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特表2023-535393逆止弁を有する流体ラインクイックコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】逆止弁を有する流体ラインクイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/28 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
F16L37/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504101
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 US2021042327
(87)【国際公開番号】W WO2022020320
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/053,861
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503469175
【氏名又は名称】ノーマ・ユー・エス・ホールディング・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】NORMA U.S. HOLDING LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルケス・カリーリョ,ホルヘ・アルベルト
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AA02
3J106AA06
3J106AB01
3J106BA01
3J106CA01
3J106GA01
3J106GA05
3J106GA27
3J106GB01
(57)【要約】
潜在的な用途の中でも特に電気自動車用途の冷却水流体ラインなど、流体ラインを結合するための流体ラインクイックコネクタ。流体ラインクイックコネクタの通路を通過する不要な逆流を防止するために、逆止弁が流体ラインクイックコネクタに組み込まれている。逆止弁は、剛性の仕切壁と可撓性のダイヤフラムとを備える。仕切壁には、1つ以上の貫通孔が内部に設けられている。ダイヤフラムは貫通孔(複数可)を閉じ、貫通孔(複数可)の一部または複数を開くために、仕切壁に対して相対的に移動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインクイックコネクタであって、
通路を有する筐体と、
前記通路を横切って延在し、少なくとも1つの貫通孔が内部に設けられた仕切壁と、
前記仕切壁の下流側に位置するダイヤフラムとを備え、前記少なくとも1つの貫通孔は、前記ダイヤフラムによって閉じられ、前記少なくとも1つの貫通孔を通過する流体流れの移動と、前記流体流れの移動によって前記仕切壁の下流に前記ダイヤフラムを移動させることとによって、前記少なくとも1つの貫通孔は開閉可能である、流体ラインクイックコネクタ。
【請求項2】
前記筐体は軸部分を有し、前記通路は前記軸部分を通って延び、前記仕切壁は前記軸部分において前記通路を横切って延在する、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項3】
前記流体流れの移動によって前記ダイヤフラムが前記仕切壁の下流に移動させられると、前記仕切壁は静止したままである、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項4】
前記仕切壁は剛性構造であり、前記ダイヤフラムは可撓性構造である、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの貫通孔は、前記仕切壁に設けられた複数の貫通孔であり、前記複数の貫通孔は、前記仕切壁の径方向外側領域で前記仕切壁に位置する、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項6】
前記仕切壁は、開口部が内部に設けられ、前記ダイヤフラムは延在部を有し、前記ダイヤフラムは、前記延在部と前記開口部との間の係合によって前記仕切壁に固定されている、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項7】
前記開口部および前記延在部は、前記仕切壁および前記ダイヤフラムのそれぞれの中央領域に位置する、請求項6に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの貫通孔が開かれ、かつ前記ダイヤフラムが前記流体流れの移動によって前記仕切壁の下流に移動させられると、前記延在部は、前記開口部内で軸方向に移動する、請求項6に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの貫通孔が前記ダイヤフラムによって閉じられると、前記延在部は、前記開口部内を第2の反対の軸方向に移動する、請求項8に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項10】
前記ダイヤフラムと前記仕切壁との間の表面同士の当接によって、前記少なくとも1つの貫通孔が閉じる、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの貫通孔を通過する流体流れの移動によって前記少なくとも1つの貫通孔が開かれ、かつ前記ダイヤフラムが前記流体流れの移動によって前記仕切壁の下流に移動させられると、前記ダイヤフラムと前記仕切壁との向かい合う面の間にクリアランスが設けられる、請求項10に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項12】
前記ダイヤフラムを移動させ、それに伴って前記少なくとも1つの貫通孔を開くことは、前記仕切壁から離れるような前記ダイヤフラムの下流方向への運動と、前記ダイヤフラムの屈曲運動とを含む、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項13】
前記ダイヤフラムは前記仕切壁に固定され、前記固定は、前記ダイヤフラムまたは前記仕切壁の一方の延在部と、前記ダイヤフラムまたは前記仕切壁の反対側の開口部とを含む、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項14】
前記延在部は、前記開口部に移動可能に収容される、請求項13に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項15】
前記仕切壁と前記ダイヤフラムとは、共に前記流体ラインクイックコネクタの逆止弁を構成し、前記逆止弁は、前記仕切壁および前記ダイヤフラム以外の追加の別個の構成要素を含まない、請求項1に記載の流体ラインクイックコネクタ。
【請求項16】
流体ラインクイックコネクタであって、
通路を有する筐体と、
前記通路内に位置し、少なくとも1つの貫通孔が内部に設けられた仕切壁と、
前記仕切壁の下流側に位置するダイヤフラムと、
前記仕切壁または前記ダイヤフラムの一方から延びる延在部と、前記仕切壁または前記ダイヤフラムの他方に位置する開口部とを備え、前記延在部が前記開口部に収容されると、前記ダイヤフラムは前記仕切壁に移動可能に固定され、
前記仕切壁と前記ダイヤフラムとの表面同士の間の当接によって前記少なくとも1つの貫通孔が閉じ、前記延在部を介して前記仕切壁と前記ダイヤフラムとが軸方向に分離されると、前記少なくとも1つの貫通孔が開く、流体ラインクイックコネクタ。
【請求項17】
前記延在部は、軸部分とフランジ付き端部とを有し、前記軸部分は前記開口部に収容され、前記少なくとも1つの貫通孔が閉じられると、前記フランジ付き端部と前記仕切壁または前記ダイヤフラムとの対向する表面の間に第1のクリアランスが設けられ、前記少なくとも1つの貫通孔が開くと、前記仕切壁または前記ダイヤフラムと前記仕切壁または前記ダイヤフラムの他方との対向面との間に第2のクリアランスが設けられる、請求項16に記載の液体ラインクイックコネクタ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの貫通孔が開くと、前記ダイヤフラムの径方向外側領域と前記通路の内側面との間に、クリアランスが設けられ、前記クリアランスは、前記少なくとも1つの貫通孔を通過する流体流れの移動に応じた前記ダイヤフラムの屈曲運動によってもたらされる、請求項16に記載の液体ラインクイックコネクタ。
【請求項19】
流体ラインクイックコネクタであって、
通路を有する筐体と、
前記通路を横切って延在し、少なくとも1つの貫通孔が内部に設けられ、剛性構造である仕切壁と、
前記仕切壁の下流側に位置し、可撓性構造であるダイヤフラムと、
前記仕切壁または前記ダイヤフラムの一方から延びる延在部と、前記仕切壁または前記ダイヤフラムの他方に設けられた開口部とを備え、前記延在部が前記開口部に収容されると、前記ダイヤフラムは前記仕切壁に移動可能に固定され、前記延在部は、軸部分とフランジ付きの端部とを有し、
前記少なくとも1つの貫通孔が閉じられると、前記フランジ付き端部と前記仕切壁または前記ダイヤフラムとの対向する表面の間に第1のクリアランスが設けられ、前記少なくとも1つの貫通孔が開くと、前記仕切壁と前記ダイヤフラムとの対向する面の間に第2のクリアランスが設けられ、前記ダイヤフラムと前記通路の内側面との間に第3のクリアランスが設けられる、流体ラインクイックコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、出願日が2020年7月20日である米国仮特許出願第63/053,861号の利益を主張し、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、一般に、流体ラインを互いに結合するために使用されるクイックコネクタ、ならびにクイックコネクタおよび流体ラインと共に使用される逆止弁に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
コネクタ、特にクイックコネクタ機能を有するコネクタは一般に、車両用途において流体ラインを結合するために使用されている。一例は、電気自動車において付随するバッテリの温度を管理するための冷却液流体ラインである。さらに、自動車用および非自動車用における他の例がある。流体がその意図された方向にのみ移動することを保証し、反対方向および意図しない方向の流体の移動を防止するために、クイックコネクタおよび流体ラインと共に使用される逆止弁が採用される場合がある。逆止弁は、連続する流体ラインの間に設置することも、クイックコネクタ自体の近くに設置することも可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態において、流体ラインクイックコネクタは、筐体と、仕切壁と、ダイヤフラムとを備え得る。筐体は、通路を有する。仕切壁は、通路を横切って延在する。仕切壁には、1つ以上の貫通孔が内部に設けられている。ダイヤフラムは、仕切壁の下流側に位置する。貫通孔(複数可)は、貫通孔(複数可)を通過する流体流れの移動と、流体流れの移動によって仕切壁の下流へダイヤフラムを移動させることとによって、開閉可能である(すなわち、開くことができる)。
【0005】
一実施形態において、流体ラインクイックコネクタは、筐体と、仕切壁と、ダイヤフラムと、延在部と、開口部とを備え得る。筐体は、通路を有する。仕切壁は、通路内に位置する。仕切壁には、1つ以上の貫通孔が内部に設けられている。ダイヤフラムは、仕切壁の下流側に位置している。延在部は、仕切壁から延びるか、またはダイヤフラムから延びる。開口部は、仕切壁に設けられているか、またはダイヤフラムに設けられており、いずれにせよ、そこから延在部が延びる反対側の部品である。延在部が開口部に収容されると、ダイヤフラムは、仕切壁に可動に(すなわち、移動可能に)固定される。仕切壁とダイヤフラムとが表面同士で当接すると、貫通孔(複数可)が閉じられる。また、延在部によって仕切壁とダイヤフラムとを軸方向に分離すると、貫通孔(複数可)が開く。
【0006】
一実施形態において、流体ラインクイックコネクタは、筐体と、仕切壁と、ダイヤフラムと、延在部と、開口部とを備え得る。筐体は、通路を有する。仕切壁は、通路を横切って延在する。仕切壁には、1つ以上の貫通孔が内部に設けられている。仕切壁は、剛性構造である。ダイヤフラムは、仕切壁の下流側に位置する。ダイヤフラムは、柔軟な構造である。延在部は、仕切壁から延びるか、またはダイヤフラムから延びる。開口部は、仕切壁に位置するか、またはダイヤフラムに位置し、いずれにせよ、そこから延在部が延びる反対側の構成要素である。延在部が開口部に収容されると、ダイヤフラムは仕切壁に可動に(すなわち、移動可能に)固定される。延在部は、軸部分と、フランジ付きの端部とを有する。貫通孔(複数可)が閉じられると、フランジ付き端部と、仕切壁またはダイヤフラムとの対向する表面の間に、第1のクリアランスが設けられる。貫通孔(複数可)が開くと、仕切壁とダイヤフラムとの対向する面の間に、第2のクリアランスが設けられる。そして、貫通孔(複数可)が開くと、ダイヤフラムと通路の内面との間に、第3のクリアランスが設けられる。
【0007】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】流体ラインクイックコネクタおよび逆止弁の一実施形態を示す断面図である。
図2】閉状態の逆止弁を単独で示す側面図である。
図3】閉状態の逆止弁の正面図である。
図4】開状態の逆止弁の側面図である。
図5】開状態の逆止弁の正面図である。
図6】逆止弁の仕切壁の正面図である。
図7】逆止弁のダイヤフラムの側面図である。
図8】ダイヤフラムの正面図である。
図9】ダイヤフラムの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
図を参照すると、流体ラインクイックコネクタ(以下、クイックコネクタ)12の設計および構造に組み込まれ、そこに内蔵された逆止弁10の実施形態が示されている。逆止弁10は、意図した方向の流体流れの移動を可能にし、意図しない方向の流体流れの移動を防止して、不要な逆流を防ぐものである。既知のコネクタと逆止弁との組み合わせと異なり、逆止弁10とクイックコネクタ12とは、洗練された統合を有しており、そのような統合によって、逆止弁10は、統合に対応するためにクイックコネクタ自体の元の設計に対して最小限の修正を行うだけで、場合によっては全く修正することなく、さまざまなタイプのクイックコネクタと使用する互換性を有する。多様なクイックコネクタに、逆止弁10を容易に後付けすることができる。クイックコネクタの筐体の外観の形状変更、サイズ変更、および/またはその他の変更は最小限に抑えられ、場合によっては全く不要となる。自動車用途ではしばしば柔軟性に欠けることがある、より広い用途のパッケージング要求は、それゆえ、逆止弁10の使用によって免れ、悪化することはない。この説明では、逆止弁10およびクイックコネクタ12を、電気自動車における冷却液流体ラインなどの自動車用流体ラインの文脈で表すが、逆止弁10およびクイックコネクタ12はより広い用途を持ち、航空機用流体ライン、海洋流体ライン、農業用流体ライン、および他の流体ラインでの使用に好適である。さらに、特に指定しない限り、径方向、軸方向、および円周方向という用語、ならびにそれらの文法的変化は、図示されるような逆止弁10およびその構成要素の概ね円形形状に対する方向を指す。下流および上流という用語は、クイックコネクタ12を通過する、意図された流体流れの移動の方向に対する方向を指す。
【0010】
クイックコネクタ12は、スピゴットとの素早い接続および切断動作のためのクイックコネクタ機能を有し、たとえば、ゴムホースまたはプラスチックチューブと接続可能である。クイックコネクタ12は、他の潜在的な影響の中でも特に、それが設置されるより広い用途、付随するスピゴット、ホース、ならびに/またはチューブの設計および構造、ならびに設けられる接続および接合の意図された属性に応じて、異なる実施形態においてさまざまな設計、構造、および構成要素を有し得る。例として、図1に示されたクイックコネクタ12は、角度のあるエルボー状の全体構成を有するが、他の実施形態ではインライン構成を有し得る。図1を参照すると、本実施形態では、クイックコネクタ12は、本体または筐体14を含む。筐体14は、プラスチック材料で構成され得る。主通路16は、第1の開放端18と第2の開放端20との間で、筐体14を通って延びる。流体流れは、主通路16を通過して、第1の開放端18から第2の開放端20へ、流れ方向Fに移動する。筐体14の主壁22は、主通路16を画定する内面24を有する。筐体14は、主要セクションまたは部分26と、軸セクションまたは部分28とを有する。関連するスピゴットは、第1の開放端18でクイックコネクタ12に挿入される一方で、軸部分28は、関連するホース/チューブを収容する。段差30が、主要部分26と軸部分28との間の移行部に設けられている。さらに、クイックコネクタ12は、主壁22に設けられた開口31を介したスピゴットの挿入を確実にするための、保持器ばね等の追加の構成要素を含むことができ、スピゴットが挿入されるとスピゴットとの封止を確保するための1つまたは複数のOリングを含み得る。
【0011】
電気自動車における冷却液流体ラインの用途例では、付随するバッテリの温度を管理するために、グリコールのような冷却液をバッテリに循環させる。ある種の冷却水システムにおけるバッテリ温度の管理は、温度を、バッテリの性能を最適化するための目標範囲内に維持することを含み得る。冷却水は、異なる流量および時間でバッテリに循環させることができる。このような循環の中で、冷却液流体ライン間に背圧状態が発生することがあり、これが解消されないままだと、冷却液の流れの方向が逆になり、所望の冷却効果が阻害されることがあると判明している。そのため、冷却液流体ラインの特定の場所に逆止弁を設置して、冷却水の逆流を防止することがある。また、逆止弁は冷却液流体ラインに組み付けられるコネクタと組み合わされていることもある。しかしながら、これまでのコネクタと逆止弁との組み合わせは、不必要に複雑であったり、個別部品が不必要に多く含まれていたりすることがある。さらに、これまでの組み合わせは、しばしば特定のコネクタ用に独自に設計された逆止弁を有していたため、逆止弁は、過度に再構成されない限り、他のコネクタとほとんど互換性がない。そして、これまでの組み合わせは、一般に、逆止弁を収容するために特別に設計されたコネクタ筐体を必要としていた。
【0012】
特定の実施形態では、逆止弁10は、これらの以前の欠点の一部またはすべてを解決する。逆止弁10は、クイックコネクタ12の内部で、筐体14の主通路16内に設置される。逆止弁10は、図1の実施形態では軸部分28において段差30に配置されているが、他の実施形態では他の位置も可能である。流体流れの移動は、逆止弁10を介して流れ方向Fに可能になり、反対方向に防止および阻止される。したがって、逆止弁10は一方向逆止弁である。逆止弁10は、他の潜在的な要因の中でも特に、許可されるおよび阻止される流体流れの意図された属性に応じて、異なる実施形態においてさまざまな設計および構造を有し得る。図示された実施形態では、逆止弁10は、仕切壁32とダイヤフラム34との合計2つの構成要素を含む。さらに、逆止弁10は、他の実施形態において、より多くのおよび/または異なる構成要素を含むことができる。
【0013】
仕切壁32は、逆止弁10の使用中、ダイヤフラム34を保持および支持する。仕切壁32は、逆止弁10が流体流れの移動を可能に、かつ防止するように機能する場合は静止したままである、剛性の一体型構造である。仕切壁32は、主通路16の形状を補完する円盤形状を有している。仕切壁32は、主通路16において所定の位置に固定され、筐体14の一体的かつモノリシックな構造であってもよいし、主通路16において所定の位置に装入および固定される分離した別個の構成要素であってもよい。仕切壁32は、プラスチック材料で構成することができる。図1を参照すると、仕切壁32は、主通路16を横切って延在し、主通路16を横切って径方向および全体的に延びる。その延在部は、流れ方向Fを概ね横切っている。次に図3図5、および図6を参照すると、ダイヤフラム34の構成要素を収容するための開口部36が仕切壁32に位置する。開口部36は、第1の軸方向対向面37から第2の軸方向対向面39まで仕切壁32を完全に通過して広がり、おそらく図6に最もよく示されているように、仕切壁32の円盤形状に対して中央領域に位置する。
【0014】
1つまたは複数の貫通孔38は、逆止弁10が開状態のときに仕切壁32を通過する流体流れの通過を可能にするために、仕切壁32に位置する。貫通孔(複数可)38は、他の潜在的な要因の中でも特に、仕切壁32を横切る流量を最大化し圧力損失を最小化するという、特定の用途における要望に応じて、異なる実施形態においてさまざまな量、位置、パターン、および形状を有し得る。図の実施形態では、複数の、合計8個の貫通孔38が設けられている。これらの8個の貫通孔38は、仕切壁32の周囲に周方向に間隔をおいて配置され、仕切壁32の径方向外側領域で、開口部36に対して径方向外側に位置している。さらに、貫通孔38は、仕切壁32の外周部40に対して径方向内側に位置している。各貫通孔38は、第1の軸方向対向面37と第2の軸方向対向面39との間において、仕切壁32を完全に通って延びる。そして、本実施形態における各貫通孔38は、円形状である。さらに、他の実施形態では、8個より多いまたは少ない貫通孔38を設けることができ、貫通孔38は図示よりも径方向内側にまたは径方向外側に位置することも可能である、および/または、貫通孔38は、楕円形、三角形、四角形、または菱形などの形状であることも可能である。
【0015】
ダイヤフラム34は、逆止弁10の使用中に逆止弁10を開状態および閉状態にするために、仕切壁32に対して移動する。ダイヤフラム34は、一般に、流れ方向Fに対して仕切壁32の下流側に位置する。次に図7図9を参照すると、ダイヤフラム34は、貫通孔38を通過する流体流れの移動に応じて摺動および屈曲する、柔軟な一体型構造である。ダイヤフラム34は、ゴム材料で構成することができる。ダイヤフラム34は本体42を有しており、この本体42は、図示の実施形態では仕切壁32と同様の大きさおよび形状であるが、他の実施形態では他の方法で、逆止弁10が閉状態のときに貫通孔38を覆って閉じるような他の大きさおよび形状であり得る。仕切壁32とは異なり、本体42は、仕切壁32に対して主通路16に相対的に、その位置においてある程度移動するものである。本体42は、本実施形態では、その構造に開口部または他の空隙がない。本体42は、第1の軸方向対向面44と、第2の軸方向対向面46とを有する。図9に描かれているように、本体42にあるレベルの構造的完全性をもたらすために、リブ48のウェブが第1の軸方向対向面44に配置されている。
【0016】
延在部50は、本体42に軸方向に依存し、ダイヤフラム34と仕切壁32とを固定するために使用される。この固定は、延在部50と開口部36との間の係合ならびに移動可能な挿入および収容によって実施される。延在部50は、第2の軸方向対向面46から延びており、本体42の円盤形状に対して本体42の中央領域に設けられている。延在部50は、本体42の一体的かつモノリシックな構造とすることができる、または、本体42に取り付けられる分離した別個の構成要素とすることができる。延在部50は、開口部36への固定を実施するために、異なる実施形態においてさまざまな設計および構造を有し得る。特に図7を参照すると、本実施形態では、延在部50は、軸部分52と、フランジ付き端部54とを有する。軸部分52は、第2の軸方向対向面46から直ちに軸方向に延在する。軸部分52は、その軸方向の範囲にわたって均一な直径を有する。その直径は、逆止弁10の使用中に促されると軸部分52が開口部36内で軸方向に前後に摺動できるように、開口部36の直径よりわずかに小さい値を有し得る。フランジ付き端部54は、延在部50の自由端を構成する。フランジ付き端部54は、開口部36を通る最初の挿入のために、および仕切壁32に対するその後の保持のために、形成されている。本実施形態では、フランジ付き端部54は、円錐形状を有する。フランジ付き端部54は、尖った末端56に向かって先細りになっており、末端56の反対側に平面状の保持表面58を有する。尖った末端56とそこからの拡がりとによって、ダイヤフラム34と仕切壁32とを互いに組み付けて固定するために、フランジ付き末端部54を開口部36を通して挿入することが容易になる。平面状の保持面58は、フランジ付き端部54の最も広い範囲を構成し、軸部分52の最も広い範囲より広い。
【0017】
使用中、仕切壁32およびダイヤフラム34は、逆止弁10を開状態にしてその先の流体流れの移動を可能にし、逆止弁10を閉状態にしてそこでの流体流れの移動を防止するように、協働する。開状態は図4および図5に描かれており、閉状態は図2および図3に描かれている。開状態および閉状態は、主通路16の内部および逆止弁10において生じる流体流れの存在および方向によって引き起こされる。流体流れが流れ方向Fに移動すると、逆止弁10は、開状態にもたらされ維持され得る。流体流れの移動は、その上流側で仕切壁32に対面し、貫通孔38を通過する。ダイヤフラム34にかかる圧力によって、仕切壁32に対してダイヤフラム34が移動する。図の実施形態では、逆止弁10が開弁中であるとき、ダイヤフラム34は少なくとも2種類の運動を生じる。ダイヤフラム34は、下流側に移動し仕切壁32から離れるが、それ自体は移動しない。構成要素の形状に対する、ここでの運動は軸方向である。軸部分52は、開口部36内を摺動し、本体42を仕切壁32から分離し、仕切壁32の第2の軸方向対向面39および本体42の第2の軸方向対向面46の対向し向かい合う面の間に、第1のクリアランス60(図4)を設ける。第1のクリアランス60は、第2の軸方向対向面39,46の間の軸方向間隔である。保持面58と第1の軸方向対向面37との表面同士が当接するとこの運動が止まり、仕切壁32とダイヤフラム34との間が明白に剥離しさらに分離するのを防ぐ。
【0018】
さらに、開口中のダイヤフラム34が生じる第2の種類の運動は、屈曲運動である。本体42の径方向外側領域が下、流方向に屈曲する。その結果、図4に示すように、本体42は弧を描いて湾曲する。本体42の可撓性により、この運動が容易になる。そして、本体42と主通路16の内面24との間に、第2のクリアランス62が設けられる。第2のクリアランス62は、本体42の周方向に延びる。第2のクリアランス62は、径方向の間隔であり、リング状の間隔とすることもできる。流体流れは、逆止弁10が開状態にあるとき、第2のクリアランス62を通過して移動する。さらに、特定の実施形態では、本体42の特定の設計および構造に応じて、ダイヤフラム34の両方の運動が必ずしも開口中に起こる必要はなく、むしろ、これらの運動のうちの一方(すなわち、下流分離または屈曲)のみが起こって逆止弁10を開口させることも可能である。
【0019】
逆に、クイックコネクタ12で背圧状態が生じた場合、逆止弁10を閉状態にして維持することができる。背圧流体流れは、流れ方向Fと反対の方向に移動し、図1では参照記号BPによって示されている。次に図2および図3を一般的に参照すると、流体流れの移動は、本体42の第1の軸方向対向面44に対面する。第1の軸方向対向面44を介してダイヤフラム42にかかる圧力によって、仕切壁32に対してダイヤフラム34が移動する。逆止弁10を閉じさせる直前に開状態だった場合、逆止弁10を閉じる運動は、開く運動の逆である。ダイヤフラム34は、仕切壁32に向かって軸方向と反対方向に移動する。軸部分52が開口部36内を摺動して、本体42と仕切壁32とが一体となり、第1のクリアランス60が閉じられる。保持面58と第1の軸方向対向面37とは相互に離れて、それらの対向し向かい合う面の間に、第3のクリアランス64(図2)が設けられる。さらに、それまで弧を描いて湾曲していた本体42は、図2および図3に示すように、平面状の構成に押される。仕切壁32の第2の軸方向対向面39と本体42の第2の軸方向対向面46との間の表面同士の当接によって、貫通孔38が閉じ、流れ方向Fと反対の方向からそこを通過する流体流れの移動が阻止される。本体42は、貫通孔38を完全に覆っている。
【0020】
さらに、本実施形態の逆止弁10は、仕切壁32とダイヤフラム34という比較的単純な設計および構造の2つの構成要素を含むため、逆止弁10は、クイックコネクタ自体の元の設計に対して最小限の修正を行うだけで、多くの場合は全く変更することなく、さまざまなタイプのクイックコネクタとの使用に適合させることが可能である。例として、仕切壁32およびダイヤフラム34の全径は、異なるサイズのクイックコネクタの内部および通路に設置するために、増加または減少させることができる。
【0021】
さらに、他の実施形態では、逆止弁10は、変更された設計および構造を有し得る。たとえば、延在部50は、ダイヤフラム34からではなく仕切壁32から延在してもよく、ダイヤフラム34は、延在部50を収容するための開口部36を有してもよい。図1に示す延在部50とは異なり、この代替的な実施形態における仕切壁32から延在する延在部50は、描かれているのとは反対側の軸方向に向けられることになろう。さらに、この代替的な実施形態における延在部50および開口部36の機能は、説明したものと実質的に同じであろう。すなわち、逆止弁10が開状態および閉状態にもたらされると、ダイヤフラム34は、仕切壁32に対して、延在部50の周囲で移動するであろう。
【0022】
前述の説明は、本発明を定義するものではなく、本発明の1つまたは複数の好ましい例示的な実施形態の説明であることを理解されたい。本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態(複数可)に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。さらに、前述の説明に含まれる記述は、特定の実施形態に関するものであり、用語またはフレーズが上記で明示的に定義されている場合を除き、本発明の範囲または特許請求の範囲で用いられる用語の定義に対する制限として解釈されるべきではない。さまざまな他の実施形態、ならびに開示された実施形態(複数可)に対するさまざまな変更および修正は、当業者にとって明らかになるであろう。すべてのそのような他の実施形態、変更および修正は、添付の特許請求の範囲内であることが意図されている。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「たとえば(for example)」、「例として(for instance)」、および「など(such as)」という用語、ならびに「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」という動詞およびそれらの他の動詞形態は各々、1つもしくは複数の構成要素または他の項目のリストと関連して用いられる場合、オープンエンドであると解釈されるとみなされ、リストが他の追加の構成要素または項目を除外すると見なされないことを意味する。その他の用語は、異なる解釈を必要とする文脈で使用されない限り、最も広い合理的な意味を用いて解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】