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特表2023-535555ガルボ制御プロファイルを用いたポリゴン及びモータ公差に対する動的補償
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ガルボ制御プロファイルを用いたポリゴン及びモータ公差に対する動的補償
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G01S7/497
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501288
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2022024705
(87)【国際公開番号】W WO2022250799
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/177,289
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/714,077
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522138308
【氏名又は名称】イノビュージョン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ハオセン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA36
5J084BA38
5J084BA49
5J084BA50
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB26
5J084BB28
5J084BB31
5J084CA03
5J084CA49
5J084CA65
5J084DA01
5J084DA09
5J084EA08
(57)【要約】
光検出及び測距走査システムが提供される。システムは、ガルバノメータ・ミラーと、複数ファセット光ステアリング・デバイスと、1つ以上のプロセッサ、メモリ、及びメモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を備えるコントローラ・デバイスと、を含む。プロセッサ実行可能命令は、LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、較正データ及び第1の運動プロファイルに基づいてガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、第2の運動プロファイルに基づいてガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出及び測距(LiDAR)走査システムであって、
ガルバノメータ・ミラーと、
複数ファセット光ステアリング・デバイスと、
1つ以上のプロセッサ、メモリ、及び前記メモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を備えるコントローラ・デバイスと、を備え、前記プロセッサ実行可能命令は、
前記LiDAR走査システムの前記ガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記ガルバノメータ・ミラーの前記第1の運動プロファイルは、第1の角度位置と第2の角度位置との間の前記ガルバノメータ・ミラーの運動に関連する位置‐時間関係を含む、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間の差は約40度であり、前記第1及び第2の角度位置は、前記ガルバノメータ・ミラーが周りを振動する軸に対するものである、システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの少なくとも2つのファセット間の差の較正に関連するデータを含み、前記差は、製造プロセスによって生じる、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの少なくとも2つのファセット間の前記差は、
ファセット角度の均一性の差と、
ファセット寸法の均一性の差と、
表面形状誤差の差と、
表面粗さの差と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記LiDAR走査システムへの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの組み立てプロセスに関連する組み立て誤差を含む、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記組み立て誤差は、
モータ回転子軸とモータ固定子軸との間の相対位置誤差と、
前記モータとモータ取り付け固定具との相対位置誤差と、
前記ガルバノメータ・ミラーに対する前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの相対位置誤差と、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの実際の回転軸と前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの予想回転軸との間の誤差と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシステムであって、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの前記第2の運動プロファイルを生成することは、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルを使用して1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記1つ以上の信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のシステムであって、前記第2の運動プロファイルは、前記第1の運動プロファイルの位置‐時間関係とは異なる位置‐時間関係を含む、システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスは、ポリゴン・ミラーである、システム。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のシステムであって、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために前記1つ以上の制御信号を提供することは、
前記ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、に基づいて、1つ以上の調整信号を生成することと、を含む、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記1つ以上の調整信号を生成することは、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、を使用して、1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のシステムであって、前記1つ以上の調整信号に基づいて、前記ガルバノメータ・ミラーのドライバを制御するための前記1つ以上の制御信号を生成することをさらに含む、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記ガルバノメータ・ミラーの前記ドライバを制御するための前記1つ以上の制御信号は、パルス幅変調信号を含む、システム。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載のシステムであって、ガルバノメータ・ミラー・アセンブリをさらに備え、前記ガルバノメータ・ミラー・アセンブリは、
第1のモータと、
前記ガルバノメータ・ミラーと、
第1のモータ・ドライバと、を備え、前記第1のモータ・ドライバは、前記1つ以上の制御信号に従って前記ガルバノメータ・ミラーを振動させる、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記ガルバノメータ・ミラー・アセンブリは、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを提供するように構成されたミラー位置エンコーダをさらに備える、システム。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載のシステムであって、前記プロセッサ実行可能命令は、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データに基づいて、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの運動を調整するために1つ以上の第2の制御信号を提供することと、のための命令をさらに含む、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、複数ファセット光ステアリング・デバイス・アセンブリをさらに備え、前記複数ファセット光ステアリング・デバイス・アセンブリは、
第2のモータと、
複数の反射面を有するポリゴン・ミラーを備える前記複数ファセット光ステアリング・デバイスと、
第2のモータ・ドライバと、を備え、前記第2のモータ・ドライバは、前記1つ以上の第2の制御信号に従って前記複数ファセット光ステアリング・デバイスを回転させる、システム。
【請求項19】
光検出及び測距(LiDAR)走査システムを制御するための方法であって、前記方法は、1つ以上のプロセッサ及びメモリによって実行され、前記方法は、
前記LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記ガルバノメータ・ミラーの前記第1の運動プロファイルは、第1の角度位置と第2の角度位置との間の前記ガルバノメータ・ミラーの運動に関連する位置‐時間関係を含む、方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の方法であって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの少なくとも2つのファセット間の差の較正に関連するデータを含み、前記差は、製造プロセスによって生じる、方法。
【請求項22】
請求項19乃至21の何れか1項に記載の方法であって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記LiDAR走査システムへの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの組み立てプロセスに関連する組み立て誤差を含む、方法。
【請求項23】
請求項19乃至22の何れか1項に記載の方法であって、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの前記第2の運動プロファイルを生成することは、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルを使用して1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記1つ以上の信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項24】
請求項19乃至23の何れか1項に記載の方法であって、前記第2の運動プロファイルは、前記第1の運動プロファイルの位置‐時間関係とは異なる位置‐時間関係を含む、方法。
【請求項25】
請求項19乃至24の何れか1項に記載の方法であって、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために前記1つ以上の制御信号を提供することは、
前記ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、に基づいて、1つ以上の調整信号を生成することと、を含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記1つ以上の調整信号を生成することは、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、を使用して、1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の方法であって、前記1つ以上の調整信号に基づいて、前記ガルバノメータ・ミラーのドライバを制御するための前記1つ以上の制御信号を生成することをさらに含む、方法。
【請求項28】
請求項19乃至27の何れか1項に記載の方法であって、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データに基づいて、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの運動を調整するために1つ以上の第2の制御信号を提供することと、をさらに含む、方法。
【請求項29】
電子デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、前記電子デバイスに請求項19乃至28の何れか1項に記載の方法を実行させる命令を含むプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
光検出及び測距(LiDAR)走査システムのコントローラ・デバイスであって、
1つ以上のプロセッサと、
メモリと、
前記メモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令と、を備え、前記プロセッサ実行可能命令は、
前記LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む、コントローラ・デバイス。
【請求項31】
請求項1乃至18の何れか1項に記載の光検出及び測距(LiDAR)走査システムを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2021年4月20日に出願された「ガルボ制御プロファイルを用いたポリゴン及びモータ公差に対する動的補償」という名称の米国仮特許出願第63/177,289号、及び2022年4月5日に出願された「ガルボ制御プロファイルを用いたポリゴン及びモータ公差に対する動的補償」という名称の米国本特許出願第17/714,077号への優先権を主張する。両出願の内容は、あらゆる目的のため、それらの全体が参照によってここに組み込まれる。
【0002】
[技術の分野]
この開示は一般に、光走査に関し、より具体的に、複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データ及びリアルタイム位置フィードバック・データに基づいて、ガルバノメータ・ミラーの動きを動的に制御するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
光検出及び測距(LiDAR)システムは、光パルスを使用して外部環境の画像又はポイント・クラウドを作成する。いくつかの典型的なLiDARシステムは、光源、光送信器、光ステリング・システム、及び光検出器を含む。光源は光ビームを生成し、光ビームは、LiDARシステムから送信される際に、光ステアリング・システムによって特定の方向に向けられる。送信された光ビームが物体によって散乱されると、散乱光の一部が戻り光パルスとしてLiDARシステムに戻ってくる。光検出器は、戻り光を検出する。戻り光パルスが検出された時刻と、光ビームの対応する光パルスが送信された時刻との差を使用して、LiDARシステムは光速度を使用して物体までの距離を決定できる。光ステアリング・システムは、LiDARシステムが周辺環境を走査して画像又はポイント・クラウドを生成できるように、光ビームを異なる経路に沿って導くことができる。LiDARシステムは、周辺環境を測定するために飛行時間や走査以外の技術を使用することもできる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、光ステアリング・デバイスの較正データを使用してガルバノメータ・ミラー運動プロファイルを修正することによって、複数ファセット光ステアリング・デバイス(例えば、ポリゴン・ミラー)における製造に起因する不均一性及び組み立て誤差を補償するための方法及びシステムを提供する。光ステアリング・デバイスのリアルタイム位置フィードバック・データ及び/又はガルバノメータ・ミラーのリアルタイム位置フィードバック・データを使用してガルバノメータ・ミラー運動プロファイルをさらに修正することによって、光ステアリング・デバイスの位置の不正確さを補償するための方法及びシステムがさらに提供される。本書に記載される方法及びシステムは、LiDAR走査パターンにおいて改良された走査線(例えば、直線走査線)を生成することを容易にする。改良されたLiDAR走査パターンは、1つ以上の後続のプロセス(例えば、ポイント・クラウド・ベースの知覚)の効率及び精度を高める。LiDARシステムの全体的な性能及び出力されるポイント・クラウドの品質も改良されうる。
【0005】
1つの実施形態では、本開示は、光検出及び測距走査システムを提供する。前記システムは、ガルバノメータ・ミラーと、複数ファセット光ステアリング・デバイスと、1つ以上のプロセッサ、メモリ、及びメモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を備えるコントローラ・デバイスと、を含む。前記プロセッサ実行可能命令は、前記LiDAR走査システムの前記ガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、前記LiDAR走査システムの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む。
【0006】
1つの実施形態では、本開示は、光検出及び測距(LiDAR)走査システムを制御するための方法を提供する。前記方法は、1つ以上のプロセッサ及びメモリによって実行され、前記LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、を含む。
【0007】
1つの実施形態では、本開示は、命令を含むプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。前記命令は、電子デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、前記電子デバイスに、前記LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、を実行させる。
【0008】
1つの実施形態では、本開示は、光検出及び測距(LiDAR)走査システムのコントローラ・デバイスを提供する。前記コントローラ・デバイスは、1つ以上のプロセッサと、メモリと、及びメモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令と、を備える。前記プロセッサ実行可能命令は、前記LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む。
【0009】
1つの実施形態では、本開示は、光検出及び測距(LiDAR)走査システムを備える車両を提供する。前記システムは、ガルバノメータ・ミラーと、複数ファセット光ステアリング・デバイスと、1つ以上のプロセッサ、メモリ、及びメモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を備えるコントローラ・デバイスと、を含む。前記プロセッサ実行可能命令は、前記LiDAR走査システムの前記ガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、前記LiDAR走査システムの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、添付の作図と併せて以下に記載される図を参照することによって最もよく理解されることができ、同様の部分は同様の符号によって参照されうる。
【0011】
図1】自動車に配置された又は含まれる1つ以上の例示的なLiDARシステムを説明する。
【0012】
図2】例示的なLiDARシステムと、車両知覚及び計画システムを含む複数の他のシステムとの間の相互作用を説明するブロック図である。
【0013】
図3】例示的なLiDARシステムを説明するブロック図である。
【0014】
図4】例示的なファイバ・ベースのレーザ源を説明するブロック図である。
【0015】
図5A】、
図5B】、
図5C】視野(FOV)内に配置された物体までの距離を測定するためにパルス信号を使用する例示的なLiDARシステムを説明する。
【0016】
図6】様々な実施形態におけるシステム、装置、及び方法を実施するために使用される例示的な装置を説明するブロック図である。
【0017】
図7A】いくつかの実施形態による、複数ファセット光ステアリング・デバイス及びガルバノメータ・ミラーを有する簡略化されたLiDAR走査システムを説明する。
【0018】
図7B】いくつかの実施形態による、複数ファセット光ステアリング・デバイスの別の例を説明する。
【0019】
図7C】いくつかの実施形態による、例示的な複数ファセット光ステアリング・デバイスの側面図である。
【0020】
図8】いくつかの実施形態による、ガルバノメータ・ミラーの例示的な運動プロファイル及び対応するLiDAR走査パターンを説明する。
【0021】
図9】いくつかの実施形態による、パターンの一部分の拡大図を伴う例示的なLiDAR走査パターンを説明する。
【0022】
図10】光ステアリング・デバイス較正データ及びリアルタイム位置フィードバック・データに基づいてミラー位置を制御するためにガルバノメータ・ミラー運動プロファイルを使用することを説明するブロック図である。
【0023】
図11】いくつかの実施形態による、ミラー位置を制御するために使用されるガルバノメータ・ミラーの例示的な運動プロファイルと、プロファイルの一部分の拡大図とを説明する。
【0024】
図12】いくつかの実施形態による、例示的なLiDAR走査パターンと、パターンの一部分の拡大図を説明する。
【0025】
図13】LiDAR走査システムを制御するための方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示をより完全な理解を提供するために、以下の説明では、具体的な構成、パラメータ、例などのような、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、このような説明は、本発明の範囲の制限を意図するものでなく、例示的な実施形態のより良い説明を提供することを意図していることを認識されたい。
【0027】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈がそうでないことを明らかに決定付けない限り、本書において明示的に関連付けられた意味を有する。
【0028】
本書で使用される「1つの実施形態では」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、同じであってもよい。よって、以下に説明されるように、本開示の様々な実施形態は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、容易に組み合わされうる。
【0029】
本書で使用される際に、「又は」という用語は包括的な「又は」演算子であり、文脈がそうでないことを明らかに決定付けない限り、「及び/又は」という用語と同等である。
【0030】
「に基づく」という用語は排他的なものではなく、文脈がそうでないことを明らかに決定付けない限り、記載されていない追加的な要因に基づくことを許容する。
【0031】
本書で使用される際に、そして、文脈がそうでないことを明らかに決定付けない限り、「に結合された」という用語は、直接結合(互いに結合される2つの要素が互いに接触する)及び間接結合(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素の間に配置される)の両方を含むことを意図している。したがって、「に結合された(coupled to)」と「と結合された(coupled with)」という用語は、同義的に使用される。2つ以上の構成要素又はデバイスがデータを交換できるネットワーク環境の文脈内で、「に結合された」及び「と結合された」という用語はまた、場合によっては1つ以上の仲介デバイスを介して、「と通信可能に結合された」ことを意味するために使用される。
【0032】
以下の説明は、様々な要素を説明するために「第1」、「第2」などの用語を使用するが、これらの要素は用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、様々な説明される例の範囲から逸脱することなしに、第1のセンサは第2のセンサと称されてもよく、同様に、第2のセンサは第1のセンサと称されてもよい。第1のセンサ及び第2のセンサは、両方ともセンサであってもよく、場合によっては、別個の異なるセンサでありうる。
【0033】
さらに、本明細書を通じて、「a」、「an」、「the」の意味は、複数の参照を含み、「in」の意味は、「in」及び「on」を含む。
【0034】
本書に提示された様々な実施形態のいくつかは、発明的要素の単一の組み合わせを構成するが、発明的主題は、開示された要素のすべての可能な組み合わせを含むと見なされることを理解されたい。このように、1つの実施形態が要素A、B、及びCを含み、別の実施形態が要素B及びDを含むならば、本発明主題は、本書で明示的に議論されていないとしても、A、B、C、又はDの他の残りの組み合わせも含むと見なされる。さらに、「含む(comprising)」という接続用語は、部品又は部材として有すること、又はそれらの部品又は部材であることを意味する。本書で使用される際に、「含む」という接続用語は、包括的又は開放的であり、追加の、再現されていない要素又は方法ステップを除外することはない。
【0035】
以下の開示を通じて、サーバ、サービス、インタフェース、エンジン、モジュール、クライアント、ピア、ポータル、プラットフォーム、又はコンピューティング・デバイスから形成される他のシステムに関して、多数の言及がなされる場合がある。このような用語の使用は、コンピュータ可読の有形の非一時的な媒体(例えば、ハード・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)上に記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ(例えば、ASIC、FPGA、PLD、DSP、x86、ARM、RISC-V、ColdFire、GPU、マルチコア・プロセッサなど)を有する1つ以上のコンピューティング・デバイスを表すものと考えられることが理解されるべきである。例えば、サーバは、説明された役割、責任、又は機能を果たすための方法で、ウェブ・サーバ、データベース・サーバ、又は他のタイプのコンピュータ・サーバとして動作する1つ以上のコンピュータを含むことができる。開示されたコンピュータ・ベースのアルゴリズム、プロセス、方法、又は他のタイプの命令セットは、開示されたステップをプロセッサに実行させる命令を記憶する非一時的な有形のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータ・プログラム製品として実施されうることをさらに理解されたい。様々なサーバ、システム、データベース、又はインタフェースは、標準化されたプロトコル又はアルゴリズムを使用して、場合によってはHTTP、HTTPS、AES、公開-秘密鍵交換、ウェブ・サービスAPI、既知の金融取引プロトコル、又は他の電子情報交換方法に基づいて、データを交換できる。データ交換は、パケット交換ネットワーク、回線交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、又は他のタイプのネットワーク上で行われうる。
【0036】
本書及びそれに続く請求項全体で使用される際に、システム、エンジン、サーバ、デバイス、モジュール、又は他のコンピューティング要素が、メモリ内のデータに対して機能を実行(perform)又は実行(execute)するように構成されていると説明される場合に、「構成される」又は「プログラムされる」の意味は、コンピューティング要素のメモリに記憶されたソフトウェア命令の集合によって、メモリに記憶されたターゲット・データ又はデータ・オブジェクトに対して機能の集合を実行するようコンピューティング要素の1つ以上のプロセッサ又はコアがプログラムされるとして定義される。
【0037】
コンピュータに向けられた任意の言語は、サーバ、インタフェース、システム、データベース、エージェント、ピア、エンジン、コントローラ、モジュール、又は個別に又は集合的に動作する他のタイプのコンピューティング・デバイスを含む、コンピューティング・デバイス又はネットワーク・プラットフォームの任意の適切な組み合わせを含むように読まれるべきであることに留意されたい。コンピューティング・デバイスは、有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、ハード・ドライブ、FPGA、PLA、ソリッド・ステート・ドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)上に記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成されたプロセッサを備えることを理解されたい。ソフトウェア命令は、開示された装置に関して後述する役割、責任、又は他の機能性を提供するようにコンピューティング・デバイスを構成又はプログラムする。さらに、開示された技術は、コンピュータ・ベースのアルゴリズム、プロセス、方法、又は他の命令の実装に関連する開示されたステップをプロセッサに実行させるソフトウェア命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータ・プログラム製品として実施されうる。いくつかの実施形態では、様々なサーバ、システム、データベース、又はインタフェースは、標準化されたプロトコル又はアルゴリズムを使用して、場合によってはHTTP、HTTPS、AES、公開-秘密鍵交換、ウェブ・サービスAPI、既知の金融取引プロトコル、又は他の電子情報交換方法に基づいて、データを交換する。デバイス間のデータ交換は、パケット交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、又は他のタイプのパケット交換ネットワーク、回線交換ネットワーク、セル交換ネットワーク、又は他のタイプのネットワークを介して行われうる。
【0038】
LiDARシステムは、三次元深度センサの一種である。LiDAR走査システムでは、レーザ光を走査して視野(FOV)内の物体を照明し、戻り光をLiDARシステムの受信器に向けるための光ステアリング機構において、回転可能なポリゴン・ミラー及びガルバノメータ・ミラーが使用される。ポリゴン・ミラーは例えば、金属、ポリカーボネート、及び/又はガラスから作られうる。金属ベースのポリゴン・ミラーは、その成熟した製造プロセスに起因して広く使用されている。典型的に、金属ベースのポリゴン・ミラーは、ダイヤモンド旋削を伴うコンピュータ数値制御(CNC)機器を使用することによって機械加工される。ダイヤモンド旋削は、ダイヤモンド・チップを有する切削ツールを使用して旋削することである。ダイヤモンド旋削プロセスは、光学部品のような精密要素の機械加工に使用される。ダイヤモンド旋削プロセスは高精度であるが、ダイヤモンド旋削を用いるCNCプロセスは、その長い機械加工時間に起因して生産量を制限する。
【0039】
自動車センサのような大量の用途について、金属ベースのポリゴン・ミラーは量産要件を満たすことができない。したがって、ポリカーボネート成形又はガラス成形のポリゴン・ミラーのような他のタイプのポリゴン・ミラーがより実用的である。これらの成形ポリゴン・ミラーは、非常に低コストで高い生産量を達成できる。しかし、成形ポリゴン・ミラーの大量生産では、ポリゴン・ミラーの異なるファセットの均一性は制御困難である。ポリゴン・ミラーは、光を反射する複数の反射側面又はファセットを有する。ポリゴン・ミラーは、送信光をFOVに向け、戻り光をLiDARシステムの受信器に向けるために使用されうる。よって、ファセット間の不均一性によって引き起こされる差異がLiDAR走査パターンの精度を低下させる(例えば、不連続な走査線を引き起こす)可能性があるため、ポリゴン・ミラーの反射ファセットの均一性は重要でありうる。
【0040】
加えて、モータをポリゴン・ミラーで組み立てるプロセスはまた、累積された組み立て誤差をもたらしうる。モータは、ポリゴン・ミラーを回転させるために使用される。ポリゴン・ミラーが回転する場合に、組み立て誤差はポリゴン・ミラーの異なる反射面の光反射能力に影響を及ぼし、ひいては、LiDAR走査パターンの精度も低下させる。LiDARシステムのような光学デバイスについて、理想的な走査パターンからの逸脱(例えば、非連続な走査線によって引き起こされる)は、結果として生じるポイント・クラウドの品質及び精度に影響を及ぼし、これは、ひいては、後続の知覚精度を低下させうる。したがって、ポリゴン・ミラーの異なるファセット間の不均一性の差及び組み立て誤差を低減又は相殺することが必要である。本開示は、ポリゴン・ミラーの較正データ及びリアルタイム位置フィードバック・データを使用してガルバノメータ・ミラーの運動プロファイルを修正することによって、光ステアリング・デバイス(例えば、ポリゴン・ミラー)の製造に起因する不均一性差及び組み立て誤差を補償するための方法及びシステムを提供する。
【0041】
図1は、自動車100に配置された又は含まれる1つ以上の例示的なLiDARシステム110を説明する。自動車100は、任意の自動化レベルを有する車両でありうる。例えば、自動車100は、部分的自動化車両、高度自動化車両、完全自動化車両、又はドライバレス車両でありうる。部分的自動化車両は、人間の運転者の介入なしに、いくつかの運転機能を実行できる。例えば、部分的自動化車両は、死角監視、車線維持及び/又は車線変更動作、自動緊急ブレーキ、スマート・クルージング及び/又は交通追従などを実行できる。部分的自動化車両の特定の動作は、特定の用途又は運転シナリオに限定されてもよい(例えば、高速道路の運転のみに限定されるなど)。高度自動運転車両は、一般に、部分的な自動運転車両のすべての動作を、より少ない制限で実行できる。また、高度自動運転車両は、車両動作における自身の限界を検知し、必要に応じて運転者に車両の制御を引き継ぐように依頼することも可能である。完全自動運転車は、運転者の介入なしにすべての車両動作を行うことができるが、自らの限界を検知し、必要に応じて運転者に引き継ぐように依頼することも可能である。ドライバレス車両は、運転者の介入なしに単独で動作できる。
【0042】
典型的な構成では、自動車100は、1つ以上のLiDARシステム110及び120A~Fを含む。LiDARシステム110及び120A~Fのそれぞれは、走査ベースLiDARシステム及び/又は非走査ベースLiDARシステム(例えば、フラッシュLiDAR)でありうる。走査ベースLiDARシステムは、1つ以上の光ビームを1つ以上の方向(例えば、水平方向及び垂直方向)に走査して、視野(FOV)内の物体を検出する。非走査ベースLiDARシステムは、走査せずにレーザ光を送信してFOVを照らす。例えば、フラッシュLiDARは、非走査ベースLiDARシステムの一種である。フラッシュLiDARは、単一の光パルス又は光ショットを使用して、同時にFOVを照らすようにレーザ光を送信することができる。
【0043】
LiDARシステムは、少なくとも部分的に自動化されている車両の必須のセンサであることが多い。1つの実施形態では、図1に示されるように、自動車100は、車両の最も高い位置(例えば、車両ルーフ)に配置された単一のLiDARシステム110(例えば、LiDARシステム120A~F無し)を含んでもよい。車両ルーフにLiDARシステム110を配置することにより、車両100の周囲の360度の走査が容易になる。いくつかの他の実施形態では、自動車100は、システム110及び/又は120A~Fのうちの2つ以上を含む、複数のLiDARシステムを含むことができる。図1に示されるように、1つの実施形態では、複数のLiDARシステム110及び/又は120A~Fは、車両の異なる位置で車両100に取り付けられる。例えば、LiDARシステム120Aは、前右角で車両100に取り付けられ、LiDARシステム120Bは、前中央で車両100に取り付けられ、LiDARシステム120Cは、前左角で車両100に取り付けられ、LiDARシステム120Dは、右側リア・ビュー・ミラーで車両100に取り付けられ、LiDARシステム120Eは、左側リア・ビュー・ミラーで車両100に取り付けられ、及び/又はLiDARシステム120Fは、後部中央で車両100に取り付けられる。いくつかの実施形態において、LiDARシステム110及び120A~Fは、それら自身の個別のレーザ源、制御電子機器、送信器、受信器、及び/又はステアリング機構を有する独立したLiDARシステムである。他の実施形態では、LiDARシステム110及び120A~Fのいくつかは、1つ以上の構成要素を共有し、それによって分散型センサ・システムを形成できる。一例では、集中型レーザ源からすべてのLiDARシステムにレーザ光を送信するために光ファイバが使用される。1つ以上のLiDARシステムは、任意の所望の方法で車両に分散して取り付けられることができ、図1は1つの実施形態を示すに過ぎないことが理解される。別の例として、LiDARシステム120D及び120Eは、リア・ビュー・ミラーの代わりに車両100のBピラーに取り付けられてもよい。別の例として、LiDARシステム120Bは、フロント・バンパーの代わりに車両100のフロントガラスに取り付けられてもよい。
【0044】
図2は、車両搭載LiDARシステム210と、車両知覚及び計画システム220を含む複数の他のシステムと、の間の相互作用を説明するブロック図200である。LiDARシステム210は、車両に搭載されることができ、又は車両に統合されることができる。LiDARシステム210は、物体の距離、角度、及び/又は速度を測定するために周囲環境にレーザ光を走査するセンサを含む。LiDARシステム210に戻った散乱光に基づいて、知覚された外部環境を表すセンサ・データ(例えば、画像データ又は3Dポイント・クラウド・データ)を生成できる。
【0045】
LiDARシステム210は、短距離LiDARセンサ、中距離LiDARセンサ、及び長距離LiDARセンサのうちの1つ以上を含むことができる。短距離LiDARセンサは、LiDARセンサから約20~40メートルまでに位置する物体を測定する。短距離LiDARセンサは、例えば、近くの移動物体(例えば、スクール・ゾーンで道路を横断する歩行者)の監視、駐車支援用途などに使用されうる。中距離LiDARセンサは、LiDARセンサから約100~150メートルまでにある物体を測定する。中距離LiDARセンサは、例えば、道路交差点の監視、高速道路への合流・退出の支援などに使用されうる。長距離LiDARセンサは、約150~300mまでに位置する物体を計測する。長距離LiDARセンサは、通常、車両が高速で走行中(例えば、高速道路上)、車両の制御システムがLiDARセンサによって検出された状況に対応するのに数秒(例えば、6~8秒)しかないような場合に使用される。図2に示されるように、1つの実施形態において、LiDARセンサ・データは、さらなる処理及び車両動作の制御のために、通信経路213を介して車両知覚及び計画システム220に提供されうる。通信経路213は、データを転送できる任意の有線又は無線通信リンクでありうる。
【0046】
図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、LiDARシステム210とは別に又は一緒に、追加のセンサ・データを提供するために、他の車両搭載センサ230が使用される。他の車両搭載センサ230は、例えば、1つ以上のカメラ232、1つ以上のレーダ234、1つ以上の超音波センサ236、及び/又は他のセンサ238を含んでもよい。カメラ232は、車両の外部環境の画像及び/又はビデオを撮影できる。カメラ232は、例えば、各フレーム内に数百万の画素を有する高精細(HD)ビデオを撮影できる。カメラは、モノクロ又はカラーの画像及びビデオを生成する。色情報は、いくつかの状況についてデータを解釈する(例えば、交通信号の画像を解釈する)上で重要であってもよい。色情報は、LiDAR又はレーダ・センサのような他のセンサから利用できない場合がある。カメラ232は、狭焦点カメラ、広焦点カメラ、側方カメラ、赤外線カメラ、魚眼カメラなどのうちの1つ以上を含むことができる。カメラ232によって生成された画像及び/又はビデオ・データは、さらなる処理及び車両動作の制御のために、通信経路233を介して車両知覚及び計画システム220に提供されうる。通信経路233は、データを転送できる任意の有線又は無線通信リンクでありうる。
【0047】
他の車両搭載センサ230は、レーダ・センサ234を含むこともできる。レーダ・センサ234は、電波を使用して、物体の範囲、角度、及び速度を決定する。レーダ・センサ234は、電波又はマイクロ波スペクトルの電磁波を生成する。電磁波は物体に反射し、反射波の一部はレーダ・センサに戻り、それによって物体の位置及び速度に関する情報を提供する。レーダ・センサ234は、短距離レーダ、中距離レーダ、及び長距離レーダのうちの1つ以上を含むことができる。短距離レーダは、レーダから約0.1~30メートルに位置する物体を測定する。短距離レーダは、他の車両、建物、壁、歩行者、自転車などのような、自車両の近くに位置する物体を検出するのに有用である。短距離レーダは、死角の検出、車線変更支援、追突警告の提供、駐車支援、緊急ブレーキの提供などに使用されうる。中距離レーダは、レーダから約30~80mの距離に位置する物体を測定する。長距離レーダは、約80~200mに位置する物体を測定する。中距離レーダ及び/又は長距離レーダは、例えば、交通追従、アダプティブ・クルーズ・コントロール、及び/又は高速道路自動ブレーキに有用でありうる。レーダ・センサ234によって生成されたセンサ・データはまた、さらなる処理及び車両動作の制御のために通信経路233を介して車両知覚及び計画システム220に提供されうる。
【0048】
他の車両搭載センサ230は、超音波センサ236を含むこともできる。超音波センサ236は、音響波又はパルスを使用して、車両の外部に位置する物体を測定する。超音波センサ236によって生成された音響波は、周囲の環境に伝達される。送信された波の少なくとも一部は、物体で反射され、超音波センサ236に戻る。戻り信号に基づいて、物体の距離が算出されうる。超音波センサ236は、例えば、死角の確認、駐車場の特定、交通への車線変更支援の提供などに有用でありうる。超音波センサ236によって生成されたセンサ・データは、さらなる処理及び車両動作の制御のために、通信経路233を介して車両知覚及び計画システム220に提供されうる。
【0049】
いくつかの実施形態では、1つ以上の他のセンサ238が車両に取り付けられてもよく、また、センサ・データを生成してもよい。他のセンサ238は、例えば、全地球測位システム(GPS)、慣性測定ユニット(IMU)などを含んでもよい。他のセンサ238によって生成されたセンサ・データは、さらなる処理及び車両動作の制御のために、通信経路233を介して車両知覚及び計画システム220に提供されうる。通信経路233は、様々なセンサ230と車両知覚及び計画システム220との間でデータを転送するために、1つ以上の通信リンクを含んでもよいことが理解される。
【0050】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、他の車両搭載センサ230からのセンサ・データが通信経路231を介して車両搭載LiDARシステム210に提供されうる。LiDARシステム210は、他の車両搭載センサ230からのセンサ・データを処理できる。例えば、カメラ232、レーダ・センサ234、超音波センサ236、及び/又は他のセンサ238からのセンサ・データは、センサ・データLiDARシステム210と相関又は融合されてもよく、それによって車両知覚及び計画システム220によって実行されるセンサ融合プロセスが少なくとも部分的にオフロードされる。様々なセンサからのセンサ・データを伝送及び処理するために、他の構成も実施されてもよいことが理解される(例えば、データは、処理のためにクラウド・サービスに伝送されることができ、その後、処理結果は、車両知覚及び計画システム220に伝送されうる)。
【0051】
図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、他の車両250に搭載されたセンサは、LiDARシステム210と別々に又は一緒に追加のセンサ・データを提供するために使用される。例えば、2つ以上の近くの車両は、それぞれの個別のLiDARセンサ、カメラ、レーダ・センサ、超音波センサなどを有してもよい。近くの車両は、互いに通信し、センサ・データを共有してもよい。車両間の通信は、V2V(車車間)通信とも呼ばれる。例えば、図2に示されるように、他の車両250によって生成されたセンサ・データは、それぞれ通信経路253及び/又は通信経路251を介して、車両知覚及び計画システム220及び/又は車両搭載LiDARシステム210に通信されうる。通信経路253及び251は、データを転送できる任意の有線又は無線通信リンクでありうる。
【0052】
センサ・データを共有することで、車両の外部の環境をよりよく認識することが容易になる。例えば、第1の車両は、第2の車両の後方にいて第1の車両に接近している歩行者を感知していない場合がある。第2の車両は、この歩行者に関するセンサ・データを第1の車両と共有し、第1の車両が歩行者との衝突を回避するための追加の反応時間を有することができるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、センサ230によって生成されたデータと同様に、他の車両250に搭載されたセンサによって生成されたデータは、LiDARシステム210によって生成されたセンサ・データと相関又は融合され、それによって車両知覚及び計画システム220によって行われるセンサ融合プロセスが少なくとも部分的にオフロードされてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、LiDARシステム210と別々に又は一緒にセンサ・データを提供するために、インテリジェント・インフラ・システム240が使用される。特定のインフラは、情報を伝達するために車両と通信するように構成されてもよく、その逆もまた可能である。車両とインフラとの間の通信は、一般に、V2I(車両対インフラ)通信と呼ばれる。例えば、インテリジェント・インフラ・システム240は、「5秒後に黄色に変わる」のようなメッセージで、接近する車両にその状態を伝えることができるインテリジェント交通信号機を含んでもよい。インテリジェント・インフラ・システム240は、交通監視情報を車両に伝えることができるように交差点付近に取り付けられた独自のLiDARシステムも含んでもよい。例えば、交差点で左折する車両は、自身のセンサのいくつかが反対方向の交通によってブロックされる可能性があるため、十分な感知能力を有しない場合がある。このような状況において、インテリジェント・インフラ・システム240のセンサは、左折車両に有用な、そして時には不可欠なデータを提供できる。このようなデータは、例えば、交通状況、車両が旋回する方向の物体の情報、交通信号の状態及び予測などを含んでもよい。インテリジェント・インフラ・システム240によって生成されたこれらのセンサ・データは、通信経路243及び/又は241を介して、車両知覚及び計画システム220及び/又は車両搭載LiDARシステム210にそれぞれ提供されうる。通信経路243及び/又は241は、データを転送できる任意の有線又は無線通信リンクを含むことができる。例えば、インテリジェント・インフラ・システム240からのセンサ・データは、LiDARシステム210に送信され、LiDARシステム210によって生成されたセンサ・データと相関又は融合され、それによって車両知覚及び計画システム220によって行われるセンサ融合プロセスが少なくとも部分的にオフロードされてもよい。上述したV2V及びV2I通信は、車両対X(V2X)通信の例であり、ここで「X」は、車両とデータを共有できる他の任意のデバイス、システム、センサ、インフラなどを表す。
【0054】
図2をさらに参照すると、様々な通信経路を介して、車両知覚及び計画システム220は、LiDARシステム210、他の車両搭載センサ230、他の車両250、及び/又はインテリジェント・インフラ・システム240のうちの1つ以上からセンサ・データを受信する。いくつかの実施形態において、異なるタイプのセンサ・データがセンサ融合サブシステム222によって相関され、及び/又は統合される。例えば、センサ融合サブシステム222は、車両の異なる位置に配置された複数のカメラによって撮影された複数の画像又はビデオを使用して、360度モデルを生成できる。センサ融合サブシステム222は、異なるタイプのセンサからセンサ・データを取得し、環境をより正確に知覚するために、結合されたデータを使用する。例えば、車両搭載カメラ232は、太陽又は光源(例えば、夜間の他の車両のヘッドライト)に直接面しているため、鮮明な画像をキャプチャできない場合がある。LiDARシステム210は、それほど影響を受けないかもしれず、したがって、センサ融合サブシステム222は、カメラ232及びLiDARシステム210の両方によって提供されるセンサ・データを結合し、LiDARシステム210によって提供されるセンサ・データを使用して、カメラ232によってキャプチャされる不明瞭な画像を補償できる。別の例として、雨又は霧の天候では、レーダ・センサ234は、カメラ232又はLiDARシステム210よりもよく機能する場合がある。したがって、センサ融合サブシステム222は、カメラ232又はLiDARシステム210によって提供されるセンサ・データを補償するために、レーダ・センサ234によって提供されるセンサ・データを使用できる。
【0055】
他の例では、他の車両搭載センサ230によって生成されたセンサ・データは、低い解像度(例えば、レーダ・センサ・データ)を有する場合があり、よって、通常はより高い解像度を有するLiDARシステム210によって相関及び確認する必要がある場合がある。例えば、下水カバー(マンホール・カバーとも呼ばれる)は、車両が接近している物体としてレーダ・センサ234によって検出される場合がある。レーダ・センサ234の低解像度の性質により、車両知覚及び計画システム220は、物体が、車両が回避する必要がある障害物であるかどうかを判断できない場合がある。よって、LiDARシステム210によって生成された高解像度センサ・データは、物体が下水カバーであり、車両に害を与えないことを相関的に確認するために使用されうる。
【0056】
車両知覚及び計画システム220は、物体分類器223をさらに備える。センサ融合サブシステム222によって提供される生のセンサ・データ及び/又は相関/融合データを使用して、物体分類器223は、物体を検出及び分類し、物体の位置を推定できる。いくつかの実施形態では、物体分類器233は、機械学習ベースの技術を使用して、物体を検出及び分類できる。機械学習ベースの技術の例は、領域ベースの畳み込みニューラル・ネットワーク(R-CNN)、高速R-CNN、Faster R-CNN、勾配方向ヒストグラム(HOG)、領域ベースの完全畳み込みネットワーク(R-FCN)、シングル・ショット検出器(SSD)、空間ピラミッド・プーリング(SPP-net)、及び/又はYou Only Look Once(Yolo)のようなアルゴリズムを利用することを含む。
【0057】
車両知覚及び計画システム220は、道路検出サブシステム224をさらに備える。道路検出サブシステム224は、道路を位置確認し、道路上の物体及び/又は標示を識別する。例えば、レーダ・センサ234、カメラ232、及び/又はLiDARシステム210によって提供される生の又は融合したセンサ・データに基づいて、道路検出サブシステム224は、機械学習技術(例えば、車線を識別するためのパターン認識アルゴリズム)に基づいて道路の3Dモデルを構築できる。道路の3Dモデルを使用して、道路検出サブシステム224は、物体(例えば、道路上の障害物又は破片)及び/又は道路上の標示(例えば、車線ライン、旋回マーク、横断歩道マーク等)を識別できる。
【0058】
車両知覚及び計画システム220は、位置確認及び車両姿勢サブシステム225をさらに備える。生の又は融合されたセンサ・データに基づいて、位置確認及び車両姿勢サブシステム225は、車両の位置及び車両の姿勢を決定できる。例えば、LiDARシステム210、カメラ232、及び/又はGPSデータからのセンサ・データを使用して、位置確認及び車両姿勢サブシステム225は、道路上の車両の正確な位置及び車両の6自由度(例えば、車両が前後、上下、及び左右に動いているか)を決定できる。いくつかの実施形態では、高精細(HD)マップが車両位置特定に使用される。HDマップは、車両の位置をピンポイントで特定する、非常に詳細な3次元のコンピュータ化されたマップを提供できる。例えば、HDマップを使用して、位置確認及び車両姿勢サブシステム225は、車両の現在の位置(例えば、車両が現在道路のどの車線にいるか、縁石又は歩道にどれだけ近いか)を正確に決定し、車両の将来の位置を予測できる。
【0059】
車両知覚及び計画システム220は、障害物予測器226をさらに備える。物体分類器223によって識別される物体は、静的(例えば、電柱、道路標識)又は動的(例えば、移動する歩行者、自転車、別の車)でありうる。動いている物体について、その移動経路又は将来の位置を予測することは、衝突を回避するために重要でありうる。障害物予測器226は、障害物の軌跡を予測し、及び/又は潜在的な衝突について運転者又は車両計画サブシステム228に警告を発することができる。例えば、障害物の軌道が車両の現在の移動経路と交差する可能性が高いならば、障害物予測器226は、このような警告を発生させることができる。障害物予測器226は、このような予測を行うために様々な技術を使用できる。このような技術は、例えば、一定の速度又は加速度モデル、一定の旋回速度及び速度/加速度モデル、カルマン・フィルタ及び拡張カルマン・フィルタ・ベースのモデル、再帰ニューラル・ネットワーク(RNN)ベースのモデル、長短期記憶(LSTM)ニューラル・ネットワーク・ベースのモデル、エンコーダ-デコーダRNNモデルなどを含む。
【0060】
図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、車両知覚及び計画システム220は、車両計画サブシステム228をさらに備える。車両計画サブシステム228は、経路プランナ、運転挙動プランナ、及びモーション・プランナを含むことができる。経路プランナは、車両の現在位置データ、目標位置データ、交通情報などに基づいて、車両の経路を計画できる。運転挙動プランナは、障害物予測器226から提供される障害物予測結果を使用して、他の物体がどのように動く可能性があるかに基づいて、タイミングや計画された動きを調整する。モーション・プランナは、車両が従う必要がある具体的な動作を決定する。その後、計画結果は、車両インタフェース270を介して車両制御システム280に伝達される。通信は、データを転送できる任意の有線又は無線通信リンクを含む通信経路223及び271を介して実行されうる。
【0061】
車両制御システム280は、車両のステアリング機構、スロットル、ブレーキなどを制御して、計画された経路及び移動に従って車両を動作させる。車両知覚及び計画システム220は、ユーザ(例えば、運転者)が車両制御システム280にアクセスして、例えば、必要に応じて車両の制御をオーバーライド又は引き継ぐことを提供するユーザ・インタフェース260をさらに含んでもよい。ユーザ・インタフェース260は、例えば、車両知覚及び計画システム220と通信して、生の又は融合されたセンサ・データ、識別された物体、車両の位置/姿勢などを取得し表示できる。これらの表示されたデータは、ユーザが車両をより良く操作するのに役立つことができる。ユーザ・インタフェース260は、データを転送できる任意の有線又は無線通信リンクを含む通信経路221及び261をそれぞれ介して、車両知覚及び計画システム220及び/又は車両制御システム280と通信できる。図2の様々なシステム、センサ、通信リンク、及びインタフェースは、任意の所望の方法で構成されることができ、図2に示された構成に限定されないことが理解される。
【0062】
図3は、例示的なLiDARシステム300を説明するブロック図である。LiDARシステム300は、図1及び図2に示されるLiDARシステム110、120A~F、及び/又は210を実装するために使用されうる。1つの実施形態では、LiDARシステム300は、レーザ源310、送信器320、光学受信器及び光検出器330、ステアリング・システム340、及び制御回路350を備える。これらの構成要素は、通信経路312、314、322、332、343、352、及び362を用いて結合される。これらの通信経路は、様々なLiDARシステム構成要素間の通信リンク(有線又は無線、双方向又は単方向)を含むが、それ自体が物理的構成要素である必要はない。通信経路は、1つ以上の電気配線、バス、又は光ファイバによって実装されうるが、通信経路は、物理的な通信媒体が存在しないように、無線チャネル又は自由空間光路でありうる。例えば、LiDARシステム300の1つの実施形態では、レーザ源310と送信器320との間の通信経路314は、1つ以上の光ファイバを使用して実装されてもよい。通信経路332及び352は、自由空間光学構成要素及び/又は光ファイバを使用して実装された光路を表してもよい。そして、通信経路312、322、342、及び362は、電気信号を伝送する1つ以上の電気配線を用いて実装されてもよい。また、通信経路は、上記のタイプの通信媒体のうちの1つ以上を含むことができる(例えば、光ファイバと自由空間光学構成要素を含むことができ、又は1つ以上の光ファイバ及び1つ以上の電気ワイヤを含むことができる)。
【0063】
LiDARシステム300は、電力バス、電源、LEDインジケータ、スイッチなどのような図3に描かれていない他の構成要素も含むことができる。さらに、光パルスが送信されてから戻り光パルスが検出されるまでの時間を正確に測定できるように基準信号を提供するための光源310と光学受信器及び光検出器330との間の直接接続のような、構成要素間の他の通信接続が存在してもよい。
【0064】
レーザ源310は、視野(FOV)内の物体を照明するためのレーザ光を出力する。レーザ源310は、例えば、半導体ベースのレーザ(例えば、ダイオード・レーザ)及び/又はファイバ・ベースのレーザでありうる。半導体ベースのレーザは、例えば、端面発光レーザ(EEL)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)などでありうる。ファイバ・ベースのレーザは、アクティブ利得媒体が、エルビウム、イッテルビウム、ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム、ツリウム及び/又はホルミウムなどの希土類元素でドープされた光ファイバであるようなレーザである。いくつかの実施形態では、ファイバ・レーザは、利得媒体が2層のクラッドによって囲まれたファイバのコアを形成するダブル・クラッド・ファイバをベースとしている。ダブル・クラッド・ファイバは、コアを高出力ビームで励起することを可能にし、それによってレーザ源が高出力ファイバ・レーザ源であることを可能にする。
【0065】
いくつかの実施形態において、レーザ源310は、マスタ発振器(シード・レーザとも呼ばれる)及びパワー増幅器(MOPA)を含む。パワー増幅器は、シード・レーザの出力パワーを増幅する。パワー増幅器は、ファイバ増幅器、バルク増幅器、又は半導体光学増幅器でありうる。シード・レーザは、ダイオード・レーザ(例えば、ファブリ・ペロー・キャビティ・レーザ、分散フォードバック・レーザ)、固体バルク・レーザ又は調整可能外部キャビティ・ダイオード・レーザでありうる。いくつかの実施形態では、レーザ源310は、光学的に励起されたマイクロチップ・レーザでありうる。マイクロチップ・レーザは、レーザ結晶がレーザ共振器の端部ミラーに直接接触する、アライメントフリーのモノリシック固体レーザである。マイクロチップ・レーザは、通常、レーザ・ダイオードで(直接又はファイバを使用して)励起され、所望の出力パワーを得る。マイクロチップ・レーザは、ネオジム添加イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAl12)レーザ結晶(すなわちNd:YAG)や、ネオジム添加バナジン酸(すなわちND:YVO)レーザ結晶に基づきうる。
【0066】
図4は、シード・レーザと、所望の出力パワーを励起するための1つ以上のポンプ(例えば、レーザ・ダイオード)とを有する例示的なファイバ・ベースのレーザ源400を説明するブロック図である。ファイバ・ベースのレーザ源400は、図3に描かれたレーザ源310の一例である。いくつかの実施形態では、ファイバ・ベースのレーザ源400は、1つ以上の波長(例えば、1550nm)の初期光パルスを生成するためのシード・レーザ402を備え、これは、光ファイバ403を介して波長分割多重(WDM)404に供給される。ファイバ・ベースのレーザ源400は、光ファイバ405を介してWDM404に(例えば、980nmのような異なる波長の)レーザ・パワーを供給するためのポンプ406をさらに含む。WDM404は、シード・レーザ402によって提供される光パルスと、ポンプ406によって提供されるレーザ・パワーとを、単一の光ファイバ407に多重化する。WDM404の出力は、その後、光ファイバ407を介して1つ以上の前置増幅器408に提供されうる。前置増幅器408は、光信号を(例えば、約20~30dBの利得で)増幅する光学増幅器でありうる。いくつかの実施形態では、前置増幅器408は、低雑音増幅器である。前置増幅器408は、光ファイバ409を介してコンバイナ410に出力する。コンバイナ410は、前置増幅器408の出力レーザ光を、光ファイバ411を介してポンプ412によって提供されるレーザ・パワーと結合する。コンバイナ410は、同じ波長を有する光信号又は異なる波長を有する光信号を結合できる。コンバイナの一例は、WDMである。コンバイナ410は、光ファイバ410を介して出力光パルスを生成するブースタ増幅器414にパルスを供給する。ブースタ増幅器414は、光信号のさらなる増幅を行う。出力された光パルスは、その後、送信器320及び/又はステアリング機構340(図3に示す)に送信されうる。図4は、ファイバ・ベースのレーザ源400の1つの例示的な構成を示すことが理解される。レーザ源400は、図4に示される1つ以上の構成要素の異なる組み合わせ及び/又は図4に示されない他の構成要素(例えば、電源、レンズ、フィルタ、スプリッタ、コンバイナなどのような他の構成要素)を用いる多くの他の構成を有しうる。
【0067】
いくつかの変形例では、ファイバ・ベースのレーザ源400は、ファイバ・ベースのレーザ源400で使用されるファイバのファイバ利得プロファイルに基づいて異なる振幅のパルスを生成するように(例えば、制御回路350によって)制御されうる。通信経路312は、ファイバ・ベースのレーザ源400の構成要素が制御回路350によって制御されうるか、他のように制御回路350と通信するように、ファイバ・ベースのレーザ源400を制御回路350(図3に示す)に結合させる。これに代えて、ファイバ・ベースのレーザ源400は、それ自身の専用コントローラを含んでもよい。制御回路350がファイバ・ベースのレーザ源400の構成要素と直接通信する代わりに、ファイバ・ベースのレーザ源400の専用コントローラは、制御回路350と通信し、ファイバ・ベースの光源400の構成要素を制御及び/又は通信する。ファイバ・ベースの光源400は、1つ以上のパワー・コネクタ、電源、及び/又は電力線のような、図示されない他の構成要素も含みうる。
【0068】
図3を参照すると、レーザ源310の典型的な動作波長は、例えば、約850nm、約905nm、約940nm、約1064nm、及び約1550nmを含む。最大の使用可能なレーザ・パワーの上限は、米国FDA(米国食品医薬品局)の規制によって設定されている。波長1550nmの光学パワー限界は、前述の他の波長の光学パワー限界よりはるかに高い。また、1550nmで、ファイバ内での光学パワー損失が少ない。1550nmの波長のこのような特性から、これは長距離LiDARの用途に、より有益である。レーザ源310から出力される光パワーの量は、そのピーク・パワー、平均パワー、及びパルス・エネルギーによって特徴付けられうる。ピーク・パワーは、パルス・エネルギーとパルスの幅(例えば、半値全幅、すなわちFWHM)との比である。よって、パルス幅が小さいほど、一定量のパルス・エネルギーに対してより大きなピーク・パワーを提供できる。パルス幅は、ナノ秒又はピコ秒の範囲でありうる。平均パワーは、パルスのエネルギーとパルス繰り返しレート(PRR)との積である。以下により詳細に説明されるように、PRRは、パルス・レーザ光の周波数を表す。PRRは、典型的には、LiDARシステムが測定できる最大範囲に対応する。レーザ源310は、LiDARシステムによって生成されるポイント・クラウドにおける所望のデータ点の数を満たすために、高いPRRでパルスを生成するように構成されうる。レーザ源310はまた、所望の最大検出距離を満たすために、中又は低PRRでパルスを生成するように構成されうる。ウォール・プラグ効率(WPE)は、総消費電力を評価するための別の要因であり、レーザ効率を評価する際の重要な指標となりうる。例えば、図1に示されるように、複数のLiDARシステムが車両に取り付けられることがあり、この車両は、電気駆動の車両であるか、他のように燃料又はバッテリーの電力供給に制限がある車両である可能性がある。したがって、高いWPE及びレーザ・パワーを使用するインテリジェントな方法は、レーザ源310を選択及び構成する際、及び/又は車両搭載LiDAR用途のためのレーザ送達システムを設計する際の重要な考慮事項の1つであることが多い。
【0069】
上記の説明は、レーザ源310の非限定的な例を提供することが理解される。レーザ源310は、様々な波長で1つ以上の光信号を生成するように構成された多くの他のタイプの光源(例えば、レーザ・ダイオード、短キャビティ・ファイバ・レーザ、固体レーザ、及び/又は調整可能な外部キャビティ・ダイオード・レーザ)を含むように構成されうる。いくつかの例では、光源310は、増幅器(例えば、前置増幅器及び/又はブースタ増幅器)を備え、これは、ドープ光ファイバ増幅器、固体バルク増幅器、及び/又は半導体光学増幅器でありうる。増幅器は、所望の利得で光信号を受信し増幅するように構成される。
【0070】
図3に戻って参照すると、LiDARシステム300は、送信器320をさらに備える。レーザ源310は、レーザ光を(例えば、レーザ・ビームの形態で)送信器320に提供する。レーザ源310によって提供されるレーザ光は、所定の又は制御された波長、パルス繰り返しレート、及び/又はパワー・レベルを有する増幅レーザ光でありうる。送信器320は、レーザ源310からレーザ光を受信し、低発散でステアリング機構340にレーザ光を送信する。いくつかの実施形態では、送信器320は、例えば、レーザ・ビームを直接又はステアリング機構340を介して視野(FOV)に伝送するための光学構成要素(例えば、レンズ、ファイバ、ミラーなど)を含むことができる。図3は、送信器320及びステアリング機構340を別個の構成要素として図示しているが、これらは、いくつかの実施形態において1つのシステムとして組み合わせられるか又は統合されてもよい。ステアリング機構340は、以下でより詳細に説明される。
【0071】
レーザ源310によって提供されるレーザ・ビームは、送信器320に移動する際に発散する可能性がある。したがって、送信器320は、発散するレーザ・ビームを集め、発散が低減された又は最小のより平行な光ビームを生成するように構成されたコリメート・レンズ含むことが多い。コリメートされた光ビームは、その後、ミラーやレンズのような様々な光学系を介してさらに方向付けられうる。コリメート・レンズは、例えば、単一の平凸レンズ又はレンズ・グループでありうる。コリメート・レンズは、ビーム径、発散角、開口数、焦点距離などのような、任意の所望の特性を達成するように構成されうる。ビーム伝搬比又はビーム品質係数(Mファクタとも呼ばれる)は、レーザ・ビームの品質を測定するために使用される。多くのLiDAR用途では、生成された送信レーザ・ビームに、良好なレーザ・ビーム品質を有することが重要である。Mファクタは、理想的なガウシアン・ビームからのビームのばらつきの度合いを表す。よって、Mファクタは、コリメートされたレーザ・ビームをどれだけ小さなスポットに集光できるか、あるいは、発散したレーザ・ビームをどれだけコリメートできるかを反映する。したがって、レーザ源310及び/又は送信器320は、所望のMファクタを維持しつつ、例えば、走査解像度要件を満たすように構成されうる。
【0072】
送信器320によって提供される光ビームのうちの1つ以上は、ステアリング機構340によってFOVへ走査される。ステアリング機構340は、LiDARシステム300が3Dポイント・クラウドを生成することによって環境をマッピングすることを容易にするために、光ビームを多次元(例えば、水平及び垂直次元の両方)で走査する。ステアリング機構340は、以下でより詳細に説明される。FOVへ走査されたレーザ光は、FOV内の物体によって散乱又は反射されうる。散乱又は反射された光の少なくとも一部は、LiDARシステム300に戻る。図3は、戻り光を受信するように構成された光学受信器及び光検出器330をさらに示す。光学受信器及び光検出器330は、FOVから戻り光を収集するように構成された光学受信器を含む。光学受信器は、FOVからの戻り光を受信し、方向転換し、集束し、増幅し、及び/又はフィルタリングするための光学系(例えば、レンズ、ファイバ、ミラー等)を含みうる。例えば、光学受信器は、収集された戻り光を光検出器上に収集及び/又は集束するためのコレクション・レンズ(例えば、単一の平凸レンズ又はレンズ・グループ)を含むことが多い。
【0073】
光検出器は、光学受信器によって集束された戻り光を検出し、戻り光の入射強度に比例した電流信号及び/又は電圧信号を生成する。このような電流信号及び/又は電圧信号に基づいて、FOV内の対象物の深度情報が導出されうる。このような深度情報を導出するための1つの例示的な方法は、以下でより詳細に説明される直接TOF(飛行時間)に基づくものである。光検出器は、その検出感度、量子効率、検出器帯域幅、線形性、信号対雑音比(SNR)、過負荷耐性、干渉耐性などによって特徴付けられてもよ。用途に基づいて、光検出器は、任意の所望の特性を有するように構成又はカスタマイズされうる。例えば、光学受信器及び光検出器330は、光検出器が良好な線形性を有しながら大きなダイナミック・レンジを有するように構成されうる。光検出器の線形性は、入力光信号パワーと検出器の出力との間の線形関係を維持する検出器の能力を示す。良好な線形性を有する検出器は、大きなダイナミック入力光信号レンジにわたって線形関係を維持できる。
【0074】
所望の検出器特性を達成するために、光検出器の構造及び/又は検出器の材料系に構成又はカスタマイズが行われうる。光検出器に対して、様々な検出器構造が使用されうる。例えば、光検出器構造は、p型半導体領域とn型半導体領域との間にドープされていない固有半導体領域(すなわち、「i」領域)を有するPINベースの構造でありうる。他の光検出器構造は、例えば、APD(アバランシェ・フォトダイオード)ベースの構造、PMT(光電子増倍管)ベースの構造、SiPM(シリコン光電子増倍管)ベースの構造、SPAD(単一光子アバランシェ・ダイオード)ベースの構造、及び/又は量子ワイヤを備える。光検出器に使用される材料系として、Si、InGaAs、及び/又はSi/Geベースの材料が使用されうる。多くの他の検出器構造及び/又は材料系が、光学受信器及び光検出器330において使用されうることが理解される。
【0075】
光検出器(例えば、APDベースの検出器)は、出力信号を生成する際に入力信号が増幅されるように、内部利得を有してもよい。しかし、光検出器の内部利得により、ノイズも増幅される場合がある。一般的なノイズのタイプは、信号ショット・ノイズ、暗電流ショット・ノイズ、熱ノイズ、及び増幅器ノイズ(TIA)を含む。いくつかの実施形態では、光学受信器及び光検出器330は、低雑音増幅器(LNA)である前置増幅器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前置増幅器はまた、電流信号を電圧信号に変換するTIA-トランスインピーダンス増幅器を含んでもよい。線形検出器システムについて、入力等価雑音又は雑音等価電力(NEP)は、光検出器が弱い信号に対してどの程度敏感であるかを測定する。したがって、これらはシステム全体の性能を示す指標として使用されうる。例えば、光検出器のNEPは、検出可能な最も弱い信号のパワーを特定し、したがってそれは、ひいては、LiDARシステムの最大範囲を特定する。LiDARシステム300の要件を満たすために、様々な光検出器の最適化技術が使用されうることが理解される。このような最適化技術は、異なる検出器構造、材料を選択すること、及び/又は信号処理技術(例えば、フィルタリング、ノイズ低減、増幅など)を実装することを含んでもよい。例えば、(例えば、TOFを使用することによる)戻り信号の直接検出に加えて、又はその代わりに、コヒーレント検出が光検出器に使用されうる。コヒーレント検出では、受信した光を局部発振器で干渉させることにより、受信した光の振幅及び位相情報を検出できる。コヒーレント検出は、検出感度や耐ノイズ性を向上させうる。
【0076】
図3は、LiDARシステム300がステアリング機構340を含むことをさらに説明する。上述したように、ステアリング機構340は、送信器320からの光ビームを誘導してFOVを多次元で走査する。ステアリング機構は、ラスタ機構又は走査機構と呼ばれる。光ビームを複数の方向(例えば、水平方向及び垂直方向の両方)に走査することは、LiDARシステムが、画像又は3Dポイント・クラウドを生成することによって環境をマッピングすることを容易にする。ステアリング機構は、メカニカル走査及び/又は固体走査に基づくことができる。メカニカル走査は、回転ミラーを使用してレーザ・ビームを誘導し、又はLiDAR送信器と受信器(総称して送受信器)を物理的に回転させてレーザ・ビームを走査する。固体走査は、送受信器のような巨視的構成要素を機械的に動かすことなく、レーザ・ビームをFOV内のさまざまな位置に照射する。固体走査機構は、例えば、光学フェーズド・アレイ・ベースのステアリング、及びフラッシュLiDARベースのステアリングを含む。いくつかの実施形態で、固体走査機構は巨視的構成要素を物理的に動かさないため、固体走査機構によって実行されるステアリングは、効率的ステアリングと呼ばれてもよい。固体走査を用いるLiDARシステムは、非メカニカル走査又は単に非走査LiDARシステムとも呼ばれてもよい(フラッシュLiDARシステムは、例示的な非走査LiDARシステムである)。
【0077】
ステアリング機構340は、画像又は3Dポイント・クラウドを生成するためにFOVを走査するために、送受信器(例えば、送信器320及び光学受信器及び光検出器330)と共に使用されうる。一例として、ステアリング機構340を実装するために、2次元メカニカル・スキャナが、1つ以上の単一点送受信器と共に使用されうる。単一点送受信器は、単一の光ビーム又は少数の光ビーム(例えば、2~8のビーム)をステアリング機構に送信する。2次元メカニカル・ステアリング機構は、例えば、ポリゴン・ミラー、振動ミラー、回転プリズム、回転傾斜ミラー面、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ステアリング機構340は、固体ステアリング機構のような非メカニカル・ステアリング機構を含んでもよい。例えば、ステアリング機構340は、屈折効果と組み合わされたレーザ光の波長を調整すること、及び/又は再構成可能なグレーティング/位相アレイに基づきうる。いくつかの実施形態では、ステアリング機構340は、2次元走査を実現するために単一の走査デバイスを使用でき、又は2次元走査を実現するために組み合わされた2つのデバイスを使用できる。
【0078】
別の例として、ステアリング機構340を実装するために、アレイ又は多数の単一点送受信器と共に1次元メカニカル・スキャナが使用されうる。具体的に、送受信器・アレイは、360度の水平視野を達成するために回転プラットフォームに搭載されうる。また、静止送受信器・アレイが1次元メカニカル・スキャナと組み合わされうる。1次元メカニカル・スキャナは、前方視の水平視野を達成するために、ポリゴン・ミラー、振動ミラー、回転プリズム、回転傾斜ミラー面を備える。メカニカル・スキャナを使用したステアリング機構は、自動車用途として大量生産する際に、堅牢性と信頼性を提供できる。
【0079】
別の例として、ステアリング機構340を実装するために、2次元送受信器を使用して、走査画像又は3Dポイント・クラウドを直接生成できる。いくつかの実施形態では、走査画像又は走査される視野の解像度を向上させるために、スティッチング又はマイクロ・シフト法が使用されうる。例えば、2次元送受信器を使用して、1つの方向(例えば、水平方向)で生成された信号及び他の方向(例えば、垂直方向)で生成された信号が統合、インターリーブ、及び/又はマッチングされ、走査されたFOVを表すより高い又はフル解像度の画像又は3Dポイント・クラウドを生成してもよい。
【0080】
ステアリング機構340のいくつかの実装は、戻り光信号を光学受信器及び光検出器330に向けるために受信経路に沿って(例えば、回転、振動、又は案内することによって)戻り光信号を誘導する1つ以上の光リダイレクション要素(例えば、ミラー又はレンズ)を備える。送信経路及び受信経路に沿って光信号を案内する光リダイレクション要素は、同じ構成要素(例えば、共有)、別々の構成要素(例えば、専用)、及び/又は共有の構成要素と別々の構成要素との組み合わせであってよい。これは、場合によっては、送信経路と受信経路とは部分的に重ってもよい(場合によっては、実質的に重なる又は同軸に整列される)が、異なるものであることを意味する。
【0081】
図3をさらに参照すると、LiDARシステム300は、制御回路350をさらに備える。制御回路350は、LiDARシステム300の様々な部分を制御するように、及び/又は信号処理を実行するように構成及び/又はプログラムされうる。典型的なシステムでは、制御回路350は、例えば、所望のレーザ・パルス・タイミング、繰り返しレート、及びパワーを得るためにレーザ源310を制御すること、FOVを走査し画素登録/整合を維持するためにステアリング機構340を制御すること(例えば、速度、方向、及び/又は他のパラメータを制御すること)、最適状態となるように光学受信器及び光検出器330を制御すること(例えば、感度、ノイズ低減、フィルタリング、及び/又は他のパラメータを制御すること)、並びに機能安全性について全体のシステム・ヘルス/状態を監視すること、を含む1つ以上の制御動作を行うように構成及び/又はプログラムされうる。
【0082】
制御回路350はまた、光学受信器及び光検出器330によって生成された生データに対して信号処理を行い、距離及び反射率情報を導出し、データのパッケージング及び車両知覚及び計画システム220(図2に示される)への通信を行うように構成及び/又はプログラムされうる。例えば、制御回路350は、光パルスを送信してから対応する戻り光パルスを受信するまでの時間を決定し、送信された光パルスに対して戻り光パルスを受信しない場合を決定し、送信/戻り光パルスに対する方向(例えば、水平及び/又は垂直情報)を決定し、特定の方向における推定範囲を決定し、及び/又はLiDARシステム300に関連する他の任意のタイプのデータを決定する。
【0083】
LiDARシステム300は、暑い又は寒い天候、激しい振動を引き起こす可能性のある荒れた道路状況、高湿又は低湿、埃っぽいエリアなどを含む多くの異なる環境で動作しうる車両に配置されうる。したがって、いくつかの実施形態では、LiDARシステム300の光学及び/又は電子構成要素(例えば、送信器320、光学受信器及び光検出器330、並びにステアリング機構340における光学部品)は、長期的な機械的及び光学的安定性を維持するように配置又は構成される。例えば、LiDARシステム300内の構成要素は、車両が遭遇しうるすべての条件下で動作できるように固定され、密閉されてもよい。一例として、送信器320、光学受信器及び光検出器330、並びにステアリング機構340(及び湿気の影響を受けやすい他の構成要素)の光学構成要素に、防湿コーティング及び/又は密閉が施されてもよい。別の例として、硬度、侵入保護(IP)評価、自己洗浄能力、化学物質に対する耐性及び衝撃に対する耐性などのような所望の特性を提供するためにLiDARシステム300においてハウジング、エンクロージャ、及び/又はウィンドウが使用されうる。さらに、コストを低く抑えながらLiDAR動作要件を満たすために、LiDARシステム300を組み立てるための効率的かつ経済的な方法論が使用されうる。
【0084】
当業者であれば、図3及び上記の説明は例示のためだけのものであり、LiDARシステムは他の機能ユニット、ブロック、又はセグメントを含むことができ、これらの上記機能ユニット、ブロック、又はセグメントの変形又は組み合わせを含むことができることが理解される。例えば、LiDARシステム300は、電力バス、電源、LEDインジケータ、スイッチなどのような、図3に描かれていない他の構成要素も含むことができる。さらに、光源310が光パルスを送信してから光検出器330が戻り光パルスを検出するまでの時間を光検出器330が正確に測定できるように、光源310と光学受信器及び光検出器330との間の直接接続のような、構成要素間の他の接続も存在してもよい。
【0085】
図3に示されるこれらの構成要素は、通信経路312、314、322、332、342、352、及び362を用いて互いに結合される。これらの通信経路は、様々なLiDARシステム構成要素間の通信(双方向又は単方向)を表すが、それ自体が物理的構成要素である必要はない。通信経路は、1つ以上の電気配線、バス、又は光ファイバによって実装されうるが、通信経路は、物理的な通信媒体が存在しないように、無線チャネル又は開放型光路でありうる。例えば、1つの例示的なLiDARシステムにおいて、通信経路314は1つ以上の光ファイバを含み、通信経路352は光路を表し、通信経路312、322、342、及び362はすべて電気信号を伝達する電気線である。通信経路は、上記のタイプの通信媒体を複数含むこともできる(例えば、光ファイバと光路を含むこともできるし、1つ以上の光ファイバと1つ以上の電気線を含むこともできる)。
【0086】
上述したように、いくつかのLiDARシステムは、光信号(例えば、光パルス)の飛行時間(TOF)を使用して、光路内の物体までの距離を決定する。例えば、図5Aを参照すると、例示的なLiDARシステム500は、レーザ光源(例えば、ファイバ・レーザ)、ステアリング・システム(例えば、1つ以上の移動ミラーのシステム)、及び光検出器(例えば、1つ以上の光学系を有する光子検出器)を含む。LiDARシステム500は、例えば、上述したLiDARシステム300を用いて実装されうる。LiDARシステム500は、LiDARシステム500のステアリング・システムによって決定されるように、光路504に沿って光パルス502を送信する。描かれた例では、レーザ光源によって生成される光パルス502は、レーザ光の短パルスである。さらに、LiDARシステム500の信号ステアリング・システムは、パルス-信号ステアリング・システムである。しかし、LiDARシステムは、パルス状ではない光信号を生成、送信、及び検出することによって動作し、飛行時間以外の技術を使用して周辺環境内の物体への範囲を導出できることを理解されたい。例えば、一部のLiDARシステムは、周波数変調連続波(すなわち、「FMCW」)を使用する。パルス信号を使用する飛行時間ベースのシステムに関して本書に記載された技術のいずれもが、これらの技術の一方又は両方を使用しないLiDARシステムにも適用可能であることをさらに理解されたい。
【0087】
図5A(例えば、光パルスを使用する飛行時間型LiDARシステムを示す)に戻ると、光パルス502が物体506に到達すると、光パルス502は散乱又は反射して戻り光パルス508を生成する。戻り光パルス508は、光路510に沿ってシステム500に戻りうる。送信光パルス502がLiDARシステム500を出てから、戻り光パルス508がLiDARシステム500に戻ってくるまでの時間は、(例えば、LiDARシステム内の制御回路350のようなプロセッサ又は他の電子機器によって)測定されうる。光速の知識と組み合わせたこの飛行時間は、LiDARシステム500から光パルス502が散乱又は反射した物体506の部分までの範囲/距離を決定するために使用されうる。
【0088】
図5Bに描かれているように、多くの光パルスを案内することによって、LiDARシステム500は、(例えば、光路504、524、528、532に沿ってそれぞれ光パルス502、522、526、530を案内することによって)外部環境を走査する。図5Cに描かれているように、LiDARシステム500は、戻り光パルス508、542、548(それぞれ、送信された光パルス502、522、530に対応する)を受信する。戻り光パルス508、542、548は、送信された光パルスを物体506及び514の一方によって散乱又は反射させることによって生成される。戻り光パルス508、542、及び548は、それぞれ光路510、544、及び546に沿ってLiDARシステム500に戻りうる。送信された光パルスの方向(LiDARシステム500によって決定される)、並びにLiDARシステム500から光パルスを散乱又は反射する物体の部分(例えば、物体506及び514の部分)までの計算された範囲に基づいて、検出可能範囲内の外部環境(例えば、経路504と532との間の視野、端部を含む)が、(例えば、3Dポイント・クラウド又は画像の生成によって)正確にマッピング又はプロットされうる。
【0089】
対応する光パルスが特定の送信された光パルスに対して受信されないならば、LiDARシステム500の検出可能範囲内に物体が存在しない(例えば、物体がLiDARシステム500の最大走査距離を超えている)と判定されうる。例えば、図5Bにおいて、光パルス526は、所定の検出範囲内でその伝送経路528に沿って散乱事象を生じないことがあるため、(図5Cに図示されるように)対応する戻り光パルスを有しないことがある。LiDARシステム500、又はLiDARシステム500と通信する外部システム(例えば、クラウド・システム又はサービス)は、戻り光パルスの欠如を、LiDARシステム500の検出可能範囲内に光路528に沿って配置されている物体がないものとして解釈できる。
【0090】
図5Bにおいて、光パルス502、522、526、及び530は、任意の順序で、直列に、並列に、又は互いに対する他のタイミングに基づいて送信されうる。さらに、図5Bは、送信された光パルスを1つの次元又は1つの平面(例えば、紙の平面)に案内されるものとして描いているが、LiDARシステム500は、他の次元又は平面に沿って送信光パルスを案内することもできる。例えば、LiDARシステム500は、図5Bに示される次元又は平面に垂直な次元又は平面で、送信された光パルスを案内することもでき、それによって、光パルスの2次元送信を形成できる。この光パルスの2次元送信は、点ごと、線ごと、一度に、又は他の何らかの方法で行われうる。光パルスの1次元の送信(例えば、単一の水平ライン)からのポイント・クラウド又は画像は、2次元データ(例えば、(1)水平送信方向からのデータ、(2)物体までの範囲又は距離)を生成できる。同様に、2次元の光パルス送信からのポイント・クラウド又は画像は、3次元データ(例えば、(1)水平送信方向からのデータ、(2)垂直送信方向からのデータ、及び(3)物体までの距離又は範囲)を生成できる。一般に、光パルスのn次元送信を行うLiDARシステムは、(n+1)次元のデータを生成する。これは、LiDARシステムが、物体の深度、又は物体での距離/間隔を測定できるため、さらなる次元のデータを提供することになるためである。したがって、LiDARシステムによる2次元走査は、LiDARシステムの外部環境をマッピングするための3次元ポイント・クラウドを生成できる。
【0091】
ポイント・クラウド密度は、LiDARシステムによって実行された面積あたりの測定値(データ・ポイント)の数を指す。ポイント・クラウド密度は、LiDARの走査解像度に関連する。一般的に、少なくとも関心領域(ROI)について、より大きなポイント・クラウド密度、したがってより高い解像度が望まれる。LiDARシステムによって生成されたポイント・クラウド又は画像における点の密度は、複数のパルスを視野で割った数に等しい。いくつかの実施形態では、視野は固定されうる。したがって、送信ー受信光学系(又は送受信器光学系)の1つの集合によって生成される点の密度を高めるために、LiDARシステムは、より頻繁にパルスを生成する必要がある場合がある。つまり、より高いパルス繰り返しレート(PRR)を有する光源が必要となる。一方、より頻繁にパルスを生成し送信することによって、LiDARシステムが検出できる最遠距離が制限される場合がある。例えば、システムが次のパルスを送信した後に遠方の物体からの戻り信号を受信したならば、戻り信号が送信順と異なる順番で検出され、システムが戻り信号と送信信号を正しく関連付けることができないならば、曖昧さが生じる可能性がある。
【0092】
説明のために、500kHzと1MHzとの間の繰り返しレートでレーザ・パルスを送信できる例示的なLiDARシステムを検討する。パルスがLiDARシステムに戻るまでの時間と、従来のLiDAR設計における連続したパルスからの戻りパルスの混在を避けることに基づいて、LiDARシステムが検出できる最も遠い距離は、500kHzと1MHzとについてそれぞれ300メートルと150メートルとでありうる。500kHzの繰り返しレートのLiDARシステムの点の密度は、1MHzのそれの半分である。よって、この例は、システムが順番に到着しない戻り信号を正しく相関させることができないならば、繰り返しレートを500kHzから1MHzに上げる(よって、システムの点の密度を向上させる)ことにより、システムの検出範囲が縮小されうることを示している。PRRの向上と検出範囲の制限との間のトレードオフを緩和するために、さまざまな技術が使用される。例えば、異なる範囲の物体を検出するために、複数の波長が使用されうる。また、送信光信号と戻り光信号との間の相関をとるために、光学的及び/又は信号処理技術が使用される。
【0093】
本書に記載される様々なシステム、装置、及び方法は、デジタル回路を使用して、又は周知のコンピュータ・プロセッサ、メモリ・ユニット、記憶デバイス、コンピュータ・ソフトウェア、及び他の構成要素を使用する1つ以上のコンピュータを使用して実装されてもよい。典型的には、コンピュータは、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリとを含む。コンピュータはまた、1つ以上の磁気ディスク、内蔵ハードディスク及びリムーバブル・ディスク、光磁気ディスク、光ディスクなどのような1つ以上の大容量記憶デバイスを含むか、又はそれに結合されてもよい。
【0094】
本書に説明される様々なシステム、装置、及び方法は、クライアント-サーバ関係で動作するコンピュータを使用して実装されてもよい。典型的には、このようなシステムにおいて、クライアント・コンピュータは、サーバ・コンピュータから遠隔に位置し、ネットワークを介して相互作用する。クライアント-サーバ関係は、それぞれのクライアント・コンピュータ及びサーバ・コンピュータ上で実行されるコンピュータ・プログラムによって規定及び制御されてもよい。クライアント・コンピュータの例は、デスクトップ・コンピュータ、ワークステーション、ポータブル・コンピュータ、セルラー・スマートフォン、タブレット、又は他のタイプのコンピューティング・デバイスを含みうる。
【0095】
本書に記載される様々なシステム、装置、及び方法は、プログラマブル・プロセッサによる実行のために、情報キャリア、例えば、非一時的の機会可読記憶デバイスにおいて有形に具現化されるコンピュータ・プログラム製品を用いて実装されてもよく、図13のステップのうちの1つ以上を含む本書に記載される方法プロセス及びステップは、このようなプロセッサによって実行可能な1つ以上のコンピュータ・プログラムを使って実装されてもよい。コンピュータ・プログラムは、ある動作を行うため、又はある結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接的又は間接的に使用されうるコンピュータ・プログラム命令の集合である。コンピュータ・プログラムは、コンパイル言語やインタプリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述されることができ、スタンド・アロン・プログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいはコンピュータ環境での使用に適した他の単位として、任意の形式でデプロイされうる。
【0096】
本書に記載されるシステム、装置、及び方法を実装するために使用されてもよい例示的な装置の高レベルブロック図が図6に説明される。装置600は、永続的記憶デバイス620及びメイン・メモリ・デバイス630に動作可能に結合されたプロセッサ610を備える。プロセッサ610は、このような動作を規定するコンピュータ・プログラム命令を実行することによって、装置600の全体的な動作を制御する。コンピュータ・プログラム命令は、永続的記憶デバイス620、又は他のコンピュータ可読媒体に記憶され、コンピュータ・プログラム命令の実行が望まれる場合にメイン・メモリ・デバイス630にロードされてもよい。例えば、プロセッサ610は、制御回路350(図3に示される)、車両知覚及び計画システム220(図2にされる)、及び車両制御システム280(図2に示される)のような、本書に記載された1つ以上の構成要素及びシステムを実装するために使用されてもよい。よって、図13の方法ステップのうちの1つ以上は、メイン・メモリ・デバイス630及び/又は永続的記憶デバイス620に記憶され、コンピュータ・プログラム命令を実行するプロセッサ610によって制御されるコンピュータ・プログラム命令によって規定されうる。例えば、コンピュータ・プログラム命令は、当業者によってプログラムされたコンピュータ実行可能コードとして実装され、図13の方法ステップによって規定されるアルゴリズムを実行できる。したがって、コンピュータ・プログラム命令を実行することによって、プロセッサ610は、図3図5及び図13の方法の1つ以上のステップによって規定されるアルゴリズムを実行する。装置600はまた、ネットワークを介して他のデバイスと通信するための1つ以上のネットワーク・インタフェース680を含む。装置600はまた、装置600とのユーザの対話を可能にする1つ以上の入力/出力デバイス690(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、ボタンなど)を含んでもよい。
【0097】
プロセッサ610は、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方を含んでもよく、装置600の唯一のプロセッサ又は複数のプロセッサのうちの1つであってもよい。プロセッサ610は、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)、及び1つ以上のグラフィックス処理ユニット(GPU)を含んでよく、これらは、例えば、本書に記載される様々な画像処理アプリケーションのための処理を加速するために1つ以上のCPUとは別に動作し及び/又は1つ以上のCPUとマルチタスクしてもよい。プロセッサ610、永続的記憶デバイス620、及び/又はメイン・メモリ・デバイス置630は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は1つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含む、それによって補完される、又は組み込まれてもよい。
【0098】
永続的記憶デバイス620及びメイン・メモリ・デバイス630はそれぞれ、有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。永続的記憶デバイス620、及びメイン・メモリ・デバイス630はそれぞれ、動的ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、静的ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ダブル・データ・レート同期動的ランダム・アクセス・メモリ(DDRRAM)、又は他のランダム・アクセス固体メモリ・デバイスのような高速ランダム・アクセス・メモリを含んでもよく、内蔵ハードディスク及びリムーバル・ディスクのような1つ以上の磁気ディスク記憶デバイスのような不揮発性メモリ、光磁気ディスク記憶デバイス、光ディスク記憶デバイス、フラッシュ・メモリ・デバイス、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)のような半導体メモリ・デイバス、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル汎用ディスク読み取り専用メモリ(DVD-ROM)ディスク、又は他の不揮発性の固体記憶デバイスを含んでいてもよい。
【0099】
入力/出力デバイス690は、プリンタ、スキャナ、ディスプレイ・スクリーンなどのような周辺機器を含んでもよい。例えば、入力/出力デバイス690は、情報をユーザに表示するための陰極線管(CRT)、プラズマ又は液晶ディスプレイ(LCD)モニタのような表示デバイス、キーボード、及びユーザが装置600に入力を提供できるマウス又はトラックボールのようなポインティング・デバイスを含んでもよい。
【0100】
本書で議論されるシステム及び装置の機能のいずれか又はすべては、プロセッサ610によって実行されてもよく、及び/又は、LiDARシステム300のような装置又はシステムに組み込まれてもよい。さらに、LiDARシステム300及び/又は装置600は、プロセッサ610又は本書で議論される他のシステム若しくは装置によって実行される1つ以上のニューラル・ネットワーク又は他のディープ・ラーニング技術を利用してもよい。
【0101】
当業者であれば、実際のコンピュータ又はコンピュータ・システムの実装は、他の構造を有し、同様に他の構成要素を含んでもよく、図6は、説明のためにこのようなコンピュータの構成要素のいくつかを高レベルで表現したものであることを認識するだろう。
【0102】
図7Aは、いくつかの実施形態による、複数ファセット光ステアリング・デバイス702及びガルバノメータ・ミラー706を有する簡略化されたLiDARシステム700を示す。図7Aに示されるように、デバイス702及びミラー706に加えて、システム700はまた、送信器712及び収集レンズ710を備えうる。送信器712は、1つ以上の送信レーザ・ビーム715を提供できるレーザ源を含む。送信レーザ・ビーム715は、ミラー706に向けられる。ミラー706は、2つの所定の角度位置の間で軸708の周りを振動するように制御される。ミラー706の振動は、FOVの1つの次元(例えば、垂直次元)に沿って光を走査することを容易にする。ミラー706は、送信レーザ・ビーム715を反射して送信光ビーム717を形成し、これは、複数ファセット光ステアリング・デバイス702に向けられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、複数ファセット光ステアリング・デバイス702は、上面722と、下面(図示せず)と、光を反射する複数のファセット724とを備える。側面724は、デバイス702の上面と下面との間に配置され、ファセットと呼ばれることもある。複数ファセット光ステアリング・デバイス702の1つの実施形態が図7Aに示されており、デバイスは、多角形の上面及び底面(例えば、五角形、六角形、八角形など)と、複数の長方形のファセット724とを有する。いくつかの実施形態では、ファセット724は、反射面(例えば、ミラー)であり、よって、複数ファセット光ステアリング・デバイスは、ポリゴン・ミラーでありうる。図7Aに示されるように、ファセット724は、送信光ビーム717を反射して送信光ビーム719を形成し、これがFOV714内の物体を照明する。光ステアリング・デバイス702は、軸704の周りを回転するように構成される。したがって、光ステアリング・デバイス702の各ファセットは、交代で光を反射する。本開示では、振動手段は、周期的又は非周期的に、所定の角度領域(例えば、40度、80度等)内で2つの互いに反対の方向(例えば、時計回り及び反時計回り)に連続的に往復運動する。回転手段は、少なくとも360度について、1方向にのみ連続的に運動する。
【0104】
いくつかの実施形態では、任意の特定の時刻において、複数の送信光ビーム717は、光ステアリング・デバイス702の同じファセットによって反射されて、複数の送信光ビーム719を形成する。いくつかの実施形態では、複数の送信光ビーム717は、ステアリング・デバイス702の異なるファセットによって反射される。送信光ビームを反射するために単一のファセットが使用されるか複数のファセットが使用されるかにかかわらず、ファセットの均一性は、光ステアリング・デバイス702の光方向転換能力の様々な側面に影響を及ぼしうる。例えば、光ステアリング・デバイス702のファセット間の不均一性の差は、送信光ビーム719の反射角に影響を及ぼすかもしれず、これは、ひいては、結果として生じるLiDAR走査パターンにおける走査線の形状に影響を及ぼすかもしれない。不均一性の差及び走査線に対するそれらの効果は、以下でより詳細に説明される。
【0105】
送信光ビーム719がFOV714内の1つ以上の物体を照明するように運動する場合に、送信光ビーム719の少なくとも一部が反射又は散乱されて戻り光729を形成する。戻り光729は、光ステアリング・デバイス702によって方向転換され(例えば、反射され)、ミラー706に向けられる戻り光727を形成する。戻り光727はミラー706によって方向転換(例えば、反射)されて戻り光725を形成し、これは、収集レンズ710によって収集される。収集レンズ710は、収集された戻り光をLiDARシステム700の他の構成要素(例えば、光検出器)に向ける。よって、いくつかの実施形態では、光ステアリング・デバイス702及びミラー706は、光ビームを送信してFOV内の物体を照明するためと、戻り光を受信し、LiDARシステム700の受信器に方向転換するためとの両方に使用される。
【0106】
いくつかの実施形態では、戻り光729は、複数の送信光ビーム719から形成され、任意の特定の時刻に光ステアリング・デバイス702の同じファセットによって反射される。いくつかの実施形態では、戻り光729は、光ステアリング・デバイス702の異なるファセットによって反射される。単一のファセットが使用されるか複数のファセットが使用されるかにかかわらず、光ステアリング・デバイス702のファセットの均一性は、戻り光の受信及び方向転換のデバイスの能力に影響を及ぼす。例えば、光ステアリング・デバイス702のファセット間の不均一性の差は、方向転換された戻り光の角度に影響を及ぼすかもしれず、これは、ひいては、結果として生じるLiDAR走査パターンにおける走査線の形状に影響を及ぼすかもしれない。
【0107】
図7Aに示されるLiDARシステム700及びステアリング・デバイス702は、2018年11月14日に出願された「複数ファセット・ミラーを使用するLiDARシステム」という名称の米国本特許出願第16/682,774号により詳細に記載されており、この内容はすべての目的のためにその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0108】
いくつかの実施形態では、図7Aに示される光ステアリング・デバイス702のファセット724は、90度のタイル角度を有する。傾斜角度は、ファセットの法線方向と、複数ファセット光ステアリング・デバイスの回転軸との間の角度である。したがって、デバイス702のファセットについて、傾斜角度は、ファセットに垂直な方向と軸線704との間である。よって、ファセット724の傾斜角度は、図7Aに図示の実施形態では90度である。いくつかの実施形態では、傾斜角度は90度でなくてもよい。図7Bは、このような複数ファセット光ステアリング・デバイス752を示す。光ステアリング・デバイス752は、複数のファセット756(2つが図7Bに示されている)を有するポリゴン・ミラーでありうる。ステアリング・デバイス752は、軸754の周りを回転できる。ステアリング・デバイス752の各ファセット756は、90度ではない傾斜角度を有し、それによって楔形ファセットを形成する。したがって、光ステアリング・デバイスの断面は、台形形状を有してもよい。図7Cは、複数ファセット光ステアリング・デバイス762の断面図を示す。デバイス752と同様に、光ステアリング・デバイス762のファセットは、90度以外の傾斜角度を有する。図7Cに示されるように、1つのこのような傾斜角度765は、回転軸764とファセット767の法線方向766との間の角度として説明される。複数ファセット光ステアリング・デバイス764は、その回転軸764を中心に回転できる。非90度傾斜角度を有する光テアリング・デバイスは、2019年1月8日に出願された「複数面ミラーを使用するLiDAR検出システム及び方法」という名称の米国本特許出願第16/242,567号にさらに詳細に記載されており、その内容は、任意の目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0109】
図7Bは、光ステアリング・デバイス764の角度位置を検出するように構成された位置エンコーダ758をさらに示す。位置エンコーダ758は例えば、回転エンコーダ(図7Bに示される)及び/又はホール効果センサでありうる。以下でより詳細に説明するように、位置エンコーダは、動作中の位置の不正確さを補償するために、ガルバノメータ・ミラーの運動プロファイルをさらに修正するための光ステアリング・デバイスのリアルタイム位置フィードバック・データを提供できる。同様の位置エンコーダは、同様の目的のためにガルバノメータ・ミラーのリアルタイム位置フィードバック・データを提供できる。
【0110】
図8は、いくつかの実施形態による、ガルバノメータ・ミラーの例示的な運動プロファイル810及び対応するLiDAR走査パターン820を示す。ガルバノメータ・ミラーは例えば、図7Aに示されるミラー706でありうる。上述のように、ガルバノメータ・ミラー(例えば、ミラー706)は、FOVの1つの次元(例えば、垂直次元)における光の走査を容易にするために、2つの角度位置(例えば、-20度から+20度)の間で振動するように構成されうる。運動プロファイル810は、ガルバノメータ・ミラーの運動の例示的な軌道815を含む。軌道815は、ガルバノメータ・ミラーの角度位置及び時間関係を示す。ガルバノメータ・ミラーの角度位置は、任意の特定の時間位置において予め決定されうる。ガルバノメータ・ミラーは、個別の特定の時間位置で特定の角度位置に運動するように制御されうる。例えば、時間位置t0において、ミラーは第1の角度位置812にある。ミラーの角度位置は、ミラーが第2の角度位置814に運動するまで、時間に対して変化する。いくつかの実施形態では、角度位置は、時間に対して線形に変化する。第1及び第2の角度位置は、振動の端部位置でありうる。よって、ガルバノメータ・ミラーが第1又は第2の角度位置のうちの1つに運動する場合に、ミラーは反対方向に運動するように変化する。このように、時間位置t1において、ミラーは第2の角度位置814に運動し、その後、その振動方向を変更する。時刻t2において、ガルバノメータ・ミラーは第1の角度位置812に戻り、その後、再び振動方向を変更する。次いで、ミラーの運動は、図8の運動プロファイル810に示されるように繰り返される。1つの実施形態では、運動プロファイル810は、図8に示されるような鋸歯状の軌道を含む。ガルバノメータ・ミラーは周期的に、又は任意の所望の方法で、運動プロファイルに従って振動するように構成されうる。運動プロファイル810は、対称三角波のような他の形状を有してもよいことが理解される。
【0111】
上述のように、ガルバノメータ・ミラーの振動は、FOVの1つの次元(例えば、垂直次元)における送信光ビームの走査を容易にする。複数ファセット光ステアリング・デバイス(例えば、ポリゴン・ミラー)は、FOVの別の次元(例えば、水平次元)における送信光ビームの走査を容易にするために回転する。結果として生じるLiDAR走査パターンは例えば、図8に示されるパターン820でありうる。パターン820は、上から下に分布する複数の走査線822を有する。走査線822は、複数ファセット光ステアリング・デバイス及びガルバノメータ・ミラーの同時運動によって形成される。ガルバノメータ・ミラーがその2つの端部角度位置のうちの1つ(例えば、第2の角度位置814)に振動する場合に、それは、他法の端部角度位置(例えば、第1の角度位置812)に戻るように引き返すか又は飛ぶ。後戻りは、パターン820内の引き返し線824によって示される。したがって、ガルバノメータ・ミラーが第1の角度位置812から第2の角度位置814に1つの単一トリップ(例えば、時刻t0からt1)で運動する時間中、複数ファセット光ステアリング・デバイス(例えば、ポリゴン・ミラー)は、複数のラウンドで回転して、(例えば、1つ以上の送信ビームを使用することによって)複数の走査線を生成する。光ステアリング・デバイスの各ファセットは、走査線の一部の生成を容易にする。さらに、複数ファセット光ステアリング・デバイス及びガルバノメータ・ミラーが同時に運動する(例えば、ガルバノメータ・ミラーが振動している間に光ステアリング・デバイスが回転している)ため、パターン820内の走査線は一般に、非ゼロの傾斜を有する(例えば、走査線は、左から右に下向きに傾斜している)。言い換えれば、パターン820内の走査線の左端と右端は、垂直次元において同じでなくてもよい。走査線の傾斜は、光ステアリング・デバイスが左から右へ走査線を生成するように回転している間に垂直次元に光を走査するためのガルバノメータ・ミラーの運動を反映する。
【0112】
ステアリング・デバイスのすべてのファセットがいかなる不均一性の差もなく同一であり、組み立てプロセスが完璧に実行される(例えば、モータ軸が半径方向にいかなる運動も有さない)ならば、LiDAR走査パターン820内の走査線は図8に示されるように直線になるはずである。すなわち、走査線は、それらの直線形状からの変形又は逸脱を有さないはずである。
【0113】
しかし、量産においては、同一のステアリング・デバイスのすべてのファセットが互いに同一に製造されるわけではなく、組み立てプロセスが必ずしも完璧であるとは限らない。結果として、複数のファセットにわたる不均一性が、特定の光ステアリング・デバイスに対して生じうる。図9は、光を反射又は方向転換するためのファセット902A~Dを備える、複数ファセット・ステアリング・デバイス902を説明する。ファセット902A~Dのうちの1つ以上は、互いに異なる及び/又は不均一であるように製造されるかもしれない。例えば、ファセット902A~Dのうちの1つ以上は、ファセット角度均一性の差を有するかもしれない。ファセット角度は、ファセットの傾斜角度とも呼ばれる。よって、ファセット角度は、ファセットの法線方向(例えば、ファセット面に垂直な方向)とステアリング・デバイスの回転軸(例えば、軸904)との間の角度である。異なるファセットは理想的には同じ所望のファセット角度を有するはずである(例えば、すべての角度が45度であるか、又はすべての角度が90度である)。しかし、大量生産プロセスに起因して、ファセット角度は、ファセットごとに異なるかもしれない。したがって、ファセット角度均一性の差が存在するかもしれない(例えば、ファセット902Aのファセット角度は89.5度であるかもしれず、ファセット902Bのファセット角度は90度であるかもしれず、ファセット902Cのファセット角度は91度であるかもしれない、など)。
【0114】
いくつかの実施形態では、ファセット902A~Dのうちの1つ以上がファセット寸法均一性の差を有するかもしれない。例えば、理想的には、ステアリング・デバイスのすべてのファセットが同じ寸法(幅、長さ、ファセット内角など)を有するはずである。しかし、製造誤差及び不正確さに起因して、複数のファセットは、異なる寸法(例えば、ファセット902Aの幅及び/又は長さがファセット902Dのものよりも長い、ファセット902Bと902Cとの間の内角の差など)を有するかもしれない。
【0115】
いくつかの実施形態では、ファセット902A~Dのうちの1つ以上は、表面形状誤差の差を有するかもしれない。表面形状誤差(surface form error)は、表面誤差又は表面形状誤差(surface figure error)とも呼ばれ、その理想的又は完璧な形状からの光学的表面形状の逸脱である。反射面(例えば、ステアリング・デバイスのファセットの表面)について、表面形状誤差は、円錐誤差、曲率半径誤差、ゾーン誤差、旋回エッジ、非対称局所表面偏差などのうちの1つ以上を含む。それらは、通常、製造公差又は機械加工公差によって生じる。よって、異なるファセット902A~Dは、異なる表面形状を有するかもしれない。例えば、ファセット902Bはファセット902Cよりもわずかに大きい曲率(例えば、より凸状又は凹状)を有するかもしれない。したがって、ファセット902Bによって反射又は方向転換される光の方向は、ファセット902Cのそれとわずかに異なるかもしれない。
【0116】
いくつかの実施形態では、ファセット902A~Dのうちの1つ以上は、表面粗さの差を有するかもしれない。例えば、1つのファセット902Aは、別のファセット902Dよりも粗い表面を有するかもしれない。ファセットの表面の粗さ又は凹凸は、反射される光の量及び/又は反射方向の変動を生じるかもしれない。より研磨された表面は一般に、所望の反射方向に従って光をより良く、より正確に反射することができ、一方、粗い表面は、光を異なる望ましくない方向に散乱させるかもしれない。ファセット角度均一性の差、ファセット寸法均一性の差、表面形状誤差の差、及び表面粗さの差は、複数ファセット光ステアリング・デバイスのファセット間で生じるかもしれない多くの均一性の例であることが理解される。光ステアリング・デバイスはまた、ファセット間で他の差を有しうる。
【0117】
いくつかの実施形態では、LiDAR走査システムへの複数ファセット光ステアリング・デバイスの組み立てに関連する誤差も発生するかもしれない。例えば、上述のように、デバイスを回転させるためのモータに複数ファセット光ステアリング・デバイスを組み立てる場合に、1つ以上の組み立て誤差が生じるかもしれず、デバイスごとにばらつきが生じる。組み立て誤差の1つのタイプは、モータ回転子軸と固定子軸との間の相対位置誤差である。複数ファセット光ステアリング・デバイスを回転させるためのモータは、回転子及び固定子を備える。複数ファセット光ステアリング・デバイスは、回転子に取り付けられ、回転子と共に回転する。モータの固定子は、回転しないか、又は他のように運動しない。モータの固定子は、典型的に、磁石が取り付けられた回転子を回転させるための磁界を発生させるための電気巻線を備える。理想的には、固定子及び回転子は同心であるはずである。よって、固定子の中心軸と回転子の回転軸とは、同軸に整列されるはずである(例えば、完全に重なり合う)。組み立て誤差があり、固定子及び回転子が所望の同心性を有するように組み立てられていないならば、光ステアリング・デバイスの回転運動は偏心されるかもしれない。ひいては、これは、LiDAR走査パターンの走査線をそれらの所望の形状及び/又は位置から逸脱させるかもしれない。
【0118】
組み付け誤差の他の例として、光ステアリング・デバイスを回転させるモータをモータ固定具に組み付ける場合に、相対位置誤差が生じるかもしれない。よって、モータは、モータ取り付け固定具の所望の位置に配置されないかもしれない。光ステアリング・デバイスがモータに取り付けられているため、このタイプの位置誤差によって、光ステアリング・デバイスがガルバノメータ・ミラーに対するその相対位置をシフトするかもしれない。例えば、モータ取り付け誤差に起因して、光ステアリング・デバイス(例えば、図7Aのデバイス702)とガルバノメータ・ミラー(例えば、ミラー706)との間の相対角度関係、高さ関係、水平関係、垂直関係、相対方向などは、それらの個別の所望の関係から逸脱するかもしれない。所望の構成からの相対関係のこのタイプの逸脱はまた、LiDAR走査パターンの走査線をそれらの所望の形状及び/又は位置から逸脱させるかもしれない。
【0119】
組み立て誤差の他の例として、光ステアリング・デバイス及びガルバノメータ・ミラーを組み立てる場合に、光ステアリング・デバイス及びガルバノメータ・ミラー自体の両方が正しく組み立てられていても、関係位置誤差が生じるかもしれない。同様に、光ステアリング・デバイス(例えば、図7Aのデバイス702)とガルバノメータ・ミラー(例えば、ミラー706)との間の相対角度関係、高さ関係、水平関係、垂直関係、相対方向などは、それらのそれぞれの所望の関係から逸脱するかもしれない。相対関係の所望の構成からのこのタイプの逸脱はまた、LiDAR走査パターンの走査線をそれらの所望の形状及び/又は位置から逸脱させるかもしれない。
【0120】
組み立て誤差の別の例として、複数ファセット光ステアリング・デバイスは、その実際の回転軸とその予想回転軸との間に角度誤差を有するかもしれない。例えば、組み立て誤差に起因して、実際の回転軸と予想回転軸とは、同軸に整列しない(例えば、完全に重なり合わない)かもしれない。それらは、互いに対してシフトされているかもしれない。それらはまた、互いに対して傾斜しているかもしれない。その結果、動作中に、光ステアリング・デバイスのファセットは、予想される方向から逸脱する方向に光を反射する。したがって、予想回転軸からの実際の回転軸のこのタイプの逸脱はまた、LIDAR走査パターンの走査線をそれらの所望の形状及び/又は位置から逸脱させるかもしれない。
【0121】
大量生産において、1つの光ステアリング・デバイスの組み立ては、別の光ステアリング・デバイスとは異なる結果を生むかもしれない。例えば、動作中、望ましくない半径方向に沿った第1の光ステアリング・デバイスの運動は、デバイスの組み立てばらつきに起因して、第2の光ステアリング・デバイスのそれよりも大きくなるかもしれない。光ステアリング・デバイスの軸の周りを回転することとは対照的に、半径方向に沿った運動は、反射光をその予想経路から逸脱させるかもしれない。このように、光ステアリング・デバイスの半径方向に沿った運動は、LiDAR走査パターンの走査線を、それらの所望の形状及び/又は位置から逸脱させるかもしれない。
【0122】
上述の製造に起因するファセット間の不均一性の差及び組み立て誤差は、LiDAR走査パターンにおける走査線の変形又はその予想される形状からの逸脱を生じさせうる。図9は、いくつかの実施形態による、パターンの一部分の拡大図を伴う例示的なLiDAR走査パターン910を説明する。上述のように、光ステアリング・デバイスのファセットが不均一性の差を有するため、及び/又は光ステアリング・デバイスの組み立てプロセスが誤差又は不正確さを有するため、LiDAR走査パターンの走査線はそれらの理想的又は予想される形状(例えば、直線形状)からの変形又は逸脱を有するかもしれない。拡大図920は例えば、走査線の部分922が非線形又は不連続な走査線形状を有し、走査線内に異なる傾斜を有する複数のセグメントが存在することを示す。言い換えれば、製造に起因するファセットの不均一性の差及び組み立て誤差に起因して、走査線は、走査線の1つ以上の部分における直線であることから逸脱するかもしれない。よって、走査線は、非線形形状、区分的線形形状、異なる傾斜を有するセグメント、不連続、又は特定の不均一性の差及び組み立て誤差に依存する任意の他の形状を有するかもしれない。直線形状からのこのような逸脱は、(例えば、走査線に起因するポイント・クラウドを処理する際に)後続の処理の不正確さ又は誤差、ひいては知覚の困難さを生じるかもしれない。
【0123】
本開示は、ガルバノメータ・ミラーの運動プロファイルをインテリジェントに構成することによって、複数ファセット光ステアリング・デバイスの製造に起因するファセット不均一性の差及び組み立て誤差を補償するための方法及びシステムを提供する。上述のように、複数ファセット・ステアリング・デバイス及びガルバノメータ・ミラーは同時に運動する(例えば、ガルバノメータ・ミラーが振動している間にステアリング・デバイスが回転している)ため、LiDAR走査パターン内の走査線は一般に、非ゼロ傾斜を有する。言い換えれば、走査線の左端と右端とは、垂直次元において同じでないかもしれない。走査線の傾斜は、光ステアリング・デバイスは左から右に走査線を生成するように回転する間に垂直次元に光を走査するためのガルバノメータ・ミラーの振動を反映する。したがって、走査線が非ゼロ傾斜を有するため、ガルバノメータ・ミラーの運動プロファイルは、複数ファセット光ステアリング・デバイスの製造に起因するファセット不均一性の差及び組み立て誤差によって引き起こされる、その理想的な直線形状からの走査線の逸脱を低減又は排除するように構成されうる。例えば、ファセットの不均一性の差が走査線の特定の部分の傾斜を、それがあるべきであるものよりも大きくする(したがって、特定の部分が以前の部分から直線として継続することから逸脱する)ならば、ガルバノメータ・ミラーの運動プロファイルは、ガルバノメータ・ミラーがより遅く又はより速く振動するか、又は瞬間的に停止するように構成されうる。よって、このようにガルバノメータ・ミラーの運動を制御することは、特定の部分における走査線の垂直成分を修正して、複数ファセット光ステアリング・デバイスのファセット不均一性の差及び組み立て誤差によって引き起こされる望ましくない傾斜逸脱を補償できる。
【0124】
図10は、光ステアリング・デバイス較正データに基づいてミラー位置を修正するためにガルバノメータ・ミラー運動プロファイルを使用することを説明するためのブロック図1000である。1つの実施形態では、複数ファセット光ステアリング・デバイスが(例えば、成形ベースの方法を使用して)製造され、及び/又はモータと組み立てられた後、デバイスは、ファセット間の均一性差を決定し、組み立てで導入された誤差又は不正確さを決定するために、較正される。説明されるように、このような均一性の差は、ファセット角度均一性の差、ファセット寸法均一性の差、表面形状誤差の差、表面粗さの差などを含む。組み立て誤差は例えば、モータ回転子軸と固定子軸との間の相対位置誤差、モータとモータ取り付け固定具との間の相対位置誤差、ガルバノメータ・ミラーに対する複数ファセット光ステアリング・デバイスの相対位置誤差、及び複数ファセット光ステアリング・デバイスの実際の回転軸と複数ファセット光ステアリング・デバイスの予想回転軸との間の角度誤差を含んでもよい。
【0125】
複数ファセット光ステアリング・デバイスは、ファセット均一性の差及び/又は組み立て誤差を定量化するために較正されうる。例えば、これらの均一性の差及び/又は組み立て誤差は、適切な機器(例えば、光学構成要素の表面粗さ、表面曲率、寸法、角度などを測定するための機器)を使用して測定されうる。測定結果が保存される。いくつかの実施形態では、測定値は、光ステアリング・デバイスの様々な側面の期待値又は構成に対して比較される。比較の結果(例えば、差)は、運動プロファイルを生成するための較正データとして記憶される。
【0126】
図10を参照すると、ガルバノメータ運動プロファイル1002がプロセッサ1006に提供される。運動プロファイル1002は、第1の角度位置と第2の角度位置との間のガルバノメータ・ミラーの運動に関連する角度位置‐時間関係を含む。第1及び第2の角度位置は、ガルバノメータ・ミラーが周りを回転又は振動する軸(例えば、図7Aに示されるミラー706の軸708)に対するものである。運動プロファイル1002は例えば、図8に示されるような運動プロファイル810でありうる。1つの実施形態では、運動プロファイル1002は、光ステアリング・デバイスのファセット不均一性の差及び組み立て誤差を考慮するために、修正することなく2つの角度位置の間で振動するように構成されたガルバノメータ・ミラーの位置‐時間関係を表す。一例として、第1の角度位置及び第2の角度位置は、それぞれ約-20度及び約+20度でありうる。よって、ガルバノメータ・ミラーは、FOVの1つの次元(例えば、垂直次元)において約40度の範囲をカバーするように振動する。
【0127】
図10に示されるように、光ステアリング・デバイス較正データ1004もプロセッサ1006に提供される。データ1004は、多角形のような複数ファセット光ステアリング・デバイスの測定及び/又は比較データを含む。上述のように、較正データは、特定の光ステアリング・デバイスの均一性の差及び組み立て誤差の測定値を含む。較正データは、典型的には、光ステアリング・デバイスごとに異なる。この例では、較正データ1004は、光ステアリング・デバイス1042に関連付けられる。プロセッサ1006は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって実装されうる。それは、個別の構成要素、ガルバノメータ・コントローラ1014の一部、別のプロセッサ1010の同一又は一部、及び/又はLiDARシステム内の任意の他の構成要素の一部でありうる。また、それは、LiDARシステムの外部(例えば、クラウド・コンピューティング環境)に配置されたプロセッサであってもよい。プロセッサ1006は、ガルバノメータ・ミラー1022の運動プロファイル1002と、ガルバノメータ・ミラー1022と共に使用される光ステアリング・デバイス1042(例えば、ポリゴン・ミラー)の較正データ1004とを受信する。これは、運動プロファイル1002及び較正データ1004に基づいて1つ以上の信号処理動作を実行する。較正データ1004及び運動プロファイル1002に基づいて、プロセッサ1006は、ガルバノメータ運動プロファイル1007を生成する。1つの実施形態では、較正データ1004を考慮に入れるため、運動プロファイル1007は、運動プロファイル1002の位置‐時間関係とは異なる位置‐時間関係を含む。1つの実施形態では、運動プロファイル1007は、ガルバノメータ・ミラー位置コマンドの形態である。
【0128】
運動プロファイル1007は、1つ以上の信号処理動作を使用して生成されうる。これらの信号処理動作のいくつかは、データ・サンプリング、フィルタリング、アナログ・デジタル変換、重ね合わせ、データ補償、位置制御、データ変換、デジタル・アナログ変換、減算、加算、乗算、除算、及び/又は任意の他の所望の動作を含む。運動プロファイル1007は、較正データ1004を使用して元の運動プロファイル1002から修正された運動プロファイルを表す。例えば、較正データ1004に基づいて、運動プロファイル1002内の1つ以上の特定の時間位置に関連する1つ以上の特定の角度位置が、異なるファセット間のファセット角度均一性の差を補償するために修正(増加又は減少)されうる。組み立て誤差を考慮するために、元の運動プロファイル1002に対して同様の修正が行われうる。このようにして、ガルバノメータ・ミラー1022及び光ステアリング・デバイス1042が改良された又は所望の走査線(例えば、直線の走査線)を生成するように制御されるように、製造誤差及び/又は組み立て誤差によって引き起こされる均一性の差が少なくともある程度補償されうる。
【0129】
図11は、ガルバノメータ・ミラー位置を修正するために使用されうる例示的な運動プロファイル1007を説明する。図11はまた、いくつかの実施形態による、運動プロファイル1007の一部分の拡大図を示す。運動プロファイル1007は、図10に示される光ステアリング・デバイス1042の較正データ1004を考慮することによって生成される例示的なプロファイルである。光ステアリング・デバイス1042は例えば、デバイス702、752、762、及び902でありうる。図8に関して上述したように、運動プロファイル810は、ファセットの不均一性の差及び組み立て誤差を考慮しないガルバノメータ・ミラーの例示的なプロファイルである。運動プロファイル810と比較して、運動プロファイル1007も、全体的な鋸歯形状を有する。プロファイル810とは異なり、運動プロファイル1007の軌道1115は、もはや直線を有しない。その代わりに、軌道1115の部分1117の拡大図1120に示されるように、軌道は、非線形形状、区分線形形状、不連続、又は任意の他の所望の形状のセグメントを有してもよい。軌道1115内のセグメントの形状、傾斜、長さなどは、軌道1115を使用することによって制御されるガルバノメータが、光ステアリング・デバイス1042に関連するファセットの不均一性の差及び組み立て誤差を少なくともある程度補償できるように構成される。上述のように、これは、1つ以上の特定の時間位置におけるガルバノメータ・ミラーの角度位置を増加又は減少するように軌道1115を構成することによって実行される。いくつかの実施形態では、光ステアリング・デバイスが5つのファセットを有するならば、部分1117の5つのセグメントのそれぞれは、個別のファセットの不均一性の差及び/又は組み立て誤差を補償するための1つの個別のファセットに対応してもよい。よって、5ファセット光ステアリング・デバイスについて、部分1117は、それぞれが個別の傾斜を有する(又はいくつかは同じ傾斜を有してもよい)5つの対応するセグメントを有する。部分1117は繰り返えされうる。よって、軌道1115は、多くのこのような繰り返し部分を含む周期的に繰り返すパターンを有してもよい。例えば、軌道1115に従って振動するようにガルバノメータ・ミラーを制御することによって、LiDARシステムの走査線は所望の又は予想される形状(例えば、直線)を有するように改良されうる。
【0130】
特定の環境では、較正データ1004がいかなる均一性の差又は組み立て誤差も示さないため、又は差及び/又は誤差が特定の許容可能な閾値を下回るため、運動プロファイル1002が修正される必要がなくてもよいことが理解される。このような場合、運動プロファイル1007は、運動プロファイル1002と同一であってもよい。
【0131】
図10を再び参照すると、いくつかの実施形態では、運動プロファイル1007がプロセッサ1010に提供される。プロセッサ1010は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって実装されうる。それは、個別の構成要素、ガルバノメータ・コントローラ1014の一部、別のプロセッサ1006の同一又は一部、及び/又はLiDARシステム内の任意の他の構成要素の一部でありうる。また、それは、LiDARシステムの外部(例えば、クラウド・コンピューティング環境)に配置されたプロセッサであってもよい。プロセッサ1010は、運動プロファイル1007と、ガルバノメータ位置フィードバック・データ1012と、光ステアリング・デバイス位置フィードバック・データ1032とを受信するように構成される。受信したデータに基づいて、プロセッサ1010は、1つ以上の調整信号1011を生成できる。上述のように、運動プロファイル1007は、較正データ1004を使用して元の運動プロファイル1002から修正された調整済の運動プロファイルを表す。したがって、運動プロファイル1007は、光ステアリング・デバイス1042に関連するファセット不均一性の差及び組み立て誤差を補償するようにガルバノメータ・ミラー1022の運動を制御するために使用されうる。
【0132】
動作中、ガルバノメータ・ミラー1022の角度位置は、(例えば、ミラー1022の運動プロファイル1007に従って)常に正確に制御されるとは限らず、時々位置の不正確さを有するかもしれない。位置の不正確さは、コントローラの不正確さ、組み立てに起因する不正確さ、光学部品の製造公差によって引き起こされる不正確さ、振動、衝撃、温度変化、及び/又は他の環境変化などによって引き起こされる不正確さのような多くの要因に起因して生成されるかもしれない。例えば、LiDARシステム及びその構成要素は、多くの場合、LiDARシステムが搭載される自動車の動作中に振動又は衝撃を受ける。振動及び衝撃は、ミラー1022を含むLiDARシステム内の1つ以上の光学構成要素の位置精度に影響を及ぼすかもしれない。したがって、いくつかの実施形態では、運動プロファイル1007に含まれる予想角度位置と、ガルバノメータ・ミラー1022の実際の角度位置との間に差がある。このような差を低減又は排除するために、運動プロファイル1007を使用して制御信号を生成する際に位置フィードバック・データ1012が考慮されうる。
【0133】
さらに、図10に図示の実施形態では、光ステアリング・デバイス1042に関連する位置フィードバック・データ1032をプロセッサ1010に提供することによって、光ステアリング・デバイス1042の位置不正確さが少なくともある程度考慮されうる。上述のように、光ステアリング・デバイス1042及びミラー1022が同時に運動するため、光ステアリング・デバイス1042のファセット不均一性の差及び組み立て誤差は、ガルバノメータ・ミラーの運動プロファイルをインテリジェントに構成することによって、少なくともある程度補償されうる。同様に、光ステアリング・デバイス1042の位置の不正確さは、運動プロファイル1007をさらに修正(例えば、調整)することによって、少なくとも部分的に補正されうる。一例として、図8を再び参照すると、各走査線822は、非ゼロ度傾斜を有する。よって、走査線822の各データ点は、任意の特定の時刻における、(例えば、水平次元を走査するための)光ステアリング・デバイス1042の対応する角度位置と、(例えば、垂直寸法を走査するための)ガルバノメータ・ミラー1022の対応する角度位置と、を有する。特定の時刻において、光ステアリング・デバイス1042の角度位置がその予想位置よりもわずかに大きいが、ミラー1022の角度位置が変化しないならば、走査線の結果として生じる部分は変化した傾斜(例えば、より小さい傾斜)を有することになる。これは、走査線を所望の直線形状から逸脱させる。光ステアリング・デバイス1042のリアルタイム位置データを使用することによって、ミラー1022の角度位置は、光ステアリング・デバイス1042の位置の不正確さを少なくとも部分的に補償するようにリアルタイムで修正されうる。
【0134】
いくつかの実施形態では、光ステアリング・デバイス1042は、例えば毎分数千ラウンド(例えば、9000rpm)の非常に高速で回転する。したがって、光ステアリング・デバイス1042を直接制御してその速度の不正確さを短時間で補正することは、その高い回転慣性又は運動量のために困難又は非実用的であるかもしれない。ガルバノメータ・ミラー1022は典型的に、より遅い速度で振動し、よって、制御がより容易である。よって、光ステアリング・デバイス1042の角度位置の不正確さは、ガルバノメータ・ミラー1022を制御するために運動プロファイル1007を修正することに少なくとも部分的によって、補償されうる。いくつかの実施形態では、光ステアリング・デバイス1042の速度不正確さのより直接的な補正のために、光ステアリング・デバイス位置フィードバック・データ1032が光ステアリング・デバイス・モータ・コントローラ1034に提供される。例えば、光ステアリング・デバイス位置フィードバック・データ1032に基づいて、光ステアリング・デバイス1042の速度が常に、又は頻繁に、予想速度よりも大きい又は小さいと決定されるならば、光ステアリング・デバイス・モータ・コントローラ1034は、フィードバック・データ1032に基づいて、回転速度を減少又は増加させるように構成されてもよい。光ステアリング・デバイス位置フィードバック・データ1032は、所望の任意の方法で、(光ステアリング・デバイスを直接制御することによって)直接的に及び/又は(ガルバノメータ・ミラー1022を制御することによって)間接的に提供されうることが理解される。
【0135】
いくつかの実施形態では、複数ファセット光ステアリング・デバイス1042及びガルバノメータ・ミラー1022はそれぞれ、回転位置エンコーダ及び/又はホール効果センサ、又は任意の他の所望の位置エンコーダを有する。位置エンコーダは、それぞれの位置フィードバック・データ1012及び1032をプロセッサ1010に提供する。運動プロファイル1007、ガルバノメータ・ミラー1022に関連する位置フィードバック・データ1012、及び複数ファセット光ステアリング・デバイス1042に関連する位置フィードバック・データ1032を使用して、プロセッサ1010は、信号処理動作のうちの1つ以上を実行することによって調整信号1011を生成する。これらの信号処理動作のいくつかは、データ・サンプリング、フィルタリング、アナログ・デジタル変換、重ね合わせ、データ補償、位置制御、データ変換、デジタル・アナログ変換、減算、加算、乗算、除算、及び/又は任意の他の所望の動作を含む。調整信号1011は、位置フィードバック・データ1012及び/又は1032に基づいて修正された運動プロファイルを表す。例えば、動作中のガルバノメータ・ミラー1022の角度位置の不正確さ及び/又は光ステアリング・デバイス1042の角度位置の不正確さを補償するために、位置フィードバック・データ1012及び/又は1032に基づいて、動作プロファイル1007における特定の時刻に関連する特定の角度位置が修正(増加又は減少)されうる。このように、ガルバノメータ・ミラー1022の振動軌道は、動作中にリアルタイムで制御及び調整されうる。特定の環境では、位置フィードバック・データ1012及び/又は1032がいかなる不正確さも表さないか、又は不正確さが閾値を下回るため、運動プロファイル1007が修正される必要がないかもしれないことが理解される。閾値を下回る不正確さ又は不正確さがないならば、調整信号1011は、単に運動プロファイル1007を使用して生成されてもよい。
【0136】
さらに図10を参照すると、1つ以上の調整信号1011がガルバノメータ・コントローラ1014に提供される。調整信号1011を使用して、コントローラ1014は、ガルバノメータ・ドライブ1018を制御するための制御信号1017を生成する。いくつかの実施形態では、制御信号1017は、パルス幅変調(PWM)信号(例えば、ミリアンペア電流レベルを有する3.3V信号)である。これらのパルス幅変調信号は、ガルバノメータ・ドライバ1018に供給され、これは、ガルバノメータ・モータ1020を駆動するためのより強力な信号1019を生成できる。1つの実施形態では、ガルバノメータ・ドライバ1018は、入力PWM制御信号1017を増幅して、アンペア・レベル電流を有する12V PWM信号1019を生成する増幅器を含む。その後、この高パワー信号1019は、ガルバノメータ・モータ1020を駆動してガルバノメータ・ミラー1022を振動させるために使用される。いくつかの実施形態では、ガルバノメータ・コントローラ1014、ガルバノメータ・ミラー1022、モータ1020、位置エンコーダ(図示せず)、及びモータ・ドライバ1018のうちの2つ以上がガルバノメータ・ミラー・アセンブリに含まれる。
【0137】
上述のように、光ステアリング・デバイス1042の角度位置は、位置不正確性も有するかもしれず、よって、位置フィードバック・データ1032は、光ステアリング・デバイス1042の位置不正確さを少なくとも部分的に補償するために、プロセッサ1010及び光ステアリング・デバイス・コントローラ1034の一方又は両方に提供されうる。また、光ステアリング・デバイス1042は、位置エンコーダを使用することによって、その角度位置を取得することもできる。位置エンコーダは、回転位置エンコーダ及び/又はホール効果センサ、又は任意の他の所望の位置エンコーダでありうる。位置エンコーダは、位置フィードバック・データ1032をプロセッサ1010及び/又は光ステアリング・デバイス・コントローラ1034に提供する。上述のように、光ステアリング・デバイス位置フィードバック・データ1032を、運動プロファイル1007及びガルバノメータ位置フィードバック・データ1012とともに使用して、プロセッサ1010は、調整信号1011を生成する。
【0138】
1つの実施形態では、位置フィードバック・データ1032を使用して、光ステアリング・デバイス・コントローラ1034は、光ステアリング・デバイス1042を直接制御して、その位置の不正確さを補償するための1つ以上の制御信号1037を生成する。例えば、動作中のデバイス1042の角度位置の不正確さを補償するために、位置フィードバック・データ1032に基づいて、特定の時刻における光ステアリング・デバイス1042の特定の角度位置が修正(増加又は減少)されうる。このように、光ステアリング・デバイス1042の回転運動の1つ以上の側面(例えば、速度)が、動作中にリアルタイムで制御及び調整されうる。特定の環境では、不正確さがないこと(又は不正確さ又は誤差が閾値未満であること)を位置フィードバック・データ1032が示すため、光ステアリング・デバイス1042の回転運動が調整される必要がないかもしれないことが理解される。閾値を下回る不正確さ又は不正確さがないならば、光ステアリング・デバイス・コントローラ1034は、光ステアリング・デバイス1042の運動を調整するための信号を生成しなくてもよい。
【0139】
さらに図10を参照すると、いくつかの実施形態では、制御信号1037は、パルス幅変調(PWM)信号(例えば、ミリアンペア電流レベルを有する3.3V信号)である。これらのパルス幅変調信号は、光ステアリング・デバイス・ドライバ1038に提供され、これは、光ステアリング・デバイス・モータ1040を駆動するためのより強力な信号1039を生成できる。1つの実施形態では、光ステアリング・デバイス・ドライバ1038は、入力PWM制御信号1037を増幅して、アンペア・レベル電流を有する12V PWM信号1039を生成する増幅器を含む。信号1039は高パワーを有し、その後、モータ1040を駆動して光ステアリング・デバイス1042を回転させるために使用される。いくつかの実施形態では、光ステアリング・デバイス・コントローラ1034、光ステアリング・デバイス・ドライバ1038、光ステアリング・デバイス・モータ1040、位置エンコーダ(図示せず)、及び光ステアリング・デバイス1042(例えば、ポリゴン・ミラー)のうちの2つ以上が複数ファセット光ステアリング・デバイス・アセンブリに含まれる。
【0140】
図10を参照すると、いくつかの実施形態では、プロセッサ1006、プロセッサ1010、ガルバノメータ・コントローラ1014、及び光ステアリング・デバイス・コントローラ1034は、コントローラ・デバイス1030に含まれてもよい。コントローラ・デバイス1030は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、及びメモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を有しうる。命令は、本開示で説明される方法の1つ以上のステップを実行するために、1つ以上のプロセッサ(例えば、1006及び1010)によって実行されうる。さらに、コントローラ・デバイス1030は、光ステアリング・デバイス較正データ1004を記憶するための記憶要素(例えば、メモリ、ハードディスク、フラッシュなど)も含んでもよい。コントローラ・デバイス1030は例えば、マイクロ・コントローラ、1つ以上のプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は本書で説明される方法及び処理を実装できる任意の他のコンピューティング・デバイスを使用して実装されうる。
【0141】
光ステアリング・デバイス1042及び/又はガルバノメータ・ミラー1022についての位置フィードバック・データを使用することによって、光ステアリング・デバイス1042ファセット不均一性の差及びの組み立て誤差を補償することに加えて、光ステアリング・デバイス1042及びミラー1022の一方又は両方のリアルタイム位置不正確性を補償するために、ガルバノメータ・ミラー1022の運動プロファイル1007がさらに修正されうる。いくつかの実施形態では、光ステアリング・デバイス1042についての位置フィードバック・データはまた、その位置の不正確さを補償するために、制御デバイス1042にも直接使用される。その結果、所望の形状(例えば、直線形状)からの走査線形状の逸脱が低減又は排除されうる。後続の処理(例えば、知覚)のために、改良されたLiDAR走査パターンが得られうる。よって、LiDARシステムの全体的な性能も向上する。図10のブロックは説明のためのものであり、任意の所望の方法で分離、組み合わせ、追加、除去、又は変更されうることを理解されたい。例えば、プロセッサ1006及び1010は互いに組み合わされることができ、又はコントローラ(例えば、コントローラ1014)と組み合わされることができる。コントローラ及びドライバは、1つのアセンブリ又はデバイスに組み合わされることもできる。
【0142】
図12は、いくつかの実施形態による、例示的なLiDAR走査パターン1210と、パターン1210の一部1220の拡大図とを示す。LiDAR走査パターン1210は、光ステアリング・デバイスのファセット不均一性の差、組み立て誤差、及び光ステアリング・デバイス及び/又はガルバノメータ・ミラーのリアルタイム位置不正確さのうちの1つ以上を補償するための本開示で説明されるシステム及びプロセスを使用して取得される。図12に示されるように、LiDAR走査パターンは、走査線が所望の又は予想される形状(例えば、直線)を有するように改良されるように補償される。このような走査パターンは例えば、走査パターンを表すポイント・クラウド・データを用いた知覚の後続の処理の効率を向上させる。
【0143】
図13は、LiDAR走査システムを制御するための方法1300を説明するフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法1300は、ステップ1302及び1304で始まる。ステップ1302は、LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信する。第1の運動プロファイルは例えば、運動プロファイル810であり、これは、複数ファセット光ステアリング・デバイスのファセット不均一性の差及び組み立て誤差を考慮していない。ステップ1304は、LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信する。第1の運動プロファイル及び較正データを使用して、ステップ1306は、ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成する。第2の運動プロファイルは、複数ファセット光ステアリング・デバイスのファセット不均一性の差及び組み立て誤差を補償するようにガルバノメータ・ミラーを制御するために使用されうる修正されたプロファイルである。
【0144】
いくつかの実施形態では、ステップ1312は、ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを受信する。ステップ1314は、複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信する。第2の運動プロファイル、ミラーの受信された位置フィードバック・データ、及び光ステアリング・デバイスの受信された位置フィードバック・データを使用して、ステップ1316は、1つ以上の調整信号を生成する。調整信号に基づいて、ステップ1308は、ガルバノメータ・ミラーのドライバを制御するための1つ以上の制御信号を生成する。いくつかの実施形態では、複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを使用して、ステップ1318は、光ステアリング・デバイスのドライバを制御するための1つ以上の制御信号を生成する。
【0145】
いくつかの実施形態では、方法1300は、複数ファセット光ステアリング・デバイスの角度位置を感知するステップ1310と、ガルバノメータ・ミラーの角度位置を感知するステップ1320とをさらに含んでもよい。感知された位置フィードバック・データは、それぞれステップ1312及び1314に提供される。よって、プロセスは、光ステアリング・デバイス及び/又はガルバノメータ・ミラーのリアルタイム制御を実行するための調整信号を生成するように第2の運動プロファイル(又は以前に修正されたプロファイル)が修正されるように繰り返されうる。その結果、光ステアリング・デバイス及び/又はガルバノメータ・ミラーの位置の不正確さがリアルタイムで補正又は補償されうる。
【0146】
前述の明細書はあらゆる点において、説明的かつ例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきであり、本書に開示される発明の範囲は、明細書から決定されるべきではなく、むしろ、特許法によって許容される全範囲に従って解釈される特許請求の範囲から決定されるべきである。本書に示され、説明される実施形態は、本発明の原理の例示にすぎず、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、種々の変形が当業者によって実施されうることを理解されたい。当業者は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な他の特徴の組合せを実施できる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出及び測距(LiDAR)走査システムであって、
ガルバノメータ・ミラーと、
複数ファセット光ステアリング・デバイスと、
1つ以上のプロセッサ、メモリ、及び前記メモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を備えるコントローラ・デバイスと、を備え、前記プロセッサ実行可能命令は、
前記LiDAR走査システムの前記ガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記ガルバノメータ・ミラーの前記第1の運動プロファイルは、第1の角度位置と第2の角度位置との間の前記ガルバノメータ・ミラーの運動に関連する位置‐時間関係を含む、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間の差は約40度であり、前記第1及び第2の角度位置は、前記ガルバノメータ・ミラーが周りを振動する軸に対するものである、システム。
【請求項4】
請求項に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの少なくとも2つのファセット間の差の較正に関連するデータを含み、前記差は、製造プロセスによって生じる、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの少なくとも2つのファセット間の前記差は、
ファセット角度の均一性の差と、
ファセット寸法の均一性の差と、
表面形状誤差の差と、
表面粗さの差と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項6】
請求項に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記LiDAR走査システムへの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの組み立てプロセスに関連する組み立て誤差を含む、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記組み立て誤差は、
モータ回転子軸とモータ固定子軸との間の相対位置誤差と、
ータとモータ取り付け固定具との相対位置誤差と、
前記ガルバノメータ・ミラーに対する前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの相対位置誤差と、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの実際の回転軸と前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの予想回転軸との間の誤差と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項8】
請求項に記載のシステムであって、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの前記第2の運動プロファイルを生成することは、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルを使用して1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記1つ以上の信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項9】
請求項に記載のシステムであって、前記第2の運動プロファイルは、前記第1の運動プロファイルの位置‐時間関係とは異なる位置‐時間関係を含む、システム。
【請求項10】
請求項に記載のシステムであって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスは、ポリゴン・ミラーである、システム。
【請求項11】
請求項に記載のシステムであって、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために前記1つ以上の制御信号を提供することは、
前記ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、に基づいて、1つ以上の調整信号を生成することと、を含む、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記1つ以上の調整信号を生成することは、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、を使用して、1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムであって、前記1つ以上の調整信号に基づいて、前記ガルバノメータ・ミラーのドライバを制御するための前記1つ以上の制御信号を生成することをさらに含む、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記ガルバノメータ・ミラーの前記ドライバを制御するための前記1つ以上の制御信号は、パルス幅変調信号を含む、システム。
【請求項15】
請求項に記載のシステムであって、ガルバノメータ・ミラー・アセンブリをさらに備え、前記ガルバノメータ・ミラー・アセンブリは、
第1のモータと、
前記ガルバノメータ・ミラーと、
第1のモータ・ドライバと、を備え、前記第1のモータ・ドライバは、前記1つ以上の制御信号に従って前記ガルバノメータ・ミラーを振動させる、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記ガルバノメータ・ミラー・アセンブリは、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを提供するように構成されたミラー位置エンコーダをさらに備える、システム。
【請求項17】
請求項に記載のシステムであって、前記プロセッサ実行可能命令は、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データに基づいて、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの運動を調整するために1つ以上の第2の制御信号を提供することと、のための命令をさらに含む、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、複数ファセット光ステアリング・デバイス・アセンブリをさらに備え、前記複数ファセット光ステアリング・デバイス・アセンブリは、
第2のモータと、
複数の反射面を有するポリゴン・ミラーを備える前記複数ファセット光ステアリング・デバイスと、
第2のモータ・ドライバと、を備え、前記第2のモータ・ドライバは、前記1つ以上の第2の制御信号に従って前記複数ファセット光ステアリング・デバイスを回転させる、システム。
【請求項19】
光検出及び測距(LiDAR)走査システムを制御するための方法であって、前記方法は、1つ以上のプロセッサ及びメモリによって実行され、前記方法は、
前記LiDAR走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記ガルバノメータ・ミラーの前記第1の運動プロファイルは、第1の角度位置と第2の角度位置との間の前記ガルバノメータ・ミラーの運動に関連する位置‐時間関係を含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの少なくとも2つのファセット間の差の較正に関連するデータを含み、前記差は、製造プロセスによって生じる、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの前記較正データは、前記LiDAR走査システムへの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの組み立てプロセスに関連する組み立て誤差を含む、方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの前記第2の運動プロファイルを生成することは、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルを使用して1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記1つ以上の信号処理動作は、
データ・サンプリングと、
フィルタリングと、
アナログ・デジタル変換と、
データ較正及び補償と、
重ね合わせと、
データ変換と、
デジタル・アナログ変換と、のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法であって、前記第2の運動プロファイルは、前記第1の運動プロファイルの位置‐時間関係とは異なる位置‐時間関係を含む、方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法であって、前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために前記1つ以上の制御信号を提供することは、
前記ガルバノメータ・ミラーに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、に基づいて、1つ以上の調整信号を生成することと、を含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記1つ以上の調整信号を生成することは、
前記第2の運動プロファイルと、前記ガルバノメータ・ミラーに関連する前記位置フィードバック・データと、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データと、を使用して、1つ以上の信号処理動作を実行することを含み、前記方法は、前記1つ以上の調整信号に基づいて、前記ガルバノメータ・ミラーのドライバを制御するための前記1つ以上の制御信号を生成することをさらに含む、方法。
【請求項27】
請求項19に記載の方法であって、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する位置フィードバック・データを受信することと、
前記複数ファセット光ステアリング・デバイスに関連する前記位置フィードバック・データに基づいて、前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの運動を調整するために1つ以上の第2の制御信号を提供することと、をさらに含む、方法。
【請求項28】
電子デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、前記電子デバイスに
光検出及び測距(LiDAR)走査システムのガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、
を含む処理を実行させる命令を含むプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
検出及び測距(LiDAR)走査システムを備える車両であって、前記LiDAR走査システムは、
ガルバノメータ・ミラーと、
複数ファセット光ステアリング・デバイスと、
1つ以上のプロセッサ、メモリ、及び前記メモリに記憶されたプロセッサ実行可能命令を備えるコントローラ・デバイスと、を備え、前記プロセッサ実行可能命令は、
前記LiDAR走査システムの前記ガルバノメータ・ミラーの第1の運動プロファイルを受信することと、
前記LiDAR走査システムの前記複数ファセット光ステアリング・デバイスの較正データを受信することと、
前記較正データ及び前記第1の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの第2の運動プロファイルを生成することと、
前記第2の運動プロファイルに基づいて前記ガルバノメータ・ミラーの運動を調整するために1つ以上の制御信号を提供することと、のための命令を含む、車両
【国際調査報告】