(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】磁気ガイド付き膨張可能な生体内カプセル内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61B1/00 611
A61B1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528991
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020054219
(87)【国際公開番号】W WO2021071768
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522195150
【氏名又は名称】アンクス ロボティカ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ANX ROBOTICA CORP.
【住所又は居所原語表記】7213 Regency Court, Plano, Texas 75024 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】ルベイ ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン シャォドン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161DD07
4C161FF15
4C161FF17
4C161GG28
4C161HH02
4C161HH03
(57)【要約】
膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、生体内画像を捕捉するための感知装置と、カプセル状本体に収容され内視鏡を磁気的に誘導するための1つまたは複数の永久磁石とを含む。また、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、カプセル状本体の外部に取り付けられた膨張可能なブイを含む。膨張装置は、次の操作によって生体内カプセル内視鏡を膨張させる。つまり、膨張可能なブイにガスを注入することで、膨張可能なカプセル内視鏡を膨張させて比重を低減させ、膨張可能なブイに閾値超過量のガスを注入すると、膨張可能なカプセル内視鏡が液体に浮くようになる。膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、外部で生成された磁場にさらされると、永久磁石を介して磁気的に誘導される。低減された磁場強度および外部磁石のサイズによって、従来の非膨張カプセルよりも液体中に浮遊する膨張カプセルを磁気的にナビゲートすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な生体内カプセル内視鏡であって
カプセル状本体と、
カプセル状本体内に収容され、生体内画像を捕捉するための検知装置と、
カプセル状本体外に設置された膨張可能なブイと、
膨張装置と、
を備え、
前記膨張装置は、膨張可能なブイにガスを注入し生体内カプセル内視鏡の比重を低減させることで、生体内カプセル内視鏡を膨張させるように構成され、この構成により、前記膨張可能なブイに閾値超過量のガスが注入されると、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、液体に浮くようになり、
膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、さらに、カプセル状本体内部に収容された1つまたは複数の永久磁石を含み、1つまたは複数の永久磁石は、外部で生成された磁場にさらされたときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導する永久磁気モーメントを有することを特徴とする膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項2】
前記膨張装置は、生体内カプセル内視鏡の密度が水の密度以下となるような量のガスを注入することを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項3】
前記膨張装置は、生体内カプセル内視鏡の密度が、磁気リフト力によって打ち消される量だけ水の密度よりも大きくなるように、ある量のガスを注入することを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項4】
収縮装置を有し、この収縮装置は、気体を排出することで生体内カプセル内視鏡の比重を増加させ、この比重増加により、膨張可能なブイが閾値以下のガス量を有するとき、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は液体中に沈むようになることを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項5】
前記膨張装置は、ガスを所望の体積または圧力まで注入または排出して、液体の高さレベルに対して膨張可能な生体内カプセル内視鏡の浮揚高さレベルを調整することを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項6】
カプセル状本体が第1の磁気双極子を含み、膨張可能なブイが第2の磁気双極子を含み、
第1および第2の磁気双極子は、所定の磁場がない場合に反対方向に配向され、膨張可能なブイとカプセル状本体との間に磁気引力および接続を形成させ、
第1の磁気双極子または第2の磁気双極子は、所定の磁場にさらされると反転するように構成され、第1および第2の磁気双極子は実質的に同じ方向に向けられ、膨張可能なブイとカプセル状本体との間で磁気反発と磁気引力解除を実現することを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項7】
前記膨張ブイは、コルクスクリュー形状の表面を有し、膨張したときにらせん運動で回転することによって膨張可能な生体内カプセル内視鏡を前方に推進することを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項8】
コルクスクリュー形状の表面は、第1方向に回転するとき前方に、反対方向に回転するとき後方に、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を推進することを特徴とする請求項7に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項9】
前記膨張装置は、膨張ブイをチャネル直径と実質的に一致する直径まで膨らませ、チャネル直径に関係なく内視鏡とチャネルとの間の目標圧力を達成して内視鏡を推進することを特徴とする請求項7に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項10】
前記永久磁石は、カプセル状本体の径方向軸に対して質量中心から放射状に間隔を置いて配置され、外部で発生した磁界にさらされるとき、コルクスクリュー形状の表面を推進するための非対称のらせん力を引き起こすことを特徴とする請求項7に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項11】
前記膨張装置は生体外装置であり、この膨張装置は、生体内に配置された生体内膨張可能ブイを膨張させるときに、生体の外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項12】
生体外膨張装置は、生体の消化管の少なくとも一部を横断する細長いテザーによってブイに取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項13】
前記テザーはカプセル状本体に磁気的に取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項14】
前記テザーは、外部で生成された磁場にさらされることによってカプセル状本体から磁気的に分離可能であり、テザー内の磁石とカプセル状本体との間に反発磁力を発生させることを特徴とする請求項13に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項15】
前記外部膨張装置が注射器であることを特徴とする請求項12に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項16】
前記外部膨張装置がポンプであることを特徴とする請求項12に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項17】
前記テザーは、生体から体液を収集するため液体を吸引するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項18】
前記膨張装置は、膨張可能なブイで生体の内部に配置されるカプセル状本体に恒久的に取り付けられる生体内装置であることを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項19】
前記膨張装置が化学反応によって自律的にガスを生成することを特徴とする請求項18に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項20】
生体内膨張装置は、カプセル状本体の内部に収容され、このカプセル状本体は、ガスを内部膨張装置から外部膨張ブイに輸送するための孔を有することを特徴とする請求項18に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項21】
前記膨張装置は、カプセル状本体の外部における膨張ブイに取り付けられていることを特徴とする請求項18に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項22】
前記膨張ブイがカプセル本体の径方向軸に対して非対称に配置されることで、膨張ブイが比較的高い液面まで上昇してカプセル状本体を回転方向に方向づけることを特徴とする請求項18に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項23】
外部生成の磁場を生成するように外部磁気制御システムを有することを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項24】
前記膨張可能なブイは、感知装置の視野外側におけるカプセル状本体の部分をカプセル封入していることを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項25】
前記膨張ブイの凹状の内面によってカプセル封入された片側感知装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項26】
前記膨張ブイの円筒形の内面によってカプセル封入された両面感知装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
【請求項27】
磁気システムであって、請求項1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡と、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導するための外部生成の磁場を形成する外部磁気制御システムと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気システム。
【請求項28】
膨張可能な生体内カプセル内視鏡を操作する方法であって、
非膨張状態の膨張可能な生体内カプセル内視鏡を、生体内の液体を含む空洞部に導入し、前記カプセル内視鏡は、カプセル状本体と、カプセル状本体の外部に設置される膨張可能なブイと、カプセル状本体の内部に設置され生体内画像を捕捉するための感知装置とを含み、
生体内カプセル内視鏡の比重を低減するために、閾値超過量のガスを膨張可能なブイに注入して、膨張可能なブイを膨張させるように膨張装置を作動させ、膨張装置の作動により、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は液体含有の空洞部に浮ぶようになり、
永久磁気双極子モーメントを有するカプセル状本体の内部に収容された1つまたは複数の永久磁石を、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導する外部生成の磁場に曝露することによって、浮遊中の生体内カプセル内視鏡を磁気的にナビゲートすることを特徴とする生体内カプセル内視鏡の操作方法。
【請求項29】
生体内カプセル内視鏡の密度が水の密度以下になるように、ある量のガスを注入することによって、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を浮かせることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ある量のガスを注入することと、外部で生成された磁場にさらしてカプセルを磁気的に持ち上げることとの組み合わせによって、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を浮かせることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
膨張可能な生体内カプセル内視鏡が液体に沈むようにガスを放出することによって膨張可能なブイを収縮させることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
液体の高さレベルに対して膨張可能な生体内カプセル内視鏡の浮揚高さレベルを調整するために、所望の体積または圧力にガスを注入または排出することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記膨張ブイがコルクスクリュー形状の表面を有することで、膨張ブイがチャネルを通って磁気的にナビゲートされるとき、膨張可能な生体内カプセル内視鏡がらせん運動で回転することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
コルクスクリュー形状の表面が第1の方向に回転するときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を前方に推進し、コルクスクリュー形状の表面が反対方向に回転するときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を後方に推進することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記内視鏡と前記チャネルとの間の目標圧力を達成するために、チャネル直径と実質的に一致する直径に膨張ブイを膨張させることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
生体内カプセル内視鏡をその縦軸周りで磁気的に回転させて、コルクスクリュー形状の表面を推進させることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
生体内に配置された生体内膨張可能なブイを膨張させるときに、生体外に配置された生体外膨張装置を作動させ、前記生体外膨張装置は、生体の少なくとも一部を横断する細長いテザーによってブイに取り付けられていることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項38】
テザーをカプセル状本体に磁気的に取り付けたり解放したりすることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
生体から体液を収集するためにテザーを介して液体を吸引することを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
カプセル状本体に恒久的に取り付けられ、膨張中に膨張可能なブイで生体内に配置された生体内膨張装置を作動させることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項41】
生体内膨張装置内の化学反応によってガスを自律的に発生させることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記膨張ブイがカプセル本体の径方向軸に対して非対称に配置され、非対称に配置された膨張ブイを膨張させることによってカプセル状本体を配向させることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項43】
外部磁気制御システムを操作することによって外部生成の磁場を形成させることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2020年10月2日に出願された米国特許出願番号17/062,124および2019年10月7日に出願された米国仮出願番号62/911,688の利益を主張し、これらは両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、胃腸(GI)管の少なくとも一部を横断および画像化するように構成された摂取可能または生体内カプセル内視鏡に関する。より具体的には、いくつかの実施形態は、摂取可能なカプセル内視鏡に関する。このような摂取可能なカプセル内視鏡は、人体の外部に配置された磁気装置によって生成された磁場によって、人体の内部に停留している間に磁気誘導されるように構成された永久磁気双極子モーメントを有する。
【背景技術】
【0003】
従来の生体内カプセル内視鏡は、人体を通って移動するように磁気的に誘導される。これらのカプセルには、磁石、バッテリー、カメラ、およびその他の電子機器が含まれており、これらのものは、液体よりも比較的重いため、液体に沈んでいく。そのため、カプセルが胃などの液体で満たされた空洞部に入ると、カプセルは一般に空洞部の底に沈んでいる。
【0004】
いったん沈むと、カプセルは空洞部の底に入り、比較的強い磁力、例えば、0.006ニュートン(N)~0.06Nを必要として、カプセルと空洞部の底との間の摩擦力および抵抗力に打ち勝ち移動する。一般に、従来のシステムでは、沈んでいるカプセルを磁気的に回転させ、または移動させるために十分な強さの磁場を生成するように、磁石の大きなベッドが必要である。このような磁石は通常、空間全体を占有し、移動することを意図していないため、必要な人へのアクセスと携帯性が制限されている。さらに、カプセルが沈むと、その視野は一般に空洞部の壁と底によって遮られ、カプセルによって捕捉された画像内の関心のあるオブジェクトをブロックしてしまう。
【0005】
したがって、当技術分野では、生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導するためのより効率的なシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
当技術分野における前述の問題を解決するために、本発明は、カプセルを液体中に浮遊させる膨張可能な生体内カプセル内視鏡システムを提供する。浮遊しているとき、カプセルは、胃の底または他の液体で満たされた空洞部の底の上の液体に懸濁される。この浮力によって、例えばカプセルと空洞部壁との間の摩擦力または抗力を低減することで、カプセルを磁気的に移動させることが著しく容易となる。浮遊カプセルは、カプセルを誘導するために、沈んだカプセルよりも非常に弱い磁力、例えば0.0006ニュートン(N)~0.006Nを必要とする(例えば、10分の1または1桁の減少)。このような磁場は、従来のシステムよりも小さな磁石で生成することができる。いくつかの実施形態では、磁石は、手持ち式または携帯型のように十分に小さく、磁気誘導のカプセル内視鏡検査をより広い範囲の患者が利用できるようになる。
【0007】
さらに、浮遊カプセルは空洞部の底から離間しているので、幾つかの実施形態では、空洞部の壁または底によるカプセル撮像装置の視野への障害または遮蔽を低減または解消することができる。したがって、本発明の実施形態は、従来の沈められたカプセル内視鏡と比較して、浮遊カプセル内視鏡によって生成された画像における関心のある物体の可視性を改善し得る。いくつかの実施形態では、カプセルの膨張レベルは、調節または調整することができる。これによって、カプセルが液面より下の高さまで浮き、表面での屈折またはグレアを防ぎ、画質をさらに改善することができる。
【0008】
本発明の実施形態では、膨張可能な生体内カプセル内視鏡が提供される。この膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、カプセル状本体と、カプセル状本体の内部に収容され、生体内画像を捕捉するための感知装置と、カプセル状本体の外部に設置される外部の膨張可能なブイと、カプセル状本体の内部に収容された1つまたは複数の永久磁石とを備える。膨張装置は、膨張可能なブイにガスを注入して生体内カプセル内視鏡の比重力を低減させることで、生体内カプセル内視鏡を膨張させるように構成されている。膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、膨張可能なブイに閾値以上量のガスを注入すると、液体に浮くように構成されている。1つまたは複数の永久磁石は、外部で生成された磁場に曝されたときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導するための永久磁気モーメントを有する。
【0009】
本発明の実施形態では、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を操作する方法が提供されている。膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、膨張していない状態で、生体内の液体を含む空洞部に導入することができる。カプセル内視鏡は、カプセル状本体と、カプセル状本体の外部に設置される膨張可能なブイと、カプセル状本体の内部に収容され、生体内画像を捕捉する感知装置とを備え得る。閾値以上量のガスを膨張可能なブイに注入して、生体内カプセル内視鏡の比重力を低減させることで、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を空洞部内の液体中に浮かせるように膨張装置を作動させることができる。浮遊中の生体内カプセル内視鏡は、永久磁気双極子モーメントを有するカプセル状本体の内部に収容された1つまたは複数の永久磁石を、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導する外部生成の磁場に曝露することによって磁気的にナビゲートされることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分において特に記載され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、その構成、特徴、および利点とともに、構成および操作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれる場合、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による、非膨張状態(左の画像)および膨張状態(右の画像)での膨張可能な生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0012】
【
図2】本発明の実施形態による、非膨張状態にある生体空洞部内の膨張可能な生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、膨張状態にある生体空洞部内の膨張可能な生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0013】
【
図4】本発明の実施形態による、膨張可能な生体内カプセル内視鏡およびその構成要素を示す分解図である。
【0014】
【
図5】本発明の実施形態による、外部磁気制御システムを示す概略図である。
【0015】
【
図6】本発明の実施形態による、細長いテザーを介して生体内ブイを生体外膨張装置に取り付けるためのテザーシステムを示す概略図である。
【0016】
【
図7】本発明の実施形態による、生体内ブイを生体外膨張装置に取り付けるためのテザーを示す概略図である。
【0017】
【
図8】本発明の実施形態による、接着によってカプセル状本体に取り付けられた「バルーン拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【
図9】本発明の実施形態による、接着によってカプセル状本体に取り付けられた「バルーン拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【
図10】本発明の実施形態による、接着によってカプセル状本体に取り付けられた「バルーン拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【
図11】本発明の実施形態による、接着によってカプセル状本体に取り付けられた「バルーン拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【0018】
【
図12】本発明の実施形態による、弾性張力によってカプセル状本体に取り付けられた「カップ拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【
図13】本発明の実施形態による、弾性張力によってカプセル状本体に取り付けられた「カップ拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【
図14】本発明の実施形態による、弾性張力によってカプセル状本体に取り付けられた「カップ拡張」タイプのブイを示す概略図である。
【0019】
【
図15】本発明の実施形態による、径方向に非対称な膨張ブイを示す概略図である。
【
図16】本発明の実施形態による、径方向に非対称な膨張ブイを示す概略図である。
【0020】
【
図17】本発明の実施形態による、径方向および長手方向に非対称な膨張ブイを示す概略図である。
【
図18】本発明の実施形態による、径方向および長手方向に非対称な膨張ブイを示す概略図である。
【0021】
【
図19】本発明の実施形態による、コルクスクリュー形状の外面を備えた膨張ブイを示す概略図である。
【0022】
【
図20】本発明の実施形態による、非膨張状態(左画像)および膨張状態(右画像)にあるコルクスクリュー形状の膨張ブイを備えた膨張可能な生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0023】
【
図21】本発明の実施形態による、細長いテザーを介してコルクスクリュー形状の膨張ブイを生体外膨張装置に取り付けるためのテザーシステムを示す概略図である。
【0024】
【
図22】本発明の実施形態による、コルクスクリュー形状の膨張可能な生体内カプセル内視鏡およびその構成要素(直径方向に分極された磁石を含む)を示す概略分解図である。
【0025】
【
図23】本発明の実施形態による、カプセルの視野を遮る狭いチャネル(channel)内の膨張していないコルクスクリュー形状のカプセル内視鏡を示す概略図である。
【0026】
【
図24】本発明の実施形態による、チャネルを広げてカプセルの視野を拡大した、膨張したコルクスクリュー形状のカプセル内視鏡を示す概略図である。
【0027】
【
図25】本発明の実施形態による、弾性ブラダーを備え、膨張していないコルクスクリュー形状のブイを示す概略図である。
【0028】
【
図26】本発明の実施形態による、膨張していない弾性コルクスクリュー形状のブイ(上の画像)および膨張した弾性コルクスクリュー形状のブイ(下の画像)を備えた狭いチャネルを通って移動するカプセル内視鏡を示す概略図である。
【0029】
【
図27】本発明の実施形態による、コルクスクリュー形状のカプセル内視鏡の回転方向とコルクスクリュー形状のカプセル内視鏡の並進推進方向との間の関係を示す概略図である。
【0030】
【
図28】本発明の実施形態による、テザーと生体内カプセル内視鏡との間に形成され磁気的に解放可能な接続を示す概略図である。
【0031】
【
図29】本発明の実施形態による、生体内ブイおよび生体内膨張装置を含む自律型(繋留されていない)カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0032】
【
図30】本発明の実施形態による、コルクスクリュー形状の弾性ブラダーを接着するための接着剤コーティングを含む自律型カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0033】
【
図31】本発明の実施形態による、膨張していない弾性コルクスクリュー形状のブイ(左画像)および膨張した弾性コルクスクリュー形状のブイ(右画像)を含む自律型カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0034】
【
図32】本発明の実施形態による、内部膨張装置から外部膨張ブイにガスを輸送するための孔を含む自律型カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0035】
【
図33】本発明の実施形態による、両面感知装置を備えた双方向生体内カプセル内視鏡を示す概略分解図である。
【0036】
【
図34】本発明の実施形態による、生体外膨張装置を介して双方向の生体内カプセル内視鏡を膨張させるための、繋留された生体内ブイを示す概略図である。
【0037】
【
図35】本発明の実施形態による、双方向の生体内カプセル内視鏡の中心部をカプセル封入した、膨張していなく繋留された生体内ブイを示す概略図である。
【0038】
【
図36】本発明の実施形態による、生体空洞部内につながれた非膨張状態の生体内ブイによってカプセル封入された膨張可能な双方向の生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0039】
【
図37】本発明の実施形態による、双方向の生体内カプセル内視鏡の中心部をカプセル封入し、繋留され膨張した生体内ブイを示す概略図である。
【0040】
【
図38】本発明の実施形態による、生体内の空洞部に係留された膨張状態の生体内ブイによってカプセル封入された膨張可能な双方向生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0041】
【
図39】発明の実施形態による、内部膨張装置を含むと共に、外部膨張ブイにおいてガスを輸送するための孔を含む自律型(繋留されていない)双方向生体内カプセル内視鏡を示す分解概略図である。
【0042】
【
図40】本発明の実施形態による、「カップ拡張」タイプのブイによって膨張可能となる自律型双方向生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【
図41】本発明の実施形態による、「カップ拡張」タイプのブイによって膨張可能となる自律型双方向生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0043】
【
図42】本発明の実施形態による、非膨張状態にある、生体内の空洞部における自律型膨張可能な双方向生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【
図43】本発明の実施形態による、膨張状態にある、生体内の空洞部における自律型膨張可能な双方向生体内カプセル内視鏡を示す概略図である。
【0044】
【
図44】本発明の実施形態による、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を操作する方法を示すフローチャートである。
【0045】
例示を簡潔かつ明確にするために、ここで図示された発明の構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されよう。例えば、一部の構成要素の寸法は、判りやすくするために他の要素に比べて誇張されている場合もある。さらに、適切と考えられた場合、対応する構成要素または類似の要素を示すために、参照番号を図の間で繰り返すこともある。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の実施形態による、非膨張状態(左の画像)および膨張状態(右の画像)にある膨張可能な生体内カプセル内視鏡100を概略的に示している。
図1に示すように、膨張可能な生体内カプセル内視鏡100は、カプセル状本体104と、カプセル状本体104に外部から取り付けられた膨張可能なブイ102とを有する。膨張式ブイ102は浮揚装置であり、膨張装置(例えば、
図6の膨張装置112)によって膨張すると、閾値を超える体積または圧力のガスを膨張式ブイ102のブラダーに注入し、カプセルの全体的な密度(または水に対する比重)を低下させる。これにより、膨張したカプセル100が液体中に浮くようになる。
【0047】
また、カプセル100は、1つまたは複数の永久磁石124(例えば、
図4に示されるように)を有し得る。1つまたは複数の永久磁石は、永久磁気双極子モーメントを有するカプセル状本体104の内部に収容されている。外部磁石制御システム126によって生成された磁場に曝されたときに(例えば、
図5に示されるように)、カプセル内視鏡100は、永久磁石124によって、磁気的に誘導されることが可能となる。
【0048】
図2および
図3は、本発明の実施形態による、非膨張状態(
図2)および膨張状態(
図3)における生体空洞部内の膨張可能な生体内カプセル内視鏡100を概略的に示している。ここの膨張は、カプセル内視鏡100が、
図2に示すように空洞部の壁または底に接触するような(実質的にゼロ距離または無視できる距離)沈んだ状態から、
図3に示すように空洞部の底から非ゼロ距離または比較的大きい距離を有する状態に適用される。いくつかの実施形態では、膨張したカプセル100は、ブイ102を膨張させることによって(例えば、その密度を水の密度以下に減少させ、若しくは、水に対する比重を1以下に減少させることによって)発生する浮揚力のみによって浮くことができる。他の実施形態では、膨張したカプセル100は、浮揚力(例えば、水密度よりもまだ大きいが、カプセル密度の低下によって引き起こされる)と磁気揚力との組み合わせによって浮くことができ、これらは共に重力沈下力を打ち消すことになる。ブイ102は、空気、二酸化炭素、窒素などのガス、或いは、泡、油、または水よりも密度が低い他の気体または液体の物質、若しくはこれらの混合物などで膨張させることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、カプセル内視鏡100は、ある体積またはある圧力のガスを排出することによってブイ102を収縮させるように構成された収縮装置(同じ「二重目的」の膨張収縮装置112または異なる装置)に接続されている。したがって、収縮装置は、生体内カプセル内視鏡の密度または比重を増加させることで、膨張可能な生体内カプセル内視鏡100が液体に沈むようになる。いくつかの実施形態では、カプセル100は、ある量のガスを放出することで、空洞部の底に沈むか、または液面の下の所定の高さまで浮かぶことができる。いくつかの実施形態では、カプセル100は、デバイスを収縮させることによってのみ、または磁力と組み合わせることで、沈めることができる。一例では、収縮装置は、カプセル100の密度を増加させて水の密度よりも大きくするか、或いは水に対する比重を増加させて1より大きくする。一実施形態では、ブイに(再封可能または再封不可能な)孔を開けることによって、ガスを排出できるので、他の装置を使用しなくてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、カプセルが液面に対して様々な深さで浮くように、膨張の程度を調節または調整することができる(例えば、
図16および18を参照のこと)。膨張装置112は、ガスを所望の体積または圧力まで注入または排出して、液体の高さレベルに対して膨張可能な生体内カプセル内視鏡の浮揚高さレベルを(自動または手動で)調整することができる。例えば、液面での屈折によって引き起こされる画像の歪みを回避するために、ブイ102は、ある体積または圧力のガスによって膨張し、カプセル100が完全に沈没するほど十分に高い液面に浮くことができる(例えば、
図16および
図18に示すカプセルの高さ)。
【0051】
ブイ102は、一体化したものであり、或いはカプセル状本体104の外面に装着し、または取り付けられたものである。また、ブイ102は、様々なサイズおよび形状を有するものであり、例えば凹形、カップ形、U字形などの断面を有する環状形もの(膨張した場合)および円筒形を呈するもの(収縮した場合)、そして球形、楕円形などの形状を有するものである。また、ブイ102は、カプセル状本体104の様々な位置に沿って配置することができる。例えば、カプセルの質量中心を取り囲み、最小のカプセル表面領域をカプセルに封入して強固に取り付ける(例えば、カプセルの縁の近く、カプセル質量中心から最大の間隔で取り付ける)。これと同時に、感知装置を遮蔽することを避けながら最大のカプセル表面積をカプセルに封入し(例えば、感知装置の窓を除くカプセル本体全体を包む)、カプセル表面積の任意の割合をカプセル封入する。カプセル状本体104は、外側カプセル表面108の透明な窓または一部の後ろには、生体内画像を取り込むための感知装置を収容することができる。一実施形態では、ブイ102は、カプセルの外側表面106の一部を取り囲み、或いはカプセル封入することができる。これにより、カプセル外面108の透明部分(例えば、感知装置の視野の外側)を遮断または遮蔽することが回避される。一方向または片側感知装置(例えば、カプセルの一方の長手方向端部のみにカメラシステムを備えており、
図4に示されているように)の場合、ブイ102は、凹形またはU字形の断面を有し得る。これは、カプセルの側壁および端部106を取り囲み(例えば、
図1に示されるように)、感知装置の端部108を遮るものではない。
図33~43に示すように、双方向または両面感知装置(例えば、カプセルの長手方向の両端部に2つのカメラシステムを備えている)の場合、ブイ102は、カプセルの縦方向の中心を揺り動かし、或いはカプセル封入するためのリング状部品、または円筒形部品を有するが、カプセルの縦方向の何れかの端部で感知装置をブロックするようになっていない。別の実施形態では、ブイ102は実質的に透明であり、検知装置を部分的にまたは完全に重なり覆うことができる。ここで、完全に重なり覆われているブイ102は、楕円形またはカプセル形状である。
【0052】
ブイ102の膨張時に胃または液体充填の他の空洞部を画像化した後、ブイ102を収縮させて、カプセルを部分的または完全に非膨張状態に復帰させることができる。これにより、カプセルは、より小さなチャネルを通って収まる(例えば、テザーを介して食道を通って後ろへ後退し、或いは、GI管を通って継続して自動的に前進する)。
【0053】
図4は、分解図であり、本発明の実施形態による、膨張可能な生体内カプセル型内視鏡100およびその構成要素を概略的に示している(カプセル状本体104の内部に装着されている)。カプセル状本体104は、最大の長さに沿う長手方向の軸111と、円形断面の直径に沿う径方向軸121とを有する。カプセル状本体104は、長手方向軸111の両端に2つの凹状シェルまたは半球を有する。カプセル状本体104は、その長手方向軸111の一端において、検知装置128を収容するための透明窓であるシェル108を有する。検知装置128は、1つまたは複数のイメージセンサ、光源(例えば、発光ダイオード(LED))を有するとともに、生体内画像を捕捉するためのレンズ(ES)を有する(勿論、画像データを処理、記憶、および/または送信するための処理回路基板を有する)。ここで、カプセル状本体104は、その縦軸111の反対側の端部において、透明(デュアルカメラ内視鏡の場合)または不透明(シングルカメラ内視鏡の場合)のシェル106を有する。また、カプセル状本体104は、永久磁気双極子(例えば、南北)を有する1つまたは複数の永久磁石124を収容することができる。永久磁石124によって、カプセル内視鏡100が、1つまたは複数の外部磁石126によって生成された磁場に曝されたときに磁気的に誘導される(例えば、
図5に示されるように)。また、カプセル状本体104は、無線(例えば、無線周波数(RF))処理基板と、遠隔装置またはコントローラとの間で情報を無線で送受信するためのアンテナと、を備える無線通信システム122を収容することができる。無線通信システム122は、生体内情報を送信することができる。これらの生体内情報は、例えば、感知装置128によって捕捉された生体内画像データと、ブイ102の各種値と、ガス圧力またはガス体積などのパラメータと、外部磁石制御システム126と相互作用し、制御システム126によって制御される磁場情報と、および/または他のセンサーフィードバック、例えば、温度、圧力、pHなどの生体内条件とを含む。無線通信システム122は、外部装置からコマンドまたは制御情報を受信することができる。コマンドまたは制御情報は、例えば、自律型生体内膨張装置112のための、膨張または収縮を活性化するコマンドおよび/または画像捕捉コマンドまたはパラメータなどである。そして、カプセル状本体104は、内視鏡100の構成要素に電力を供給するために、1つまたは複数の電池または電源132を収容することができる。
【0054】
図5は、本発明の実施形態における外部磁気制御システム126を概略的に示している。
図5に示すように、外部磁気制御システム126は、カプセル内視鏡100に含まれる1つまたは複数の永久磁石124を介してカプセル内視鏡100を誘導するための磁場を生成することができる。外部磁気制御システム126は、1つまたは複数の外部永久磁石344の水平方向および垂直方向の位置決めに適合された固定具を含む。このような垂直方向および水平方向の位置決めは、垂直方向および水平方向における調整可能な機構および調整可能なベースを使用することによって、実現されている。外部磁気制御システム126は、カプセル内視鏡100を3次元で動かすために2つの軸に沿って自由に動くことができる。外部磁気制御システム126の機構および動作の詳細は、例えば、米国特許出願公開第2015/0380140号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0055】
カプセル内視鏡100が膨張して液体中に浮かんでいるとき、その浮力により、カプセルは磁気的に移動しやすくなる。したがって、外部磁気制御システム126は、従来の外部カプセル誘導磁石システムで使用されるよりも、著しく小さくすることができ、その磁場も、著しく小さくすることができる。例えば、外部永久磁石134は、約75A/cm2の磁気モーメントMと5cmの直径とを有する。このような磁気モーメントMは、カプセルが膨張していない場合に同等の運動に従来使用されていた2500A/cm2よりも遥かに小さい。また、5cmの直径は、カプセルが膨張していない場合に同等の運動に従来使用されていた16cmよりも遥かに小さい。いくつかの実施形態では、外部磁気制御システム126は、手持ち可能、或いは携帯可能になるほど十分に小さくてもよい。
【0056】
膨張可能な生体内カプセル内視鏡100は、テザー(繋留)システム(例えば、
図2~3、
図6~21、
図23~26、および
図28に示される)、または自律型システム(例えば、
図29~32に示すように、繋留されていない)に配置される。テザーシステムの説明文で説明されたカプセル内視鏡100には、自律型(非テザー)システムの説明も適用可能(逆も同様であり、但し、テザーまたは自律膨張用の構成要素または機能を除く)。
【0057】
図6は、本発明の実施形態による、細長いテザー110を介して生体内ブイ102を生体外ボ膨張装置112に取り付けるためのテザーシステムを概略的に示している。テザー110は、生体消化管の一部を横断することが可能であり、ブイ102を膨張させるときに、生体外膨張装置112(生体の外側に配置される)を生体内膨張可能なブイ102(生物内に配置される)に接続することができる。生体外膨張装置112(カプセル100の反対側のテザー110の端部に位置される)は、注射器、空気ポンプ、空気圧縮機、化学ガス反応器、および/または液体注入ポンプ、タンク、またはゴム球を含む。膨張装置112は、ブイ102内の空気圧または空気容積を調整すると共に、水位に対して浮揚の高さまたはレベルを調整し、および/または食道もしくは小腸などの可変サイズのチャネルに適合するようにコルクスクリュー形状のブイの圧力またはサイズを調整する。
【0058】
図7は、本発明の実施形態による、生体内ブイ102を生体外膨張装置112に取り付けるためのテザー110を概略的に示している。図示のように、テザー110は、延長管114を有する。この延長管114は、膨張装置112に接続する第1の端部116と、ブイ102に接続する第2の端部118とを備える。ここで、延長管114は、細長い気密性チャネルとなっており、膨張装置112からガスをブイ102(膨張用)に輸送し、および/またはガスをブイ102から収縮装置(膨張装置112と同じまたは異なる)に抽出または吸引する。テザー110は、固定長または格納式(可変長)の延長管114を有する。完全に延長されると、テザー110は、生体の口の外側から生体内部の標的チャネルまたは空洞部(胃など)の内側まで伸びるのに十分な長さの距離に及ぶことができる。テザー110とブイ102とを接続する第2の端部118は、恒久的に取り付けられている(例えば、分離によってシステムまたはその構成要素を破壊または損傷する可能性がないように接着または貼り付けられる)。或いは、上記の接続が解けるようにしてもよい(例えば、システムまたはその構成要素を破損または損傷することなく、しきい値の体積または力を超える空気圧によって、または磁力によって行われる)。
図28は、テザー110とブイ102とを接続する磁気的に解除可能な第2の端部118を例示している。
【0059】
図8~14は、本発明の実施形態による、様々なタイプの膨張可能なブイ102を概略的に示している。ここで、膨張可能なブイ102は、ガスを保持するために密封する1つまたは複数の膜を含む気密ブラダーを有する。膨張可能なブイ102は、ガスが流れる膨張/収縮ポートを有する。膨張/収縮ポートは、テザーシステムの細長いチューブ114の一部であり(或いは接続されている)、或いは自律型(テザーされていない)システムの孔120である。膨張可能なブイ102は、シーラント(例えば、接着剤)または弾性張力によってカプセル状本体104に接続することができる。
図8~11に示されるシーラント接続の一実施形態では、ブイ102は、「バルーン膨張」によって膨張し、ブイ102の膜の2つの層が密閉されたブラダーを形成する。膜の2つの層は、比較的薄い間隔で配置され、タイトな弾性材料を含み、カプセル状本体104によって弾性シールを形成する。バルーン拡張のブイ102は、ブラダー全体にわたって比較的均一に膨張することができる。
図12~14に示される弾性接続の一実施形態では、ブイ102は、「カップ拡張」によって膨張することができる。この際、ブラダーは、例えば接着剤を介して、ブイ102の単層膜をカプセル状本体104の外面に密封することによって形成される。カップ拡張ブラダーは、カプセルの後端106に向かってさらに膨張するので、カップ形状のブラダーを形成し、前端を密封したままにすることができる。特定のブイの寸法が図に示されているが、それらの寸法は例としてのみ示され、他の寸法を使用することも可能である。ここで、ブラダーの寸法は、任意のサイズまたは形状のカプセル装置に適合するように修正することもできる。
【0060】
図15~18は、本発明の実施形態による、径方向軸121に対して非対称に配置された(或いは非対称に膨張する)膨張ブイ102を概略的に示している。非対の称膨張ブイ102は、カプセルの残りの部分と比較して比較的高い液面に上昇する端部を有し、カプセル状本体104(例えば、上向き)、引いて画像の視野に方向づけることができる。画像は正しい視野で収集されるので、画像処理を高速化するなら、画像処理で画像の向きを変える必要はない(或いは向きを変える処理を減らすことができる)。
図15~16に示すように、膨張ブイ102は、径方向軸121に関して非対称であるが、その長手方向軸111に関して対称または中心にあたる。カプセル100は、膨張された場合、所定の最大高さにおいて径方向の位置を有するが、長手方向軸111に対して所定の高さに当たっている。
図17~18に示すように、膨張ブイ102は、その径方向軸121とその長手方向軸111に対して非対称である。このように、膨張すると、カプセル100は、所定の最大高さにおいて径方向位置および長手方向位置を有する。
【0061】
図19~21、
図23~27、および
図30~31は、本発明の実施形態による、コルクスクリュー形状の外面を有する膨張ブイ102を概略的に示している。コルクスクリュー形状のブイ102は、ブイの外面に沿って突出するスパイラルねじ部である。スパイラねじ部は、カプセルにおける第1の長手方向端部からその反対側の端部(またはその一部)へ時計回りまたは反時計回りに回転させることができる。コルクスクリュー形状のブイ102は、例えば、
図19~21および
図23~27に示すように、テザーシステムで機能することができ、また、
図30~31に示すように、解けた自律型テザーシステムで機能できる。外部磁石制御システム126は、カプセルの内部永久磁石124に磁力をかけ、カプセル型内視鏡100をチャネルにガイドできる。これにより、ブイ102が膨張すると、スパイラルねじ部が螺旋状の運動を回転させることによって、膨張可能な生体内カプセル型内視鏡100を前後に推進することができる。
【0062】
図27は、本発明の実施形態による、らせん状のコルクスクリュー形状のカプセル内視鏡100の回転方向とカプセル内視鏡100の推進方向との間の例示的な関係を概略的に示している。
図27に示す構成例によれば、左上の図は、外部制御磁石を示し、左下の図は、カプセル内部の磁石を示している。カプセル内の固定磁石の回転は、外部磁石の方向と反対であってもよい。時計回りのねじ部を使用する場合、カプセルの時計回りの回転(外部磁石の反時計回りの回転)は、カプセル内視鏡100を前方(図の方向)に推進し、カプセルの反時計回りの回転(外部の時計回りの回転)は、カプセル内視鏡100を後方に(図から外れる方向に)移動させる。反対方向の動きは、反時計回りのねじ作りによって達成することができる。また、他の方向関係も使用可能である。例えば、ねじ山の方向は反転されることで、コルクスクリュー形状の表面によって、カプセル内視鏡100が前方に推進される(反時計回りの回転方向に回転するときに時計回りの方向と後方とに回転する)。
【0063】
図4に示すように、径方向軸121を中心に直径方向に中心が定められた永久磁石124によって、外部磁石126は、カプセル内視鏡100を長手方向軸111の方向に沿って並進させる。追加的または代替的には、
図22に示されるように、コルクスクリュー形状のカプセル内視鏡100は、直径方向に分極された磁石130を有する。直径方向に分極された磁石130は、(カプセル状本体の円形断面に沿う)径方向軸121に対して直径方向に非対称である位置および/または双極子を有する。したがって、外部磁石126によって、カプセル内視鏡100がその長手方向軸111の周りに回転され、らせん力または回転力を引き起こす。このようならせん力または回転力は、さらにカプセルをコルクスクリュー形の動きで駆動する。
【0064】
チャネルのサイズは消化管全体で可変であるため、一定サイズの糸は特定のチャネルに適合しない可能性がある。例えば、カプセルの直径がチャネルの直径と比較して小さすぎる場合、カプセルをつかむための十分な張力が得られない(例えば、
図26の上部の画像を参照)。一方、カプセルの直径がチャネルの直径と比較して大きすぎる場合、カプセルがチャネルに詰まる可能性がある。したがって、最適な推進力は、カプセル内視鏡100と周囲のチャネルとの間の最適な適合性に依存する。このために、ブイ102は、チャネルに対して最適な直径、張力、および/または圧力まで膨張することが可能となる。その結果、チャネルは、カプセルに最大の推進力を与えることができる(例えば、
図26の下部の画像を参照)。一実施形態では、膨張装置112によって、膨張ブイ102は、ある直径まで膨張することができる。この直径は、チャネル直径に実質的に一致し(或いは僅かに、例えば、5~20%大きい)、および/またはチャネル直径に関係なく、カプセル内視鏡100とチャネルとの間で目標圧力を達成して内視鏡を推進しやすい。標的または最適な直径、張力、圧力は、自動的に(例えば、膨張装置112に接続された圧力計を介して)または手動で検出することができる。
【0065】
追加的または代替的には、狭いチャネル(例えば、カプセルと同じまたはより小さい直径を有する)でブイ102を膨張させると、チャネルが広がり、感知装置の有効視野を広げることができる。
図23~24は、本発明の実施形態による、非膨張状態(
図23)および膨張状態(
図24)における膨張可能な生体内カプセル内視鏡100を概略的に示している。
図23に示すように、カプセル内視鏡100が膨張していない状態にあるとき、狭いチャネルの壁は、生体の有効視野(例えば、可視空間)を妨害して、感知装置128の視野角よりも著しく小さくする。
図24に示すよう、カプセル内視鏡100が膨張状態にあるとき、チャネル壁が広げられて、感知装置128の有効視野が大幅に拡大される。
【0066】
図28は、本発明の実施形態による、テザー110と生体内カプセル内視鏡100との間における磁気的に解除可能な接続を概略的に示している。テザー110は、カプセル内視鏡100の端部106に取り付けられ接続された磁気的に解除可能な端部118を有する。磁気的に解除可能なテザー端118は、1つまたは複数の可逆磁石を有する。これらの可逆磁石は、静止時に第1の方向に配向される可逆磁気双極子を有する(非一定の外部磁場がない)(例えば、
図28の上部画像における上向き矢印を参照)。カプセル内視鏡100は、第2の固定方向に向けられた永久磁気双極子を有する永久磁石124を有する(例えば、
図28の上部画像の下向き矢印を参照)。テザー110の第1磁気双極子の方向は、カプセル100の第二磁気双極子の方向(外部磁場がない場合)と実質的に反対(且つ等しい)であり、テザー110とカプセル内視鏡100との間に磁気引力および接続を引き起こす。テザーの装着端118は、例えば、凹面/凸面継手(
図28に示される)、フラット継手、ロックおよびキー継手、または他の継手によって、カプセルの装着端106に取り付けまたはインターロックすることができる。
【0067】
テザー110は、外部で生成された磁場(例えば、
図5に示す外部磁気制御システムによって生成された磁場、或いはカプセル内視鏡に十分に近い手持ち式磁石によって生成された磁場)への曝露によってカプセル内視鏡100から磁気的に解除され得る。これは、テザーの反転可能な磁石を軽く打ち、或いは反転させることで、その最初の磁気双極子の方向を反転させる(例えば、
図28における2番目の画像の下向き矢印に映る上部映像の上向き矢印を参照)。テザーの反転した最初の磁気双極子の方向は、カプセルの最初の磁気双極子の方向と一致する。これにより、カプセルの端部106とテザーの端部118の磁石との間に反発磁力が発生し、テザーとカプセルが互いに反発して分離するようになる。
【0068】
いくつかの実施形態では、カプセルが取り外される前または後に、テザー110は、液体を生体内に注入またはそこから排出することができる。実施形態では、テザー110は、例えば、生体からの吸引によって液体を吸引することで、体液のサンプルを収集することができる。一部の空洞部(例えば、小腸)では、材料が多すぎたり少なすぎたりすると、カプセル内視鏡100が動きにくくなる。したがって、膨張装置は、テザー110を介して液体(例えば、水または生理食塩水)或いは空気を空洞部に注入して、空洞部を膨張させることができる。カプセルは、膨張すると、より良い視野および/または摩擦減少のためより多くのスペースが得られ、より容易な磁気誘導が得られるようになる。
【0069】
図29は、本発明の実施形態による、生体内ブイ102および生体内膨張装置112を含む自律型(繋留されていない)システムを概略的に示している。自律型システムでは、膨張装置112は、生体内カプセル内視鏡100の一部となり、或いはカプセル内視鏡に恒久的に取り付けられ、若しくは一体化しているものである。また、膨張装置112は、膨張中に膨張可能なブイ102を用いて生体内に配置され得る。生体内膨張装置112は、生体内化学反応を自律的に活性化して、ブイ102を膨張させるガスを生成および放出することができる(例えば、生体と直接的に物理的な接触または手動の接触がなく、或いは生体の外部から発生するガスはない)。また、一部の実施例では、生体内膨張装置112は、無線通信システム122を介してブイ102を膨張/収縮させるために遠隔で作動させることができる。追加的または代替的には、生体内膨張装置112は、時間/環境/イメージャという条件のうち1つまたは複数を検出するカプセル100に応答して、局所的に活性化することが可能なので、生体内カプセル内視鏡100は、自律的で自己膨張および/または自己収縮を行うことができる(リモコンなし)。生体内膨張装置112は、空気圧縮機、化学ガス反応器、または水と混合するためのガス粉末装置であり得る。様々な実施形態において、生体内膨張装置112は、カプセル状本体104の内部(例えば、
図29に示されるように)またはカプセル状本体104の外部(例えば、ブイ102の外部へ物理的に取り付けられる)に収容され得る。いつくかの実施形態では、膨張装置112がカプセル状本体104の内部に収容される。カプセル状本体104は、ガスを内部膨張装置112から外部膨張ブイ102に輸送するための(再密封可能な)孔またはチャネル120を有し得る(
図30および
図32を参照)。また、一部の実施例では、膨張装置112はカプセル状本体104の外部に設置され、膨張ブイ102自体に取り付けられている。
【0070】
図33~43は、本発明の様々な実施形態による、順方向および/または逆方向の何れかで画像を捕捉するために、デュアルカメラまたは両面イメージャを用いて双方向である膨張可能な生体内カプセル内視鏡を概略的に示している。
【0071】
図33は、本発明の実施形態による、カプセル状本体104の内部に収容される両面感知装置128を備えた双方向の生体内カプセル内視鏡100を概略的に示す分解図である。カプセル状本体104は、その最長の長さに沿う長手方向軸111を有するとともに、その円形断面の直径に沿う径方向軸121を有する。カプセル状本体104は、その長手方向軸111の両端に2つの凹状エンドシェルまたは半球部106および108を有するとともに、その長手方向軸111の中心にエンドシェル106および108を結合する中央(例えば、円筒形)シェル109を有する。カプセル内視鏡100は、双方向性であるため、その長手方向軸111の両端にデュアルまたは両面イメージャまたは感知装置128を有し、その長手方向軸111に沿う順方向および/または逆方向の何れかで画像を取り込む。エンドシェル106および108の両方は、2つの感知装置128を収容するための透明な窓を備える。双方向カプセル内視鏡100は、
図4および/または
図22に示すように他の構成要素も含み得る。
【0072】
図34~38および
図40~43は、本発明の様々な実施形態による、双方向の生体内カプセル内視鏡100をカプセル封入するように適合された生体内ブイ102を概略に示している。双方向の生体内カプセル内視鏡100をカプセル封入するために、生体内ブイ102は、内視鏡100の2つの対向する長手方向のエンドシェルまたは半球部106または108を覆わない(または透明に覆う)。また、ブイ102はどちらの端部も覆い隠さないので、双方向内視鏡100の2つの感知装置128は、例えば、
図36および
図38に示されるように、遮るもののない視野(FOV)を有する。そして、双方向内視鏡ブイ102は、トーラス形状(膨張した場合)および円筒形(収縮した場合)、球形、楕円形など、様々なサイズおよび形状を有することができる。
【0073】
図34~38に示すように、双方向内視鏡ブイ102は、細長いテザー110を介して外部膨張装置112に接続されている。
【0074】
図34に示すように、双方向内視鏡ブイ102がテザー110に接続されており、
図35に示すように、テザーアセンブリ102および110は、双方向の生体内カプセル内視鏡100のセンタートランク(中央シェル109)をカプセル封入している。
【0075】
係留された生体内ブイ102によってカプセル封入された膨張可能な双方向生体内カプセル内視鏡100は、非膨張状態(
図34~36)および膨張状態(
図37~38)にある生体内の空洞部に配置される。膨張装置112は、テザー110を介してブイ102の空洞部に液体(例えば、水または生理食塩水)または空気を注入して、空洞部を膨張させることができる。
図38に示すように膨張すると、カプセル100は、空洞部の底の上に浮かび、双方向内視鏡の2つの感知装置の一方または両方において空洞部の壁または底による遮蔽または閉塞を低減または排除することができる。したがって、感知装置は、より良い視野(FOV)が得られる。
【0076】
図39~43において、双方向内視鏡は自律型(繋留されていない)であり、ブイ102を膨張させるための内部膨張装置112を含む。
【0077】
図39は、本発明の実施形態による、内部膨張装置112を含む自律型(繋留されていない)双方向の生体内カプセル内視鏡100を概略的に示す分解図である。自律型システムにおいて、膨張装置112は、生体内カプセル内視鏡100の一部となっており、内視鏡100に恒久的に取り付けられていたり、内視鏡100と一体化したりすることが可能であり、
図29~
図32に示すように操作することができる。膨張装置112は、膨張中に際して膨張可能なブイ102を用いて生体内に配置することができる。
また、生体内膨張装置112は、生体内化学反応を自律的に活性化して、ブイ102を膨張させるガスを生成および放出することができる。いくつかの実施形態では、内部膨張装置112によって生成されたガスは、(再密封可能な)孔またはチャネル120を介して輸送され、
図41および
図43に示すように膨張ブイ102を膨張させる。
【0078】
図40~41は、本発明の実施形態による、「カップ拡張」型のブイによって膨張可能となる自律型双方向生体内カプセル内視鏡を概略的に示している。
【0079】
図42および
図43は、本発明の実施形態による、非膨張状態(
図42)および膨張状態(
図43)にあり、生体の空洞部における自律型膨張可能な双方向生体内カプセル内視鏡100を概略的に示している。内部膨張装置112は、生体内化学反応を自律的に活性化し、孔120を介してブイ102の空洞部にガスを生成および放出して、空洞部を膨張させることができる。
図42に示すように膨張すると、カプセル100は、空洞部の底の上に浮き、障害物を低減または排除し、双方向内視鏡100の2つの感知装置の一方または両方の視認性および有効視野を改善する。
【0080】
図44は、本発明の実施形態による、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を操作する方法を示すフローチャートである。
図44に示す操作は、
図1~
図43のうちの一つまたは複数に示す膨張可能な生体内カプセル内視鏡を使用して実行することができる。
【0081】
操作1000において、膨張可能な生体内カプセル内視鏡(例えば、
図1~4、
図6、
図8、
図10~18、
図20~26、
図28~33、および
図35~43の番号100で示されるもの)は、生体内の液体を含む空洞部へ非膨張状態(例えば、
図2を参照)で、導入することができる。カプセル内視鏡は、カプセル状本体(例えば、104)、カプセル状本体外部にある膨張可能なブイ(例えば、102)、カプセル状本体の内部に収容され生体内画像を捕捉するための感知装置(例えば、128)を含み得る。
【0082】
操作1002において、膨張装置(例えば、112)を作動させて、閾値を超える量のガスを膨張可能なブイに注入して、生体内カプセル内視鏡の比重を低減することによって、膨張可能なブイを膨張させることができる。これにより、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は液腔に浮ぶようになる。一実施形態では、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、例えば、生体内カプセル内視鏡の密度が水の密度以下になるような量のガスを注入することによって、浮力のみによって浮くことができる。別の実施形態では、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、ある量のガスを注入することと、外部で生成された磁場に曝されることによってカプセルを磁気的に持ち上げることとの組み合わせに基づいて浮くことができる。膨張/収縮装置は、ガスを所望の体積または圧力まで注入または排出して、液体の高さレベルに対して、膨張可能な生体内カプセル内視鏡の浮揚高さレベルを調整することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、テザーシステムを使用することができる(例えば、
図2~3、
図6~21、
図23~26、
図28および
図34~38を参照)。テザーシステムでは、膨張装置は、生体の内側に配置された生体内の膨張可能なブイを膨張させるときに、生体の外側に配置された生体外の膨張装置であり得る。生体外の膨張装置は、生体の少なくとも一部を横断する細長いテザー(例えば、110)によってブイに取り付けられ得る(例えば、
図6をご参照)。ここでテザーは、カプセル状本体に磁気的に取り付けられるか、カプセル状本体から解放され得る(例えば、
図28をご参照)。また、テザーは、生体から体液を収集するために液体を引き出すように使用することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、自律型(繋留されていない)システムを使用することができる(例えば、
図29~32および
図39~43をご参照)。自律型(繋留されていない)システムでは、膨張装置は、カプセル状本体に恒久的に取り付けられ、膨張可能なブイで生体内に配置される生体内膨張装置であり得る。生体内膨張装置は、生体内膨張装置における化学反応によって自律的にガスを生成することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、膨張ブイは、カプセル状本体の径方向軸に対して非対称に配置され得る。その結果、カプセル状本体は、非対称に配置された膨張ブイを膨張させることによって配向される(例えば、ブイは上部に上昇する)(例えば、
図15~18をご参照)。一実施形態では、カプセル状本体は、その長手方向軸と同じ高さに配向されている(例えば、
図15~16をご参照)。他の実施形態では、カプセル状本体は、感知装置の視野を標的領域に向けるように配向されている(例えば、
図17~18をご参照)。いくつかの実施形態では、カプセル内視鏡は、反対方向に向けられた2つの感知装置を有する双方向性である(例えば、
図33~43をご参照)。
【0086】
操作1004において、浮遊中の生体内カプセル内視鏡は、磁気的にナビゲートされ得る。つまり、永久磁気双極子モーメントを有するカプセル状本体の内部に収容された1つまたは複数の永久磁石(例えば、124)を、外部で生成された磁場(膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導する)に曝露することによって、浮遊中の生体内カプセル内視鏡は、磁気的にナビゲートされ得る。外部磁気制御システム(例えば、
図5の番号126で示される)を操作して、磁場を生成することができる。外部で生成された磁場は、液体に浮かぶカプセルを磁気的に誘導するために非常に弱い強度で作動させることが可能である(例えば、約75 A/cm
2)。したがって、この磁場は、従来の(膨張していない)カプセル(例:約2500 A/cm
2)の誘導に使用される外部磁石よりも遥かに小さい磁石を使用して生成することが可能である。
【0087】
いくつかの実施形態では、膨張ブイは、コルクスクリュー形状の表面(例えば、
図19~27をご参照)を有し、その結果、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、チャネルを通って磁気的にナビゲートされるときに螺旋運動で回転する。膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、コルクスクリュー形状の表面が第1の方向に回転するときに前方に推進し、コルクスクリュー形状の表面が反対方向に回転するときに後方に推進することができる。膨張ブイは、内視鏡とチャネルとの間の目標圧力を達成するために、チャネル直径と実質的に一致する直径まで膨張させることができる。この際、カプセル内視鏡は、その縦軸を中心に磁気的に回転させて、コルクスクリュー形状の表面を推進させることができる。
【0088】
操作1006において、収縮装置(例えば、番号112で示される装置、または別の装置)は、膨張可能な生体内カプセル内視鏡が液腔に沈むようにガスを放出することによって膨張可能なブイを収縮させるように作動され得る。生体内カプセル内視鏡は、部分的もしくは完全に膨張していない場合、テザーを介して食道を通って後方に引っ込めるか、もしくは取り外され前方に誘導されることで、消化管の残りの部分を自律的に進行することができる。
【0089】
図1~4、
図6、
図8、
図10~18、
図20~26、
図28~33および/または
図35~43に示されている膨張可能な生体内カプセル内視鏡100の構成要素および部品は、本発明の製造方法または組み立て方法によって作られる。
【0090】
本発明の実施形態は、食道や胃などの消化管領域を調べるための膨張可能なブイ102を備えたカプセル内視鏡100を提供している。カプセル内視鏡は、細長いチューブによって繋がっており、これは、ガスの注入/除去を制御することにより、体積調整可能とともに拡張可能ともなる。カプセル型内視鏡が空洞部内において液体中にあるとき、容積調整可能な拡張状チューブは、カプセル型内視鏡に追加の浮動力を提供することができる。外部磁気制御と組み合わせると、カプセル型内視鏡は水の中で動きやすい。小鉢のようなチャネルでは、容積調節可能なブイは、外部磁気制御によって、食道または小鉢の中でさらに移動するように螺旋状の構造で拡大可能である。
【0091】
ブイの膨張によって、水中のカプセルの有効な比重を調整することができ、その浮力を変えることもできる。この方法は、カプセルの位置と方向の変化のためのカプセル検査中に、外部磁場の磁気誘導強度要求を低減することができる。比重が水よりも大きいカプセル内視鏡を制御するために使用される外部磁場強度は、比重が水以下のカプセルよりも大きい。ここでブイ膜を接着してブラダーを形成することができる。また、重力中心の位置と幾何学中心の位置とによって、ブラダーに空気が注入されたときにカプセルの姿勢を変えることができる。これは、さまざまな量の空気を注入するとともに、磁気誘導を行うことによって、さまざまな観測角度を達成することができる。消化管検査を完了した後、バルーン内の空気を引き抜くことができ、その結果、カプセル体の容積が最小になり、カプセル全体がテザーによって口から引き戻され、或いはテザーから取り外されて カプセル本体が消化管の残りの部分を通って自律的に進行する。
【0092】
本発明の実施形態は、カプセル本体の外側のブイを膨らませることを説明しているが、ブイはカプセル体の内部に配置され、或いはカプセル自体の一部となる可能性もありうる。この場合、カプセル本体は、膨張可能となり、弾力的、変形可能となる。
【0093】
本願明細書は、ブイをガスで膨張させることを記載しているが、ブイはまた、フォーム、油、または他の気体、或いは液体物質または水よりも低い密度を有する混合物などの他の物質で膨張させることができる。これは、内部チャネルを介して、ブイ自体、カプセル本体の内部貯留部によって達成できる。或いは、外部チャネルを介して生体内空洞部のカプセルの周囲環境から吸収される可能性もある。
【0094】
記載されている本発明の原理は、機械処理システムまたは流体処理システムのプローブに適用することができる。「カプセル」という用語は、形状に関係なく、プローブ装置と一般的なリモートオブジェクトを参照するために、本明細書の「プローブ」という用語と同じ意味で使用することができる。また、カプセルは、球形、楕円形、2つの半分ドームを備えた円筒形、または他の適切な形状または組み合わせであってもよい。
図1に示すように、磁気カプセルは長さを有し、これはカプセルの最長寸法である。長さ方向はカプセルの長手方向または軸111の方向である。磁気カプセルは、
図1に示すような一つまたは二つの半ドラム端部をもつシリンダ形状を有する必要はない。カプセルは、基本的な物理的原理が磁気カプセルに適用可能である限り、任意の形状および重量のものであってもよい。
【0095】
カプセルは、磁気双極子方向を有する。この磁気双極子方向は、前方または後方の何れかで、カプセルの長手方向軸111に平行である。したがって、カプセルは、直線的に移動するように磁気的に誘導される。これにより、カプセルの移動方向がカプセルの経度方向と同じであり、一致し、または平行となる。いくつかの実施形態では、カプセルは、その径方向軸121に対して非対称である磁気双極子方向を有する。これは、らせん状の外面またはブイと一緒になり、或いは分離して、カプセルをその長手方向軸の周りで回転させるように磁気的に誘導する。これによって、スパイラルまたはコルクスクリューの動きが得られる。このコルクスクリューの動きは、例えば消化管のチャネルを介して、前方または後方への推進が促進される。ここで、カプセルが前方に移動するということは、カプセルが口または入口からさらに離れて管に沿って進行することを意味している。カプセルが後方に移動するということは、カプセルが消化管に沿って口または入口に向かってその近くに移動することを意味している。一例では、先端エンドは、診断センサーまたはカメラなどの治療装置を含む。また、先端エンドと直線的に反対端にあるバックエンドは、補完的な診断センサーまたは治療装置を含み、或いは単にシェルを含み得る。
【0096】
カプセル内視鏡は、
図2および
図3に示すように、胃などの特定の空洞部に配置されているが、これは単なる例であり、他の任意の空洞部または生体内部に使用することも可能である。
【0097】
簡素化な説明を行うために、カプセル内視鏡100は、生物医学的用途の文脈で説明され、すなわち、標的位置は、生体内位置、例えば消化管内の位置である。簡素化な説明を行うために、本明細書に開示される医療機器は、生体内に配置されるように設計されている。非侵襲的な送達方法の1つは、消化管に飲み込むことである。したがって、本明細書に開示される医療機器は、カプセルと呼ばれるが、これは、機器の形状、寸法またはサイズへの制限として解釈されるべきではない。本明細書に開示されるカプセル装置およびそれを使用する方法は、生物医学的用途を超えた他の多くの用途にも実施することができる。
【0098】
本発明に含まれる各種実施形態は、次のようである。
1.膨張可能な生体内カプセル内視鏡であって
カプセル状本体と、
カプセル状本体内に収容され、生体内画像を捕捉するための検知装置と、
カプセル状本体外に設置された膨張可能なブイと、
膨張装置と、
を備え、
前記膨張装置は、膨張可能なブイにガスを注入し生体内カプセル内視鏡の比重を低減させることで、生体内カプセル内視鏡を膨張させるように構成され、この構成により、前記膨張可能なブイに閾値超過量のガスが注入されると、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、液体に浮くようになり、
膨張可能な生体内カプセル内視鏡は、さらに、カプセル状本体内部に収容された1つまたは複数の永久磁石を含み、1つまたは複数の永久磁石は、外部で生成された磁場にさらされたときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導する永久磁気モーメントを有することを特徴とする膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
2.前記膨張装置は、生体内カプセル内視鏡の密度が水の密度以下となるような量のガスを注入することを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
3.前記膨張装置は、生体内カプセル内視鏡の密度が、磁気リフト力によって打ち消される量だけ水の密度よりも大きくなるように、ある量のガスを注入することを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
4.収縮装置を有し、この収縮装置は、気体を排出することで生体内カプセル内視鏡の比重を増加させ、この比重増加により、膨張可能なブイが閾値以下のガス量を有するとき、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は液体中に沈むようになることを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
5.前記膨張装置は、ガスを所望の体積または圧力まで注入または排出して、液体の高さレベルに対して膨張可能な生体内カプセル内視鏡の浮揚高さレベルを調整することを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
6.前記膨張ブイは、コルクスクリュー形状の表面を有し、膨張したときにらせん運動で回転することによって膨張可能な生体内カプセル内視鏡を前方に推進することを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
7.コルクスクリュー形状の表面は、第1方向に回転するとき前方に、反対方向に回転するとき後方に、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を推進することを特徴とする前記6に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
8.前記膨張装置は、膨張ブイをチャネル直径と実質的に一致する直径まで膨らませ、チャネル直径に関係なく内視鏡とチャネルとの間の目標圧力を達成して内視鏡を推進することを特徴とする前記6に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
9.前記永久磁石は、カプセル状本体の径方向軸に対して質量中心から放射状に間隔を置いて配置され、外部で発生した磁界にさらされるとき、コルクスクリュー形状の表面を推進するための非対称のらせん力を引き起こすことを特徴とする前記6に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
10.前記膨張装置は生体外装置であり、この膨張装置は、生体内に配置された生体内膨張可能ブイを膨張させるときに、生体の外側に配置されることを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
11.生体外膨張装置は、生体の消化管の少なくとも一部を横断する細長いテザーによってブイに取り付けられていることを特徴とする前記10に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
12.前記テザーはカプセル状本体に磁気的に取り付けられていることを特徴とする前記11に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
13.前記テザーは、外部で生成された磁場にさらされることによってカプセル状本体から磁気的に分離可能であり、テザー内の磁石とカプセル状本体との間に反発磁力を発生させることを特徴とする前記12に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
14.前記外部膨張装置が注射器であることを特徴とする前記10に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
15.前記外部膨張装置がポンプであることを特徴とする前記10に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
16.前記テザーは、生体から体液を収集するため液体を吸引するように構成されていることを特徴とする前記10に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
17.前記膨張装置は、膨張可能なブイで生体の内部に配置されるカプセル状本体に恒久的に取り付けられる生体内装置であることを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
18.前記膨張装置が化学反応によって自律的にガスを生成することを特徴とする前記17に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
19.生体内膨張装置は、カプセル状本体の内部に収容され、このカプセル状本体は、ガスを内部膨張装置から外部膨張ブイに輸送するための孔を有することを特徴とする前記17に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
20.前記膨張装置は、カプセル状本体の外部における膨張ブイに取り付けられていることを特徴とする前記17に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
21.前記膨張ブイがカプセル本体の径方向軸に対して非対称に配置されることで、膨張ブイが比較的高い液面まで上昇してカプセル状本体を回転方向に方向づけることを特徴とする前記17に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
22.外部生成の磁場を生成するように外部磁気制御システムを有することを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
23.前記膨張可能なブイは、感知装置の視野外側におけるカプセル状本体の部分をカプセル封入していることを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
24.前記膨張ブイの凹状の内面によってカプセル封入された片側感知装置を含むことを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
25.前記膨張ブイの円筒形の内面によってカプセル封入された両面感知装置を含むことを特徴とする前記1に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡。
26.膨張可能な生体内カプセル内視鏡を操作する方法であって、
非膨張状態の膨張可能な生体内カプセル内視鏡を、生体内の液体を含む空洞部に導入し、前記カプセル内視鏡は、カプセル状本体と、カプセル状本体の外部に設置される膨張可能なブイと、カプセル状本体の内部に設置され生体内画像を捕捉するための感知装置とを含み、
生体内カプセル内視鏡の比重を低減するために、閾値超過量のガスを膨張可能なブイに注入して、膨張可能なブイを膨張させるように膨張装置を作動させ、膨張装置の作動により、膨張可能な生体内カプセル内視鏡は液体含有の空洞部に浮ぶようになり、
永久磁気双極子モーメントを有するカプセル状本体の内部に収容された1つまたは複数の永久磁石を、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を磁気的に誘導する外部生成の磁場に曝露することによって、浮遊中の生体内カプセル内視鏡を磁気的にナビゲートすることを特徴とする生体内カプセル内視鏡の操作方法。
27.生体内カプセル内視鏡の密度が水の密度以下になるように、ある量のガスを注入することによって、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を浮かせることを特徴とする請求項26に記載の方法。
28.ある量のガスを注入することと、外部で生成された磁場にさらしてカプセルを磁気的に持ち上げることとの組み合わせによって、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を浮かせることを特徴とする前記26に記載の方法。
29.膨張可能な生体内カプセル内視鏡が液体に沈むようにガスを放出することによって膨張可能なブイを収縮させることを特徴とする前記26に記載の方法。
30.液体の高さレベルに対して膨張可能な生体内カプセル内視鏡の浮揚高さレベルを調整するために、所望の体積または圧力にガスを注入または排出することを特徴とする前記26に記載の方法。
31.前記膨張ブイがコルクスクリュー形状の表面を有することで、膨張ブイがチャネルを通って磁気的にナビゲートされるとき、膨張可能な生体内カプセル内視鏡がらせん運動で回転することを特徴とする前記26に記載の方法。
32.コルクスクリュー形状の表面が第1の方向に回転するときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を前方に推進し、コルクスクリュー形状の表面が反対方向に回転するときに、膨張可能な生体内カプセル内視鏡を後方に推進することを特徴とする前記31に記載の方法。
33.前記内視鏡と前記チャネルとの間の目標圧力を達成するために、チャネル直径と実質的に一致する直径に膨張ブイを膨張させることを特徴とする前記31に記載の方法。
34.生体内カプセル内視鏡をその縦軸周りで磁気的に回転させて、コルクスクリュー形状の表面を推進させることを特徴とする前記31に記載の方法。
35.生体内に配置された生体内膨張可能なブイを膨張させるときに、生体外に配置された生体外膨張装置を作動させ、前記生体外膨張装置は、生体の少なくとも一部を横断する細長いテザーによってブイに取り付けられていることを特徴とする前記26に記載の方法。
36.テザーをカプセル状本体に磁気的に取り付けたり解放したりすることを特徴とする前記35に記載の方法。
37.生体から体液を収集するためにテザーを介して液体を吸引することを特徴とする前記35に記載の方法。
38.カプセル状本体に恒久的に取り付けられ、膨張中に膨張可能なブイで生体内に配置された生体内膨張装置を作動させることを特徴とする前記26に記載の方法。
39.生体内膨張装置内の化学反応によってガスを自律的に発生させることを特徴とする前記38に記載の方法。
40.前記膨張ブイがカプセル本体の径方向軸に対して非対称に配置され、非対称に配置された膨張ブイを膨張させることによってカプセル状本体を配向させることを特徴とする前記26に記載の方法。
41.外部磁気制御システムを操作することによって外部生成の磁場を形成させることを特徴とする前記26に記載の方法。
42.前記1~25のうち何れか1項に記載の膨張可能な生体内カプセル内視鏡を製造する方法。
【0099】
前述の内容では、本発明の様々な態様が説明されている。なお、説明の目的で、本発明の完全な理解を達成するために、特定の構成および詳細も示されている。一方、本発明が本明細書に提示される特定の詳細がなくても実施され得ることも当業者には明らかであろう。さらに、本発明を簡潔にするために、周知の特徴を省略または簡略化することもできる。
【0100】
ここで特に明記しない限り、以下の議論から明らかなように、「処理」、「計算」、「決定」などの用語は、コンピュータまたはコンピューティングシステム、あるいは同様の電子コンピューティングデバイスのアクションおよび/またはプロセスを指している。ここで、コンピュータまたはコンピューティングシステム、あるいは同様の電子コンピューティングデバイスは、コンピューティングシステムのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量としてのデータを操作および/または変換し、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタまたは他の情報ストレージ、表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータを変換することができる。
【0101】
前述のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステムおよび方法の可能な構成、機能、および動作を示している。従って、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、またはコードの一部を表し、指定された論理を含むための1つまたは複数の実行可能命令を含むことができる。いくつかの実施例では、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序から外れているか、異なるモジュールによって発生する可能性がある。ここで明示的に述べられていない限り、本明細書に記載の方法の実施形態は、特定の順序に制約されない。さらに、記載された方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同じ時点で発生または実行され得る。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ指令の組み合わせによって実行される。
【0102】
本発明の実施形態は、非一時的なコンピュータまたはプロセッサの可読媒体、コンピュータまたはプロセッサの非一時的な記憶媒体などの物品(例えば、
図4に示す処理基板のメモリユニット)、ディスクドライブ、またはUSBフラッシュメモリを含み得る。これらは、コマンド、例えば、コンピュータ実行可能な命令を符号化し格納する。これらの動作は、プロセッサまたはコントローラ(例えば、
図4の処理基板)によって実行されるときに、本明細書に開示される方法を実行する。
【0103】
上記の説明において、実施形態は、本発明の例または実施例である。「一実施形態」、「実施形態」または「いくつかの実施形態」の様々な外観は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。本発明の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈で説明され得るが、実施形態の特徴は、別個にまたは任意の適切な組み合わせで提供され得る。逆に、本発明は、明確にするために別個の実施形態の文脈で本明細書に記載され得るが、本発明はまた、単一の実施形態において実施され得る。本明細書における「いくつかの実施形態」、「実施形態」、「一実施形態」または「他の実施形態」への言及によって、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、本発明のすべての実施形態がここに含まれているわけではない。さらに、本発明において、上記の本発明の態様は組み合わせられるが、さもなければ共存され得ることが認識すべきであろう。
【0104】
特許請求の範囲および明細書に提示された説明、例、方法および材料は、限定として解釈されるべきではなく、むしろ例示としてのみ解釈されるべきである。本発明の特徴が本明細書で例示および説明されているが、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に起こり得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に該当するようなすべての修正および変更を網羅している。
【0105】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、これらは、本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ、いくつかの好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。他の可能な変形、修正、および用途もまた、本発明の範囲内であり、異なる実施形態が本明細書に開示されている。また、特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そこで、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであり得る。したがって、本発明の範囲は、これまでに説明されてきたものによって制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的同等物によって制限されるべきである。
【国際調査報告】