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特表2023-535526熱作動式アラームおよび応答システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】熱作動式アラームおよび応答システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/10 20060101AFI20230809BHJP
   G08B 3/00 20060101ALI20230809BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A62C35/10
G08B3/00
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524488
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2021039968
(87)【国際公開番号】W WO2022006321
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/047,565
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522504293
【氏名又は名称】トッド・パトリック・メルヒャー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トッド・パトリック・メルヒャー
【テーマコード(参考)】
2E189
5G405
【Fターム(参考)】
2E189BA02
2E189BB05
5G405AA01
5G405AA08
5G405AB01
5G405AD06
5G405CA23
5G405CA29
5G405CA58
5G405FA06
(57)【要約】
熱作動式火災抑制システムが提供される。システムは、建物の外部パネルの中に設置された1つまたは複数のモジュールを含むことが可能である。1つまたは複数のモジュールは、形状記憶合金ワイヤーを含むことが可能であり、形状記憶合金ワイヤーは、加熱されると変形し、モジュールに、加圧された物質を放出させる。システムは、聴覚アラームを発するアラームモジュールを含むことが可能である。システムは、火災抑制モジュールを含むことが可能であり、火災抑制モジュールは、形状記憶ワイヤーが加熱に応答して変形すると、火災抑制物質を放出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災抑制および/またはアラームシステムのためのモジュールであって、
圧力下にある物質を中に含有しているシリンダーと、
シールであって、前記シールが無傷構成にあるときに、前記物質が前記シリンダーを出ることを阻止するように構成され、前記シールが破断構成にあるときに、前記物質が前記シリンダーを出ることを可能にするようにさらに構成されている、シールと、
形状記憶合金ワイヤーであって、前記形状記憶合金ワイヤーが変形温度まで加熱されると、前記無傷構成から前記破断構成へ前記シールを移行させるためのトリガーを引き起こすように構成されている、形状記憶合金ワイヤーと、
を含む、モジュール。
【請求項2】
ホーン部分をさらに含み、前記物質は、前記ホーン部分を通過して聴覚アラームを発生させる、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記聴覚アラームは、120デシベルの音レベル、および、5分から60分の間の持続期間を有している、請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記聴覚アラームは、重ね合わせられる第1の楽音および第2の楽音を含む、請求項2に記載のモジュール。
【請求項5】
前記物質は、火災抑制物質である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記火災抑制物質は、泡である、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記火災抑制物質は、二酸化炭素である、請求項5に記載のモジュール。
【請求項8】
前記トリガーは、前記シールを穿刺するように構成されているシール破断要素を含み、前記形状記憶合金ワイヤーが前記変形温度まで加熱されると、前記シリンダーが前記シール破断要素に引き寄せられるように前記形状記憶合金ワイヤーの長さが減少する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項9】
前記トリガーは、前記シリンダーを出る前記物質の圧力を調整するように構成されているガスまたは流体導管をさらに含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項10】
熱作動式アラームシステムのためのモジュールであって、
サウンドエミッターと、
前記サウンドエミッターを電力の供給源に接続するように構成されている電力回路と、
絶縁体であって、前記モジュールが準備構成にあるときに、前記絶縁体が前記電力回路を遮断するように少なくとも部分的に前記電力回路の中に配設されている、絶縁体と、
形状記憶合金ワイヤーであって、前記形状記憶合金ワイヤーが変形温度まで加熱されると、前記電力回路から前記絶縁体を少なくとも部分的に除去することによって、前記電力回路を接続し、前記サウンドエミッターに電力を提供するように構成されている、形状記憶合金ワイヤーと、
を含む、モジュール。
【請求項11】
前記電力回路は、少なくとも1つのバッテリーおよび導電性接触部を含み、前記導電性接触部は、少なくとも1つの前記バッテリーの第1の端子に接続するように位置付けられており、前記絶縁体は、前記モジュールが前記準備構成にあるときに、前記導電性接触部と前記第1の端子との間に配設されている、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記形状記憶合金ワイヤーの第1の端部は、前記モジュールに対して固定されており、前記第1の端部とは反対側の前記形状記憶合金ワイヤーの第2の端部は、前記絶縁体に機械的に接続されている、請求項10に記載のモジュール。
【請求項13】
前記形状記憶合金ワイヤーが前記変形温度まで加熱されると、前記絶縁体が前記電力回路から引き離されるように前記形状記憶合金ワイヤーの長さが減少する、請求項12に記載のモジュール。
【請求項14】
前記サウンドエミッターは、電磁ホーンを含む、請求項10に記載のモジュール。
【請求項15】
前記サウンドエミッターは、アラーム音および言葉によるメッセージのうちの少なくとも1つを再生するように構成されているスピーカーを含む、請求項10に記載のモジュール。
【請求項16】
前記スピーカーは、1つまたは複数の音声作動式のネットワークに接続されたデバイスを作動させるために選択された、少なくとも言葉によるメッセージを再生するように構成されている、請求項15に記載のモジュール。
【請求項17】
少なくとも1つの光源をさらに含み、少なくとも1つの前記光源は、前記絶縁体が前記電力回路から少なくとも部分的に除去されたときに、前記電力回路によって給電されるように構成されている、請求項10に記載のモジュール。
【請求項18】
少なくとも1つの前記光源は、少なくとも1つのストロボを含む、請求項17に記載のモジュール。
【請求項19】
囲まれたコンパートメントを含むクラッディング構造体と、
前記クラッディング構造体の外部表面に配設されているモジュールであって、前記モジュールは、圧力下にある物質を中に含有しているシリンダーを含み、前記モジュールの内部部分は、前記コンパートメントの中に配設されている、モジュールと、
を含み、
前記モジュールは、形状記憶合金ワイヤーを含み、前記形状記憶合金ワイヤーは、加熱されると変形して、前記シリンダーに、前記シリンダーから前記物質を放出させるように構成されている、火災抑制および/またはアラームシステム。
【請求項20】
前記物質は、火災抑制泡である、請求項19に記載の火災抑制および/またはアラームシステム。
【請求項21】
前記モジュールは、ホーン部分をさらに含み、ガスが前記シリンダーから出て行くときに前記ホーン部分を通過して聴覚アラームを発生させる、請求項19に記載の火災抑制および/またはアラームシステム。
【請求項22】
建物に火災抑制および/またはアラームシステムを据え付ける方法であって、
前記建物の外部壁部に開口部を作製するステップと、
モジュールのトリガーの形状記憶合金(SMA)ワイヤーが前記外部壁部に隣接するように、前記開口部の中に前記モジュールを設置するステップと、
を含み、
前記SMAワイヤーは、加熱されると変形して、前記モジュールに、加圧されたキャニスターの中に含有されている物質を放出させるように構成されている、方法。
【請求項23】
前記物質は、火災抑制泡である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記外部壁部によって部分的に形成された囲まれたコンパートメントの中に前記モジュールの一部分を設置するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月2日に出願された「HEAT-ACTIVATED ALARM AND RESPONSE SYSTEM」という標題の米国仮出願第63/047,565号の利益を主張し、それは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書で論じられる特定の実施形態は、建物火災などのような危険な条件から保護する方法、システム、およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
建物のための防火システムは、複雑である可能性がある。住宅用または商業用の建物は、複雑な防火システムを有する可能性があり、複雑な防火システムは、複数のセンサー(たとえば、温度センサー、煙センサー)および応答システム(たとえば、スプリンクラー、アラーム)を含み、それらは、建物の安全を監視および維持するために連携されている。これらのシステムは、据え付け、維持するのが高価である可能性がある。建物安全を維持するための代替的なオプションを提供することができるデバイスおよびシステムに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で説明されているシステム、方法、およびデバイスは、革新的な態様を有しており、そのうちの1つのみが不可欠であるわけではなく、または、そのうちの1つのみがその望ましい属性を担うわけでもない。本開示の範囲を限定することなく、有利な特徴のうちのいくつかが、以下に要約される。
【0005】
第1の態様において、火災抑制および/またはアラームシステムのためのモジュールが説明される。モジュールは、圧力下にある物質を中に含有しているシリンダーと、シールであって、シールが無傷構成にあるときに、物質がシリンダーを出ることを阻止するように構成され、シールが破断構成にあるときに、物質がシリンダーを出ることを可能にするようにさらに構成されている、シールと、形状記憶合金ワイヤーであって、形状記憶合金ワイヤーが変形温度まで加熱されると、無傷構成から破断構成へシールを移行させるためのトリガーを引き起こすように構成されている、形状記憶合金ワイヤーと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、モジュールは、ホーン部分をさらに含み、物質は、ホーン部分を通過して聴覚アラームを発生させる。いくつかの実施形態において、聴覚アラームは、120デシベルの音レベル、および、5分から60分の間の持続期間を有している。いくつかの実施形態において、聴覚アラームは、重ね合わせられる第1の楽音および第2の楽音を含む。いくつかの実施形態において、物質は、火災抑制物質である。いくつかの実施形態において、火災抑制物質は、泡である。いくつかの実施形態において、火災抑制物質は、二酸化炭素である。いくつかの実施形態において、トリガーは、シールを穿刺するように構成されているシール破断要素を含み、形状記憶合金ワイヤーを変形温度まで加熱すると、シリンダーがシール破断要素に引き寄せられるように形状記憶合金ワイヤーの長さが減少する。いくつかの実施形態において、トリガーは、シリンダーを出る物質の圧力を調整するように構成されているガスまたは流体導管をさらに含む。
【0007】
第2の態様において、熱作動式アラームシステムのためのモジュールが説明される。モジュールは、サウンドエミッターと、サウンドエミッターを電力の供給源に接続するように構成されている電力回路と、絶縁体であって、モジュールが準備構成(armed configuration)にあるときに、絶縁体が電力回路を遮断するように少なくとも部分的に電力回路の中に配設されている、絶縁体と、形状記憶合金ワイヤーであって、形状記憶合金ワイヤーが変形温度まで加熱されると、電力回路から絶縁体を少なくとも部分的に除去することによって、電力回路を接続し、サウンドエミッターに電力を提供するように構成されている、形状記憶合金ワイヤーと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、電力回路は、少なくとも1つのバッテリーおよび導電性接触部を含み、導電性接触部は、少なくとも1つのバッテリーの第1の端子に接続するように位置付けられており、絶縁体は、モジュールが準備構成にあるときに、導電性接触部と第1の端子との間に配設されている。いくつかの実施形態において、形状記憶合金ワイヤーの第1の端部は、モジュールに対して固定されており、第1の端部とは反対側の形状記憶合金ワイヤーの第2の端部は、絶縁体に機械的に接続されている。いくつかの実施形態において、形状記憶合金ワイヤーが変形温度まで加熱されると、絶縁体が電力回路から引き離されるように形状記憶合金ワイヤーの長さが減少する。いくつかの実施形態において、サウンドエミッターは、電磁ホーンを含む。いくつかの実施形態において、サウンドエミッターは、アラーム音および言葉によるメッセージのうちの少なくとも1つを再生するように構成されているスピーカーを含む。いくつかの実施形態において、スピーカーは、1つまたは複数の音声作動式のネットワークに接続されたデバイスを作動させるために選択された少なくとも言葉によるメッセージを再生するように構成されている。いくつかの実施形態において、モジュールは、少なくとも1つの光源をさらに含み、少なくとも1つの光源は、絶縁体が電力回路から少なくとも部分的に除去されたときに、電力回路によって給電されるように構成されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの光源は、少なくとも1つのストロボを含む。
【0009】
第3の態様において、火災抑制および/またはアラームシステムは、囲まれたコンパートメントを含むクラッディング構造体と、クラッディング構造体の外部表面に配設されているモジュールであって、圧力下にある物質を中に含有しているシリンダーを含み、モジュールの内部部分は、コンパートメントの中に配設されている、モジュールと、を含む。モジュールは、形状記憶合金ワイヤーを含み、形状記憶合金ワイヤーは、加熱されると変形し、シリンダーにシリンダーから物質を放出させるように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、物質は、火災抑制泡である。いくつかの実施形態において、モジュールは、ホーン部分をさらに含み、ガスは、シリンダーから出て行くときにホーン部分を通過して聴覚アラームを発生させる。
【0011】
第4の態様において、建物に火災抑制および/またはアラームシステムを据え付ける方法は、建物の外部壁部に開口部を作製するステップと、モジュールのトリガーの形状記憶合金(SMA)ワイヤーが外部壁部に隣接するように、開口部の中にモジュールを設置するステップと、を含む。SMAワイヤーは、加熱されると変形して、モジュールに、加圧されたキャニスターの中に含有されている物質を放出させるように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、物質は、火災抑制泡である。いくつかの実施形態において、方法は、外部壁部によって部分的に形成された囲まれたコンパートメントの中にモジュールの一部分を設置するステップをさらに含む。
【0013】
本出願において開示されている構成または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれかは、限定することなく、下記に開示されている方法、システム、およびデバイスのいずれかを含み、新しい構成および実施形態を形成するために、本明細書で開示されている構成または実施形態のいずれかの任意の他の特徴、構成要素、または詳細と相互交換可能に組み合わせ可能である。
【0014】
本発明は、添付の図面を参照して説明され、図面において、同様の参照文字は、同様の要素を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示のいくつかの態様による、防火システムを装備している建物の正面図である。
図2】本開示のいくつかの態様による、建物壁部の中に据え付けられているシステムモジュールの側面図である。
図3】本開示のいくつかの態様による、建物壁部の中に据え付けられており、準備構成にある、システムモジュールの側面図である。
図4】システムモジュールが準備構成から作動構成へ移行された後の、図3のシステムモジュールの側面図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、システムモジュールの側面図である。
図6A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムモジュールを図示する図である。
図6B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムモジュールを図示する図である。
図7A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシール破断要素を図示する図である。
図7B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシール破断要素を図示する図である。
図8A】本開示のいくつかの態様による、例示的なガスまたは流体導管を図示する図である。
図8B】本開示のいくつかの態様による、例示的なガスまたは流体導管を図示する図である。
図8C】本開示のいくつかの態様による、例示的なガスまたは流体導管を図示する図である。
図8D】本開示のいくつかの態様による、例示的なガスまたは流体導管を図示する図である。
図9A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムモジュールを図示する図である。
図9B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムモジュールを図示する図である。
図9C】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムモジュールを図示する図である。
図9D】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムモジュールを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、本開示のさまざまな態様の具体的な詳細を記載しているが、その説明は、単に例示に過ぎず、決して限定するものとして解釈されるべきではないということが認識されることとなる。そのうえ、そのような態様のさまざまな適用およびそれに対する修正が、当業者に想到される可能性があり、これらもまた、本明細書で説明されている一般的な概念によって包含されている。
【0017】
一般的に説明されると、本開示は、温度依存性のアラームおよび/または消火のためのシステムおよびモジュールを提供する。簡略化のために、本開示のシステムは、建物構造体のための火災アラームおよび防火システムの観点から説明される。しかし、本開示のシステムおよびデバイスは、他のタイプの構造体(たとえば、車両、公共構造体)に、および、火災防止以外の目的のために(たとえば、「熱気注意報」の警告を発行する、森林火災を監視するなど)使用され得る。たとえば、本開示のシステムおよびデバイスは、公園または学校の遊具構造体に据え付けられ得る。システムは、遊具構造体の近くの室温条件を監視することが可能である。環境条件が人々またはペットにとって潜在的に危険であることをシステムが検出するときに、システムは、アラームを発し、外側条件が過熱のために潜在的に危険であることを人々に知らせることが可能である。他の変形例では、システムを作動させることは、遊具構造体の近くにおいて、水を霧状にして吹き付ける冷却スプレーを作動させるように、システムをトリガーすることが可能である。いくつかの態様において、システムは、複数のモジュールを含むことが可能であり、複数のモジュールは、森林の中に分散されており、また、本明細書で説明されているように、火災を示す熱事象によって作動されたモジュールの座標を火災監視サービスに警告するように構成されている。
【0018】
いくつかの態様において、本開示は、限られたスペースを充填するかまたは無効にするために基礎から設計された技術に関する。たとえば、建物は、建物に取り付けられている外部クラッディングパネルとその下にある断熱材との間に、空隙を有する可能性がある。いくつかの条件では、これらの空隙は、火災の広がりを助長する可能性がある。いくつかのケースでは、空隙は、酸素が火災に送り込まれるための流路を提供することによって、火災を増大させる可能性がある。本開示のシステムは、これらの空隙を無効にするように配置され得る。いくつかの態様において、本開示のシステムは、カスタマイズ可能である。たとえば、システムは、空隙体積が十分に充填されることを保証するために、クラッディングに取り付けられている空隙充填ユニットの数が調節されることを可能にすることができる。いくつかの態様において、システムは、本明細書で論じられるように、既存のクラッディングおよび断熱材上に容易に後付けされ得る。
【0019】
図1は、本開示のいくつかの態様による火災防止システム100を図示している。システム100は、1つまたは複数のモジュール200を含むことが可能である。モジュール200は、建物構造体10に据え付けられ得る。図示されている実施形態において、モジュール200は、建物構造体10の外部パネル12上に据え付けられて示されている。いくつかの態様において、パネル12は、本明細書で説明されているように、クラッディング構造体であることが可能である。いくつかの変形例では、モジュール200は、建物構造体10の内部壁部または表面に据え付けられ得る。いくつかの構成では、モジュール200は、視界から隠されている。たとえば、図示されているモジュール200は、化粧板または外装を建物構造体10に提供するオーバーレイ層によって外部パネル12をカバーすることによって、視界から隠され得る。いくつかの変形例では、モジュール200は、パネル12の中への据え付けの後に、露出されたままであり、見ることができるままである。いくつかの変形例では、モジュール200は、モジュール200の外観が縮小または最小化されるように、周囲のパネル12と視覚的に調和するようにサイズ決めされているかまたはその他の方法で配置され得る。
【0020】
引き続き図1を参照すると、システム100は、異なるタイプのモジュール200を含むことが可能である。たとえば、システム100は、1つまたは複数のアラームモジュール202(開いた円形として示されている)および1つまたは複数の火災抑制モジュール204を含むことが可能である。アラームモジュール202は、アラームを作り出すことによって、検出された危険な条件(たとえば、火災)に応答することが可能である。いくつかの構成では、アラームモジュール202は、大きな騒音(たとえば、ホイッスル)を発し、危険な条件(たとえば、火災)が検出されたということを近くの人々に警告することが可能である。いくつかの変形例では、アラームモジュール202は、通信ネットワークに接続されており、危険な条件が建物10内で検出されたことを監視サービスまたは消防署に警告するように構成され得る。図1に示されているように、システム100は、アラームモジュール202および火災抑制モジュール204の異なる組み合わせを有するパネル12を含むことが可能である。たとえば、いくつかのパネル12は、1つまたは複数のアラームモジュール202を含有し、火災抑制モジュール204を含有しないことが可能である。いくつかのパネル12は、1つまたは複数の火災抑制モジュール204を含有し、アラームモジュール202を含有しないことが可能である。いくつかのパネル12は、アラームモジュール202および火災抑制モジュール204の混合物を含有することが可能である。
【0021】
図2は、いくつかの態様において、モジュール200が、アラーム機能および火災抑制機能の両方を果たすように構成されている二重目的モジュール206であることが可能であることを図示している。図示されている実施形態において、二重目的モジュール206は、建物10のパネル12の中に据え付けられて示されている。図示されている実施形態において、二重目的モジュール206は、建物10の外部壁部20に配設されている外部部分210を有している。いくつかの変形例では、外部部分210は、建物10の外側環境に直接的に露出されているかまたはそれと接触していることが可能である。いくつかの構成では、外部部分210は、本明細書で説明されているように、建物10の外装または被覆層の下に視覚的に隠蔽され得る。
【0022】
二重目的モジュール206は、外部壁部20から建物の中へ延在する内部部分212を有することが可能である。パネル12は、クラッディングシステムを含むかまたは画定することが可能であり、クラッディングシステムにおいて、空隙またはコンパートメント14が、図2に示されているように、外部壁部20と、対向する壁部22と、外部壁部20と対向する壁部22との間に延在する複数のまたがる壁部24と、の間に形成されている。二重目的モジュール206の内部部分212は、コンパートメント14の中へ延在することが可能である。内部部分212は、火災抑制物質30をコンパートメント14の中へ放出するように構成され得る。いくつかの態様において、火災抑制物質30は、泡、ゲル、液体、またはガスであることが可能である。火災抑制物質30は、コンパートメントを充填し、コンパートメント14の中の空隙を低減または排除することが可能である。本明細書で説明されているように、いくつかの態様において、火災抑制物質30は、コンパートメント14によって囲まれた空隙を充填するかまたは無効にすることが可能である。いくつかの態様において、火災抑制物質30によってコンパートメント14を充填することにより、建物10を通る火災の広がりを遅らせるかまたは排除することが可能である。いくつかの態様において、火災抑制物質30は、建物10のパネル12またはクラッディング構造体の上でのまたはそれを通る火災の広がりを遅らせるかまたは排除することが可能である。いくつかの態様において、外部部分210は、聴覚アラーム33を発するように構成され得る。いくつかの態様において、二重目的モジュール206は、異なって配置され得る。たとえば、外部部分210は、火災抑制物質30を放出するように構成され得、火災抑制物質30は、パネル12の外部表面の上をコーティングするかまたは流れるように構成されている。いくつかの態様において、内部部分212は、コンパートメント14の中に聴覚アラームを発するように構成され得る。いくつかの態様において、火災抑制物質30は、ガス(たとえば、二酸化炭素)であることが可能であり、聴覚アラームは、火災抑制ガスがコンパートメント14の空隙を充填するために放出されるときに、火災抑制ガスによって動力を与えられ得る。
【0023】
図3は、モジュール200が、キャニスター220、シール破断要素222、およびトリガー224を含むことが可能であるということを図示している。トリガー224は、準備構成から作動構成へモジュール200を移行させるように構成され得る。準備構成では、キャニスター220は、封止されており、圧縮された流体(たとえば、ガス、火災抑制泡)によって満たされている。作動構成では、キャニスター220は開いており、圧縮された流体が、キャニスター220から放出される。トリガー224は、温度感応性材料(たとえば、形状記憶合金)を含むことが可能である。いくつかの態様において、トリガー224は、形状記憶合金(SMA)ワイヤー226を含むことが可能である。SMAワイヤー226は、パネル12が燃えていることを示す上昇した温度にモジュール200が到達したときに、温度に依存して変形するように構成され得る。換言すれば、SMAワイヤー226は、自然の環境条件下であれば起こらない温度を超えてパネル12の温度が上昇すると、その構造を変化させるように構成され得る。SMAワイヤー226は、シール破断要素222がキャニスター220のシールを破断し、中に含有されているガスまたは流体を放出するように、シール破断要素222の放出を直接的にまたは間接的に引き起こすように変形することが可能である。図3では、モジュール200は、パネル12の中に準備構成で据え付けられて示されている。
【0024】
モジュール200は、長時間(たとえば、30年)にわたって準備構成のままであるように構成され得る。いくつかの構成では、モジュール200は、2年、5年、10年、15年、20年、30年、40年、60年、100年、上述の値の間の値、および、それ以外の値にわたって、準備構成のままであるように構成され得る。いくつかの態様において、モジュール200は、システム100への電力供給を必要とすることなく、長時間にわたってシステム100が防火を提供することを可能にすることができる。換言すれば、モジュール200は、何年にもわたってアクティブ状態で休眠した状態に置かれ、次いで、必要とされるときに作動状態にシフトすることが可能である。モジュール200は、モジュール200が火災の近くにあるということを示す温度まで形状記憶ワイヤー226が温められることによって作動され得る。いくつかの態様において、システム100は、既存のパネル12を備えた建物10に後付けされ得る。いくつかの態様において、システム100は、建物のパネル12の中に孔部を作製することによって、および、パネル12の中に作製された孔部の中へモジュール200を据え付けることによって、建物10に後付けされ得る。いくつかの態様において、システム100は、長期間にわたって防火警戒を維持するための安価な方式を提供することが可能である。いくつかの態様において、システム100は、容易に据え付けられ得る。いくつかの態様において、システム100の据え付けは、簡単であり得、本明細書で説明されているように、既存のパネルの中へシステム100のモジュール200を据え付けるために、コードレスドリルの使用のみを必要とすることが可能である。
【0025】
図4は、外部壁部20の中に据え付けられた火災抑制モジュール204を図示している。火災抑制モジュール204は、作動状態で示されており、作動状態では、本明細書で説明されているように、火災抑制物質30が、キャニスター220からコンパートメント14の中へ放出される。図示されている実施形態において、火災抑制モジュール204は、シール破断要素222をキャニスター220の中へ移動させるように変形したSMAワイヤー226を含む。SMAワイヤー226は、たとえば、ロッキングピンを変位させ、スプリングを自由にし、穿孔要素をシールの中へ押し込むことによって、火災抑制物質30の放出をトリガーすることが可能である。いくつかの構成では、SMAワイヤー226は、SMAワイヤーが変形するときに粉砕するシール(たとえば、ロジン)の中に埋め込まれ得る。
【0026】
図5は、外部壁部20の中に据え付けられたアラームモジュール202を図示している。アラームモジュール202は、作動状態で示されており、作動状態では、ガスがキャニスター220から放出されているときに、聴覚アラーム33が、アラームモジュール202から発せられている。アラームモジュール202は、聴覚アラーム33を発生させるホーン部分230を含むことが可能である。図示されている実施形態において、ホーン部分230は、シリンダー220の中のガスがホーン部分230を通して放出されてコンパートメント14を出るときに、コンパートメント14の外側で鳴るように配置されている。いくつかの構成では、ホーン部分230は、コンパートメント14の中で鳴るように配置され得、および、火災抑制ガス(たとえば、二酸化炭素)によって動力を与えられ得、火災抑制ガスは、ホーン部分230を通過し、コンパートメント14に進入し、火災抑制ガスによってコンパートメント14を充填する。ホーン部分230は、音を発生させる構造体(たとえば、ホルン、リード、ホイッスル、フルート、ハーモニカ、または、他の管楽器など)であることが可能である。アラームモジュール202は、トリガー224を含むことが可能であり、トリガー224は、述べられたように、アラームモジュール202を準備構成から作動構成へ移行させる。トリガー224は、本明細書で説明されているように、SMAワイヤー226を含むことが可能である。いくつかの態様において、聴覚アラーム33は、複数の楽音を含むことが可能である。たとえば、いくつかの変形例では、聴覚アラーム33は、シリンダーから逃げる空気の第1の部分を第1のホーン、リード、キー、またはホイッスルに通過させること、あるいは、シリンダーから逃げるガスの第2の部分を第2のホーン、リード、キー、またはホイッスルに通過させ、第2の楽音を発生させることによって発生させられる第1の音を含むことが可能である。アラームモジュール202は、重ね合わせられるかまたは一緒に演奏される1つまたは複数の楽音を含む聴覚アラーム33を発することが可能である。いくつかの態様において、アラームモジュール202は、10dB、20dB、40dB、60dB、80dB、120dB、150dB、上述の値のいずれかの間の値、および、それ以外の値の音を発生させるように構成され得る。いくつかの態様において、アラームモジュール202は、10秒、30秒、60秒、2分、5分、10分、20分、30分、60分、上述の値のいずれかの間の値、および、それ以外の値にわたって、聴覚アラーム33を発するように構成され得る。いくつかの態様において、アラームモジュール202は、5分から60分の間で持続する120dBの聴覚アラーム33を発するように構成されている。
【0027】
本開示の態様は、建物のための火災抑制システムの文脈において説明されてきた。しかし、システムは、空隙の無効化が望まれる他の条件においても使用され得る。たとえば、本明細書で開示されているシステムは、コンピューターケース、変圧器ボックス、温水器、および、内部火災を消火するための他のシステムに適用され得る。いくつかの態様において、システムは、危険なまたは望ましくない熱事象が起こると、システムが消火ガスまたは他の物質(たとえば、火災抑制泡)によってケースまたは囲まれたスペースを充填するように配置され得る。いくつかの構成では、システムは、家またはアパートの内部壁部において使用するように適合され得る。いくつかの態様において、システムは、建物の内部壁部の中へ後付けされ得る。システムは、ドライウォールとスタッドとの間に形成された空隙を充填するように調整され得る。ドライウォールおよびスタッドは、ドライウォールおよび隣接するスタッドのそれぞれの対によって囲まれている空隙の多孔性またはネットワークを形成することが可能である。いくつかの態様において、システムは、火災が広がるのを止めるまで、一度に1つの空隙ずつ壁部多孔性を攻撃することが可能である。
【0028】
いくつかの態様において、システム100は、建物の中へ据え付けられたまたは後付けされたモジュール200のネットワークであることが可能である。たとえば、システム100は、複数のユニットを有するアパート建物の中に据え付けまたは後付けされ得る。それぞれのユニットは、火災からユニットを保護するために据え付けられた15個以上のモジュール200を有することが可能である。いくつかの態様において、システム100は、2つの別個のネットワークであることが可能である(1つは、アラームのネットワークであり、1つは、火災抑制器のネットワークである)。建物の中で火災が発生した場合、アラームは、予め設定された温度に到達するときに、順番に作用することが可能である。火災が建物の全体を通って移動する場合には、火災が拡大し続けるにつれて、より多くのアラームが鳴ることとなる。いくつかの構成では、火災抑制器は、使用済みのアラームの経路にしたがって、順番に鳴り始めるように設定され得る。いくつかの態様において、火災抑制器は、アラームよりも高い予め設定された温度において作動するように設定され得る。いくつかの構成では、アラームおよび火災抑制器のネットワークは、火災抑制ガス(たとえば、二酸化炭素)によってクラッディングの空隙をオーバーフローさせるのに十分な数で、建物のクラッディングに据え付けられ得る。たとえば、数千個のモジュールが、建物の外部クラッディングの中に据え付けられ得、火災の場合に、火災抑制ガスが空隙から流出して火災の上に降りかかるので、火災が遅らせられるだけでなく消火されるような程度まで、外部クラッディングの空隙が、火災抑制ガスによって充填される。
【0029】
いくつかの態様において、システム100は、山火事に関して大きな範囲の土地を監視するように構成され得る。たとえば、図5を参照すると、アラームモジュール202のホーン部分230は、シリンダー220から逃げるガスによって動力を与えられるマイクロ発電機(図示せず)と交換され得る。本明細書で説明されているように、アラームモジュール202は、火災がアラームモジュール202の付近にあることを示す温度までワイヤー226が加熱されると、SMAワイヤー226が変形し、シリンダー220をトリガーし、キャニスター220の中に含有されているガスを放出するように構成され得る。キャニスター220から逃げるガスは、マイクロ発電機(図示せず)のタービンを通って流れ、マイクロ発電機に動力を与え、作動されたアラームモジュール202が火災監視サービスに信号を送信することを可能にするのに十分な電気を発生させるように構成され得る。いくつかの態様において、アラームモジュール202は、5分にわたって、作動されたアラームモジュール202のGPS座標をワイヤレスに送信するように構成され得る。いくつかの態様において、システム100は、火災の影響を受けやすい大きな範囲の土地(たとえば、森林)にわたって分散された複数のアラームモジュール202を含むことが可能である。複数のアラームモジュール202は、樹木から吊り下げられる(たとえば、航空機から投下される)か、または、樹木の幹の中へモジュール202を打ち込むことによって樹木の中へ据え付けられ得る。複数のアラームモジュール202は、複数のモジュール202が分散されている土地の範囲を監視するための経済的な火災監視ネットワークまたはシステム100を提供することが可能である。いくつかの態様において、1つまたは複数のガス動力式マイクロ発電機アラームモジュール202は、建物に関して本明細書で説明されている火災抑制システム100の中に含まれ得る。アラームモジュール202は、アラームモジュール202の付近における火災を示す熱事象によって作動されたアラームモジュール202のGPS座標を、火災監視サービスにまたは近くの消防署に送信するように構成され得る。
【0030】
図6Aおよび図6Bは、本技術による二重目的モジュール206の例示的な実装形態を図示している。二重目的モジュール206は、本明細書の他箇所で述べられているように、シリンダー220およびトリガー224を含み、トリガー224は、準備構成から作動構成へ二重目的モジュール206を移行させる。二重目的モジュール206は、聴覚アラームを発生させるホーン部分230(ベル231を含む)をさらに含む。
【0031】
シリンダー220は、トリガー224の中にねじ留めされてよく、1つまたは複数のSMAワイヤー226によってトリガー224に対してさらに保持されている。図6Aおよび図6Bの例示的な実装形態では、1つまたは複数のSMAワイヤー226は、SMAワイヤー226の単一のループの形態になっており、それは、トリガー224の保持ノブ228の周りにループ状に巻かれており、シリンダー220の反対側端部において保持構造体227を通過している。SMAワイヤー226のループは、(たとえば、SMAワイヤー226の長さの最大で2%、3%、4%、5%、またはそれ以上だけ)収縮することによって変形するように構成されている。本明細書の他箇所で開示されているように、SMAワイヤー226が高温で収縮するとき、SMAワイヤー226のループの長さは、シリンダー220がトリガー224のより近くに引き寄せられるように減少する。シリンダー220がトリガー224に引き寄せられるときに、シリンダーの封止された先端部は、トリガー224の中に少なくとも部分的に配設されているシール破断要素232(図7A図7B)に接触し、シールを穿刺し、加圧されたガスまたは流体がシリンダー220から出て行くことを可能にする。シリンダーから出て行く加圧されたガスまたは流体は、ホーン部分230を作動させ、可聴アラームを生成させ、本明細書の他箇所で説明されているように、二重目的モジュール206の周りの空隙を少なくとも部分的に充填する。
【0032】
図7Aおよび図7Bは、本開示のいくつかの態様による例示的なシール破断要素232を図示している。いくつかの実施形態において、シール破断要素232は、本明細書で開示されているモジュール(たとえば、図6A図6Bの二重目的モジュール206など)のいずれかのトリガー224および/またはホーン部分230の中に実装され得る。シール破断要素232は、針234およびガスまたは流体導管238を含む。
【0033】
針234は、シリンダー220(図6A図6B)などのようなシリンダーのシールを穿刺するように適合されている角度付き先端部236を有する中空のチューブ状の構造体である。針234は、寸法安定性を保持するために、および、シリンダー220が先端部236に接触するときにシリンダー220のシールを穿刺するために適切に硬い任意の材料(たとえば、金属またはポリマー材料など)を含むことが可能である。シールを穿刺すると、シリンダー220から出て行くガスまたは流体が、針234の少なくとも一部分を通って、および、ガスまたは流体導管238を通って進む。
【0034】
図8A図8Dは、図7A図7Bの例示的なガスまたは流体導管238を図示している。図8Aは、導管238の側面図であり、図8Cは、図8Aにおいて矢印8Cによって示されているように、図8Aの図に対して垂直の角度でとられた導管238の追加的な側面図である。図8Bは、図8Aにおいて矢印8Bによって示されている遠位セクション240の部分的な拡大図である。図8Dは、図8Cにおいて矢印8Dによって示されている遠位セクション240の部分的な拡大図である。
【0035】
導管238は、シリンダー220(図6A図6B)からガスおよび/または流体を受け入れるように構成されている遠位セクション240を含む中空のチューブ状の構造体である。遠位セクション240は、少なくとも1つの開口部を含み、ガスおよび/または流体が、少なくとも1つの開口部を通って導管238に進入することが可能である。図8A図8Dの例示的な導管238では、遠位セクション240は、導管238の対向する側に配設されている側部スロット242を含む。端部スロット244が、遠位セクション240の端部に配設されている。したがって、針234の先端部236(図7A図7B)がシリンダーのシールを穿刺したとき、シリンダーから出て行く圧力をかけられたガスおよび/または流体が、側部スロット242および端部スロット244を通って導管238に進入することが可能である。
【0036】
側部スロット242および/または端部スロット244のサイズ、形状、および構成は、有利には、モジュールのホーン部分230(図6A図6B)に進入するガスおよび/または流体の圧力を制御することが可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、モジュールは、モジュールのホーン部分の動作に望まれる圧力よりも実質的に高い圧力でガスまたは流体を含有しているシリンダーを使用することが可能である。いくつかの実施形態において、図8A図8Dに図示されている構成は、ホーン部分に進入するガスまたは流体の圧力を低減させるのに適切である可能性がある。たとえば、導管238の側部スロット242および端部スロット244の構成は、遠位セクション240の反対側の近位端部において導管238から出て行くときに、高い圧力のガスまたは流体(たとえば、シリンダーの中で、最大で100psi、200psi、300psi、400psi、500psi、600psi、700psi、800psi、900psi、1000psi、または、それ以上)をより低い圧力(たとえば、100psi、90psi、80psi、70psi、60psi、50psi、40psi、30psi、20psiと同程度の低さ、または、それよりも低く)まで低減させるのに適切である可能性がある。
【0037】
図9A図9Dは、本開示のいくつかの態様による例示的なアラームモジュール202を図示している。さまざまな実施形態において、図1に図示されているようなアラームモジュール202は、圧縮されたガスもしくは流体によって、および/または、電気によって、動力を与えられ得る。図9A図9Dの例示的なアラームモジュール202は、電力を使用して聴覚アラームおよび/または可視アラームを発するように構成されている。図9Aは、アラームモジュール202の正面斜視図である。図9Bおよび図9Cは、アラームモジュール202の後方斜視図である。図9Dは、アラームモジュール202のトリガー機構を図示する、アラームモジュール202の部分的な拡大側面斜視図である。
【0038】
アラームモジュール202は、電力の供給源(たとえば、1つまたは複数のバッテリー252など)を含有するハウジング250を含む。ハウジング250は、ハウジング250の上にまたは少なくとも部分的にハウジング250の中に配設されている1つまたは複数の光源256(たとえば、発光ダイオード(LED)、ストロボ(たとえば、LEDストロボ)、または、光を発するように構成されている他の光源など)をさらに含むことが可能である。また、サウンドエミッター258(たとえば、スピーカーまたは電磁ホーンなど)が、ハウジング250の上にまたは少なくとも部分的にハウジング250の中に(たとえば、ハウジング250の後方表面251の上などに)配設されることも可能である。
【0039】
バッテリー252は、バッテリーホルダー254の中に配設され得、バッテリーホルダー254は、1つまたは複数の光源256および/またはサウンドエミッター258に給電するためにバッテリー252の端子同士を接続するための回路をその中に有している。準備構成では、図9A図9Dに示されているように、絶縁体260が、1つもしくは複数の光源256および/またはサウンドエミッター258に給電するために、電気がバッテリー回路を通って流れないように、バッテリー252の少なくとも1つの端子262とバッテリーホルダー254の対応する接触部との間に配設されている。
【0040】
火災がアラームモジュール202の付近にあることに関連付けられる高温において、アラームモジュール202をトリガーするために、SMAワイヤー264は、ハウジング250の上にまたはハウジング250の中に(たとえば、ハウジング250の後方表面251に沿ってなど)配設されている。SMAワイヤー264は、ハウジング250にアンカー固定された第1の端部266と、可撓性コネクター270(たとえば、可撓性の金属リボンまたはポリマーリボンなど)によって絶縁体260に接続された第2の端部268と、を有している。SMAワイヤー264が変形を引き起こすのに十分に高い温度に到達すると、SMAワイヤーは、収縮または短縮し、可撓性コネクター270を引っ張る。そして、可撓性コネクター270が、絶縁体260が端子262と対応する接触部との間のその場所から除去され、バッテリー回路を完成させるように、絶縁体260を外向きに引っ張る。
【0041】
バッテリーホルダー254から絶縁体260が除去されると、バッテリー252からの電気が、1つもしくは複数の光源256および/またはサウンドエミッター258を作動させる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の光源256は、電気によって作動されるときに、火災アラームストロボと一致するフラッシュの繰り返しパターンで光を発することによって、ストロボライトとして作用するように構成されている。いくつかの実施形態において、サウンドエミッター258は、本明細書の他箇所で説明されているように、電気によって作動されたときに、アラーム音(たとえば、ホーン(たとえば、電磁ホーン)、ブザー、1つまたは複数の楽音、または、任意の適切なボリュームの任意の他のアラーム音など)を発するように構成されている。いくつかの実施形態において、サウンドエミッター258は、言葉による警告メッセージ(たとえば、「火災です!」など)を再生するように構成されている。いくつかの実施形態において、サウンドエミッター258によって発せられる音は、音声作動式デバイス(たとえば、ネットワークに接続されたデバイス(たとえば、デジタルアシスタント、スマートスピーカーなど)など)と相互作用するように選択される。たとえば、サウンドエミッター258は、メッセージ(たとえば、「じゃあ、グーグル、911に電話して」、または、音声作動式デバイスを作動させ、デバイスを緊急サービスに接触させるのに適切な任意の他のメッセージなど)を再生することが可能である。いくつかの実施形態において、サウンドエミッター258は、アラームモジュール202をトリガーするときに、近くにある音声作動式デバイスが作動される確率を増加させるように、異なるタイプの音声作動式デバイスを作動させるために選択された多数の異なるメッセージを順次再生するように構成され得る。
【0042】
本開示の特定の構成が上記に説明されてきたが、それらは、単なる例として提示されており、限定するものではないということが理解されるべきである。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細のさまざまな変更がその中で行われ得るということが当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明は、上記に説明された例示的な実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその均等物にしたがってのみ定義されるべきである。そのうえ、本発明の特定の利点が本明細書で説明されてきたが、必ずしもすべてのそのような利点が、本発明の任意の特定の実施形態にしたがって実現され得るわけではないということが理解されるべきである。したがって、たとえば、本発明は、本明細書で教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも実現することなく、本明細書で教示されているような1つの利点または利点のグループを実現または最適化する様式で具現化または実施され得るということを当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0043】
10 建物構造体、建物
12 外部パネル
14 コンパートメント
20 外部壁部
22 対向する壁部
24 またがる壁部
30 火災抑制物質
33 聴覚アラーム
100 火災防止システム
200 モジュール
202 アラームモジュール
204 火災抑制モジュール
206 二重目的モジュール
210 外部部分
212 内部部分
220 キャニスター、シリンダー
222 シール破断要素
224 トリガー
226 形状記憶合金(SMA)ワイヤー
227 保持構造体
228 保持ノブ
230 ホーン部分
231 ベル
232 シール破断要素
234 針
236 角度付き先端部
238 ガスまたは流体導管
240 遠位セクション
242 側部スロット
244 端部スロット
250 ハウジング
251 後方表面
252 バッテリー
254 バッテリーホルダー
256 光源
258 サウンドエミッター
260 絶縁体
262 端子
264 SMAワイヤー
266 第1の端部
268 第2の端部
270 可撓性コネクター
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
【国際調査報告】