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特表2023-535382三重作用性持続型結合体又は三重作用剤を含む組合せ物の治療学的用途
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  • 特表-三重作用性持続型結合体又は三重作用剤を含む組合せ物の治療学的用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】三重作用性持続型結合体又は三重作用剤を含む組合せ物の治療学的用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20230809BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230809BHJP
   C07K 14/00 20060101ALN20230809BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20230809BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20230809BHJP
   C07K 14/575 20060101ALN20230809BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P1/16
A61K45/00
A61K39/395 Y
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/4439
A61K31/519
A61P43/00 111
C07K14/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/605
C07K14/575
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503210
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 KR2021009210
(87)【国際公開番号】W WO2022015115
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0089147
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョングク
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ サンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】オ ウリム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA19
4C084AA23
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZC20
4C084ZC75
4C085AA24
4C085AA25
4C085BB31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC67
4C086CB26
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
4H045BA40
4H045BA41
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA50
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、三重作用性持続型結合体(triple agonistic long-acting conjugate)又は三重作用剤(triple agonist);及びFXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)を含む組合せ物、又は前記組合せ物にACC阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor)をさらに含む組合せ物の治療学的用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的有効量の三重作用性持続型結合体(triple agonistic long-acting conjugate)又は三重作用剤と薬学的に許容される賦形剤を含有する肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物であって、
前記薬学的組成物は、ファルネソイドX受容体作用剤(farnesoid X receptor agonist)と併用されることを特徴とし、
前記三重作用性持続型結合体は、下記化学式(1)で表される物質である薬学的組成物:
【化1】
この時、Lxはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、xは0又は自然数であり、
Fcは免疫グロブリンFc領域であり、
-はLxとZとの間、FcとLxとの間のそれぞれに共有結合連結を表し、
Z又は三重作用剤は、下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであり、
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Gly-Thr-Phe-Xaa7-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30-R1(一般式1、配列番号103)
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン(His、H)、4-イミダゾアセチル(CA)又はチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa2はグリシン(Gly、G)、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)であり、
Xaa3はグルタミン酸(Glu、E)又はグルタミン(Gln、Q)であり、
Xaa7はトレオニン(Thr、T)又はイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa10はロイシン(Leu、L)、チロシン(Tyr、Y)、リシン(Lys、K)、システイン(Cys、C)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa12はリシン(Lys、K)、セリン(Ser、S)又はイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa13はグルタミン(Gln、Q)、チロシン(Tyr、Y)、アラニン(Ala、A)又はシステイン(Cys、C)であり、
Xaa14はロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)又はチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa15はシステイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)又はロイシン(Leu、L)であり、
Xaa16はグリシン(Gly、G)、グルタミン酸(Glu、E)又はセリン(Ser、S)であり、
Xaa17はグルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、イソロイシン(Ile、I)、グルタミン酸(Glu、E)、システイン(Cys、C)又はリシン(Lys、K)であり、
Xaa18はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)又はヒスチジン(His、H)であり、
Xaa19はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa20はリシン(Lys、K)、グルタミン(Gln、Q)又はアルギニン(Arg、R)であり、
Xaa21はグルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、ロイシン(Leu、L)、システイン(Cys、C)又はアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa23はイソロイシン(Ile、I)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa24はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)又はグルタミン酸(Glu、E)であり、
Xaa27はバリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)又はリシン(Lys、K)であり、
Xaa28はシステイン(Cys、C)、リシン(Lys、K)、アラニン(Ala、A)、アスパラギン(Asn、N)又はアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa29はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、グルタミン(Gln、Q)、トレオニン(Thr、T)、グルタミン酸(Glu、E)又はヒスチジン(His、H)であり、
Xaa30はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、リシン(Lys、K)又はヒスチジン(His、H)であるか、存在せず、
R1はシステイン(Cys、C)、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m-SSGAPPPS-n(配列番号107)又はm-SSGQPPPS-n(配列番号108)であるか、存在せず、
mは-Cys-、-Pro-又は-Gly-Pro-であり、
nは存在しないか、-Cys-、-Gly-、-Ser-又は-His-Gly-である。
【請求項2】
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸であり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン又はバリンであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、グルタミン又はシステインであり、
Xaa14はロイシン、チロシン又はメチオニンであり;
Xaa15はシステイン、ロイシン、グルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、グルタミン酸又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、バリン又はシステインであり、
Xaa20はリシン、アルギニン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシン又はリシンである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
Z又は三重作用剤は、下記一般式2で表されるアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項1に記載の薬学的組成物:
Xaa1-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Lys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31- Ser-Ser-Gly-Gln-Pro-Pro-Pro-Ser-Xaa40(一般式2、配列番号104)
前記一般式2において、
Xaa1は4-イミダゾアセチル、ヒスチジン又はチロシンであり、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸であり、
Xaa10はチロシン又はシステインであり、
Xaa13はアラニン、グルタミン、チロシン又はシステインであり、
Xaa14はロイシン、メチオニン又はチロシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸、グルタミン酸又はロイシンであり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸又はセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン又はバリンであり、
Xaa20はリシン、グルタミン又はアルギニンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、ロイシン又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン又はグルタミン酸であり、
Xaa28はリシン、システイン、アスパラギン又はアスパラギン酸であり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、システイン又はヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、グリシン、リシン又はヒスチジンであり、
Xaa31はプロリン又はシステインであり;
Xaa40はシステインであるか、存在しない。
【請求項4】
Z又は三重作用剤は、下記一般式3で表されるアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項1に記載の薬学的組成物:
Xaa1-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Xaa13-Leu-Asp-Glu-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Lys-Xaa21-Phe-Val-Xaa24-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31-Ser-Ser-Gly-Gln-Pro-Pro-Pro-Ser-Xaa40(一般式3、配列番号105)。
前記一般式3において、
Xaa1はヒスチジン又はチロシンであり、
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸であり、
Xaa13はアラニン、チロシン又はシステインであり、
Xaa17はアルギニン、システイン又はリシンであり、
Xaa18はアラニン又はアルギニンであり、
Xaa19はアラニン又はシステインであり、
Xaa21はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa24はグルタミン又はアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa29はシステイン、ヒスチジン又はグルタミンであり、
Xaa30はシステイン又はヒスチジンであり、
Xaa31はプロリン又はシステインであり、
Xaa40はシステイン又は存在しない。
【請求項5】
前記Xaa16がグルタミン酸であり、Xaa20がリシンであり、前記グルタミン酸と前記リシンがラクタム環を形成した、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記Z又は三重作用剤は、そのC末端がアミド化した、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記Lx内のエチレングリコール繰り返し単位部分の化学式量は、1~100kDaの範囲にある、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
Z又は三重作用剤は、配列番号:1~102からなる群から選択するいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
Z又は三重作用剤は、配列番号21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、66、67、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、77と96からなる群から選択するアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記ファルネソイドX受容体作用剤は、カフェストール(Cafestol)、ケノデオキシコール酸(Chenodeoxycholic acid)、オベチコール酸(Obeticholic acid)、フェキサラミン(Fexaramine)、GW 4064、PX104、6E-CDCA(6-ethyl-chedeoxycholic acid)、AKN-083、トロピフェクサー(Tropifexor)、シロフェキソール(Cilofexor)、EDP-305 AGN-242266、AGN-242256、EP-024297、RDX-023、BWL-200、GNF-5120、GS-9674、LMB-763、Px-102、Px-103、M790、M780、M450、M-480、MET-409、MET-642、PX20606、EYP-001、TERN-101、TC-100及びINT-2228からなる群から選択する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物は、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(acetyl-Coenzyme A carboxylase inhibitor)とも併用することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤は、CP-640186、(4-ピペリジニル)-ピペラジン誘導体((4-piperidinyl)-piperazine derivatives)、1,4-置換シクロヘキサン誘導体(1,4-disubstituted cyclohexane derivatives)、スピロクロマノン誘導体(Spirochromanone derivatives)、スピロラクタム誘導体(Spirolactam derivatives)、スピロジアミン誘導体(Spirodiamine derivatives)、スピロペンタアシルアミド誘導体(Spiropentacylamide derivatives)、シュードペプチドピロリジンジオン誘導体(Pseudopeptide pyrrolidinedione derivatives)、大環状ポリケトン誘導体(Macrocyclic polyketone derivatives)、フィルソコスタット(firsocostat)を含むチオフェンピリミドン誘導体(Thiophene pyrimidone derivatives)、アミノオキサゾール誘導体(Amino-oxazole derivatives)、アゾベンズイミダゾール誘導体(Azobenzimidazole derivatives)及びPF-05221304からなる群から選択する、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease)又は胆汁うっ滞性肝臓疾患である、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記非アルコール性脂肪肝疾患は、単純脂肪症、肝炎、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、肝線維症、肝不全、及び肝臓癌からなる群から選択する少なくとも一つの疾患である、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)及びこれらの組み合わせからなる群から選択するいずれか一つである、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記薬学的組成物は、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(acetyl-Coenzyme A carboxylase inhibitor)とも併用することを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記非アルコール性脂肪肝疾患は、肝炎、非アルコール性脂肪肝炎と肝線維症からなる群から選択する少なくとも一つの疾患である、請求項15に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三重作用性持続型結合体(triple agonistic long-acting conjugate)又は三重作用剤(triple agonist);及びFXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)を含む組合せ物、又は前記組合せ物にACC阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor)をさらに含む組合せ物の治療学的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、動物の主要生体器官の一つであり、肝臓と関連した疾患としては、非アルコール性脂肪肝、肝炎、肝線維症、胆汁うっ滞性肝臓疾患、肝硬変、肝不全、肝臓癌などが代表的に挙げられる。ウイルス、アルコール、薬物、免疫異常、代謝疾患などの原因により肝臓に炎症が発生する可能性があり、肝炎症の進行及び慢性化により肝線維症、肝硬変、肝臓癌などの疾患として発病することが知られている。
【0003】
一般に、肝臓に炎症を起こす肝炎が肝臓疾患の大部分を占め、肝炎症が進行するにつれて肝炎を伴うか、又は肝臓の炎症に起因して様々な肝臓疾患(肝線維症、硬変など)が現れることが知られている。肝炎症の様相によって急性肝炎と慢性肝炎、原因によってウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎などに分けられる。胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)も炎症性疾患が原因で発生するものと推定されている。
【0004】
一方、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD, nonalcoholic fatty liver disease)は、アルコール摂取と関係がないにもかかわらず、アルコール肝炎と類似した組織所見を示す疾患の一種であり、単純脂肪症(simple steatosis)、非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver, NAFL)から非アルコール性脂肪肝炎(non-acoholic steatohepatitis, NASH)、肝炎症、肝線維症(liver fibrosis)、肝硬変(cirrhosis)、肝不全(liver decompensation)、及び肝臓癌(hepatocellular carcinomas)まで含む疾患である。非アルコール性脂肪肝疾患は、肥満及び糖尿病人口が増加するにつれて、共に増加している傾向である。
【0005】
このような非アルコール性脂肪肝疾患の病因としては、インスリン抵抗性、肥満、脂質毒性(lipotoxicity)、炎症反応などの様々な病因に起因することが知られている。その中で最大の病因としてインスリン抵抗性を挙げる。
【0006】
このような非アルコール性脂肪肝疾患を予防及び/又は治療するために、インスリン抵抗性を改善するのに多くの努力をしている。例えば、インスリン反応改善剤(insulin sensitizer)の一種であるTZD(thiazolidnedinones)やメフォミンに対する臨床試験は現在も活発に行われている(Hepatology(2003) 38:1008-17, J Clin Invest. (2001) 108:1167-74)。
【0007】
しかし、TZD系列の薬物を利用した治療の場合、体重増加が大きく、体液の流れを遅くすることがあるという短所があり、心臓疾患の患者には適用が不可能であると知られている。TZD系列の薬物の他にもビクトーザ(Victoza)又はバイエッタ(Byetta)のようなGLP-1受容体アゴニストを利用した非アルコール性脂肪肝疾患に対する適用臨床実験も活発に行われている。特に、当該薬物は体重減量の効果を伴うため、開発初期には非アルコール性脂肪肝疾患及びこれに起因する線維症にも治療効果があると予想された。しかし、これらの場合は他のペプチドホルモンと同様に体内半減期が極めて短く、毎日又は1日2回以上の繰り返し投与をしなければならないため、患者の利便性に対する短所がある。このような頻繁な投与は、患者に多大な苦痛と不便をもたらす。最近では、このような投与利便性が改善されたGLP-1受容体アゴニストであるセマグルチド(semaglutide)に対する非アルコール性脂肪肝疾患の臨床実験が行われたが、依然として非アルコール性脂肪肝炎に起因する線維症に対する治療効能がないことが確認された。即ち、単純にインスリン抵抗性を改善させるメカニズム又はGLP-1受容体アゴニストを含む多様な糖尿病治療剤の非アルコール性脂肪肝疾患の治療剤としての適用は依然として不十分な治療効能、多様な副作用、そして患者便宜性の問題などの短所がある。このような結果などにより、糖尿病の治療に効果があると知られている薬物を非アルコール性脂肪肝疾患の治療剤として直接使用することは困難であることが当業界には多く知られている。したがって、糖尿病の治療に効果があると知られている薬物が、即ち、非アルコール性脂肪肝疾患の治療剤として使用できるかどうかは、臨床試験による前記疾患の治療効能を明確に確認した後に決定することができるはずである。しかし、現在使用中の糖尿病治療剤の中で非アルコール性脂肪肝疾患の治療剤として承認を受けた薬物は全くないのが実情である。したがって、患者の利便性の確保及び副作用なしに、より効果的に非アルコール性脂肪肝疾患を治療できる薬物の開発が依然として求められている。
【0008】
GLP-1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)は代表的な胃腸ホルモンで、神経ホルモンであり、食物摂取に伴う血中糖成分の調節に関与する物質である。グルカゴン(Glucagon)は、膵臓から分泌されるペプチドホルモンであり、前記の二つの物質と共に血中糖濃度調節作用に関与する。
一方、GLP-1は肥満治療剤としての可能性を、GIPは血糖濃度に依存的に膵臓におけるインスリン分泌を促進し、血糖濃度を下げるのに役立つ機能を果たし、GLP-1の活性増加効果、抗炎症効果などが報告された。グルカゴンは、薬物治療又は疾病、ホルモンや酵素欠乏などの原因で血糖が低下し始めると膵臓で産生される。グルカゴンは、肝臓にシグナルを伝達してグリコーゲンを分解してグルコースを放出するように誘導し、血糖レベルを正常レベルまで高める役割をする。それだけでなく、グルカゴンは、血糖上昇効果に加え、動物やヒトにおける食欲抑制及び脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase)を活性化させ、脂肪分解を促進及びエネルギー代謝(energy expenditure)を促進して抗肥満効果を奏することが報告された。
【0009】
FXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)は、胆汁酸受容体(Bile acid Receptor、BAR)としても知られている、胆汁酸により活性化される核受容体であるFXR作用剤である。FXRは、肝臓、腸及び腎臓のような胆汁酸代謝の主要部位に発現し、これは、組織特異的な方法で作用し、胆汁酸を含む様々な代謝経路はもちろん、繊維化作用にも影響を及ぼすことが報告されている。そこで、FXRにより媒介される肝臓疾患に対する効果的な治療方法が求められている。
【0010】
ACC阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor)は、脂肪酸の生成及び代謝の調節に重要な酵素であるアセチル-CoAカボキシラーゼ(acetyla-CoA carboxylase)を抑制する物質として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2017-116204
【特許文献2】WO2017-116205
【特許文献3】国際特許公開第WO97/34631号
【特許文献4】国際特許公開第96/32478号
【特許文献5】国際公開特許WO2007/021129
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Hepatology(2003) 38:1008-17, J Clin Invest. (2001) 108:1167-74
【非特許文献2】H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979
【非特許文献3】Future Med Chem. 2020 Mar;12(6):533-561(doi:10.4155/fmc-2019-0312)
【非特許文献4】G.J. Webbら、J. Autoimmunity、2015 Nov;64:42-52
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
効果的な肝臓疾患の予防及び/又は治療のための薬物の開発が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの目的は、薬学的有効量の三重作用性持続型結合体(triple agonistic long-acting conjugate)又は三重作用剤(triple agonist)と薬学的に許容される賦形剤を含有する肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物であり、前記薬学的組成物は、ファルネソイドX受容体作用剤(farnesoid X receptor agonist)と併用されることを特徴とする薬学的組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、及び(ii)ファルネソイドX受容体作用剤(farnesoid X receptor agonist、FXR作用剤)を含む、組合せ物を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、(ii)FXR作用剤、及び(iii)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor、ACC阻害剤)を含む、組合せ物を提供することにある。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、前記組合せ物を含む、肝臓疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、及び(ii)FXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)を含む、肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的キットを提供することにある。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、(ii)FXR作用剤、及び(iii)ACC阻害剤を含む、肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的キットを提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、前記組合せ物、前記肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物、又は前記薬学的キットを、これを必要とする個体に投与及び/又は使用する段階を含む肝臓疾患の予防又は治療方法を提供することにある。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、前記組合せ物、薬学的組成物、又は薬学的キットの肝臓疾患の予防又は治療用途及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療のための薬剤の製造のための用途を提供することにある。
【発明の効果】
【0021】
本発明による三重作用性持続型結合体又は三重作用剤;及びFXR作用剤の複合併用投与、又は三重作用性持続型結合体又は三重作用剤;FXR作用剤;及びACC阻害剤の三重複合投与療法は、単一投与療法に比べて向上した効果を有し、肝臓疾患の予防又は治療に有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】三重活性体の持続型結合体の複合投与によるNAS(NAFLD activity score)の変化を表した図である(*p < 0.05、**p < 0.01、***p < 0.001 vs. CH-HFD、賦形剤対照群by ono-way ANOVA)。
図2】三重活性体の持続型結合体の複合投与による肝組織内ヒドロキシプロリン(hydroxyprolin)の含量変化を示した図である。(*p < 0.05、**p < 0.01、***p < 0.001 vs. CH-HFD、賦形剤対照群by ono-way ANOVA)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を具現する一態様は、三重作用性持続型結合体(triple agonistic long-acting conjugate)又は三重作用剤(triple agonist)を含む肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物であって、前記薬学的組成物は、ファルネソイドX受容体作用剤(farnesoid X receptor agonist)と併用されることを特徴とする組成物である。
【0024】
一つの具体例として、前記薬学的組成物は、薬学的有効量の三重作用性持続型結合体又は三重作用剤(triple agonist)と薬学的に許容される賦形剤を含有する肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物であって、
前記薬学的組成物は、ファルネソイドX受容体作用剤(farnesoid X receptor agonist)と併用されることを特徴とし、
前記三重作用性持続型結合体は、下記化学式(1)で表される物質である薬学的組成物であることを特徴とする:
【0025】
Z-Lx-Fc・・・(1)
この時、Lxはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、xは0又は自然数であり、
Fcは免疫グロブリンFc領域であり、
-はLxとZとの間、FcとLxとの間のそれぞれに共有結合連結を表し、
Z又は三重作用剤は、下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであり、
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Gly-Thr-Phe-Xaa7-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30-R1(一般式1、配列番号103)
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン(His、H)、4-イミダゾアセチル(CA)又はチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa2はグリシン(Gly、G)、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid、Aib)であり、
Xaa3はグルタミン酸(Glu、E)又はグルタミン(Gln、Q)であり、
Xaa7はトレオニン(Thr、T)又はイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa10はロイシン(Leu、L)、チロシン(Tyr、Y)、リシン(Lys、K)、システイン(Cys、C)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa12はリシン(Lys、K)、セリン(Ser、S)又はイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa13はグルタミン(Gln、Q)、チロシン(Tyr、Y)、アラニン(Ala、A)又はシステイン(Cys、C)であり、
Xaa14はロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)又はチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa15はシステイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)又はロイシン(Leu、L)であり、
Xaa16はグリシン(Gly、G)、グルタミン酸(Glu、E)又はセリン(Ser、S)であり、
Xaa17はグルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、イソロイシン(Ile、I)、グルタミン酸(Glu、E)、システイン(Cys、C)又はリシン(Lys、K)であり、
Xaa18はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)又はヒスチジン(His、H)であり、
Xaa19はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa20はリシン(Lys、K)、グルタミン(Gln、Q)又はアルギニン(Arg、R)であり、
Xaa21はグルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、ロイシン(Leu、L)、システイン(Cys、C)又はアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa23はイソロイシン(Ile、I)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa24はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)又はグルタミン酸(Glu、E)であり、
Xaa27はバリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)又はリシン(Lys、K)であり、
Xaa28はシステイン(Cys、C)、リシン(Lys、K)、アラニン(Ala、A)、アスパラギン(Asn、N)又はアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa29はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、グルタミン(Gln、Q)、トレオニン(Thr、T)、グルタミン酸(Glu、E)又はヒスチジン(His、H)であり、
Xaa30はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、リシン(Lys、K)又はヒスチジン(His、H)であるか、存在せず、
R1はシステイン(Cys、C)、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m-SSGAPPPS-n(配列番号107)又はm-SSGQPPPS-n(配列番号108)であるか、存在せず、
mは-Cys-、-Pro-又は-Gly-Pro-であり、
nは存在しないか、-Cys-、-Gly-、-Ser-又は-His-Gly-である。
【0026】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸であり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン又はバリンであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、グルタミン又はシステインであり、
Xaa14はロイシン、チロシン又はメチオニンであり;
Xaa15はシステイン、ロイシン、グルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、グルタミン酸又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、バリン又はシステインであり、
Xaa20はリシン、アルギニン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシン又はリシンであることを特徴とする。
【0027】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤は、下記一般式2で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする:
【0028】
Xaa1-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Lys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31- Ser-Ser-Gly-Gln-Pro-Pro-Pro-Ser-Xaa40(一般式2、配列番号104)。
【0029】
前記一般式2において、
Xaa1は4-イミダゾアセチル、ヒスチジン又はチロシンであり、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸であり、
Xaa10はチロシン又はシステインであり、
Xaa13はアラニン、グルタミン、チロシン又はシステインであり、
Xaa14はロイシン、メチオニン又はチロシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸、グルタミン酸又はロイシンであり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸又はセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン又はバリンであり、
Xaa20はリシン、グルタミン又はアルギニンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、ロイシン又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン又はグルタミン酸であり、
Xaa28はリシン、システイン、アスパラギン又はアスパラギン酸であり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、システイン又はヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、グリシン、リシン又はヒスチジンであり、
Xaa31はプロリン又はシステインであり;
Xaa40はシステインであるか、存在しない。
【0030】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記のZ又は三重作用剤は、下記一般式3で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする:
【0031】
Xaa1-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Xaa13-Leu-Asp-Glu-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Lys-Xaa21-Phe-Val-Xaa24-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31-Ser-Ser-Gly-Gln-Pro-Pro-Pro-Ser-Xaa40(一般式3、配列番号105)。
【0032】
前記一般式3において、
Xaa1はヒスチジン又はチロシンであり、
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸であり、
Xaa13はアラニン、チロシン又はシステインであり、
Xaa17はアルギニン、システイン又はリシンであり、
Xaa18はアラニン又はアルギニンであり、
Xaa19はアラニン又はシステインであり、
Xaa21はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa24はグルタミン又はアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa29はシステイン、ヒスチジン又はグルタミンであり、
Xaa30はシステイン又はヒスチジンであり、
Xaa31はプロリン又はシステインであり、
Xaa40はシステイン又は存在しない。
【0033】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤中、前記Xaa16がグルタミン酸であり、Xaa20がリシンであり、前記グルタミン酸と前記リシンがラクタム環を形成したことを特徴とする。
【0034】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤は、そのC末端がアミド化したことを特徴とする。
【0035】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Lx内のエチレングリコール繰り返し単位部分の化学式量は1~100kDaの範囲内であることを特徴とする。
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤は配列番号:1~102からなる群から選択する一つのアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0036】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤は配列番号21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0037】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤は配列番号21、22、42、43、50、66、67、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0038】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Z又は三重作用剤は配列番号21、22、42、43、50、77と96からなる群から選択するアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0039】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記ファルネソイドX受容体作用剤は、カフェストール(Cafestol)、ケノデオキシコール酸(Chenodeoxycholic acid)、オベチコール酸(Obeticholic acid)、フェキサラミン(Fexaramine)、GW 4064、PX104、6E-CDCA(6-ethyl-chedeoxycholic acid)、AKN-083、トロピフェクサー(Tropifexor)、シロフェキソール(Cilofexor)、EDP-305、AGN-242266、AGN-242256、EP-024297、RDX-023、BWL-200、GNF-5120、GS-9674、LMB-763、Px-102、Px-103、M790、M780、M450、M-480、MET-409、MET-642、PX20606、EYP-001、TERN-101、TC-100及びINT-2228からなる群から選択する一つ以上であることを特徴とする。
【0040】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記薬学的組成物は、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(acetyl-Coenzyme A carboxylase inhibitor)とも併用することを特徴とする。
【0041】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤はCP-640186、(4-ピペリジニル)-ピペラジン誘導体((4-piperidinyl)-piperazine derivatives)、1,4-置換シクロヘキサン誘導体(1,4-disubstituted cyclohexane derivatives)、スピロクロマノン誘導体(Spirochromanone derivatives)、スピロラクタム誘導体(Spirolactam derivatives)、スピロジアミン誘導体(Spirodiamine derivatives)、スピロペンタアシルアミド誘導体(Spiropentacylamide derivatives)、シュードペプチドピロリジンジオン誘導体(Pseudopeptide pyrrolidinedione derivatives)、大環状ポリケトン誘導体(Macrocyclic polyketone derivatives)、フィルソコスタット(firsocostat)を含むチオフェンピリミドン誘導体(Thiophene pyrimidone derivatives)、アミノオキサゾール誘導体(Amino-oxazole derivatives)、アゾベンズイミダゾール誘導体(Azobenzimidazole derivatives)及びPF-05221304からなる群から選択する一つ以上であることを特徴とする。
【0042】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease)又は胆汁うっ滞性肝臓疾患であることを特徴とする。
【0043】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記非アルコール性脂肪肝疾患は、単純脂肪症、肝炎、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、肝線維症、肝不全、及び肝臓癌からなる群から選択する少なくとも一つの疾患であることを特徴とする。
【0044】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症(Primary biliary cirrhosis)、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)及びこれらの組み合わせからなる群から選択するいずれか一つであることを特徴とする。
【0045】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記非アルコール性脂肪肝疾患は、肝炎、非アルコール性脂肪肝炎と肝線維症からなる群から選択する少なくとも一つの疾患であることを特徴とする。
【0046】
本発明を具現するもう一つの態様は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、及び(ii)FXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)を含む、組合せ物である。
【0047】
一つの具体例として、前記組合せ物は、(iii)ACC阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor)をさらに含むことを特徴とする。
【0048】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質は、前記一般式1で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0049】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記一般式1において、
Xaa14はロイシン又はメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、アスパラギン酸、又はロイシンであることを特徴とする。
【0050】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質は、前記の一般式2で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0051】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸、又はAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、又はバリンであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、又はシステインであり、
Xaa14はロイシン又はメチオニンであり、
Xaa15はシステイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、又はシステインであり、
Xaa20はリシン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、システイン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシン又はリシンであることを特徴とする。
【0052】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記一般式2において、
Xaa13はアラニン、チロシン、又はシステインであり、
Xaa15はアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はシステイン、グルタミン、又はアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa29はグルタミン、システイン、又はヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、リシン、又はヒスチジンであることを特徴とする。
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記一般式1において、
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又はAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン又はシステインであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、又はシステインであり、
Xaa14はロイシン又はメチオニンであり、
Xaa15はシステイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はアルギニン、イソロイシン、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、又はシステインであり、
Xaa20はリシン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はグルタミン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はシステイン、アラニン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であることを特徴とする。
【0053】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン又は4-イミダゾアセチルであり、
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又はAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンであり、
Xaa12はイソロイシンであり、
Xaa13はアラニン又はシステインであり、
Xaa14はメチオニンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はイソロイシン又はリシンであり、
Xaa18はアラニン又はヒスチジンであり、
Xaa19はグルタミン又はシステインであり、
Xaa20はリシンであり、
Xaa21は アスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアスパラギンであり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はアラニン又はアスパラギンであり、
Xaa29はグルタミン又はトレオニンであり、
Xaa30はシステイン又はリシンであるか、存在しないことを特徴とする。
【0054】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質は、前記一般式3のアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0055】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記一般式1において、
前記R1はシステイン、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、CSSGQPPPS(配列番号109)、GPSSGAPPPS(配列番号110)、GPSSGAPPPSC(配列番号111)、PSSGAPPPS(配列番号112)、PSSGAPPPSG(配列番号113)、PSSGAPPPSHG(配列番号114)、PSSGAPPPSS(配列番号115)、PSSGQPPPS(配列番号116)、又はPSSGQPPPSC(配列番号117)であるか、存在しないことを特徴とする。
【0056】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記ペプチドは、前記一般式において、N末端から16番アミノ酸と20番アミノ酸は互いに環を形成することを特徴とする。
【0057】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記ペプチドは、そのC末端がアミド化するか、又は遊離カルボキシル基(-COOH)を有することを特徴とする。
【0058】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質は、配列番号:1~102からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0059】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記FXR作用剤は、カフェストール(Cafestol)、ケノデオキシコール酸(Chenodeoxycholic acid)、オベチコール酸(Obeticholic acid)、フェキサラミン(Fexaramine)、GW 4064、PX104、6E-CDCA(6-ethyl-chedeoxycholic acid)、AKN-083及びトロピフェクサー(Tropifexor)、シロフェキソール(Cilofexor)、EDP-305 AGN-242266、AGN-242256、EP-024297、RDX-023、BWL-200、GNF-5120、GS-9674、LMB-763、Px-102、Px-103、M790、M780、M450、M-480、MET-409、MET-642、PX20606、EYP-001、TERN-101、TC-100及びINT-2228からなる群から選択されたことを特徴とする。
【0060】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記ACC阻害剤は、CP-640186、(4-ピペリジニル)-ピペラジン誘導体((4-piperidinyl)-piperazine derivatives)、1,4-置換シクロヘキサン誘導体(1,4-disubstituted cyclohexane derivatives)、スピロクロマノン誘導体(Spirochromanone derivatives)、スピロラクタム誘導体(Spirolactam derivatives)、スピロジアミン誘導体(Spirodiamine derivatives)、スピロペンタアシルアミド誘導体(Spiropentacylamide derivatives)、シュードペプチドピロリジンジオン誘導体(Pseudopeptide pyrrolidinedione derivatives)、大環状ポリケトン誘導体(Macrocyclic polyketone derivatives)、フィルソコスタット(firsocostat)を含むチオフェンピリミドン誘導体(Thiophene pyrimidone derivatives)、アミノオキサゾール誘導体(Amino-oxazole derivatives)、アゾベンズイミダゾール誘導体(Azobenzimidazole derivatives)及びPF-05221304からなる群から選択されたことを特徴とする。
【0061】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記結合体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質の生体内半減期を増加させる生体適合性物質が結合された、持続型結合体の形態であることを特徴とする。
【0062】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記結合体は、前記の化学式(1)で表されることを特徴とする。
【0063】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記化学式(1)のFcは免疫グロブリンFc領域であることを特徴とする。
【0064】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物又は組合せ物であって、前記Fc領域はIgG Fc領域であることを特徴とする。
【0065】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物又は組合せ物であって、前記Lxはポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0066】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記組合せ物は、肝臓疾患の予防又は治療に使用するためのものであることを特徴とする。
【0067】
前述の具体例のいずれか一つによる組合せ物であって、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質は配列番号:1~102からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドであり、その結合体は、前記ペプチドと免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性ポリマーであるリンカーを通じて連結されたことを特徴とする。
【0068】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記組合せ物を含む、肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物である。
【0069】
一つの具体例として、前記肝臓疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease)又は胆汁うっ滞性肝臓疾患であることを特徴とする。
【0070】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記非アルコール性脂肪肝疾患は、単純脂肪症、肝炎、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、肝線維症、肝不全及び肝臓癌からなる群から選択されたことを特徴とする。
【0071】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記胆汁うっ滞性肝臓疾患は、原発性胆汁性硬変症、原発性硬化性胆管炎及びこれらの組み合わせからなる群から選択するいずれか一つであることを特徴とする。
【0072】
本発明を具現するもう一つの態様は、FXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)と併用することを特徴とする前記グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する物質又はその結合体を含む、肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物である。
【0073】
一つの具体例として、前記組成物は、さらにACC阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor)と併用することを特徴とする。
【0074】
本発明を具現するもう一つの態様は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、及び(ii)FXR作用剤を含む、肝臓疾患の予防又は治療のための薬学的キットである。
【0075】
一つの具体例として、前記キットは、(ii)ACC阻害剤をさらに含むことを特徴とする。
【0076】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記組合せ物、前記肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物、又は前記薬学的キットを、これを必要とする個体に投与及び/又は使用する段階を含む肝臓疾患の予防又は治療方法である。
【0077】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記組合せ物、薬学的組成物、又は薬学的キットの肝臓疾患の予防又は治療の用途及び/又は肝臓疾患の予防又は治療のための薬剤の製造のための用途である。
【0078】
以下では、本発明をさらに詳しく説明する。
【0079】
なお、本願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。即ち、本願で開示される様々な要素のあらゆる組合せ物が本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。
【0080】
また、当該技術分野の通常の知識を有する者は、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本発明の特定様態に対する多数の等価物を認知したり確認することができる。また、このような等価物は本発明に含まれることが意図される。
本明細書全体を通して、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなく、Aib(α-アミノイソ酪酸、2-aminoisobutyric acid)、Sar(N-methylglycine)などのような他のアミノ酸について一般的に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書で略語として言及されたアミノ酸はIUPAC-IUB命名法により記載された。
アラニン Ala、A アルギニン Arg、R
アスパラギン Asn、N アスパラギン酸 Asp、D
システインCys、C グルタミン酸 Glu、E
グルタミン Gln、Q グリシンGly、G
ヒスチジン His、H イソロイシン Ile、I
ロイシン Leu、L リシン Lys、K
メチオニン Met、M フェニルアラニン Phe、F
プロリン Pro、P セリン Ser、S
トレオニン Thr、T トリプトファン Trp、W
チロシン Tyr、Y バリン Val、V
本発明を具現する一態様は、三重作用性持続型結合体(triple agonistic long-acting conjugate)又は三重作用剤を含む肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物であって、前記薬学的組成物は、ファルネソイドX受容体作用剤(farnesoid X receptor agonist、FXR作用剤)と併用されることを特徴とする薬学的組成物を提供する。
【0081】
前記「三重作用性持続型結合体」は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有するペプチドにその生体内半減期を増加させる生体適合性物質部が結合された持続型結合体を意味する。本明細書において、前記生体適合性物質はキャリアと混用され得る。前記「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(又はペプチド)」は、「三重作用剤(triple agonis、trigonal agonist)」又は「三重活性体」と称することができる。
【0082】
本発明において、前記ペプチドの結合体である「三重作用性持続型結合体」は、キャリアが結合されていない前記ペプチドに比べて増加した効力の持続性を示すことができ、本発明では、このような結合体を「持続型結合体」と称し、「結合体」、「三重活性体の持続型結合体」、又は「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質の結合体」と混用され得る。
【0083】
本発明の一つの具体例において、前記薬学的組成物は、薬学的有効量の三重作用性持続型結合体又は三重作用剤と薬学的に許容される賦形剤を含有する肝臓疾患の治療又は予防のための薬学的組成物であって、
前記薬学的組成物は、ファルネソイドX受容体作用剤と併用されることを特徴とする。
【0084】
前記「三重作用性持続型結合体」は下記化学式(1)で表される物質であってもよいが、これに制限されない。
【0085】
Z-Lx-Fc・・・(1)
この時、Lxはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、xは0又は自然数であり、
Fcは免疫グロブリンFc領域であり、
-はLxとZとの間、FcとLxとの間のそれぞれに共有結合連結を表し、
Z又は三重作用剤は、下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含むペプチドであり、
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Gly-Thr-Phe-Xaa7-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30-R1(一般式1、配列番号103)
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン(His、H)、4-イミダゾアセチル(CA)又はチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa2はグリシン(Gly、G)、α-メチル-グルタミン酸又は2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid、Aib)であり、
Xaa3はグルタミン酸(Glu、E)又はグルタミン(Gln、Q)であり、
Xaa7はトレオニン(Thr、T)又はイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa10はロイシン(Leu、L)、チロシン(Tyr、Y)、リシン(Lys、K)、システイン(Cys、C)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa12はリシン(Lys、K)、セリン(Ser、S)又はイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa13はグルタミン(Gln、Q)、チロシン(Tyr、Y)、アラニン(Ala、A)又はシステイン(Cys、C)であり、
Xaa14はロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)又はチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa15はシステイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)又はロイシン(Leu、L)であり、
Xaa16はグリシン(Gly、G)、グルタミン酸(Glu、E)又はセリン(Ser、S)であり、
Xaa17はグルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、イソロイシン(Ile、I)、グルタミン酸(Glu、E)、システイン(Cys、C)又はリシン(Lys、K)であり、
Xaa18はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)又はヒスチジン(His、H)であり、
Xaa19はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa20はリシン(Lys、K)、グルタミン(Gln、Q)又はアルギニン(Arg、R)であり、
Xaa21はグルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、ロイシン(Leu、L)、システイン(Cys、C)又はアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa23はイソロイシン(Ile、I)又はバリン(Val、V)であり、
Xaa24はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)又はグルタミン酸(Glu、E)であり、
Xaa27はバリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)又はリシン(Lys、K)であり、
Xaa28はシステイン(Cys、C)、リシン(Lys、K)、アラニン(Ala、A)、アスパラギン(Asn、N)又はアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa29はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、グルタミン(Gln、Q)、トレオニン(Thr、T)、グルタミン酸(Glu、E)又はヒスチジン(His、H)であり、
Xaa30はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、リシン(Lys、K)又はヒスチジン(His、H)であるか、存在せず、
R1はシステイン(Cys、C)、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m-SSGAPPPS-n(配列番号107)又はm-SSGQPPPS-n(配列番号108)であるか、存在せず、
mは-Cys-、-Pro-又は-Gly-Pro-であり、
nは存在しないか、-Cys-、-Gly-、-Ser-又は-His-Gly-である。
【0086】
前記一般式1が配列番号12の場合、Xaa27は例外的にメチオニン(Met、M)であってもよい。
【0087】
前記薬学的組成物は、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(acetyl-Coenzyme A carboxylase inhibitor、ACC阻害剤)とも併用するものであってもよい。
【0088】
本発明のもう一つの態様は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、及び(ii)FXR作用剤(farnesoid X receptor agonist)を併用する治療学的用途を提供する。
【0089】
もう一つの具体例は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質又はその持続型結合体、(ii)FXR作用剤、及び(iii)ACC阻害剤(acetyla-CoA carboxylase inhibitor)を併用する治療学的用途を提供する。
【0090】
もう一つの具体例は、(i)三重作用性持続型結合体又は三重作用剤及び(ii)FXR作用剤を併用する肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0091】
もう一つの具体例は、(i)三重作用性持続型結合体又は三重作用剤、(ii)FXR作用剤、及び(iii)ACC阻害剤を併用する肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0092】
具体的には、本発明の一態様は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及びFXR作用剤を含む組合せ物、薬学的組成物、又はキットを提供する。
【0093】
一具体例として、前記三重作用剤又はその持続型結合体;及びFXR作用剤を含む組合せ物、薬学的組成物、又はキットは肝臓疾患の予防又は治療用の組合せ物、薬学的組成物、又はキットであってもよい。
【0094】
前記組合せ物は、ACC阻害剤をさらに含むことができ、この場合、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体);FXR作用剤;及びACC阻害剤を含む組合せ物、薬学的組成物、又はキットを提供する。一具体例として、前記三重作用剤又はその持続型結合体;FXR作用剤;及びACC阻害剤を含む組合せ物、薬学的組成物、又はキットは肝臓疾患の予防又は治療用組合せ物、薬学的組成物、又はキットであってもよい。
【0095】
本発明において用語「組合せ物(combination)」は、(a)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及び(b)FXR作用剤、又は(b’)FXR作用剤及びACC阻害剤の併用投与用途を有するものであり、「併用用途(combined used)」と同じ意味で理解できる。これは、三重作用性持続型結合体又は三重作用剤とFXR作用剤が併用されることを特徴とする薬学的組成物であるが、前記薬学的組成物にACC阻害剤が追加併用される組成物の形態も含むが、これに限定されない。本願において(a)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及び(b)FXR作用剤の併用投与は、「複合併用投与」又は「複合投与」と混用されてもよく、(a)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体);及び(b’)FXR作用剤及びACC阻害剤の併用投与は「三重複合併用投与」、「三重複合投与」と混用されてもよい。
【0096】
前記組合せ物又は薬学的組成物は、
a)(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及び(ii)FXR作用剤が混合された一つの混合物(mixture)として投与されるものであるか、又は(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、(ii)FXR作用剤、及び(iii)ACC阻害剤が混合された一つの混合物(mixture)として投与されるものであるか;若しくは
b)(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及び(ii)FXR作用剤が分離された形態で投与されるものであるか、又は(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、(ii)FXR作用剤、及び(iii)ACC阻害剤が分離された形態で投与されるものであってもよいが、これに限定されない。
【0097】
グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤が分離された形態である場合、又はGLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤が分離された形態である場合、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はGLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤が別個の製剤に製剤化され、同時、個別、順次、又は逆順に投与されるものであってもよい。
【0098】
本発明において、「併用投与」、「併用される」、「併用する」とは、単に同時投与を意味するだけでなく、a)(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及び(ii)FXR作用剤;又はb)(i)GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、(ii)FXR作用剤及び(iii)ACC阻害剤が個体に共に作用して各物質(i)、(ii)及び/又は(ii))が本来の機能と同等又はそれ以上の水準を遂行できる投与形態として理解されなければならない。したがって、本願において「併用」という用語が使用される場合、これは同時、個別、順次、又は逆順投与を示すことであり、その順序が無制限であるものと理解されなければならない。前記投与が順次、逆順又は個別である場合、投与の順序は特に制限されず、ただし、2次以上の成分投与の間隔は前記併用の有益な効果を失わないようにしなければならない。
本発明において用語「組合せ物を含む組成物(composition)」は、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はGLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤を含む組合せ物それ自体であってもよく、又はこれを含み、治療学的用途を有するものであってもよいが、これに限定されない。その例として、肝臓疾患の予防又は治療用途を有するものであってもよいが、これに限定されない。本願において「組合せ物を含む組成物」は「組成物」と相互交換して使用することができる。
【0099】
本発明による組合せ物を含む組成物は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤を併用投与するためのものであり、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤が一つの製剤に製剤化されたものであってもよく、又は個別に製剤化されたものであってもよい。その例として、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はGLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体、FXR作用剤及びACC阻害剤を同時、個別、順次、又は逆順に投与するものであってもよいが、これに限定されない。
【0100】
本発明において用語「キット」は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤を併用投与するために、本発明による組合せ物又は組成物を含むものであってもよい。具体的には、本発明によるキットには、一つの製剤に製剤化されたグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又はグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤の個別製剤を含むものであってもよく、二つの物質、又は三つ物質の併用投与に必要な物質をさらに含むものであってもよいが、これに限定されない。
【0101】
本発明は、肝臓疾患に予防又は治療効果を有するグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)にFXR作用剤;又はFXR作用剤及びACC阻害剤をさらに含めて併用する場合、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)の単独に比べて肝臓疾患の予防又は治療効果が画期的に改善されることを確認し、前記併用療法を提供するようになった。
【0102】
前記「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質」は「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド」であってもよい。本発明において「三重作用剤(triple agonist)」又は「三重活性体」と混用することができる。前記三重活性体は、前記化学式(1)の一構成要素であるZであってもよい。
このようなペプチドは、グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体に対して有意なレベルの活性を有する多様な物質、例えば、多様なペプチドを含む。
【0103】
特にこれに限定されるものではないが、前記グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体に対して有意なレベルの活性を有する三重活性体は、グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体中の一つ又はそれ以上の受容体、具体的には、二つ又はそれ以上の受容体、より具体的には、三つの受容体の全部に対してin vitro活性が当該受容体の天然型リガンド(天然型グルカゴン、天然型GLP-1、及び天然型GIP)比約0.001%以上、約0.01%以上、約0.1%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%、約150%以上、約200%以上を示すことができるが、有意に増加した範囲は制限なく含まれる。
【0104】
ここで、受容体に対する活性は、天然型比受容体に対するin vitro活性が 約0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、約200%以上を示す場合が例として挙げられる。しかし、これに限定されるものではない。
【0105】
本発明において用語「約」は ±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などを全て含む範囲であり、約という用語に続く数値と同等又は類似の範囲の数値を全て含むが、これに限定されない。
【0106】
このような三重活性体のin vitro活性を測定する方法は、本願明細書の実施例3を参照することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0107】
一方、前記ペプチドは、下記i)~iii)中の一つ以上、二つ以上、具体的には三つの活性を有すること、具体的には有意な活性を有することを特徴とする:
【0108】
i)GLP-1受容体の活性化;ii)グルカゴン受容体の活性化;及びiii)GIP受容体の活性化。
【0109】
ここで、受容体を活性化させるということは、天然型比受容体に対するin vitro活性が約0.001%以上、約0.1%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約150%以上、約200%以上を示す場合が例として挙げられる。しかし、これに限定されるものではない。
【0110】
なお、前記ペプチドは天然型GLP-1、天然型グルカゴン及び天然型GIPのいずれかに比べて体内半減期が増加したものであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0111】
特にこれに限定されるものではないが、このような前記ペプチドは、非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0112】
このようなペプチドは、分子内架橋(intramolecular bridge)を含むことができ(例えば、共有結合的架橋又は非共有結合的架橋)、具体的には環を含む形態であってもよく、例えば、ペプチドの16番及び20番位置のアミノ酸の間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。具体例として、16番位置のアミノ酸はグルタミン酸、20番位置のアミノ酸はリシンであってもよいが、これに限定されない。
【0113】
前記環の非制限的な例として、ラクタム架橋(又はラクタム環)を含むことができる。
【0114】
また、前記ペプチドは環を含むように、目的とする位置に環を形成できるアミノ酸を含むように変形したものを全て含む。
【0115】
例えば、ペプチドの16番及び20番位置のアミノ酸対がそれぞれ環を形成できるグルタミン酸又はリシンで置換されたものであってもよいが、これに限定されない。
【0116】
このような環は、前記ペプチド内のアミノ酸の側鎖の間に形成されてもよく、その例としてリシンの側鎖とグルタミン酸の側鎖との間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0117】
このような方法の組み合わせで製造されるペプチドの例として、天然型グルカゴンとアミノ酸配列が一つ以上異なり、N末端のアミノ酸残基のアルファ炭素が除去された、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドなどがあるが、これに限定されず、アナログ製造のための様々な方法の組み合わせで本発明に適用されるペプチドを製造することができる。
【0118】
また、特にこれに限定されないが、本発明のペプチドは、体内半減期の増加のため、活性体分解酵素の認識作用を回避するために一部アミノ酸を他のアミノ酸あるいは非天然型化合物で置換することができる。
【0119】
具体的には、前記ペプチドのアミノ酸配列中、2番目のアミノ酸配列の置換を通じて分解酵素の認識作用を回避し、体内半減期を増加させたペプチドであってもよいが、体内分解酵素の認識作用を回避するためのアミノ酸置換又は変更は制限なく含まれる。
【0120】
また、ペプチドの製造のためのこのような変形は、L-型あるいはD-型アミノ酸、及び/又は非天然型アミノ酸を用いた変形;及び/又は天然型配列を改質、例えば、側鎖作用基の変形、分子内共有結合、例えば、側鎖間環形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化等のように改質することにより変形することを全て含む。
【0121】
また、天然型グルカゴンのアミノ及び/又はカルボキシ末端に一つ又はそれ以上のアミノ酸が追加されたものを全て含む。
【0122】
前記置換又は追加されるアミノ酸は、ヒトタンパク質から通常観察される20個のアミノ酸だけでなく非定形又は非自然的発生アミノ酸を用いることができる。非定形アミノ酸の商業的出典にはSigma-Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。このようなアミノ酸が含まれたペプチドと定形的なペプチド配列は商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachem、又は韓国のAnygenを通じて合成及び購買可能である。
【0123】
アミノ酸誘導体も同様の方式で入手することができるが、その例を一部だけ挙げると、4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などを用いることができる。
【0124】
また、本発明によるペプチドは生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加させるために、そのN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾されたり有機基で保護されたり、ペプチド末端などにアミノ酸が追加されて変形された形態であってもよい。
【0125】
特に、化学的に合成したペプチドの場合、N及びC末端が電荷を帯びているため、このような電荷を除去するためにN末端をアセチル化(acetylation)及び/又はC末端をアミド化(amidation)してもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0126】
また、本発明によるペプチドはペプチドそのもの、その塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、又はこの溶媒和物の形態をいずれも含む。また、ペプチドは薬学的に許容される任意の形態であってもよい。
【0127】
前記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全で効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0128】
前記用語、「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、又はアレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0129】
本発明において用語、「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、又は塩基から誘導された塩を含む。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適した塩基から誘導された塩は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含み得る。
【0130】
また、本発明で用いられた用語「溶媒和物」は、本発明によるペプチド又はこの塩が溶媒分子と複合体を形成したものをいう。
【0131】
一つの具体例として、前記ペプチド(三重作用剤)、又は化学式(1)のZは、下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0132】
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Gly-Thr-Phe-Xaa7-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30-R1(一般式1、配列番号103)
【0133】
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン、4-イミダゾアセチル、又はチロシンであり、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸、又はAibであり、
Xaa3はグルタミン酸又はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニン又はイソロイシンであり、
Xaa10はロイシン、チロシン、リシン、システイン、又はバリンであり、
Xaa12はリシン、セリン、又はイソロイシンであり、
Xaa13はグルタミン、チロシン、アラニン、又はシステインであり、
Xaa14はロイシン、メチオニン、又はチロシンであり、
Xaa15はシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はロイシンであり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、又はセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン、又はバリンであり、
Xaa20はリシン、グルタミン、又はアルギニンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸であり、
Xaa27はバリン、ロイシン、又はリシンであり、
Xaa28はシステイン、リシン、アラニン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa29はシステイン、グリシン、グルタミン、トレオニン、グルタミン酸、又はヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、グリシン、リシン、又はヒスチジンであるか、存在せず、
R1はシステイン、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m-SSGAPPPS-n(配列番号107)、又はm-SSGQPPPS-n(配列番号108)であるか、存在せず、
ここで、
mは-Cys-、-Pro-、又は-Gly-Pro-であり、
nは -Cys-、-Gly-、-Ser-、又は-His-Gly-であるか、存在しない。
【0134】
前記一般式1は、配列番号12である場合、Xaa27は例外的にメチオニンであってもよい。
【0135】
前記三重活性体(三重作用剤)又は化学式(1)のZの例として、配列番号:1~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、配列番号:1~11、13~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、配列番号:1~11、13~102からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0136】
もう一つの具体例として、前記三重活性体(三重作用剤)又は化学式(1)のZは配列番号21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97及び100からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0137】
もう一つの具体例として、前記三重活性体(三重作用剤)又は化学式(1)のZは配列番号21、22、42、43、50、66、67、77、96、97及び100からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0138】
もう一つの具体例として、前記三重活性体(三重作用剤)又は化学式(1)のZは配列番号21、22、42、43、50、77及び96からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0139】
また、本願において特定の配列番号で「構成される」ペプチドと記載されているとしても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一又は相当する活性を有する場合であれば、当該配列番号のアミノ酸配列の前後の無意味な配列の付加又は自然に発生し得る突然変異、あるいはこのサイレント突然変異(silent mutation)を除くものではなく、このような配列の付加あるいは突然変異を有する場合にも、本願の範囲内に属することが自明である。即ち、一部の配列の差があっても一定水準以上の相同性を示し、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及び/又はGIP受容体に対する活性を表すと、本発明の範囲に属することができる。
【0140】
例えば、本発明のペプチドにWO2017-116204及びWO2017-116205を参照することができる。
【0141】
以上の内容は、本発明の他の具体例あるいは他の態様にも適用できるが、これに制限されるものではない。
【0142】
具体的には、前記一般式1において、Xaa14はロイシン又はメチオニンであり、Xaa15はシステイン、アスパラギン酸、又はロイシンであってもよい。
【0143】
このようなペプチドの例として、配列番号:1~11、14~17、及び21~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0144】
このようなペプチドは、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体中の一つ以上を有意に活性化させることができるが、特にこれに制限されるものではない。具体的には、GLP-1を有意に活性化させたり、追加でグルカゴン受容体及び/又はGIP受容体を有意に活性化させるものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0145】
一つの具体例として、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸、又はAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、又はバリンであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、グルタミン、又はシステインであり、
Xaa14はロイシン、チロシン、又はメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、ロイシン、グルタミン酸、又はアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、グルタミン酸、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、バリン、又はシステインであり、
Xaa20はリシン、アルギニン、又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシン又はリシンである、ペプチドであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
もう一つの具体例として、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸、又はAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、又はバリンであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、又はシステインであり、
Xaa14はロイシン又はメチオニンであり、
Xaa15はシステイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、又はシステインであり、
Xaa20はリシン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、システイン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシン又はリシンであってもよいが、特にこれに限定されない。
【0146】
もう一つの具体例として、
前記一般式1において、
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又はAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン又はシステインであり、
Xaa12はリシン又はイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、又はシステインであり、
Xaa14はロイシン又はメチオニンであり、
Xaa15はシステイン又はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はアルギニン、イソロイシン、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、又はシステインであり、
Xaa20はリシン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はグルタミン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はシステイン、アラニン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であってもよい。
【0147】
もう一つの具体例として、
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン又は4-イミダゾアセチルであり、
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又はAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンであり、
Xaa12はイソロイシンであり、
Xaa13はアラニン又はシステインであり、
Xaa14はメチオニンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はイソロイシン又はリシンであり、
Xaa18はアラニン又はヒスチジンであり、
Xaa19はグルタミン又はシステインであり、
Xaa20はリシンであり、
Xaa21は アスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアスパラギンであり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はアラニン又はアスパラギンであり、
Xaa29はグルタミン又はトレオニンであり、
Xaa30はシステイン又はリシンであるか、存在しなくてもよい。
【0148】
もう一つの具体例として、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸、又はAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、又はバリンであり、
Xaa12はリシンであり、
Xaa13はチロシンであり、
Xaa14はロイシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、又はセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、又はリシンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン又はグルタミンであり、
Xaa20はリシン又はグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、又はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、又はシステインであり、
Xaa27はロイシン又はリシンであり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、トレオニン、又はヒスチジンであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0149】
このようなペプチドは、GLP-1受容体及びグルカゴン受容体の活性化の程度が有意であり、GIP受容体の活性化の程度に比べて高いか;GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体の活性化の程度が有意であるか; GLP-1受容体及びGIP受容体の活性化の程度が有意であり、グルカゴン受容体の活性化に比べて高い場合に該当することができるが、特にこれに限定されない。
【0150】
このようなペプチドの例として、配列番号:8、9、21~37、39、42、43、49~61、64~83、85、86、88、89、91~93、95~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0151】
具体的な態様として、前記ペプチドは下記一般式2で表されるアミノ酸配列を含むものであってもよい。
【0152】
Xaa1-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Xaa10-Ser-Lys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Phe-Xaa23-Xaa24-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31-Ser-Ser-Gly-Gln-Pro-Pro-Pro-Ser-Xaa40(一般式2、配列番号104)
【0153】
前記式において、
Xaa1は4-イミダゾアセチル、ヒスチジン、又はチロシンであり;
Xaa2はグリシン、α-メチル-グルタミン酸、又はAibであり;
Xaa10はチロシン、又はシステインであり;
Xaa13はアラニン、グルタミン、チロシン、又はシステインであり;
Xaa14はロイシン、メチオニン、又はチロシンであり;
Xaa15はアスパラギン酸、グルタミン酸、又はロイシンであり;
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、又はセリンであり;
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン、又はリシンであり;
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、又はヒスチジンであり;
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン、又はバリンであり;
Xaa20はリシン、グルタミン、又はアルギニンであり;
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、ロイシン、又はアスパラギン酸であり;
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり;
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、又はグルタミン酸であり;
Xaa28はリシン、システイン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり;
Xaa29はグリシン、グルタミン、システイン、又はヒスチジンであり;
Xaa30はシステイン、グリシン、リシン、又はヒスチジンであり;
Xaa31はプロリン又はシステインであり;
Xaa40はシステインであるか、又は存在しない。
【0154】
より具体的に、前記一般式2において、
Xaa13はアラニン、チロシン、又はシステインであり;
Xaa15はアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、又はリシンであり;
Xaa18はアラニン、アルギニン、又はヒスチジンであり;
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、又はアスパラギン酸であり;
Xaa23はイソロイシン又はバリンであり;
Xaa24はシステイン、グルタミン、又はアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン、アスパラギン、又はアスパラギン酸であり;
Xaa29はグルタミン、システイン、又はヒスチジンであり;
Xaa30はシステイン、リシン、又はヒスチジンであってもよい。
【0155】
このようなペプチドの例として、配列番号:21、22、42、43、50、64~77、及び95~102からなる群から選択されたアミノ酸配列、又は配列番号:21、22、42、43、50、64~77、及び96~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0156】
具体的な態様として、前記ペプチドは下記一般式3のアミノ酸配列を含むことができる。
【0157】
Xaa1-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Xaa13-Leu-Asp-Glu-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Lys-Xaa21-Phe-Val-Xaa24-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31-Ser-Ser-Gly-Gln-Pro-Pro-Pro-Ser-Xaa40(一般式3、配列番号105)。
【0158】
前記一般式3において、
Xaa1はヒスチジン又はチロシンであり;
Xaa2はα-メチル-グルタミン酸又はAibであり;
Xaa13はアラニン、チロシン又はシステインであり;
Xaa17はアルギニン、システイン、又はリシンであり;
Xaa18はアラニン又はアルギニンであり;
Xaa19はアラニン又はシステインであり;
Xaa21はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
Xaa24はグルタミン又はアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン又はアスパラギン酸であり;
Xaa29はシステイン、ヒスチジン、又はグルタミンであり;
Xaa30はシステイン又はヒスチジンであり;
Xaa31はプロリン又はシステインであり;
Xaa40はシステイン又は、存在しなくてもよい。
【0159】
このようなペプチドの例として、配列番号:21、22、42、43、50、64~71、75~77、及び96~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0160】
また、前記一般式1において、R1はシステイン、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、CSSGQPPPS(配列番号109)、GPSSGAPPPS(配列番号110)、GPSSGAPPPSC(配列番号111)、PSSGAPPPS(配列番号112)、PSSGAPPPSG(配列番号113)、PSSGAPPPSHG(配列番号114)、PSSGAPPPSS(配列番号115)、PSSGQPPPS(配列番号116)、又はPSSGQPPPSC(配列番号117)であるか、存在しなくてもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0161】
また、本発明のペプチドは、その長さに応じてこの分野でよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成器により合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0162】
具体的には、本発明のペプチドは、標準合成方法、組換え発現システム、又は任意の他の当該分野の方法により製造されてもよい。従って、本発明によるペプチドは、例えば、下記を含む方法を含む多数の方法で合成することができる:
【0163】
(a)ペプチドを固相又は液相法の手段で段階的に又は断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;又は
(b)ペプチドをエンコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;又は
(c)ペプチドをエンコードする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;又は
(a)、(b)及び(c)の任意の組合せ物によりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0164】
一方、三重作用性持続型結合体又は三重作用剤は非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0165】
本発明の一つの具体例において、前記三重作用性持続型結合体は、前記化学式(1)で表される結合体であってもよいが、これに限定されない。
【0166】
具体的に、化学式(1)を説明すると、次の通りである。
【0167】
Z-Lx-Fc・・・(1)
【0168】
この時、Lxはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、xは0又は自然数であり、
Fcは免疫グロブリンFc領域であり、
-はLxとZの間、FcとLxの間のそれぞれに共有結合連結を表し、
Zは前記の通りである。Zは三重作用剤を意味することができる。
【0169】
前記結合体において、FcはZ、即ち、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドの半減期を増加させる物質であり、本発明の前記結合体を構成するモイエティの一構成に該当する。
【0170】
前記Fcは、Zと共有化学結合又は非共有化学結合で互いに結合されるものであってもよく、共有化学結合、非共有化学結合又はこれらの組合せ物でLxを通じてFcとZが互いに結合されるものであってもよい。
【0171】
前記Fcは、Zと直接的に連結されるか(即ち、前記化学式(1)においてxが0であるか)、又はリンカー(Lx)を通じて連結されたものであってもよい。
【0172】
具体的には、前記Lxは非ペプチド性リンカー、例えば、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであってもよい。
【0173】
本発明において「非ペプチド性リンカー」は、繰り返し単位が二つ以上結合された生体適合性ポリマーを含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記非ペプチド性リンカーは、本発明の結合体のモイエティをなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLxに該当する。
【0174】
前記Lxにおいてxは1以上であってもよく、xが2以上であるとき、それぞれのLは独立していてもよい。
【0175】
本発明で使用できる非ペプチド性リンカーは、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば、制限なく使用できる。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性ポリマーと混用されてもよい。
【0176】
特にこれに制限されないが、前記非ペプチド性リンカーはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよく、また、当該分野に既に知られているこれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0177】
前記非ペプチド性リンカーの繰り返し単位はエチレングリコール繰り返し単位であっもよく、具体的には、前記非ペプチド性リンカーはエチレングリコール繰り返し単位を含みながら、結合体の製造に用いられる作用基を末端に含むものであってもよい。本発明による持続型結合体は、前記作用基を通じてZとFcが連結された形態であってもよいが、これに制限されない。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは二つ又は三つ以上の作用基を含むことができ、各作用基は同一又は相異してもよいが、これに制限されない。
【0178】
具体的には、前記リンカーは下記化学式(2)で表されるポリエチレングリコール(PEG)であってもよいが、これに制限されるものではない:
【0179】
・・・(2)
【0180】
ここで、n=10~2400、n=10~480、又はn=50~250であるが、これに制限されない。
前記持続型結合体においてPEGモイエティは、-(CH2CH2O)n-構造だけでなく、連結要素と-(CH2CH2O)n-との間に介在する酸素原子も含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0181】
また、一つの具体的な実施形態において、前記結合体は一般式1のアミノ酸配列又は配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド(Z)と免疫グロブリンFc領域(Fc)がエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーを通じて共有結合で連結された構造であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0182】
前記ポリエチレングリコールは、エチレングリコール同種重合体、PEG共重合体、又はモノメチル置換されたPEG重合体(mPEG)の形態をいずれも包括する用語であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0183】
一つの具体例として前記エチレングリコール繰り返し単位は、その例として、[OCH2CH2]nで表されることができ、n値は自然数で前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が0超~約100kDaになるように定めることができるが、これに限定されない。もう一つの例として、前記n値は自然数で前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が約1~約100kDa、約1~約80kDa、約1~約50kDa、約1~約30kDa、約1~約25kDa、約1~約20kDa、約1~約15kDa、約1~約13kDa、約1~約11kDa、約1~約10kDa、約1~約8kDa、約1~約5kDa、約1~約3.4kDa、約3~約30kDa、約3~約27kDa、約3~約25kDa、約3~約22kDa、約3~約20kDa、約3~約18kDa、約3~約16kDa、約3~約15kDa、約3~約13kDa、約3~約11kDa、約3~約10kDa、約3~約8kDa、約3~約5kDa、約3~約3.4kDa、約8~約30kDa、約8~約27kDa、約8~約25kDa、約8~約22kDa、約8~約20kDa、約8~約18kDa、約8~約16kDa、約8~約15kDa、約8~約13kDa、約8~約11kDa、約8~約10kDa、約9~約15kDa、約9~約14kDa、約9~約13kDa、約9~約12kDa、約9~約11kDa、約9.5~約10.5kDa、又は約10kDaであってもよいが、これに限定されない。
【0184】
本発明で使用できる非ペプチド性リンカーは、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のあるエチレングリコール繰り返し単位を含むポリマーであれば、制限なく使用できる。前記非ペプチド性ポリマーの分子量は0超過約100kDaの範囲、約1~約100kDaの範囲、具体的には約1~約20kDaの範囲、又は約1~約10kDaの範囲であるが、これに制限されない。また、前記Fcに該当するポリペプチドと結合される本発明の非ペプチド性リンカーは、一種類のポリマーだけでなく、異なる種類のポリマーの組合せ物を使用することもできる。
【0185】
一つの具体的な実施形態において、前記非ペプチド性リンカーの両末端は、それぞれFc、例えば、免疫グロブリンFc領域のアミン基、チオール基、ヒドロキシ基及びZのアミン基、チオール基、アジド基、ヒドロキシ基に結合できるが、これに制限されない。
【0186】
具体的には、前記非ペプチド性ポリマーは、両末端にそれぞれFc(例えば、免疫グロブリンFc領域)及びZと結合できる反応基、具体的には、免疫グロブリンFc領域のシステインのチオール基;N末端、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンに位置するアミン基、及び/又はC末端に位置するヒドロキシ基と結合され、Zのシステインのチオール基;リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンのアミン基;アジドリシンのアジド基;及び/又はヒドロキシ基と結合できる反応基を含むことができるが、これに限定されない。
【0187】
一つの具体的な実施形態において、前記非ペプチド性リンカーの両末端は、それぞれFc、例えば、免疫グロブリンFc領域のアミン基又はチオール基及びZのアミン基又はチオール基に結合することができる。
【0188】
具体的には、非ペプチドポリマーは、両末端にそれぞれFc(例えば、免疫グロブリンFc領域)及びZと結合できる反応基、具体的にはZ又はFc(例えば、免疫グロブリンFc領域)のN末端又はリシンに位置するアミン基、又はシステインのチオール基と結合できる反応基を含むことができるが、これに限定されない。
【0189】
また、Fc、例えば、免疫グロブリンFc領域及びZと結合できる、前記非ペプチド性ポリマーの反応基は、アルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体で構成された群から選択される一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0190】
前記において、アルデヒド基としてプロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を例として挙げられるが、これに制限されない。
【0191】
前記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジル吉草酸、スクシンイミジルメチルブタン酸、スクシンイミジルメチルプロピオン酸、スクシンイミジルブタン酸、スクシンイミジルプロピオン酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネートが用いられてもよいが、これに限定されない。
【0192】
非ペプチド性リンカーは、このような反応基を通じてZとFcに連結され、非ペプチド性リンカーの連結部に転換できるが、特にこれに制限されるものではない。
【0193】
また、アルデヒド結合による還元性アミン化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものより遥かに安定している。アルデヒド反応基は、低いpHでN末端に選択的に反応し、高いpH、例えば、pH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成できる。
【0194】
また、前記非ペプチド性リンカーの両末端の反応基は互いに同一又は相異してもよく、例えば、一方の末端にはマレイミド基、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、又はブチルアルデヒド基を有することができる。しかし、非ペプチド性リンカーの各末端にFc、具体的には、免疫グロブリンFc領域とZが結合できれば、特にこれに制限されない。
【0195】
例えば、前記非ペプチド性リンカーの一方の末端には反応基としてマレイミド基を含み、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基などを含むことができる。
【0196】
両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として利用する場合には、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前記多様な反応基で活性化するか、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを利用して本発明の持続型タンパク質結合体を製造することができる。
【0197】
一つの具体的な実施形態において前記非ペプチド性ポリマーは、Zのシステイン残基、より具体的にはシステインの-SH基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0198】
例えば、前記Zに該当するペプチドにおいて、10番システイン残基、13番システイン残基、15番システイン残基、17番システイン残基、19番システイン残基、21番システイン残基、24番システイン残基、28番システイン残基、29番システイン残基、30番システイン残基、31番システイン残基、40番システイン残基、又は41番システイン残基に前記非ペプチド性ポリマーが連結されたものであってもよいが、特にこれに限定されない。
【0199】
具体的には、前記システイン残基の-SH基に非ペプチド性ポリマーの反応基が連結されてもよく、反応基については前述の内容が全て適用される。もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを使用する場合、マレイミド基はZの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基はFc、具体的には免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アミノ化反応を通じて連結できるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0200】
このような還元的アルキル化を通じて非ペプチド性ポリマーであるPEGの一方の末端に位置する酸素原子に免疫グロブリンFc領域のN末端アミノ基が-CH2CH2CH2-の構造を有するリンカー作用基を通じて互いに連結され、-PEG-O-CH2CH2CH2NH-免疫グロブリンFcと同様な構造を形成することができ、チオエーテル結合を通じてPEGの一方の末端が一般式1又は配列番号1~102のいずれか一つの配列を含むペプチドのシステインに位置する硫黄原子を形成することができる。上述のチオエーテル結合は、
の構造を含むことができる。
【0201】
しかし、上述した例に特に制限されるものではなく、これは一例に該当する。
【0202】
他の具体的な実施形態において、前記非ペプチド性ポリマーは、Zのリシン残基、より具体的にはリシンのアミノ基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0203】
また、前記結合体において、非ペプチド性ポリマーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0204】
また、前記結合体において、ペプチドは反応基を有するリンカーとC-末端を通じて連結できるが、これは一例に該当する。
【0205】
本発明において「C末端」は、ペプチドのカルボキシ末端を意味することであり、本発明の目的上、リンカーと結合できる位置をいう。その例として、これに制限されないが、C末端の最末端のアミノ酸残基だけでなく、C末端周囲のアミノ酸残基をいずれも含み得、具体的には最末端から1番目~20番目のアミノ酸残基を含んでもよいが、これに限定されない。
【0206】
一方、前記Fcは免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的には前記免疫グロブリンFc領域はIgG由来であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0207】
本発明において、「免疫グロブリンFc領域」は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除く、重鎖定常領域2(CH2)及び/又は重鎖定常領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の結合体のモイエティをなす一構成であってもよい。前記免疫グロブリンFc領域は「免疫グロブリンFc断片」と混用され得る。
【0208】
本明細書においてFc領域と言えば、免疫グロブリンのパパイン消化から得られる天然型配列だけでなく、その誘導体、例えば、天然配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的又は保存的置換又はこれらの組合せ物により変換され、天然型と相異になった配列まで網羅して含まれる。
【0209】
前記Fcは、2個のポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記二鎖中の一鎖の窒素原子を通じてのみ連結されている構造であってもよいが、これに限定されない。前記窒素原子を通じての連結はリシンのイプシロンアミノ原子やN末端アミノ基に還元的アミノ化を通じて連結されてもよい。
【0210】
還元的アミノ化反応とは、反応物のアミン基又はアミノ基が他の反応物のアルデヒド(即ち、還元的アミノ化が可能な作用基)と反応してアミンを生成した後、還元反応によりアミン結合の形成させる反応を意味し、当該技術分野に広く知られている有機合成反応である。
【0211】
一つの具体例として、前記Fcは、そのN末端プロリンの窒素原子を通じて連結されたものであってもよいが、これに限定されない。
【0212】
前記免疫グロブリンFc領域は本発明の化学式(1)の結合体のモイエティをなす一構成であり、具体的には、前記化学式(1)においてFcに該当することができる。
【0213】
このような免疫グロブリンFc領域は重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0214】
本発明において、免疫グロブリンFc領域はN末端に特定のヒンジ配列を含んでもよい。
【0215】
本発明の用語、「ヒンジ配列」とは、重鎖に位置してジスルフィド結合(inter disulfide bond)を通じて免疫グロブリンFc領域の二量体を形成する部位を意味する。
【0216】
本発明において、前記ヒンジ配列は、下記アミノ酸配列を有するヒンジ配列中の一部が欠失して一つのシステイン残基のみを有するように変異されたものであってもよいが、これに制限されない:
【0217】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号118)。
【0218】
前記ヒンジ配列は、配列番号118のヒンジ配列中の8番目又は11番目のシステイン残基が欠失して一つのシステイン残基のみを含むものであってもよい。本発明のヒンジ配列は一つのシステイン残基のみを含む、3~12個のアミノ酸で構成されたものであってもよいが、これに限定されない。より具体的には、本発明のヒンジ配列は、次のような配列を有することができる:Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号119)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Pro(配列番号120)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号121)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Pro(配列番号122)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号123)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号124)、Glu-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号125)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号126)、Glu-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号127)、Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号128)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号129)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号130)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号131)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号132)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro(配列番号133)、Glu-Ser-Lys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号134)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号135)、Glu-Pro-Ser-Cys(配列番号136)、Ser-Cys-Pro(配列番号137)。
【0219】
より具体的には、ヒンジ配列は配列番号128(Pro-Ser-Cys-Pro)又は配列番号137(Ser-Cys-Pro)のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これに限定されない。
【0220】
本発明の免疫グロブリンFc領域はヒンジ配列の存在により免疫グロブリンFc鎖の2分子が二量体を形成した形態であってもよく、また、本発明の化学式(1)の結合体はリンカーの一方の末端が二量体の免疫グロブリンFc領域の一鎖に連結された形態であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0221】
本発明の用語、「N末端」とは、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端を意味することであり、アミノ末端の最末端、又は最末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個以上のアミノ酸まで含むものであってもよい。本発明の免疫グロブリンFc領域はヒンジ配列をN末端に含んでもよいが、これに限定されない。
【0222】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等又は向上した効果を奏する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域のみを除いて、一部又は全体の重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域1(CL1)を含む拡張したFc領域であってもよい。また、CH2及び/又はCH3に該当する相当長い一部のアミノ酸配列が除去された領域であってもよい。
【0223】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の一個又は2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組合せ物、6)重鎖定常領域の各ドメインと軽鎖定常領域の二量体であってもよい。しかし、これに限定されるものではない。
【0224】
また、一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は二量体形態(dimeric form)であってもよく、二量体形態の一つのFc領域にZの一分子が共有結合的に連結されてもよく、その時、前記免疫グロブリンFcとZはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーを通じて共有結合で互いに連結されてもよい。一方、二量体形態の一つのFc領域にZの二つの分子が対称的に結合することも可能である。この時、前記免疫グロブリンFcとZはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーによって互いに連結されてもよい。しかし、前記の例に限定されるものではない。一つの具体例において、ZはこのようなFc領域二量体Fcの二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみリンカーLxを通じて共有結合で連結されていてもよい。その例として、このようなFc領域二量体Fcの二つのポリペプチド鎖中のZが連結された一つのポリペプチド鎖には、一分子のZのみがLxを通じて共有結合で連結されていてもよい。その例として、前記Fcはホモ二量体(homodimer)であってもよい。
【0225】
他の具体例において、前記免疫グロブリンFc領域であるFcは、二つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lxの一方の末端が前記二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されているものであってもよいが、これに制限されない。
【0226】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的又は保存的置換又はこれらの組み合わせにより相違する配列を有することを意味する。
【0227】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であることが知られている214~238、297~299、318~322又は327~331番のアミノ酸残基が変形のために適当な部位として用いられ得る。
【0228】
また、ジスルフィド結合を形成できる部位が除去されたり、天然型FcからN末端のいくつかのアミノ酸が除去されたり、又は天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されるなど、多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクタ機能をなくすために補体結合部位、例えば、C1q結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、国際特許公開第WO97/34631号、国際特許公開第96/32478号などに開示されている。
【0229】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は当該分野において公知となっている(H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も通常生じる交換はアミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミド化(amidation)などで修飾(modification)されてもよい。
【0230】
前記Fc誘導体は本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を増大させたものであってもよい。
【0231】
また、このようなFc領域はヒト、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット又はモルモットなどの動物の生体内から分離した天然型から得られてもよく、形質転換された動物細胞又は微生物から得られた組換え型又はその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は全体免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、Fab及びFcに切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c及びF(ab)2に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離できる。さらに具体的な実施形態においてはヒト由来のFc領域を微生物から得た組換え型免疫グロブリンFc領域である。
【0232】
また、免疫グロブリンFc領域は天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖又は糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減又は除去には化学的方法、酵素学的方法及び微生物を用いた遺伝工学的方法のような常法が用いられてもよい。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は補体(c1q)との結合力が顕著に低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が減少又は除去されるため、生体内において不要な免疫反応を誘発しない。このような点で薬物のキャリアとしての本来の目的に、より符合する形態は糖鎖が除去又は非グリコシル化された免疫グロブリンFc領域であるといえる。
【0233】
本発明において「糖鎖の除去(Deglycosylation)」とは、酵素で糖を除去したFc領域をいい、非グリコシル化(Aglycosylation)とは、原核動物、さらに具体的な実施形態では大腸菌で生産してグリコシル化されていないFc領域を意味する。
【0234】
一方、免疫グロブリンFc領域はヒト又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、さらに具体的な実施形態においてはヒト起源である。
【0235】
また、免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来又はそれらの組合せ物(combination)又はこれらの混成(hybrid)によるFc領域であってもよい。さらに具体的な実施形態では、ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgM由来であり、より具体的な実施形態ではリガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となったIgG由来である。より一層具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であるが、これに限定されるものではない。
【0236】
また、一つの具体的な実施形態において、免疫グロブリンFc切片はヒトIgG4 Fcの断片であり、各単量体(monomer)の3番目のアミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合(inter-chain 形態)を通じて2個の単量体が連結されたホモ二量体(homodimer)の形態であってもよく、その時、ホモ二量体の各単量体は独立に35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合、即ち、2個の内部のジスルフィド結合(intra-chain形態)を有したり/有することができる。各単量体のアミノ酸の数は221個のアミノ酸で構成されてもよく、ホモ二量体を形成するアミノ酸は計442個のアミノ酸からなってもよいが、これに限定されない。具体的には、免疫グロブリンFc切片は配列番号138のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有する単量体2個が各単量体の3番目のアミノ酸であるシステイン間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立に35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものであってもよいが、これに限定されない。
【0237】
前記化学式(1)のFcは配列番号138のアミノ酸配列である単量体を含むものであってもよく、前記Fcは、配列番号138のアミノ酸配列の単量体のホモ二量体であってもよいが、これに限定されない。
【0238】
一つの例として、免疫グロブリンFc領域は配列番号139のアミノ酸配列(442個のアミノ酸で構成される)を含むホモ二量体であってもよいが、これに限定されない。
【0239】
一方、本発明において免疫グロブリンFc領域に関連した「組合せ物(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する時、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが相違する起源の単鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc断片からなるグループから選択された2個以上の断片から二量体又は多量体の製造が可能である。
【0240】
本発明において「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖の免疫グロブリン定常領域内に2個以上の相違する起源の免疫グロブリンFc断片に該当する配列が存在することを意味する用語である。本発明の場合、種々の形態のハイブリッドが可能である。即ち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなるグループから1個~4個のドメインからなるドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジを含めてもよい。
【0241】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明ではそれらの組合せ物又はこれらのハイブリダイゼーションも可能である。具体的には、IgG2及びIgG4サブクラスであり、最も具体的には補体依存的傷害(CDC、Complement dependent cytotoxicity)のようなエフェクタ機能(effector function)がほとんどないIgG4のFc切片である。
【0242】
また、上述した結合体は、効力の持続性が天然型GLP-1、GIP、あるいはグルカゴンに比べて、又はFcが修飾されていないZに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などを全て含むが、これに制限されない。
【0243】
前記FXR作用剤は、胆汁酸受容体(Bile acid Receptor、BAR)としても公知となっている胆汁酸により活性化される核受容体であるFXRの作用剤を意味し、本発明のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体との併用療法に使用され、単独に比べて肝臓疾患を予防又は治療効果を改善できる物質は制限なく含まれる。
【0244】
FXRは、肝臓、腸及び腎臓のような胆汁酸代謝の主要部位で発現され、これは、組織特異的方式で胆汁酸を含む様々な代謝経路に影響を及ぼす。FXRは、肝臓及び腸の様々なメカニズムを通じて胆汁酸の生産抑制、及び除去促進作用をすることが知られている。また、FXR作用剤は、肝臓トリグリセリド合成を減少させて脂肪症を減少させ、肝星細胞の活性化を抑制し、肝線維症を減少させ、FGF15/FGF19の発現(胆汁酸代謝の主要調節剤)を刺激し、肝臓インスリン敏感性を改善させることが知られているが、本発明の三重活性体又はその結合体(三重作用性持続型結合体)と併用する組合せ物として利用される場合、単独に比べて肝臓疾患の予防又は治療効果が改善されることは知られていない。
【0245】
前記FXR作用剤は、本発明のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)とともに併用療法に使用され、単独に比べて肝臓疾患の予防又は治療効果を改善できる物質は制限なく含まれるが、その例として、カフェストール(Cafestol)、ケノデオキシコール酸(Chenodeoxycholic acid)、オベチコール酸(Obeticholic acid)、フェキサラミン(Fexaramine)、GW 4064、PX104、6E-CDCA(6-ethyl-chedeoxycholic acid)、AKN-083又はトロピフェクサー(Tropifexor)、シロフェキソール(Cilofexor)、EDP-305、AGN-242266、AGN-242256、EP-024297、RDX-023、BWL-200、GNF-5120、GS-9674、LMB-763、Px-102、Px-103、M790、M780、M450、M-480、MET-409、MET-642、PX20606、EYP-001、TERN-101、TC-100又はINT-2228などであってもよい。
【0246】
前記ACC阻害剤は、脂肪酸の生成及び代謝の調節に重要な酵素であるアセチル-CoAカボキシラーゼ(acetyla-CoA carboxylase)を抑制する物質を意味し、本発明のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)及び前記FXR作用剤との併用療法に使用され、単独に比べて肝臓疾患を予防又は治療効果を改善できる物質は制限なく含まれる。
【0247】
前記ACC阻害剤は、本発明のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、及びFXR作用剤とともに併用療法に使用され、単独に比べて肝臓疾患の予防又は治療効果を改善できる物質は制限なく含まれるが、その例として、CP-640186、(4-ピペリジニル)-ピペラジン誘導体((4-piperidinyl)-piperazine derivatives)、1,4-置換シクロヘキサン誘導体(1,4-disubstituted cyclohexane derivatives)、スピロクロマノン誘導体(Spirochromanone derivatives)、スピロラクタム誘導体(Spirolactam derivatives)、スピロジアミン誘導体(Spirodiamine derivatives)、スピロペンタアシルアミド誘導体(Spiropentacylamide derivatives)、シュードペプチドピロリジンジオン誘導体(Pseudopeptide pyrrolidinedione derivatives)、大環状ポリケトン誘導体(Macrocyclic polyketone derivatives)、フィルソコスタット(firsocostat)を含むチオフェンピリミドン誘導体(Thiophene pyrimidone derivatives)、アミノオキサゾール誘導体(Amino-oxazole derivatives)、アゾベンズイミダゾール誘導体(Azobenzimidazole derivatives)又はPF-05221304であってもよい。前記ACC阻害剤は、公知の文献であるFuture Med Chem. 2020 Mar;12(6):533-561(doi:10.4155/fmc-2019-0312)などを参考にすることができ、前記文献は全体が本願の参照として利用される。
【0248】
本発明の組合せ物、薬学的組成物又はキットは、肝臓疾患の予防又は治療に使用することができる。
【0249】
本発明において用語「予防」は、(a)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又は(b)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤を含む組合せ物又は組成物の投与により目的とする疾患、例えば、肝臓疾患の発症を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、(a)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又は(b)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤を含む組合せ物又は組成物の投与により目的とする疾患、例えば、肝臓疾患の症状が好転したり有益になる全ての行為を意味する。
本発明において用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は、特にこれに制限されないが、前記組成物が生体内の標的に到達できる任意の一般的な経路を通じて投与され得、例えば 腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などが挙げられる。
【0250】
前記(a)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体)及びFXR作用剤;又は(b)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤及びACC阻害剤は併用して肝臓疾患の予防又は治療に使用できる。
【0251】
本発明において用語「肝臓疾患」は、肝臓で発症する疾患を意味することであり、代謝性肝臓疾患又は肝炎症を含むことができるが、これに限定されるものではない。前記肝臓疾患の代表例としては、非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease)又は胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)などが挙げられる。本発明による前記併用療法に使用される薬学的組成物、組合せ物、キットなどによりその疾患が予防又は治療される限り、肝臓の組織及び機能に異常が生じる多様な肝臓疾患は本発明の肝臓疾患の範疇に入ることができるが、これに制限されない。
【0252】
本発明において用語「非アルコール性脂肪肝疾患」とは、アルコール摂取の過去歴がなく、アルコール摂取に関係がないのに脂肪肝を伴う場合をいう。脂肪肝とは、中性脂肪が正常な場合とは異なり、肝細胞内に非正常に沈着する現象が現れたものをいう。正常の肝は、約5%が脂肪組織で構成されており、中性脂肪、脂肪酸、リン脂質、コレステロール及びコレステロールエステルが脂肪の主成分であるが、一度脂肪肝が発生すると、大部分の成分が中性脂肪に代替され、中性脂肪の量が肝臓重量の5%以上であれば脂肪肝と診断される。脂肪肝は、肝細胞内の脂肪代謝障害や過剰脂肪を運搬する過程における欠陥などによりもたらされ、主に肝臓における脂肪代謝の障害により発生する。前記脂肪肝に蓄積された脂肪の大部分は中性脂肪(triglyceride)であり得る。本発明による組成物は、NAS(NAFLD activity score)の減少及び線維化を抑制することを確認したところ、前記非アルコール性脂肪肝疾患に含まれる多様な疾患の病変を予防又は治療できることがわかる。
【0253】
前記非アルコール性脂肪肝疾患は、単純脂肪症、肝炎、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、肝線維症、肝不全又は肝臓癌などがこれに属するが、本発明の組成物で予防又は治療される非アルコール性脂肪肝疾患は制限なく含まれる。
【0254】
もう一つの例として、前記非アルコール性脂肪肝疾患は、肝炎症、非アルコール性脂肪肝炎と肝線維症からなる群から選択する少なくとも一つの疾患であってもよいが、本発明の組成物で予防又は治療される非アルコール性脂肪肝疾患は制限なく含まれる。
【0255】
本発明において、「非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis)」は、非アルコール性脂肪肝疾患の一つであり、肝細胞壊死、炎症、及び線維化を伴う肝臓疾患の代表的な例である。本発明による組成物は、NAS(NAFLD activity score)の減少及び線維化を抑制し、非アルコール性脂肪肝炎に対する効果を示すことができ、具体的には、脂肪肝、肝線維症又は肝硬変を伴う非アルコール性脂肪肝炎;又は非アルコール性脂肪肝炎による肝臓癌に対する効果を示すことができるが、これに限定されるものではない。
【0256】
本発明において、「肝炎(liver inflamation)」とは、肝臓疾患の最大の原因であり、肝臓に炎症を引き起こす疾患を意味し、原因と症状に応じて急性肝炎と慢性肝炎に区別される。ウイルス、アルコール、薬物、免疫異常、代謝疾患などを主原因とする。
【0257】
本発明において、「肝線維症(liver fibrosis)」とは、反復的な肝損傷に対する損傷回復過程の結果であり、肝硬変症とは異なって可逆的であり、薄い原繊維(thin fibril)で構成され、結節(nodule)の形成がないことが知られており、肝損傷の原因が消失すれば、正常回復が可能であるが、このような肝線維症の過程が繰り返されると、ECM(extra cellular matrix)間の交差結合(crosslinking)が増加し、結節(nodule)のある不可逆的な肝硬変症に進行する。
【0258】
本発明の組成物は、前記薬学的組成物は投与時に、投与された個体からヒドロキシプロリン含量を減少させることにより肝線維症に対する予防又は治療効果を示すことができるが、これに制限されるものではない。本発明による結合体は、肝臓の線維化自体を緩和する効果を有するだけでなく、肝臓の線維化を伴ったり、これに起因して発病した疾患にも効果を示すことができる。
【0259】
本発明の「肝硬変(liver cirrhosis)」は、肝細胞の再生及び線維組織の増加を繰り返しながら発病し、病理学的に壊死(necrosis)、炎症(inflammation)及び線維化(fibrosis)を伴う慢性疾患であり、最終的には、肝不全のような肝硬変合併症及び肝癌などの疾患に進行して死亡に至る。特に、初期に自覚症状がなく、かなり進んでから発見されるため、肝硬変などに進化する前の状態である肝線維症を迅速に治療することが求められる。
【0260】
本発明の「肝不全(liver decompensation)」とは、ウイルス性肝炎、肝硬変症、薬物又はアルコールのような肝損傷又は肝臓疾患により肝機能が弱くなり、肝臓が正常な生理作用としてのタンパク質合成と代謝機能を行えない状態を意味する。進行速度に応じて急性肝不全又は慢性肝不全に分けられ、様々な合併症を引き起こすことが知られている。
【0261】
本発明の「肝癌(hepatocellular carcinoma)」とは、肝細胞に由来する悪性腫瘍を意味し、肝細胞自体から発生した原発性肝癌(肝細胞癌;hepatocellular carcinoma)と他の組織の癌が肝臓に転移されてきた転移性肝癌に区分することができるが、肝癌の約90%以上は原発性肝癌である。主な原因としては、肝炎、慢性肝臓疾患以外に、アルコール、喫煙、肥満などが知られている。
【0262】
本発明において、「胆汁うっ滞症(cholestasis)」は、肝臓から十二指腸への胆汁の流動が遅くなったり遮断された病態であり、「胆汁うっ滞性肝臓疾患(cholestasis liver disease)」は肝臓内において、胆汁形成が各種疾患、拡張された経静脈栄養、又は特定の薬物(例えば、一部の抗生剤)の副作用のような病態により妨害されたことを意味する。胆汁うっ滞症の通常の徴候には、疲労、そう痒感(かゆみ)、黄疸、及び黄色腫(皮下への高コレステロール(cholesterol-rich)物質の堆積)が含まれる。胆汁うっ滞症の影響は極度で広範囲であり、これは、肝臓疾患の全身性疾患への悪化、肝不全、及び肝移植の必要性をもたらす。胆汁うっ滞性肝臓疾患の原因としては、急性肝炎、胆管の炎症などが挙げられる。
前記胆汁うっ滞性肝臓疾患には、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)、及びアラジール症候群(Alagille syndrome)(AS)などが含まれるが、これに限定されない。
【0263】
原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis:PBC)としても知られている原発性胆汁性硬変症は、原因不明の慢性胆汁うっ滞性肝臓疾患である。門脈(portal)及び門脈周囲(periportal)の炎症による進行性胆管損傷は、進行性線維症及び最終的な肝硬変を引き起こすことがある。これまでは、免疫学的、遺伝的及び環境的要因が疾患の潜在的な原因として知られている。原発性胆汁性硬変症は、主に中年の女性に多く見られ、症状は初期発現において疲労、かゆみ、又は不糾明の高脂血症も原発性胆汁性硬変症の症状として現れることがある。
【0264】
現在までは、原発性胆汁性硬化症が免疫媒介された疾患であることが知られており、具体的には、門脈及び門脈周辺の部位においてTリンパ球の免疫組織化学的染色は、CD4陽性及びCD8陰性T細胞を示す。また、罹患した個体の無症候性第一等級の同類(relatives)において、非正常抑制性T細胞活性が報告された。インターロイキンが変更された免疫機能及び線維症に寄与することによりPBCの発病機序に役割を果たすことが報告された(G.J.Webbら、J. Autoimmunity、2015 Nov;64:42-52)。
【0265】
PBCの治療方法は、ウルソデオキシコール酸(UDSA)及びオベチコール酸(OCA)を用いた胆汁酸治療法である。PBCにおいて両薬物の作用メカニズムは、FXR及びTGFR-5を活性化させて抗炎症性効果を発揮させるそれらの能力と関連している。しかしながら、UDCAで治療された患者の約40%で十分な生化学反応が達成されなかった。
【0266】
原発性硬化性胆管炎(Primary sclerosing cholangitis:PSC)は、原因を知らない肝内/肝外胆道の炎症と線維化により引き起こされる慢性進行性胆汁うっ滞性肝臓疾患である。具体的には、胆管及び胆道の炎症性疾患として疾患が進行すると、線維化が起こり、胆管壁が厚くなりながら、狭くなったり狭窄する疾患である。まだ原因は不明であるが、遺伝的要因、環境的要因、これに関連する免疫反応など多様な因子が複合的な原因として推定されている。
【0267】
血液による肝機能検査において、alkaline phosphatase値の上昇、aminotransferase値の上昇、ガンマグロブリン血症などが見られれば、原発性硬化性胆管炎と診断している。
【0268】
PSCの治療方法は、まだ明確に報告されておらず、肝移植手術が根本的に治療できる唯一の治療方法である。
【0269】
そこで、患者の利便性の確保及び副作用なしにPBS及びPSCを治療することができる薬物の開発が依然として求められており、本発明による三重作用剤又はその持続型結合体及びFXR作用剤との併用;又は三重作用剤又はその持続型結合体、FXR作用剤及びACC阻害剤との併用療法は前記疾患を治療するのに適している。
【0270】
本発明による組成物は、既存の非アルコール性脂肪肝疾患治療剤の副作用である体重増加がないか、又はその程度が相対的に低いことを特徴とすることができる。
【0271】
なお、前記組成物は(a)線維症マーカー(fibrosis marker)であるコラーゲン-1aの発現又は活性減少;(b)炎症誘発マーカー(pro-inflammatory marker)であるTNF-alpha(tumor necrosis factor-α)の発現又は活性減少;(c)脂肪生成マーカー(lipogenesis marker)であるSREBP-1c(sterol regulatory element binding protein-1c)の発現又は活性減少;(d)肝臓内中性脂肪の減少;及び(e)血液中のコレステロールの減少のような(a)~(e)の特性のいずれか一つ以上の特性を行い、肝臓疾患を予防又は治療することができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0272】
また、前記の組成物は、NAS(NAFLD activity score)を減少させて肝臓疾患、その例として非アルコール性脂肪肝疾患を予防又は治療することができる。
【0273】
また、前記組成物は、肝臓組織内線維症の指標として知られているヒドロキシプロリン(hydroxyprolin)を減少させ、肝臓疾患、その例として非アルコール性脂肪肝疾患を予防又は治療することができる。
【0274】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含み得る。このような薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤は、非自然なものであってもよい。
【0275】
本発明において、用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができる程度の十分な量と副作用を引き起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合又は同時用いられる薬物など、医学分野によく知られている要素に応じて当業者により容易に決定され得る。
【0276】
本発明のペプチドを含む薬学的組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。前記賦形剤は、特にこれに制限されないが、経口投与時には、結合剤、滑沢剤、崩解剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。
【0277】
本発明の組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容可能な賦形剤と混合して多様に製造され得る。例えば、経口投与時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリクサー、サスペンション、シロップ、ウエハなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプル又は多数回投薬形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などに剤形化することができる。
【0278】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシア、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート又は鉱物油などが用いられる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含み得る。
【0279】
また、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌水溶液、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有することができる。
【0280】
また、前記組成物は、薬学的分野において通常の方法により患者の身体内投与に適した単位投与型の製剤、具体的には、タンパク質医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化させて当業界において通常に用いる投与方法を用いて経口、又は皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内又は直腸経路を含む非経口投与経路により投与されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0281】
また、前記三重作用剤又はその持続型結合体は、生理食塩水又は有機溶媒のように薬剤として許容された種々の担体(carrier)と混合して用いられ、安定性や吸収性を増加させるために、グルコース、スクロース又はデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)又はグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質又は他の安定化剤(stabilizers)などが薬剤として用いられる。
【0282】
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重及び疾患の重症度等の種々の関連因子と共に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。具体的には、本発明の組成物は、前記ペプチド又はこれを含む持続型結合体を薬学的有効量で含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0283】
前記ペプチド又は持続型結合体を薬学的有効量で含むことは、ペプチド又は持続型結合体による目的とする薬理活性(例えば、肝臓疾患の予防、改善又は治療)を得る程度を意味し、また投与される個体において毒性又は副作用が起きなかったり、微々たる水準で薬学的に許容される水準を意味することができるが、これに限定されない。このような薬学的有効量は、投与回数、患者、剤形などを総合的に考慮して決定することができる。
【0284】
特にこれに制限されないが、本発明の前記薬学的組成物は、前記成分(有効成分)を0.01~99%重量対体積で含有することができる。
【0285】
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与されてもよく、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含量を異にすることができる。具体的には、本発明のペプチド又は結合体の好ましい全体用量は、1日に患者体重1kg当たり約0.0001mg~500mgであってもよいが、これに限定されない。しかし、前記結合体の用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食物及び排泄率等、多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるため、このような点を考慮すると、当分野の通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定し得る。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を奏する限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されない。
【0286】
本発明の三重作用剤又はその持続型結合体は、FXR作用剤、又はFXR作用剤及びACC阻害剤と適切な割合で併用投与することができる。例えば、一回の投与量を基準に本発明の三重作用剤又はその持続型結合体は、約0.1~約100mg、約0.5~約80mg、約1~約60mg、約1~約25mg、約5~約20mg、又は約10~約15mgで投与され、FXR作用剤は約1~約100mg、約1~約250mg、約5~約250mg、約5~約50mg、約5~約40mg、約5~約40mg、約5~約25mg、約5~約30mg,約90~約250mg、約140~約250mg、約140~約200mgで投与され、ACC阻害剤は約1~1000mg、約5~約1000mg、約5~150mg、約5~約50mg、約5~約30mg、約5~約750mg、約10~約550mgで投与されてもよいが、これに限定されない。
【0287】
本発明の三重作用剤又はその持続型結合体はFXR作用剤、又はFXR作用剤及びACC阻害剤と適切な割合で併用投与され、優れた肝臓疾患治療効果を示すことができる。
【0288】
本発明の薬学的組成物は生体内持続性及び力価に優れ、本発明の薬学的製剤の投与回数及び頻度を顕著に減少させることができるが、これに制限されない。
【0289】
本発明を具現するもう一つの態様は、FXR作用剤と併用することを特徴とする前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)を含む、肝臓疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0290】
もう一つの具体例として、前記薬学的組成物はさらにACC阻害剤と併用することを特徴とすることができる。
【0291】
前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤、ACC作用剤を含む組成物、予防、治療、肝臓疾患及び薬学的組成物については、前述の通りである。
【0292】
本発明を具現するもう一つの態様は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、及び(ii)FXR作用剤を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、肝臓疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0293】
本発明を具現するもう一つの態様は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、(ii)FXR作用剤、及び(iii)ACC阻害剤を、これを必要とする個体に投与する段階を含む肝臓疾患の予防又は治療方法であってもよい。
【0294】
本発明を具現するもう一つの態様は、肝臓疾患の治療が必要な個体に、薬学的有効量で(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)を投与する段階、及び(ii)FXR作用剤を投与する段階を含み、前記(i)と(ii)の段階は順次、逆順又は同時に行われる肝臓疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0295】
本発明を具現するもう一つの態様は、肝臓疾患の治療が必要な個体に、薬学的有効量で(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)を投与する段階;(ii)FXR作用剤を投与する段階;及び(iii)ACC阻害剤を含み、前記(i)、(ii)、(iii)の段階は、順次、逆順又は同時に行われる肝臓疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0296】
本発明の予防又は治療方法の各薬効成分を投与する各段階は、どの順序で行われても差し支えなく、(i)、(ii)、(ii)は順序を意味するものではなく、有効成分を区分するものであり、各段階は順次、逆順又は同時に行われてもよいが、これに限定されるものではない。
【0297】
前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤、ACC作用剤を含む組成物、予防、治療、肝臓疾患及び薬学的組成物については、前述の通りである。
【0298】
本発明において前記個体は、肝臓疾患が疑われる個体であり、前記肝臓疾患の疑いのある個体は、当該疾患が発病しているか、又は発病し得るヒトを含むラット、家畜などを含むほ乳動物を意味するが、本発明のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及び(a)FXR作用剤、又は(b)FXR作用剤及びACC阻害剤を含む前記組成物で治療可能な個体は制限なく含まれる。また、本発明のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及び(a)FXR作用剤、又は(b)FXR作用剤及びACC阻害剤を含む薬学的組成物を肝臓疾患の疑いのある個体に投与することにより、個体を効率的に治療することができる。肝臓疾患については、前記の通りである。
【0299】
本発明の方法は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及び(a)FXR作用剤、又は(b)FXR作用剤及びACC阻害剤を含む組合せ物又は薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含むことができる。本発明による方法は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体);及び(a)FXR作用剤又は(b)FXR作用剤及びACC阻害剤を一つの製剤として投与し、又は個別製剤を同時、個別、順次又は逆順に投与するものであってもよいが、これに限定されない。
【0300】
本発明の用語、「投与」は任意の適切な方法で患者(個体)に所定の物質を導入することを意味する。前記三重作用剤又はその持続型結合体、FXR作用剤、ACC阻害剤の投与経路は特にこれに制限されないが、前記三重作用剤又はその持続型結合体、FXR作用剤、ACC阻害剤が生体内の標的に到達できる任意の一般的な経路を通じて投与でき、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などが挙げられる。
【0301】
本発明の方法において、前記三重作用剤又はその持続型結合体、FXR作用剤、ACC阻害剤は同一の投与経路で投与されるか、又は互いに異なる投与経路で投与されてもよく、併用投与される薬物の投与経路は互いに独立的であってもよい。
【0302】
これに限定されないが、本発明の三重作用剤又はその持続型結合体、FXR作用剤;又は三重作用剤又はその持続型結合体、FXR作用剤及びACC阻害剤を含む組成物は、1日に1回、2日に1回、3日に1回、1週間に1回、2週間に1回、4週間に1回、又は1ヶ月間に1回投与することができるが、これに限定されない。
【0303】
一方、FXR作用剤、及びACC阻害剤は、本発明の三重作用剤又はその持続型結合体又はこれを含む組成物と併用投与されることにより、肝臓疾患予防又は治療効果を発揮できる限り、投与頻度は制限されないが、例えば、1日に1回、2日に1回、3日に1回、1週間に1回、4週間に1回、又は1ヶ月間に1回投与することができる。なお、前記三重作用剤又はその持続型結合体と同一の間隔で投与されてもよく、又は異なる間隔、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、又は10日以上の間隔をおいて投与されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0304】
適した総1日使用量は正しい医学的判断の範囲内で処置医により決定され、1回又は数回に分けて投与できる。しかし、本発明の目的上、特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が用いられるかどうかをはじめとする具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と共に用いられたり同時に用いられる薬物をはじめとする多様な因子と医薬分野によく知られている類似因子により異なって適用することが好ましい。
【0305】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記組合せ物、前記疾患の予防又は治療用の薬学的組成物、又は前記薬学的キットを、これを必要とする個体に投与及び/又は使用する段階を含む肝臓疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0306】
前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤、ACC作用剤を含む組合せ物、キット、組成物、予防、治療、肝臓疾患及び薬学的組成物については、前述の通りである。
【0307】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記組合せ物、薬学的組成物、又は薬学的キットの肝臓疾患の予防又は治療用途及び/又は肝臓疾患の予防又は治療のための薬剤の製造のための用途を提供する。
【0308】
前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する物質(三重作用剤)又はその持続型結合体(三重作用性持続型結合体)、FXR作用剤、ACC作用剤を含む組合せ物、キット、組成物、予防、治療、肝臓疾患及び薬学的組成物については、前述の通りである。
【0309】
以下、下記実施例により本発明をより詳しく説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0310】
実施例1:三重活性体の製造
GLP-1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体のすべてに活性を示す三重活性体を製造し、下記表1にその配列を示した。
【0311】
【表1】



【0312】
前記表1に記載された配列においてXと表記されたアミノ酸は、非天然型アミノ酸であるAib(2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid))であり、アミノ酸記号の下線は、下線を引いた当該アミノ酸対の側鎖の間にラクタム環が形成されたことを指す。なお、前記表1においてCAは、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)を意味する。
【0313】
実施例2:三重活性体の持続型結合体の製造
両末端にそれぞれマレイミド基及びアルデヒド基を有する10kDaのPEG、即ち、マレイミド-PEG-アルデヒド(10kDa、NOF、日本)を実施例1の三重活性体(配列番号21、22、42、43、50、77、96)のシステイン残基にペギル化させるために、三重活性体とマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1~3、タンパク質の濃度を1~5mg/mlにして低温で0.5~3時間反応させた。この時、反応は50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20~60%のイソプロパノールが添加された環境下で行われた。具体的には、三重活性体とポリエチレングリコールリンカーの連結体を製造するために、両末端の水素がそれぞれ3-(3-マレイミドプロピオンアミド)プロピル基及び3-オキソプロピル基(プロピオンアルデヒド基)で置換された分子量10kDaの線形改質ポリエチレングリコールであるマレイミド-PEG-アルデヒド(日本NOF社)を前記三重活性体のシステイン残基に反応させることにより、三重活性体をマレイミド-PEG-アルデヒドのマレイミド側の末端にペギル化させた。
【0314】
反応が終了した後、前記反応液をSPセファロースHP(GE healthcare、米国)に適用してシステインにモノペギル化された三重活性体を精製した。
【0315】
次に、前記精製されたモノ-ペギル化された三重活性体と免疫グロブリンFc(配列番号138のホモ二量体)を、モル比を1:1~5、タンパク質の濃度を10~50mg/mlにして4~8℃で12~18時間反応させた。反応は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)に還元剤である10~50mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10~30%のイソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をブチルセファロースFF精製カラム(GE healthcare、米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare、米国)に適用し、三重活性体と免疫グロブリンFcを含む結合体を精製した。精製されたこの持続型結合体は、分子内で三重活性体ペプチド、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーとFc二量体が1:1:1のモル比で共有結合連結された構造であり、PEGリンカーはFc二量体の二つのポリペプチド鎖中の一つの鎖にのみ連結されている。
【0316】
一方、前記免疫グロブリンFcは、配列番号138のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有するモノマー2個が、各モノマーの3番アミノ酸であるシステインの間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体のモノマーはそれぞれ独立して35番と95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合が形成されたものである。具体的には、免疫グロブリンFcは、N末端にPro-Ser-Cys-Pro配列のヒンジ領域を有する免疫グロブリンFc切片(配列番号138の鎖の二つがジスルフィド結合で連結されたホモ二量体)を使用して国際公開特許WO2007/021129に記載された方法で製造した。
【0317】
製造後、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーで分析した純度は95%以上であった。
【0318】
ここで、配列番号21の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号21と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号21の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0319】
ここで、配列番号22の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号22と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号22の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0320】
ここで、配列番号42の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号42と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号42の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0321】
ここで、配列番号43の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号43と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号43の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0322】
ここで、配列番号50の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号50と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号50の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0323】
ここで、配列番号77の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号77と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号77の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0324】
ここで、配列番号96の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号96と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号96の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0325】
実施例3:三重活性体及びその持続型結合体のin vitro活性の測定
前記実施例1及び2で製造された三重活性体とその持続型結合体の活性を測定するためにGLP-1受容体、グルカゴン(GCG)受容体、及びGIP受容体がそれぞれ形質転換された細胞株を用いてin vitroで細胞活性を測定する方法を用いた。
【0326】
前記各細胞株は、CHO(chinese hamster ovary)にヒトGLP-1受容体、ヒトGCG受容体及びヒトGIP受容体遺伝子をそれぞれ発現するように形質転換されたものであり、GLP-1、GCG及びGIPの活性を測定するのに適している。従って、各部分に対する活性をそれぞれの形質転換細胞株を用いて測定した。
【0327】
前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体のGLP-1活性の測定のために、ヒトGLP-1を50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGLP-1受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、互いに比較した。ヒトGLP-1比相対力価は下記表2と表3に示す。
【0328】
前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体のGCG活性の測定のために、ヒトGCGを50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGCG受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、互いに比較した。ヒトGCG比相対力価は下記表2と表3に示す。
【0329】
前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体のGIP活性の測定のために、ヒトGIPを50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGIP受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、互いに比較した。ヒトGIP比相対力価は下記表2と表3に示した。
【0330】
【表2】



【0331】
【表3】

【0332】
前記で製造した三重活性体又はその持続型結合体は、GLP-1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体を全て活性化させる三重活性体として機能を有するところ、目的とする疾患の治療的物質として利用できる。
【0333】
実施例4:肝臓疾患の治療効果の確認
前記実施例で製造された三重活性体の持続型結合体とFXR(farnesoid X receptor)作用剤、又は三重活性体の持続型結合体とFXR(farnesoid X receptor)作用剤及びACC(acetyla-CoA carboxylase)阻害剤の複合投与による肝臓疾患の代表的な例であるNASH及び線維症(fibrosis)の改善効能を確認するために、NASH及びfibrosisモデルとして知られるコリン欠乏、高脂肪及び高コレステロール食餌に誘導されたCD-HFD(Choline deficient high fat diet)マウスモデルを使用した。CD-HFDは脂肪肝炎及びfibrosisを誘発することが知られている。簡単に、C57BL/6マウスに8週間CD-HFDを行い、モデルを誘導した。
【0334】
三重活性体の持続型結合体の代表例として配列番号42の三重活性体の持続型結合体、FXR作用剤の代表例としてシロフェキサー(cilofexor)、ACC阻害剤の代表例としてフィルソコスタット(firsocostat)を選択して実験を行った。シロフェキサー及びフィルソコスタットはMCE(MedChemExpress)から購入した。
【0335】
4-1:NASH及びfibrosisマウスにおいてNASH改善効果を確認
前記誘導された動物モデルは、賦形剤対照群、配列番号42の三重活性体の持続型結合体(2.6nmol/kg、Q2D、皮下)単独投与群、FXR作用剤の単独投与群(4.3mmol/kg、QD、経口)、ACC阻害剤の単独投与群(51.1mmol/kg、QD、経口)、配列番号42の三重活性体の持続型結合体(2.6nmo/kg、Q2D、皮下)とFXR作用剤(4.3mmol/kg、QD、経口)複合投与群、配列番号42の三重活性体の持続型結合体(2.6nmol/kg、Q2D、皮下)とACC阻害剤(51.1mmol/kg、QD、経口)及びFXR作用剤(4.3mmol/kg、QD、経口)の三重複合投与群に分け、6週間繰り返し投与を行った。 6週間繰り返し投与した後、解剖を通じて取得した各マウスの肝組織にH&E染色を行った後、NASH効能評価法としてよく知られているNAS(NAFLD activity score)を求めた。
【0336】
ここで、QDは1日1回、Q2Dは2日に1回投与を意味する。
【0337】
図1のように三重活性体の持続型結合体を6週間繰り返し投与した結果、CD-HFD賦形剤対照群比、NASがACC阻害剤及びFXR作用剤の単独投与群より有意に減少したことを確認した。それだけでなく、三重活性体の持続型結合体をFXR作用剤と複合投与又はACC阻害剤及びFXR作用剤と三重複合投与時、NASがより効果的に改善されたことが観察できた。
【0338】
これにより、三重活性体又はその持続型結合体のNASH治療効能がFXR作用剤との複合投与、又はFXR作用剤とACC阻害剤との三重複合投与で、より改善できることが確認できた。
【0339】
4-2:NASH及びfibrosisマウスにおけるfibrosis指標改善効果の確認
前記で確認した三重活性体の持続型結合体及びFXR作用剤の複合投与、そして三重活性体の持続型結合体、ACC阻害剤及びFXR作用剤の三重複合投与のfibrosis治療効能を確認するために、CD-HFDマウスモデルの肝組織における浸潤型fibrosis指標として知られるhydroxyproline含量を測定した。
【0340】
具体的には、前記で確認した三重活性体の持続型結合体の代表例である配列番号42の三重活性体の持続型結合体の単独投与群、FXR作用剤の単独投与群、ACC阻害剤の単独投与群、配列番号42の三重活性体の持続型結合体とFXR作用剤の複合投与群、そして配列番号42の三重活性体の持続型結合体とACC阻害剤及びFXR作用剤の三重複合投与群のCD-HFDマウスモデルの肝組織でhydroxyproline含量を測定した。
【0341】
その結果、三重活性体の持続型結合体の投与は、ACC阻害剤及びFXR作用剤の単独投与群よりhydroxyprolineの含量をさらに減少させた。また、三重活性体の持続型結合体の投与により有意に減少したhydroxyproline含量がFXR作用剤との複合投与、そしてACC阻害剤及びFXR作用剤の三重複合投与時、hydroxyproline含量がより効果的に減少したことが観察できた(図2)。
【0342】
これにより、本発明の三重活性体又はその持続型結合体のfibrosis治療効能がFXR作用剤との複合投与、又はFXR作用剤とACC阻害剤との三重複合投与で、より効果的に改善できることを確認することができた。
【0343】
前記のような結果は、本発明の三重活性体又はその持続型結合体がFXR作用剤との複合投与、又はFXR作用剤とACC阻害剤との三重複合投与により多様な非アルコール性脂肪肝疾患の治療効果をより改善できることを示唆することであり、新たな複合投与製剤、又は三重複合投与製剤として利用できることを示唆することである。
【0344】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
【図
【配列表】
2023535382000001.app
【国際調査報告】