非線形歪みの測定など)は他の音響システムより顕著に優れていることが示される。これにより、提案される広帯域平面スピーカを搭載した製品は、再生音質への要求が高まっている音響技術での使用に十分対応することが可能である。クラシック音楽コンサートのサウンドシステムのような「難易度の高い」分野を含む。
【図
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【図
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【国際調査報告】