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特表2023-535411多層システム、コンポーネント、及びそのような多層システム又はコンポーネントを生成するための方法
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  • 特表-多層システム、コンポーネント、及びそのような多層システム又はコンポーネントを生成するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】多層システム、コンポーネント、及びそのような多層システム又はコンポーネントを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20230809BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20230809BHJP
   C01B 21/076 20060101ALI20230809BHJP
   C01B 32/90 20170101ALI20230809BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20230809BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B32B9/00 A
C23C26/00 B
C01B21/076 Z
C01B32/90
C01B32/05
B32B15/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504292
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 DE2021100764
(87)【国際公開番号】W WO2022073541
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020126195.0
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021123832.3
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】リカルド エンリケ ブルニャーラ
(72)【発明者】
【氏名】ナズリム バジヴァン
(72)【発明者】
【氏名】エトガー シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シュマールヴァッサー
【テーマコード(参考)】
4F100
4G146
4K044
【Fターム(参考)】
4F100AA12A
4F100AA12D
4F100AA13A
4F100AA15A
4F100AA37B
4F100AB03E
4F100AB09C
4F100AB11D
4F100AB12C
4F100AB31C
4F100AB40A
4F100AD11B
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100EH66A
4F100EH66B
4F100EH66C
4F100EH66D
4F100EH66E
4F100EJ65C
4F100GB31
4F100GB51
4F100JB02A
4F100JK09B
4F100JK16
4G146AA05
4G146AA15
4G146AA16
4G146AB07
4G146AD40
4G146BC09
4G146BC10
4K044AA02
4K044AB10
4K044BA01
4K044BA02
4K044BA18
4K044BB05
4K044BC01
4K044BC02
4K044BC06
4K044CA13
4K044CA14
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの防食層(2)と、摩耗保護層(3)と、を備える、多層システム(1、1’、1’’、1’’’)であって、防食層(2)が、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む、金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、金属窒化物又は金属炭窒化物が、少なくとも1つの希土類金属を更に含み、摩耗保護層(3)が、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層によって形成されている、多層システム(1、1’、1’’、1’’’)に関する。本発明はまた、そのような多層システム(1、1’、1’’、1’’’)を有するコンポーネント(8)、及び多層システム(1、1’、1’’、1’’’)又はコンポーネント(8)を生成するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの防食層(2)と、摩耗保護層(3)と、を備える、多層システム(1、1’、1’’、1’’’)であって、前記防食層(2)が、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む、金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、前記金属窒化物又は前記金属炭窒化物が、少なくとも1つの希土類金属を更に含み、前記摩耗保護層(3)が、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層によって形成されている、多層システム(1、1’、1’’、1’’’)。
【請求項2】
前記金属窒化物又は前記金属炭窒化物が、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含んで更に形成されている、請求項1に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)。
【請求項3】
ガドリニウム、又はセリウム、又はランタン、又は前記元素のうちの2つ若しくは3つの混合物が、前記希土類金属として存在する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)。
【請求項4】
前記防食層(2)が、TiMgGdN、又はTiMgGdCN、又はTiMgCeN、又はTiMgCeCN、又はTiMgLaN、又はTiMgLaCNを含んで形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)。
【請求項5】
前記防食層(2)が、前記摩耗保護層(3)から離れて面する側で金属接着促進層(5)に隣接している、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層システム(1’’、1’’’)。
【請求項6】
前記金属接着促進層(5)が、クロム、又はチタン、又はジルコニウム、又はマグネシウム、又はガドリニウム、又は前記金属のうちの2つ若しくは3つの混合物から形成されている、請求項5に記載の多層システム(1’’、1’’’)。
【請求項7】
前記防食層(2)が、前記摩耗保護層(3)に面する側で中間層(4)に隣接しており、前記中間層が、シリコンドープされた金属窒化物又はシリコンドープされた金属炭窒化物から形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層システム(1’、1’’)。
【請求項8】
前記摩耗保護層(3)が、タイプa-C、又はa-C:H、又はta-C、又はta-C:Si、又はta-C:H:O:Si、又はa-C:H:Si、又はa-C:H:O:Si、又はa-C:H:N、又は少なくとも2つのそのような炭素層の組み合わせのうちの少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)。
【請求項9】
前記防食層(2)が、0.5~10μmの範囲の厚さを有し、及び/又は、前記摩耗保護層(3)が、0.1~10μmの範囲の厚さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)。
【請求項10】
表面(6a)を有する金属基板(6)と、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)と、を備える、コンポーネント(8)であって、前記多層システム(1、1’、1’’、1’’’)が、前記摩耗保護層(3)が、前記基板(6)から離れて面するカバー層(7)を形成するように、前記表面(6a)上に少なくとも部分的に形成されている、コンポーネント(8)。
【請求項11】
前記コンポーネントが、転がり軸受けコンポーネント、又は滑り軸受けコンポーネント、又はトライボロジー接触に使用され、かつ更に腐食媒体と接触しているコンポーネントである、請求項10に記載のコンポーネント(8)。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の多層システム(1、1’、1’’、1’’’)、又は請求項10若しくは11のいずれか一項に記載のコンポーネント(8)を生成するための方法であって、前記多層システム(1、1’、1’’、1’’’)が、PVDプロセス及び/又はPACVDプロセスによって形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの防食層と、1つの摩耗保護層と、を備える、多層システムに関する。本発明はまた、表面を有する金属基板と、多層システムと、を備える、コンポーネントに関する。更に、本発明は、そのような多層システム又はコンポーネントを生成するための方法に関する。
【0002】
硬質クロム層は現在、使用される鋼を腐食及び機械的摩耗から保護するために、防食層及び摩耗保護層として、自動車産業において使用されている。このような硬質クロム層は通常、クロム(VI)を含む電解質浴を使用して生成されるが、これは現在、環境の観点から疑わしいものとして分類されており、それらの使用は、ますます法的な制限を受けるようになっている。したがって、硬質クロム層を、より環境に優しい様態で生成することができるコーティングで置き換える必要がある。
【0003】
少なくとも1つの防食層と、1つの摩耗保護層と、を備える、多層システムは、DE102013209030A1からすでに知られている。本明細書には、金属コンポーネント上に形成されている、化学的に、直流的に、又はPVD/PACVDプロセスによって形成された層の形態の少なくとも1つの摩耗保護層を含む、金属コンポーネントのための腐食保護が記載されている。ALD(=原子層堆積)プロセスによって形成される少なくとも1つの防食層は、摩耗保護層上に配置されている。しかしながら、ALDプロセスは、自動車業界で大量使用にはあまり好適ではない。
【0004】
DE102004044919Aは、耐火金属窒化マグネシウムに基づいて、基板を、腐食、摩耗、及び酸化から保護するための装飾コーティング、及びその生成方法を記載している。
【0005】
本発明の目的は、更に一層信頼性の高い腐食及び摩耗保護を提供し、大量に製造することができる代替的な多層システムを提供することである。更に、本発明の目的は、そのような多層システムを有するコンポーネントを提供すること、及びそのような多層システム又はコンポーネントを生成するための方法を開示することである。
【0006】
目的は、少なくとも1つの防食層と、摩耗保護層と、を備える、多層システムであって、防食層が、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む、金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、金属窒化物又は金属炭窒化物が、少なくとも1つの希土類金属を更に含み、かつ摩耗保護層が、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層によって形成されている、多層システムに対して達成される。
【0007】
多層システムにより、金属基板の効果的な腐食及び摩耗保護が保証される。摩耗保護層が直接又は間接的に防食層を保護し、かつ機械的負荷に耐えるため、機械的攻撃及び腐食攻撃の両方に耐えることができる。摩耗保護層は、好ましくは、トライボロジーシステムにおいてそれと摩擦接触している接触相手に対して摩擦低減特性を有する。
【0008】
多層システムはまた、低生産コストで大量に生産することもできるため、自動車産業での使用に好適である。
【0009】
特に防食層は、10~40原子%のチタン及び/又は15~50原子%のマグネシウムを有する。防食層中の少なくとも1つの希土類金属の濃度は、好ましくは0.1~15原子%の範囲である。
【0010】
好ましくは、防食層を形成するための金属窒化物又は金属炭窒化物は、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を更に含んで形成される。防食層中のそれらの濃度は、好ましくは10~40原子%の範囲である。
【0011】
特に好ましくは、金属窒化物又は金属炭窒化物は、希土類金属としてのガドリニウム、又はセリウム、又はランタン、又は当該元素のうちの2つ若しくは3つの混合物を含む。
【0012】
特に、防食層は、TiMgGdN、又はTiMgGdCN、又はTiMgCeN、又はTiMgCeCN、又はTiMgLaN、又はTiMgLaCNを含んで形成されている。
【0013】
TiMgREN(RE=希土類)などの金属窒化物に基づく防食層及びその腐食挙動は、出版物「Corrosion and wear protection of mild steel substrates by innovative PVD coatings」、Holger Hoche,Casper Pusch,Matthias Oechsner,Surface&Coatings Technology391(2020)に記載されており、https://doi.org/10.1016/j.surfcoat.2020.125659を参照されたい。
【0014】
防食層が、摩耗保護層から離れて面する側で金属接着促進層に隣接している場合、有利であることが証明されている。特に、金属接着促進層は、クロム、又はチタン、又はジルコニウム、又はマグネシウム、又はガドリニウム、又は当該金属のうちの2つ若しくは3つの混合物から形成されている。接着促進層は、多層システムの金属基板への機械的結合を改善するのに役立つ。
【0015】
防食層は、好ましくは、摩耗保護層に面する側で中間層に隣接しており、中間層は、シリコンドープされた金属窒化物又は金属炭窒化物、特にシリコンドープされた金属炭窒化物から形成されている。中間層は、防食層の摩耗保護層への機械的結合を改善するのに役立つ。
【0016】
少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層(=DLC-ダイヤモンド様コーティング)の形態の摩耗保護層は、好ましくは、タイプa-C、又はa-C:H、又はta-C、又はta-C:Si、又はta-C:H:O:Si、又はa-C:H:Si、又はa-C:H:O:Si、又はa-C:H:N、又は少なくとも2つのそのような炭素層の組み合わせのうちの少なくとも1つの層を含む。同じ組成物のいくつかの炭素層を互いの上に形成するか、又は異なる組成物の炭素層を交互にするか、若しくは互いに続けて、摩耗保護層を形成することができる。
【0017】
防食層は、好ましくは、0.5~10μmの範囲、特に0.5~5μmの範囲の厚さを有する。摩耗保護層は、好ましくは、0.1~10μmの範囲、特に0.1~5μmの範囲の厚さを有する。
【0018】
目的は、表面を備える金属基板と、本発明による多層システムと、を備える、コンポーネントによって、更に達成され、多層システムは、摩耗保護層が、基板から離れて面するカバー層を形成するような様態で、基板の表面上に少なくとも部分的に形成されている。金属基板から始めると、順序は、したがって、
-任意選択的な金属接着促進層
-防食層
-任意選択的な中間層
-摩耗保護層(=カバー層)である。
【0019】
特に、金属基板は、鋼で形成されている。この点で、鋼種100Cr6、42CrMo4、又は16MnCr5が特に好ましい。
【0020】
摩耗保護層は、好ましくは、それと摩擦接触している接触相手に対して摩擦低減特性を有する。
【0021】
金属基板、特に鋼の上の以下の多層システムが特に好ましく、本発明では例としてのみ言及されている:
多層システム1:
接着促進層:なし
防食層:TiMgGdN
中間層:なし
摩耗保護層:a-C:H
多層システム2:
接着促進層:なし
防食層:TiMgGdN
中間層:なし
摩耗保護層:a-C:H:Si
多層システム3:
接着促進層:TiMg
防食層:TiMgGdN
中間層:なし
摩耗保護層:a-C:H
多層システム4:
接着促進層:チタン
防食層:TiMgGdN
中間層:TiSiN
摩耗保護層:a-C:H:Si
多層システム5:
接着促進層:チタン
防食層:TiMgCrGdN
中間層:CrSiN
摩耗保護層:a-C:H:Si
多層システム6:
接着促進層:なし
防食層:TiMgGdCN
中間層:なし
摩耗保護層:a-C:H:Si
多層システム7:
接着促進層:TiMg
防食層:TiMgGdCN
中間層:なし
摩耗保護層:a-C:H:Si
多層システム8:
接着促進層:TiMg
防食層:TiMgLaCN又はTiMgCeCN又はTiMgLaN又はTiMgCeN
中間層:なし
摩耗保護層:a-C:H:Si
多層システム9:
接着促進層:TiMgGd
防食層:TiMgGdN
中間層:なし
摩耗保護層:タイプa-C:H及び/又はa-C:H:Siのうちの少なくとも1つの層
多層システム10:
接着促進層:TiMgGd
防食層1:TiMgGdN
防食層2:TiMgGdCN
中間層:なし
摩耗保護層:タイプa-C:H及び/又はa-C:H:Siのうちの少なくとも1つの層
多層システム11:
接着促進層:TiMgGd
防食層:TiMgGdCN
中間層:なし
摩耗保護層:タイプa-C:H及び/又はa-C:H:Siのうちの少なくとも1つの層
多層システム12:
接着促進層:TiMgGd
防食層:TiMgGdCN
中間層:なし
摩耗保護層:タイプta-C:Si及び/又はta-C:H:O:Siのうちの少なくとも1つの層
多層システム13:
接着促進層:TiMgGd
防食層1:TiMgGdN
防食層2:TiMgGdCN
中間層:TiCN又はTiSiCN
摩耗保護層:タイプta-C:Si及び/又はta-C:H:O:Siのうちの少なくとも1つの層
【0022】
本発明によるコンポーネントは、特に、転がり軸受けコンポーネント、又は滑り軸受けコンポーネント、又は腐食媒体に関連してトライボロジー接触で使用されるコンポーネントである。特に、動作中に劣化した、水性潤滑剤、水媒体、及び炭化水素ベースの潤滑剤は、本明細書では腐食媒体とみなされる。
【0023】
目的は更に、本発明による多層システム、又は本発明によるコンポーネントを生成するための方法によって達成され、多層システムは、PVDプロセス及び/又はPACVDプロセスによって形成される。これらの方法は、大量生産、また自動車環境で使用する場合に、費用対効果が高い。
【0024】
図1~6は、例として本発明を説明することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】防食層及び摩耗保護層を備える第1の多層システムを示す。
図2】防食層、中間層、及び摩耗保護層を備える第2の多層システムを示す。
図3】接着促進層、防食層、中間層、及び摩耗保護層を備える第3の多層システムを示す。
図4】接着促進層、防食層、及び摩耗保護層を備える第4の多層システムを示す。
図5図3による、多層システムを有するコンポーネントを示す。
図6】転がり軸受けリングの形態のコンポーネントを示す。
【0026】
図1は、防食層2及び摩耗保護層3を備える、層平面に垂直な断面図における第1の多層システム1を示す。防食層2は、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、金属窒化物又は金属炭窒化物は、少なくとも1つの希土類金属を更に含む。摩耗保護層3は、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層(DLC)によって形成されている。
【0027】
図2は、防食層2、中間層4、及び摩耗保護層3を備える、層平面に垂直な断面図における第2の多層システム1’を示す。防食層2は、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、金属窒化物又は金属炭窒化物は、少なくとも1つの希土類金属を更に含む。摩耗保護層3は、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層(DLC)によって形成されている。中間層4は、シリコンドープされた金属窒化物又は金属炭窒化物、特にシリコンドープされた金属炭窒化物から形成されている。
【0028】
図3は、接着促進層5、防食層2、中間層4、及び摩耗保護層3を備える、層平面に垂直な断面図における第3の多層システム1’’を示す。防食層2は、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、金属窒化物又は金属炭窒化物は、少なくとも1つの希土類金属を更に含む。摩耗保護層3は、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層(DLC)によって形成されている。中間層4は、シリコンドープされた金属窒化物又は金属炭窒化物、特にシリコンドープされた金属炭窒化物から形成されている。金属接着促進層5は、好ましくは、クロム、又はチタン、又はジルコニウム、又はマグネシウム、又はガドリニウム、又は当該金属のうちの2つ若しくは3つの混合物から形成されている。特に、接着促進層5は、本明細書ではTiMgから形成されている。
【0029】
図4は、接着促進層5、防食層2、及び摩耗保護層3を備える、層平面に垂直な断面図における第4の多層システム1’’’を示す。防食層2は、金属として少なくともチタン及びマグネシウムを含む金属窒化物又は金属炭窒化物によって形成されており、金属窒化物又は金属炭窒化物は、少なくとも1つの希土類金属を更に含む。摩耗保護層3は、少なくとも1つのダイヤモンド様無金属炭素層(DLC)によって形成されている。金属接着促進層5は、好ましくは、クロム、又はチタン、又はジルコニウム、又はマグネシウム、又はガドリニウム、又は当該金属のうちの2つ若しくは3つの混合物から形成されている。
【0030】
図5は、表面6aを有する金属基板6と、図3による第3の多層システム1’’と、を備える、多層システムの層平面に垂直な断面図におけるコンポーネント8を示し、第3の多層システム1’’は、摩耗保護層3が基板6から離れて面するカバー層7を形成するような様態で、基板6の表面6a上に部分的に形成されている。
【0031】
図6は、転がり軸受けリングの形態のコンポーネント8を、三次元ビューで示す。コンポーネント8は、図1による多層システム1でその円筒状外側面及びその端面が覆われている環状金属基板6を備える。代替的に、当然のことながら、本発明による他の多層システムも、この点に関して使用することができる。
【0032】
更に、多層システムは、存在する腐食攻撃及び特定の摩耗条件に応じて、基板を完全に又は特定の領域で表面的にのみ覆うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1、1’、1’’、1’’’ 多層システム
2 防食層
3 摩耗保護層
4 中間層
5 接着促進層
6 基板
6a 表面
7 カバー層
8 コンポーネント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】