(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】導体接続端子、導体接続端子の使用および組立方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/48 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H01R4/48 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505674
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021070864
(87)【国際公開番号】W WO2022023272
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】102020120150.8
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511051753
【氏名又は名称】ヴァーゴ・フェアヴァルトゥングスゲゼルシャフト・エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】シュトルツェ,ヘンリー
(57)【要約】
本発明は、母線(3)およびクランプバネ(4)を有する接点インサート(2)ならびに、第1のハウジング部(5A)および前記接点インサート(2)を少なくとも部分的に取り囲む第2のハウジング部(5B)を有するハウジング(5)を備える導体接続端子(1)であって、第1のハウジング部(5A)が、接点インサート(2)を収容するための収容構造部(6)を備えた第1のハウジング壁を有し、かつ第2のハウジング部(5B)が、第1のハウジング部によって収容された接点インサート(2)を覆うための複数のさらなるハウジング壁(GW3、GW4、GWS)を有する導体接続端子(1)に関する。さらに本発明は、母線(3)およびクランプバネ(4)を有する接点インサート(2)ならびに、第1のハウジング部(5A)および前記接点インサート(2)を少なくとも部分的に取り囲む第2のハウジング部(5B)を有するハウジング(5)を備える導体接続端子(1)であって、第1のハウジング部(5A)が第1の導体挿入チャネル区間(13A)を有し、第2のハウジング部(5B)が第2の導体挿入チャネル区間(13B)を有し、ハウジング(5)を組み立てた状態では、第1の導体挿入チャネル区間(13A)と第2の導体挿入チャネル区間(13B)が一緒に、導電体を挿入するための導体挿入チャネル(13)を形成する導体接続端子(1)に関する。本発明はさらに、導体接続端子(1)の使用および導体接続端子(1)の組立方法に関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母線(3)とクランプバネ(4)とを有する接点インサート(2)、及び、第1のハウジング部(5A)と第2のハウジング部(5B)とを有し、前記接点インサート(2)を少なくとも部分的に取り囲むハウジング(5)を備える、導体接続端子(1)であって、前記第1のハウジング部(5A)が、前記接点インサート(2)を収容するための収容構造部(6)を備えた第1のハウジング壁(GW
1)を有し、前記第2のハウジング部(5B)が、前記第1のハウジング部(5A)によって収容された前記接点インサート(2)を覆うための複数の追加のハウジング壁(GW
2、GW
3、GW
4、GW
S)を有する導体接続端子(1)。
【請求項2】
前記収容構造部(6)が、前記第1のハウジング壁(GW
1)から実質的に直角に突き出ている少なくとも1つの枠壁(7)を有し、前記枠壁(7)が前記第1のハウジング壁(GW
1)と共に前記接点インサート(2)のための収容空間(8)を画定することを特徴とする請求項1に記載の導体接続端子(1)。
【請求項3】
前記枠壁(7)が、前記接点インサート(2)の長手方向側部に沿って延びることを特徴とする請求項1または2に記載の導体接続端子(1)。
【請求項4】
各枠壁(7)が、前記接点インサート(2)の前記母線(3)に面した前記接点インサート(2)の下部(K
U)に沿っておよび/または前記接点インサート(2)の前記母線(3)から離れる側に面した前記接点インサート(2)の上部(K
O)に沿って延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項5】
前記第2のハウジング部(5B)が、前記接点インサート(2)および/または前記第1のハウジング部(5B)を覆うための少なくとも3つのハウジング壁(GW
2、GW
3、GW
4、GW
S)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項6】
前記ハウジング(5)の組み立て状態において、前記第2のハウジング部(5B)の少なくとも1つのハウジング壁(GW
2、GW
3、GW
4、GW
S)が、前記第1のハウジング部(5A)の枠壁(7)に部分的にまたは完全に重なることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項7】
前記第1のハウジング部(5A)および前記第2のハウジング部(5B)がそれぞれU字形断面を有し、前記ハウジング(5)の組み立て状態で、前記第2のハウジング部(5B)のU字形の腕部(9B)が、前記腕部(9B)の間に前記第1のハウジング部(5A)のU字形の腕部(9A)を収容し、前記第1のハウジング部(5A)の前記U字形の腕部(9A)が、前記腕部(9A)の間に前記接点インサート(2)を収容することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項8】
前記第2のハウジング部(5B)が、前記ハウジング(5)の端面を覆うためのハウジング端壁(GW
S)を有することを特徴とする請求項7に記載の導体接続端子(1)。
【請求項9】
前記導体接続端子(1)が、2つの導電体のための双方向端子であり、前記2つの導電体は、それぞれの挿入方向(R
EF)で前記導体接続端子(1)に挿入可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項10】
前記枠壁(7)および/または前記第1のハウジング壁(GW
1)から、隔壁(10)が直角に突き出ることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項11】
前記第2のハウジング部(5B)が隔壁収容部(11)を有することを特徴とする請求項10に記載の導体接続端子(1)。
【請求項12】
前記枠壁(7)が、前記枠壁(7)から直角に突き出ている支持ブロック(12)を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項13】
前記支持ブロック(12)が導体挿入チャネル領域(18)を有することを特徴とする請求項12に記載の導体接続端子(1)。
【請求項14】
前記接点インサート(2)および/または前記ハウジング(5)が対称的な構造を有することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項15】
前記第1のハウジング部(5A)と前記第2のハウジング部(5B)が、前記ハウジング(5)の組み立て状態で、相互にスナップ嵌めされ、かしめられ、及び/または溶接されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項16】
母線(3)とクランプバネ(4)とを有する接点インサート(2)、及び、第1のハウジング部(5A)および第2のハウジング部(5B)を有し、前記接点インサート(2)を少なくとも部分的に取り囲むハウジング(5)を備える、導体接続端子(1)において、前記第1のハウジング部(5A)が第1の導体挿入チャネル区間(13A)を有し、前記第2のハウジング部(5B)が第2の導体挿入チャネル区間(13B)を有し、前記ハウジング(5)の組み立て状態で、前記第1の導体挿入チャネル区間(13A)と前記第2の導体挿入チャネル区間(13B)が共に、導電体を挿入するための導体挿入チャネル(13)を形成することを特徴とする導体接続端子(1)。
【請求項17】
前記第1の導体挿入チャネル区間(13A)および/または前記第2の導体挿入チャネル区間(13B)が、主に、周方向で閉じられるように形成されていることを特徴とする請求項16に記載の導体接続端子(1)。
【請求項18】
前記第1の導体挿入チャネル区間(13A)が、導電体の挿入方向(R
EF)において前記第2の導体挿入チャネル区間(13B)の後に配置されていることを特徴とする請求項16または17に記載の導体接続端子(1)。
【請求項19】
前記ハウジング(5)が、導電体を挿入するための導体挿入口(14)を有し、前記導体挿入口(14)が、前記第2の導体挿入チャネル区間(13B)に形成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項20】
前記導体接続端子(1)が、請求項1から15のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)であることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)。
【請求項21】
切断された導電体の電線区間または2つの導体自由端を結合するための補修用端子としての、請求項1から20のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)の使用。
【請求項22】
母線(3)とクランプバネ(4)とを有する接点インサート(2)、及び、第1のハウジング部(5A)および第2のハウジング部(5B)を有し、前記接点インサート(2)を少なくとも部分的に取り囲むハウジング(5)を備える、導体接続端子(1)の組立方法であって、前記接点インサート(2)が前記第1のハウジング部(5A)に嵌め込まれ、その後、複数のハウジング壁(GW
2、GW
3、GW
4、GW
S)を有する前記第2のハウジング部(5B)が、前記第1のハウジング部(5A)上に配置され、前記第1のハウジング部(5A)に接続される組立方法。
【請求項23】
前記第1のハウジング部(5A)への前記接点インサート(2)の嵌込み方向(R
ES)が、前記接点インサート(2)の長手方向(R
LE)に対して直角であることを特徴とする請求項22に記載の組立方法。
【請求項24】
請求項1から20のいずれか一項に記載の導体接続端子(1)が、前記組立方法によって組み立てられることを特徴とする請求項22または23に記載の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体接続端子、導体接続端子の使用および導体接続端子の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導体接続端子は、とりわけ、導電体の取り外し可能な接続または結合のために用いられ、クランプした状態では、接続された導体の機械的固定によって導体の電気接触を保証し得る端子であり得る。この導体接続端子は、例えば差し込み端子、スプリング端子、ケージクランプ端子、ケージ端子、またはスプリングテンション端子とも呼ばれるスプリングクランプ端子であり得る。
【0003】
横に開いたハウジングの空洞に接点インサートが装填可能であり、かつこの空洞が蓋で封鎖可能である導体接続端子が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを踏まえて本発明の課題は、単純にされた構造、容易にされた組立、およびより高い動作信頼性をもつ改善された導体接続端子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に基づく導体接続端子、請求項20に基づく導体接続端子の使用、および請求項21に基づく導体接続端子の組立方法によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、明細書、および図において開示されている。
【0006】
導体接続端子は、母線とクランプバネとを有する接点インサート、及び、第1のハウジング部と第2のハウジング部とを有し、接点インサートを少なくとも部分的に取り囲むハウジングを備えており、第1のハウジング部は、接点インサートを収容するための収容構造部を備えた第1のハウジング壁を有し、第2のハウジング部は、第1のハウジング部によって収容された接点インサートを覆うための複数の追加のハウジング壁を有する。
【0007】
ハウジングは、接点インサートを少なくとも部分的に取り囲む。ハウジングは、接点インサートを完全に取り囲み得るかまたは包囲し得る。ハウジングは、接点インサートを、例えば周囲条件から、および人が接点インサートに誤ってまたは権限なくアクセスすることから保護する。ハウジングは、周囲に対する接点インサートの電気絶縁を可能にし、したがって例えばプラスチックのような絶縁体から製造され得る。ハウジングは、第1および第2のハウジング部によって少なくとも2つの部分で構成されており、第1、第2、および場合によっては追加のハウジング部によって完全なハウジングへと組み立てられ得る。第1および第2のハウジング部は、例えば結合線に沿って組み立てられ得る。結合線ではハウジング壁が同一平面上で互いへと移行し得る。
【0008】
第1のハウジング部は、接点インサートを収容するための収容構造部を有する。収容構造部は、例えば、第1のハウジング部と一体的に形成された収容型形状であってよく、この収容型形状は、例えばアタッチメント構造またはインサート構造として形成され得る。収容構造部は、例えば、第1のハウジング部の接点インサートに対するかみ合いおよび/または摩擦接続、とりわけ取り外し可能な接続のための、材料突起、支持要素、接点インサートの凹状輪郭、クリップ式受け部のような留め構造、または、その他の手段を有し得る。収容構造部は、例えばバネ支持体を有し得る。収容構造部は、収容された接点インサートの固定を、選択された運動自由度の減少によって可能にし得る。収容構造部は、所定のアタッチメント構造またはインサート構造により、第1のハウジング部における接点インサートの位置決めおよび取付けを簡略化し得る。第1のハウジング部は、ベースハウジングまたは基礎ハウジングとも呼ばれ得る。
【0009】
第2のハウジング部は複数のハウジング壁を有する。これらのハウジング壁の主要な伸長部は異なる平面内に延在し得る。例えば互いに隣り合うハウジング壁が、互いに対して実質的に垂直であり得る。例えば第2のハウジング部のハウジング壁が、互いに向かい合っていたり互いに対して実質的に平行に延びていたりし得る。幾つかのまたはすべてのハウジング壁は、その全面に切れ目のない状態で製作され得る。幾つかのまたはすべてのハウジング壁が貫通孔を有し得る。第2のハウジング部は蓋ハウジングとも呼ばれ得る。基礎ハウジングおよび蓋ハウジングを有するハウジングの典型的な組立過程では、通常は最後に蓋ハウジングが基礎ハウジング上に装着され、それゆえ第2のハウジング部がここでは蓋ハウジングと表現され得る。同時に第2のハウジング部はこの複数のハウジング壁という特徴により、先行技術から知られているような単純な、通常は1つのハウジング壁しか有しないハウジング蓋とは異なる。
【0010】
この導体接続端子は、簡素化された構造を有し、導体接続端子の組立を容易にし得る。第1のハウジング部の第1のハウジング壁の収容構造部は、十分にアクセスしやすく、第1のハウジング部における接点インサートの迅速で確実な取付けを可能にする。第2のハウジング部は、第1のハウジング部に確実で迅速に配置可能であり、第1のハウジング部と結合可能である。第2のハウジング部の複数のハウジング壁によって接点インサートを覆うことにより、導体接続端子の動作信頼性のために必要な空間距離および沿面距離の遵守が保証されている。
【0011】
収容構造部が、第1のハウジング壁から実質的に直角方向に突き出ている少なくとも1つの枠壁を有し、この枠壁が第1のハウジング壁と共に接点インサートのための収容空間を画定する場合が有利である。これにより、接点インサートの規定通りの嵌込みを可能にする収容構造部を備えたハウジング壁が提供される。収容空間は、接点インサートの意図された取付け場所を画定し、視覚的に示す。枠壁は、接点インサートの運動自由度を減少させ得る。画定された収容空間により、導体接続端子の組立がより確実でより簡単である。枠壁はこれに加え、機械的保護を改善でき、接点インサートの電気絶縁を支援し得る。枠壁は、第2のハウジング部のハウジング壁のための収容領域を形成するため、第1のハウジング壁の境界または終端縁の下側に段部が形成されるようにずれていてよい。
【0012】
枠壁が、接点インサートの長手方向側部に沿って延びる場合が有利である。接点インサートの長手方向側部は、導体接続端子への導電体の挿入方向に対して実質的に平行に延在し得る。接点インサートの端面は、導体接続端子への導電体の挿入方向に対して実質的に直角の方向に延在し得る。接点インサートは、例えば4つの長手方向側部および2つの端面を有し得る。組み立てられたハウジングも、例えば4つの長手方向側部および2つの端面を有し得る。接点インサートの長手方向側部に沿って枠壁が延びることにより、接点インサートの直観的な取付けが支援され、かつ接点インサートの全長にわたって機械的保護および絶縁が改善される。
【0013】
各枠壁が、接点インサートの母線に面した接点インサートの下部に沿っておよび/または接点インサートの母線から離れた側に面した接点インサートの上部に沿って延びる場合が有利である。接点インサートの下部および上部はそれぞれ接点インサートの1つの長手方向側部に相当し得る。下部には例えば接点インサートの母線が配置されていてよい。上部は、下部の反対側または下部に対して実質的に平行に延びる接点インサートの側部または長手方向側部であり得る。一実施形態では、第1のハウジング壁が2つの枠壁を有し得る。枠壁は、接点インサートのための収容空間を画定し得る。収容空間は、収容空間のうち導電体の挿入方向に対して平行に延びている3つの側部において、壁、具体的には第1のハウジング壁および2つの枠壁によって画定されていてよい。接点インサートの上部または下部に沿って枠壁が延びていることにより、接点インサートの直観的な取付けが支援される。接点インサートの上部および下部のそれぞれにおいて1つの枠壁が延びていることにより、接点インサートの全長にわたって機械的保護および絶縁が改善される。加えて、接点インサートのための収容空間が、より正確に境界が決められ画定される。
【0014】
第2のハウジング部が、接点インサートおよび/または第1のハウジング部を覆うための少なくとも3つのハウジング壁を有する場合が有利である。これにより、第2のハウジング部のカバー機能が改善される。少なくとも3つのハウジング壁の少なくとも1つは、接点インサートの1つの長手方向側部に対して実質的に平行に、および/または1つの端面に対して実質的に平行に延在し得る。少なくとも3つのハウジング壁のうち2つは、互いに対して実質的に垂直に配置され得る。第2のハウジング部は、とりわけ、接点インサートおよび/または第1のハウジング部を覆うために少なくとも4つまたは少なくとも5つのハウジング壁を有してもよい。第2のハウジング部は、例えば、接点インサートの長手方向側部に対してそれぞれ実質的に平行に延びる3つのハウジング壁および接点インサートの端面に対してそれぞれ実質的に平行に延びる2つのハウジング壁を有し得る。
【0015】
ハウジングが組み立てられた状態では、第2のハウジング部の少なくとも1つのハウジング壁が、第1のハウジング部の枠壁に部分的にまたは完全に重なる場合が有利である。例えば、ハウジングが組み立てられた状態では、第2のハウジング部の少なくとも1つのハウジング壁が、第1のハウジング部の枠壁に50%超、とりわけ70%超、さらにとりわけ80%超の重なり度で重なることができる。この重なり度は、ハウジング壁と枠壁とが互いに向かい合う総面積の合計のうちのパーセンテージとして表現される、ハウジング壁と枠壁とが向かい合いかつ重なり合う面積の合計であり得る。従って、第2のハウジング部のハウジング壁と第1のハウジング部の枠壁とは少なくとも部分的に重なり合うことができる。重なり合うことで、ハウジング壁と枠壁の間に機械的接触が存在し得る、つまりハウジング壁と枠壁の互いに向かい合う表面が接触し得る。重なり合う枠壁とハウジング壁は、例えば互いに対して実質的に平行に延在し得る。重なり合う場合、第2のハウジング部のハウジング壁が、周囲環境に面した外壁を形成することができ、第1のハウジング部の枠壁が、接点インサートに面した内壁を形成することができる。これにより、蓋ハウジングを簡単に基礎ハウジング上に装着し得るかまたは押し得る。この重なりは、条件に応じて、ハウジング壁と枠壁のすきま嵌め、中間嵌め、または締り嵌めとしても存在し得る。重なりの結果として、局所的に、第1および第2のハウジング部によって二重壁が形成され、それにより導体接続端子の機械的保護および電気絶縁が改善される。加えて、意図した重なりの結果として、第1および第2のハウジング部の互いに対する所定の取付け配置および取付け向きがもたらされ、これにより組立が簡略化される。
【0016】
第1のハウジング部および第2のハウジング部がそれぞれU字形断面を有し、ハウジングを組み立てた状態では、第2のハウジング部のU字形の腕部がその間に第1のハウジング部のU字形の腕部を収容し、第1のハウジング部のU字形の腕部がその間に接点インサートを収容する場合が有利である。蓋ハウジングとしての第2のハウジング部は、基礎ハウジングとしての第1のハウジング部より大きなU字形断面を有し得るので、蓋ハウジングは基礎ハウジング上に装着するかまたは押すことができ、ハウジングが組み立てられた状態では、蓋ハウジングが基礎ハウジングの複数の側部に覆い被さる。これにより、導体接続端子の単純な構造と、直観的で容易にされた組立とが可能になる。第1および第2のハウジング部の互いにかみ合ったU字形の腕部により、これらのハウジング部の確実な機械的結合を可能にする確実な係合が実現される。加えて、両方のハウジング部の断面内で接点インサートが確実に包まれる。第2のハウジング部のU字形の腕部の間に第1のハウジング部のU字形の腕部を収容することにより、局所的に、U字形の腕部が相互に重なり合う領域で二重壁が形成され、それにより、導体接続端子の機械的保護および電気絶縁が改善される。
【0017】
第2のハウジング部が、ハウジングの端面を覆うためのハウジング端壁を有する場合が有利である。とりわけ、第2のハウジング部は、ハウジングの2つの向かい合う端面で、ハウジングの端面を覆うための2つのハウジング端壁を有し得る。ハウジング端壁は、導体接続端子への導電体の挿入方向に対して実質的に直角に延在し得る。ハウジング端壁は、ハウジングの長手方向側部に対して実質的に直角に延在し得る。ハウジングの端面は、ハウジングに嵌め込まれた接点インサートの端面に対して実質的に平行に延在し得る。ハウジングの端面は、導体接続端子に挿入される導体がそこを通ってハウジングに入るハウジング側部であり得る。ハウジングの端面は、ハウジングの1つの長手方向側部より小さなハウジング表面積を有し得る。ハウジング端壁は、ハウジングまたはハウジング部のハウジング壁であり得る。ハウジング端壁により、嵌め込まれた接点インサートの端面の領域での第2のハウジング部のカバー機能が改善される。その代わりにまたはそれに加えて、第1のハウジング部または基礎ハウジングも、1つまたは複数のハウジング端壁を有し得る。第1のハウジング部のハウジング端壁は、第2のハウジング部のハウジング端壁を少なくとも部分的に覆うかまたはハウジング端壁に少なくとも部分的に重なり得る。1つまたは複数のハウジング端壁は、貫通孔、例えば導体挿入口を有し得る。
【0018】
導体接続端子が、2つの導電体のための双方向端子(Doppelklemme)であって、2つの導電体が、それぞれの挿入方向で導体接続端子に挿入可能である場合が有利である。それぞれの挿入方向は、例えば互いに逆向きであり得る。これにより、この導体接続端子を用いて2つの導体が、大きな追加的な設置空間または構造上の複雑さなく接続され得る。
【0019】
このために接点インサートは、例えば、2つの互いに向かい合って配置されたクランプバネと、両方のスプリング式端子接続のための共通の母線とを有し得る。導体接続端子のハウジングは、例えば、端面に配置されて互いに向かい合っており、導体挿入口を有している2つのハウジング壁を有し得る。さらなる実施形態では、2つより多くの導電体をこの導体接続端子を用いて接続することも考えられる。
【0020】
枠壁および/または第1のハウジング壁から、隔壁が直角方向に突き出る場合が有利である。これにより、スプリング式端子接続用の2つ以上の導体接続空間の空間的分離が可能にされ得るかまたは改善され得る。第2のハウジング部は隔壁収容部を有することができ、この隔壁収容部は、例えば、2つの互いに離隔した、類似の壁状の材料突起として形成されており、それらの間に隔壁が滑り込み得る。これにより、導体接続端子の安定性が増し、かつ隔壁収容部が第1および第2のハウジング部の互いに対する位置決めのためのガイドおよび方向づけとして役立ち得ることで組立が簡略化される。第1および第2のハウジング部の相互結合を改善するために、隔壁と隔壁収容部が、スナップ嵌めによって相互に取り外し可能に結合可能であってもよい。壁状の隔壁収容部により、導体接続空間の互いからの絶縁がさらに改善される。
【0021】
1つまたは複数の枠壁が枠凹部を有することができ、この枠凹部は、例えば第2のハウジング部のハウジング壁凹部に平行に延びることができ、かつハウジング壁凹部と共に把持凹部を形成する。把持凹部は、導体接続端子を把持しやすくすることができ、または例えば導体接続端子の上部もしくは下部を視覚的に示す。
【0022】
枠壁が、枠壁から直角方向に突き出ている支持ブロックを有する場合が有利である。これにより接点インサートを、例えば、その端面で支えることができ、または接点インサートの軸方向の可動性を制限し得る。支持ブロックは、接点インサートのための収容空間をより正確に画定し得る。支持ブロックにより、第1のハウジング部の安定性が増し得る。枠壁は、枠壁から直角方向に突き出ている2つ以上の支持ブロックを有してもよい。1つまたは複数の支持ブロックは、1つまたは複数の枠壁および第1のハウジング部の第1のハウジング壁と共に、接点インサートを規定通りに収容するための収容構造部または内側ハウジングを形成し得る。
【0023】
支持ブロックは導体挿入チャネル領域を有し得る。これにより、挿入される導電体のガイドが改善され、かつ導体接続端子の操作が簡略化される。
接点インサートおよび/またはハウジングが対称的な構造を有する場合が有利である。これにより、導体接続端子の構造がさらに単純化される。さらに、例えば接点インサートを1つだけの向きよりも多くの向きで第1のハウジング部に嵌め込めるので、組立が容易になる。対称軸は、例えば接点インサートまたはハウジングの中心軸と一致していることができ、この中心軸は、接点インサートの本体またはハウジングの空間的な中心点を通っている。
【0024】
第1のハウジング部と第2のハウジング部が、ハウジングを組み立てた状態では相互にスナップ嵌合しており、かしめられており、かつ/または溶接されている場合が有利である。これにより、第1および第2のハウジング部の間の確実な結合が保証され、かつ導体接続端子の安定性が増す。
【0025】
第1のハウジング部が第1の導体挿入チャネル区間を有し、第2のハウジング部が第2の導体挿入チャネル区間を有し、ハウジングを組み立てた状態では、第1の導体挿入チャネル区間と第2の導体挿入チャネル区間が共に、導電体を挿入するための導体挿入チャネルを形成する場合が有利である。導体挿入チャネルを協働して形成することにより、導体挿入チャネルの安定性および伸長度が増す。さらに、第1および第2のハウジング部を相互結合させた場合に導体挿入チャネル区間が互いに隣り合って配置され得るので、導体接続端子の組立が簡略化され、かつ直観的である。さらに、第1および第2のハウジング部のそれぞれに単一の導体挿入チャネル区間が設けられており、したがって例えばアンダーカットをあまり考慮しなくてよい場合、第1および第2のハウジング部の製造が簡略化される。第1の導体挿入チャネル区間は、導体接続端子の基礎ハウジングに割り当てることができ、第2の導体挿入チャネル区間は、導体接続端子の蓋ハウジングに割り当てることができる。第1の導体挿入チャネル区間は、導体挿入チャネルのうち収容空間または接点インサートに面した内側区間を形成することができ、第2の導体挿入チャネル区間は、導体挿入チャネルのうち周囲環境に面した外側区間を形成することができる。第2の導体挿入チャネル区間は、導体接続端子の外からアクセス可能な導体挿入口を有し得る。
【0026】
第1の導体挿入チャネル区間および/または第2の導体挿入チャネル区間が、周囲に沿って(換言すれば、周方向に)実質的にまたは主として閉じられるように形成されている場合が有利である。とりわけ、第1の導体挿入チャネル区間および/または第2の導体挿入チャネル区間は、周方向に180°超、とりわけ270°超で閉じられるように形成され得る。したがって第1の導体挿入チャネル区間および/または第2の導体挿入チャネル区間は、実質的に閉じられた断面を有し得る。これにより、導体挿入チャネルがより正確に画定されており、かつ導体挿入領域での導体接続端子の安定性が増している。導体挿入チャネルへの導電体の確実で直観的な挿入が可能である。第1の導体挿入チャネル区間および第2の導体挿入チャネル区間が周方向に実質的に閉じられて形成されている場合、導体挿入チャネルに隣接する第1のハウジング部および第2のハウジング部の領域の少なくとも部分的な重なりが生じ得る。この少なくとも部分的な重なりにより、ハウジングによる接点インサートの安定性が増し、かつより良好な絶縁が存在している。
【0027】
第1の導体挿入チャネル区間は、導体挿入方向において第2の導体挿入チャネル区間の後に配置されていてもよい。したがって導電体を挿入する際、導電体は最初に第2の導体挿入チャネル区間を、続いて第1の導体挿入チャネル区間を通る。
【0028】
ハウジングが、導電体を挿入するための導体挿入口を有し、この導体挿入口が、第2の導体チャネル区間に形成されている場合が有利である。導体挿入口は、ハウジングへの導電体の挿入領域を規定し、したがって外から視認可能である。例えば導体挿入方向に先細りしていく導体挿入チャネルの場合、導体挿入口が、導体挿入チャネルの最大断面領域であり得る。第2のハウジング部または蓋ハウジングのハウジング壁、とりわけハウジング端壁が、導体挿入口を取り囲み得るかまたは縁取りし得る。導体挿入口は、第2のハウジング部または蓋ハウジングのハウジング壁またはハウジング端壁の貫通孔として実施されていてよい。
【0029】
本課題は、切断された導電体の電線区間または2つの導体自由端を結合するための補修用端子(Reparaturklemme)としての、前述の特徴の1つを有する導体接続端子の使用によっても解決される。導体接続端子の単純な構造、容易にされた組立、および高い絶縁能力に基づき、この導体接続端子は補修分野での使用に特に好適である。
【0030】
本課題は、母線とクランプバネとを有する接点インサート、及び、第1のハウジング部と第2のハウジング部とを有し、接点インサートを少なくとも部分的に取り囲むハウジングを備える、導体接続端子の組立方法であって、接点インサートが第1のハウジング部に嵌め込まれ、その後、複数のハウジング壁を有する第2のハウジング部が、第1のハウジング部上に配置され、第1のハウジング部と接続される、組立方法によっても解決される。これにより、特に簡単で迅速で直観的な導体接続端子の組立が可能になる方法が提供される。第2のハウジング部の複数のハウジング壁による接点インサートの被覆により、導体接続端子の動作信頼性のために必要な空間距離および沿面距離の遵守が保証されている。第1のハウジング部が基礎ハウジング、および第2のハウジング部が蓋ハウジングであり得る。接点インサートは、とりわけ、第1のハウジング壁と、第1のハウジング壁から直角の方向に突き出ている枠壁とによって形成された第1のハウジング部の収容空間に嵌め込まれ得る。第1のハウジング部上に第2のハウジング部を配置することにより、とりわけ、第1のハウジング部の第1の導体挿入チャネル区間および第2のハウジング部の第2の導体挿入チャネル区間から、共通の導体挿入チャネルが形成され得る。接点インサートは、前段階のプロセスステップで、少なくとも1つの母線と少なくとも1つのクランプバネを組み立てることによって形成され得る。接点インサートはとりわけ事前に組み立てられていてもよい。
【0031】
第1のハウジング部への接点インサートの嵌込み方向が、接点インサートの長手方向に対して直角である場合が有利である。接点インサートの長手方向は、導体挿入方向に対して実質的に平行であり得る。組立の際、接点インサートは、導体挿入方向またはその逆方向の前方に端面を有するハウジングに挿入されるかまたは押し込まれるのではなく、この方向に対して直角方向で、第1のハウジング部に向けて移動され、例えば第1のハウジング部の収容構造部におよび/または収容空間内に置かれる。これにより、導体接続端子の簡単で迅速な組立が可能になる。第1のハウジング部への第2のハウジング部の配置が、とりわけ、第1のハウジング部への接点インサートの嵌込み方向に相当するかまたは嵌込み方向に対して平行である装着方向で行われる場合も好適である。
【0032】
この方法により、前述の特徴に基づく導体接続端子が組み立てられる場合が有利である。
一般論として、本出願との関連で「1つ」という語は、明確に別の定義がない限り、数詞として理解するのではなく、「少なくとも1つ」という語の意味をもつ不定冠詞として理解すべきである。すべての角度表示は360°の円の尺度に対してである。
【0033】
以下に、1つの例示的実施形態に基づき、添付の図面を用いて本発明をより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1のハウジング部の概略的な前方斜視図である。
【
図2】第1のハウジング部の概略的な後方斜視図である。
【
図3】第2のハウジング部の概略的な前方斜視図である。
【
図4】第2のハウジング部のさらなる概略的な前面図である。
【
図5】第2のハウジング部の下部を示す概略的な斜視図である。
【
図6】嵌め込まれた接点インサートおよび組み立てられたハウジングを備えた導体接続端子の概略的な断面図である。
【
図7】嵌め込まれた接点インサートおよび組み立てられたハウジングを備えた導体接続端子の概略的な断面斜視図である。
【
図8】組み立てられたハウジングを備えた導体接続端子の概略的な後方斜視図である。
【
図9】嵌め込まれた接点インサートおよび組み立てられたハウジングを備えた導体接続端子の概略的な側断面図である。
【
図10】嵌め込まれた接点インサートおよび組み立てられたハウジングを備えた導体接続端子の概略的な側断面斜視図である。
【
図11】導体接続端子のための接点インサートを示す概略図である。
【
図12】導体接続端子の組立方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、例えば
図6~
図10に示した双方向端子として製作された導体接続端子1のための第1のハウジング部5Aの前面図を示す。第1のハウジング部5Aは、例えば
図3~
図5に示した第2のハウジング部5Bと、導体接続端子1のハウジング5へと組み立てられ得る。導体接続端子1のハウジング5は、示した例示的実施形態では2つの部分に分かれており、第1のハウジング部5Aおよび第2のハウジング部5Bから構成されている。基本的には、導体接続端子1のハウジング5を、2つより多くのハウジング部から組み立てることも考えられる。導体接続端子1のハウジング5は、例えば
図6、
図7、および
図11に示した母線3および1つまたは複数のクランプバネ4を備えた接点インサート2を、この接点インサート2を周囲条件から保護し、かつ周囲環境に対する接点インサート2の電気絶縁をもたらすために、少なくとも部分的に取り囲むよう適合されている。
【0036】
第1のハウジング部5Aは、接点インサート2を収容するための収容構造部6を備えた第1のハウジング壁GW1を有する。示した例示的実施形態では、収容構造部6は、複数の構造要素、例えば以下でさらに解説する枠壁7、隔壁10、バネ支持体、および支持ブロック12によって形成される。しかしながら、収容構造部6を形成するためにより多くのまたはより少ない構造要素を用いることも考えられる。
【0037】
第1のハウジング壁GW
1から2つの枠壁7が実質的に垂直に突き出、第1のハウジング壁GW
1と共に、接点インサート2のための収容空間8を画定する。枠壁7は、嵌め込むべき接点インサート2の長手方向側部に沿って延びる。示した例示的実施形態では、接点インサート2の母線3に面した、
図11で示した接点インサート2の下部K
Uに沿って、および接点インサート2の母線とは反対の側に面した、
図11で示した接点インサート2の上部K
Oに沿って、それぞれ1つの枠壁7が延びる。両方の示した枠壁7の一方が枠凹部16Aを有し、枠凹部16Aは、例えば第2のハウジング部5Bのハウジング壁凹部16B(
図3)に平行に延びることができ、かつハウジング壁凹部16Bと一緒に把持凹部を形成している。把持凹部は、導体接続端子1を把持しやすくすることができ、示した例示的実施形態では、接点インサート2の母線3とは反対の側に面した導体接続端子1の上部を視覚的に示す。
【0038】
第1のハウジング壁GW1からおよび枠壁7の一方から実質的に垂直に、隔壁10が突き出、隔壁10は、なかでも、導電体のための2つの隣接する接続空間の空間的分離および電気絶縁に役立つ。隔壁10は、この例示的実施形態では第1のハウジング部の中央の領域を規定し、この中央の領域から左および右にそれぞれ、導電体のためのスプリング式端子接続部が設けられていてよい。これについて導体接続端子1には、各挿入方向REFに1つの導電体が挿入可能であり得る。
【0039】
枠壁7から支持ブロック12が突き出、支持ブロック12は、接点インサート2のための収容空間8をさらに画定し、かつ挿入方向REFと同じまたは逆の方向での接点インサート2の移動可動性を減少または阻止する。
【0040】
さらに、第1のハウジング部5Aには、双方向端子の各側のためにそれぞれ1つの第1の導体挿入チャネル区間13Aが形成されており、ハウジング5を組み立てた状態では、第1の導体挿入チャネル区間13Aが、例えば
図3に示した第2のハウジング部5Bの第2の導体挿入チャネル区間13Bと一緒に、導体挿入チャネル13を形成する。
【0041】
図2では、第1のハウジング部5Aが後面図で示されている。例えば、枠壁7の1つがどのように第1のハウジング壁GW
1から実質的に垂直に突き出るかが認識され得る。これに関し、枠壁7は少し内側にずれており、つまり第1のハウジング壁GW
1の終端と同一平面上に延びる表面を有しない。枠壁7と第1のハウジング壁GW
1の終端との間に形成された段部17は、第2のハウジング部5Bの1つのハウジング壁、例えば第4のハウジング壁GW
4のための収容領域を形成する。
【0042】
図3は、導体接続端子1のための第2のハウジング部5Bの前面図を示す。第2のハウジング部5Bは、複数のハウジング壁、すなわち、示した例示的実施形態では第2のハウジング壁GW
2、第3のハウジング壁GW
3、第4のハウジング壁GW
4、および2つのハウジング端壁GW
Sを有する。ハウジング壁GW
2、GW
3、GW
4、およびGW
Sは、導体接続端子1の接点インサート2を少なくとも部分的に覆うのに役立ち、第1のハウジング部5Aの第1のハウジング壁GW
1によって完成されると、第1および第2のハウジング部5Aおよび5Bが組み立てられた状態の導体接続端子1のハウジング5を形成する。その際、第2のハウジング部5Bは蓋ハウジングとして作用し、第1のハウジング部5A内に接点インサート2を取り付けた後に、第1のハウジング部5A上に装着されるよう適合されている。ハウジング壁GW
1、GW
2、GW
3、GW
4は、導体接続端子1またはハウジング5または接点インサート2の長手方向側部に割り当てられてよく、その一方でハウジング端壁GW
Sは、導体接続端子1またはハウジング5または接点インサート2の端面に割り当てられてよい。第2のハウジング部5Bのハウジング端壁GW
Sは、導体挿入口14および第2の導体挿入チャネル区間13Bの両方を形成する貫通孔を有する。導体挿入口14およびそれに続く第2の導体挿入チャネル区間13B内に導電体が、示した例示的実施形態では第2のハウジング部5Bの向かい合う端面からそれぞれ1つの導電体が、導体挿入方向R
EFでハウジング5に挿入され得る。
【0043】
第2のハウジング部5Bは、2つの離隔した壁状の材料突起の形態での隔壁収容部11を有し、隔壁収容部11の間に第1のハウジング部5Aの隔壁10が入り込み得る。第2のハウジング部5Bはハウジング壁凹部16Bを有し、ハウジング壁凹部16Bは、ハウジング5を組み立てた状態では第1のハウジング部5Aの枠凹部16Aに重なり、枠凹部16Aと一緒に把持凹部を形成する。
【0044】
図4および
図5は第2のハウジング部5Bを、より詳しく図解するためにさらなる前面図および下面図で示す。
図6は、導体接続端子1を、組み立てた状態で、つまり嵌め込まれた接点インサート2と、接点インサート2を取り囲んでいる第1のハウジング部5Aおよび第2のハウジング部5Bから形成されたハウジング5とによって示す。母線3と、挿入方向R
EFで導体接続端子1に挿入可能な図示されていない2つの導電体の2つのスプリング式端子接続部のための2つのクランプバネ4とを備えた、接点インサート2が認識され得る。第2のハウジング部5Bの第3のハウジング壁GW
3および第4のハウジング壁GW
4は、第1のハウジング部5Aの枠壁7に重なり、これにより導体接続端子1の絶縁および安定性を増大させる二重壁がそれぞれ存在していることが認識され得る。第1のハウジング部5Aの第1の導体挿入チャネル区間13Aと第2のハウジング部5Bの第2の導体挿入チャネル区間13Bが一緒に、第2のハウジング部5Bの導体挿入口14から始まる、導電体を挿入するための導体挿入チャネル13を形成することも認識され得る。これに関し支持ブロック12は追加的に、導体挿入チャネル13を継続させるための導体挿入チャネル領域18を有する。さらに、導体接続端子1の収容構造部6がどのように、複数の構造要素、例えばバネ支持体、隔壁収容部11、枠壁7、および支持ブロック12により、接点インサート2のための区切られた収容空間を規定するかが明らかになり、それにより接点インサート2がハウジング5内で確実に保持されており、かつ組立が容易にされる。さらに、隔壁10が、隔壁収容部11の材料突起の間に入り込み、それにより第1のハウジング部5Aと第2のハウジング部5Bの互いに対する位置決めおよび固定にも有利に働くことが認識可能である。挿入方向R
EFに対して垂直に隔壁10を通る不図示の対称軸をもつ導体接続端子1の対称的な構造も明らかになる。
【0045】
この導体接続端子1は、単純にされた構造を有し、かつ導体接続端子1の組立を容易にし得る。第1のハウジング部5Aの第1のハウジング壁GW1の収容構造部6は、十分にアクセスしやすく、かつ第1のハウジング部5Aにおける接点インサート2の迅速で確実な取付けを可能にする。第2のハウジング部5Bは、第1のハウジング部5Aに確実で迅速に配置可能であり、かつ第1のハウジング部5Aと結合可能である。第2のハウジング部5Bの複数のハウジング壁GW2、GW3、GW4、GWSによる接点インサート2の被覆により、導体接続端子1の動作信頼性のために必要な空間距離および沿面距離の遵守が保証されている。
【0046】
図7は、
図6の導体接続端子1の図をさらなる図解のために斜視図で示す。加えて、双方向矢印によって接点インサート2の長手方向R
LEが表されている。導体接続端子1の組立の際、接点インサート2は、この長手方向R
LEに対して直角方向の嵌込み方向R
ESで、第1のハウジング部5Aに嵌め込まれる。
【0047】
図8は、組み立てられたハウジング5を備えた導体接続端子1の後方斜視図を示す。ハウジング部5A、5Bが、結合線15に沿って嵌合されていることが認識可能である。結合線15では、第1のハウジング部5Aの第1のハウジング壁GW
1と第2のハウジング部5Bの第4のハウジング壁GW
4が同一平面上で互いへと移行する。これと向かい合う側では、第1のハウジング壁GW
1の第3のハウジング壁GW
3への移行部で類似の状況が生じる。ハウジング5を組み立てた状態では、第1のハウジング部5Aと第2のハウジング部5Bが例えば相互にスナップ嵌めされていてもよく、かしめられていてもよく、かつ/または溶接されていてもよい。
【0048】
図9は、嵌め込まれた接点インサート2と、ハウジング部5A、5Bから組み立てられたハウジング5とを備えた導体接続端子1の側断面図を示す。この図では、示した実施形態の第1のハウジング部5Aおよび第2のハウジング部5BがそれぞれU字形断面を有し、ハウジング5を組み立てた状態では、第2のハウジング部5BのU字形の腕部9Bがその間に第1のハウジング部5AのU字形の腕部9Aを収容し、第1のハウジング部5AのU字形の腕部9Aがその間に接点インサート2を収容することが認識可能である。
【0049】
図10は、
図9の導体接続端子1の断面図を、追加的に図解するために斜視図で示す。
図11は、導体接続端子1のための予め組み立てられた接点インサート2を斜視図で示す。接点インサート2は母線3を有し、母線3の端部上にはそれぞれ、導電体とスプリング式端子接続を形成するためのクランプバネ4が装着されている。接点インサート2は2つの端面K
Sを有し、この端面K
Sからそれぞれの導電体が近づいて、接点インサート2に挿入される。接点インサート2はさらに、母線3に面した下部K
Uおよびこの下部K
Uと反対側の上部K
Oを有する。接点インサート2はさらに、蓋ハウジング5Bに面した蓋側側部K
Dおよび基礎ハウジング5Aに面したハウジング側側部K
Gを有し、接点インサート2を対称的に製作した場合、蓋側側部K
Dとハウジング側側部K
Gは交換されてもよい。接点インサート2の下部K
U、上部K
O、蓋側側部K
D、およびハウジング側側部K
Gは、接点インサート2の長手方向側部とみなされ得る。接点インサート2は、導電体の挿入方向に平行な長手方向R
LEに、長手方向の伸長部を有する。
【0050】
図12は、1つの母線3および1つまたはここでは2つのクランプバネ4を有する接点インサート2と、第1のハウジング部5Aと、第2のハウジング部5Bとから導体接続端子1を組み立てるための方法を示す。プロセスステップA)では、接点インサート2が、インサートの長手方向伸長部に対して直角の方向で、第1のハウジング部5Aに嵌め込まれる。接点インサート2は予め組み立てられて用意されてもよく、または上流の準備ステップで母線3および1つまたは複数のクランプバネ4から組み立てられてもよい。プロセスステップA)に続くプロセスステップB)では、複数のハウジング壁を有するハウジング部5Bが第1のハウジング部5Aに配置され、例えば上に装着される。これに関し、第1のハウジング部5Aへの第2のハウジング部5Bの装着方向は、とりわけ第1のハウジング部5Aへの接点インサート2の嵌込み方向に相当する。プロセスステップB)に続くプロセスステップC)では、第1のハウジング部5Aと第2のハウジング部5Bが接続され、例えばスナップ嵌めされ、かしめられ、または溶接される。
【符号の説明】
【0051】
1 導体接続端子
2 接点インサート
3 母線
4 クランプバネ
5 ハウジング
5A 第1のハウジング部
5B 第2のハウジング部
6 収容構造部
7 枠壁
8 収容空間
9A 第1のハウジング部のU字形の腕部
9B 第2のハウジング部のU字形の腕部
10 隔壁
11 隔壁収容部
12 支持ブロック
13 導体挿入チャネル
13A 第1の導体挿入チャネル区間
13B 第2の導体挿入チャネル区間
14 導体挿入口
15 結合線
16A 枠凹部
16B ハウジング壁凹部
17 段部
18 導体挿入チャネル領域
GW1 第1のハウジング壁
GW2 第2のハウジング壁
GW3 第3のハウジング壁
GW4 第4のハウジング壁
GWS ハウジング端壁
KS 接点インサートの端面
KU 接点インサートの下部
KO 接点インサートの上部
KG 接点インサートのハウジング側側部
KD 接点インサートの蓋側側部
RLE 接点インサートの長手方向
RES 接点インサートの嵌込み方向
REF 導電体の挿入方向
A) 第1のハウジング部への接点インサートの嵌込み
B) 第1のハウジング部における第2のハウジング部の配置
C) 第1および第2のハウジング部の接続
【国際調査報告】