(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】抗トランスフェリン受容体(TfR)抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20230809BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230809BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230809BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230809BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20230809BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230809BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
A61P21/00
A61K47/68
A61K38/00
A61K45/00
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504620
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021040984
(87)【国際公開番号】W WO2022020105
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521048956
【氏名又は名称】ダイン セラピューティクス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNE THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】1560 Trapelo Road,Waltham,MA 02451,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアン,ロメシュ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】カタナニ,モハマド,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーデン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】デジャルダン,コディ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】クイン,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ナジム,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084AA17
4C084BA44
4C084MA65
4C084NA13
4C084ZA94
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の側面は、トランスフェリン受容体(例として、トランスフェリン受容体1)へ結合する抗体、および分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗体を含む複合体に関する。抗体を使用する方法もまた、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトトランスフェリン受容体(TfR)へ結合する抗体であって、
(i)配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号69と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iii)配列番号71と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iv)配列番号72と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(v)配列番号73と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vi)配列番号73と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vii)配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(viii)配列番号77と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号78と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ix)配列番号79と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号80と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
(x)配列番号77と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);配列番号80と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、前記抗体。
【請求項2】
抗体が、
(i)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
抗体が、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFv、Fv、および完全長IgGからなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
抗体が、Fabフラグメントである、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
抗体が、
(i)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
抗体が、
(i)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
トランスフェリン受容体への抗体の結合の平衡解離定数(K
D)が、10
-11Mから10
-6Mまでの範囲にある、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
抗体が、トランスフェリン受容体のトランスフェリン結合部位へ特異的に結合せず、および/または抗体が、トランスフェリン受容体に対するトランスフェリンの結合を阻害しない、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
抗体が、ヒト、非ヒト霊長類動物および齧歯類動物のトランスフェリン受容体の2つ以上の細胞外エピトープと交差反応性である、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
分子ペイロードへ共有結合的に連結された、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体を含む、複合体。
【請求項11】
分子ペイロードが、診断剤または治療剤である、請求項10に記載の複合体。
【請求項12】
分子ペイロードが、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、または低分子である、請求項10に記載の複合体。
【請求項13】
抗体と分子ペイロードとが、リンカーを介して連結される、請求項10~12のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項14】
リンカーが切断可能なリンカーである、請求項13に記載の複合体。
【請求項15】
リンカーが、バリン-シトルリン配列を含む、請求項13または14に記載の複合体。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体または請求項10~15のいずれか一項に記載の複合体を含む、組成物。
【請求項17】
薬学的に許容し得る担体をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
細胞を、請求項10~15のいずれか一項に記載の複合体または請求項16もしくは17に記載の組成物と接触させることを含む、分子ペイロードを細胞へ送達する方法。
【請求項19】
細胞が、筋細胞である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞が、インビトロである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
細胞が、対象にある、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
対象がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
有効量の請求項10~15のいずれか一項に記載の複合体または請求項16もしくは17に記載の組成物を、対象へ投与することを含む、分子ペイロードを対象の筋肉へ送達する方法。
【請求項24】
投与が、静脈内投与である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
有効量の請求項10~15のいずれか一項に記載の複合体または請求項16もしくは17に記載の組成物を、対象へ投与することを含む、疾患を処置する方法であって、ここで分子ペイロードが、治療剤である、前記方法。
【請求項26】
疾患が、筋疾患であり、かつ分子ペイロードが、筋疾患を処置するための薬物である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
筋疾患が、希少筋疾患または筋萎縮症である、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年1月30日に出願された「ANTI-TRANSFERRIN RECEPTOR (TFR) ANTIBODY AND USES THEREOF 」と題する米国仮特許出願第63/143825号、2020年8月23日に出願された「ANTI-TRANSFERRIN RECEPTOR (TFR) ANTIBODY AND USES THEREOF」と題する米国仮特許出願第63/069071号、および2020年7月23日に出願された「ANTI-TRANSFERRIN RECEPTOR (TFR) ANTIBODY AND USES THEREOF」と題する米国仮特許出願第63/055721号の米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張し、それら各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本出願は、新規抗トランスフェリン受容体(TfR)抗体およびその抗体の使用に関する。
【0003】
EFS-WEBを介しテキストファイルとして提出された配列表への言及
本出願は配列表を含有する。これはEFS-WebからASCIIフォーマットで提出されており、その全体が参照によってここに組み込まれる。2021年7月8日に作成された該ASCIIコピーはD082470037WO00-SEQ-DWYという名称であり、サイズは120,479バイトである。
【背景技術】
【0004】
背景
トランスフェリン受容体(TfR)は、鉄輸送に関与する二量体膜貫通糖タンパク質受容体である。ヒトにおいて、2つのトランスフェリン受容体、トランスフェリン受容体1(TfR1)およびトランスフェリン受容体2(TfR2)が特徴付けられている。TfRは、より高い転移能を有するがん細胞において過剰発現することが示されている。TfR1は、血液脳関門の内皮細胞上で発現することが示されており、脳内への大きな分子の送達を可能にするために使用することができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、少なくとも部分的に、トランスフェリン受容体に結合するヒト化抗体(抗TfR抗体)の開発に基づいている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、高い特異性および親和性(例えば、ナノモル未満(subnanomolar)~ナノモル範囲)でヒトまたは非ヒト霊長類動物(NHP)トランスフェリン受容体1(TfR1)に選択的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、TfR1を発現する組織および/または(例えば、および)細胞を標的とするのに有用である。いくつかの態様において、本明細書中で提供される抗TfR抗体は、細胞または組織におけるTfR1の検出に使用される。いくつかの態様において、本明細書中で提供される抗TfR抗体は、診断、治療、または研究用途において使用される。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、標的細胞または組織(例えば、TfR1を発現する細胞または組織)に分子ペイロード(molecular payload)を送達するために使用される。
【0006】
したがって、いくつかの側面において、分子ペイロードに抱合された(例えば、共有結合的に抱合された)抗TfR抗体を含む複合体(例えば、診断剤または治療剤)が提供される。いくつかの態様において、抗TfR抗体は、疾患(例えば、筋肉疾患または神経学的疾患)を診断および/または(例えば、および)処置するために、TfR1を発現する細胞または組織(例えば、筋肉または脳)に抱合された分子ペイロードを送達するために使用される。いくつかの側面において、本開示は、本明細書に記載の抗TfR抗体が、他の既知の抗TfR抗体と比較して、標的細胞(例えば、筋細胞)に分子ペイロードを送達することにおいて優れた活性を有することを実証するデータを提供する。
【0007】
本開示の一側面は、ヒトトランスフェリン受容体(TfR)に結合する抗体に関し、抗体は、以下を含む:
(i)配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号69と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iii)配列番号71と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iv)配列番号72と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(v)配列番号73と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vi)配列番号73と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vii)配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(viii)配列番号77と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号78と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ix)配列番号79と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号80と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
(x)配列番号77と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);配列番号80と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)。
【0008】
いくつかの態様では、抗体は、以下を含む:
(i)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL。
【0009】
いくつかの態様において、抗体は、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFv、Fv、および完全長IgGからなる群から選択される。いくつかの態様において、抗体は、Fabフラグメントである。
【0010】
いくつかの態様では、抗体は、以下を含む:
(i)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖。
【0011】
いくつかの態様では、抗体は、以下を含む:
(i)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖。
【0012】
いくつかの態様では、トランスフェリン受容体への抗体の結合の平衡解離定数(KD)は、10-11Mから10-6Mまでの範囲にある。いくつかの態様では、抗体は、トランスフェリン受容体のトランスフェリン結合部位に特異的に結合せず、および/または抗体は、トランスフェリン受容体へのトランスフェリンの結合を阻害しない。
いくつかの態様では、抗体は、ヒト、非ヒト霊長類動物および齧歯類動物のトランスフェリン受容体の2つ以上の細胞外エピトープと交差反応性である。
【0013】
本開示の別の側面は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗体を含む複合体に関する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、診断剤または治療剤である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、または低分子である。
いくつかの態様において、抗体と分子ペイロードとは、リンカーを介して連結される。いくつかの態様において、リンカーは、バリン-シトルリン配列を含む。
【0014】
本開示の別の側面は、本明細書に開示される抗体または複合体を含む組成物に関する。いくつかの態様において、組成物はさらに薬学的に許容される担体を含む。
【0015】
本開示のさらに別の側面は、分子ペイロードを細胞に送達する方法に関し、方法は、細胞を本明細書に開示される複合体または組成物と接触させることを含む。いくつかの態様において、細胞は筋細胞である。いくつかの態様において、細胞はインビトロである。いくつかの態様において、細胞は対象内にある。いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0016】
本開示の別の態様は、分子ペイロードを対象の筋肉に送達する方法に関し、方法は、有効量の本明細書に開示される複合体を対象に投与することを含む。いくつかの態様において、投与は静脈内投与である。
【0017】
本開示の別の態様は、疾患を処置する方法に関し、方法は、有効量の本明細書に開示される複合体または組成物を対象に投与することを含み、分子ペイロードは治療剤である。いくつかの態様において、筋疾患は、希少筋疾患または筋萎縮症である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A-F】
図1A~1Fは、ELISAによって測定された、ヒトTfR1(hTfR1)またはカニクイザルTfR1(cTfR1)へのヒト化抗TfR Fabの結合を示す。
図1Aは、ヒト化3M12バリアントのhTfR1への結合を示す。
図1Bは、ヒト化3M12バリアントのcTfR1への結合を示す。
図1Cは、ヒト化3A4バリアントのhTfR1への結合を示す。
図1Dは、ヒト化3A4バリアントのcTfR1への結合を示す。
図1Eは、ヒト化5H12バリアントのhTfR1への結合を示す。
図1Fは、ヒト化5H12バリアントのhTfR1への結合を示す。
【0019】
【
図2】
図2は、横紋筋肉腫(RD)細胞内への抗TfR Fab抱合体の定量化された細胞取り込みを示す。試験した抱合体中の分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドであり、抱合体の取り込みは、示された抗TfR Fabによって促進された。陰性対照Fab(抗マウスTfR)または陽性対照Fab(抗ヒトTfR1)を有する抱合体もまた、このアッセイに包含される。細胞は、示された抱合体と共に100nMの濃度にて4時間インキュベートされた。細胞取り込みは、平均のCypher5e蛍光によって測定された。
【0020】
【
図3A-C】
図3A~3Fは、ELISAによって測定された、ヒトTfR1(hTfR1)およびカニクイザルTfR1(cTfR1)への、オリゴヌクレオチド抱合または非抱合ヒト化抗TfR Fabの結合を示す。
図3Aは、ヒト化3M12バリアントの単独またはDMPK標的化オリゴとの抱合体でのhTfR1への結合を示す。それぞれのEC
50値も示される。
図3Bは、ヒト化3M12バリアントの単独またはDMPK標的化オリゴとの抱合体でのcTfR1への結合を示す。それぞれのEC
50値も示される。
図3Cは、ヒト化3A4バリアントの単独またはDMPK標的化オリゴとの抱合体でのhTfR1への結合を示す。それぞれのEC
50値も示される。
【
図3D-F】
図3A~3Fは、ELISAによって測定された、ヒトTfR1(hTfR1)およびカニクイザルTfR1(cTfR1)への、オリゴヌクレオチド抱合または非抱合ヒト化抗TfR Fabの結合を示す。
図3Dは、ヒト化3A4バリアントの単独またはDMPK標的化オリゴとの抱合体でのcTfR1への結合を示す。それぞれのEC
50値も示される。
図3Eは、ヒト化5H12バリアントの単独またはDMPK標的化オリゴとの抱合体でのhTfR1への結合を示す。それぞれのEC
50値も示される。
図3Fは、ヒト化5H12バリアントの単独またはDMPK標的化オリゴとの抱合体でのcTfR1への結合を示す。それぞれのEC
50値も示される。
【0021】
【
図4】
図4は、様々な濃度のDMPK標的化オリゴヌクレオチド(ASO300)へ抱合された示されたヒト化抗TfR Fab抗体を含有する抱合体で処置されたRD細胞における、DMPK発現を示す。処置の継続期間は3日であった。トランスフェクション剤を使用して送達されたASO300(「Trans」と標識)が、対照として使用された。
【0022】
【
図5】
図5は、静脈内投与後の様々な生物種における、抗TfR抗体と分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)とを連結するのに使用されたリンカーの経時的な血清中安定性を示す。
【0023】
【
図6】
図6は、DMDエキソンスキッピングオリゴヌクレオチドへ抱合された指定の抗TfR Fab(3M12 VH3/VK2、3M12 VH4/VK3、および3A4 VH3 N54S/VK4)を含有する抱合体が、DMD患者筋管において、ネイキッドDMDエキソンスキッピングオリゴと比較して増強されたエキソンスキッピングをもたらしたことを例証するデータを示す。
【0024】
【
図7A】
図7A~7Eは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドに抱合された指定の抗TfR Fab(対照、3M12 VH3/VK2、3M12 VH4/VK3、および3A4 VH3 N54S/VK4)を含有する抱合体の、ヒトTfR1を発現するマウス(hTfR1ノックインマウス)でのDMPK mRNA発現の低下におけるインビボ活性を示す。
図7Aは、実験の設計(例として、IV投与量、投与頻度)を示す。DMPK mRNAレベルは、マウスの前脛骨筋(
図7B)、腓腹筋(
図7C)、心臓(
図7D)および横隔膜(
図7E)において最初の投与の14日後に測定された。
【
図7B-C】
図7A~7Eは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドに抱合された指定の抗TfR Fab(対照、3M12 VH3/VK2、3M12 VH4/VK3、および3A4 VH3 N54S/VK4)を含有する抱合体の、ヒトTfR1を発現するマウス(hTfR1ノックインマウス)でのDMPK mRNA発現の低下におけるインビボ活性を示す。
図7Aは、実験の設計(例として、IV投与量、投与頻度)を示す。DMPK mRNAレベルは、マウスの前脛骨筋(
図7B)、腓腹筋(
図7C)、心臓(
図7D)および横隔膜(
図7E)において最初の投与の14日後に測定された。
【
図7D-E】
図7A~7Eは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドに抱合された指定の抗TfR Fab(対照、3M12 VH3/VK2、3M12 VH4/VK3、および3A4 VH3 N54S/VK4)を含有する抱合体の、ヒトTfR1を発現するマウス(hTfR1ノックインマウス)でのDMPK mRNA発現の低下におけるインビボ活性を示す。
図7Aは、実験の設計(例として、IV投与量、投与頻度)を示す。DMPK mRNAレベルは、マウスの前脛骨筋(
図7B)、腓腹筋(
図7C)、心臓(
図7D)および横隔膜(
図7E)において最初の投与の14日後に測定された。
【0025】
【
図8】
図8は、抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の組換えヒト(丸)、カニクイザル(四角)、マウス(上向き三角形)またはラット(下向き三角形)TfR1タンパク質への結合の、Fabの230pM~500nMの濃度範囲でのELISA測定値を示す。測定結果は、抗TfR FabがヒトおよびカニクイザルのTfR1と反応性であることを示す。マウスまたはラットの組換えTfR1への結合は観察されなかった。データは、ベースラインに対して正規化された相対蛍光単位として示される。
【0026】
【
図9】
図9は、組換えヒトTfR1またはTfR2に対する抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の親和性を試験したELISAの、230pM~500nMのFabの濃度範囲にわたる結果を示す。データは、ベースラインに対して正規化された相対蛍光単位として提示される。結果は、Fabが組換えヒトTfR2に結合しないことを実証する。
【0027】
【
図10】
図10は、抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3を対照アンチセンスオリゴヌクレオチドに連結するために使用されるリンカーの、PBS中、またはラット、マウス、カニクイザルもしくはヒト血清中における72時間のインキュベーションにわたる血清中安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特定の態様の詳細な説明
本開示は、少なくとも部分的には、ヒト化抗TfR抗体、例として表3に列挙される、ヒトTfRに対して高い結合親和性および特異性を示した抗体の開発に基づくものである。また、研究、診断/検出、および治療用途における抗TfR抗体およびそのバリアントの使用も提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド、低分子)を、TfRを発現する標的細胞または組織に送達するために使用される。いくつかの態様において、送達される分子ペイロードは、抗TfR抗体に抱合されており、受容体のインターナリゼーションを介してTfRを発現する標的細胞または組織に送達される。TfRを発現し、本明細書に記載の抗TfR抗体を用いて標的とすることができる例示的な組織としては、脳、筋肉、副腎、虫垂、骨髄、結腸、十二指腸、子宮内膜、食道、脂肪、胆嚢、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、唾液腺、皮膚、小腸、脾臓、胃、精巣、甲状腺、膀胱が含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの態様において、このようなアプローチは、筋細胞において、および血液脳関門を越えて送達するために、困難であることが証明されている有益な効果を有する。いくつかの側面において、本開示は、本明細書に記載の抗TfR抗体が、他の既知の抗TfR抗体と比較して、標的細胞(例えば、筋細胞)に分子ペイロードを送達することにおいて優れた活性を有することを実証するデータを提供する。
【0029】
したがって、本開示は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体のいずれか1つを含む複合体を提供する。いくつかの態様において、複合体は、例として、希少筋疾患または(例として表6に列挙されるような)筋萎縮症を有するかまたはこれを有すると疑われる対象において、筋細胞における標的遺伝子の発現または活性を阻害する分子ペイロードを送達するのに特に有用である。例えば、いくつかの態様において、複合体は、(例として表7に列挙されるような)神経学的疾患を処置するために薬物を脳に送達するのにとりわけ有用である。
【0030】
定義された用語の記載を含む本開示のさらなる側面は、以下に提供される。
【0031】
I.定義
投与すること:本明細書に使用される場合、用語「投与すること」または「投与」は、生理学的におよび/または(例えば、および)薬理学的に有用なやり方で対象へ複合体を提供すること(例として、対象における状態を処置すること)を意味する。
【0032】
およそ:本明細書に使用される場合、用語「およそ」または「約」は、目的とする1つ以上の値へ適用されるとき、述べられた参照値と類似の値を指す。ある態様において、用語「およそ」または「約」は、別様に述べられない限りまたは文脈から明らかでない限り(かかる数字が可能な値の100%を超える場合を除き)、述べられた参照値のプラスマイナス(超または未満)において15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満に収まる範囲の値を指す。
【0033】
抗体:本明細書に使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは少なくとも1つの抗原決定基、例として、抗原へ特異的に結合するパラトープを包含するポリペプチドを指す。いくつかの態様において、抗体は、完全長の抗体である。いくつかの態様において、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト化抗体である。しかしながら、いくつかの態様において、抗体は、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fvフラグメント、またはscFvフラグメントである。いくつかの態様において、抗体は、ラクダ科の動物の抗体に由来するナノボディー、またはサメ抗体に由来するナノボディーである。いくつかの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト生殖細胞系配列を有するフレームワークを含む。別の態様において、抗体は、IgG、IgG1、IgG2、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgM、およびIgEの定常領域からなる群から選択される重鎖定常領域を含む。いくつかの態様において、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書中VHと略される)、および/または(例として、および)、軽(L)鎖可変領域(本明細書中VLと略される)を含む。いくつかの態様において、抗体は、定常領域、例としてFc領域を含む。免疫グロブリン定常領域は、重鎖または軽鎖定常領域を指す。ヒトIgG重鎖および軽鎖定常領域アミノ酸配列およびそれらの機能的バリエーションは知られている。重鎖に関し、いくつかの態様において本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖であり得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、ヒトのアルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖を含み得る。具体的な態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトのガンマ1 CH1ドメイン、CH2ドメイン、および/または(例として、および)、CH3ドメインを含む。いくつかの態様において、VHドメインのアミノ酸配列は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列、例えば当該技術分野において知られているいずれの配列も含む。ヒト定常領域配列の非限定例は当該技術分野において記載されており、例として、米国特許第5,693,780号および上記のKabat E A et al.(1991)を見よ。いくつかの態様において、VHドメインは、本明細書に提供される可変鎖定常領域のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1個以上の糖または炭水化物分子へ抱合されたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体へ抱合されている。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、抗体は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常領域へ連結された本開示の1個以上の抗原結合フラグメントを含むポリペプチドを含むコンストラクトである。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって結び合わされた2個以上のアミノ酸残基を含み、1個以上の抗原結合部と連結させるために使用される。リンカーポリペプチドの例は報告されている(例として、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1121-1123を見よ)。またさらに、抗体は、1以上の他のタンパク質またはペプチドと、抗体もしくは抗体部分との共有結合または非共有結合の結び付きによって形成される、より大きな免疫接着分子の一部であってもよい。かかる免疫接着分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1995)Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価のおよびビオチン化されたscFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1994)Mol.Immunol.31:1047-1058)を包含する。
【0034】
CDR:本明細書に使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。典型的な抗体分子は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、これらは通常、抗原結合に関与する。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として知られるより保存された領域が散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)としても知られる超可変領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野で公知の方法論を使用して、例えば、Kabat定義、IMGT定義、Chothia定義、AbM定義、および/または(例として、および)接触定義によって正確に同定され得、これらはすべて当技術分野で周知である。例として、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;IMGT(登録商標),the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)http://www.imgt.org,Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,27:209-212(1999);Ruiz,M.et al.,Nucleic Acids Res.,28:219-221(2000);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,29:207-209(2001);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,31:307-310(2003);Lefranc,M.-P.et al.,In Silico Biol.,5,0006(2004)[Epub],5:45-60(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,33:D593-597(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,37:D1006-1012(2009);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D413-422(2015);Chothia et al.,(1989)Nature 342:877;Chothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917,Al-lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927-948;およびAlmagro,J.Mol.Recognit.17:132-143(2004)を見よ。hgmp.mrc.ac.ukおよびbioinf.org.uk/absも見よ。本明細書で使用される場合、CDRは、当技術分野で公知の任意の方法によって定義されるCDRを指し得る。同じCDRを有する2つの抗体は、同じ方法、例えばIMGT定義によって決定される場合、2つの抗体がそのCDRの同じアミノ酸配列を有することを意味する。
【0035】
重鎖および軽鎖の可変領域の各々において3つのCDRがあり、これらは可変領域の各々につきCDR1、CDR2、およびCDR3と指定される。用語「CDRセット」は、本明細書に使用されるとき、抗原に結合することが可能な単一の可変領域に生じる3つのCDRの一群を指す。これらのCDRの厳密な境界は、種々の系に従い異なって定義されている。Kabat(Kabat et al.,Sequence of Proteins of Immunological Interest(国立衛生研究所,Bethesda,Md.(1987)および(1991))によって記載される系は、抗体のいずれの可変領域へも適用可能な一義的な残基ナンバリング系を提供するのみならず、3つのCDRを定義する正確な残基境界をも提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されることもある。CDRの下位部(Sub-portions)は、L1、L2、およびL3、またはH1、H2、およびH3と指定されることがあり、ここで「L」および「H」は夫々、軽鎖および重鎖領域を指定する。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有するChothia CDRと称されることもある。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133-139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45(1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、上の系の1つに厳重に従わなくてもよいが、それでもなおKabat CDRと重複することがあり、具体的な残基もしくは残基の群またはCDR全体でさえも抗原結合に有意に影響を及ぼすものではないという予測あるいは実験的知見を踏まえ、それらは短縮または伸長されてもよい。本明細書で使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されたCDRを利用してもよい。CDR定義系の例が表1に示される。
表1.CDR定義
【表1】
【0036】
CDR接合(-grafted)抗体:用語「CDR接合抗体」は、マウス重鎖および軽鎖可変領域を有するがマウスCDRの1以上(例として、CDR3)がヒトCDR配列に置き換えられている抗体などの、ある種からの重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、そのVHおよび/または(例えば、および)VLのCDR領域の1以上の配列が別の種のCDR配列に置き換えられている抗体を指す。
【0037】
キメラ抗体:用語「キメラ抗体」は、ヒト定常領域へ連結されたマウス重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体などの、ある種からの重鎖および軽鎖可変領域配列と別の種からの定常領域配列を含む抗体を指す。
【0038】
相補的:本明細書に使用されるとき、用語「相補的」は、2ヌクレオチド間または2組のヌクレオチド間の正確な対形成のための能力(capacity)を指す。とりわけ、相補的は、2ヌクレオチド間または2組のヌクレオチド間に結合をもたらす水素結合対形成の程度を特徴付ける用語である。例えば、ある位置のオリゴヌクレオチドの塩基が、対応する位置の標的核酸(例として、mRNA)の塩基と水素結合することが可能である場合、そのとき塩基は、その位置にて互いに相補的であると見なされる。塩基対合は、標準的なWatson-Crick塩基対合と非Watson-Crick塩基対合(例として、Wobble塩基対合およびHoogsteen塩基対合)との両方を包含してもよい。例えば、いくつかの態様において、相補的な塩基対合として、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に相補的であり、シトシン型塩基(C)は、グアノシン型塩基(G)に相補的であり、3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールなどのユニバーサル塩基は、いずれのA、C、U、またはTとハイブリダイズし得る。イノシン(I)はまた、当該技術分野においてユニバーサル塩基であるとも見なされており、いずれのA、C、U、またはTに相補的であると見なされる。
【0039】
保存的アミノ酸置換:本明細書に使用されるとき、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換がなされたタンパク質の相対的な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換を指す。バリアントは、当業者に知られているポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製され得、例えば、かかる方法をまとめた参考文献、例として、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.,eds.,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2012、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkから見出される。アミノ酸の保存的置換は、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸に対してなされる置換を包含する。
【0040】
共有結合的に連結された(または、連結されている):本明細書に使用されるとき、用語「共有結合的に連結された(または、連結されている)」は、少なくとも1個の共有結合を介して一緒に連結されている2個以上の分子の特徴を指す。いくつかの態様において、2個の分子は一緒に、分子間リンカーとして働く単結合(例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋)によって共有結合的に連結され得る。しかしながら、いくつかの態様において、複数の共有結合を通して2個以上の分子を一緒に結び合わせるリンカーとして働く分子を介して、2個以上の分子は一緒に、共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。
【0041】
交差反応性である:本明細書に使用されるとき、および標的化剤(例として、抗体)の文脈において、用語「交差反応性である」は、同様のタイプまたはクラスの1種より多くの抗原(例として、複数のホモログ、パラログ、もしくはオルソログの抗原)へ、同様の親和性または結合活性で特異的に結合することが可能な剤の特性を指す。例えば、いくつかの態様において、同様のタイプまたはクラスのヒトおよび霊長目の非ヒト動物の抗原(例として、ヒトトランスフェリン受容体および霊長目の非ヒト動物のトランスフェリン受容体)に対して交差反応性である抗体は、ヒト抗原および霊長目の非ヒト動物の抗原へ、同様の親和性または結合活性で結合することが可能である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原および齧歯類動物抗原に対して交差反応性である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスの齧歯類動物の抗原および霊長目の非ヒト動物の抗原に対して交差反応性である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原、霊長目の非ヒト動物の抗原、および齧歯類動物の抗原に対して交差反応性である。
【0042】
フレームワーク:本明細書に使用されるとき、用語「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、CDRを差し引いた可変領域の残りの配列を指す。CDR配列の厳密な定義が種々の系によって決定され得ることから、フレームワーク配列の意味は、相応に異なって解釈される。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3、ならびに重鎖のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)もまた、軽鎖および重鎖上のフレームワーク領域を各鎖上の4つの下位領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)に分け、ここでCDR1はFR1とFR2との間に、CDR2はFR2とFR3との間に、CDR3はFR3とFR4との間に位置付けられる。具体的な下位領域をFR1、FR2、FR3、またはFR4と特定しないフレームワーク領域は、他によって言及されるとき、天然に存在する単一の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFR(複数)を表す。本明細書に使用されるとき、FRは4つの下位領域のうち1つを表し、FR(複数)はフレームワーク領域を含有する4つの下位領域のうち2つ以上を表す。ヒト重鎖および軽鎖アクセプター配列は、当該技術分野において知られている。一態様において、当該技術分野において知られているアクセプター配列は、本明細書に開示の抗体に使用されていてもよい。
【0043】
ヒト抗体:用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用されるとき、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を包含することが意図される。本開示のヒト抗体は、例えばCDR、とりわけCDR3において、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例として、in vitroでのランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発によってか、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された突然変異)を包含していてもよい。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用されるとき、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上へ接合された抗体を包含することは意図されない。
【0044】
ヒト化抗体:用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例として、マウス)からの重鎖および軽鎖の可変領域配列を含むが、VH配列および/または(例として、および)VL配列の少なくとも一部がより「ヒト様」に、すなわち、ヒト生殖細胞系可変配列とより同様なものに変更された抗体を指す。ヒト化抗体のあるタイプは、ヒトCDR配列が非ヒトVHおよびVL配列上へ導入されて対応する非ヒトCDR配列と置き換えられたCDR接合抗体である。一態様において、ヒト化抗TfR抗体および抗原結合部分が提供される。かかる抗体は、既存のハイブリドーマ技術、これに続くin vitroの遺伝子工学を使用するヒト化(KasaianらのPCT刊行物第WO 2005/123126 A2号に開示されたものなど)を使用してマウス抗トランスフェリン受容体モノクローナル抗体を得ることによって生成されてもよい。
【0045】
単離された抗体:「単離された抗体」は、本明細書に使用されるとき、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を指すことが意図される(例として、トランスフェリン受容体に特異的に結合する単離された抗体は、トランスフェリン受容体以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかしながら、トランスフェリン受容体複合体に特異的に結合する単離された抗体は、他の種からのトランスフェリン受容体分子などの他の抗原への交差反応性を有していてもよい。その上、単離された抗体は、他の細胞の材料および/または(例として、および)化学物質が実質的になくてもよい。
【0046】
分子ペイロード:本明細書に使用されるとき、用語「分子ペイロード」は、生物学的結果(biological outcome)をモジュレートするよう機能する分子または種を指す。いくつかの態様において、分子ペイロードは、抗TFR抗体へ連結されているか、または別様に結び付けられている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、低分子、タンパク質、ペプチド、核酸、またはオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DNA配列の転写をモジュレートするよう、タンパク質の発現をモジュレートするよう、またはタンパク質の活性をモジュレートするよう機能する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、標的遺伝子と相補性のある領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。
【0047】
オリゴヌクレオチド:本明細書に使用されるとき、用語「オリゴヌクレオチド」は、長さが最大200ヌクレオチドまでのオリゴマーの核酸化合物を指す。オリゴヌクレオチドの例は、これらに限定されないが、RNAiオリゴヌクレオチド(例として、siRNA、shRNA)、マイクロRNA、gapmer、mixmer、ホスホロジアミダート、モルホリノ、ペプチド核酸、アプタマー、ガイド核酸(例として、Cas9ガイドRNA)等々を包含する。オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1個以上の修飾ヌクレオチド(例として、2'-O-メチル糖修飾、プリンまたはピリミジン修飾)を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1個以上の修飾ヌクレオチド間連結を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RpまたはSpの立体化学配置にあってもよい1個以上のホスホロチオアート連結を含んでいてもよい。
【0048】
組換え抗体:用語「組換えヒト抗体」は、本明細書に使用されるとき、組換え手段によって調製、発現、創出、もしくは単離されたすべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞中へトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(本開示により詳細に記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体(Hoogenboom H.R.,(1997)TIB Tech.15:62-70;Azzazy H.,and Highsmith W.E.,(2002)Clin.Biochem.35:425-445;Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.(2002)BioTechniques 29:128-145;Hoogenboom H.,and Chames P.(2000)Immunology Today 21:371-378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子トランスジェニック動物(例として、マウス)から単離された抗体(例として、Taylor,L.D.,et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295;Kellermann S-A.,and Green L.L.(2002)Current Opinion in Biotechnology 13:593-597;Little M.et al(2000)Immunology Today 21:364-370を見よ)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列とのスプライシングを伴ういずれの他の手段によって調製、発現、創出、もしくは単離された抗体を包含することが意図される。かかる組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。しかしながら、ある態様において、かかる組換えヒト抗体は、in vitroでの変異誘発(または、ヒトIg配列トランスジェニック動物が使用されるとき、in vivoでの体細胞変異誘発)へ供され、よって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系のVH配列およびVL配列に由来しかつこれに関するとはいえ、in vivoでのヒト抗体の生殖細胞系列レパートリー内には天然に存在しないこともある配列である。本開示の一態様は、当該技術分野において周知である技法を使用して、例えば、これらに限定されないが、ヒトIgファージライブラリ(例えば、JermutusらのPCT刊行物第WO 2005/007699 A2号に開示されたもの)を使用する技法を使用して生成され得るヒトトランスフェリン受容体に結合することが可能な完全ヒト抗体を提供する。
【0049】
相補性のある領域:本明細書に使用されるとき、用語「相補性のある領域」は、2つのヌクレオチド配列が生理学的な条件下(例として、細胞中)相互にアニーリングすることが可能であるような、同族の(cognate)ヌクレオチド配列(例として、標的核酸のヌクレオチド配列)に充分に相補的であるヌクレオチド配列(例として、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列)を指す。いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に完全に相補的である。しかしながら、いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に部分的に相補的(例として、少なくとも80%、90%、95%、または99%相補性)である。いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列と比較して1個、2個、3個、または4個のミスマッチを含有する。
【0050】
特異的に結合する:本明細書に使用されるとき、用語「特異的に結合する」は、結合アッセイまたは他の結合に関する文脈(binding context)において、分子が、適切な対照から結合パートナーを区別するために使用され得る親和性または結合活性の程度での、分子の、結合パートナーへの結合能を指す。抗体に関し、用語「特異的に結合する」は、親和性または結合活性の程度で(例として、本明細書に記載のとおり、抗原への結合を通してある細胞(例として、筋細胞)への優先的な標的化を許容する程度で)、適切な参照抗原、または抗体が他の抗原から特定の抗原を区別するために使用され得る抗原と比較して、抗体が特定の抗原へ結合する能力を指す。いくつかの態様において、抗体が標的へ結合する際少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはこれ未満のKDを有する場合、抗体は標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体が、トランスフェリン受容体へ特異的に結合する。
【0051】
対象:本明細書に使用されるとき、用語「対象」は、哺乳動物を指す。いくつかの態様において、対象は、霊長目の非ヒト動物または齧歯類動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、疾患を有するかまたは疾患を有すると疑われる患者/患畜(patient)、例として、ヒト患者である。いくつかの態様において、対象は、例として、DMPKアレル中の、疾患関連反復伸長(disease-associated repeat expansion)に起因する疾患を有するかまたはそれを有すると疑われるヒト患者である。
【0052】
トランスフェリン受容体:本明細書に使用されるとき、用語「トランスフェリン受容体」(またTFRC、CD71、p90、TFR、またはTFR1としても知られている)は、エンドサイトーシスによる鉄取り込みを容易にするためのトランスフェリンへ結合する、内在化する細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体は、ヒト(NCBI Gene ID 7037)、霊長目の非ヒト動物(例として、NCBI Gene ID 711568もしくはNCBI Gene ID 102136007)、または齧歯類の動物(例として、NCBI Gene ID 22042)を起源としていてもよい。加えて、受容体の種々のアイソフォームをコードした複数のヒト転写産物バリアントが(例として、GenBank RefSeq受託番号:NP_001121620.1、NP_003225.2、NP_001300894.1、およびNP_001300895.1の注釈付きのものであるように)特徴付けられている。
【0053】
NCBI配列NP_003225.2(トランスフェリン受容体タンパク質1アイソフォーム1、homo sapiens)に対応する、ヒトトランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号105)
【0054】
NCBI配列NP_001244232.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca mulatta)に対応する、霊長目の非ヒト動物トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKPNGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF
(配列番号106)
【0055】
NCBI配列XP_005545315.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca fascicularis)に対応する、霊長目の非ヒト動物トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKANGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号107)
【0056】
NCBI配列NP_001344227.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、mus musculus)に対応する、マウストランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAADEEENADNNMKASVRKPKRFNGRLCFAAIALVIFFLIGFMSGYLGYCKRVEQKEECVKLAETEETDKSETMETEDVPTSSRLYWADLKTLLSEKLNSIEFADTIKQLSQNTYTPREAGSQKDESLAYYIENQFHEFKFSKVWRDEHYVKIQVKSSIGQNMVTIVQSNGNLDPVESPEGYVAFSKPTEVSGKLVHANFGTKKDFEELSYSVNGSLVIVRAGEITFAEKVANAQSFNAIGVLIYMDKNKFPVVEADLALFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGKMEGSCPARWNIDSSCKLELSQNQNVKLIVKNVLKERRILNIFGVIKGYEEPDRYVVVGAQRDALGAGVAAKSSVGTGLLLKLAQVFSDMISKDGFRPSRSIIFASWTAGDFGAVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKVVLGTSNFKVSASPLLYTLMGKIMQDVKHPVDGKSLYRDSNWISKVEKLSFDNAAYPFLAYSGIPAVSFCFCEDADYPYLGTRLDTYEALTQKVPQLNQMVRTAAEVAGQLIIKLTHDVELNLDYEMYNSKLLSFMKDLNQFKTDIRDMGLSLQWLYSARGDYFRATSRLTTDFHNAEKTNRFVMREINDRIMKVEYHFLSPYVSPRESPFRHIFWGSGSHTLSALVENLKLRQKNITAFNETLFRNQLALATWTIQGVANALSGDIWNIDNEF(配列番号108)
【0057】
2'修飾ヌクレオシド:本明細書に使用されるとき、用語「2'修飾ヌクレオシド」および「2'修飾リボヌクレオシド」は互換的に使用され、2'位にて修飾された糖部分を有するヌクレオシドを指す。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシドであり、ここで糖の2'および4'位は架橋されている(例として、メチレン、エチレン、または(S)-拘束エチル架橋による)。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシドであり、例えばここで糖部分の2'位は置換されている。2'修飾ヌクレオシドの非限定例は、以下:2'デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)、ロックド核酸(LNA、メチレン架橋核酸)、エチレン架橋核酸(ENA)、および(S)-拘束エチル架橋核酸(cEt)を包含する。いくつかの態様において、本明細書に記載の2'修飾ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオチドであり、2'修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、未修飾のオリゴヌクレオチドと比べて標的配列に対する増大した親和性を有する。2'修飾ヌクレオシドの構造の例は、下に提供される:
【化1-1】
【0058】
II.抗TfR抗体
いくつかの態様において、トランスフェリン受容体に結合する剤、例として抗TfR抗体は、筋細胞を標的とすることができ、および/または(例として、および)血液脳関門を越える剤の輸送を媒介する。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送しならびに細胞内鉄レベルの調節およびホメオスタシスに加わる、内在化する細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体へ結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。トランスフェリン受容体へ結合する、例として特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体へ結合した際、例として受容体媒介エンドサイトーシスを通して、細胞中へ内在化されてもよい。
【0059】
いくつかの態様では、トランスフェリン受容体に高い特異性および親和性で結合するヒト化抗体が本明細書で提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープ、または抗体に対して暴露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TfR抗体はヒト、非ヒト霊長類動物、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TfR抗体は、ヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、配列番号105~108に提供されるような、ヒトまたは非ヒト霊長類動物のトランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に示されるヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、TfR1に結合するが、TfR2には結合しない。
【0060】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体(例えば、3M12およびヒト化バリアント)は、TfR1におけるエピトープと結合し、ここで、エピトープは、配列番号105のアミノ酸258~291および/またはアミノ酸358~381の残基を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体(例えば、3M12およびヒト化バリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291およびアミノ酸358~381のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体(例えば、3M12およびヒト化バリアント)は、配列番号105で示されるヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371のうちの1つ以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体(例えば、3M12およびヒト化バリアント)は、配列番号105で示されるヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371を含むエピトープに結合する。
【0061】
いくつかの態様において、抗TFR抗体は、少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはこれより小さい結合親和性(例として、Kdで指し示される)によってTfR1(例として、ヒトまたは霊長目の非ヒト動物TfR1)に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体はナノモル未満の範囲のKDでTfR1に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体はトランスフェリン受容体1(TfR1)に選択的に結合するが、トランスフェリン受容体2(TfR2)には結合しない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は(例として、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはより小さいKdで)ヒトTfR1およびカニクイザルTfR1に結合するが、マウスTfR1には結合しない。抗TfR抗体の親和性および結合動態は、バイオセンサ技術(例として、OCTETまたはBIACORE)を包含するがこれらに限定されないいずれか好適な方法を使用して試験され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つの結合は、TfR1へのトランスフェリン結合と競合も阻害もしない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つの結合は、TfR1に対するHFE-ベータ2-ミクログロブリン結合と競合も阻害もしない。
【0062】
本明細書中に記載される抗TfR抗体は、ヒト化抗体である。本明細書中に記載されるヒト化抗TfR抗体が由来するマウスモノクローナル抗TfR抗体のCDRおよび可変領域アミノ酸配列を表2に提供する。
表2.マウスモノクローナル抗TfR抗体
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0063】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR抗体は、表2に提供される抗TfR抗体のいずれか1つのヒト化バリアントである。いくつかの態様において、本開示の抗TfR抗体は、表2に提供される抗TfR抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、ヒト化重鎖可変領域および/または(例として、および)ヒト化軽鎖可変領域を含む。
【0064】
ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からのその残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの態様において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体から見出されない残基も、移入された(imported)CDRまたはフレームワーク配列から見出されない残基も含んでいてもよいが、抗体の性能をさらに洗練および最適化するために包含される残基を含むこともある。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含むであろうが、前記可変ドメインにおいて、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、かつFR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン(典型的には、ヒト免疫グロブリンの)定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むであろう。抗体は、WO 99/58572に記載のとおりに修飾されたFc領域を有していてもよい。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に関して変更された1以上のCDR(1、2、3、4、5、6)を有しており、これらはまた、元の抗体からの1以上のCDRに由来する1以上のCDRとも呼ばれる。ヒト化抗体はまた、親和性成熟も伴うことがある。
【0065】
ヒト化抗体およびこれらを作製する方法は知られており、例として、Almagro et al.,Front.Biosci.13:1619-1633(2008);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005);Padlan et al.,Mol.Immunol.28:489-498(1991);Dall'Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005);Osbourn et al.,Methods 36:61-68(2005);ならびにKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)に記載されるとおりであり、これらのすべての内容は参照によって本明細書に組み込まれる。ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域は、例として、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993);Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89:4285(1992);Presta et al.J.Immunol.151:2623(1993);Almagro et al.,Front.Biosci.13:1619-1633(2008));Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997);およびRosok et al.,J Biol.Chem.271:22611-22618(1996)に記載されており、これらすべての内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に列挙されるVHのいずれか1つと比較して1つ以上のアミノ酸バリエーションを含む(例として、VHフレームワーク領域において)ヒト化VH、および/または(例として、および)表2に列挙されるVLのいずれか1つと比較して1つ以上のアミノ酸バリエーションを含む(例として、VLフレームワーク領域において)ヒト化VLを含む。
【0067】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に列挙される抗TfR抗体のいずれかのVH(例として、配列番号17、22、26、43、61、65および68のいずれか1つ)と比較して、25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有するヒト化VHを含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に列挙される抗TfR抗体のいずれか1つのVL(例として、配列番号18、44および62のいずれか1つ)と比較して、25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有するヒト化VLを含む。
【0068】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に列挙された抗TfR抗体のいずれかのVH(例として、配列番号17、22、26、43、61、65および68のいずれか1つ)とフレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VHを含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に列挙された抗TfR抗体のいずれかのVL(例として、配列番号18、44および62のいずれか1つ)とフレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0069】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(IMGT定義系による)配列番号2、配列番号19、または配列番号23のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(IMGT定義系による)配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号17、配列番号22、または配列番号26に示されるVHと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VHを含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示の抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(IMGT定義系による)配列番号5アミノ酸配列を有するCDR-L2、(IMGT定義系による)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号18に示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VLを含む。
【0070】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(IMGT定義系による)配列番号2、配列番号19または配列番号23のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(IMGT定義系による)配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、フレームワーク領域において、配列番号17、配列番号22または配列番号26で示されるVHと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(IMGT定義系による)配列番号5アミノ酸配列を有するCDR-L2、および(IMGT定義系による)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号18のいずれか1つに示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0071】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Kabat定義系による)配列番号8、配列番号20、または配列番号24のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Kabat定義系による)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号17、配列番号22、または配列番号26に示されるVHと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VHを含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Kabat定義系に従う)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Kabat定義系による)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号18で示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域に含有するヒト化VLを含む。
【0072】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Kabat定義系による)配列番号8、配列番号20または配列番号24のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Kabat定義系による)配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、フレームワーク領域において、配列番号17、配列番号22または配列番号26で示されるVHと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Kabat定義系による)配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Kabat定義系による)配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号18のいずれか1つに示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0073】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Chothia定義系による)配列番号13、配列番号21、または配列番号25のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Chothia定義系による)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号17、配列番号22、または配列番号26に示されるVHと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VHを含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Chothia定義系に従う)配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Chothia定義系による)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号18で示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域に含有するヒト化VLを含む。
【0074】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Chothia定義系による)配列番号13、配列番号21または配列番号25のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Chothia定義系による)配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、フレームワーク領域において、配列番号17、配列番号22または配列番号26で示されるVHと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示の抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Chothia定義系による)配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Chothia定義系による)配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号18のいずれか1つに示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0075】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号27のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(IMGT定義系による)配列番号28のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(IMGT定義系による)配列番号29のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号43に示すVHと比較してフレームワーク領域に25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)含有するヒト化VHを含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号30のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(IMGT定義系による)配列番号31アミノ酸配列を有するCDR-L2、(IMGT定義系による)配列番号32のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号44に示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VLを含む。
【0076】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号27のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(IMGT定義系による)配列番号28のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(IMGT定義系による)配列番号29のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、配列番号43に示されるVHとフレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号30のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(IMGT定義系による)配列番号31のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(IMGT定義系による)配列番号32のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号44に示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0077】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号33のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Kabat定義系による)配列番号34のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Kabat定義系による)配列番号35のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号43に示すVHと比較してフレームワーク領域に25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)含有するヒト化VHを含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号36のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Kabat定義系による)配列番号37のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Kabat定義系による)配列番号32のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号44で示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域に含有するヒト化VLを含む。
【0078】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号33のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Kabat定義系による)配列番号34のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Kabat定義系による)配列番号35のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、配列番号43に示されるVHとフレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替的にまたは加えて(例として、加えて)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を有するCDR-L1(Kabat定義系に従う)、配列番号37のアミノ酸配列を有するCDR-L2(Kabat定義系に従う)、および配列番号32のアミノ酸配列を有するCDR-L3(Kabat定義系に従う)を含むヒト化VLを含み、フレームワーク領域において、配列番号44で表されるとおりのVLと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0079】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号38のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Chothia定義系による)配列番号39のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Chothia定義系による)配列番号40のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号43に示すVHと比較してフレームワーク領域に25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)含有するヒト化VHを含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号41のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Chothia定義系に従う)配列番号31のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Chothia定義系による)配列番号42のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号44で示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域に含有するヒト化VLを含む。
【0080】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号38のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Chothia定義系による)配列番号39のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Chothia定義系による)配列番号40のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、配列番号43に示されるVHとフレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号41のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Chothia定義系による)配列番号31アミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Chothia定義系による)配列番号42のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号44に示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0081】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号45、配列番号63または配列番号66のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(IMGT定義系による)配列番号46のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(IMGT定義系による)配列番号47のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号61、配列番号65、または配列番号68に示されるVHと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VHを含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号48のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(IMGT定義系による)配列番号49のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(IMGT定義系による)配列番号50のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号62に示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VLを含む。
【0082】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号45、配列番号63、または配列番号66のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(IMGT定義系による)配列番号46のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(IMGT定義系による)配列番号47のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、フレームワーク領域において、配列番号61、配列番号65または配列番号68で示されるVHと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(IMGT定義系による)配列番号48のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(IMGT定義系による)配列番号49のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(IMGT定義系による)配列番号50のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号62に示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0083】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号51、配列番号64または配列番号67のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Kabat定義系による)配列番号52のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Kabat定義系による)配列番号53のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号61、配列番号65、配列番号68に示されるVHと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域において含有するヒト化VHを含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号54のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Kabat定義系による)配列番号55のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Kabat定義系による)配列番号50のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号62で示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域に含有するヒト化VLを含む。
【0084】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号51、配列番号64、または配列番号67のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Kabat定義系による)配列番号52のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Kabat定義系による)配列番号53のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、フレームワーク領域において、配列番号61、配列番号65または配列番号68で示されるVHと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Kabat定義系による)配列番号54のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Kabat定義系による)配列番号55のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Kabat定義系による)配列番号50のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号62に示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0085】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号56のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Chothia定義系による)配列番号57のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Chothia定義系による)配列番号58のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含み、配列番号61、配列番号65、配列番号68に示すVHと比較してフレームワーク領域に25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)含有するヒト化VHを含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号59のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Chothia定義系に従う)配列番号49のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Chothia定義系による)配列番号60のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含み、配列番号62で示されるVLと比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)をフレームワーク領域に含有するヒト化VLを含む。
【0086】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号56のアミノ酸配列を有するCDR-H1、(Chothia定義系による)配列番号57のアミノ酸配列を有するCDR-H2、(Chothia定義系による)配列番号58のアミノ酸配列を有するCDR-H3を含むヒト化VHを含み、配列番号61、配列番号65、配列番号68に示されるVHとフレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、(Chothia定義系による)配列番号59のアミノ酸配列を有するCDR-L1、(Chothia定義系による)配列番号49のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および(Chothia定義系による)配列番号60のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含むヒト化VLを含み、配列番号62に示されるVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である。
【0087】
本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体のアミノ酸配列の例は、表3に提供される。
表3.ヒト化抗TfR抗体の可変領域
【表3-1】
【表3-2】
【0088】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に提供される抗TfR抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含むヒト化VHを含み、表3に提供されるそれぞれのヒト化VHと比較して、1つ以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のアミノ酸バリエーションを含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、表2に提供される抗TfR抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むヒト化VLを含み、表3に提供されるそれぞれのヒト化VLと比較して、1つ以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のアミノ酸バリエーションを含む。
【0089】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号69と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例えば、および)配列番号70と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0090】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号71と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例として、および)配列番号70と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0091】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号72と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例えば、および)配列番号70と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号72のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0092】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号73と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例として、および)配列番号74と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0093】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号73と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例えば、および)配列番号75と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0094】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号76と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例として、および)配列番号74と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0095】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号76と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例えば、および)配列番号75と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0096】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号77と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例として、および)配列番号78と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VL含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0097】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号79と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例として、および)配列番号80と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号79のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0098】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号77と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VH、および/または(例として、および)配列番号80と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むヒト化VL含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むヒト化VHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0099】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、完全長IgGであり、これはヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を包含し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはそのある部分(例として、CH1、CH2、CH3、またはそれらの組み合わせ)を含み得る。重鎖定常領域は、いずれの好適な起源、例として、ヒト、マウス、ラット、またはウサギに属し得る。特定の一例において、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例として、IgG1、IgG2、またはIgG4からのものである。ヒトIgG1定常領域の例は、下に与えられる:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0100】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれかの重鎖は、突然変異体ヒトIgG1定常領域を含む。例えば、ヒトIgG1のCH2ドメイン上のLALA突然変異の導入(ヒンジ下部残基Leu234 Leu235をAla234およびAla235によって置き換えるように突然変異させられたmAb b12に由来する突然変異体)は、Fcγ受容体結合を低減することが公知である(Bruhns,P.,et al.(2009)およびXu,D.et al.(2000))。突然変異体ヒトIgG1定常領域は、下に与えられる(変異を太字にし、下線を付した):
【化1-2】
【0101】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれかの軽鎖はさらに、軽鎖定常領域(CL)を含み得、これは当該技術分野において知られているいずれかのCLであり得る。いくつかの例において、CLは、カッパ軽鎖である。他の例において、CLは、ラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であって、その配列は下に与えられる:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0102】
他の抗体の重鎖および軽鎖定常領域は当該技術分野において周知であり、例として、IMGTデータベース(www.imgt.org)において、またはwww.vbase2.org/vbstat.php.にて提供されるものであるが、これらの両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81で示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号82で示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0104】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83示される軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0105】
記載される抗TfR抗体のIgG重鎖および軽鎖アミノ酸配列の例は、下の表4に提供される。
表4.ヒト化抗TfR IgGの例の重鎖および軽鎖配列
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0106】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、および94のいずれか1つに示される重鎖と比較して、25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する重鎖を含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号85、89、90、93および95のいずれか1つに示される軽鎖と比較して、25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する軽鎖を含む。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92および94のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、配列番号85、89、90、93および95のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92および94のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本明細書に記載の抗TfR抗体は、配列番号85、89、90、93および95のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0108】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号84と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号85と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0109】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号86と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号85と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0110】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号87と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号85と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0111】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号88と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号89と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0112】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号88と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号90と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0113】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号91と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号89と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0114】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号91と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号90と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0115】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号92と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号93と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0116】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号94と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号95と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0117】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号92と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号95と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0118】
いくつかの態様において、抗TfR抗体は、無傷の抗体(完全長抗体)のFabフラグメント、Fab'フラグメント、またはF(ab')2フラグメントである。無傷の抗体(完全長抗体)の抗原結合フラグメントは定型的な方法によって(例として、組み換え的に、または完全長IgGの重鎖定常領域をパパインなどの酵素を使用して消化することによって)調製され得る。例えば、F(ab')2フラグメントは、抗体分子のペプシンまたはパパイン消化によって産生され得、Fabフラグメントは、F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のFabフラグメントにおける重鎖定常領域は、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号96)のアミノ酸配列を含む。
【0119】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96で示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0120】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83示される軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0121】
記載される抗TfR抗体のFab重鎖および軽鎖アミノ酸配列の例は、下の表5に提供される。
表5.ヒト化抗TfR Fabの例の重鎖および軽鎖配列
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0122】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号97~103のいずれか1つに示される重鎖と比較して、25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する重鎖を含む。代替え的または追加で(例として、追加で)、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号85、89、90、93および95のいずれか1つに示される軽鎖と比較して、25以下のアミノ酸バリエーション(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸バリエーション)を含有する軽鎖を含む。
【0123】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、配列番号97~103のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、配列番号85、89、90、93および95のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、配列番号97~103のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。代替的にまたは追加で(例として、追加で)、本明細書に記載の抗TfR抗体は、配列番号85、89、90、93および95のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0124】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号97と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号85と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0125】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号98と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号85と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0126】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号99と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号85と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0127】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号100と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号89と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0128】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号100と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号90と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0129】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号101と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号89と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0130】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号101と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号90と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0131】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号102と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号93と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0132】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号103と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号95と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0133】
いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号102と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(例として、および)配列番号95と少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示のヒト化抗TfR抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0134】
いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR受容体抗体は、いずれかの抗体形態であり得、無傷の(すなわち完全長)抗体、それらの抗原結合フラグメント(Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなど)、一本鎖抗体、二重特異性抗体、またはナノボディーを包含するが、これらに限定されない。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、scFvである。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、scFv-Fab(例として、定常領域のある部分に融合されたscFv)である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR受容体抗体は、C末端のN末端のいずれかにおいて、定常領域(例として、配列番号81もしくは配列番号82で示されるヒトIgG1定常領域、またはFc部分などのその部分)に融合されたscFvである。
【0135】
いくつかの態様において、保存的突然変異は、例えば結晶構造に基づき決定されるとき、その残基が標的抗原(例として、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与しそうにない位置にて、抗体配列(例として、CDRまたはフレームワーク配列)中へ導入され得る。いくつかの態様において、1、2個以上の突然変異(例として、アミノ酸置換)は、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または(例として、および)細胞への抗原依存的細胞傷害性などの、抗体の1以上の機能特性を変更させるために、本明細書に記載の抗TfR抗体のFc領域中(例として、Kabatナンバリング系(例として、KabatのEUインデックス)に従うナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。
【0136】
いくつかの態様において、1、2個以上の突然変異(例として、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が、例として米国特許第5,677,425号に記載のとおり変動(例として、増大または減少)され得るように、Fc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域中へ導入される。CH1ドメインのヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例として、軽鎖および重鎖の会合(assembly)を容易にさせるため、または抗体の安定性を変更(例として、増大もしくは減少)するため、またはリンカー抱合を容易にさせるため、変更され得る。
【0137】
いくつかの態様において、1、2個以上の突然変異(例として、アミノ酸置換)は、抗体の、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例として、活性化されたFc受容体)への親和性を増加または減少させるため、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabatナンバリング系(例として、KabatのEUインデックス)に従うナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。抗体のFc受容体への親和性を増大または減少させる抗体のFc領域中の突然変異、およびかかる突然変異をFc受容体中またはそのフラグメント中へ導入するための技法は、当業者に知られている。抗体のFc受容体への親和性を変更するためになされ得る、抗体のFc受容体中の突然変異の例は、例として、Smith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開第WO 02/060919号;第WO 98/23289号;および第WO 97/34631号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0138】
いくつかの態様において、1、2個以上のアミノ酸突然変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)中へ導入される。例えば、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるであろう突然変異について、例として、国際公開第WO 02/060919号;第WO 98/23289号;および第WO 97/34631号;ならびに米国特許第5,869,046号、第6,121,022号、第6,277,375号、および第6,165,745号を見よ。
【0139】
いくつかの態様において、1、2個以上のアミノ酸突然変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗TfR抗体の半減期を減少させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)中へ導入される。いくつかの態様において、1、2個以上のアミノ酸突然変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)中へ導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E Aら(1991))に従うナンバリングで第2定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中および/または(例として、および)第3定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中に、1個以上のアミノ酸突然変異(例として、置換)を有し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のIgG1定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を見よ。「YTE突然変異体」と称されるこのタイプの突然変異IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増大した半減期を発揮したことが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を見よ)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の、1、2、3個以上のアミノ酸置換を含むIgG定常領域を含む。
【0140】
いくつかの態様において、1、2個以上のアミノ酸置換は、抗TfR受容体抗体のエフェクター機能(単数または複数)を変更するため、IgG定常領域Fc領域中へ導入される。自身への親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1構成要素であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号においてさらに詳細に記載される。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点突然変異または他の手段を通して)は、循環抗体のFc受容体への結合を低減し、それによって腫瘍局在化を増大し得る。定常領域を欠失または不活化し、それによって腫瘍局在化を増大させる突然変異の記載については、例として、米国特許第5,585,097号および第8,591,886号を見よ。いくつかの態様において、1個以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するため(これによってFc受容体への結合が低減されることもある)、本明細書に記載の抗体のFc領域中へ導入されてもよい(例として、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を見よ)。
【0141】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体の定常領域中の1以上のアミノ酸残基は、抗体が変更されたC1q結合および/または(例として、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有し得るように、異なるアミノ酸残基に置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)においてさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のCH2ドメインのN末領域中の1以上のアミノ酸残基は変更されて、それによって抗体の補体結合能を変更する。このアプローチは、国際刊行物第WO 94/29351号においてさらに記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のFc領域は、抗体の、細胞への抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の媒介能を増大させるため、および/または(例として、および)、抗体のFcγ受容体への親和性を増大させるため、修飾されている。このアプローチは、国際刊行物第WO 00/42072号においてさらに記載されている。
【0142】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体の重鎖および/または(例として、および)軽鎖可変ドメイン(単数または複数)配列(単数または複数)は、本明細書の他の箇所に記載されるとおり、例えば、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合フラグメントを生成するために使用され得る。当業者によって理解されるとおり、本明細書に提供される抗体のいずれかに由来するいずれのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に有用であってもよく、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有し得るように、トランスフェリン受容体への特異的結合能を維持するであろう。
【0143】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体は、所望の特性を抗体へ付与する突然変異を含む。例えば、ネイティブなIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換(Fab-arm exchange)に起因する潜在的合併症を回避するため、本明細書に提供される抗体は、安定化「Adair」突然変異を含んでいてもよく(Angal S.,et al.,「A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody」,Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここでセリン228(EUナンバリング;残基241 Kabatナンバリング)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンへ変換されている。結果的に、抗体のいずれも、安定化「Adair」突然変異を包含していてもよい。
【0144】
いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1個以上の糖または炭水化物分子へ抱合されたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体へ抱合されている。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、糖分子は、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroでまたは細胞(任意にN-またはO-グリコシル化経路中の酵素(例として、グリコシルトランスフェラーゼ)を欠乏していてもよい)内部でグリコシル化される。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する2014年5月1日に公開された国際特許出願公開WO2014065661に記載のとおりの糖または炭水化物分子で官能化されている。
【0145】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つは、重鎖および/または(例として、および)軽鎖配列上にシグナルペプチド(例として、N末端シグナルペプチド)を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、VHおよびVL配列のいずれか1つ、IgG重鎖および軽鎖配列のいずれか1つ、または本明細書に記載のFab重鎖および軽鎖配列のいずれか1つを含み、さらにシグナルペプチド(例として、N末端シグナルペプチド)を含む。いくつかの態様において、シグナルペプチドはMGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号104)のアミノ酸配列を含む。
【0146】
III.抗TfR抗体の作製
本明細書に記載のTfRに結合し得る抗体は、当該技術分野において公知の任意の方法によって作製することができる。例えば、Harlow and Lane, (1998) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを見よ。
【0147】
いくつかの態様において、標的抗原に特異的な抗体(例えば、TfR)を従来のハイブリドーマ技術によって作製することができる。完全長標的抗原またはそのフラグメントを、必要に応じてKLHなどのキャリアタンパク質にカップリングさせ、その抗原に結合する抗体を生成する宿主動物に免疫化するために使用することができる。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、一般に、本明細書にさらに記載されるように、抗体刺激および産生のための確立されたおよび従来の技術に沿ったものである。マウス、ヒト化、およびヒト抗体を産生するための一般的な技術は、当該技術分野において公知であり、本明細書に記載されている。ヒトを含む任意の哺乳動物対象またはそれからの抗体産生細胞は、ヒトハイブリドーマ細胞株を含む哺乳動物の産生の基礎として役立つように操作され得ることが企図されている。典型的には、宿主動物は、本明細書に記載の量を含む量の免疫原を、腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底内、および/または(例として、および)皮内接種される。
【0148】
所望により、目的の抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)(例としてハイブリドーマによって産生される)を配列決定し、次いで、ポリヌクレオチド配列を発現または伝播のためにベクター中にクローニングしてもよい。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクター内で維持され得、その後、宿主細胞は、将来の使用のために増殖および凍結され得る。代替的には、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化」するため、または親和性(親和性成熟)、もしくは抗体の他の特性を改善するための遺伝子操作のために使用され得る。例えば、抗体がヒトの臨床試験および処置で使用される場合、免疫応答を回避するために、定常領域はヒト定常領域により類似するように改変され得る。抗体配列を遺伝子的に操作して、標的抗原に対するより大きな親和性およびより大きな有効性を得ることが望ましい場合がある。当業者には、1つ以上のポリヌクレオチドの変更を抗体に加えることができ、標的抗原に対するその結合特異性を依然として維持することができることは明らかであろう。
【0149】
他の態様では、完全ヒト抗体は、特異的ヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように改変された市販のマウスを使用することによって得ることができる。より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはより強力な免疫応答を産生するように設計されたトランスジェニック動物も、ヒト化抗体またはヒト抗体の生成に使用することができる。そのような技術の例は、アムジェン社(Fremont, CA)のXenomouseR(商標) や、Medarex, Inc.社(Princeton, NJ)製のHuMAb-MouseR(商標)およびTC Mouse(商標)や、またはHarbour Antibodies BV社(オランダ)のH2L2マウスである。別の代替において、抗体は、ファージディスプレイまたは酵母技術によって組換え的に作製され得る。例えば、米国特許第5,565,332号;第5,580,717号;第5,733,743号;および第6,265,150号;および Winter et al., (1994) Annu. Rev. Immunol12:433-455を見よ。あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、(1990)Nature 348:552-553)を使用して、免疫されていないドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体および抗体フラグメントを産生することができる。
【0150】
無傷の抗体(完全長抗体)の抗原結合フラグメントは、定型的な方法を介して調製され得る。例えば、F(ab')2フラグメントは、抗体分子のペプシン消化によって産生され得、Fab'フラグメントは、F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得る。
遺伝子的に改変された抗体、例えばヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、および二重特異性抗体は、例として、従来の組換え技術を介して産生され得る。一例では、標的抗原に特異的なモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ。単離された後、DNAを1つ以上の発現ベクターに入れ、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒトHEK293細胞、または免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトし、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る。例として、PCT公開第87/04462号を見よ。次いで、DNAは、例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することによって、Morrison et al., (1984) Proc. Nat. Acad. Sci.、81:6851、または、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合的に結び合わせることによって、修飾されることができる。その様式で、標的抗原との結合特異性を有する遺伝子的に改変された抗体、例えば「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を調製することができる。
【0151】
一本鎖抗体は、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列と軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列とを連結することにより、組換え技術によって調製することができる。好ましくは、フレキシブルリンカーは、2つの可変領域の間に組み込まれる。
【0152】
あるいは、一本鎖抗体の産生のために記載される技術(米国特許第4,946,778号および第4,704,692号)は、ファージまたは酵母のscFvライブラリを産生するように適合させることができ、TfRに特異的なscFvクローンは、定型的手順に従ってライブラリから同定することができる。陽性クローンは、高いTfR結合親和性を有するものを同定するためにさらなるスクリーニングに供することができる。
【0153】
当該技術分野で公知の方法に従って得られ、本明細書に記載される抗体は、当該技術分野で周知の方法を用いて特徴付けることができる。例えば、一つの方法は、抗原が結合するエピトープを同定すること、または「エピトープマッピング」である。抗体-抗原複合体の結晶構造を解明すること、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドベースのアッセイを含む、タンパク質上のエピトープの位置をマッピングしおよび特徴付けるための当該技術分野で公知の多くの方法があり、たとえば、Harlow and Lane, Using Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1999の第11章で説明されている。
一例では、エピトープマッピングは、タンパク質分解および質量分析とカップリングさせたH/D-Ex(水素重水素交換)を使用して達成することができる。追加の例では、エピトープマッピングを使用して、抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープは、線状エピトープであってもよく、すなわち、アミノ酸のシングルストレッチに含まれる、または必ずしもシングルストレッチ(一次構造の線状配列)に含まれなくてもよいアミノ酸の立体的相互作用によって形成される立体構造エピトープであってもよい。様々な長さ(例えば、少なくとも4~6アミノ酸長)のペプチドを単離または合成し(例えば、組換え的に)、抗体との結合アッセイに使用し得る。別の例では、抗体が結合するエピトープは、標的抗原配列に由来する重複ペプチドを使用し、抗体による結合を決定することによって、系統的スクリーニングにおいて決定され得る。遺伝子断片発現アッセイによれば、標的抗原をコードするオープンリーディングフレームは、ランダムにまたは特定の遺伝子構造によって断片化され、抗原の発現されたフラグメントと試験される抗体との反応性が決定される。遺伝子断片は、例えば、PCRによって産生され、次いで、放射性アミノ酸の存在下でインビトロでタンパク質に転写および翻訳され得る。
次に、放射性標識抗原フラグメントへの抗体の結合は、免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定される。特定のエピトープは、ファージ粒子の表面にディスプレイされたランダムペプチド配列の大きなライブラリ(ファージライブラリ)を用いることによっても同定することができる。あるいは、重複するペプチド断片の規定されたライブラリを、単純な結合アッセイにおいて試験抗体への結合について試験することができる。
追加の例では、抗原結合ドメインの突然変異誘発、ドメインスワッピング実験およびアラニン置換突然変異誘発を行って、エピトープ結合に要求される、十分な、および/または(例えば、および)必要な残基を同定することができる。あるいは、抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、同じ抗原に結合することが知られている他の抗体を用いて競合アッセイを行うことができる。競合アッセイは、当業者に周知である。
【0154】
いくつかの例では、抗TfR抗体は、以下に例示されるような組換え技術によって調製される。本明細書に記載の抗TfR抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸は、1つの発現ベクターにクローニングすることができ、各ヌクレオチド配列は、適切なプロモーターに作動可能に連結されている。一例では、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列の各々は、別個のプロモーターに作動可能に連結されている。あるいは、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、重鎖および軽鎖の両方が同じプロモーターから発現されるように、単一のプロモーターと作動可能に連結されることができる。必要に応じて、重鎖および軽鎖コード配列の間に内部リボソーム進入部位(IRES)を挿入することができる。
【0155】
いくつかの例では、抗体の2本の鎖をコードするヌクレオチド配列を2つのベクターにクローニングし、これを同じまたは異なる細胞に導入することができる。2本の鎖が異なる細胞で発現される場合、それらの各々は、それらを発現する宿主細胞から単離することができ、単離された重鎖および軽鎖は、抗体の形成を可能にする適切な条件下で混合およびインキュベートされ得る。
【0156】
一般に、抗体の1本または全ての鎖をコードする核酸配列は、当該技術分野で公知の方法を用いて、適切なプロモーターと作動可能に連結される適切な発現ベクターにクローニングすることができる。例えば、ヌクレオチド配列およびベクターを、適切な条件下で、制限酵素と接触させて、互いに対になり、リガーゼと一緒になって結び合されることができる各分子上の相補的な末端を作り出すことができる。あるいは、合成核酸リンカーを遺伝子の末端にライゲーションすることができる。これらの合成リンカーは、ベクター中の特定の制限部位に対応する核酸配列を含む。発現ベクター/プロモーターの選択は、抗体の産生に使用する宿主細胞の種類によって異なる。
【0157】
種々のプロモーターを本明細書に記載の抗体の発現に使用することができ、これには、ウイルス性LTR、例えばサイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスLTR、HIV-LTR、HTLV-1LTR、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、大腸菌UVプロモーター、および単純ヘルペスTKウイルスプロモーターが包含されるがこれに限定されるものではない。
【0158】
調節可能なプロモーターもまた使用することができる。このような調節可能なプロモーターとしては、哺乳動物細胞プロモーターを有するlacオペレーターからの転写を調節するための転写調節因子として大腸菌由来のlacリプレッサーを用いるもの[Brown, M. et al., Cell, 49:603-612 (1987)]、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を用いるもの[Gossen, M., and Bujard, H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5547-555115 (1992);Yao, F. et al., Human Gene Therapy, 9:1939-1950 (1998);Shockelt, P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:6522-6526 (1995)]が包含される。他の系には、FK506ダイマー、アストラジオールを使用するVP16もしくはp65、RU486、ジフェノールムリスレロン、またはラパマイシンが包含される。誘導システムは、とりわけ、Invitrogen、Clontech、およびAriadから入手できる。
【0159】
オペロンを有するリプレッサーを含む調節可能なプロモーターを使用することができる。一態様において、大腸菌由来のlacリプレッサーは、lacオペレーターを有する哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節するための転写調節因子として機能することができる[M. Brown et al., Cell, 49:603-612 (1987)];Gossen and Bujard (1992);[M. Gossen et al., Natl. Acad. Sci. USA, 89:5547-5551(1992)] テトラサイクリンリプレッサー(tetR)と転写活性化因子(VP 16)を組み合わせて、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター由来の最小プロモーターを持つtetOと、哺乳動物細胞における遺伝子発現を制御するtetR-tetオペレーターシステムを作成した。一態様において、テトラサイクリン誘導性スイッチが使用される。テトラサイクリンリプレッサー(tetR)単独は、tetR-哺乳動物細胞転写因子融合誘導体よりもむしろ、テトラサイクリンオペレーターがCMVIEプロモーターのTATA要素に対して下流に適切に配置されている場合に、哺乳動物細胞における遺伝子発現を調節する強力なトランス調節因子として機能することができる(Yao et al., Human Gene Therapy)。このテトラサイクリン誘導性スイッチの1つの特定の利点は、その調節可能な効果を達成するために、場合によっては細胞に毒性があり得るテトラサイクリンリプレッサー-哺乳動物細胞トランスアクチベーターまたはリプレッサー融合タンパク質の使用を必要としないことである(Gossen et al., Natl. Acad. Sci. USA, 89:5547-5551 (1992);Shockett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:6522-6526 (1995))。
【0160】
さらに、ベクターは、例えば、以下の一部または全部を含むことができる:選択可能なマーカー遺伝子、例えば、哺乳動物細胞における安定または一過性トランスフェクタント(transfectant)の選択のためのネオマイシン遺伝子;高レベルの転写のためのヒトCMVの前初期遺伝子からのエンハンサー/プロモーター配列;mRNA安定性のためのSV40からの転写終結およびRNAプロセシングシグナル;内部リボソーム結合部位(IRES)、汎用性の高い複数のクローニング部位;ならびに、センスおよびアンチセンスRNAのインビトロ転写のためのT7およびSP6 RNAプロモーター。導入遺伝子を含むベクターを作製するための好適なベクターおよび方法は周知であり、当該技術分野において利用可能である。本明細書に記載の方法を実践するのに有用なポリアデニル化シグナルの例としては、ヒトコラーゲンIポリアデニル化シグナル、ヒトコラーゲンIIポリアデニル化シグナル、およびSV40ポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
いずれかの抗体をコードする核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)を、抗体を産生するのに好適な宿主細胞に導入してもよい。宿主細胞は、抗体またはその任意のポリペプチド鎖の発現に好適な条件下で培養することができる。このような抗体またはそのポリペプチド鎖は、常法、例えばアフィニティー精製を介して培養細胞(例えば、細胞または培養上清から)によって回収することができる。必要に応じて、抗体のポリペプチド鎖を適切な条件下で適切な期間インキュベートして、抗体の産生を可能にすることができる。
【0162】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体を調製するための方法は、本明細書にも記載されるように、抗TfR抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを含む。組換え発現ベクターは、常法、例えばリン酸カルシウム媒介トランスフェクションにより、適切な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入することができる。陽性形質転換宿主細胞を選択し、抗体を形成する2つのポリペプチド鎖の発現を可能にする適切な条件下で培養することができ、これは細胞または培養培地から回収することができる。必要に応じて、宿主細胞から回収した2本の鎖を、抗体の形成を可能にする適切な条件下でインキュベートすることができる。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体を発現させるために使用される宿主細胞は、CHO-S細胞である(例えば、サーモフィッシャーカタログ#R80007)。
【0163】
一例では、2つの組換え発現ベクターが提供され、一方は抗TfR抗体の重鎖をコードし、他方は抗TfR抗体の軽鎖をコードする。2つの組換え発現ベクターの両方は、常法、例えばリン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって適切な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入することができる。
【0164】
あるいは、それぞれの発現ベクターを適切な宿主細胞に導入することができる。陽性形質転換体は、抗体のポリペプチド鎖の発現を可能にする適切な条件下で選択および培養することができる。2つの発現ベクターを同じ宿主細胞に導入する場合は、そこで産生された抗体を宿主細胞または培養培地から回収することができる。必要に応じて、ポリペプチド鎖を宿主細胞または培養培地から回収し、次いで抗体の形成を可能にする適切な条件下でインキュベートすることができる。2つの発現ベクターを異なる宿主細胞に導入する場合は、それらの各々を対応する宿主細胞または対応する培養培地から回収することができる。次いで、2本のポリペプチド鎖を、抗体の形成に好適な条件下でインキュベートすることができる。
【0165】
標準的な分子生物学的手法を使用して、組換え発現ベクターの調製、宿主細胞のトランスフェクト、形質転換体の選択、宿主細胞の培養、および培養培地からの抗体の回収を行う。例えば、いくつかの抗体は、プロテインAまたはプロテインGとカップリングしたマトリックスを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって単離することができる。
【0166】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つは、組換えDNA技術により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞浮遊培養において、任意にCHO-K1細胞(例として、European Collection of Animal Cell Cultureに由来するCHO-K1細胞、Cat.No.85051005)浮遊培養において、産生される。
【0167】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体は、1以上の翻訳後修飾を有し得る。いくつかの態様においては、ピログルタミン酸形成(ピロGlu)ともまた呼ばれるN末端環化が、産生の間にN末端グルタミン酸(Glu)および/またはグルタミン(Gln)残基において抗体に生じ得る。したがって、N末端グルタミン酸またはグルタミン残基を含む配列を有すると特定される抗体は、翻訳後修飾に起因するピログルタミン酸形成を受けた抗体を包含することを理解されたい。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は、重鎖配列に生じる。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は軽鎖配列に生じる。
【0168】
IV.複合体
いくつかの態様では、本明細書に記載のヒト化抗TfR抗体は、標的細胞または標的組織(例えば、TfRを発現する細胞または組織)に分子ペイロードを送達するために使用することができる。したがって、本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載されるヒト化抗TfR抗体のいずれか1つ(例えば、表4および表5に提供されるようなIgGまたはFab形態のヒト化3-A4、3-M12、または5-H12)を含む複合体を分子ペイロードに提供する。本明細書に記載の複合体は、様々な用途、例えば、診断または治療用途において使用され得る。
【0169】
いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗TfR抗体(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、少なくとも1つの遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸の活性あるいは機能をモジュレートするために使用されてもよい。いくつかの態様において、複合体と共に存在する分子ペイロードは、遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸のモジュレーションを担う。分子ペイロードは、細胞中の遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸の活性あるいは機能をモジュレートすることが可能な、低分子、タンパク質、核酸、オリゴヌクレオチド、あるいはいずれの分子実体であってもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋細胞における疾患関連反復を標的にするオリゴヌクレオチドである。
【0170】
A.分子ペイロード
本開示のいくつかの側面は、例として、生物学的結果(例として、DNA配列の転写、タンパク質の発現、またはタンパク質の活性)をモジュレートするための、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つに連結されることができる、分子ペイロードを提供する。いくつかの態様において、かかる分子ペイロードは、例として、連結されている抗TfR抗体による筋細胞への送達を受けた筋細胞中の核酸またはタンパク質への特異的結合を介して、筋細胞を標的にすることが可能である。様々なタイプの分子ペイロードが本開示に従って使用されてもよいことは了解されるはずである。例えば、分子ペイロードは、オリゴヌクレオチド(例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、ペプチド(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質に結合するペプチド)、タンパク質(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質に結合するタンパク質)、または低分子(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質の機能をモジュレートする低分子)を含んでいてもよく、またはこれらからなっていてもよい。
【0171】
いくつかの態様において、分子ペイロードは、表6に提供される遺伝子に相補的な領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。
表6.筋疾患および対応する遺伝子のリスト。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【0172】
いくつかの態様において、分子ペイロードは、神経学的障害の処置のための剤である。本明細書において使用される「神経学的障害」とは、CNSに影響を及ぼす疾患または障害、および/または(例えば、および)CNSに病因を有する疾患または障害を指す。CNS疾患または障害の例としては、ニューロパチー、アミロイドーシス、がん、眼疾患または障害、ウイルスまたは微生物感染、炎症、虚血、神経変性疾患、発作、行動障害、およびリソソーム蓄積疾患が包含されるが、これらに限定されるものではない。本出願の目的のために、CNSは、通常、血液網膜関門によって身体の他の部分から隔離される眼を含むと理解されるであろう。神経学的障害の具体例としては、神経変性疾患(以下を含むが、これらに限定されないが、レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、タウオパチー(アルツハイマー病および核上性麻痺を含むが、これらに限定されない)、プリオン病(ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗性疾患、および致死性家族性不眠症)、球麻痺、運動ニューロン疾患、および神経系ヘテロ変性障害(カナバン病、ハンチントン病、神経性セロイドリポフスチン症、アレキサンダー病、トゥレット症候群、メンケスkinky hair症候群、コケイン症候群、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ラフォラ病、レット症候群、肝レンズ核変性症、レッシュ・ナイハン症候群、およびウンフェルリヒト・ルントボルク症候群を含むがこれらに限定されない)、認知症(ピック病および脊髄小脳失調症を含むが、これらに限定されない)、がん(例えば、CNSのがん、体内の他の場所のがんに起因する脳転移を含む)を含むが、これらに限定されない。非限定的な、本明細書に記載される抗TfR抗体のいずれか1つに抱合され得る神経学的障害薬物の例およびそれらが処置し得る対応する状態が表7に提供される。
表7.神経学的障害薬物および処置される状態の例
【表7】
【0173】
いくつかの態様において、少なくとも1(例として、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10)個の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)は、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つへ連結されている。いくつかの態様において、抗TfR抗体へ付着されたすべての分子ペイロードは、同じであり、例として同じ遺伝子を標的にする。いくつかの態様において、抗TfR抗体へ付着されたすべての分子ペイロードは、異なっており、例えば分子ペイロードは、同じ標的遺伝子の異なる部分を標的にしてもよく、または分子ペイロードは、少なくとも2つの異なる標的遺伝子を標的にしてもよい。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、同じであるいくつかの分子ペイロードおよび異なるいくつかの分子ペイロードへ付着されてもよい。
【0174】
本開示はまた、複合体の少なくとも80%(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)が同数の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)へ連結された抗TfR抗体を含む、複数の複合体を含む組成物を提供する。
【0175】
例示的な分子ペイロードは、本明細書においてさらに詳細に記載されるが、しかしながら、本明細書中で提供される例示的な分子ペイロードが限定されることを意味していないことは了解されるはずである。
【0176】
i.オリゴヌクレオチド
いずれの好適なオリゴヌクレオチドも、分子ペイロードとして、本明細書に記載のとおり使用されてよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの分解を引き起こすよう設計されていてもよい(例として、オリゴヌクレオチドは、分解を引き起こすgapmer、siRNA、リボザイム、またはアプタマーであってもよい)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの翻訳を遮断するよう設計されていてもよい(例として、オリゴヌクレオチドは、翻訳を遮断するmixmer、siRNA、またはアプタマーであってもよい)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの分解を引き起こしてその翻訳を遮断するよう設計されていてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、酵素(例として、遺伝子編集酵素)の活性に向かわせるためのガイド核酸(例として、ガイドRNA)であってもよい。オリゴヌクレオチドの他の例は本明細書に提供されている。いくつかの態様において、一方のフォーマット(format)からの機能的配列(例として、アンチセンス鎖配列)を他方のフォーマットへ組み込むことによって、あるフォーマットのオリゴヌクレオチド(例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が、別のフォーマット(例として、siRNAオリゴヌクレオチド)へ好適に適応されてもよいことは了解されるはずである。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、表6で提供された標的遺伝子と相補性のある領域を含んでもよい。
【0177】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、lncRNAまたはmRNAを、例として分解のために、標的にしてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、例として分解のために、ミスマッチ修復経路に関与するタンパク質をコードする核酸、例として、MSH2、MutLアルファ、MutSベータ、MutLアルファを標的にしてもよい。ミスマッチ修復経路に関与するタンパク質(かかるタンパク質をコードするmRNAは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドによって標的にされてもよい)の非限定例は、Iyer,R.R.et al.,「DNA triplet repeat expansion and mismatch repair」Annu Rev Biochem.2015;84:199-226;およびSchmidt M.H.and Pearson C.E.,「Disease-associated repeat instability and mismatch repair」DNA Repair(Amst).2016 Feb;38:117-26に記載されている。
【0178】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのいずれか1つは、例として、ナトリウム、カリウム、またはマグネシウム塩としての塩形態であり得る。
【0179】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つの5'または3'ヌクレオシド(例として、末端ヌクレオシド)は、任意にスペーサーを介してアミン基に抱合される。いくつかの態様において、スペーサーは脂肪族部分を含む。いくつかの態様において、スペーサーはポリエチレングリコール部分を含む。いくつかの態様においては、ホスホジエステル連結がスペーサーとオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれかの5'または3'ヌクレオシド(例として、末端ヌクレオシド)はスペーサーに抱合され、これが置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-NRAC(=O)-、-NRAC(=O)RA-、-C(=O)RA-、-NRAC(=O)O-、-NRAC(=O)N(RA)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(RA)-、-S(O)2NRA-、-NRAS(O)2-、またはそれらの組み合わせであり;各RAは独立して水素または置換もしくは非置換のアルキルである。ある種の態様において、スペーサーは置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、または-C(=O)N(RA)2、あるいはそれらの組み合わせである。
【0180】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つの5'または3'ヌクレオシドは、式-NH2-(CH2)n-の化合物に抱合され、nは1~12の整数である。いくつかの態様において、nは6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの態様においては、ホスホジエステル連結が式NH2-(CH2)n-の化合物とオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、式NH2-(CH2)6-の化合物は6-アミノ-1-ヘキサノール(NH2-(CH2)6-OH)とオリゴヌクレオチドの5'リン酸との間の反応によってオリゴヌクレオチドに抱合される。
【0181】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的化剤、例えば抗TfR抗体などの筋標的化剤に例えばアミン基を介して抱合される。
【0182】
a.オリゴヌクレオチドサイズ/配列
オリゴヌクレオチドは、例としてフォーマットに応じて、様々な異なる長さのものであってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、長さが7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75ヌクレオチドであるか、またはこれより長い。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、長さが8~50ヌクレオチド、長さが8~40ヌクレオチド、長さが8~30ヌクレオチド、長さが10~15ヌクレオチド、長さが10~20ヌクレオチド、長さが15~25ヌクレオチド、長さが21~23ヌクレオチド等々である。
【0183】
いくつかの態様において、本開示の目的上オリゴヌクレオチドの相補的な核酸配列は、前記配列の標的分子(例として、mRNA)への結合が標的(例として、mRNA)の正常な機能に干渉して活性の喪失(例として、翻訳の阻害)または発現の喪失(例として、標的mRNAの分解)を引き起こしたとき、かつ非特異的結合の回避が所望される条件下、例として、in vivoアッセイまたは治療処置のケースおよびin vitroアッセイのケースにおける生理学的な条件下、アッセイがストリンジェンシー(stringency)の好適な条件下で行われる条件下で、前記配列の非標的配列への非特異的結合を回避するのに充分な程度の相補性があるとき、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるか、または標的核酸に特異的である。よって、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の連続したヌクレオチドに少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的であってもよい。いくつかの態様において、相補的なヌクレオチド配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるか、または標的核酸に特異的であるその標的の配列に100%相補的である必要はない。
【0184】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、長さが8~15、8~30、8~40、または10~50、または5~50、または5~40ヌクレオチドの範囲にある標的核酸と相補性のある領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの、標的核酸と相補性のある領域は、長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドである。いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の少なくとも連続した8ヌクレオチドと相補的である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の一部の連続したヌクレオチドと比較して1、2または3塩基ミスマッチを含有していてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、15塩基にわたり最大3ミスマッチまで、または10塩基にわたり最大2ミスマッチまで有していてもよい。
【0185】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの標的配列に対して相補的である(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%)。いくつかの態様において、かかる標的配列は本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドに対して100%相補的である。
【0186】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの上のチミン塩基(T)のいずれか1つ以上は任意にウラシル塩基(U)であり得、および/またはUのいずれか1つ以上は任意にTであり得る。
【0187】
b.オリゴヌクレオチド修飾:
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、修飾されていてもよく、例として、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオシド間連結、修飾ヌクレオチド、および/または(例えば、および)それらの組み合わせを含む。加えて、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の特性の1以上を呈してもよい:選択的スプライシングを媒介しない;免疫刺激性ではない;ヌクレアーゼ抵抗性である;非修飾オリゴヌクレオチドと比較して改善された細胞取り込みを有する;細胞または哺乳動物への毒性がない;改善されたエンドソームの内部への出口(exit)を細胞中に有する;TLR刺激を最小限に抑える;または、パターン認識受容体を回避する。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの修飾されたケミストリーまたはフォーマットのいずれも、互いに組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはこれより多くの異なるタイプの修飾が、同じオリゴヌクレオチド内に包含され得る。
【0188】
いくつかの態様において、修飾が組み込まれるオリゴヌクレオチドを、ネイティブなオリゴデオキシヌクレオチド分子またはオリゴリボヌクレオチド分子よりヌクレアーゼ消化に耐性があるようにさせる、特定のヌクレオチド修飾が使用されてもよい;これらの修飾されたオリゴヌクレオチドは、非修飾オリゴヌクレオチドより長時間無傷で存続する。修飾されたオリゴヌクレオチドの特定例は、修飾された主鎖、例えば、ホスホロチオアート、ホスホトリエステル、メチルホスホナート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子のもしくは複素環式の糖間連結などの修飾されたヌクレオシド間連結を含むものを包含する。結果的に、本開示のオリゴヌクレオチドは、修飾、例として、ヌクレオチド修飾の組み込みなどによる核酸分解に対して安定化され得る。
【0189】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30、2~40、2~45ヌクレオチド、またはこれより多いヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである、長さが最大50ヌクレオチドまでまたは最大100ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30ヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである、長さが8~30ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、2~13、2~14ヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである、長さが8~15ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであってもよい。任意に、オリゴヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを除き、どのヌクレオチドも修飾されていてもよい。オリゴヌクレオチド修飾は本明細書にさらに記載されている。
【0190】
c.修飾ヌクレオシド
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、糖の2'位において修飾された少なくとも1つのヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの2'修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド上のヌクレオシドのすべては2'修飾ヌクレオシドである。
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド、例として、2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-O-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O--N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)の修飾ヌクレオシドを包含する。
【0191】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の2'-4'二環式ヌクレオシドを含むが、前記ヌクレオシド中リボース環は、その環中2個の原子を接続する(例として、メチレン(LNA)架橋、エチレン(ENA)架橋、または(S)-拘束エチル(cEt)架橋を介して、2'-O原子を4'-C原子へ接続する)架橋部分を含む。LNAの例は、2008年4月17日に公開され「RNA Antagonist Compounds For The Modulation Of PCSK9」と題する国際特許出願公開WO/2008/043753(この内容は、その全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載されている。ENAの例は、2005年5月12日に公開され「APP/ENA Antisense」と題する国際特許公開番号WO 2005/042777;Morita et al.,Nucleic Acid Res.,Suppl 1:241-242,2001;Surono et al.,Hum.Gene Ther.,15:749-757,2004;Koizumi,Curr.Opin.Mol.Ther.,8:144-149,2006;およびHorie et al.,Nucleic Acids Symp.Ser(Oxf),49:171-172,2005に提供されており、これらの開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。cEtの例は、米国特許7,101,993;7,399,845および7,569,686に提供されており、これら各々はそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の米国特許または特許出願公開のうち1つに開示された修飾ヌクレオシドを含む:米国特許7,399,845、2008年7月15日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」;米国特許7,741,457、2010年6月22日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」;米国特許8,022,193、2011年9月20日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」;米国特許7,569,686、2009年8月4日発行、表題「Compounds And Methods For Synthesis Of Bicyclic Nucleic Acid Analogs」;米国特許7,335,765、2008年2月26日発行、表題「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」;米国特許7,314,923、2008年1月1日発行、表題「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」;米国特許7,816,333、2010年10月19日発行、表題「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」および米国公開第2011/0009471号、現在米国特許8,957,201、2015年2月17日発行、表題「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」、すべての目的において(for all purposes)、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。 いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオシドも有さないオリゴヌクレオチドと比較して、1℃、2℃、3℃、4℃、または5℃の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす少なくとも1個の修飾ヌクレオシドを含む。オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを有さないオリゴヌクレオチドと比較して、合計で2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、またはこれを超える温度の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす複数の修飾ヌクレオシドを有していてもよい。
【0193】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類のヌクレオシドのミックスを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-フルオロ修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-4'二環式ヌクレオシドおよび2'MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)のミックスを含み得る。
オリゴヌクレオチドは、異なる種類の交互のヌクレオシドを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、交互の2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-フルオロ修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互のデオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-フルオロ修飾ヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-4'二環式ヌクレオシドおよび2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)を含み得る。 いくつかの態様においては、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、5'-ビニルホスホン酸修飾、1個以上の無塩基残基、および/または1個以上の逆向きの無塩基残基を含む。
【0194】
d.ヌクレオシド間連結/主鎖
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートまたは他の修飾ヌクレオシド間連結を含有していてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を、少なくとも2個のヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を、すべてのヌクレオチド間に含む。例えば、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間連結を、ヌクレオチド配列の5'または3'末端の、第1の、第2の、および/または(例として、および)、第3のヌクレオシド間連結にて含む。
使用されてもよい、リンを含有する連結は、これらに限定されないが、正常な3'-5'連結、これらの2'-5'連結類似体を有する、ホスホロチオアート、キラルのホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホナート(3'アルキレンホスホナートおよびキラルのホスホナートを含む)、ホスフィナート、ホスホロアミダート(3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含む)、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスファートと、逆方向の極性を有するこれら(ここでヌクレオシド単位の隣接する対は3'-5'から5'-3'へまたは2'-5'から5'-2'へ連結されている)とを包含する;米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号を見よ。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖;アミド主鎖(De Mesmaeker et al.Ace.Chem.Res.1995,28:366-374を見よ);モルホリノ主鎖(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号を見よ);またはペプチド核酸(PNA)主鎖(ここでオリゴヌクレオチドのホスホジエステル主鎖がポリアミド主鎖に置き換えられており、ヌクレオチドがポリアミド主鎖のアザ窒素原子へ直接的または間接的に結合されている、Nielsen et al.,Science 1991,254,1497を見よ)などのヘテロ原子主鎖を有していてもよい。
【0195】
e.立体特異的オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間のリン原子はキラルであり、およびオリゴヌクレオチドの特性はキラルのリン原子の立体配置に基づき調整される。いくつかの態様において、適切な方法は、立体制御されたやり方(例として、Oka N,Wada T,Stereocontrolled synthesis of oligonucleotide analogs containing chiral internucleotidic phosphorus atoms.Chem Soc Rev.2011 Dec;40(12):5829-43に記載のとおりの)でP-キラルオリゴヌクレオチド類似体を合成するために使用されてもよい。いくつかの態様において、実質的にすべてのSpホスホロチオアート糖間連結または実質的にすべてのRpホスホロチオアート糖間連結のいずれかによって一緒に結び合わされたヌクレオシド単位を含む、ホスホロチオアート含有オリゴヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、実質的にキラル純粋な糖間連結を有するかかるホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、例えば、1996年12月12日に発行された米国特許5,587,261(この内容は全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載されるとおり、酵素合成または化学合成によって調製される。いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、標的核酸の選択的切断パターンを提供する。例えば、いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、例えば、2017年2月2日に公開された表題「CHIRAL DESIGN」の米国特許出願公開20170037399 A1(この内容は全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載のとおり、核酸の相補的な配列内に単一の切断部位を提供する。f.モルホリノ
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、モルホリノをベースとした化合物であってもよい。モルホリノをベースとしたオリゴマー化合物は、Dwaine A.Braasch and David R.Corey,Biochemistry,2002,41(14),4503-4510);Genesis,volume 30,issue 3,2001;Heasman,J.,Dev.Biol.,2002,243,209-214;Nasevicius et al.,Nat.Genet.,2000,26,216-220;Lacerra et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2000,97,9591-9596;および1991年7月23日発行の米国特許第5,034,506号に記載されている。いくつかの態様において、モルホリノをベースとしたオリゴマー化合物は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である(例として、Iverson,Curr.Opin.Mol.Ther.,3:235-238,2001;およびWang et al.,J.Gene Med.,12:354-364,2010に記載のとおり;これらの開示はこれら全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0196】
g.ペプチド核酸(PNA)
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド単位の糖とヌクレオシド間連結(主鎖)との両方とも、新規な基に置き換えられている。いくつかの態様において、塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。かかるオリゴマー化合物の1つである、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物中のオリゴヌクレオチドの糖-主鎖は、アミド含有主鎖、例えば、アミノエチルグリシン主鎖に置き換えられている。核酸塩基は保持されており、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子へ直接的または間接的に結合されている。PNA化合物の調製を報告する代表的な刊行物は、これらに限定されないが、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号(これら各々は参照により本明細書に組み込まれる)を包含する。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500から見出され得る。h.Gapmers
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、gapmerである。gapmerオリゴヌクレオチドは、一般に、ギャップ領域Yの周りのフランキング領域としてXおよびZを有する式5'-X-Y-Z-3'を有する。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'のフランキング領域Xは、X領域、フランキング配列X、5'ウイング領域X、または5'ウイングセグメントとも呼ばれる。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'のフランキング領域ZはZ領域、フランキング配列Z、3'ウイング領域Z、または3'ウイングセグメントとも呼ばれる。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'のギャップ領域Yは、Y領域、Yセグメント、またはギャップセグメントYとも呼ばれる。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドであり、5'ウイング領域Xまたは3'ウイング領域Zのいずれも2'-デオキシリボヌクレオシドを含有しない。 いくつかの態様において、Y領域は、ヌクレオチドの連続した伸び、例として、6個以上のDNAヌクレオチドの領域であり、それらはRNAse HなどのRNAseを動員することができる。いくつかの態様において、gapmerは標的核酸に結合し、この点において、RNAseが動員され、それから標的核酸を切断し得る。いくつかの態様において、Y領域は、高親和性修飾ヌクレオシド、例えば1から6つの高親和性修飾ヌクレオシドを含む領域XおよびZによって5'および3'両方をフランキングされる。高親和性修飾ヌクレオシドの例は、2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'O-Me、2'-F)または2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEt、ENA)を包含するが、これらに限定されない。いくつかの態様において、フランキング配列XおよびZは長さが1~20ヌクレオチド、1~8ヌクレオチド、または1~5ヌクレオチドであり得る。フランキング配列XおよびZは類似の長さまたは非類似の長さであり得る。いくつかの態様において、ギャップセグメントYは、長さが5~20ヌクレオチド、5~15、12ヌクレオチド、または6~10ヌクレオチドのヌクレオチド配列であり得る。
【0197】
いくつかの態様において、gapmerオリゴヌクレオチドのギャップ領域は、DNAヌクレオチドに加えて、効率的なRNase H作用にとって許容されることが知られている修飾ヌクレオチド、例えばC4'置換ヌクレオチド、非環状ヌクレオチド、およびアラビノ型ヌクレオチドを含有し得る。いくつかの態様において、ギャップ領域は1以上の未修飾のヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、一方または両方のフランキング領域は、各々独立して、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、またはより多くのヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、ギャップ領域および2つのフランキング領域は、各々が独立して、修飾されたヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、またはより多くのヌクレオチド間に含む。
gapmerは適切な方法を使用して産生され得る。gapmerの調製を教示する代表的な米国特許、米国特許公開、およびPCT公開は、米国特許第5,013,830号;第5,149,797号;第5,220,007号;第5,256,775号;第5,366,878号;第5,403,711号;第5,491,133号;第5,565,350号;第5,623,065号;第5,652,355号;第5,652,356号;第5,700,922号;第5,898,031号;第7,015,315号;第7,101,993号;第7,399,845号;第7,432,250号;第7,569,686号;第7,683,036号;第7,750,131号;第8,580,756号;第9,045,754号;第9,428,534号;第9,695,418号;第10,017,764号;第10,260,069号;第9,428,534号;第8,580,756号;米国特許公開第US20050074801号、第US20090221685号;第US20090286969号、第US20100197762号、および第US20110112170号;PCT公開第WO2004069991号;第WO2005023825号;第WO2008049085号および第WO2009090182号;ならびに欧州特許第EP2,149,605号を包含するが、これらに限定されない。これら各々はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。 いくつかの態様において、gapmerは長さが10~40ヌクレオシドである。例えば、gapmerは長さが10~40、10~35、10~30、10~25、10~20、10~15、15~40、15~35、15~30、15~25、15~20、20~40、20~35、20~30、20~25、25~40、25~35、25~30、30~40、30~35、または35~40ヌクレオシドであり得る。いくつかの態様において、gapmerは長さが10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオシドである。
【0198】
いくつかの態様において、gapmer上のギャップ領域Yは長さが5~20ヌクレオシドである。例えば、ギャップ領域Yは長さが5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、または15~20ヌクレオシドであり得る。いくつかの態様において、ギャップ領域Yは長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yのすべてのヌクレオシドが2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yのヌクレオシドの1つ以上は修飾ヌクレオシドである(例として、本明細書に記載のものなどの2'修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの1以上のシトシンは任意に5-メチルシトシンである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各シトシンは5-メチルシトシンである。
【0199】
いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して1~20ヌクレオシドの長さである。例えば、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して1~20、1~15、1~10、1~7、1~5、1~3、1~2、2~5、2~7、3~5、3~7、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、または15~20ヌクレオシドの長さであり得る。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオシドの長さである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は同じ長さである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は異なる長さである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)はgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)よりも長い。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)はgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)よりも短い。
【0200】
いくつかの態様において、gapmerは、5-10-5、4-12-4、3-14-3、2-16-2、1-18-1、3-10-3、2-10-2、1-10-1、2-8-2、4-6-4、3-6-3、2-6-2、4-7-4、3-7-3、2-7-2、4-8-4、3-8-3、2-8-2、1-8-1、2-9-2、1-9-1、2-10-2、1-10-1、1-12-1、1-16-1、2-15-1、1-15-2、1-14-3、3-14-1、2-14-2、1-13-4、4-13-1、2-13-3、3-13-2、1-12-5、5-12-1、2-12-4、4-12-2、3-12-3、1-11-6、6-11-1、2-11-5、5-11-2、3-11-4、4-11-3、1-17-1、2-16-1、1-16-2、1-15-3、3-15-1、2-15-2、1-14-4、4-14-1、2-14-3、3-14-2、1-13-5、5-13-1、2-13-4、4-13-2、3-13-3、1-12-6、6-12-1、2-12-5、5-12-2、3-12-4、4-12-3、1-11-7、7-11-1、2-11-6、6-11-2、3-11-5、5-11-3、4-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、1-16-3、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、5-14-1、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、3-16-1、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-19-1、1-18-2、2-18-1、1-17-3、3-17-1、2-17-2、1-16-4、4-16-1、2-16-3、3-16-2、1-15-5、2-15-4、4-15-2、3-15-3、1-14-6、6-14-1、2-14-5、5-14-2、3-14-4、4-14-3、1-13-7、7-13-1、2-13-6、6-13-2、3-13-5、5-13-3、4-13-4、1-12-8、8-12-1、2-12-7、7-12-2、3-12-6、6-12-3、4-12-5、5-12-4、2-11-8、8-11-2、3-11-7、7-11-3、4-11-6、6-11-4、5-11-5、1-20-1、1-19-2、2-19-1、1-18-3、3-18-1、2-18-2、1-17-4、4-17-1、2-17-3、3-17-2、1-16-5、2-16-4、4-16-2、3-16-3、1-15-6、6-15-1、2-15-5、5-15-2、3-15-4、4-15-3、1-14-7、7-14-1、2-14-6、6-14-2、3-14-5、5-14-3、4-14-4、1-13-8、8-13-1、2-13-7、7-13-2、3-13-6、6-13-3、4-13-5、5-13-4、2-12-8、8-12-2、3-12-7、7-12-3、4-12-6、6-12-4、5-12-5、3-11-8、8-11-3、4-11-7、7-11-4、5-11-6、6-11-5、1-21-1、1-20-2、2-20-1、1-20-3、3-19-1、2-19-2、1-18-4、4-18-1、2-18-3、3-18-2、1-17-5、2-17-4、4-17-2、3-17-3、1-16-6、6-16-1、2-16-5、5-16-2、3-16-4、4-16-3、1-15-7、7-15-1、2-15-6、6-15-2、3-15-5、5-15-3、4-15-4、1-14-8、8-14-1、2-14-7、7-14-2、3-14-6、6-14-3、4-14-5、5-14-4、2-13-8、8-13-2、3-13-7、7-13-3、4-13-6、6-13-4、5-13-5、1-12-10、10-12-1、2-12-9、9-12-2、3-12-8、8-12-3、4-12-7、7-12-4、5-12-6、6-12-5、4-11-8、8-11-4、5-11-7、7-11-5、6-11-6、1-22-1、1-21-2、2-21-1、1-21-3、3-20-1、2-20-2、1-19-4、4-19-1、2-19-3、3-19-2、1-18-5、2-18-4、4-18-2、3-18-3、1-17-6、6-17-1、2-17-5、5-17-2、3-17-4、4-17-3、1-16-7、7-16-1、2-16-6、6-16-2、3-16-5、5-16-3、4-16-4、1-15-8、8-15-1、2-15-7、7-15-2、3-15-6、6-15-3、4-15-5、5-15-4、2-14-8、8-14-2、3-14-7、7-14-3、4-14-6、6-14-4、5-14-5、3-13-8、8-13-3、4-13-7、7-13-4、5-13-6、6-13-5、4-12-8、8-12-4、5-12-7、7-12-5、6-12-6、5-11-8、8-11-5、6-11-7、または7-11-6の5'-X-Y-Z-3'を含む。数は、5'-X-Y-Z-3'gapmerのX、Y、およびZ領域のヌクレオシド数を指し示す。
【0201】
いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)またはgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の1個以上のヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである(例として、高親和性修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド(例として、高親和性修飾ヌクレオシド)は2'修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシドまたは非二環式2'修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、高親和性修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEt、またはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA))である。
【0202】
いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の1個以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の1個以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の1個以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の1個以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。
【0203】
いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)と同じ高親和性ヌクレオシドを含む。例えば、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)を含み得る。別の例では、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含み得る。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)である。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)である。
【0204】
いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、XおよびZの各ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、XおよびZの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)とは異なる高親和性ヌクレオシドを含む。例えば、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1個以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)を含み得、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1個以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含み得る。別の例では、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1個以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)を含み得、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1個以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含み得る。
【0205】
いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、Xの各ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、Zの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、Xの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Zの各ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'MOEまたは2'-O-Me)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。
【0206】
いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1個以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および1個以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含む。いくつかの態様において、gapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1個以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および1個以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含む。いくつかの態様において、gapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)両方は、1個以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および1個以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含む。
【0207】
いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが2~7(例として、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、X(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6、または7のすべてではないが少なくとも1つ(例として、1、2、3、4、5、または6)は非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、XおよびZ両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが2~7(例として、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、Z(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6、または7のすべてではないが少なくとも1つ(例として、1、2、3、4、5、または6)は、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、XおよびZ両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、gapmerは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが2~7(例として、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、Xの位置1、2、3、4、5、6、または7のすべてではないが少なくとも1つ(例として、1、2、3、4、5、または6)およびZ(最も5'の位置は位置1である)のすべてではないが位置(例として、1、2、3、4、5、または6)1、2、3、4、5、6、または7の少なくとも1つが、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、XおよびZ両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。
【0208】
非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)のミックスをgapmerの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)および/またはgapmerの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)に有するgapmer構成の非限定例は、以下:BBB-(D)n-BBBAA;KKK-(D)n-KKKAA;LLL-(D)n-LLLAA;BBB-(D)n-BBBEE;KKK-(D)n-KKKEE;LLL-(D)n-LLLEE;BBB-(D)n-BBBAA;KKK-(D)n-KKKAA;LLL-(D)n-LLLAA;BBB-(D)n-BBBEE;KKK-(D)n-KKKEE;LLL-(D)n-LLLEE;BBB-(D)n-BBBAAA;KKK-(D)n-KKKAAA;LLL-(D)n-LLLAAA;BBB-(D)n-BBBEEE;KKK-(D)n-KKKEEE;LLL-(D)n-LLLEEE;BBB-(D)n-BBBAAA;KKK-(D)n-KKKAAA;LLL-(D)n-LLLAAA;BBB-(D)n-BBBEEE;KKK-(D)n-KKKEEE;LLL-(D)n-LLLEEE;BABA-(D)n-ABAB;KAKA-(D)n-AKAK;LALA-(D)n-ALAL;BEBE-(D)n-EBEB;KEKE-(D)n-EKEK;LELE-(D)n-ELEL;BABA-(D)n-ABAB;KAKA-(D)n-AKAK;LALA-(D)n-ALAL;BEBE-(D)n-EBEB;KEKE-(D)n-EKEK;LELE-(D)n-ELEL;ABAB-(D)n-ABAB;AKAK-(D)n-AKAK;ALAL-(D)n-ALAL;EBEB-(D)n-EBEB;EKEK-(D)n-EKEK;ELEL-(D)n-ELEL;ABAB-(D)n-ABAB;AKAK-(D)n-AKAK;ALAL-(D)n-ALAL;EBEB-(D)n-EBEB;EKEK-(D)n-EKEK;ELEL-(D)n-ELEL;AABB-(D)n-BBAA;BBAA-(D)n-AABB;AAKK-(D)n-KKAA;AALL-(D)n-LLAA;EEBB-(D)n-BBEE;EEKK-(D)n-KKEE;EELL-(D)n-LLEE;AABB-(D)n-BBAA;AAKK-(D)n-KKAA;AALL-(D)n-LLAA;EEBB-(D)n-BBEE;EEKK-(D)n-KKEE;EELL-(D)n-LLEE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;ABBB-(D)n-BBBA;AKKK-(D)n-KKKA;ALLL-(D)n-LLLA;EBBB-(D)n-BBBE;EKKK-(D)n-KKKE;ELLL-(D)n-LLLE;ABBB-(D)n-BBBA;AKKK-(D)n-KKKA;ALLL-(D)n-LLLA;EBBB-(D)n-BBBE;EKKK-(D)n-KKKE;ELLL-(D)n-LLLE;ABBB-(D)n-BBBAA;AKKK-(D)n-KKKAA;ALLL-(D)n-LLLAA;EBBB-(D)n-BBBEE;EKKK-(D)n-KKKEE;ELLL-(D)n-LLLEE;ABBB-(D)n-BBBAA;AKKK-(D)n-KKKAA;ALLL-(D)n-LLLAA;EBBB-(D)n-BBBEE;EKKK-(D)n-KKKEE;ELLL-(D)n-LLLEE;AABBB-(D)n-BBB;AAKKK-(D)n-KKK;AALLL-(D)n-LLL;EEBBB-(D)n-BBB;EEKKK-(D)n-KKK;EELLL-(D)n-LLL;AABBB-(D)n-BBB;AAKKK-(D)n-KKK;AALLL-(D)n-LLL;EEBBB-(D)n-BBB;EEKKK-(D)n-KKK;EELLL-(D)n-LLL;AABBB-(D)n-BBBA;AAKKK-(D)n-KKKA;AALLL-(D)n-LLLA;EEBBB-(D)n-BBBE;EEKKK-(D)n-KKKE;EELLL-(D)n-LLLE;AABBB-(D)n-BBBA;AAKKK-(D)n-KKKA;AALLL-(D)n-LLLA;EEBBB-(D)n-BBBE;EEKKK-(D)n-KKKE;EELLL-(D)n-LLLE;ABBAABB-(D)n-BB;AKKAAKK-(D)n-KK;ALLAALLL-(D)n-LL;EBBEEBB-(D)n-BB;EKKEEKK-(D)n-KK;ELLEELL-(D)n-LL;ABBAABB-(D)n-BB;AKKAAKK-(D)n-KK;ALLAALL-(D)n-LL;EBBEEBB-(D)n-BB;EKKEEKK-(D)n-KK;ELLEELL-(D)n-LL;ABBABB-(D)n-BBB;AKKAKK-(D)n-KKK;ALLALLL-(D)n-LLL;EBBEBB-(D)n-BBB;EKKEKK-(D)n-KKK;ELLELL-(D)n-LLL;ABBABB-(D)n-BBB;AKKAKK-(D)n-KKK;ALLALL-(D)n-LLL;EBBEBB-(D)n-BBB;EKKEKK-(D)n-KKK;ELLELL-(D)n-LLL;EEEK-(D)n-EEEEEEEE;EEK-(D)n-EEEEEEEEE;EK-(D)n-EEEEEEEEEE;EK-(D)n-EEEKK;K-(D)n-EEEKEKE;K-(D)n-EEEKEKEE;K-(D)n-EEKEK;EK-(D)n-EEEEKEKE;EK-(D)n-EEEKEK;EEK-(D)n-KEEKE;EK-(D)n-EEKEK;EK-(D)n-KEEK;EEK-(D)n-EEEKEK;EK-(D)n-KEEEKEE;EK-(D)n-EEKEKE;EK-(D)n-EEEKEKE;およびEK-(D)n-EEEEKEKを包含する;「A」ヌクレオシドは2'修飾ヌクレオシドを含み;「B」は2'-4'二環式ヌクレオシドを表し;「K」は拘束エチルヌクレオシド(cEt)を表し;「L」はLNAヌクレオシドを表し;「E」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドを表し;「D」は2'デオキシリボヌクレオシドを表し;「n」はギャップセグメント(5'-X-Y-Z-3'構成のY)の長さを表し、1~20の間の整数である。
【0209】
いくつかの態様において、本明細書に記載のgapmerのいずれか1つは、1以上の修飾されたヌクレオシド連結(例として、ホスホロチオアート連結)をX、Y、およびZ領域の各々に含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のgapmerのいずれか1つにおける各ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結である。いくつかの態様において、X、Y、およびZ領域の各々は、独立して、ホスホロチオアート連結およびホスホジエステル連結のミックスを含む。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結であり、5'ウイング領域Xはホスホロチオアート連結およびホスホジエステル連結のミックスを含み、3'ウイング領域Zはホスホロチオアート連結およびホスホジエステル連結のミックスを含む。
【0210】
i.Mixmers
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、mixmerであってもよく、またはmixmer配列パターンを含んでいてもよい。一般に、mixmerは、天然に存在するヌクレオシドと天然に存在しないヌクレオシドとの両方を含むオリゴヌクレオチドであるか、または2つの異なるタイプの天然に存在しないヌクレオシドを、典型的には互い違いなパターンで含むオリゴヌクレオチドである。Mixmerは一般に、非修飾オリゴヌクレオチドより高い結合親和性を有し、標的分子に特異的に結合する、例として、標的分子上の結合部位を遮断するために使用されてもよい。一般に、mixmerは、RNaseを標的分子へ動員させず、よって標的分子の切断を促進しない。RNase Hを動員することが可能ではない、かかるオリゴヌクレオチドは記載されており、例えば、WO2007/112754またはWO2007/112753を見よ。
【0211】
いくつかの態様において、mixmerは、ヌクレオシド類似体と天然に存在するヌクレオシドとの反復パターン、もしくは1タイプのヌクレオシド類似体ともう1タイプのヌクレオシド類似体との反復パターンを含むか、またはこれらからなる。しかしながら、mixmerは、反復パターンを含む必要がなく、その代わりに、修飾ヌクレオシドと天然に存在するヌクレオシドとのいずれの配置も、または1タイプの修飾ヌクレオシドともう1タイプの修飾ヌクレオシドとのいずれの配置も含むことができる。反復パターンは、実例として、2ヌクレオシド毎または3ヌクレオシド毎に、LNAなどの修飾ヌクレオシドであってもよく、残りのヌクレオシドは、DNAなどの天然に存在するヌクレオシドであるか、あるいは2'MOEもしくは2'フルオロ類似体などの2'置換ヌクレオシド類似体、または本明細書に記載のいずれの他の修飾ヌクレオシドである。LNA単位などの修飾ヌクレオシドの反復パターンが、固定された位置にて-例として5'末端または3'末端にて、修飾ヌクレオシドと組み合わされてもよいことは認識されている。
【0212】
いくつかの態様において、mixmerは、5個より多く、4個より多く、3個より多く、または2個より多く連続した、DNAヌクレオシドなどの天然に存在するヌクレオシドの領域を含まない。いくつかの態様において、mixmerは、少なくとも2個連続したLNAなどの、少なくとも2個連続した修飾ヌクレオシドからなる領域を少なくとも含む。いくつかの態様において、mixmerは、少なくとも3個連続したLNAなどの、少なくとも3個連続した修飾ヌクレオシドからなる領域を少なくとも含む。
【0213】
いくつかの態様において、mixmerは、7個より多く、6個より多く、5個より多く、4個より多く、3個より多く、または2個より多く連続した、LNAなどのヌクレオシド類似体の領域を含まない。いくつかの態様において、LNA単位は、本明細書に言及されたヌクレオシド類似体などの他のヌクレオシド類似体に置き換えられていてもよい。
【0214】
mixmerは、非限定例におけるLNAヌクレオシドおよび2'-O-Meヌクレオシドなどの親和性増強修飾ヌクレオシドの混合物を含むよう設計されていてもよい。いくつかの態様において、mixmerは、修飾ヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を、少なくとも2個の、少なくとも3個の、少なくとも4個の、少なくとも5個の、またはこれより多くのヌクレオシド間に含む。
【0215】
mixmerは、いずれの好適な方法を使用して産生されてよい。mixmerの調製を教示する代表的な米国特許、米国特許公開、およびPCT公開は、米国特許公開第US20060128646号、US20090209748号、US20090298916号、US20110077288号、およびUS20120322851号、および米国特許第7687617号を包含する。
【0216】
いくつかの態様において、mixmerは、1個以上のモルホリノヌクレオシドを含む。例えば、いくつかの態様において、mixmerは、1個以上の他のヌクレオシド(例として、DNA、RNAヌクレオシド)または修飾ヌクレオシド(例として、LNA、2'-O-Meヌクレオシド)と(例として、互い違いなやり方で)混合されたモルホリノヌクレオシドを含んでいてもよい。
【0217】
いくつかの態様において、mixmerは、例えば、Touznik A.,et al.,LNA/DNA mixmer-based antisense oligonucleotides correct alternative splicing of the SMN2 gene and restore SMN protein expression in type 1 SMA fibroblasts Scientific Reports,volume 7,Article number:3672(2017),Chen S.et al.,Synthesis of a Morpholino Nucleic Acid(MNA)-Uridine Phosphoramidite,and Exon Skipping Using MNA/2'-O-Methyl Mixmer Antisense Oligonucleotide,Molecules 2016,21,1582(これら各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に報告されるとおり、スプライス修正(splice correcting)またはエキソンスキッピングに有用である。
【0218】
j.RNA干渉(RNAi)
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、低分子干渉RNAまたはサイレンシングRNAとしても知られている、低分子干渉RNA(siRNA)の形態であってもよい。siRNAは、二本鎖RNA分子の類であって、細胞中のRNA干渉(RNAi)経路を介した分解のために核酸(例として、mRNA)を標的にする、典型的には長さが約20~25塩基対である。siRNA分子の特異性は、アンチセンス鎖分子のその標的RNAへの結合によって決定されてもよい。有効なsiRNA分子は一般に、より長いsiRNAもまた有効であり得るが、細胞中の非特異的なRNA干渉経路の引き金を、インターフェロン応答を介して引くことを防止するため、長さが30~35個未満の塩基対である。いくつかの態様において、siRNA分子は長さが7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50塩基対以上である。いくつかの態様において、siRNA分子は長さが8~30塩基対、長さが10~15塩基対、長さが10~20塩基対、長さが15~25塩基対、長さが19~21塩基対、長さが21~23塩基対である。
【0219】
適切な標的RNA配列の選択を受けて、すべてのまたは一部の標的配列に相補的なヌクレオチド配列、すなわちアンチセンス配列を含むsiRNA分子は、適切な方法(例として、PCT公開番号WO2004/016735;および米国特許公開第2004/0077574号および第2008/0081791号を見よ)を使用して設計および調製され得る。siRNA分子は、二本鎖(すなわち、アンチセンス鎖と、ハイブリダイズしてdsRNAを形成する相補的センス鎖とを含むdsRNA分子)または一本鎖(すなわち、アンチセンス鎖だけを含むssRNA分子)であり得る。siRNA分子は、自己相補的センスおよびアンチセンス鎖を有する、二重鎖、非対称二重鎖、ヘアピン、または非対称ヘアピン2次構造を含み得る。
【0220】
いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は長さが7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50ヌクレオチド以上である。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は長さが8~50ヌクレオチド、長さが8~40ヌクレオチド、長さが8~30ヌクレオチド、長さが10~15ヌクレオチド、長さが10~20ヌクレオチド、長さが15~25ヌクレオチド、長さが19~21ヌクレオチド、長さが21~23ヌクレオチドである。
【0221】
いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は長さが7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50ヌクレオチド以上である。いくつかの態様において、センス鎖は長さが8~50ヌクレオチド、長さが8~40ヌクレオチド、長さが8~30ヌクレオチド、長さが10~15ヌクレオチド、長さが10~20ヌクレオチド、長さが15~25ヌクレオチド、長さが19~21ヌクレオチド、長さが21~23ヌクレオチドである。
【0222】
いくつかの態様において、siRNA分子は、標的mRNA上の標的領域に対する相補性の領域を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様において、相補性の領域は、標的mRNA上の標的領域に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である。いくつかの態様において、標的領域は、標的mRNA上の一続きのヌクレオチドの領域である。いくつかの態様において、標的RNA配列について特異的にハイブリダイゼーション可能または特異的であるためには、相補的なヌクレオチド配列は、その標的のものに対して100%相補的である必要はない。
【0223】
いくつかの態様において、siRNA分子は標的RNA配列に対する相補性の領域を含むアンチセンス鎖を含み、相補性の領域は長さが8~15、8~30、8~40、または10~50、または5~50、または5~40ヌクレオチドの範囲である。いくつかの態様において、相補性の領域は長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドである。いくつかの態様において、相補性の領域は、標的RNA配列の少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、またはより多くの一続きのヌクレオチドと相補的である。いくつかの態様において、siRNA分子は、標的RNA配列の一続きのヌクレオチドの部分と比較して1、2、3、4、または5塩基以下のミスマッチを含有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、siRNA分子は、15塩基につき最大3つまでのミスマッチ、または10塩基につき最大2つまでのミスマッチを有するヌクレオチド配列を含む。
【0224】
いくつかの態様において、siRNA分子は、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドの標的RNA配列に対して相補的である(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%)ヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様において、siRNA分子は、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドと少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様において、siRNA分子は、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドの少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、またはより多くの一続きのヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む。
【0225】
二本鎖siRNAは、同じ長さまたは異なる長さのセンスRNA鎖およびアンチセンスRNA鎖を含んでいてもよい。二本鎖siRNA分子はまた、ステムループ構造の単一オリゴヌクレオチド(ここでsiRNA分子の自己相補的センスおよびアンチセンス領域は、核酸ベースのまたは非核酸ベースのリンカー(単数または複数)を用いて連結されている)、ならびに2個以上のループ構造と自己相補的センスおよびアンチセンス鎖を含むステムとを有する環状一本鎖RNA(ここで環状RNAは、in vivoまたはin vitroのいずれかで処理されてRNAiを媒介することが可能な活性siRNA分子を生成し得る)からも会合され得る。よって小さいヘアピンRNA(shRNA)分子もまた、本明細書に企図される。これらの分子は、逆相補的(センス)配列に加えて、特定のアンチセンス配列を含み、典型的にはスペーサーまたはループ配列によって分離されている。スペーサーまたはループの切断は、(任意に、片鎖または両鎖の3'末端および/または(例として、および)5'末端から1、2、3個以上のヌクレオチドの付加または除去をもたらすこともある追加のプロセシングステップにより)一本鎖RNA分子およびその逆相補体を、それらがアニールしてdsRNA分子を形成し得るように提供する。スペーサーは、スペーサーの切断(および任意に、これに続く、片鎖または両鎖の3'末端および/または(例として、および)5'末端から1、2、3、4個以上のヌクレオチドの付加または除去をもたらすこともあるプロセシングステップ)に先立ちアンチセンス配列とセンス配列とをアニールさせて二本鎖構造体(またはステム)を形成させるのに充分な長さであり得る。スペーサー配列は、2つの相補的ヌクレオチド配列領域間に置かれた無関係なヌクレオチド配列であってもよく、前記領域はアニールして二本鎖核酸になったらshRNAを含むことになる。
【0226】
siRNA分子の全体的な長さは、設計されたsiRNA分子のタイプに応じて、約14ヌクレオチドから約100ヌクレオチドまで変動し得る。一般に、これらのヌクレオチドの約14個と約50個との間は、RNA標的配列に相補的である、すなわちsiRNA分子の特定のアンチセンス配列を構成する。例えば、siRNAが二本鎖siRNAまたは一本鎖siRNAであるとき、長さは約14ヌクレオチドから約50ヌクレオチドまで変動し得るが一方、siRNAがshRNAまたは環状分子であるとき、長さは約40ヌクレオチドから約100ヌクレオチドまで変動し得る。
【0227】
siRNA分子は、分子の一方の末端にて3'突出を含んでいてもよく、他方の末端は平滑末端であっても、または突出(5'または3')も有していてよい。siRNA分子が分子の両末端にて突出を含むとき、突出の長さは、同じであっても、または異なっていてもよい。一態様において、本開示のsiRNA分子は、分子の両末端上に約1~約3ヌクレオチドの3'突出を含む。いくつかの態様において、siRNA分子は約1~約3ヌクレオチドの3'突出をセンス鎖に含む。いくつかの態様において、siRNA分子は約1~約3ヌクレオチドの3'突出をアンチセンス鎖に含む。いくつかの態様において、siRNA分子は約1~約3ヌクレオチドの3'突出をセンス鎖およびアンチセンス鎖両方に含む。
【0228】
いくつかの態様において、siRNA分子は1個以上の修飾ヌクレオチド(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)を含む。いくつかの態様において、siRNA分子は1個以上の修飾ヌクレオチドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオチド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、修飾された糖部分(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、siRNA分子は、1個以上の2'修飾ヌクレオチド、例えば2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O--NMA)を含む。いくつかの態様において、siRNA分子の各ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、siRNA分子は1個以上のホスホロジアミダートモルフォリノを含む。いくつかの態様において、siRNA分子の各ヌクレオチドはホスホロジアミダートモルフォリノである。
【0229】
いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートまたは他の修飾されたヌクレオチド間連結を含有する。いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を少なくとも2つのヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートヌクレオシド間連結をすべてのヌクレオチド間に含む。例えば、いくつかの態様において、siRNA分子は、修飾されたヌクレオチド間連結をsiRNA分子の5'または3'端の第1の、第2の、および/または(例として、および)第3のヌクレオシド間連結に含む。
【0230】
いくつかの態様において、修飾されたヌクレオチド間連結はリン含有連結である。いくつかの態様において、使用され得るリン含有連結は、正常な3'-5'連結を有するホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスファート、これらの2'-5'連結類似体、ならびにヌクレオシド単位の隣接するペアが3'-5'対5'-3'または2'-5'対5'-2'で連結される逆向きの極性を有するものを包含するが、これらに限定されない;米国特許第3.687.808号;第4.469.863号;第4,476,301号;第5,023.243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号を見よ。
【0231】
本明細書に記載のsiRNA分子の修飾されたケミストリーまたはフォーマットのいずれも、互いに組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはより多くの異なるタイプの修飾が同じsiRNA分子上に包含され得る。
【0232】
いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1個以上の修飾ヌクレオチド(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1個以上の修飾ヌクレオチドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオチド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは修飾された糖部分(例として、2'修飾ヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、1個以上の2'修飾ヌクレオチド、例えば2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O--NMA)を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖の各ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1個以上のホスホロジアミダートモルフォリノを含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロジアミダートモルフォリノオリゴマー(PMO)である。
【0233】
いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートまたは他の修飾されたヌクレオチド間連結を含有する。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を少なくとも2つのヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結をすべてのヌクレオチド間に含む。例えば、いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、修飾されたヌクレオチド間連結をsiRNA分子の5'または3'端の第1の、第2の、および/または(例として、および)第3のヌクレオシド間連結に含む。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオチド間連結はリン含有連結である。いくつかの態様において、使用され得るリン含有連結は、正常な3'-5'連結を有するホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスファート、これらの2'-5'連結類似体、ならびにヌクレオシド単位の隣接するペアが3'-5'対5'-3'または2'-5'対5'-2'で連結される逆向きの極性を有するものを包含するが、これらに限定されない;米国特許第3.687.808号;第4.469.863号;第4,476,301号;第5,023.243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号を見よ。
【0234】
本明細書に記載のアンチセンス鎖の修飾されたケミストリーまたはフォーマットのいずれも、互いに組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはより多くの異なるタイプの修飾が同じアンチセンス鎖上に包含され得る。
【0235】
いくつかの態様において、センス鎖は1個以上の修飾ヌクレオチド(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)を含む。いくつかの態様において、センス鎖は1個以上の修飾ヌクレオチドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオチド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、修飾された糖部分(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、センス鎖は、1個以上の2'修飾ヌクレオチド、例えば2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O--NMA)を含む。いくつかの態様において、センス鎖の各ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、センス鎖は1個以上のホスホロジアミダートモルフォリノを含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロジアミダートモルフォリノオリゴマー(PMO)である。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートまたは他の修飾されたヌクレオチド間連結を含有する。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を少なくとも2つのヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結をすべてのヌクレオチド間に含む。例えば、いくつかの態様において、センス鎖は、修飾されたヌクレオチド間連結をセンス鎖の5'または3'端の第1の、第2の、および/または(例として、および)第3のヌクレオシド間連結に含む。
【0236】
いくつかの態様において、修飾されたヌクレオチド間連結はリン含有連結である。いくつかの態様において、使用され得るリン含有連結は、正常な3'-5'連結を有するホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスファート、これらの2'-5'連結類似体、ならびにヌクレオシド単位の隣接するペアが3'-5'対5'-3'または2'-5'対5'-2'で連結される逆向きの極性を有するものを包含するが、これらに限定されない;米国特許第3.687.808号;第4.469.863号;第4,476,301号;第5,023.243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号を見よ。
【0237】
本明細書に記載のセンス鎖の修飾されたケミストリーまたはフォーマットのいずれも、互いに組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはより多くの異なるタイプの修飾が同じセンス鎖上に包含され得る。
【0238】
いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンスまたはセンス鎖は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)ローディングを増強または低減する修飾を含む。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖はRISCローディングを増強する修飾を含む。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は、RISCローディングを低減およびオフターゲット効果を低減する修飾を含む。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)修飾を含む。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるSong et al.,(2017)Mol Ther Nucleic Acids 9:242-250に記載されているとおり、切断部位における2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)基の追加は、修飾鎖の指向的なRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)ローディングを容易化することによって、siRNAの特異性およびサイレンシング活性両方を改善する。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は2'-OMe-ホスホロジチオアート修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるWu et al.(2014)Nat Commun 5:3459に記載されているとおり、RISCローディングを増大させる。
【0239】
いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は5'モルホリノを含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるKumar et al.,(2019)Chem Commun(Camb)55(35):5139-5142に記載されているとおり、センス鎖のRISCローディングを低減ならびにアンチセンス鎖選択およびRNAi活性を改善する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は、合成RNA様高親和性ヌクレオチド類似体のロックド核酸(LNA)によって修飾される。これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるElman et al.,(2005)Nucleic Acids Res.33(1):439-447に記載されているとおり、センス鎖のRISCローディングを低減し、RISCへのアンチセンス鎖組み込みをさらに増強する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は5'アンロックド核酸(UNA)修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるSnead et al.,(2013)Mol Ther Nucleic Acids 2(7):e103に記載されているとおり、センス鎖のRISCローディングを低減し、アンチセンス鎖のサイレンシング力価(potentcy)を改善する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は5-ニトロインドール修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるZhang et al.,(2012)Chembiochem 13(13):1940-1945に記載されているとおり、センス鎖のRNAi力価を減少させ(descresed)、オフターゲット効果を低減する。いくつかの態様において、センス鎖は2'-O'メチル(2'-O-Me)修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるZheng et al.,FASEB(2013)27(10):4017-4026に記載されているとおり、センス鎖のRISCローディングおよびオフターゲット効果を低減する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖はモルホリノ、2'-MOE、または2'-O-Me残基によって完全に置換され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるKole et al.,(2012)Nature reviews.Drug Discovery 11(2):125-140に記載されているとおり、RISCによって認識されない。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は2'-MOE修飾を含み、センス鎖は2'-O-Me修飾を含む(例として、Song et al.,(2017)Mol Ther Nucleic Acids 9:242-250を見よ)。いくつかの態様において、少なくとも1(例として、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10)個のsiRNA分子が、筋標的化剤に(例として、共有結合的に)連結される。いくつかの態様において、筋標的化剤は、核酸(例として、DNAまたはRNA)、ペプチド(例として、抗体)、脂質(例として、マイクロベシクル)、または糖部分(例として、多糖)を含み得るか、またはそれからなり得る。いくつかの態様において、筋標的化剤は抗体である。いくつかの態様において、筋標的化剤は抗トランスフェリン受容体抗体である(例として、本明細書に提供される抗TfR抗体のいずれか1つ)。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のセンス鎖の5'末端に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のセンス鎖の3'末端に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のセンス鎖に内部で連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のアンチセンス鎖の5'末端に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のアンチセンス鎖の3'末端に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のアンチセンス鎖に内部で連結され得る。
【0240】
k.マイクロRNA(miRNA)
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、マイクロRNA(miRNA)であってもよい。マイクロRNA(「miRNA」と称される)は、標的RNA転写産物上の相補的な部位へ結合することによって遺伝子発現を制御する調節性分子の類に属する、小さい非コーディングRNAである。典型的には、miRNAは、巨大なRNA前駆体(pri-miRNAと呼ばれる)から生成されるが、前記前駆体は核中で処理されておよそ70ヌクレオチドpre-miRNAになり、これが折り畳まれて不完全なステムループ構造体になる。これらのpre-miRNAは、典型的には、細胞質内で追加のプロセシングステップを経るが、前記細胞質内では、長さが18~25ヌクレオチドの成熟miRNAは、RNase III酵素であるDicerによってpre-miRNAヘアピンの片側から切除される。
【0241】
本明細書に使用されるとき、miRNAは、pri-miRNA、pre-miRNA、成熟miRNA、または成熟miRNAの生物活性を保持するそのバリアントのフラグメントを包含する。一態様において、miRNAのサイズ範囲は、21ヌクレオチドから170ヌクレオチドまでであり得る。一態様において、miRNAのサイズ範囲は、長さが70ヌクレオチドから170ヌクレオチドまでである。別の態様において、長さが21ヌクレオチドから25ヌクレオチドまでの成熟miRNAが使用され得る。
【0242】
l.アプタマー
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、アプタマーの形態であってもよい。一般に、分子ペイロードの文脈において、アプタマーは、細胞中の低分子、タンパク質、核酸などの標的へ特異的に結合するいずれの核酸でもある。いくつかの態様において、アプタマーは、DNAアプタマーまたはRNAアプタマーである。いくつかの態様において、核酸アプタマーは、一本鎖のDNAまたはRNA(ssDNAまたはssRNA)である。一本鎖核酸アプタマーが、ヘリックスおよび/または(例として、および)ループ構造を形成してもよいことは理解されるべきである。核酸アプタマーを形成する核酸は、天然に存在するヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、炭化水素リンカー(例として、アルキレン)もしくはポリエーテルリンカー(例として、PEGリンカー)が1以上のヌクレオチド間に挿入された天然に存在するヌクレオチド、炭化水素もしくはPEGリンカーが1以上のヌクレオチド間に挿入された修飾ヌクレオチド、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。アプタマーおよびアプタマーを産生する方法を記載する例示の刊行物および特許は、例として、Lorsch and Szostak,1996;Jayasena,1999;米国特許第5,270,163号;第5,567,588号;第5,650,275号;第5,670,637号;第5,683,867号;第5,696,249号;第5,789,157号;第5,843,653号;第5,864,026号;第5,989,823号;第6,569,630号;第8,318,438号およびPCT出願WO 99/31275を包含するが、これら各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0243】
m.リボザイム
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、リボザイムの形態であってもよい。リボザイム(リボ核酸酵素)は、タンパク質酵素の作用と同様の特定の生化学的反応を行うことが可能な分子、典型的にはRNA分子である。リボザイムは、これらがハイブリダイズしているRNA分子(mRNA、RNA含有基質、lncRNA、およびリボザイム自体など)中の特定のホスホジエステル連結での切断能を包含する触媒活性をもつ分子である。
【0244】
リボザイムは、数種の物理的構造の1つを取り得、これらの1つが「ハンマーヘッド」と呼ばれる。ハンマーヘッド型リボザイムは、保存された9塩基を含有する触媒コア、二本鎖ステムおよびループ構造(ステムループII)、ならびに触媒コアを囲む標的RNAフランキング領域に相補的な2つの領域から構成される。フランキング領域によって、リボザイムは、二本鎖ステムIおよびIIIを形成することによって標的RNAへ特異的に結合することができる。切断は、3',5'-リン酸ジエステルから2',3'-環状リン酸ジエステルへのエステル交換反応による特定のリボヌクレオチド三塩基(triplet)の次に、cis(すなわち、ハンマーヘッドモチーフを含有する同じRNA分子の切断)で、またはtrans(リボザイムを含有するもの以外のRNA基質の切断)で生じる。理論によって拘束されることは望まないが、この触媒活性は、リボザイムの触媒領域中に高度に保存された特定の配列が存在することを要すると考えられている。
【0245】
リボザイム構造中の修飾はまた、様々な分子の非コア部分の、非ヌクレオチド分子との置換または置き換えも包含する。例えば、Benseler et al.(J.Am.Chem.Soc.(1993)115:8483-8484)は、ハンマーヘッド様分子を開示しており、ここでステムIIの2塩基対およびループIIの4ヌクレオチドすべてが、ヘキサエチレングリコール、プロパンジオール、ビス(トリエチレングリコール)ホスファート、トリス(プロパンジオール)ビスホスファート、またはビス(プロパンジオール)ホスファートを基にする非ヌクレオシドリンカーに置き換えられていた。Ma et al.(Biochem.(1993)32:1751-1758;Nucleic Acids Res.(1993)21:2585-2589)は、TARリボザイムヘアピンの6ヌクレオチドループを、エチレングリコールに関する非ヌクレオチドリンカーに置き換えた。Thomson et al.(Nucleic Acids Res.(1993)21:5600-5603)は、ループIIを、長さが13、17、および19原子の線状の非ヌクレオチドリンカーに置き換えた。
【0246】
リボザイムオリゴヌクレオチドは、周知の方法(例として、PCT公開WO9118624;WO9413688;WO9201806;およびWO92/07065;ならびに米国特許5436143および5650502を見よ)を使用して調製され得るか、または商業的供給源(例として、US Biochemicals)から購入され得、所望の場合、細胞中ヌクレアーゼによる分解に対するオリゴヌクレオチドの耐性を増大させるためにヌクレオチド類似体を組み込み得る。リボザイムは、例として、市販の合成機(例として、Applied Biosystems,Inc.またはMilligenによって製造された)の使用による、任意の知られているやり方で合成されてもよい。リボザイムはまた、従来の手段によって、組換えベクターにおいても産生されてよい。Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(Current edition)を見よ。リボザイムRNA配列は、例えば、T7またはSP6などのRNAポリメラーゼを使用することによる従来法で、合成されてもよい。
【0247】
n.ガイド核酸
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ガイド核酸、例として、ガイドRNA(gRNA)分子である。一般に、ガイドRNAは、(1)Cas9などの、核酸をプログラムできるDNA結合タンパク質(napDNAbp)へ結合する骨格(scaffold)配列、および(2)gRNAが、核酸をプログラムできるDNA結合タンパク質をDNA標的配列に近づけるために結合するDNA標的配列(例として、ゲノムDNA標的)を定義するヌクレオチドスペーサー部分から構成される短い合成RNAである。いくつかの態様において、napDNAbpは、核酸をプログラムできるタンパク質に、標的DNA配列(例として、標的ゲノムDNA配列)を標的にさせる1以上のRNA(単数または複数)と(例として、これと結合して、またはこれと結び付いて)複合体を形成する、核酸をプログラムできるタンパク質である。いくつかの態様において、核酸をプログラムできるヌクレアーゼは、RNAとの複合体にあるとき、ヌクレアーゼ:RNA複合体と称されることもある。ガイドRNAは、2以上のRNAの複合体として、または単一のRNA分子として存在し得る。
【0248】
単一のRNA分子として存在するガイドRNA(gRNA)は、単一ガイドRNA(sgRNA)と称されることもあるが、gRNAはまた、単一分子または2以上の分子の複合体のいずれかとして存在するガイドRNAを指すためにも使用される。典型的には、単一のRNA種として存在するgRNAは、2つのドメインを含む:(1)標的核酸(すなわち、Cas9複合体の標的への結合に向かわせる)との相同性を共有するドメイン;および(2)Cas9タンパク質に結合するドメイン。いくつかの態様において、ドメイン(2)は、tracrRNAとして知られている配列に対応し、ステムループ構造を含む。いくつかの態様において、ドメイン(2)は、Jinek et al.,Science 337:816-821(2012)(この内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に提供されるとおり、tracrRNAと同一または相同である。
【0249】
いくつかの態様において、gRNAは、ドメイン(1)および(2)の2以上を含み、伸長(extended)gRNAと称されることもある。例えば、伸長gRNAは、本明細書に記載のとおり、2個以上のCas9タンパク質に結合し、および2以上の別個の領域での標的核酸に結合するであろう。gRNAは、ヌクレアーゼ/RNA複合体の該標的部位への結合を媒介する標的部位に相補的なヌクレオチド配列を含み、ヌクレアーゼ:RNA複合体の配列特異性を提供する。いくつかの態様において、RNAをプログラムできるヌクレアーゼは、(CRISPR関連系)Cas9エンドヌクレアーゼ、例えば、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のCas9(Csn1)である(例として、「Complete genome sequence of an M1 strain of Streptococcus pyogenes」Ferretti,J.J.,McShan W.M.,Ajdic D.J.,Savic D.J.,Savic G.,Lyon K.,Primeaux C.,Sezate S.,Suvorov A.N.,Kenton S.,Lai H.S.,Lin S.P.,Qian Y.,Jia H.G.,Najar F.Z.,Ren Q.,Zhu H.,Song L.,White J.,Yuan X.,Clifton S.W.,Roe B.A.,McLaughlin R.E.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98:4658-4663(2001);「CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III」Deltcheva E.,Chylinski K.,Sharma C.M.,Gonzales K.,Chao Y.,Pirzada Z.A.,Eckert M.R.,Vogel J.,Charpentier E.,Nature 471:602-607(2011);および「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity」Jinek M.,Chylinski K.,Fonfara I.,Hauer M.,Doudna J.A.,Charpentier E.Science 337:816-821(2012)を見よ。これらの各々の内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0250】
o.マルチマー
いくつかの態様において、分子ペイロードは、リンカーによって接続された2個以上のオリゴヌクレオチドのマルチマー(例として、コンカテマー)を含んでいてもよい。このように、いくつかの態様において、複合体/抱合体のオリゴヌクレオチドのローディングは、標的化剤上の利用可能な連結部位(例として、抗体上の利用可能なチオール部位またはアミン部位)を超えて増大され得るか、または具体的なペイロードローディング量に達するよう別様に整え得る。マルチマー中のオリゴヌクレオチドは、同じかまたは異なり得る(例として、異なる遺伝子、もしくは同じ遺伝子上の異なる部位、またはそれらの産物を標的にする)。
【0251】
いくつかの態様において、マルチマーは、切断可能なリンカーによって一緒に連結された2個以上のオリゴヌクレオチドを含む。しかしながら、いくつかの態様において、マルチマーは、切断不能なリンカーによって一緒に連結された2個以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、一緒に連結された2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、一緒に連結された2~5、2~10、または4~20オリゴヌクレオチドを含む。
【0252】
いくつかの態様において、マルチマーは、(線状配置において)末端間(end-to-end)で連結された2個以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、オリゴヌクレオチドベースのリンカー(例として、ポリ-dTリンカー、無塩基リンカー)を介して、末端間で連結された2個以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、別のオリゴヌクレオチドの3'末端に連結された1つのオリゴヌクレオチドの5'末端を含む。いくつかの態様において、マルチマーは、別のオリゴヌクレオチドの3'末端に連結された1つのオリゴヌクレオチドの3'末端を含む。いくつかの態様において、マルチマーは、別のオリゴヌクレオチドの5'末端に連結された1つのオリゴヌクレオチドの5'末端を含む。またさらに、いくつかの態様において、マルチマーは、分枝リンカーによって一緒に連結された複数のオリゴヌクレオチドを含む分枝構造を含み得る。
【0253】
本明細書に提供される複合体に使用されてもよいマルチマーのさらなる例は、例えば、2015年11月5日に公開され、Methods of delivering multiple targeting oligonucleotides to a cell using cleavable linkersと題する米国特許出願第2015/0315588 A1号;2015年9月3日に公開され、Multimeric Oligonucleotide Compoundsと題する米国特許出願第2015/0247141 A1号;2011年6月30日に公開され、Immunostimulatory Oligonucleotide Multimersと題する米国特許出願第US 2011/0158937 A1号;および1997年12月2日に発行され、Triplex-Forming Antisense Oligonucleotides Having Abasic Linkers Targeting Nucleic Acids Comprising Mixed Sequences Of Purines And Pyrimidinesと題する米国特許第5,693,773号に開示されており、これら各々の内容はそれら全体が参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【0254】
o.スプライス変更オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、本開示のオリゴヌクレオチド(例として、モルホリノを包含するアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、スプライシングを標的にする。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、エキソンスキッピングを誘導することおよび遺伝子内のリーディングフレームを修復することによって、スプライシングを標的にする。非限定例として、オリゴヌクレオチドは、フレームシフト突然変異をコードするエキソンおよび/または(例として、および)未熟終止コドンをコードするエキソンのスキッピングを誘導してもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、スプライス部位のスプライソソーム認識を遮断することにより、エキソンスキッピングを誘導してもよい。いくつかの態様において、エキソンスキッピングは、参照タンパク質と比べて、トランケートされたが機能的なタンパク質(例として、以下に記載された、トランケートされたが機能的なDMDタンパク質)をもたらす。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、特定のエキソン(例として、以下に記載された、SMN2遺伝子のエキソン7)の封入を促進する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、スプライス部位阻害配列を標的にすることによって、エキソンの封入を誘導してもよい。RNAスプライシングは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)および脊髄性筋萎縮症(SMA)を包含する筋疾患に関与してきた。
【0255】
ジストロフィン(DMD)をコードする遺伝子における変更(例として、欠失、点突然変異、および重複)は、DMDを引き起こす。これらの変更は、フレームシフト突然変異および/または(例として、および)ナンセンス突然変異へ繋がり得る。いくつかの態様において、本開示のオリゴヌクレオチドは、1以上のDMDエキソン(例として、エキソン8、エキソン43、エキソン44、エキソン45、エキソン50、エキソン51、エキソン52、エキソン53、および/または(例として、および)、エキソン55)のスキッピングを促進し、機能的なトランケートされたタンパク質をもたらす。例として、2013年7月16日に公開された米国特許第8,486,907号および2014年9月18日に公開されたU.S.20140275212を見よ。
【0256】
SMAにおいて、機能的SMN1の喪失がある。SMN2遺伝子はSMN1に対するパラログであるが、SMN2遺伝子の選択的スプライシングは、主としてエキソン7のスキッピング、およびこれに続くSMN1喪失について補償し得ないトランケートされたSMNタンパク質の産生へ繋がる。いくつかの態様において、本開示のオリゴヌクレオチドは、SMN2エキソン7の封入を促進する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、SMN2スプライス部位阻害配列を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドである(例として、2010年11月23日に公開された米国特許第7,838,657号を見よ)。
【0257】
ii.低分子:
いずれの好適な低分子も、本明細書に記載のとおり、分子ペイロードとして使用されてもよい。
【0258】
iii. ペプチド/タンパク質
いずれの好適なペプチドまたはタンパク質も、本明細書に記載のとおりの分子ペイロードとして使用されてもよい。いくつかの態様において、タンパク質は、酵素である(例として、酸性アルファ-グルコシダーゼ、例として、GAA遺伝子によってコードされるもの)。これらのペプチドまたはタンパク質は、数種の方法論、例として、ファージディスプレイド(displayed)ペプチドライブラリ、1ビーズ・1化合物ペプチドライブラリ、または位置走査性合成ペプチドコンビナトリアルライブラリを使用して産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化されてもよい。例示の方法論は、当該技術分野において特徴付けられてきており、参照により組み込まれる(Gray,B.P.and Brown,K.C.「Combinatorial Peptide Libraries:Mining for Cell-Binding Peptides」Chem Rev.2014,114:2,1020-1081.;Samoylova,T.I.and Smith,B.F.「Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening」Muscle Nerve,1999,22:4.460-6.)。
【0259】
iv.核酸コントラクト
いずれの好適な遺伝子発現コンストラクトも、本明細書に記載のとおりの分子ペイロードとして使用されてもよい。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、ベクターまたはcDNAフラグメントであってもよい。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、メッセンジャーRNA(mRNA)であってもよい。いくつかの態様において、本明細書に使用されるmRNAは、修飾されたmRNA、例として、2014年4月24日に発行の米国特許8,710,200、表題「Engineered nucleic acids encoding a modified erythropoietin and their expression」に記載されるとおりのものであってもよい。いくつかの態様において、mRNAは、5'メチルcapを含んでいてもよい。いくつかの態様において、mRNAは、ポリAテール、任意に長さが最大160ヌクレオチドまでのものを含んでいてもよい。遺伝子発現コンストラクトは、筋疾患において欠乏するタンパク質の配列をコードしていてもよい。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、筋細胞の核内で発現、例として、過剰発現、されてもよい。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、筋疾患において欠乏する遺伝子をコードしていてもよい。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、少なくとも1のジンクフィンガーを含むタンパク質をコードする。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、表6の遺伝子に結合するタンパク質をコードする。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、表6の遺伝子によってコードされるタンパク質(例として、突然変異タンパク質)の発現の低減へ繋がるタンパク質をコードする。いくつかの態様において、遺伝子発現コンストラクトは、遺伝子編集酵素をコードする。分子ペイロードとして使用されてもよい核酸コントラクトの追加例は、2017年9月19日に公開の国際特許出願公開WO2017152149A1、表題「CLOSED-ENDED LINEAR DUPLEX DNA FOR NON-VIRAL GENE TRANSFER」;2014年10月7日に発行の米国特許8,853,377B2、表題「MRNA FOR USE IN TREATMENT OF HUMAN GENETIC DISEASES」;および2014年9月2日に発行の米国特許US8822663B2、「ENGINEERED NUCLEIC ACIDS AND METHODS OF USE THEREOF」に提供されており、これら各々の内容はこれらの全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0260】
v.検出可能な標識/診断剤
いずれの好適な検出可能な標識または診断剤も、本開示の分子ペイロードとして使用され得る。「診断剤」は、診断目的のために、例として、細胞または組織において別の分子を検出することによって使用される剤を指す。いくつかの態様において、診断剤は、対象において疾患に関連することが知られているバイオマーカー(例として、核酸バイオマーカー、タンパク質バイオマーカー、または代謝体バイオマーカー)を標的にする(例として、結合する)剤であって、バイオマーカーの存在/不在を決定し、よって疾患を診断するのに使用され得る、検出可能なシグナルを産生する剤である。例えば、診断剤は、限定せずに、抗体またはアンチセンス核酸であってもよい。
【0261】
いくつかの態様において、診断剤は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、診断剤が結合する分子(例として、タンパク質もしくはポリペプチド、または他の実体)の検出を可能にする、組み込まれた少なくとも1つの元素、同位体、あるいは構造基または官能基(structural or functional group)を有する部分を指す。いくつかの態様において、検出可能な標識は、5クラスのうちいずれか1つ(または1つ以上)に分類される:a)これらに限定されないが、2H、3H、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、67Ga、76Br、99mTc(Tc-99m)、111In、123I、125I、131I、153Gd、169Yb、および186Reを包含する、放射性同位体または重同位体であってもよい同位体部分を含有する剤;b)酵素(例として、西洋ワサビペルオキシダーゼなど)へ結合されていてもよい、抗体または抗原であってもよい免疫部分を含有する剤;c)着色した、ルミネセンスの、リン光の、または蛍光の部分を含む剤(例として、蛍光標識フルオレセインイソチオシアナート(FITC)など);d)1以上の光親和性部分を有する剤;ならびにe)知られている1以上の結合パートナーに対してリガンドである剤(例として、ビオチン-ストレプトアビジン、His-NiTNAFK506-FKBP)。いくつかの態様において、検出可能な標識は、放射性同位体を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識は、蛍光部分を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識は、色素、例として、蛍光色素、例として、フルオレセインイソチオシアナート、テキサス・レッド、ローダミン、Cy3、Cy5、Cy5.5、Alexa 647、および誘導体を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識は、ビオチンを含む。いくつかの態様において、検出可能な分子は、蛍光ポリペプチド(例として、増強されたGFP(EGFP)などの、GFPもしくはその誘導体)、またはルシフェラーゼ(例として、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、もしくはガウシアルシフェラーゼ)である。いくつかの態様において、検出可能な標識は、好適な基質(例として、ルシフェリン)と反応することで、検出可能なシグナルを生成してもよい。蛍光タンパク質の非限定例は、GFPおよびその誘導体、種々の色の光を発する発色団を含むタンパク質(赤色、黄色、およびシアン蛍光タンパク質など)等々を包含する。例示の蛍光タンパク質は、例として、Sirius、Azurite、EBFP2、TagBFP、mTurquoise、ECFP、Cerulean、TagCFP、mTFP1、mUkG1、mAG1、AcGFP1、TagGFP2、EGFP、mWasabi、EmGFP、TagYPF、EYFP、Topaz、SYFP2、Venus、Citrine、mKO、mKO2、mOrange、mOrange2、TagRFP、TagRFP-T、mStrawberry、mRuby、mCherry、mRaspberry、mKate2、mPlum、mNeptune、T- Sapphire、mAmetrine、mKeimaを包含する。例として、Chalfie,M. and Kain,SR(eds.)Green fluorescent protein:properties,applications,and protocols(Methods of biochemical analysis,v.47,Wiley-Interscience,and Hoboken,N.J.,2006、および/または(例として、および)、Chudakov,DM,et al.,Physiol Rev.90(3):1103-63,2010を見よ。これらは、GFPおよび無数にある他の蛍光タンパク質またはルミネセンスタンパク質の考察について参照することにより本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、検出可能な標識は、ダーククエンチャ―(dark quencher)、例として、フルオロフォアから励起エネルギーを吸収しエネルギーを熱として放散する物質を含む。
【0262】
B.リンカー
本明細書に記載の複合体は一般に、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つを分子ペイロードへ接続するリンカーを含む。リンカーは、少なくとも1つの共有結合を含む。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR抗体を分子ペイロードへ接続する単結合、例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋であってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、複数の共有結合を通して、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つを分子ペイロードへ接続してもよい。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。リンカーは一般に、in vitroおよびin vivoで安定しており、ある細胞環境において安定していてもよい。加えて、一般にリンカーは、抗TfR抗体または分子ペイロードのいずれかの機能特性に負の影響を及ぼさない。リンカーの合成の例および方法は、当該技術分野で公知である(例として、Kline,T.et al.「Methods to Make Homogenous Antibody Drug Conjugates」Pharmaceutical Research,2015,32:11,3480-3493.;Jain,N.et al.「Current ADC Linker Chemistry」Pharm Res.2015,32:11,3526-3540.;McCombs,J.R.and Owen,S.C.「Antibody Drug Conjugates:Design and Selection of Linker,Payload and Conjugation Chemistry」AAPS J.2015,17:2,339-351を見よ)。
【0263】
リンカーの前駆体は、典型的には、抗TfR抗体と分子ペイロードとの両方へ付着できる2つの異なる反応性の種を含有しているであろう。いくつかの態様において、2つの異なる反応性の種は、求核試薬および/または(例として、および)求電子試薬であってもよい。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR抗体のリジン残基またはシステイン残基への抱合を介して、抗TfR抗体へ接続されている。いくつかの態様において、リンカーは、マレイミド含有リンカーを介して抗TfR抗体のシステイン残基へ接続されており、ここで任意に、マレイミド含有リンカーは、マレイミドカプロイルまたはマレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート基を含む。いくつかの態様において、リンカーは、3-アリールプロピオニトリル官能基を介して、抗TfR抗体のシステイン残基またはチオール官能化分子ペイロードへ接続されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR抗体のリジン残基へ接続されている。いくつかの態様において、リンカーは、アミド結合、カルバマート結合、ヒドラジド、トリアゾール、チオエーテル、またはジスルフィド結合を介して、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続されている。
【0264】
i.切断可能なリンカー
切断可能なリンカーは、プロテアーゼ感受性リンカー、pH感受性リンカー、またはグルタチオン感受性リンカーであってもよい。これらのリンカーは一般に、細胞内のみで切断可能であって、好ましくは、細胞外環境において、例として、筋細胞の細胞外において安定している。
【0265】
プロテアーゼ感受性リンカーは、プロテアーゼ酵素活性によって切断可能である。これらのリンカーは、典型的にはペプチド配列を含んでおり、長さが2~10アミノ酸、約2~5アミノ酸、約5~10アミノ酸、約10アミノ酸、約5アミノ酸、約3アミノ酸、または約2アミノ酸であってもよい。いくつかの態様において、ペプチド配列は、天然に存在するアミノ酸、例として、システイン、アラニン、または天然に存在しないかもしくは修飾されたアミノ酸を含んでいてもよい。天然に存在しないアミノ酸は、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線状コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当該技術分野において知られているその他のアミノ酸を包含する。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、バリン-シトルリンまたはアラニン-シトルリンのジペプチド配列を含む。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、リソソームのプロテアーゼ、例として、カテプシンB、および/または(例えば、および)エンドソームのプロテアーゼによって切断され得る。
【0266】
pH感受性リンカーは、高または低pH環境において容易に分解される共有結合的連結である。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、4~6の範囲にあるpHにて切断されてもよい。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、ヒドラゾンまたは環状アセタールを含む。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、エンドソームまたはリソソーム内で切断される。
【0267】
いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、ジスルフィド部分を含む。いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、細胞内部でのグルタチオン種とのジスルフィド交換反応によって切断される。いくつかの態様において、ジスルフィド部分はさらに、少なくとも1アミノ酸、例としてシステイン残基を含む。
【0268】
いくつかの態様において、リンカーは、Val-citリンカー(例として、米国特許6,214,345(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるとおり)である。いくつかの態様において、抱合前に、val-citリンカーは以下の構造を有する。
【化2】
【0269】
いくつかの態様において、抱合後、val-citリンカーは以下の構造を有する。
【化3】
【0270】
いくつかの態様において、Val-citリンカーは、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)へ付着される。いくつかの態様では、クリックケミストリー抱合の前に、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)に付着されたval-citリンカーは、以下の構造を有し、
【化4】
式中、nは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、nは3である。
【0271】
いくつかの態様において、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)へ付着されるval-citリンカーは、(例として、異なる化学的部分を介して)分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)へ抱合される。いくつかの態様において、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)に付着され、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に抱合されたval-citリンカーは、(クリックケミストリー抱合前)以下の構造を有し、
【化5】
式中、nは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、nは3である。
【0272】
いくつかの態様において、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)への抱合後、val-citリンカーは以下の構造を有し、
【化6】
式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、nは3であり、およびmは4である。
【0273】
ii.切断不能なリンカー
いくつかの態様において、切断不能なリンカーが使用されてもよい。一般に、切断不能なリンカーは、細胞環境または生理環境において容易に分解され得ない。いくつかの態様において、切断不能なリンカーは、任意に置換されていてもよいアルキル基を含むが、ここで置換は、ハロゲン、ヒドロキシル基、酸素種、および他の一般的な置換を包含していてもよい。いくつかの態様において、リンカーは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルキレン、任意に置換されていてもよいアリーレン、ヘテロアリーレン、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含むペプチド配列、トランケートされたグリカン、酵素的に分解され得ない糖(単数もしくは複数)、アジド、アルキン-アジド、LPXT配列を含むペプチド配列、チオエーテル、ビオチン、ビフェニル、反復単位のポリエチレングリコールもしくは等価な化合物、酸エステル、酸アミド、スルファミド、および/または(例として、および)、アルコキシ-アミンリンカーを含んでいてもよい。いくつかの態様において、ソルターゼ媒介ライゲーションは、LPXT配列を含む抗TfR抗体を、(G)n配列を含む分子ペイロードへ共有結合的に連結するために利用されるであろう(例として、Proft T.Sortase-mediated protein ligation:an emerging biotechnology tool for protein modification and immobilization.Biotechnol Lett.2010,32(1):1-10を見よ)。
【0274】
いくつかの態様において、リンカーは、置換されたアルキレン、任意に置換されていてもよいアルケニレン、任意に置換されていてもよいアルキニレン、任意に置換されていてもよいシクロアルキレン、任意に置換されていてもよいシクロアルケニレン、任意に置換されていてもよいアリーレン、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む任意に置換されていてもよいヘテロアリーレン;N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む任意に置換されていてもよいヘテロシクリレン;イミノ、任意に置換されていてもよい窒素種、任意に置換されていてもよい酸素種O、任意に置換されていてもよい硫黄種、またはポリ(アルキレンオキシド)、例として、ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシドを含んでいてもよい。
【0275】
iii.リンカー抱合
いくつかの態様において、リンカーは、ホスファート、チオエーテル、エーテル、炭素-炭素、カルバマート、またはアミド結合を介して抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続されている。いくつかの態様において、リンカーは、ホスファートまたはホスホロチオアート基、例として、オリゴヌクレオチド主鎖の末端のホスファートを介してオリゴヌクレオチドへ接続されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR抗体上に存在するリジン残基またはシステイン残基を介して、抗TfR抗体へ接続されている。
【0276】
いくつかの態様において、リンカーは、トリアゾールを形成するアジドとアルキンとの間のシクロ付加反応によって、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続されており、ここでアジドおよびアルキンは、抗TfR抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置付けられていてもよい。いくつかの態様において、アルキンは、環状アルキン、例としてシクロオクチンであってもよい。いくつかの態様において、アルキンは、ビシクロノニン(またビシクロ[6.1.0]ノニンまたはBCNとしても知られている)または置換ビシクロノニンであってもよい。いくつかの態様において、シクロオクタンは、2011年11月3日に公開の国際特許出願公開WO2011136645号、表題「Fused Cyclooctyne Compounds And Their Use In Metal-free Click Reactions」に記載のとおりである。いくつかの態様において、アジドは、アジドを含む糖または炭水化物分子であってもよい。いくつかの態様において、アジドは、6-アジド-6-デオキシガラクトースまたは6-アジド-N-アセチルガラクトサミンであってもよい。いくつかの態様において、アジドを含む糖または炭水化物分子は、2016年10月27日に公開の国際特許出願公開WO2016170186号、表題「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」に記載のとおりである。いくつかの態様において、トリアゾールを形成するアジドとアルキンとの間のシクロ付加反応(ここでアジドおよびアルキンは、抗TfR抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置付けられていてもよい)は、2014年5月1日に公開の国際特許出願公開WO2014065661号、表題「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」;または2016年10月27日に公開の国際特許出願公開WO2016170186、表題「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」に記載のとおりである。
【0277】
いくつかの態様において、リンカーはさらに、スペーサー、例として、ポリエチレングリコールスペーサーまたはアシル/カルバモイルスルファミドスペーサー、例として、HydraSpace(商標)スペーサーを含む。いくつかの態様において、スペーサーは、Verkade,J.M.M.et al.,「A Polar Sulfamide Spacer Significantly Enhances the Manufacturability,Stability,and Therapeutic Index of Antibody-Drug Conjugates」、Antibodies,2018,7,12に記載のとおりである。
【0278】
いくつかの態様において、リンカーは、求ジエン体とジエン/ヘテロ-ジエンとの間のディールス・アルダー反応によって、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続されるが、ここで求ジエン体およびジエン/ヘテロ-ジエンは、抗TfR抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置付けられていてもよい。いくつかの態様において、リンカーは、他のペリ環状反応、例として、エン反応によって、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続される。いくつかの態様において、リンカーは、アミド、チオアミド、またはスルホンアミド結合反応によって、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続される。いくつかの態様において、リンカーは、リンカーと抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードとの間に存在するオキシム基、ヒドラゾン基、またはセミカルバジド基を形成する縮合反応によって、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続される。
【0279】
いくつかの態様において、リンカーは、求核試薬(例として、アミン基またはヒドロキシル基)と求電子試薬(例として、カルボン酸またはアルデヒド)との間の抱合体付加反応によって、抗TfR抗体および/または(例として、および)分子ペイロードへ接続される。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求核試薬はリンカー上に存在していてもよく、求電子試薬は抗TfR抗体または分子ペイロード上に存在していてもよい。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求電子試薬はリンカー上に存在していてもよく、求核試薬は抗TfR抗体または分子ペイロード上に存在していてもよい。いくつかの態様において、求電子試薬は、アジド、ペンタフルオロフェニル、ケイ素中心、カルボニル、カルボン酸、無水物、イソシアナート、チオイソシアナート、スクシニミジルエステル、スルホスクシニミジルエステル、マレイミド、アルキルハロゲン化物、アルキル擬ハロゲン化物、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アリール、活性化リン中心、および/または(例として、および)、活性化硫黄中心であってもよい。いくつかの態様において、求核試薬は、任意に置換されていてもよいアルケン、任意に置換されていてもよいアルキン、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリド基、またはチオール基であってもよい。
【0280】
いくつかの態様において、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)に付着されたval-citリンカーは、以下の構造によって抗TfR抗体に抱合され、
【化7】
式中、mは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、mは4である。
【0281】
いくつかの実施形態では、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)に付着されたval-citリンカーは、以下の構造を有する抗TfR抗体に抱合され、
【化8】
式中、mは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、mは4である。
【0282】
いくつかの態様において、反応性の化学的部分(例として、クリックケミストリー抱合のためのSPAAC)に付着され、抗TfR抗体に抱合されたval-citリンカーは、以下の構造を有し:
【化9】
式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0283】
いくつかの態様において、抗体と分子ペイロードとを連結するval-citリンカーは、以下の構造を有し:
【化10】
式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。いくつかの態様において、Xは、NH(例として、リジンのアミン基からのNH)、S(例として、システインのチオール基からのS)または抗体のO(例として、セリン、トレオニンまたはチロシンのヒドロキシル基からのO)である。
【0284】
いくつかの態様において、本明細書中に記載される複合体は、以下の構造を有し、
【化11】
式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0285】
構造式(A)、(B)、(C)、および(D)中、L1は、いくつかの態様において、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(R
A)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
A-、-NR
AC(=O)-、-NR
AC(=O)R
A-、-C(=O)R
A-、-NR
AC(=O)O-、-NR
AC(=O)N(R
A)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(R
A)-、-S(O)
2NR
A-、-NR
AS(O)
2-、またはそれらの組み合わせであるスペーサーである。いくつかの態様において、L1は、
【化12】
であり、式中、ピペラジン部分はオリゴヌクレオチドに連結しており、L2は
【化13】
である。
【0286】
いくつかの態様において、L1は
【化14】
であり、式中、ピペラジン部分はオリゴヌクレオチドに連結している。
【0287】
いくつかの態様において、L1は
【化15】
である。
【0288】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへ連結される。
【0289】
いくつかの態様において、L1は、任意である(例として、存在する必要はない)。
【0290】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つは、以下の構造を有し、
【化16】
式中、nは0~15(例として、3)であり、mは0~15(例として、4)である。
【0291】
C.抗体-分子ペイロード複合体の例
本明細書に記載の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)のいずれかへ共有結合的に連結された、本明細書に記載のいずれか1つの抗TfR抗体を含む複合体の非限定的な例が、本明細書でさらに提供される。いくつかの態様において、抗TfR抗体(例として、表2に提供される抗TfR抗体のいずれか1つ)は、リンカーを介して分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)へ共有結合的に連結される。本明細書に記載のリンカーのいずれも、使用されてもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードがオリゴヌクレオチドである場合、リンカーは、オリゴヌクレオチドの5'末端、3'末端、または内部へ連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、チオール反応性の連結を介して(例として、抗TfR抗体中のシステインを介して)抗TfR抗体へ連結されている。いくつかの態様において、リンカー(例として、Val-citリンカー)は、抗体(例として、本明細書に記載の抗TfR抗体)へアミン基を介して(例として、抗体中のリジンを介して)連結されている。
【0292】
Val-citリンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体の構造の例が、以下に提供され、
【化17】
式中、リンカーは、チオール反応性の連結を介して(例として、抗体中のシステインを介して)抗体に連結されている。
【0293】
Val-citリンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体の構造の別の例が、以下に提供され、
【化18】
式中、nは0~10の間の数であり、mは0~10の間の数であり、リンカーはアミン基(例として、リジン残基上の)を介して抗体へ連結され、および/または(例として、および)リンカーはオリゴヌクレオチドへ(例として、5'末端、3'末端、または内部に)連結される。いくつかの態様において、リンカーはリジンを介して抗体へ連結され、リンカーはオリゴヌクレオチドに5'末端にて連結され、nは3であり、mは4である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドであり、リンカーは、5'末端または3'末端でセンス鎖またはアンチセンス鎖に連結される。
【0294】
抗体は、種々の化学量論で分子ペイロードへ連結され得ることが了解されるはずであって、その特性は薬物抗体比(DAR)と称されてもよく、「薬物」は分子ペイロードである。いくつかの態様において、1つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=1)。いくつかの態様において、2つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=2)。いくつかの態様において、3つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=3)。いくつかの態様において、4つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=4)。いくつかの態様において、各々が異なるDARを有する異なる複合体の混合物が提供される。いくつかの態様において、かかる混合物中の複合体の平均DARは、1~3、1~4、1~5以上の範囲にあってもよい。DARは、分子ペイロードを抗体上の種々の部位へ抱合させることによって、および/または(例として、および)、マルチマーを抗体上の1以上の部位へ抱合させることによって、増大されてもよい。例えば、2のDARは、単一分子ペイロードを抗体上の2つの異なる部位へ抱合させることによって、または二量体分子ペイロードを抗体の単一部位へ抱合させることによって、達成されてもよい。
【0295】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された本明細書に記載の抗TfR抗体(例として、表2~5内の抗体)を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、リンカー(例として、Val-citリンカー)を介して分子ペイロードに共有結合的に連結された、本明細書に記載の抗TfR抗体(例として、表2~5内の抗体)を含む。いくつかの態様において、リンカー(例として、Val-citリンカー)は、チオール反応性の連結を介して(例として、抗体中のシステインを介して)、抗体(例として、本明細書に記載される抗TfR抗体)へ連結されている。いくつかの態様において、リンカー(例として、Val-citリンカー)は、抗体(例として、本明細書に記載の抗TfR抗体)へアミン基を介して(例として、抗体中のリジンを介して)連結されている。
【0296】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体の例のいずれか1つにおいて、分子ペイロードは、本明細書に記載される遺伝子標的配列のいずれか1つに対して少なくとも15ヌクレオチドの相補性領域を含むオリゴヌクレオチドである。
【0297】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、表2に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と;表2に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3と同じCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3とを含む。
【0298】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号69、配列番号71または配列番号72のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0299】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0300】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0301】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0302】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号77または配列番号79のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0303】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号84、配列番号86または配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0304】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0305】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0306】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号92または配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0307】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0308】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号97、配列番号98または配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0309】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0310】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0311】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0312】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号102または配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0313】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化19】
式中、nは3であり、mは4である。
【0314】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化20】
式中、nは3であり、mは4である。
【0315】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化21】
式中、nは3であり、mは4である。
【0316】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化22】
式中、nは3であり、mは4である。
【0317】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化23】
式中、nは3であり、mは4である。
【0318】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化24】
式中、nは3であり、mは4である。
【0319】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化25】
式中、nは3であり、mは4である。
【0320】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化26】
式中、nは3であり、mは4である。
【0321】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化27】
式中、nは3であり、mは4である。
【0322】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR抗体を含み、抗TfR抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化28】
式中、nは3であり、mは4である。
【0323】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号69のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号70のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化29】
式中、nは3であり、mは4である。
【0324】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号71のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号70のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化30】
式中、nは3であり、mは4である。
【0325】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号72のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号70のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化31】
式中、nは3であり、mは4である。
【0326】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号73のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号74のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化32】
式中、nは3であり、mは4である。
【0327】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号73のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号75のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化33】
式中、nは3であり、mは4である。
【0328】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号74のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化34】
式中、nは3であり、mは4である。
【0329】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号75のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化35】
式中、nは3であり、mは4である。
【0330】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号78のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化36】
式中、nは3であり、mは4である。
【0331】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号79のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号80のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化37】
式中、nは3であり、mは4である。
【0332】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号80のアミノ酸配列を含むVLとを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化38】
式中、nは3であり、mは4である。
【0333】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化39】
式中、nは3であり、mは4である。
【0334】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化40】
式中、nは3であり、mは4である。
【0335】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化41】
式中、nは3であり、mは4である。
【0336】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化42】
式中、nは3であり、mは4である。
【0337】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化43】
式中、nは3であり、mは4である。
【0338】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化44】
式中、nは3であり、mは4である。
【0339】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化45】
式中、nは3であり、mは4である。
【0340】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化46】
式中、nは3であり、mは4である。
【0341】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化47】
式中、nは3であり、mは4である。
【0342】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、リジンを介してオリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合的に連結された抗TfR Fabを含み、抗TfR Fabは、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、複合体は、以下の構造を有し、
【化48】
式中、nは3であり、mは4である。
【0343】
いくつかの態様において、本明細書中に記載される複合体の例のいずれか1つにおいて、L1は、本明細書中に記載されるスペーサーのいずれか1つである。
【0344】
いくつかの態様において、L1は、
【化49】
であり、式中、ピペラジン部分はオリゴヌクレオチドに連結しており、L2は
【化50】
である。
【0345】
いくつかの態様において、L1は
【化51】
であり、式中、ピペラジン部分はオリゴヌクレオチドに連結している。
【0346】
いくつかの態様において、L1は
【化52】
である。
【0347】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへ連結される。
【0348】
いくつかの態様において、L1は、任意である(例として、存在する必要はない)。
【0349】
IV.製剤
本明細書に提供される抗TfR抗体または複合体は、いずれの好適なやり方でも製剤化されていてよい。一般に、本明細書に提供される抗体または複合体は、医薬への使用に好適なやり方で製剤化されている。例えば、抗体または複合体は、分解を最小限に抑える、送達および/または(例として、および)取り込みを容易にする、あるいは、製剤中の複合体へ別の有益な特性を提供する、製剤を使用して、対象へ送達され得る。いくつかの態様において、本明細書に提供されるのは、抗体または複合体および薬学的に許容し得る担体を含む組成物である。かかる組成物は、対象の標的細胞周囲の環境中または対象の全身のいずれかへ投与されたとき充分量の複合体が標的筋細胞に侵入できるように、好適に製剤化され得る。いくつかの態様において、抗体または複合体は、リン酸緩衝生理食塩溶液などの緩衝溶液中、リポソーム中、ミセル構造体中、およびカプシド中に製剤化される。
【0350】
いくつかの態様において、組成物が、本明細書に提供される複合体の1以上の構成要素(例として、抗TfR抗体、リンカー、分子ペイロード、またはこれらのいずれか1つの前駆体分子)を個別に包含していてもよいことは了解されるはずである。
【0351】
いくつかの態様において、抗体または複合体は、水中または水性溶液(例として、pH調整された水)中に製剤化される。いくつかの態様において、抗体または複合体は、塩基性緩衝水性溶液(例として、PBS)中に製剤化される。いくつかの態様において、本明細書に開示のとおりの製剤は、賦形剤を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、組成物へ、改善された安定性、改善された吸収、改善された可溶性、および/または(例として、および)、活性成分の治療増強を付与する。いくつかの態様において、賦形剤は、緩衝剤(例として、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス塩基、もしくは水酸化ナトリウム)、またはビヒクル(例として、緩衝溶液、ワセリン、ジメチルスルホキシド、または鉱油)である。
【0352】
いくつかの態様において、複合体またはその構成要素(例として、オリゴヌクレオチドまたは抗体)は、その貯蔵寿命を延長するため凍結乾燥され、次いで使用(例として、対象への投与)前に溶液にさせられる。結果的に、本明細書に記載の複合体またはその構成要素を含む組成物中の賦形剤は、凍結保護剤(lyoprotectant)(例として、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、もしくはポリビニルピロリドン)、または崩壊温度修飾因子(例として、デキストラン、フィコール、もしくはゼラチン)であってもよい。
【0353】
いくつかの態様において、医薬組成物は、その意図された投与ルートに適合するよう製剤化されている。投与ルートの例は、非経口投与、例として、静脈内投与、皮内投与、皮下投与を包含する。典型的には、投与ルートは、静脈内投与または皮下投与である。
【0354】
注射剤への使用に好適な医薬組成物は、滅菌注射剤溶液または分散溶液の即時調製のための、滅菌水性溶液(ここで水に可溶性である)または分散溶液、および滅菌粉末を包含する。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。いくつかの態様において、製剤は、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、および塩化ナトリウムを包含する。滅菌注射剤溶液は、要求量の複合体を、上に列挙された成分の1つまたはそれらの組み合わせと共に、選択された溶媒に組み込むこと、要求に応じ、これに続き濾過滅菌することによって調製され得る。
【0355】
いくつかの態様において、組成物は、活性成分(単数または複数)のパーセンテージが組成物全体の重量または体積の約1%と約80%以上との間であってもよいが、少なくとも約0.1%以上の複合体もしくはその構成要素を含有していてもよい。可溶性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与ルート、産物の貯蔵寿命などの因子、ならびに他の薬理学的留意事項は、かかる医薬製剤を調製する当業者によって企図されるであろう。そのため様々な投薬量および処置計画が所望されることもある。
【0356】
V.使用の方法
本開示のいくつかの側面は、本明細書に記載の抗TfR抗体、抗体フラグメントまたはバリアント、これらをコードする核酸、および複合体の、研究、診断方法、検出方法、および治療方法における使用を包含する様々な使用を提供する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、分子ペイロード(例として、診断剤もしくは治療剤)を、トランスフェリン受容体を発現する標的細胞または組織へ送達するのに使用される。いくつかの態様において、標的細胞は、筋細胞である。いくつかの態様において、標的組織は、筋肉である。いくつかの態様において、標的組織は、脳である。分子ペイロードを送達するため、抗TfR抗体は、分子ペイロードへ抱合され(例として、共有結合的に抱合され)て複合体を形成していてもよい。
【0357】
a.診断および検出の方法
また本明細書に提供されるのには、上に記載の抗体、抗原結合フラグメント、ポリヌクレオチド、ベクター、または細胞のいずれか1つの使用、ならびに診断方法および/または(例として、および)検出方法における任意に好適な手段もある。抗体または抗原結合フラグメントは、例えば、免疫アッセイにおける使用に適しており、前記アッセイにおいてそれらは液相中で利用され得るかまたは固相担体へ結合され得る。抗体または抗原結合フラグメントを利用し得る免疫アッセイの例は、直接または間接のいずれかのフォーマットの、競合および非競合の免疫アッセイである。かかる免疫アッセイの例は、酵素結合免疫測定法(Enzyme Linked Immunoassay)(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、サンドイッチ(免疫測定法(immunometric assay))、フローサイトメトリー、ウェスタンブロットアッセイ、免疫沈降アッセイ、免疫組織化学、免疫顕微鏡法(immuno-microscopy)、側方流動免疫クロマトグラフアッセイ、およびプロテオミクスアレイである。抗原および抗体または抗原結合フラグメントは、多くの種々の固体支持体(例として、担体、膜、カラム、プロテオミクスアレイ等々)へ結合され得る。周知の固体支持体材料の例は、ガラス、ポリスチレン、塩化ポリビニル、二フッ化ポリビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然セルロースおよび変性セルロース(ニトロセルロースなど)、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびに磁鉄鉱を包含する。この種の支持体は、固定されているか、または溶液中に懸濁されているか(例として、ビーズ)のいずれかであり得る。
【0358】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗TfR抗体のいずれか1つは、生体試料においてトランスフェリン受容体の存在を検出するのに有用である。用語「検出すること」は、本明細書に使用されるとき、定量的または定性的な検出を網羅する。ある態様において、生体試料は、血液、CSF、およびBBB含有組織などの、細胞または組織を含む。生体試料は、in vitro(例として、培養された)、またはin vivo(例として、対象中)であり得る。本開示はまた、研究使用における(例として、ウェスタンブロッティング、免疫染色、ELISA、および/または(例として、および)、FACSなどの免疫アッセイのための試薬としての)本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか1つの使用も企図する。
【0359】
いくつかの態様において、診断または検出の方法における使用のための抗TfR抗体が提供される。いくつかの側面において、生体試料においてトランスフェリン受容体の存在を検出する方法が提供される。ある態様において、方法は、抗TfR抗体のトランスフェリン受容体への結合を許容する条件下で生体試料を本明細書に記載のとおりの抗TfR抗体と接触させること、および複合体が抗TfR抗体とトランスフェリン受容体との間で形成されたかを検出することを含む。かかる方法は、in vitroまたはin vivoでの方法であってもよい。いくつかの態様において、抗TfR抗体は、例として、トランスフェリン受容体が患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗TfR抗体での治療に適格な対象を選択するのに使用される。
【0360】
本明細書に記載の抗TfR抗体を使用して診断されてもよい例示の障害は、トランスフェリン受容体が網状赤血球に発現されており、したがって本発明の抗体のいずれによっても検出可能であるという事実に起因して、未成熟赤血球を伴う障害を包含する。かかる障害は、低減したレベルの網状赤血球から生じる貧血症および他の障害、または先天性赤血球増加症もしくは腫瘍性真性多血症を包含するが、ここで、例として網状赤血球の過剰増殖に起因して上昇した赤血球の総数は、血液の濃厚化および同時に起こる生理学的な症状をもたらす。
【0361】
いくつかの態様において、生体試料においてトランスフェリン受容体の存在/レベルを検出するために、標識された抗TfR抗体が使用される。標識は、これらに限定されないが、直接的に検出される標識または部分(蛍光の、発色団の、高電子密度の、化学ルミネセンスの、および放射性の標識など)、ならびに、例として酵素反応または分子間相互作用を通して、間接的に検出される酵素またはリガンドなどの部分を包含する。例示の標識は、これらに限定されないが、放射性同位体32P、14C、125I、3H、および131、フルオロフォア、たとえば、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例として、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ(saccharide oxidases)、例として、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、色素前駆体(HRP、lactoペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼなど)を酸化する過酸化水素を用いる酵素とカップリングされた複素環式オキシダーゼ(ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなど)、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定した遊離ラジカル等を包含する。いくつかの態様において、検出可能な標識は、in vitroで細胞においてトランスフェリン受容体を検出するのに好適な剤であって、これらは、放射性分子、放射性医薬品、または鉄オキシド粒子であり得る。in vivoでの画像化に好適な放射性分子は、これらに限定されないが、122I、123I,124I、125I、131I、18F、75Br、76Br、77Br、211At、225Ac、177Lu、153Sm、186Re、188Re、67Cu、213Bi、212Bi、212Pb、および67Gaを包含する。in vivoでの画像化に好適な例示の放射性医薬品は、111Inオキシキノリン、131Iヨウ化ナトリウム、99mTcメブロフェニン(Mebrofenin)、および99mTc赤血球(Red Blood Cells)、123Iヨウ化ナトリウム、99mTcエキサメタジム、99mTc大凝集アルブミン、99mTcメドロナート(Medronate)、99mTcメルチアジド(Mertiatide)、99mTcオキシドロナート(Oxidronate)、99mTcペンテタート(Pentetate)、99mTcペルテクネタート(Pertechnetate)、99mTcセスタミビ、99mTc硫黄コロイド、99mTcテトロホスミン、タリウム-201、またはキセノン-133を包含する。
【0362】
ある態様において、本明細書に記載の抗TfR抗体は、細胞または組織の(例として、蛍光顕微鏡法によるかまたは磁気共鳴画像法(MRI)による)可視化ため、検出可能な標識を標的細胞または組織へ(例として、筋細胞へ、もしくは血液脳関門を越えて脳へ)送達するのに使用され得る。本明細書に記載の検出可能な標識のいずれも、このために使用され得る。
【0363】
いくつかの態様において、診断または検出の方法に使用される抗TfR抗体は、エフェクター機能を欠くか、または低減されたエフェクター機能を有する。いくつかの態様において、診断/検出方法に使用される抗TfR抗体は、エフェクター機能を有さないかまたは低減されたエフェクター機能を有するよう(例として、Fabを使用すること、Ig主鎖を修飾すること、1以上のFc突然変異を導入してエフェクター機能を低減もしくは排除すること、および/または(例として、および)、抗体のグリコシル化状態を修飾することによって)改変される。
【0364】
トランスフェリン受容体への結合を決定するための様々な技法が利用可能である。1つのかかるアッセイは、ヒトトランスフェリン受容体(および脳抗原)への結合能を確認するための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。このアッセイに従い、抗原(例として、組換えトランスフェリン受容体)でコーティングされたプレートは、抗TfR抗体を含む試料とともにインキュベートされ、目的の抗原への抗体の結合が決定される。
【0365】
診断アッセイをin vivoで行うために、標識(例として、イメージング剤または造影剤)と抱合された、好適な量の抗TfR抗体が、検査を必要する対象へ投与され得る。標識された抗体の存在は、定型的な方法によって標識から放出されたシグナルに基づき検出され得る。全身的に投与された抗体の取り込みおよび抗体の他の生物学的活性を評価するためのアッセイは、当業者に知られている。
【0366】
科学研究アッセイを行うために、抗TfR抗体は、トランスフェリン受容体の生物学的活性を研究するのに、および/または(例として、および)トランスフェリン受容体の存在を細胞内から検出するのに使用され得る。例えば、好適な量の抗TfR抗体が、トランスフェリン受容体を産生すると疑われる試料(例として、トランスフェリン受容体を産生する細胞としてこれまで同定されていない新しい細胞型)と接触させられ得る。抗体および試料は、抗体のトランスフェリン受容体抗原への結合を可能にするのに好適な条件下好適な期間インキュベートされてもよい。かかる相互作用は次いで、定型的な方法、例として、ELISA、組織学的染色、またはFACSを介して検出され得る。
【0367】
b.処置方法
本明細書に記載の抗TfR抗体は、治療剤(例として、オリゴヌクレオチド、ペプチド/タンパク質、核酸コンストラクト等々)である分子ペイロードを送達するのに使用され得る。いくつかの側面において、本開示はまた、疾患の処置における使用のための分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体も提供する。
【0368】
いくつかの側面において、本明細書に記載のとおりの分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体は、筋疾患(例として、希少筋疾患または筋萎縮症)を処置するのに有効である。いくつかの態様において、複合体は、表6に提供される希少筋疾患を処置するのに有効である。いくつかの態様において、筋疾患は、疾患アレルに関連しており、例えば、具体的な筋疾患の疾患アレルは、表6に挙げられた対応する遺伝子において遺伝子変更を含んでいてもよい。
【0369】
いくつかの態様において、複合体は、「筋萎縮症遺伝子標的」節の下で表6に挙げられた1以上の遺伝子の活性に関連する筋萎縮症を処置するのに有効である。いくつかの態様において、筋萎縮症は、AIDS、うっ血性心不全、がん、慢性閉塞性肺疾患、および腎不全を包含する慢性の病気、または筋廃用(muscle disuse)に起因する。
【0370】
他の側面において、本明細書に記載のとおりの分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体は、神経学的疾患を処置するのに有効である。いくつかの態様において、神経学的疾患は、これらに限定されないが、ニューロパチー、アミロイドーシス、がん、眼疾患または障害、ウイルスまたは微生物感染、炎症、虚血、神経変性疾患、発作、行動障害、およびリソソーム蓄積疾患を包含する。本出願の目的のために、CNSは、通常、血液網膜関門によって身体の他の部分から隔離される眼を含むと理解されるであろう。神経学的障害の具体例は、これらに限定されないが、神経変性疾患(これらに限定されないが、レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症を包含する)、タウオパチー(これらに限定されないが、アルツハイマー病および核上性麻痺を包含する)、プリオン病(これらに限定されないが、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病、および致死性家族性不眠症を包含する)、球麻痺、運動ニューロン疾患、ならびに神経系ヘテロ変性障害(これらに限定されないが、カナバン病、ハンチントン病、神経セロイドリポフスチン症、アレキサンダー病、トゥレット症候群、メンケスkinky hair症候群、コケイン症候群、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ラフォラ病、レット症候群、肝レンズ核変性症、レッシュ・ナイハン症候群、およびウンフェルリヒト・ルントボルク症候群を包含する)、認知症(これらに限定されないが、ピック病および脊髄小脳失調症を包含する)、がん(例として、CNSのがん、体内の他の場所のがんに起因する脳転移を包含する)を包含する。いくつかの態様において、神経学的疾患を処置するため、複合体は、神経学的疾患を処置するための薬物(例として、表7に挙げられた薬物)へ抱合された本明細書に記載の抗TfR抗体を含む。
【0371】
いくつかの態様において、対象は、ヒト対象、霊長目の非ヒト動物対象、齧歯類動物対象、またはいずれの好適な哺乳類の動物対象であってもよい。いくつかの態様において、対象は、表6に提供された筋疾患を有してもよい。いくつかの態様において、対象は、筋萎縮症を有していてもよく、または筋萎縮症を発症するリスクがあってもよい。
【0372】
本開示の側面は、本明細書に記載のとおりの有効量の複合体を対象へ投与することを伴う方法を包含する。いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む有効量の医薬組成物は、処置を必要とする対象へ投与され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりの複合体を含む医薬組成物は、静脈内投与を包含してもよい好適なルートによって、例として、ボーラスとして、またはある期間にわたる連続注入によって、投与されてもよい。いくつかの態様において、静脈内投与は、筋肉内の、腹腔内の、脳脊髄内の(intracerebrospinal)、皮下の、関節内の、滑液嚢内の、または髄腔内のルートによって行われてもよい。いくつかの態様において、医薬組成物は、固体形態、水性形態、または液体形態であってもよい。いくつかの態様において、水性または液体形態は、噴霧されてもよく、または凍結乾燥されてもよい。いくつかの態様において、噴霧形態または凍結乾燥形態は、水性または液体溶液で再構成されてもよい。
【0373】
静脈内投与のための組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、およびポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)などの様々な担体を含有していてもよい。静脈内注射のための水可溶性抗体は点滴法によって投与され得、これによって抗体および生理学的に許容し得る賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容し得る賦形剤は、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液、または他の好適な賦形剤を包含していてもよい。筋肉内用調製物、例として、抗体の好適な可溶性の塩形態の滅菌製剤は、注射用水、0.9%生理食塩水、または5%グルコース溶液などの医薬賦形剤に溶解されて投与され得る。
【0374】
いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む医薬組成物は、部位特異的または局部的な送達技法を介して投与される。これらの技法の例は、複合体の埋め込み型デポー供給源、局部送達カテーテル、部位特異的担体、直接注射、または直接塗布(direct application)を包含する。
【0375】
いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む医薬組成物は、治療効果を対象に付与する有効濃度にて投与される。有効量は、当業者によって認識されるとおり、疾患の重症度、処置される対象に特有な特徴、例として、年齢、体調、健康状態、または重量、処置の継続期間、いずれの併用治療の性質、投与ルート、および関連因子に応じて変動する。これらの関連因子は当業者に知られており、わずかな定型的実験法で対処され得る。いくつかの態様において、有効濃度は、患者に安全であるとみなされる最大用量である。いくつかの態様において、有効濃度は、最大限の効力を提供する、実行可能な最低濃度であろう。
【0376】
経験的考察、例として、対象における複合体の半減期は一般に、処置のために使用される医薬組成物の濃度の決定に寄与するであろう。投与頻度は、処置の効力を最大化するために経験的に決定かつ調整されてもよい。
【0377】
一般に、本明細書に記載の複合体のいずれかの投与について、当初の候補投薬量は、上に記載の因子、例として、安全性または効力に応じて、約1~100mg/kgであってもよく、またはこれより多くてもよい。いくつかの態様において、処置は、一度施されるであろう。いくつかの態様において、処置は、毎日、隔週、毎週、隔月、毎月、または対象へ最大の効力を提供しつつ安全性へのリスクを最小に抑えるいずれの時間間隔にて、施されるであろう。一般に、効力ならびに処置および安全性へのリスクは、処置過程を通して監視されることもある。
【0378】
処置の効力は、いずれか好適な方法を使用して査定されてもよい。いくつかの態様において、処置の効力は、筋疾患および/または(例として、および)筋萎縮症に関連する症状の所見の評価によって査定されてもよい。
【0379】
いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む医薬組成物は、対照(例として、処置に先立つ遺伝子発現のベースラインレベル)と比べて、標的遺伝子の活性または発現を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%阻害するのに充分な有効濃度にて、対象へ投与される。
【0380】
いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回用量または投与は、少なくとも1~5日間、1~10日間、5~15日間、10~20日間、15~30日間、20~40日間、25~50日間、またはこれより長い期間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回用量または投与は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回用量または投与は、少なくとも1、2、3、4、5、または6カ月間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。
【0381】
いくつかの態様において、医薬組成物は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR抗体を含む、1種より多くの複合体を含んでいてもよい。いくつかの態様において、医薬組成物は、対象、例として、筋疾患(例として、表6で提供された筋疾患)を有するヒト対象の処置のためのいずれか他の好適な治療剤をさらに含んでいてもよい。いくつかの態様において、他の治療剤は、本明細書に記載の複合体の有効性を増強または補完するものであってもよい。いくつかの態様において、他の治療剤は、本明細書に記載の複合体とは異なる症状または疾患を処置するよう機能してもよい。
【0382】
c.治療用途および診断用途のためのキット
本開示はまた、本明細書に開示のとおりの治療用途または診断用途のためのキットも提供する。かかるキットは、抗TfR抗体(例として、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれか)を含む1以上の容器を包含し得る。
【0383】
いくつかの態様において、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従う使用のための指示を含み得る。包含される指示は、本明細書に記載の疾患としての標的疾患を処置するか、その発病を遅延するか、または前記疾患を緩和するための抗TfR抗体の投与の記載を含み得る。キットはさらに、処置に好適な個体を、その個体が標的疾患を有するかを同定することに基づき選択する記載を含んでいてもよい。さらに他の態様において、指示は、標的疾患のリスクがある個体へ抗体を投与する記載を含む。
【0384】
抗TfR抗体の使用に関する指示は一般に、意図した処置のための投薬量、投薬スケジュール、および投与ルートに応じた情報を包含する。容器は、単位用量、大量パッケージ(例として、複数回用量パッケージ)、または単位用量未満の用量(sub-unit doses)であってもよい。本発明のキットにおいて供給される指示は典型的には、ラベル上の書面の指示または添付文書(例として、キット中に包含される紙シート)であるが、機械可読指示(例として、磁気記憶ディスクまたは光学式記憶ディスク上で送られる指示)もまた許容し得る。
【0385】
ラベルまたは添付文書は、組成物が、免疫応答をモジュレートすることによって処置可能な自己免疫疾患などの疾患もしくは障害を処置するのに、その発病を遅延するのに、および/または(例として、および)、前記疾患もしくは障害を緩和するのに使用されることを指し示す。指示は、本明細書に記載の方法のいずれも実践するために提供されてもよい。
【0386】
本発明のキットは、好適にパッケージングされている。好適なパッケージングは、これらに限定されないが、バイアル、瓶、壺、フレキシブルパッケージング(例として、密閉されたMylarまたはプラスチックバッグ)等を包含する。
【0387】
また企図されるのには、吸入器、経鼻投与デバイス(例として、噴霧器)、またはミニポンプなどの注入デバイスなどの特定のデバイスと組み合わせて使用されるためのパッケージもある。キットは、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。容器もまた、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載の抗TfR抗体としての抗TfR抗体である。
【0388】
キットは任意に、緩衝剤および説明的(interpretive)情報などの追加の構成要素を提供してもよい。通常、キットは、容器、および容器上のもしくは容器に結び付けられたラベルまたは添付文書(単数もしくは複数)を含む。いくつかの態様において、本発明は、上に記載のキットの内容物を含む製造品を提供する。
【0389】
また本明細書に提供されるのには、試料においてトランスフェリン受容体を検出することにおける使用のためのキットもある。かかるキットは、本明細書に記載の抗TfR抗体のいずれも含んでいてもよい。いくつかの場合において、抗TfR抗体は、本明細書に記載の標識としての検出可能な標識と抱合され得る。本明細書に使用されるとき、「抱合された」または「付着された」は、2つの実体が、好ましくは2つの実体間の結び付きの治療的/診断的な利益が現実化される充分な親和性で、結び付けられていることを意味する。2つの実体間の結び付きは、直接か、またはポリマーリンカーなどのリンカーを介してのいずれかであり得る。抱合されたまたは付着されたは、共有結合または非共有結合、ならびに捕捉(entrapment)などの他の形態の結び付き(例として、一方の実体が他方の実体上もしくはその内にあるか、または片方もしくは両方の実体がミセルなどの第3の実体上またはその内にある)を包含し得る。
【0390】
代替的にまたは加えて(例として、加えて)、キットは、抗TfR抗体へ結合することが可能な二次抗体を含んでいてもよい。キットはさらに、トランスフェリン受容体を検出するための抗TfR抗体を使用するための指示を含んでいてもよい。
【0391】
例
例1:ヒト化抗TfR1抗体
表2に示す抗TfR抗体はヒト化および突然変異誘発に供され、製造可能性の傾向(liability)を低減した。ヒト化バリアントはスクリーニングされ、それらの結合特性および生物学的活性について試験された。抗TfR1重鎖可変領域および軽鎖可変領域のヒト化バリアント(それぞれ5つのバリアント)が、Composite Human Technologyを用いて設計された。これらの重鎖および軽鎖可変領域を有するFabをコードする遺伝子が合成され、各ヒト化重鎖および軽鎖バリアントを発現するようにベクターが構築された。続いて、各ベクターを小規模で発現させ、得られたヒト化抗TfR1 Fabが分析された。ヒト化Fabは、標的抗原に対する抗体親和性、相対発現、ヒト生殖系列配列に対する相同性パーセント、およびMHCクラスII予測T細胞エピトープの数(iTope(商標)MCHクラスII in silico分析を使用して決定される)のBiocoreアッセイを含むいくつかの基準に基づいて、さらなる試験のために選択された。
【0392】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域にアミノ酸置換を導入することによって、いくつかの抗体の親配列内の潜在的な傾向が特定された。これらの置換は、相対発現レベル、iTope(商標)スコアおよびBiacore単回サイクル動態分析からの相対K
Dに基づいて選択された。ヒト化バリアントが試験され、最初に標的抗原に対する親和性に基づいてバリアントが選択された。続いて、選択したヒト化Fabは、表8および表9に示す、分析した各バリアントの凝集および分解に対する安定性および感受性の一連の生物物理学的評価に基づいてさらにスクリーニングされた。選択されたFabは、TfR1に結合するそれらの特性について速度論的分析によって分析された。これらの分析の結果は表10に示される。表8および表9に示す抱合体の場合、選択したヒト化Fabは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドASO300に抱合された。高温(40℃)に9日間曝露された後のヒトおよびカニクイザル(cyno)TfR1への同等の結合親和性によって示されるように、選択されたFabは、曝露前と比較して熱的に安定である(表10を見よ)。
表8.ヒト化抗TfR Fabの生物物理学的評価データ
【表8】
表9.ヒト化抗TfR Fabおよび抱合体の熱安定性
【表9】
表10.TfR1に結合するヒト化抗TfR Fabの速度論的分析
【表10】
【0393】
ヒト化抗TfR1 FabのTfR1への結合(ELISA)
ヒト化抗TfR抗体のTfR1への結合を測定するために、ELISAが行われた。高結合性黒色平底96ウェルプレート(Corning#3925)は、最初にPBS中1μg/mLの組換えhuTfR1 100μL/ウェルでコーティングされ、4℃で一晩インキュベートされた。ウェルは空にされ、残留液体は除去された。PBS中1%のBSA(w/w)200μLを各ウェルに添加してブロッキングを行った。ブロッキングは、300rpmのシェーカーで室温で2時間進行させた。ブロッキング後、液体は除去され、ウェルは300μLのTBSTで3回洗浄された。次いで、抗TfR1抗体が8点連続希釈(希釈範囲5μg/mL~5ng/mL)で、トリプリケート(triplicate)で0.5% BSA/TBSTに添加された。陽性対照およびアイソタイプ対照も、ELISAプレートに包含された。プレートはオービタルシェーカー上で300rpmで60分間室温でインキュベートされ、プレートは300μLのTBSTで3回洗浄された。抗(H+L)IgG-A488 (1:500) (Invitrogen #A11013)は、TBST中0.5% BSAに希釈され、100μLが各ウェルに添加された。次いでプレートは、オービタルシェーカー上、300rpmで60分間室温でインキュベートされた。液体は除去され、プレートは300μLのTBSTで4回洗浄された。次いで、495nm励起および50nm発光(15nm帯域幅)での吸光度がプレートリーダー上で測定された。データは記録され、EC
50について分析された。ヒト化3M12、3A4および5H12 FabのヒトTfR1(hTfR1)への結合についてのデータが、それぞれ
図1A、
図1Cおよび
図1Eに示される。カニクイザル(Macaca fascicularis) TfR1 (cTfR1)を用いて、hTfR1について上述したのと同じプロトコルに従ってELISA測定が行われ、結果は
図1B、
図1Dおよび
図1Fに示される。
【0394】
hTfR1およびcTfR1へのヒト化抗TfR Fabの結合に関するこれら2セットのELISA分析の結果は、ヒト化3M12 FabがhTfR1およびcTfR1の両方への一貫した結合を示すこと、およびヒト化3A4 FabがhTfR1と比較してcTfR1への結合の減少を示すことを実証する。
【0395】
抗体-オリゴヌクレオチド抱合体は、それぞれがDMPK標的化オリゴヌクレオチドASO300に抱合された6つのヒト化抗TfR Fabを使用して調製された。抱合効率および下流精製が特徴付けられ、生成物抱合体の様々な特性が測定された。結果は、抱合効率が試験した10のバリアントすべてにわたって堅実であったこと、および精製プロセス(疎水性相互作用クロマトグラフィー、引き続いてヒドロキシアパタイト樹脂クロマトグラフィー)が有効であったことを実証している。精製抱合体は、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した場合、>97%の純度を示した。
【0396】
いくつかのヒト化Fabは、TfR1によって媒介される内在化を評価するための細胞取り込み実験において試験された。抗体によって媒介されるそのような細胞取り込みを測定するために、ヒト化抗TfR Fab抱合体は、pH感受性色素であるCypher5eで標識された。横紋筋肉腫(RD)細胞を4時間にわたって100nMの抱合体によって処置し、トリプシン処理し、2回洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。平均のCypher5e蛍光(取り込みを表す)をAttune NxTソフトウェアを使用して計算した。
図2に示されるように、ヒト化抗TfR1 Fabは、陽性対照抗TfR Fabと比較して、類似するか、または増加したエンドソーム取り込みを示す。類似の内在化効率が、異なるオリゴヌクレオチドペイロードで観察された。抗マウスTfR抗体を陰性対照として使用した。コールドな(非内在化)条件は陽性対照抗体抱合体の蛍光シグナルを廃し(データは示さない)、陽性対照およびヒト化抗TfR Fab抱合体における陽性シグナルがFab抱合体の内在化を原因とすることを指し示した。
【0397】
6つのヒト化抗TfR Fabの抱合体も、ELISAによってhTfR1およびcTfR1への結合について試験され、ヒト化Fabの非抱合形態と比較された。結果は、ヒト化3M12および5H12 Fabが、それらの非抱合形態と比較して、抱合後に同様のレベルのhTfR1およびcTfR1結合を維持することを実証する(3M12、
図3Aおよび
図3B;5H12、
図3Eおよび
図3F)。興味深いことに、3A4クローンは、それらの非抱合形態と比較して、抱合後にcTfR1への結合の改善を示す(
図3Cおよび
図3D)。
【0398】
この例で使用される場合、「非抱合」という用語は、抗体がオリゴヌクレオチドに抱合されていなかったことを示す。
【0399】
例2.in vitroの抗体-オリゴヌクレオチド抱合体によって促進されるDMPK mRNAレベルのノックダウン
ヒト化抗TfR Fabの3M12(VH3/Vk2)、3M-12(VH4/Vk3)および3A4(VH3-N54S/Vk4)を含有する抱合体は、DMPK標的化アンチセンスオリゴヌクレオチドASO300に抱合され、横紋筋肉腫(RD)細胞において、DMPK転写産物発現のノックダウンについて試験された。抗体は、式(C)に示されるリンカーを介してASO300に抱合された。
【0400】
RD細胞を、10%FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを補ったグルタミンありのDMEMの増殖培地によってほとんどコンフルエントまで培養した。次いで、細胞を96ウェルプレートにウェル当たり20K細胞で播種し、24時間にわたって回復させた。次いで細胞は、抱合体で3日間処置された。全RNAを細胞から収集し、cDNAを合成し、DMPK発現をqPCRによって測定した。
【0401】
図4の結果は、DMPK発現レベルが、PBS処理細胞における発現と比較して、各示された抱合体で処置された細胞において低下したことを示しており、ヒト化抗TfR FabがRD細胞によるDMPK標的化オリゴヌクレオチドの取り込みを媒介することができること、および内在化DMPK標的化オリゴヌクレオチドがDMPK mRNAレベルをノックダウンするのに有効であることを示している。
【0402】
例3.抗TfR抗体および分子ペイロードを連結するリンカーの血清中安定性
例において抗体に連結されたオリゴヌクレオチドは、式(C)に示される切断可能なリンカーを介して抱合された。リンカーは血清中において安定性を維持し、標的化された筋細胞における充分なペイロード蓄積を利する放出動態を提供することが重要である。この血清中安定性は、静脈内全身投与、血流中における抱合されたオリゴヌクレオチドの安定性、筋組織への送達、および筋細胞における治療薬ペイロードの内在化にとって重要である。リンカーは、Fabへの複数の型のペイロード(ASO、siRNA、およびPMOを包含する)の正確な抱合を容易化することが確認されている。このフレキシビリティは、各筋疾患の遺伝学的な基礎に対処するための適当な型のペイロードの合理的選択を可能にした。加えて、リンカーおよび抱合ケミストリーは、各型のペイロードについて、各Fabに付着されるペイロード分子の比を最適化し、種々の筋疾患適用への使用を可能にするための分子の迅速な設計、産生、およびスクリーニングを可能にした。
【0403】
図5は、in vivoのリンカーの血清中安定性を示す。これは静脈内投薬後の72時間の過程において複数の生物種間で同等であった。少なくとも75%の安定性が各ケースにおいて投薬72時間後に測定された。
【0404】
例4.DMD患者筋管における抗TfR抱合体のエキソンスキッピング活性
本研究では、DMDエキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドに抱合された抗TfR Fab(3M12 VH3/VK2、3M12 VH4/VK3、および3A4 VH3 N54S/VK4)を含有する抗TfR抱合体のエキソンスキッピング活性が評価された。エキソン52欠失をもつ不死化ヒト筋芽細胞は融解され、1e6細胞/フラスコの密度でPromocell骨格筋細胞増殖培地(5%FBSおよび1×Pen-Strepあり)に播種され、コンフルエントまで増殖させた。コンフルエントになった後、細胞をトリプシン処理し、遠心によってペレット化し、新鮮なPromocell骨格筋細胞増殖培地に再懸濁した。細胞数がカウントされ、細胞をマトリゲルコーティング96ウェルプレートに50k細胞/ウェルの密度で播種された。細胞を24時間にわたって回復させした。増殖培地を吸い取ることと血清なしの分化培地による置き換えとによって、細胞を誘導して分化させた。次いで、細胞は10μMの抱合または非抱合DMDエキソンスキッピングオリゴヌクレオチドによって処置された。細胞は試験物と10日間インキュベートされ、次いで、全RNAが96ウェルプレートから採集された。全RNAの75ngに対してcDNA合成が行われ、各細胞型におけるエキソン51スキッピングの程度を評価するために突然変異特異的PCRが行われた。突然変異特異的PCR産物を4%アガロースゲルに流し、SYBR goldを使用して視覚化した。デンシメトリーが使用されて、スキップされたおよびスキップされなかったアンプリコンの相対量を計算し、エキソンスキッピングは、存在するアンプリコンの全量によって除算された、エキソン51がスキッピングされたアンプリコンの比として決定された:
【数1】
【0405】
データは、DMDエキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドに抱合された3M12 VH3/Vκ2または3M12 VH4/Vκ3 Fabのいずれかとの抱合体が、非抱合DMDエキソンスキッピングオリゴヌクレオチドと比較して、患者の筋管においてエキソンスキッピングの増強をもたらしたことを実証している(
図6)。
【0406】
この例で使用される場合、「非抱合」という用語は、オリゴヌクレオチドが抗体に抱合されていなかったことを示す。
【0407】
例5.hTfR1マウスにおける抗TfR抱合体のin vivo活性
DM1では、正常よりも多い数のCUG反復が大きいヘアピンループを形成し、これらが核にトラップされたままに残り、核のフォーカスを形成する。これらはスプライシングタンパク質に結合し、スプライシングタンパク質がそれらの正常な機能を果たす能力を阻害する。有毒な核DMPKレベルが低減されるときには、核のフォーカスは逓減し、スプライシングタンパク質を放出し、正常なmRNAプロセシングを修復させ、可能性としては疾患進行を停止または退行させる。
【0408】
DMPK標的化オリゴヌクレオチドASO300へ抱合された抗TfR Fab(対照、3M12 VH3/VK2、3M12 VH4/VK3、3A4 VH3 N54S/VK4)を含有する抱合体の、マウスにおける静脈内全身投与後に複数の筋組織のDMPK mRNAレベルを低減するin vivo活性が評価された。
【0409】
1つのTfR1アレルがヒトTFR1アレルによって置き換えられた雄および雌C57BL/6マウスは、5および15週齢の間で表11および
図7Aに概説されている投薬スケジュールに従って投与された。マウスは、第1の注射の14日後に屠殺され、選択された筋肉を表12に示されているとおり収集した。
【表11】
【表12】
【0410】
全RNAを製造者(Promega)によって提供されるキットを使用してMaxwell Rapid Sample Concentrator (RSC)装置によって抽出した。精製されたRNAを逆転写し、DmpkおよびPpib転写産物のレベルを特異的なTaqManアッセイ(ThermoFisher)によるqRT-PCRによって決定した。Dmpk発現のLogの倍率変化を2
-ΔΔCT法に従って計算した。Ppibを参照遺伝子として、ビヒクルを注射されたマウスを対照群として使用した。対照マウスおよび抱合体を投与されたマウスの間のDmpk発現の違いの統計的有意性は、多重比較のためのダネットの補正による一元配置ANOVAによって決定された。
図7B~
図7Eに示されるとおり、試験された抱合体は、種々の筋組織においてin vivoのDMPK mRNAレベルを低減する堅実な活性を示した。
【0411】
例6.エピトープマッピング
hTfR1/抗TfR Fab (3M12 VH4/Vk3)複合体のエピトープを高分解能で決定するために、タンパク質複合体を重水素化架橋剤とともにインキュベートし、多酵素切断を行った。架橋ペプチドの濃縮後、試料を高分解能質量分析(nLC-LTQ-Orbitrap MS)で分析し、生成されたデータをXQuestおよびStavroxソフトウェアを使用して分析した。
【0412】
調製した20μLのhTfR1(配列番号35で示されるヒトTfR1の細胞外ドメイン、アミノ酸C89-F760)/抗TfR混合物を、室温で180分間のインキュベーション時間の前に2μLのDSS d0/d12(2mg/mL;DMF)と混合した。インキュベート後、室温で1時間のインキュベーション時間の前に1μLの重炭酸アンモニウム(終濃度20mM)を加えて反応を停止した。次いで、溶液をspeedvacを用いて、H2O 8M尿素懸濁(20μL)の前に乾燥した。混合後、2μlのDTT(500mM)を溶液に添加した。次いで、混合物を37oCで1時間インキュベートした。インキュベーション後、2μlのヨードアセトアミド(1M)を室温で、暗室で1時間インキュベートする前に添加した。インキュベーション後、80μlのタンパク質分解バッファーを添加した。トリプシンバッファーは、50mM重炭酸アンモニウム(Ambic) pH8.5、5%アセトニトリルを含む;キモトリプシンバッファーは、100mMトリスHCl、10mM CaCl2 pH 7.8を含む;ASP-Nバッファーは、pH 7.8のリン酸塩バッファー50MMを含む;エラスターゼバッファーはトリスHCl50mM pH8.0を含み、サーモリシンバッファーはトリスHCl 50mM、CaCl2 0.5mM pH9.0を含む。
【0413】
100μlの還元/アルキル化hTfR1/抗TfR Fab混合物を4μlのトリプシン(プロメガ)と1/100の比率で混合した。タンパク質分解混合物を37oCで一晩インキュベートした。
【0414】
100μlの還元/アルキル化hTfR1/抗TfR Fab混合物を2μlのキモトリプシン(プロメガ)と1/200の比率で混合した。タンパク質分解混合物を25oCで一晩インキュベートした。
【0415】
100μlの還元/アルキル化hTfR1/抗TfR Fab混合物を2μlのASP-N(プロメガ)と1/200の比率で混合した。タンパク質分解混合物を37oCで一晩インキュベートした。
【0416】
100μlの還元/アルキル化hTfR1/抗TfR Fab混合物を4μlのエラスターゼ(プロメガ)と1/100の比率で混合した。タンパク質分解混合物を37oCで一晩インキュベートした。
【0417】
100μlの還元/アルキル化hTfR1/抗TfR Fab混合物を8μlのサーモリシン(プロメガ)と1/50の比率で混合した。タンパク質分解混合物を70oCで一晩インキュベートした。消化後、ギ酸終濃度1%を溶液に添加した。
【0418】
試料を、用いられてきたLTQ-Orbitrap質量分析法と組み合わせたnLCクロマトグラフィーを用いて分析した。架橋ペプチドは、Xquestバージョン2.0およびStavrox3.6.ソフトウェアを用いて分析した。nLC-orbitrap MS/MS分析では、hTfr1と抗TfR Fabとの間に15個の架橋ペプチドが検出された。この分析は、相互作用が次のhTfR1上のアミノ酸:配列番号105のK261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371、を含むことを示している。
【0419】
例7.抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の結合活性の特徴付け
抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の、ヒトおよびカニクイザルTfR1結合についての特異性を試験し、ヒトTfR1対TfR2についてのその選択性を確認するためにin vitro試験が行われた。様々な種由来のTfR1への抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の結合親和性は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して決定された。Fabの一連の希釈物が、組換えヒト、カニクイザル、マウス、またはラットTfR1で事前にコーティングされたプレートに添加された。短いインキュベーションの後、Fabの結合は、蛍光タグ付き抗(H+L)IgG二次抗体の添加および495nm励起および520nm発光での蛍光強度の測定によって定量された。Fabは、ヒトおよびカニクイザルTfR1に対して強い結合親和性を示し、マウスまたはラットTfR1の検出可能な結合は観察されなかった(
図8)。表面プラズモン共鳴(SPR)測定が行われ、結果は表13に示される。FabのK
dは、ヒトTfR1受容体に対しては7.68×10
-10Mであると計算され、カニクイザルTfR1受容体に対しては5.18×10
-9Mであると計算された。
表13.表面プラズモン共鳴を使用して測定した、ヒトおよびカニクイザルTfR1またはヒトTfR2への抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3結合の速度論的分析
【表13】
【0420】
ヒトTfR2に対する抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の交差反応性を試験するために、ELISAが行われた。組換えヒトTfR2タンパク質は、2μg/mLで一晩プレーティングされ、PBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)で1時間ブロッキングされた。Fabまたは陽性対照抗TfR2抗体の一連の希釈物が0.5% BSA/TBSTに1時間添加された。洗浄後、抗(H+L)IgG-A488(Invitrogen#MA5-25932)蛍光二次抗体が0.5% BSA/TBST中1:500希釈で添加され、プレートは1時間インキュベートされた。Biotek Synergyプレートリーダーを使用して、495nm励起および520nm発光で相対蛍光が測定された。hTfR2への抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3の結合は観察されなかった(
図9)。
【0421】
例8.抗TfR Fab-ASO抱合体の血清中安定性
抗TfR Fab VH4/Vk3は、式(C)に示されるリンカーを介して対照アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に抱合され、得られた抱合体は、FabをASOに抱合するリンカーの安定性について試験された。蛍光標識された抱合体をPBS、またはラット、マウス、カニクイザルもしくはヒト血清中でインキュベートし、相対蛍光強度を経時的に測定することによって血清中安定性が測定され、蛍光が高いほど、より多くの抱合体が無傷で残っていることを示す。
図10は、血清中安定性が複数の種にわたって類似しており、72時間後も高いままであったことを示す。
【0422】
例9.カニクイザルにおける、in vivoでの抗TfR Fab-ASO抱合体のエキソンスキッピング活性
抗TfR Fab 3M12 VH4/Vk3は、DMDエキソン51中のエキソンスプライシングエンハンサー(ESE)配列を標的とするジストロフィン(DMD)エキソン51スキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に抱合された。エキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドは、30ヌクレオチド長のホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である。抱合体のエキソンスキッピング活性は、健康な非ヒト霊長類動物においてin vivoで試験された。ナイーブ雄カニクイザル(n=4~5/群)は、1日目および8日目に、静脈内注入を介して2回用量のビヒクル、30mg/kgのASO単独、または122mg/kgの抱合体(30mg/kgのASO当量)を投与された。最初の用量が投与された2週間後または4週間後に動物は屠殺され、組織が採取された。Promega Maxwell(登録商標)RSC装置を使用して組織サンプルから全RNAを収集し、qScript cDNA SuperMixを使用してcDNA合成が行われた。エキソン51スキッピングの評価は、エンドポイントPCRを使用して行われた。
PCR産物のキャピラリー電気泳動を使用してエキソンスキッピングを評価し、以下の式を使用してエキソン51スキッピング%が計算された:
【数2】
計算されたエキソン51スキッピング結果は表14に示される。
表14.カニクイザルジストロフィンにおけるジストロフィンのエキソン51スキッピング
【表14】
【0423】
組織ASO蓄積も、ASO配列に相補的なプローブを用いたハイブリダイゼーションELISAを用いて定量された。標準曲線が作成され、標準曲線の線形回帰からASOレベル(ng/g)が導出された。ASOは、抗TfR Fab VH4/Vk3-ASO抱合体の投与後に、非抱合ASOの投与と比較して、評価されたすべての組織により高いレベルで分布された。非抱合ASOの静脈内投与は、最初の投与の2週間および4週間後に評価されたすべての組織においてバックグラウンドレベルに近いASOレベルをもたらした。抗TfR Fab VH4/Vk3-ASO抱合体の投与は、最初の投薬の2週間後に、評価した組織を通したASOの分布を心臓>横隔膜>二頭筋>四頭筋>腓腹筋>前脛骨筋の順位でもたらした。組織濃度の持続時間も評価された。四頭筋、二頭筋および横隔膜のASOの濃度は、評価した期間(2~4週間)にわたって50%未満減少したが、心臓、前脛骨筋および腓腹筋のASOのレベルは、実質的に変化しないままであった(表15)。
【0424】
この例で使用される場合、「非抱合」という用語は、オリゴヌクレオチドが抗体に抱合されていなかったことを示す。
表15.カニクイザルにおけるDMDエキソン51スキッピングASOの組織分布
【表15】
追加の態様
1.ヒトトランスフェリン受容体(TfR)に結合するヒト化抗体であって、
抗体は、以下を含む:
(i)配列番号69と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号71と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iii)配列番号72と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iv)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(v)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vi)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vii)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(viii)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号78と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ix)配列番号79と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
(x)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)。
2.抗体が配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
3.配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
4.配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
5.配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
6.配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
7.配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
8.配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
9.配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
10.配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
11.配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1に記載のヒト化抗体。
12.抗体が、完全長IgG、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFv、およびFvからなる群から選択される、態様1~11のいずれか1つに記載のヒト化抗体。
13.抗体が完全長IgGである、態様12に記載のヒト化抗体。
14.抗体がアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の重鎖定常領域を含む、態様13に記載のヒト化抗体。
15.抗体が以下を含む、態様13または態様14に記載のヒト化抗体:
(i)配列番号84と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号86と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号87と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号88と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号88と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号91と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号91と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号92と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号94と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号92と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖。
16.抗体がFabフラグメントである、態様12に記載のヒト化抗体。
17.抗体が以下を含む、態様16に記載のヒト化抗体:
(i)配列番号97と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号98と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号99と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖。
18.抗体が以下を含む、態様17に記載のヒト化抗体:
(i)配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖; および/または配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖。
19.トランスフェリン受容体に対する抗体の結合の平衡解離定数(K
D)が、10
-11Mから10
-6Mまでの範囲にある、態様1~18のいずれか1つに記載のヒト化抗体。
20.抗体が、トランスフェリン受容体のトランスフェリン結合部位に特異的に結合せず、および/または抗体がトランスフェリン受容体に対するトランスフェリンの結合を阻害しない、態様1~19のいずれか1つに記載のヒト化抗体。
21.抗体が、ヒト、非ヒト霊長類動物および齧歯類動物のトランスフェリン受容体の2以上の細胞外エピトープと交差反応性である、態様1~20のいずれか1つに記載のヒト化抗体。
22.態様1~21のいずれか1つにおける抗体をコードする核酸。
23.態様22の核酸を含むベクター。
24.態様23のベクターを含む細胞。
25.態様24の細胞を抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む、抗TfR1抗体を産生する方法。
26.分子ペイロードへ共有結合的に連結された態様1~21のいずれか1つの抗体を含む複合体。
27.態様26の複合体であって、ここで分子ペイロードは、診断剤または治療剤である。
28.態様26の複合体であって、ここで分子ペイロードは、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、または低分子である。
29.態様26~28のいずれか1つの複合体であって、ここで抗体および分子ペイロードは、リンカーを介して連結されている。
30.態様29の複合体であって、ここでリンカーは、切断可能なリンカーである。
31.態様30の複合体であって、ここでリンカーは、リンカーは、バリン-シトルリン配列を含む。
32.態様1~21のいずれか1つの抗体、態様22の核酸、態様23のベクター、または態様26~31のいずれか1つの複合体を含む組成物。
33.態様32の組成物であって、薬学的に許容し得る担体をさらに含む。
34.生体試料におけるトランスフェリン受容体を検出する方法であって、態様1~21のいずれか1つの抗体を生体試料と接触させること、および抗体の生体試料への結合を測定することを含む。
35.態様34の方法であって、ここで抗体は、診断剤へ共有結合的に連結されている。
36.態様35の方法であって、ここで生体試料は、トランスフェリン受容体に関連する疾患を有すると疑われるか、または前記疾患のリスクがあるヒト対象から得られる。
37.態様36の方法であって、ここで接触させるステップは、対象へ有効量の抗TfR抗体を投与することによって行われる。
38.分子ペイロードを細胞へ送達する方法であって、態様26~31のいずれか1つの複合体を細胞と接触させることを含む。
39.細胞が筋細胞である、態様38に記載の方法。
40.細胞がインビトロである、態様38または態様39に記載の方法。
41.細胞が対象にある、態様40に記載の方法。
42.対象がヒトである、態様41に記載の方法。
43.分子ペイロードを対象の脳または筋肉へ送達する方法であって、有効量の態様26~31のいずれか1つの複合体を対象へ投与することを含む。
44.態様43の方法であって、ここで投与は、静脈内である。
45.疾患を処置する方法であって、有効量の態様26~31のいずれか1つの複合体を対象へ投与することを含み、ここで分子ペイロードは、治療剤である。
46.態様45の方法であって、ここで疾患は、神経学的疾患であり、および分子ペイロードは、神経学的疾患を処置するための薬物である。
47.態様45の方法であって、ここで疾患は、筋疾患であり、および分子ペイロードは、筋疾患を処置するための薬物である。
48.筋疾患が、希少筋疾患または筋萎縮症である態様47に記載の方法。
49.ヒトトランスフェリン受容体に結合する抗体(TfR)であり、以下を含む:
(i)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号69と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iii)配列番号71と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(iv)配列番号72と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(v)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vi)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(vii)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(viii)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号78と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ix)配列番号79と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
(x)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)。
50.ヒトトランスフェリン受容体(TfR)に結合する抗体であって、抗体が、翻訳後修飾に起因するピログルタミン酸形成を受けている、前記抗体。
【0425】
等価物および用語
例証的に本明細書に記載された開示は、好適には、本明細書に具体的には開示されないいずれかの要素(単数または複数)、限定(単数または複数)の非存在下において実施され得る。それゆえに、例えば、本出願の各事例において、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかは、他の2つの用語のどちらかによって置き換えられ得る。採用された用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用され、かかる用語および表現の使用には、示されるおよび記載される特徴のいずれかの等価物またはそれらの部分を排除する意図はなく、種々の改変が本開示の範囲内で可能であることが認識される。それゆえに、本開示は好ましい態様によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の任意の特徴、改変、および変形が当業者によって頼られ得ることと、かかる改変および変形は本開示の範囲内であると考慮されることとは理解されるべきである。
【0426】
加えて、本開示の特徴または側面がマーカッシュ群または代替物の他の群分けとして記載されるところでは、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群または他の群のいずれかの個々の構成員または構成員のサブグループとしてもまた記載されることを認識するであろう。
【0427】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドまたは他の核酸の構造を記載する際には、配列表で提示される配列が参照され得ることは了解されるべきである。かかる態様において、実際のオリゴヌクレオチドまたは他の核酸は、指定された配列と本質的に同じかまたは類似の相補的な特性を保持しながら、指定された配列と比較して、1個以上の代替的なヌクレオチド(例として、DNAヌクレオチドのRNAカウンターパート、またはRNAヌクレオチドのDNAカウンターパート)および/または(例として、および)1個以上の修飾ヌクレオチドおよび/または(例として、および)1個以上の修飾されたヌクレオチド間連結および/または(例として、および)1以上の他の修飾を有し得る。
【0428】
本発明を記載する文脈における(特に次の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに類似のレファレントの使用は、本明細書に別様に指し示されないかまたは文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数両方をカバーすると解釈されるべきである。用語「含む」、「有する」、「包含する」、および「含有する」は、別様に指摘されない限り、開放型の用語として解釈されるべきである(すなわち、「包含するが、これらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別様に指し示されない限り、単に、範囲内に収まる各別個の値を個々に参照する簡略な方法として働くことを意図され、各別個の値は、それが本明細書に個々に記載される場合のように本明細書に組み込まれる。本明細書に別様に指し示されないかまたは別様に文脈によって明瞭に否定されない限り、本明細書に記載のすべての方法はいずれかの好適な順序で行われ得る。別様に請求されない限り、本明細書に提供されるいずれかのおよびすべての例または例示的な文言(例として、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解き明かすことを意図され、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書のいかなる文言も、いずれかの請求されない要素を本発明の実施にとって必須であると指し示すものと解釈されるべきではない。
【0429】
本発明の態様が本明細書に記載されている。それらの態様の変形は、先述の記載を読むことによって当業者には明らかになり得る。
【0430】
本発明者は当業者がかかる変形を適当に採用することを予期し、本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されるとおりとは別様に実施されることを意図する。したがって、本発明は、然るべき法律によって許可される本明細書に添付される請求項に記載される主題のすべての改変および等価物を包含する。その上、それらのすべての可能な変形における上に記載された要素のいずれかの組み合わせは、本明細書に別様に指し示されないかまたは別様に文脈によって明瞭に否定されない限り、本発明によって包摂される。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様の多くの均等物を認識するか、またはせいぜい定型的な実験作業を用いて確かめることができるであろう。かかる等価物は次の請求項によって包摂されることを意図される。
【配列表】
【国際調査報告】