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特表2023-535445シングルショット処理による超音波試験
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】シングルショット処理による超音波試験
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/02 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G01B17/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504624
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021042712
(87)【国際公開番号】W WO2022020553
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】16/937,826
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522396539
【氏名又は名称】エヴィデント・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・トーマス
【テーマコード(参考)】
2F068
【Fターム(参考)】
2F068AA28
2F068BB09
2F068CC09
2F068CC16
2F068DD07
2F068FF03
2F068FF12
2F068FF16
2F068LL02
2F068QQ05
2F068QQ12
2F068QQ22
2F068RR01
(57)【要約】
本主題の例は、1つ以上の取得サイクルを使用して材料の厚さを測定するための技術を提供する。1つ以上の取得サイクルからのデータは、信号応答にわたる指定されたゲインを使用して増幅され得、デジタル信号に変換され得、メモリに記憶され得る。デジタル信号は、メモリから検索され得、1つ以上の時間可変閾値を使用する信号処理技術は、試験対象の1つ以上の厚さを計算するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
試験対象に送信された超音波信号に応答して、トランスデューサプローブから、1つ以上の取得サイクルにおける信号応答を取得することであって、前記信号応答は、前記試験対象から受信された1つ以上のエコーの電気的表現を含む、取得することと、
前記信号応答にわたってゲインプロファイルを適用して、増幅された信号応答を生成することと、
前記増幅された信号応答をデジタル化して、デジタル化された信号応答を生成することと、
前記デジタル化された信号応答から、1つ以上の関連付けられた閾値交差事象に基づいて、少なくとも1つの時間可変閾値を使用して、前記試験対象の1つ以上の厚さを計算することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記信号応答は、単一取得サイクルで取得され、前記増幅された信号応答をデジタル化することは、1つ以上の変換回路を使用して複数のアナログ・デジタル変換を実行することと、前記複数のアナログ・デジタル変換に対応する前記1つ以上の変換回路からの出力を混合して、前記デジタル化された信号応答を生成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の信号応答が複数の取得サイクルで取得され、前記増幅された信号応答をデジタル化することは、1つ以上の変換回路を使用して複数のアナログ・デジタル変換を実行することと、前記複数のアナログ・デジタル変換に対応する前記1つ以上の変換回路からの出力を時間インターリーブして、前記デジタル化された信号応答を生成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の厚さを計算することは、前記時間可変閾値を超える前記デジタル化された信号応答の一部分における最高の大きさのピークを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記最高の大きさのピークを検出することは、
前記デジタル化された信号応答と前記時間可変閾値との第1の交差を検出することと、
前記第1の交差に基づいて、前記第1の交差に関連付けられたピークを計算することと、
前記デジタル化された信号応答及び前記時間可変閾値の1つ以上の後続の交差を検出することと、
前記1つ以上の後続の交差に関連付けられた1つ以上のピークを計算することと、
前記第1の交差に関連付けられた前記ピークと前記1つ以上の後続の交差とを比較して、最大振幅を有するピークを判定することと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記厚さを計算することは、腐食監視のために実行された厚さ測定のために、前記時間可変閾値を使用して、前記デジタル化された信号応答におけるエコーの第1のピークを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のピークを検出することは、
前記デジタル化された信号応答と前記時間可変閾値との交差を検出することと、
前記交差に基づいて、前記交差に関連付けられた低いピーク及び前記交差に関連付けられた高いピークを計算することと、
前記低いピークと前記高いピークとの間のゼロ交差を判定することと、
前記ゼロ交差に基づいて前記試験対象の前記厚さを計算することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記デジタル化された信号応答をアップサンプリングすることと、
前記デジタル化された信号応答をフィルタリングすることと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ディスプレイ画面上に検出されたピークを提示するために、前記デジタル化された信号応答を垂直方向の寸法で圧縮することと、
前記デジタル化された信号応答を水平方向の寸法で圧縮することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
記憶された時間補正されたゲイン曲線を反転させることに基づいて、前記時間可変閾値を較正することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
検査システムであって、
超音波を試験対象に送信し、前記送信された超音波の1つ以上の反射を受信し、1つ以上の取得サイクルで前記1つ以上の反射を電気信号に変換するためのトランスデューサプローブと、
前記電気信号にわたってゲインプロファイルで前記電気信号を増幅し、前記増幅された電気信号をデジタル信号に変換するためのアナログ回路と、
前記デジタル信号から、1つ以上の関連付けられた閾値交差事象に基づいて、少なくとも1つの時間可変閾値を使用して、前記試験対象の1つ以上の厚さを計算するためのプロセッサと、
を備える、検査システム。
【請求項12】
前記アナログ回路は、複数のアナログ・デジタル変換器と、前記デジタル信号を生成するために前記複数のアナログ・デジタル変換器からの出力を混合するためのデジタルミキサーと、を備える、請求項11に記載の検査システム。
【請求項13】
前記アナログ回路は、複数のアナログ・デジタル変換器と、前記デジタル信号を生成するために前記複数のアナログ・デジタル変換器からの出力を時間インターリーブするためのミキサーと、を備える、請求項11に記載の検査システム。
【請求項14】
前記1つ以上の厚さを計算することは、前記時間可変閾値を超える前記デジタル信号の一部分における最高の大きさのピークを検出することを含む、請求項11に記載の検査システム。
【請求項15】
前記最高の大きさのピークを検出することは、
デジタル化された信号応答と前記時間可変閾値との第1の交差を検出することと、
前記第1の交差に基づいて、前記第1の交差に関連付けられたピークを計算することと、
前記デジタル化された信号応答及び前記時間可変閾値の1つ以上の後続の交差を検出することと、
前記1つ以上の後続の交差に関連付けられた1つ以上のピークを計算することと、
前記第1の交差に関連付けられた前記ピークと前記1つ以上の後続の交差とを比較して、最大振幅を有するピークを判定することと、
を含む、請求項14に記載の検査システム。
【請求項16】
前記厚さを計算することは、腐食監視のために実行された厚さ測定のために、前記時間可変閾値を使用して、デジタル化された信号応答におけるエコーの第1のピークを検出することを含む、請求項11に記載の検査システム。
【請求項17】
前記第1のピークを検出することは、
前記デジタル化された信号応答と前記時間可変閾値との交差を検出することと、
前記交差に基づいて、前記交差に関連付けられた低いピーク及び前記交差に関連付けられた高いピークを計算することと、
前記低いピークと前記高いピークとの間のゼロ交差を判定することと、
前記ゼロ交差に基づいて前記試験対象の前記厚さを計算することと、
を含む、請求項16に記載の検査システム。
【請求項18】
命令を具現化するマシン記憶媒体であって、前記命令が、マシンによって実行されると、前記マシンに、
指定されたゲインを有するデジタル化された信号応答を受信することと、
前記デジタル化された信号応答から、1つ以上の関連付けられた閾値交差事象に基づいて、少なくとも1つの時間可変閾値を使用して、試験対象の1つ以上の厚さを計算することと、
を含む動作を実行させる、命令を具現化するマシン記憶媒体。
【請求項19】
前記1つ以上の厚さを計算することは、前記時間可変閾値を超える前記デジタル化された信号応答の一部分における最高の大きさのピークを検出することを含む、請求項18に記載の命令を具現化するマシン記憶媒体。
【請求項20】
前記最高の大きさのピークを検出することは、
前記デジタル化された信号応答と前記時間可変閾値との第1の交差を検出することと、
前記第1の交差に基づいて、前記第1の交差に関連付けられたピークを計算することと、
前記デジタル化された信号応答及び前記時間可変閾値の1つ以上の後続の交差を検出することと、
前記1つ以上の後続の交差に関連付けられた1つ以上のピークを計算することと、
前記第1の交差に関連付けられた前記ピークと前記1つ以上の後続の交差とを比較して、最大振幅を有するピークを判定することと、
を含む、請求項19に記載の命令を具現化するマシン記憶媒体。
【請求項21】
前記厚さを計算することは、腐食監視のために実行された厚さ測定のために、前記時間可変閾値を使用して、前記デジタル化された信号応答におけるエコーの第1のピークを検出することを含む、請求項18に記載の命令を具現化するマシン記憶媒体。
【請求項22】
前記第1のピークを検出することは、
前記デジタル化された信号応答と前記時間可変閾値との交差を検出することと、
前記交差に基づいて、前記交差に関連付けられた低いピーク及び前記交差に関連付けられた高いピークを計算することと、
前記低いピークと前記高いピークとの間のゼロ交差を判定することと、
前記ゼロ交差に基づいて前記試験対象の前記厚さを計算することと、
を含む、請求項21に記載の命令を具現化するマシン記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月24日に出願された米国特許出願第16/937,826号の優先権の利益を主張し、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、超音波厚さ測定技術に関する。
【背景技術】
【0003】
超音波厚さ計測は、パイプ及びタンクなどの多種多様な製品の厚さを非破壊的に測定することができる。超音波厚さ測定は、典型的には、機械的測定が実用的でない場合、例えば、測定される部分の片側のみがアクセス可能である場合に利用される。一般に、超音波厚さ測定は、超音波パルスが試験対象を通過するまでにかかる時間を測定することを伴う。超音波プローブは、1つ以上のパルスを試験対象に送信し、試験対象の遠位側からパルスのエコーを受信するのを待つ。したがって、パルスの送信からエコーの受信までの時間から厚さを計算することができる。
【0004】
しかしながら、1つのアプローチでは、超音波厚さ計測は、厚さ測定を生成するための多数の反復信号処理パス(例えば、12~20個の送信/受信信号対)を伴い得る。各パスは、パルスを送信し、対応するエコーを測定することを含み得る。各パスの構成は、例えば、前のパスからの読み取り値に基づいて、変更又は調整され得る。例えば、受信されたエコーに適用されるゲインは、異なるパスについて(例えば、異なる送信/受信信号対について)変更され得る。一般に、受信信号内のエコーが位置特定され、反復パスを使用して、厚さ測定を実行するために、エコーを検出するために適用されたゲインを適応的に一致させ得る。例えば、異なるゲインは、エコーの異なる振幅を補償するために、受信された信号内の異なる時間位置に適用され得る。上で言及されるような反復的又はマルチパスアプローチは、労力と時間を要し、遅い測定時間をもたらす可能性がある。
【0005】
添付の図面のうちの様々な図面は、単に本開示の例示的な実装態様を例解するものであり、その範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本主題の一例による、音響検査システムを例解する図である。
図2】本主題の一例による、フロントエンドの回路部分の図である。
図3】本主題の一例による、取得段階のフロー図である。
図4】本主題の一例による、再生段階のフロー図である。
図5】本主題の一例による、信号応答及び時間可変閾値を例解する図である。
図6】本主題の一例による、精密監視中の波形を例解する図である。
図7】本主題の一例による、ゲートタイミングを例解する図である。
図8】本主題の一例による、腐食監視中の波形を例解する図である。
図9】本明細書で考察される技術(例えば、方法論)のうちのいずれか1つ以上が実行され得るマシンを備える一例のブロック図を例解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者は、とりわけ、上で考察された超音波厚さ測定の課題を克服する検査システムが当技術分野で必要であることを認識している。本主題の例は、わずかな単一の送信/受信取得サイクル(シングルショットとも称される)を使用して材料の厚さを測定するための技術を提供する。取得サイクルからのデータは、信号応答にわたって指定された時間的ゲインプロファイルを使用して増幅又は別様に拡張され得、デジタル信号に変換され得、メモリに記憶され得る。デジタル信号は、メモリから検索され得、1つ以上の時間可変閾値を使用する信号処理技術は、試験対象の厚さを計算するために使用され得る。本明細書に説明される技術を使用することにより、反復プロセス(最大12~20回の反復パス)と比較して、本明細書に説明されるように、より速い測定時間を提供し、測定の精度を向上させる。
【0008】
本文書は、試験対象への送信された超音波信号に応答して、トランスデューサプローブから、1つ以上の取得サイクル内の信号応答を取得することであって、信号応答が、試験対象から受信された1つ以上のエコーの電気的表現を含む、取得することと、信号応答にわたってゲインプロファイルを適用して、増幅された信号応答を生成することと、増幅された信号応答をデジタル化して、デジタル化された信号応答を生成することと、1つ以上の関連付けられた閾値交差事象に基づいて少なくとも1つの時間可変閾値を使用して、デジタル化された信号応答から、試験対象の1つ以上の厚さを計算することと、を含む方法を説明する。
【0009】
本文書では検査システムについても説明する。検査システムは、超音波を試験対象に送信し、送信された超音波の1つ以上の反射を受信し、1つ以上の取得サイクルで1つ以上の反射を電気信号に変換するための変換プローブを含み得る。検査システムはまた、電気信号にわたって指定されたゲインプロファイルで電気信号を増幅し、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するためのアナログ回路を含み得る。検査システムは、1つ以上の関連付けられた閾値交差事象に基づいて、少なくとも1つの時間可変閾値を使用して、デジタル信号から、試験対象の1つ以上の厚さを計算するためのプロセッサを更に含み得る。
【0010】
本文書は、マシンによって実行されると、マシンに、指定されたゲインを有するデジタル化された信号応答を受信することと、1つ以上の関連付けられた閾値交差事象に基づいて少なくとも1つの時間可変閾値を使用して、デジタル化された信号応答から、試験対象の1つ以上の厚さを計算することと、を含む動作を実行させる、命令を具現化するマシン記憶媒体を更に説明する。
【0011】
図1は、概して、本明細書に図示及び説明される1つ以上の技術を実行するために使用され得るような、音響検査システム100を備える一例を例解する。検査システム100は、手持ち型又は携帯型アセンブリなどの試験器具140を含み得る。試験器具140は、マルチコンダクタインターコネクト130などを使用して、プローブアセンブリに電気的に結合され得る。プローブアセンブリ150は、それぞれのトランスデューサ154A~154Nを含むトランスデューサアレイ152などの1つ以上の電気音響トランスデューサを含み得る。トランスデューサアレイは、線形又は湾曲した輪郭に従い得るか、又はトランスデューサ要素のマトリクスを提供するなど、2つの軸に延在する要素のアレイを含み得る。要素は、フットプリントが正方形である必要はなく、直線軸に沿って配置される必要もない。要素の大きさ及びピッチは、検査用途に従って変化し得る。
【0012】
モジュール式プローブアセンブリ150構成が使用され得、それにより、試験器具140を様々なプローブアセンブリ150とともに使用することが可能になる。概して、トランスデューサアレイ152は、例えば、結合媒体156を通してターゲット158(例えば、試験下の対象物)に音響的に結合することができるような圧電トランスデューサを含む。結合媒体は、流体若しくはゲル、又は固体膜(例えば、エラストマー若しくは他のポリマー材料)、又は流体、ゲル、若しくは固体構造の組み合わせを含むことができる。結合媒体は、本明細書に説明されるように、音波の伝播を補助し得る。例えば、音響トランスデューサアセンブリは、既知の音響伝播特性(例えば、C-Lec Plastics Inc.から入手可能なRexolite(登録商標))を有する剛性熱硬化性ポリマーを含むくさび構造に結合されたトランスデューサアレイを含むことができ、水は、試験中に結合媒体156として、くさびと試験下の構造との間に注入され得る。
【0013】
試験器具140は、1つ以上の送信信号チェーン、受信信号チェーン、又はスイッチング電気回路構成(例えば、送信/受信スイッチング電気回路構成)を含むフロントエンド回路122などのデジタル及びアナログ電気回路構成を含むことができる。送信信号チェーンは、例えば、ターゲット158の超音波照射のためにインターコネクト130を介してプローブアセンブリ150に送達するための送信パルスを提供するために、超音波照射、例えば、エコーに応答して誘発される散乱又は反射された音響エネルギーを受信することに基づいてターゲット158の1つ以上の厚さを測定するような、増幅器及びフィルタ電気回路構成を含むことができる。
【0014】
図1は、単一のプローブアセンブリ150及び単一のトランスデューサアレイ152を示すが、単一の試験器具140に接続された多数のプローブアセンブリ、又はタンデム検査のために単一又は多数のプローブアセンブリ150とともに使用される多数のトランスデューサアレイ152などの他の構成を使用し得る。同様に、試験プロトコルは、多数の試験器具140間の調整を使用して、例えば、マスター試験器具140から確立された、又は計算設備108などの別の遠隔システム又はラップトップ132、タブレット、スマートフォン、デスクトップコンピュータなどの汎用コンピューティングデバイスによって確立された全体的な試験スキームに応答して、実施され得る。試験スキームは、公開された標準又は規制要件に従って確立され得、例解的な例として、最初の製造時に、又は継続的な監視のために繰り返し実施され得る。
【0015】
フロントエンド回路122の受信信号チェーンは、プローブアセンブリ150を使用して受信されたエコー信号をデジタル化するようなアナログ対デジタル変換設備とともに、1つ以上のフィルタ又は増幅器回路を含むことができる。デジタル化は、時間又は位相において互いに整列又は参照されるデジタル化されたデータの多数のチャネルを提供するように、コヒーレントに実施され得る。例えば、複数のアナログ・デジタル変換器を並列に設けて、異なるチャネルを形成し得る。
【0016】
図2は、本主題の一例による、フロントエンドの例示的な回路部分を例解する。例示的な回路は、高ダイナミックレンジのアナログ・デジタル変換を提供し得る。例示的な回路は、複数の増幅器202.1~202.N及びADC204.1~204.N並びにデジタルミキサー206を含み得る。増幅器202.1~202.Nは、可変ゲイン増幅器(VGA)、プログラム可能なゲイン増幅器などとして提供され得る。増幅器202.1-202.Nの入力は、トランスデューサプローブアセンブリからの受信信号応答であり得る。増幅器202.1~202.Nは、信号応答にわたって指定されたゲインで受信信号応答を増幅して、増幅された信号応答を生成し得る。以下で更に詳細に以下で考察されるように、ゲインは、信号応答にわたって一定であり得る。複数のADC204.1~204.Nは並列に配置され得、各々は増幅器202.1~202.Nのそれぞれの1つに結合され、各ADCは増幅された信号応答の一部又はチャネル上で動作する。各ADCは、上で説明されるように、混合方法などで、時間内に信号応答の異なる部分をサンプリングし得る。例えば、各ADCは、増幅信号応答の異なるズームアスペクトを受信し得、1つ以上のADCは、大きなズームアスペクトを受信し、1つ以上のADCは、小さなズームアスペクトを受信する。ADC204.1~204.Nの出力は、デジタルミキサー206によって組み合わされ得る(例えば、混合された異なるズーム)。例えば、並列アナログ・デジタル変換は、米国特許第7,963,166号、同第8,001,841号、及び/又は同第8,001,842号に説明されている技術を使用して実行され得、全てが「Ultrasonic fault detection system using a high dynamic range analog to digital conversion system」と題され、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、以下に具体的に現れる部分を含むがこれらに限定されず、参照による組み込みは、以下の例外を除いて行われる。上記の特許のいずれかの部分が本出願と矛盾する場合、本出願は、上記参照の特許に優先する。
【0017】
図1に戻ると、フロントエンド回路122は、試験器具140の一部分として含まれるプロセッサ回路102など、1つ以上のプロセッサ回路に結合され、制御され得る。プロセッサ回路は、例えば、試験器具140に音響伝送、音響取得、処理、若しくは音響検査に関連するデータの記憶のうちの1つ以上を実施させるか、又は本明細書に図示及び説明されるような技術を別様に実施させる、命令を実行するように、メモリ回路に結合され得る。試験器具140は、有線又は無線通信インターフェース120を使用するなどして、システム100の他の部分に通信可能に結合され得る。
【0018】
例えば、本明細書に図示及び説明されるような1つ以上の技術の性能は、試験器具140上で、又は計算設備108又はラップトップ132、タブレット、スマートフォン、デスクトップコンピュータなどの汎用コンピューティングデバイスを使用するなどの他の処理又は記憶設備を使用して達成され得る。例えば、試験器具140上で実施される場合、又は試験器具140の能力を超えて実行される場合、望ましくない遅さとなる処理タスクは、例えば、試験器具140からの要求に応答して、遠隔で(例えば、別個のシステム上で)実施され得る。同様に、時系列データのAスキャンマトリクスなどの撮像データ又は中間データを記憶することは、試験器具140に通信可能に結合された遠隔設備を使用して達成され得る。試験器具は、構成情報又は結果の提示などのためにディスプレイ110と、オペレータコマンド、構成情報、又はクエリへの応答を受信するためのキーボード、トラックボール、ファンクションキー又はソフトキー、マウスインターフェース、タッチスクリーン、スタイラス、ボイス、ジェスチャなどのうちの1つ以上を含む入力デバイス112と、を含むことができる。
【0019】
本主題の例は、a)取得段階、及びb)再生段階の2つの段階で試験対象の厚さを測定し得る。
【0020】
図3は、本主題の一例による、取得段階300についてのフロー図である。302において、パルスは、トランスデューサプローブに送信されて、トランスデューサプローブを制御して、超音波信号を生成し、ターゲット、例えば、試験対象又は試験中の対象に送信し得る。304において、トランスデューサプローブからの信号応答は、(例えば、複数の送信/受信パルス反復を伴う反復処理又はマルチパス処理を必要とせずに)単一取得サイクルで取得され得る。信号応答は、送信された超音波信号に応答して、試験対象から受信された1つ以上のエコーの電気表現を含み得る。別の例では、多数の信号応答は、複数の取得サイクルにおいて順次取得され得る。例えば、5つのパルスは、トランスデューサプローブに順次送信されて、それぞれの超音波信号を生成し、ターゲットに送信するようにトランスデューサプローブを制御することができる。以下で更に詳細に説明されるように、これらの多数の信号応答は、並列なアナログ・デジタル変換を使用してデジタル化され得、次いで、デジタル化された信号応答を生成するために一緒に時間インターリーブされ得る。
【0021】
上で説明される動作は、試験対象物の厚さを計算するための時間間隔を測定する異なるモードをサポートし得る。モード1は、超音波信号を生成するパルスと、試験対象の後壁からの第1の戻りエコーとの間の時間間隔を測定することを含み得る。モード2は、試験対象の前壁から後壁に戻されたインターフェースエコーの間の時間間隔を測定することを含み得る。モード3は、試験対象の後壁から前壁に戻されたインターフェースエコーの間の時間間隔を測定することを含み得る。したがって、単一の取得段階で取得された信号応答は、選択されたモードの各々のエコー情報を含み得る。
【0022】
306において、信号応答は、指定されたゲインプロファイルが信号応答にわたって適用されて、増幅された信号応答を生成し得るように増幅され得る。ゲインプロファイルは、上で説明されるように、異なるそれぞれのズームアスペクトに関する複数のゲイン値を含み得る。ゲインは、時間に関して信号応答にわたって一定であるように設定され得る。すなわち、信号応答の各時限部分は、同じゲインプロファイルを有し得、ゲインは時間に依存しない場合がある。
【0023】
308において、増幅された信号応答は、デジタル化され、デジタル化された信号応答に変換され得る。上で説明されるように、単一の取得サイクルを使用する例では、これは、並列変換回路を使用して複数のアナログ・デジタル変換を実行するために、高動的範囲のアナログ・デジタル変換システムを使用することと、複数のアナログ・デジタル変換に対応する並列変換回路からの出力を混合して、デジタル化された信号応答を生成することと、を含み得る。多数の取得サイクルを使用する例では、多数の信号応答は、複数のアナログ・デジタル変換を実行するために並列なアナログ・デジタル変換システムを使用して変換され得る。次に、これらの変換の出力は、デジタル化された信号応答を生成するために一緒に時間インターリーブされ得る。
【0024】
310において、デジタル化された信号応答は、メモリ(例えば、メモリ回路104)に記憶され得る。デジタル化された信号応答は、Aスキャンの形態であり得る。Aスキャンは、時間の関数、例えば、振幅対時間として、超音波エネルギーの量を提示する。一例では、ADCは、超音波信号を生成するためにパルスが送信される数マイクロ秒前に開始され、デジタル化を始め得る(例えば、304において)。デジタル化は、信号応答を完全にキャプチャするために一定期間継続し得る。その後、記憶された信号応答は、再生段階における検索及び処理のために利用可能であり得る。
【0025】
図4は、本主題の一例による、再生段階400のフロー図である。402において、プロセッサは、記憶されたデジタル化された信号応答をメモリから検索し得る。404において、デジタル化された信号応答は、アップサンプリングされ得る。例えば、デジタル化された信号応答が元々毎秒100メガサンプルの速度でサンプリングされていた場合、数学的補間を採用することにより、毎秒400メガサンプル以上までサンプリングすることができる。オーバーサンプリングは、補間ローパスフィルタ技術、線形補間、又は他の好適な技術を使用して実行され得る。オーバーサンプリングは、より滑らかな曲線を提供することができ、より正確な検出のためにゼロ交差を改善することができる。
【0026】
406において、デジタル化された信号応答は、ノイズを低減するためにフィルタリングされ得る。例えば、デジタルバンドパスフィルタが適用され得る。バンドパスフィルタの周波数は、トランスデューサプローブの周波数を中心にされ得る。
【0027】
408において、デジタル化された信号応答は、1つ以上の時間可変閾値と比較され得、デジタル化された信号応答の交差事象と時間可変閾値が検出され得る。時間可変閾値は、時間に基づいて変化し得る。固定された指定されたゲインが適用されたために、デジタル化された信号応答は時間とともに減衰し得るため(時間依存ゲインとは対照的に)、時間可変閾値は、エコーに対応するピークをより効果的に検出し得る。例えば、時間可変閾値曲線は、以前の試験から記憶された時間補正されたゲイン曲線を反転させることに基づいて較正され得る。時間可変閾値はまた、超音波アーチファクトから生じ得、したがって偽陽性であり得る第1の交差を省略するように較正され得る。
【0028】
410において、試験対象の1つ以上の厚さは、受信されたエコーに対応し得る時間可変閾値交差事象に基づいて計算され得る。厚さ計算には様々な技術及び/又はモードが使用される。モードに関しては、異なるモードがサポートされ得る。上で考察されるように、モード1は、超音波信号を生成するパルスと、試験対象の後壁からの第1の戻りエコーとの間の時間間隔を測定することを含み得る。モード2は、試験対象の前壁から後壁に戻されたインターフェースエコーの間の時間間隔を測定することを含み得る。モード3は、試験対象の後壁から前壁に戻されたインターフェースエコーの間の時間間隔を測定することを含み得る。
【0029】
412において、ディスプレイ出力が生成され得る。信号応答波形は、ディスプレイのために圧縮され得る。圧縮は、特定のピークを失うことなく、波形をディスプレイ上に適合させることを可能にし得る。例えば、デジタル化された信号応答は、検出されたピークをディスプレイ画面上に提示するために垂直方向の寸法で圧縮され得る。また、デジタル化された信号応答は、ディスプレイ画面に適合するように水平方向の寸法で圧縮され得る。垂直方向及び/又は水平方向の圧縮は、減衰することなくピークを維持し得る。
【0030】
一例では、信号応答が表示され得るが、時間可変閾値の時間分散はユーザに表示されない場合がある。代わりに、ユーザは、ユーザがより視認に慣れている平坦な閾値線を見ることができる。プロセッサは、期間全体にわたって信号対閾値比を維持し得、したがって、信号対閾値比は、時間可変スケール因子によってスケーリングされ得、これは、時間可変閾値の逆であり得る。結果として生じるディスプレイは、期間全体にわたって、平坦な線の閾値及び正しい比率を有する信号を示し得る。更に、プロセッサは、時間可変閾値を平坦な線として示すために、エコーを囲む窓にズームインし得る(信号応答に適用されるゲインプロファイルは、一定のままであり得、以前の技術のように変化し得ない)。ズームインすることで、より小さなエコーの詳細を見ることができ得る。また、エコー及び交差事象の比例性は、ズーム窓と同じままであり得る。
【0031】
図5は、本主題の一例による、信号応答及び時間可変閾値の交差事象を例解する。示されるように、時間可変閾値は、時間とともに減衰し得、信号応答(Sig0)は、時間とともに減衰し得る。交差事象における信号応答の割合は、時間可変閾値の対応する減衰とともに実質的に維持され得る。更に、上で考察されるように、第1の交差(約1.50×10-6秒での)は、超音波アーチファクトの結果であることがあるため、無視され得る。
【0032】
更に、精度及び腐食厚測定/監視などの異なる技術を利用し得る。例えば、腐食監視は、表面が錆びている(例えば、滑らかな表面がない)試験対象に使用され得る。腐食監視は、デュアル要素トランスデューサを使用することができ、要素の一方は超音波を送信することができ、他方の要素は超音波エコーを受信することができる。両方の要素は、音響バリアによって隔てられた同じケース又はハウジングに設けられ得る。
【0033】
精密監視は、試験対象が試験のための滑らかな表面を含む場合に使用することができる。精密監視は、単一素子トランスデューサを使用し得、単一素子が超音波を送信し、超音波エコーも受信する。腐食監視は、より粗い測定値(例えば、±0.1mmの精度)を提供し得るが、精度監視は、より細かい測定値(例えば、±0.01mmの精度)を提供し得る。単一取得サイクルとして使用する腐食及び精密監視のための異なる技術を以下に更に詳細に説明する。
【0034】
次に、単一取得サイクルを使用する精密な厚さ測定/監視の例を説明する。精密な厚さ測定は、信号応答における最高の大きさのピーク(例えば、最大のピーク)、より具体的には、時間可変閾値を超えるデジタル化された信号応答の一部分を検出することによって、試験対象の厚さを計算し得る。最も高いピークは、推測的検出を使用して検出され得る。ピークが検出されると、スレーブゲートが起動され得、その後、より大きなピークが検出されると、スレーブゲートが再始動され得る。
【0035】
例えば、デジタル化された信号応答と時間可変閾値との第1の交差が検出され得る。その第1の交差に基づいて、その第1の交差に関連付けられたピークの大きさが計算され得る。スレーブゲートは、それに応じて設定され得る。次に、デジタル化された信号応答と時間可変閾値との第2の交差が検出され得る。その第2の交差に基づいて、その第2の交差に関連付けられたピークの大きさが計算され得る。第1及び第2の交差に関連付けられたピークが比較され得る。第2のピークの大きさ(例えば、振幅)が大きい場合、第2のピークに関する情報が記憶され得る。より高いピークが検出されたため、次いでスレーブゲートがリセットされ得、方法は、それらのピークを記憶された最も高いピークと比較して、追加のピークの検索を継続し得る。しかしながら、第1のピークが第2のピークよりも大きい大きさ(例えば、振幅)である場合、スレーブゲートは、その減衰を継続し得、方法は、スレーブゲートが完全に減衰するか、又はより大きなピークの検出時にリセットされるまで、それらのピークを記憶された最も高いピークと追加的に比較するための検索を継続し得る。
【0036】
図6は、本主題の一例による、精度監視スキームに従って処理された波形を例解する。示されるように、信号応答(Sig0)が時間可変閾値(TVT)と交差し得る第1の交差事象602が検出され得る。第1の交差事象602に基づいて、第1のピーク604が計算され得る。スレーブゲートが設定され得、ゲートは時間とともに衰退し始め得る。第2の交差事象606に基づいて、第2のピーク608が計算され得る。第2のピーク608は、第1のピーク604よりも大きい大きさであるため、第2のピーク608は、最高のピークとして記憶され得、スレーブゲートはリセットされ得る。第3の交差事象610に基づいて、第3のピーク612が計算され得る。第3のピーク612は、記憶された最高のピーク(例えば、第2のピーク608)よりも大きい大きさであるので、第3のピーク612は、最高のピークとして記憶され得、スレーブゲートは、リセットされ得る。第4の交差事象614に基づいて、第4のピーク616が計算され得る。さて、第4のピーク616は、記憶された最高のピーク(例えば、第3のピーク612)よりも大きさが小さいので、第3のピーク612は、最高のピークとして記憶され続け得、スレーブゲートは、衰退し続け得る。後続の交差を検出し、それらの関連付けられたピークを記憶された最高のピークと比較するこのプロセスは、スレーブゲートが衰退するまで継続し得る。本例では、第3のピーク612は、最高のピークであると判定され得る。このピークは、対象の厚さの精度計算に使用され得る。エコー信号を示す検出されたピークに対応する時間指標を使用して、超音波パルスの飛行時間を計算することができる。したがって、試験対象を通る超音波信号の速度が既知であり得るか又は推定され得るので、対象物の距離又は厚さは、エコーの測定された時間に基づいて計算され得る。例えば、伝播速度は、検出されたピークの時間指標に基づいて飛行時間持続時間で乗算され得、結果として生じる積は、送信機から受信機までの往復伝播経路が、試験下の対象物の厚さの少なくとも2倍であるため、厚さ推定値を提供するために、2(又は経路幾何学的特性に依存する別の適切な因子)で除算することができる。
【0037】
上で言及されるように、スレーブゲートは、推測的検出のために使用され得る。図7は、本主題の一例による、スレーブゲートのタイミングを例解する。スレーブゲートランプ702は、第1のピークの検出時に設定された初期スレーブゲットであり得る。示されるように、スレーブゲートランプは、例えば、上で説明されるように、より大きなピークの検出において、ポイント704及び706においてリセット又は再始動され得る。
【0038】
一例では、最大のピークは、ゲイン補正信号応答で検出され得る。ここで、時間依存ゲインを使用して信号応答のゲインを補正し得るが、最大のピークは、閾値に対する信号の最大の割合に基づいて検出され得る。
【0039】
次に、単一取得サイクルを使用する腐食厚さ測定/監視の例を説明する。腐食厚さ測定は、信号応答において、より具体的には、時間可変閾値を超えるデジタル化された信号応答の一部分において、第1のピークを検出することによって、試験対象の厚さを計算し得る。一例では、第1のピークに関連付けられたゼロ交差は、対象の厚さの計算において使用され得る。
【0040】
デジタル化された信号応答と時間可変閾値との交差が検出され得る。一例では、時間可変閾値は、正の閾値と負の閾値との2つの閾値を含み得る。交差に基づいて、交差に関連付けられた低いピーク及び高いピークが計算され得る。低いピークは、負の大きさのピークに対応し得、高いピークは、正の大きさのピークに対応し得る。次いで、低いピークと高いピークとの間のゼロ交差が計算され得る。次に、このゼロ交差は、腐食厚さ測定に使用され得る。ゼロ交差は、測定されるエコーの時間に対応し得る。したがって、試験対象を通る超音波信号の速度が既知であり得るため、対象物の距離又は厚さは、エコーの測定された時間に基づいて計算され得る。
【0041】
図8は、本主題の一例による、腐食の存在下での厚さ測定(例えば、腐食監視スキーム)に従って処理された波形を例解する。この例は、正の閾値及び負の閾値を示す。この例はまた、それぞれ、負の閾値と正の閾値の交差に関連付けられた低いピーク802及び高いピーク804を示す。この例は更に、低いピークと高いピークとの間のゼロ交差806を示し、これは次いで、腐食厚さ測定において使用され得る。
【0042】
本文書に説明された厚さ測定技術は、マルチパス又は「反復的」技術と比較して、より速く及び/又はより正確な測定を提供する。本測定は、エコーの位置を特定してサイズ調整するための複数の反復パスではなく、単一の送受信パルス取得サイクルのみを使用することができるため、少なくとも部分的にはより高速である。測定値は、信号応答にわたって指定されたゲインを使用すること、及び信号応答に時間依存ゲインを適用する必要なしに時間可変閾値を使用することにより、少なくとも部分的にはより正確である。本明細書に図示及び説明される技術は、図1に示されるような検査システム100の一部若しくは全体を使用して、又は、別様に、図9に関連して以下で考察されるようなマシン900を使用して実行され得る。
【0043】
図9は、本明細書で考察される技術(例えば、方法論)のうちのいずれか1つ以上が実行され得るマシン900を備える一例のブロック図を例解する。様々な例では、マシン900は、スタンドアロンデバイスとして動作し得る、又は他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)され得る。ネットワーク化された展開では、マシン900は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバマシン、クライアントマシン、又はその両方として動作し得る。一例では、マシン900は、ピアツーピア(P2P)(又は他の分散型)ネットワーク環境でピアマシンとして機能し得る。マシン900は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットデバイス、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はそのマシンによって取られるべきアクションを指定する命令を(逐次的又は別様に)実行することができる任意のマシンであり得る。更に、単一のマシンのみが例解されるが、「マシン」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書で考察される方法論のうちのいずれか1つ以上を実行するために、命令のセット(又は多数のセット)を個別に又は共同で実行するマシンの任意の集合を含むものとする。
【0044】
本明細書に説明されるように、例は、論理若しくはいくつかの構成要素、若しくは機構を含み得るか、又はそれらによって動作し得る。電気回路構成は、ハードウェア(例えば、単純回路、ゲート、ロジックなど)を含む有形のエンティティに実装される回路の集合である。電気回路構成メンバーシップは、時間の経過及び根本的なハードウェアのばらつきに応じて柔軟になり得る。回路には、単独又は組み合わせて、動作時に指定された動作を実行することができる部材が含まれる。一例では、電気回路構成のハードウェアは、特定の動作(例えば、ハードワイヤー)を実行するように不変に設計され得る。一例では、電気回路構成を備えるハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために、物理的に変更された(例えば、磁気的に、電気的に、例えば、物理的状態の変化又は別の物理的特性の変換などを介して)コンピュータ可読媒体を含む、可変接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純回路など)を含み得る。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の根本的な電気的特性は、例えば、絶縁特性から導電特性に、又はその逆に変更され得る。命令は、組み込みハードウェア(例えば、実行ユニット又はロード機構)が、動作中に特定の動作の一部分を実行するために可変接続を介してハードウェアの電気回路構成の部材を作成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、電気回路構成の他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のうちのいずれかは、2つ以上の電気回路構成の2つ以上の部材で使用され得る。例えば、動作下では、実行ユニットは、ある時点で第1の電気回路構成の第1の回路で使用され得、第1の電気回路構成における第2の回路によって、又は異なる時間に第2の電気回路構成の第3の回路によって再使用され得る。
【0045】
マシン(例えば、コンピュータシステム)900は、ハードウェアプロセッサ902(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、又はそれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ904、及びスタティックメモリ906を含み得、それらの一部又は全ては、インターリンク(例えば、バス)908を介して互いに通信され得る。マシン900は、ディスプレイユニット910、英数字入力デバイス912(例えば、キーボード)、及びユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス914(例えば、マウス)を更に含み得る。一例では、ディスプレイユニット910、入力デバイス912、及びUIナビゲーションデバイス914は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。マシン900は、更に、記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)916、信号生成デバイス918(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス920、及びグローバルポジショニングシステム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、又は他のセンサなどの1つ以上のセンサ921を含み得る。マシン900は、1つ以上の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダなど)を通信又は制御するための、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、並列、又は他の有線若しくは無線(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ928を含み得る。
【0046】
記憶デバイス916は、本明細書に説明される技術若しくは機能のうちのいずれか1つ以上を具現化するか、又はそれによって利用されるデータ構造若しくは命令924(例えば、ソフトウェア)のうちの1つ以上のセットが記憶されたマシン可読媒体922を含み得る。命令924はまた、マシン900によるその実行中に、メインメモリ904内、スタティックメモリ906内、又はハードウェアプロセッサ902内に完全に又は少なくとも部分的に存在し得る。一例では、ハードウェアプロセッサ902、メインメモリ904、スタティックメモリ906、又は記憶デバイス916のうちの1つ又は任意の組み合わせが、マシン可読媒体を構成し得る。
【0047】
マシン可読媒体922は単一の媒体として例解されているが、「マシン可読媒体」という用語は、1つ以上の命令924を記憶するように構成された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型データベース、並びに/又は関連付けられたキャッシュ及びサーバ)を含み得る。
【0048】
「マシン可読媒体」という用語は、マシン900による実行のための命令を記憶、符号化、又は搬送することができ、マシン900に本開示の技術のうちのいずれか1つ以上を実行させる、又は、そのような命令によって使用される若しくはそのような命令に関連付けられたデータ構造を記憶、符号化、若しくは搬送することができる、任意の媒体を含み得る。非限定的なマシン可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、並びに光学媒体及び磁気媒体を含み得る。したがって、マシン可読媒体は、一時的な伝播信号ではない。大規模なマシン可読媒体の具体例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM))及びフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、磁気又は他の位相変化又は状態変化メモリ回路、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含み得る。
【0049】
命令924は更に、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のいずれか1つを利用して、ネットワークインターフェースデバイス920を介して伝送媒体を使用して通信ネットワーク926を介して送信又は受信され得る。例示的な通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、モバイル電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、従来型電話サービス(POTS)ネットワーク、及びワイヤレスデータネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られる規格の米国電気電子学会(IEEE)802.11ファミリー、WiMax(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークなどを含み得る。一例では、ネットワークインターフェースデバイス920は、通信ネットワーク926に接続するための1つ以上の物理的ジャック(例えば、イーサネット、同軸、若しくは電話ジャック)、又は1つ以上のアンテナを含み得る。一例では、ネットワークインターフェースデバイス920は、単一入力多重出力(SIMO)、多重入力多重出力(MIMO)、又は多重入力単一出力(MISO)技術のうちの少なくとも1つを使用して無線通信する複数のアンテナを含み得る。「伝送媒体」という用語は、マシン900による実行のための命令を記憶、符号化又は保持することが可能な任意の無形の媒体を含み、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタル又はアナログ通信信号又は他の無形の媒体を含むものと理解されなければならない。
【0050】
様々なメモ
上記の非限定的な態様の各々は、単独で成立し得るか、又は本明細書に説明される他の態様若しくは他の主題のうちの1つ以上との様々な順列若しくは組み合わせで組み合わされ得る。
【0051】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例解として、本発明が実施され得る特定の実装態様を示す。これらの実装態様は、一般に「例」とも称される。そのような例は、図示又は説明されるものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示又は説明される要素のみが提供される実施例も企図する。更に、本発明者は、特定の例(若しくはその1つ以上の態様)に関して、又は本明細書に図示若しくは説明される他の例(若しくはその1つ以上の態様)に関して、図示又は説明されるそれらの要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を使用する例も企図する。
【0052】
本文書と、このように参照により組み込まれた任意の文書との間で使用法が矛盾する場合、本文書の使用法が優先する。
【0053】
本文書において、「a」又は「an」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の事例又は使用法とは無関係に、1つ又は2つ以上を含むように使用される。本文書において、「又は」という用語は、別段の指示がない限り、「A又はB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含むように、非排他的論理和を指すために使用される。本文書において、「含む(including)」及び「それに(in which)」という用語は、それぞれの「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」という用語の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は、限定されておらず、すなわち、特許請求の範囲のそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然として、その特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる。更に、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、及び「第3」という用語などは、単にラベルとして使用され、それらの目的語に数値的要件を課すことを意図するものではない。
【0054】
本明細書に説明される方法の例は、少なくとも一部がマシン又はコンピュータによって実装され得る。いくつかの例は、電子デバイスを構成して上記の例で説明される方法を実行するよう動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体又はマシン可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装態様は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高レベルの言語コードなどのコードを含むことができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。更に、一例では、コードは、実行中又は他の時間などに、1つ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に有形に記憶され得る。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0055】
上記の説明は、例解的であり、限定的ではないことが意図される。例えば、上で説明される例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討した当業者などによって、他の実装態様が使用され得る。要約書は、読者が技術開示の性質を迅速に確認することを可能にするように提供される。特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の詳細な説明では、様々な特徴を一緒にグループ化して、開示を合理化することができる。これは、請求されていない開示された特徴が任意の特許請求の範囲に不可欠であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題が、特定の開示された実装態様の全ての特徴よりも少ない特徴にあり得る。このため、以下の特許請求の範囲は、例又は実装態様として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実装態様として単独で存在し、そのような実装態様は、様々な組み合わせ又は順列で互いと組み合わされ得ることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲とともに決定されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
100 音響検査システム
102 プロセッサ回路
104 メモリ回路
110 ディスプレイ
112 入力デバイス
120 無線通信インターフェース
122 フロントエンド回路
130 マルチコンダクタインターコネクト
130 インターコネクト
132 ラップトップ
140 マスター試験器具
150 モジュール式プローブアセンブリ
152 トランスデューサアレイ
154 トランスデューサ
156 結合媒体
158 ターゲット
206 デジタルミキサー
300 取得段階
400 再生段階
602 第1の交差事象
604 第1のピーク
606 第2の交差事象
608 第2のピーク
610 第3の交差事象
612 第3のピーク
614 第4の交差事象
616 第4のピーク
702 スレーブゲートランプ
704 ポイント
706 ポイント
802 ピーク
804 ピーク
806 ゼロ交差
900 マシン
902 ハードウェアプロセッサ
904 メインメモリ
906 スタティックメモリ
908 インターリンク(例えば、バス)
910 ディスプレイユニット
912 入力デバイス
914 UIナビゲーションデバイス
916 記憶デバイス
918 信号生成デバイス
920 ネットワークインターフェースデバイス
921 センサ
922 マシン可読媒体
924 命令
926 通信ネットワーク
928 出力コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】