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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】局所製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/455 20060101AFI20230809BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230809BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230809BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A61K31/455
A61P35/00
A61P17/16
A61K9/10
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/34
A61Q17/04
A61K8/49
A61K8/34
A61K8/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505714
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2021071013
(87)【国際公開番号】W WO2022023348
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】2011605.9
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2106934.9
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523027876
【氏名又は名称】インキャンセラ(アールアンドディー)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC27
4C076DD38
4C076DD43
4C076DD59
4C076DD67
4C076EE27
4C076FF16
4C076FF34
4C076FF35
4C083AB051
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD201
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB46
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD31
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE17
4C083FF05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC19
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA10
4C086NA11
4C086ZA89
4C086ZB21
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド;一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー);及び10%以下の水を含む分散相、並びに2)連続相を含む局所製剤を対象とし、ここで、製剤は4.0を上回るpHを有する。本発明は、本発明に従う局所製剤を含む医薬組成物、療法において使用するための本発明に従う医薬組成物、及び化粧剤としての局所製剤の使用も対象とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに連続相
を含み、
4.0を上回るpHを有する
局所製剤。
【請求項2】
Pcエンハンサーが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及び1,5ペンタンジオール並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
Pcエンハンサーがプロピレングリコールである、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
ポリヒドロキシ酸が、グルコノラクトン、ガラクトース及びラクトビオン酸から選択される、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される、約0.5~約10%w/wのコエンハンサーを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
連続相が、
ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、並びに
メチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
下記の成分:トラネキサム酸、亜鉛塩、ポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩、ビタミンD、ビタミンDの誘導体及びビタミンDの代謝産物、例えばカルシポトリオールの1つ以上を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
サンブロッキング剤、サンスクリーニング剤又はそれらの組合せを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
請求項1から9に記載の製剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
療法において使用するための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法において使用するための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法が、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成する方法から選択される、請求項12に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
方法が1日1回又は1日2回の皮膚への塗布から本質的になる、請求項11から13のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
化粧剤としての、請求項1から9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアミドを含む局所製剤、本発明に従う局所製剤を含む医薬組成物、療法において使用するための本発明に従う医薬組成物、及び化粧剤としての局所製剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚がんは先進国世界におけるがんの最も一般的な形態であり、侵襲性黒色腫により生じる死亡は増加中である。UV光は皮膚に対して有害作用を有し、皮膚の正常な修復及び保護メカニズムを不活性化するように作用する。皮膚に有効に投薬されたニコチンアミドは、皮膚自体の自然修復メカニズムを再活性化することによってこの作用からの保護をもたらすことができたことが証拠により示唆されている。
【0003】
経口的に投与されたニコチンアミドは、第3相臨床試験において、光線(日光)角化症に対して有意な予防効果を有することが示され、その後、経口ニコチンアミドが、他のより生命を脅かす皮膚がん、例えば黒色腫を予防し得るという証拠が得られている。経口経路を介して投与される場合の皮膚へのニコチンアミドの投薬量は、確立された手順を使用して公知の血漿レベルから算出され得る。したがって、局所投薬で必要とされるニコチンアミドの投薬の標的レベルが、必要とされるフラックスの観点から、確立され得る。
【0004】
しかしながら、限局性皮膚疾患を標的とするための経口投薬には、副作用、例えば胃の不調、初回通過代謝により必要とされる比較的多量の活性剤及びバイオアベイラビリティの限定を含むいくつもの短所があることが問題となっている。
【0005】
経口的に投与されるニコチンアミドに取って代わる、ニコチンアミドを含む局所用組成物の提供は、非常に有益であろう。学術研究は、非常に高用量又は共溶媒システムを有する局所製剤を使用して、皮膚への比較的高いフラックスレベルのニコチンアミドを達成可能であることを以前に示した。しかし、そのような研究は、実践的なヒト使用又は商業的応用に完全に不適切である組成物によって特徴付けられた。皮膚がん予防の文脈において、臨床的に意義のあるニコチンアミドフラックスレベルを達成することができる良好な審美的特性を有する完全に製剤化された局所製品は、局所ニコチンアミド製品に関する長年の研究にもかかわらず、これまでのところ得られていない。治療的使用が意図されているあらゆる局所製品について、治療的利益を達成するためにコンプライアンスが決定的に重要であることは十分に確立されている。これは、製品が快適に使用でき、使用者の知覚による良好な審美的特性を有する場合に、達成される可能性が最も高い。
【0006】
太陽光線による損傷からの保護を提供することが意図されている現在の局所製品は、太陽光線保護指数(SPF)包含に主に依拠する。しかしながら、がん性皮膚状態を予防する際におけるそのような製品の有効性は、限定を有するとみなされる。更に、そのような製品は、多くの場合、使用するのが審美的に不快であり得、したがって保護を達成する上で決定的に重要であるコンプライアンスを促さない。満たされないニーズが残る。
【0007】
ニコチンアミドの局所投与は、望ましいが、現在まで成功していない。これは、適切な消費者受容性及び治療濃度のニコチンアミドを皮膚における標的部位に送達する能力を有する市販の製剤が、本発明の以前は利用可能でなかったためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、経口投薬で達成されるニコチンアミドレベルと同等のニコチンアミドの十分な血清及び/又は局部組織レベルを達成することができる、局所的に投与される製品を提供することが望ましい。局所製剤からの高度に有効な経皮ニコチンアミド送達が望ましい。加えて、そのような局所製剤が、典型的には最高級局所化粧品に関連する良好な審美的特性を有することに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は添付の請求項において定義される。
【0010】
第1の態様に従って、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに連続相
を含み、
4.0以上のpHを有する
局所製剤が提供される。
【0011】
第2の態様に従って、第1の態様に従う製剤を含む医薬組成物が提供される。
【0012】
第3の態様に従って、療法において使用するための、第2の態様に従う医薬組成物が提供される。
【0013】
第4の態様に従って、化粧剤としての、第1の態様に従う製剤の使用が提供される。
【0014】
本発明は、日光角化症に罹患している対象において皮膚黒色腫予防のための有効な局所製品を送達する及びそのようながんを以前に処置された対象において黒色腫の再発を予防する可能性を提供する。より広範には、この製剤は、太陽光線曝露に関連する異常な皮膚色素沈着、皮膚老化及び全般的な損傷に関する利益を提供することが期待されている。したがって、本発明は、化粧用組成物及び/又は医薬組成物において使用され得る局所製剤を対象とする。
【0015】
本発明のある特定の実施形態は、下記の利点の1つ以上を提供し得る:
- 考えられる副作用、例えば胃の不調の望ましい回避、
- 初回通過代謝及びバイオアベイラビリティの限定の望ましい迂回、
- コンプライアンスの望ましい容易さ、
- 太陽光線に曝露された組織及び病変の直接標的化、並びに
- 皮膚病変の直接処置。
【0016】
本発明の記述されている態様の任意の特定の1つ以上に関して提供される詳細、例及び優先傾向は、本発明のすべての態様に等しく当てはまる。本明細書で記載される実施形態、例及び優先傾向の、そのすべての考えられる変形形態におけるあらゆる組合せは、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈上別段明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ヒト皮膚における被験製剤からのNAM 0~24時間の透過プロファイルを示す図である。各データ点は平均±SD、n=6を表す。
図2】ヒト皮膚における被験製剤試験1、2及び3並びに市販の対照からのNAM 6~12時間の定常状態透過プロファイルを示す図である。各データ点は平均±SD、n=6を表す。cm2当たりの透過した質量単位は、ugでの質量をNAMの分子量である122.1で割ることにより図1から導出されたμmol/cm2であることに留意されたい。
図3】g/M2でのプロットされたNAM対経口用量のピーク血漿濃度μmol/mlのプロットを示す図である。
図4】ヒト皮膚における、被験製剤#2.2、#4.2、#6.2、並びに市販製品TDF、オレイ、ポーラチョイス及びソーラーケアB3からのNAM 0~24時間の透過プロファイルを示す図である。各データ点は平均±SD、n=6を表す。
図5】ヒト皮膚におけるプロピルグリコール又はブチルグリコールのいずれかを加えた製剤からのNAM 0~24時間の透過プロファイルを示す図である。各データ点は平均±SD、n=6を表す。
図6】本発明の製剤による処置前(左側パネル)及び処置後(右側パネル)の対象の上頬における光線角化症病変を示す画像である。参照マーキングは比較目的で前及び後の写真の両方において同定される。
図7】本発明の製剤による処置前(左側パネル)及び処置後(右側パネル)の対象の胸における基底細胞癌を示す画像である。参照マーキングは比較目的で前及び後の写真の両方において同定される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、上記で注記した通りの問題に対処する局所塗布のための有利な製剤を提供する。
【0019】
本発明は、ニコチンアミドを含む特許請求されている局所製剤が皮膚に有効に透過するという驚くべき知見に基づく。多くの例において、本発明の局所製剤は、経口的に投与される製剤と同等のバイオアベイラビリティを有することが示されている。加えて、本発明の局所製剤は、皮膚における製剤の快適な感触を提供する良好な審美的特性を有し得る。
【0020】
本発明により開示される主題は、本明細書全体を通して、具体的であるが非限定的な実施形態又は例によって例証される。各例は、本開示の説明として提供され、それに対する限定ではない。
【0021】
本明細書で使用される通りの方法又はプロセスステップのすべての組合せは、別段の指定がない限り又は参照される組合せが為される文脈に反することが明らかに暗示されているのでない限り、任意の順序で実施され得る。
【0022】
本明細書で使用される下記の用語は当業者によってよく理解されていると考えられるが、本発明により開示される主題の説明を容易にするように定義が明記されている。
【0023】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明により開示される主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0024】
長年の特許法条約に準拠し、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、請求項を含む本出願において使用される場合、「1つ以上」を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、質量、重量、時間、体積、濃度又はパーセンテージの値又は量を指す場合、指定量からの、一部の実施形態では±20%、一部の実施形態では±15%、一部の実施形態では±10%、一部の実施形態では±5%、一部の実施形態では±1%、一部の実施形態では±0.5%及び一部の実施形態では±0.1%の変動を包含することを意味する。何故ならそのような変動は開示される発明を実施するために適切であるからである。
【0026】
項目のすべてのリスト、例えば原料のリストは、マーカッシュ群として解釈されることが意図されており、そうされるべきである。故に、すべてのリストは、項目…の…リスト「からなる群から選択される」項目「並びにそれらの組合せ及び混合物」として読解及び解釈され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「を含む(comprises)」又は「を含む(comprising)」は、開放的な意味を有し、これは他の不特定の特徴が存在することを許容する。この用語は、半閉鎖的な用語「から本質的になる」及び閉鎖的な用語「からなる」を内包するがこれらに限定されない。文脈上別のことを指示するのでない限り、用語「を含む」は、「から本質的になる」又は「からなる」のいずれかで置きかえられてもよい。
【0028】
任意の従属請求項の特徴を、独立請求項又は他の従属請求項のいずれかの特徴と容易に組み合わせてもよい。任意の実施形態の特徴を、明示的に別のことを指すのでない限り、任意の他の実施形態の特徴と容易に組み合わせてもよい。
【0029】
二相
本発明の製剤は、製剤を調製するために親水性の水相/グリコール相及び主に疎水性の油相が混合されることを意味する「二相」を含むとみなされ得る。「二相」は、本開示の文脈において使用される場合、2つの異なった相を必ずしも指すとは限らず、存在する両親媒性(amphipathic)/両親媒性(amphiphilic)剤は界面で会合する傾向があるであろう。本開示に従う二相は、便宜上、「分散相」として定義される水相(水相/グリコール相)及び「連続相」として定義される油相と交換可能に構造用語で記載され得る。
【0030】
二相において、記載されているシステムは、製剤中に分散相を、約20%w/w~約60%w/w、又は約25%w/w~約50%w/w、又は約35%w/w~約40%w/wの量で含む。一部の実施形態では、分散相は製剤中に、約20%w/w、又は約30%w/w、又は約40%w/w、又は約50%w/w、又は約60%w/wの量で存在する。
【0031】
本発明の製剤は水相を含み、これは本明細書で分散相と称され得る。この相は、ニコチンアミド、分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)及び4以上のpHの水を含む。この相は、ポリヒドロキシ酸、弱酸及びコエンハンサーのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0032】
本発明の製剤は油相を含み、これは本明細書で連続相又はエモリエント相と称され得る。この相は、当技術分野において公知の好適な油又はエモリエント相成分から選択され得る。
【0033】
残留相
残留相は、油相の揮発性成分及びいくらかの水の蒸発後に皮膚に残っている成分の組合せである。活性又は治療剤を組み込んだ残留相組成物、特に水性/グリコール成分は、皮膚への送達を最大化する際に重要な役割を果たすと考えられている。理論に縛られることは望まないが、高濃度の成分及び組成物の性質は、浸透エンハンサー成分によって促進されて治療剤が皮膚に浸透するためにエネルギー的に好都合となるような、好都合な熱力学を付与すると考えられている。製剤の低含水量は好都合な残留相の迅速な形成を支持し、有効な残留相形成に向けて全製剤が有効に事前に加工される。
【0034】
ニコチンアミド
本発明の製剤は、活性剤としてニコチンアミドを含む。
【0035】
ニコチンアミドは水に可溶性であり、製剤の水相に存在し得る。一実施形態では、水相は不揮発性相と呼ばれる。
【0036】
ナイアシンアミドとしても公知のニコチンアミドは、IUPAC名ピリジン-3-カルボキサミドを有するビタミンB3の形態である。ニコチンアミドは本明細書でNAM(又はN)と略され得る。
【0037】
NAMの物理化学的特性
【0038】
【表1】
【0039】
本発明の製剤は5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミドを含む。本発明の製剤は約5~約12%w/wのニコチンアミドを含み得る。場合により、本発明の製剤は、約5.5~約11%w/w及び場合により6~10%w/wのニコチンアミド、又は6~12%w/wのニコチンアミド、8~10%w/wのニコチンアミドを含むことができる。製剤は、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12%w/wのニコチンアミド及び好ましくは約6、約8又は約10%w/wのニコチンアミドを含むことができる。本発明の製剤は5%w/w超のニコチンアミドを含み得る。本発明の製剤は、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w又は10%w/w超のニコチンアミドを含み得る。本発明の製剤は15%w/w未満のニコチンアミドを含み得る。本発明の製剤は、14%w/w、13%w/w、12%w/w、11%w/w又は10%w/w未満のニコチンアミドを含み得る。
【0040】
ニコチンアミドの水溶解度及び低含水量の要求により、快適に使用できる局所製剤を得ることは難題であることが分かっている。典型的には、高含油製剤は、粘つく又は脂っぽい及び使用するのが審美的に不快として認識され得る。ニコチンアミドの安定性も難題とされてきた。本発明者らは、pHを4超に制御することにより、安定なニコチンアミド製剤が得られ得ることを見出した。本発明者らは、記載されている通りの二相製剤が、快適に使用できる局所製剤を調製することを可能にすることも見出した。
【0041】
分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)
多くの場合「浸透エンハンサー」として記載される分配係数エンハンサーは、角質層への活性物の分配を増大させるため、それにより皮膚浸透を増大させるために使用される。浸透の増大は、皮膚バリアからの取り込み及びクリアランスによるPcエンハンサーの用量の関数である。
【0042】
本発明の製剤は、一般的なグリコール式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する約10~約60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)を含む。製剤は1つ以上のPcエンハンサーを含むことができる。Pcエンハンサーは水相に存在し得る。製剤は、15~50、20~45、20~50、25~45又は30~40%w/wのPcエンハンサーを含むことができる。本発明の製剤のための例示的なPcエンハンサーは、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及び1,5ペンタンジオール又はそれらの組合せを含む。実施形態では、製剤は、プロピレングリコール若しくはブチレングリコール又はプロピレングリコール及びブチレングリコールの組合せを含む。好ましい実施形態では、Pcエンハンサーはプロピレングリコールである。
【0043】
本発明において使用されるPcエンハンサーは、以下で例示されているプロピレングリコールと類似した構造を有し、一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]を有する。プロピレングリコール(n=3)、ブチレングリコール(n=4)、ペンチレングリコール(n=5、1,2ペンタンジオール)、1,5ペンタンジオール(n=5)及びヘキシレングリコール(n=6)は、同族列CnH2n+2O2である。そのような非常に類似した構造は同様に機能することが期待されるであろう。
【0044】
ポリヒドロキシ酸及び/又は弱酸
ラクトビオン酸及びグルコノラクトンに代表されるようなポリヒドロキシ酸は、非常に有効な皮膚保湿剤及び老化防止化合物であり{Algiert-Zielinskaら、2019、#18915;Grimesら、2004、#61971}、有意な皮膚刺激なしにこれらの効果を達成する{Tasic-Kostovら、2019、#60827}。基本的メカニズムは、例えばプロテアーゼ活性を阻害するための角質層深くまでの酸性化のものである。機能不全の角質層プロテアーゼ活性は、必須の角質層脂質の阻害に及び細胞間を連結するコルネオデスモソームに対する作用による角質層の完全性/凝集の低減にもつながる。これらの作用はニコチンアミドのものと完全に相補的である。
【0045】
本発明の製剤は1つ以上のポリヒドロキシ酸を含むことができる。存在する場合、1つ以上のポリヒドロキシ酸は製剤中に更なる活性剤を提供することができる。ポリヒドロキシ酸は水相に存在し得る。製剤は2~10%w/wのポリヒドロキシ酸を含むことができる。製剤は、2~9、2~7、2~5、3~5又は約4%w/wのポリヒドロキシ酸を含むことができる。本発明の製剤において使用され得るポリヒドロキシ酸は、グルコノラクトン、ガラクトノラクトン、グルクロノラクトン、ガラクツロノラクトン、グロノラクトン、リボノラクトン、サッカリン酸ラクトン、パントイルラクトン、グルコヘプトノラクトン、マンノノラクトン及びガラクトヘプトノラクトンを含み、2-ケト酸は遊離酸として存在する。製剤中のポリヒドロキシ酸は、グルコノラクトン、ガラクトース及びラクトビオン酸から選択され得る。一部の実施形態では、製剤中のポリヒドロキシ酸はラクトビオン酸である。一部の実施形態では、本発明に従う製剤はラクトビオン酸を含まない。
【0046】
本発明の製剤は、緩衝することを目的として又は追加の治療剤として、1つ以上の弱酸を含むこともできる。本発明に従う弱酸は、典型的には、部分的に解離する酸である。弱酸は水相に存在し得る。製剤は2~10%w/wの弱酸を含むことができる。製剤は、2~9、2~7、2~5、3~5又は約4%w/wの弱酸を含むことができる。本発明の製剤において使用され得る弱酸は天然フルーツ酸及びアルファヒドロキシ酸を含む。製剤中の弱酸は、アスコルビン酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸及びそれらの組合せから選択され得る。ポリヒドロキシ酸は、本開示の一部として弱酸ともみなされ得る。
【0047】
コエンハンサー
コエンハンサーを使用して、角質層バリア層を通る活性物の拡散性を増大させ、それにより皮膚浸透を増大させることができる。コエンハンサーは拡散係数エンハンサー(Dcエンハンサー)とも称され得る。皮膚バリアからの遅いクリアランスによると考えられるはるかに低い用量の拡散コエンハンサーが必要とされる(が飽和状態である)。
【0048】
実施形態では、本発明の製剤はコエンハンサーを更に含み得る。存在する場合、性質が両親媒性であるコエンハンサーは水相及び油相の両方において部分溶解度を呈することになり、二相における溶解度のバランスが重要であり、本明細書で選択される作用物質によって特徴付けられる。本発明の製剤は、C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される約0.5~約10%w/wのコエンハンサーを含むことができる。製剤は1つ以上のコエンハンサーを含むことができる。製剤は、0.5~7、0.5~6、0.5~5、1~5、1~4、2~4%w/wのPcエンハンサーを含むことができる。本発明の製剤のための例示的なコエンハンサーは、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、ラウリン酸(ドデカン酸)及びミリスチン酸(1-テトラデカン酸)を含む。
【0049】
本発明の製剤において使用されるコエンハンサーは概してC12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールであり、いずれも以下で例示されている1-テトラデカノールと非常に類似した構造を有し、故に、いずれも1-テトラデカノールの溶解度と類似したプロピレングリコール(及び本明細書で使用される他のPcエンハンサー)への低溶解度を有する。したがって、それらは同様に機能することも期待されるはずである。より詳細には、C6~C18直鎖脂肪酸及びC6~C18直鎖第一級アルコールはコエンハンサー活性に関連することが公知である。本発明では、C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールは、式CnH(2n+2)O2のPcエンハンサーへのそれらの溶解度により使用される。コエンハンサーの溶解度は、それらが溶液中で必要とされる濃度を達成すること及び飽和又は飽和付近であることを可能にする。コエンハンサーが飽和又は飽和付近であるというこの要件は、コエンハンサーとしてのその効率の一次決定因子である。
【0050】
一部の実施形態では、本発明に従う製剤はコエンハンサーを実質的に含まない。一部の実施形態では、本発明に従う製剤はミリスチルアルコールを実質的に含まない。これらの実施形態では、「を実質的に含まない」は、コエンハンサーが本発明に従う製剤中に、0.4%w/w未満、又は0.3%w/w未満、又は0.2%w/w未満、又は0.1%w/w未満、又は0.5%w/w未満、又は0.25%w/w未満の量で存在することを意味すると理解される。
【0051】
分散相
本発明の製剤は水を含むことができる。一部の実施形態では、分散相中の水の量は約10%w/w以下である。一部の例では、分散相中の水の量は、約10%w/w以下、9%w/w以下、8%w/w以下、7%w/w以下、6%w/w又は5%w/w以下である。水は分散相中に概して約5%w/w~約10%w/wの量で存在する。一部の実施形態では、最終製剤中の水の量は、約6%w/w以下、5%w/w以下、4%w/w以下、3%w/w以下、2%w/w以下、1%w/w以下、0.5%w/w以下である。水は最終製剤中に概して約1%w/w~約5%w/wの量で存在する。
【0052】
本発明の低含水量製剤は、治療剤送達のために好都合な熱力学を有する有効な残留相を送達するように作用すると考えられている。高含油量という潜在的な欠点は、本発明においては、快適な使用中及び使用後の特性を有するクリームを生成し、コンプライアンスを促すための油相組成物の慎重な設計によって克服されている。
【0053】
本開示の文脈において、水を含む相を、「水相」、「水相/グリコール相」又は「分散相」と称する。
【0054】
連続相
本発明の製剤は連続相を含む。この相は、当技術分野において公知の好適な油又はエモリエント相から選択され得る。連続相は「疎水性相」又は「油相」と称され得る。
【0055】
実施形態では、連続相は主に疎水性の成分を含む。一部の実施形態では、疎水性成分は、シリコーンエラストマー、鉱物油及び植物油のうちの1つ以上から選択され得る。
【0056】
実施形態では、油相は、ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、並びにメチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物を含む相であり得る。
【0057】
第1のジメチコンマクロマー混合物はポリグリコールジメチコンマクロマーを含むことができる。第1のジメチコンマクロマー混合物は下記の構造の化合物:
【0058】
【化1】
[式中、Rは、H又はヒドロカルビル基、特にC1~C6アルキルを表し、Yは、ヒドロカルビル基、特にC1~C6アルキル基を表し、Xは、アミン、第四級アミノ基又は酸官能基を表し、M及びnは独立して1から50までの整数を表す]
を含むことができる。
【0059】
第1のジメチコンマクロマー混合物は、1000超(典型的には2000超)の数平均分子量を有するジメチコンマクロマー及び500未満の数平均分子量を有するヒドロカルビルメチルシロキサン(概してアルキルメチルシロキサン)を含むことができる。
【0060】
第1のジメチコンマクロマー混合物は、ポリアルキレンオキシド化合物(概して、ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー)と架橋された又はジエンと架橋されたポリグリコールジメチコンマクロマーを含むことができる。
【0061】
第1のジメチコンマクロマー混合物は、PEGジメチコンPPGクロスポリマー、好ましくはPEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー及びPEGジメチコンビス-イソアルキルPPGクロスポリマーからなる群から選択されるポリグリコールジメチコンマクロマーを含むことができる。
【0062】
第1のジメチコンマクロマー混合物は、ジメチコン主鎖からの1つ以上のペンダント基を含むポリグリコールジメチコンマクロマーを含むことができ、前記ペンダント基はポリアルキレンオキシド基(概して、ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー)である。
【0063】
場合により、ポリグリコールジメチコンマクロマーは、ジメチコン主鎖からのポリエチレングリコールペンダント基及びポリプロピレングリコールペンダント基を含む。
【0064】
一実施形態では、製剤は第1のジメチコンマクロマー混合物中にピロリドンカルボン酸官能化ジメチコンマクロマーを含む。
【0065】
製剤は、5~45%w/w、典型的には10~40%w/w、概して20~30%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物を含むことができる。
【0066】
第1のジメチコンマクロマー混合物は、5~30%w/w、典型的には10~20%w/w、概して12~19%w/wのポリグリコールジメチコンマクロマーを含む。
【0067】
第2のジメチコンマクロマー混合物は、1000未満の数平均分子量を有するメチルシロキサン化合物及び1000超、概して2000超の数平均分子量を有する架橋ポリアルキルシロキサンジオールジメチコンマクロマーを含むことができる。
【0068】
製剤は、5~45%w/w、典型的には10~40%w/w、概して20~30%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物を含むことができる。
【0069】
第2のジメチコンマクロマー混合物は、5~30%w/w、典型的には10~20%w/w、概して12~19%w/wの架橋ジメチコンマクロマーを含むことができる。
【0070】
油相、第1のジメチコンマクロマー混合物、第2のジメチコンマクロマー混合物並びに第1及び第2のジメチコンマクロマー混合物の更なる特徴が、参照により本明細書に組み込まれるWO2016/139471に記載されている。
【0071】
pH
本発明の製剤は4以上のpHを有する。本発明の製剤のpHは、約4.0から約8.0まで、又は約4.5から約7.5まで、又は約5.0から約7.0まで、又は約5.0から約6.0まで、又は約5.0から約5.5までの範囲内であり得る。実施形態では、製剤は約4.0から約6.0までの範囲内のpHを有する。製剤は、約4.0、4.5又は5.0よりも大きいpHを有し得る。製剤は、約6.0、5.5又は5.0未満のpHを有し得る。本発明に従う製剤は、標準的なpHプローブ、例えばP-10 Sentek pH電極又はSentek P-11電極を使用して測定され得る。
【0072】
間のpHを4.0超に制御することは本発明の製剤の安定性に寄与することが本発明者らによって見出された。例えば、pH=3.8の製剤は、pH=4.5の製剤と比較して、ニコチンアミドについて有意に劣る安定性プロファイルを見せることが観察された。
【0073】
製剤の更なる特徴
一実施形態では、本発明の製剤は、下記の成分:トラネキサム酸、亜鉛塩、ポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩、ビタミンD、ビタミンDの誘導体及びビタミンDの代謝産物、例えばカルシポトリオール(calcipotirol)のうちの1つ以上を含まない。
【0074】
実施形態では、本発明の製剤はトラネキサム酸を含まない。
【0075】
実施形態では、本発明の製剤は亜鉛塩を含まず、場合により、製剤はポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩を含まない。
【0076】
実施形態では、本発明の製剤はカンナビジオールを含まない。
【0077】
実施形態では、本発明の製剤は、ビタミンDも、ビタミンDの誘導体も、ビタミンDの代謝産物も含まない。一部の実施形態では、本発明の製剤はカルシポトリオールを含まない。
【0078】
実施形態では、製剤はサンブロッキング剤を含む。一部の実施形態では、サンブロッキング剤はサンスクリーン剤とも称され得、これはSPF評定に追加され得る。一部の実施形態では、サンブロッキング剤は、物理的作用物質、化学的作用物質又はそれらの混合物であり得る。
【0079】
一実施形態では、本発明は、
5~12%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、
C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される約0.5~約10%w/wの拡散係数エンハンサー(Dcエンハンサー)、及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに
ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、及び
メチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物
を含む連続相
を含む局所製剤を提供する。
【0080】
一実施形態では、本発明は、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸及び/又は弱酸、
10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)プロピレングリコール
及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに連続相
を含み、4.0~6.0の範囲内のpHを有する
局所製剤を提供する。
【0081】
一実施形態では、本発明は、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)プロピレングリコール、
10~30%w/wの微粒子サンスクリーン/サンブロック、
1~5%w/wの皮膚の完全性エンハンサーリノール酸、
及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに
30~70%のカプリリルメチコン、PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー、シクロペンタシロキサン、ジメチコンクロスポリマー及びトリシロキサンのブレンド
を含む連続相
を含み、
5.0~7.0の範囲内のpHを有する
局所製剤を提供する。
【0082】
一実施形態では、本発明は、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
2~10%w/wのアルファヒドロキシ酸乳酸、
10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)プロピレングリコール、
及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに
10~30%w/wのサンスクリーン
も含む連続相を含み、
4.0を上回るpHを有する
局所製剤を提供する。
【0083】
一実施形態では、本発明は、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)プロピレングリコール、
1~5%w/wのパルミトイルペンタペプチド老化防止剤、
1~5%w/wのn-アセチルグルコサミン皮膚の完全性エンハンサー、
5~20%w/wの微粒子サンスクリーン/サンブロック、
及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに連続相
を含み、
4.0を上回るpHを有する
局所製剤を提供する。
【0084】
一実施形態では、本発明は、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)プロピレングリコール、
1~5%w/wのパルミトイルペンタペプチド老化防止剤、
及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに
5~50%w/wのジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、イソデカン、コハク酸ジヘプチル及びカプリロイルグリセリン/セバシン(serbacic)酸コポリマーのブレンド
も組み込む連続相
を含み、
4.0を上回るpHを有する
局所製剤を提供する。
【0085】
一実施形態では、本発明は、
5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)プロピレングリコール、
10~30%w/wの微粒子サンスクリーン/サンブロック、
1~5%w/wの皮膚の完全性エンハンサーリノール酸、
1~5%w/wのパルミトイルペンタペプチド老化防止剤、
及び
10%以下の水
を含む分散相、
並びに
30~70%のカプリリルメチコン、PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー、シクロペンタシロキサン、ジメチコンクロスポリマー及びトリシロキサンのブレンド
を含む連続相を含み、
5.0~7.0の範囲内のpHを有する
局所製剤を提供する。
【0086】
本発明の製剤のエンハンサー実施形態の根拠
本発明は、一部には、皮膚への局所塗布のためのエンハンサー製剤におけるニコチンアミドの最初の提供に基づく。製剤は、一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有するニコチンアミド、浸透又は分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)を含む。C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択されるコエンハンサーが局所製剤に含まれていてもよい。概して、製剤は5~12%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミドを含む。概して、製剤は10~60%w/wのPcエンハンサーを含む。概して、製剤は、存在する場合、約0.5~約10%w/wのコエンハンサーを含む。
【0087】
製剤は水を含む。概して、製剤は約10%w/w以下の水を有する。概して、水相は約10%w/w以下の水を有する。
【0088】
製剤はポリヒドロキシ酸も含み得る。概して、製剤は、存在する場合、2~10%w/wのポリヒドロキシ酸を有する。
【0089】
製剤はトラネキサム酸を含まないことが想定される。製剤は亜鉛塩を含まない、例えば、製剤はポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩を含まないことも想定される。製剤は、ビタミンD、ビタミンDの誘導体、ビタミンDの代謝産物、例えばカルシポトリオールを含まないことが想定される。
【0090】
本発明は本発明の製剤の驚くべき及び有益な特性に基づき、これは、皮膚がんを予防する及び/若しくは処置することを目的として又は化粧剤として使用するために、局所製剤を皮膚に塗布することを可能にする。
【0091】
エンハンサーシステムにおけるニコチンアミドの本発明の製剤は、皮膚がんの予防及び/又は処置を示す実験においてニコチンアミドの経口送達を介して以前に達成されたニコチンアミド送達レベルと一致する、局所製剤から皮膚へのニコチンアミドのフラックスを達成するように慎重に設計されてきた。本発明の製剤を用いてヒト皮膚へのニコチンアミドの必要とされるレベルのフラックスを達成するという実証を以下に記載する。ニコチンアミドの本発明の製剤は、製剤中に臨床的に意義のある用量のニコチンアミド、すなわち、5~15%w/w、又は5~12%w/w、又は6~10%w/wのニコチンアミドを加えたこの送達レベルのニコチンアミドを達成するように設計されてきた。ニコチンアミドの本発明の製剤は、審美的に許容され、長期使用が許容され患者コンプライアンスがより容易に達成されるような使用中の良い感触を有する製剤の文脈で、この送達レベルのニコチンアミドを達成するように設計されてきた。
【0092】
局所塗布後に本明細書で必要とされるのと類似のレベルで皮膚へのニコチンアミドのフラックスを達成するとされる、以前に報告された実験的製剤は、はるかに高いレベルのニコチンアミドを含有し、それにより臨床的に意義のある用量でないか、又はヒト皮膚における長期使用に許容できない溶媒を含有し、故に販売できる製品となることができないかのいずれかであることに留意すべきである。加えて、以下で記載する通り、本発明の製剤は、驚くほど良好な臨床効果を示すことが実証されている。
【0093】
ニコチンアミドは水溶性成分であるため、本発明において論じられている利益がある望ましい低水局所製剤を達成することが難題を提起すると当技術分野において公知である。本発明者らは、記載されている通りの二相局所システムにおける少量の水中のニコチンアミドの組合せが、優れた送達特性の組合せ及び加えて製剤の良好な審美的特性につながることを見出した。理論に縛られることは望まないが、連続相の好都合な美観を通して、二相システムの組成物は、製剤を使用する対象/患者からのコンプライアンスを促すと考えられる。同時に、Pcエンハンサー、例えばプロピレングリコール及び活性剤ニコチンアミドを含む比較的濃縮された水相は、その加工された組成物を通して、送達の強化のために好都合な熱力学的特性を有する有効な「残留相」を生じさせる。批判的に言えば、ニコチンアミドがそのような製剤中で安定なままであり、組成物全体が稠度及び外観に関して安定なままであるpH範囲を確立することも、重要な要素として見られる。特性のこの組合せは、良好な安定性、コンプライアンスを促す使用中及び使用後の好都合な特性、並びに塗布時の皮膚へのニコチンアミドの高度に有効な送達を有する製剤を生成する。皮膚への移動のこの効率は、特に、Pcエンハンサーとしてプロピレングリコールを使用する場合に見られる。
【0094】
エンハンサー局所製剤
エンハンサー局所皮膚科用薬送達技術は、フィックの拡散の第一法則に基づき、分配/浸透及び拡散係数エンハンサーの組合せの使用として定義され得る。最適な有効性のために、活性薬物及び拡散係数エンハンサーの両方が、不揮発性相、故に残留相において飽和又は飽和付近の溶解度となるべきである。それ自体は単相である不揮発性コエンハンサー残留相、揮発性溶媒を含む単相溶液システムとして製剤化され、好適なセルロース又はアクリレートポリマーでゲル化されたコエンハンサーゲルが周知であり、例えば、Reckitt Benckiser HealthcareのWO2011/070318A2及びFutura Medical DevelopmentsのUS8,541,470において記載されている。
【0095】
それらの有意な薬物送達の利益にもかかわらず、コエンハンサー製剤、例えばWO2011/070318A2及びUS8,541,470において記載されているものは、不十分な擦り込み及び皮膚の感触に関連し、粘性(tackyness)及び皮膚の乾燥に関連する。そのような局所皮膚科用医薬品への順守は残念ながら低い。米国の皮膚科医Steven Feldman博士は、Practical Dermatologyの2018年2月版において、局所皮膚科用薬への順守は概して「悲惨」であると結論付けた。
【0096】
英国特許出願第GB2549418号「ジメチコンマクロマーを含む局所製剤」は、すべての製剤設計に関連する順守要因に対処すること、それにより局所皮膚科用処置への順守を改善することを狙いとする局所製剤技術を記載している。
【0097】
本発明の製剤は、このように油成分を含有するという定義によって審美的な理由でゲルよりもむしろクリームであることが必要とされたことから、また、このように強化効果を阻害するために油が拡散係数エンハンサーを過剰に可溶化しないことが必要とされたことからも、選択される油クラスは、GB2549418において記載されている通りのシリコーンハイブリッド化学のものであった。このクラス及びシリコーン流体の化学的性質は概して、典型的なグリコール分配係数エンハンサーと混和性ではないような性質のものである(例えば総製剤の典型的には20~40%w/wのプロピレングリコール)ことから、これらの設計要件が二相設計を強要する。
【0098】
クリームの水相
本発明の製剤において、水分散相は混和性機能分配(グリコール、例えばプロピレングリコール)-及び場合により拡散係数-エンハンサーを含む。活性薬物及び拡散係数エンハンサーの両方が飽和又は飽和付近の溶解度であることを確実にするために、他の混和性不揮発性共溶媒を添加してもよい。「揮発性」溶媒又は非溶媒として水を最大10%w/wまで添加してもよい。水は揮発性であるが、その極性により、グリコール優勢の「不揮発性」相に分配するであろう。
【0099】
クリームの油相
シリコーンベースの連続相は、典型的には異なる揮発度;大まかに急速、中間及び持続の3つのシリコーン流体のブレンドを含む。典型的なシリコーン流体は、大まかにそれぞれ10~60秒、15~30分及び1~2時間の範囲内の蒸発半減期を有する、オクタメチルトリシロキサン、シクロペンタシロキサン及びハイブリッドエモリエントカプリリルメチコンである。カプリリルメチコンは、連続相の一部であってもよく、1日2回の塗布と一致する蒸発率を持っていてもよい。拡散係数エンハンサー、典型的にはC12~14酸又はC14アルコールは、この化学を理由としてグリコール及びシリコーン相の間で分配することになり、理想的には両方において飽和となる。
【0100】
クリームの構造化
クリームは、水性/グリコール-イン-シリコーン/油分散体として構造的に定義され得、故に、典型的にはPEG-12ジメチコン/PPG-20型クロスポリマーの使用により疎水性油/シリコーン流体中に分散された水相/グリコール相の液滴を用いる。典型的には、最終クリームの粘度(手触りの軽さ)を改変するためにジメチコンクロスポリマーも添加されるであろう。皮膚への塗布時、消費者は混合されたシリコーンエラストマー-シリコーン流体/油連続相の柔らかく絹のような皮膚の感触を経験する。揮発性シリコーンの喪失が急速に起こって、皮膚への吸収の知覚を得る。
【0101】
製剤を製造するための一般的なプロセス
要約すると、本発明の製剤の製造は、ニコチンアミド、Pcエンハンサー及び水、場合によりポリヒドロキシ酸、並びに最後に存在する場合コエンハンサーを含む第1のプレミックスの調製を含む。第1のプレミックスは製剤の水分散相を表す。成分を一緒に混合し、ポリヒドロキシ酸及びコエンハンサーが存在する場合は、ポリヒドロキシ酸及びコエンハンサーが溶解することを確実にするために、穏やかに加熱(35℃超)してもよい。第2のプレミックスは油連続相の成分を含み、油相の更なる成分に添加され、一緒に混合される。水相/グリコール相の成分を含む第1のプレミックスを、連続相の成分を含む第2のプレミックスに、硬いクリームが形成されるまでゆっくりと及び激しく混合しながら添加する。
【0102】
製剤を使用する処置
本発明は、皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法であって、本発明の製剤の皮膚への局所塗布を含む方法を提供する。
【0103】
本発明は、療法において使用するための本発明の製剤を提供する。本発明は、皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法において使用するための本発明の製剤も提供する。本発明は、皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法において使用するための、局所塗布のための本発明の製剤を提供する。
【0104】
本発明は、皮膚がんの予防及び/又は処置のための医薬の製造における本発明の製剤の使用も提供する。
【0105】
本発明は、皮膚がんを予防する又は処置するための、本発明の製剤を含む医薬組成物も提供する。
【0106】
予防又は処置される皮膚がんは、光線(日光)角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択され得る。
【0107】
したがって、本発明は、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成するための、i)方法を提供する、ii)方法において使用するための製剤を提供する、iii)医薬の製造における製剤の使用を提供する、及び/又はiv)製剤を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
製剤の利益は、1日1回又は2回皮膚に塗布されることだけが必要となり得、故に、方法が1日1回又は2回の皮膚への塗布を含み得る、それから本質的になり得る又はそれからなり得ることである。
【0109】
製剤は皮膚への局所塗布のためのものである。皮膚はヒト皮膚であると想像される。
【0110】
ある特定の実施形態では、局所製剤及び/又は医薬組成物は、下記の効果のうちの1つ以上を有し得る:
- ニコチンアミドを含む安定な局所製剤、
- 皮膚へのニコチンアミドの良好な移動、
- 審美的に心地良い製剤、
- 快適に使用できる製剤、
- 太陽光線からの保護、
- 処置される部位へのニコチンアミドの効率的な送達、
- 皮膚がんの有効な処置、及び
- 皮膚病変の有効な処置。
【0111】
本開示は下記の段落の1つ以上によって記載され得る。
【0112】
A. 局所塗布のための並びに皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法において使用するための製剤であって、
5~12%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、
C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される約0.5~約10%w/wの拡散係数エンハンサー(Dcエンハンサー)、及び
10%以下の水
を含む不揮発性残留相、
並びに
ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、及び
メチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物
を含むエモリエント相
を含む製剤。
【0113】
B. 5.5~11%w/w及び場合により6~10%w/wのニコチンアミドを含む段落Aに従う使用のための製剤。
【0114】
C. Pcエンハンサーが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及び1,5ペンタンジオール並びにそれらの組合せからなる群から選択される、段落A又はBに従う使用のための製剤。
【0115】
D. 15~50、20~45、25~45又は30~40%w/wのPcエンハンサーを含む段落A~Cのいずれか1つに従う使用のための製剤。
【0116】
E. Dcエンハンサーが、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、ミリスチン酸及びラウリン酸(ドデカン酸)からなる群から選択される、先行する段落のいずれか1つに従う使用のための製剤。
【0117】
F. Dcエンハンサーが製剤の0.5~5、1~5、2~4%w/w(重量/重量パーセンテージ)である、先行する段落のいずれか1つに従う使用のための製剤。
【0118】
G. 2~9、2~7、2~5、3~5又は約4%w/wのポリヒドロキシ酸を含む、先行する段落のいずれか1つに従う使用のための製剤。
【0119】
H. ポリヒドロキシ酸が、グルコノラクトン、ガラクトース及びラクトビオン酸から選択される、先行する段落のいずれか1つに従う使用のための製剤。
【0120】
I. 第1のジメチコンマクロマー混合物がポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0121】
J. 第1のジメチコンマクロマー混合物が下記の構造の化合物:
【0122】
【化2】
[式中、Rは、H又はヒドロカルビル基、特にC1~C6アルキルを表し、
Yは、ヒドロカルビル基、特にC1~C6アルキル基を表し、
Xは、アミン、第四級アミノ基又は酸官能基を表し、
M及びnは独立して1から50までの整数を表す]
を含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0123】
K. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、1000超(典型的には2000超)の数平均分子量を有するジメチコンマクロマー及び500未満の数平均分子量を有するヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエント(概してアルキルメチルシロキサン)を含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0124】
L. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、ポリアルキレンオキシド化合物(概して、ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー)と架橋された又はジエンと架橋されたポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0125】
M. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、PEGジメチコンPPGクロスポリマー、好ましくはPEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー及びPEGジメチコンビス-イソアルキルPPGクロスポリマーからなる群から選択されるポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、段落Lに従う使用のための製剤。
【0126】
N. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、ジメチコン主鎖からの1つ以上のペンダント基を含むポリグリコールジメチコンマクロマーを含み、前記ペンダント基がポリアルキレンオキシド基(概して、ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー)である、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0127】
O. ポリグリコールジメチコンマクロマーが、ジメチコン主鎖からのポリエチレングリコールペンダント基及びポリプロピレングリコールペンダント基を含む、段落Nに従う使用のための製剤。
【0128】
P. ピロリドンカルボン酸官能化ジメチコンマクロマーを含む、段落J~Oのいずれか1つに従う使用のための製剤。
【0129】
Q. 5~45%w/w、典型的には10~40%w/w、概して20~30%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物を含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0130】
R. 第2のジメチコンマクロマー混合物が、1000未満の数平均分子量を有するメチルシロキサン化合物及び1000超、概して2000超の数平均分子量を有する架橋ポリアルキルシロキサンジオールジメチコンマクロマーを含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0131】
S. 5~45%w/w、典型的には10~40%w/w、概して20~30%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物を含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0132】
T. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、5~30%w/w、典型的には10~20%w/w、概して12~19%w/wのポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0133】
U. 第2のジメチコンマクロマー混合物が、5~30%w/w、典型的には10~20%w/w、概して12~19%w/wの架橋ジメチコンマクロマーを含む、いずれかの先行する段落で具現化される通りの使用のための製剤。
【0134】
V. トラネキサム酸を含まない、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0135】
W. 亜鉛塩を含まず、場合により、ポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩を含まない、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0136】
X. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択される、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0137】
Y. 皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法が、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成する方法から選択される、先行する段落のいずれかに従う使用のための製剤。
【0138】
Z. 方法が1日1回又は1日2回の皮膚への塗布からなる、先行する段落のいずれか1つの使用のための製剤。
【0139】
AA. 皮膚がんの予防及び/又は処置のための医薬の製造における製剤の使用であって、製剤が
a.
i. 5~12%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
ii. 2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
iii. 一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、
iv. C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される約0.5~約10%w/wの拡散係数エンハンサー(Dcエンハンサー)、及び10%以下の水
を含む不揮発性残留相、
b.並びに
i. ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、及び
ii. メチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物
を含むエモリエント相
を含む使用。
【0140】
BB. 製剤が段落B~Wにおいて更に定義される通りである、段落AAに従う使用。
【0141】
CC. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択される、段落AAに従う使用。
【0142】
DD. 皮膚がんの予防及び/又は処置が、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成する方法から選択される、段落AAに従う使用。
【0143】
EE. 処置すること及び/又は予防することが、1日1回又は1日2回のヒト皮膚への塗布からなる、段落AA~DDのいずれか1つに従う使用。
【0144】
FF. 皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法であって、
a.
i. 5~12%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
ii. 2~10%w/wのポリヒドロキシ酸、
iii. 一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、
iv. C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される約0.5~約10%w/wの拡散係数エンハンサー(Dcエンハンサー)、及び10%以下の水
を含む不揮発性残留相、
b.並びに
i. ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、及び
メチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物
を含むエモリエント相
を含む製剤の皮膚への局所塗布を含む方法。
【0145】
GG. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫からなる群から選択される、段落FFに従う方法。
【0146】
HH. 予防すること及び/処置することが、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成する方法からなる群から選択される、段落FFに従う方法。
【0147】
II. 方法が1日1回又は2回の皮膚への塗布からなる、段落FFに従う方法。
【0148】
JJ. 皮膚がヒト皮膚である、段落FFに従う方法。
【0149】
KK. 製剤が5.5~11%w/w及び場合により6~10%w/wのニコチンアミドを含む、段落FFに従う方法。
【0150】
LL. Pcエンハンサーが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及び1,5ペンタンジオール並びにそれらの組合せからなる群から選択される、段落FFに従う方法。
【0151】
MM. 製剤が、15~50、20~45、25~45又は30~40%w/wのPcエンハンサーを含む、段落FFに従う方法。
【0152】
NN. Dcエンハンサーが、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、ミリスチン酸及びラウリン酸(ドデカン酸)からなる群から選択される、段落FFに従う方法。
【0153】
OO. Dcエンハンサーが製剤の0.5~5、1~5、2~4%w/w(重量/重量パーセンテージ)である、段落FFに従う方法。
【0154】
PP. 製剤が、2~9、2~7、2~5、3~5又は約4%w/wのポリヒドロキシ酸を含む、段落FFに従う方法。
【0155】
QQ. ポリヒドロキシ酸が、グルコノラクトン、ガラクトース及びラクトビオン酸から選択される、段落FFに従う方法。
【0156】
RR. 第1のジメチコンマクロマー混合物がポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0157】
SS. 第1のジメチコンマクロマー混合物が下記の構造の化合物:
【0158】
【化3】
[式中、Rは、H又はヒドロカルビル基、特にC1~C6アルキルを表し、
Yは、ヒドロカルビル基、特にC1~C6アルキル基を表し、
Xは、アミン、第四級アミノ基又は酸官能基を表し、
M及びnは独立して1から50までの整数を表す]
を含む、段落FFに従う方法。
【0159】
TT. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、1000超(典型的には2000超)の数平均分子量を有するジメチコンマクロマー及び500未満の数平均分子量を有するヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエント(概してアルキルメチルシロキサン)を含む、段落FFに従う方法。
【0160】
UU. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、ポリアルキレンオキシド化合物(概して、ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー)と架橋された又はジエンと架橋されたポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0161】
VV. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、PEGジメチコンPPGクロスポリマー、好ましくはPEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー及びPEGジメチコンビス-イソアルキルPPGクロスポリマーからなる群から選択されるポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0162】
WW. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、ジメチコン主鎖からの1つ以上のペンダント基を含むポリグリコールジメチコンマクロマーを含み、前記ペンダント基がポリアルキレンオキシド基(概して、ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー)である、段落FFに従う方法。
【0163】
XX. ポリグリコールジメチコンマクロマーが、ジメチコン主鎖からのポリエチレングリコールペンダント基及びポリプロピレングリコールペンダント基を含む、段落FFに従う方法。
【0164】
YY. ピロリドンカルボン酸官能化ジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0165】
ZZ. 5~45%w/w、典型的には10~40%w/w、概して20~30%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物を含む、段落FFに従う方法。
【0166】
AAA. 第2のジメチコンマクロマー混合物が、1000未満の数平均分子量を有するメチルシロキサン化合物及び1000超、概して2000超の数平均分子量を有する架橋ポリアルキルシロキサンジオールジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0167】
BBB. 5~45%w/w、典型的には10~40%w/w、概して20~30%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物を含む、段落FFに従う方法。
【0168】
CCC. 第1のジメチコンマクロマー混合物が、5~30%w/w、典型的には10~20%w/w、概して12~19%w/wのポリグリコールジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0169】
DDD. 第2のジメチコンマクロマー混合物が、5~30%w/w、典型的には10~20%w/w、概して12~19%w/wの架橋ジメチコンマクロマーを含む、段落FFに従う方法。
【0170】
EEE. 製剤がトラネキサム酸を含まない、段落FFに従う方法。
【0171】
FFF. 製剤が亜鉛塩を含まず、場合により、製剤がポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩を含まない、段落FFに従う方法。
【0172】
本開示は下記の段落の1つ以上によっても記載され得る。
【0173】
a.
i. 5~15%w/w(重量/重量パーセンテージ)のニコチンアミド、
ii. 一般式:CnH2n+2O2[式中、nは境界を含めて3から6までの整数を表す]の構造を有する10~60%w/wの分配係数エンハンサー(Pcエンハンサー)、
iii. 及び
iv. 10%以下の水
を含む水相、
並びに油相
を含み、
4.0~6.0の範囲内のpHを有する
局所製剤。
【0174】
b. 5~12%w/w、5.5~11%w/w及び場合により6~10%w/wのニコチンアミドを含む、段落aに従う製剤。
【0175】
c. Pcエンハンサーが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及び1,5ペンタンジオール並びにそれらの組合せからなる群から選択される、段落a又は段落bに従う製剤。
【0176】
d. 15~50%w/w、20~45%w/w、25~45%w/w又は30~40%w/wのPcエンハンサーを含む、段落a~cのいずれか1つに従う製剤。
【0177】
e. C12~C14直鎖脂肪酸及びC14直鎖第一級アルコールからなる群から選択される約0.5~約10%w/wの拡散係数エンハンサー(Dcエンハンサー)を更に含み、
場合により、Dcエンハンサーが、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、ミリスチン酸及びラウリン酸(ドデカン酸)からなる群から選択される、
先行する段落のいずれか1つに従う製剤。
【0178】
f. Dcエンハンサーが製剤の0.5~5、1~5、2~4%w/w(重量/重量パーセンテージ)である、段落eに従う製剤。
【0179】
g. 2~10%w/wのポリヒドロキシ酸を更に含み、
場合により、2~9、2~7、2~5、3~5又は約4%w/wのポリヒドロキシ酸を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【0180】
h. ポリヒドロキシ酸が、グルコノラクトン、ガラクトース及びラクトビオン酸から選択される、段落gに従う製剤。
【0181】
i. 製剤の油相が、
ジメチコンマクロマーと、アルキルメチルシロキサン、アリールメチルシロキサン及びアルキルアリールメチルシロキサンからなる群から選択されるヒドロカルビルメチルシロキサンエモリエントとを含む5~45%w/wの第1のジメチコンマクロマー混合物、並びに
メチルシロキサン化合物及び架橋ジメチコンマクロマーを含む5~45%w/wの第2のジメチコンマクロマー混合物
を含むエモリエント相である、先行する段落のいずれか1つに従う製剤。
【0182】
j. トラネキサム酸を含まない、先行する段落のいずれかに従う製剤。
【0183】
k. 亜鉛塩を含まず、場合により、ポリヒドロキシ酸の共役塩基の亜鉛塩を含まない、先行する段落のいずれかに従う製剤。
【0184】
l. 療法において使用するための、段落a~kのいずれかに従う製剤。
【0185】
m. 皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法において使用するための、段落a~kのいずれかに従う製剤。
【0186】
n. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択される、段落mの使用のための製剤。
【0187】
o. 皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法が、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成する方法から選択される、段落mの使用のための製剤。
【0188】
p. 方法が1日1回又は1日2回の皮膚への塗布から本質的になる、段落l~oのいずれか1つの使用のための製剤。
【0189】
q. 皮膚がヒト皮膚である、段落l~oのいずれか1つの使用のための製剤。
【0190】
r. 段落aの製剤の皮膚への局所塗布を含む、皮膚がんを予防する及び/又は処置する方法。
【0191】
s. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫からなる群から選択される、段落rに従う方法。
【0192】
t. 皮膚がんを予防する及び/又は処置するための医薬の製造における、段落a~kのいずれかに従う製剤の使用。
【0193】
u. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択される、段落tに従う使用。
【0194】
v. 皮膚がんを予防する及び/又は処置するための、段落a~kに従う製剤を含む医薬組成物。
【0195】
w. 皮膚がんが、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択される、段落vに従う医薬組成物。
【実施例
【0196】
6~10%ニコチンアミドの例示的な製剤を作製するための方法の例
【0197】
【表2】
【0198】
プロセス:
500g実験室スケールで、2つのプレミックスを使用してバッチを作製する。
【0199】
V1(400ml):プレミックス1
NaCl+DI H20+LBA+GLA+G+PG+ニコチンアミド(6原料ストックとして)+フェノキシエタノール+ミリスチルアルコール(C14アルコール、別名テトラデカノール)、35℃に穏やかに加熱して溶解し、25℃未満に冷却する。
【0200】
V2(100ml):プレミックス2
カルボマー+トリシロキサン、混合して分散させ、V3にも添加する
【0201】
V3(ケンウッドボウル)ビーターブレードを用いて最終混合する
- EL-7040(カプリリルメチコン(及び)PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマーをケンウッドボウルに入れ、
- 低速から加速して、次いで#6の最大速度で2分間で、V2の内容物(カルボマー+トリシロキサン)を添加して「シロップ」を形成する。
- V1を約10~12分間かけて#6(最大)の速度で滴下/リボン状にゆっくり添加する。#6で実行する場合、血清がピークに達し硬くなったら相を反転させる。
側面から中央まで清浄化し、ST-E(シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコンクロスポリマー/9040シリコーンエラストマーを添加し、速度#6で3分間混合し、側面から中央まで清浄化し、#6で更に3分間混合する。
- 500gの密封されたバケツに詰める
【0202】
プレミックス1についての注記:
- 添加の順序は示される通り
- ナイアシンアミド添加後、タンブル混合して透明溶液にする
- GLA添加後、タンブル混合して透明溶液にする
- LBA添加後、タンブル混合して透明溶液にする
- 必要ならば、穏やかに加熱して、LBAの最後の痕跡を溶解させる(10%PHAのみ)
- 次いで、フェノキシエタノール及びミリスチルアルコール(C14アルコール、別名テトラデカノール)を添加して、プレミックス1を完成させる
【0203】
6~10%ニコチンアミドの更なる例示的な製剤
【0204】
【表3】
【0205】
皮膚がん及びUVによる損傷に関連する状態の処置及び予防
本明細書で記載される製剤は本発明の一部であり、療法において使用するためのものである。本発明の製剤は、紫外線(UV)放射により誘発された皮膚状態を予防する及び/若しくは処置する方法において使用するため、又は皮膚がんを予防する及び/若しくは処置するためのものである。皮膚へのUVによる損傷は変色及び加齢による褐色の斑点(UV曝露により生じるメラニンの異常な産生又は沈着)を含むことができ、これらはがんにつながることがある。より重度のUVによる損傷は病変形成及び前がん病変を含むことができる。皮膚がんは、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫を含むことができる。したがって、本発明の製剤は、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫を処置する又は予防する方法において使用するためのものである。特に、本発明の製剤は、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する及び基底細胞癌を処置する方法において使用するためのものである。
【0206】
本発明は、紫外線放射により誘発された皮膚状態の処置若しくは予防又は皮膚がんの処置若しくは予防のための医薬の製造における本発明の製剤の使用を更に含む。皮膚がんの処置又は予防は、光線角化症の予防、光線角化症の処置、黒色腫の予防、黒色腫の再発の予防、黒色腫の処置、扁平上皮細胞癌の予防、基底細胞癌の予防、扁平上皮細胞癌の処置又は基底細胞癌の処置を含むことができる。
【0207】
本発明は、本発明の製剤の皮膚への局所塗布によって、紫外線放射により誘発された皮膚を処置する又は予防する方法を提供する。本発明は、紫外線放射により誘発された皮膚状態を処置する又は予防する方法であって、本発明の製剤の皮膚への局所塗布を含む方法を更に提供する。本発明は、本発明の製剤の皮膚への局所塗布を含む、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する及び基底細胞癌を処置する方法も提供する。
【0208】
実施形態では、本発明の製剤は1日1回又は2回皮膚に塗布されることだけを必要とする。概して、皮膚はヒト皮膚である。
【0209】
1日1回塗布の利便性は使用者に広く称賛されている。本明細書で記載される通り、Pcエンハンサーの用量が増大するにつれて、皮膚浸透を増大させるその効果は経時的に延長され、それにより、1日1回又は2回の投薬を達成する能力を提供する。
【0210】
皮膚科学におけるニコチンアミドの化粧用及び医薬用使用
化粧用及び医薬用皮膚科学におけるニコチンアミド(NAM)の局所又は経口投与を介する使用は、50年近くさかのぼり、いくつかの主要な総説(1~6)において文書化されてきた。
【0211】
主に、NAMは局所的に及び化粧用目的で使用されている。NAMは、インビトロ及び1~10μmol L-1ほどの低い濃度で(最大応答の75%~100%)並びに人間においてはインビボで局所的にの両方で、セラミド及び他の角質層脂質の生合成を非常に有意に増大させて、皮膚バリア機能を増大させる(7)。これと一致して、Soma Yらは、28人のアトピー性皮膚炎患者の群において、2%NAM化粧用クリームが標準的なワセリンよりも有効な保湿剤(moisturisier)であることを見出した(8)。同様に、Draelos ZDら(9)は、未処置対照研究において、2%NAM含有顔用保湿剤が酒さのある対象における皮膚バリアを改善したことを報告した。また、Kawada Aら(10)は、プラセボ対照と比較した4%NAMを含有する化粧品の顔のシワ防止効果を実証した。最後に、それらの総説において、Wohlrab及びKreft(4)が、NAMの鎮痒効果は主にバリア保護効果に基づくと結論付けている。
【0212】
医薬的炎症性皮膚状態、例えば、水疱性類天疱瘡(11)、乾癬(12)、尋常性天疱瘡(13)及び酒さ(14)におけるNAMの効能は、一部にはその核ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ-1(PARP-1)の阻害によるものであり得る。核ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ-1(PARP-1)NFκB媒介性トランス抑制は付着分子並びに炎症促進性メディエーター、例えば、IL-12、TNF-α、IL-1及び一酸化窒素の発現を低減させるのに重要である。
【0213】
基底細胞癌(BCC)、扁平上皮細胞癌(SCC)及び黒色腫(MEL)を含む紫外線放射により誘発された皮膚がんは世界規模の公衆衛生問題である(15)。発癌メカニズムは、DNAへの直接損傷、皮膚の免疫の抑制及び皮膚内でのエネルギー枯渇を含み、それらはいずれもNAMによって好転される(16)。2012年に、Surjanaら(17)は、前がん皮膚状態光線角化症(AK)のある免疫能力のある志願者における2つのプラセボ対照研究について報告した。活性NAM又はプラセボ処置についてそれぞれ合計で37人の患者を経口NAMのいずれか(500mgを1日2回、研究1、又は500mgを1日1回、研究2)で4か月にわたって処置した。4か月の終わりに、AK対ベースラインにおいて、プラセボと比較して統計的に非常に有意な低減(35%研究1、29%研究2)がニコチンアミド群で見られた。しかしながら、Moloneyら(35)は、1%ニコチンアミドクリーム又はプラセボによる6か月の局所処置後、AKスコアにおける差異を見出さなかった。経口高用量経口NAMを用いるSurjanaら(17)の知見を考慮すると、1%NAMクリームから塗布された低用量(及び送達効率)がAKにおける効果の欠如に寄与し得た可能性が高いと思われる。
【0214】
経口NAMプログラムの継続中、2015年に、Chenら(18)は、過去5年間に少なくとも2つの非黒色腫皮膚がんを有したことに基づいて選択された参加者に対するONTRAC研究の結果を公開した。経口NAM500mgを1日2回又はプラセボを12か月の処置期間にわたって受けるように386人の参加者を無作為に割り当てた。12か月の評価で、新たな非黒色腫皮膚がんの比率は、NAM群においてプラセボ群と比較して23%だけ統計的に有意に低下し、BCC及びSCCがんの両方において効果があった。ONTRAC研究公開は大きな科学的関心を引き起こした(19)(20)。
【0215】
最近、ONTRAC協会は、MELの予防のためのNAMの使用に焦点を当てている(21)。2015年のONTRAC研究は、MELの予防における経口NAMの効果について報告するように設計されていなかった。しかしながら、ONTRACの12か月の研究期間中に、経口NAM及びプラセボ群において合計6つの上皮内及び4つの侵襲性黒色腫が発生した。腫瘍微小環境におけるCD4+ヘルパーT細胞及び細胞毒性CD8+T細胞の有意な増大が、経口NAM群で生じる黒色腫においてプラセボと比較して報告された(22)。本発明者らは、対象に対する予備研究における消費者受容性研究(以下を参照)から、6%~10%NAMのグリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)局所皮膚科用製剤が、太陽光線により病変誘発された病変及び皮膚がんを予防及び処置して正常な皮膚を修復できることの証拠を見出した。皮膚がんを処置する及び予防する際におけるNAMのGCSD製剤の予想外の臨床効果に関する本発明者らの知見を裏付けるために、上記で記載した観察に基づくNAM経口インビボ及びインビトロヒト皮膚表皮薬物動態研究及びモデリングの科学的分析をここで提示する。
【0216】
局所皮膚科用NAMが皮膚がんを処置する及び予防するために有効である潜在性の薬物動態-薬力学(PK-PD)研究
本発明者らが言及した通り、500~1,000mg/日の範囲内の経口用量のNAMがBCC及びSCCがんの両方を有意に予防する効果についてのONTRAC研究公開は、大きな科学的関心を引き起こした。また、そのような用量のNAMは有意な全身的有害作用がない。そうであっても、標的化局所療法を使用する使用者の優先傾向がある。
【0217】
局所療法の1つの特定の利点は、表皮標的部位で定常状態遊離濃度を達成し6~8時間の間にわたって持続させ得ることである。これは、経口投薬とは対照的に、NAMの迅速な全身クリアランスが、最適には1日を通して4~6回の頻回の再投薬が必要とされ得るようなものである場合である。局所療法が基底表皮標的部位で治療的遊離NAM濃度を達成し、投薬間隔を接近させてこれらを何度も持続することができる場合、経口療法を上回る有意な利点があり得る。
【0218】
グリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)-1からのNAMの皮膚透過
NAMは比較的低い融点を有する低分子であるため、低いオクタノール水分配係数を有するが親油性角質層バリアを通って浸透し、その比率は皮膚浸透モノエンハンサー(23、24)又はコエンハンサー技術(25、26)の使用によって増大し得る。
【0219】
表1は本発明のGCSDクリーム製剤の例を示す。製剤例を試験1、試験2及び試験3として盲検化し(表1においてラベル付けされている通り)、ヒト皮膚を越えるインビトロ透過の独立分析に送った。
【0220】
4つの製剤、すなわち試験1、試験2、試験3(それぞれ6%、8%及び10%NAM)及び8%NAMの市販の対照クリームについてNAMの透過を試験した。研究は、ヒト皮膚においてフランツ型拡散セルを使用し、有限用量条件(10μL/cm2)下、32±1℃で最大24時間行った。形成外科手術後の1人のドナー由来のヒト(女性、白人)腹部皮膚を機関の承認(研究倫理委員会参照07/H1306/98)を得た組織バンクから入手した。ヒト皮膚を熱分離によって調製し、使用前に電気抵抗の評価によって皮膚の完全性を確認した(TM-22デジトロンデジタル温度計、RS Components、UK)。200μLの受容体媒体を回収し、等体積の新鮮なPBS溶液で置きかえることによって、0、2、4、6、8、10、12及び24時間で試料を収集した。透過研究の終わりに、以前に検証された手順に準拠して物質収支研究を行った。HPLCを使用してすべての試料中のNAMの量を定量化した。
【0221】
図1は、ヒト皮膚における被験製剤からのNAM 0~24時間の透過プロファイルを示す。各データ点は平均±SD、n=6を表す。結果は、24時間にわたる4つの製剤からのNAMの累積受容体濃度を示す。
【0222】
試験1から試験3までの時間に伴うNAMの累積透過の用量応答がある。これはプロピレングリコールの濃度(分配係数エンハンサー)をそれぞれ30%から35%~40%まで増大させることによって駆動される(表1を参照)。NAMは溶液中におけるその飽和度を維持するためにそれぞれ6%から8%~10%まで増大される。拡散係数エンハンサーは3つすべての試験製剤において飽和溶液である。これらの3つの原理に対処することは、コエンハンサー技術設計の最適化のために必須である。
【0223】
図2は、ヒト皮膚における被験製剤からのNAM 6~12時間の定常状態透過プロファイルを示す。各データ点は平均±SD、n=6を表す。cm2当たりの透過した質量単位は、ugでの質量をNAMの分子量である122.1で割ることにより図1から導出されたμmol/cm2であることに留意されたい。結果は、ugでの質量をNAMの分子量で割ることによって図1から導出されたμmol/cm2として表現される6~12時間の定常状態フラックスを示す。
【0224】
図2から、6~12時間にわたる定常状態フラックスは、0.046、0.064、0.091及び0.027μmol/cm2/時間(それぞれ、試験1~3、市販の対照)であると算出され得る。
【0225】
定常状態フラックス値からの基底表皮における遊離NAM濃度の推定
この推定のために、BCC、SCC及びMELの標的部位は基底表皮であると仮定した。皮膚の標的部位における遊離薬物濃度及び局所製剤のインビボ有効性に関するC星印(C*)概念は最初に抗ウイルスアシクロビル(27、28)を使用して開発され、動物モデルにおいてインビボ効能を予測するのに非常に成功し、また臨床転帰とよく相関する。
【0226】
C*は方程式1から算出した。PDは、方程式2及び3(29)から、Pensadoら(30)によって最近改変された通りに算出した。
C*=J/PD (1)
PD=DD/hD (2)
Dd=-4.15-(0.655×log MW) (3)
【0227】
式中、Jはインビトロ皮膚フラックスであり、PDは真皮透過係数であり、DDは真皮拡散係数であり、hDは非灌流真皮上層の厚さである。真皮におけるNAMの透過係数は、方程式(2)を使用して推定し、ここで、遊離NAMについての真皮拡散係数であるDDは方程式(4)から推定した。
logDDNAM=-4.15-(0.655×log MWNAM) (4)
【0228】
122.12のNAMの分子量を方程式(4)に入力して、DDNAMについて3.04×10-6cm2-1の値を得る。100μm(0.01cm)の値を非灌流真皮上層の厚さであるhDに使用し(30)、PDはおよそ1.08cm時-1であると算出された。連通を明確にするために、3.04×10-6×60×60/0.01=1.08cm時-1
【0229】
先に記載した通り、図2から、定常状態フラックスは、0.046、0.064、0.091及び0.027μmol/cm2/時間(それぞれ、試験1~3、市販の対照)であると算出された。
【0230】
故に、方程式(1)から、標的基底表皮部位における予測される遊離NAM濃度であるC*がJによって得、μモル/cm2/時間での定常状態フラックスをPDで割り、それにより、試験1、試験2及び試験2クリーム並びに市販の対照について0.043、0.059、0.084及び0.025μmol/cm3である。μmol/cm3からμmol L-1に変換して、43、59、84及び25μmol L-1を得る。これらの濃度は、1~10μモルL-1ほどの低いNAMの濃度よりも大幅に高く、セラミド及び他の角質層脂質の生合成を非常に有意に増大させて、化粧用途における皮膚バリア機能を増大させる。
【0231】
皮膚がんに対する効能に関連する遊離NAM濃度
図3は、g/M2でのプロットされたNAM対経口用量のピーク血漿濃度μmol/mlのプロットを示す。図3は、Stratfordら(31)による健康な志願者に投与されたg/M2でのNAMの経口用量後のピーク血漿濃度μmol/ml(cm3)のプロットを提供する。
【0232】
1g(約0.5g/M2)用量についての平均ピーク血漿濃度は0.127μmol/ml(127μmol L-1)、81~158μmol L-1の範囲)であった。AKの予防における経口NAMについての研究(17)並びにBCC及びSCCについてのONTRAC研究(18)において、500mgの最大経口用量のNAMが1日2回使用され、これは、直線性を仮定して、およそ63.5μmol L-1 ug/cm3、範囲約40~80μmol L-1のピーク血漿濃度を達成することが予測されるであろう。定常状態では、NAMはタンパク質結合が不十分であることから、基底表皮組織においても同様の濃度のNAMが達成されると予測され、局所投与後に達成される数値目標濃度を提供し得る。
【0233】
記載されている通り、試験1、試験2、試験3のGCSDクリーム及び市販の対照クリームは、それぞれ43、59、84及び25μmol L-1の基底定常状態表皮濃度を達成すると予測され、これらはONTRAC研究において見出された効能に関連する範囲内である。
【0234】
したがって、本発明の製剤を有する試験クリームは、皮膚への局所塗布後、40μmol L-1を上回るニコチンアミドのピーク血漿濃度を達成する。概して、試験クリーム及び本発明の製剤は、皮膚への局所塗布後、約40~約80μmol L-1のニコチンアミドのピーク血漿濃度を達成する。この効果は、いかなる他の市販の局所製剤よりも秀でている。
【0235】
グリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)-2からのNAMの皮膚透過
表2は本発明のGCSDクリーム製剤の例を示す。製剤例を試験#2.2、試験#4.2及び試験#6.2として盲検化し(表2においてラベル付けされている通り)、4つの市販のニコチンアミド含有皮膚用製品オレイ、ポーラチョイス、TDF及びソーラーケアB3と共にヒト皮膚を越えるインビトロ透過の独立分析に送った。
【0236】
各製剤のNAM含有量を評価し、結果を表3に示した。
【0237】
【表4】
【0238】
NAMの透過を上記で記載した通りに試験した。
【0239】
図4は、製剤#2.2、4.2、6.2、TDF、オレイ、ポーラチョイス及びソーラーケアB3からのNAMの累積透過量を示す。各データ点は平均±SD、n=6を表す。結果は、24時間にわたる7つの製剤からのNAMの累積受容体濃度を示す。
【0240】
物質収支研究からの結果を表4にまとめる。7つすべての製剤について、24時間の透過後、80%を上回る塗布されたNAMが皮膚表面に残っており、洗浄することによって回収された。洗浄することによって回収されたこれらのパーセンテージ値の間で統計的差異は検出されなかった(p>0.05)。評価された製剤からのNAMの累積透過は塗布用量の4~17%を占めた。製剤#6.2及び#4.2からの透過パーセンテージ値は、市販製品TDF、オレイ、ポーラチョイス及びソーラーケアB3(p<0.05)よりも顕著に大きかった。これは、本発明の製剤が、同じく試験された市販製品によって達成されたよりも有意に良好な皮膚を越える透過を供与することを示す。製剤#6.2(3.0±0.9%)、4.2(2.4±0.4%)及び2.2(2.8±0.4%、p>0.05)からのNAM皮膚保持に差異はなかった。しかしながら、製剤#6.2、#4.2及び#2.2からのNAM保持は、オレイ、ポーラチョイス及びソーラーケアB3からの結果(p<0.05)と比較して有意に高かった。7つすべての製剤についての全回収率は93.8~103.1%の間で決定された。これらの結果は、経済協力開発機構(OECD)によって提案される物質収支基準、90~110%の範囲内に収まった[3]。
【0241】
【表5】
【0242】
図5は、製剤#7.1、#6.2及び#9.1からのNAMの累積透過量を示す。各データ点は平均±SD、n=6を表す。結果は、24時間にわたる3つの製剤からのNAMの累積受容体濃度を示す。
【0243】
結果は、ブチレングリコールを含む製剤#9.1よりもプロピレングリコールを含む製剤#7.1、#6.2について大きいNAMの透過量を示す。この結果は、#7.1又は#6.2(いずれも40%)よりも#9.1(50%)において多くのPcエンハンサーが使用されていることに反する。これらのデータは、プロピレングリコールがPcエンハンサーとして対ブチレングリコールで有意により好都合であることを指し示す。
【0244】
皮膚刺激のリスクについてのインビトロ分析
表2の製剤を、皮膚刺激を引き起こすリスクについてもインビトロで独立して評価した。方法は、材料が組織生存率における50%低減を引き起こす有効時間(ET50)に基づく検証済み試験システムEpiDerm(商標)再構成組織モデルを使用した。方法は、EpiDerm皮膚モデルの表面への100μlの未希釈の試験物品の局所塗布を伴った。皮膚モデルへの試験物品の曝露は、1、5、18、24及び48時間であった。陰性対照については、皮膚モデルを5時間にわたって未処置のまま放置した。陽性対照については、(100μlのトリトンX-100 1%)を3、6及び18時間にわたって塗布した。
【0245】
ET50決定。陰性対照(すなわち未処置の陰性対照)への正規化後、生存率パーセンテージ値を片対数x軸のあるグラフにプロットし、ET50を決定した。
【0246】
ベンチマークET50値及び群分けを表5に示す。一般的なガイドラインとして、EPI-200を使用して取得したET50結果に基づいて期待されるインビボ刺激応答を割り当てる際に、下記の群分けを使用した。
【0247】
【表6】
【0248】
表6は、この実験からの皮膚刺激についてET50及び対応する分類を示す。
【0249】
【表7】
【0250】
この試験において、陽性対照は9.02時間のET50値を有しており、これは中等度~軽度の刺激として正確にカテゴライズされた。本発明の製剤#2.2、#4.2及び#6.2はいずれも非刺激又は非常に軽度であるとして分類される。したがって、試験製剤#2.2、#4.2及び#6.2について取得されたET50値は、この方法論によって取得された値の間であり、そのためベビーサンスクリーンと同等である。したがって、本発明の製剤は非刺激性であり、長期間にわたって、例えば数年間にわたって使用することができると期待され得る。UV曝露によって引き起こされた状態及び皮膚がんを予防する及び処置するために、使用期間延長が推奨される。
【0251】
結論
したがって、本発明の製剤は局所塗布後の皮膚へのニコチンアミドのフラックスを達成し、これは皮膚がんの予防及び/又は処置を示す実験においてニコチンアミドの経口送達を介して以前に達成されたニコチンアミド送達レベルと一致することが実証された。その結果として、本発明の製剤は皮膚がんの予防及び/又は処置において有効であると期待されることが実証された。本発明者らは、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から選択される皮膚がんを予防する及び/又は処置するために有用な局所製剤を開発したと結論付けることができる。本発明者らは、光線角化症を予防する、光線角化症を処置する、黒色腫を予防する、黒色腫の再発を予防する、黒色腫を処置する、黒色腫の完全又は部分寛解を達成する、扁平上皮細胞癌を予防する、基底細胞癌を予防する、扁平上皮細胞癌を処置する、基底細胞癌を処置する、扁平上皮細胞癌の完全又は部分寛解を達成する、及び基底細胞癌の完全又は部分寛解を達成するための局所製剤を開発したと結論付けることができる。
【0252】
使用の例示-予備研究
本明細書で記載される6%~10%NAMを含有する製剤は、混合されたシリコーンエラストマー-シリコーン流体連続相中の水性/グリコールコエンハンサー分散体(GCSD)として構造的に記載され得る。分配係数エンハンサー及びC12~14拡散係数エンハンサーとして例えばプロピレングリコールを含むグリコールコエンハンサーゲルは、活性物の皮膚浸透を増大させるために有効であることが公知であるが、不十分な擦り込み及び皮膚の感触、粘性並びに皮膚の乾燥に関連する(32)。
【0253】
グリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)の皮膚への塗布時、消費者は混合されたシリコーンエラストマー-シリコーン流体連続相の柔らかく絹のような皮膚の感触を経験する。揮発性シリコーンの喪失が急速に起こって、皮膚への吸収の知覚を得る。
【0254】
この設計の美観についてのフィードバックを得るために、幾人かの対象に対する非公式の化粧品研究を行った。
【0255】
フィードバック:保湿
まとめると、より若年の対象のフィードバックは、6~10%ニコチンアミドを含有するGCSD製品が例外的に良好な保湿剤であったというものであった。これは、上記で概説した設計要素から期待される。
【0256】
フィードバック:加齢による斑点(日光性色素斑)、そばかす及び肝斑
これらの状態はUV光への長時間曝露後に起こり、そのためより高齢の対象に関連する。
【0257】
女性対象SJD
SJDは多くの野外活動に費やした時間による手のそばかすを報告した。この女性は左手を処置し右手を未処置対照として使用する研究を受けることを志願した。8%ニコチンアミドを含有する本発明のクリーム製剤を1日1回最大4週間、左手に塗布した。2週間後、暗褐色の斑点の数における有意な低減とともに色の顕著な均一化(evening)が報告された。製品は、皮膚に非常に急速に吸収され、絹のような柔らかな感触を皮膚に残すことが報告された。
【0258】
女性対象JW
JWは、手及び顔における乾燥皮膚の処置のための本発明の6%ニコチンアミドクリームの試料を要求した。およそ4週間の処置後、この女性は両手の画像を自発的に郵送してきた。この女性の意見は、処置前と比較してそばかすが非常に有意に低減したというものであった。
【0259】
フィードバック:光線角化症
これらの研究の非公式及び現実的でない性質を理由として、並びにそばかす又は加齢による斑点と頻繁に間違えられることを理由として、光線角化症(AK)についてのフィードバックを得ることは不可能であった。2012年に、Surjanaら(17)は、免疫能力のある志願者における2つのプラセボ対照研究について、プラセボと比較して統計的に有意なベースラインに対する光線角化症(AK)における低減(35%研究1、29%研究2)がNAM群(1日2又は1回経口的に500mg)で見られたAKを報告した。しかしながら、Moloneyら(35)は、1%ニコチンアミドクリーム又はプラセボによる6か月の局所処置後、AKスコアにおける差異を見出さなかった。経口高用量経口NAMを用いるSurjanaら(17)のその後の知見を考慮すると、1%NAMクリームから塗布された低用量(及び送達効率)がAKにおける効果の欠如に寄与し得た可能性が高いと思われる。
【0260】
フィードバック:光線角化症
60歳の白人男性が本発明の10%ニコチンアミド含有クリームを試験することを志願した。対象は、図6の左側パネルに示す通り顔の左側の頬骨の上部付近に位置する日光角化症病変を1年超にわたって患っている。病変は、中央が高くなった直径約0.5cmの赤みを帯びたかさついた皮膚の不規則な縁取られた領域によって特徴付けられた。対象は、病変からの刺すような又はチクチクする感覚を頻繁に経験してきた。対象は状態を緩和するために、ある範囲のエモリエント、保湿剤及び薬用クリームを試し、失敗に終わった。
【0261】
対象は十二分な用量の試験クリームを病変に1日に2回塗布することから始めたが、2日後、病変が刺されたように痛み発赤し始め、製品が少々刺激的すぎるのではないかと疑問に思ったことを報告した。対象は1日にわたってクリームの使用を中断し、その領域が有意に落ち着いたことに気付いて、クリームをより控えめに1日1回だけ週の残りの間にわたって再度塗布し始めた。更なる刺激が起こっていないこと及び病変が改善していることを観察して、対象は1日に2回の投薬を再開した。有意な改善が次の数週間にわたって観察され、図6の右側パネルに示す通り、病変は次第に縮小し、病変の表面は周囲組織のレベルに平滑化した。
【0262】
約2か月後、病変はわずかに黒い皮膚の領域と大差ないまでに低減した。対象は、病変が解消されたと推測されることを認めた直後にクリームの使用をやめたため、更なる処置に煩わされることを必要としなかった。それにもかかわらず、その領域を数週間後に確認すると、どこに病変があったか検出することがほとんどできなかった。次の12か月間にわたって、その領域の悪化も再発の証拠も観察されなかった。
【0263】
フィードバック:基底細胞癌
上記の光線角化症実施例と同じ現在61歳の白人男性志願者は、自分の胸の右上側にある小さい無害な「小斑点」と考えていたものにおける変化に気付き始めた。最初に、対象は、不規則な壊れた縁取りにより約1センチメートルまで直径が次第に増大し始めたことに気付いた。時間が進むにつれて、病変は隆起した領域及び色の変動を病変全体にわたって発生させた。領域の痂皮形成も起こり始め、シャワー後のタオルドライ時に若干の出血に気付いた。対象は、シーツと枕カバーにおける終夜の出血の証拠にも気付き始めた。
【0264】
病変が進行してより不吉な外観を発生させるにつれて、対象は一般開業医を訪問することを最後に決断し、該開業医は対象を速やかに皮膚がん専門のコンサルタント皮膚科医に差し向けた。専門医によるその後の検査で「基底細胞癌」と診断され、対象は病変の外科的除去に差し向けられた。基底細胞癌病変を図7の左側パネルに示す。
【0265】
手術を待つ間、いかなる暫定的処置も存在しない中で、対象は、本発明の10%ニコチンアミドクリームを塗布し始めることを決断し、その試料は、光線角化症病変についての以前の試験から保持していた。対象は、クリームがこの症例において何かを為すであろうという大きな自信はなかったが、最終的には病変は外科的に除去されるであろうからそれを試すことで失うものは何もないと感じたと認めた。
【0266】
対象はクリームを1日2回塗布することを続行し、病変がかなりうろこ状になったが発赤のレベルは全く増大しなかったことに初期に注目した。翌月にわたって、対象は、病変のサイズが次第に縮小し、扁平になり、周囲の正常な皮膚と連続になるのを見た。約2か月後、元の小さい「小斑点」は「普通に見える」皮膚の暈により最も可視の特徴であったが、周囲の以前は影響を受けなかった皮膚よりもわずかに軽かった。対象は改善が達成されたことに喜び及び驚き、重要なことに、対象は潜在的に見た目を損なう手術を回避し、公共医療サービス、プロセスにおけるいくらかのお金を節約した。対象は約3か月間にわたって処置を続けた後、病変が完全に解消されたと判断した。処置から12か月間、明らかな元の「小斑点」は別として、処置された病変の暈は図7の右側パネルに示す通りほとんど検出できないままであった。
【0267】
フィードバック:黒色腫
幸いにも及び予期されるように、MELに対する効果の自発報告は取得されなかった。しかしながら、本明細書で記載される通り、6%~10%NAMを含有するグリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)クリームは、MEL病変を予防及び処置して正常な皮膚に修復するために有効であり得ることが期待されている。
【0268】
結論
したがって、本発明の製剤は審美的に許容され使用の感触が良い製剤の文脈において治療有効レベルのニコチンアミドを皮膚に有利に送達することが実証された。したがって、有効でありながら、本発明の製剤は、長期使用にも許容され、これは、患者コンプライアンスがより容易に達成されることを意味する。加えて、本発明の製剤は、UVによる損傷によって引き起こされた皮膚がん及び他の皮膚状態に対して驚くほど良好な効果を示すことが実証された。
【0269】
本発明の製剤は、光線角化症及びがん性皮膚状態の予防に必要とされる標的フラックス送達レベルを達成することができる消費者に許容される第1の(及び商業的に実現可能な)局所ニコチンアミド含有製品を代表する。
【0270】
本発明の製剤は商業的に実践的なレベルの6~10%ニコチンアミドを含むことでこれを達成する。
【0271】
本発明の製剤は、太陽光線保護製品において稀に見られる最高級化粧品美観を実証しながらこれを達成し、故に、治療潜在性を達成する上で決定的に重要な使用者コンプライアンスを促す。
【0272】
本発明の製剤は、保湿及び皮膚の天然バリア機能の維持を含むある範囲の利益を皮膚に送達することが公知である有効レベルのポリヒドロキシ酸を含むことを通して相乗的利益も組み込まれている。手短に言えば、SOLは毎日のスキンケアルーティンの一部として持続的な日常的使用を促すことができる(そのため問題解決のために確保されている製品よりもはるかに多くの太陽光線保護を表す)。
【0273】
本発明の製剤は公知の証拠に基づいて太陽光線UVによる損傷からの保護を提供することが期待されるであろうが、全く予想外なことに、本発明の製剤は、褐色の斑点及び光線角化症病変並びに基底細胞癌病変と診断された症例を含む以前の太陽光線により誘発された損傷の一部の症例を処置することができると見出されている。これは驚くべき及び非常に有意な知見であり、本発明の製剤の価値を処置及び予防まで拡大する。
【0274】
研究の概要
本明細書で記載される幾人かの対象についての及びGCSDクリームの美観についてのフィードバックを取得するために行われた予備化粧品研究において、本発明者らは追加で及び自発的に、これらのクリームがそばかす及び加齢による斑点を処置する際に例外的に有効であり、皮膚がん、特にBCCを処置する際に有効となり得るというフィードバックを受けた。主に化粧用使用においてであるが医薬用使用においてもほぼ50年間にわたってNAMが局所的に塗布されてきたが、これはどうしてだろうか。
【0275】
化粧品において使用されるNAMの濃度は、過去数十年にわたって1~2%から最大10%に増大してきたが、局所NAMの効能が、BCC、SCC又はMEL皮膚がんを処置し、好転させるという報告を本発明者らは知らない。これは、局所製剤設計において主要な問題とされてきた皮膚透過を増大させるために活性物の濃度における増大に焦点を当てている。残念なことに、フィックの透過方程式の正規形は、
J ∝ Cv×Pc×Dc
[式中、Jはフラックス、皮膚入力率であり、Cvはビヒクルにおける溶液の濃度であり、Pc及びDcは分配及び拡散係数の項である]である。しかしながら、溶液中のCvが、例えばNAMのための溶媒の添加によって増大するにつれて、Pcは比例して減少し、そのため、Jにおける純増はない。NAMの濃度を1~10%まで増大させることは、そのままではNAM透過を増大させないであろう。
【0276】
NAM透過は皮膚浸透モノエンハンサー(23、24)の添加によって増大し得る。この市場において主要な熟達したグローバルプレイヤーによって開発された本発明者らのインビトロヒト皮膚浸透研究において使用される市販の対照は、8%NAM及びモノ皮膚浸透エンハンサーサリチル酸オクチルを含有する。定常状態基底細胞濃度は約25μmol L-1であると予測される。市販のモノ強化4%NAM及び2つの試験3%NAM製剤についての最近の刊行物(36)は、約9.50~17μmol L-1の範囲内の定常状態基底細胞濃度を予測することを可能にする。
【0277】
ごく最近では、Zang Yら、2019(25)は、分配及び拡散係数エンハンサー、例えば、NAMのコエンハンサーGCSDクリームへの透過の非常に類似した効率を示すプロピレングリコール及びオレイン酸又はリノール酸の組合せで、5%NAMの「単純な」コエンハンサー製剤を記載している(研究された有限用量条件下では35μmol L-1の基底細胞濃度が予測される)。しかしながら、これらの「単純な」溶媒混合物は未だ完全な製剤ではなく、これらの研究プロトタイプが、ヒト皮膚においてインビボで少なくとも長期間にわたって、例えばNAMコエンハンサー製剤が皮膚がんを処置するために有効である潜在性についての本発明者らの知見を確認するために、使用されたであろう可能性は低い。
【0278】
2020年に、Malesuら、ONTRAC協会(22)は、MELに対する化学的予防である経口NAMの潜在性について公開した。彼らの論考において、及び最良の当てはめ線をStratfordら(31)のデータに外挿することにより(本明細書の図3を参照)、彼らは、500mgのNAMの経口投与が約80μmol L-1のピーク血漿濃度を達成するであろうと結論付けている。先の刊行物(37)において、このグループは、インビトロNAMが50μmol L-1の濃度で60%阻害のPARP-1の用量依存的阻害を示したことを報告した(刊行物(37)の図6を参照)。ニコチンアミド構造に基づくPARP-1阻害剤は、乳がん、子宮がん、結腸直腸がん及び卵巣がんの処置における標的化処置モダリティとして、現在臨床試験を受けている。
【0279】
本発明者らが記載してきた通り、NAM含有グリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)は、PARP-1を有意に阻害することが示されている濃度である最大約80μmol L-1の定常状態遊離NAM濃度を達成する及び持続させることができると予測される。また、6%~10%NAMを含有するグリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)クリームの局所投与の、定常状態濃度を12時間の期間にわたって持続させる能力は、経口NAMが血漿から迅速に取り除かれるため、局所経路の重要な利益となり得る(16)。
【0280】
本発明者らは、NAM含有グリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)の使用が皮膚がんの予防及び処置において有効である潜在性を裏付けるために上記の薬物動態-薬力学議論が妥当であると考えているが、予想外の効能に寄与する順守要因も見られ得る。
【0281】
以前に論じられた通り、低い順守率に関する研究は、処置に対する遅い及び不十分な応答、局部及び全身的薬物有害作用発生率又は発生率の懸念(とりわけ局所コルチコステロイドの恐怖症)、ライフスタイルに合わない処置レジメン、並びに局所製品に特異的な局所皮膚科製品の使用における不十分な美観及び経験が主な原因因子であることを同定する。以下の表(表7)は順守を実現する種々の特質の概要を示す。
【0282】
【表8】
【0283】
この論考にとりわけ関連するのは、製剤の薬用化粧品及びバイオ医薬品設計要因、簡潔に述べると1)効能、2)局部及び全身的有害作用潜在性、3)使用の時間及び労力(いずれもWHOによって記載されている通り)並びに4)特に消費者の使用経験である。
【0284】
グリコールコエンハンサーシリコーン分散体(GCSD)の皮膚への塗布時、消費者は混合されたシリコーンエラストマー-シリコーン流体連続相の柔らかく絹のような皮膚の感触を経験する。揮発性シリコーンの喪失が急速に起こって、皮膚への吸収の知覚を得る。
【0285】
本明細書で図1及び2及び4に示す通り、現在の市販のNAM製剤と比較した場合、GCSD製剤はNAMの送達において例外的である。しかしながら、標的部位へのNAM送達と同じくらい重要なのは、高級化粧品を経験したに等しいNAM GCSDクリームの使用経験であり、順守なしでは治療効果はあり得ない。
【0286】
引用文献
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図2
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【国際調査報告】