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  • 特表-新規VDAC1阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】新規VDAC1阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 243/08 20060101AFI20230809BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230809BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 295/13 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 498/10 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20230809BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/5386 20060101ALI20230809BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C07D243/08 506
A61P3/10
A61P43/00 111
C07D295/13 CSP
C07D487/04 137
C07D498/10
C07D401/04
C07D471/04 104
C07D471/10 101
A61K31/495
A61K31/551
A61K31/407
A61K31/427
C07D519/00 311
A61K31/5386
C07D487/04 133
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505979
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020087097
(87)【国際公開番号】W WO2022022846
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20189036.5
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523029582
【氏名又は名称】アバルセオ ファルマ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ウィリアム ダルビー
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、クリスチャン ターゲ
(72)【発明者】
【氏名】サレヒ、セバスチャン アルベルト
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB02
4C050BB04
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH01
4C050HH04
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC10
4C063DD02
4C063EE01
4C065AA04
4C065AA15
4C065BB04
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP03
4C072AA04
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE07
4C072FF03
4C072GG01
4C072HH01
4C072HH07
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086BC54
4C086CB02
4C086CB03
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は一般式Iの化合物に関し
【化1】

ここで、R1‐7、Hy、及びXは、請求項1で定義した通りである。このような一般式Iの化合物は、VDAC1に結合し、それを必要とする対象における糖尿病又は前糖尿病の治療方法において使用するのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物
【化1】

ここで
~Rは、水素、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルからなる群から独立して選択され、ただし、R~Rの少なくとも1つは水素ではない、
は、C1‐3‐Rから選択され、ここでRは、H、OH、SH、及びNHから選択される、
は、a)水素、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選ばれる1つ以上の基で置換されたアリール、ただし前記基のうち少なくとも1つは水素でない;b)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピリジル;c)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピロリジニル;d)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピラゾリル;e)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたチアゾリル;f)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC5‐7シクロアルキル;g)NHCONH;h)CONH、CON(CH、CF、及びC2‐4アルケンから選択される基で任意に置換されたC1‐3アルキルからなる群から選択され、
Xは、‐CONH‐又は‐NHCO‐であるか、又は
X‐Rが一緒になってCONR’R’’であり、ここでR’とR’’は窒素と一緒になって、a)4‐7個の環原子を有する単複素環であって、1~2個は窒素から、0~2個は酸素から選択され、残りの環原子は炭素であり、任意にオキソ、OH、C1‐3アルキル‐CNから選択される基で置換された単複素環、又はb)7~10個の環原子を有する双複素環基であって、1~4個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、任意にオキソ、OH、C1‐3アルキル‐CNから選択される基で置換された双複素環基から選択される単複素環又は双複素環基を形成する、
Hyは、a)4~7個の環原子を有する単複素環であって、2~3個の環原子がNであり、0~1個の環原子がOであり、0~1個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素である単複素環、ただし単複素環がピペラジンである場合、RがCHOHではないか又はXが‐CONH‐ではなく、ここで式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に対する単複素環の結合点は、式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に対する単複素環の結合点とは異なる、b)縮合した第1及び第2の複素環を有する双複素環基であって、該双複素環基は6~12個の環原子を有し、2~4個の環原子がNであり、0~2個の環原子がOであり、0~2個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素である双複素環基、ここで、第1の複素環は、式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の複素環は、式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、c)接続され、1つの炭素原子を共有する第1及び第2の複素環を有するスピロ複素環基であって、該スピロ複素環基は6~12個の環原子を有し、2~4個の環原子がNであり、0~2個の環原子がOであり、0~2個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素であるスピロ複素環基、ここで第1の複素環が式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の複素環が式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、又はd)リンカーによって接続された第1及び第2の単複素環、ここで各単複素環が、4~7個の環原子を有する単複素環から独立して選択され、ここで1~3個の環原子はNであり、0~1個の環原子はOであり、0~1個の環原子はSであり、残りの環原子は炭素であり、第1の単複素環は式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の単複素環は式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、から選択される非芳香族複素環系である;又は
その薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項2】
がハロゲン、CN、NO、CF、第四級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R~Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がハロゲン、CN、NO、CF、第四級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R、R~Rが水素である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、ハロゲン、CN、NO、CF、第四級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R、R、R~Rが水素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がハロゲン、CN、NO、CF、第四級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R~R、Rが水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、ハロゲン、CN、NO、CF、第四級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R~Rが水素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がC1‐3‐Rから選択され、ここでRはOHである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、a)水素、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で置換されたフェニル、ただし該基の少なくとも1つは水素ではない;典型的には、ハロゲン、CF、OCH、NHCOCH、CN、CH、及びSOCHから選択される基で置換されたフェニル;b)任意に1つ以上のハロゲンで置換されたピリジル;c)1つ以上のCONHで置換されたピロリジニル;d)1つ以上のCONHで任意に置換されたピラゾリル;e)チアゾリル;f)1つ以上のCNアルキルで置換されたシクロヘキシル;g)NHCONH、及びh)CON(CH、CF及びCアルケンから選択される基で置換されたC1~2アルキルからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
X‐Rが一緒になってCONR’R’’であり、ここでR’及びR’’は窒素と一緒になって、a)5個の環原子を有する単複素環基であって、1~2個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、任意にオキソ、OH、CH‐CNから選択される基で置換される単複素環基、又はb)9~10個の環原子を有する双複素環基であって、1~3個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素である双複素環基、から選択される単複素環又は双複素環基を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Hyが、ピペラジン又はホモピペラジンのような、単複素環が6~7個の環原子を有し、2個がNであり、残りの環原子が炭素であるa)から選択される非芳香族環系である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Hyが、双複素環基が8~11個の環原子を有し、1~2個がNであり、0~1個がOであり、残りの環原子が炭素であるb)から選択される非芳香族環系である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Hyが、スピロ複素環基が8~11個の環原子を有し、2~3個の環原子がNであり、0~1個の環原子がOであり、残りの環原子が炭素であるc)から選択される非芳香族環系である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Hyが、第1及び第2の単複素環が結合で結合され、第1の単複素環が4~6個の環原子を有し、1~2個がNであり、0~1個がOであり、残りの環原子が炭素であり、第2の単複素環が4~6個の環原子を有し、1~2個がNであり、0~1個がOであり、残りの環原子が炭素であるd)から選ばれる非芳香族環系である、請求項1~9いずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
以下のいずれかから選択される、請求項1に記載の化合物
4‐クロロ‐N‐(3‐ヒドロキシ‐2‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}プロピル)ベンズアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐(3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジン‐1‐イル)ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐[(ジメチルカルバモイル)メチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
3‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド)ピロリジン‐1‐カルボキサミド、
N‐[2‐(ジメチルカルバモイル)エチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
5‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド)‐1H‐ピラゾール‐3‐カルボキサミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(2,2,2‐トリフルオロエチル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}‐N‐[4‐(トリフルオロメチル)フェニル]ブタンアミド、
N‐(5‐クロロピリジン‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(3‐メトキシフェニル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐アセトアミドフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(3‐アセトアミドフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐シアノフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(2‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(3‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐フルオロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
1‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタノイル)イミダゾリジン‐4‐オン、
4‐ヒドロキシ‐N‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐(ピラゾリジン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタン‐1‐オン、
4‐ヒドロキシ‐1‐(3‐ヒドロキシピロリジン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタン‐1‐オン、
2‐[1‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタノイル)ピロリジン‐3‐イル]アセトニトリル、
N‐(3‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐3‐イル)‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(1,2‐チアゾール‐5‐イル)‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐[(ジメチルカルバモイル)メチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(2‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(1H‐ピラゾール‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐シアノフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐{1H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[4,3‐c]ピリジン‐5‐イル}‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H、3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタン‐1‐オン、
4‐ヒドロキシ‐N‐[(1r,4r)‐4‐シアノシクロヘキシル]‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(カルバモイルアミノ)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐2‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐3‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}‐N‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(4‐メタンスルホニルフェニル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐{1H,4H,5H,6H,7H‐ピロロ[3,2‐c]ピリジン‐5‐イル}‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H、3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタン‐1‐オン;又は
その薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤及び/又は担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
医薬品として使用するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
それを必要とする対象における、2型糖尿病などの糖尿病又は前糖尿病を治療するための方法における使用のための、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
それを必要とする対象における、2型糖尿病などの糖尿病又は前糖尿病の治療に使用するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
それを必要とする対象における糖尿病又は前糖尿病の治療方法であって、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物又は請求項15に記載の医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、上記方法。
【請求項20】
それを必要とする対象における糖尿病の進行防止及び/又は糖尿病への前糖尿病の進行防止及び/又は糖尿病の逆転及び/又はβ細胞機能不全の逆転による糖尿病の逆転のための方法であって、対象に、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物又は請求項15に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、上記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前糖尿病及び糖尿病を治療し、糖尿病疾患の進行(悪化)を防止し、前糖尿病の糖尿病への進行を防止するためのVDAC1の阻害剤である、式I及び/又はIIの化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、心血管疾患や慢性腎臓疾患により平均寿命を縮めるとともに、脳卒中や末梢神経疾患、失明などを引き起こす重篤な代謝性疾患である。世界の医療費の約12%が糖尿病に費やされている。糖尿病は、膵臓から十分なインスリンが産生されないか、又は産生されたインスリンに体内の細胞が適切に反応しないことが原因である。糖尿病には主に2つのタイプがある:1型糖尿病(T1D)と2型糖尿病(T2D)である。T1Dは、膵島にあるインスリン産生β細胞が自己免疫的に破壊されることにより、持続的な高血糖を引き起こす小児期に最もよく見られる多因子性内分泌・代謝疾患の1つである。T1Dは生涯にわたってインスリン療法を必要とする。いくつかの研究により、T1D患者の膵島にはベータ細胞(β細胞)が残存していることが報告されている。実際、β細胞の40‐50%までは破壊を免れている可能性があるが、インスリン分泌は正常な血糖調節を維持するのに十分ではない。T1D患者の膵島を生理的グルコース濃度でインビトロ培養すると、グルコース刺激によるインスリン分泌が時間依存的に改善されることが示されている(Lupi R,et al.2004.Diabetes/metabolism research and reviews,5 20(3),246‐251;Krogvold L et al.2015.Diabetes 64:2506‐2512;Brissova M.et al.2018 Cell Rep.22:2667‐2676)。これらの結果は、残存β細胞は生体内で機能不全に陥っているが、有害な生体内環境から抽出した後、調節されたインスリン分泌を再開できることを示唆するものである。2型糖尿病(T2D)は、肥満の蔓延に伴う世界的な健康問題である。世界中で約4億人がT2Dに苦しんでおり、3億2千万人が前糖尿病と推定されている(Zimmet P and Alberti KG.2016.Nature Rev Endo 10:616‐622)。肥満に伴うインスリン抵抗性がインスリン分泌の増加によって補われると、正常血糖が維持される。T2Dは遺伝的要素が強く、糖尿病好発家系のメンバーが肥満、喫煙、反復妊娠、交代勤務などの危険因子を累積することで最も頻繁に発症する。膵臓のβ細胞からのインスリン分泌が、当該ホルモン抵抗性の臓器のインスリン要求量の増加に適応できなくなると、肥満の帰結としての疾病が発症するようである。T2Dは、空腹時血糖値(FBG)の上昇及び/又は耐糖能異常(IGT)、前糖尿病を定義する基準(Ligthart S,et al.2016.Lancet Diabetes & 20 endocrinology 4:44‐51)の数年後に発症する。平均血糖濃度の上昇は、内皮細胞やβ細胞を含む体内のほとんどの細胞に有害な影響、いわゆる糖毒性(グルコトキシシティ)を及ぼす(Hansen NW,et al.IUBMB Life,69:148‐161,2017 ;Weir GC et al.2004 Diabetes 53,Suppl3:S16‐21)。糖毒性はβ細胞の代謝不全に寄与するが、この現象はグルコース注入によりグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)が減弱するため、健常者にも存在する。高血糖、尿量増加、口渇を伴う顕性T2Dに先立ち、しばしば7年程度続く前糖尿病がある。前糖尿病とは、空腹時血糖値の上昇、又は経口ブドウ糖負荷後の血糖値低下障害として定義される。T2Dは、減量や運動の実施を目的とした生活習慣への介入により、発症後早期に可逆的となる(Al‐Mrabehら、2016.Diabetologia 59:1753‐1759)。しかし、このような介入は、患者のコンプライアンスが低いことを示している。
【0003】
健康な細胞では、多機能性タンパク質である電圧依存性アニオンチャネル(VDAC)は、代謝経路と生存経路の交差点に位置し、ミトコンドリアと細胞質間の代謝物やイオンのフラックスを制御するマスターゲートキーパーとして考えられている。3つのVDACアイソフォームのうち、VDAC1とVDAC2はミトコンドリアにおけるADP/ATP交換とカルシウムフラックスを仲介し、VDAC3の機能はあまり明らかになっていない(Shoshan‐Barmatz V et al.,2015;Biochim.Biophys.Acta 1848:2547‐2575;Shoshan‐Barmatz V et al.Molecular aspects of medicine 31:227‐285)。VDACは、ミトコンドリア以外の細胞区画、例えば、様々な細胞の原形質膜、骨格筋の筋小胞体、ラット小脳の小胞体(ER)、及びシビレエイの発電器官のシナプトソームにも局在している(De Pinto V et al.,FEBS Lett.2010、584:1793‐1799)。内皮細胞では、VDAC1は生理的条件下でも原形質膜に発現している(Li L et al.J Biol Chem.2014,289:32628‐38)。特定の細胞種におけるVDAC1の原形質膜局在のメカニズムは、まだ解明されていない。VDAC1はまた、アポトーシスにおいて重要な役割を果たし、ミトコンドリアからのアポトーシス因子の放出に関与し、抗アポトーシス制御因子と相互作用する(Shoshan‐Barmatz et al.,2015,同書;Shoshan‐Barmatzら、2010、同書)。
【0004】
ミトコンドリアプロテオーム解析により、高グルコースに曝されたラットクローン性膵臓β細胞において、VDAC、及び栄養代謝、ATP合成、細胞防御、糖タンパク質フォールディング及びミトコンドリアDNA安定性に関わる他の複数のタンパク質の発現変化が明らかになった(Ahmed,M.et al,Islets 2010,2:283‐292)。糖毒性条件下では、VDAC1の発現がアップレギュレートし、VDAC2の発現はダウンレギュレートしていた。ヒトT2D臓器提供者の膵島では、VDAC1 mRNA及びタンパク質がアップレギュレートされ、一方、VDAC2レベルはダウンレギュレートされている(Zhang E.et al.2019 Cell Metabolism 29:64‐77)。T2D臓器提供者のβ細胞ではVDAC1が原形質膜にミスターゲットされており、非糖尿病臓器提供者の膵島を糖毒性条件下で培養すると、そのような転位が再現された。VDAC1の原形質膜発現は、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)に必須な結合因子であるATPの喪失をもたらすことが明らかとなった。VDAC1に対する抗体又はVDAC1阻害剤であるN‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ブタンアミド(CAS番号:2086257‐77‐2)にT2D膵島を急性暴露してATP喪失を防ぐと、GSISが復活した。インビトロでのVDAC1機能の阻害は、インスリン分泌に影響を与えず、非糖尿病対照マウスにおける血糖値も変化しない(Zhang et al.Cell Metabolism、同書)。
【発明の概要】
【0005】
第1の側面において、本発明は一般式Iの化合物
【化1】

ここで
~Rは、水素、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1-6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルからなる群から独立して選択され、ただしR~Rの少なくとも1つは水素でない、
は、C1‐3‐Rから選択され、ここでRは、H、OH、SH、及びNHから選択される、
は、a)水素、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で置換されたアリール、ただし前記基のうち少なくとも1つは水素でない;b)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピリジル;c)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピロリジニル;d)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピラゾリル;e)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたチアゾリル;f)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC5‐7シクロアルキル;g)NHCONH;h)CONH、CON(CH、CF、及びC2‐4アルケンから選択される基で任意に置換されたC1‐3アルキル、からなる群から選択され、
Xは、‐CONH‐又は‐NHCO‐であるか、又は
X‐Rは一緒になってCONR’R’’であり、ここでR’とR’’は窒素と一緒になって、a)4~7個の環原子を有する単複素環であって、1~2個は窒素から、0~2個は酸素から選択され、残りの環原子は炭素であり、任意にオキソ、OH、C1‐3アルキル‐CNから選択される基で置換された単複素環、又はb)7~10個の環原子を有する双複素環基であって、1~4個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、任意にオキソ、OH、C1‐3アルキル‐CNから選択される基で置換された双複素環基から選択される単複素環又は双複素環基を形成する、
Hyは、a)4~7個の環原子を有する単複素環であって、2~3個の環原子がNであり、0~1個の環原子がOであり、0~1個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素である単複素環、ただし単複素環がピペラジンである場合、RがCHOHではないか又はXが‐CONH‐ではなく、ここで、式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に対する単複素環の結合点は、式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に対する単複素環の結合点とは異なる、b)縮合した第1及び第2の複素環を有する双複素環基であって、該双複素環基は6から12個の環原子を有し、2~4個の環原子がNであり、0~2個の環原子がOであり、0~2個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素である双複素環基、ここで、第1の複素環は、式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の複素環は、式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、c)接続され、1つの炭素原子を共有する第1及び第2の複素環を有するスピロ複素環基であって、該スピロ複素環基は6から12個の環原子を有し、2~4個の環原子がNであり、0~2個の環原子がOであり、0~2個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素であるスピロ複素環基、ここで第1の複素環が式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の複素環が式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、又はd)結合、例えば、sp又はsp混成結合などのリンカーにより接続された第1及び第2の単複素環、ここで、各単複素環が、4~7個の環原子を有する単複素環から独立して選択され、ここで1~3個の環原子はNであり、0~1個の環原子はOであり、0~1個の環原子はSであり、残りの環原子は炭素であり、第1の単複素環はIの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の単複素環は式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、から選択される非芳香族複素環系である;又は
その薬学的に許容される塩又は溶媒和物に関する。
【0006】
実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R~Rは、水素である。
【0007】
他の実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R、R~Rは、水素である。
【0008】
さらなる実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R、R、R~Rは水素であり、典型的にRはOCFである。
【0009】
さらなる実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R~R、Rは、水素である。
【0010】
さらなる実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R~Rは、水素である。
【0011】
さらなる実施形態において、RはC1‐3‐Rから選択され、ここでRはOH、典型的にはCHOHである。
【0012】
さらなる実施形態において、Rは、a)水素、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキル、ただし前記基の少なくとも1つは水素ではない、から選択される1つ以上の基で置換されたフェニル、典型的には、ハロゲン、CF、OCH、NHCOCH、CN、CH、及びSOCHから選択される基で置換されたフェニル、b)任意に1つ以上のハロゲンで置換されたピリジル、c)1つ以上のNHCO‐C1‐3アルキルで置換されたピロリジニル、d)1つ以上のCONHで任意に置換されたピラゾリル;e)チアゾリル;f)1つ以上のCNアルキルで置換されたシクロヘキシル;g)NHCONH;及びh)CON(CH、CF及びCアルケンから選択される基で置換されたC1-2アルキル、からなる群から選択される。
【0013】
代替の実施形態において、X‐Rは一緒になってCONR’R’’であり、ここでR’及びR’’は窒素と一緒になって、a)5個の環原子を有する単複素環基であって、1~2個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、任意に、オキソ、OH、CH‐CNから選択される基で置換された単複素環基、又はb)9~10の環原子を有する双複素環基であって、1~3個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素である双複素環基から選択される単複素環又は双複素環基を形成する。
さらなる実施形態において、Xは、‐CONH‐である。別の実施形態では、Xは、‐NHCO‐である。
【0014】
さらなる実施形態において、Hyは、単複素環が6~7個の環原子を有し、ここで2個はNであり、残りの環原子は炭素である、a)から選択される非芳香族環系、例えばピペラジン又はホモピペラジンなどである。
【0015】
さらなる実施形態において、Hyは、双複素環基が8~11個の環原子を有し、1~2個がNであり、0~1個がOであり、残りの環原子が炭素であるb)から選択される非芳香族環系である。
【0016】
さらなる実施形態において、Hyは、スピロ複素環基が8から11個の環原子を有し、2~3個の環原子がNであり、0~1の環原子がOであり、残りの環原子が炭素であるc)から選択される非芳香族環系である。
【0017】
さらなる実施形態において、Hyは、第1及び第2の単複素環が結合によって接続され、第1の単複素環が4~6個の環原子を有し、1~2個がNであり、0~1個がOであり、残りの環原子が炭素であり、第2の単複素環が4~6個の環原子を有し、1~2個がNであり、0~1個がO、残りの環原子が炭素であるd)から選択される非芳香族環系である。
【0018】
さらなる実施形態において、一般式Iの化合物は、式IIの化合物
【化2】

ここで
~Rは、水素、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルからなる群から独立して選択され、ただし、R~Rの少なくとも1つは水素ではない、
は、C1‐3‐Rから選択され、ここで、Rは、H、OH、SH、及びNHから選択される、
は、a)水素、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選ばれる1つ以上の基で置換されたアリール、ただし前記基のうち少なくとも1つは水素でない、b)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピリジル、c)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピロリジニル;d)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピラゾリル、e)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたチアゾリル、f)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC5‐7シクロアルキル;g)NHCONH;h)CONH、CON(CH、CF、及びC2‐4アルケンから選択される基で任意に置換されたC1‐3アルキル、からなる群から選択される、
Xは、‐CONH‐又は‐NHCO‐であるか、又は
X‐Rは一緒になってCONR’R’’であり、ここでR’とR’’は窒素と一緒になって、a)4‐7の環原子を有する単複素環であって、1~2個は窒素から、0~2個は酸素から選択され、残りの環原子は炭素であり、任意にオキソ、OH、C1‐3アルキル‐CNから選択される基で置換された単複素環、又はb)7~10個の環原子を有する双複素環基であって、1~4個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、任意にオキソ、OH、C1‐3アルキル‐CNから選択される基で置換された双複素環基、から選択される単複素環又は双複素環基を形成し、
【化3】

は、結合点として第1及び第2の窒素を有する非芳香族複素環系であり、これは、a)4~7個の環原子を有する単複素環であって、2~3個の環原子がNであり、0~1個の環原子がOであり、0~1個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素である単複素環、ただし該単複素環がピペラジンである場合、RはCHOHではないか又はXは‐CONH‐ではなく、単複素環の第1の窒素は式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、単複素環の第2の窒素は式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、b)縮合した第1及び第2の複素環を有する双複素環基であって、該双複素環基は6から12個の環原子を有し、2~4個の環原子がNであり、0~2個の環原子がOであり、0~2個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素である双複素環基、ここで第1の複素環の第1の窒素が式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の複素環の第2の窒素が式IのRとCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、c)接続され、1つの炭素原子を共有する第1及び第2の複素環を有するスピロ複素環基であって、該スピロ複素環基は6~12個の環原子を有し、2~4個の環原子がNであり、0~2個の環原子がOであり、0~2個の環原子がSであり、残りの環原子が炭素であるスピロ複素環基、ここで、第1の複素環の第1の窒素は、式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の複素環の第2の窒素は、式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、又はd)結合などのリンカーによって接続された第1及び第2の単複素環、各単複素環は、4~7個の環原子を有する単複素環から独立して選択され、1~3個の環原子はNであり、0~1個の環原子はOであり、0~1個の環原子はSであり、残りの環原子は炭素であり、第1の単複素環の第1の窒素は式Iの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、第2の単複素環の第2の窒素は式IのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合している、から選択される、又は
その薬学的に許容される塩又は溶媒和物である。
【0019】
さらなる実施形態において、式Iの化合物は以下の一つから選択される。
4‐クロロ‐N‐(3‐ヒドロキシ‐2‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}プロピル)ベンズアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐(3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジン‐1‐イル)ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐[(ジメチルカルバモイル)メチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
3‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド)ピロリジン‐1‐カルボキサミド、
N‐[2‐(ジメチルカルバモイル)エチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
5‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド)‐1H‐ピラゾール‐3‐カルボキサミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(2,2,2‐トリフルオロエチル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}‐N‐[4‐(トリフルオロメチル)フェニル]ブタンアミド、
N‐(5‐クロロピリジン‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(3‐メトキシフェニル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐アセトアミドフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(3‐アセトアミドフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐シアノフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(2‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(3‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐フルオロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
1‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタノイル)イミダゾリジン‐4‐オン、
4‐ヒドロキシ‐N‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐(ピラゾリジン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタン‐1‐オン、
4‐ヒドロキシ‐1‐(3‐ヒドロキシピロリジン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタン‐1‐オン、
2‐[1‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタノイル)ピロリジン‐3‐イル]アセトニトリル、
N‐(3‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐3‐イル)‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(1,2‐チアゾール‐5‐イル)‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐[(ジメチルカルバモイル)メチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(2‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(1H‐ピラゾール‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐シアノフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐{1H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[4,3‐c]ピリジン‐5‐イル}‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタン‐1‐オン、
4‐ヒドロキシ‐N‐[(1r,4r)‐4‐シアノシクロヘキシル]‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(カルバモイルアミノ)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐2‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐3‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}‐N‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(4‐メタンスルホニルフェニル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐{1H,4H,5H,6H,7H‐ピロロ[3,2‐c]ピリジン‐5‐イル}‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタン‐1‐オン;又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。上に列挙した化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物のそれぞれは、個々の実施形態であり、1つ又は複数の独立請求項の対象となり得る。
【0020】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は以下の一つから選択される。
4‐クロロ‐N‐(3‐ヒドロキシ‐2‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}プロピル)ベンズアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐ イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐(3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジン‐1‐イル)ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐[(ジメチルカルバモイル)メチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐[2‐(ジメチルカルバモイル)エチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(2,2,2‐トリフルオロエチル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}‐N‐[4‐(トリフルオロメチル)フェニル]ブタンアミド、
N‐(5‐クロロピリジン‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(3‐メトキシフェニル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐アセトアミドフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(3‐アセトアミドフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐シアノフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(2‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(3‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐フルオロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
1‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタノイル)イミダゾリジン‐4‐オン、
4‐ヒドロキシ‐N‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐(ピラゾリジン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタン‐1‐オン、
4‐ヒドロキシ‐1‐(3‐ヒドロキシピロリジン‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタン‐1‐オン、
2‐[1‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタノイル)ピロリジン‐3‐イル]アセトニトリル、
N‐(3‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐3‐イル)‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(1,2‐チアゾール‐5‐イル)‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐[(ジメチルカルバモイル)メチル]‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
N‐(2‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(1H‐ピラゾール‐1‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(4‐シアノフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐{1H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[4,3‐c]ピリジン‐5‐イル}‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H、3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタン‐1‐オン、
4‐ヒドロキシ‐N‐[(1r,4r)‐4‐シアノシクロヘキシル]‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
N‐(カルバモイルアミノ)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐2‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(ピリジン‐3‐イル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}‐N‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐N‐(4‐メタンスルホニルフェニル)‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド、
4‐ヒドロキシ‐1‐{1H,4H,5H,6H,7H‐ピロロ[3,2‐c]ピリジン‐5‐イル}‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタン‐1‐オン;又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0021】
本明細書に提示された化合物は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー、アトロピソマー、及びエピマー形態、並びにそれらの適切な混合物を含むことを意図している。
【0022】
第2の態様において、本発明は、医薬品として使用するため、及びそれを必要とする対象において、糖尿病又は前糖尿病を治療するための方法に使用するための、すなわち糖尿病又は前糖尿病の治療に使用するための、上記の態様又は実施形態のいずれか1つの化合物に関する。典型的には、糖尿病は2型である。本発明の関連する側面として、糖尿病又は前糖尿病を治療するための医薬の製造における、上記の側面又は実施形態のいずれか1つの化合物の使用を規定する。
【0023】
第3の態様では、本発明は、それを必要とする対象における糖尿病又は前糖尿病を治療するための方法に関するものである。本方法は、治療上有効な量の式I又はIIの化合物を対象に投与することを含む。
【0024】
第4の態様では、本発明は、それを必要とする対象における糖尿病の進行防止及び/又は糖尿病への前糖尿病の進行防止及び/又は糖尿病の逆転及び/又はβ細胞機能不全の逆転による糖尿病の逆転のための方法に関するものである。本方法は、治療有効量の式I又はIIの化合物を対象に投与することを含む。
【0025】
ヒト被験者の糖尿病又は前糖尿病を治療する十分な能力を有するために、式I又はIIの化合物は、VDAC1に対して高い親和性を有し、VDAC1の機能を阻害すべきである。この点で、VDAC1への特異的結合は、マイクロスケールサーモフォレーシス(MST)結合アッセイ、典型的には本明細書に記載のMSTアッセイにおいて測定した、15μM未満(ここで、μMはマイクロモルを意味する)、例えば、10μM未満、例えば5μM未満、好ましい実施形態では1μM未満のK値である。
【0026】
本発明のさらなる目的及び利点は、以下の説明、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、例4の化合物のMSTプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、電圧依存性アニオンチャネル1型(VDAC1)タンパク質に結合する式Iの化合物、及び糖尿病又は前糖尿病の治療におけるその使用に関するものである。
【0029】
VDAC1に結合する化合物は、VDAC1チャネルのコンダクタンスを低下させ、VDAC1を介した代謝物輸送を阻害し、特に膵臓β細胞の原形質膜に移動したVDAC1を阻害することができる。
【0030】
第1の側面において、本発明は一般式Iの化合物に関する
【化4】

ここで
~R、Hy及びXは、請求項1において定義された通りである。
【0031】
好ましい実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、CF、第4級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐6アルキルから選択され;R、R、R~Rは、水素である。さらなる好ましい実施形態では、R、R、R~Rは水素であり、RはOCFである。
【0032】
さらなる実施形態において、Rは、C1‐3‐Rから選択され、ここで、RはOHである。好ましい実施形態では、Rは、C1‐2‐Rから選択され、ここで、RはOHである。典型的には、RはCHCHOH又はCHOHである。
【0033】
さらなる実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1、2又は3つの基で置換されたフェニルであり、残りの置換基は水素である。典型的には、Rは、ハロゲン、CF、OCH、NHCOCH、CN、CH、及びSOCHから選択される1又は2つの基、例えば、1つの基で置換されたフェニルである。
【0034】
さらなる実施形態において、Rはピリジルである。別の実施形態では、Rは、1つ以上のハロゲンで置換されたピリジル、例えば、1つのハロゲン、例えば、1つのClで置換されたフェニルである。
【0035】
さらなる実施形態において、Rは、1つ以上のCONHで置換されたピロリジニルである。典型的な実施形態では、Rは、1つのCONHで置換されたピロリジニルである。
【0036】
さらなる実施形態において、Rは、ピラゾリルである。さらなる実施形態では、Rは、1つ又は2つのCONH、例えば1つのCONHで置換されたピラゾリルである。
【0037】
さらなる実施形態において、Rは、チアゾリルである。
さらなる実施形態では、Rは、1つ又は2つのCN、例えば、1つのCNで置換されたシクロヘキシルである。
【0038】
さらなる実施形態において、Rは、NHCONHである。
さらなる実施形態において、Rは、CON(CH、CF、及びC2アルケンから選択される1つの基で置換されたC1-2アルキルである。さらなる実施形態において、Rは、CON(CH、CF、及びCアルケンから選択される1つの基で置換されたCHである。別の実施形態では、Rは、CON(CHから選択される1つの基で置換されたCHCHである。
【0039】
1つの代替的な実施形態において、X‐Rは、一緒になってCONR’R’’であり、ここで、R’とR’’は、窒素と一緒になって、5つの環原子を有する単複素環基であって、1~2個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、任意に、オキソ、OH、CH‐CNから選択された基で置換された単複素環基を形成する。さらなる実施形態において、R’及びR’’は、窒素と一緒になって、5個の環原子を有する単複素環基であって、1~2個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素である単複素環基、例えばイミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリジニルを形成する。さらなる実施形態において、R’及びR’’は、窒素と一緒になって、5個の環原子を有する単複素環基であって、1~2個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素であり、1個又は2個の基、例えば、オキソ、OH、CH‐CNから選択される1個の基で置換された単複素環基、典型的には1個又は2個の基、例えば、オキソから選択される1個の基で置換されたイミダゾリジニル、又は1個又は2個の基、例えばOH、CH‐CNから選択される1個の基で置換されたピロリジニルを形成する。
【0040】
別の代替の実施形態において、X‐Rは、一緒になって、CONR’R’’であり、ここで、R’及びR’’は、窒素と一緒になって、9個の環原子を有する双複素環基であって、1~3個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素である双複素環基を形成する。さらなる実施形態では、R’及びR’’は、窒素と一緒になって、9個の環原子を有する双複素環基であって、3個が窒素から選択され、残りの環原子が炭素である双複素環基を形成する。典型的には双複素環基は、1H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[4,3‐c]ピリジニル、例えば、1H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[4,3‐c]ピリジン‐5‐イルである。
【0041】
さらなる実施形態において、Xは、‐CONH‐である。別の実施形態では、Xは、‐NHCO‐である。
さらなる実施形態において、Hyは、単複素環が6個の環原子を有し、ここで2個はNであり、残りの環原子は炭素であるa)から選択される非芳香族環系であり、例えばピペラジン、典型的には、ピペラジン‐1‐イルである。別の実施形態では、Hyは、単複素環が7個の環原子を有し、ここで2個がNであり、残りの環原子が炭素であるa)から選択される非芳香族環系であり、例えば、ホモピペラジン、典型的には、1,4‐ジアゼパン‐1‐イルである。
【0042】
さらなる実施形態において、Hyは、双複素環基が8個の環原子を有し、ここで2個がNであり、残りの環原子が炭素であるb)から選択される非芳香族環系であり、例えば1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール又はオクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロールである。
【0043】
さらなる実施形態では、Hyは、双複素環基が9個の環原子を有し、ここで2個がNであり、残りの環原子が炭素であるb)から選択される非芳香族環系であり、例えばオクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジニルである。
【0044】
さらなる実施形態において、Hyは、スピロ複素環基が、8個の環原子を有し、ここで2個の環原子がNであり、残りの環原子が炭素であるc)から選択される非芳香族環系であり、例えば2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタニルである。
さらなる実施形態では、Hyは、スピロ複素環基が、10個の環原子を有し、ここで2個の環原子がNであり、1個の環原子がOであり、残りの環原子が炭素であるc)から選択される非芳香族環系であり、例えば6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカニルである。
【0045】
いくつかの実施形態では、Hyはc)から選択される非芳香族環系から選択され、そのような状況では、Rが、a)水素、ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキル(ただし前記基の少なくとも1つは水素でない)から選択される1つ以上の基で置換されたアリール、b)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピリジル、c)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピロリジニル;d)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたピラゾリル、e)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたチアゾリル、f)ハロゲン、CN、C1‐3アルキル、NO、CONH、NHCO‐C1‐3アルキル、CF、第三級アンモニウム、COOH、COO‐C1‐6アルキル、OC1‐3アルキル、OCF、SCF、SO‐C1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC5‐7シクロアルキル;g)NHCONH;h)CONH、CON(CH、CF及びC2‐4アルケンから選択される基で任意に置換されたC1‐3アルキルからなる群から選択されることが好ましい。
【0046】
さらなる実施形態において、3‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド)‐ピロリジン‐1‐カルボキサミドは放棄される。
【0047】
さらなる実施形態において、5‐(4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミド)‐1H‐ピラゾール‐3‐カルボキサミドは放棄される。
【0048】
さらなる実施形態において、Hyは、スピロ複素環基が、11個の環原子を有し、2個の環原子がNであり、残りの環原子が炭素であるc)から選択される非芳香族環系、例えば2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカニルである。
【0049】
さらなる実施形態において、Hyは、第1及び第2の単複素環が結合によって接続され、第1の単複素環が4個の環原子を有し、1個がNであり、残りの環原子が炭素であり、第2の単複素環が6個の環原子を有し、1個がNであり、残りの環原子が炭素であるd)から選択される非芳香族環系、例えばアゼチジン‐3‐イルピペリジニルである。
【0050】
さらなる実施形態において、一般式Iの化合物は式IIの化合物であり、
【化5】

ここで
~R及びXは、請求項1において定義された通りである。式Iの化合物に関するifrstの態様に関連して上述したすべての実施形態は、式IIの化合物の実施形態でもある。
【0051】
式IIにおいて
【化6】

は、上記及び請求項1において定義されるHyの特定の実施形態であり、第1の窒素及び第2の窒素と称される2つの窒素原子が存在する。第1の窒素は、式IIの置換基R~Rを有するフェニル環に結合した窒素として定義され、第2の窒素は、式IIのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合した窒素として定義される。その結果、Hyのこの特定の実施形態において、単複素環、双複素環基、スピロ複素環基、又は結合などのリンカーによって接続された第1及び第2の単複素環のいずれかの1つの窒素が、式IIの置換基R~Rを有するフェニル環に結合し、単複素環、双複素環基、スピロ複素環基、又は結合などのリンカーによって接続された第1及び第2の単複素環のいずれかの第2の窒素が、式IIのR及びCH‐X‐Rに連結した炭素原子に結合し、第1及び第2の窒素は明らかに同一ではありえないが、用語の第1及び第2の窒素は、上記の複素環が追加の窒素(N)、酸素(O)及び/又はイオウ(S)を含有することができないという意味に解釈されるべきではない。
【0052】
各化合物のIUPAC名と対応する化学構造を下表に示す。
【0053】
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】

【表1-7】

【表1-8】

【表1-9】

【表1-10】

【表1-11】

【表1-12】

【表1-13】
【0054】
第2の側面において、本発明は、医薬品として使用するための、及びそれを必要とする対象において、糖尿病又は前糖尿病を治療するための方法において使用するための、上記の側面又は実施形態のいずれか1つに記載の化合物に関する。典型的には、糖尿病は2型である。好ましい実施形態では、式I又はIIの化合物は、MSTアッセイにおいて、15μM未満、又は10μM未満、例えば5μM未満、例えば1μM未満のK値でVDAC1に結合する。
【0055】
第3の態様において、本発明は、それを必要とする対象における糖尿病又は前糖尿病の治療方法に関し、本方法は、治療有効量の式I又はIIの化合物を対象に投与することを含む。実施形態では、糖尿病又は前糖尿病を治療することは、2型糖尿病におけるインスリン抵抗性などのインスリン抵抗性の治療;グルコース刺激インスリン分泌の誘導;グルコース耐性改善;糖尿病を患う対象の膵臓β細胞からのインスリン分泌回復;及びβ細胞機能障害の予防の少なくとも1つを含む。
【0056】
第4の態様では、本発明は、それを必要とする対象における糖尿病の進行防止及び/又は糖尿病への前糖尿病の進行防止及び/又は糖尿病の逆転及び/又はβ細胞機能障害の逆転による糖尿病の逆転のための方法に関し、本方法は、治療有効量の式I又はIIの化合物を対象に投与することを含む。
【0057】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語は、Cl、F、I又はBrを意味する。
本明細書で使用される用語「第四級アンモニウム」は、NH 又はN(CH などの、4つの価数結合を有する窒素を意味する。
本明細書で使用される用語「C1‐xアルキル」は、1~x個の炭素原子を含む直鎖アルキル基、例えばC1‐3又はC1‐6、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル等を意味する。
本明細書で使用される用語「C5‐7シクロアルキル」は、5~7個の炭素原子を含む環状アルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルなどを意味する。
本明細書で使用される用語「C2‐4アルケニル」は、2~4個の炭素原子を有し、1個の二重結合を含む直鎖アルケニルを意味し、例えばエテニルなどがある。
本明細書で使用される用語「オキソ」は、二重結合を有する酸素原子を意味し、=Oとしても示される。
【0058】
本明細書で使用される用語「COO‐C1‐6アルキル、SO‐C1‐6アルキル、NHCO‐C1‐3アルキル、OC1‐3アルキル、SO‐C1‐3アルキル」は、COO、SO、NHCO、O又はSOから選択される基であって、上記に定義したC1‐xアルキルが結合しているものを意味する。
本明細書で使用される用語「C1‐3アルキル‐CN」は、炭素原子の1つに結合したCNを有する上記で定義されたC1‐xアルキルを意味する。
【0059】
本明細書で使用される用語「アリール」は、フェニル又はナフチルなどの6~12個の炭素原子を含む単環式又は二環式芳香族環系を意味する。
本明細書で使用される用語「単複素環」は、炭素原子と、N、O又はSなどの少なくとも1つのヘテロ原子とを含む1つの環を意味する。
【0060】
本明細書で使用する用語「双複素環基」とは、互いに縮合し、2つの環原子を共有する2つの単複素環であって、それぞれが炭素原子と、N、O又はSなどの少なくとも1つのヘテロ原子とを含むものを意味する。
単複素環、双複素環基、スピロ複素環基、又は結合などのリンカーによって接続された第1及び第2の単複素環に関連して本明細書で使用する用語「非芳香族複素環系」は、飽和又は一部不飽和系を意味するが、複素環のいずれも芳香族ではないことが条件である。
【0061】
本明細書で使用する「VDAC」という用語は、ミトコンドリアポリンとして高度に保存されたファミリーの電圧依存性アニオンチャネルタンパク質を意味する。現在までに、3つの遺伝子によってコードされる3つのVDACアイソフォーム、VDACタイプ1(VDAC1)、VDACタイプ2(VDAC2)及びVDACタイプ3(VDAC3)が公知である。本明細書で使用する場合、「VDAC1」という用語は283個のアミノ酸を含む哺乳類VDAC1、特にヒトVDAC1を意味する(NP_003365)(Shoshan‐Barmatz V et al.,2010.Molecular aspects of medicine 31:227‐285).
【0062】
本明細書に開示された式I又はIIの化合物及び医薬組成物が上記治療のために使用される場合、少なくとも1つの化合物の治療有効量が、前記治療を必要とする哺乳動物に投与される。
【0063】
本明細書で使用する「治療」及び「治療する」という用語は、疾患又は障害などの状態に対抗する目的で、患者を管理及びケアすることを意味する。この用語は、患者が苦しんでいる所定の状態に対する治療の全範囲を含むことを意図しており、例えば、症状又は合併症を緩和するための、疾患、障害又は状態の進行を遅延させるための、症状及び合併症を緩和又は軽減するための、及び/又は疾患、障害又は状態を治癒又は除去するための、並びに状態を予防するための活性化合物の投与であり、ここで予防とは、疾患、状態又は障害と闘うための患者の管理及びケアと理解されるべきであり、症状又は合併症の発症を予防するための活性化合物の投与が含まれる。治療は、急性の方法で行われても、慢性の方法で行われてもよい。治療すべき患者は、好ましくは哺乳類;特に、ヒトであるが、動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ ラット、マウス、ウサギ、モルモット(guienna pig)を含んでもよい。
【0064】
本明細書で使用する本発明の使用のための化合物の「治療有効量」という用語は、所定の疾患及びその合併症の臨床症状を治癒、緩和又は部分的に停止させるのに十分な量を意味する。これを達成するのに十分な量は、「治療有効量」と定義される。各目的に対する有効量は、被験者の体重及び一般的な状態と同様に、疾患又は損傷の重症度に依存するであろう。適切な投与量の決定は、日常的な実験を用いて、数値のマトリックスを構築し、マトリックス内の異なる点をテストすることによって達成できることが理解されるであろうが、これはすべて訓練を受けた医師又は獣医の通常の技能の範囲内である。
【0065】
さらなる態様において、本発明は、式I又はIIの化合物及び任意に担体又は賦形剤などの薬学的に許容される添加物を含む医薬組成物に関するものである。
【0066】
本明細書で使用される「薬学的に許容される添加物」は、医薬組成物を作るために本発明の化合物を製剤化する際に当業者が使用を検討するであろう担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、着色剤、香料、保存剤等を含むことが限定されることなく意図されている。
【0067】
本発明の組成物に使用することができるアジュバント、希釈剤、賦形剤及び/又は担体は、式I又はIIの化合物及び医薬組成物の他の成分と適合し、その受容者に有害でないという意味で薬学的に許容されるものでなければならない。組成物は、アレルギー反応のような有害反応を引き起こす可能性のある材料を含有してはならないことが好ましい。本発明の医薬組成物に使用することができるアジュバント、希釈剤、賦形剤及び担体は、当業者にはよく知られている。
【0068】
上述のように、本明細書に開示される組成物、特に医薬組成物は、本明細書に開示される式I又はIIの化合物に加えて、少なくとも1つの薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤及び/又は担体を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1~99重量%の前記少なくとも1つの薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤及び/又は担体と、1~99重量%の本明細書に開示される式I又はIIの化合物を含む。活性成分と、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、賦形剤及び/又は担体との合計量は、組成物、特に医薬組成物の100重量%を超えない。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような式I又はIIの1つの化合物のみが、上記で論じた目的のために使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような式I又はIIの化合物の2つ以上が、上記で論じた目的のために組み合わせて使用される。
【0070】
本明細書に記載の組成物、特に化合物を含む医薬組成物は、経口、静脈内、局所、腹腔内、鼻腔、頬、舌下、又は皮下投与のために、あるいは例えばエアゾール又は空気懸濁微粉末の形態で呼吸器を介した投与のために適合され得る。したがって、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、粉末、ナノ粒子、結晶、非晶質物質、溶液、経皮パッチ又は坐薬の形態であってもよい。
【0071】
プロセスのさらなる実施形態は、本明細書の実験セクションに記載されており、個々のプロセスだけでなく、各出発材料も、実施形態の一部を形成し得る実施形態を構成している。
【0072】
上記の実施形態は、実施形態が本発明の特定の側面又は態様に関連することが明記されていない限り、本明細書に記載された態様(例えば、「治療のための方法」、「医薬組成物」、「医薬品として使用するための式I又はIIの化合物」、「方法における使用のための式I又はIIの化合物」など)のいずれか1つ並びに本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを指すものとしてみなされるべきである。
【0073】
本書に引用された刊行物、特許出願及び特許を含むすべての文献は、各文献が参照により組み込まれることが個別にかつ明確に示され、その全体が本書に記載された場合と同じ程度まで、参照により組み込まれるものとする。
【0074】
すべての見出し及び小見出しは、本明細書において便宜上でのみ使用され、いかなる方法においても本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
そのすべての可能な変形における上述した要素の任意の組み合わせは、本明細書に別途示されるか、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0075】
本発明を説明する文脈で使用される用語「1つの」(「a」及び「an」)並びに「その」(「the」)及び同様の参照語は、本明細書に別途示されるか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方をカバーするように解釈されるものとする。
【0076】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、両方の選択肢を意味すると同時に、各選択肢を個別に意味することを意図している。例えば、「xxx及び/又はyyy」という表現は、「xxx及びyyy;xxx;又はyyy」を意味し、3つの選択肢はすべて、個別の実施形態の対象となる。
【0077】
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書において他の方法で示されない限り、範囲内に入る各別の値を個別に参照するための省略法として役立つことを単に意図しており、各別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み入れられる。特に断らない限り、本明細書で提供されるすべての正確な値は、対応する近似値の代表である(例えば、特定の要因又は測定に関して提供されるすべての正確な例示的値は、必要に応じて「約」によって修飾された、対応する近似測定値も提供すると考えることができる)。
【0078】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で他に示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。
本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く照明することを意図しており、特に示されない限り、本発明の範囲に制限をもたらすものではない。本明細書におけるいかなる文言も、明示的に記載されていない限り、いかなる要素も本発明の実施に必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0079】
本書に記載されている特許文献の引用及び組み込みは、便宜上だけのものであり、当該特許文献の有効性、特許性及び/又は実行可能性に関するいかなる見解も反映するものではない。
【0080】
要素(単数)又は要素(複数)に関して「含む」(comprising)、「有する」(having)、「包含する」(including)又は「含有する」(containing)などの用語を使用する本発明の任意の態様又は実施形態の本明細書の説明は、他に記載があるか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、その特定の要素(単数)又は要素(複数)「からなる」、「から本質的になる」又は「を実質的に含む」本発明の同様の態様又は実施形態に対するサポートを与えることを意図する(例えば、特定の要素を含むものとして本明細書に記載される組成物は、他に記載があるか又は文脈によって明らかに矛盾する場合を除いて、その要素から成る組成物をも記載するものとして理解されるべきである)。本発明は、適用される法律で許可される最大限の範囲において、本明細書に提示される局面又は特許請求の範囲に記載される主題のすべての変更及び均等物を含むものである。
【0081】
本発明は、以下の例によってさらに説明されるが、これらは保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。前述の説明及び以下の例に開示された特徴は、別々に、及びその任意の組み合わせの両方で、本発明をその多様な形態で実現するための材料となり得る。
【実施例
【0082】
MSTアッセイとデータ
マイクロスケール熱泳動(MST)は、IR‐レーザーによる温度変化の結果として蛍光シグナルの変化を検出することで、2分子間の相互作用の強さ(親和性)を測定する生物物理学的手法である。蛍光シグナルの変化の幅は、リガンドと蛍光標的の結合度と相関している。これにより、溶液中の分子間相互作用をマイクロリットルスケールで高感度に定量分析することができる。MSTシグナルは、TRIC効果と熱泳動という2つの大きな要因から構成されている。TRICとはTemperature‐Related Intensity‐Change(温度による強度変化)の略で、蛍光体の蛍光強度が溶液の局所温度にどのように依存するかを表している。大半の蛍光体において、蛍光強度は温度の上昇とともに減少する。しかし、最も重要なことは、温度依存性の程度が蛍光体の化学環境と強く関係していることである。この環境は、蛍光標識された標的分子へのリガンド分子の結合(構造変化又はリガンドと色素の近接を介した)によって敏感に影響される。MSTシグナルの第二成分である熱泳動は、温度勾配に沿った分子の動きを記述し、その結果、標的分子の局所濃度の定量的な変化をもたらす。MSTではこれらの標的分子が蛍光標識されているため、このような濃度変化は蛍光測定によって簡単にモニターすることができる。このような分子の指向性運動は、分子のサイズ、電荷、水和殻に依存する。リガンドが標的分子に結合すると、これらのパラメータのうち少なくとも1つが変化し、その結果、標的‐リガンド複合体の熱泳動運動が、単一分子だけの場合と比較して変化するのである。つまり、TRICと熱泳動の両方がMSTシグナル全体に寄与しており、このシグナルは蛍光測定によって検出される。この強固な物理原理と直接モニタリングにより、MSTは低分子、タンパク質、ペプチド、DNA、糖、又は分子複合体の、ほとんどあらゆる種類の分子間相互作用や修飾の親和性や結合強度を決定するために利用することができる。
【0083】
MSTの背後にある物理原理の詳細な説明については、以下を参照されたい(Jerabek‐Willemsen M,Andre T,Wanner A,Roth HM,Duhr S,Baaske P,Breitsprecher D(2014).“MicroScale Thermophoresis:Interaction analysis and beyond”(マイクロスケール熱泳動:相互作用解析とその先にあるもの).Journal of Molecular Structure1077:101‐113 及び Jerabek‐Willemsen M,Wienken CJ,Braun D,Baaske P,Duhr S(2011).“Molecular interaction studies using microscale thermophoresis”(マイクロスケール熱泳動による分子間相互作用研究).Assay and Drug Development Technologies.9(4):342‐53)。
【0084】
組換えVDAC1の標識化
再構成N末端His‐GSTタグ付き大腸菌組換えヒトVDAC1(hVDAC1)は、Tris凍結乾燥バッファーの一級アミンがNHSベースの標識化を阻害するため、タンパク質標識化バッファーにバッファー交換された。標識化バッファーは、タンパク質データシート(LSBio LS‐G25810)に記載されているように、標的タンパク質の保存バッファーになるべく近いものを使用した。TrisはHEPESに置き換えた。最終色素除去ステップでのタンパク質回収率を高めるため、PLURONIC(登録商標)F‐127を0.05%に添加した。標識化バッチの総量は100μLであった。標識時間は30分であった。標識反応は室温で行った。未結合又は未反応の色素は、重力流ゲルろ過カラム(GE Healthcare,PD Minitrap G‐25,GE28‐9180‐07)で標識タンパク質から分離された。最終的な標的バッファーは、可能な限りオリジナルのタンパク質保存バッファーに近づけた。それはHEPESの代わりに再びTrisを含んでいた。
【0085】
アッセイ検証
技術的なアッセイ確立の第一段階は、いわゆる「ノイズテスト」であった。このテストでは、標識された標的タンパク質の固有MST‐ノイズをテストした。その後、参照化合物又は陽性対照(CAS番号:2086257‐77‐2)が、以前に報告されたVDAC1結合を確認するために特性評価された(Zhang et al(2019))Preserving Insulin Secretion in Diabetes by Inhibiting VDAC1 Overexpression and Surface Translocation in βCells(β細胞におけるVDAC1過剰発現及び表面転位を抑制することによる糖尿病におけるインスリン分泌の維持).Cell Metabolism 29,64‐77.)。つまり、CAS番号:2086257‐77‐2を有する化合物の連続希釈液を、反応混合物(アッセイバッファー)の最終バッファー条件と一致するように調製したのである。リガンドの最高濃度は10.0mM、最低濃度は4.88μMであった。合計12回の希釈ステップを準備した。連続希釈液は、各希釈ステップの0.1μlを9.9μlの蛍光標的分子(標識VDAC1)と混合し、各ステップについて総量10μLで調製した。プレミアムコートされたMSTキャピラリーに充填された最終反応混合物には、それぞれの量のリガンド(最大濃度100μM、最小濃度41nM)と一定の5nMの蛍光標的分子が含まれていた。サンプルはNT.Automated instrument(Nanotemper Technologies,Munich)を用いて、25℃、10%のLEDパワーと40%のレーザーパワーで分析された。
確立された陽性対照の再現性をテストするために、アッセイサンプル調製の前に、標識VDAC1を用いて4℃で0、2、4、6時間の相互作用がテストされた。
【0086】
スクリーニングアッセイ
Labcyte Echo 550音響ナノリットルディスペンサーを使用して、化合物の連続希釈液を調製した。10mM DMSO化合物ストックをLabCyte LP‐0200 384‐ウェルプレート(「ソースプレート」)に移した。Greiner 784201 384ウェルプレート(「デスティネーションプレート」)の隣接する12ウェル(例:A1‐A12)に、化合物の連続減容シリーズを分注した:100、50、25、12.5、7.5、2.5、1.56、0.78、0.41、0.20、0.08、0.04nL(1nL以下の容量は、化合物の中間DMSO希釈液から分注した)。その後、各ウェルを総量100nLまで充填することによりDMSOバックフィルを行った。このデスティネーションプレートをヒートシールで密封し、使用時まで室温で保存した。
【0087】
化合物の連続希釈液に加えて、DMSOの連続減容シリーズ(上記と同じ容量)を分注し、DMSOで100nLまでバックフィルして、同様の方法でDMSOリファレンスを作成した。
【0088】
ハイスループット化合物スクリーニングは、以下のように行った。100μLの標識VDAC1ストックを解凍し、遠心分離(15分、21000xg、4℃)し、90μLの上清を使用した。解凍・遠心分離した標識VDAC1ストックは、氷上で最大6時間保存した。6時間後、新鮮な標識ストックを解凍し、上記と同様に遠心分離した。CAS番号:2086257‐77‐2の陽性対照テストを上記と同様に調製した。アッセイ検証のための陽性対照は、6時間ごとに、新鮮な標識VDAC1ストックを解凍した後に実施した。陽性対照は、化合物全セットの測定後にも行った。化合物例1‐10のスクリーニングでは、標識VDAC1ストックをアッセイバッファーで5.05nMに希釈し(表1参照)、事前に分注した化合物プレートに添加した。Opentrons OT‐2リキッドハンドリングロボットを用いて、希釈したVDAC1ストックを1ウェルあたり10μL添加した。一度に4つの24本キャピラリーチップ(12データポイントの連続希釈で8リガンド分のキャピラリー)にサンプル溶液を充填した(プレミアムコーティングキャピラリー、Nanotemper Technologies、ミュンヘン、ドイツ)。充填したキャピラリーを室温で10分間インキュベートした。キャピラリーチップ4枚(連続希釈で合計8リガンド)をNT.Automated MST装置(Nanotemper Technologies,Munich,Germany)に装填し、表1に示す設定で測定した。12個のpデータポイントDMSOリファレンスも同様に分析した。
【0089】
【表2】
【0090】
データ解析
試験したリガンド化合物は、バインダー、弱バインダー、非バインダーのカテゴリーに分類された。データの解析には、MO.AffinityAnalysis(バージョン2.2.6.5385,Nanotemper Technologies,Munich,Germany)とMO.ScreeningAnalysis(バージョン1.0.2.8057,Nanotemper Technologies,Munich,Germany)を使用した。MSTトレース(蛍光vs時間)を,時間間隔-3~0秒(レーザーオフ,「コールド」時間間隔)及び+1.5~+2.5秒(レーザーオン,「ホット」時間間隔)で分析した.FnormデータをKDモデルに当てはめた。
【0091】
分析されたリガンドをあらかじめ定義されたカテゴリーに分類するために、12ポイントのDMSOブランク対照がスクリーンに含まれていた。このブランク対照のノイズは1.35Fnormユニット(2・STDE(Fnorm))であった。したがって、バインダーと弱バインダーの分類には、最低でも>(2ノイズ)(>2.7)のFnorm信号振幅が必要であった。
【0092】
例4の典型的なMSTプロットを図1に示す(MSTプロットは例4の化合物;K5.1μM(S/N20.1;dFnorm23.9)である)。
【0093】
【表3】
【0094】

使用した略語
【表4】
【0095】
1.HPLC精製
精製は、HPLC(HO‐MeOH;Agilent 1260 Infinityシステム(DADと質量分析計を搭載)で行った。Waters Sunfire C18 OBD Prep Column,100Å,5μm,19mmX100mm、SunFire C18 Prep Guardカートリッジ付、100Å、10μm,19mmX10mm)。材料を0.7mL DMSOに溶解させた。フロー:30mL/分。得られたフラクションの純度は、分析用LCMSを介して確認した。スペクトルは、溶液の形態でクロマトグラフィー後に直接得られた各フラクションについて記録された。溶媒は、80℃のN流の中で蒸発させた。クロマトグラフィー後のLCMS分析に基づき、フラクションを統一した。固体フラクションを0.5mL MeOHに溶解し、あらかじめ計量した標識バイアルに移した。得られた溶液を再び80℃のN流下で蒸発させた。乾燥後、最終的にLCMSとH NMRで生成物を特性評価した。
【0096】
2.分析方法
NMR
装置の仕様
Bruker AVANCE DRX 500
Varian UNITYplus 400
【0097】
LC/MS
装置の仕様
Agilent 1100シリーズLC/MSDシステム、DAD/ELSD及びAgilent LC/MSD VL(G1956A),SL(G1956B)質量分析計付き。
Agilent 1200シリーズLC/MSDシステム、DAD/ELSD及びAgilent LC/MSD SL(G6130A),SL(G6140A)質量分析計付き。
LC/MSデータはすべてポジティブ/ネガティブモード切り替えで取得した。
【0098】
カラム Zorbax SB‐C18 1.8μm 4.6x15mm 高速解像度カートリッジ(PN821975‐932)
移動相А‐アセトニトリル、0.1%ギ酸
В‐水(0.1%ギ酸)
流速 3ml/分
グラジエント 0分‐100%B
0.01分‐100%B
1.5分‐0%B
1.8分‐0%B
1.81分‐100%B
注入量 1μl
イオン化モード 常圧化学イオン化(APCI)
スキャン範囲 m/z 80‐1000
【0099】
3.実験
特に断りのない限り、すべての化合物はラセミ体として単離された。
【0100】
4‐クロロ‐N‐(3‐ヒドロキシ‐2‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}プロピル)ベンズアミドの合成 例1
ステップ1:4‐クロロ‐N‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イル)ベンズアミドの合成
【化7】

プロパ‐2‐エン‐1‐アミン(1.48g、25.97mmol)をCHCl(30mL)に溶解させた。4‐クロロベンゾイルクロリド(5.0g、28.57mmol)及びトリエチルアミン(5.78g、57.13mmol)を加え、混合物を窒素下室温で2日間攪拌した。次に、NaOH水溶液(1M、30mL)を加え、混合物をCHCl(2×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5:1 ヘキサン/EtOAc,Rf=0.10)で精製し、4‐クロロ‐N‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イル)ベンズアミド(4.46g、22.8mmol、87.8%収率)を黄色固体として得た。
【0101】
ステップ2:4‐クロロ‐N‐(2,3‐ジヒドロキシプロピル)ベンズアミドの合成
【化8】

4‐クロロ‐N‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イル)ベンズアミド(4.4g、22.49mmol)の2:1アセトニトリル/水溶液(100mL:50mL)中の撹拌溶液に、0℃で4‐メチルモルホリン‐4‐イウム‐4‐オラート(5.27g、44.98mmol)、続いてテトラオキソオスミウム(114.35mg、449.79μmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応を亜硫酸ナトリウム(25g)の添加によりクエンチし、水(60mL)で希釈した。次いで水溶液をEtOAc(3×90mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮して、4‐クロロ‐N‐(2,3‐ジヒドロキシプロピル)ベンズアミド(4.45g、19.38mmol、86.2%収率)を結晶性固形物として得た。
【0102】
ステップ3:N‐{3‐[(tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ]‐2‐ヒドロキシプロピル}‐4‐クロロベンズアミドの合成
【化9】

4‐クロロ‐N‐(2,3‐ジヒドロキシプロピル)ベンズアミド(3.92g、17.07mmol)をCHCl(600mL)中に懸濁した。CHCl(10mL)中のtert‐ブチル(クロロ)ジメチルシラン(2.86g、18.95mmol)を撹拌下で加え、続いてトリエチルアミン(2.07g、20.48mmol)及びN,N‐ジメチルピリジン‐4‐アミン(83.41mg、682.71μmol)を添加した。混合物を36時間撹拌した後、水(100mL)で振とうした。水相をCHCl(70mL)で洗浄し、合わせた有機相を合わせ、ブライン(2×50mL)で洗浄し、次いでNaSO上で乾燥させた。溶液を減圧下で濃縮し、油状残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 1/1、Rf=0.42)で精製して、N‐3‐[(tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ]‐2‐ヒドロキシプロピル‐4‐クロロベンズアミド(2.61g、7.59mmol、44.5%収率)を無色油状で得た。
【0103】
ステップ4:N‐{3‐[(tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ]‐2‐オキソプロピル}‐4‐クロロベンズアミドの合成
【化10】

1,1,1‐トリス(アセトキシ)‐1,1‐ジヒドロ‐1,2‐ベンズヨードキソール‐3(1H)‐オン(493.73mg、1.16mmol)の無水ジクロロメタン(5mL)中の溶液に、無水ジクロロメタン(5mL)中のN‐3‐[(tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ]‐2‐ヒドロキシプロピル‐4‐クロロベンズアミド(400.35mg、1.16mmol)溶液を室温で加えた。得られた混合物を室温で12時間撹拌した後、真空中で蒸発させて初期容量の1/3にし、シリカを充填したカラムに適用した。酢酸エチル‐石油エーテル混合溶媒(1/1)で溶出すると、N‐3‐[(tert‐ブチルジメチル)オキシ]‐2‐オキシプロピル‐4‐クロロベンザミド(400.0mg、1.17mmol、100.5%収率)が無色油状で得られた。
【0104】
ステップ5:4‐クロロ‐N‐(3‐ヒドロキシ‐2‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}プロピル)ベンズアミドの合成
【化11】

1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(345.89mg、1.4mmol)に、N‐3‐[(tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ]‐2‐オキソプロピル‐4‐クロロベンズアミド(400.24mg、1.17mmol)のMeOH(10mL)中溶液に添加し、反応混合物を室温で15分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(73.56mg、1.17mmol)を加え、48時間撹拌を続け、次いで減圧下で濃縮して乾燥させた。残渣をCHCl(10mL)に溶解し、10%HCl(10mL)を加え、混合物を室温で2時間撹拌し、CHClを分離し、水層をCHCl(10mL)で洗浄した。有機層を合わせ、水層を固体NaHCOでpH=8までトリチュレートした。粗生成物をCHCl(3×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSO下で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を逆分取HPLCで精製し、4‐クロロ‐N‐(3‐ヒドロキシ‐2‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルプロピル)ベンズアミド(29.0mg、63.34μmol、5.4%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos)。[M+H]=458.2/460.2
【0105】
N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタンアミドの合成例2
ステップ1A:エチル(2E)‐5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)ペンタ‐2‐エノアートの合成
【化12】

THF(30mL)中の水素化ナトリウム(420.47mg、17.52mmol)の撹拌懸濁液に、0℃で2‐(ジエチルホスホノ)酢酸エチル(3.93g、17.52mmol)を添加した。反応混合物を15分間撹拌し、次いでTHF(5mL)中の3‐(アリルオキシ)プロパナール(2.0g、17.52mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後THF溶液を真空中で蒸発させ、エチル(2E)‐5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)ペンタ‐2‐エノアート(3.1g、16.83mmol、96%収率)を無色油状で得た。これはさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0106】
ステップ1B:tert‐ブチル4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐カルボキシラートの合成
【化13】

トルエン(500mL)中の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(24.1g、100.0mmol)の溶液に、tert‐ブチルピペラジン‐1‐カルボキシラート(16.76g、90.0mmol)、トリス((4E)‐1,5‐ジフェニルペンタ‐1,4‐ジエン‐3‐オン)ジパラジウム(2.29g、2.5mmol)、1‐[2‐(ジフェニルホスファニル)ナフタレン‐1‐イル]ナフタレン‐2‐イルジフェニルホスファン(3.11g、5.0mmol)及びナトリウムtert‐ブトキシド(19.22g、200.0mmol)を順次添加した。混合物をAr雰囲気下で一晩還流させた。溶媒を蒸発させて、粗tert‐ブチル4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐カルボキシラート(63.0g、181.9mmol、181.9%収率)を残渣として得た。これをさらに精製することなく、そのまま次のステップに使用した。
【0107】
ステップ 2:5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタン酸エチルの合成
【化14】

乾燥MeOH(10mL)中のエチル(2E)‐5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)ペンタ‐2‐エノアート(2.0g、10.86mmol)の溶液に1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(2.67g、10.86mmol)を加えて、反応混合物を室温で一晩、その後還流させて6時間攪拌した。反応混合物を蒸発させ、粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離液 DCM/EtOAC=1/1、Rf=0.65)により精製して、5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタン酸エチル(2.9g、6.74mmol、62.1%収量)を得た。これはさらに精製することなく次のステップで使用された。
【0108】
ステップ3:5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタン酸の合成
【化15】

MeOH及び水(60ml、4/1)中のエチル5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタノアート(2.9g、6.74mmol)のサスペンションに水酸化ナトリウム(480.0mg、12.0mmol)の水(3mL)中溶液を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した後、硫酸水素ナトリウム(1.52g、12.67mmol)を加え、反応混合物を1時間撹拌し、蒸発して乾燥させた。粗生成物をMTBE(100mL)に溶解し、水(3x25)で洗浄し、蒸発させて、5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタン酸(2.2g、5.47mmol、81.2%収率)を黄色のオイルとして得、これは精製せずに次に使用した。
【0109】
ステップ4:N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタンアミドの合成
【化16】

DCM(30mL)中の5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタン酸(2.2g、5.47mmol)の撹拌溶液に、塩化オキサリル(693.93mg、5.47mmol)を滴下して加え、反応混合物を室温にて1時間撹拌した。この後、反応混合物を蒸発させ、残渣をDCM(30mL)に溶解し、次いで4‐クロロアニリン(697.46mg、5.47mmol)及びトリエチルアミン(1.38g、13.67mmol、1.91ml)を加え、撹拌を室温で2時間継続させた。反応混合物を水(3×30mL)で洗浄し、蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液ヘキサン/EtOAc=1/1、Rf=0.36)により精製して、粗N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタンアミド(1.21g、2.36mmol、43.2%収穫)を黄色オイルとして得た。粗物質をさらに逆相HPLCで精製し、純粋な表題化合物を得た。
【0110】
ステップ5:N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イル}ペンタンアミドの合成
【化17】

N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐(プロパ‐2‐エン‐1‐イルオキシ)‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタンアミド(511.0mg、998.12μmol)、1,3‐ジメチル‐1,3‐ジアジナン‐2,4,6‐トリオン(314.48mg、2.01mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(57.76mg、49.81μmol)及び乾燥THF(4mL)の混合物を、アルゴン雰囲気下、密閉管内で90℃に加熱した。同温度で24時間撹拌した後、反応混合物を飽和NaCO水溶液中に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗生成物を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐5‐ヒドロキシ‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン‐1‐イルペンタンアミド(151.9mg、321.89μmol、32%収量)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=472.2/474.2
【0111】
出発物質の合成
以下の例において、p‐トリフルオロメトキシフェニルアミノイル出発物質は、市販の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼンと関連アミンから、例2、ステップ1Bに記載と同様の方法で合成された。関連アミンは、例えばtert‐ブチルオキシカルバモイル、ベンジルオキシカルボニル基などの開裂可能な保護基で保護されていてもよい。あるいは、p‐トリフルオロメトキシフェニルアミノイル出発物質は、市販の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼン及び関連の非保護アミンから例2、ステップ1Bに記載の方法と同様の方法により合成し、その後出発物質を手動又は自動シリカクロマトグラフィーなどの当業者に知られた標準方法により精製した。
【0112】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イル}ブタンアミドの合成 例3
ステップ1:4‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化18】

MeOH(12.5mL)中の1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン(5.2g、19.98mmol)及び2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(3.36g、39.96mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc=1/1、Rf=0.12)により精製して、4‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イルオキソラン‐2‐オン(2.4g、6.97mmol、34.9%収率)を黄色油として得た。
【0113】
ステップ2:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イル}ブタンアミドの合成
【化19】

トルエン(5mL)中の4‐クロロアニリン(254.87mg、2.0mmol)の溶液に、トリメチルアルミニウム(288.71mg、4.01mmol)を添加した。10分間撹拌後、4‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イルオキソラン‐2‐オン(344.0mg、999.04μmol)を溶液に加え、得られた混合物を80℃に8時間加熱した。室温まで冷却後、溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐4‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1,4‐ジアゼパン‐1‐イルブタンアミド(38.6mg、81.8μmol、8%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=472.0/474.0
【0114】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミドの合成 例4
ステップ1:tert‐ブチル 5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラートの合成
【化20】

tert‐ブチル 1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラート塩酸塩(2.0g、8.11mmol)、トリス(1,5‐ジフェニルペンタ‐1,4‐ジエン‐3‐オン)ジパラジウム(206.2mg、225.18μmol)、1‐[2‐(ジフェニルホスファニル)ナフタレン‐1‐イル]ナフタレン‐2‐イルジフェニルホスファン(280.43mg、450.37μmol)及びナトリウムtert‐ブトキシド(2.6g、27.02mmol)をトルエン(70mL)中の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(2.17g、9.01mmol)の溶液に結果として添加した。混合物を2回脱気してAr雰囲気下一晩還流させた。溶媒を蒸発させて、粗tert‐ブチル 5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラート(7.2g、19.44mmol)を残渣として得た。これをさらに精製することなく、直接次のステップに使用した。
【0115】
ステップ2:2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロールの合成
【化21】

粗tert‐ブチル 5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラート(3.34g、9.01mmol)(前のステップで得られた)の45mLの濃HCl及び30mLのDCM中の混合物を室温で1.5時間攪拌した。相分離後、DCM相を捨て、水相にNaCOを加えてpH~9とした。次いで、50mLのDCMを加え、次いでさらに0.5時間撹拌した。DCM相を集め、NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール(1,4g、5,18mmol、57.5%収率)を白い固体として得た。
【0116】
ステップ3:4‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化22】

2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール(1.4g、5.18mmol)と2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(871.29mg、10.36mmol)のMeOH(3.1mL)中の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を真空中で蒸発させ、残渣を水(20mL)で処理し、ろ過し、水(2×20mL)、ヘキサン(30mL)で洗浄し、乾燥して、4‐5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(1.6g、4.52mmol、87.1%収率)を黄色固体として得た。
【0117】
ステップ4:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミドの合成
【化23】

4‐クロロアニリン(254.67mg、2.0mmol)のベンゼン(8mL)中の溶液に、トリメチルアルミニウム(287.8mg、3.99mmol)を加えた。10分間撹拌後、4‐5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(354.0mg、999.09μmol)を溶液に加え、得られた混合物を50℃で2.5時間加熱した。室温まで冷却後、水(3mL)及びEtOAc(15mL)を加え、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐1H,2H,3H,4H,5H,6H‐ピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イルブタンアミド(186.0mg、385.98μmol、38%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=482.2/484.0
【0118】
例5の合成と同様にして、ステップ4を合成した(例29~34、36~37、42、44)。
【表5-1】

【表5-2】
【0119】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミドの合成 例5
ステップ1:tert‐ブチル2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐カルボキシラートの合成
【化24】


tert‐ブチル 6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐カルボキシラート(2.5g、10.32mmol)、トリス(1,5‐ジフェニルペンタ‐1,4‐ジエン‐3‐オン)ジパラジウム(262.43mg、286.59μmol)、1‐[2‐(ジフェニルホスファニル)ナフタレン‐1‐イル]ナフタレン‐2‐イルジフェニルホスファン(356.9mg、573.17μmol)及びナトリウム tert‐ブトキシド(2.2g、22.93mmol)をトルエン(55mL)中の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(2.76g、11.46mmol)の溶液に結果的に添加した。混合物をAr雰囲気下で一晩還流させた。溶媒を蒸発させて、粗tert‐ブチル 2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐カルボキシラート(7.1g、17.64mmol、)を残渣として得た。これは、何ら精製せずに次のステップに使用された。
【0120】
ステップ2:2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカンの合成
【化25】

粗tert‐ブチル 2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐カルボキシラート(4.61g、11.46mmol)(前のステップで得られた)の45mLの濃塩酸及び30mLのDCM中の溶液を室温で1.5時間攪拌した。相分離後、DCM相を捨て、水相を真空中で蒸発乾固させた。残渣を20mLのNaOH(2.0M)の混合液に溶解させた。次いでDCM(50mL)を添加し、混合物をさらに0.5時間攪拌した。DCM相を集め、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4,5]デカン(2,3g、7.61mmol、66.4%収率)を黄色オイルとして得た。
【0121】
ステップ3:4‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化26】

MeOH(2.0ml)中の2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン(999.91mg、3.31mmol)及び2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(556.19mg、6.62mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を真空中で蒸発させ、残渣をMTBE(50mL)に溶解し、水(2×50mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、蒸発させて4‐2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イルオキソラン‐2‐オン(920.0mg、2.38mmol、72%収率)を褐色オイルとして得た。
【0122】
ステップ4:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イル}ブタンアミドの合成
【化27】

4‐クロロアニリン(255.57mg、2.0mmol)のベンゼン(8mL)中の溶液に、トリメチルアルミニウム(288.82mg、4.01mmol、2.0ml)を添加した。10分間撹拌後、4‐2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イルオキソラン‐2‐オン(387.0mg、1.0mmol)を溶液に加え、得られた混合物を50℃で2.5時間加熱した。室温まで冷却後、水(3mL)及びEtOAc(15mL)を加え、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐6‐オキサ‐2,9‐ジアザスピロ[4.5]デカン‐9‐イルブタンアミド(184.0mg、358.02μmol、35.7%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=514.2/516.0。
【0123】
例5の合成と同様にして、ステップ4を合成した(例11~28、35、38~41、43)。
【表6-1】

【表6-2】

【表6-3】
【0124】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐(3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジン‐1‐イル)ブタンアミドの合成 例6
ステップ1:3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジンの合成
【化28】

ベンジル 3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イルピペリジン‐1‐カルボキシラート(4.2g、9.67mmol)をMeOH(50mL)に溶かし、10%Pd/C(300mg)を加え、H雰囲気下で反応混合物を一晩撹拌させた。反応混合物を濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣を10N HCl(30mL)及びDCM(30mL)で処理した。有機層を希釈し、水層をDCM(2x20mL)で洗浄し、6N NaOHを添加してpH~10にし、粗生成物をDCM(3×40mL)で抽出し、有機層を合わせ、NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮して3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イルピペリジン(800.0mg、2.66mmol、27.6%収量)を褐色オイルとして得た。
【0125】
ステップ2:4‐(3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジン‐1‐イル)オキソラン‐2‐オンの合成
【化29】

3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イルピペリジン(800.03mg、2.66mmol)と2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(447.93mg、5.33mmol)のMeOH(1.6ml)中の混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を真空中で蒸発させ、残渣をMTBE(50mL)に溶解し、水(2x50mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、蒸発させて、4‐(3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イルピペリジン‐1‐イル)オキソラン‐2‐オン(600.0mg、1.56mmol、58.6%収率、純度~85%,ジアステレオマーの混合物)を得た。
【0126】
ステップ3:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐(3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イル}ピペリジン‐1‐イル)ブタンアミドの合成
【化30】

ベンゼン(15mL)中の4‐クロロアニリン(398.69mg、3.13mmol)の溶液に、トリメチルアルミニウム(g、mol)を加えた。10分間撹拌後、4‐(3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イルピペリジン‐1‐イル)オキソラン‐2‐オン(600.0mg、1.56mmol)を溶液に加え、得られた混合物を50℃に2.5時間加熱した。室温まで冷却後、水(3mL)及びEtOAc(15mL)を加え、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐(3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]アゼチジン‐3‐イルピペリジン‐1‐イル)ブタンアミド(23.0mg、44.93μmol、3%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=512.2/514.2
【0127】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イル}ブタンアミドの合成 例7
ステップ1:4‐{6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化31】

6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン(1.6g、5.88mmol)及び2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(1.24g、14.69mmol)のEtOH 10ml中の混合物を室温で16時間撹拌し、減圧下に濃縮した。残渣をMTBE 50mLに溶解し、水(3×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾液を減圧下濃縮し、4‐6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(800.0mg、75.0%純度,1.68mmol、28.7%収率)を黄色固体として得て、精製せず使用した。
【0128】
ステップ2:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イル}ブタンアミドの合成
【化32】

アルゴン下、8mLのベンゼン中の4‐クロロアニリン(446.62mg、3.5mmol)の撹拌溶液にトリメチルアルミニウム(504.74mg、7.0mmol、3.5ml)を滴下して加えた。10分撹拌後、ベンゼン2mL中の4‐6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(800.0mg、2.25mmol)を反応物に滴下して加えて、混合物を50℃で2時間攪拌した。混合物を水(10mL)でクエンチした。得られたスラリーをEtOAc(40mL)で希釈し、15分間激しく攪拌した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐6‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,6‐ジアザスピロ[3.4]オクタン‐2‐イルブタンアミド(150.0mg、純度95.0%、294.48μmol、13.1%収量)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=484.2/486.2
【0129】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イル}ブタンアミドの合成 例8
ステップ1:4‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化33】

1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン(500.44mg、1.75mmol)と2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(367.38mg、4.37mmol、310.0μL)のEtOH10mL中の混合物を室温で16時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をMTBE80mLに溶解し、水(3×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾液を減圧下濃縮し、4‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イルオキソラン‐2‐オン(400.0mg、64.0%純度、691.21μmol、39.5%収率)をジアステレオマー混合物として得て、精製せずに次のステップに使用した。
【0130】
ステップ2:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イル}ブタンアミドの合成
【化34】

トリメチルアルミニウム(311.54mg、4.32mmol、2.16mL)を、アルゴン下、4mLのベンゼン中の4‐クロロアニリン(275.67mg、2.16mmol)の撹拌溶液に滴下して添加した。10分撹拌後、1mLのベンゼン中の4‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イルオキソラン‐2‐オン(400.0mg、1.08mmol)を滴下して加え、混合物を50℃で2時間撹拌した。混合物を水(10mL)でクエンチした。得られたスラリーをEtOAc(40mL)で希釈し、15分間激しく撹拌した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐1‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロ‐1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジン‐4‐イルブタンアミド(77.0mg、154.64μmol、14.3%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=498.2/500.2
【0131】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミドの合成 例9
ステップ1:tert‐ブチル 5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラートの合成
【化35】

tert‐ブチルオクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラート(2.0g、9.42mmol)、トリス(1,5‐ジフェニルペンタ‐1,4‐ジエン‐3‐オン)ジパラジウム(239.64mg、261.69μmol)、1‐[2‐(ジフェニルホスファニル)ナフタレン‐1‐イル]ナフタレン‐2‐イルジフェニルホスファン(325.9mg、523.39μmol)及びナトリウム tert‐ブトキシド(2.01g、20.94mmol)をトルエン(50mL)中の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(2.52g、10.47mmol)の溶液に結果的に添加した。混合物をアルゴン下で一晩還流させた。溶媒を蒸発させて、粗tert‐ブチル 5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラート(3.9g)を得た。これを精製することなく次のステップに使用した。
【0132】
ステップ2:2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロールの合成
【化36】

粗tert‐ブチル 5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐カルボキシラート(3.9g、10.47mmol)をDCM(50mL)に溶かし、50mLの濃塩酸をゆっくり添加した。混合物をrtで2時間攪拌した。層を分離し、水層をDCM(2×50mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣を30mLの水に溶解し、NaHCOで塩基性化した。得られたスラリーをDCM(2×50mL)で抽出し、有機相をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮して、2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール(1,1g、3,84mmol、36,7%収率)を得た。
【0133】
ステップ3:4‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化37】

2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール(1.1g、4.04mmol)と2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(1.02g、12.12mmol)のEtOH 10mL中混合物を室温で16時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をMTBE 80mLに溶解し、水(3×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾液を減圧下濃縮し、4‐5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(750.0mg、87.0%純度,1.83mmol、45.3%収率)を褐色オイルとして得て、精製せず使用した。
【0134】
ステップ4:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イル}ブタンアミドの合成
【化38】

アルゴン下、8mLのベンゼン中の4‐クロロアニリン(452.65mg、3.55mmol)の撹拌溶液にトリメチルアルミニウム(510.0mg、7.07mmol、3.54ml)を滴下して添加した。10分間の撹拌後、2mLのベンゼン中の4‐5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(754.78mg、2.12mmol)を反応物に滴下して加え、混合物を50℃で2時間撹拌した。混合物を水(10mL)でクエンチした。得られたスラリーをEtOAc(40mL)で希釈し、15分間激しく攪拌した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐5‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐オクタヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐2‐イルブタンアミド(330.0mg、純度99.0%、675.12μmol、31.9%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=484.2/486.2
【0135】
N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イル}ブタンアミドの合成 例10
ステップ1:2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカンの合成
【化39】


2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン(2.0g、12.97mmol)、トリス(1,5‐ジフェニルペンタ‐1,4‐ジエン‐3‐オン)ジパラジウム(296.84mg、324.17μmol)、1‐[2‐(ジフェニルホスファニル)ナフタレン‐1‐イル]ナフタレン‐2‐イルジフェニルホスファン(403.7mg、648.33μmol)及びナトリウムtert‐ブトキシド(2.49g、25.93mmol)をトルエン(60mL)中の1‐ブロモ‐4‐(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(2.5g、10.37mmol)の溶液に結果的に添加した。混合物をAr雰囲気下で一晩還流させた。溶媒を蒸発させ、残渣を45mLの濃塩酸及び30mLのDCMで処理し、室温で1.5時間攪拌した。相分離後、DCM相を捨て、水相を真空中で蒸発乾固した。残渣を20mLのNaOH(2.0M)に溶解させた。次いでDCM(50mL)を添加し、混合物をさらに0.5時間攪拌した。DCM相を集め、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5,5]ウンデカン(2,2g、7.0mmol、54%収率)を黄色オイルとして得た。これを精製することなく次のステップに使用した。
【0136】
ステップ2:4‐{8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イル}オキソラン‐2‐オンの合成
【化40】

MeOH(2.2mL)中の2‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン(1.1g、3.5mmol)及び 2,5‐ジヒドロフラン‐2‐オン(588.32mg、7.0mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣をMTBE(50mL)に溶解し、水(2×50mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して4‐8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(950.0mg、2.38mmol、68.1%収率、純度78%)を褐色オイルとして得た。
【0137】
ステップ3:N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐{8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イル}ブタンアミドの合成
【化41】

トリメチルアルミニウム(287.8mg、3.99mmol)を、ベンゼン(8mL)中の4‐クロロアニリン(254.66mg、2.0mmol)の溶液に添加した。10分間撹拌後、4‐8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イルオキソラン‐2‐オン(398.0mg、998.95μmol)を溶液に加え、得られた混合液を50℃で2.5時間加熱した。室温まで冷却後、水(3mL)及びEtOAc(15mL)を加え、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた、残渣を逆分取HPLCで精製し、N‐(4‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐3‐8‐[4‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐2,8‐ジアザスピロ[5.5]ウンデカン‐2‐イルブタンアミド(172.mg、328.1μmol、17%収率)を得た。LC‐MS(ESI‐pos):[M+H]=526.1/528.2。

図1
【国際調査報告】