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特表2023-535377鉄賦形剤を用いて骨を移植する方法および組成物
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  • 特表-鉄賦形剤を用いて骨を移植する方法および組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】鉄賦形剤を用いて骨を移植する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/12 20060101AFI20230809BHJP
   A61L 27/46 20060101ALI20230809BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20230809BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A61L27/12 ZNA
A61L27/46
A61L27/54
A61L27/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503193
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021012445
(87)【国際公開番号】W WO2022015364
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/053,277
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523017497
【氏名又は名称】ゼタゲン セラピューティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エス.マーグリーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニクヒル エー.タークル
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB04
4C081BA12
4C081BA13
4C081BB06
4C081CD121
4C081CE01
4C081CE02
4C081CE08
4C081CE11
4C081CF011
4C081CF021
4C081CF031
4C081CF26
4C081DA13
4C081DC11
(57)【要約】
リン酸カルシウムパテを含む骨移植片組成物が提供される。骨移植片組成物を適用して患者の骨欠損を修復する方法もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸カルシウムパテと、以下の:硬化剤、硬化速度制御剤、酸性化剤、鉄剤賦形剤、コラーゲン、及び希釈溶液のうちの少なくとも1つを含む、骨移植片組成物。
【請求項2】
前記リン酸カルシウムパテが二相性リン酸カルシウム粒子を含む、請求項1に記載の骨移植片組成物。
【請求項3】
前記二相性リン酸カルシウム粒子が、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムを含む、請求項2に記載の骨移植片組成物。
【請求項4】
前記二相性リン酸カルシウム粒子が、約20~60%のヒドロキシアパタイト及び約40~80%のリン酸三カルシウムを含む、請求項3に記載の骨移植片組成物。
【請求項5】
前記二相性リン酸カルシウム粒子が、相互に連結したマクロ孔およびミクロ孔を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の骨移植片組成物。
【請求項6】
前記二相性リン酸カルシウム粒子が、球状粒子、繊維、又は不定形顆粒の形状である、請求項2~4のいずれか1項に記載の骨移植片組成物。
【請求項7】
生体内吸収性ポリマーをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項8】
前記骨移植片組成物が、1.68g/mL~1.85g/mLの間の密度を有する、請求項1~7のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項9】
前記骨移植片組成物が、約80N/m未満の圧縮抵抗力を有する、請求項1~8のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項10】
前記骨移植片組成物を射出するのに必要な力が80N/m未満である、請求項1~9のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項11】
活性剤をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項12】
前記骨移植片組成物が、活性剤または他の薬剤を患者の所望の部位に送達するように構成および配置されている、請求項11に記載の骨移植片組成物。
【請求項13】
前記骨移植片組成物が、活性剤を貯蔵及び送達するためのリザーバー及びマイクロチャネルのネットワークを含む、請求項12に記載の骨移植片組成物。
【請求項14】
前記骨移植片組成物が、活性剤を貯蔵及び送達するための複数のリザーバー、マイクロチューブ及び/又はナノチューブを含む、請求項13に記載の骨移植片組成物。
【請求項15】
前記活性剤が制御された速度で送達される、請求項13に記載の骨移植片組成物。
【請求項16】
前記活性剤が薬学的に適した担体に溶解している、請求項13に記載の骨移植片組成物。
【請求項17】
薬学的に適した担体に溶解した活性剤を骨移植片に噴霧またはコーティングする請求項13に記載の骨移植片組成物。
【請求項18】
前記活性剤がオピオイド増殖因子受容体(OGFR)アンタゴニストである、請求項11~17のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項19】
前記OGFRアンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソン、及びそれらの塩からなる群より選択される、請求項18に記載の骨移植片組成物。
【請求項20】
前記OGFRアンタゴニストが希釈剤と共に投与される、請求項18に記載の骨移植片組成物。
【請求項21】
前記硬化剤を含み、該硬化剤が炭酸ナトリウム(NaCO3)を含有する、請求項1~20のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項22】
前記骨移植片組成物が前記硬化剤を含み、該硬化剤が硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム無水物、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、およびリン酸水素ナトリウムからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項1~21のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項23】
前記硬化剤と前記リン酸カルシウム塩の化合物の重量比が3:4である、請求項21または22に記載の骨移植片組成物。
【請求項24】
前記骨移植片組成物が酸性化剤を含み、該酸性化剤がアスコルビン酸、クエン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸一水和物、及び酢酸の群から1つ以上を含む、請求項1~23のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項25】
前記酸性化剤が骨移植片組成物のバイオアベイラビリティを向上させる、請求項24に記載の骨移植片組成物。
【請求項26】
前記酸性化剤が骨形成を促進する、請求項24又は25に記載の骨移植片組成物。
【請求項27】
前記酸性化剤が粘着性を増加させる、請求項24~26のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項28】
前記骨移植片組成物が発色剤を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の骨移植片組成物。
【請求項29】
硫酸鉄(III)水和物、塩化鉄(III)、クエン酸鉄(III)、酸化鉄(III)、水酸化物酸化鉄(III)、リン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、元素鉄粒、フッ化鉄、硫酸鉄(II)七水和物、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物、塩化鉄(II)、二硫化鉄、硫酸鉄(II)七水和物、乳酸鉄(II)水和物、L-アスコルビン酸鉄(II)またはフッ化鉄(II)を含む、請求項1~28のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項30】
前記発色剤が活性化可能な発色剤を含む、請求項28及び29に記載の骨移植片組成物。
【請求項31】
前記発色剤が骨移植片組成物を赤、青、オレンジ、緑、ネオングリーン、紫、黒、茶、グレー、またはバトルシップグレーに着色する、請求項28または29に記載の骨移植片組成物。
【請求項32】
前記骨移植片組成物が抗菌剤を含む、請求項1~31に記載の骨移植片組成物。
【請求項33】
前記抗菌剤が、抗生物質剤、または抗真菌剤の群から1つ以上を含む、請求項32に記載の骨移植片組成物。
【請求項34】
抗生物質が、バンコマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、アンピシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、チカルシリン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、セファゾリン、セフェピム、セフトリアキソン、クリンダマイシン、アズトレオナム、イミペネム、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、クロラムフェニコール、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、ポリミオキシンB、テトラサイクリン、バイオマイシン、クロロマイセチン、ストレプトマイシン、アザクタム、これらの薬学的に許容される塩、およびこれらの組み合わせを含む、請求項33の骨移植片組成物。
【請求項35】
前記抗真菌剤が、ポリエン系抗真菌剤、イミダゾール、トリアゾール、アリルアミン、およびエキノキャンディンの群から1つ以上を含む、請求項33に記載の骨移植片組成物。
【請求項36】
前記骨移植片組成物が、抗菌効力および/または抗真菌効力を示す、請求項32~35のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項37】
前記骨移植片組成物が、粉末コラーゲンまたは液体コラーゲンを含む請求項1~26のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項38】
前記骨移植片組成物が歯科用レジンでない、請求項1~37のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項39】
請求項1~37のいずれかに記載の骨移植片組成物を骨欠損に適用することを含む、それを必要とする患者における骨欠損を修復する方法。
【請求項40】
前記骨欠損がヒトの疾患または状態によって引き起こされ、前記骨移植片組成物が前記ヒトの疾患または状態を治療するための活性薬剤を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記骨欠損がヒトの疾患または状態によって引き起こされ、前記骨移植片組成物が前記ヒトの疾患または状態を治療するための活性剤を含有しない、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記ヒトの疾患または状態が癌である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記ヒトの疾患または状態が、椎骨を融合するための外科的処置を必要とする、脊柱の椎骨のいくつかの障害のうち1つである、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
前記ヒトの疾患または状態が、四肢の骨のいくつかの障害のうちの1つであり、四肢の骨が、骨を融合させるかまたは欠損を修復するための外科的介入を必要とする、請求項40または41に記載の方法。
【請求項45】
前記ヒトの疾患または状態が、骨構造の安定性に本質的ではない骨の空隙または欠損であり、骨の空隙または欠損が手術または外傷によって生じ、前記骨移植片組成物が前記骨の空隙または欠損を充填する、請求項40または41に記載の方法。
【請求項46】
前記骨移植片組成物が骨伝導性である、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項47】
前記骨移植片組成物が骨誘導性である、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項48】
前記骨移植片組成物が骨促進性である、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項49】
前記外科的処置は、腰椎椎体間固定術処置(LIF)を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記LIF処置が、前方LIF、側方LIF、経椎間孔LIF、および後方LIFを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記LIF処置が、関連した症状、例えば、外科的処置を介した骨欠損の形成に起因する、X線撮影を介して決定された対象の椎間板変性症を緩和する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記LIF処置が、対象のオスウェストリー障害指数(ODI)、対象の神経学的評価、または対象のX線撮影により決定されるような、対象の関連する神経筋欠損または身体欠損を緩和する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記骨欠損が、対象の骨性骨格系の空隙または間隙を含み、前記空隙または間隙が、骨性骨格構造の安定性に本質的でなく、骨移植片組成物が空隙または間隙に充填される、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記骨欠損が、悪性腫瘍または悪性腫瘍の切除によって引き起こされる、請求項39に記載の方法。
【請求項55】
前記悪性腫瘍が乳癌転移性腫瘍である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記リン酸カルシウムパテが二相性リン酸カルシウム粒子を含み、当該二相性リン酸カルシウム粒子がヒドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムを含み、骨移植片組成物がコラーゲンとナロキソンを含む、請求項1~39のいずれかに記載の骨移植片組成物。
【請求項57】
前記コラーゲンが25μmから750μmの粒径を有する、請求項1に記載の骨移植片組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月17日に出願された米国仮出願第63/053、277号の利益を主張し、その内容全体は、本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
骨移植は、患者に重大な健康上のリスクをもたらすか、または適切に治癒しない骨折を修復するために行われる外科的処置である。ある種の小さな骨折や急性の骨折は治すことができるが、複合骨折のような大きな骨折の場合はリスクが高くなる。骨は一般的に完全に再生する能力があるが、そのためには非常に小さな骨折スペースか、ある種の足場が必要である。成功した骨移植片は、骨伝導(骨移植片材料が受動的に骨の成長を可能にする能力)、骨誘導(骨移植片が未分化細胞を新しい骨組織を形成する活性骨芽細胞に誘導)、及び/又は骨形成(移植材中の生きた骨細胞が骨のリモデリングに寄与する)をもたらす。
【0003】
骨移植片は、自家骨、すなわち、骨移植片材料が患者自身の体から採取され、しばしば腸骨稜から採取される。しかし、自家骨の使用は、移植処置に使用する自家骨の回収のために患者が追加の手術を受ける必要があるため、患者に増加した痛みと不快感、及び感染症の増加リスクを負わせる。
【0004】
骨移植片は、同種移植片であってもよい。すなわち、骨移植片材料は、通常、骨バンクから入手される死体骨に由来する。同種移植骨は、患者に病気や移植片の拒絶反応のリスクを与える。
【0005】
骨移植片材料は合成でもよく、合成骨移植片材料はハイドロキシアパタイトまたは、骨と似た力学特性を持つ天然由来の生体適合性物質でできていることが多い。ほとんどの骨移植片は、数ヶ月の間に自然骨が治癒するのに合わせて再吸収され、置換されると予想される。しかし、合成骨移植片材料は、自家移植材や同種移植材に比べて、骨伝導性や骨誘導性が低い場合がある。また、合成材は、ドナーが微生物に感染する可能性がある。したがって、骨の損傷を治癒するための改良された特性を有する合成骨移植片材料に対する医療上のニーズは大きい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一態様では、リン酸カルシウムパテと、少なくとも硬化剤、硬化速度制御剤、酸性化剤、鉄賦形剤、コラーゲン、及び希釈溶液のいずれか1つとを含む骨移植片組成物が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態において、リン酸カルシウムパテは、二相性リン酸カルシウム粒子を含む。いくつかの実施形態では、二相性リン酸カルシウム粒子は、ハイドロキシアパタイト及びリン酸三カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、二相性リン酸カルシウム粒子は、約20~60%のハイドロキシアパタイト及び約40~80%のリン酸三カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、二相性リン酸カルシウム粒子は、相互に連結したマクロ孔およびミクロ孔を有する。いくつかの実施形態では、二相性リン酸カルシウム粒子は、球状粒子、繊維、または不規則な顆粒の形状である。いくつかの実施形態において、リン酸カルシウムパテは二相性リン酸カルシウム粒子を含み、二相性リン酸カルシウム粒子はハイドロキシアパタイト及びリン酸三カルシウムを含み、骨移植片組成物はさらにコラーゲン及びナロキソンを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、生体吸収性ポリマーをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、混合後に1~6g/mLの密度を有する。いくつかの実施形態では、カニューレ、チューブ、またはシリンジを通して骨移植片組成物を押し出すのに必要な力は、80N/m未満である。
【0010】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は活性剤を有さない。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、活性剤又は他の薬剤を患者の所望の部位に送達するように構成及び配置されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、活性剤を貯蔵し送達するためのリザーバー及びマイクロチャネルのネットワークを含む。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、活性剤を貯蔵し送達するための複数のリザーバー、マイクロチューブ及び/又はナノチューブを含む。いくつかの実施形態において、活性剤は、制御された速度で送達される。
【0012】
いくつかの実施形態において、活性剤は、薬学的に適切な担体に溶解される。いくつかの実施形態では、薬学的に適切な担体に溶解された活性剤は、合成骨移植片に噴霧またはコーティングされる。
【0013】
いくつかの実施形態では、活性剤は、オピオイド増殖因子受容体(OGFR)アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、OGFRアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、及びその塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、OGFRアンタゴニストは、希釈剤とともに投与される。
【0014】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は硬化剤を含み、硬化剤は炭酸ナトリウム(NaCO)または硫酸鉄(FeSO)を含む。いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は硬化剤を含み、該硬化剤は硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム無水物、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム及びリン酸水素ナトリウムからなる群からの1以上の化合物を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、硬化剤とリン酸カルシウム塩の化合物との重量比は、1:2(硬化剤:カルシウム塩)~3:4(硬化剤:カルシウム塩)の間である。
【0016】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、酸性化剤を含み、該酸性化剤は、アスコルビン酸、クエン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸一水和物、及び酢酸の群から1以上を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、酸性化剤は、骨移植片組成物中の活性剤のバイオアベイラビリティを向上させる。いくつかの実施形態では、酸性化剤は、骨形成を促進する。いくつかの実施形態では、酸性化剤は、骨移植片材料の粘着性を増加させる。
【0018】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、発色剤を含む。いくつかの実施形態では、発色剤は、活性化可能な発色剤を含む。いくつかの実施形態において、発色剤は、骨移植片組成物を赤、青、オレンジ、緑、ネオングリーン、紫、茶、黒、グレー、またはバトルシップグレーに着色する。
【0019】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、抗菌剤を含む。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、抗生物質剤又は抗真菌剤の群からの1つ以上を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、バンコマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、アンピシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、チカルシリン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、セファゾリン、セフェピム、セフトリアキソン、クリンダマイシン、アズトレオナム、イミペネム、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、クロラムフェニコール、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、ポリミオキシンB、テトラサイクリン、バイオマイシン、クロロマイセチン、ストレプトマイシン、アザクタム、及びこれらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの組み合わせを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、抗真菌剤は、ポリエン系抗真菌剤、イミダゾール、トリアゾール、アリルアミン、及びエキノキャンディンの群より1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、抗菌効力および/または抗真菌効力を示す。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、歯科用レジンではない。
【0022】
別の態様では、それを必要とする患者の骨欠損を修復する方法が提供され、この方法は、本明細書に開示される骨移植片組成物を骨欠損に適用することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、骨欠損は、ヒトの疾患または状態によって引き起こされ、そしてここで、骨移植片組成物は、ヒトの疾患または状態を治療するための活性剤を含む。いくつかの実施形態において、骨欠損は、ヒトの疾患または状態によって引き起こされ、そしてここで、骨移植片組成物は、ヒトの疾患または状態を治療するための活性剤を含有しない。いくつかの実施形態において、ヒトの疾患または状態は、椎骨を共に融合させるための外科的処置を必要とする、脊柱の椎骨のいくつかの障害のうちの1つである。いくつかの実施形態では、ヒトの疾患または状態は、四肢の骨のいくつかの障害のうちの1つであり、四肢の骨は、骨を共に融合させるかまたは欠損を修復するための外科的処置を必要とする。いくつかの実施形態において、ヒトの疾患または状態は、骨構造の安定性に本質的でない骨の空隙または欠損であり、骨の空隙または欠損は、手術または外傷性損傷によって生じ、骨移植片組成物は、骨の空隙または欠損を充填する。いくつかの実施形態において、骨欠損は、対象の骨系骨格系の空隙または間隙を含み、空隙または間隙は、骨系骨格構造の安定性に本質的ではなく、骨移植片組成物は、空隙または間隙に充填されるものである。
【0024】
いくつかの実施形態において、外科的処置は、腰椎椎体間固定術(lumbar interbody fusion:LIF)処置を含む。いくつかの実施形態では、LIF処置は、前方LIF(anterior LIF)、側方LIF(lateral LIF)、経椎間孔LIF(transforaminal LIF)、および後方LIF(posterior LIF)を含む。いくつかの実施形態では、LIF処置は、関連した症状、例えば、外科的処置を介した骨欠損の形成に起因する、X線撮影を介して決定された対象の椎間板変性症を緩和する。いくつかの実施形態において、LIF処置は、対象のオスウェストリー障害指数(ODI)、対象の神経学的評価、または、対象のX線撮影により決定される対象の関連する神経筋欠損又は身体欠損を緩和する。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヒトの疾患又は状態は、がんである。いくつかの実施形態では、骨欠損は、がんによって引き起こされる。がんの特定の種類には、皮膚がん(例えば、メラノーマ)、結合組織がん(例えば、肉腫、骨肉腫、ユーイング骨肉腫、巨細胞腫)、乳がん、頭頸部がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、胃がん、すい臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、肛門性器がん(例えば、精巣がん)、腎臓がん、膀胱がん、大腸がん、前立腺がん、中枢神経系(CNS)がん(例えば、神経芽腫など)、網膜がん、血液がん(例えば、多発性骨髄腫など)、リンパ系のがん(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態において、骨欠損は、悪性腫瘍または切除術を介した悪性腫瘍の外科的除去によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、悪性腫瘍は、乳がん転移性腫瘍を含む。いくつかの実施形態において、ここで開示される方法は、悪性乳がん転移性腫瘍などの悪性腫瘍切除後の、介在同種移植(Intercalary Allograft)及びプレート固定(Plate Fixation)の使用による対象の上腕骨骨幹部-骨端部(Metaphysis-Diaphysis of the humerus)の再建のために、開示される骨移植片組成物を使用する。
【0027】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、骨伝導性である。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、骨誘導性である。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は骨促進性(osteopromotive)である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】MC3T3-E1サブクローン4マウス頭蓋冠由来骨形成細胞をスフェロイド(微小塊)として培養し、骨芽骨細胞としたものである。培養物は、処理しない(ネガティブコントロール)、骨芽細胞への分化を誘導するために化学的に処理する(ポジティブコントロール)、または硫酸鉄(III)賦形剤を含む骨移植片材料と共に培養した(硫酸鉄(III)骨移植片)。培養物は、骨移植片材料または化学誘導試薬を添加する前に7日間生育させた。さらに12日後、培養物をアリザリンレッド染色(暗色染色)でミネラル沈着について染色した(図1A)。硫酸鉄(III)培養物は、いずれの対照群よりも有意に多くの染色を有していた。次に、培養物を、スフェロイドに含まれるミネラルの量について評価し、ミネラルが増加したかどうかを決定した(図1B)。硫酸鉄(III)骨移植片培養物は、ネガティブコントロール培養物に対して、スフェロイド中に有意に多くのミネラルを有した(* = p<0.0001)。ポジティブコントロールの培養液のミネラルは、ネガティブコントロールの培養液と有意な差はなかった(ns = not significant)。
【発明の概要】
【0029】
骨移植および骨中の空隙または間隙を修復および/または充填するための組成物、材料、方法、およびキットが、本明細書に記載される。本開示は、改善された材料特性及び材料に含まれる薬剤の改善されたバイオアベイラビリティを有する骨移植片組成物を提供する。本開示はまた、移植された材料の容易かつ便利な検出を可能にする発色剤を含む骨移植片組成物を提供する。さらに、改善された抗菌機能を有する骨移植片組成物がこの中に含まれる。最後に、本開示は、骨形成を刺激すること又は骨破壊を防止することのいずれかによって骨の成長を促進することが望ましい又は必要である疾患及び状態を治療するための治療特性を有する活性剤を含有する骨移植片組成物を提供する。
【0030】
I.定義
本明細書中で使用される特定の用語の理解を容易にするために、以下の定義を提供する。
【0031】
本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、特に定義されない限り、当業者によって一般的に理解される意味を有する。当業者に知られている任意の適切な材料及び/又は方法論は、ここで記述される方法を実施する際に利用され得る。
【0032】
本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他に示す場合を除き、交換可能に使用され、複数形も同様に含み、それぞれの意味に該当するように意図されている。また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、列挙された項目の1つ以上のあらゆる可能な組み合わせ、および択一的に解釈される場合(「または」)に、組み合わせの欠如を意味し、包含するものである。
【0033】
すべての数値表記、例えば、pH、温度、時間、濃度、量、および分子量は、範囲を含めて、適宜、±10%、1%、または0.1%ずつ変化する概算値である。常に明示されているわけではないが、すべての数値指定は、「約」という用語が先行する場合があることが理解される。また、必ずしも明示されていないが、ここに記載された試薬は単に例示的なものであり、そのようなものの等価物は当技術分野で知られていることを理解されたい。
【0034】
用語「を含む」または「を含んでいる」は、組成物および方法が言及された要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することを意図する。「~本質的にからなる」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、組み合わせに本質的な意味を持つ他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書で定義された要素から本質的になる組成物は、請求された発明の基本的かつ新規な特性(複数可)に重大な影響を与えない他の要素を除外しないであろう。「からなる」とは、微量を超える他の成分および記載された実質的な方法ステップを除くことを意味するものとする。これらの各転換語で定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「骨移植片組成物」は、骨欠損を修復するのに適した任意の可鍛性組成物を意味する。骨移植片組成物は、「リン酸カルシウムパテ」であってもよい。いくつかの実施形態において、リン酸カルシウムパテは、骨空隙充填剤である。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「活性剤」は、特定の適応症の治療のために規制機関、例えば、USFDAによって承認された化学的又は生物学的なものを含む任意のものを意味する。
【0037】
組成物または製剤の文脈における「活性剤を含まない」という用語は、ここで定義されるような活性剤を含まない組成物または製剤を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「生体適合性」は、特定の用途において適切な宿主応答を伴って実行する(例えば、組成物又は材料の)能力、又は少なくとも宿主の生体系に局所的又は全身的に毒性又はその他の有害な影響を与えずに実行する能力を意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「骨伝導性」は、受動的に(例えば、材料上及び/又は材料中に)骨の成長を許容する(例えば、組成物又は材料の)能力を意味する。このように、骨伝導は、受動的なプロセスとして特徴付けることができる。骨伝導性材料または組成物は、既に重要な骨が存在する領域において、新たな骨の成長にのみ寄与することになる。
【0040】
材料(例えば、移植片またはインプラント)は、例えば、材料の表面上での骨の成長を受動的に可能にするように構成されているため、骨伝導性であり得る。別の例では、材料は、材料の開口部(例えば、孔)への骨の成長を受動的に可能にするように構成されるため、骨伝導性であり得る。
【0041】
ここで使用される用語「骨誘導性」は、骨形成を誘導する生物学的応答を積極的に刺激する(例えば、組成物又は材料の)能力を意味する。このように、骨誘導は、能動的なプロセスとして特徴付けることができる。骨誘導性材料または組成物は、新たに骨成長を誘導し、重要な骨がない領域での新しい骨成長に寄与することができる。
【0042】
骨誘導性は、骨前駆細胞、例えば、移植片またはインプラントの周囲または近傍の身体組織における骨前駆細胞、の形成および/または刺激を含み得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「骨促進性」は、骨誘導性材料の骨誘導性を高めることにより骨の新たな形成を促進する(例えば、組成物又は材料の)能力を意味する。骨促進性組成物または材料は、骨誘導性を高めるが、本質的には骨誘導性ではない。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「生体活性」は、模擬体液(SBF)中に没したときにハイドロキシアパタイト(HA)表面層を形成する(例えば、組成物又は材料の)能力を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「骨刺激性」は、骨芽細胞の増殖及び間葉系幹細胞の分化を増強又は積極的に刺激する(例えば、組成物、材料、又はその抽出物の)能力を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「抗菌」又は「抗微生物」は、USP<51>に記載の方法に基づいて微生物の成長を阻害する(例えば、組成物、材料、又はその抽出物の)能力を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「生分解性」は、生物学的環境(生物、例えば患者の身体の作用を含む)の作用によって、及び/又は生理学的pH若しくは温度の変化に応答して、経時的に分解、解体、及び/若しくは消化される材料の能力を意味する。生分解性は、人体環境の文脈では、材料が通常の生理学的条件下で分解、解体、及び/又は消化されることを意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「再吸収性」及び「生体吸収性」は、ある期間にわたって分解され、生体環境に同化される材料の能力を意味する。人体環境の文脈における再吸収性及び生体吸収性は、材料が一定の期間にわたって分解され、通常の生理学的条件下で体内に同化されることを意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「成形可能」は、完全性、組成物の均質性、物理的特性、および性能特性を維持しながら、柔軟で、手の力で圧縮、成形、および操作することができる特性を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、語句「重量で」などの、本明細書に記載の骨移植片組成物又は材料の成分の重量への言及は、骨移植片組成物の別の異なる成分に添加又は混合される前の該当する成分の重量を意味する。例えば、重量は、骨移植片組成物への成分のさらなる処理の前に測定された成分の初期重量を指すことができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、表現「非荷重用途」は、骨又は別の骨構造における空隙又は間隙の修復のための用途であって、修復される空隙又は間隙が骨又は骨構造の安定性に本質的ではないものを指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「アンタゴニスト」は、「阻害剤」と互換的に使用され、標的の活性、機能、効果、又は発現をブロック又は抑制する基質を指す。いくつかの実施形態では、標的は、化合物、タンパク質、遺伝子、細胞、または薬剤である。ここで使用される用語「発現」は、生細胞が標的を産生する量を意味する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、標的遺伝子又はタンパク質の発現を抑制する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、別の分子の酵素又は分子ポンプへの結合を阻止する化合物を含む。いくつかの実施形態では、阻害剤は、酵素のダウンレギュレーションを引き起こす化合物である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、競合阻害剤または非競合阻害剤であり得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」は、実際に投与することと同様に投与のために処方することを含み、治療される対象または別のものによって物理的に投与されることを含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、「対象」、「患者」、又は「個体」は、任意の対象、患者、又は個体を指し、この用語は、ここで互換的に使用される。この点で、用語「対象」、「患者」及び「個体」は、哺乳類、特に、ヒト、イヌ、及びネコを含む。「それを必要としている」と関連して使用される場合、用語「対象」、「患者」、または「個体」は、特定の症状または障害を有するかまたはその危険性がある任意の対象、患者、または個体を意図する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「投与量」または「量」の文脈における表現「治療上有効な」または「有効な」は、化合物または化合物が投与される特定の薬理効果を提供する投与量または量を意味する。治療上有効な量は、当業者によってそのような用量が治療上有効な量であるとみなされたとしても、所定の対象において意図された効果を達成する上で常に有効であるとは限らないことが強調される。便宜のみを目的として、例示的な投与量をここで提供する。当業者は、特定の症状又は障害に罹患している特定の対象を治療するために、ここに開示される方法に従ってかかる量を調整することができる。治療上有効な量は、投与経路及び剤形に基づいて変化し得る。
【0056】
用語「治療する」または「処置」は、骨欠損を引き起こすまたは関連する状態の処置を対象とする。例えば、がんである。このような治療は、ヒトまたは動物の患者などの対象において、(i)がんを阻害する、すなわち、その発生を阻止すること;(ii)がんまたは障害を緩和する、すなわち、がんの退行を引き起こすこと;(iii)がんの進行を遅らせること;および/または(iv)がんの一つ以上の症状を阻害、緩和、もしくは進行を遅らせることを含む。例えば、がんの治療には、がんまたはがんによって引き起こされる状態の除去、腫瘍の寛解、がんの抑制、または腫瘍の少なくとも1つの症状の軽減もしくは除去が含まれるが、これらに限定されるものではない。骨の欠陥を引き起こすまたは関連する状態の他の例としては、例えば、糖尿病、骨粗鬆症、狼瘡、関節リウマチ、甲状腺機能亢進症、セリアック病、喘息、および多発性硬化症が挙げられる。上記の状態のいずれかを治療するための活性剤は、当業者によく知られており、本開示の範囲に入る。
【0057】
用語「治療する」または「処置」は、骨格の生体力学的不安定性、加齢に伴う変性状態、または外傷に起因する骨欠損を引き起こすまたは関連する状態の外科的処置による処置も対象とすることができる。患者は、ヒトまたは獣医の患者である。例えば、椎間板変性症による脊椎固定術など。このような治療は、人間のような対象において、変性椎間板を除去し、治療セグメントの2つの椎骨セグメントの間に椎間スペーサーまたは「ケージ」を置き、骨移植片材料料をスペーサー/ケージに入れ、次に金属棒およびネジを使用して脊椎を機械的に安定化させることを含む。数ヵ月後、椎骨セグメントの骨は融合し、機械的に安定した椎骨セグメントが出来上がる。他の状態には、骨折、骨切り、関節形成術、再建処置、オーラルオーグメンテーション(すなわち、顎堤形成(ridge augmentation)、サイナスリフト、またはソケット修復を含む任意の歯科修復)、および欠損(例えば、ボイドフィラー)修復が含まれる。いくつかの実施形態において、骨欠損は、対象の骨性骨格系の空隙または間隙を含み、ここで、空隙または間隙は、骨性骨格構造の安定性に本質的でない。対象の骨骨格系の空隙または間隙は、骨移植片組成物を空隙または間隙に穏やかに詰めることによって処置されてもよい。
【0058】
状態はまた、四肢の骨の障害であってもよく、この場合、四肢の骨は、骨を融合させるか、または欠陥を修復するために外科的処置を必要とする。いくつかの実施形態において、ヒトの疾患または状態は、骨構造の安定性に本質的でない骨の空隙または欠損であり、骨の空隙または欠損は、手術または外傷性損傷によって生じ、骨移植片組成物は、骨の空隙または欠損を充填する。いくつかの実施形態において、ヒトの疾患または状態は、骨構造の安定性に本質的でない骨空隙または欠損であり、ここで、骨空隙または欠損は、手術または外傷性損傷によって作成される。いくつかの実施形態において、外科的処置は、腰椎椎体間固定術処置(LIF)手順を含む。いくつかの実施形態では、LIF処置は、前方LIF、側方LIF、経椎間孔LIF、及び後方LIFを備える。いくつかの実施形態において、LIF処置は、関連した症状、例えば、外科的処置を介した骨欠損の形成により、X線撮影を介して決定された対象の椎間板変性症を緩和する。いくつかの実施形態において、LIF処置は、対象のオスウェストリー障害指数(ODI)、対象の神経学的評価、または対象のX線撮影により決定されるような、対象の関連する神経筋欠損または身体欠損を緩和する。
【0059】
用語「アナログ」は、1つ以上の個々の原子または官能基が、異なる原子または異なる官能基のいずれかで置換された化合物を指し、一般に類似の特性を有する化合物を生じさせる。ある態様では、アナログは、別のものと類似しているが、1つまたは2つの成分が異なる構造を指す。
【0060】
用語「誘導体」は、類似の開始化合物から、開始化合物に別の分子または原子を結合させることによって形成される化合物を意味する。さらに、本発明による誘導体は、1つ以上の原子または分子の付加によって、または2つ以上の前駆体化合物の組み合わせによって前駆体化合物から形成される1つ以上の化合物を包含する。
【0061】
II.リン酸カルシウム骨移植片組成物
実施形態による骨移植片組成物、又は材料は、標的修復部位における骨の修復又は再生を促進する。例えば、いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、骨伝導性、骨誘導性、生物活性、骨刺激性、抗菌性、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。標的修復部位は、例えば、患者の体内の骨又は他の骨構造における空隙、間隙、又は他の欠損であり得る。例えば、以下でより詳細に説明するように、骨移植片組成物は、患者の体内の脊椎、骨盤、四肢、頭蓋、または他の骨もしくは骨構造における標的修復部位での骨成長を促進する。骨移植片組成物は、標的修復部位に移植、押し出し、成形、または他の方法で配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、非荷重用途で、標的修復部位に移植、押し出し、成形、または配置することができる。他の実施形態では、骨移植片組成物は、耐荷重用途において、適切な整形外科ハードウェア(すなわち、ネジ、プレート、ロッド、ケージ/スペーサー、プロテーゼ、股関節インプラント、膝インプラント、寛骨臼インプラントなど)とともに標的修復部位に移植、押し出し、成形、または配置することが可能である。
【0062】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、リン酸カルシウム組成物である。
【0063】
いくつかの実施形態において、リン酸カルシウムは、以下から選択される。ハイドロキシアパタイト(Ca(OH)(PO)、β-リン酸三カルシウム(β-Ca(PO)、リン酸カルシウム二塩基性(CaHPO)、またはリン酸カルシウム三塩基性(Ca(OH)(PO)、リン酸一カルシウム一水塩(Ca(HPO-HO)、リン酸二カルシウム二水塩(CaHPOO).リン酸八カルシウム(Ca(POO)、リン酸一カルシウム(Ca(HPO)、α-リン酸三カルシウム(α-Ca(PO)、焼結ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、オキシアパタイト(Ca10(POO)またはリン酸四カルシウム(Ca(POO)。
【0064】
いくつかの実施形態では、ハイドロキシアパタイトは、化学式Ca10-x(HPO(PO6-x(OH)2-xを有する沈殿ハイドロキシアパタイト材料であり、ここで「x」は0と2の間で変化し得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、リン酸三カルシウムは、化学式Ca(PO・nHOを有する沈殿した非晶質リン酸カルシウムであり、この場合、「n」=3~4.5、HO含有量は15%~20%である。
【0066】
いくつかの実施形態では、ハイドロキシアパタイト材料の個々の粒(又は粒子)の大きさは、1nm~5mmの範囲である。
【0067】
いくつかの好ましい実施形態において、ハイドロキシアパタイトのための粒径は、以下のサイズから選択されることになる。10μm(ミクロン)、75μm(ミクロン)、86.4μm(ミクロン)、125μm(ミクロン)、147μm(ミクロン)、212μm(ミクロン)、368μm(ミクロン)、又は740μm(ミクロン)である。これらの実施形態において、粒径は、最大サイズを表すと理解され、範囲は、潜在的により小さい材料の粒子を合わせて存在することになる。
【0068】
いくつかの実施形態では、β-リン酸三カルシウム材料の個々の粒(又は粒子)の大きさは、1nm~5mmの範囲である。
【0069】
いくつかの好ましい実施形態において、β-リン酸三カルシウムの粒径は、以下のサイズから選択されることになる。100μm(ミクロン)、125μm(ミクロン)、212μm(ミクロン)、304μm(ミクロン)、645μm(ミクロン)、500μm(ミクロン)、又は1000μm(ミクロン)。これらの実施形態において、粒径は、最大サイズを表すと理解され、範囲は、潜在的により小さい材料の粒子を合わせて存在することになる。
【0070】
いくつかの実施形態では、リン酸三カルシウムは、β-リン酸三カルシウムとα-リン酸三カルシウムの混合物となる。
【0071】
いくつかの実施形態において、リン酸カルシウム塩は、無水物、一水和物、二水和物、又は任意のxHO水和物アイソフォームであり得る。
【0072】
好ましい実施形態において、骨移植片材料の好ましい製剤に含まれるリン酸カルシウム塩は、焼結ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、β-リン酸三カルシウム(β-Ca(PO)、リン酸二カルシウム(CaHPO)、およびリン酸三カルシウム(Ca(OH)(PO)である。
【0073】
III.硬化剤
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、硬化剤を含む。硬化剤は、骨移植片組成物の硬化の程度を向上させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、硬化剤は炭酸ナトリウム(NaCO)であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、硬化剤は、硫酸カルシウム無水物(CaSO)、硫酸カルシウム半水和物(CaSO-0.5HO)、硫酸カルシウム二水和物(CaSOO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)及びバイオグラスであってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、硬化剤塩は、無水物、一水和物、二水和物、又は任意のxHO水和物アイソフォームであり得る。
【0077】
好ましい実施形態において、骨移植片材料の好ましい製剤に含まれる硬化剤は、炭酸ナトリウム(NaCO)である。
【0078】
IV.硬化速度を制御する薬剤
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、硬化剤を含む。硬化剤は、骨移植片組成物の硬化の速度を向上させる。
【0079】
いくつかの実施形態において、硬化剤は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、リン酸ナトリウム二塩基性(NaHPO)、ピロリン酸ナトリウム四塩基性(Na)、オルソリン酸ナトリウム(NaPO)、又はリン酸一ナトリウム一塩基性(NaHPO)を含んでいてよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、リン酸ナトリウム塩は、無水物、一水和物、二水和物、又は任意のxHO水和物イソフォームを含んでいてもよい。
【0081】
好ましい実施形態において、硬化速度を制御する薬剤は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、およびリン酸ナトリウム二塩基性(NaHPO)を含む。
【0082】
V.酸性化剤
骨移植片組成物に酸性化剤を添加すると、改良された材料特性、溶解、小分子のバイオアベイラビリティ、骨形成の促進、および取り扱い特性の改善が得られるというのが、本発明者らの発見である。酸性化剤は、化学物質、分子、またはプロトンを供与することができる(水素イオンH+;ブレンステッド-ローリー酸として知られている)または、代わりに、電子対と共有結合を形成することができる(ルイス酸として知られている)イオンとして定義している。
【0083】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、酸性化剤を含み、酸性化剤は、 L-アスコルビン酸(C)、アスコルビン酸2-リン酸セスキマグネシウム塩水和物(C121210(POMg-xHO)、クエン酸ナトリウム二水和物(NaO)、クエン酸マグネシウム(MgC)、クエン酸カリウム一水和物(K・HO)、クエン酸一水和物(C・HO)、および酢酸(C)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、酸性化剤は、無水物、一水和物、二水和物、又は任意のxHO水和物アイソフォームであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、酸性化剤は、骨移植片材料の成分であり、溶液中で形成される多原子アニオンを生成する塩またはエステル化学種であり、溶液中で形成する多原子アニオンを生成する塩またはエステル化学種であり、溶液中では、そうでなければ、化学種を酸として定義する規則に適合する。
【0086】
好ましい実施形態において、酸性化剤は、L-アスコルビン酸(C)、クエン酸一水和物(C-HO)、及び酢酸(C)の1つ以上を含む。
【0087】
V.鉄賦形剤
鉄塩、酸化鉄、鉄化合物、鉄合金、および鉄元素の形で、鉄賦形剤を骨移植片組成物に添加することにより、以下のことが可能になることは、本発明者らの発見である。
1)発色剤として、鉄賦形剤は、パテが隣接する骨に対してどの位置にあるかを容易に検出することを可能にする。また、発色剤としての鉄賦形剤は、骨移植片組成物の液体および固体前駆体を混合する際の色の均一性を評価することにより、適切な混合を視覚化することを可能にする。
2)鉄賦形剤は、硬化速度を制御する薬剤および硬化に寄与する薬剤として骨移植片材料の物性を調節する。
3)X線撮影(X線写真、コンピュータ断層撮影)において、鉄賦形剤は造影剤として作用する。
4)鉄賦形剤は骨形成に寄与する。
【0088】
いくつかの実施形態において、発色剤は、鉄賦形剤でもある色原体を含む。ここで使用される用語「色原体」は、溶媒に溶解したときに色も変化する鉄賦形剤である任意の化学種である。
【0089】
いくつかの実施形態では、発色剤は、活性化可能な発色剤を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、発色剤は、骨移植片組成物を赤、オレンジ、茶色、黒、または灰色に着色する。いくつかの好ましい実施形態では、発色剤は、骨移植片組成物をオレンジ、赤、茶、または灰色に着色する。
【0091】
いくつかの実施形態において、鉄賦形剤は、硫酸鉄(III)水和物(Fe(SO)、塩化鉄(III)(FeCl)、クエン酸鉄(III)(FeC)、酸化鉄(III)(Fe)、水酸化物酸化鉄(III)(Fe(OH)O)、リン酸鉄(III)(FePO)、クエン酸鉄(III)アンモニウム(C-xFe+ -yNH)、元素鉄粒(elemental iron particles)(Fe)、フッ化鉄(III)(FeF)、硫酸鉄(II)七水和物(FeSOO)、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(Fe(NH(SOO)、塩化鉄(FeCl2)、二硫化鉄(II)(FeS)、硫酸鉄(II)七水和物(FeSOO)、および乳酸鉄(II)水和物(Fe(CHCH(OH)COO)-xHO)、L-アスコルビン酸鉄(II)(FeC121412)およびフッ化鉄(II)(FeF)である。
【0092】
好ましい実施形態では、鉄賦形剤は硫酸鉄(III)水和物(Fe(SO)である。
【0093】
VII.コラーゲン
コラーゲン粉末や液体コラーゲン製剤が骨移植片材料に利用できることは、本発明者らの発見である。I型コラーゲンは、骨移植片の成分として一般的に使用される白色の吸湿性材料である。
【0094】
コラーゲン粉末は、コラーゲンポリマーが化学的又は酵素的に又は特定のサイズ又はサイズの範囲のコラーゲンの断片を生成する任意の従来の手段によって切断されるコラーゲン材料の調製物である。この調製物では、コラーゲンは、逆透析(reverse dialysis)を通して生成された1nm~100μm(ミクロン)であり得る。別の調製物では、コラーゲンは、酵素的に切断されて、100μm(ミクロン)から300μm(ミクロン)の断片を生成し得る。さらに別の調製物では、コラーゲンは、機械的に粉砕または製粉され、次いでフィルターに通されて、200μm(ミクロン)から5mmの間の断片を生成し得る。別の実施形態では、コラーゲンは、25μm(ミクロン)~750μm(ミクロン)の粒子径を有する。別の実施形態では、コラーゲンは、1μm(ミクロン)から1.5mm(ミリメートル)の粒子サイズを有する。さらに別の調製法では、コラーゲンは、低温で粉砕または製粉され(低温粉砕)、1μm(ミクロン)から5mmの断片が生成される。
【0095】
液体コラーゲンは、溶液に溶解しているコラーゲンの可溶性画分を含むコラーゲンの調製物である。この調製物では、コラーゲンを酸溶液に浸し、および/またはそれを100℃から300℃の間で加熱し、および/またはそれを加圧環境で加熱し、および/またはそれを濾過して特定のサイズの断片を生成させる。さらに別の調製物では、液体コラーゲンは、1μm(ミクロン)から1mmの間のコラーゲン断片を製造するために、ローターステーターを用いて溶液中に懸濁したコラーゲンを粉砕または製粉することによって製造される。
【0096】
好ましい調製物では、コラーゲンを粉砕して、以下のサイズの断片のうちの1つを有する粉末を製造する。10μm(ミクロン)、15μm(ミクロン)、20μm(ミクロン)、25μm(ミクロン)、30μm(ミクロン)、35μm(ミクロン)、40μm(ミクロン)、50μm(ミクロン)、55μm(ミクロン)、60μm(ミクロン)、65μm(ミクロン)、70μm(ミクロン)、75μm(ミクロン)、80μm(ミクロン)、85μm(ミクロン)、90μm(ミクロン)、95μm(ミクロン)、100μm(ミクロン)、150μm(ミクロン)、200μm(ミクロン)、250μm(ミクロン)、300μm(ミクロン)、350μm(ミクロン)、400μm(ミクロン)、450μm(ミクロン)、500μm(ミクロン)、750μm(ミクロン)、または1000μm(ミクロン)の断片。別の調製物では、コラーゲン粉末は、上記範囲のフラグメントサイズで構成される。
【0097】
VIII.抗菌剤
本明細書で使用される場合、用語「抗菌剤」は、微生物を殺す、またはその成長を止める薬剤を指す。抗生物質は、細菌を殺す抗菌剤であり、抗真菌剤は、真菌を殺す薬剤である。
【0098】
従って、いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、抗菌剤を含む。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、抗生物質剤、または抗真菌剤を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、その抗生物質は、バンコマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、アンピシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、チカルシリン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、セファゾリン、セフェピム、セフトリアキソン、クリンダマイシン、アズトレオナム、イミペネム、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、クロラムフェニコール、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、ポリミオキシンB、テトラサイクリン、バイオマイシン、クロロマイセチン、ストレプトマイシン、アザクタム、これらの薬学的に許容される塩およびこれらの組合せを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗真菌剤は、ポリエン系抗真菌剤、イミダゾール、トリアゾール、アリルアミン、またはエキノキャンディンを含む。いくつかの実施形態では、ポリエン系抗真菌剤は、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、イミダゾール、トリアゾール、及びチアゾールを含む。いくつかの実施形態では、イミダゾールは、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、及びトリアゾールを含む。いくつかの実施形態では、トリアゾールは、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、及びボリコナゾールを含む。いくつかの実施形態では、アリルアミンは、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、及びテルビナフィンを含む。いくつかの実施形態では、エキノキャンディンは、アニデュラファンギン、カスポフンギン、及びミカファンギンを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、抗菌効力又は抗真菌効力を示す。
【0102】
IX.希釈溶液
希釈溶液は、骨移植片複合材料の粉末または乾燥スラリー成分を可溶化することができる、水および他の賦形剤からなる水性媒体である。
【0103】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、可鍛性で成形可能なパテを生成するために骨移植片材料の他の成分に添加される希釈剤又は溶液を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、希釈剤は生理食塩水又は水である。
【0105】
好ましい実施形態では、希釈剤は、いくつかの医療及び科学的用途で一般的に使用されるような0.9%生理食塩水である。
【0106】
別の好ましい実施形態では、希釈剤は、酸性化剤を含む0.9%生理食塩水である。
【0107】
さらに別の好ましい実施形態では、希釈剤は、酢酸を含む0.9%生理食塩水である。
【0108】
さらに別の好ましい実施形態では、希釈剤は、酢酸と、クエン酸分子、例えば、クエン酸一水和物またはクエン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウム二水和物を含む任意の酸性化剤を含む0.9%生理食塩水である。
【0109】
別の好ましい実施形態では、希釈剤は、酸性化剤およびコラーゲンの液体調製物を含む0.9%生理食塩水である。
【0110】
X.骨移植片組成物の調製
ここで使用される用語「ブレンド」は、非水性材料を結合又は合わせて、粉末である1つの物質又は塊、又は本明細書で「粉末-乾燥スラリー」と呼ばれる乾燥スラリーを形成する物理的プロセスを意味する。骨移植片複合材料の調製の一部は、以下の構成要素を単一の粉末乾燥スラリー複合材料にブレンドすることを必要とする:硬化剤を有するリン酸カルシウム、鉄賦形剤、硬化速度を制御する薬剤、酸性化剤、及び粉末コラーゲン。
【0111】
ここで使用される用語「混合」は、粉末乾燥スラリーを希釈溶液と結合させて、ペースト、パテ、またはその他の非晶質固体を形成する物理的プロセスを指す。
【0112】
いくつかの実施形態では、0.1mL~15mLの希釈剤が、0.1g~20gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、0.5mLの希釈剤が、0.5gの粉末乾燥スラリーに対して添加されるであろう。いくつかの実施形態では、0.765mLの希釈剤が、1gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、1mLの希釈剤が、1gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、1.5mLの希釈剤が、1.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、2mLの希釈剤が、2gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、2.5mLの希釈剤が、2.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、3mLの希釈剤が、3gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、3.5mLの希釈剤が、3.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、4mLの希釈剤が、4gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、4.5mLの希釈剤が、4.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、5mLの希釈剤が、5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、5.5mLの希釈剤が、5.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、6mLの希釈剤が、6gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、6.5mLの希釈剤が、6.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、7mLの希釈剤が、7gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、7.5mLの希釈剤が、7.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、8mLの希釈剤が、8gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、8.5mLの希釈剤が、8.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、9mLの希釈剤が、9gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、9.5mLの希釈剤が、9.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、10mLの希釈剤が、10gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。いくつかの実施形態では、10.5mLの希釈剤が、10.5gの粉末乾燥スラリーに添加されるであろう。
【0113】
いくつかの実施形態において、骨移植片組成物は、混合後に1.6g/mL、1.65g/mL、1.7g/mL、1.75g/mL、1.76g/mL、1.77g/mL、1.78g/mL、1.79g/mL、1.8g/mL、1.85g/mL、1.9g/mL、または1~6g/mLの範囲の密度を有している。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、混合後、2~6g/mLの密度を有する。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、混合後、2~5g/mLの密度を有する。いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、混合後に3.33~4.2g/mLの密度を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、カニューレ、チューブ、またはシリンジを通して骨移植片組成物を押し出すのに必要な力は、100N/m未満である。いくつかの実施形態では、カニューレ、チューブ、またはシリンジを通して骨移植片組成物を押し出すのに必要な力は、90N/m未満である。いくつかの実施形態では、カニューレ、チューブ、またはシリンジを通して骨移植片組成物を押し出すのに必要な力は、80N/m未満である。いくつかの実施形態では、カニューレ、チューブ、またはシリンジを通して骨移植片組成物を押し出すために必要な力は、70N/m未満である。いくつかの実施形態では、カニューレ、チューブ、またはシリンジを通して骨移植片組成物を押し出すために必要な力は、60N/m未満である。
【0115】
XI.活性剤のデリバリー
A.低分子活性剤
骨移植片材料は、低分子活性剤をより効率的に可溶化し、隔離し、送達するように設計できることを本発明者らは発見した。
【0116】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、低分子活性剤を含む。低分子活性剤は、何らかの細胞機能を作用させる化学種であり、骨移植片複合材料中に含有又は隔離されている。
【0117】
低分子活性剤は、タンパク質に由来する化学種、合成化学種、または植物もしくは動物源に由来する化学種である。化学種は、骨移植片複合材料に組み込む前に化学的に変化させることができ、または化学種は、骨移植片複合材料に組み込む前にその本来の状態にあることができる。
【0118】
骨移植片の希釈溶液成分のpH及び浸透圧などの化学的特性は、骨移植片組成物の粉末又は乾燥スラリー成分と混合する前に、希釈溶液中の低分子活性剤の溶解度が増加するように設計することができる。
【0119】
骨移植片の粉末乾燥スラリー成分の化学的特性は、粉末乾燥スラリー成分が希釈剤と混合されるとき、低分子活性剤が溶解しにくくなり、材料中に隔離されるように設計することができる。さらに、この性質を利用して、低分子活性剤の溶出量やバイオアベイラビリティを制御することができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、低分子活性剤は、希釈液の成分であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、低分子活性剤は、粉末乾燥スラリー成分の成分であり得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、低分子活性剤は、液体形態又は凍結乾燥固体として、希釈剤に添加される別個の調製物であることができる。
【0123】
いくつかの実施形態において、低分子活性剤は、粉末乾燥スラリー成分に添加される、液体又は凍結乾燥固体のいずれかの別個の調製物であることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、小分子は、オピオイド増殖因子アンタゴニストである。
【0125】
B.その他の生物由来活性剤
骨移植片材料が、生物由来の活性剤をより効率的に可溶化し、隔離し、そして送達するように設計できることを本発明者らは発見した。
【0126】
いくつかの実施形態では、骨移植片組成物は、生物由来活性剤を含む。生物由来活性剤は、何らかの細胞機能を作用させる生物学的種であり、骨移植片複合材料中に含有又は隔離されている。
【0127】
生物由来活性剤は、タンパク質から、合成的に誘導された化学物質から、または植物もしくは動物源から誘導された化学種である。生物由来種は、骨移植片複合材料に組み込む前に化学的に変化させることができ、または生物学的由来種は、骨移植片複合材料に組み込む前にその本来の状態であることができる。
【0128】
骨移植片の希釈溶液成分のpHや浸透圧などの化学的特性は、骨移植片組成物の粉末または乾燥スラリー成分と混合する前に、希釈溶液中の生物由来活性剤の溶解度が増加するように設計することが可能である。
【0129】
骨移植片の粉末乾燥スラリー成分の化学的特性は、粉末乾燥スラリー成分が希釈剤と混合されたとき、生物由来活性剤が溶解しにくくなり、材料中に隔離されるように設計することが可能である。さらに、この性質を利用して、生物由来活性剤の溶出量やバイオアベイラビリティを制御することができる。
【0130】
いくつかの実施形態において、生物由来活性剤は、希釈溶液の成分であり得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、生物由来活性剤は、粉末乾燥スラリー成分の成分であり得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、生物由来活性剤は、液体形態又は凍結乾燥固体として、希釈剤に添加される別個の調製物であることが可能である。
【0133】
いくつかの実施形態において、生物学的由来の活性剤は、粉末乾燥スラリー成分に添加される、液体又は凍結乾燥固体のいずれかの別個の調製品であり得る。
【0134】
追加の生物由来活性剤は、骨形成タンパク質(すなわち、BMP2、BMP4、BMP7)、血小板由来成長因子(PDGF)タンパク質(すなわち、PDGF-α又はPDGF-β)、トランスフォーミング成長因子(TGF)βタンパク質、血管内皮成長因子(VEGF)タンパク質、シクロパミン、プルモルファミン、レゾルファム、ネトリンタンパク質(すなわち、ネトリン-1またはネトリン-4)、スリットタンパク質(すなわち、スリット-1、スリット-2、スリット-3)、反発性誘導分子(RGM)タンパク質、またはWNTタンパク質(すなわち、WNT1、WNT5、WNT10、WNT11)であり得る。
【0135】
C.オピオイド増殖因子受容体(OGFR)アンタゴニスト
「OGFRアンタゴニスト」とは、少なくとも1つのOGFR関連の生物活性を阻害、抑制、又は停止させる任意の低分子活性剤を意味する。
【0136】
いくつかの実施形態において、OGFRアンタゴニストは、OGFR結合アンタゴニスト、すなわち、met5-リガンド(OGF)のOGFRへの相互作用又は結合を、妨害する、遮断する、又は他の方法で阻止する分子である。
【0137】
OGFR結合アンタゴニストは、2つの方法で機能することができる。第一に、OGFRアンタゴニストは、核膜表面上のOGFRへの結合についてmet5-リガンドと競合し、それによって、OGFRへのmet5-リガンドの結合を妨害、遮断又は他の方法で防止し、OGFRへのmet5-リガンドの結合によって誘導される下流シグナル伝達を誘発することなく、OGFRに結合することができる。あるいは、OGFR結合アンタゴニストは、PENK又はmet5-リガンドに十分な親和性及び特異性で結合又は隔離して、met5-リガンドのOGFRへの結合を実質的に妨害、遮断又は他の方法で防止し、それによって少なくとも一つのOGFR関連の生物活性を阻害、抑制又は停止させることができる。一般に、OGFR結合アンタゴニストは、大きな分子(例えば、抗体)または小さな分子(例えば、15kD、12kD、10kDまたはさらには8kD未満の分子量の化合物)であり得るとともに、ポリペプチド、核酸、または合成低分子化合物であることができる。OGFR結合アンタゴニストは、当業者によって容易に選択される任意のin vitroアッセイで同定することができる。例えば、OGFRアンタゴニストは、米国特許第5,882,944号、米国特許第6,007,986号、米国特許第6,270,979号に記載される方法を用いて同定することができる。
【0138】
一実施形態では、OGFR結合アンタゴニストは、ナロキソン若しくはその機能性誘導体、ナルトレキソン若しくはその機能性誘導体、又はそれらの組合せである。
【0139】
ここで使用されている「機能性誘導体」は、出発分子と構造的及び機能的に類似している(例えば、OGFRアンタゴニストとしてのナルトレキソン又はナロキソンの機能を維持する)誘導体又はアナログを指す。ナロキソンおよびナルトレキソンアナログは、March J., Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.(1985)に記載されているような標準的な合成手順を用いて合成することが可能である。ナルトレキソンおよびナロキソン機能性誘導体の例には、塩形態、例えば、ナロキソン塩酸塩二水和物またはナルトレキソン塩酸塩が含まれる。本発明の方法における使用に適したナルトレキソンおよびナロキソン機能性誘導体の追加例には、例えば、米国特許出願公開第2007/0197573 A1、米国特許第6,713,488に記載されている、ナルトレキソンおよびナロキソン類似体が含まれている。
【0140】
別の実施形態では、OGFR結合アンタゴニストは、オキシモルフォンから誘導され、OGFRに結合し、これには、ナロキソン、ナルトレキソン、ナロルフィン、ナロキソナジン、レバロルファン、ナルメフェン、シプロジム、シロルファン、シクラゾシン、オキシロルファン、LY113878、MR2266、ジプレノルフィン、WIN 44,441-3、ナルトインドール又はノルビナルトルフィミンが含まれる。
【0141】
さらに別の実施形態では、OGFR結合アンタゴニストは、トランス-3,4-ジメチル-4-フェニルピペリジンに由来し、OGFRに結合し、これにはLY99335、LY25506、LY117413、又はLY255582が含まれる。
【0142】
別の実施形態では、OGFR結合アンタゴニストは、met5-エンケファリン又はLeu-エンケファリンペプチドに由来し、OGFRに結合し、OGFRを標的とする手段として以下のアミノ酸配列を最小限度に含有する。met5-エンケファリン由来のものについてはTyr-Gly-Gly-Phe-Met(配列番号1)、またはLeu-エンケファリン由来のものについてはTyr-Gly-Gly-Phe-Leu(配列番号2)である。
【0143】
さらに別の実施形態では、OGFR結合アンタゴニストは、ペプチドアンタゴニスト101174864(N,N-ジアリル-Tyr-Aib-Aib-Phe-Leu-OH、配列番号3;Aib=アミノイソ酪酸)又はソマトスタチンアナログCTP(D-Phe-Cys-Tyr-D-Trp-Lys-Thr-Pen-Thr-NH.sub.2、配列番号4)に由来する。
【0144】
他の実施形態では、OGFRアンタゴニストは、OGFR結合アンタゴニストである代わりに、OGFR内に見られる核局在化配列:251QSALDYFMFAVRCRHQRRQLVHFAWEHFRPRCKFVWGPQDKLRRFKPSSL (配列番号5)を阻害する分子である。
【0145】
さらに他の実施形態では、本方法で採用されるOGFRアンタゴニストは、OGFR遺伝子に対して向けられ、OGFR遺伝子発現を抑制するのに有効な小ヘアピン(sh)-RNA又は低分子干渉(si)-RNAである。
【0146】
ここで記載されるOGFRアンタゴニストは、個別に又は組み合わせて投与することができる。適した組み合わせとしては、例えば、ナロキソン及びナルトレキソン;ナロキソン及び/又はナルトレキソンと、別のOGFR結合アンタゴニスト又は別のOGFRアンタゴニストとの組み合わせがある。
【0147】
D.局所的投与のデリバリーシステムとキャリア
本開示の1つの態様において、骨移植片複合材料は、活性剤を含む適切な希釈剤と骨形成を刺激するために骨移植片材料が通常置かれる骨損傷又は外科的処置の部位に直接かつ局所的に投与される粉末乾燥スラリーを混合することによって製造される。
【0148】
ナロキソン、ナルトレキソン、ナロキソンとナルトレキソンの組み合わせ、又はそれらの塩のいずれかと化学的特性を共有するOGFRアンタゴニストの溶出、隔離、及びバイオアベイラビリティを最適化するために、希釈剤成分及び粉末乾燥スラリー成分の特定の処方を達成できることを本発明者らは発見した。
【0149】
いくつかの実施形態では、OGFRアンタゴニストは、材料中の濃度が1ナノモル(nM)/立方センチメートル(1nM/cc)~約100mM/立方センチメートル(100mm/cc)であるように骨移植片複合材料に組み入れられる。いくつかの実施形態では、濃度は、1mM/cc、1.25mM/cc、1.5mM/cc、1.75mM/cc、2.0mM/cc、3.0mM/cc、4.0mM/cc、5.0mM/cc、6.0mM/cc、7.0mM/cc、8.0mM/cc、9.0mM/cc、および/または10.0mM/cc、20.0mM/cc、30.0mM/cc、40.0mM/cc、50.0mM/cc、60.0mM/cc、70.0mM/cc、80.0mM/cc、90.0mM/cc、100mM/ccである。
【0150】
いくつかの実施形態では、骨移植片材料中のOGFRアンタゴニストの濃度は、材料からの溶出速度が1秒当たり0.001pM~1日当たり10mMの間となるようなものである。
【0151】
いくつかの実施形態では、小分子が拡散または一旦移植された骨移植片材料の通常の分解の結果である他の物理的効果によって骨移植片材料から放出される期間中にOGFRアゴニストの溶出から生じる累積用量は、0.8mM、1mM、1.1mM、1.15mM、1.2mM、1.25mM、1.3mM、1.35mM、1.4mM、1.45mM、1.5mM、1.55mM、1.6mM、1.65mM、1.7mM、1.75mM、1.8mM、1.9mM、2mM、2.7mM、3mM、3.6mM、4mM、4.5mM、5mM、5.4mM、6mM、6.3mM、7mM、7.2mM、8mM、8.1mM、9mMまたは10mMのいずれかである。
【0152】
好ましい実施形態では、OGFRアンタゴニストは、ナロキソン塩酸塩の濃度が、0.2mg/cc(0.5mM/cc)、0.25mg/cc(0.625mM/cc)、0.3mg/cc(0.75mM/cc)、0.35mg/cc(0.875mM/cc)、0.4mg/cc(1mM/cc)、0.45mg/cc(1.125mM/cc)、0.5mg/cc(1.25mM/cc)、0.55mg/cc(1.375mM/cc)、0.6mg/cc(1.5mM/cc)、0.65mg/cc(1.625mM/cc)、0.7mg/cc(1.75mM/cc)、0.75mg/cc(1.875mM/cc)、0.8mg/cc(2mM/cc)、0.85mg/cc(2.125mM/cc)、0.9mg/cc(2.25mM/cc)、0.95mg/cc(2.375mM/cc)または1mg/cc(2.5mM/cc)である。
【0153】
E.組成と投与
ここでは、方法及び組成物は、キットの形態で提供されてもよい。ここで「キット」とは、パッケージであり、一緒に適用されたときに相補的な効果を示すいくつかの個々の部品を含むものと定義される。この態様では、キットと医薬組成物によって達成される効果は類似している。キットは、任意に、医薬組成物を使用するための説明書を含んでもよい。
【0154】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
実施例1:骨移植片材料
【0156】
第1の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)1%~7%の間の塩化鉄(III)
2)8.5%~11%の間のリン酸カルシウム二塩基性
3)9.5%~12.5%のリン酸カルシウム三塩基性
4)15%~17%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6%のβ-リン酸三カルシウム
6)5%~7.5%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)12%~16%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)19%~23%の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液である。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸
3)0.1%~2%のクエン酸一水和物
および4)0.01%~2%ナロキソン塩酸塩
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、骨移植片材料は、3分後に成形可能となり、固化すると薄茶色になり、混合後2分でピーク温度29.7℃に達する。
【0157】
第2の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)5%~10%のクエン酸鉄(III)
2)8%~11%のリン酸カルシウム二塩基性
3)9%~12.5%のリン酸カルシウム三塩基性
4)13%~17%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6%のβ-リン酸三カルシウム
6)4%~7.5%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)11%~15%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)19%~23%の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液とする。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸 3)0.1%~2%のクエン酸一水和物
および4)0.01%~2%ナロキソン塩酸塩
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、骨移植片材料は、5分後に成形可能となり、固化するとダークチョコレートブラウン色になり、混合後30秒でピーク温度28.6℃に達する。
【0158】
第3の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)1%~5%の酸化鉄(III)
2)8%~11%のリン酸カルシウム二塩基性
3)9%~13%のリン酸カルシウム三塩基性
4)14%~18%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6.5%のβ-リン酸三カルシウム
6)4%~8%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)12%~16%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)20%~24%の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液とする。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸
3)0.1%~2%のクエン酸一水和物 および4)0.01%~2%ナロキソン塩酸塩
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、骨移植片材料は、3.5分後に成形可能となり、固化すると鉄灰色が混じった白色になり、混合後30秒でピーク温度29.8℃に達する。
【0159】
第4の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)5%~10%のリン酸鉄(III)
2)8%~11%のリン酸カルシウム二塩基性
3)9%~12.5%のリン酸カルシウム三塩基性
4)13%~17%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6%のβ-リン酸三カルシウム
6)4%~7.5%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)12%~16%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)19%~23%の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液とする。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸
3)0.1%~2%のクエン酸一水和物
および4)0.01%~2%のナロキソン塩酸塩
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、骨移植片材料は、3.5分後に成形可能となり、固化すると淡褐色になり、混合後1.5分でピーク温度33.5℃に達する。
【0160】
第5の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)15%~10%のクエン酸鉄(III)アンモニウム
2)8%~11%のリン酸カルシウム二塩基性
3)9%~12.5%のリン酸カルシウム三塩基性
4)13%~17%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6%のβ-リン酸三カルシウム
6)4%~7.5%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)11%~15%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)19%~23%の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液とする。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸
3)0.1%~2%のクエン酸一水和物
および4)0.01%~2%ナロキサン塩酸塩
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、骨移植片材料は、3分後に成形可能となり、固化すると褐色になり、混合後1.5分でピーク温度30.3℃に達する。
【0161】
第6の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)5%~12%の間の硫酸鉄(III)
2)8%~11%のリン酸カルシウム二塩基性
3)9%~12.5%のリン酸カルシウム 三塩基性
4)13%~17%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6%のβ-リン酸三カルシウム
6)4%~7.5%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)11%~15%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)18%以上23%以下の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液とする。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸
および3)0.1%~2%のクエン酸一水和物
この実施形態では、活性剤は組み込まれない。
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、骨移植片材料は、約2.5分後に成形可能になり、固化すると暗褐色になり、混合後1.5分でピーク温度38℃に達する。
【0162】
第7の具体例において、骨移植片材料の乾燥スラリー成分の好ましい実施形態は、重量パーセントとして以下を含む。
1)5%~12%の間の硫酸鉄(III)
2)8%~11%のリン酸カルシウム二塩基性
3)9%~12.5%のリン酸カルシウム三塩基性
4)13%~17%のハイドロキシアパタイト
5)3%~6%のβ-リン酸三カルシウム
6)4%~7.5%のリン酸ナトリウム二塩基性
7)11%~15%の炭酸ナトリウム
8)2%~6%の酸化カルシウム
9)4%~6%の酸化マグネシウム
10)0.5%~2.5%のL-アスコルビン酸
および11)18%~23%の粉末状I型コラーゲン
希釈剤成分の好ましい実施形態は、以下のものからなる体積が0.5mL~12.5mLの溶液とする。
1)0.9%の生理食塩水
2)2%~6%の酢酸
3)0.1%~2%のクエン酸一水和物
および4)0.01%~2%ナロキソン塩酸塩
乾燥スラリー成分と希釈剤を混合すると、約2.5分後に成形可能となり、固化すると暗褐色になり、混合後1.5分でピーク温度38℃に達する。
【0163】
さらに、硫酸鉄(III)を含む第7の好ましい実施形態において、骨移植片材料を記載したように混合し、ASTM F3106-14に準拠して骨芽細胞分化を評価するために培養物に配置した。マウス骨芽細胞(骨細胞)前駆細胞株であるMC3T3-E1(MC3)細胞をマイクロマスとして培養物に播種し(20μLのマトリゲル中に、マイクロマスごとに2.5×105の細胞を懸濁+DMEM溶液)、120時間増殖させ、成長培地(20%ウシ胎児血清入りDMEM)中に維持した。コントロール培養物(コントロール)は、成長培地中で維持した。誘導コントロール培養物(誘導)は、アスコルビン酸、β-グリセロリン酸、デキサメタゾンを添加した培地で骨細胞になるように刺激した。この実施例では、MC3マイクロマススフェロイドをさらに7日間増殖させ、その後、実験群をアリザリンレッドで染色し、ボンフェロ-ニ補正を用いた一元配置分散分析を用いてミネラル量について解析し、差異を評価した。
【0164】
結果は、硫酸鉄材料(活性剤を含むまたは含まない)を含む培養物が、誘導およびコントロール培養物と比較して、アリザリンレッド染色(図1A)に基づいて骨形成を有意に増加させたことを実証している。マイクロマススフェロイドのサイズおよび各マイクロマススフェロイドに含まれるミネラルを定量化し、ミネラルエリアフラクションを特定した。硫酸鉄(III)骨移植片材料を有するマイクロマススフェロイドのミネラルエリアフラクションは、コントロール培養物よりも4倍(*=p<0.0046)有意に多くのミネラルを有した(図1B)。これらのデータから、硫酸鉄骨移植片材料は骨伝導性と骨促進性があると結論づけることができる。グループ間分析では、ナロキソンなしの骨移植片の骨形成は、コントロールと化学的に骨を作るように誘導したウェルに対して、培養でミネラル形成を4倍(* = p<0.0046)増加させた骨移植片材料の構成要素を証明した。骨移植片材料に0.4mgのナロキソンを添加すると、ナロキソンを含まないコントロール骨移植片材料グループに対して、ミネラル形成がさらに25%増加した(x = p<0.0001)。
【0165】
実施例2:脊椎固定術における骨移植用インプラントの使用
【0166】
実施例2は、請求項の骨移植片を用いた側方腰椎椎体間固定術(LLIF)を示している。特に、この研究では、低分子ナロキソン塩酸塩を含む骨伝導性合成骨移植片材料を用いてLIFを行っている。合成骨移植片は、ウシ由来I型コラーゲン、ヒドロキシアパタイト(HA)、β-リン酸三カルシウム、およびその他のカルシウム塩と一部の賦形剤で構成されている。以下、ナロキソン塩酸塩を含む合成骨移植片組成物を組成物ZFと称する。
【0167】
本開示は、組成物ZFなどの骨移植片組成物を適用することを含む、それを必要とする患者の骨欠損を修復する方法を提供し、この方法は、腰椎椎体間固定術処置(LIF)などの外科的処置を含む。いくつかの実施形態では、LIF処置は、前方LIF(ALIF)、側方LIF(LLIF)、経椎間孔LIF(TLIF)、及び後方LIF(PLIF)を含む。いくつかの実施形態では、LIF処置は、外科的処置を介した骨欠損の形成により、X線撮影を通じて決定された対象の椎間板変性症などの関連する病態を緩和する。いくつかの実施形態において、LIF処置は、対象のオスウェストリー障害指数(ODI)により、対象の神経学的評価により、又は対象のX線撮影により決定される、対象の関連する神経筋障害又は身体欠損を緩和させる。
【0168】
LIF処置の背景
【0169】
LIF処置は、解剖学的アプローチと移植されるハードウェアに基づいて区別され、前方LIF(ALIF)、側方LIF(LLIF)、経椎間孔LIF(TLIF)、および後方LIF(PLIF)が含まれる。LIF処置は、腰痛や下肢痛の原因となっていると考えられる椎間板を除去し、椎間板と椎骨の関節固定を促進するために椎体間ケージやスペーサーを交換するものである。LIF処置は、手術手技、インプラント、画像診断法、需要の進化により、過去20年間で大幅に増加した。
【0170】
局所自家移植の潜在的な課題の結果として、同種移植片及びオルソバイオロジクス(orthobiologics)は、LIF処置における骨移植のニーズを満たすために、局所骨と組み合わせて、又はその代用として定期的に使用されている。骨移植片材料の開発には大きな進歩があったが、生体力学的に強い強固な固定をもたらし、良好な安全性プロファイルを有する骨移植片材料が依然として必要である。
【0171】
骨移植片組成物に関する試験
【0172】
合成ZF骨移植片の適応症は、L2-L5の1レベルにおいて椎間板変性症(degenerative disc disease :DDD)を有する骨格成熟患者における脊椎固定術を含む。DDDは、患者の病歴とX線評価によって確認された、椎間板の変性および/または関連レベルのグレード2の脊椎すべり症を伴う椎間板性背部痛と定義されている。合成ZF骨移植片を受ける患者は、合成ZF骨移植片デバイスによる治療の前に、少なくとも3ヶ月間の非手術的治療が失敗している。側方腰椎椎間体癒合術(LLIF)では、市販のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポーラスPEEK、ハイドロキシアパタイト(HA)PEEKスペーサーと補助固定システム(側方プレートまたは両側椎弓根スクリュー)により、合成ZF骨移植片を移植している。
【0173】
試験デザイン
【0174】
対象者は、補助固定システムまたは側方プレートからなる補助固定を伴うLLIFを受ける。実験群では、合成ZF骨移植片が椎間体スペーサーの空洞部分に充填される。コントロール群では、同種骨移植片(すなわち、DBXパテ、脱灰骨基質)+/- 骨髄液が椎間体スペーサーの空洞部分に充填される。手術の適格基準は以下の通りである。
1)22歳~75歳の患者。
2)病歴とX線画像評価(例:単純X線写真、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴断層撮影(MRI))により確認された、第2腰椎骨(L2)と第5腰椎骨(L5)の間の単一レベルの脊椎において、脚の痛みを伴う、または伴わない、背中の痛みを伴う椎間板変性症(DDD)との診断。
3)屈曲・伸展運動時に撮影されたX線写真で、患部の椎骨の角度が5度以上、及び/又は並進(translation)が4mm以上であることを確認された脊椎の不安定性。
4)画像検査により、骨棘形成、椎間板高さの減少、靭帯肥厚、椎間板変性・ヘルニア、椎間関節変性、MRI上の暗い椎間板の外観、椎間孔狭窄(foraminal narrowing)、椎間孔高さの減少(loss of foraminal height)を示す病理所見。
5)DDDは、病歴とX線検査により椎間板の変性が確認された椎間板性腰痛と定義される。また、DDD患者には、関係する脊椎レベルにグレード1までの脊椎すべり症がある可能性がある。
6)手術を行う前に、少なくとも6ヶ月間の非手術的治療が失敗している患者。
7)側方腰椎椎間体癒合術(LIF)では、PEEKまたはチタンのスペーサーと補助的な固定システム(側方プレートまたは両側椎弓根スクリュー)が使用される。
【0175】
実施例3:骨構造の安定性に本質的でない骨空隙または間隙に対する骨空隙充填剤の使用。
【0176】
ここで開示される骨移植片組成物の使用は、骨構造の安定性に本質的でない骨空隙または間隙のための骨空隙充填剤として、骨移植片組成物を使用することを含む。特に、合成ZB骨移植片(ナロキソンを欠いていること以外は合成ZFと同一の組成物)は、骨格系(例えば、後外側脊椎、骨盤、腸骨、及び/又は四肢)の骨空隙又は隙間に穏やかに充填される。
【0177】
従って、本開示は、それを必要とする患者における骨欠損を修復する方法であって、ここに開示される骨移植片組成物を骨欠損に適用することを含み、骨欠損が、骨性骨格系の空隙または間隙を含み、ここで、空隙または間隙が、骨性骨格構造の安定性に本質的でなく、骨移植片組成物が空隙または間隙に充填される方法を提供する。いくつかの実施形態において、これらの欠損は、外科的に生じた骨性欠損または骨に対する外傷性損傷から生じた骨性欠損である。合成ZB骨移植片は、これらの欠損の治癒の間に骨と再吸収し、そして置換される
【0178】
実施例4:転移性乳がん腫瘍の切除後に上腕骨を安定化するための再建処置を受ける対象の合成ZF骨移植片の安全性と有効性
【0179】
乳がん転移性悪性腫瘍などの悪性腫瘍切除後の上腕骨骨幹部-骨端部再建において、介在同種移植Intercalary Allograft)とプレート固定(Plate Fixation)を用いた合成ZF骨移植片の安全性と有効性を評価する試験である。
【0180】
研究デザイン
【0181】
実験群の対象者は、骨伝導性の合成骨移植片材料と低分子ナロキソン塩酸塩とを含む合成ZF骨移植片を投与される。 合成骨移植片は、ウシ由来I型コラーゲン、ハイドロキシアパタイト(HA)、β-リン酸三カルシウム、及びその他のカルシウム塩といくつかの賦形剤から構成されている。コントロール群の対象者は、プレートとスクリューで固定された同種移植片を投与され、同種移植片はポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントで充填される。実験群がコントロール群に対して非劣性を確立していることは、この試験の有効性を確認するものである。
【0182】
実施例5:転移性乳がん腫瘍の切除後に大腿骨、脛骨又は骨盤を安定化するための再建処置を受ける対象における合成ZF骨移植片の安全性と有効性
【0183】
本研究は、乳がん転移性悪性腫瘍などの悪性腫瘍切除後に、髄内釘、髄内ロッキングネイル、セファロメデュラリーネイル(cephalomedullary nail)、プレート固定、またはそれらを組み合わせた整形外科用固定具を用いて、近位大腿骨、遠位大腿骨、脛骨、骨盤を再建する場合の合成ZF骨移植片の安全性と効果を評価するものである。腫瘍の切除後、ポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントを欠損部に入れ、機械的安定性を与え、骨組織に隣接するインプラント/PMMA骨セメント構築物の周囲に合成ZFを配置する。
【0184】
研究デザイン
【0185】
実験群の対象は、腫瘍摘出後、PMMA骨セメントを用いた適切な固定装置と、骨伝導性のある合成骨移植片材料と低分子ナロキソン塩酸塩を含む合成ZF骨移植片を投与されることになる。合成骨移植片は、ウシ由来I型コラーゲン、ハイドロキシアパタイト(HA)、β-リン酸三カルシウム、その他のカルシウム塩と一部の賦形剤から構成されている。コントロール群の対象者には、腫瘍摘出後、適切な固定装置とPMMA骨セメントが投与される。 実験群がコントロール群に対して非劣性を確立していることは、この試験の有効性を確認するものである。
図1
【配列表】
2023535377000001.app
【国際調査報告】